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特許拒絶査定不服審判

2023-016916

複数のレーザビームを発生させるための装置及び方法

審判番号
2023-016916
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-566461
請求日
2023年10月05日
審決日
2026年01月19日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】大貫 敏史
  • 【請求人代理人】江口 昭彦
  • 【請求人代理人】内藤 和彦
審判長/審判官
  • 審判長 波多江 進
  • 審判官 東松 修太郎
  • 審判官 吉野 三寛
分類
P18 .121-WZ (G03F) / P18 .575-WZ (G03F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-566461「複数のレーザビームを発生させるための装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和2年11月26日国際公開、WO2020/236647、令和4年7月27日国内公表、特表2022-533932〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)5月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年5月22日、米国(US)、2019年5月29日、米国(US)、2020年2月19日、米国(US)、2020年4月7日、米国(US))を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和4年 1月 7日 :翻訳文、手続補正書、上申書の提出 令和5年 1月16日付け:拒絶理由通知書 同年 4月13日 :意見書、手続補正書の提出 同年 6月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月 8日 :原査定の謄本の送達) 同年10月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和6年 9月20日付け:拒絶理由通知書 令和7年 3月19日 :意見書、手続補正書の提出 同年 6月16日付け:拒絶理由通知書(最後)(以下、この拒絶理由通知書で通知した拒絶理由を「当審拒絶理由」という。) 同年 9月12日 :意見書、手続補正書の提出 以下、2019年(令和元年)5月22日を「優先日」という。 第2 令和7年9月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年9月12日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和7年9月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和7年3月19日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 レーザ放射の第1のビームを発生させるように適合された第1のレーザチャンバモジュールと、 レーザ放射の第2のビームを発生させるように適合された第2のレーザチャンバモジュールと、 前記第1のビーム及び前記第2のビームを受光するように配置され、前記第1のビーム及び前記第2のビームを共通の出力ビームパスに沿って伝搬させるように適合されたビームコンバイナと、を備え、 前記第1のレーザチャンバモジュールが、前記第1のビームが有する第1のスペクトルであって、第1の波長及び前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第1のスペクトルを生成するように構成された第1のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含む、ガス放電レーザシステム。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 レーザ放射の第1のビームを発生させるように適合された第1のレーザチャンバモジュールと、 レーザ放射の第2のビームを発生させるように適合された第2のレーザチャンバモジュールと、 前記第1のビーム及び前記第2のビームを受光するように配置され、前記第1のビーム及び前記第2のビームを共通の出力ビームパスに沿って伝搬させるように適合されたビームコンバイナと、を備え、 前記第1のレーザチャンバモジュールが、前記第1のビームが有する第1のスペクトルであって、第1のピーク波長及び前記第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有し、前記第1のピーク波長と前記第2のピーク波長との間に強度が略ゼロの第1の領域を含む第1のスペクトルを生成するように構成された第1のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含み、 前記第2のレーザチャンバモジュールが、前記第2のビームが有する第2のスペクトルであって、前記第1及び第2のピーク波長と異なる第3のピーク波長、並びに前記第1、第2、及び第3のピーク波長と異なる第4のピーク波長を有し、前記第3のピーク波長と前記第4のピーク波長との間に強度が略ゼロの第2の領域を含む第2のスペクトルを生成するように構成された第2のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含み、 前記第1のビーム及び前記第2のビームの出力スペクトルは、前記第1のスペクトルと前記第2のスペクトルとの間に、強度が略ゼロの、前記第1及び第2の領域より大きい第3の領域を含む、ガス放電レーザシステム。」 2 本件補正の目的 (1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について、次のアからウの限定をするものである。 ア 「第1の波長及び前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第1のスペクトル」について、「第1のピーク波長及び前記第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有し、前記第1のピーク波長と前記第2のピーク波長との間に強度が略ゼロの第1の領域を含む」ものに限定すること。 イ 「第2のレーザチャンバモジュール」について、「前記第2のビームが有する第2のスペクトルであって、前記第1及び第2のピーク波長と異なる第3のピーク波長、並びに前記第1、第2、及び第3のピーク波長と異なる第4のピーク波長を有し、前記第3のピーク波長と前記第4のピーク波長との間に強度が略ゼロの第2の領域を含む第2のスペクトルを生成するように構成された第2のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含[む]」ものに限定すること。 ウ 「前記第1のビーム及び前記第2のビーム」について、それらの「出力スペクトルは、前記第1のスペクトルと前記第2のスペクトルとの間に、強度が略ゼロの、前記第1及び第2の領域より大きい第3の領域を含む」ものに限定すること。 (2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Fまでに分説する。 <本件補正発明の分説> A レーザ放射の第1のビームを発生させるように適合された第1のレーザチャンバモジュールと、 B レーザ放射の第2のビームを発生させるように適合された第2のレーザチャンバモジュールと、 C 前記第1のビーム及び前記第2のビームを受光するように配置され、前記第1のビーム及び前記第2のビームを共通の出力ビームパスに沿って伝搬させるように適合されたビームコンバイナと、を備え、 D 前記第1のレーザチャンバモジュールが、前記第1のビームが有する第1のスペクトルであって、第1のピーク波長及び前記第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有し、前記第1のピーク波長と前記第2のピーク波長との間に強度が略ゼロの第1の領域を含む第1のスペクトルを生成するように構成された第1のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含み、 E 前記第2のレーザチャンバモジュールが、前記第2のビームが有する第2のスペクトルであって、前記第1及び第2のピーク波長と異なる第3のピーク波長、並びに前記第1、第2、及び第3のピーク波長と異なる第4のピーク波長を有し、前記第3のピーク波長と前記第4のピーク波長との間に強度が略ゼロの第2の領域を含む第2のスペクトルを生成するように構成された第2のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含み、 F 前記第1のビーム及び前記第2のビームの出力スペクトルは、前記第1のスペクトルと前記第2のスペクトルとの間に、強度が略ゼロの、前記第1及び第2の領域より大きい第3の領域を含む、 X ガス放電レーザシステム。 (2) 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1の記載事項 当審拒絶理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開平11-204894号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(ウ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した(後記イ(ア)の引用文献3の記載事項についても同様である。)。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子等を製造する際の露光工程などで用いられる狭帯域化エキシマレーザ発振装置、およびそれを用いた縮小投影露光装置、ならびにその露光装置を用いたパターン形成方法に関する。」 「【0007】図8は従来の縮小投影露光装置の構成図、図9は同装置に備えたエキシマレーザ発振装置の構成図である。 【0008】図8において、4’はエキシマレーザを発生するエキシマレーザ発振装置、5は発振光を整形する光学系、6はレチクル、7は投影レンズ、8は基板である。」 「【図8】 [図:0001436463000001.jpg] 」 「【0009】そして、上記のエキシマレーザ発振装置4’の内部には、発振器10と狭帯域化素子13とが設けられている。発振器10は、KrFエキシマレーザを発振出力するものであり、また、狭帯域化素子13を設けているのは、KrFエキシマレーザの発振波長では、従来のg,i線波長のように、投影レンズ7内に”色消し”を行う材料がないため、予めレーザを単色光に近いレベルまで狭帯域化しなければならないからである。 【0010】以上のように構成された縮小投影露光装置について、以下、その動作について説明する。 【0011】まず、エキシマレーザ発振装置4’の発振器10で発振して得られたエキシマレーザは、狭帯域化素子13で半値幅が1pm前後にまで狭帯域化される。こうして狭帯域化されたレーザは、光学系5を通り整形を施される。 【0012】整形されたレーザは、レチクル6を通過して投影レンズ7内で1/5に縮小され、基板8上にパターンを結像する。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような構成では、レーザの発振出力の大半を無駄にしてしまうのみならず、単色光であるがゆえに、図10に示すように、基板8からの反射光の多重干渉効果が増強される。」 「【図10】 [図:0001436463000002.jpg] 」 「【0014】その結果、出力低下、寸法精度の劣化を招き、レーザ本体の短寿命化にもつながる。 【0015】本発明は、上記の問題点に鑑み、エキシマレーザを用いた露光において、従来よりも高効率化を図ることができるようにすることを課題とする。 【0016】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明は、複数の単色光を用いて露光を行うことを特徴とする。具体的には、複数の狭帯域化素子を装置内に含めることで複数の単色光を取り出しが可能で、レーザの実行的な出力を向上する。 【0017】また、複数の単色光が基板上に到達するため多重干渉の増幅が低減され、寸法精度の向上をもたらす。上記構成のエキシマレーザ発振装置を用いなくとも、複数のエキシマレーザを光源波長を変更して用いることで、同様の効果を得ることが可能である。露光は複数波長を同時に行っても順次行ってもよい。 【0018】また、狭帯域化素子(エタロン)内の圧力を露光中に変化させることにより、露光中に中心波長が連続的に変化し同様の上記効果を得ることが可能である。 【0019】複数の単色光を同一の投影光学系を通し結像することにより、基板上には複数の焦点が得られる。基板上に複数の焦点を得ることは、デフォーカス時の結像強度特性を向上させ、結果として有効な焦点深度を向上させることは一般によく知られている(Fukuda et al, Proc.of SPIE,1990)。またブロードバンドを用いた露光では、単色光を用いた露光方法に比べて多重干渉効果を低減することも一般的である。本発明のごとく複数補単色光による露光方法を用いれば、従来の単一の単色光によるエキシマレーザ露光法に比べて格段に多重干渉による寸法変動を低減することができる。 【0020】複数の波長で露光する方法としては、複数の狭帯域化素子を装置内に含めることで複数の単色光を取り出しが可能で、レーザの実行的な出力を向上する。 【0021】また、複数の単色光が基板上に到達するため多重干渉の増幅が低減され、寸法精度の向上をもたらす。上記構成のエキシマレーザ発振装置を用いなくとも、複数のエキシマレーザを光源波長を変更し用いることで同様の効果を得ることが可能である。 【0022】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。 【0023】図1は、本発明の縮小投影露光装置の全体を示す構成図、図2はそのエキシマレーザ発振装置の構成図であり、図8および図9に示した従来技術に対応する部分には同一の符号を付す。 【0024】図1および図2において、4はエキシマレーザを発生するエキシマレーザ発振装置、3は2波長のレーザ光を集光する集光素子で、集光プリズム3aおよび一対のミラー3b,3cからなる。5は発振光を整形する光学系、6はレチクル、7は投影レンズ、8は基板である。 【0025】そして、上記のエキシマレーザ発振装置4の内部には、KrFエキシマレーザを発振出力する単一の発振器10、分光プリズム11、一対のミラー12a,12b、および一対の狭帯域化素子13a,13bが設けられている。」 「【図1】 [図:0001436463000003.jpg] 【図2】 [図:0001436463000004.jpg] 」 「【0026】発振器10内で発振出力されたエキシマレーザは、分光プリズム11によって2分割された後、ミラー12a,12bでそれぞれ反射されて狭帯域化素子13a,13b内に導入される。各素子13a,13b内には、248nmと249nmのグレーチングピッチを1nm変更した狭帯域化素子が内蔵されている。 【0027】図3に狭帯域化素子13a,13bを通過して装置4外に発振されたレーザ光の分光スペクトルを示すが、同図から分かるように、半値幅0.8pmの248nmと249nmのレーザが発振されている。」 