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特許拒絶査定不服審判

2023-012486

情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム

審判番号
2023-012486
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-231151
請求日
2023年07月25日
審決日
2024年02月19日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 ゼンショーホールディングス
  • 【請求人代理人】弁理士法人白坂
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 智康
  • 審判官 梶尾 誠哉
  • 審判官 木方 庸輔
分類
P18 .121-Z (G06Q) / P18 .575-Z (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-231151「情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月18日出願公開、特開2020- 95349〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年12月10日の出願であって、令和4年11月30日付けの拒絶理由の通知に対し、令和5年1月26日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年5月10日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年7月25日に審判請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 令和5年7月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年7月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含むものであり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(以下、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を「本件補正発明」という。また、下線部は、本件補正により補正された箇所を示す。)。 なお、本件補正発明の「通信部」を特定するための事項である「料理提供情報」は、「前記記憶部から読み出して」送信されるものであるから、「記憶部」に記憶されている「提供料理情報」の誤記であるとして認定する。 「 ユーザが注文する内容を示す注文情報と、前記ユーザが利用する座席に関する情報と、決済に関する情報とを、前記ユーザが所有する外部端末から受け付ける受付部と、 前記受付部によって受け付けた注文情報と、座席に関する情報とを関連付けて記憶すると共に、店舗毎に提供する料理に関する提供料理情報を記憶する記憶部と、 前記受付部によって受け付けた注文情報と決済に関する情報とに基づいて決済を行う決済部と、 前記決済部によって決済が行われた際に、前記記憶部に記憶された注文情報及び座席に関する情報を出力する出力部と、 まず、前記受付部によって受け付けた座席に関する情報に基づいて判定された前記ユーザが来店した店舗についての提供料理情報を前記記憶部から読み出して前記外部端末に送信し、その後、前記外部端末に決済が行われた情報を送信する通信部と、 を備える情報処理装置。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明 本件補正前の令和5年1月26日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 ユーザが注文する内容を示す注文情報と、前記ユーザが利用する座席に関する情報と、決済に関する情報とを、前記ユーザが所有する外部端末から受け付ける受付部と、 前記受付部によって受け付けた注文情報と、座席に関する情報とを関連付けて記憶する記憶部と、 前記受付部によって受け付けた注文情報と決済に関する情報とに基づいて決済を行う決済部と、 前記決済部によって決済が行われた際に、前記記憶部に記憶された注文情報及び座席に関する情報を出力する出力部と、 前記外部端末に決済が行われた情報を送信する通信部と、 を備える情報処理装置。」 2 補正の適否 上記1のとおり、補正前の請求項1に記載された発明に係る本件補正は、発明を特定するために必要な事項である「記憶部」について、「店舗毎に提供する料理に関する提供料理情報」も共に記憶することを付加して発明を限定するとともに、さらに、「通信部」における「前記外部端末に決済が行われた情報を送信する」ことについて、「まず、前記受付部によって受け付けた座席に関する情報に基づいて判定された前記ユーザが来店した店舗についての提供料理情報を前記記憶部から読み出して前記外部端末に送信し、その後」という構成を付加して発明を限定するものである。 