特許拒絶査定不服審判
2023-016808
医療用コネクタのための浄化キャップ
- 審判番号
- 2023-016808
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-214390外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年10月04日
- 審決日
- 2025年05月14日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アイシーユー・メディカル・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .121-WZ (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-214390「医療用コネクタのための浄化キャップ」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月28日出願公開、特開2022- 33240〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)10月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年11月10日(US)アメリカ合衆国 2017年4月27日(US)アメリカ合衆国 2017年6月29日(US)アメリカ合衆国 2017年6月30日(US)アメリカ合衆国 2017年10月11日(US)アメリカ合衆国 2016年10月14日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2019-520015号の一部を令和3年12月28日に新たな出願としたものであって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和 4年11月10日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 2月 6日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 5月29日付け:拒絶査定(送達日:令和5年6月5日)
同年10月 4日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和 6年 6月12日 :上申書の提出
同年 9月18日付け:拒絶理由通知書
令和 7年 3月24日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~11に係る発明は、令和7年3月24日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
消毒用キャップと、
剛性ハウジングであって、前記剛性ハウジングは、
底部壁部と、
前記底部壁部から延在する側壁部であって、前記側壁部は前記消毒用キャップを覆っており、前記消毒用キャップは、端壁部、前記端壁部から延在する側壁部、内部チャンバ、及び、前記内部チャンバへの開口を備え、前記消毒用キャップの前記側壁部は、内側に向けられた突起を含まず、かつ、前記端壁部から前記側壁部に沿って前記開口まで延在する、ねじ切りされていない内部表面を備え、前記内部表面は、長手方向に使用者がかける押す力で医療用デバイスのねじに固定できるように構成されている変形可能な素材から成る、側壁部と、
を備える、剛性ハウジングと、
消毒液を放出可能に保持するように構成されている吸収性材料であって、前記吸収性材料は、前記消毒用キャップの前記内部チャンバ内に配置され、前記内部表面の前記変形可能な素材から離間する、吸収性材料と、
前記剛性ハウジングの外面に取り外し可能に取り付けられ、かつ、前記内部チャンバ上に延在するシールであって、これにより、前記シールの除去時に前記吸収性材料が露出する、シールと、
を備えることを特徴とする消毒用キャップアセンブリ。」
第3 当審における拒絶の理由
当審が通知した拒絶の理由は、この出願の各請求項に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記1~4の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
1.米国特許出願公開第2013/0030414号明細書
2.米国特許出願公開第2015/0086441号明細書
3.特表2013-530794号公報
4.特表2015-533614号公報
第4 引用文献
1 引用文献1
当審の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2013/0030414号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、括弧内の訳文は当審で作成したものであり、下線は当審で付与したものである(以下同様)。
(1)引用文献1の記載事項
ア [0005]
