特許拒絶査定不服審判
2022-003803
圧力調節バイアルアダプタ
- 審判番号
- 2022-003803
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-539437外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月14日
- 審決日
- 2023年12月06日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アイシーユー・メディカル・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .113-WZ (A61J) / P18 .121-WZ (A61J) / P18 .537-WZ (A61J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-539437「圧力調節バイアルアダプタ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月 3日国際公開、WO2017/132588、平成31年 2月 7日国内公表、特表2019-503256〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年) 1月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年 1月29日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 2年 1月24日提出:手続補正書
令和 3年 3月 2日付け:拒絶理由通知
令和 3年 6月 8日提出:意見書、手続補正書
令和 3年11月 9日付け:拒絶査定
令和 4年 3月14日提出:審判請求書
令和 5年 1月11日付け:拒絶理由通知
令和 5年 4月26日提出:意見書、手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1ないし16に係る発明は、令和 5年 4月26日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「圧力調節バイアルアダプタであって、
本体部分と、
穿孔部材とコネクタ接続部の近位調節器開口との間で延在する調節器流路と、
前記調節器流路と結合するように構成された調節器アセンブリであって、 円環状壁を備える調節器基部と、
フィルタを備えるフィルタ室であって、前記フィルタが、前記フィルタ室を通過する外気をフィルタにかけるように構成された、フィルタ室と、
前記調節器基部と結合するように構成された調節器ネストと、
少なくとも部分的に前記調節器ネスト内に位置決めされた可撓性エンクロージャであって、貯蔵構成と拡張構成との間で移行するように構成された、可撓性エンクロージャと、
少なくとも部分的に前記可撓性エンクロージャ、前記円環状壁、前記調節器ネスト及び前記フィルタ室に沿って延在するように前記調節器基部に結合されたカバーであって、前記カバーが、開口を備え、前記カバーが、前記可撓性エンクロージャが前記貯蔵構成から前記拡張構成に向かって移行するときに前記可撓性エンクロージャが少なくとも部分的に前記開口を通って延在することを可能にするようにさらに構成され、前記カバーが、前記調節器基部の少なくとも一部を包み込むように、前記調節器基部の前記円環状壁に沿って延在する円環状側部と、前記調節器アセンブリの長手方向軸の方へ延在する後部フランジと、を備えている、カバーと、
を備える、調節器アセンブリと、
を具備する圧力調節バイアルアダプタ。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審において令和 5年 1月11日付けで通知した拒絶理由は以下の理由を含むものである。
本願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1-18
・引用文献等1
引 用 文 献 等 一 覧
1.米国特許出願公開第2014/0230932号明細書
第4 引用文献の記載、引用発明
1.引用文献1
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付したものである。また、括弧内の訳は当審で付した。)。
ア.「[0188]In some embodiments, such as in the illustrated embodiment, the cap connector 330 comprises a body portion 380, which in turn comprises a central portion 381 (that can be curved) and one or more tabs 382 (which can be opposing) attached to the central portion 381. ・・・
(いくつかの実施形態においては図示した実施形態のように、キャップコネクタ330が本体部分380を備え、この本体部分には中央部分381(湾曲していてもよい)と、中央部分381に取り付けられた一つ又は複数のタブ382(向い合っていてもよい)がある。・・・)」
イ.「[0190] In certain configurations, such as in the configuration illustrated in FIG.7A, the piercing member 320 is supported by the body portion 380. As illustrated, the piercing member 320 can project distally from the central portion 381 of the body portion 380. The piercing member 320 can comprise an access channel 345 and a regulator channel 325. In some embodiments, the regulator channel 325 begins at a distal regulator aperture 328a, passes generally through the piercing member 320, passes through a lumen 326 that extends radially outward from the connector interface 340, and terminates at a proximal regulator aperture 328(FIG.8). ・・・
(図7Aに示される構成のようなある構成では、穿孔部材320は本体部分380によって支えられる。図に示すように、穿孔部材320は本体部分380の中央部分381から遠位方向に突き出てもよい。穿孔部材320はアクセス流路345と調節器流路325を備えることができる。いくつかの実施形態では、調節器流路325は、遠位調節器開口328aを起点とし、穿孔部材320をほぼ貫通し、コネクタインタフェース340から半径方向外向きに延在するルーメン326を貫通して、近位調節器開口328(図8)で終端する。・・・)」
ウ.「[0290] According to some variants, an enclosure cover 3084 can generally enclose or can be fitted over at least a portion of the coupling 3052. For example, as illustrated in FIGS.22A-22C, the enclosure cover 3084 can be fitted around or generally enclose the exterior of the base 3085 of the coupling 3052. ・・・
(いくつかの変形形態によれば、エンクロージャカバー3084は少なくとも結合部3052の一部を、全体的に包囲するか、またはそれを覆って嵌め込まれることができる。例えば図22A~22Cに示すように、エンクロージャカバー3084は結合部3052の基部3085の周りに嵌め込まれるか、またはその外側を全体的に包囲するかが可能である。 ・・・)」