そして、当該付加して限定した事項は、出願当初明細書の【0030】~【0032】に記載された事項であって、新規事項を追加するものではなく、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明(本件補正発明)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、補正前の請求項1に記載された発明に係る本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正発明が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献1の記載及び引用発明 ア 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願日前に公開された特開2012-234367号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。 「【0025】 図1には、本実施形態に係る店舗情報処理システム100のシステム構成図を示した。図1に示されるように、店舗情報処理システム100は、携帯端末200、受注サーバ300、決済サーバ400、店舗情報提供サーバ500、店舗端末600を含み、携帯端末200、受注サーバ300、決済サーバ400、店舗情報提供サーバ500、店舗端末600はそれぞれネットワーク700を介して相互に通信可能に接続される。 【0026】 携帯端末200は、無線通信機能及び電子マネー等による決済機能を有する情報処理端末である。例えば、携帯端末200はタッチパネルやボタン等の操作受け付け部を備え、ユーザから受け付けた操作に応じて処理を実行し、その処理結果をタッチパネルに表示する。例えば、ユーザは、携帯端末200により店舗情報提供サーバ500にアクセスして店舗の空き状況を確認し、受注サーバ300からダウンロードした店舗のメニュー情報から指定したメニューを注文し、注文したメニューの電子決済を決済サーバ400との間で実行する等の処理を行う。なお、本実施形態において対象とする店舗は、店内にテーブル及び座席を有する飲食店とし、店舗の空き状況に関する情報とは、店舗で飲食物の提供を受ける少なくとも一部のユーザが店舗から退席しそうな状態にあるか否かを判定した判定結果に基づき生成される情報である。」 「【0038】 携帯端末200では、決済サーバ400と通信して、決済情報に基づいて電子マネー決済を実行すると(S10)、決済サーバ400は、電子マネー決済の完了通知を受け付けて(S11)、例えば図7に示す決済完了メールを携帯端末200に送信する。」 「【0054】 決済情報受信部210は、注文情報送信部208により送信した注文情報に対する決済情報を決済サーバ400から受信する。決済情報は、電子決済を開始するための情報であり、例えば決済に係る注文情報と決済金額とを含むこととしてよい。本実施形態では、携帯端末200は電子決済を電子マネーにより行うこととするが、クレジットカード決済等の他の電子決済を行うこととしてもよい。また、決済情報受信部210は、決済情報を受信サーバ300から受信するようにしてもよい。なお、決済情報には、受注サーバ300により発行されたトークンを含むこととしてよい。」 「【0056】 [受注サーバ300の機能] 次に、受注サーバ300に備えられた機能について説明する。図11には、受注サーバ300の機能ブロック図を示した。図11に示されるように、受注サーバ300は、ユーザ情報記憶部302、メニュー情報記憶部304、メニュー情報提供部306、注文情報受信部308、決済依頼部310、決済完了通知受信部312、注文処理部314、及び注文実績情報提供部316を備える。 ・・・ 【0058】 ユーザ情報記憶部302は、ユーザのアカウント情報を記憶する。図12には、ユーザ情報記憶部302に記憶されるユーザ情報テーブルの一例を示した。図12に示したユーザ情報テーブルの例では、ユーザID、パスワード、ユーザのメールアドレス、ユーザの生年月日、ユーザの性別がそれぞれ関連づけて記憶される。もちろん、ユーザ情報テーブルに記憶される情報は上記の例に限定されない。 【0059】 メニュー情報記憶部304は、1又は複数のそれぞれの店舗で提供されるメニュー情報を記憶する。図13には、メニュー情報記憶部304に記憶されるメニュー情報テーブルの一例を示した。図13に示したメニュー情報テーブルでは、店舗を識別する店舗IDごとに、当該店舗で提供されるそれぞれのメニューの情報が記憶される。なお、メニューの情報は、メニューID、メニュー名、金額、イメージ(URL)、カロリー等を含むこととするが、これに限定されない。 【0060】 メニュー情報提供部306は、携帯端末200から要求された店舗IDについてメニュー情報記憶部304に記憶されるメニュー情報を当該携帯端末200に提供する。また、メニュー情報提供部306は、メニュー情報と共に、当該メニュー情報に基づいて注文するためのアプリケーションを携帯端末200に提供することとしてもよい。 【0061】 注文情報受信部308は、携帯端末200の注文情報送信部208から送信された注文情報を受信する。