「[0005] The present invention relates to an antiseptic cap and packaging for use with a connector. The antiseptic cap includes a material containing an antiseptic solution. Upon application of the cap to the connector, the material compresses thereby releasing the antiseptic solution. Packaging of the antiseptic cap typically comprises a cap holder and a lid. In some embodiments a user could remove the cap from the cap holder before applying it to a connector. In other embodiments the cap holder may be used to aid in application of the cap to the connector. A variety of embodiments could be used to facilitate different types of connectors.」
([0005] 本発明は、消毒キャップ及びコネクタとともに使用するための包装に関する。消毒キャップは、消毒剤溶液を含む材料を含む。コネクタにキャップを適用すると、その材料は圧縮され、それによって消毒液を放出する。消毒キャップの包装は、典型的には、キャップホルダと蓋を備えている。いくつかの実施形態では、ユーザは、コネクタに適用する前に、キャップホルダからキャップを取り出すことができる。他の実施形態において、キャップホルダは、コネクタへのキャップの適用を助けるために使用することができる。種々の実施形態は、異なるタイプのコネクタを容易にするために使用できる。)
イ [0074]、[0076]、[0077]、[0080]及び[0081]
「[0074] FIGS. 1A-1B are views of an antiseptic cap 10 engaged to an injection site 12. The injection site 12 could be a needleless cannula access device.」
([0074] 図1A~図1Bは、注入部位12に係合される、消毒キャップ10の図である。注入部位12は、無針カニューレアクセス装置とすることができる。)
「[0076] The antiseptic cap 10 has a generally cylindrically shaped sidewall 26 that defines a chamber 28 sized to accommodate the injection site 12. The chamber 28 contains an antiseptic which could be carried by an absorbent material, such as a sponge 30, positioned within the chamber 28. Alternatively, the antiseptic cap 10 could be fully or partially formed of an adsorbent material. The sidewall 26 has an edge 32 that defines an open end. The antiseptic cap could include a substantially flat surface 34 that defines an opposite, closed end. The antiseptic cap could include a cylindrical groove 36 formed therein. The antiseptic cap 10 could be made from a thermoplastic elastomer, such as the thermoplastic elastomer sold by ExxonMobil under the trademark Santoprene, plastic, a plastic and thermoplastic elastomer combination, silicone, or any other suitable material.」
([0076] 消毒キャップ10は、注入部位12を収容する大きさのチャンバ28を画定する略円筒状の側壁26を有している。チャンバ28は、チャンバ28内に配置されたスポンジ30のような吸収性物質によって保持される消毒剤を含む。あるいは、消毒キャップ10は、完全に又は部分的に吸収性材料から形成してもよい。側壁26は、開放端部を画定する縁部32を有している。消毒キャップは、反対側の閉鎖端部を画定する実質的に平坦な表面34を含むことができる。消毒キャップは、そのキャップに形成された円筒状の溝36を含むことができる。消毒キャップ10は、熱可塑性エラストマー、例えば、Santoprene商標の下でExxonMobilによって販売されている熱可塑性エラストマー、プラスチック、プラスチック及び熱可塑性エラストマーの組み合わせ、シリコーン、又は任意の他の適切な材料から製造することができる。)
「[0077] ・・・It is desirable that the absorbent material can retain a fluid such as a disinfectant. It is also desirable that the absorbent material is compressible and that the absorbed fluid is released on compression. 」
([0077]・・・吸収性材料は、消毒液のような流体を保持することができることが望ましい。吸収性材料は、圧縮性であるが、吸収された液体は、圧縮する際に放出されることが望ましい。)
