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特許拒絶査定不服審判

2023-022315

圧力制御スペクトル特徴調整器

審判番号
2023-022315
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-550289
請求日
2023年12月28日
審決日
2025年04月24日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】大貫 敏史
  • 【請求人代理人】江口 昭彦
  • 【請求人代理人】内藤 和彦
審判長/審判官
  • 審判長 藤田 年彦
  • 審判官 後藤 孝平
  • 審判官 吉野 三寛
分類
P18 .121-Z (H01S) / P18 .575-Z (H01S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第159条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-550289「圧力制御スペクトル特徴調整器」拒絶査定不服審判事件〔令和2年10月1日国際公開、WO2020/197719、令和4年5月19日特許出願公表、特表2022-525735〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)3月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年3月27日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和3年10月26日 :手続補正書の提出 令和4年10月12日付け:拒絶理由通知書 令和5年 1月11日 :意見書及び手続補正書の提出 同年 3月28日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年 7月 3日 :意見書及び手続補正書の提出 同年 8月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 同年12月28日 :審判請求書及び手続補正書の提出 第2 令和5年12月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年12月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「大気圧未満の圧力に保持される一次内部を画定する本体であって、前記一次内部がパージガスを含む、本体と、 前記一次内部と同じ圧力になるように流体連通する二次内部を有し且つ前記本体及びガス放電チャンバを結合する運動減衰デバイスと、 紫外線領域の波長を有する光ビームを透過させる、前記本体を通る少なくとも1つの光学経路であって、前記運動減衰デバイス及び前記ガス放電チャンバの間に配置され前記一次内部及び前記二次内部と前記ガス放電チャンバとの間に密閉分離を提供する光学窓を含む、少なくとも1つの光学経路と、 前記光ビームと相互作用するように構成され、1つ以上の作動可能な光学素子を含む前記一次内部内の光学素子の一セットと、 前記1つ以上の作動可能な光学素子と通信し、前記1つ以上の作動可能な光学素子の物理的特徴を調整するように構成された、前記一次内部内の作動システムと、を備えたスペクトル特徴調整器。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の令和5年7月3日にされた手続補正による補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである。 「大気圧未満の圧力に保持される一次内部を画定する本体と、 前記一次内部と同じ圧力になるように流体連通する二次内部を有し且つ前記本体及びガス放電チャンバを結合する運動減衰デバイスと、 紫外線領域の波長を有する光ビームを透過させる、前記本体を通る少なくとも1つの光学経路であって、前記運動減衰デバイス及び前記ガス放電チャンバの間に配置され前記一次内部及び前記二次内部と前記ガス放電チャンバとの間に密閉分離を提供する光学窓を含む、少なくとも1つの光学経路と、 前記光ビームと相互作用するように構成され、1つ以上の作動可能な光学素子を含む前記内部内の光学素子の一セットと、 前記1つ以上の作動可能な光学素子と通信し、前記1つ以上の作動可能な光学素子の物理的特徴を調整するように構成された、前記一次内部内の作動システムと、を備えたスペクトル特徴調整器。」 2 本件補正の適否 本件補正により請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「一次内部」について「パージガスを含む」と限定を付加するものであり、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する補正を含むものである。