エ.「[0327] FIGS.28A-28J illustrate an embodiment of a vial adaptor 4000 that can have components or portions that are the same as or similar to the components or portions of other vial adaptors disclosed herein. In some embodiments, the vial adaptor 4000 includes a connector interface 4040 and a piercing member 4020 in partial communication with the connector interface 4040. In some embodiments, the vial adaptor 4000 includes a regulator assembly 4050.Some numerical references to components in FIGS. 28A-28J are the same as or similar to those previously described for the vial adaptor 3000(e.g.,piercing member 4020 v. piercing member 3020).It is to be understood that the components can be the same in function or are similar in function to previously-described components.The adaptor 4000 of FIGS.28A-28J shows certain variations to the adaptor 3000 of FIGS.22A-2C. ・・・
(図28A~28Jはバイアルアダプタ4000の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ4000は、コネクタインタフェース4040と、そのコネクタインタフェース4040に部分連通する穿孔部材4020とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ4000は調節器アセンブリ4050を含んでいる。図28A~28J中の部品に対するいくつかの参照番号は、バイアルアダプタ3000に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似である(例えば、穿孔部材3020に対する穿孔部材4020)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。図28A~28Jのアダプタ4000は、図22A~22Cのアダプタ3000のある変形形態を示している。・・・)
[0328] In some embodiments, the regulator assembly 4000(当審注:「4050」の明らかな誤記である。) includes a regulator base configured to couple (e.g., releasably couple or fixedly couple) with a regulator nest 4090. The regulator base 4030 can be constructed from a rigid or semi-rigid material. In some embodiments, the regulator base 4030 is constructed from a polymer (e.g., a polycarbonate plastic). The regulator base 4030 can include a coupling protrusion 4085a. In some embodiments, the coupling protrusion 4085a defines a coupling passage 4031. The coupling protrusion 4085a can be configured to couple with the lumen 4026 of the vial adaptor 4000. ・・・ As illustrated in FIG.28G, coupling passage 4031 can be in fluid communication with the regulator channel 4025 of the vial adaptor 4000 when the coupling protrusion 4085a is coupled with or otherwise associated with the lumen 4026.
(いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ4050は、調節器ネスト4090と連結(例えば開放自在に連結、または固定連結)するように構成された調節器基部を含んでいる。調節器基部4030は、硬質材料または半硬質材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、調節器基部4030はポリマー(例えばポリカーボネート)で作られている。調節器基部4030は結合突起4085aを含むことができる。いくつかの実施形態では、結合突起4085aは結合通路4031を画定する。結合突起4085aは、バイアルアダプタ4000のルーメン4026と連結するようにすることができる。・・・図28Gに示すように、結合突起4085aがルーメン4026に連結されているか、別の形でルーメンに結合されている場合には、結合通路4031はバイアルアダプタ4000の調節器流路4025と流体連通することができる。)」
(注)なお、上記「the regulator assembly 4000」は、「the regulator assembly 4050」の誤記であることが明らかであるので、当審は、「調節器アセンブリ4050」と訳した。
オ.「[0330] In some embodiments, a filter cavity 4047 can be positioned in a space between the base protrusion 4033 and the axial projection 4046. ・・・
(いくつかの実施形態では、フィルタ空洞4047は、基部突起4033と軸方向突起4046の間の空間に配置することができる。・・・)
[0331] A filter 4061 can be sized to fit within the filter cavity 4047. ・・・
(フィルタ4061はフィルタ空洞4047内に嵌合する寸法になっていてもよい。・・・)」
カ.「[0333] The regulator nest 4090 can be configured to releasably or otherwise couple with the regulator base 4030. As illustrated in FIG.28C, the regulator nest 4090 can include one or more fixation members 4092. The fixation members 4092 can be constructed and/or configured to engage with fixation apertures 4034 on the regulator base 4030. The fixation members 4092 can comprise clips, tabs, or other projections configured to insert into the fixation apertures 4034 of the regulator base 4030. For example, the fixation members 4092 can comprise a tab 4092a with a hook 4092b on the end. ・・・
