商標取消審判
2023-300432
トーキ、トキ
- 審判番号
- 2023-300432
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2006-103488
- 登録番号
- 5088468
- 請求日
- 2023年06月23日
- 審決日
- 2024年11月29日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】トキエア 株式会社
- 【請求人代理人】松田 次郎
- 【被請求人】東機産業 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- T132 .1 -Z (Y09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5088468号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5088468号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「計算尺,電子出版物」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5088468号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなるものであり、平成18年11月7日に登録出願され、「計算尺,電子出版物」を含む第9類、並びに第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同19年11月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年7月10日であり、その請求の登録前3年以内の同2年7月10日から同5年7月9日までの期間を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「計算尺,電子出版物」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証の1は、頁数の表示が「a」と「i」となっており整合性がなく、これらの書面が互いにどのような関係なのか不明である。また、「取扱説明書」の表紙のみで中身がなく、発行日や出版元等も不明である。仮に「取扱説明書」が存在していたとしても、「取扱説明書」や「使用許諾契約書」に商標を付す行為は、その説明書で取り扱われている商品の取引書類に商標を付して頒布する行為であり、本件においては「データ取込・グラフ化ソフトウェア」に関する商品について商標を使用していると解すべきである。当該取扱説明書は、その取扱製品である「ソフトウェア」の提供の際に添付して提供されるものであり、それ自体が独立して取引の対象となるものではない。
乙第3号証からは、当該取扱説明書がソフトウェアデータと別のディレクトリに格納されているか不明であり、個人のパソコンのデータファイルなのか、CD-ROMの中身を示したデータファイルなのかも不明であるため、証拠として不適切である。仮に「取扱説明書」の電子データの出所表示として本件商標を使用するのであれば、当該CD-ROMの表面や包装に付すべきであり、格納されたデータの中に本件商標が付されているとしても、流通過程において視認し得る状況にないため「取扱説明書」の出所を表示するものとして商標が使用されているといえない。
該電子取扱説明書は、納品書(乙4の1、乙4の2)に一切記載されていない。該電子取扱説明書が独立した商品であるならば納品書の品名に表示され価格等が記載されるべきところ、記載がないということは被請求人自身が独立した商品として取り扱っていないことを示しているといえる。
(2)乙第2号証の2は、粘度計に関する商品についての取扱説明書であり、その取扱商品である「粘度計」についての商標の使用行為に該当する。有償で補充される取扱説明書が電子データであることは記載されていない。メール(乙5)において発注されたとされる「B型粘度計」は乙第2号証の2に記載の「RE85型粘度計」と商品名が異なっており整合性が取れない。被請求人のホームページに存在するとある「取扱説明書のダウンロード」の所在が示されていない。また、特定人にのみ配布されることを前提にしていることから、流通性がなく、市場において独立して取引可能な商品とはいえない。
(3)「該非判定書」(乙2の3)は、紙に印刷されて提供されたものか電子的に提供されたものか明らかでない。そもそも、「該非判定書」は、安全保障貿易管理上の輸出許可を取得するための判定書であり、取引上、流通過程におかれる目的で作成されるものではなく、交換可能性がなく、出版物に該当することはおろか商品にも該当しない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出している。
1 被請求人の粘度データ取込ソフトVisco-chart(ソフトウェア)の電子取扱説明書及び電子使用許諾書(電子取扱説明書等)の表紙の下部中央に、本件商標が使用されている(乙2の1)。電子取扱説明書等は、「電子出版物」に含まれる。電子取扱説明書等は、CD-ROMに保存され、ソフトウェアデータとは別のディレクトリに格納されている(乙3)。要証期間内の使用について、電子取扱説明書等が、該ソフトウェアと共に要証期間内に複数回にわたり出荷されている(乙4の1、乙4の2)。使用商標は、特に電子使用許諾書の発行元を示す点で重要であり、電子取扱説明書等の出所を表示するものとして機能しており、ソフトウェアの出所を表示するものではない。
