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特許拒絶査定不服審判

2024-017331

画像形成装置

審判番号
2024-017331
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-095408
請求日
2024年10月30日
審決日
2025年09月16日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】キヤノン株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人近島国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 川俣 洋史
  • 審判官 殿川 雅也
  • 審判官 山本 一
分類
P18 .121-Z (B65H) / 標準データ:手続:不服 / 標準データ:80・121-Z (B65H) / 標準データ:確定ステータス:1 維持(出訴無し)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法159条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第159条第2項
データ出所
審決公報(XML)、特許情報標準データ(審判)

事件の表示

特願2020- 95408「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年12月13日出願公開、特開2021-187631〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年6月1日の出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。 令和5年 5月31日 :手続補正書の提出 令和6年 3月 4日付け:拒絶理由通知書 同年 5月10日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月16日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 同月30日 :原査定の謄本の送達 同年10月30日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~12に係る発明は、令和6年5月10日に提出された手続補正書の請求項1~12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に特定されるとおりである。 「【請求項1】 シートに画像を形成する画像形成部と、 前記画像形成部によってシートの第1面に画像が形成されたシートを挟持してシートを搬送する第1搬送ローラ対と、 前記第1搬送ローラ対によってシートを挟持した状態でシートの搬送方向に直交する幅方向にシートを移動させる第1移動部と、 前記搬送方向において前記画像形成部より上流に設けられ、前記第1搬送ローラ対によって搬送されたシートの前記第1面と反対側のシートの第2面に画像を形成するためにシートを挟持して搬送する第2搬送ローラ対と、 前記第1移動部によって前記幅方向に移動された後、前記第2搬送ローラ対によって挟持されたシートを前記幅方向に移動させる第2移動部と、を備える、 ことを特徴とする画像形成装置。」 第3 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、令和6年3月4日付け拒絶理由通知書に記載した次の理由を含むものである。 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1、2記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2017-145091号公報 引用文献2:特開2012-056668号公報 第4 各引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載事項 原査定で引用文献1として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-145091号公報には、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同じ。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の画像形成装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、シートに画像を形成する画像形成装置では、シートと、このシートに形成される画像との位置合わせを行うため、例えばシートの搬送方向に直交する幅方向にシートをシフトさせることでシート位置(横レジ位置)を補正する機構を備えたものがある。このようにして、画像形成部へと搬送されるシートの位置、姿勢(傾き)を補正する機能を有するシート搬送装置を備えた画像形成装置もある。 【0003】 近年、画像形成装置の高生産性化に伴い、シート位置補正のためのレジストレーションローラ対によるシフト動作、及び、シフト後の戻り動作等の処理に費やすことのできる時間も短くなっている。画像形成部へと向かうシートの位置ズレが大きい場合には、位置ズレを補正する際のシフトの移動量が大きくなるため、所定時間内に戻り動作が完了しないようなケースが発生する可能性がある。例えば、レジストレーションローラ対のシフト量が大きくなることに伴い、シートに「ねじれ」が生じてしまうことがある。その結果、搬送されるシートが斜行してしまったり、シフト精度を損なったりすることがある。従って、位置ズレを補正する際のシフト量は、最小限にとどめることが望ましい。 【0004】 また、装置の小型化に伴い、シフト機構を備えたレジストレーションローラ対と、そのシート搬送方向上流側にある搬送ローラとの間の距離が短くなる傾向にある。そして、レジストレーションローラ対によるシフト動作の際には、レジストレーションローラ対以外でこのシートを挟持している搬送ローラ全ての挟持を解除することが望ましい。このことが装置の小型化に逆行すると共に、装置の構成を複雑化して高コスト化を招くことになる。 