(調節器ネスト4090は、調節器基部4030と開放自在またはその他の形で連結するように構成可能である。図28Cに示すように、調節器ネスト4090は一つ又は複数の固定部材4092を含むことができる。固定部材4092は、調節器基部4030上の固定開口4034と係合するような構造及び/又は構成とすることができる。固定部材4092は、調節器基部4030の固定開口4034中へ挿入するようになった、クリップ、タブ、またはその他の突起を備えることができる。例えば、固定部材4092は末端にフック4092bを持ったタブ4092aを備えることができる。・・・)」
キ.「[0336] In some embodiments, the vial adaptor 4000 includes an enclosure cover 4098. The enclosure cover 4098 can be constructed from a resilient, flexible, or semi-flexible material. For example, the enclosure cover 4098 can be constructed from rubber, silicone, and/or some other flexible or semi-flexible material. The enclosure cover 4098 can be sized and shaped to fit around the radially (e.g.,up and down with respect to FIG.28H) outward portion of the regulator nest 4090. For example, as illustrated in FIG.28G, the enclosure cover can include an inner lip 4098 a configured to wrap around one axial side (e.g., the axial side of the regulator nest 4090 closest to the regulator base 4030 in the assembled regulator assembly 4050) of the regulator nest 4090 and an outer lip 4098b configured to wrap around the other axial side of the regulator nest 4090. ・・・ In some embodiments, the inner lip 4098a of the regulator enclosure cover 4098 can be positioned or wedged between the regulator nest 4090 and the regulator base 4030 when the regulator nest 4090 is coupled with the regulator base 4030. In some embodiments, wedging the inner lip 4098a of the enclosure cover 4098 can inhibit or prevent the enclosure cover 4098 from detaching from the regulator nest 4090. ・・・ The outer lip 4098b of the enclosure cover 4098 can include or define an expansion aperture 4028. For example, the outer lip 4098b can define a circular or otherwise shaped opening to define the expansion aperture 4028. The expansion aperture 4028 can have a width WS4 that is less than a width WS3 of the regulator nest 4090.
(いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ4000はエンクロージャカバー4098を含んでいる。エンクロージャカバー部4098は、弾性材料、可撓性材料、または半可撓性材料で作られていてもよい。例えば、エンクロージャカバー4098は、ゴム、シリコーン、及び/又はその他の可撓性または半可撓性材料で作ることができる。エンクロージャカバー4098は、調節器ネスト4090の半径方向(例えば図28Hでの上下方向)の外側の周りに嵌め込むことのできる寸法と形状であってよい。例えば図28Gに示すように、エンクロージャカバーは、調節器ネスト4090の軸方向の1つの側(例えば、組立てられた調節器アセンブリ4050において、調節器基部4030に最も近い、調節器ネスト4090の軸方向の側)の周りを包み込むように構成された内側リップ4098aと、調節器ネスト4090のもう一方の軸方向の側の周りを包み込むように構成された外側リップ4098bとを含むことができる。・・・いくつの実施形態では、調節器エンクロージャカバー4098の内側リップ4098aは、調節器ネスト4090が調節器基部4030と連結されているときは、調節器ネスト4090と調節器基部4030との間に配置されているか、または無理やり押し込まれていてもよい。いくつかの実施形態では、エンクロージャカバー4098の内側リップ4098aを押し込むことで、エンクロージャカバー4098が調節器ネスト4090から分離することを抑制または阻止することができる。・・・エンクロージャカバー4098の外側リップ4098bは、拡張開口4028を含むか画定することができる。例えば、外側リップ4098bは円形または別の形状の開口を画定して、拡張開口4028を画定することができる。拡張開口4028は、調節器ネスト4090の幅WS3よりも小さい幅WS4であり得る。)
[0337] As illustrated in FIG.28G, the vial adaptor 4000 can include a flexible enclosure 4054. The flexible enclosure 4054 can be configured to fit within a storage chamber 4096 within the regulator nest 4090 and/or the enclosure cover 4098. In some embodiments, the flexible enclosure 4054 is folded into the storage chamber 4096 when the flexible enclosure 4054 is in a contracted configuration. ・・・ The flexible enclosure 4054 can be connected to the regulator nest 4090 at an attachment point 4056. For example, an adhesive (e.g., glue, tape, foam tape or other appropriate adhesive) can be used to attach an opening of the flexible enclosure 4054 to the regulator nest 4090. ・・・
