特許拒絶査定不服審判
2023-017495
情報処理装置、及び制御方法
- 審判番号
- 2023-017495
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-092131外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年10月16日
- 審決日
- 2024年05月20日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
- 【請求人代理人】西澤 和純
- 【請求人代理人】清水 雄一郎
- 【請求人代理人】小林 淳一
- 【請求人代理人】片岡 央
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 92131「情報処理装置、及び制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年12月19日出願公開、特開2023-179074、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年6月7日の出願であって、令和5年6月14日付けで拒絶理由通知がされ、令和5年8月29日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和5年9月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和5年10月16日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和5年9月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1、11に係る発明は、以下の引用文献1及び以下の引用文献2に示される技術常識に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項2-5、7-10に係る発明は、以下の引用文献1及び以下の引用文献2及び引用文献等3に示される各技術常識に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
なお、本願請求項6、12に係る発明は、拒絶の理由を発見しないとされた。
引用文献等一覧
1.特開2022-74748号公報
2.[著者の氏名] dynabook,[表題]“Q.キーボードをBluetooth通信で接続する方法<dynabook KIRA L93、LZ93シリーズ Windows 10>”,[関連箇所](ページ、欄、行、項番、図面番号、データベース内のインデックス又は最初と最後の語句で表示する。)特に,“回答・対処方法, 操作手順, 7.-13.”を参照,[媒体のタイプ][online],[掲載年月日(発行年月日)]2016年05月17日,[掲載者(発行者)]Dynabook Inc.,[掲載場所(発行場所)] dynabook.com > サポート > よくあるご質問(FAQ検索) > キーボードをBluetooth通信で接続する方法<dynabook KIRA L93、LZ93シリーズ Windows 10>,[及び関連する箇所が開示されているページ],[検索日][2023月09月01日検索],[(電子的技術)情報の情報源及びアドレス又は識別番号(Accession no.)]インターネット<URL: https://dynabook.com/assistpc/faq/pcdata2/017437.htm>
3.[著者の氏名]Dove Computer Solutions Ltd,[表題]“Lenovo ThinkPad X1 Fold Gen 1 Review (4 months later)”,[関連箇所](ページ、欄、行、項番、図面番号、データベース内のインデックス又は最初と最後の語句で表示する。) 特に10:39-10:41,10:52-11:00,11:31-11:49,12:17-12:20, [媒体のタイプ]YouTube [online][video],[掲載年月日(発行年月日)]2022年05月26日(Oct 13, 2021),[掲載者(発行者)]Dove Computer Solutions Ltd,[掲載場所(発行場所)]YouTube,[及び関連する箇所が開示されているページ],[検索日][2023月06月05日検索],[(電子的技術)情報の情報源及びアドレス又は識別番号(Accession no.)]インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20220526221340/https://www.youtube.com/watch?v=yBkK6CdSduI>
第3 本願発明
本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、令和5年8月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本願発明6は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイに表示させる表示データを一時的に記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記表示データを前記ディスプレイに表示させる際の制御を行うプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記ディスプレイの画面領域のうち所定の画面領域への外付けのキーボードの載置を検出する載置検出処理と、
前記キーボードと通信接続を行う通信制御処理と、
