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特許拒絶査定不服審判

2023-014424

シートの送り出し方向制御機構

審判番号
2023-014424
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-055591外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年08月26日
審決日
2024年07月30日
公報発行日
2024年10月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B65H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
行政事件訴訟法46条特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019- 55591「シートの送り出し方向制御機構」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月10日出願公開、特開2020-142927〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成31年3月5日の出願であって、令和4年12月19日付けで拒絶理由が通知され、令和5年3月3日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月26日付けで拒絶査定がなされたのに対し、同年8月26日に拒絶査定不服審判の請求がされ、令和6年4月23日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月21日に意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年3月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路の両側に設けられると共に前記搬送経路を通過するシートの両側端を押えるガイド部材と、前記両ガイド部材のそれぞれの内方に配置されたベルトコンベア及びその上に共回り状態で配置された球体からなると共にそれらの間にシートを挟持して送り出す送り出し手段との組み合わせからなるシートの送り出し方向制御機構において、前記両送り出し手段を、それらにより送り出される前記シートの両側端が前記両ガイド部材にそれぞれ突き当たるように搬送方向に対してそれぞれ傾きをもって配置してなり、それによって前記シートが、前記両送り出し手段により幅方向に押し広げられながら前記搬送経路に送り出されると共にその両側端を前記両ガイド部材にそれぞれ突き当てられ、前記各送り出し手段における前記球体との点状接触により前記両ガイド部材に沿って方向修正されるようにしたことを特徴としたシートの送り出し方向制御機構。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由において通知した理由は、次の理由を含むものである。 (進歩性)この出願の令和5年3月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.特開2017-75049号公報 2.特開2012-86976号公報 第4 当審の判断 1 引用文献 (1)引用文献1 当審拒絶理由で引用された、本願の出願前である平成29年4月20日に頒布された刊行物である特開2017-75049号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 ア 「【0003】 既述の特許文献の発明では、前記マージナル孔とピントラクタの組み合わせ機構により長尺シートは正確に一定方向に送り出される。そのため下流の加工工程で位置ずれや見当ずれを起こすことがないのである。しかるに前記組み合わせ機構はマージナル孔が必ず必要なため、マージナル孔のない長尺シート或いは枚葉シートには当然適用することができない。前記長尺或いは枚葉シートを例えばニップローラ等で送り出すと、回転中のニップローラの僅かなニップ圧の変化により左右に蛇行して送り出され、下流の加工工程へ繋がる搬送経路から逸脱してしまうのである。」 イ 「【請求項1】 長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路の両側に設けられた、通過するシートの両端部を押えるガイド部材とベルトコンベア及び前記ベルトコンベア上に共回り状態で配置された球体との組み合わせからなるシート搬送機構を備え、前記ベルトコンベアと前記球体間に挟持されたシートの移動方向を制御することを特徴としたシートの送り出し方向制御機構。」 ウ 「【0012】 以下、本発明を図面と共に分かりやすく説明する。 