【0005】 以上の背景に鑑み、あるシートの幅方向の検知結果を、所定頁数遅れたシートの画像形成位置に加味させて、シフト量が小さくなるように制御する方式の画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置は、レジストレーションローラ対の上流に配置されたプレレジストレーションローラ対により搬送されるシートの先端をレジストレーションローラ対のニップ部に突き当てて倣わせ、シートを撓ませて先端部の斜行を補正する機構を備える。この画像形成装置は更に、シートの幅方向の位置を補正する幅方向補正機構を備えている。この幅方向補正機構は、レジストレーションローラ対の下流側に、シートの幅方向の側端位置を検知する検知手段と、シートを挟持したままの状態でレジストレーションローラ対を幅方向にシフトさせるシフト機構とを備える。 ・・・中略・・・ 【0007】 一般的に、シートの四隅の角部が厳密に90度であることは少なく、例えばシート搬送方向の先端と後端とで幅方向の端部位置(側端位置)が1.0mm程度ずれていて平行四辺形となっている場合が想定される。このシートを印刷に使用すると、たとえ第1面のシフト動作が正しく行われ、両面搬送中のシートの端部位置にズレが無いとしても、スイッチバックして折り返し搬送すると先端、後端が入れ替わり、第2面の幅方向端部位置は反対側に1.0mmずれる。第1面の画像形成中に二次転写ローラにより斜めに搬送され、或いは徐々に旋回して搬送される際でも、後端部分での幅方向側端位置がずれることで、スイッチバック後の第2面の幅方向側端位置が上記斜送量或いは旋回量の分だけオフセットして検知される。 【0008】 上記特許文献1に記載の画像形成装置では、あるシートの幅方向検知結果を、所定頁数遅れたシートの画像形成位置に加味させる制御方式であるが、第1面(1面目)か第2面(2面目)かに関する言及は無い。つまり、上述のようにスイッチバック後の第2面の幅方向端部位置が、斜送量もしくは旋回量の分だけオフセットして検知されるにも拘わらず、第2面の画像書き込み位置は第1面と同一であると見なされて制御される。このため、特許文献1の技術によると、第1面搬送中の後端部分での幅方向端部位置ズレ量に応じて、第2面の幅方向でのレジストレーションローラ対によるシフト量が大きくなってしまうという問題が残る。 【0009】 そこで、本発明は、レジストレーションローラ対等の調整手段によるシート第2面に対するシフト量を最小限に抑えることが可能な構成を備えた画像形成装置を提供することを目的としている。 【0010】 本発明は、画像形成装置において、画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段のシート搬送方向の上流に配置され、搬送されてくるシートを挟持して下流に搬送しつつ前記シート搬送方向に直交する幅方向にシフトさせて前記画像形成手段の画像書き込み位置に合わせる調整手段と、シートの前記幅方向における一方の側端位置を検知する検知手段と、前記画像形成手段により第1面に画像形成されたシートをその先端と後端とを反転させて前記画像形成手段に向けて再送する反転再送手段と、前記調整手段を前記幅方向にシフトさせる制御手段と、を備え、前記制御手段は、シートの第1面の後端部分にて前記検知手段により検知された後端部分側端位置に基づき、前記反転再送手段により前記調整手段に再送されてきたシートの第2面に対する前記画像形成手段による第2画像書き込み位置を決定し、前記反転再送手段によって再送されてきたこのシートの前記調整手段のシフト量を、前記第2画像書き込み位置と、前記検知手段により検知した前記反転再送手段によって再送されてきたシートの側端位置とに基づき決定することを特徴とする。」 イ 「【0014】 [画像形成装置] 図1に示すように、画像形成装置10は、例えば電子写真方式を用いたカラー画像形成装置である。なお、近年では、4色の画像形成部それぞれを中間転写ベルト上に並べて配置し、多種多様なシート(例えば、用紙)への適応性、プリント生産性などに優れる中間転写タンデム方式が主流となっている。そこで、本実施形態に係る画像形成装置10は、中間転写タンデム方式の画像形成部115を有するものとして説明を進める。 【0015】 図1に示すように、画像形成装置10は、主として画像形成部115、二次転写部T2、及びシート搬送装置101を有している。 ・・・中略・・・ 【0018】 被転写材であるシートSは、例えばサイズ毎にシート収納庫61,62,63の給紙カセットに収納され、もしくは、手差し給送部64に積載される。シート収納庫61,62,63に各対応する位置には、給送ローラ61a,62a,63aがそれぞれ配置され、手差し給送部64に対応する位置には、給送ローラ64aが配置されている。シート収納庫61,62,63に対応する給送ローラ61a~63aの何れかによりシートが給送されると、このシートは、搬送ローラ対130及びプレレジストレーションローラ対120等を通過し、レジストレーションローラ対110へと搬送される。また、手差し給送部64に対応する給送ローラ64aによってシートSが給送されると、このシートSは、搬送ローラ対73を通過してレジストレーションローラ対110に搬送される。 【0019】 なお、レジストレーションローラ対110は、調整手段を構成している。調整手段は、画像形成部115のシート搬送方向(図2中の矢印A)の上流に配置され、搬送されてくるシートを挟持して下流に搬送しつつシート搬送方向に直交する幅方向(図2中の矢印H)にシフトさせて画像形成部115の画像書き込み位置に合わせる。 ・・・中略・・・ 【0022】 また、両面印刷の場合には、シートがその後端を両面反転ローラ対86に所定距離だけ残した状態で一旦停止された後、両面反転ローラ対86の逆転により、両面搬送路90を経由して再びシート搬送部100に搬送される。そして、画像形成部115にて第2面に対応した画像形成が行われる。その後の定着、排出動作は、第1面の場合と同様である。 【0023】 本実施形態に係る画像形成装置10では、一例としてシート搬送経路におけるシート搬送方向に直交する方向の中央と、シートの幅方向の中央とを一致させてシートを搬送する中央基準のシート搬送方式を採用しているものとして説明を進める。なお、排出ローラ対77、両面反転ローラ対86及び両面搬送路90により、画像形成部(画像形成手段)115により第1面に画像形成されたシートをその先端と後端とを反転させて画像形成部115に向けて再送する反転再送手段102が構成されている。」 ウ 「【0031】 制御部200は、CIS141の検知結果に基づいて、称呼位置(設計上の目標位置)と、シートの側端位置の検知結果とのズレ量を算出する。制御部200は、算出したズレ量に基づいてシート搬送部100におけるレジストレーションローラ対110の幅方向へのシフト動作を実行する。