前記ディスプレイの画面領域の全体を表示領域として表示を制御する第1表示モードと、前記ディスプレイの画面領域のうち前記所定の画面領域を除く一部の画面領域を表示領域として表示を制御する第2表示モードとを有し、前記載置検出処理と前記通信制御処理とに基づいて、前記第1表示モードと前記第2表示モードとの切り替えを制御する表示モード制御処理と、
を行い、
前記表示モード制御処理において、前記所定の画面領域への前記キーボードの載置が検出された場合には前記キーボードと通信接続がされていることを条件として前記第2表示モードに制御し、前記所定の画面領域への前記キーボードの載置が検出された場合であっても前記キーボードと通信接続がされていないときには前記第2表示モードに制御しないで前記第1表示モードに制御する、
情報処理装置。」
「【請求項6】
ディスプレイと、
前記ディスプレイに表示させる表示データを一時的に記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記表示データを前記ディスプレイに表示させる際の制御を行うプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記ディスプレイの画面領域のうち所定の画面領域への外付けのキーボードの載置を検出する載置検出処理と、
前記キーボードと通信接続を行う通信制御処理と、
前記ディスプレイの画面領域の全体を表示領域として表示を制御する第1表示モードと、前記ディスプレイの画面領域のうち前記所定の画面領域を除く一部の画面領域を表示領域として表示を制御する第2表示モードとを有し、前記載置検出処理と前記通信制御処理とに基づいて、前記第1表示モードと前記第2表示モードとの切り替えを制御する表示モード制御処理と、
を行い、
前記所定の画面領域への前記キーボードの載置が検出された場合であっても前記キーボードと通信接続がされていないときには、前記表示モード制御処理により前記第2表示モードに制御してから、前記キーボードとの通信接続がされていないことを示す情報が含まれるポップアップ画面を前記ディスプレイに表示させる表示情報制御処理をさらに行い、前記キーボードと通信接続がされていない状態が一定時間経過すると、前記表示モード制御処理により前記第1表示モードに切り替える、
情報処理装置。」
なお、本願発明2-5、7-12の概要は以下のとおりである。
本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明7-10は、本願発明1または本願発明6を減縮した発明である。
本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明12は、本願発明6に対応する方法の発明であり、本願発明6とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0019】また、第1筐体101の内面から第2筐体102の内面に渡って表示部150が設けられている。例えば、表示部150は、第1筐体101と第2筐体102との相対的な回動による開き角θに合わせて屈曲可能なフレキシブルディスプレイを備えている。フレキシブルディスプレイとしては、有機ELディスプレイ等が用いられる。情報処理装置10は、表示部150の表示領域DAの全体を1画面とする1画面構成として使用することも、表示部150の表示領域DAを第1表示領域DA1と第2表示領域DA2との互いに重ならない2つの表示領域に分けて疑似的に2画面構成として使用することも可能である。ここでは、表示部150の表示領域DA(画面領域)のうち第1筐体101の内面側に対応する表示領域が第1表示領域DA1、第2筐体102の内面側に対応する表示領域が第2表示領域DA2であるとする。なお、表示部150の表示領域DAの上にはタッチセンサが設けられており、第1表示領域DA1及び第2表示領域DA2に対するタッチ操作を検出することが可能である。ユーザは、情報処理装置10を開状態にすることにより、第1筐体101と第2筐体102のそれぞれの内面に設けられた表示部150の表示領域の視認や表示領域へのタッチ操作が可能となり、情報処理装置10の使用が可能となる。」
「【0027】表示モード(c-1)は、表示モード(b)と同様に、第1筐体101と第2筐体102とが折り曲げられた状態(Bentform)で、且つ表示部150の表示領域を第1表示領域DA1と第2表示領域DA2との2つの表示領域に分けて表示を制御する2画面モードであるときの表示モードであるが、情報処理装置10の向きが使用形態として異なる。情報処理装置10の向きは、第1表示領域DA1と第2表示領域DA2とが横向きで上下に縦に並ぶ向きである。表示領域が横向きとは、長方形の表示領域の4辺のうちの長辺が横方向、短辺が縦方向になる向きである。この使用形態は、クラムシェル(Clamshell)型のPCの一般的な使用形態の一つである。この表示モード(c-1)では、情報処理装置10は、例えば通常の動作状態で、第1表示領域DA1がプライマリ画面として、第2表示領域DA2がセカンダリ画面として、2画面の表示モードとなる。」
「【0030】表示モード(c-2)は、表示モード(c-1)と同様に、折り曲げられた状態(Bentform)で且つ2画面モードであって、情報処理装置10の向きも同じであるが、外付けの物理的なキーボードが接続されていることが異なる。この使用形態は、クラムシェル(Clamshell)型のPCの一般的な使用形態にキーボードが接続されている状態である。例えば、情報処理装置10に接続可能な外付けのキーボード(Dockablemini KBD:KeyBord)は、第2表示領域DA2のサイズとほぼ同等で、第2表示領域DA2の上に設置することで、元々物理的なキーボードが設けられている旧来からのクラムシェル型のPCと同様の使用形態となる。情報処理装置10と外付けのキーボードとは、例えば、Bluetooth(登録商標)で接続される。この表示モード(c-2)では、情報処理装置10は、例えば通常の動作状態で、第1表示領域DA1がプライマリ画面として、第2表示領域DA2がセカンダリ画面として、2画面の表示モードとなるが、第2表示領域DA2はキーボードで視認できなくなるため、黒表示または表示オフとなる。そのため、実質的には1画面の表示モードである。
