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特許拒絶査定不服審判

2024-000540

感光性樹脂組成物、パターン硬化膜とその製造方法、感光性エレメント及びプリント配線板とその製造方法

審判番号
2024-000540
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-154511
請求日
2024年01月12日
審決日
2025年02月10日
公報発行日
2025年04月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社レゾナック
  • 【請求人代理人】長谷川 芳樹
  • 【請求人代理人】清水 義憲
  • 【請求人代理人】平野 裕之
  • 【請求人代理人】篠田 真由美
  • 【請求人代理人】吉住 和之
  • 【請求人代理人】和田 雄二
審判長/審判官
  • 審判長 橿本 英吾
  • 審判官 宮澤 浩
  • 審判官 本田 博幸
分類
P18 .113-Z (G03F) / P18 .121-Z (G03F) / P18 .572-Z (G03F) / P18 .575-Z (G03F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
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特願2019-154511「感光性樹脂組成物、パターン硬化膜とその製造方法、感光性エレメント及びプリント配線板とその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月 1日出願公開、特開2021- 33114〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年8月27日の出願であって、令和5年4月11日付けで拒絶理由が通知され、同年10月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和6年1月12日に審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。 その後、令和6年2月22日に、審判請求書の請求の理由が補正され、同年7月19日及び9月6日に上申書が提出された。 第2 令和6年1月12日の手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年1月12日の手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正前の請求項1に係る発明 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。 「 (A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラー及び(E)メラミン化合物を含有する硬化剤、を含有してなる感光性樹脂組成物であって、前記(D)無機フィラーが、アミノ基を有するシランカップリング剤で表面処理される無機フィラーを含む感光性樹脂組成物。」 (2)本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。 「 (A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラー及び(E)硬化剤、を含有してなる感光性樹脂組成物であって、前記(D)無機フィラーが、アミノ基を有するシランカップリング剤で表面処理されるシリカを含み、 前記(D)無機フィラーの含有量が、前記感光性樹脂組成物中の固形分全量の30~60質量%であり、前記(E)硬化剤の含有量が、前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり75~140質量部であり、 前記(E)硬化剤が、エポキシ樹脂及びメラミン化合物を含有し、前記(E)硬化剤中のエポキシ樹脂の含有量が前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部であり、前記(E)硬化剤中のメラミン化合物の含有量が前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部である、感光性樹脂組成物。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「(D)無機フィラー」について、「シリカ」を含むとの要件を加えるとともに、(D)無機フィラーの含有量が、「感光性樹脂組成物中の固形分全量の30~60質量%」であるという要件を加えるものである。また、「(E)硬化剤」について、メラミン化合物に加えて、「エポキシ樹脂」を含有すること、及び、(E)硬化剤の含有量が、「(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり75~140質量部」であること、エポキシ樹脂の含有量が「(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部」であること、及び、メラミン化合物の含有量が「(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部」であること、という要件を加えるものである。 本件補正は、「(D)無機フィラー」及び「(E)硬化剤」について限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 3 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に記載したとおりのものである。 4 引用文献 (1)引用文献4 ア 引用文献4の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に頒布された引用文献である、特開2012-73601号公報(平成24年4月12日出願公開。