特許拒絶査定不服審判
2023-015776
模型部品
- 審判番号
- 2023-015776
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-000226外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年09月19日
- 審決日
- 2024年06月25日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社バンダイ
- 【請求人代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A63H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 226「模型部品」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月 6日出願公開、特開2021- 69948〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年2月5日(以下、「分割原出願日」という。)に出願した特願2019-19034号の一部を令和3年1月4日に新たな特許出願としたものであって、令和4年2月2日に手続補正書が提出され、同年11月30日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和5年4月3日に意見書が提出されたが、同年6月13日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、令和5年9月19日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 本願発明
本願発明は、令和4年2月2日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。
「 【請求項1】
模型を構成する複数のパーツと、
前記複数のパーツと接続されたランナーと、
前記ランナーの一部に、前記複数のパーツの少なくとも1つと関連付けて設けられ、前記パーツを識別するための識別情報を表示する表示部と
を備える模型部品であって、
前記表示部は、基面部上に前記識別情報を表す形状が突出するように形成され、
前記識別情報を表す形状の前記基面部における縦方向の長さは、1.75mmから3.5mmの範囲内であり、
前記形状の前記基面部に対する高さは、0.3mmより大きい、模型部品。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の理由とされた、令和4年11月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、以下の通りである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用例一覧>
1.国際公開第2011/007626号
2.特開2002-005800号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2002-225097号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用例
1 引用例1
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の分割原出願日前である2011年1月20日に公開された国際公開2011/007626号(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「[0001] 本発明は、組立てを容易にした模型キットおよび模型キットパッケージに関するものである。」
(2)「[0002] プラスチック等からなる模型部品を組立てることで、自動車やロボット等の模型を完成させるための模型キットが知られている。この模型部品は、一枚又は複数枚の模型部品アセンブリ板のランナーに支持されている。この模型部品アセンブリ板のランナーには、模型部品それぞれに対応する番号を付した部品識別表示部が模型部品の近傍に設けられている。
そして、模型を組立てる際には、付属の組立説明書(以下、組立図という)の記載に従って、部品識別表示部に付された番号から必要なものを見つけ出し、ニッパ等の工具を用いて模型部品アセンブリ板から切り取って行うようにしている。
[0003] ところで、模型も複雑なものになると、多数の模型部品を用いるのが一般的であり、1つの模型キットに多数の模型部品アセンブリ板が同梱されている場合もある。さらに、ロボット等の模型であると、左右の腕部のように同様な形状の模型部品が複数存在する場合があり、左右間違いなく組立てるためには、組立図に記載されている模型部品の番号と、部品識別表示部に付された番号とを、その都度見比べながら、手際よく順序だてて組立てることが要求されることとなる。