【0031】情報処理装置10は、表示モード(c-1)の状態で、外付けのキーボードとの接続を検出すると、表示モード(c-1)から表示モード(c-2)へ自動的に切り替える(Switch by Dock)。」
「【0044】通信部11は、例えば、複数のイーサネット(登録商標)ポートや複数のUSB(UniversalSerial Bus)等のデジタル入出力ポート、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信を行う通信デバイス等を含んで構成される。例えば、通信部11は、Bluetooth(登録商標)を用いて、前述の外付けのキーボードなどと接続する。
【0045】RAM12には、制御部18により実行される処理のプログラムやデータが展開され、適宜、各種データの保存または消去が行われる。例えば、RAM12は、表示部150の表示用のビデオメモリ(V-RAM)としても機能する。一例として、RAM12は、表示部150を1画面モードで制御する際の表示領域DAに表示されるデータのビデオメモリとして機能する。また、RAM12は、表示部150を2画面モードで制御する際の第1表示領域DA1及び第2表示領域DA2に表示されるデータのビデオメモリとして機能する。また、RAM12には、2画面モードにおいて、実行されたアプリのウィンドウが第1表示領域DA1及び第2表示領域DA2のいずれの表示領域に表示されているかを示す関連付け情報などを記憶する。なお、RAM12は、揮発性メモリであるため、給電が停止されるとデータを保持しない。」
「【0052】なお、制御部18は、情報処理装置10に接続可能な外付けのキーボード(Dockable mini KBD:KeyBord)との接続検出用にホールセンサ17とは別に設けられたホールセンサを用いて、外付けのキーボード(mini-KBD)との接続を検出することもできる。例えば、外付けのキーボード(mini-KBD)側にマグネットを備え、対応する筐体(例えば、第2筐体102)側にホール素子を備えることにより、第2筐体102側の表示領域の上に外付けのキーボード(mini-KBD)が置かれているか否かによってホール素子が検出する磁界が変化する。制御部18は、このホールセンサ17の検出結果に基づいて、外付けのキーボード(mini-KBD)の接続を検出するようにしてもよい。
【0053】制御部18は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロコンピュータ(Microcomputer)等を含んで構成されている。制御部18は、情報処理装置10の動作を統括的に制御し、BIOSや、OS、OS上で動作するアプリなどのプログラムの処理を実行することにより各種の機能を実現する。
【0054】ここでは、制御部18が実行する処理のうちの表示制御処理に関連する機能構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る表示制御処理に関連する機能構成の一例を示すブロック図である。図示する制御部18は、プログラムを実行することにより実現する機能構成として制御部18を備えている。制御部18は、システム処理部181と、状態検出部182と、表示処理部183とを備えている。ここで、システム処理部181は、例えばOSに基づいてCPUが処理を実行する機能構成である。また、状態検出部182は、例えばOSの処理の実行の有無とは関係なく、マイクロコンピュータが処理を実行する機能構成である。表示処理部183は、例えばOS上で動作するプログラムに基づいてCPUが処理を実行する機能構成である。」
「【0056】状態検出部182は、情報処理装置10の状態を検出する。例えば、状態検出部182は、開閉状態検出部1821と、姿勢検出部1822と、接続状態検出部1823とを備えている。開閉状態検出部1821は、ホールセンサ17の検出結果に基づいて、情報処理装置10が開状態であるか閉状態であるかを検出する。また、開閉状態検出部1821は、情報処理装置10が開状態である場合、第1加速度センサ161及び第2加速度センサ162の検出結果に基づいて、第1筐体101と第2筐体102との開き角θを検出する。そして、開閉状態検出部1821は、検出した開き角θに基づいて、第1筐体101と第2筐体102とが折り曲げられた状態(Bentform)であるか或いは折り曲げられていない平面の状態(Flatform)であるかを検出する。姿勢検出部1822は、第1加速度センサ161及び第2加速度センサ162の検出結果に基づいて、情報処理装置10の姿勢(向き)を検出する。接続状態検出部1823は、外付けのキーボード(mini-KBD)との接続を検出する。例えば、接続状態検出部1823は、前述した外付けのキーボード(mini-KBD)との接続検出用のホールセンサ(不図示)を用いて、外付けのキーボード(mini-KBD)との接続を検出する。状態検出部182は、検出結果を表示処理部183へ出力する。」