以下「引用文献4」という。)には、以下の記載事項がある。なお、合議体が引用発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。 (ア)特許請求の範囲 「【請求項1】 無機充填剤、バインダー、光重合開始剤および重合性化合物をそれぞれ少なくとも1種含有する感光性組成物であって、 該感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量が30質量%以上であり、 該無機充填剤の粒子表面が、下記一般式(A)で表される部分構造を有することを特徴とする感光性組成物。 -L1-NH-R2・・・一般式(A) 一般式(A)中、R2は炭素数1~12の有機基を表し、L1は炭素数1~12のアルキレン基を表す。 ・・・ 【請求項4】 前記無機充填剤が、下記一般式(C)で表されるシランカップリング剤により処理されてなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性組成物。 【化1】 [図:0001421117000001.jpg] 一般式(C)中、Rはメチル基またはエチル基を表し、nは1~5の整数を表す。ここで、3個のRはそれぞれ同一でも異なってもよい。」 (イ)技術分野 「【0001】 本発明は、ソルダーレジストなどに好適に用いられる感光性組成物、並びに、該感光性組成物を用いた感光性フィルム、高精細な永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストなど)、永久パターン形成方法、及びプリント基板に関し、特に、配線基板や電子部品モジュールに用いられ、実装時の熱履歴や温度サイクル試験(TCT)に対する耐熱疲労性に優れた永久パターン、その効率的な形成方法、更には該形成方法により永久パターンが形成されたプリント基板に関する。」 (ウ)発明が解決しようとする課題 「【0012】 本発明は、従来における前記諸問題に対応し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、及び解像性に優れた高性能な硬化膜を得ることができ、且つ感光性フィルムにおける無機充填剤の分散性を向上させることができる感光性組成物、並びに、感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法、及びプリント基板を提供することを目的とする。 さらに、本発明は、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、及び解像性に優れ、光透過性が高い高性能な硬化膜を得ることができ、且つ感光性フィルムにおける無機充填剤の分散性を向上させることができる感光性組成物、並びに、感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法、及びプリント基板を提供することを目的とする。」 (エ)課題を解決するための手段 「【0013】 前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、 <1>無機充填剤、バインダー、光重合開始剤および重合性化合物をそれぞれ少なくとも1種含有する感光性組成物であって、 該感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量が30質量%以上であり、 該無機充填剤の表面が、下記一般式(A)で表される部分構造を有する感光性組成物である。 【0014】 -L1-NH-R2・・・一般式(A) 【0015】 一般式(A)中、R2は炭素数1~12の有機基を表し、L1は炭素数1~12のアルキレン基を表す。」 (オ)発明の効果 「【0046】 本発明により、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、及び解像性に優れ、光透過性が高い高性能な硬化膜を得ることができ、且つ感光性フィルムにおける無機充填剤の分散性を向上させることができる感光性組成物、並びに、感光性フィルム、永久パターン、永久パターン形成方法、及びプリント基板を提供できる。」 (カ)発明を実施するための形態 「【0048】 (感光性組成物) 本発明の感光性組成物は、少なくとも1種の無機充填剤を含有し、特に好ましくはバインダー、光重合開始剤、重合性化合物をそれぞれ含有してなり、熱架橋剤、有機溶剤、熱可塑性エラストマー、熱硬化促進剤、着色剤、密着促進剤、熱重合禁止剤、さらに必要に応じてその他の成分を含有してなる。 なお、本明細書において、感光性組成物における固形分含有量とは、感光性組成物の全固形分中における指定された固形物質の含有量(固形分含有量)を意味する。 【0049】 <無機充填剤> 本発明で使用する無機充填剤(無機フィラー)は、充填剤の粒子の表面が下記一般式(A)で表される部分構造を有する。なお、粒子の表面に有するとは、充填剤粒子の表面と化学結合していることが好ましく、一般式(A)を部分的に含んだ基(該基は全体として、1価~3価のいずれでもよい)が、充填剤の粒子表面に存在する基(例えば水酸基)と化学結合していることが好ましい。 【0050】 -L1-NH-R2・・・一般式(A) 【0051】 一般式(A)中、R2は炭素数1~12の有機基を表し、L1は炭素数1~12のアルキレン基を表す。 【0052】 上記一般式(A)で表される部分構造は、下記一般式(B)で表される部分構造として充填剤の粒子の表面に有する(好ましくは粒子表面の基と結合している)のが好ましい。 【0053】 -Si(OR1)2-L1-NH-R2・・・一般式(B) 【0054】 一般式(B)中、R1はメチル基またはエチル基を表し、R2は炭素数1~12の有機基を表し、L1は炭素数1~12のアルキレン基を表す。ここで、2個のR1はそれぞれ同一でも異なってもよい。 