商標取消審判
2023-300131
コル、シイオオエル
- 審判番号
- 2023-300131
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1977-032459
- 登録番号
- 1629764
- 請求日
- 2023年02月27日
- 審決日
- 2024年10月21日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中文在線数字出版集団股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】TRY国際弁理士法人
- 【被請求人】株式会社 光輪技研
- 【被請求人代理人】中尾 直樹
- 【被請求人代理人】中村 幸雄
- 【被請求人代理人】義村 宗洋
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Y (Y09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第1629764号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第1629764号商標(以下「本件商標」という。)は、「COL」の欧文字を横書きしてなり、昭和52年5月11日に登録出願、同58年10月27日に第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として設定登録され、平成16年12月1日に、指定商品を、第7類、第9類、第11類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がなされ、その後、その指定商品を第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」及び第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする更新登録が、同25年10月29日になされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和5年3月13日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和2年3月13日~令和5年3月12日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」(以下「請求に係る指定商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。なお、請求人は、令和5年6月29日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
本件商標は、その指定商品中、請求に係る指定商品について継続して3年以上日本国内において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び令和6年2月13日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同月28日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
1 答弁の理由
商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中、第9類「電気通信機械器具」について本件商標を使用しており、以下、その事実を立証する。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、2022年12月28日に製造され、2023年3月3日までに商標権者が顧客の会社(以下「T社」という。)に納品した商品の梱包の写真であり、この梱包の側面には、本件商標「COL」が付されている。
なお、「COLを楕円で囲んだ商標」が付されているとの見解もあり得るが、「COLを楕円で囲んだ商標」の要部である「COL」部分は本件商標と外観を共通にし、かつ、本件商標と同一の称呼、観念を生じるので、社会通念上同一と認められる。
梱包の側面には、さらに、商標権者の名称「(株)光輪技研」、商品の品名「3R3M PC8」、品名コード「1-406-703-21」、数量「1000pcs」が示されている。
つまり、品名「3R3M PC8」の商標権者の商品が1000個入った梱包であることが分かる。
なお、ロット番号(LOTNO)として記載されている「221228201」の左側の6つの数字が2022年12月28日製造を示している。