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。 (1) 本件補正発明の認定 本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、前記1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。 (2) 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定 ア 引用文献の記載 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に発行された文献である国際公開第2017/072879号(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。 「[0011]1.狭帯域化エキシマレーザ装置の全体説明 1.1 構成 図1および図2に、例示的な狭帯域化エキシマレーザ装置1の構成を概略的に示す。図1はこの狭帯域化エキシマレーザ装置1の一部破断側面図であり、図2はこの狭帯域化エキシマレーザ装置1の一部破断上面図である。 [0012] 本開示では、レーザチャンバにおけるレーザ光の進行方向がZ方向と定義される。また、狭帯域化エキシマレーザ装置1が載置される面に平行で、Z方向と直交する方向がH方向と定義される。そしてZ方向およびH方向に直交する方向がV方向と定義される。なお、狭帯域化エキシマレーザ装置1の通常の使用状態下では、H方向が水平方向であり、V方向が鉛直方向である。 [0013] 図1および図2に示されるように狭帯域化エキシマレーザ装置1は、出力結合ミラー10と、レーザチャンバ20と、光路管30と、狭帯域化モジュール(LNM:Line Narrowing Module)40とを含んでもよい。出力結合ミラー10と狭帯域化モジュール40は、光共振器を構成してもよい。レーザチャンバ20は、光共振器の光路上に配置されてもよい。狭帯域化モジュール40は、光共振器内に配置されてもよい。 [0014] レーザチャンバ20は、ウィンドウ21および22と、一対の放電電極23および24とを備えてもよい。ウィンドウ21および22はそれぞれ、レーザチャンバ20に設けられたウィンドウ保持部25および26に保持されていてもよい。ウィンドウ21および22は、放電電極23および24の間で放電励起された後に増幅されたレーザ光Lが通過するように配置されてもよい。ウィンドウ21および22は、レーザ光Lの入射面がH方向を含むように、レーザ光Lの光路に対して微小角度をなす状態に傾いていてもよい。その傾斜角度は例えばブリュースタ角や、あるいはブリュースタ角に近い角度であってもよい。 [0015] レーザチャンバ20の内部は、エキシマレーザガスで満たされていてもよい。このエキシマレーザガスは、レアガスであるArガスまたはKrガス、ハロゲンガスであるF2ガス、およびバッファガスであるNeガスが混合されたガスであってもよい。 [0016] 一対の放電電極23および24は、レーザチャンバ20内において互いにV方向に対向し、各々の長手方向がZ方向と一致する状態で配置されてもよい。一対の放電電極23および24は、各々の長手方向が光共振器の光路と平行となるように配置されてもよい。これらの放電電極23および24には、不図示の電源から励起電力が供給されてもよい。 [0017] 狭帯域化モジュール40は、筐体41と、この筐体41内に収容された狭帯域化用光学素子とを含んでいてもよい。狭帯域化用光学素子は、複数であってもよく、例えば3個のプリズム42、43および44、並びにグレーティング45であってもよい。筐体41の底板41aの上にはプリズム42を固定するプリズム固定ホルダ46、プリズム43を固定するプリズム固定ホルダ47、プリズム44を固定するプリズム固定ホルダ48、およびグレーティング45を固定するグレーティング固定ホルダ49が取り付けられてもよい。なおプリズム固定ホルダ48は、自動回転ステージ50を介して底板41aに取り付けられてもよい。プリズム固定ホルダ48は、自動回転ステージ50の駆動により、V方向に延びる回転軸を中心にして図2の矢印A方向に回転可能とされてもよい。 [0018] 3個のプリズム42、43および44は、レーザ光Lのビーム径を拡大するビームエキスパンダとして機能するように配置されてもよい。プリズム42、43および44の各傾斜端面、つまりレーザ光Lが斜め入射する端面42a、43aおよび44aには、レーザ光LのP偏光成分に対して低反射率となる低反射膜がコートされてもよい。一方、プリズム42、43および44の各垂直端面、つまりレーザ光Lが垂直入射する端面42b、43b、および44bには、レーザ光Lに対して低反射率となる低反射膜がコートされてもよい。 [0019] グレーティング45と出力結合ミラー10とは、光共振器を形成してもよい。グレーティング45は、光共振器内を往復するレーザ光Lの波長を選択する波長選択部としての機能を備えてもよい。