上記一般式(A)または(B)で表される部分構造を、充填剤の粒子表面に有する無機充填剤は、下記一般式(BA)で表されるシランカップリング剤で処理する、すなわち、該粒子表面に存在する基と反応させることで、得ることができる。 【0055】 (R1O)3Si-L1-NH-R2・・・一般式(BA) 【0056】 一般式(BA)中、R1はメチル基またはエチル基を表し、R2は炭素数1~12の有機基を表し、L1は炭素数1~12のアルキレン基を表す。ここで、3個のR1はそれぞれ同一でも異なってもよい。 上記一般式(BA)で表されるシランカップリング剤のうち、好ましくは、下記一般式 (C)で表されるシランカップリング剤である。 【0057】 【化13】 [図:0001421117000002.jpg] 【0058】 一般式(C)中、Rはメチル基またはエチル基を表し、nは1~5の整数を表す。ここで、3個のRはそれぞれ同一でも異なってもよい。 上記一般式(C)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、下記構造式で表される化合物(KBM-573)等が挙げられる。 【0059】 【化14】 [図:0001421117000003.jpg] ・・・ 【0067】 <バインダー> バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸基およびエチレン性不飽和基含有樹脂が好ましい。このような樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドもしくはポリイミド樹脂が挙げられる。 ここで、エチレン性不飽和基とは、臭素価やヨウ素価の測定で消費されるエチレン結合を有する基であり、ベンゼンのような芳香族を示す基ではない。エチレン性不飽和基は置換基を有してもよいビニル基が好ましい。 なお、本発明においては、エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する樹脂ではなく、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応させた樹脂のことであり、詳細は後述する。 これらの酸基およびエチレン性不飽和基含有樹脂のうち、上記のポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。 また、酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基等が挙げられるが、本発明においてはカルボキシル基が特に好ましい。 ・・・ 【0143】 -酸基およびエチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂- 酸基およびエチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂は、化学構造的には、ポリマー鎖が、1)ポリエーテルの系列と、2)ノボラック型の系列の分類できる。 1)ポリエーテルの系列と2)ノボラック型の系列はともに、代表的には以下のようにして合成される。 第一の合成方法 (a)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、(b)1分子中に少なくとも2個の水酸基と1個のカルボキシル基を有する化合物、および(c)エチレン性不飽和基含有モノカルボン化合物、との反応物(I)に、さらに(d)多塩基酸無水物を反応させる。このようにして合成された樹脂としては、例えば、特許第2877659号公報に記載されたもの等が挙げられる。 第二の合成方法 (a)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、および(c)エチレン性不飽和基含有モノカルボン化合物、との反応物(II)に、さらに(d)多塩基酸無水物を反応させる。このようにして合成された樹脂としては、例えば、特許第4127010号公報(特開2004-133060号公報)や国際公開第04/034147号パンフレットに記載された樹脂が挙げられる。 ・・・ 【0145】 <重合性化合物> 前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分子中に少なくとも1個のラジカル重合可能な基(好ましくは、エチレン性不飽和基)を有する化合物で、モノマーが好ましく、沸点が常圧で100℃以上である化合物がより好ましく、例えば、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。 【0146】 前記(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリン、ビスフェノールなどの多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48-41708号公報、特公昭50-6034号公報、特開昭51-37193号公報などの各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48-64183号公報、特公昭49-43191号公報、特公昭52-30490号公報などの各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類などの多官能アクリレートやメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートがより好ましい。 【0147】 重合性化合物の感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2質量%~50質量%が好ましく、3質量%~40質量%がより好ましく、4質量%~35質量%が特に好ましい。 固形分含有量が2質量%未満であると、パターン形成ができないことがあり、50質量%を超えると、耐クラック性が劣ることがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、良好なパターン形成と耐クラック性とを両立できる点で有利である。 