(図28Gに示すように、バイアルアダプタ4000は可撓性エンクロージャ4054を含むことができる。可撓性エンクロージャ4054は、調節器ネスト4090及び/又はエンクロージャカバー4098内の貯蔵室4096内に嵌め込まれるように構成することができる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ4054が収縮構成にあるときは、可撓性エンクロージャ4054は貯蔵室4096の中に折りたたまれている。 ・・・ 可撓性エンクロージャ4054は、取付けポイント4056で調節器ネスト4090に接続することが可能である。例えば、接着剤(例えば、糊、テープ、発泡体テープ、またはその他の適切な接着剤)を用いて、可撓性エンクロージャ4054の開口を調節器ネスト4090に取り付けることができる。・・・)」
ク.「[0339] As illustrated in FIG.28G, the intake ports 4044 can facilitate communication between ambient and the filter 4061. ・・・. Fluid passing from ambient to the coupling passage 4031 can pass through the filter 4061. In some embodiments, the filter 4061 can inhibit or prevent introduction of contaminants (e.g., bacteria, viruses, particulates) into the coupling passage 4031 when the diaphragm check valve is open (e.g., when the diaphragm 4063 is disengaged from the valve seat 4035). ・・・
(図28Gに示すように、吸込みポート4044は外気とフィルタ4061との間の連通をし易くすることができる。・・・。外気から結合通路4031へ流れる流体は、フィルタ4061を通過することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ4061は、ダイヤフラム逆止弁が開放されている場合(例えばダイヤフラム4063が弁座4035から解放されている場合)に、汚染物(例えば、バクテリア、ウイルス、粒子)が結合通路4031中へ導入されることを抑制または阻止することができる。・・・)」
ケ.「[0341] In some embodiments, upon introduction of fluid into the vial 10 via the access channel 4045, an increase in pressure can be realized within the coupling passage 4031. The volume within the flexible enclosure 4054 can be configured to expand in response to an increase in pressure within the coupling passage 4031 to a desirable or predetermined pressure. For example, upon introduction of fluid into the vial via the access channel 4045, the pressure in the coupling channel 4031 can increase to a point that the volume within the flexible enclosure 4054 expands to the expanding configuration, as illustrated in FIG.28I. ・・・
(いくつかの実施形態では、アクセス流路4045を介してバイアル10中に流体を導入すると、結合通路4031内での圧力上昇が発生し得る。可撓性エンクロージャ4054内部の体積は、結合通路4031内の圧力上昇に応じて、所望または所定の圧力になるまで拡張するように構成可能である。例えば、流体がアクセス流路4045を経由してバイアル中に導入されると、結合流路4031内の圧力があるポイントまで上昇して、可撓性エンクロージャ4054内の体積が拡張して、図28Iに示すような拡張構成になることができる。・・・)
[0342] The volume within the flexible enclosure 4054, after transition to the expanded configuration, can be configured to contract to the contracted configuration upon withdrawal of fluid from the vial 10 via the access channel 4045. Contraction of the volume within the flexible enclosure 4054 can facilitate introduction of regulator fluid from the interior volume of the flexible enclosure 4054 to the vial 10 via the regulator channel 4025. Introduction of regulator fluid from the interior volume of the flexible enclosure 4054 to the vial 10 can facilitate maintenance of the pressure within the vial 10 within a desirable or predetermined range.
(可撓性エンクロージャ4054内の体積は、拡張構成に転移した後、アクセス流路4045を介してバイアル10から流体を引きだすことで、収縮構成へ収縮するように構成可能である。可撓性エンクロージャ4054内の体積の収縮により、可撓性エンクロージャ4054の内容積から調節器流路4025を経由してバイアル10への調節器流体の導入を容易にすることができる。可撓性エンクロージャ4054内容積からバイアル10へ調節器流体を導入することにより、バイアル10内の圧力を、所望の範囲内または所定の範囲内に維持することが容易となる。)」
コ.請求項2
「A medical adaptor capable of coupling with a sealed container, the medical adaptor having a flexible enclosure that deploys through an expansion aperture when the flexible enclosure moves from a stored configuration to a deployed configuration, the medical adaptor comprising:
・・・
wherein at least a portion of the flexible enclosure passes through the expansion aperture when the flexible enclosure transitions from the stored configuration to the deployed configuration, wherein the stored width of the flexible enclosure is greater than the expansion aperture width, and wherein the flexible enclosure deploys from a folded configuration through the expansion aperture into an unfolded configuration when the flexible enclosure moves from the stored configuration to the deployed configuration.