グレーティング45は、入射角と回折角が一致するようにリトロー配置とされてもよい。グレーティング45は、例えば中心波長が193nmであるレーザ光Lを高効率で回折させるように溝間隔およびブレーズ角が定められたエシェールグレーティングであってもよい。 [0020] 狭帯域化モジュール40の筐体41は、開口41bを有していてもよい。この開口41bは、レーザチャンバ20から出射してウィンドウ22を透過したレーザ光Lが通過する位置に設けられてもよい。筐体41は、開口41bの他の部分では、この筐体41の内部を外部に対して気密に保つ構造とされてもよい。 [0021] 光路管30は、レーザチャンバ20と筐体41との間に配置されてもよい。光路管30は、レーザチャンバ20から出射してウィンドウ22を透過したレーザ光Lの光路を覆うように構成されてもよい。 [0022] 1.2 動作 上記の構成において、放電電極23および24に高電圧が印加されると、放電電極23と放電電極24との間で放電し得る。この放電によりレーザガスが励起され、レアガスおよびハロゲンガスを含むレーザ媒質から、自然放出光が発生し得る。この自然放出光は、波長が例えば前述した193nmあるいは248nmの紫外光であり得る。この光はウィンドウ22を透過して、狭帯域化モジュール40内に入射し、プリズム42~44によってビーム径が拡大されて、グレーティング45に入射し得る。 [0023] グレーティング45に入射した紫外光は、グレーティング45において狭帯域の波長に選択されて回折し得る。回折した光は、グレーティング45へ入射した光路と同じ光路を辿って、再びレーザチャンバ20に入射し得る。なお、自動回転ステージ50によりプリズム固定ホルダ48を介してプリズム44が回転されると、上記光のグレーティング45への入射角が変化し得る。それにより、グレーティング45によって選択される波長が調節され得る。 [0024] レーザチャンバ20に再入射した光は、放電領域を通過することによって増幅され得る。増幅された光はウィンドウ21を透過して出力結合ミラー10に入射し、一部がこの出力結合ミラー10を透過し、一部が出力結合ミラー10で反射する。反射した光はレーザチャンバ20に戻り、放電領域を通過することによって増幅され得る。以上のことが繰り返されることにより、出力結合ミラー10とグレーティング45とで構成される光共振器内で光が共振し、レーザ光Lが発振し得る。」 「[0028]3. 比較例 3.1 比較例の構成 図5は、本発明に対する比較例である狭帯域化エキシマレーザ装置2の構成を概略的に示す一部破断上面図である。図5の構成において、図2に示したものと同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。 [0029] 以下、この比較例の構成の中で、図2の構成と異なる部分について説明する。なお本比較例において、以下で説明する図2の構成との相違点以外の構成は、図2の構成と同様とされてもよい。 [0030] 狭帯域化モジュール40の筐体41は、外部の大気を筐体41内に流入させ得る導入口41cと、筐体41内の圧力を測定するための開口41dとを有してもよい。また筐体41に設けられた開口41bは、本比較例では、レーザ光Lを通過させるだけでなく、筐体41内のガスを排出させる排気口として機能してもよい。筐体41は、開口41b、導入口41c、および開口41dの他の部分では、筐体41の内部と外部とを気密に保つ構造とされてもよい。 [0031] 光路管30には、開口30aが設けられてもよい。光路管30は、両端および開口30a以外の部分では、光路管30の内部と外部とを気密に保つ構造とされてもよい。 [0032] 筐体41の導入口41cには、導入管60が連通されてもよい。導入管60には第1のバルブ61が設けられてもよい。光路管30の開口30aには、排気管64の一端が連通されてもよい。排気管64の他端は、例えば真空ポンプからなる排気ポンプ65に接続されてもよい。排気管64には、排気ポンプ65と光路管30との間において、第2のバルブ62が設けられてもよい。筐体41には、開口41dを通して筐体内部の圧力を測定する圧力センサ51が取り付けられてもよい。 [0033] 第1のバルブ61および第2のバルブ62の各々の開閉、並びに排気ポンプ65の駆動を制御する制御部66が設けられてもよい。制御部66には、圧力センサ51が出力する圧力検出信号、つまり筐体41の内部の圧力を示す信号が入力されてもよい。」 「[0038]4.実施形態1 4.1 実施形態1の構成 図6は、実施形態1に係る狭帯域化エキシマレーザ装置3の構成を概略的に示す一部破断上面図である。図6の構成において、図5に示した比較例と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。 [0039] 以下、この実施形態1の構成の中で、比較例の構成と異なる部分について説明する。