例えば、注文情報には、ユーザID、メニューID、注文数量、店舗ID、ユーザのテーブルを識別するテーブル識別情報を含むこととするが、これに限定されない。 【0062】 決済依頼部310は、注文情報受信部308により受信した注文情報についての決済を決済サーバ400に依頼する。例えば、決済依頼部310は、注文情報受信部308により受信した注文情報ごとに、当該注文情報を識別する注文IDを付与するとともに、当該注文情報に係る決済金額を算出する。決済金額の算出は、メニュー情報記憶部304に記憶されるメニューIDに関連づけられた金額に注文数量を掛け合わせたものの合計額を算出することで行うこととしてよい。そして、決済依頼部310は、例えば注文ID、注文情報、決済金額、決済を行うユーザのメールアドレスを含む決済依頼情報を決済サーバ400に送信する。なお、上記のメールアドレスには、注文情報に含まれるユーザIDに関連づけてユーザ情報記憶部302に記憶されるメールアドレスを用いることとしてよい。 【0063】 決済結果受信部は、決済依頼部310により決済サーバ400に依頼した決済の結果を、決済サーバ400から受信する。決済の結果は、例えば、注文IDと、決済の結果を示す真偽値を含むこととしてよい。なお、決済が正常に完了した場合には真(T)、決済が正常に完了しなかった場合には偽(F)とする。 【0064】 注文処理部314は、決済結果受信部により受信した決済結果が正常完了を示す注文情報について、当該注文情報に係る店舗IDに応じた店舗端末600に注文情報を送信する。店舗側では、店舗端末600で受信した注文情報に従ってユーザに当該注文情報に係るメニューが提供される。」 「【0066】 [決済サーバ400の機能] 次に、決済サーバ400に備えられた機能について説明する。図14には、決済サーバ400の機能ブロック図を示した。図14に示されるように、決済サーバ400は、決済依頼受付部402、決済情報送信部404、決済完了判定部406、及び決済結果通知部408を備える。 ・・・ 【0068】 決済依頼受付部402は、受注サーバ300から決済依頼を受け付ける。具体的には、決済依頼受付部402は、受注サーバ300の決済依頼部310により送信された決済依頼情報を受信する。なお、決済依頼情報には、例えば注文ID、注文情報、決済金額、メールアドレスを含むこととするが、これに限定されない。 【0069】 決済情報送信部404は、決済依頼受付部402で受け付けた決済依頼情報に基づいて生成した決済開始メールを、当該決済依頼情報に含まれるメールアドレスに宛てて送信する。決済開始メールには、例えば決済ID、注文情報に基づく注文内容、決済金額を含むこととするが、これに限定されない。なお、決済サーバ400においては、決済IDと対応する注文IDとを関連づけて記憶しておくこことしてよい。 【0070】 決済完了判定部406は、決済情報送信部404により送信した決済開始メールに基づいて携帯端末200により電子決済が正常に行われたか否かを判定する。例えば、決済完了判定部406は、携帯端末200から受信した決済ID、電子決済に用いた電子マネーID、及び決済の正否の情報に基づいて決済完了の正否を判定することとしてよい。 【0071】 決済結果通知部408は、決済完了判定部406による判定結果を受注サーバ300に通知する。具体的には、決済IDに関連づけて記憶された注文IDと、当該決済IDの決済結果(例えば正常に完了した場合には真、エラーが発生した場合には偽)を受注サーバ300に通知することとしてよい。」 「【0094】 また、上記の実施形態では、受注サーバ300、決済サーバ400、店舗情報提供サーバ500を分けて構成する例を示したが、これらのサーバの少なくとも一部を統合してもよいし、それぞれのサーバに備えられた機能を複数台のサーバにさらに分散して構成してもよい。」 (ア) 上記【0025】によれば、店舗情報処理システム100は、携帯端末200、受注サーバ300、決済サーバ400、店舗情報提供サーバ500及び店舗端末600が、それぞれネットワーク700を介して相互に通信可能に接続されるものである。 (イ) 上記【0056】によれば、受注サーバ300は、ユーザ情報記憶部302、メニュー情報記憶部304、メニュー情報提供部306、注文情報受信部308、決済依頼部310、決済完了通知受信部312、注文処理部314、及び注文実績情報提供部316を備える。 (ウ) 上記【0059】によれば、受注サーバ300のメニュー情報記憶部304は、1又は複数のそれぞれの店舗で提供されるメニュー情報を、店舗を識別する店舗IDごとに記憶する。 (エ) 上記【0060】によれば、受注サーバ300のメニュー情報提供部306は、携帯端末200から要求された店舗IDについてメニュー情報記憶部304に記憶されるメニュー情報を当該携帯端末200に提供する。 (オ) 上記【0061】によれば、受注サーバ300の注文情報受信部308は、携帯端末200の注文情報送信部208から送信された、ユーザID、メニューID、注文数量、店舗ID、ユーザのテーブルを識別するテーブル識別情報を含む注文情報を受信する。 (カ) 上記【0063】によれば、受注サーバ300の決済結果受信部は、決済依頼部310により決済サーバ400に依頼した決済の結果を、決済サーバ400から受信する。 (キ) 上記【0064】によれば、受注サーバ300の注文処理部314は、決済結果受信部により受信した決済結果が正常完了を示す注文情報について、当該注文情報に係る店舗IDに応じた店舗端末600に注文情報を送信する。 (ク) 上記【0066】によれば、決済サーバ400は、決済依頼受付部402、決済情報送信部404、決済完了判定部406、及び決済結果通知部408を備える。 (ケ) 上記【0068】によれば、決済サーバ400の決済依頼受付部402は、受注サーバ300の決済依頼部310により送信された決済依頼情報を受信する。 (コ) 上記【0069】によれば、決済サーバ400の決済情報送信部404は、決済依頼受付部402で受け付けた決済依頼情報に基づいて生成した、決済ID、注文情報に基づく注文内容、決済金額を含む決済開始メールを、当該決済依頼情報に含まれる(携帯端末200の)メールアドレスに宛てて送信する。 (サ) 上記【0070】によれば、決済サーバ400の決済完了判定部406は、決済情報送信部404により送信した決済開始メールに基づいて携帯端末200により電子決済が正常に行われたか否か(決済完了の正否)を、携帯端末200から受信した決済ID、電子決済に用いた電子マネーID、及び決済の正否の情報に基づいて判定する。 (シ) 上記【0071】によれば、決済サーバ400の決済結果通知部408は、決済完了判定部406による判定結果を受注サーバ300に通知する。 (ス) 上記【0038】によれば、決済サーバ400は、携帯端末200から電子マネー決済の完了通知を受け付けて、決済完了メールを携帯端末200に送信する。 (セ) 上記【0094】によれば、受注サーバ300及び決済サーバ400は、統合したサーバ(統合サーバ)としてもよい。 イ 引用発明 上記アによれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 携帯端末200、受注サーバ300、決済サーバ400、店舗情報提供サーバ500及び店舗端末600が、それぞれネットワーク700を介して相互に通信可能に接続された店舗情報処理システム100において、 以下の(i)受注サーバ300及び(ii)決済サーバ400を統合した統合サーバ。 (i) ユーザ情報記憶部302、メニュー情報記憶部304、メニュー情報提供部306、注文情報受信部308、決済依頼部310、決済完了通知受信部312、注文処理部314、及び注文実績情報提供部316を備え、 メニュー情報記憶部304は、1又は複数のそれぞれの店舗で提供されるメニュー情報を、店舗を識別する店舗IDごとに記憶し、 メニュー情報提供部306は、携帯端末200から要求された店舗IDについてメニュー情報記憶部304に記憶されるメニュー情報を当該携帯端末200に提供し、 注文情報受信部308は、携帯端末200の注文情報送信部208から送信された、ユーザID、メニューID、注文数量、店舗ID、ユーザのテーブルを識別するテーブル識別情報を含む注文情報を受信し、 決済結果受信部は、決済依頼部310により決済サーバ400に依頼した決済の結果を、決済サーバ400から受信し、 注文処理部314は、決済結果受信部により受信した決済結果が正常完了を示す注文情報について、当該注文情報に係る店舗IDに応じた店舗端末600に注文情報を送信する、 受注サーバ300。 (ii) 決済依頼受付部402、決済情報送信部404、決済完了判定部406、及び決済結果通知部408を備え、 決済依頼受付部402は、受注サーバ300の決済依頼部310により送信された決済依頼情報を受信し、 決済情報送信部404は、決済依頼受付部402で受け付けた決済依頼情報に基づいて生成した、決済ID、注文情報に基づく注文内容、決済金額を含む決済開始メールを、当該決済依頼情報に含まれる携帯端末200のメールアドレスに宛てて送信し、 決済完了判定部406は、決済情報送信部404により送信した決済開始メールに基づいて携帯端末200により電子決済が正常に行われたか否か(決済完了の正否)を、携帯端末200から受信した決済ID、電子決済に用いた電子マネーID、及び決済の正否の情報に基づいて判定し、 決済結果通知部408は、決済完了判定部406による判定結果を受注サーバ300に通知し、 携帯端末200から電子マネー決済の完了通知を受け付けて、決済完了メールを携帯端末200に送信する、 決済サーバ400。 (3) 対比 本件補正発明と、引用発明の「統合サーバ」とを対比する。 ア(ア) 引用発明の「携帯端末200の注文情報送信部208から送信された、ユーザID、メニューID、注文数量、店舗ID、ユーザのテーブルを識別するテーブル識別情報を含む注文情報」のうち、「メニューID」及び「注文数量」は、ユーザが注文するメニューと数を示すものであるから、本件補正発明の「ユーザが注文する内容を示す注文情報」に相当する。 (イ) 本件補正発明の「座席に関する情報」について、本件補正発明では、「座席に関する情報に基づいて判定された前記ユーザが来店した店舗についての提供料理情報を前記記憶部から読み出して前記外部端末に送信」するものであるところ、「座席に関する情報に基づいて判定」することによって「ユーザが来店した店舗についての提供料理情報」を読み出すのであるから、「座席に関する情報」とは、単に座席を特定するだけの情報ではなく、「店舗」を特定する情報も含まれていると解釈される(仮に「店舗」を特定する情報が含まれていなければ、どの店舗についての提供料理情報を読み出すのか、判定することはできない。