特許拒絶査定不服審判
2023-022126
路側機及び交通通信システム
- 審判番号
- 2023-022126
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-548831
- 請求日
- 2023年12月26日
- 審決日
- 2024年05月15日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】京セラ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人キュリーズ
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 洋
- 審判官 上田 翔太
- 審判官 土居 仁士
- 分類
- P18 .121-WY (H01Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-548831「路側機及び交通通信システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 1日国際公開、WO2021/060070、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)9月15日(優先権主張 令和元年9月26日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 4月11日付け:拒絶理由通知書
令和5年 6月15日 :意見書、手続補正書
令和5年 9月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和5年12月26日 :審判請求書
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
理由1(進歩性)
本願の請求項1~12に係る発明は、以下の引用文献1~3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開平10-41873号公報
2.特開2004-328666号公報
3.特開2001-268625号公報
第3 本願発明
本願の請求項1~12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明12」という。)は、令和5年6月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。なお、後の参照の便宜のため、本願発明1を以下のようにA~Iに分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。
「【請求項1】
A アンテナ取付面を有する筐体と、
B 前記アンテナ取付面に設けられ、棒状アンテナ及び平面アンテナの両アンテナに対応したアンテナ接続端子と、
C 前記筐体に収容され、前記アンテナ接続端子に接続された接続アンテナを介して路車間通信を行う回路部と、を備え、
D 前記アンテナ取付面の面積は、前記平面アンテナの面積以上であり、
E 前記アンテナ接続端子には、前記平面アンテナ及び前記棒状アンテナの中から選択されたアンテナが前記接続アンテナとして接続され、
F 前記筐体は、同一平面上にない複数のアンテナ取付面を有し、
G 前記複数のアンテナ取付面のそれぞれに前記アンテナ接続端子が設けられ、
H 前記複数のアンテナ取付面の少なくとも1つに設けられる前記アンテナ接続端には、前記棒状アンテナが前記接続アンテナとして接続される
I 路側機。」
なお、本願発明2~12の概要は以下のとおりである。
本願発明2~12は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに別の発明特定事項を加えたものである。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-41873号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、強調のため当審で付与した。以下同様。)。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車電話や携帯電話等の移動体通信システムに使用される屋外設置無線基地局用通信装置に関し、特に送受信アンテナの取り付けられた屋外設置無線送受信装置に関する。」
(2)「【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のアンテナ付き屋外設置無線送受信装置は、移動体通信システムの屋外設置無線基地局用の屋外設置無線送受信装置において、取外し可能な日除けと、屋外設置無線送受信装置との取付構造が日除けの取付構造と同一で、平面寸法が日除けとほぼ同一の平面送受信アンテナとが、屋外設置無線送受信装置の側面に近接して取り付けられ、平面送受信アンテナは屋外設置無線送受信装置と電気的に接続されている。」
(3)「【0013】太陽光線による温度上昇を防ぐために取り付けられた日除け(サンシェード)と同一の取付構造と類似の形状を有する平面送受信アンテナを、送受信に必要な位置に日除けの代替として取り付けるので、アンテナの設置場所が必要無く、屋外設置無線基地局全体の設置面積が縮小されるとともに、平面送受信アンテナも日除けの役割を果たし、無線送受信装置内の温度上昇が抑えられる。」