「[0080] Referring to FIG. 1B, the antiseptic cap 10 is shown attached to the ’Y’ connector injection site 14 such that the sidewall 26 is adjacent the intersection 22 between the main arm 16 and the angled branch 18. In this position, the sponge 30 is compressed between the substantially flat surface 34 of the antiseptic cap 10 and the septum 24, which releases at least a portion of the antiseptic fluid to disinfect the surface of the septum 24 and areas adjacent to the septum 24.」
([0080] 図1Bを参照すると、消毒キャップ10は、側壁26が主アーム16と傾斜分枝18の間の交差22に隣接するように、「Y」コネクタ注入部位14に取り付けられることが図示される。この位置で、スポンジ30は、消毒キャップ10の実質的に平坦な表面34と隔壁24との間で圧縮されて、消毒剤流体の少なくとも一部を放出し、隔壁24の表面及び隔壁24に隣接する領域を消毒する。)
「[0081] Although the embodiment of the antiseptic cap 10 shown in FIGS. 1A-1B is engaged to a ‘Y’ connector injection site 14, it will be understood that the antiseptic cap 10 could engage other types of injection sites, as will be described hereinafter.」
([0081] 図1A~1Bに図示された消毒キャップ10の実施形態は、「Y」コネクタ注入部位14に係合され、消毒キャップ10は、以下に説明されるように、他のタイプの注入部位と係合できることが理解される。)
ウ [0085]、[0086]、[0090]、[0094]及び[0095]
「[0085] FIG. 3 shows a cap assembly 200 that includes another embodiment of an antiseptic cap, generally indicated as 210. The cap assembly includes a cap holder 230 and the antiseptic cap 210 is sized to be positioned within the cap holder 230.」
([0085] 図3は、概して210で示される消毒キャップの別の実施形態を含むキャップ組立体200を示している。キャップ組立体は、キャップホルダ230を含み、消毒キャップ210は、キャップホルダ230内に配置される寸法である。)
「[0086] The cap holder 230 includes a sidewall 221 that defines a chamber 232 sized to receive the antiseptic cap 210 therein. The cap holder 230 could include a gripping area, such as a fin 234 extending from a top closed surface 223 of the cap holder 230. ・・・The cap holder 230 could be made from a rigid or semi-rigid material, such as high-density polyethylene, or any other suitable material.」
([0086] キャップホルダ230は、その中に、消毒キャップ210を受容する大きさのチャンバ232を画定する側壁221を備えている。キャップホルダ230は、キャップホルダ230の上部密閉面223から伸長するフィン234を含むことができる。・・・キャップホルダ230は、剛性又は半剛性材料、例えば、高密度ポリエチレン、又は任意の他の適切な材料から形成することができる。)
「[0090] As shown in FIG. 3, the cap holder 230 could be sealed with a material, such as a lid 250, which could be formed of a foil material, or a lid stock material, which can be applied to the annular flange of the cap holder by any suitable method such as by adhesive or by conductive or inductive heat sealing techniques. A pull tab 252 could be provided to facilitate removal of the lid 250 to provide access to the antiseptic cap 210.」