また、梱包の上面には「FIXED INDUCTORS」との表示が示されており、「固定インダクター」が梱包されていることが示されている。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、商標権者の2022年の製品カタログの抜粋であり、表紙、目次、第22頁、第27頁及び裏表紙である。
なお、当該製品カタログ中の品名「3R3M PC8」に関する内容は、商標権者のホームページで公開されている2023年の製品カタログ<https://www.korin.co.jp/product/pdf/Korin_Catalog.pdf>と同じである。
第22頁にはリードタイプインダクターの仕様が示されており、第27頁には「PC8」の特性表が品番ごとに示され、品番「PC8-3R3M」が示されている。
乙第1号証に示された商品の品名「3R3M PC8」は品番「PC8-3R3M」を示している。
乙第2号証の第22頁では商品名を「リードタイプインダクター」と示しており、インダクターとは電気回路においてインダクタンスという特性を与える電気部品を意味している。
電線をコイル状に巻いた形状のインダクターは、形状に着目して「コイル」と呼ばれることは電気回路に関する分野では一般的である。つまり、品番「PC8-3R3M」の「インダクター」は、電気回路に関する分野では「コイル」と呼ばれることもある商品である。
そして、「コイル」は、商標法施行規則・別表の第9類、「十二 電気通信機械器具」、「(十)電気通信機械器具の部品及び附属品」に含まれる商品である。
したがって、乙第1号証に示された商品は、第9類「電気通信機械器具」に該当する商品である。
(3)乙第3号証及び乙第4号証について
乙第3号証は、2022年11月ないし2023年3月に商標権者が顧客(T社)に商品を納入したことを示す納品書兼検査票である。
乙第4号証は、2022年12月ないし2023年4月に顧客(T社)が商標権者に送った御支払通知書及び検収明細表であり、御支払通知書に当該顧客の住所が記載されており、商品を納品した住所が日本国内であることが分かる。
乙第1号証で写真を示した品名「3R3M PC8」、品名コード「1-406-703-21」のコイルは、納品書兼検査票の商品名コード「140670321」若しくは「1-406-703-21」、検収明細表の部品番号「1-406-703-21」が対応している。
商品が納品されると、翌月に前月分の検収と支払いが行われているので、納品書兼検査票(乙3)と御支払通知書、検収明細表(乙4)には1か月のずれがある。
乙第3号証によれば、品名「3R3M PCS」のコイルは、2022年11月4日、同年12月5日、2023年1月5日、同年2月3日及び同年3月3日に納品され、乙第4号証の検収明細表によれば、2022年12月、2023年1月、同年2月、同年3月及び同年4月に前月の納入分として検収されている。
乙第3号証及び乙第4号証から分かるとおり、繰り返し取引が行われている。
(4)乙第5号証について
次に、商品の包装に標章(本件商標)を付したものを譲渡する行為を要証期間に行ったことについて説明する。
乙第5号証は、商標権者の光輪技研大館センターの品目台帳であり、2022年7月度ないし同年12月度及び2023年1月度ないし同年6月度の対象品目「1-406-703-21」の入庫数量、出庫数量及び残数量(在庫)が示されている。
2022年12月28日に商標権者の協力会社(中国)で製造された乙第1号証の商品は、2023年1月24日に商標権者の光輪技研大館センターに入庫され、この時点で光輪技研大館センターには2000個(商品の梱包2個分)の品名「3R3M PCS」のコイルが在庫として保管されていた。
その後、2023年2月3日に1000個(商品の梱包1個分)と同年3月3日に1000個(商品の梱包1個分)が顧客(T社)に納品されている。
そして、2023年3月3日の時点で、光輪技研大館センターの品名「3R3M PC8」のコイルの在庫はなくなっている。
乙第5号証からは、乙第1号証の商品が2023年2月3日に出庫されたか同年3月3日に出庫されたかは分からないが、通常は古いロッドから出庫するので、同年3月3日に納品された可能性が高い。
ただし、2023年2月3日も同年3月3日も要証期間内であるため、いずれにしても要証期間に顧客に納品している。
(5)まとめ
つまり、乙第1号証ないし乙第5号証によって、要証期間に、日本国内において、商標権者が、「第9類 電気通信機械器具」に該当する商品の包装(梱包)に本件商標(社会通念上同一の商標)を付したものを譲渡する行為を行ったことが分かる。
よって、本件審判の請求は成り立たない。
2 回答書による主張
審尋の暫定的な見解に対し、被請求人の意見を述べる。
(1)証拠について
ア 乙第6号証ないし乙第11号証について
乙第6号証は、乙第1号証と同じ商品の梱包を人が持った写真であり、乙第7号証は、乙第6号証の梱包の文字部分を拡大した写真である。
