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特許異議申立

2023-700056

表面処理炭酸カルシウムおよびそれを含む樹脂組成物

審判番号
2023-700056
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-197489
登録番号
7104446
請求日
2023年01月19日
審決日
2023年07月04日
公報発行日
2023年08月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】白石工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人グローバル・アイピー東京
  • 【異議申立人】石川 琢也
審判長/審判官
  • 審判長 原 賢一
  • 審判官 後藤 政博
  • 審判官 増山 淳子
分類
P1651.121-Y (C01F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7104446号発明「表面処理炭酸カルシウムおよびそれを含む樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7104446号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7104446号の請求項1~3に係る特許についての出願は、令 和3年12月6日を出願日とする出願であり、令和4年7月12日にその特許権の設定登録がされ、同年同月21日に特許掲載公報が発行され、その後 、令和5年1月19日に、その請求項1~3に係る特許を対象として特許異 議申立人石川琢也(以下、「異議申立人」という。)により、特許異議の申 立てがなされたものである。 第2 本件発明 特許第7104446号の請求項1~3に係る発明は、その特許請求の範 囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものであ ると認める(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応して「本件発 明1」、「本件特許1」などという。)。 「【請求項1】 電子顕微鏡にて測定された一次粒子のアスペクト比が2~20の炭酸カル シウムの表面に、脂肪酸ナトリウム塩または脂肪酸カリウム塩を含む表面処 理剤が付着した、表面処理炭酸カルシウムであって、 該炭酸カルシウムのBET比表面積が、3-13[m2/g]であり、 該炭酸カルシウムの単位BET比表面積あたりの該表面処理剤による表面被覆率が0.15-0.60[%/(m2/g)]である、 前記表面処理炭酸カルシウム。 【請求項2】 該炭酸カルシウムが、アラゴナイト結晶である、請求項1に記載の表面処理炭酸カルシウム。 【請求項3】 請求項1または2に記載の表面処理炭酸カルシウムと、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリマーと、を含む、樹脂組成物。」 第3 特許異議の申立理由の概要 異議申立人は、証拠方法として甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲5」という。)を提出し、本件特許は、次の申立理由によって、取り消すべきものである旨主張している。 1 申立理由 特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如) (1) 本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 本件発明2は、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3) 本件発明3は、甲1に記載された発明及び甲2~甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 証拠方法 甲1:特開2009-270124号公報 甲2:藤原敏男,“ウイスカ状炭酸カルシウムの開発と応用物性”,プラス チックスエージ,平成7年3月1日,第41巻3月号,第488号, p.119-123 甲3:異議申立人による実験成績証明書(2023年1月16日付け) 甲4:特開平11-172234号公報 甲5:建築用シーリング材-基礎と正しい使い方-編集委員会,“建築用シ ーリング材 -基礎と正しい使い方- ”,平成9年4月1日1版2刷, p.156,157,180-183 第4 当審の判断 1 各甲号証の記載について (1) 甲1の記載事項及び甲1に記載された発明 ア 甲1の記載事項 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 一次粒子が下記の式(a)~(d)を満足するとともに二次粒子が下記式(A)~(C)を満足する、バテライトを除く連鎖状炭酸カルシウムを有機系表面処理剤で下記の式(e)を満足するように表面処理してなることを特徴とするシーラント用表面処理連鎖状炭酸カルシウム填剤。 (a) 0.0010≦DS1≦5.0000 (μm) (b) 0.0005≦DS2≦2.5000 (μm) (c) 2≦DS1/DS2≦50 (d) 20≦SW≦150 (m2 /g) (e) 0.05≦AS≦7.50 (mg/m2 ) (A) 0.05≦DP2≦20.0(μm) (B) 1.0≦DP1/DP3≦10.0 (C) (DP1-DP3)/DP2≦3.0 但し、 DS1:走査型電子顕微鏡(SEM)により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の長径の平均一次粒子径(μm) DS2:上記顕微鏡により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の短径の平均一次粒子径(μm) SW:窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g) AS:次式により算出される単位比表面積当たりの有機系表面処理剤量(mg/m2 ) 〔200℃~500℃の炭酸カルシウム1g当たりの熱減量(mg/g)〕/SW(m2 /g) DP1:島津式粒度分布計SA-CP3により測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計25%の平均二次粒子径(μm) DP2:上記測定器を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計50%の平均二次粒子径(μm) DP3:上記測定器を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計75%の平均二次粒子径(μm) 【請求項2】 有機系表面処理剤が飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のシーラント用表面処理連鎖状炭酸カルシウム填剤。 【請求項3】 請求項1又は2記載の表面処理連鎖状炭酸カルシウム填剤をシーラント用樹脂に配合してなることを特徴とするシーラント樹脂組成物。」 「【0003】 本発明は、かかる実状に鑑み、シーラント樹脂に使用した場合には、粘性・チキソ性付与効果はもちろんであるが、特に優れた耐スリップ性、及び目地追従性を有する樹脂組成物を与える、有機系表面処理剤を表面処理してなるシーラント用連鎖状炭酸カルシウム填剤及びこれを配合してなるシーラント樹脂組成物を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明者らは上記課題を解決せんとして鋭意検討を重ねた結果、有機系表 面処理剤で表面処理された、特定の粒度特性、形状を有するシーラント用連鎖状炭酸カルシウム填剤が被着体との接着力を向上させ、また形成される塗膜自体の強度を上げることによって、これらの問題点が解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。」 「【0009】 次に、本発明で使用される連鎖状炭酸カルシウムは、バテライトでない限 り特に制限されず種々な方法により製造することが可能である。特に特願平 8-249128(特開平10-72215)の石灰乳にカルシウムとの錯 体形成剤を添加して炭酸化反応を終了させた後、熟成を行う方法や、特公昭 56-40118の石灰乳に硫酸を添加して炭酸化反応させる方法、特開昭 60-103025の炭酸化反応の途中で連鎖粒子形成促進剤を添加する方 法などが好ましいが、これらに限られず適宜好適な方法を選ぶことができる。 【0010】 本発明に用いられる連鎖状炭酸カルシウムは、一次粒子が下記の式(a)~(d)を具備することが必要である。 (a) 0.0010≦DS1≦5.0000 (μm) (b) 0.0005≦DS2≦2.5000 (μm) (c) 2≦DS1/DS2≦50 (d) 20≦SW≦150 (m2 /g) 但し、 DS1:走査型電子顕微鏡(SEM)により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の長径の平均一次粒子径(μm) DS2:上記顕微鏡により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の短径の平均一次粒子径(μm) SW:窒素吸着法によるBET比表面積(m2 /g)」 「【0013】 式(c)は本発明に使用される連鎖状炭酸カルシウムの連鎖状計数であり、この数値が大きいほど細長いものとなる。連鎖状計数としては2≦DS1/DS2≦50であることが必要で、より好ましくは2≦DS1/DS2≦30、さらに好ましくは2≦DS1/DS2≦10である。連鎖状計数DS1/DS2が50を越えると連鎖状がもろくなり、樹脂成分との混練中で折れてしまう可能性が高くなり、一方、2未満では、その粒子は連鎖状炭酸カルシウムとして挙動しない。 