図1乃至図4は本発明のシートの送り出し方向制御機構の要部を説明するための各種図面である。各図面において二点鎖線で示すシートSは、図中太い矢印が示す方向へ移動している。また各図に示すように、本発明のシートの送り出し方向制御機構の基本構成は、球体1と球体固定プレート2、そして球体固定プレート2を支持すると共に通過するシートの側端の当たりとなるガイドプレート3及びベルトコンベア5の組み合わせからなる一対のユニットが、シャフト4で通過するシートの幅に合わせてスライド可能な状態に固定されている。 【0013】 図3に示すように球体1及びベルトコンベア5間に挟まれたシートSは、図中矢印方向へ回転移動するベルトコンベア5とその上面に配置された供回り状態の球体1の動きにより右から左へと搬送される。 【0014】 搬送途中でシートSの端面は両側のガイドプレート3に挟まれて送り出し方向を制御され向きを修正しようとするが、シートS上面で回転する球体1のニップ力(自重)は極めて弱く、加えてシートSとの接触面が点に近く狭いため、前記シートSが方向を修正するに際して抵抗になることはない。従ってシートSは容易に両ガイドプレート3の側面に沿って送り出し方向が矯正されるのである。 【0015】 既述の構成により連続状態の長尺シートでは、本発明の送り出し方向制御機構を通過中の長尺シートの蛇行等を順次自動的に制御して修正してくれる。また枚葉シートでは通過する単位シート毎に送り出し方向が制御され、下流の加工工程へ正確な加工を施せるように送り出すことが可能である。」 エ 「【図1】 [図:0001414920000001.jpg] 」 オ 「【図3】 [図:0001414920000002.jpg] 」 カ 上記イの「長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路の両側に設けられた、通過するシートの両端部を押えるガイド部材」との記載から、「ガイド部材」は、搬送経路の両側に設けられていると解することができるから、「ガイド部材」は、搬送経路を通過するシートの両端部を押えるものであるといえる。 キ 上記ウの「球体1」、「ベルトコンベア5」、「シートS」、及び「ガイドプレート3」は、上記イの「球体」、「ベルトコンベア」、「シート」、及び「ガイド部材」に対応する。 ク 上記エから、シートの両端部に位置する2つのガイド部材のシート側にそれぞれベルトコンベア及び球体が配置されることが看取できる。 ケ 上記アの「前記長尺或いは枚葉シートを例えばニップローラ等で送り出すと、・・・左右に蛇行して送り出され、下流の加工工程へ繋がる搬送経路から逸脱してしまうのである」との記載、上記イの「前記ベルトコンベアと前記球体間に挟持されたシートの移動方向を制御する・・・シートの送り出し方向制御機構」との記載、上記ウ【0014】の「搬送途中でシートSの端面は両側のガイドプレート3に挟まれて送り出し方向を制御され向きを修正しようとする」との記載から、上記カ及びキをふまえると、シートの両端に位置する2つのガイド部材がシートの端面を挟むことにより、ベルトコンベアと球体間に挟持されたシートの移動方向を、左右に蛇行しないように修正すると認められる。 コ 上記アないしケから、引用文献1には以下の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明1」という。)。 「長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路の両側に設けられ、搬送経路を通過するシートの両端部を押える2つのガイド部材と、2つのガイド部材のシート側にそれぞれ配置されたベルトコンベア及びベルトコンベア上に共回り状態で配置された球体との組み合わせからなり、球体及びベルトコンベア間に挟まれたシートを、ベルトコンベアと球体の動きにより搬送するシート搬送機構を備えたシートの送り出し方向制御機構であって、 2つのガイド部材がシートの端面を挟むことにより、ベルトコンベアと球体間に挟持されたシートの移動方向を、左右に蛇行しないように修正し、シートは2つのガイド部材の側面に沿って送り出し方向が矯正され、 球体とシートとの接触面が点に近く狭い、 シートの送り出し方向制御機構。」 (2)引用文献2 当審拒絶理由で引用された、本願の出願前である平成24年5月10日に頒布された刊行物である特開2012-86976号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0048】 第2ローラ対は、搬送ローラ101と複数のピンチローラ102で構成されているため、シートに均等な圧分布の圧をかけることができ、紙へのダメージなく、かつ高い搬送精度でシートを搬送することが出来る。ここで、シートの座屈が第2ローラ対近傍で僅かでも起こった場合、複数のピンチローラ102間でシートの座屈が成長し、紙シワを誘発する。