【0148】 <光重合開始剤> 光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの)、ホスフィンオキサイド、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル等が挙げられる。 ・・・ 【0159】 <熱架橋剤> 熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、多官能オキセタン化合物などが挙げられる。 これらの中でも、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ樹脂化合物、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物が好ましい。 【0160】 前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007-2030号公報の段落「0095」や、特開2010-72340号公報の段落「0130」に記載された化合物等が挙げられる。 【0161】 前記多官能オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007-2030号公報の段落「0096」に記載された化合物等が挙げられる。 【0162】 熱架橋剤の感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%~50質量%が好ましく、2質量%~40質量%がより好ましく、3質量%~30質量%が特に好ましい。 固形分含有量が1質量%未満であると、耐熱性が劣ることがあり、50質量%を超えると、現像性や耐クラック性が劣ることがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、良好な感度で硬化膜が作製でき、形成された硬化膜も、耐熱性と耐クラック性とを両立できる点で有利である。 【0163】 <<その他の熱架橋剤>> その他の熱架橋剤は、前記エポキシ樹脂や多官能オキセタン化合物とは別に添加することができる。その他の熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007-2030号公報の段落「0098」~「0100」に記載された化合物等が挙げられる。 【0164】 <熱可塑性エラストマー> 熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びシリコーン系エラストマー等が挙げられる。 これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性、強度に、後者が柔軟性、強靭性に寄与している。 エラストマーは、特開2007-199532号公報の段落「0197」~「0207」に記載された通りである。 【0165】 <熱硬化促進剤> 熱硬化促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007-2030号公報の段落「0101」に記載された化合物等が挙げられる。 【0166】 熱硬化促進剤の前記感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%~20質量%が好ましく、0.05質量%~15質量%がより好ましく、0.1質量%~10質量%が特に好ましい。 固形分含有量が0.01質量%未満であると、硬化膜の強靭性を発現することができないことがあり、20質量%を超えると、感光性組成物の保存安定性が悪化することがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、感光性組成物の保存安定性と良好な硬化膜物性とを両立できる点で有利である。 【0167】 <着色剤> 着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、着色顔料や、公知の染料の中から、適宜選択した染料を使用することができる。 【0168】 着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007-2030号公報の段落「0106」に記載された化合物等が挙げられる。 【0169】 <密着促進剤> 密着促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007-2030号公報の段落「0108」に記載された化合物等が挙げられる。 【0170】 密着促進剤の感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%~20質量%が好ましく、0.05質量%~15質量%がより好ましく、0.1質量%~10質量%が特に好ましい。 固形分含有量が0.01質量%未満であると、硬化膜の強靭性を発現することができないことがあり、20質量%を超えると、感光性組成物の保存性が悪化することがある。一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、感光性組成物の良好な保存安定性と良好な硬化膜物性とを両立できる点で有利である。 【0171】 <熱重合禁止剤> 熱重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007-2030号公報の段落「0113」に記載された化合物等が挙げられる。 【0172】 <その他の成分> その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベントン、モンモリロナイト、エアロゾル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤のような添加剤類を用いることができる。 