「【0064】具体的には、表示制御部1832は、第1表示領域DA1に表示されているアプリ1に対応する新たなサブウィンドウを表示させる場合、RAM12に記憶されている第1関連付け情報を参照して第1表示領域DA1に表示させる。一方、表示制御部1832は、第2表示領域DA2に表示されているアプリ2に対応する新たなサブウィンドウを表示させる場合、RAM12に記憶されている第2関連付け情報を参照して、第2表示領域DA2に表示させる。すなわち、表示制御部1832は、第1表示領域DA1または第2表示領域DA2に表示されているアプリに対応する新たなサブウィンドウを表示させるときには、表示領域判定部1833により判定された表示領域内に表示させる。」
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「フレキシブルディスプレイを備えた表示部と、
表示用のビデオメモリとして機能するRAMと、
表示制御処理を実行し、CPUを含む制御部とを備え、
制御部は、外付けのキーボードと接続する通信部の動作を制御し、
表示部の表示領域が第1表示領域DA1と第2表示領域DA2との2つの表示領域とからなり、
制御部が備える表示処理部が、RAMに記憶されている情報を参照して第1表示領域DA1と第2表示領域DA2にサブウィンドウを表示し、
制御部が備える状態検出部が、第2表示領域DA2の上に設置する外付けのキーボードとの接続を、ホールセンサを用いて検出し、
第1表示領域DA1がプライマリ画面、第2表示領域DA2がセカンダリ画面となる2画面の表示モードである表示モード(c-1)の状態で、外付けのキーボードとの接続を検出すると、第1表示領域DA1がプライマリ画面となり第2表示領域DA2が黒表示または表示オフとなる表示モード(c-2)へ自動的に切り替える表示制御処理を制御部が実行する、
情報処理装置。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「操作手順」
「1. デスクトップ画面右下の通知領域から[アクションセンター]アイコンをタップします。」
「2. 「アクションセンター」画面が表示されます。[機内モード]をタップして、オフに設定します。」
「3. [すべての設定]をタップします。」
「4. 「設定」画面が表示されます。[デバイス]をタップします。」
「5. 「デバイス」画面が表示されます。[Bluetooth]をタップします。」
「6. 「Bluetoothデバイスの管理」画面が表示されます。“Bluetooth”が“オン”になっていることを確認してください。」
「7. キーボードを本体に近づけて、キーボード用電源スイッチをONにします。」
「8. キーボード接続コネクタの横にあるコネクトボタンを、先の細い丈夫なもの(クリックを伸ばしたものなど)で押します。」
「9. キーボードが自動的に検出され、「Bluetoothデバイスの管理」画面に[TOSHIBA Keyboard ペアリングの準備完了]が表示されます。[TOSHIBA Keyboard ペアリングの準備完了]をタップします。」
「10.[ペアリング]をタップします。」
「11.「パスコードをキーボードに入力してください」画面が表示されます。表示されたパスコードをキーボードで入力し、[ENTER]キーを押します。」
「12.キーボードと本体のペアリング設定が開始されます。」
「13.ペアリングが終了すると、“接続済み”と表示されます。これでキーボードが使用できるようになります。」
したがって、上記引用文献2には、Bluetooth通信によりキーボードが自動的に検出され、ペアリングが行われ、キーボードが使用できるようになるという技術的事項が記載されていると認められる。
3.引用文献等3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献等3には、第1表示モードの状態で、外付けのキーボードが載置された場合に、モードを第1表示モードから第2表示モードへ切り替えることが示されている(特に10:39-10:41,10:52-11:00,11:31-11:49,12:17-12:20を参照されたい。)。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「フレキシブルディスプレイを備えた表示部」、「表示用のビデオメモリとして機能するRAM」、「RAMに記憶されている情報を参照して第1表示領域DA1と第2表示領域DA2にサブウィンドウを表示」させる「表示処理部」を備える「CPUを含む制御部」は、本願発明1における「ディスプレイ」、「ディスプレイに表示させる表示データを一時的に記憶するメモリ」、「メモリに記憶された表示データをディスプレイに表示させる際の制御を行うプロセッサ」に相当する。
イ 引用発明における「第2表示領域DA2」は、本願発明1における「所定の画面領域」に相当する。そして、引用発明における「第2表示領域DA2の上に設置する外付けのキーボードとの接続を、ホールセンサを用いて検出」すること、「外付けのキーボードと接続する通信部の動作」は、本願発明1における「ディスプレイの画面領域のうち所定の画面領域への外付けのキーボードの載置を検出する載置検出処理」、「キーボードと通信接続を行う通信制御処理」に相当する。
ウ 引用発明における「表示部の表示領域が第1表示領域DA1と第2表示領域DA2との2つの表示領域とからなり」「第1表示領域DA1がプライマリ画面、第2表示領域DA2がセカンダリ画面となる2画面の表示モードである表示モード(c-1)」、「第1表示領域DA1がプライマリ画面となり第2表示領域DA2が黒表示または表示オフとなる表示モード(c-2)」は、上記イの点も踏まえると、本願発明1における「ディスプレイの画面領域の全体を表示領域として表示を制御する第1表示モード」、「ディスプレイの画面領域のうち所定の画面領域を除く一部の画面領域を表示領域として表示を制御する第2表示モード」に相当する。