[0004] ここで、従来の模型部品アセンブリ板について、図9を参照して説明する。
図9(a)は、模型部品アセンブリ板の概観図であり、図9(b)は、この概観図の一部を拡大した図である。
図9(a)に示すように、模型部品アセンブリ板101は、当該模型部品アセンブリ板101の枠組みであるランナー103を介して、複数の模型部品105が一体成型されたものである。
[0005] 各模型部品105の近傍には、図9(b)に示すように、部品識別表示部107が設けられている。この部品識別表示部107には、模型部品105それぞれの部品番号が表示されている。なお、各模型部品105は、ランナー103と一体に接続しているゲート部109をニッパ等で切断することで模型部品アセンブリ板101から切り離される。
…
[0007] しかしながら、模型を組立てる際に、組立図に記載されている模型部品の番号と、部品識別表示部に付された部品番号とを見比べて確認する作業が繰り返されるため、組立作業が単調となり、面白みに欠けるという問題がある。
また、模型部品アセンブリ板には、多数の模型部品が支持されているので、部品識別表示部に付された部品番号だけを手がかりに、必要とする模型部品を見つけ出すのに時間がかかるという問題がある。
さらに、模型部品アセンブリ板から1個ずつ取った模型部品が模型のどの位置に組立てられるのかを、その都度組立図を参照して、確認して組立てる必要があり、手間がかかるという問題がある。
[0008] そこで、本発明は、上記問題点に解決するために、組立作業に面白みを付加することができる模型キットおよび模型キットパッケージを提供するものである。
さらに他の目的は、手間や時間をかけることなく容易に組立てることができる模型キットおよび模型キットパッケージを提供するものである。」
(3)「[0009] 本発明の模型キットは、模型部品アセンブリ板から模型部品を取って模型を組立完成させる模型キットにおいて、模型部品アセンブリ板に設けられた模型部品を識別する部品識別表示部に、絵柄又は図柄が表示されている。
[0010] 更に本発明の模型キットは、絵柄又は図柄の概略を部品識別表示部に打ち抜いて形成することが好ましい。
[0011] また、本発明の模型キットは、部品識別表示部の形状を、絵柄又は図柄の形状とすることが好ましい。
[0012] そして、本発明の模型キットは部品識別表示部に、模型部品の番号を表示することが好ましい。
[0013] また、本発明の模型キットは部品識別表示部に、模型部品アセンブリ板の構成素材を表示することが好ましい。
[0014] また、本発明の模型キットは、絵柄又は図柄は、キャラクタのシルエットを想起させる絵柄又は図柄であることが好ましい。
[0015] また、本発明の模型キットは、絵柄又は図柄は、模型部品を組立てた際の形状を予想させる絵柄又は図柄であることが好ましい。
[0016] また、本発明の模型キットパッケージは、模型キットが2つ以上同梱された模型キットパッケージであって、絵柄又は図柄は、その模型部品アセンブリ板の模型部品により組立完成される模型を識別可能にする絵柄又は図柄である。
[0017] 本発明によれば、組立作業に面白みを付加することができる模型キットおよび模型キットパッケージを提供することができる。また、本発明によれば手間や時間をかけることなく容易に組立てることができる模型キットおよび模型キットパッケージを提供することができる。」
(4)「[0019] 模型部品アセンブリ板において、各模型部品の近傍に設けられた部品識別表示部に部品番号以外の図柄を表示した。
[0020] 図1は、各模型部品の近傍に設けられた部品識別表示部を拡大して示した図である。図1(a)は従来の部品識別表示部107を示しており、図1(b)と(c)とが本発明の実施例を示した図である。
[0021] 図1(b)に示すように、部品識別表示部1は、ランナー3の枝部3aと枝部3bとが交差する交差点を1つの頂点となす略四角形の形状に形成されている。 そして、この部品識別表示部1の縦横の大きさは、部品番号が小さくなりすぎて見えなくなることを防止するために、従来の部品識別表示部107よりも若干大きく形成されている。例えば、従来の部品識別表示部107が4.0mm×4.0mmであるのに対し、本発明の部品識別表示部1は6.0mm×6.0mmである。
[0022] この部品識別表示部1には、絵柄又は図柄(以下、図柄と統一して記載する)が表示されている。この実施例では、キャラクタのシルエットを想起させる図柄5が表示されている。このキャラクタには、模型部品を組立てた完成品(図示せず)とは、無関係のものを採用している。この実施例では、完成品が「ロボット」(図示せず)であり、キャラクタは「猫」である。