【0173】 <有機溶剤> 有機溶剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開平11-240930号公報の段落「0043」や、特開2007-2030の段落「0121」に記載された化合物等が挙げられる。 【0174】 有機溶剤の前記感光性組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%~80質量%が好ましく、2質量%~70質量%がより好ましく、3質量%~60質量%が特に好ましい。 前記含有量が1質量%未満であると、組成物の粘度が高く塗膜の形成が困難になることがあり、80質量%を超えると、所望の膜厚の制御が困難になることがある。一方、前記含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、塗膜製造適性の点で有利である。」 (キ)実施例 「【0181】 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。 【0182】 バインダー樹脂1~7(合成例1~7)を以下のように合成した。 【0183】 (合成例1)バインダー樹脂1の合成 クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN-104S、軟化点92℃、エポキシ当量220)2,200質量部(10当量)、プロピレングリコールモノメチルエーテル134質量部(1モル)、アクリル酸648.5質量部(9モル)、メチルハイドロキノン4.6質量部、カルビトールアセテート1131質量部及びソルベントナフサ484.9質量部を仕込み、90℃に加熱し撹拌し、反応混合物を溶解した。次いで反応液を60℃まで冷却し、トリフェニルホスフィン13.8質量部を仕込み、100℃に加熱し、約32時間反応し、酸価が0.5mgKOH/gの反応物(水酸基、12当量)を得た。次に、これにテトラヒドロ無水フタル酸364.7質量部(2.4モル)、カルビトールアセテート137.5質量部及びソルベントナフサ58.8質量部を仕込み、95℃に加熱し、約6時間反応し、冷却し、固形分の酸価が40mgKOH/gであり、固形分の濃度40%となるようにカルビトールアセテートで希釈して、エチレン性不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(バインダー樹脂1)を得た。 ・・・ 【0191】 (実施例1シリーズ) 表面処理フィラー1~6(調製例1~6)を以下のように合成した。 【0192】 (調製例1)表面処理フィラー1の調製 シリカ粒子(商品名:SO-C2、アドマテックス社製、平均粒径(d50):0.5μm)100質量部に対して、下記構造式のシランカップリング剤(商品名:KBM-573、信越化学工業(株)製)を1質量部添加して、シランカップリング処理を行い、表面処理フィラー1を調製した。 【0193】 【化27】 [図:0001421117000004.jpg] ・・・ 【0203】 (実施例1-1) <感光性組成物塗布液の調製> 下記の各成分を混合し、感光性組成物塗布液を調製した。 この感光性組成物塗布液の粘度を、E型粘度計(商品名:VISCOMETER RE-80、TOKI製)を用いて、測定した。 ---------------------------------- 合成例1で合成したバインダー樹脂1 32.3質量部 着色顔料:HELIOGEN BLUE D7086(BASF社製) 0.021質量部 着色顔料:Pariotol Yellow D0960(BASF社製) 0.006質量部 重合性化合物:DCP-A(共栄社化学社製) 5.3質量部 開始剤:イルガキュア907(BASF(株)製) 0.6質量部 増感剤:DETX-S(日本化薬株式会社製) 0.005質量部 反応助剤:EAB-F(保土ヶ谷化学(株)製) 0.019質量部 硬化剤:メラミン(商品名:和光純薬製) 0.16質量部 熱架橋剤:エポトートYDF-170(東都化成(株)製)2.9質量部 無機充填剤:表面処理フィラー1 16.0質量部 イオントラップ剤:IXE-6107(東亞合成製) 0.82質量部 塗布助剤:メガファックF-780F 0.2質量部 (大日本インキ(株)製:30質量%メチルエチルケトン溶液) エラストマー:エスぺル1612(日立化成工業(株)製)2.7質量部 シクロヘキサノン(溶媒) 38.7質量部 ・・・ 【0225】 【表1】 [図:0001421117000005.jpg] ・・・ 【0228】 表1~3に示す結果より、無機充填剤の表面が前記一般式(A)で表される部分構造を有する無機充填剤を含有する感光性組成物は、良好な分散性、塗布適性、塗布面状を有する感光性塗布膜を得ることができ、しかも、形成された感光性塗布膜は、埋め込み性、耐熱衝撃性(TCT)、電気絶縁性(HAST)、はんだ耐熱性、解像性に優れた硬化膜を得ることができ、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いることができる。」 イ 引用文献4に記載された発明 引用文献4の上記記載事項(キ)に基づけば、引用文献4には、実施例1-1の感光性組成物塗布液の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN-104S、軟化点92℃、エポキシ当量220)2,200質量部(10当量)、プロピレングリコールモノメチルエーテル134質量部(1モル)、アクリル酸648.5質量部(9モル)、メチルハイドロキノン4.6質量部、カルビトールアセテート1131質量部及びソルベントナフサ484.9質量部を仕込み、90℃に加熱し撹拌し、反応混合物を溶解し、次いで反応液を60℃まで冷却し、トリフェニルホスフィン13.8質量部を仕込み、100℃に加熱し、約32時間反応し、酸価が0.5mgKOH/gの反応物(水酸基、12当量)を得て、次に、これにテトラヒドロ無水フタル酸364.7質量部(2.4モル)、カルビトールアセテート137.5質量部及びソルベントナフサ58.8質量部を仕込み、95℃に加熱し、約6時間反応し、冷却し、固形分の酸価が40mgKOH/gであり、固形分の濃度40%となるようにカルビトールアセテートで希釈して、エチレン性不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(バインダー樹脂1)を得て、 シリカ粒子(商品名:SO-C2、アドマテックス社製、平均粒径(d50):0.5μm)100質量部に対して、下記構造式のシランカップリング剤(商品名:KBM-573、信越化学工業(株)製)を1質量部添加して、シランカップリング処理を行い、表面処理フィラー1を調製し、 【化27】 [図:0001421117000006.jpg] 下記の各成分を混合して調製した感光性組成物塗布液。 