【0014】 式(d)は本発明に使用される連鎖状炭酸カルシウムの比表面積であり、比表面積SWは、20≦SW≦150(m2 /g)であることが必要で、好ましくは20≦SW≦100(m2 /g)、より好ましくは20≦SW≦80(m2 /g)、さらに好ましくは20≦SW≦60(m2 /g)である。比表面積が150m2 /gを越えると、一次粒子同士の凝集力が強くなり連鎖状炭酸カルシウム同士がさらなる凝集体となって挙動し、また、使用する有機系表面処理剤の量も比表面積に応じて多量に必要となるため経済的にも不利になる場合がある。また20m2 /g未満の場合は高い粘性を付与することが困難となる場合がある。」 「【0033】 合成例5 温度10℃、濃度11.8%の石灰乳に10%濃度のクエン酸水溶液を、水酸化カルシウムに対し0.1%添加し、このスラリーに水酸化カルシウム 1kg当たり1500L/hrの15%CO2 ガスを導入し、炭酸カルシウムを生成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーを温度50~55℃で6日間撹拌熟成を行うことにより、BET比表面積15.3m2 /gの連鎖状炭酸カルシウムを合成した。さらに、この連鎖状炭酸カルシウムスラリーに、10%に熱溶解させたステアリン酸ナトリウムを連鎖状炭酸カルシウム固形分に対して4%添加し、強撹拌することにより該表面処理剤を連鎖状炭酸カルシウム表面に十分に吸着せしめた後、脱水、乾燥、粉末化し、有機系表面処理剤を表面処理してなるシーラント用連鎖状炭酸カルシウム填剤を合成した。」 「【0039】 【表1】 [図:0001400491000001.jpg] 【0040】 実施例1~4、比較例1~5 前記の合成例1~9で合成したシーラント用表面処理炭酸カルシウム填剤を用い、下記の配合に基づきシーラント樹脂組成物を調製した。 (配合) 基材 合成例1~9にて作成した表面処理炭酸カルシウム填料 700部 樹脂〔MSポリマーS810:鐘淵化学工業(株)製商品名〕 500部 DOP 295部 重質炭酸カルシウム〔スーパーSSS:丸尾カルシウム(株)製商品名〕 150部 アミノシラン 5部 硬化剤 コロイド炭酸カルシウム 〔カルファイン200M:丸尾カルシウム(株)製商品名〕 20部 オクチル酸スズ 6部 ラウリルアミン 1部 DOP 11部 重質炭酸カルシウム〔スーパーSSS:丸尾カルシウム(株)製商品名〕 28部 基材及び硬化剤の各配合物を5リットル万能混合撹拌機〔ダルトン(株) 製〕にて、ツブがなくなるまで十分に混練し、基材および硬化剤を作成した 。 【0041】 (粘性・チキソ性) 前記配合に基づき調製した硬化樹脂組成物の基材粘度をBS型粘度計を用 いて1rpm、10rpmの粘度を測定し、「1rpm粘度/10rpm粘 度」をチキソ性として表示した。結果を表2に示す。 【0042】 (スリップ性試験) 基材:硬化剤=10:1で十分に脱泡混合後、十分に磨き仕上げしたブリキ板に、φ15mmの半円ビート版を用い、50mmの長さに引き、垂直に立て掛けた状態で50℃、24時間放置する。スリップ値は最初に塗布した試料の底面から、ズレ下がった先端までの距離(mm)で表すものとする。結果を表2に示す。 【0043】 (H型引張強度及び伸び試験) 基材:硬化剤=10:1で十分に脱泡混合後、JIS A5757 6.11引張応力及び伸び試験に基づいてH型を作成し評価を行った。結果を表3に示す。 【0044】 (接着性試験) 上記H型引張強度試験において、下記の基準により接着性を評価した。結果を表3に示す。 ○:良好(材料破壊している。) △:やや不良(材料破壊しているが、一部界面剥離が認められる。) ×:不良(界面剥離している。) 【0045】 (追従性試験後H型引張試験) 上記H型引張強度試験において、50%伸ばした状態で硬化物を1週間固 定した後、同様にしてH型引張強度(残留応力)を測定し、また接着性を評価することにより、シーリング材の目地に対する追従性を評価した。結果を表3に示す。 【0046】 【表2】 [図:0001400491000002.jpg] 【0047】 【表3】 [図:0001400491000003.jpg] 【0048】 以上の結果から明らかなように、本発明のシーラント用表面処理連鎖状炭酸カルシウム填剤を配合してなるシーラント樹脂組成物は、破断強度が高いだけでなくスリップ性が明らかに改善されている。このことから、被着体との接着力に優れており、追従性試験後においてもその効果が維持されていることがわかる。」 イ 甲1に記載された発明 上記アの甲1の記載事項によると、甲1には、シーラント用表面処理連鎖状炭酸カルシウム填剤について記載されている。 甲1の【請求項1】によると、DS1は走査型電子顕微鏡(SEM)により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の長径の平均一次粒子径(μm)を表し、DS2は、上記顕微鏡により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の短径の平均一次粒子径(μm)を表している。 