なお本実施形態1において、以下で説明する比較例との相違点以外の構成は、比較例と同様とされてもよい。 [0040] 導入管60には、第1のバルブ61側から順に、流量調節バルブ70、圧力調節弁すなわちレギュレータ71、バルブ72、およびスピンドルバルブ73を介して、窒素ガス供給装置としての窒素ガスボンベ74が接続されてもよい。スピンドルバルブ73は、窒素ガスボンベ74に付属しているものであってもよい。バルブ72は、窒素ガスボンベ74と狭帯域化モジュール40との間を遮断するためのものであってもよい。 [0041] 一方、光路管30と第2のバルブ62との間において、排気管64から大気排気管75が分岐されていてもよい。この大気排気管75には、第3のバルブ63が設けられていてもよい。また制御部66には、レーザ制御部52が接続されてもよい。 [0042] なお、導入管60、流量調節バルブ70、レギュレータ71、およびバルブ72は、窒素ガスボンベ74から供給された窒素ガスを筐体41内に流入させる窒素ガス導入部を構成してもよい。第1のバルブ61は、筐体41内への窒素ガスの流入を制御するものであってもよい。窒素ガスとしては、純度が99.999%のもの等が適用されてもよい。 [0043] また、筐体41に設けられた開口41b、光路管30、および光路管30の開口30aに連通する排気管64は、筐体41内のガスを筐体41外に流出させる排気部を構成してもよい。排気ポンプ65は、上記排気部を通して筐体41内のガスを筐体41外に排出させるものであってもよい。第2のバルブ62は、上記排気部からのガスの排出を制御するものであってもよい。」 「[0060] 4.3 実施形態1の作用・効果 以上説明したように、狭帯域化エキシマレーザ装置3がレーザ発振する前に、狭帯域化モジュール40の筐体41内が例えば3分~10分程度の時間、窒素ガスによってパージされるので、筐体41内の不純物ガスが筐体41の外に排出され得る。またその後に、筐体41内の圧力Pが例えば4kPa程度まで減圧されるので、大気中の不純物ガスや、筐体41内から発生する不純物ガスが筐体41内の狭帯域化用光学素子に付着して狭帯域化モジュール40の光学性能が劣化することが抑制され得る。」 「[図6] [図:0001427366000001.jpg] 」 イ 引用発明の認定 前記アによれば、引用文献2には、実施形態1(図6)に係る狭帯域化エキシマレーザ装置3を構成する光路管30及び狭帯域化モジュール40について、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。)。 <引用発明> 「狭帯域化エキシマレーザ装置3は、出力結合ミラー10と、レーザチャンバ20と、光路管30と、狭帯域化モジュール(LNM:Line Narrowing Module)40とを含み、([0013]) レーザチャンバ20は、ウィンドウ21および22と、一対の放電電極23および24とを備え、ウィンドウ21および22は、放電電極23および24の間で放電励起された後に増幅されたレーザ光Lが通過するように配置され、([0014]) レーザチャンバ20の内部は、エキシマレーザガスで満たされ、([0015]) 狭帯域化モジュール40は、筐体41と、この筐体41内に収容された狭帯域化用光学素子とを含み、 狭帯域化用光学素子は、複数であってもよく、3個のプリズム42、43および44、並びにグレーティング45であり、 筐体41の底板41aの上にはプリズム42を固定するプリズム固定ホルダ46、プリズム43を固定するプリズム固定ホルダ47、プリズム44を固定するプリズム固定ホルダ48、およびグレーティング45を固定するグレーティング固定ホルダ49が取り付けられ、プリズム固定ホルダ48は、自動回転ステージ50を介して底板41aに取り付けられ、プリズム固定ホルダ48は、自動回転ステージ50の駆動により、回転可能とされ、([0017]) レーザ光Lは、中心波長が193nmであり、([0019]) 狭帯域化モジュール40の筐体41は、開口41bを有し、この開口41bは、レーザチャンバ20から出射してウィンドウ22を透過したレーザ光Lが通過する位置に設けられ、([0020]) 光路管30は、レーザチャンバ20と筐体41との間に配置され、レーザチャンバ20から出射してウィンドウ22を透過したレーザ光Lの光路を覆うように構成され、([0021]) 自動回転ステージ50によりプリズム固定ホルダ48を介してプリズム44が回転されると、光のグレーティング45への入射角が変化し、それにより、グレーティング45によって選択される波長が調節され、([0023]) 出力結合ミラー10とグレーティング45とで構成される光共振器内で光が共振し、レーザ光Lが発振し、([0024]) 開口41bは、レーザ光Lを通過させるだけでなく、筐体41内のガスを排出させる排気口として機能し、 筐体41は、開口41b、導入口41c、および開口41dの他の部分では、筐体41の内部と外部とを気密に保つ構造とされ、([0030]) 