乙7号証から、被請求人の名称「(株)光輪技研」、商品の品名「3R3M PC8」、品名コード「1-406-703-21」、数量「1000pcs」が示されていることが分かる。
商標権者が現在保有する在庫のため、製造年月日は2023年12月22日であるが、乙第6号証から、乙第1号証と同じ商品の梱包の大きさが分かる。
乙第8号証は、乙第6号証の梱包を開けた状態の写真であり、乙第9号証は、乙第8号証の梱包からテーピングされた商品の一部を取り出した状態の写真であり、乙第10号証は、乙第8号証とは反対側から乙第6号証の梱包を開けた状態の写真であり、乙第11号証は、乙第8号証と同じ方向から梱包を開けたときのテーピングされた商品の一部を取り出し、商品の上面(乙10の上側)を写した写真である。
乙第8号証ないし乙第11号証から、品名コード「1-406-703-21」の商品1000個がテーピングされた状態で梱包に収納されていることが分かり、また、乙第11号証の個々の商品の上面には「3R3M」の表示があることが分かる。
イ 乙第12号証及び乙第13号証について
乙第12号証は、乙第1号証と同じ商品の製造指図書である。
品名は「1-406-703-21」、初版発行年月日は1997年5月2日、第3回までの改訂履歴があり、第3回の改訂は2009年11月2日である。
品名「1-406-703-21」の商品は、2009年11月2日以降、要証期間を含め同じ商品である。
右下には、梱包への箱捺印として、「COL」に丸を付した商標と「1-406-703-21」、「3R3M PC8」が示されており、また、テーピング1リールは1,000pcs(1000個)であることも示されている。
乙第13号証は、乙第1号証と同じ商品を1998年11月11日にS社が検定した際の検定結果連絡書及び納入仕様書の抜粋(9頁中の第1頁及び第8頁)である。
部品番号として「1-406-703-21」が示されているが、品名と同じ意味である。
検定結果連絡書には「チョークコイル」と記載され、納入仕様書の1頁には「この仕様書は、電子機器一般に用いられるチョークコイルについて規定する。」と記されているが、納入仕様書の第8頁のFig-3には、梱包に「FIXED INDUCTORS」(固定インダクター)と示されることが記載されている。
また、Fig-1には、梱包の大きさがA(280±10mm)、B(50±7mm)、C(330±10mm)と示されている。
この記載から、乙第1号証の梱包の大きさが分かり、乙第6号証及び乙第8号証から理解できる梱包の大きさと整合している。
なお、乙第1号証及び乙第3号証ないし乙第5号証の納入先はT社である。
乙第12号証に納入先として示されている会社とT社はグループ会社である。
納入仕様書及び品質管理に関しては、このグループ会社の取引先の会社であるS社が取りまとめていたため、乙第12号証の納入先の一方、並びに乙第13号証の検定結果連絡書の作成者及び納入仕様書の受領印がS社となっている。
(2)商標権者による商品の販売について
乙第5号証から、商標権者は、要証期間を含んで継続的に乙第1号証と同じ商品(品名コード「1-406-703-21」)を販売していることは明らかである。
そして、乙第6号証ないし乙第13号証に基づいて、商標権者は、要証期間を含む長年に渡り、乙第1号証と同じように商標権者の名称「(株)光輪技研」、品名コード「1-406-703-21」、「FIXED INDUCTORS」(固定インダクター)、本件商標「COL」が付された梱包の中に、コイルを1000個収容して販売していることが分かる。
(3)乙各号証における商品の記載について
ア 乙第3号証の商品コードの欄には「140670321」と記載されており、「-」は省略されているが、乙第1号証の「1-406-703-21」と同じである。
また、乙第11号証の個々の商品の上面に記載されている「3R3M」と同じ記載と、特性である「3.3μH」が記載されている。
H(ヘンリー)は、インダクタンスの単位であるから、インダクタンスが「3.3μH」(3.3マイクロヘンリー)の商品であることが分かり、乙第2号証の「PC8-3R3M」の商品のインダクタンス「3.3μH」及び、乙第12号証の許容範囲「2.7~3.3μH~3.9」の中心である「3.3μH」と一致する。
乙第4号証の部品番号には、「1-406-703-21」と記載されている。
つまり、乙第1号証及び乙第3号証ないし乙第5号証は、商品の呼び方に関わらず、品名コード「1-406-703-21」に基づいて同一の商品の取引に関する証拠であることは明らかである。
イ 次に、商品の呼び方について説明する。
電気回路(物理)の分野では、インダクタンスという物理量を与える商品をインダクターと呼ぶ。