「【図3】 [図:0001436463000005.jpg] 」 「【0028】こうして発振された2波長のレーザ光は、集光素子4で一つにまとめられ、光学素子5で整形された後、レチクル6、対物レンズ8を順次通過して基板9上にたとえば1/5の縮小率で露光される。 【0029】前述のように、それぞれの狭帯域化素子で狭帯域化されたレーザ光は、基板9上下の2カ所にそれぞれの焦点を結像する。その結像位置の差は、約1μmである。 【0030】基板9上にパターン形成材料を回転塗布し、その0.25μmパターンの多重干渉効果を調べた結果を図4に、また、焦点深度について従来のステッパと比較したものを図5にそれぞれ示す。 【0031】図4および図5から分かるように、従来の露光装置と比較して、寸法変動が小さくなり、かつ、約1.5倍の焦点深度を有することが分かる。」 「【図4】 [図:0001436463000006.jpg] 【図5】 [図:0001436463000007.jpg] 」 「【0032】なお、上記の実施形態では、エキシマレーザ発振装置4は、単一の発振器10に対して2つの狭帯域化素子13a,13bを設けた構造としているが、図6に示すように、2つの発振器10a,10bを併設するとともに、各発振器10a,10bに個別に対応させて狭帯域化素子13a,13bを設けた構成とすることも可能である。」 「【図6】 [図:0001436463000008.jpg] 【0033】さらに、波長を2つに限定することなく多数の波長を発振可能なエキシマレーザを用いても、その波長レンジが10nm以下の場合には、十分な結像特性を得られることを発明者は確認している。 【0034】また、図2および図6に示した構成は、2波長を得る方法であるが、その他に、3台以上を使用する方法も考えられるが、結果については同様の良好なものが期待される。」 「【0039】 【発明の効果】本発明は、エキシマレーザ露光における、焦点深度の劣化、多重干渉効果の増を低減できるばかりか、しいてはエキシマレーザの長寿命化を実現することが可能で工業的に大きな利用価値がある。 【0040】複数の単色光を同一の投影光学系を通し結像することにより、基板上には複数の焦点が得られる。 【0041】本発明のごとく、複数補単色光による露光方法を用いれば、従来の単一の単色光によるエキシマレーザ露光法に比べ格段に多重干渉による寸法変動を低減することができる。 【0042】複数の波長で露光する方法としては、複数の狭帯域化素子を装置内に含めることで複数の単色光を取り出しが可能で、レーザの実行的な出力を向上する。また、複数の単色光が基板上に到達するため多重干渉の増幅が低減され、寸法精度の向上をもたらす。」 (イ) 引用文献1の記載事項から当業者が把握できる事項 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項から、図6に示された実施形態の「縮小投影露光装置」について、当業者は以下の事項を把握できる。 a 引用文献1の「KrFエキシマレーザを発振出力する単一の発振器10」(【0025】)という記載、「それぞれの狭帯域化素子で狭帯域化されたレーザ光」という記載(【0029】)、及び、「上記の実施形態では、エキシマレーザ発振装置4は、単一の発振器10に対して2つの狭帯域化素子13a,13bを設けた構造としているが、図6に示すように、2つの発振器10a,10bを併設するとともに、各発振器10a,10bに個別に対応させて狭帯域化素子13a,13bを設けた構成とすることも可能である。」(【0032】)という記載を総合すれば、図6に示された実施形態の縮小投影露光装置においては、発振器10a及び発振器10bは、それぞれがエキシマレーザを発振出力する発振器であり、レーザ光は、それぞれの狭帯域化素子で狭帯域化されることを、当業者は把握できる。 b 引用文献1の「図2および図6に示した構成は、2波長を得る方法である」(【0034】)という記載から、図6に示された実施形態の縮小投影露光装置においては、発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られるレーザ光の波長と、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られるレーザ光の波長とは異なることを、当業者は把握できる。 c 引用文献1の「各素子13a,13b内には、248nmと249nmのグレーチングピッチを1nm変更した狭帯域化素子が内蔵されている。」(【0026】)という記載、「図3に狭帯域化素子13a,13bを通過して装置4外に発振されたレーザ光の分光スペクトルを示すが、同図から分かるように、半値幅0.8pmの248nmと249nmのレーザが発振されている。」(【0027】)という記載、「なお、上記の実施形態では、エキシマレーザ発振装置4は、単一の発振器10に対して2つの狭帯域化素子13a,13bを設けた構造としているが、図6に示すように、2つの発振器10a,10bを併設するとともに、各発振器10a,10bに個別に対応させて狭帯域化素子13a,13bを設けた構成とすることも可能である。」(【0032】)という記載及び図3より、図6に示された実施形態の縮小投影露光装置においては、発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られるレーザ光の分光スペクトルは248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトルであり、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られるレーザ光の分光スペクトルは249nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトルであることを、当業者は把握できる。 d 引用文献1の「3は2波長のレーザ光を集光する集光素子で、集光プリズム3aおよび一対のミラー3b,3cからなる」(【0024】)という記載、「こうして発振された2波長のレーザ光は、集光素子で一つにまとめられ」(【0028】)という記載、及び、図6から、図6に示された実施形態の縮小投影露光装置は、発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られミラー3bで反射させたレーザ光と、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られミラー3cで反射させたレーザ光を、集光プリズム3aにより集光し一つにまとめる集光素子3を備えることを、当業者は把握できる。 e 引用文献1の図3から、248nmにあるピークと、249nmにあるピークの間に、光強度がゼロである波長領域が存在することが見て取れるから、前記cも踏まえると、図6に示された実施形態の縮小投影露光装置において、248nmにあるピークと、249nmにあるピークの間に光強度がゼロである波長領域が存在することを、当業者は把握できる。 f 引用文献1の図6から、図6に示された実施形態の縮小投影露光装置においては、発振器10a,10b、狭帯域化素子13a,13b及び集光素子3からなる部分が、エキシマレーザを発振し、そのレーザ光を集光する装置(以下「レーザ発振・集光装置」という。)を構成していることを、当業者は把握できる。 (ウ) 引用発明の認定 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項及び前記(イ)の当業者が把握できる事項及びを総合すると、引用文献1には、図6に示された実施形態の縮小投影露光装置におけるレーザ発振・集光装置について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。)。 <引用発明> 「レーザ発振・集光装置であって、(前記(イ)f) レーザ発振・集光装置は、2つの発振器10a、10bを併設するとともに、各発振器10a、10bに個別に対応させて狭帯域化素子13a、13b及び集光素子3を設けた構成とし、(【0032】、前記(イ)f) 発振器10a及び発振器10bは、それぞれがエキシマレーザを発振出力する発振器であり、レーザ光は、それぞれの狭帯域化素子で狭帯域化され、(前記(イ)a) 発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られるレーザ光の波長と、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られるレーザ光の波長とは異なり、(前記(イ)b) 発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られるレーザ光の分光スペクトルは248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトルであり、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られるレーザ光の分光スペクトルは249nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトルであり、(前記(イ)c) 集光素子3は、発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られミラー3bで反射させたレーザ光と、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られミラー3cで反射させたレーザ光を、集光プリズム3aにより集光し一つにまとめ、(前記(イ)d) 248nmにあるピークと、249nmにあるピークの間に光強度がゼロである波長領域が存在し、(前記(イ)e) 複数の単色光を同一の投影光学系を通し結像することにより、基板上には複数の焦点が得られ、(【0040】) 基板上に複数の焦点を得ることは、デフォーカス時の結像強度特性を向上させ、結果として有効な焦点深度を向上させる、(【0019】) レーザ発振・集光装置」 イ 引用文献3の記載事項及び引用文献3技術事項の認定 (ア) 引用文献3の記載事項 当審拒絶理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である国際公開第2019/079010号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある(括弧内に日本語訳を示す。当該日本語訳は引用文献3の日本語ファミリーである特表2021-500603号公報を参考にしつつ、当合議体が作成した。) 「[0041] Before discussing additional details related to forming multiple aerial images in a single exposure pass, example implementations of the light source 105 and the photolithography system 100 are discussed with respect to FIGS. 2A-2C,3A-3C, and 4. (単一露光パスで複数の空間像を形成することに関するさらなる詳細を考察する前に、光源105及びフォトリソグラフィシステム100の例示的な実装形態についてFIG.2A~2C、3A~4C及び4Aを参照して考察する。) [0042] Referring to FIG. 2A, a block diagram of a photolithography system 200 is shown. The system 200 is an example of an implementation of the system 100 (FIG.1A). For example, in the photolithography system 200, an optical source 205 is used as the optical source 105 (FIG.1A). The optical source 205 produces a pulsed light beam 260, which is provided to the lithography exposure apparatus 169. The optical source 205 may be, for example, an excimer optical source that outputs the pulsed light beam 260 (which may be a laser beam). As the pulsed light beam 260 enters the lithography exposure apparatus 169, it is directed through the projection optical system 175 and projected onto the wafer 170. In this way, one or more microelectronic features are patterned onto a photoresist on the wafer 170 that is then developed and cleaned prior to subsequent process steps, and the process repeats. The photolithography system 200 also includes the control system 250, which, in the example of FIG. 2A, is connected to components of the optical source 205 as well as to the lithography exposure apparatus 169 to control various operations of the system 200. The control system 250 is an example of an implementation of the control system 250 of FIG. 1 A. (FIG.2Aを参照すると、フォトリソグラフィシステム200のブロック図が示されている。システム200は、システム100(FIG.1A)の例示的な実装形態である。例えば、フォトリソグラフィシステム200では、光源205が光源105(FIG.1A)として使用される。光源205は、パルス光ビーム260を生成し、パルス光ビーム260は、リソグラフィ露光装置169に供給される。光源205は、例えばパルス光ビーム260(レーザビームであってよい)を出力するエキシマ光源であってよい。パルス光ビーム260がリソグラフィ露光装置169に入ると、パルス光ビーム260は、投影光学システム175を通って導かれ、ウェーハ170上に投影される。このように、1つ以上のマイクロ電子フィーチャがウェーハ170上のフォトレジスト上にパターニングされ、次にウェーハ170は、後続のプロセスステップに先立って現像及び洗浄され、プロセスは繰り返す。フォトリソグラフィシステム200はまた、制御システム250を備え、制御システム250は、FIG.2Aの例において、システム200の様々な動作を制御するために、リソグラフィ露光装置169と同様に光源205のコンポーネントに接続される。制御システム250は、FIG.1Aの制御システム250の例示的な実装形態である。)」 