(封止された容器に結合可能な医療用アダプタであって、前記医療用アダプタは、貯蔵構成から展開構成へ移動するときに拡張開口を通過して展開する可撓性エンクロージャを有し、
・・・
前記可撓性エンクロージャが前記貯蔵構成から前記展開構成に転移するときは、前記可撓性エンクロージャの少なくとも一部が前記拡張開口を通過し、前記可撓性エンクロージャの前記貯蔵幅は前記拡張開口幅よりも大きく、前記可撓性エンクロージャは、前記可撓性エンクロージャが前記貯蔵構成から前記展開構成に移動するとき、折り畳まれた構成から前記拡張開口を通過して折り畳まれていない構成に展開する、医療用アダプタ。)」
サ.図7~図7A
[図:0001409506000001.jpg]
[図:0001409506000002.jpg]
シ.図8
[図:0001409506000003.jpg]
ス.図22A~C
[図:0001409506000004.jpg]
[図:0001409506000005.jpg]
[図:0001409506000006.jpg]
セ.図28A~J
[図:0001409506000007.jpg]
[図:0001409506000008.jpg]
[図:0001409506000009.jpg]
[図:0001409506000010.jpg]
[図:0001409506000011.jpg]
[図:0001409506000012.jpg]
[図:0001409506000013.jpg]
[図:0001409506000014.jpg]
[図:0001409506000015.jpg]
(2)上記(1)から、以下の点が理解できる。
ア.図28A~Dを、段落[0188]及び[0190]の「body portion 380(本体部分380)」に関する記載と図7及び図7Aの符号380が指す部材の関係と併せて参照すると、図28A~Dの「4080」は、「body portion (本体部分)」であることが明らかである。
よって、バイアルアダプタ4000は、本体部分4080を具備する。
イ.図28A,G~Jを、段落[0190]の「調節器流路325は、遠位調節器開口328aを起点とし、穿孔部材320をほぼ貫通し、コネクタインタフェース340から半径方向外向きに延在するルーメン326を貫通して、近位調節器開口328(図8)で終端する。」との記載と図7A、図8の記載、段落[0327]の「コネクタインタフェース4040」、「穿孔部材4020」との記載、段落[0328]の「ルーメン4026」、「調節器流路4025」との記載と併せて参照すると、
調節器流路4025は、遠位調節器開口4028aを起点とし、穿孔部材4020をほぼ貫通し、コネクタインタフェース4040から半径方向外向きに延在するルーメン4026を貫通して、近位調節器開口で終端するものであって、
穿孔部材4020とコネクタインターフェース4040の近位調節器開口との間で延在する調節器流路4025が、看取される。
ウ.図28Hを、段落[0328]の記載と併せて参照すると、
調節器アセンブリ4050の調節器基部4030の結合突起4085aは、ルーメン4026に連結され、前記結合突起4085aが画定する結合通路4031は、調節器流路4025と流体連通しており、
調節器流路4025と結合するように構成された調節器アセンブリ4050が、看取される。
エ.図28B,F,G,Jより、調節器基部4030は、その外周と、当該外周から調節器アセンブリ4050の中心軸方向に向けて延在する部分と、を含む円環状壁を備えることが看取される。
オ.図28G~Hと、段落[0330]、[0331]、[0339]の記載を併せてみると、フィルタ空洞4047がフィルタ4061を備え、吸込みポート4044から結合通路4031へと流れる外気は、フィルタ4061を通過する。
カ.図28G,図28Iを、段落[0337]と段落[0341]と請求項2の記載と併せてみると、
(i)取付けポイント4056で調節器ネスト4090に接続する可撓性エンクロージャ4054であって、収縮構成(貯蔵構成、折り畳まれた構成ともいう。)と拡張構成(展開構成、折り畳まれていない構成ともいう。)との間で転移する可撓性エンクロージャ4054を備える。
(ii)また、エンクロージャカバー4098は、可撓性エンクロージャ4054が図28Gの収縮構成から図28Iの拡張構成に転移するときに前記可撓性エンクロージャ4054の少なくとも一部が拡張開口4028を通過して展開する。
キ.図28Gを、段落[0336]の記載と併せてみると、エンクロージャカバー4098の外側リップ4098bは、拡張開口4028の中心軸に直交する方向において、可撓性エンクロージャ4054、調節器基部4030の円環状壁、調節器ネスト4090、フィルタ空洞4047に沿って延在していることが看取され、