バインダー樹脂1 32.3質量部 着色顔料:HELIOGEN BLUE D7086(BASF社製) 0.021質量部 着色顔料:Pariotol Yellow D0960(BASF社製) 0.006質量部 重合性化合物:DCP-A(共栄社化学社製) 5.3質量部 開始剤:イルガキュア907(BASF(株)製) 0.6質量部 増感剤:DETX-S(日本化薬株式会社製) 0.005質量部 反応助剤:EAB-F(保土ヶ谷化学(株)製) 0.019質量部 硬化剤:メラミン(商品名:和光純薬製) 0.16質量部 熱架橋剤:エポトートYDF-170(東都化成(株)製)2.9質量部 無機充填剤:表面処理フィラー1 16.0質量部 イオントラップ剤:IXE-6107(東亞合成製) 0.82質量部 塗布助剤:メガファックF-780F 0.2質量部 (大日本インキ(株)製:30質量%メチルエチルケトン溶液) エラストマー:エスぺル1612(日立化成工業(株)製)2.7質量部 シクロヘキサノン(溶媒) 38.7質量部」 5 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (1)(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂 引用発明の「バインダー樹脂1」は、「クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂」と「アクリル酸」を反応させ、さらに「テトラヒドロ無水フタル酸」を反応させて得られた「エチレン性不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂」である。そうすると、引用発明の「バインダー樹脂1」は、本件補正発明の「(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂」に相当する。 (2)(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー 引用発明の「重合性化合物:DCP-A(共栄社化学社製)」は、技術的にみて、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレートである(例えば、特開2014-106326号公報の段落【0050】を参照。)である。そうすると、引用発明の「重合性化合物:DCP-A(共栄社化学社製)」は、本件補正発明の「(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー」に相当する。 (3)(C)光重合開始剤 引用発明の「開始剤:イルガキュア907(BASF(株)製)」は、本件補正発明の「(C)光重合開始剤」に相当する。 (4)(D)無機フィラー 引用発明の「無機充填剤:表面処理フィラー1」は、「シリカ粒子」に対して、下記構造式のシランカップリング剤を添加して、シランカップリング処理を行ったものである。 [図:0001421117000007.jpg] そして、上記シランカップリング剤は、その化学構造式からみて、アミノ基を有するシランカップリング剤であるといえる。 そうすると、引用発明の「無機充填剤:表面処理フィラー1」は、本件補正発明の「(D)無機フィラー」に相当し、「(D)無機フィラーが、アミノ基を有するシランカップリング剤で表面処理されるシリカを含み」とする要件を満たしている。 また、引用発明の「無機充填剤:表面処理フィラー1」の含有量は、感光性組成物塗布液の固形分全量の約39質量%である。そうすると、引用発明の「無機充填剤:表面処理フィラー1」は、本件補正発明の「前記(D)無機フィラーの含有量が、前記感光性樹脂組成物中の固形分全量の30~60質量%であり」とする要件を満たしている。 なお、感光性組成物塗布液の固形分全量は、次のように求められる。 バインダー樹脂1 32.3質量部 ×固形分濃度40%= 12.9 質量部 HELIOGEN BLUE D7086(BASF社製) 0.021質量部 Pariotol Yellow D0960(BASF社製) 0.006質量部 DCP-A 5.3 質量部 イルガキュア907 0.6 質量部 DETX-S 0.005質量部 EAB-F 0.019質量部 メラミン 0.16 質量部 エポトートYDF-170 2.9 質量部 表面処理フィラー1 16.0 質量部 IXE-6107(東亞合成製) 0.82 質量部 メガファックF-780F 0.2質量部 ×固形分濃度30%= 0.06 質量部 エスぺル1612 2.7 質量部 シクロヘキサノン(溶媒) 0 質量部 固形分合計 41.491質量部 また、感光性組成物塗布液の固形分全量に対する表面処理フィラー1の含有割合は、次のように求められる。 16.0/41.491×100=38.562 なお、引用文献4の記載事項(キ)の表1には、実施例1-1の「無機充填剤固形分含有量(質量%)」について、「40.0」と記載されている。表1における表記は、上記計算結果と整合しないものの、いずれの値を採用した場合であっても、本件補正発明の「前記(D)無機フィラーの含有量が、前記感光性樹脂組成物中の固形分全量の30~60質量%であり」とする要件を満たしている。 (5)(E)硬化剤 引用発明の「エポトートYDF-170(東都化成(株)製)」は、技術的にみて、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(例えば、特開2018-136522号公報の段落【0055】を参照。)である。そうすると、引用発明の「硬化剤:メラミン(商品名:和光純薬製)」及び「エポトートYDF-170(東都化成(株)製)」は、それぞれ、本件補正発明の「メラミン化合物」及び「エポキシ樹脂」に相当する。したがって、引用発明の「硬化剤:メラミン(商品名:和光純薬製)」及び「エポトートYDF-170(東都化成(株)製)」は、いずれも、本件補正発明の「(E)硬化剤」に相当し、「前記(E)硬化剤が、エポキシ樹脂及びメラミン化合物を含有し」とする要件を満たしている。 また、引用発明の「エポトートYDF-170(東都化成(株)製)」の含有量は、「バインダー樹脂1」の100質量部あたり、約22質量部である。そうすると、引用発明の「エポトートYDF-170(東都化成(株)製)」は、本件補正発明の「前記(E)硬化剤中のエポキシ樹脂の含有量が前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部であり」とする要件を満たしている。 なお、「バインダー樹脂1」100質量部に対する「エポトートYDF-170(東都化成(株)製)」の含有量は、次のように求められる。 2.9/12.9×100=22.48 また、「バインダー樹脂1」100質量部に対する「メラミン(商品名:和光純薬製)」の含有量は、次のように求められる。 0.16/12.9×100=1.24 さらに、「バインダー樹脂1」100質量部に対する「メラミン(商品名:和光純薬製)」及び「エポトートYDF-170(東都化成(株)製)」の含有量は、次のように求められる。 (2.9+0.16)/12.9×100=23.72 (6)感光性樹脂組成物 引用発明の「感光性組成物塗布液」は、上記(1)~(5)の成分を含有するものである。そうすると、引用発明の「感光性組成物塗布液」は、本件補正発明の「感光性樹脂組成物」に相当する。 (7)一致点及び相違点 以上より、本件補正発明と引用発明とは、 「 (A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラー及び(E)硬化剤、を含有してなる感光性樹脂組成物であって、前記(D)無機フィラーが、アミノ基を有するシランカップリング剤で表面処理されるシリカを含み、 前記(D)無機フィラーの含有量が、前記感光性樹脂組成物中の固形分全量の30~60質量%であり、 前記(E)硬化剤が、エポキシ樹脂及びメラミン化合物を含有し、前記(E)硬化剤中のエポキシ樹脂の含有量が前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部である、感光性樹脂組成物。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 本件補正発明は、(E)硬化剤の含有量が、前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり75~140質量部であり、(E)硬化剤中のメラミン化合物の含有量が前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部であるのに対し、引用発明の「硬化剤:メラミン」及び「熱架橋剤:エポトートYDF-170」を合わせた含有量は、「バインダー樹脂1」100質量部あたり、約24質量部であり、引用発明の「硬化剤:メラミン」の含有量が、「バインダー樹脂1」100質量部あたり、約1質量部である点。 6 判断 上記[相違点]について検討すると、引用文献4には、「硬化剤:メラミン」の含有量を調整することについての直接の記載はない。しかし、引用文献4の段落【0165】には、「熱硬化促進剤」について、「熱硬化促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007-2030号公報の段落「0101」に記載された化合物等が挙げられる。」と記載されている。ここで、特開2007-2030号公報の段落「【0101】には、「また、前記エポキシ樹脂化合物や前記多官能オキセタン化合物の熱硬化を促進するため、エポキシ又はオキセタン熱硬化促進剤を添加することが好ましい。エポキシ又はオキセタン熱硬化促進剤としては、例えば、・・・;メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン化合物;・・・等などを用いることができる。」(下線は合議体が付した。)と記載されている。 これらの記載に基づけば、引用発明の「硬化剤:メラミン」は、引用文献4の記載事項(カ)「発明を実施するための形態」において、「熱硬化促進剤」として説明される成分であると理解できる。そして、引用文献4の段落【0166】には、「熱硬化促進剤の前記感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%~20質量%が好ましく、0.05質量%~15質量%がより好ましく、0.1質量%~10質量%が特に好ましい。」、「一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、感光性組成物の保存安定性と良好な硬化膜物性とを両立できる点で有利である。」と記載されている。 当該記載に基づけば、引用発明の「硬化剤:メラミン」の含有量は、感光性組成物の保存安定性と良好な硬化膜物性とを両立できるように、適宜調整することができるものである。 また、引用文献4には、段落【0162】に、「熱架橋剤の感光性組成物における固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%~50質量%が好ましく、2質量%~40質量%がより好ましく、3質量%~30質量%が特に好ましい。」