([0090] 図3に示すように、キャップホルダ230は、接着剤によって又は導電性ないし誘導性熱シール技術のような好適な方法によって、キャップホルダの環状フランジへと適用することが可能な、ホイル材料や蓋材料で形成された蓋250のような材料でシールされてもよい。プルタブ252は、消毒キャップ210へのアクセスを提供する蓋250の取り外しを容易にするために提供されてもよい。)
「[0094] FIG. 5 shows another embodiment of a cap assembly, generally indicated as 300. The cap assembly 300 operates and is constructed in manners consistent with the cap assembly 200 shown in FIG. 3, unless stated otherwise. The cap assembly 300 includes a cap holder 330, an antiseptic cap 310 sized to be positioned within the cap holder 330, and a lid 350. In this embodiment, the cap holder 330 has a generally planar upper surface.」
([0094] 図5は、概して300で示されるキャップ組立体の別の実施形態を図示している。キャップ組立体300は、別に説明がない限り、図3に示すキャップ組立体200と一致する態様で構成され作用する。キャップアセンブリ300は、キャップホルダ330と、キャップホルダ330内に配置されるように寸法決めされた消毒キャップ310、及び蓋350を含む。この実施形態において、キャップホルダ330は、ほぼ平坦な上面を有している。)
「[0095] FIGS. 6A-6B show another embodiment of a cap assembly, generally indicated as 400. The cap assembly 400 operates and is constructed in manners consistent with the cap assembly 200 shown in FIG. 3, unless stated otherwise. 」
([0095] 図6A~6Bは、概して400で示されるキャップ組立体の別の実施形態を図示している。キャップ組立体400は、別に説明がない限り、図3に示すキャップ組立体200と一致する態様で構成され作用する。)
エ 図1A及び図1B
「
[図:0001427270000001.jpg]
」
「
[図:0001427270000002.jpg]
」
オ 図3及び図5
「
[図:0001427270000003.jpg]
」
「
[図:0001427270000004.jpg]
」
カ 図6B
「
[図:0001427270000005.jpg]
」
キ 前記イによれば、消毒キャップ10のスポンジ30は、チャンバ28内に配置されるとともに、実質的に平坦な表面34と注入部位12の隔壁24との間で圧縮されて、消毒流体の少なくとも一部を放出する。
そうすると、消毒キャップ10が注入部位12に係合するに当たり、スポンジ30は、かかる圧縮の機能を果たすべく、注入部位12に実質的に平坦な表面34が接するように、チャンバ28内に位置決めされることは、明らかである。そして、前記エの図1Bにも照らすと、スポンジ30は、チャンバ28のうち、略円筒状の側壁26の閉鎖端部(前記イ)の側で保持されて、チャンバ28内に位置決めされている。
ク 前記イによれば、略円筒状の側壁26は、注入部位12を収容するチャンバ28を画定するものであるところ、スポンジ30は、前記キを踏まえると、圧縮の機能を果たすべく、チャンバ28のうち、側壁26の開放端部(前記イ)の側で、注入部位12を収容する空間内に突出して、チャンバ28内に配置されている(前記突出の態様については、前記カの図6B(別の実施形態の断面図)を参照。)。
ケ 前記イ及びクによれば、チャンバ28の注入部位12を収容する空間内に注入部位12が挿入されることで、注入部位12に係合されると、スポンジ30が実質的に平坦な表面34と注入部位12の隔壁24との間で圧縮されて消毒液が放出する。
コ 前記ア~ウによれば、消毒キャップ10は、キャップホルダ及び蓋によって包装され、消毒キャップ10とキャップホルダと蓋とを備えるキャップ組立体が構成される。
(2)引用文献1に記載された発明
前記(1)の記載事項(特に、ア~イ、エ、カ~コ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「注入部位12に係合される消毒キャップ10であって、
注入部位12を収容するチャンバ28を画定し、開放端部を形成する縁部32を有する略円筒状の側壁26と、
反対側の閉鎖端部を画定する実質的に平坦な表面34と、
前記チャンバ28内に配置された、消毒液を放出可能に保持する吸収性物質のスポンジ30であって、チャンバ28のうち、側壁26の閉鎖端部側で保持され、かつ、側壁26の開放端部側で注入部位12を収容する空間内に突出するスポンジ30を備え、
熱可塑性エラストマー、プラスチック、シリコーン又は任意の他の適切な材料から製造され、
チャンバ28の注入部位12を収容する空間内に注入部位12が挿入されることで、注入部位12に係合されると、スポンジ30が実質的に平坦な表面34と注入部位12の隔壁24との間で圧縮されて消毒液が放出して、隔壁24の表面及び隔壁24に隣接する領域を消毒し、キャップホルダ及び蓋によって包装される、消毒キャップ10と、