[0023] この実施例では、部品識別表示部1に表示されている図柄5は、キャラクタのシルエットを想起させるものであるが、図柄は、後記する「模型部品を組立てた際の形状を予想させる図柄」、「複数のプラモデルを区別可能にする図柄」であってもよい。
[0024] また、図1(c)に示すように、部品識別表示部1aには、キャラクタのシルエットを想起させる図柄5と共に部品番号(この例では「5」)が表示されている。
[0025] また、この図柄5は、模型部品アセンブリ板を成型する際に、当該アセンブリ板の金型に予め彫りこまれることによって形成された(周囲が削り取られることによって形成された)ものであり、部品識別表示部1が平面に形成されているのに対し、部品番号と共に凸部(又は凹部)として形成されている。そして、図1(c)に示したように、部品識別表示部1aは、キャラクタのシルエットの中に、部品番号が納まるように形成されている。
[0026] このように、部品識別表示部1、1aを構成することで、多数の模型部品アセンブリ板があり、模型部品を切り取る作業が何回も繰り返し行われたとしても、模型を組立てる製作者は、キャラクタのシルエットを目にすることで、単調な組立作業から一時でも開放され、模型の組立作業に面白みを持って取り組むことができる。」
(5)「[0027] 図2は、組立て完成される模型がロボットの模型である場合に、各模型部品の近傍に設けられた部品識別表示部を拡大して示した図である。図2に示すように、部品識別表示部7は、ランナー3の枝部3aと枝部3bとが交差する交差点を1つの頂点となす略四角形の形状に形成されている。
[0028] 図2(a)に示すように、部品識別表示部7a(7)は、ロボットの腕部を模した図柄9a(9)を部品番号(この例では「6」)と共に表示したものである。また、図2(b)に示すように、部品識別表示部7b(7)は、ロボットの頭部を模した図柄9b(9)を部品番号(この例では「7」)と共に表示したものである。図2(c)に示すように、部品識別表示部7c(7)は、ロボットの脚部を模した図柄9c(9)を部品番号(この例では「8」)と共に表示したものである。この実施例では図柄9と共に部品番号を表示しているが、図柄9のみを表示してもよい。
[0029] また、この部品識別表示部7において、模型部品(図示せず)が、ロボットのどの部分であるかがわかるように、該当部分を強調して表示している。部品識別表示部7aの場合、模型部品がロボットの腕部の前腕αに該当することが明確になり、部品識別表示部7bの場合、模型部品がロボットの頭部のアンテナβに該当することが明確になり、部品識別表示部7cの場合、模型部品がロボットの脚部の大腿γに該当することが明確になっている。
[0030] さらに、組立て完成される模型がロボットの模型であるため、左右の腕部と、左右の脚部とがあり、間違って組立ててしまうことを防止するために、部品識別表示部7においては、左側の腕部と脚部とに「L」と、右側の腕部と脚部とに「R」とそれぞれ表示するように形成されている。
[0031] このように、部品識別表示部7には、模型部品(図示せず)を組立てた際の形状を予想させる図柄9を部品番号(この例では「6」「7」「8」)と共に表示している。つまり、部品識別表示部7aに表示されている番号「6」の模型部品は、ロボットの腕部の一部品であることが容易に予想でき、部品識別表示部7bに表示されている番号「7」の模型部品は、ロボットの顔部の一部品であることが容易に予想でき、部品識別表示部7cに表示されている番号「8」の模型部品は、ロボットの脚部の一部品であることが容易に予想できる。
[0032] そして、模型部品を組立てた際の形状を予想させる図柄9は、模型部品アセンブリ板を成型する際に、当該アセンブリ板の金型に予め彫りこまれることによって形成された(周囲が削り取られることによって形成された)ものであり、部品識別表示部7が平面に形成されているのに対し、部品番号と共に凸部(又は凹部)として形成されている。前記した強調して表示する前腕α、アンテナβ、大腿γが凸部の場合は、金型に彫りこむ溝幅を広くすることで形成できる。凹部の場合は、金型から削り取る部分を少なくすることで形成できる。
[0033] なお、この図2では、部品識別表示部7を構成する四角形の隅に、部品番号を表示しているが、図柄9の中に、部品番号が納まるように表示しても、或いは、四角形の略中央に表示してもよい。
[0034] このように、部品識別表示部7を構成することで、多数の模型部品アセンブリ板があった場合に、各模型部品アセンブリ板から切り取った模型部品を組立てた際の形状を予想することができ、切り取って組立てる際にその都度組立図を確認しなくてもいいので、模型を容易に組立てることができる。」