製造後にインダクタンスを変えられるか否かで分類すると、インダクタンスが一定の(変えられない)インダクターを固定インダクターと呼び、変えられるインダクターを可変インダクターと呼ぶ。
「FIXED INDUCTORS」(固定インダクター)は、インダクタンスを変えられないインダクターという意味である。なお、ほとんどのインダクターは固定インダクターである。
インダクターを形状から分類すると、リード型とSMD(表面実装部品)型などに分類され、「リードタイプインダクター」はリード型のインダクターを意味している。
乙第2号証に示された「PC8」の外見に基づけば、当業者は、リード型の「FIXED INDUCTORS」(固定インダクター)と理解すると思料する。
TDK株式会社のエレクトロニクス入門、インダクタ編No.3「インダクタの種類と製法」(URLは<https://www.tdk.com/ja/tech-mag/electronics_primer/3>)には、上述の説明と一致する内容が示されている。
「チョークコイル」は、高い周波数の電流を阻止するインダクターを意味している。
ウシオ電機株式会社の「チョークコイル(式安定器)」(URLは<https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ta/choke_coil.html>)には、解説内に「チョークコイルのインダクタンスにより生じる・・・」と書かれていることから分かるとおり、チョークコイルはインダクタンスを与える部品であるから、インダクターの一種である。
また、「ここでのチョークコイルとは、高い周波数の交流電流の通過を妨げ、比較的低い周波数の交流電流や直流電流を流すコイル(巻き線)のことを言う。」と記載されている。
固定インダクターを使用する目的が高い周波数の電流の阻止であれば、固定インダクターのことをチョークコイルとも呼ぶ(使用目的に起因した呼び方である。)。
顧客がチョークコイルとしての使用を前提に固定インダクターを購入している場合、顧客が「チョークコイル」と呼ぶことは普通にあることであるし、商品の梱包に「FIXED INDUCTORS」(固定インダクター)と記載されていても、当業者にとっては品名コード「1-406-703-21」などの記載に基づいて同一の商品と認識できるのが取引の実情である。
この点は、乙第13号証の8頁の下部には「チョークコイル(PC8-□□□)」と示されているが、Fig-3の梱包には「FIXED INDUCTORS」(固定インダクター)と示されることからも理解できることである。
ウ 上述のとおり、乙第1号証ないし乙第5号証は、商品の呼び方に関わらず、同一の商品に関する証拠であることは明らかである。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が、商標権者が顧客に納品した商品の梱包を撮影した写真と主張するものであり、当該写真から、箱が撮影されていること、当該箱の前面(直方体における面積が最大の面、以下同じ。)において、中央に「FIXED INDUCTORS」の記載、その下に、商標権者の名称の記載があることが見て取れる。
また、当該箱の側面(直方体における面積が最小の面、以下同じ。)において、1行目に商標権者の名称が記載された表が表示されており、表中、2行目の「NAME」欄に、楕円で囲んだ「COL」(以下「使用商標」という。)、「1-406-703-21」及び「3R3M PC8」の記載、その右の欄に「1000PCS」の記載、3行目の「LOTNO」欄に「221228201」の記載があることも見て取れる。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は、商標権者の2022年版の製品カタログであり、1葉目に「製品カタログ/Product Catalogue/2022年」の記載及び商標権者の名称の記載がある。
また、3葉目において、「リードタイプインダクター Radial Lead Inductors」の記載の下に、表が示されており、当該表中の「PC8」の欄に、「インダクタンス」の「μH」値が「0.5~100」であることや、「許容電流」の「Arms max」値が「10.00~1.30」であること等の数値や、「外形寸法(単位:mm)」として各部の寸法を示す図が示されている。そして、この図から、「PC8」は、主たる部分が円筒形状の部品であり、円筒の直径が「8.8±0.3」、円筒の長さが「11.5±0.5」であることが見て取れる。