キャップホルダと、蓋と、を備えるキャップ組立体。」
2 引用文献2
当審の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2015/0086441号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
ア [0042]
「[0042] FIG. 2 illustrates a partial cross-sectional side view of the antimicrobial device 100. As shown in FIG. 2, the antimicrobial device 100 includes a volume of antimicrobial substance 116 within the flexible housing 102. 」
([0042] 図2は、抗菌装置100の部分断面側面図を示す。図2に示すように、抗菌装置100は、可撓性ハウジング102内に抗微生物物質116の体積を含む。)
イ [0054]
「[0054] FIG. 6 illustrates a partial cross-sectional side view of an antimicrobial device such as, for example, the antimicrobial device 100 shown in FIGS. 1 and 2 received on a threaded portion 22 of a medical device 20. As shown in FIG. 6, the threaded portion 22 of the medical device 20 (e.g., a threaded Luer connection of a needleless access site) may be inserted through the access port 108 of the flexible housing 102. For example, the threaded portion 22 of the medical device 20 may be forced through the access port 108 to elastically deform at least a portion of one or more the protrusions 118 and/or the flexible housing 102.」
([0054] 図6は、例えば、図1及び図2に示す抗菌装置100のように、医療装置20のねじ部22に支持された抗菌装置の部分断面側面図を示す。図6に示すように、医療装置20(例えば、無針アクセスサイトのねじが切られたルアー接続)のねじ部22は、可撓性ハウジング102のアクセスポート108を通して挿入されてもよい。例えば、医療装置20のねじ部22は、アクセスポート108を通って押し進められ、1つ又は複数の突起部118及び/又は可撓性ハウジング102の少なくとも一部を弾性変形させてもよい。)
ウ 図2及び図6
「
[図:0001427270000006.jpg]
」
「
[図:0001427270000007.jpg]
」
3 引用文献3
当審の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2013-530794号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
ア 「【請求項14】
基端部及び末端部を有している本体であって、当該基端部は第1の静脈装置を受け入れるための第1の連結用表面を有し、及び当該末端部は第2の静脈装置を受け入れるための第2の連結用表面を有している本体と、
当該本体に連結されるキャップであって、アクセスポートの一部分を受け入れるための空間を画成する内表面を有しているキャップと、
当該キャップの当該内表面内に配置された抗菌薬(剤)と、
を備えることを特徴とするアクセスポートアダプター。」
イ 「【請求項15】
当該第1の連結用表面は、ねじが切られた表面であることを特徴とする請求項14に記載のアクセスポートアダプター。」
ウ 「【0001】
本発明は、概してアクセスポートの汚染を防止するシステム及び方法に関する。詳細には、この開示は、血管内装置のアクセスポートを受け入れるべく構成されている抗菌性のアクセスキャップを論じ、当該抗菌性のアクセスキャップの内表面は抗菌薬(剤)によって処理されている。」
エ 「【0020】
キャップ10は、一般に、アクセスポート20の一部分16を受け入れるための空間を画成する内表面14を備えている。」
オ 「【0022】
・・・ある実施形態においては、アクセスキャップ10が静脈装置アダプター50の一部分からなっている。アダプター50は、一般に、第1の、ねじが切られた表面62を有している基端部52・・・を備えている。」
カ 「【0023】
・・・使用されていない時には、抗菌薬(剤)40が基端部52に直接に接触するように、基端部52はアクセスキャップ10の内表面14内に挿入されて位置されている。」
キ 「
[図:0001427270000008.jpg]
」
4 引用文献4
当審の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2015-533614号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