、「一方、固形分含有量が、上記の特に好ましい範囲内であると、良好な感度で硬化膜が作製でき、形成された硬化膜も、耐熱性と耐クラック性とを両立できる点で有利である。」と記載されている。当該記載に基づけば、引用発明の「熱架橋剤:エポトートYDF-170」についても、耐熱性と耐クラック性とを両立できるように、適宜調整できるものといえる。 そうすると、引用発明は、感光性組成物における固形分含有量として、「硬化剤:メラミン」を約0.39質量%(=0.16/41.491×100)含有し、「熱架橋剤:エポトートYDF-170」を約7.00質量%(=2.9/41.491×100)含有しているところ、引用文献4には、耐熱性、耐クラック性及び保存安定性等を考慮して、「硬化剤:メラミン」を0.01~20質量%の範囲(特に好ましくは、0.1~10質量%)で、「熱架橋剤:エポトートYDF-170」を1~50質量%の範囲(特に好ましくは、3~30質量%)で調整することが示唆されているといえる。 仮に、特に好ましいとされる値の中央値となるように、引用発明の感光性樹脂組成物塗布液の「硬化剤:メラミン」を15.45質量部(固形分含有量中の含有量5.05質量%)に、「熱架橋剤:エポトートYDF-170」を8.1質量部(固形分中の含有量16.5質量%)に変更したとすると、引用文献4における「該感光性組成物の全固形分中における該無機充填剤の含有量が30質量%以上」(請求項1及び課題を解決するための手段の段落【0013】)という要件を満たしつつ、「バインダー樹脂1」100質量部あたり、「硬化剤:メラミン」を約19質量部、「熱架橋剤:エポトートYDF-170」を約63質量部含有することとなる。そうすると、「硬化剤:メラミン」と「熱架橋剤:エポトートYDF-170」との合計量は、約82質量部となり、本件補正発明の「前記(D)無機フィラーの含有量が、前記感光性樹脂組成物中の固形分全量の30~60質量%」であり、「前記(E)硬化剤の含有量が、前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり75~140質量部」であり、「前記(E)硬化剤中のエポキシ樹脂の含有量が前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部」であり、「前記(E)硬化剤中のメラミン化合物の含有量が前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部」である、とする要件を全て満たすことになる。 以上より、引用文献4の示唆にしたがい、引用発明の「硬化剤:メラミン」と「熱架橋剤:エポトートYDF-170」の含有量を調整し、本件補正発明の「(E)硬化剤の含有量が、前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり75~140質量部」であり、「(E)硬化剤中のメラミン化合物の含有量が前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部」であるとする要件を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことである。 7 むすび 以上のとおり、上記[相違点]は、当業者が容易に想到し得たものであるから、本件補正発明は、引用発明及び引用文献4の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件発明 1 本件発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~14に係る発明は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1、3~5、8~10、12~13に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献4に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない、また、この出願の請求項1~10、12~13に係る発明は、引用文献4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 引用文献4:特開2012-73601号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4及びその記載事項は、前記第2の4に記載したとおりである。 4 対比・判断 本件発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「(D)無機フィラー」について、「シリカ」を含むとする限定事項、「(E)硬化剤」について、メラミン化合物に加えて、「エポキシ樹脂」を含有すること、及び、(E)硬化剤の含有量が、「(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり75~140質量部」であること、エポキシ樹脂の含有量が「(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部」であること、及び、メラミン化合物の含有量が「(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部あたり15~100質量部」であること、という限定事項を削除したものにあたる。 このため、本件発明と引用発明とを対比すると、前記第2の5(7)に記載した[相違点]は、全て存在しないことになる。 したがって、本件発明と引用発明との間に差異は見いだせないから、本件発明は、本願の出願前に頒布された引用文献4に記載された発明であり、新規性を有さない。 第4 むすび 以上のとおり、本件発明は、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-000540

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