「 [図:0001436463000009.jpg] 」 「[0043] In the example shown in FIG. 2A, the optical source 205 is a two-stage laser system that includes a master oscillator (MO) 212 that provides a seed light beam 224 to a power amplifier (PA) 230. The MO 212 and the PA 230 may be considered to be subsystems of the optical source 205 or systems that are part of the optical source 205. The power amplifier 230 receives the seed light beam 224 from the master oscillator 212 and amplifies the seed light beam 224 to generate the light beam 260 for use in the lithography exposure apparatus 169. For example, the master oscillator 212 may emit a pulsed seed light beam, with seed pulse energies of approximately 1 milliJoule (mJ) per pulse, and these seed pulses may be amplified by the power amplifier 230 to about 10 to 15 mJ. (FIG.2Aに示されている例において、光源205は、電力増幅器(PA)230にシード光ビーム224を供給する主発振器(MO)212を備える2段レーザシステムである。MO212及びPA230は、光源205のサブシステム、又は光源205の一部であるシステムと見なされてよい。電力増幅器230は、主発振器212からシード光ビーム224を受け取り、シード光ビーム224を増幅してリソグラフィ露光装置169で使用する光ビーム260を生成する。例えば、主発振器212は、パルス当たり約1ミリジュール(mJ)のシードパルスエネルギーを有するパルスシード光ビームを放出することができ、これらのシードパルスは、電力増幅器230によって約10~15mJに増幅することができる。) [0044] The master oscillator 212 includes a discharge chamber 240 having two elongated electrodes 217, a gain medium 219 that is a gas mixture, and a fan for circulating gas between the electrodes 217. A resonator is formed between a line narrowing module 216 on one side of the discharge chamber 240 and an output coupler 218 on a second side of the discharge chamber 240. The line narrowing module 216 may include a diffractive optic such as a grating that finely tunes the spectral output of the discharge chamber 240. FIGS. 2B and 2C provide additional detail about the line narrowing module 216. (主発振器212は、2つの細長い電極217を有する放電チャンバ240と、ガス混合物である利得媒質219と、電極217間でガスを循環させるためのファンとを備える。共振器が、放電チャンバ240の一方の側のライン狭隘化モジュール216と、放電チャンバ240の第2の側の出力カプラ218との間に形成される。ライン狭隘化モジュール216は、放電チャンバ240のスペクトル出力を細かく調整する格子などの回折光学部品を備えることができる。FIG.2B及びFIG.2Cは、ライン狭隘化モジュール216についてのさらなる詳細を提供する。)」 「 [図:0001436463000010.jpg] [図:0001436463000011.jpg] 」 「[0045] FIG. 2B is a block diagram of an example of an implementation of a spectral feature selection module 258 that includes one or more instances of the line narrowing module 216. The spectral feature selection module 258 couples to light that propagates in the optical source 205. In some implementations (such as shown in FIG. 2B), the spectral feature selection module 258 receives the light from the chamber 214 of the master oscillator 212 to enable the fine tuning of the spectral features such as wavelength and bandwidth within the master oscillator 212. (FIG.2Bは、ライン狭隘化モジュール216の1つ以上の例を含むスペクトル特徴選択モジュール258の例示的な実装形態のブロック図である。スペクトル特徴選択モジュール258は、光源205を伝搬する光に結合する。(例えばFIG.2Bに示す)一部の実装形態では、スペクトル特徴選択モジュール258は、主発振器212のチャンバ214から光を受け取って、主発振器212内での波長や帯域幅などのスペクトル特徴の微調整を可能にする。) [0046] The spectral feature selection module 258 may include a control module such as a spectral feature control module 254 that includes electronics in the form of any combination of firmware and software. The control module 254 is connected to one or more actuation systems such as spectral feature actuation systems 255_1 to 255_n. Each of the actuation systems 255_1 to 255_n may include one or more actuators that are connected to respective optical features 256_1 to 256_n of an optical system 257. The optical features 256_1 to 256_n are configured to adjust particular characteristics of the generated light beam 260 to thereby adjust the spectral feature of the light beam 260. The control module 254 receives a control signal from the control system 250, the control signal including specific commands to operate or control one or more of the actuation systems 255_1 to 255_n. The actuation systems 255_1 to 255_n can be selected and designed to work together, that is, in tandem, or the actuation system 255_1 to 255_n may be configured to work individually. Moreover, each actuation system 255_1 to 255_n may be optimized to respond to a particular class of disturbances. (スペクトル特徴選択モジュール258は、ファームウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせの形の電子部品を含むスペクトル特徴制御モジュール254などの制御モジュールを含むことができる。制御モジュール254は、スペクトル特徴作動システム255_1~255_nなどの1つ以上の作動システムに接続される。作動システム255_1~255_nのそれぞれは、光学系257のそれぞれの光学的特徴256_1~256_nに接続される1つ以上のアクチュエータを備えることができる。光学的特徴256_1~256_nは、生成された光ビーム260の特定の特性を調整することによって、光ビーム260のスペクトル特徴を調整するように構成される。制御モジュール254は、制御システム250から、作動システム255_1~255_nの1つ以上を動作させる又は制御するための特定コマンドを含む制御信号を受け取る。作動システム255_1~255_nは、共に、すなわち協力して働くように選択及び設計することができる、又は作動システム255_1~255_nは、個別に働くように構成することができる。また、作動システム255_1~255_nは、それぞれ特定クラスの妨害に対処するように最適化することができる。) [0047] Each optical feature 256_1 to 256_n is optically coupled to the light beam 260 produced by the optical source 105. The optical system 257 may be implemented as a line narrowing module 216C such as that shown in FIG. 2C. The line narrowing module includes as the optical features 256_1 to 256_n dispersive optical elements such as a reflective gratings 291 and refractive optical elements such as prisms 292, 293, 294, 295. One or more of the prisms 292, 293, 294, 295 may be rotatable. An example of this line narrowing module can be found in U.S. Application No. 12/605,306, titled SYSTEM METHOD AN APPARATUS FOR SELECTING AND CONTROLLING LIGHT SOURCE BANDWIDTH and filed on October 23, 2009 (the '306 application). In the '306 application, a line narrowing module is described that includes a beam expander (including the one or more prisms 292, 293, 294, 295) and the dispersive element such as the grating 291. The respective actuation systems for the actuatable optical features such as the grating 291, and one or more of the prisms 292, 293, 294, 295 are not shown in FIG. 2C. (各光学的特徴256_1~256_nは、光源105により生成される光ビーム260に光学的に結合される。光学系257は、FIG.2Cに示されるようなライン狭隘化モジュール216Cとして実装することができる。ライン狭隘化モジュールは、光学的特徴256_1~256_nとして反射格子291などの分散光学素子と、プリズム292、293、294、295などの屈折光学素子とを備える。プリズム292、293、294、295の1つ以上は回転可能である可能性がある。このライン狭隘化モジュールの例は、2009年10月23日出願のSYSTEM METHOD AN APPARATUS FOR SELECTING AND CONTROLLING LIGHT SOURCE BANDWIDTHという名称の米国出願第12/605,306号(第‘306号出願)に見ることができる。第‘306号出願には、ビームエクスパンダ(1つ以上のプリズム292、293、294、295を含む)及び格子291などの分散素子を備えたライン狭隘化モジュールが記載されている。FIG.2Cには、格子291及びプリズム292、293、294、295の1つ以上などの作動可能な光学的特徴の各作動システムは示されていない。)」 「[0074]…(中略)… FIGS. 6A and 6B show examples of optical spectra of a single pulse that is part of the light beam 260. Other pulses in the light beam 260 may have different optical spectra. (FIG.6A及びFIG.6Bは、光ビーム260の一部である単一パルスの光学スペクトルの例を示している。光ビーム260の他のパルスは異なる光学スペクトルを有することができる。)」 「 [図:0001436463000012.jpg] [図:0001436463000013.jpg] 」 「[0075] Referring to FIG. 6A, an optical spectrum 601A of a pulse of light 600A is shown. The pulse of light 600A has non-zero intensity within a band of wavelengths. The band of wavelengths also may be referred to as the bandwidth of the pulse 600A. (FIG.6Aを参照すると、光パルス600Aの光学スペクトル601Aが示されている。パルス600Aは、波長帯域内に非ゼロ強度を有する。