少なくとも部分的に可撓性エンクロージャ4054、調節器基部4030の円環状壁、調節器ネスト4090及びフィルタ空洞4047に沿って延在するエンクロージャカバー4098を備え、また、エンクロージャカバー4098は、拡張開口4028を備える。
ク.図28Gを、段落[0336]の記載と併せてみると、
エンクロージャカバー4098が、調節器ネスト4090の半径方向の外周周りに延在する箇所(以下、「円環状側部」という。)と、調節器ネスト4090と調節器基部4030との間に配置されている内側リップ4098aと、を備えることが看取される。
2.上記記載を総合し、本願発明の記載に倣って整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「バイアルアダプタ4000であって、
本体部分4080と、
穿孔部材4020とコネクタインターフェース4040の近位調節器開口との間で延在する調節器流路4025と、
前記調節器流路4025と結合するように構成された調節器アセンブリ4050であって、
円環状壁を備える調節器基部4030と、
フィルタ4061を備えるフィルタ空洞4047であって、吸込みポート4044から結合通路4031へと流れる外気は、フィルタ4061を通過する、フィルタ空洞4047と、
前記調節器基部4030と連結するように構成された調節器ネスト4090と、
取付けポイント4056で前記調節器ネスト4090に接続する可撓性エンクロージャ4054であって、収縮構成と拡張構成との間で転移する可撓性エンクロージャ4054と、
少なくとも部分的に可撓性エンクロージャ4054、調節器基部4030の円環状壁、調節器ネスト4090及びフィルタ空洞4047に沿って延在するエンクロージャカバー4098であって、
前記エンクロージャカバー4098が、拡張開口4028を備え、
前記エンクロージャカバー4098は、前記可撓性エンクロージャ4054が収縮構成から拡張構成に転移するときに前記可撓性エンクロージャ4054の少なくとも一部が拡張開口4028を通過して展開し、
前記調節器ネスト4090の半径方向の外周周りに延在する円環状側部と、調節器ネスト4090と調節器基部4030との間に配置されている内側リップ4098aと、を備える、エンクロージャカバー4098と、
を備える、調節器アセンブリ4050と、
を具備するバイアルアダプタ4000。」
第5 対比
1.本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「バイアルアダプタ4000」は、その機能(例えば、段落[0342]の「Introduction of regulator fluid from the interior volume of the flexible enclosure 4054 to the vial 10 can facilitate maintenance of the pressure within the vial 10 within a desirable or predetermined range.(可撓性エンクロージャ4054内容積からバイアル10へ調節器流体を導入することにより、バイアル10内の圧力を、所望の範囲内または所定の範囲内に維持することが容易となる。)」参照。)からみて、本願発明の「圧力調節バイアルアダプタ」に相当する。
(2)引用発明の「本体部分4080」は、本願発明の「本体部分」に相当する。
(3)引用発明の「穿孔部材4020」は、本願発明の「穿孔部材」に相当し、
引用発明の「コネクタインターフェース4040の近位調節器開口」は、本願発明の「コネクタ接続部の近位調節器開口」に相当し、
引用発明の「調節器流路4025」は、本願発明の「調節器流路」に相当し、
引用発明の「穿孔部材4020とコネクタインターフェース4040の近位調節器開口との間で延在する調節器流路4025」は、本願発明の「穿孔部材とコネクタ接続部の近位調節器開口との間で延在する調節器流路」に相当する。
(4)引用発明の「調節器アセンブリ4050」は、本願発明の「調節器アセンブリ」に相当し、
引用発明の「前記調節器流路4025と結合するように構成された調節器アセンブリ4050」は、本願発明の「前記調節器流路と結合するように構成された調節器アセンブリ」に相当する。
(5)引用発明の「調節器基部4030」は、本願発明の「調節器基部」に相当し、
引用発明の「円環状壁を備える調節器基部4030」は、本願発明の「円環状壁を備える調節器基部」に相当する。
(6)引用発明の「フィルタ4061」は、本願発明の「フィルタ」に相当し、
引用発明の「フィルタ空洞4047」は、本願発明の「フィルタ室」に相当し、