(6)「[図1]
[図:0001413990000001.jpg]
」
(7)「[図2]
[図:0001413990000002.jpg]
」
上記(1)乃至(7)の記載事項から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「組立てることにより完成品「ロボット」となる模型部品であって、
模型部品は模型部品アセンブリ板に設けられ、模型部品アセンブリ板から模型部品を取って組立完成させ、
模型部品アセンブリ板において、各模型部品の近傍には、ランナーの枝部と枝部とが交差する交差点を1つの頂点となす6.0mm×6.0mmの略四角形の形状に形成された部品識別表示部設けられ、
部品識別表示部には、図柄5と共に部品番号が凸部として形成され表示されている、
模型部品。」
2 引用例2
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の分割原出願日前である平成14年1月9日に頒布された刊行物である特開2002-5800号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、耐薬品性材料からなるカセット本体と蓋とを具備してなり、前記カセット本体が上面を開放し、検体を収容し得る方形の容器で、多数の透孔を有し、前記蓋がカセット本体に着脱自在に取り付けられ、多数の透孔を有してなる医療検査用カセットにおいて、前記蓋の表面に、番号、アルファベット等の識別表示を少なくとも0.3mmの高さで突設したことを特徴とする医療検査用カセットを内容とする(請求項1)。」
(2)「【0018】本発明における識別表示は文字通り識別又は区別できるものであれば特に制限されず、例えば、1、2、3等の数字、A、B、C(a、b、c)等のアルファベット、イ、ロ、ハ(い、ろ、は)等の五十音、○、△、×等の記号等、数字、文字、記号、模様、着色等のいずれでもよい。
【0019】識別表示は、少なくとも0.3mmの高さ、好ましくは、少なくとも0.5mmの高さで設けられる。識別表示が0.3mmよりも低くなると、作業する際に視認し難く、間違いが生じ易くなり、また、薬液の透過性の改善効果が不十分となる。識別表示自体を0.3mm以上の高さに形成してもよいが、例えば合成樹脂製の場合には、0.3mm以上の隆起部を形成し、その表面に識別表示を設けるのが、成形上容易である。隆起部の表面に設ける識別表示は、突設、刻設、又は平面的に設けてもよい。尚、識別表示の高さ(隆起部を含む)の上限は、カセットの大きさにより一概には規定できないが、余り高くなると積み重ねたり並接した場合に場所をとり、処理効率が低下するとともに、取り扱い性も悪くなる。従って、10mm程度が好ましい。」
3 周知技術
上記2より、以下の技術事項が、本願の分割原出願日時点において、周知の技術事項(以下「周知技術」という。)であると認める。
「凸の認識ができる高さが0.3mm以上である。」
第5 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
1 後者の「完成品「ロボット」」、「模型部品」、「ランナー」、「部品識別表示部」及び「模型部品アセンブリ板」は、それぞれ、前者の「模型」、「パーツ」、「ランナー」、「識別情報を表示する表示部」及び「模型部品」に相当する。
2 後者の「模型部品」は、組立てることにより完成品「ロボット」となるから、完成品「ロボット」を構成する複数の部品からなることは明らかである。
3 後者の「模型部品」と「ランナー」とは、模型部品アセンブリ板に設けられたものであるから、「模型部品」と「ランナー」とが接続されていることは明らかである。
4 後者の「部品識別表示部」は、各模型部品の近傍に、ランナーの枝部と枝部とが交差する交差点を1つの頂点となす6.0mm×6.0mmの略四角形の形状に形成されたものであるから、前者の「識別情報を表示する表示部」と後者の「部品識別表示部」とは、ランナーの一部に、複数のパーツの少なくとも1つと関連付けて設けられたパーツを識別するためのものとの概念で一致する。
5 後者の「部品識別表示部」は、図柄5と共に部品番号(「5」)が凸部として形成され表示されているものであるから、前者の「識別情報を表示する表示部」と後者の「部品識別表示部」とは、基面部上に識別情報を表す形状が突出するように形成されたものとの概念で一致する。
そうすると、本願発明と引用発明1とは、
[一致点]
「模型を構成する複数のパーツと、
前記複数のパーツと接続されたランナーと、
前記ランナーの一部に、前記複数のパーツの少なくとも1つと関連付けて設けられ、前記パーツを識別するための識別情報を表示する表示部と
を備える模型部品であって、
前記表示部は、基面部上に前記識別情報を表す形状が突出するように形成され、