光路管30には、開口30aが設けられ、光路管30は、両端および開口30a以外の部分では、光路管30の内部と外部とを気密に保つ構造とされ、([0031]) 光路管30の開口30aには、排気管64の一端が連通され、([0032]) 筐体41に設けられた開口41b、光路管30、および光路管30の開口30aに連通する排気管64は、筐体41内のガスを筐体41外に流出させる排気部を構成し、([0043]) 狭帯域化エキシマレーザ装置3がレーザ発振する前に、狭帯域化モジュール40の筐体41内が、窒素ガスによってパージされるので、筐体41内の不純物ガスが筐体41の外に排出され、またその後に、筐体41内の圧力Pが4kPa程度まで減圧される、([0060]) 狭帯域化エキシマレーザ装置3の光路管30及び狭帯域化モジュール40。」 (3) 周知技術の認定 レーザチャンバと狭帯域化モジュールとの間をベローズで結合することは、周知技術である。 必要であれば、特開2014-135524号公報(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献5)の【0016】及び【図34】、米国特許第06792023号明細書(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1)のFIG.7(11欄16行~13欄19行)のline-narrowing module 41、VACUUM BELLOWS (8)及びLASER DISCHARGE CHAMBER (12)、特開2003-133622号公報の【0020】及び図1の記載を参照のこと。 (4) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 本件補正発明と引用発明を対比すると、以下のとおりである。 (ア) 本件補正発明の「大気圧未満の圧力に保持される一次内部を画定する本体であって、前記一次内部がパージガスを含む、本体と、」との特定事項について 引用発明の「狭帯域化モジュール40」は、本件補正発明の「本体」に相当する。そして、引用発明の「狭帯域化モジュール40」は、「狭帯域化エキシマレーザ装置3がレーザ発振する前に、狭帯域化モジュール40の筐体41内が、窒素ガスによってパージされるので、筐体41内の不純物ガスが筐体41の外に排出され、またその後に、筐体41内の圧力Pが4kPa程度まで減圧される」ものであるから、当該「狭帯域化モジュール40の筐体41内」は、本件補正発明の「一次内部」に相当し、当該「窒素ガス」は、いわゆるパージガスと理解でき、「4kPa」が大気圧未満の圧力であることは明らかである。したがって、引用発明の「狭帯域化モジュール40」は、本件補正発明の「大気圧未満の圧力に保持される一次内部を画定する本体であって、前記一次内部がパージガスを含む、」との前記特定事項を満たしている。 (イ) 本件補正発明の「前記一次内部と同じ圧力になるように流体連通する二次内部を有し且つ前記本体及びガス放電チャンバを結合する運動減衰デバイスと、」との特定事項について a 引用発明の「光路管30」は、「開口30aが設けられ」、「両端および開口30a以外の部分では、光路管30の内部と外部とを気密に保つ構造とされ」ており、当該「開口30a」には、「排気管64の一端が連通され」、当該「排気管64」は、「筐体41に設けられた開口41b、光路管30、および光路管30の開口30aに連通する」ものであって、「筐体41内のガスを筐体41外に流出させる排気部を構成し」ている。そうすると、当該「光路管30の内部」は、「開口41b」を介して「筐体41内」と連通し、「筐体41内」と同じ圧力となっているものと理解できる。 したがって、引用発明の「光路管30の内部」は、本件補正発明の「二次内部」に相当し、引用発明の「光路管30」は、本件補正発明の「前記一次内部と同じ圧力になるように流体連通する二次内部を有し」との前記特定事項を満たしている。 b 引用発明の「レーザチャンバ20」は、その内部が、「エキシマレーザガスで満たされ」ているから、本件補正発明の「ガス放電チャンバ」に相当する。そして、引用発明の「光路管30」は、「レーザチャンバ20と筐体41との間に配置され、レーザチャンバ20から出射してウィンドウ22を透過したレーザ光Lの光路を覆うように構成され」ているから、「レーザチャンバ20」と「狭帯域化モジュール40」とを結合しているものと理解できる。 c 以上を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記一次内部と同じ圧力になるように流体連通する二次内部を有し且つ前記本体及びガス放電チャンバを結合する」「結合部材」「と、」との点で共通する。 (ウ) 本件補正発明の「紫外線領域の波長を有する光ビームを透過させる、前記本体を通る少なくとも1つの光学経路であって、前記運動減衰デバイス及び前記ガス放電チャンバの間に配置され前記一次内部及び前記二次内部と前記ガス放電チャンバとの間に密閉分離を提供する光学窓を含む、少なくとも1つの光学経路と、」との特定事項について a 引用発明の「レーザ光L」及び「レーザ光Lの光路」は、それぞれ本件補正発明の「光ビーム」及び「光学経路」に相当する。