波長帯域は、パルス600Aの帯域幅と呼ばれることもある。) [0076] The information shown in FIG. 6A is the instantaneous optical spectrum 601A (or emission spectrum) of the pulse 600A. The optical spectrum 601A contains information about how the optical energy or power of a pulse of the light beam 260 is distributed over different wavelengths (or frequencies). The optical spectrum 601 A is depicted in the form of a diagram where the spectral intensity (not necessarily with an absolute calibration) is plotted as a function of the wavelength or optical frequency. The optical spectrum 601A may be referred to as the spectral shape or intensity spectrum of a pulse of the light beam 260. The pulse 600A has a primary wavelength 602A, which, in the example of FIG. 6A, is the peak intensity. Although the discussion of the pulses of the light beam 260 and the aerial images formed by the pulses of the light beam 260 refers to the primary wavelengths of the pulses, the pulses include wavelengths other than the primary wavelength and the pulses have a finite bandwidth that may be characterized by a metric. For example, the full width of the spectrum 601 A at a fraction (X) of the maximum peak intensity of the spectral shape (referred to as FWXM) may be used to characterize the light beam bandwidth. As another example, the width of the spectrum that contains a fraction (Y) of the integrated spectral intensity (referred to as EY) may be used to characterize the light beam bandwidth. (FIG.6Aに示された情報は、パルス600Aの瞬間光学スペクトル601A(又は発光スペクトル)である。光学スペクトル601Aは、光ビーム260のパルスの光エネルギー又はパワーが異なる波長(又は周波数)にどのように分布しているかについての情報を含む。光学スペクトル601Aは、図式的に描かれており、スペクトル強度(必ずしも絶対較正を伴わない)が波長又は光周波数の関数としてプロットされている。光学スペクトル601Aは、光ビーム260のパルスのスペクトル形状又は強度スペクトルと呼ばれることがある。パルス600Aは、FIG.6Aの例ではピーク強度である一次波長602Aを有する。光ビーム260のパルス及び光ビーム260のパルスにより形成される空間像の考察はパルスの一次波長について言及しているが、パルスは一次波長以外の波長を含み、メトリックにより特徴付け可能な有限帯域幅を有する。例えば、スペクトル形状の最大ピーク強度の分数(X)のスペクトル601Aの全体幅(FWXMと呼ぶ)を使用して、光ビーム帯域幅を特徴付けることができる。別の例として、積分スペクトル強度の分数(Y)を含むスペクトルの幅(EYと呼ぶ)を使用して、光ビーム帯域幅を特徴付けることができる。) [0077] The pulse 600A is shown as an example of a pulse that may be in the light beam 260.When the pulse 600A is used to expose a portion of the wafer 120, the light in the pulse forms an aerial image. The location of the aerial image in the z direction (FIGS. 1C and 4) is determined by the value of the primary wavelength 602A. The various pulses in the light beam 260 may have different primary wavelengths. For example, to generate two aerial images during a single exposure pass, some of the pulses of the light beam 260 have one primary wavelength (a first primary wavelength) and the other pulse of the light beam 260 have another primary wavelength (a second primary wavelength). The first and second primary wavelengths are different wavelengths. The wavelength difference between the first and second primary wavelengths may be referred to as the spectral separation. The spectral separation may be, for example, 200 femtometers (fm) to 5 picometers (pm). Although the wavelengths of the various pulses in the light beam 260 may be different, the shape of the optical spectra of the pulses may be the same. (パルス600Aは、光ビーム260に存在し得るパルスの一例として示されている。パルス600Aを使用してウェーハ120の一部分を露光する場合、パルスの光は空間像を形成する。空間像のz方向の位置(FIG.1C及び4)は、一次波長602Aの値によって決定される。光ビーム260の様々なパルスは、異なる一次波長を有することができる。例えば、単一露光パスの間に2つの空間像を生成するために、光ビーム260の一部のパルスは1つの一次波長(第1の一次波長)を有し、光ビーム260の他のパルスは別の一次波長(第2の一次波長)を有する。第1及び第2の一次波長は異なる波長である。第1及び第2の一次波長間の波長差は、スペクトル分離と呼ばれることがある。スペクトル分離は、例えば200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)であってよい。光ビーム260の様々なパルスの波長は異なる可能性があるが、パルスの光学スペクトルの形状は同じである可能性がある。) [0078] The light source 205 may dither or switch the primary wavelength between the first and second primary wavelengths on a pulse-to-pulse basis such that every pulse has a different primary wavelength than a pulse that immediately precedes or follows the pulse in time. In these implementations, assuming that all of the pulses in the light beam 260 have the same intensity, distributing the first and second primary wavelengths in this manner results in two aerial images at different locations in the z direction with the same intensity. (光源205は、あらゆるパルスが時間的にそのパルスの直前又は直後のパルスと異なる一次波長を有するように、パルスごとに一次波長をディザリングする、すなわち第1及び第2の一次波長間で切り替えることができる。これらの実装形態では、光ビーム260の全てのパルスが同じ強度を有すると仮定して、このように第1及び第2の一次波長を分布させることで、z方向の異なる位置に同じ強度を有する2つの空間像を生じさせる。) [0079] In some implementations, a certain portion (for example, 33%) of the pulses have the first primary wavelength, and the remainder (67% in this example) have the second primary wavelength. In these implementations, assuming that all of the pulses in the light beam 260 have the same intensity, two aerial images are formed of different intensities. The aerial image formed by the pulses having the first primary wavelength has about half of the intensity of the aerial image formed by the pulses having the second primary wavelength. In this way, the dose provided to a particular location in the wafer 170 along the z axis may be controlled by controlling the portion of the N pulses that have each of the first and second primary wavelengths. (一部の実装形態では、パルスの一部分(例えば33%)が第1の一次波長を有し、残りの部分(この例では67%)が第2の一次波長を有する。これらの実装形態では、光ビーム260の全てのパルスが同じ強度を有すると仮定して、異なる強度を有する2つの空間像が形成される。第1の一次波長を有するパルスにより形成された空間像は、第2の一次波長を有するパルスにより形成された空間像の約半分の強度を有する。このようにして、ウェーハ170のz軸に沿った特定の位置に供給される線量は、第1及び第2の一次波長のそれぞれを有するN個のパルスの一部分を制御することによって制御することができる。) [0080] The portion of pulses that are to have a particular primary wavelength for an exposure pass may be specified in a recipe file 259 that is stored on the electronic storage 252. The recipe 259 specifies the ratio of the various primary wavelengths for an exposure pass. The recipe 259 also may specify the ratio for other exposure passes, such that a different ratio may be used for other exposure passes and the aerial images may be adjusted or controlled on a field-by-field basis. (露光パスのための特定の一次波長を有することになるパルスの一部分は、電子ストレージ252に記憶されているレシピファイル259に規定することができる。レシピ259は、露光パスのための様々な一次波長の割合を規定する。レシピ259はまた、他の露光パスのための割合を規定することができ、その結果、他の露光パスに異なる割合を使用することができ、空間像をフィールドごとに調整又は制御することができる。) [0081] Referring to FIG. 6B, an optical spectrum 601B of a pulse 600B is shown. The pulse 600B is another example of a pulse of the light beam 260. The optical spectrum 601B of the pulse 600B has a different shape than the optical spectrum 601A. In particular, the optical spectrum 601B has two peaks that correspond to two primary wavelengths 602B_1 and 602B_2 of the pulse 600B. The pulse 600B is part of the light beam 260. When the pulse 600B is used to expose a portion of the wafer 120, the light in the pulse forms two aerial images at different locations along the z axis on the wafer. The locations of the aerial images are determined by the wavelengths of the primary wavelengths 602B_1 and 602B_2. (FIG.6Bを参照すると、パルス600Bの光学スペクトル601Bが示されている。パルス600Bは、光ビーム260のパルスの別の例である。パルス600Bの光学スペクトル601Bは、光学スペクトル601Aと異なる形状を有する。具体的には、光学スペクトル601Bは、パルス600Bの2つの一次波長602B_1及び602B_2に対応する2つのピークを有する。パルス600Bは光ビーム260の一部である。パルス600Bを使用してウェーハ120の一部分を露光するとき、パルスの光は、ウェーハ上のz軸に沿った異なる位置に2つの空間像を形成する。