また、SWは、窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)を表してい る。 ここで、甲1の合成例5(段落【0033】、【0039】)に着目する と、DS1が3.00(μm)、DS2が1.50(μm)、DS1/DS 2が2.0、BET比表面積SWが15.3(m2/g)である連鎖状炭酸 カルシウムを合成した後、この連鎖状炭酸カルシウムのスラリーに、10% に熱溶解させたステアリン酸ナトリウムを連鎖状炭酸カルシム固形分に対し て4%添加して表面処理し、脱水、乾燥、粉末化して、シーラント用連鎖状炭酸カルシウム填剤を合成している。 これらのことから、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「下記(a)~(d)を満足する連鎖状炭酸カルシウムであり、この連鎖状炭酸カルシウムのスラリーに、10%に熱溶解させたステアリン酸ナトリウムを連鎖状炭酸カルシウム固形分に対して4%添加して表面処理し、脱水、乾燥、粉末化したシーラント用表面処理連鎖状炭酸カルシウム填剤。 (a) DS1 3.00(μm) (b) DS2 1.50(μm) (c) DS1/DS2 2.0 (d) SW 15.3(m2 /g) 但し、 DS1:走査型電子顕微鏡(SEM)により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の長径の平均一次粒子径(μm) DS2:上記顕微鏡により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の短径の平均一次粒子径(μm) SW:窒素吸着法によるBET比表面積(m2 /g)」 (2) 甲2の記載事項及び甲2に記載された技術的事項 ア 甲2の記載事項 「・・・プラスチック用複合材料として長径25~30μm,短径0.5~1.0μmのウィスカ状炭酸カルシウム<ウィスカル>を開発した.表1に<ウィスカル>の一般物性を示す.」(119頁右欄3行~120頁左欄2行) 「 [図:0001400491000004.jpg] 」(120頁右欄) 「また,写真4は電子線回折をした結果である.その図形は<ウィスカル>が単結晶であることを示している.この図形から測定した値をrd=λLの式に入れて計算すると,a=4.957,b =7.968,c =5. 741となり,これは,アラゴナイト結晶であることを示している. 3.応用物性 <ウィスカル>は,アスペクト比(長径/短径)が20~30のウイスカ状物質であるため,各種プラスチックに配合した場合,優れた補強効果が期待できる.特に,そのウイスカ状の形状がために,曲げ弾性率,曲げ強さ,寸法安定性などに優れたプラスチック複合体が得られる. また,図3の示差熱分析図に示したように,熱的にも非常に安定であるため,各種エンプラにも展開できる.一方,各種プラスチックの射出成形時に,水分の影響などで発生すると言われるシルバーストリークも,本ウイスカは結晶水がないために問題がない.」(121頁右欄下から7行~122頁左欄下から2行) イ 甲2に記載された技術的事項 上記アの甲2の記載事項によると、甲2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「アスペクト比が20~30、比表面積が7.0m2/gであるウィスカ状炭酸カルシウム。」 (3) 甲3の記載事項及び甲3に記載された技術的事項 ア 甲3の記載事項 甲3は、異議申立人が作成した実験成績証明書であって、甲1の合成例5において合成された連鎖状炭酸カルシウムに替えて、甲2に記載のウイスカ状炭酸カルシウム「ウイスカル」を用いた以外は、前記合成例5と同様にして表面処理を行って表面処理炭酸カルシウムを作製した実験の概要について記載されている。 そして、本件発明1において、「加熱減量比」が特定されているところ、当該実験により得られた表面処理炭酸カルシウムついて、本件明細書の段落【0017】に記載の方法に従って測定した「加熱減量比」の値は「3.6%」であった。 イ 甲3に記載された技術的事項 上記アの甲3の記載事項によると、甲3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「甲1の合成例5と同様な表面処理を行った甲2のウィスカ状炭酸カルシウ ムの「加熱減量比」は、3.6%である。」 (4) 甲4の記載事項及び甲4に記載された技術的事項 ア 甲4の記載事項 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 BET比表面積が25m2/g以下のウィスカー状炭酸カルシウムを含有してなることを特徴とするシーリング材樹脂組成物。」 「【0016】本発明のシーリング材樹脂組成物に用いられる樹脂としては、シリコーン系ポリマー、ポリサルファイド系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、アクリルウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、SBR系ポリマー、ブチルゴム系ポリマー等が挙げられ、これらは単独で、或いは必要に応じ、2種以上組み合わせて用いられる。」 