そして、引用発明の「レーザ光L」は、「中心波長が193nm」であるから、紫外線領域の波長を有するものと理解できる。また、引用発明は、「出力結合ミラー10とグレーティング45とで構成される光共振器内で光が共振し、レーザ光Lが発振し」ているところ、当該「グレーティング45」は、「筐体41内に収容された狭帯域化用光学素子」であるから、当該「レーザ光L」は、「狭帯域化モジュール40」の中を通っていると理解できる。 したがって、引用発明は、本件補正発明の「紫外線領域の波長を有する光ビームを透過させる、前記本体を通る少なくとも1つの光学経路」との特定事項を満たしている。 b 引用発明の「ウィンドウ22」は、本願補正発明の「光学窓」に相当する。そして、(a)引用発明の「レーザチャンバ20」は、「ウィンドウ21および22と、一対の放電電極23および24とを備え、ウィンドウ21および22は、放電電極23および24の間で放電励起された後に増幅されたレーザ光Lが通過するように配置され」ており、(b)引用発明の「光路管30」は、「レーザチャンバ20と筐体41との間に配置され、レーザチャンバ20から出射してウィンドウ22を透過したレーザ光Lの光路を覆うように構成され」ており、(c)引用発明の「狭帯域化モジュール40の筐体41」は、「開口41bを有し、この開口41bは、レーザチャンバ20から出射してウィンドウ22を透過したレーザ光Lが通過する位置に設けられ」ている。そうすると、「レーザチャンバ20」で放電励起された後に増幅された「レーザ光L」は、「ウィンドウ22」を透過して、「光路管30」の内部を通過し、開口41bを通過して「狭帯域化モジュール40の筐体41内」に導かれるものと理解できるから、引用発明の「ウィンドウ22」は、「光路管30」と「レーザチャンバ20」との間に配置されていると理解できる。 c 引用発明の「筐体41」は、「開口41b、導入口41c、および開口41dの他の部分では、筐体41の内部と外部とを気密に保つ構造とされ」、引用発明の「光路管30」は、「両端および開口30a以外の部分では、光路管30の内部と外部とを気密に保つ構造とされ」ており、前記(イ)aのとおり、引用発明の「光路管30の内部」は、「筐体41に設けられた開口41b」を介して「狭帯域化モジュール40の筐体41内」と連通し、「筐体41内」と同じ圧力となっている。そして、前記bのとおり、「レーザチャンバ20」と「光路管30」との間に「ウィンドウ22」が配置されていることに鑑みれば、「狭帯域化モジュール40の筐体41内」及び「光路管30の内部」は、「ウィンドウ22」により密閉されていると理解できる。 d 以上を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記結合部材」「及び前記ガス放電チャンバの間に配置され前記一次内部及び前記二次内部と前記ガス放電チャンバとの間に密閉分離を提供する光学窓を含む」との点で共通する。 (エ) 本件補正発明の「前記光ビームと相互作用するように構成され、1つ以上の作動可能な光学素子を含む前記一次内部内の光学素子の一セットと、」との特定事項について 引用発明の「狭帯域化用光学素子」は、「3個のプリズム42、43および44、並びにグレーティング45」であるから、本件補正発明の「光学素子の一セット」に相当する。そして、引用発明の「レーザ光L」は、「自動回転ステージ50によりプリズム固定ホルダ48を介してプリズム44が回転されると、光のグレーティング45への入射角が変化し、それにより、グレーティング45によって選択される波長が調節され」ており、「出力結合ミラー10とグレーティング45とで構成される光共振器内で光が共振し、レーザ光Lが発振し」ている。 そうすると、引用発明の「狭帯域化用光学素子」は、本件補正発明の「前記光ビームと相互作用するように構成され、」との前記特定事項を満たしており、前記のとおり、「自動回転ステージ50によりプリズム固定ホルダ48を介してプリズム44が回転される」のであるから、本件補正発明の「1つ以上の作動可能な光学素子を含む」との前記特定事項を満たし、「筐体41内に収容された」ものであるから、本件補正発明の「前記一次内部内の」との前記特定事項を満たしている。 したがって、引用発明は、本件補正発明の前記特定事項を満たしている。 (オ) 本件補正発明の「前記1つ以上の作動可能な光学素子と通信し、前記1つ以上の作動可能な光学素子の物理的特徴を調整するように構成された、前記一次内部内の作動システムと、」との特定事項について 引用発明の「自動回転ステージ50」は、本件補正発明の「作動システム」に相当する。