空間像の位置は、一次波長602B_1及び602B_2の波長によって決定される。) [0082] The pulses shown in FIGS. 6A and 6B may be formed by any hardware capable of forming such pulses. For example, a pulse train of pulses such as the pulse 600A may be formed using a line narrowing module similar to the line narrowing module 216C of FIG. 2C. The wavelength of the light diffracted by the grating 291 depends on the angle of the light that is incident on the grating. A mechanism to change the angle of incidence of light that interacts with the grating 291 may be used with such a line narrowing module to create a pulse train with N pulses for an exposure pass, where at least one of the N pulses has a primary wavelength that is different from the primary wavelength of another pulse of the N pulses. For example, one of the prisms 292, 293, 294, 295 may be rotated to change the angle of light that is incident on the grating 291 on a pulse-by-pulse basis. In some implementations, the line narrowing module includes a mirror that is in the path of the beam 260 and is movable to change the angle of light that is incident on the grating 291. An example of such an implementation is discussed, for example, in U.S. Patent No. 6,192,064, titled NARROW BAND LASER WITH FINE WAVELENGTH CONTROL, issued on February 20, 2001. (FIG.6A及びFIG.6Bに示されているパルスは、このようなパルスを形成可能な任意のハードウェアによって形成することができる。例えば、パルス600Aなどのパルスのパルス列は、FIG.2Cのライン狭隘化モジュール216Cを使用して形成することができる。格子291により回折された光の波長は、格子に入射する光の角度に依存する。格子291と相互作用する光の入射角度を変化させるメカニズムが、このようなライン狭隘化モジュールと共に使用されて、露光パスのためのN個のパルスを含むパルス列を作成することができ、N個のパルスの少なくとも1つは、N個のパルスの別のパルスの一次波長と異なる一次波長を有する。例えば、プリズム292、293、294、295の1つを回転させて、格子291に入射する光の角度をパルスごとに変化させることができる。一部の実装形態では、ライン狭隘化モジュールは、ビーム260の経路にあり、格子291に入射する光の角度を変化させるために移動可能なミラーを備える。このような実装形態の例は、例えば2001年2月20日発行の、NARROW BAND LASER WITH FINE WAVELENGTH CONTROLという名称の米国特許第6,192,064号において考察されている。) [0083] A pulse such as the pulse 600B (FIG. 6B) also may be formed using a line narrowing module similar to the line narrowing module 216C of FIG. 2C. For example, a stimulated optical element, such as an acousto-optic modulator, may be placed in the line narrowing module 216C in the path of the beam 260. The acousto-optic modulator deflects incident light at an angle that depends on the frequency of an acoustic wave used to excite the modulator. An acoustic modulator includes a material, such as glass or quartz, that allows acoustic waves to propagate, and a transducer coupled to the material. The transducer vibrates in response to an excitation signal and the vibrations create acoustic waves in the material. The acoustic waves form moving planes of expansion and compression that change the index of refraction of the material. As a result, the acoustic waves act as a diffraction grating such that incident light is diffracted and exits the material at several different angles simultaneously. Light from two or more of the orders may be allowed to reach the grating 291, and the light in each of the various diffraction orders has a different angle of incidence on the grating 291. In this way, a single pulse that includes two or more primary wavelengths may be formed. An example of a line narrowing module that includes an acousto-optic modulator is discussed, for example, in U.S. Patent No. 7,154,928, titled LASER OUTPUT BEAM WAVEFRONT SPLITTER FOR BANDWIDTH SPECTRUM CONTROL, issued on December 26, 2006. (パルス600B(FIG.6B)などのパルスもまた、FIG.2Cのライン狭隘化モジュール216Cと同様のライン狭隘化モジュールを使用して形成することができる。例えば、音響光学モジュレータなどの刺激された光学素子を、ビーム260の経路上のライン狭隘化モジュール216Cに配置することができる。音響光学モジュレータは、モジュレータを励起するのに使用される音波の周波数に依存する角度で入射光を偏向させる。音響モジュレータは、音波の伝搬を可能にするガラスやクォーツなどの材料と、材料と結合したトランスデューサとを備える。トランスデューサは励起信号に応答して振動し、振動は材料中に音波を生成する。音波は、材料の屈折率を変化させる移動膨張面及び移動圧縮面を形成する。結果として、音波は、入射光を回折させる回折格子の機能を果たし、いくつかの異なる角度で同時に材料から出る。2つ以上の次数からの光を格子291に到達させることができ、様々な回折次数のそれぞれの光は、格子291に対して異なる入射角を有する。このようにして、2つ以上の一次波長を含む単一パルスを形成することができる。音響光学モジュレータを備えたライン狭隘化モジュールの例は、例えば2006年12月26日発行のLASER OUTPUT BEAM WAVEFRONT SPLITTER FOR BANDWIDTH SPECTRUM CONTROLという名称の米国特許第7,154,928号において考察されている。) [0084] A set of pulses of light are passed through the mask 174 toward the wafer 170 during a single exposure pass (520). As discussed above, N pulses of light may be provided to the wafer 170 during the exposure pass. The N pulses of light may be consecutive pulses of light in the beam 260. The exposed portion of the wafer 170 sees an average of the optical spectrum of each of the N pulses over the exposure pass. Thus, if a portion of the N pulses have a first primary wavelength and the remaining N pulses have a second primary wavelength, the average optical spectrum at the wafer 170 will be an optical spectrum that includes a peak at the first primary wavelength and a peak at the second primary wavelength. Similarly, if all or some of the individual pulses of the N pulses have more than one primary wavelength, those primary wavelengths may form peaks in the average optical spectrum. FIG. 7 shows an example of an average optical spectrum 701 at the wafer 170. The averaged optical spectrum 701 includes a first primary wavelength 702_1 and a second primary wavelength 702_2. In the example of FIG. 7, the first primary wavelength 702_1 and the second primary wavelength 702_2 are separated by a spectral separation 703 of about 500 fm however other combinations can also be considered. The spectral separation 703 is such that the first primary wavelength 702_1 and the second primary wavelength 702_2 are distinct, and the average optical spectrum 701 includes a spectral region 704 of little to no intensity between the wavelengths 702_1 and 702_2. (単一露光パスの間、光パルスの一セットをウェーハ170に向けてマスク174を通過させる(520)。以上で考察したように、N個の光パルスを露光パスの間にウェーハ170に供給することができる。N個の光パルスは、ビーム260の連続光パルスであってよい。ウェーハ170の露光部分は、露光パスの間のN個のパルスのそれぞれの光学スペクトルの平均値となる。したがって、N個のパルスの一部分が第1の一次波長を有し、N個のパルスの残りが第2の一次波長を有する場合、ウェーハ170における平均光学スペクトルは、第1の一次波長におけるピークと第2の一次波長におけるピークとを含む光学スペクトルとなる。同様に、N個のパルスの個々のパルスの全て又は一部が2つ以上の一次波長を有する場合、それらの一次波長は平均光学スペクトルにピークを形成することができる。FIG.7は、ウェーハ170における平均光学スペクトル701の例を示している。平均光学スペクトル701は、第1の一次波長702_1と第2の一次波長702_2とを含む。FIG.7の例では、第1の一次波長702_1及び第2の一次波長702_2は、約500fmのスペクトル分離703によって分離されているが、他の組み合わせも考えられる。スペクトル分離703は、第1の一次波長702_1及び第2の一次波長702_2が異なり、平均光学スペクトル701が波長702_1及び702_2間に強度がほとんど又は全くないスペクトル領域704を含むものである。)」 「 [図:0001436463000014.jpg] 」 「[0085] Two or more aerial images, for example, the first based on the first primary wavelength and the second based on the second primary wavelength, are formed at the wafer 170 based on the average optical spectrum (530). Continuing the example of the averaged optical spectrum 701 and referring also to FIG. 8A, two aerial images 873a and 873b are formed in a single exposure pass based on the N pulses. The N pulses include pulses that have the first primary wavelength 702_1 and pulses that have the second primary wavelength 702_2. The pulses that have the first primary wavelength 702_1 form the first aerial image 873a, and the pulses that have the second primary wavelength 702_2 form the second aerial image 873b. The aerial image 873a is formed at a first plane 878a, and the aerial image 873b is formed at a second plane 878b. The planes 878a and 878b are perpendicular to a direction of propagation of the light beam 260 at the wafer 170. The planes 878a and 878b are separated along the z direction by a separation distance 879. (2つ以上の空間像、例えば、第1の一次波長に基づいた第1の空間像及び第2の一次波長に基づいた第2の空間像が、平均光学スペクトルに基づいてウェーハ170に形成される(530)。