このようにシート搬送部100では、シートSの幅方向の位置を、画像形成部115により二次転写される画像の位置に一致させるように補正する。なお、制御部200及びシフトモータ151(図2、図3参照)により制御手段が構成されている。本実施形態において、制御手段(151,200)は、調整手段としてのレジストレーションローラ対110を幅方向Hにシフトさせる。このレジストレーションローラ対110は、搬送されてくるシートの先端をニップ部Nに当接させつつシートの斜行を補正する。 ・・・中略・・・ 【0048】 また、制御手段(151,200)は、シートの第1面の後端部分でCIS141により検知された第1後端部分側端位置L1b(図6参照)に基づき、第2画像書き込み位置g2(第2画像書き込み開始位置)を決定する。第2画像書き込み位置g2は、反転再送手段102により反転されてレジストレーションローラ対110に再送されたシートの第2面に対応して、画像形成部115により感光ドラム11Y,11M,11C,11Bkに書き込みが開始される位置である。更に制御手段(151,200)は、シートの第2面に対するレジストレーションローラ対110のシフト量を、第2画像書き込み位置g2に対する、CIS141により検知したシートの第2先端部分側端位置L2t(図6参照)に基づいて決定する。即ち、反転再送手段102で再送されてきたシートの上記ローラ対110のシフト量を、第2画像書き込み位置g2と、CIS141で検知した反転再送手段102により再送されてきたシートの側端位置(第2先端部分側端位置L2t)とに基づき決定する。」 エ 「【0063】 Step111の後、制御部200は、定着装置50を介してトナー像の定着を行わせる(Step112)。片面ジョブの場合、トナー像が定着されたシートSを排出部80に排出(Step113)してジョブは終了するが、両面ジョブの場合には、第2面の画像形成のためにシートSの反転処理が行われる。制御部200は、後続するプリントがあるか否かを判断する(Step114)。後続するシートがないと判断した場合には(Step114:No)、プリントジョブを終了する(Step115)。また、後続するシートがあると判断した場合には(Step114:Yes)、制御部200は、レジストレーションローラ対110をホームポジション(中央位置)に戻し(Step116)、ステップS103の処理へ戻る。 【0064】 そして制御部200は、プリントジョブが第2面の印刷であると判断した場合(Step103:第2面)、第1面にプリントされたシートSを、両面反転ローラ対86によりスイッチバック反転させる。そして、両面搬送路90を搬送して、再びプレレジストレーションローラ対120まで搬送する。ここで、スイッチバック反転は、第1面の後端部分が第2面の先端部分に切り替わることが特徴的である。そして、シートSの直角性が良好でない場合には、第1面の後端部分の検知結果である第1後端部分側端位置L1bが第2面の先端部分の検知結果である第2先端部分側端位置L2tと相関することが分かっている。実際には、両面搬送路90での搬送中のズレも加算されることが一般的である。 【0065】 本実施形態では、上記現象に鑑み、制御部200が、第2面の第2画像書き込み位置g2を第1後端部分側端位置L1bに基づいて算出して決定する。ここでは、第2画像書き込み位置g2は、第1面の第1画像書き込み位置g1と同一値であるとしている(Step117)。即ち、制御部200は、シートの第2画像書き込み位置g2を、このシートの第1後端部分側端位置L1bをそのまま用いて決定する。Step117では、画像形成部115にて、第2画像書き込み位置g2から、感光ドラム11Y~11Bkの対応するものに対し露光装置13Y~13Bkの対応するものにより画像を書き込む。シートSの第2面に対するレジストレーションローラ対110による斜行補正動作は、第1面の場合と同一である(Step118,119,120)。そして、二次転写部T2への搬送中に第2面本検知を行って第2先端部分側端位置L2tを検知する(Step121:図6(c))。 【0066】 制御部200は、この第2先端部分側端位置L2t(本検知結果)に基づいて、第2面に対するシート位置補正量を決定する。この場合のシート位置補正量は、第2画像書き込み位置g2に対するCIS141により検知したシートの第2先端部分側端位置L2tに基づき決定する。即ち、第2面の第2先端部分側端位置L2t(本検知結果)から第2画像書き込み位置g2(即ち、第1後端部分側端位置L1b)を減算、つまりL2t-L1bによって求めることができる。 【0067】 図6(c)の例では、簡単のため、第1面の第1画像書き込み位置g1が0である(g1=0)としている。即ち、本実施形態を適用しない比較例において第2面の第2画像書き込み位置g2を0とするとき、比較例におけるシフト量は、L2t-0=L2tとなる。これに比べて、本実施形態でのL2t-L1bによる算出の方が小さいことから、レジストレーションローラ対110のシフト量を低減できていることがわかる。 【0068】 制御部200は、レジシフト制御部208によりシフトモータ151を駆動制御して、シートの第2面を搬送中のレジストレーションローラ対110を、シート位置補正量として(L2t-g2)、即ち(L2t-L1b)だけシフトさせる(Step122)。その後の画像転写(Step123)以降の処理は、第1面の印刷の場合と同様(Step112~Step115)であるため、その説明は省略する。 【0069】 図7は、画像形成装置10で10枚連続通紙した場合の、シフト補正後の第1先端部分側端位置L1t(本検知結果)と、第1後端部分側端位置L1bと、シフト量に関して本実施形態を適用する場合と適用しない比較例とを、夫々プロットしたグラフである。 【0070】 図7に示すグラフでは、第1面シフト補正後の側端位置の検知結果は、0.1~0.2[mm]程度のバラツキであり、非常に小さい。ところが、第1後端部分側端位置L1bは、-0.9~-1.2[mm]程度と、バラツキは大きくはないものの、オフセットしている。これは上述したように、シートSの裁断精度が低く、直角性がずれていることが原因である。そのため、スイッチバック反転後の第2面の第2先端部分側端位置L2tは、やはりマイナス方向に、第1後端部分側端位置L1bと同程度のズレ量であることがわかる。 【0071】 本実施形態では、第2先端部分側端位置L2tと第1後端部分側端位置L1bとの差分の量を第2面のシフト量としているため、図7に示すように、-0.3~+0.1[mm]程度のシフト量までに抑えられている。