ア 「【請求項1】
医療用アクセス・コネクタのための蓋閉めデバイスであって、
前記医療用アクセス・コネクタの頂部を覆うためのキャップと、
第1の部材及び第2の部材であって、前記第1の部材が前記キャップに接続される、第1の部材及び第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との間にあるリビング・ヒンジであって、前記キャップを用いて前記医療用アクセス・コネクタを蓋閉め及び蓋開けすることが前記医療用アクセス・コネクタを操作するユーザに理解しやすい、リビング・ヒンジと
を備える蓋閉めデバイス。」
イ 「【0001】
本技術は概して蓋閉め(capping)に関する。より詳細には、本技術は医療用アクセス・コネクタ(medical access connector)のための蓋閉めデバイスに関する。」
ウ 「【0013】
蓋閉めデバイス200が、キャップ201と、第1の部材202と、第2の部材203と、リビング・ヒンジ204とを有する。キャップ201が医療用アクセス・コネクタ100の頂部2全体を覆うための1つの部品で作られる。第1の部材202がキャップ201に接続される。第2の部材203が医療用アクセス・コネクタ100に接続される。」
エ 「【0016】
一実施例によると、医療用アクセス・コネクタ100がスロート3の周りに雄ねじ8を有する。しかし、一実施例によると、雄ねじ8はアンダーカットを一切有さないことを理由として真のねじ山ではなく(偽りのねじ山)、その場合にはキャップ201をねじにより取り付けること又はねじにより取り外すことが必要ない。例えば、一実施例によると、雄ねじ8はアンダーカットではない雄ねじ8の切り欠きを有し、この場合、キャップ201を回転させることなく、キャップ201を自由に引っ張ることが可能である。」
オ 「【0022】
・・・例えば、蓋閉めデバイス全体を作るのに射出成形が使用され得る。一実施例によると、蓋閉めデバイスがアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの柔らかいプラスチックで作られる。」
カ 「
[図:0001427270000009.jpg]
」
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の各構成は、それぞれ、次の本願発明の構成に相当する。
<引用発明> <本願発明>
消毒キャップ10 消毒用キャップ
反対側の閉鎖端部、表面34 端壁部
略円筒状の側壁26 端壁部から延在する側壁部
チャンバ28 内部チャンバ
開放端部、縁部32 内部チャンバへの開口
注入部位12 医療用デバイス
係合される 固定できる
吸収性物質のスポンジ30 吸収性材料
キャップ組立体 消毒用キャップアセンブリ
2 引用発明の「注入部位12に係合される消毒キャップ10であって、注入部位12を収容するチャンバ28を画定し、開放端部を形成する縁部32を有する略円筒状の側壁26と、反対側の閉鎖端部を画定する実質的に平坦な表面34と、」「を備え」た構成は、本願発明の「前記消毒用キャップは、端壁部、前記端壁部から延在する側壁部、内部チャンバ、及び、前記内部チャンバへの開口を備え、前記消毒用キャップの前記側壁部は、」「医療用デバイス」「に固定できるように構成されている」ことに相当する。
3 引用発明の側壁26は、「略円筒状」であること及び図1B(前記第4の1(1)エ)の断面形状等に照らすと、ねじ切りされていない内部表面を備えるものと表現できる。
そうすると、引用発明の「開放端部を形成する縁部32を有する略円筒状の側壁26」は、本願発明の「前記端壁部から前記側壁部に沿って前記開口まで延在する、ねじ切りされていない内部表面を備え」た「前記消毒用キャップの前記側壁部」に相当する。
4 引用発明の「側壁26」を備える「消毒キャップ10」が「熱可塑性エラストマー、プラスチック、シリコーン又は任意の他の適切な材料から製造され」ることと、本願発明の「前記消毒用キャップの前記側壁部」の「前記内部表面は、長手方向に使用者がかける押す力で医療用デバイスのねじに固定できるように構成されている変形可能な素材から成る」ことは、前記内部表面が変形可能な素材から成ることの限りにおいて、一致する。
5 引用発明の「前記チャンバ28内に配置された、消毒液を放出可能に保持する吸収性物質のスポンジ30」は、本願発明の「消毒液を放出可能に保持するように構成されている吸収性材料であって」「前記消毒用キャップの前記内部チャンバ内に配置され」た「前記吸収性材料」に相当する。
6 引用発明の「吸収性物質のスポンジ30」は、「チャンバ28のうち、側壁26の閉鎖端部側で保持され、かつ、側壁26の開放端部側で注入部位12を収容する空間内に突出する」ものであって、「側壁26の開放端部側」の当該「空間」は、「注入部位12が挿入される」。そうすると、引用発明の「吸収性物質のスポンジ30」は、「側壁26の開放端部側」からは、離間して配置されている。
したがって、引用発明の「スポンジ30」が「チャンバ28のうち、側壁26の閉鎖端部側で保持され、かつ、側壁26の開放端部側で注入部位12を収容する空間内に突出する」態様は、前記3及び4の対比を踏まえると、本願発明の「吸収性材料」が「前記内部表面の前記変形可能な素材から離間する」態様に相当する。
7 引用発明の「消毒キャップ10と、キャップホルダと、蓋と、を備えるキャップ組立体」と、本願発明の「消毒用キャップと、」「剛性ハウジングと、」「シールと、を備える」「消毒用キャップアセンブリ」は、消毒用キャップを備える消毒用キャップアセンブリの限りにおいて、一致する。
したがって、本願発明と引用発明は、次の点で一致し、相違する。
(一致点)
