特許拒絶査定不服審判
2025-000542
菓子
- 審判番号
- 2025-000542
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-129617
- 請求日
- 2025年01月15日
- 審決日
- 2026年06月12日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社バンダイ
- 審判長/審判官
- 審判長 松田 成正
- 審判官 水野 明梨
- 審判官 宮久保 博幸
- 分類
- P18 .121-WZ (A23G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第30条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-129617「菓子」拒絶査定不服審判事件〔令和 7年 2月21日出願公開、特開2025- 25126〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年8月8日を出願日とする出願であって、令和6年4月23日付けで拒絶理由が通知され、同年7月16日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月4日付けで拒絶査定がされ、令和7年1月15日に拒絶査定不服審判の請求がされ、令和8年3月2日付けで拒絶理由が通知され、同年5月7日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし24に係る発明は、令和8年5月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
板状の本体部と、
前記本体部に形成されているキャラクター部と、
前記本体部に形成されている背景部と、
前記本体部を収容している、外縁につば部を備えたトレー状の収容凹部を有する容器部と、
前記容器部内に収容された状態の前記本体部を、前記キャラクター部が視認不可能な状態で包装している包装部と、
を備え、
前記背景部は、前記キャラクター部と同一の厚みに形成されている第1背景部と、前記キャラクター部と異なる厚みに形成されている第2背景部と、を含み、
前記キャラクター部と前記第1背景部との間には第1幅の第1溝部が形成され、前記第1背景部と前記第2背景部との間には前記第1幅よりも広い第2幅の第2溝部が形成されており、
前記本体部は、パフ入りチョコレートで構成されているベース部を含み、
前記キャラクター部、及び前記第1背景部は、パフ無しチョコレートで構成され且つ前記ベース部への積層により形成され、
前記第2背景部は、前記ベース部のみで形成されている、菓子。」
第3 拒絶の理由
令和8年3月2日付けで当審から通知された拒絶の理由は、おおむね次の理由を含むものである。
2 (進歩性)
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
5.「サンリオキャラクターズ キャラパキ|発売日:2022年9月|バンダイ キャンディ公式サイト」,[online],2022年6月10日,[令和8年2月19日検索]インターネット(Internet Archive),<URL: http://web.archive.org/web/20220610142615/https://www.bandai.co.jp/candy/products/2022/4549660821199000.html>
(以下、「引用文献5」という。)
第4 引用文献の記載等
1 引用文献5の記載事項
引用文献5は、株式会社バンダイが新発売する菓子商品を紹介するウェブサイトであって、以下の事項が記載されている。なお、当該ウェブサイトは2022年6月10日に公開(Internet Archiveによる収集時)されていたことが確認でき、本願の出願日の1年前よりも以前に公開されたものである。したがって、引用文献5については特許法第30条に基づく新規性喪失の例外の適用は認められない。
ア「
[図:0001437927000001.jpg]
[図:0001437927000002.jpg]
」(2~3頁)
イ「
[図:0001437927000003.jpg]
」(4頁)
ウ「
サンリオキャラクターズ キャラパキ
メーカー希望小売価格: ¥100(税込:¥108)
※この商品は軽減税率8%対象商品です。
2022年9月 発売
売場:全国量販店の菓子売場等
※画像には複数ラインナップを組み合わせて撮影したものも含まれます。」(4頁)
エ「累計出荷数9,000万個を突破した「キャラパキ」シリーズより、「サンリオキャラクターズ キャラパキ」が新発売!
可愛い「サンリオキャラクターズ」が板チョコレートになりました。
背景デザインにキャラクターの個性を凝縮させた、キャラパキだけのオリジナル描き下ろしデザインは全8種!
パフ入りミルク味チョコ・ホワイトチョコ、イチゴ味チョコ、ブルーベリー味チョコの4つの味わいが楽しめます!