一方で、比較例におけるシフト量は、マイナス方向に大きく振れていることは明らかである。 【0072】 以上のように、本実施形態では、搬送されたシートSに対して、第1面シフト動作後の第1後端部分側端位置L1bに応じて、第2面に対するレジストレーションローラ対110によるシフト量が決定される。これにより、第2面に対するシフト量は、第1後端部分側端位置L1bから第2先端部分側端位置L2tまでの差分の量で済むため、レジストレーションローラ対110のシフト量を低減することができる。これにより、レジストレーションローラ対110のシフト動作に費やす時間、及び、シフト動作後の戻り時間を短縮することができる。その結果、生産性の向上が図れると共に、シフト量が大きいことに起因するシフト補正精度の低下、斜行精度の低下などを抑制することが可能になる。」 オ 「【図1】 [図:0001429762000001.jpg] ・・・中略・・・ 【図4】 [図:0001429762000002.jpg] ・・・中略・・・ 【図6】 [図:0001429762000003.jpg] 」 (2)引用発明 上記(1)より、引用文献1には、次のとおりの発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「レジストレーションローラ対等の調整手段によるシート第2面に対するシフト量を最小限に抑えることが可能な構成を備えた画像形成装置(【0009】)であって、 画像形成部115を有し(【0015】)、 シートは、プレレジストレーションローラ対120等を通過し、レジストレーションローラ対110へと搬送され(【0018】)、 レジストレーションローラ対110は、画像形成部115のシート搬送方向の上流に配置され、搬送されてくるシートを挟持して下流に搬送しつつシート搬送方向に直交する幅方向にシフトさせて画像形成部115の画像書き込み位置に合わせる調整手段を構成し(【0019】)、 排出ローラ対77、両面反転ローラ対86及び両面搬送路90により、画像形成部115により第1面に画像形成されたシートをその先端と後端とを反転させて画像形成部115に向けて再送する反転再送手段102が構成され(【0023】)、 両面印刷の場合には、画像形成部115にて第2面に対応した画像形成が行われる画像形成装置であって(【0022】)、 制御手段(151,200)は、シートの第1面の後端部分でCIS141により検知された第1後端部分側端位置L1bに基づき、反転再送手段102により反転されてレジストレーションローラ対110に再送されたシートの第2面に対応して、画像形成部115により感光ドラム11Y,11M,11C,11Bkに書き込みが開始される位置である、第2画像書き込み位置g2を決定し、更に、シートの第2面に対するレジストレーションローラ対110のシフト量を、第2画像書き込み位置g2に対する、CIS141により検知したシートの第2先端部分側端位置L2tに基づいて決定するものであって(【0048】)、 プリントジョブが第2面の印刷であると判断した場合、第1面にプリントされたシートを、両面反転ローラ対86によりスイッチバック反転させ、両面搬送路90を搬送して、再びプレレジストレーションローラ対120まで搬送し、シートの直角性が良好でない場合には、第1面の後端部分の検知結果である第1後端部分側端位置L1bが第2面の先端部分の検知結果である第2先端部分側端位置L2tと相関し(【0064】)、 第2面の第2画像書き込み位置g2を第1後端部分側端位置L1bをそのまま用いて決定し、二次転写部T2への搬送中に第2面本検知を行って第2先端部分側端位置L2tを検知し(【0065】)、 この第2先端部分側端位置L2tに基づいて、第2面に対するシート位置補正量を決定し、この場合のシート位置補正量は、第2面の第2先端部分側端位置L2tから第2画像書き込み位置g2(即ち、第1後端部分側端位置L1b)を減算、つまりL2t-L1bによって求め(【0066】)、 制御部200は、レジシフト制御部208によりシフトモータ151を駆動制御して、シートの第2面を搬送中のレジストレーションローラ対110を、シート位置補正量として(L2t-g2)、即ち(L2t-L1b)だけシフトさせ(【0068】)、 第2面に対するシフト量は、第1後端部分側端位置L1bから第2先端部分側端位置L2tまでの差分の量で済むため、レジストレーションローラ対110のシフト量を低減することができ、これにより、レジストレーションローラ対110のシフト動作に費やす時間、及び、シフト動作後の戻り時間を短縮することができる結果、生産性の向上が図れると共に、シフト量が大きいことに起因するシフト補正精度の低下、斜行精度の低下などを抑制することが可能になる(【0072】)、 画像形成装置。」 2 引用文献2 (1)引用文献2の記載事項 原査定で引用文献2として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-56668号公報には、次の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、画像形成装置に関し、特にシートの斜行及びシートの搬送方向と直交する幅方向の位置を補正するための構成に関する。 ・・・中略・・・ 【0004】 ところで、両面画像形成の際、シートが斜行したり、シートのシート搬送方向と直交する幅方向の位置がずれる場合がある。この場合、画像の先後端余白、左右余白等の表面画像と裏面画像の相対的な位置関係(以下、表裏レジスト精度という)がくずれ、裁断や製本処理を施した際の画像欠けにつながる。このため、一般的に画像形成装置は、シートの斜行及びシートの幅方向の位置を補正するための何らかのレジスト装置を備えている。 【0005】 このようなレジスト装置としては、例えばシートを斜送して基準板にシートの側面を突き当ててシートの斜行を補正し、この後、シートを幅方向にスライドさせて目標位置に移動させることにより高い表裏レジスト精度を可能にするものがある(特許文献1参照)。ここで、このようなレジスト装置の場合、スライド動作は、シートを挟持するスライドローラ対を、シートを挟持した状態で幅方向に移動することにより行われる。 【0006】 しかし、スライドローラ対を幅方向に移動させるためには、スライドローラ対の上流側又は下流側でシートを挟持している搬送ローラ対を、スライドローラ対のスライド動作を妨げないように全て離間させる必要がある。このように、従来のシートを斜送する方式のレジスト装置は、シーケンス的にもハード構成的にも複雑化し、コスト高であるため下位機種に搭載することが難しい。 