さらに、4葉目において、「PC8 特性表」の記載の下に、表が示されており、当該表中の「PC8-3R3M」の欄に、「インダクタンス」の「μH」値が「3.3」であることや、「許容電流」の「Arms max」値が「7.00」であること等の数値の記載がある。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証は、被請求人が、商標権者が顧客(T社)に商品を納入したことを示すと主張するものであり、1葉目に、「納品書兼検査票」の表題がそれぞれの左側に記載された書類が上下に2つ示され、下の2つ目の「納品書兼検査票」において、その表題の右に提示された表中、「発注者」欄にT社の社名の記載、「品名コード」欄に「140670321」の記載、「品名」欄に「チョーク コイル(PC8-3R3M) 3.3UH」の記載、「出荷日」欄に「22-12-02」の記載、「納期」欄に「22-12-05」の記載、「納入予定日」欄に「22-12-05」の記載、「注文数量」欄、「納入指示数量」欄及び「納入数量」欄に共通して「1,000」の記載、「単位」欄に「PCE」の記載があり、さらに、上記表の下における「受注者」の記載に対応して商標権者の社名の記載がある。
なお、上の1つ目の「納品書兼検査票」は、表中の各欄の記載に関して、「出荷日」欄が「22-11-03」、「納期」欄が「22-11-04」、「納入予定日」欄が「22-11-04」であることを除き、2つ目のものと同様である。
エ 乙第6号証及び乙第7号証について
乙第6号証は、被請求人が、乙第1号証と同じ商品の梱包を人が持った写真と主張するものであり、当該写真から、成人と思われる人物が直立姿勢で、当該箱を、前面を上に、側面を前方に向けた状態で、腰の高さ付近で水平にして両手で持っていることや、当該箱は、側面における水平方向の寸法が上記人物の胴体における左右の幅よりもやや小さい程度、高さ方向の寸法が手で容易に把持できる程度であることが見て取れる。
また、当該箱の側面は、表中、3行目の「LOTNO」欄の記載が「231222201」である点を除き、乙第1号証の箱と同一であることも見て取れる。
この点は、被請求人が、乙第6号証の梱包の文字部分を拡大した写真と主張する、乙第7号証においても同様である。
一方、乙第7号証の写真における箱の前面は、乙第1号証と同一であることが見て取れる。
オ 乙第8号証ないし乙第11号証について
乙第8号証ないし乙第11号証は、被請求人が、それぞれ、乙第6号証の梱包を開けた状態の写真、乙第8号証の梱包からテーピングされた商品の一部を取り出した状態の写真、乙第8号証とは反対側から乙第6号証の梱包を開けた状態の写真、乙8号証と同じ方向から梱包を開けたときのテーピングされた商品の一部を取り出し、商品の上面(乙第10号証の上側)を写した写真と主張するものである。
そして、乙第8号証及び乙第9号証の写真から、非常に多数の黒色の円筒形状の部品が、紙テープ状の部材に1列に並べて取り付けられた上、当該部材が箱の寸法に合わせてジグザグに折り畳まれて、当該箱の中に隙間なく収容されていることが見て取れ、さらに、乙第8号証においては、箱における直方体の1辺に対して平行に物差しが置かれており、その目盛から当該1辺の長さがおおむね30cm弱であることが把握でき、乙第9号証の写真においては、部品が取り付けられた紙テープ状の部材の一部が箱から取り出され、上記円筒形状の部品の円筒の長さ方向に物差しが置かれており、その目盛からその長さがおおむね1cm強であることが把握できる。
また、乙第11号証の写真から、紙テープ状の部材に取り付けられた円筒形状の部品の円筒面に「3R3M」の文字が印字されていることが見て取れる。
カ 乙第13号証について
乙第13号証は、「検定結果連絡書」及び「納入仕様書」であり、2葉目の「納入仕様書」において、その表題の記載の下に、「■Date of application 提出年月日」の記載に対応する「1998-10-30」の記載、その下に、「■Part number 部品番号」の記載に対応する「1-406-703-21」の記載、その下に、「■Part name 部品名」の記載に対応する「チョークコイル PC8-3R3M」の記載、その右下に、「■Supplier’s name(and manufacture’s name if supplied through an agent.) 納入者名(及び製造者名)」の記載に対応する商標権者の住所(審決注:本件商標の登録時のもの)及び社名の記載がある。
また、本号証の3葉目には、「6.包装仕様」における「6.2 テーピング品」についての記載として、「a) 包装容器 図示Fig-1に示す寸法大の段ボール箱を使用 1,000 pcs/BOX.」及び「c) 表示方法 Fig-2, Fig-3」の各記載があり、その下に、「Fig-1」ないし「Fig-3」の図がそれぞれ記載されている。
そして、「Fig-1」の図において、箱の側面におけるそれぞれ底辺、高さに相当する「A」、「B」の寸法について、「A」が「280±10mm」であり、「B」が「50±7mm」であることが示されており、「Fig-3」の図において、箱の前面に「FIXED INDUCTORS」や商標権者の社名の記載があることが示されている。