●準チョコレート1個
1.ハローキティ
2.シナモロール
3.マイメロディ
4.クロミ
5.ポムポムプリン
6.ポチャッコ
7.リトルツインスターズ
8.ハンギョドン
」(5頁)
オ「
[図:0001437927000004.jpg]
」(6頁)
カ「●キャンペーン概要
バンダイ キャンディ公式Twitterアカウント(@candytoy_c)
をフォローのうえ、
対象のツイート
をリツイートしていただいた方の中から抽選で「サンリオキャラクターズ キャラパキ」1BOX(14個入)を100名様にプレゼントいたします。
●参加資格
利用規約に同意していただいた方
●応募期間
2022年6月1日(水)10:00 ~ 6月30日(木)23:59」(6頁)
2 引用文献5に記載された発明
上記(1)の摘記事項ア~エより、「サンリオキャラクターズ キャラパキ」は、キャラクターと背景がデザインされた板チョコレートである。さらに、摘記事項ア、イ、オの各写真及び写真に付された説明より、当該キャラパキについて以下の事項が看取される。
・背景は、茶色いチョコレートの色を有する背景部分と、彩色された背景部分とからなること。
・パフ入りチョコからなるチョコレート色のベース部の一方面にキャラクター部分と彩色された背景部分が積層された全体構造を有し、チョコレート色の背景部分は前記ベース部のみからなり、彩色された背景部分とキャラクター部分は、パフを含まない、ブルーベリー味のチョコ、イチゴ味のチョコ又はホワイトチョコからなること。
・彩色された背景部分はキャラクター部分と同じ厚みに形成されていること。
・チョコレート色の背景部分はキャラクター部分よりも薄く形成されていること。
・キャラクター部分と各背景部分との間に溝が形成されていること。
・チョコレート色の背景部分と彩色された背景部分の間に溝が形成されていること。
・袋状のパッケージにより視認不可能に包装されること。
以上より、引用文献5には、以下の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されているといえる。
引用発明5:
「キャラクターと背景がデザインされた板チョコレートであって、
背景はチョコレート色の背景部分と、彩色された背景部分からなり、
パフ入りチョコからなるチョコレート色のベース部の一方面にキャラクター部分と彩色された背景部分が積層された全体構造を有し、チョコレート色の背景部分はベース部のみからなり、彩色された背景部分とキャラクター部分は、パフを含まない、ブルーベリー味のチョコ、イチゴ味のチョコ又はホワイトチョコからなり、
彩色された背景部分はキャラクター部分と同じ厚みに形成され、チョコレート色の背景部分はキャラクター部分よりも薄く形成されており、
キャラクター部分と各背景部分との間に溝が形成され、
チョコレート色の背景部分と彩色された背景部分の間に溝が形成され、
袋状のパッケージにより視認不可能に包装されている、
「サンリオキャラクターズ キャラパキ」。」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と、引用発明5とを対比する。
引用発明5における「サンリオキャラクターズ キャラパキ」は、板チョコレートであるから、本願発明における「菓子」に相当し、本願発明の「板状の本体部」「を備え」るとの特定事項を満たす。
引用発明5においてデザインされた「キャラクター」部分及び「背景」部分は、それぞれ本願発明における「前記本体部に形成されているキャラクター部」及び「前記本体部に形成されている背景部」に相当する。
引用発明5が備える背景のうち、「彩色された背景部分」は、キャラクター部分と同じ厚みに形成されているから、本願発明における「前記キャラクター部と同一の厚みに形成されている第1背景部」に相当する。また、引用発明5が備える背景のうち、「チョコレート色の背景部分」は、キャラクター部分よりも薄く形成されているから、本願発明における「前記キャラクター部と異なる厚みに形成されている第2背景部」に相当する。
引用発明5は、キャラクター部分と各背景部分との間に溝が形成され、チョコレート色の背景部分と彩色された背景部分の間に溝が形成されているものであるから、溝部の構成に関して本願発明と引用発明5とは、「前記キャラクター部と前記第1背景部との間には第1幅の第1溝部が形成され、前記第1背景部と前記第2背景部との間には第2幅の第2溝部が形成されており、」との限りにおいて一致する。
引用発明5は、「パフ入りチョコからなるチョコレート色のベース部の一方面にキャラクター部分と彩色された背景部分が積層された全体構造」を有し、チョコレート色の背景部分は「ベース部のみ」からなり、彩色された背景部分とキャラクター部分は、「パフを含まない、ブルーベリー味のチョコ、イチゴ味のチョコ又はホワイトチョコ」からなるものであるから、本願発明の、