【0007】 そこで、下位機種を中心に、簡易的な構成でシートの斜行及びシートの幅方向の位置を補正するものとして先端突き当て方式のレジスト装置が多く用いられている。この先端突き当て方式のレジスト装置は、停止している搬送ローラ対のニップにシートを突き当ててループを形成し、シートの先端を搬送ローラ対のニップに倣わせることにより斜行補正を行うものである。しかし、先端突き当て方式のレジスト装置は、斜行補正は可能であるが、幅方向の位置は補正できないため、そのままでは表裏画像の左右余白が異なるため表裏レジスト精度は良くない。 【0008】 このため、先端突き当て方式のレジスト装置を用いる場合には、シートの裏面に画像を形成するため、片面に画像が形成されたシートを画像形成部に再搬送するための再搬送通路に、シートの幅方向の位置を検知する検知手段を設けている。そして、この検知手段により検知されたシートの幅方向の位置の、目標位置からのズレ分を裏面画像の作像位置にフィードバックすることによりシートの幅方向の位置ズレを補正するようにしていた。 【0009】 しかし、近年はフルカラー画像形成装置においても、高速化の要求が著しく、タンデム構成による作像プロセスの並列処理が主流になっている。そして、このようなフルカラー画像形成装置の場合、シートの位置情報が検知できても作像プロセスに反映させるには両面印字の生産性を低下させないと間に合わないという課題がある。つまり、幅方向のズレを作像プロセスによって補正する方式では生産性の観点で限界がある。 【0010】 このため、従来は、シートの裏面に画像を形成するため、シートを再搬送する際、幅方向の位置ズレをシートの搬送プロセスで補正する方式、すなわちシートの幅方向の位置の補正を、シートを幅方向にスライド移動することで行う方式が提案されている。そして、このような方式のレジスト装置としては、シートの先後端を入れ替えるスイッチバック手段と、スイッチバックされたシートの斜行を補正すると共にシートを幅方向に移動させるスライド手段を備えたものがある(特許文献2参照)。また、排紙ローラにより、片面に画像が形成されたシートの先後端を入れ替えると共に、シートを挟持した状態で排紙ローラを幅方向に移動させるようにしたものがある(特許文献3参照)。」 イ 「【0031】 なお、シートSの両面に画像を形成する両面印字の場合には、分岐搬送装置60Fに設けられた切替部材70の切替により、シートSは、図2に示す反転搬送装置100の反転誘導パス2に搬送される。この後、シートSは反転誘導パス2に設けられた搬送ローラ1及び反転前搬送ローラ5によりスイッチバックパス4へと引き込まれる。なお、本実施の形態において、この反転誘導パス2とスイッチバックパス4により、片面に画像が形成されたシートの両面に画像を形成する両面印字の際、シートが搬送される両面搬送通路が形成される。さらに、スイッチバックパス4へと引き込まれたシートSは、スイッチバックパス4に設けられた正逆転可能な反転ローラ6のスイッチバック動作により、先後端を入れ替えて、両面搬送通路から分岐した再搬送通路である両面搬送パス3へと搬送される。 【0032】 次に、シートは両面搬送パス3に設けられた再搬送ローラである反転後搬送ローラ7により、シート給送部60Cより搬送されてくる後続ジョブのシートとのタイミングを合わせて搬送パス64で合流し、レジストローラ65を経て二次転写部へと送られる。なお、裏面(2面目)の画像形成プロセスに関しては、先述の表面(1面目)の場合と同様なので説明は省略する。 【0033】 ところで、図2において、9はスイッチバックパス4と両面搬送パス3の分岐点に設けられ、搬送パスを切り替える切替部材、SN1、SN2はスイッチバックパス4に設けられ、シートの通過を検知する第1センサ及び第2センサである。なお、この第1センサ及び第2センサSN1,SN2のうち少なくとも一方、本実施の形態においては、反転ローラ6のシート搬送方向下流に設けられた第1センサSN1は、幅方向に素子列を有するラインセンサである。そして、このように第1センサSN1をラインセンサとすることにより、第1センサSN1は、シートSの通過タイミングを検知するだけでなく、シートSの幅方向の位置も同時に検知することができる。 【0034】 反転ローラ6は正逆転可能な駆動モータM1によって回転駆動されると共に、スライド駆動モータM2によって幅方向に一体的にスライド移動可能に構成されている。図3は、このような反転ローラ6の駆動機構を示す図である。反転ローラ6は所定の加圧力にて搬送ニップを形成する駆動ローラ6bと従動ローラ6aから構成されている。 【0035】 駆動ローラ6bは駆動ローラ軸44に固着されており、この駆動ローラ軸44の一端には、軸方向に間隔を有して設けられたフランジ対を有するスライドリング41が設けられている。そして、フランジ間に従動ローラ6aの軸に設けられた従動スライドリング42が嵌る構成となっている。これにより、駆動ローラ6bが軸方向にスライドすると、駆動ローラ6bと従動ローラ6aとは、シートSを挟持した状態で一体的に幅方向にスライド移動することができる。」 ウ 「【0049】 次に、シートSのスイッチバックパス4への引き込み動作が完了すると、シートのスラスト位置の幅方向のズレを補正するための幅方向のスライド量の演算がCPU121によって行われる。本実施の形態では、目標のスラスト位置PTをサイズ毎に既知であるスラスト位置とする方式で演算し、既述したS804で取得したk個のスラスト位置データから平均値Avgを算出する(S807)。この後、求めた平均値Avgと、目標のスラスト位置との差分Δを演算し(S808)、これを反転ローラ6のスライド量として決定する。 【0050】 次に、CPU121は反転ローラ6を逆転させるように駆動モータM1を逆回転起動し(S809)、シートのスイッチバック動作を行うと共に、図6の(c)に示すように搬送パスの分岐点に設けられた切替部材9を両面搬送パス側に切り替える。これにより、シートSはスイッチバックパス4から両面搬送パス3に進入する。ここで、このスイッチバック動作において、シートが反転後搬送ローラ7に挟持されるまでは、反転ローラ6のみでシートを挟持しているので、シートSを挟持しながら搬送する状態の反転ローラ6をスライド移動させても上下流の搬送ローラ類が干渉しない。 【0051】 そこで、本実施の形態では、このような反転ローラ6のみでシートを挟持しているときに、スライド駆動モータM2を駆動するようにしている。