2 被請求人の粘度計の電子取扱説明書の表紙の下部中央に、本件商標が使用されている(乙2の2)。被請求人の取扱粘度計には、冊子の取扱説明書が同梱されているが、「この取扱説明書を紛失した場合は、本機の発売元に連絡してください。有料で補充することができます。」と記載されており、電子取扱説明書が補充される場合、有償であることが確認できる(乙2の2)。要証期間内の使用について、電子取扱説明書が2022年11月9日に発注されたことが、メール(乙5)から確認できる。
被請求人のホームページには、「取扱説明書のダウンロード」のページが存在し、ダウンロードには粘度計保有者により配布されるパスワードが必要であり(乙6)、取扱終了商品の電子取扱説明書のみが掲載され、現行販売品の電子取扱説明書は、ダウンロード不可であり(乙7)、原則、現行品の保有者又は取り寄せした者のみが入手できる。使用商標が、電子取扱説明書の出所を表示するものとして機能していることは、例えば販売終了品の電子取扱説明書を取り寄せる場合に、被請求人発行の電子取扱説明書であるという品質保証機能を果たしており、販売終了品の粘度計の出所を表示するものではない。
3 被請求人の発行する、輸出貿易管理令該否判定書の上部右側に、本件商標が使用されている(乙2の2)。電子該否判定書は、「電子出版物」に該当する。
該否判定書は、一定の条件を除いて原則有償で発行される。要証期間内の使用については、電子該否判定書は、2023年1月23日に発行されている(乙2の3)。
4 以上より、本件商標は、要証期間内に日本国内において商標権者により、指定商品中「電子出版物」に使用されている。
第4 審尋及び被請求人の回答
1 審判長は、令和6年6月10日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標権者が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解を示すとともに、請求人提出の弁駁書に対する回答を求めた。
2 被請求人は、上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。
第5 当審の判断
1 被請求人提出の証拠の内容
(1)乙第2号証の1について
乙第2号証の1は、「データ取込・グラフ化ソフトウェアVisco-Chart(Ver.12.0)取扱説明書」の表紙、ソフトウェア使用許諾契約書のページ(ページa)、及び目次のページ(ページi)(以下「データ取込・グラフ化ソフトウェアVisco-Chart」を「本件ソフトウェア」といい、その取扱説明書を「本件ソフトウェア取扱説明書」という。)の写しであり、表紙に別掲2の使用商標1が表示されている。また、ソフトウェア使用許諾契約書には、本件ソフトウェアの使用許諾契約がソフトウェアの使用者と本件商標権者との間のものである旨が記載されている。
なお、乙第3号証として、同階層において「ViscoNET」との名称のフォルダと別に「Manual」との名称のフォルダが設けられている様子を示す図が提出されている。
(2)乙第2号証の2、乙第8号証について
乙第2号証の2は、「RE-85形粘度計 取扱説明書」(以下「RE-85形粘度計」を「本件粘度計」といい、その取扱説明書を「本件粘度計取扱説明書」という。)の表紙、第i~iiiページ、及び目次のページ(ページa)の写しであり、表紙には、使用商標1が表示されている。また、第iiiページには、「取扱説明書等の遵守事項」の「(4)」として「この取扱説明書を紛失した場合は、本機の発売元に連絡してください。有料で補充することができます。」との記載がある。
また、乙第8号証は、本件粘度計取扱説明書の奥付の写しであると認められる。そして、この奥付には、別掲3の使用商標2が表示されており、「初版発行:2004年01月」、「改訂版発行:2004年03月」、「改訂版発行:2004年05月」、「改訂版発行:2004年10月」と記載されており、また、「当社の許可(許諾書)なく、この取扱説明書を転載・複写することを禁止します。」とも記載されている。
(3)乙第2号証の3について
乙第2号証の3は、「輸出貿易管理令 該非判定書」(以下「本件判定書」という。)の写しであり、「2023年01月23日」、本件商標権者の輸出統括責任者の氏名等が記載されており、右上に使用商標1が表示されている。
(4)乙第6号証、乙第7号証
乙第7号証は、本件商標権者のホームページにおける「取扱説明書のダウンロード」のページの写しであり、使用商標1が表示されており、また、「RE-85」とのリンクを示す文字とともにPDFファイルへのリンクが示されている。
乙第6号証は、本件商標権者のホームページにおける「保護中:取扱説明書のダウンロード」のページの写しであり、使用商標1が表示されている。このページは、「取扱説明書のダウンロード」のページへのアクセスのためのパスワード入力ページであると推認される。
(5)その他の証拠について
ア 乙第4号証の1及び乙第4号証の2
乙第4号証の1及び乙第4号証の2は、いずれも納品書及び請求書の写しであり、それぞれ「21年01月07日」、「23年02月14日」の日付がある。いずれも「品番・品名」として「粘度データ取込ソフト(Visco-chart)」等が記載されているが、「取扱説明書」等の記載は見当たらない。使用商標1及び使用商標2(以下「使用商標」という。)は表示されていない。
イ 乙第5号証
乙第5号証は、2023年9月5日に送信されたメールの写しであり、その内容は、2022年11月9日に、神奈川県の株式会社からの「問合せカテゴリ:取扱説明書ダウンロード」として「B型粘度計の取扱説明書及び納品仕様書」の供与を求める旨のメールが同日に名古屋営業所の担当者に転送された旨を示すものである。使用商標は表示されていない。
ウ 乙第11号証
乙第11号証は、本件商標権者が発行した見積書の写しであり、「2022年9月5日」との記載があり、「品名及び内訳」として「TVB-10MW形粘度計(AC100~230V)との記載があり、その「標準付属品」として「取扱説明書(英文)」との記載がある。使用商標は表示されていない。