しかし、本構成では蛇行抑制ガイドによりシートの座屈が起こっても、第1ローラ対によりシートの座屈や変形が第1ローラ対の上流側で完結するため、第2ローラ対近傍でシートの座屈が起こることはなく、従って紙シワを起こさない。また、隣接するピンチローラ102のどの 組合せにおいても、ピンチローラがシートを幅方向に広げるように斜送力を作用させる。これにより、シートの座屈が第2ローラ対近傍で起こったとしても、シートの座屈を伸ばす方向にシート搬送を行い、紙シワを起こさない。更に、剛度が低いシート種類や、ピンチローラに対して半がかりになる幅のシートの場合、シートの座屈を起こしやすいが、シート種類やシート幅に応じてピンチローラ102の押圧力を変更することで、紙シワを防ぐことが出来る。」 イ 上記アより、引用文献2には以下の事項が記載されていると認められる(以下「引用文献2記載事項」という。)。 「シートを幅方向に広げるように斜送力を作用させ、シート搬送を行い、紙シワを起こさないこと。」 2 対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 (1)後者の「長尺シート」、「枚葉シート」、「ベルトコンベア」、「球体」、及び「シートの送り出し方向制御機構」は、それぞれ、前者の「長尺シート」、「枚葉シート」、「ベルトコンベア」、「球体」、及び「シートの送り出し方向制御機構」に相当する。 (2)後者の「長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路」は、前者の「長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路」に相当する。 そうすると、後者の「2つのガイド部材」は、長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路の両側に設けられ、搬送経路を通過するシートの両端部を押えるものであるから、前者の「ガイド部材」と、後者の「2つのガイド部材」とは、「長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路の両側に設けられると共に前記搬送経路を通過するシートの両側端を押える」ものとの概念で一致する。 (3)後者の「ベルトコンベア」は、2つのガイド部材のシート側にそれぞれ配置されたものであるから、前者の「ベルトコンベア」と、後者の「ベルトコンベア」とは、「両ガイド部材のそれぞれの内方に配置された」ものとの概念で一致する。 (4)後者の「球体」は、2つのガイド部材のシート側にそれぞれ配置され、ベルトコンベア上に共回り状態で配置されたものであるから、前者の「球体」と、後者の「球体」とは、「『両ガイド部材のそれぞれの内方に配置され』、『ベルトコンベア』『の上に共回り状態で配置された』」ものとの概念で一致する。 (5)後者の「シート搬送機構」は、2つのガイド部材のシート側にそれぞれ配置されたベルトコンベア及びベルトコンベア上に共回り状態で配置された球体との組み合わせからなり、球体及びベルトコンベア間に挟まれたシートを、ベルトコンベアと球体の動きにより搬送するものであるから、上記(3)及び(4)をふまえると、前者の「送り出し手段」と、後者の「シート搬送機構」とは、「両ガイド部材のそれぞれの内方に配置されたベルトコンベア及びその上に共回り状態で配置された球体からなると共にそれらの間にシートを挟持して送り出す」ものとの概念で一致する。 (6)上記(2)及び(5)をふまえると、後者の「シートの送り出し方向制御機構」は、「2つのガイド部材」と「シート搬送機構」を備えたものであるから、前者の「シートの送り出し方向制御機構」と、後者の「シートの送り出し方向制御機構」とは、「『ガイド部材と』、『送り出し手段との組み合わせからなる』」ものとの概念で一致する。 (7)後者の「シート」は、球体との接触面が点に近く狭く、2つのガイド部材の側面に沿って送り出し方向が矯正されるものであるから、球体と点状接触しているといえ、後者の「球体」は、「シート搬送機構」を構成するものである。 また、後者の「シートの送り出し方向制御機構」は、球体とシートとの接触面が点に近く狭く、2つのガイド部材がシートの端面を挟むことにより、ベルトコンベアと球体間に挟持されたシートの送り出し方向を、左右に蛇行しないように修正し、シートは2つのガイド部材の側面に沿って送り出し方向が矯正されるものであるから、前者の「シートの送り出し方向制御機構」と、後者の「シートの送り出し方向制御機構」とは、「『シートが』『各送り出し手段における前記球体との点状接触により前記両ガイド部材に沿って方向修正されるようにした』」ものとの概念で一致する。 