これにより、図7の(b)及び(c)に示すように、反転ローラ6はシートSを反転させて矢印F方向に搬送すると共に、シートSが反転後搬送ローラ7に到達する前に、矢印R方向に、既述したように演算された差分Δだけスライド移動する(S810)。ここで、スライド駆動モータM2はステッピングモータが使用され、反転ローラ6のスライド移動量である差分Δに相当するパルス数の分だけ駆動される。これにより、シートSのスラスト位置は、目標とするスラスト位置PTに補正される。即ち、シートSのスラスト位置は、目標とするスラスト位置PTと一致する。」 (2)引用文献2に記載の技術 上記アより、引用文献2には、次のとおりの技術(以下「文献2技術」という。)が記載されているものと認められる。 「画像形成装置において、 片面に画像が形成されたシートの両面に画像を形成する両面印字の際、シートは、スイッチバックパス4に設けられた正逆転可能な反転ローラ6のスイッチバック動作により、先後端を入れ替えて、両面搬送通路から分岐した再搬送通路である両面搬送パス3へと搬送され、シートはレジストローラ65を経て二次転写部へと送られ(【0031】-【0032】) 反転ローラ6は正逆転可能な駆動モータM1によって回転駆動されると共に、スライド駆動モータM2によって幅方向に一体的にスライド移動可能に構成され、反転ローラ6は所定の加圧力にて搬送ニップを形成する駆動ローラ6bと従動ローラ6aから構成され、駆動ローラ6bが軸方向にスライドすると、駆動ローラ6bと従動ローラ6aとは、シートを挟持した状態で一体的に幅方向にスライド移動するものであって(【0034】-【0035】)、 反転ローラ6はシートを反転させて矢印F方向に搬送すると共に、シートが反転後搬送ローラ7に到達する前に、演算された差分Δだけスライド移動して、これにより、シートのスラスト位置は、目標とするスラスト位置と一致する、シートの搬送方向と直交する幅方向の位置を補正するための構成(【0051】、【0001】)」 第5 対比 1 本願発明と引用発明との対比 (1)引用発明の「画像形成装置」、「シート」、「画像形成部115」は、それぞれ本願発明の「画像形成部装置」、「シート」、「画像形成部」に相当する。 (2)引用発明の「シート」は、「画像形成部115により第1面に画像形成された」ものであるから、本願発明の「画像形成部」と引用発明の「画像形成部115」とは、「シートに画像を形成する」ものである点で一致する。 (3)引用発明の「両面反転ローラ対86」は、「画像形成部115により第1面に画像形成されたシートをその先端と後端とを反転させて画像形成部115に向けて再送する反転再送手段102」を構成するものであるから、本願発明の「第1搬送ローラ対」に相当し、シートを送るためのローラ対がシートを挟持するものであることは、技術常識から明らかであるから、両者は、「前記画像形成部によってシートの第1面に画像が形成されたシートを挟持してシートを搬送する」ものである点で一致する。 (4)引用発明の「レジストレーションローラ対110」は、「シートの第2面」が「反転再送手段102により反転されて」「再送され」る部材であり、「第2面を搬送」するものであるから、本願発明の「第2搬送ローラ対」に相当する。また、引用発明の「レジストレーションローラ対110」は「画像形成部115のシート搬送方向の上流に配置され」るものであり、シートの第2面が第1面の反対側の面を指すとの技術常識、及び、前記(1)~(3)の相当関係を踏まえれば、両者は、「搬送方向において前記画像形成部より上流に設けられ、前記第1搬送ローラ対によって搬送されたシートの前記第1面と反対側のシートの第2面に画像を形成するためにシートを挟持して搬送する」ものである点で一致する。 (5)本願発明の「シートを前記幅方向に移動させる」との構成における「前記幅方向」とは、請求項1の記載からみて、「シートの搬送方向に直交する幅方向」を指すと理解できる。そうすると、引用発明の「レジストレーションローラ対110」は、「搬送されてくるシートを挟持して下流に搬送しつつシート搬送方向に直交する幅方向にシフトさせて画像形成部115の画像書き込み位置に合わせる調整手段を構成」するものであるから、引用発明の「調整手段」は、本願発明の「第2移動部」に相当し、前記(1)~(4)の相当関係を踏まえれば、両者は、「前記第2搬送ローラ対によって挟持されたシートを前記幅方向に移動させる」ものである点で一致する。 (6)引用発明の「画像形成装置」は、「プリントジョブが第2面の印刷であると判断した場合、第1面にプリントされたシートを、両面反転ローラ対86によりスイッチバック反転させ、両面搬送路90を搬送して、再びプレレジストレーションローラ対120まで搬送」するものであって、前記(1)~(5)の相当関係を踏まえると、本願発明の「第2移動部」と引用発明の「調整手段」とは、「前記第2搬送ローラ対によって挟持されたシートを前記幅方向に移動させる」点で共通する。 (7)引用発明の「両面反転ローラ対86」は、幅方向にシートを移動させる機構が特定されておらず、本願発明の「画像形成装置」が「前記第1搬送ローラ対によってシートを挟持した状態でシートの搬送方向に直交する幅方向にシートを移動させる第1移動部」を備えるのに対し、引用発明の「画像形成装置」はそのような機構が特定されていない点で相違する。 (8)引用発明の「画像形成装置」は、シートの第2面に対応して、「第2画像書き込み位置g2を決定し、更に、シートの第2面に対するレジストレーションローラ対110のシフト量を、第2画像書き込み位置g2に対する、CIS141により検知したシートの第2先端部分側端位置L2tに基づいて決定する」ものであり、第2面に対する「シート位置補正量」は、「第2面の第2先端部分側端位置L2tから第2画像書き込み位置g2(即ち、第1後端部分側端位置L1b)を減算、つまりL2t-L1bによって求め」るものであるから、本願発明の「第2移動部」と引用発明の「調整手段」は、前記(6)も踏まえると、前者が「前記第1移動部によって前記幅方向に移動された後」、「前記第2搬送ローラ対によって挟持されたシートを前記幅方向に移動させる」ものであるのに対し、後者は「第2画像書き込み位置を決定した後」、「レジストレーションローラ対110」によって、「搬送されてくるシートを挟持して下流に搬送しつつシート搬送方向に直交する幅方向にシフトさせ」るものである点で相違する。 2 一致点及び相違点 前記1の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。 (1)一致点 「シートに画像を形成する画像形成部と、 前記画像形成部によってシートの第1面に画像が形成されたシートを挟持してシートを搬送する第1搬送ローラ対と、 前記搬送方向において前記画像形成部より上流に設けられ、前記第1搬送ローラ対によって搬送されたシートの前記第1面と反対側のシートの第2面に画像を形成するためにシートを挟持して搬送する第2搬送ローラ対と、 前記第2搬送ローラ対によって挟持されたシートを前記幅方向に移動させる第2移動部と、を備える、画像形成装置。」 (2)相違点 本願発明の「画像形成装置」が「前記第1搬送ローラ対によってシートを挟持した状態でシートの搬送方向に直交する幅方向にシートを移動させる第1移動部」を備え、本願発明の「第2移動部」が「前記第1移動部によって前記幅方向に移動された後」、「前記第2搬送ローラ対によって挟持されたシートを前記幅方向に移動させる」ものであるのに対し、引用発明の「画像形成装置」は、「両面反転ローラ対86」について、そのような第1移動部が特定されておらず、引用発明の「調整手段」は、「第2画像書き込み位置を決定した後」、「搬送されてくるシートを挟持して下流に搬送しつつシート搬送方向に直交する幅方向にシフトさせ」るものである点。 第6 判断 1 相違点について 前記の相違点について検討する。 (1)引用発明の「第2画像書き込み位置」について 引用発明の「第2画像書き込み位置」は、「再送されたシートの第2面に対応して、画像形成部115により感光ドラム11Y,11M,11C,11Bkに書き込みが開始される位置」であり、シート位置補正量が、「第2面の第2先端部分側端位置L2tから第2画像書き込み位置g2(即ち、第1後端部分側端位置L1b)を減算、つまりL2t-L1bによって求め」るものであるから、シフトさせる方向、すなわち幅方向における感光ドラムへの書き込み位置と理解できる。 また、引用発明の「第2画像書き込み位置」について、「シートの直角性が良好でない場合には、第1面の後端部分の検知結果である第1後端部分側端位置L1bが第2面の先端部分の検知結果である第2先端部分側端位置L2tと相関」することを前提に、「第1後端部分側端位置L1bをそのまま用いて決定」して「シート位置補正量として(L2t-g2)、即ち(L2t-L1b)だけシフトさせ」ることで、「第2面に対するシフト量は、第1後端部分側端位置L1bから第2先端部分側端位置L2tまでの差分の量で済むため、レジストレーションローラ対110のシフト量を低減する」ものであるから、引用発明は、第1面の後端部分の検知結果(L1b)に基づく補正を書き込み位置の補正でまかない、シートの第2面の幅方向の位置補正(補正量:L2t)を、調整手段を構成する「レジストレーションローラ対110」による補正(補正量:L2t-L1b)と書き込み位置の補正(補正量:g2=L1b)とで分担することで、「レジストレーションローラ対110」によるシフト量を低減するものであると理解できる。 (2)文献2技術の内容 ア 前記第4の2(2)に示す文献2技術の「反転ローラ6」は、「片面に画像が形成されたシートの両面に画像を形成する両面印字の際」、「スイッチバック動作により、先後端を入れ替えて、両面搬送通路から分岐した再搬送通路である両面搬送パス3へと搬送され」るものであるから、本願発明の「画像形成部によってシートの第1面に画像が形成されたシートを挟持してシートを搬送する第1搬送ローラ対」に相当する。 イ また、文献2技術の「画像形成装置」は、「反転ローラ6」が「スライド駆動モータM2によって幅方向に一体的にスライド移動可能に構成され」るとともに、「駆動ローラ6bと従動ローラ6aとは、シートを挟持した状態で一体的に幅方向にスライド移動する」ものであるから、文献2技術の「スライド駆動モータM2」及び「反転ローラ6」は、前記アも踏まえると、本願発明の「前記第1搬送ローラ対によってシートを挟持した状態でシートの搬送方向に直交する幅方向にシートを移動させる第1移動部」に相当する。 ウ したがって、文献2技術は、本願発明の「画像形成部によってシートの第1面に画像が形成されたシートを挟持してシートを搬送する第1搬送ローラ対と、 前記第1搬送ローラ対によってシートを挟持した状態でシートの搬送方向に直交する幅方向にシートを移動させる第1移動部」に相当する構成を備えるものである。 (3)引用発明に文献2技術を組み合わせる動機付け ア 引用発明と文献2技術とは、画像形成装置における両面印刷の第2面の画像形成時の幅方向の補正に関するもので共通の技術分野に属する。 また、前記第4の2(1)アに示したとおり、当該技術分野においては、「検知手段により検知されたシートの幅方向の位置の、目標位置からのズレ分を裏面画像の作像位置にフィードバックすることによりシートの幅方向の位置ズレを補正する」際に、「幅方向のズレを作像プロセスによって補正する方式では生産性の観点で限界がある」ことから「シートを再搬送する際、幅方向の位置ズレをシートの搬送プロセスで補正する方式、すなわちシートの幅方向の位置の補正を、シートを幅方向にスライド移動することで行う方式が提案されている」のであるから、裏面画像の作像位置への補正と、シートの幅方向へのスライド移動とは、作用・機能が共通し、生産性の観点からみて置換可能な技術であることは、当業者に明らかであると認められる。 イ そうすると、引用発明の「画像形成装置」において、第2面の第2画像書き込み位置を決定することに換えて、引用発明の「両面反転ローラ対86」に対して、文献2技術の「反転ローラ6」の「シートを挟持した状態で一体的に幅方向にスライド移動する」構成を採用し、スライド移動させるようなすことについて、両者の技術分野及び作用・機能の共通性に加え、引用発明の「画像形成装置」においても、生産性向上が当業者に自明の課題であることを鑑みて、動機付けがあると認められる。 (4)引用発明と文献2技術を組み合わせにより本願発明となること 前記(2)のとおり、文献2技術は、「第1搬送ローラ対によってシートを挟持した状態でシートの搬送方向に直交する幅方向にシートを移動させる第1移動部」を備えるものである。 また、前記(3)のとおり、引用発明の「画像形成装置」において、第2面の第2画像書き込み位置を決定することに換えて、引用発明の「両面反転ローラ対86」に対して、文献2技術の「反転ローラ6」の「シートを挟持した状態で一体的に幅方向にスライド移動する」構成を採用すれば、前記第4の1(3)に示した構成からみて、第1後端部分側端位置L1bをそのまま用いて、「両面反転ローラ対86」による第2面のスライド移動を行い、その後、第2先端部分側端位置L2tに基づいて、第2面に対するシート位置補正量を決定し、この場合のシート位置補正量は、第2面の第2先端部分側端位置L2tから「両面反転ローラ対86」による第2面のスライド移動量を減算して求め、第2面を搬送中のレジストレーションローラ対110を、当該シート位置補正量だけシフトさせるものとなると認められる。 