引用発明の「フィルタ4061を備えるフィルタ空洞4047であって、吸込みポート4044から結合通路4031へと流れる外気は、フィルタ4061を通過する、フィルタ空洞4047」は、本願発明の「フィルタを備えるフィルタ室であって、前記フィルタが、前記フィルタ室を通過する外気をフィルタにかけるように構成された、フィルタ室」に相当する。
(7)引用発明の「調節器ネスト4090」は、本願発明の「調節器ネスト」に相当し、
引用発明の「前記調節器基部4030と連結するように構成された調節器ネスト4090」は、本願発明の「前記調節器基部と結合するように構成された調節器ネスト」に相当する。
(8)引用発明の「取付けポイント4056で前記調節器ネスト4090に接続する」ことは、少なくとも部分的に調節器ネスト4090内に位置決めされることであり、
引用発明の「可撓性エンクロージャ4054」は、本願発明の「可撓性エンクロージャ」に相当し、
引用発明の「収縮構成と拡張構成との間で転移する」は、上記第4の1.(2)カ.(i)のとおり、「収縮構成」を「貯蔵構成」ともいうので、本願発明の「貯蔵構成と拡張構成との間で移行するように構成され」るに相当し、
引用発明の「取付けポイント4056で前記調節器ネスト4090に接続する可撓性エンクロージャ4054であって、収縮構成と拡張構成との間で転移する可撓性エンクロージャ4054」は、本願発明の「少なくとも部分的に前記調節器ネスト内に位置決めされた可撓性エンクロージャであって、貯蔵構成と拡張構成との間で移行するように構成された、可撓性エンクロージャ」に相当する。
(9)引用発明の「エンクロージャカバー4098」は、本願発明の「カバー」に相当し、
引用発明の「少なくとも部分的に可撓性エンクロージャ4054、調節器基部4030の円環状壁、調節器ネスト4090及びフィルタ空洞4047に沿って延在するエンクロージャカバー4098」は、本願発明の「少なくとも部分的に前記可撓性エンクロージャ、前記円環状壁、前記調節器ネスト及び前記フィルタ室に沿って延在する」「カバー」に相当する。
(10)引用発明の「拡張開口4028」は、本願発明の「開口」に相当し、
引用発明の「前記エンクロージャカバー4098が、拡張開口4028を備え」ることは、本願発明の「前記カバーが、開口を備え」ることに相当する。
(11)引用発明の「前記エンクロージャカバー4098は、前記可撓性エンクロージャ4054が収縮構成から拡張構成に転移するときに前記可撓性エンクロージャ4054の少なくとも一部が拡張開口4028を通過して展開」することは、本願発明の「前記カバーが、前記可撓性エンクロージャが前記貯蔵構成から前記拡張構成に向かって移行するときに前記可撓性エンクロージャが少なくとも部分的に前記開口を通って延在することを可能にするようにさらに構成され」ることに相当する。
2.一致点及び相違点
本願発明と引用発明は、
「圧力調節バイアルアダプタであって、
本体部分と、
穿孔部材とコネクタ接続部の近位調節器開口との間で延在する調節器流路と、
前記調節器流路と結合するように構成された調節器アセンブリであって、 円環状壁を備える調節器基部と、
フィルタを備えるフィルタ室であって、前記フィルタが、前記フィルタ室を通過する外気をフィルタにかけるように構成された、フィルタ室と、
前記調節器基部と結合するように構成された調節器ネストと、
少なくとも部分的に前記調節器ネスト内に位置決めされた可撓性エンクロージャであって、貯蔵構成と拡張構成との間で移行するように構成された、可撓性エンクロージャと、
少なくとも部分的に前記可撓性エンクロージャ、前記円環状壁、前記調節器ネスト及び前記フィルタ室に沿って延在するカバーであって、前記カバーが、開口を備え、前記カバーが、前記可撓性エンクロージャが前記貯蔵構成から前記拡張構成に向かって移行するときに前記可撓性エンクロージャが少なくとも部分的に前記開口を通って延在することを可能にするようにさらに構成される、カバーと、
を備える、調節器アセンブリと、
を具備する圧力調節バイアルアダプタ。」である点で、一致し、以下の点で相違する。
<相違点>
本願発明は、カバーが、「前記調節器基部に結合され」、「前記調節器基部の少なくとも一部を包み込むように、前記調節器基部の前記円環状壁に沿って延在する円環状側部と、前記調節器アセンブリの長手方向軸の方へ延在する後部フランジと、を備えている」のに対して、
引用発明は、エンクロージャカバー4098が、調節器ネスト4090の半径方向の外周周りに延在する円環状側部を備え、エンクロージャカバー4098の内側リップ4098aが、調節器ネスト4090と調節器基部4030との間に配置されている点。
第6 判断
1.相違点について