(4)「【0016】無線基地局は、基本的に無線送受信装置と、送受信アンテナ部と、その間を接続する同軸ケーブルとから構成される。また、無線基地局が屋外に設置される場合には、無線送受信装置に直射日光による温度上昇を防ぐための日除け(サンシェード)が取り付けられることがある。
【0017】図1、図2に示す本発明の屋外設置無線基地局11では、外部構造との取付部16以外の5面には分割構造の日除け(サンシェード)15が取り付け可能な構造となっており、日除け15は日除け15と同一の取付構造と類似の形状を有する平面送受信アンテナ13と交換可能となっており、平面送受信アンテナ13は日除けの機能も有している。従って平面送受信アンテナ13は、無線特性上もっとも効率的な面を選択して取付可能である。
【0018】自動車電話や携帯電話等の移動体通信事業者は屋外設置無線基地局11の設置場所の一つとして道路脇に立てられた支柱17の頭部に設けられた取付部16に取り付けることが多い。また、屋外設置無線基地局11は交通量の多い、即ち通信需要が多い道路沿いに設置されることが多い。そのような環境下において設置場所の占有面積をを可能な限り少なくする必要性がある。屋外設置無線基地局11を構成する屋外設置無線送受信装置12には、取付面を除き日除け(サンシェード)15と平面送受信アンテナ13が取付け可能となっており、アンテナのための設置面積を必要としない。支柱16の上部に取り付けることにより地表面での占有面積を少なくでき、また支柱16は専用の支柱だけでなく、電柱、信号機、電信電話柱等が支柱として利用可能であり、図1、図2に示されるような支柱頂部のほか支柱側面に取り付けられてもよい。」
(5)「【図2】
[図:0001411198000001.jpg]
」
前記(2)及び(4)の記載を踏まえ、前記【図2】を参照すると、無線基地局を構成する屋外設置無線送受信装置12は、平面送受信アンテナ13と交換可能である日除け15を取り付け可能な面を有する筐体を備えており、日除け15を取り付け可能な面は、平面寸法がほぼ同一である日除け15や平面送受信アンテナ13を1つまたは2つ設置できる程度の大きさであることが見て取れる。
したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明を以下のように1a~1gに分説し、「構成1a」のようにして参照する。
<引用発明>
「1a 無線送受信装置と、送受信アンテナ部と、その間を接続する同軸ケーブルとから構成される無線基地局であって、(【0016】)
1b 屋外設置無線送受信装置12は、平面送受信アンテナ13と交換可能である日除け15を取り付け可能な面を有する筐体を備え、(【図2】)
1c 送受信アンテナの取り付けられた屋外設置無線送受信装置は自動車電話に使用され、(【0001】)
1d 日除け15を取り付け可能な面は、平面寸法がほぼ同一である日除け15や平面送受信アンテナ13を1つまたは2つ設置できる程度の大きさであって、(【図2】)
1e 外部構造との取付部16以外の5面には日除け15が取り付け可能な構造となっており、日除け15は平面送受信アンテナ13と交換可能であり(【0017】)
1f 平面送受信アンテナを、送受信に必要な位置に日除けの代替として取り付ける、(【0013】)
1g 道路脇に立てられた支柱17に取り付けられる屋外設置無線基地局11。(【0018】)」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-328666号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0025】
(実施形態1)
図1は本実施形態の無線中継装置1の外観を示しており、装置本体10内には図17に示す無線中継装置1と同様に2系統の無線機部(図示せず)を収納し、装置本体4の両側側面には基地局向けの無線機部のアンテナ給電路に接続されるモノポール型の基地局向けアンテナ5A、端末機向けの無線基部のアンテナ給電路に接続されるモノポール型の端末機向けアンテナ5Bを夫々取り付けて無線中継装置1のアンテナ装置としている点に特徴がある。」
(2)「【0033】
(実施形態3)
本実施形態は、図3に示すように無線中継装置1の装置本体10の一方の側面に垂直方向に設けた無指向性のダイポール型の基地局向けアンテナ5Aと、装置本体10の他方の側面に設けたパッチアンテナからなる指向性を有する端末機向けアンテナ5Bとからなるアンテナ装置を用いている点に特徴がある。」
(3)「【図3】
[図:0001411198000002.jpg]
」
(4)「【0041】
(実施形態6)
上記実施形態1~5では使用されるアンテナ装置の形態は予め決めたものであったが、本実施形態では図6に示すように無線中継装置1の装置本体10の両側面の一方に装置本体10内の基地局向け無線機部(図示せず)のアンテナ給電路にアンテナを接続する接続コネクタ7Aを、他方に装置本体10内の端末機向け無線機部(図示せず)のアンテナ給電路にアンテナを接続する接続コネクタ7Bを設け、一方アンテナ5A、5B側に被接続コネクタ8A、8Bを設けることでアンテナ5A,5Bを取り外し自在とし、これにより使用するアンテナ装置を選択して接続ができるようになっている。」
(5)「【図6】
[図:0001411198000003.jpg]
」
前記(2)~(4)に記載の内容を踏まえて、前記【図6】を参照すると、装置本体10において、接続コネクタ7Aと7Bに、ダイポール型のアンテナとパッチアンテナから使用するアンテナ装置を選択して接続ができる構成であることが見て取れる。
したがって、引用文献2には次の技術事項が記載されていると認められる。