そうすると、前記相違点に係る「前記第1搬送ローラ対によってシートを挟持した状態でシートの搬送方向に直交する幅方向にシートを移動させる第1移動部」を備え、「前記第1移動部によって前記幅方向に移動された後、前記第2搬送ローラ対によって挟持されたシートを前記幅方向に移動させる第2移動部」の構成とすることは、引用発明に文献2技術を採用することで、当業者が容易になし得るものである。 2 本願発明の奏する効果について 引用発明は、「第2面に対するシフト量は、第1後端部分側端位置L1bから第2先端部分側端位置L2tまでの差分の量で済むため、レジストレーションローラ対110のシフト量を低減することができ、これにより、レジストレーションローラ対110のシフト動作に費やす時間、及び、シフト動作後の戻り時間を短縮することができる結果、生産性の向上が図れると共に、シフト量が大きいことに起因するシフト補正精度の低下、斜行精度の低下などを抑制することが可能になる」ものであるから、これに文献2技術を組み合わせた際に、本願発明の効果は、引用発明及び文献2技術に基づいて当業者が予測し得たものであり、格別顕著なものということもできない。 3 審判請求人の主張について (1)意見書における主張 令和6年5月10日提出の意見書(3)(b)において、審判請求人(以下「請求人」という。)は、概略次のとおり主張する。 ア 引用文献1の技術思想は、シートの形状を主要因とするシートの幅方向における側端位置と第2画像書き込み位置とのずれをシートの第2面の画像書き込み位置(第2画像書き込み位置)で修正し、シートの位置ずれを幅方向補正機構によって幅方向にシートを1回移動させることによって補正することなので、さらに、わざわざシートをもう1回移動させる機構を追加する必要性は存在しないから、「画像を幅方向に移動すること」を「シートを幅方向に移動させる」に置換するという審査官の論理付けは、請求項に係る発明の知識を得た上での後知恵によるものである。 イ 引用発明における、シートの形状を主要因とする位置ずれは、例えば平行四辺形状のシートの側端の斜面の向き等のシートの形状によって異なり、「シートの形状を主要因とするシートの幅方向における側端位置と第2画像書き込み位置とのずれ」を修正するためにシートの幅方向への移動を行う移動機構とすると、本願発明のような「シートが長い距離を搬送されることによるシートの位置ずれ」を悪化させる方向にシートの位置を修正する場合もあるから、引用発明に引用文献2のような技術を適用したとしても、本願発明の課題が解決しない。 (2)審判請求書における主張 令和7年10月30日提出の審判請求書【本願発明が特許されるべき理由】(2)において、請求人は、概略次のとおり主張する。 引用文献2の技術を仮に引用発明に適用すると、引用文献2はシートを幅方向に移動(シフト)させているため、シートのシフト量は増加するから、シート第2面に対するシートのシフト量を抑えるという引用発明の目的に反するものとなることは明らかである。 すなわち、引用発明での第2面の第2画像書き込み位置をシフトすることに換えて、引用文献2のローラを使ってシートをシフトすることを適用することには阻害要因がある。 (3)請求人の主張に対する見解 ア 前記(1)アについて 前記1(1)のとおり、引用発明は、第1面の後端部分の検知結果(L1b)に基づく補正を書き込み位置の補正でまかない、シートの第2面の幅方向の位置補正(補正量:L2t)を、調整手段を構成する「レジストレーションローラ対110」による補正(補正量:L2t-L1b)と書き込み位置の補正(補正量:g2=L1b)とで分担することで、「レジストレーションローラ対110」によるシフト量を低減するものであると理解できる。 したがって、引用発明は、レジストレーションローラ対に加えてさらに幅方向の補正をするため別の補正手段を追加した発明といえ、かつ、引用発明において、シートを必ず1回の移動としなければならない理由も見いだせないから、シートをもう1回移動させる機構を追加する必要性が存在しないとの主張は採用できない。 イ 前記(1)イについて 「シートが長い距離を搬送されることによるシートの位置ずれ」を悪化させる方向にシートの位置を修正するものを包含しないことは、本願発明に特定されておらず、文献2技術の「反転ローラ6」の「シートを挟持した状態で一体的に幅方向にスライド移動する」構成を採用することは、前記1(3)のように当業者が容易になし得て、前記2のとおりの引用発明の効果を奏することができるのであって、請求人の前記(1)イとの主張によっても、この採用を妨げるものではない。 ウ 前記(2)について 引用発明は、「レジストレーションローラ対110のシフト量を低減することができ」、「レジストレーションローラ対110のシフト動作に費やす時間、及び、シフト動作後の戻り時間を短縮することができ」るものであるところ、引用発明の書き込み位置の補正は、シート第1面の後端部分の検知結果に基づくシート第2面の幅方向の位置を補正するものであって、文献2技術の「反転ローラ6」を「シートを挟持した状態で一体的に幅方向にスライド移動する」構成も同様にシート第2面の幅方向の位置を補正するのであるから、引用発明において、文献2技術の「シートを挟持した状態で一体的に幅方向にスライド移動する」構成に置換したとしても、「レジストレーションローラ対110のシフト量を低減することができ」るように適用することは当業者が当然に想到することである。 したがって、請求人による引用発明での第2面の第2画像書き込み位置をシフトすることに換えて、文献2技術のローラを使ってシートをシフトすることを適用することに阻害要因があるとの主張は、採用できない。 4 まとめ 前記1~3より、本願発明は、引用発明及び文献2技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、文献2技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 そして、上記第3のとおりであるから、当該拒絶の理由は、特許法第159条第2項にいう査定の理由と異なるものではない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-017331

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