平均光学スペクトル701の例を続け、さらに図8Aを参照すると、2つの空間像873a及び873bが、N個のパルスに基づいて単一露光パスで形成される。N個のパルスは、第1の一次波長702_1を有するパルスと、第2の一次波長702_2を有するパルスとを含む。第1の一次波長702_1を有するパルスは第1の空間像873aを形成し、第2の一次波長702_2を有するパルスは第2の空間像873bを形成する。空間像873aは第1の平面878aに形成され、空間像873bは第2の平面878bに形成される。平面878a及び878bは、ウェーハ170における光ビーム260の伝搬方向に対して垂直である。平面878a及び878bは、z方向に沿って分離距離879だけ離れている。)」 「 [図:0001436463000015.jpg] 」 「[0086] The separation distance 879 is larger than the depth of focus of the lithography apparatus 169 for an averaged optical spectrum that has a single primary wavelength. The depth of focus may be defined for a dose value (an amount of optical energy provided to the wafer) as the range of focus along the z direction at which that dose provides a feature size that is within an acceptable range of feature sizes for the process that is being applied to the wafer 170. The process 500 is able to increase the depth of focus of the lithography exposure apparatus 169 by providing more than one distinct aerial image at the wafer 170 during a single exposure pass. This is because the plurality of aerial images are each able to expose the wafer at a different location in the z direction with features that are within the acceptable range of feature sizes. In other words, the process 500 is able to provide the lithography exposure apparatus 169 with a greater rage of depth of focus during a single exposure pass. As discussed above, the operator of the lithography exposure apparatus 169 may control various parameters of the exposure process through the recipe file 259. In some implementations, the operator of the lithography exposure apparatus 169 may receive information from a simulation program, such as the Tachyon Source- Mask Optimization (SMO) available from Brion, an ASML Company, and this information may be used to program or otherwise specify the parameters of the recipe file 259. For example, the operator of the lithography exposure apparatus 169 may know that an upcoming lot is not going to require as much depth of focus as previously exposed lot. In this example, the operator may specify a depth of focus and a dose variation to the simulation program, and the simulation program returns the value of the spectral separation 703 to achieve the desired parameters. The operator may then specify the value of the spectral separation 703 for the upcoming lot by programing the recipe file 259 through the I/O interface 253. In some implementations, the operator may use the simulation to determine whether or not a greater depth of focus (such as is possible by exposing the wafer 170 with a plurality of aerial images at distinct planes) is needed for a particular exposure pass. In instances in which the greater depth of focus is not required to form a particular portion of the semiconductor component, the recipe file 259 may be structured so that, for example, the exposure pass used to form that particular portion of the semiconductor component has an averaged optical spectrum that includes a single primary wavelength. (分離距離879は、単一の一次波長を有する平均光学スペクトルのリソグラフィ装置169の焦点深度より大きい。焦点深度は、線量値(ウェーハに供給される光エネルギーの量)に対して、その線量がウェーハ170に適用されているプロセスにフィーチャサイズの許容範囲内にあるフィーチャサイズを提供する、z方向に沿った焦点範囲として定めることができる。プロセス500は、単一露光パスの間に2つ以上の異なる空間像をウェーハ170に提供することによって、リソグラフィ露光装置169の焦点深度を増大させることができる。これは、複数の空間像がそれぞれ、フィーチャサイズの許容範囲内にあるフィーチャを用いてz方向の異なる位置にあるウェーハを露光することができるためである。換言すれば、プロセス500は、単一露光パスの間にリソグラフィ露光装置169により広範な焦点深度を提供することができる。以上で考察したように、リソグラフィ露光装置169のオペレータは、レシピファイル259を使って露光プロセスの種々のパラメータを制御することができる。一部の実装形態では、リソグラフィ露光装置169のオペレータは、ASML社の傘下にあるBrionから市販されているTachyon Source-Mask Optimization(SMO)などのシミュレーションプログラムから情報を入手することができ、この情報を利用して、レシピファイル259のパラメータをプログラムしたり、あるいは指定したりすることができる。例えば、リソグラフィ露光装置169のオペレータは、次回のロットが前回露光したロットほどの焦点深度を必要としないであろうことを知っていることがある。この例では、オペレータは、焦点深度及び線量変動をシミュレーションプログラムに指定し、シミュレーションプログラムは、スペクトル分離703の値を返して所望のパラメータを得る。次に、オペレータは、I/Oインターフェイス253を使ってレシピファイル259をプログラムすることによって、次回のロットのためのスペクトル分離703の値を規定することができる。一部の実装形態では、オペレータはシミュレーションを使用して、特定の露光パスに(例えば異なる平面にある複数の空間像を用いてウェーハ170を露光することにより可能な)より大きい焦点深度が必要か否かを決定することができる。半導体コンポーネントの特定の部分を形成するためにより大きい焦点深度が要求されない場合、レシピファイル259は、例えば、半導体コンポーネントのその特定の部分を形成するのに使用される露光パスが単一の一次波長を含む平均光学スペクトルを有するように構成することができる。)」 (イ) 引用文献3技術事項の認定 前記(ア)に摘記した引用文献3の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されていると認められる。 <引用文献3技術事項> 「フォトリソグラフィシステム200で使用される光源205であって、([0042]) 光源205は、パルス光ビーム260を生成し、パルス光ビーム260は、リソグラフィ露光装置169に供給され、光源205は、パルス光ビーム260を出力するエキシマ光源であり、([0042]) 光源205は、電力増幅器(PA)230にシード光ビーム224を供給する主発振器(MO)212を備える2段レーザシステムであり、([0043]) 主発振器212は、共振器が、放電チャンバ240の一方の側のライン狭隘化モジュール216と、放電チャンバ240の第2の側の出力カプラ218との間に形成され、([0044]) ライン狭隘化モジュール216Cは、反射格子291などの分散光学素子と、プリズム292、293、294、295などの屈折光学素子とを備え、プリズム292、293、294、295の1つ以上は回転可能であり([0047])、 単一露光パスの間に2つの空間像を生成するために、光ビーム260の一部のパルスは1つの一次波長(第1の一次波長)を有し、光ビーム260の他のパルスは別の一次波長(第2の一次波長)を有し、第1及び第2の一次波長は異なる波長であり、第1及び第2の一次波長間の波長差は、スペクトル分離と呼ばれることがあり、スペクトル分離は、例えば200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)であってよく、([0077]) 光源205は、あらゆるパルスが時間的にそのパルスの直前又は直後のパルスと異なる一次波長を有するように、パルスごとに一次波長をディザリングする、すなわち第1及び第2の一次波長間で切り替えることができ、このように第1及び第2の一次波長を分布させることで、z方向の異なる位置に同じ強度を有する2つの空間像を生じさせ、([0078]) パルス列は、ライン狭隘化モジュール216Cを使用して形成することができ、格子291により回折された光の波長は、格子に入射する光の角度に依存し、格子291と相互作用する光の入射角度を変化させるメカニズムが、ライン狭隘化モジュールと共に使用されて、露光パスのためのN個のパルスを含むパルス列を作成することができ、N個のパルスの少なくとも1つは、N個のパルスの別のパルスの一次波長と異なる一次波長を有し、プリズム292、293、294、295の1つを回転させて、格子291に入射する光の角度をパルスごとに変化させることができ、([0082]) スペクトル分離703は、第1の一次波長702_1及び第2の一次波長702_2が異なり、平均光学スペクトル701が波長702_1及び702_2間に強度がほとんど又は全くないスペクトル領域704を含むものであり、([0084]) 単一露光パスの間に2つ以上の異なる空間像をウェーハに提供することによって、リソグラフィ露光装置169の焦点深度を増大することができること。([0086])」 (3) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点 a 構成Xは、「ガス放電レーザシステム」の発明であることを特定するものである。 b 引用発明の「レーザ発振・集光装置」は、「2つの発振器10a、10bを併設する」ものであり、「発振器10a及び発振器10bは、それぞれがエキシマレーザを発振出力する」ものであるから、本件補正発明の「ガス放電レーザシステム」に相当する。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点で一致する。 「ガス放電レーザシステム」の発明である点。 (イ) 構成Aの観点 a 構成Aは、「レーザ放射の第1のビームを発生させるように適合された第1のレーザチャンバモジュールと、」「を備え[る]」ことである。 b 引用発明は、「発振器10a」とそれに個別に対応させて設けられた「狭帯域化素子13a」により「レーザ光」を得るものであるから、引用発明における「発振器10a」と「狭帯域化素子13a」を併せた構成は、本件補正発明の「第1のレーザチャンバモジュール」に相当する。また、引用発明における「発振器10a」と「狭帯域化素子13a」から得られる「レーザ光」は、本件補正発明の「レーザ放射の第1のビーム」に相当し、引用発明における「発振器10a」と「狭帯域化素子13a」を併せた構成は、本件補正発明でいう「レーザ放射の第1のビームを発生させるように適合された」ものであるといえる。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点で一致する。 「レーザ放射の第1のビームを発生させるように適合された第1のレーザチャンバモジュールと、」「を備え[る]」点。 (ウ) 構成Bの観点 a 構成Bは、「レーザ放射の第2のビームを発生させるように適合された第2のレーザチャンバモジュールと、」「を備え[る]」ことである。 b 引用発明は、「発振器10b」とそれに個別に対応させて設けられた「狭帯域化素子13b」により「レーザ光」を得るものであるから、引用発明における「発振器10b」と「狭帯域化素子13b」を併せた構成は、本件補正発明の「第2のレーザチャンバモジュール」に相当する。