特許拒絶査定不服審判
2024-000691
電子機器、取り外しネジ、およびカバー取り外し方法
- 審判番号
- 2024-000691
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-078863外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年01月16日
- 審決日
- 2024年12月17日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .537-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 78863「電子機器、取り外しネジ、およびカバー取り外し方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年11月24日出願公開、特開2023-167576、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年5月12日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和5年 6月15日付け:拒絶理由通知書
令和5年 7月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年10月25日付け:拒絶査定
令和6年 1月16日 :拒絶査定不服審判の請求
令和6年 8月 6日付け:拒絶理由通知書
令和6年 8月27日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年10月25日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
発明の詳細な説明の段落[0005]、[0019]、[0028]、[0033]、[0035]及び[0037]の記載によれば、本願の課題は、粘着材によって固定されたカバーの取り外しの容易化であると解される。
しかしながら、請求項1において、「カバー」の「取り外し」が想定されていること、「突出部」の「傾斜面」を充分に「押し上げ」得るネジを「雌ネジ孔」に螺合すること、及び、「突出部」の「傾斜面」の勾配が、「カバー」の「取り外し」を容易にし得る隙間が生じる程度にまで「カバー」を「浮き上がらせ」るものであることについては、いずれも記載されていない。
そうすると、請求項1~5には、「粘着材」によって固定された「カバー」の取り外しを容易にする構成は記載されていないから、発明の課題を解決するための手段が反映されていない。
よって、請求項1~5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
第3 本願発明
本願請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明7」という。)は、令和6年8月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の縁に沿って粘着材で固定されたカバーと、
前記筐体の側壁に形成された雌ネジ孔と、
前記カバーの内面から突出する突出部と、
を備え、
前記突出部は、前記雌ネジ孔の延長上に位置し、前記側壁から離れる方向に向かって突出量が大きくなり、前記雌ネジ孔に対して螺進されるネジによって押し上げられる傾斜面を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記突出部は金属製であり、前記傾斜面には樹脂片が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記雌ネジ孔は、前記突出部に達しない長さの化粧ネジで塞がれている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記筐体は扁平の略矩形であり、1つの縁がヒンジによって他の筐体と回動可能に接続されており、
前記カバーは前記筐体の一面のほぼ全面を覆っており、
前記雌ネジ孔および前記突出部は、前記カバーにおける前記1つの縁に沿った辺の端部の近傍に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1または4に記載の電子機器において、
前記粘着材は前記筐体および前記カバーの少なくとも交差する2つの縁に沿って設けられており、
前記突出部は、前記2つの縁の前記粘着材の延長上の位置に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
筐体、前記筐体の縁に沿って粘着材で固定されたカバー、前記筐体の側壁に形成された雌ネジ孔、および前記カバーの内面から突出する突出部を備える電子機器の前記筐体から前記カバーを取り外すためのネジであって、
ヘッドと、
前記ヘッドから突出し前記筐体の側壁に形成された雌ネジ孔に螺合する雄ネジ部と、
前記雄ネジ部より小径で該雄ネジ部からさらに突出する円柱部と、
前記円柱部の先端を形成する球面部と、
を有し、
前記雌ネジ孔に螺合することで前記球面部が前記突出部を押し上げ可能な長さを有する
ことを特徴とする取り外しネジ。
【請求項7】
ネジを用いて電子機器の筐体から当該筐体に粘着材で固定されたカバーを取り外す方法であって
前記筐体の側壁に形成された雌ネジ孔に対して前記ネジを螺進させる工程と、
前記雌ネジ孔の延長上に位置し前記カバーの内面から突出する突出部に対してさらに前記ネジを螺進させ、前記突出部に形成された傾斜面を前記ネジの先端に形成された球面部によって押し上げることで前記カバーを浮き上がらせる工程と、
を有することを特徴とするカバー取り外し方法。」
第4 原査定についての当審の判断
令和6年8月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1には、「筐体の縁に沿って粘着材で固定されたカバー」の「内面から突出する突出部」が「有する」「傾斜面」が、「筐体の側壁に形成された」「雌ネジ孔に対して螺進されるネジによって押し上げられる」ものである旨が記載されている。
そして、当該記載によると、請求項1に係る発明及び請求項1を引用する請求項2~5に係る発明において、「突出部」等が「筐体」からの「カバー」の「取り外し」に寄与しない場合は排除されているから、請求項1~5に、発明の課題を解決するための手段が反映されていないとすることはできない。
したがって、原査定の拒絶の理由は解消した。
第5 当審拒絶理由について
1 当審が令和6年8月6日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。
(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に係る発明の解決しようとする課題は、発明の詳細な説明の段落【0005】に記載されている「好適な外観が得られ、しかもカバーを筐体から適切に取り外すことのできる電子機器」を提供することであるものと解されるが、請求項1には、「前記突出部は、前記雌ネジ孔の延長上に位置し、前記側壁から離れる方向に向かって突出量が大きくなる傾斜面を有する」との発明特定事項が記載されているものの、発明の詳細な説明には、「側壁から離れる方向に向かって突出量が大きくなる傾斜面を有する」「突出部」が「雌ネジ孔の延長上に位置」することにより、直ちに「カバーを筐体から適切に取り外す」ことが可能となることについては記載されておらず、何らかの技術常識から自明なことでもない。
この点は、請求項1に記載されているその余の発明特定事項についても同様であり、さらに、請求項2~5に記載されているそれぞれの発明特定事項についても同様である。
そうすると、請求項1~5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるとは認められず、また,発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも認められないから、請求項1~5は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。
よって、請求項1~5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
2 上記1は、原査定の拒絶の理由とおおむね同趣旨であり、原査定の拒絶の理由が上記第4のとおり解消したことから、当審拒絶理由も解消した。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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