「前記本体部は、パフ入りチョコレートで構成されているベース部を含み、
前記キャラクター部、及び前記第1背景部は、パフ無しチョコレートで構成され且つ前記ベース部への積層により形成され、
前記第2背景部は、前記ベース部のみで形成されている、」
との特定事項を満たす。
引用発明5は、「袋状のパッケージにより視認不可能に包装されている」ものであるから、包装部に関して本願発明と引用発明5とは、「前記本体部を、前記キャラクター部が視認不可能な状態で包装している包装部と、」「を備える」との限りにおいて一致する。
以上より、本願発明と引用発明5とは、
「板状の本体部と、
前記本体部に形成されているキャラクター部と、
前記本体部に形成されている背景部と、
前記本体部を、前記キャラクター部が視認不可能な状態で包装している包装部と、
を備え、
前記背景部は、前記キャラクター部と同一の厚みに形成されている第1背景部と、前記キャラクター部と異なる厚みに形成されている第2背景部と、を含み、
前記キャラクター部と前記第1背景部との間には第1幅の第1溝部が形成され、前記第1背景部と前記第2背景部との間には第2幅の第2溝部が形成されており、
前記本体部は、パフ入りチョコレートで構成されているベース部を含み、
前記キャラクター部、及び前記第1背景部は、パフ無しチョコレートで構成され且つ前記ベース部への積層により形成され、
前記第2背景部は、前記ベース部のみで形成されている、菓子。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点1
溝部の幅について、本願発明は、第2溝部の第2幅が第1溝部の第1幅よりも広いことを特定するのに対し、引用発明5は第1幅と第2幅の大小関係が明確に特定されていない点。
・相違点2
本願発明は、「前記本体部を収容している、外縁につば部を備えたトレー状の収容凹部を有する容器部と、」を備え、包装部が「前記容器部内に収容された状態の」本体部を包装するものであるのに対し、引用発明5は容器部を備えるか否か不明である点。
2 判断
(1)相違点1について
上記摘記事項ア、イ、オの各写真によれば、キャラクターと各背景の間に形成される溝は、キャラクターの外形に沿った曲線状であり、チョコレート色の背景部分と彩色された背景部分の間に形成された溝も、雲やレース等を模した複雑な曲線状である。そうすると、引用発明5における溝は、部位によってその幅が変化しており、「第2幅」が「第1幅」よりも広くなっている部位も存在するといえる。そうすると、上記相違点1は、実質的な相違点とはいえない。
また仮に、相違点1が実質的な相違点であるとしても、引用発明5において各溝の幅を適宜に異ならせることは、当業者にとって菓子をデザインする際の設計的事項に過ぎない(例えば、上記摘記事項オの写真によれば、左下のポムポムプリンがデザインされた菓子において背景部分間の斜め方向の溝が他の溝よりもやや広く形成されていることが看取される。)。そうすると、引用発明5において、相違点1に係る本願発明の特定事項を満たすものとすることに格別の困難性は認められない。
ここで、請求人は審判請求書において、本願発明の効果について、「背景部を異なる厚みに形成すると共に部位に応じて溝部の幅を異ならせることで、板状の本体部からなる一つの菓子において、分割難易度を多様化させることができるので、飽きることなく分割操作を楽しむことが可能となります。」との点を主張している。しかしながら、本願明細書には溝部の幅を異ならせることによる効果について何ら開示がなく、請求人が主張する効果は本願明細書に接した当業者が認識できるものではない。そうすると、審判請求書における請求人の主張は、本願明細書の記載に基づくものではなく参酌できない。よって、上記相違点1に係る特定事項を備えることにより、本願発明が格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
(2)相違点2について
割って楽しむための板状のチョコレート菓子を包装するにあたり、外縁につば部を備えたトレー状の収容凹部を有する容器部に菓子を収容した上で包装することにより菓子を保護することは、本願出願日当時には周知であった(下記周知文献6及び7の写真から看取される事項を参照)。このような容器部は一般にチョコレート菓子を保護するためのものである。一方、引用発明5も割って楽しむ菓子(上記摘記事項ア)であって、割れやすい構造を有するから、包装された菓子を保護しようとする動機付けがあることは明らかである。