「無線中継装置1であって、(【0041】)
無線中継装置1の装置本体10の両側面の一方に接続コネクタ7Aを、他方に接続コネクタ7Bを設け、(【0041】)
装置本体10内に無線機部を収納しており、(【0025】)
接続コネクタ7Aと7Bに、ダイポール型のアンテナとパッチアンテナから使用するアンテナ装置を選択して接続ができる(【図6】)
無線中継装置。」
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-268625号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0026】図1は、上述した発明が適用された路車間通信システムの概略構成を表す説明図である。図1(a)に示すように、本システムは、道路に沿って所定の間隔で配置された基地局Kと、道路を走行する車両に搭載された端末局Tとから成る。
【0027】この内、端末局Tは、車両の上部に設置されたアンテナ(端末局アンテナ)ATtと、その端末局アンテナATtを介して無線通信を行う端末局本体1とを備えている。一方、基地局Kは、道路上方に設けられたアンテナ(基地局アンテナ)ATkと、その基地局アンテナATkを介して無線送受を行う基地局本体10とを備えている。なお、基地局アンテナATkの位置に関しての詳細は後述する。」
(2)「【0077】(2)また、アンテナに関しては、図11(a)に例示するようなアレーアンテナ50を採用しても良い。このアレーアンテナ50は、複数のアンテナ素子50aが配列されて構成されている。一般的なアンテナは指向性を制御することが困難であったため、例えば基地局Kの形成する通信エリアは固定されてしまう。これに対して、アレーアンテナ50は複数のアンテナ素子50aで構成されるため、搬送波ビームの指向性を制御することができる。そのため、以下に示すような効果を発揮できる。」
したがって、引用文献3には次の技術事項が記載されていると認められる。
「路車間通信システムにおける道路に沿って所定の間隔で配置された基地局Kにおいて、(【0026】)
基地局Kは、アンテナ(基地局アンテナ)ATkと、その基地局アンテナATkを介して無線送受を行う基地局本体10とを備えており、(【0027】)
アンテナに関しては、アレーアンテナ50を採用しても良い(【0077】)
基地局K。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のとおりである。
ア 発明特定事項Aについて
引用発明の「屋外設置無線送受信装置12は」「筐体を備え」ており(構成1b)、「外部構造との取付部16以外の5面には日除け15が取り付け可能な構造となっており、日除け15は平面送受信アンテナ13と交換可能であ」る(構成1e)ことから、「取付部16以外の5面」は、「平面送受信アンテナ13」が「取り付け可能な構造」を有しており、これは「アンテナ取付面」に相当すると認められる。
したがって、本願発明1と引用発明は「アンテナ取付面を有する筐体」を備えている点で一致する。
イ 発明特定事項Bについて
引用発明は、「アンテナ取付面」を有し(前記ア)、「同軸ケーブル」により「無線送受信装置と、送受信アンテナ部と、その間を接続」する(構成1a)ものであるため、「前記アンテナ取付面に設けられ、棒状アンテナ及び平面アンテナの両アンテナに対応したアンテナ接続端子」を有していない。
ウ 発明特定事項Cについて
(ア)引用発明の「屋外設置無線送受信装置12」は通信装置であるが、通信装置が内部に通信を行うための回路を備えることは技術常識であって、この回路を「通信を行う回路部」と称することは任意であると認められる。
(イ)引用発明の「屋外設置無線送受信装置12」は「筐体を備え」(構成1b)、内部に「通信を行う回路部」を備える(前記(ア))ことから、
前記「回路部」は、「筐体に収容され」る。
(ウ)引用発明の「無線送受信装置」は、「送受信アンテナ部と」同軸ケーブル」で「接続」(構成1a)されるから、引用発明の「通信を行う回路部」(前記(ア))は「接続アンテナを介して通信を行う」と認められる。
(エ)前記イで示したように、引用発明は「アンテナ接続端子」を備えないから、それに付随して、引用発明の「接続アンテナ」は、「アンテナ接続端子に接続された」ものではない。
(オ)前記(ア)~(エ)及び前記イから、本願発明1と引用発明とは、「筐体に収容され」、「接続アンテナを介して通信を行う回路部」を備える点で共通するが、「接続アンテナ」について、本願発明1は、「アンテナ接続端子に接続された」ものであるのに対し、引用発明は、「同軸ケーブルに接続された」ものである点で相違する。また、通信について、本願発明1は、「路車間」通信であるのに対し、引用発明は、「自動車電話」(構成1c)の通信である点で相違する。
エ 発明特定事項Dについて
引用発明において、「取付部16以外の5面」は「アンテナ取付面」であり(前記ア)、「アンテナ取付面」である「日除け15を取り付け可能な面は、平面寸法がほぼ同一である日除け15や平面送受信アンテナ13を1つまたは2つ設置できる程度の大きさであ」るので(構成1d)、「日除け15や平面送受信アンテナ13を」2つ設置できる面の面積は、少なくとも1つの「平面送受信アンテナ13」の面積より大きいと認められる。
したがって、本願発明1と引用発明は「前記アンテナ取付面の面積は、前記平面アンテナの面積以上であ」る点で一致する。
オ 発明特定事項Eについて