「消毒用キャップであって、
前記消毒用キャップは、端壁部、前記端壁部から延在する側壁部、内部チャンバ、及び、前記内部チャンバへの開口を備え、前記消毒用キャップの前記側壁部は、前記端壁部から前記側壁部に沿って前記開口まで延在する、ねじ切りされていない内部表面を備え、前記内部表面は、医療用デバイスに固定できるように構成されている変形可能な素材から成る、側壁部と、を備える、消毒用キャップと、
消毒液を放出可能に保持するように構成されている吸収性材料であって、前記吸収性材料は、前記消毒用キャップの前記内部チャンバ内に配置され、前記内部表面の前記変形可能な素材から離間する、吸収性材料と、
を備える消毒用キャップアセンブリ。」
(相違点1)
本願発明の側壁部は、「内側に向けられた突起を含まず」、前記内部表面は、「長手方向に使用者がかける押す力で医療用デバイスのねじに固定できるように構成されている」のに対して、
引用発明の側壁26は、そのように特定されていない点。
(相違点2)
本願発明の消毒用キャップアセンブリは、消毒用キャップと「剛性ハウジングであって、前記剛性ハウジングは、底部壁部と、前記底部壁部から延在する側壁部であって、前記側壁部は前記消毒用キャップを覆って」いる「剛性ハウジングと、」「前記剛性ハウジングの外面に取り外し可能に取り付けられ、かつ、前記内部チャンバ上に延在するシールであって、これにより、前記シールの除去時に前記吸収性材料が露出する、シールと、」を備えるのに対して、
引用発明のキャップ組立体は、キャップホルダ及び蓋によって包装される消毒キャップ10と、キャップホルダと、蓋とを備える点。
第6 相違点の判断
以下、相違点について検討する。
1 相違点1について
引用文献2には、消毒用キャップたる抗菌装置100が医療装置20のねじ部22に支持された構成(医療装置20のねじ部22は、可撓性ハウジング102の少なくとも一部を弾性変形させる)が記載されている(前記第4の2ア~ウ参照)。
また、一般的に、ねじ切りされていないキャップ(内側に向けられた突起を含まない構成)をねじ切りされた取付対象に取り付けることは、慣用技術にすぎない(例えば、医療用キャップにおける当該慣用技術については、引用文献3(前記第4の3ア~キ参照)及び引用文献4(前記第4の4ア~カ参照)。
そして、引用文献1には、消毒キャップの種々の実施形態が異なるタイプのコネクタに適用されること、及び、消毒キャップ10が他のタイプの注入部位と係合できることが記載(前記第4の1(1)ア及びイ)されているから、引用発明を引用文献2及び前記慣用技術で示された医療用デバイスの「ねじ」に用いる動機付けがある。
そうすると、引用発明の消毒キャップ10(ねじ切りされていない内部表面を備える)につき、引用文献2の記載事項及び前記慣用技術を踏まえて、「内側に向けられた突起を含まず」医療用デバイスの「ねじ」に固定できるようにし、もって、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易想到である。
この場合において、引用発明の消毒キャップ10を当該「ねじ」に固定する際に、「長手方向に使用者がかける押す力」を作用させて、当該キャップ10の側壁26の係合箇所を変形させることは、当該キャップ10の材料及び係合態様(ねじと非ねじの係合)に照らすと自明のことである。そうすると、相違点1の「長手方向に使用者がかける押す力で」の事項は、引用発明、引用文献2の記載事項及び上記慣用技術を組み合わせた際に、当然に導出されるものにすぎない。
2 相違点2について
引用発明は、キャップホルダ及び蓋によって包装される消毒キャップ10であるところ、消毒キャップの包装については、引用文献1に、別の実施形態のキャップ210に関して、キャップ組立体200の構成が記載されている(前記第4の1(1)ア、ウ及びオ)。
ここで、キャップ組立体200の構成は、消毒キャップ210をキャップホルダ230内に配置し、キャップホルダ230を蓋250でシールするものであり、キャップホルダ230は、チャンバ232を画定する側壁221及び上部密閉面223を備え、剛性又は半剛性材料から形成され、蓋250を取り外して消毒キャップ210へのアクセスを提供するものである(他のキャップ組立体300、400も、キャップ組立体200と一致する態様で構成される。)。
そして、キャップ組立体200の構成を相違点2に係る本願発明の構成と対比すると、前者の「キャップ組立体200」、「剛性又は半剛性材料から形成され」る「キャップホルダ230」、「上部密閉面223」、「チャンバ232を画定する側壁221」及び「蓋250」は、それぞれ、後者の「消毒用キャップアセンブリ」、「剛性ハウジング」、「底部壁部」、「底部壁部から延在する側壁部」及び「シール」にそれぞれ相当する。
したがって、引用発明にキャップ組立体200の構成を適用して、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
3 作用効果
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献1及び2記載事項並びに慣用技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
4 小括
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献1及び2の記載事項並びに慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
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2023-016808