「【0020】ウレタン系ポリマーは分子末端にイソシアネー基を持つ半重合体(プレポリマー)で、イソシアネート基を分子末端基にもつジシソシアネートと、水酸基を末端にもつポリオールとの付加重合反応によって合成される。硬化成分としては、水分、ポリオキシプロピレングリコール系ポリオ ール等を用いることが可能である。また、発泡抑制剤として水分吸収剤(無水石こう、オルトケイ酸エステル)、炭酸ガス吸収剤として生石灰を用いることも可能である。その他の添加剤として着色剤、だれ防止剤、増粘剤、防カビ材、抗菌剤、老化防止剤等も使用可能である。」 「【0024】実施例1~5、比較例1 〔シリコーン系シーリング材樹脂組成物〕シリコン系シーリング材用樹脂(25℃の粘度が3000CP)、コロイド炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製 MT-100)、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製 スーパーSS)、ウィスカー状炭酸カルシウム、(丸尾カルシウム株式会社製 ウィスカル 長径25μm、短径1μm、アスペクト比25、粉末かさ14.0ml/g)を表1に示す配合量で加え、真空脱泡しながら5分間混合攪拌し、基材(a)を得た。得られた基材(a)に硬化剤としてアミノキシ官能基が2個以上の環状シロキサンを添加し、シリコーン系シーリング材樹脂組成物を得た。 ・・・ 【0026】実施例6~9 実施例2のシリコーン系シーリング材樹脂組成物において、表2に示すように、ウィスカー状炭酸カルシウムの粒子径及び粉末かさを変えた他は上記と同様の方法でシリコーン系シーリング材樹脂組成物を得た。実施例2の組成物についても掲記した。 【0027】 【表2】 [図:0001400491000005.jpg] 」 「【0028】実施例10~14、比較例2 〔ポリサルファイド系シーリング材樹脂組成物〕ポリサルファイド系シーリング材樹脂(東レチオコール株式会社製 チオコール LP-32)、塩素化パラフィン(40%試薬)、コロイド炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製 カルファイン200M)、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製 スーパーSS)、ウィスカー状炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製 ウィスカル 長径25μm 短径1μm、アスペクト比25、粉末かさ14.0ml/g)を表3に示す配合量で加え、真空脱泡しながら5分間混合攪拌し、基材(b)を得た。得られた基材(b)に硬化触媒(日本化学産業株式会社製 PbO2 チオリードA-1)を添加し、ポリサルファイド系シーリング材樹脂組成物を得た。 ・・・ 【0030】実施例15~18 実施例11のポリサルファイド系シーリング材樹脂組成物において、表4に示すように、ウィスカー状炭酸カルシウムの粒子径及び粉末かさを変えた他は、上記と同様の方法でポリサルファイド系シーリング材樹脂組成物を得た。実施例11の組成物についても掲記した。 【0031】 【表4】 [図:0001400491000006.jpg] 」 「【0032】実施例19~23、比較例3 〔ポリウレタン系シーリング材樹脂組成物〕表5に示す配合及び下記の方法でポリウレタン系シーリング材硬化剤を作製し、基剤と混合しポリウレタン系シーリング材樹脂組成物を作製した。ポリオール(タケラック P-74 武田薬品工業製)、酸化チタン(タイペーク R-820 石原産業製)、2-エチルヘキサン鉛(Pb=38%、キシダ化学製)、DOP、重質炭酸カルシウム(スーパーSSS)、ウィスカー状炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製 ウィスカル 長径25μm、短径1μm、アスペクト比25、粉末かさ14.0ml/g)を表5に示す配合量で加え、真空脱泡しながら5分間混合攪拌し、硬化剤(a)を得た。得られた硬化剤(a)に基剤ウレタンプレポリマー(タケネート L-1032)を添加し、ポリウレタン系シーリング材樹脂組成物を得た。 ・・・ 【0034】実施例24~27 実施例20のポリウレタン系シーリング材樹脂組成物において、表6に示すように、ウィスカー状炭酸カルシウムの粒子径及び粉末かさを変えた他は上記と同様の方法でポリサルファイド系シーリング材樹脂組成物を得た。実施例20の組成物についても掲記した。 【0035】 【表6】 [図:0001400491000007.jpg] 」 「【0036】実施例28~32、比較例4 〔ポリウレタン系一液シーリング材樹脂組成物〕表7に示す配合及び下記の方法でポリウレタン系一液シーリング材樹脂組成物を作製した。