前記イで対比したとおり、引用発明は、「アンテナ接続端子」を有しないから、それに付随して、「前記アンテナ接続端子には、前記平面アンテナ及び前記棒状アンテナの中から選択されたアンテナが前記接続アンテナとして接続され」る構成も有しない。
カ 発明特定事項Fについて
引用発明の「屋外設置無線送受信装置12」は「筐体を備えて」おり(構成1b)、「取付部16以外の5面」は「アンテナ取付面」である(前記ア)ことから、本願発明1と引用発明は「前記筐体は、同一平面上にない複数のアンテナ取付面を有」する点で一致する。
キ 発明特定事項Gについて
前記イで対比したとおり、引用発明は、「アンテナ接続端子」を有しないから、それに付随して、「前記複数のアンテナ取付面のそれぞれに前記アンテナ接続端子が設けられ」る構成も有しない。
ク 発明特定事項Hについて
前記イで対比したとおり、引用発明は、「アンテナ接続端子」を有しないから、それに付随して、「前記複数のアンテナ取付面の少なくとも1つに設けられる前記アンテナ接続端には、前記棒状アンテナが前記接続アンテナとして接続される」構成も有しない。
ケ 発明特定事項Iについて
本願発明1は、路車間通信に用いられる「路側機」であり、引用発明は「屋外設置無線基地局11」であるので、両者は「機器」である点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「アンテナ取付面を有する筐体と、
前記筐体に収容され、接続されたアンテナを介して通信を行う回路部と、を備え、
前記アンテナ取付面の面積は、前記平面アンテナの面積以上であり、
前記筐体は、同一平面上にない複数のアンテナ取付面を有する
機器。」
(相違点)
(相違点1)本願発明1は「前記アンテナ取付面に設けられ、棒状アンテナ及び平面アンテナの両アンテナに対応したアンテナ接続端子」を備えるのに対し、引用発明はそのようなアンテナ接続端子を備えていない点。
(相違点2)「接続アンテナ」について、本願発明1は「アンテナ接続端子に接続された」ものであるのに対し、引用発明は「同軸ケーブルに接続された」ものである点。
(相違点3)本願発明1は「前記アンテナ接続端子には、前記平面アンテナ及び前記棒状アンテナの中から選択されたアンテナが前記接続アンテナとして接続され」るのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点4)本願発明1は「前記複数のアンテナ取付面のそれぞれに前記アンテナ接続端子が設けられ」ているのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点5)本願発明1は「前記複数のアンテナ取付面の少なくとも1つに設けられる前記アンテナ接続端には、前記棒状アンテナが前記接続アンテナとして接続される」のに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点6)本願発明1は「路側機」であって、「路車間」通信を行うのに対して、引用発明は「屋外設置無線基地局」であって、「自動車電話」と通信を行う点。
(2)相違点についての判断
相違点1について検討する。
前記第4、2において認定したとおり、引用文献2には、接続端子である「接続コネクタ7Aと7B」を設け、「ダイポール型のアンテナとパッチアンテナから使用するアンテナ装置を選択して接続ができる」構成が開示されている。
しかしながら、引用文献1には、発明が解決しようとする課題に関して、「太陽光線による温度上昇を防ぐために取り付けられた日除け(サンシェード)と同一の取付構造と類似の形状を有する平面送受信アンテナを、送受信に必要な位置に日除けの代替として取り付けるので、アンテナの設置場所が必要無く、屋外設置無線基地局全体の設置面積が縮小されるとともに、平面送受信アンテナも日除けの役割を果たし、無線送受信装置内の温度上昇が抑えられる(段落【0013】)」との記載がある。
該記載によれば、引用発明において、日除けと類似の形状を有する平面送受信アンテナを日除けの代替として接続することに換えて、日除けと類似の形状を有するとはいえず日除けの代替になるとはいえない棒状アンテナを接続することには、阻害要因が存在する。
よって、引用文献2に記載される技術事項を踏まえても、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明1の構成を設けることは、当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。
また、引用文献3にも「前記アンテナ取付面に設けられ、棒状アンテナ及び平面アンテナの両アンテナに対応したアンテナ接続端子」について、記載も示唆もない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2~12について
本願発明2~12は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに別の発明特定事項を加えたものであるから、本件発明2~12と引用発明との間には、少なくとも前記1(1)に示す相違点が存在する。
そして前記1(2)のとおりであるから、本件発明2~12は、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1~12は、当業者が引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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