そうすると、引用発明5において上記周知技術を適用し、相違点2に係る本願発明の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、本願発明の効果は、引用文献5並びに上記周知の技術的事項から当業者が予測し得るものであって、格別顕著なものとはいえない。
周知文献6:「【困惑】これは食育…なのか? 動物を解体しながら食べるシュールな菓子『キャラパキ 解体図鑑』 | ロケットニュース24」,[online],2020年9月25日,[令和8年5月22日検索]インターネット(Internet Archive),<URL: http://web.archive.org/web/20200925142221/https://rocketnews24.com/2020/09/25/1415458/>
以下、周知文献6の記載事項。
・「
[図:0001437927000005.jpg]
」(1頁)
・「
[図:0001437927000006.jpg]
」(2頁)
周知文献7:「【ポケモンお菓子】小2が実践!キャラパキ ポケモン発掘チョコをやってみた!|お菓子と、わたし」,[online],2022年8月7日,[令和8年5月22日検索]インターネット(Internet Archive),<URL: http://web.archive.org/web/20220807084826/https://okashi-to-watashi.jp/post/1325>
以下、周知文献7の記載事項。
・「
[図:0001437927000007.jpg]
[図:0001437927000008.jpg]
」(3頁)
・「
[図:0001437927000009.jpg]
」(4頁)
3 請求人の主張について
(1)請求人の主張の概要
請求人は、令和8年5月7日に提出された意見書において、おおむね次のとおり主張する。
「本件出願に係る発明と引用文献等5に記載された発明とを比較すると、本件出願に係る発明の発明特定事項である「外縁につば部を備えたトレー状の収容凹部を有する容器部と、
前記容器部内に収容された状態の前記本体部を、前記キャラクター部が視認不可能な状態で包装している包装部と、
を備え」、及び「前記本体部は、パフ入りチョコレートで構成されているベース部を含み、
前記キャラクター部、及び前記第1背景部は、パフ無しチョコレートで構成され且つ前記ベース部への積層により形成され、
前記第2背景部は、前記ベース部のみで形成されている」は、引用文献等5には、記載も示唆もされていません。また、上記事項は、当該技術分野における周知の事項でもありません。
したがって、本件出願に係る発明は、引用文献等5に記載された発明ではなく、引用文献等5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明とすることができたものではありません。
本件出願に係る発明によれば、段落[0032]に記載されるように、割れにくさが異なる部分を備える、興趣性を向上させた菓子を、効果的に保護することができます。」
(2)請求人の主張についての検討
請求人が指摘する本願発明の特定事項のうち、
「前記本体部は、パフ入りチョコレートで構成されているベース部を含み、
前記キャラクター部、及び前記第1背景部は、パフ無しチョコレートで構成され且つ前記ベース部への積層により形成され、
前記第2背景部は、前記ベース部のみで形成されている」
については、上記1で検討したとおり、本願発明と引用発明5との相違点とはいえない。
また、請求人が指摘する本願発明の特定事項のうち、
「外縁につば部を備えたトレー状の収容凹部を有する容器部と、
前記容器部内に収容された状態の前記本体部を、前記キャラクター部が視認不可能な状態で包装している包装部と、
を備え」
は、相違点2に係る特定事項といえるが、上記2で検討したとおり、相違点2に係る本願発明の特定事項は周知技術の付加に過ぎず、本願発明の効果も、引用文献5並びに上記周知の技術的事項から当業者が予測し得るものである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
4 むすび
したがって、本願発明は、依然として、引用発明5、すなわち引用文献5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 結語
以上のとおり,本願発明は,引用発明5に記載された発明並びに上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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