また、引用発明における「発振器10b」と「狭帯域化素子13b」から得られる「レーザ光」は、本件補正発明の「レーザ放射の第2のビーム」に相当し、引用発明における「発振器10b」と「狭帯域化素子13b」を併せた構成は、本件補正発明でいう「レーザ放射の第2のビームを発生させるように適合された」ものであるといえる。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点で一致する。 「レーザ放射の第2のビームを発生させるように適合された第2のレーザチャンバモジュールと、」「を備え[る]」点。 (エ) 構成Cの観点 a 構成Cは、「前記第1のビーム及び前記第2のビームを受光するように配置され、前記第1のビーム及び前記第2のビームを共通の出力ビームパスに沿って伝搬させるように適合されたビームコンバイナと、を備え[る]」ことである。 b 引用発明の「集光素子3」は、発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られるレーザ光と、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られるレーザ光を集光し一つにまとめるものであるから、本件補正発明の「ビームコンバイナ」に相当する。 また、引用発明の「集光素子3」における「ミラー3b」及び「ミラー3c」は、各々、発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られるレーザ光と、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られるレーザ光を反射させるものであるから、引用発明の「集光素子3」は、本件補正発明でいう「前記第1のビーム及び前記第2のビームを受光するように配置され[る]」ものであるといえる。 更に、引用発明は、「発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られミラー3bで反射させたレーザ光と、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られミラー3cで反射させたレーザ光を、集光プリズム3aにより集光し一つにまとめ[る]」ものであるところ、当該「集光し一つにまとめ」られたレーザ光の経路は、本件補正発明の「共通の出力ビームパス」に相当するから、引用発明は、本件補正発明でいう「前記第1のビーム及び前記第2のビームを共通の出力ビームパスに沿って伝搬させる」ものであるといえる。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点で一致する。 「前記第1のビーム及び前記第2のビームを受光するように配置され、前記第1のビーム及び前記第2のビームを共通の出力ビームパスに沿って伝搬させるように適合されたビームコンバイナと、を備え[る]」点。 (オ) 構成Dの観点 a 構成Dは、「前記第1のレーザチャンバモジュールが、前記第1のビームが有する第1のスペクトルであって、第1のピーク波長及び前記第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有し、前記第1のピーク波長と前記第2のピーク波長との間に強度が略ゼロの第1の領域を含む第1のスペクトルを生成するように構成された第1のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含[む]」ことである。 b 引用発明は、「レーザ光は、それぞれの狭帯域化素子で狭帯域化され[る]」ものであるから、引用発明の「狭帯域化素子13a」は、本件補正発明の「第1のレーザチャンバライン狭隘化モジュール」に相当する。 また、引用発明の「発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られる」「248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」は、本件補正発明の「前記第1のビームが有する第1のスペクトル」に相当し、また、引用発明の「狭帯域化素子13a」は「第1のスペクトルを生成するように構成された」ものであるといえる。更に、引用発明の「発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られる」「スペクトル」は「248nmに半値幅0.8pmのピークがある」ものであるから、引用発明の「248nm」は本件補正発明の「第1のピーク波長」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明は、「前記第1のレーザチャンバモジュールが、前記第1のビームが有する第1のスペクトルであって、第1のピーク波長を有[する]」「第1のスペクトルを生成するように構成された第1のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含[む]」点で共通する。 一方、「前記第1のビームが有する」「第1のピーク波長」「を有[する]」「第1のスペクトル」が、本件補正発明では、「前記第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有し、前記第1のピーク波長と前記第2のピーク波長との間に強度が略ゼロの第1の領域を含む」のに対して、引用発明では、「248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」であり、当該第2のピーク波長を有するものではない。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Dの観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。 (a) 構成Dの観点での一致点 「前記第1のレーザチャンバモジュールが、前記第1のビームが有する第1のスペクトルであって、第1のピーク波長」「を有[する]」「第1のスペクトルを生成するように構成された第1のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含[む]」点。 (b) 構成Dの観点での相違点 「前記第1のビームが有する」「第1のピーク波長」「を有[する]」「第1のスペクトル」について、本件補正発明は、「前記第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有し、前記第1のピーク波長と前記第2のピーク波長との間に強度が略ゼロの第1の領域を含む」のに対して、引用発明は、「248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」であり、当該第2のピーク波長を有するものではない点。 (カ) 構成Eの観点 a 構成Eは、「前記第2のレーザチャンバモジュールが、前記第2のビームが有する第2のスペクトルであって、前記第1及び第2のピーク波長と異なる第3のピーク波長、並びに前記第1、第2、及び第3のピーク波長と異なる第4のピーク波長を有し、前記第3のピーク波長と前記第4のピーク波長との間に強度が略ゼロの第2の領域を含む第2のスペクトルを生成するように構成された第2のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含[む]」ことである。 b 引用発明は、「レーザ光は、それぞれの狭帯域化素子で狭帯域化され[る]」ものであるから、引用発明の「狭帯域化素子13b」は、本件補正発明の「第2のレーザチャンバライン狭隘化モジュール」に相当する。 また、引用発明の「発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られる」「249nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」は、本件補正発明の「前記第2のビームが有する第2のスペクトル」に相当し、また、引用発明の「狭帯域化素子13b」は「第2のスペクトルを生成するように構成された」ものであるといえる。更に、引用発明の「発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られる」「スペクトル」は「249nmに半値幅0.8pmのピークがある」ものであるから、引用発明の「249nm」は本件補正発明の「前記第1」「のピーク波長と異なる」「第3のピーク波長」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明は、「前記第2のレーザチャンバモジュールが、前記第2のビームが有する第2のスペクトルであって、」「前記第1」「のピーク波長と異なる」「第3のピーク波長」「を有[する]」「第2のスペクトルを生成するように構成された第2のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含[む]」点で共通する。 一方、「前記第2のビームが有する」「前記第1」「のピーク波長と異なる」「第3のピーク波長を有[する]」「第2のスペクトル」について、本件補正発明では、「第3のピーク波長」が「第2のピーク波長と異な[り]」、「前記第1、第2及び第3のピーク波長と異なる第4のピーク波長を有し、前記第3のピーク波長と前記第4のピーク波長との間に強度が略ゼロの第2の領域を含む」のに対して、引用発明では、「249nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」であり、「発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られる」「248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」が第2のピーク波長を有するものではないため(前記(オ)b)、「249nm」が第2のピーク波長と異なるものとはいえず、また、当該第4のピーク波長を有するものではない。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Eの観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。 (a) 構成Eの観点での一致点 「前記第2のレーザチャンバモジュールが、前記第2のビームが有する第2のスペクトルであって、」「前記第1」「のピーク波長と異なる」「第3のピーク波長」「を有[する]」「第2のスペクトルを生成するように構成された第2のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含[む]」点。 (b) 構成Eの観点での相違点 「前記第2のビームが有する」「前記第1」「のピーク波長と異なる」「第3のピーク波長を有[する]」「第2のスペクトル」について、本件補正発明は、「第3のピーク波長」が「第2のピーク波長と異な[り]」、「前記第1、第2及び第3のピーク波長と異なる第4のピーク波長を有し、前記第3のピーク波長と前記第4のピーク波長との間に強度が略ゼロの第2の領域を含む」のに対して、引用発明は、「249nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」であり、「発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られる」「248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」が第2のピーク波長を有するものではないため、「249nm」が第2のピーク波長と異なるものとはいえず、また、当該第4のピーク波長を有するものではない点。 (キ) 構成Fの観点 a 構成Fは、「前記第1のビーム及び前記第2のビームの出力スペクトルは、前記第1のスペクトルと前記第2のスペクトルとの間に、強度が略ゼロの、前記第1及び第2の領域より大きい第3の領域を含む」ことである。 b 引用発明の「集光プリズム3aにより集光し一つにまとめ」られたレーザ光のスペクトルは、本件補正発明の「前記第1のビーム及び前記第2のビームの出力スペクトル」に相当する。そして、引用発明における「光強度がゼロである波長領域」は、本件補正発明でいう「強度が略ゼロの、前記第1及び第2の領域より大きい第3の領域」と、「強度が略ゼロの」「第3の領域」である点で共通する。 そして、引用発明の「集光プリズム3aにより集光し一つにまとめ」られたレーザ光は、「発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られミラー3bで反射させたレーザ光と、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られミラー3cで反射させたレーザ光」を一つにまとめたものであるから、そのスペクトルは、「248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」と「249nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」からなり、「光強度がゼロである波長領域が存在[する]」ものであることが理解できる。そうすると、引用発明の「集光プリズム3aにより集光し一つにまとめ」られたレーザ光のスペクトルは、本件補正発明でいう「前記第1のスペクトルと前記第2のスペクトルとの間に、強度が略ゼロの」「第3の領域を含む」ものであるといえる。 一方、「第3の領域」について、本件補正発明では、「前記第1及び第2の領域より大きい」のに対して、引用発明では、「発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られる」「248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」が第2のピーク波長を有するものではなく(前記(オ))、「発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られる」「249nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」が第4のピーク波長を有するものではないため(前記(カ))、「248nmにあるピークと、249nmにあるピークの間」に「存在する光強度がゼロである波長領域」が、前記第1及び第2の領域より大きいものとはいえない。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Fの観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。 (a) 構成Fの観点での一致点 「前記第1のビーム及び前記第2のビームの出力スペクトルは、前記第1のスペクトルと前記第2のスペクトルとの間に、強度が略ゼロの」「第3の領域を含む」点。 (b) 構成Fの観点での相違点 「第3の領域」について、本件補正発明は、「前記第1及び第2の領域より大きい」のに対して、引用発明は、前記第1及び第2の領域より大きいものとはいえない点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「レーザ放射の第1のビームを発生させるように適合された第1のレーザチャンバモジュールと、 レーザ放射の第2のビームを発生させるように適合された第2のレーザチャンバモジュールと、 前記第1のビーム及び前記第2のビームを受光するように配置され、前記第1のビーム及び前記第2のビームを共通の出力ビームパスに沿って伝搬させるように適合されたビームコンバイナと、を備え、 前記第1のレーザチャンバモジュールが、前記第1のビームが有する第1のスペクトルであって、第1のピーク波長を有する第1のスペクトルを生成するように構成された第1のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含み、 前記第2のレーザチャンバモジュールが、前記第2のビームが有する第2のスペクトルであって、前記第1のピーク波長と異なる第3のピーク波長を有する第2のスペクトルを生成するように構成された第2のレーザチャンバライン狭隘化モジュールを含み、 前記第1のビーム及び前記第2のビームの出力スペクトルは、前記第1のスペクトルと前記第2のスペクトルとの間に、強度が略ゼロの第3の領域を含む、ガス放電レーザシステム」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 「前記第1のビームが有する」「第1のピーク波長」「を有[する]」「第1のスペクトル」について、本件補正発明は、「前記第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有し、前記第1のピーク波長と前記第2のピーク波長との間に強度が略ゼロの第1の領域を含む」のに対して、引用発明は、「248nmに半値幅0.8pmのピークがあるスペクトル」であり、当該第2のピーク波長を有するものではない点。 b 相違点2 「前記第2のビームが有する」「前記第1」「のピーク波長と異なる」「第3のピーク波長」「を有[する]」「第2のスペクトル」について、本件補正発明は、「第3のピーク波長」が「第2のピーク波長と異な[り]」、「前記第1、第2及び第3のピーク波長と異なる第4のピーク波長を有し、前記第3のピーク波長と前記第4のピーク波長との間に強度が略ゼロの第2の領域を含む」のに対して、引用発明は、「249nmにピークがある半値幅0.8pmのスペクトル」であり、「249nm」が第2のピーク波長と異なるものとはいえず、また、当該第4のピーク波長を有するものではない点。 c 相違点3 「第3の領域」について、本件補正発明は、「前記第1及び第2の領域より大きい」のに対して、引用発明は、前記第1及び第2の領域より大きいものとはいえない点。 (4) 判断 ア 相違点1及び相違点2について 引用発明を開示する引用文献1の【0033】には、「さらに、波長を2つに限定することなく多数の波長を発振可能なエキシマレーザを用いても、その波長レンジが10nm以下の場合には、十分な結像特性を得られることを発明者は確認している。」と記載されているから、引用発明に接した当業者は、レーザ発振・集光装置において、4つ以上のピーク波長のレーザ光を用いる動機を持つ。 そして、引用発明と引用文献3技術事項は、露光装置用のエキシマ光源の技術分野において焦点深度を向上させることを課題とする点で共通するから、引用発明において、4つの波長のレーザ光を使えるガス放電レーザシステムとするために、引用発明の発振器10aの狭帯域化素子13aと発振器10bの狭帯域化素子13bを、引用文献3技術事項における、プリズム292、293、294、295の1つを回転させて、格子291に入射する光の角度をパルスごとに変化させることにより、露光パスのためのN個のパルスを含むパルス列であって、N個のパルスの少なくとも1つは、N個のパルスの別のパルスの一次波長と異なる一次波長を有するものとすることができる、ライン狭隘化モジュールに置換し、発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られるレーザ光の波長(ピーク波長)を200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離した2つのピーク波長とすること、すなわち、発振器10a及び狭帯域化素子13aにより得られるレーザ光のスペクトルが288nmである第1のピーク波長及び288nmから200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離した第2のピーク波長を有するようにするとともに、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られるレーザ光の波長(ピーク波長)も同様に2つとすること、すなわち、発振器10b及び狭帯域化素子13bにより得られるレーザ光のスペクトルが289nmである第3のピーク波長及び289nmから200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離した第4のピーク波長を有するようにすることは、当業者であれば容易に想到し得る構成である。 その際、第1のピーク波長と第2のピーク波長、第3のピーク波長と第4のピーク波長は、各々、200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離し、スペクトル分離により、第1のピーク波長と第2のピーク波長の間及び第3のピーク波長と第4のピーク波長の間に、強度がほとんど又は全くないスペクトル領域を含むものとなる。そして、第1のピーク波長と第2のピーク波長の間の強度がほとんど又は全くないスペクトル領域は、本件補正発明でいう「前記第1のピーク波長と前記第2のピーク波長との間」の「強度が略ゼロの第1の領域」に相当することとなり、第3のピーク波長と第4のピーク波長の間の強度がほとんど又は全くないスペクトル領域は、本件補正発明でいう「前記第3のピーク波長と前記第4のピーク波長との間」の「強度が略ゼロの第2の領域」に相当することとなる。 また、引用発明に引用文献3技術事項を適用した構成(以下「引用文献3技術事項適用構成」という。)において、289nmである「第3のピーク波長」と288nmから200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離した「第2のピーク波長」が異なるものであることは明らかであり、289nmから200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離した「第4のピーク波長」と288nmである「第1のピーク波長」及び288nmから200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離した「第2のピーク波長」が異なるものであることも明らかである。 そうすると、引用発明に引用文献3技術事項を適用することにより、相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成を想到することは、当業者であれば容易になし得ることである。 イ 相違点3について (ア) 前記アで説示した引用文献3技術事項適用構成において、「集光プリズム3aにより集光し一つにまとめ」られたレーザ光は、ピーク波長が、288nmである「第1のピーク波長」と288nmから200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離した「第2のピーク波長」からなるスペクトル(本件補正発明における「第1のスペクトル」に相当)と、ピーク波長が289nmである「第3のピーク波長」と289nmから200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)スペクトル分離した「第4のピーク波長」からなるスペクトル(本件補正発明における「第2のスペクトル」に相当)からなり、縮小投影露光装置においてはレーザを単色光に近いレベル(半値幅が1pm前後)まで狭帯域化しなければならないという技術常識(例えば、引用文献1の【0009】、【0010】を参照)を考慮すると、「第1ピーク波長」~「第4ピーク波長」のスペクトルの半値幅も1pm前後であると認められるから、前記「第1のピーク波長」と前記「第2のピーク波長」からなるスペクトルと、前記「第3のピーク波長」と「第4のピーク波長」からなるスペクトルの間に、「光強度がゼロである波長領域が存在[する]」ものであることが理解でき、当該領域が本件補正発明の「第3領域」に対応する。 そして、引用文献3技術事項適用構成においては、「第1のピーク波長」と「第2のピーク波長」の差及び「第3のピーク波長」と「第4のピーク波長」の差が各々200フェムトメートル(fm)~5ピコメートル(pm)であるのに対して、「第2のピーク波長」と、「第3のピーク波長」の差は少なくとも0.995nmであるから、「第1ピーク波長」~「第4ピーク波長」のスペクトルの半値幅が1pm前後であることも考慮すると、引用文献3技術事項適用構成においては、「第1のピーク波長」と「第2のピーク波長」の間の強度がほとんど又は全くないスペクトル領域(本件補正発明の「第1の領域」に相当。)や「第3のピーク波長」と「第4のピーク波長」の間の強度がほとんど又は全くないスペクトル領域(本件補正発明の「第2の領域」に相当。)よりも、「第1のピーク波長」と前記「第2のピーク波長」からなるスペクトルと、前記「第3のピーク波長」と「第4のピーク波長」からなるスペクトルの間の光強度がゼロである波長領域(本件補正発明の「第3の領域」に相当。)が大きくなることは自然なことである。 (イ) 仮に(ア)のとおりでないとしても、引用発明に引用文献3技術事項を適用させる際に、第1ピーク、第2ピーク、第3ピーク及び第4ピークの波長は、露光される半導体基板等の厚みに応じてどのような焦点深度を得るかという観点から、当業者が設計する事項である。そして、本願の明細書には、第1のスペクトルと第2のスペクトルの間の強度が略ゼロの領域である「第3領域」を、第1のピーク波長と第2のピーク波長との間の強度が略ゼロの領域である「第1領域」及び第3のピーク波長と第4のピーク波長との間の強度が略ゼロの領域である「第2領域」よりも大きくする技術上の意義は何ら記載されておらず、技術常識を考慮しても特段の技術上の意義を見い出すことはできない。そうすると、相違点3に係る本件補正発明の構成は、当業者が発明の実施にあたり適宜設計する事項であるともいえる。 ウ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~3に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び引用文献3技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献3技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張1について a 請求人の主張1の内容 引用発明の狭帯域化素子13aを、引用文献3技術事項のライン狭隘化モジュールに置換することで、レーザ光のピーク波長を4つ以上にする構成が達成されることになるから、狭帯域化素子13aを引用文献3技術事項のライン狭隘化モジュールに置換した発明においては、更に多くの波長のレーザ光を用いることができるようにするために、単に当該ライン狭隘化モジュールを用いることで足りるから、引用発明及び引用文献3技術事項に接した当業者が、引用発明の狭帯域化素子13bを引用文献3技術事項のライン狭隘化モジュールにさらに置換しようとする動機付けはない。 b 請求人の主張1についての検討 一般に、課題を解決する手段が二つ以上ある場合、どちらの手段を採用するかは、当業者が適宜決定することである。 そして、引用発明におけるレーザ光のピーク波長を4つとする場合、狭帯域化素子13aのみを引用文献3技術事項のライン狭隘化モジュールに置換する構成(以下、当該構成を「請求人主張構成」といい、置換後の「ライン狭隘化モジュール」を「ライン狭隘化モジュールa」という。)では、ライン狭隘化モジュールaにより3つのピーク波長を出さなければならないため、当業者であれば、引用文献3技術事項でいう「露光パスのためのN個のパルスを含むパルス列」で3つのピークの波長を出さなければならないことにより露光の効率が落ちるという問題や、ライン狭隘化モジュールにより生成できるピーク波長は発振器10aのスペクトルの範囲に制約されるという問題が存在することを認識できる。 一方、前記アで説示した、狭帯域化素子13aを引用文献3技術事項のライン狭隘化モジュールに置換し、狭帯域化素子13bを引用文献3技術事項のライン狭隘化モジュールに置換する構成(以下、狭帯域化素子13bを置換後の「ライン狭隘化モジュール」を、「ライン狭隘化モジュールb」という。)、ライン狭隘化モジュールa及びライン狭隘化モジュールbが出すピーク波長は2つですむため、引用文献3技術事項でいう「露光パスのためのN個のパルスを含むパルス列」で出すピーク波長も2つであることにより、請求人主張構成と比較して、露光の効率に優れ、発振器10a及び発振器10bのスペクトルの範囲に制約されるピーク波長はそれぞれ2つずつにとどまるという利点があることを、当業者であれば認識できる。 そうすると、引用発明の課題を解決するために引用文献3技術事項を適用するにあたり、上述の問題及び利点を考慮して、請求人主張構成ではなく前記アで説示した構成にすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。 (イ) 請求人の主張2について a 請求人の主張2の内容 引用発明の狭帯域化素子13aを、引用文献3技術事項のライン狭隘化モジュールに置換した構成において、得られるレーザ光のスペクトルは微調整される程度にとどまるため、当該スペクトルにおいて相対的に大きな領域、つまり、第1のスペクトルの第1の領域及び第2のスペクトルの第2の領域より大きい第3の領域を第1のスペクトルと第2のスペクトルとの間に含むことは、いずれも、引用文献1及び引用文献3に記載も示唆もされていないので、当業者が容易に想到し得たことではない。 b 請求人の主張2についての検討 前記イ(ア)で説示したとおり、引用発明に引用文献3技術事項を適用した構成において、第1のスペクトルと第2のスペクトルの間の強度が略ゼロの領域である「第3領域」が、第1のピーク波長と第2のピーク波長との間の強度が略ゼロの領域である「第1領域」及び第3のピーク波長と第4のピーク波長との間の強度が略ゼロの領域である「第2領域」よりも大きくなることは自然なことである。また、「第3領域」を「第1領域」及び「第2領域」よりも大きくすることに特段の技術上の意義を見い出すことはできないから、請求人が主張する相違点は設計的事項にすぎないことも、前記イ(イ)で説示したとおりとおりである。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び引用文献3技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(4)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開平11-204894号公報(主引用文献) 引用文献3.国際公開第2019/079010号公報(副引用文献) 3 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定 引用文献1の記載事項等及び引用発明の認定は、前記第2の3(2)アで示したとおりである。 引用文献3の記載事項等及び引用文献3技術事項は、前記第2の3(2)イで示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)のアからウに示した限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において説示したとおり、引用発明及び引用文献3技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明及び引用文献3技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-016916

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