ウレタンプレポリマー(タケネートL1004 武田薬品工業製)、重質炭酸カルシウム(スーパーSSS)、アエロジル(日本アエロジル社製200)、ウィスカー状炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製 ウィスカル 長径25μm、短径1μm、アスペクト比25、粉末かさ14.0ml/g)を表7に示す配合量で加え、真空脱泡しながら5分間混合攪拌し、ポリウレタン系一液シーリング材樹脂組成物を得た。 ・・・ 【0038】実施例33~36 実施例29のポリウレタン系一液シーリング材樹脂組成物において、表8に示すように、ウィスカー状炭酸カルシウムの粒子径及び粉末かさを変えた他は上記と同様の方法でポリウレタン系一液シーリング材樹脂組成物を得た。実施例29の組成物についても掲記した。 【0039】 【表8】 [図:0001400491000008.jpg] 」 イ 甲4に記載された技術的事項 上記アの甲4に記載の実施例7、16、25及び34によると、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「アスペクト比が17であり、比表面積が12m2/gであるウィスカー 状炭酸カルシウム。」 (5) 甲5の記載事項及び甲5に記載された技術的事項 ア 甲5の記載事項 「2.2 変成シリコーン系シーリング材 変成シリコーン系シーリング材とは 変成シリコーン系シーリング材とは,末端に反応性シリル基を導入したシリル基末端ポリエーテルを主成分とし,湿気硬化でシロキサン結合を形成するものである。 ・・・ 高分子量のポリオキシプロピレングリコールを骨格としたメチルジメトキシシリル末端ポリエーテルが建築用シーリング材の原料として工業生産されるようになった。」(156頁10行~17行) 「2.6 ポリウレタン系シーリング材 ・・・ 2.6.1 原料と配合 1) 原料 (1) ウレタンプレポリマー(基剤) ウレタンプレポリマーは,分子末端にイソシアネート基をもつ半重合体(プレポリマー)で,イソシアネート基(-NCO)を分子末端にもつジイソアシネートと,水酸基を末端にもつポリオールとの付加重合反応によって合成される。 ・・・ (2) 硬化成分 ・・・ b. 2成分形の硬化成分 2成分形ポリウレタン系シーリング材の硬化剤には一般にポリオキシプロピレングリコール(PPG)系ポリオールが用いられ,その官能基数や分子量の大小によって,硬化物の硬さを調整する。」(180頁18行~181行下から10行) 「2.6.2 硬化機構 ・・・ 2) 2成分形の硬化機構 a. 2成分形ポリウレタン系シーリング材は,基剤であるウレタンプレポリマーと硬化剤であるポリプロピレングリコール(PPG)系ポリオールが常温で反応することによって硬化する。」(182頁下から4行~183頁2,3行) イ 甲5に記載された技術的事項 上記アによると、甲5には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「ポリオキシプロピレングリコールを骨格とするシーリング材用樹脂。」 2 対比・判断 (1) 本件発明1について ア 発明の対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明における「ステアリン酸ナトリウム」は、「脂肪酸ナトリウム塩 」の一種であるから、甲1発明の「ステアリン酸ナトリウム」で「表面処理し、脱水、乾燥、粉末化したシーラント用表面処理連鎖状炭酸カルシウム填剤」は、本件発明1の「炭酸カルシウムの表面に、脂肪酸ナトリウム塩または脂肪酸カリウム塩を含む表面処理剤が付着した、表面処理炭酸カルシウム」に相当する。 甲1発明の「DS1/DS2 2.0」は、走査型電子顕微鏡(SEM)により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の長径の平均一次粒子径(μm)であるDS1と上記顕微鏡により調べた連鎖状炭酸カルシウム粒子の短径の平均一次粒子径(μm)であるDS2との比であり、本件発明1の「一次粒子のアスペクト比」とは、本件明細書において「アスペクト比とは、炭酸カルシウムカルシウムの一次粒子の縦横比」(段落【0015】)であると記載されているから、甲1発明の「DS1/DS2 2.0」は、本件発明1の「電子顕微鏡にて測定された一次粒子のアスペクト比が2~20」であることに相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「電子顕微鏡にて測定された一次粒子のアスペクト比が2~20の炭酸カルシウムの表面に、脂肪酸ナトリウム塩または脂肪酸カリウム塩を含む表面処理剤が付着した、表面処理炭酸カルシウム。」 である点で一致し、以下の点で相違すると認められる。 ・相違点1 本件発明1は、炭酸カルシウムのBET比表面積が、3-13[m2/ g]であることが特定さているのに対して、甲1発明は、窒素吸着法によるBET比表面積SWが15.3(m2/g)であって、本件発明1で特定するBET比表面積の範囲より大きいものである点。 ・相違点2 本件発明1は、炭酸カルシウムの単位BET比表面積あたりの表面処理剤による表面被覆率(以下、単に「表面被覆率」ということがある。)が0.15-0.60[%/(m2/g)]であることが特定さているのに対して、甲1発明は、連鎖状炭酸カルシウムのスラリーに、10%に熱溶解させたステアリン酸ナトリウムを該連鎖状炭酸カルシウム固形分に対して4%添加して表面処理し、脱水、乾燥、粉末化した表面処理連鎖状炭酸カルシウムであるが、上記表面被覆率については何ら規定されていない点。 イ 相違点についての申立人の主張 上記相違点1、2に対して、異議申立人は、概ね以下のように主張してい る。 甲1発明の連鎖状炭酸カルシウムに替えて、甲2に記載されたウィスカ状炭酸カルシウム(<ウィスカル>)又は甲4に記載されたウィスカー状炭酸カルシウムに対して、甲1発明と同様に表面処理を行うと、当該炭酸カルシウムの表面被覆率は、本件発明1の表面被覆率を充足する。 すなわち、 (ア)甲2には、ウイスカ状炭酸カルシウム「ウィスカル」が、アスペクト比(長径/短径)が20~30のウイスカ状物質であり、BET比表面積が7.0m2/gであることが記載されている。 甲1の段落【0009】には、連鎖状炭酸カルシウムは、バテライトでない限り制限されないことが記載されており、甲2に記載の「ウィスカル」は、アラゴナイト結晶であるから、甲1の連鎖状炭酸カルシウムとして使用され得るものである。 そして、甲2の炭酸カルシウム「ウィスカル」を、甲1の合成例5(段落【0033】)と同様な表面処理、すなわち「連鎖状炭酸カルシウムスラリーに、10%に熱溶解させたステアリン酸ナトリウムを連鎖状炭酸カルシウム固形分に対して4%添加し ・・・ 有機系表面処理剤を表面処理」することで得られた表面処理炭酸カルシウムについて、本件明細書の段落【0017】に記載の方法にしたがって測定した「加熱減量比」3.6%(甲3:実験成績証明書)と、上記「ウィスカル」のBET比表面積7.0m2/gとから計算すると、表面被覆率は0.51[%/(m2/g)]となる。 そうすると、甲1発明の連鎖状炭酸カルシウムを、甲2に記載の炭酸カルシウム「ウィスカル」に置き換えることで、本件発明1に係る表面処理炭酸カルシウムのアスペクト比、BET比表面積及び表面被覆率を満たす。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2の記載事項から当業者が容易に想到し得た発明である。 (イ)甲4には、アスペクト比が17、BET比表面積が12m2/gであるウィスカー状炭酸カルシウムが記載されており、上記甲1の合成例5と同様の表面処理をしたと想定して被覆率を計算すると、0.3[%/(m2/g)]となる。 そうすると、甲1発明の連鎖状炭酸カルシウムを、甲4に記載のウィスカー状炭酸カルシウムに置き換えることで、本件発明1に係る表面処理炭酸カルシウムのアスペクト比、BET比表面積及び表面被覆率を満たす。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲4の記載事項から当業者が容易に想到し得た発明である。 ウ 相違点についての検討 上記相違点について、異議申立人の上記イの主張を踏まえて、甲2に記載 のウィスカ状炭酸カルシウムは、アスペクト比は20~30の範囲にあるこ とが規定されるものであるが、本件発明1のアスペクト比の範囲である上限 20を充足し、このウィスカ状炭酸カルシウムは連鎖状炭酸カルシウムであるとして、甲1発明の炭酸カルシウムを、このウィスカ状炭酸カルシウムに置き換えることが容易であるかどうかについて検討する。 甲1の請求項1に記載された発明に関して、甲1によると、「【0003 】・・・ 粘性・チキソ性付与効果はもちろんであるが、特に優れた耐スリップ性、及び目地追従性を有する樹脂組成物を与える、有機系表面処理剤を表面処理してなるシーラント用連鎖状炭酸カルシウム填剤及びこれを配合してなるシーラント樹脂組成物を提供する」という課題を解決するために、「【0004】 ・・・有機系表面処理剤で表面処理された、特定の粒度特性、形状を有するシーラント用連鎖状炭酸カルシウム填剤が被着体との接着力を向上させ、また形成される塗膜自体の強度を上げることによって、これらの問題点が解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。」というものであり、平均一次粒子径に関する特定事項(a)~(c)、単位比表面積あたりの有機系表面処理剤量に関する特定事項(e)、平均二次粒子径に関する特定事項(A)~(C)に加えて、窒素吸着法によるBET比表面積(m2 /g)である特定事項(d)を特定したものである。 上記特定事項(d)について、甲1の請求項1では、「(d)20≦SW≦150 (m2 /g)」であることが特定されているところ、甲1発明として認定した甲1に記載の「合成例5」は、BET比表面積SWが「15.3(m2 /g)」であるから、上記課題を解決するための当該請求項1に係る発明に対しては、甲1の表2、3に記載されるとおり、「比較例」に相当するものである。 