前記識別情報を表す形状の前記基面部における縦方向の長さは、1.75mmから3.5mmの範囲内であり、
前記形状の前記基面部に対する高さは、0.3mmより大きい、模型部品。」
で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明の「識別情報を表す形状の前記基面部における縦方向の長さは、1.75mmから3.5mmの範囲内であり」、「前記形状の前記基面部に対する高さは、0.3mmより大きい」ものであるのに対し、引用発明1の「部品識別表示部」は、6.0mm×6.0mmの略四角形の形状に形成され、高さは不明である点。
第6 判断
1 本願発明の「識別情報を表す形状」とは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の段落【0014】を参酌すると、基面部201から突出するよう形成された数字「6」を指す。
してみると、引用発明1の「部品番号」が「識別情報を表す形状」に相当する。
ここで、引用発明1の「部品識別表示部」は、6.0mm×6.0mmの略四角形の形状に形成されているところ、図2を参酌すると、部品番号(「6」「7」「8」)の縦横の長さは、「部品識別表示部」の縦横の長さの半分以下であるから、実質、1.75mmから3.5mmの範囲内に収まる大きさであると認める。
また、引用発明1の「部品識別表示部」は、付された番号から必要なものを見つけ出すためのものであるところ、上記周知技術を参酌して、高さを、0.3mmより大きいものとすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
2 請求人は、「引用文献2及び引用文献3については、本件発明のようなランナーに設ける識別表示部ではなく、模型部品において活用されるパーツそのものにおいて標識を設ける場合に0.3mm以上とすることを示唆する文献に過ぎません。また、模型部品においてパーツとランナーとは位置づけが大きく異なるものであり、仮にパーツにおいて周知であったとしても、廃棄が前提のランナーに直ちに適用できるものではないと考えます。」及び「引用文献2及び3では、パーツの表面に文字を表示しておりますが、文字の縦の長さは本願発明の範囲から外れていると考えます。たとえば、引用文献2に記載の発明は、医療検査用カセットの発明を開示しており、カセット蓋の表面に文字を表示しているものです。このカセット蓋に設けられている角穴の大きさは医療検査用カセット(包理カセット)の標準(https://www.matsunami-glass.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/06/catalog-5.pdf)からすると0.5mmと思われます。その場合に図5に示される角穴の大きさからすると識別表示17の縦の長さは1.75mmよりも小さく1mm程度です。従いまして、本願発明の1.75mmから3.5mmの範囲からは大きく外れており、当該範囲の識別情報を表す形状の基面部に対する高さを示唆するものではありません。 また、引用文献3に記載の発明は計量スプーンでありますが、こちらについてはその大きさからして文字の縦の長さはミリ(mm)単位ではなくセンチ(cm)単位の大きさを有するものであり、明らかに本願発明の範囲から外れているものです。また、引用文献3における文字の高さは0.1から0.4mmであり、0.3mmよりも大きくすることの示唆を得ることができません。また、引用文献3では、そもそもの文字の大きさにより視認性が確保されているものであり、本願発明のように識別情報を表す形状の縦方向の長さ1.75mmから3.5mmの範囲において、識別情報の記形状の高さを0.3mmより大きくすることについての示唆を与えることはありません。」と主張する。
しかし、上記周知技術の認定は、一般的に人が認識できる凸の高さを認定したものであるから、技術分野に特化した主張は採用できない。
また、引用文献2記載の識別表示17の縦の長さが1mm程度とすると、縦の長さを1.75mmにして、高さを換算すると、5.25mmとなるから、上記本願発明1の範囲内であるから、請求人の主張は採用できない。
そして、本願発明の効果も、引用発明1、上記周知技術から、当業者が予測し得る程度のものといえる。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、当業者が容易に発明できた発明である。
第7 むすび
以のとおりであるから、本願発明は、引用発明1及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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