そして、引用発明の「自動回転ステージ50」は、「プリズム固定ホルダ48を介してプリズム44」を「回転さ」せるものであり、当該「プリズム44」は、「筐体41内に収容された」ものであるから、当該「自動回転ステージ50」は、本件補正発明の「前記1つ以上の作動可能な光学素子と通信し、前記1つ以上の作動可能な光学素子の物理的特徴を調整するように構成された、」及び「前記一次内部内の」との前記特定事項を満たしている。 したがって、引用発明は、本件補正発明の前記特定事項を満たしている。 (カ) 本件補正発明の「を備えたスペクトル特徴調整器」との特定事項について 引用発明の「光路管30」及び「狭帯域化モジュール40」は、本件補正発明の「スペクトル特徴調整器」に相当する。 イ 前記アより、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、下記のとおりである。 <一致点> 「大気圧未満の圧力に保持される一次内部を画定する本体であって、前記一次内部がパージガスを含む、本体と、 前記一次内部と同じ圧力になるように流体連通する二次内部を有し且つ前記本体及びガス放電チャンバを結合する結合部材と、 紫外線領域の波長を有する光ビームを透過させる、前記本体を通る少なくとも1つの光学経路であって、前記結合部材及び前記ガス放電チャンバの間に配置され前記一次内部及び前記二次内部と前記ガス放電チャンバとの間に密閉分離を提供する光学窓を含む、少なくとも1つの光学経路と、 前記光ビームと相互作用するように構成され、1つ以上の作動可能な光学素子を含む前記一次内部内の光学素子の一セットと、 前記1つ以上の作動可能な光学素子と通信し、前記1つ以上の作動可能な光学素子の物理的特徴を調整するように構成された、前記一次内部内の作動システムと、を備えたスペクトル特徴調整器。」 <相違点> 「結合部材」について、本件補正発明は、「運動減衰デバイス」であるのに対して、引用発明は、「光路管30」である点。 (5) 相違点の検討 前記(3)のとおり、レーザチャンバと狭帯域化モジュールとの間をベローズで結合することは周知技術であって、ベローズの機能として振動の伝達を減衰することは技術常識(前記米国特許第06792023号明細書の10欄67行~11欄2行の記載も参照のこと。)である。 そうすると、引用発明の「光路管30」は、レーザチャンバ20と狭帯域化モジュール40との間に配置され、両者を結合している部品であるから、レーザチャンバ20と狭帯域化モジュール40との間で振動の伝達による悪影響を減らすために、上記周知技術を適用して、当該「光路管30」を振動を減衰するベローズ、すなわち、運動減衰デバイスとし、本件補正発明の相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (6) 本件補正発明の効果について 相違点を備える本件補正発明の効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (7) 請求人の主張について 請求人は、引用文献2には、運動減衰デバイスについて記載がない旨を主張している。 しかしながら、引用文献2に運動減衰デバイスについて記載がないとしても、前記(5)に説示のとおり、引用発明に周知技術を適用することは、当業者が容易になし得たことであるから、請求人の前記主張は採用できない。 (8) 小括 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~14に係る発明は、令和5年7月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)において本件補正前の請求項1として記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 本願発明は、その出願の優先日前に頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である下記引用文献2に記載された引用発明及び周知技術に基づいて、その出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献2:国際公開第2017/072879号 引用文献4:特開2004-111765号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5:特開2014-135524号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2に記載された事項及び引用発明の認定は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「一時内部」について「パージガスを含む」という限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)及び(5)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-022315

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