上記BET比表面積について、甲1には「【0014】 式(d)は本発明に使用される連鎖状炭酸カルシウムの比表面積であり、BET比表面積SWは、20≦SW≦150(m2 /g)であることが必要で ・・・ さらに好ましくは20≦SW≦60(m2 /g)である。 ・・・ また20m2 /g未満の場合は高い粘性を付与することが困難となる場合がある。」と記載され、比表面積が20m2 /g未満では上記課題を解決できないとされ、合成例5は、表2、3によると、1rpm粘度は、2030(Pa・s)であり、チキソ性は5.63であって、実施例である「合成例」よりも当該粘度及びチキソ性が低く、また、破断強度も低くなっているから、合成例5の連鎖状炭酸カルシウムを配合した樹脂組成物は、甲1においてシーラント材として求められる物性を満足しないものである。 そうすると、甲1において、甲1に記載される課題を解決する実施例に対する比較のために、比表面積等の特性が選択されているといえる「比較例」に相当する甲1発明に係る表面処理連鎖状炭酸カルシウムを、他のものに変更しようとする動機付けは、そもそも甲1には存在しない。さらに、上記BET比表面積SW「15.3(m2 /g)」を有する甲1発明に係る表面処理連鎖状炭酸カルシウム填剤は、シーラント樹脂用填剤として不適切な材料であって、甲1においては、連鎖状炭酸カルシウムのBET比表面積は、20(m2 /g)以上が必要であることが記載されているから、甲2に記載のウィスカ状炭酸カルシウムの比表面積7.0m2/gは、甲1において望ましくないとされる範囲のものであって、甲1発明のBET比表面積よりもさらに小さい値であるから、このような比表面積を有する甲2に係るウィスカ状炭酸カルシウムを、甲1発明の連鎖状炭酸カルシウム粒子に替えて、甲1発明と同様な表面処理を行うという動機付けは存在しないというべきである。 また、甲4に記載の比表面積が12m2/gであるウィスカー状炭酸カ ルシウムについても、同様であって動機付けは存在しない。 なお、甲1においては、上記甲1の課題を達成するために、連鎖状炭酸カ ルシウムは、上述のとおり二次粒子の粒度分布に関する特定事項(A)~(C)を充足することが必要とされているが、甲2及び甲4に記載の炭酸カルシウムは、当該特定事項(A)~(C)を充足するのかは不明であり、この観点からも甲2及び甲4の炭酸カルシウムを転用可能であるとはいえない。 したがって、上記異議申立人の主張は採用することはできず、また、さらに各証拠の記載を検討しても、甲1発明において、連鎖状炭酸カルシウムに替えて、甲2又は甲4に記載の炭酸カルシウムを用いる動機付けは導き出すことができない。 そして、本件発明1に係る表面処理炭酸カルシウムは、各種樹脂材料に添加された際には低粘度で高いチキソ性を示す樹脂組成物を得るために(本件明細書段落【0006】)、甲1では想定していない小さいBET比表面積を有する炭酸カルシウムについて、BET比表面積と共にアスペクト比及び表面被覆率を適切な範囲に特定したものであって、当該表面処理炭酸カルシウムを添加することで粘度が低くチキソ性が高い樹脂組成物を得ることができるという効果を奏する(本件明細書段落【0010】、表1、2、段落【0039】)と認められ、このような効果は甲1~甲4からは予測できないものである。 よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2) 本件発明2について 甲2は、ウィスカ状炭酸カルシウムについて、本件発明2の特定事項である「炭酸カルシウムが、アラゴナイト結晶」に該当する事項が記載されているものである。 しかし、本件発明2は、本件発明1の特定事項を全て含むものであって、少なくとも上記(1)ア の相違点において相違するから、上記(1)ウの検討と同様な理由により、本件発明2は、甲1発明及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3) 本件発明3について 甲5は、本件発明3の特定事項である「ポリプロピレングリコール骨格を有するポリマー」に該当する事項が記載されているとして提示されたものであって、ポリオキシプロピレングリコールを骨格とするシーリング材用樹脂が周知の技術事項であることを示している。 しかし、本件発明3についても、本件発明1の特定事項を全て含むものであって、少なくとも上記(1)ア の相違点において相違するから、上記(1)ウの検討と同様な理由により、本件発明3は、甲1発明及び甲2~甲5に記 載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件特許1~3は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、上記申立理由により、本件特許1~3を取り消すことはできない。 また、他に本件特許1~3を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700056

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