引用文献1の段落[0290]の「According to some variants, an enclosure cover 3084 can generally enclose or can be fitted over at least a portion of the coupling 3052. For example, as illustrated in FIGS.22A-22C, the enclosure cover 3084 can be fitted around or generally enclose the exterior of the base 3085 of the coupling 3052.(いくつかの変形形態によれば、エンクロージャカバー3084は少なくとも結合部3052の一部を、全体的に包囲するか、またはそれを覆って嵌め込まれることができる。例えば図22A~22Cに示すように、エンクロージャカバー3084は結合部3052の基部3085の周りに嵌め込まれるか、またはその外側を全体的に包囲するかが可能である。)」という記載及び図22Bを参照して、
引用発明において、エンクロージャカバー4098が、調節器アセンブリ4050の外側を全体的に包囲するように、調節器基部4030の円環状壁に沿って延在し、前記調節器基部4030の前記円環状壁に沿って延在する円環状側部と、前記調節器アセンブリ4050の長手方向軸の方へ延在する後部フランジと、を備えるようにすることで、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得た事項である。
2.効果について
(1)審判請求人は、令和 5年 4月26日提出の意見書の3(3)において、
「例えば、図14に示されかつ請求項で規定される構成は、可撓性エンクロージャの拡張中にカバーが調節器基部に結合されたままであることを確実にするために、さらなる安全性を提供します。拡張構成に向かって移行するときに可撓性エンクロージャが少なくとも部分的に開口を通って延在すると、可撓性エンクロージャは、カバーに当接して拡張方向においてカバーに力を付与する可能性があります。この力は、ときには、カバーが調節器基部に確実に連結されていない場合、カバー及び/又は調節器ネストを調節器基部から結合解除するのに十分である可能性があります。
請求項1に規定される構成は、例えば、カバーが、可撓性エンクロージャの拡張方向とは反対に調節器基部の表面に沿って延在するので、カバーにさらなる結合安定性を提供します。調節器基部に沿ったこのカバーの拡張は、調節器基部へのより確実な結合を提供することと、可撓性エンクロージャの拡張力に対する抵抗力を提供することと、を容易にします。より確実な結合及び抵抗力は、可撓性エンクロージャの拡張中にカバーと調節器基部との間の結合を維持することをアシストすることができます。これに対し、このような構成を組み込んでいないカバーの設計は、調節器基部からより簡単に結合解除されるようになります。従いまして、拒絶理由通知書に記載された見解とは異なり、本願の請求項に記載された構成は、請求項に記載された構成を組み込んでいない引用文献1に記載の設計を越える顕著な技術的利点又は利益を提供します。従いまして、請求項1で規定される構成は、設計事項ではなく、進歩性をもたらすものです。」と主張する。
当該主張は、可撓性エンクロージャが拡張構成に向かって移行するときに、可撓性エンクロージャがカバーに対して拡張方向において力を付与して、カバー及び調節器ネストを調節器基部から結合解除してしまう可能性があるのに対して、本願発明の、調節器基部の一部を包み込むように、調節器基部の円環状壁に沿って延在する円環状側部と後部フランジとを備える構造は、カバーと調節器基部の間の結合を維持することをアシストするという作用・効果を有するとの主張であると理解できるので、この作用・効果について検討する。
上記作用・効果は、カバーの円環状側部を、調整器基部の円環状壁に沿って延在し、調節器アセンブリの長手方向軸の方へ延在する後部フランジを備えるようにすることに伴い、構造上当然にもたらされる作用・効果であり、当業者が予測できる範囲内の作用・効果にすぎない。
したがって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。
(2)本願発明を全体として検討しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献1に記載された事項から当業者が予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
3.小括
したがって、本願発明は、引用発明と引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-003803