そうすると、本願発明と引用発明1とは、 [一致点] 「長尺シート或いは枚葉シートの搬送経路の両側に設けられると共に前記搬送経路を通過するシートの両側端を押えるガイド部材と、前記両ガイド部材のそれぞれの内方に配置されたベルトコンベア及びその上に共回り状態で配置された球体からなると共にそれらの間にシートを挟持して送り出す送り出し手段との組み合わせからなるシートの送り出し方向制御機構において、前記各送り出し手段における前記球体との点状接触により前記両ガイド部材に沿って方向修正されるようにしたことを特徴としたシートの送り出し方向制御機構。」 で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 本願発明が、両送り出し手段を、それらにより送り出されるシートの両側端が両ガイド部材にそれぞれ突き当たるように搬送方向に対してそれぞれ傾きをもって配置してなり、それによってシートが、両送り出し手段により幅方向に押し広げられながら搬送経路に送り出されると共にその両側端が両ガイド部材にそれぞれ突き当てられるのに対し、引用発明1では、シートは2つのガイド部材の側面に沿うにとどまる点。 3 判断 (1)相違点について ア 引用文献2記載事項のように、紙シワを起こさないようにするために、シートを幅方向に広げるように斜送力を作用させて搬送することは、周知の事項(以下「周知技術」という。)であるといえる。 イ 引用発明1と上記周知技術は、共にシートの搬送機構に関する技術の点で技術分野が共通する。 そして、シート搬送装置において、シートの搬送時にシワを起こさないように搬送することは、当業者にとって自明の課題であるから、引用発明1においても、シワを起こさないように搬送するという課題を有しているといえる。 よって、引用発明1に上記周知技術を適用する動機付けがあるといえる。 ここで、引用発明1の2つのガイド部材は、シートの移動方向を制御するためのものであるから、搬送力を作用させているといえる。 してみると、当該2つのガイド部材がシートの移動方向を制御しているところ、紙シワを起こさないように、上記周知技術を参酌し、シートの移動方向に対してそれぞれ傾きをもって配置することは、当業者が容易になし得るものである。 ウ そして、引用発明1は、シートは2つのガイド部材の側面に沿って送り出し方向が矯正されるものであるのだから、前述の通り、2つのガイド部材をシートの移動方向に対してそれぞれ傾きをもって配置すると、シートの両側端が両ガイド部材にそれぞれ突き当てられることは明らかである。 エ そうすると、引用発明1に前記周知技術を適用し、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 本願発明の効果も、引用発明1及び周知技術から、当業者が予測し得る程度のものといえる。 (2)令和6年6月21日に提出された意見書の主張について ア 請求人は、「引用文献2に記載された前記事項から、紙シワを起こさないようにするために、シートを幅方向に広げるように斜送力を作用させて搬送することが、周知技術として引用文献1に係る発明のシートの送り出し方向制御機構に適用されたとしても、前記の請求項1に係る発明における既述の要部(a)、(b)及び(c)の特徴ある構成及び作用効果には容易には想到し得なかったことである。 引用文献1に係るシートの送り出し方向制御機構に引用文献2に係る前記第2ローラ対の構成やシートの拡幅に係る周知技術を適用したとしても、幅方向に押し広げられたシートの両側端が両ガイド部材にそれぞれ積極的に突き当てられ、該突き当てによる反力と前記球体との点状接触の作用により、幅方向に押し広げられた状態で前記両ガイド部材に沿って倣うように抵抗なく姿勢制御、方向修正され、幅方向へ押し広げの動作と点状接触による姿勢制御、方向修正の動作が同時に相乗的に進行するような本願の請求項1に係る発明の構成及び作用効果に必然的に想到することは困難である。」旨、主張する(スペースは改行を表す。)。 イ しかしながら、上記(1)アのとおり、紙シワを起こさないようにするために、シートを幅方向に広げるように斜送力を作用させて搬送することは、周知の事項であって、上記(1)イのとおり、引用発明1に、引用文献2に係る第2ローラ対の構成ではなく、上記周知技術を適用する動機付けがあるといえる。 ウ そして、引用発明1に上記周知技術を適用すると、上記(1)ウのとおり、引用発明1の、2つのガイド部材をシートの移動方向に対してそれぞれ傾きをもって配置すると、シートの両側端が両ガイド部材にそれぞれ突き当てられることになり、「請求項1に係る発明における既述の要部(a)、(b)及び(c)の特徴ある構成及び作用効果」を想到することは容易であるといえるから、当該主張は採用できない。 4 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 したがって、結論のとおり審決する。

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2023-014424

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