(2)上記(1)によれば、次の事実を認めることができる。
ア 商標権者は、「品番」が「PC8-3R3M」のものを含む、「リードタイプインダクター」と表記される商品を取り扱う会社である(乙2)。
そして、当該商品は、「インダクタンス」の「μH」値が「3.3」であり、「許容電流」の「Arms max」値が「7.00」である等の仕様を有するものである(乙2)から、電気部品であることが理解できる。
イ 商標権者は、顧客(T社)からの発注を受けて、「品名コード」が「140670321」、「品名」が「チョーク コイル(PC8-3R3M) 3.3UH」とされる商品(以下「使用商品」という。)を1000個、納入予定日を2022年12月5日として、同月2日に出荷した(乙3)。
ここで、「品名」中の「PC8-3R3M」の文字部分が乙第2号証の「品番」の記載と一致しているから、使用商品が上記アの電気部品であることは明らかである。
ウ 乙第2号証によれば、使用商品は、直径が8.8mm、長さが11.5mm程度の円筒形状であり、乙第6号証ないし乙第11号証によれば、直方体の1辺が30cm弱の箱は、使用商品を非常に多数収容するのに適したサイズであるといえる。
エ 乙第13号証の「納入仕様書」によれば、商標権者において、「部品番号」が「1-406-703-21」、「部品名」が「PC8-3R3M」の商品、すなわち使用商品を1000個収容するための箱の仕様として、側面における底辺が「280±10mm」、高さが「50±7mm」であり、前面に「FIXED INDUCTORS」や商標権者の社名の記載がある段ボール箱が、1998年10月30日の時点で決定されていたものといえる。
ここで、乙第1号証及び乙第7号証の各写真における箱の前面に「FIXED INDUCTORS」や商標権者の社名の記載があり、同じく側面に「1-406-703-21」の記載があることは、上記仕様と一致しており、さらに、乙第6号証における写真の箱の側面における水平方向の寸法が人物の胴体における左右の幅よりもやや小さい程度、高さ方向の寸法が手で容易に把持できる程度であり、乙第8号証における写真の箱における直方体の1辺の長さが30cm弱であることについても、上記仕様と整合している。
そうすると、乙第1号証及び乙第6号証ないし乙第8号証の各写真における箱は、上記仕様に従って製造されたものと認められる。
オ 上記ウ及びエに加え、乙第1号証の写真における箱の側面に示された表中の「LOTNO」欄の「221228201」の記載における「221228」が2022年12月28日を示しているとの被請求人の主張は特段不自然ではないこともあわせ考慮すれば、同月2日における上記イの出荷を行った際、使用商品は、乙第1号証や乙第6号証の各写真におけるものと同様の、使用商標が付された箱に収容されていたものと推認できる。
カ 以上から、商標権者は、顧客からの発注を受けて、使用商品(チョークコイル)を1000個、使用商標が付された箱に収容して、2022年12月2日に当該顧客宛に出荷したことが認められる。
2 判断
上記1からすれば、次のとおり判断できる。
(1)使用商標について
使用商標の構成中、楕円は、本件商標との関係においてありふれた輪郭として捨象し得るものであり、「COL」の欧文字は、本件商標と同一のつづりからなるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用商品について
商品「コイル」は商標法施行規則・別表の第9類、「十二 電気通信機械器具」、「(十)電気通信機械器具の部品及び附属品」に属することからすれば、使用商品「チョークコイル」は、請求に係る指定商品中「電気通信機械器具」に該当する商品といえる。
(3)使用者、使用時期、及び使用行為について
商標権者が2022年12月2日に、使用商標が付された箱に使用商品を収容して顧客宛に出荷した行為について、使用商標の使用者は商標権者であり、使用商標の使用時期は要証期間であり、当該行為は、商標法第2条第3項第2号にいう、商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為に該当する。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品に該当する商品の包装に、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる標章を付して譲渡する、商標法第2条第3項第2号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品に該当する商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-300131