エ 引用発明における「表示モード(c-1)の状態で」「ホールセンサを用いて」「外付けのキーボードとの接続を検出すると」「表示モード(c-2)へ自動的に切り替える表示制御処理」は、上記イ、ウの点も踏まえると、本願発明1における「載置検出処理」「に基づいて、第1表示モードと第2表示モードとの切り替えを制御する表示モード制御処理」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「ディスプレイと、
前記ディスプレイに表示させる表示データを一時的に記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記表示データを前記ディスプレイに表示させる際の制御を行うプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記ディスプレイの画面領域のうち所定の画面領域への外付けのキーボードの載置を検出する載置検出処理と、
前記キーボードと通信接続を行う通信制御処理と、
前記ディスプレイの画面領域の全体を表示領域として表示を制御する第1表示モードと、前記ディスプレイの画面領域のうち前記所定の画面領域を除く一部の画面領域を表示領域として表示を制御する第2表示モードとを有し、前記載置検出処理に基づいて、前記第1表示モードと前記第2表示モードとの切り替えを制御する表示モード制御処理と、
を行う、
情報処理装置。」
(相違点)
(相違点1)本願発明1は「載置検出処理と通信制御処理とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとの切り替えを制御する」という構成を備えるのに対し、引用発明は「表示モード(c-1)の状態で」「ホールセンサを用いて」「外付けのキーボードとの接続を検出すると」「表示モード(c-2)へ自動的に切り替え」ており、通信制御処理には基づいていない点。
(相違点2)本願発明1は「表示モード制御処理において、所定の画面領域へのキーボードの載置が検出された場合にはキーボードと通信接続がされていることを条件として第2表示モードに制御し、所定の画面領域へのキーボードの載置が検出された場合であってもキーボードと通信接続がされていないときには第2表示モードに制御しないで第1表示モードに制御する」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、通信に関して関連する上記相違点1、2についてまとめて検討する。
「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2について」に記載のとおり、引用文献2には、Bluetooth通信によりキーボードが自動的に検出され、ペアリングが行われ、キーボードが使用できるようになるという技術的事項が記載されている。
しかし、相違点1に係る「載置検出処理と通信制御処理とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとの切り替えを制御する」という構成は、上記技術的事項とは異なり、引用文献2に記載されたものではない。
また、引用文献1の段落【0030】における「この表示モード(c-2)では、情報処理装置10は、例えば通常の動作状態で、第1表示領域DA1がプライマリ画面として、第2表示領域DA2がセカンダリ画面として、2画面の表示モードとなるが、第2表示領域DA2はキーボードで視認できなくなるため、黒表示または表示オフとなる。」との記載によれば、引用発明はキーボードが載置されて第2表示領域DA2が視認されない場合に第2表示領域DA2を黒表示または表示オフとするものであるから、第2表示領域DA2が視認されない状態でキーボードとの通信が行われていない場合に第2表示領域DA2に通常の表示を行うことが示唆されているとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に示される技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2-5、7-10について
本願発明2-5、7-10も、本願発明1の「載置検出処理と通信制御処理とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとの切り替えを制御する」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2及び引用文献等3に示される技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明11について
本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記載置検出処理と前記通信制御処理とに基づいて、前記第1表示モードと前記第2表示モードとの切り替えを制御する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に示される技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
4.本願発明6、12について
本願発明6、12は、原査定において拒絶の理由を発見しないとされており、当業者であっても、引用発明及び引用文献2及び引用文献等3に示される技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
本願発明1、11は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、また、本願発明2-5、7-10は、当業者が引用発明及び引用文献2及び引用文献等3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由を、維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-017495