2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
以下のとおり、使用商標は、「電子出版物」の商品について使用されておらず、請求に係る商品についての使用が立証されたとは認められない。
ア 本件ソフトウェア取扱説明書及び本件粘度計取扱説明書について
上記1(1)の本件ソフトウェア取扱説明書及び上記1(2)の本件粘度計取扱説明書は、それぞれ本件ソフトウェア及び本件粘度計の付属物であって、これらと別の商品として独立して取引されるものでないことが明らかである。
この点、上記1(1)における、「ViscoNET」との名称のディレクトリと別に「Manual」との名称のディレクトリが設けられている様子を示す図がCD-ROMにおけるディレクトリの構成を示すものであって、本件ソフトウェア取扱説明書は、電子データとしてCD-ROMに保存される際、本件ソフトウェアそれ自体と別のディレクトリに格納されるとしても、CD-ROMとして本件ソフトウェアとともに取引される以上、本件ソフトウェアの付属物であることが明らかである。
また、上記1(2)によれば、本件粘度計取扱説明書は、これを紛失した場合に「有料」で「補充」されることを予定したものとなっており、上記1(4)も踏まえれば、本件粘度計取扱説明書を紛失した者は「有料」で「取扱説明書のダウンロード」のページへのアクセスのためのパスワードを入手することで「取扱説明書のダウンロード」のページへアクセスして本件粘度計取扱説明書の電子データを入手できるものと推認されるが、これも、本件粘度計の購入者に対して有料でのサポートサービスとして本件粘度計の付属物の補充が可能となっているにすぎず、本件粘度計取扱説明書を本件粘度計と別の「電子出版物」の商品として取引するものではない。
よって、これらに表示されている使用商標1及び使用商標2は、「電子出版物」について使用されているものとはいえない。
イ 本件判定書について
上記1(3)の本件判定書は、輸出貿易管理令の規制品目に該当するか否かの判定結果を示すためのものであって、そもそも取引の対象となるものでないことが明らかである。
よって、これに表示されている使用商標1は、商品について使用されているものとはいえない。
ウ 「取扱説明書のダウンロード」のページについて
上記1(4)の「取扱説明書のダウンロード」のページには、「RE-85」とのリンクを示す文字とともにPDFファイルへのリンクが示されており、本件粘度計取扱説明書の電子データをダウンロードすることが可能となっているものの、上記アに示したとおり、本件粘度計取扱説明書は、本件粘度計の付属物であり、これらと別の商品として独立して取引されるものでないことは明らかである。
よって、このページに表示されている使用商標1は、「電子出版物」について使用されているものとはいえない。
(2)要証期間内の使用について
以下のとおり、使用商標の要証期間内の使用が立証されたとは認められない。
ア 本件ソフトウェア取扱説明書について
上記1(5)アによれば、納品書及び請求書は、本件ソフトウェアについての納品書及び請求書であり、本件ソフトウェアとは別の商品としての本件ソフトウェア取扱説明書についてのものではない。
よって、納品書及び請求書は、本件ソフトウェア取扱説明書に表示された使用商標1の要証期間内の使用を示すものではない。
イ 本件粘度計取扱説明書について
上記1(2)によれば、本件粘度計取扱説明書は、2004年に作成されたものである。また、上記1(5)イによれば、2022年11月9日に、神奈川県の株式会社からの「問合せカテゴリ:取扱説明書ダウンロード」として「B型粘度計の取扱説明書及び納品仕様書」の供与を求める旨のメールがなされ、この供与の求めに対し本件粘度計取扱説明書及び納品仕様書が供与されたものと推認できるものの、これらを電子データにより供与したことまでは推認できない。
すなわち、このメールでは、本件粘度計取扱説明書のみならず納品仕様書についても供与が求められているところ、納品仕様書は取扱説明書ではなく、上記1(4)の「取扱説明書のダウンロード」のページを案内しても納品仕様書を電子データで供与したことにならない。そして、本件粘度計取扱説明書及び納品仕様書を供与するにあたって、後者を紙の印刷物の郵送によって供与したのであれば、前者についても同様の方法で供与したと考えるのが自然であり、このことを踏まえれば、本件粘度計取扱説明書を電子データにより供与したと推認することはできない。
以上によれば、このメールは、本件粘度計取扱説明書に表示された使用商標1及び使用商標2の要証期間内の使用を示すものではない。
ウ 「取扱説明書のダウンロード」のページについて
上記1(4)の「取扱説明書のダウンロード」のページは、要証期間後の閲覧に係るものであり、これが要証期間内に電磁的方法により提供されたことを示す証拠は見当たらない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した証拠は、本件審判の請求の登録前3年以内に請求に係る指定商品についての本件商標の使用を証明するものではなく、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできない。
また、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて正当な理由があるものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中、請求に係る指定商品について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-300432