なお、本願明細書の【0018】をみても、「二次元コード(座席に関する情報)は、例えば、ユーザが来店した店舗と、ユーザが着席した席やテーブル(以下、「座席」という)とを特定する情報等を含む。なお、座席に関する情報は、二次元コードに限定されることはなく、店舗及び座席を特定できるものであれば種々のものであってよい。」と記載されているように、「座席に関する情報」は、「店舗」を特定する情報も含まれている。)。 一方、引用発明では、「メニュー情報提供部306は、携帯端末200から要求された店舗IDについてメニュー情報記憶部304に記憶されるメニュー情報を当該携帯端末200に提供」するものであるから、「店舗ID」は、店舗を特定する情報であるといえる。そして、引用発明の「ユーザのテーブルを識別するテーブル識別情報」も、テーブル(座席)を特定する情報であるといえる。 そうすると、引用発明の「店舗ID」及び「テーブル識別情報」は、本件補正発明の「座席に関する情報」に相当する。 (ウ) 引用発明の「携帯端末200」は、本件補正発明の「外部端末」に相当する。 また、引用発明の「注文情報受信部308」は、「携帯端末200の注文情報送信部208から送信された、ユーザID、メニューID、注文数量、店舗ID、ユーザのテーブルを識別するテーブル識別情報を含む注文情報を受信」するものであるから、店舗ID及びテーブル識別情報(座席に関する情報)を含む注文情報を携帯端末200(外部端末)から受信する(受け付ける)ものである。 (エ) 以上によれば、引用発明の「注文情報受信部308」と、本件補正発明の「ユーザが注文する内容を示す注文情報と、前記ユーザが利用する座席に関する情報と、決済に関する情報とを、前記ユーザが所有する外部端末から受け付ける受付部」とは、「ユーザが注文する内容を示す注文情報と、前記ユーザが利用する座席に関する情報とを、前記ユーザが所有する外部端末から受け付ける受付部」である点で共通する。 イ(ア) 引用発明は、注文情報受信部308において「携帯端末200の注文情報送信部208から送信された、ユーザID、メニューID、注文数量、店舗ID、ユーザのテーブルを識別するテーブル識別情報を含む注文情報を受信」し、注文処理部314において「決済結果受信部により受信した決済結果が正常完了を示す注文情報について、当該注文情報に係る店舗IDに応じた店舗端末600に注文情報を送信する」もの、すなわち、携帯端末200から受信したメニューID及び注文数量(注文情報)と、店舗ID及びテーブル識別情報(座席に関する情報)を店舗端末600に送信するものであるから、これらの情報を関連付けて記憶する記憶部を備えているといえる。 (イ) また、引用発明の「メニュー情報記憶部304」は、「1又は複数のそれぞれの店舗で提供されるメニュー情報を、店舗を識別する店舗IDごとに記憶」している。 (ウ) 上記(ア)において認定した、引用発明が備える記憶部と、上記(イ)の引用発明の「メニュー情報記憶部304」は、いずれも記憶部であり、総称して記憶部ということができる。 そうすると、当該記憶部は、上記(ア)の「携帯端末200から受信したメニューID及び注文数量(注文情報)と、店舗ID及びテーブル識別情報(座席に関する情報)」と、上記(イ)の「1又は複数のそれぞれの店舗で提供されるメニュー情報」とを共に記憶するものであるといえる。 (エ) 以上によれば、引用発明は、本件補正発明と同様、「前記受付部によって受け付けた注文情報と、座席に関する情報とを関連付けて記憶すると共に、店舗毎に提供する料理に関する提供料理情報を記憶する記憶部」を備えているということができる。 ウ 引用発明の「注文処理部314」は、「決済結果受信部により受信した決済結果が正常完了を示す注文情報について、当該注文情報に係る店舗IDに応じた店舗端末600に注文情報を送信する」ものであるところ、上記イ(ア)のとおり、引用発明の「注文情報」は、メニューID及び注文数量と、店舗ID及びテーブル識別情報とを含むものである。 そして、「注文情報に係る店舗IDに応じた店舗端末600に注文情報を送信する」ことは、店舗端末600に注文情報を出力するものであるといえるから、引用発明の「注文処理部314」は、出力部ということができる。 そうすると、引用発明の「注文処理部314」と、本件補正発明の「前記決済部によって決済が行われた際に、前記記憶部に記憶された注文情報及び座席に関する情報を出力する出力部」とは、「前記記憶部に記憶された注文情報及び座席に関する情報を出力する出力部」である点で共通する。 エ 引用発明の「メニュー情報提供部306」は、「携帯端末200から要求された店舗IDについてメニュー情報記憶部304に記憶されるメニュー情報を当該携帯端末200に提供」するものである。 そして、メニュー情報(提供料理情報)を携帯端末200(外部端末)に提供(送信)するためには、「メニュー情報提供部306」と「携帯端末200」との間で通信が行われていることが前提である。 そうすると、引用発明の「メニュー情報提供部306」と、本件補正発明の「まず、前記受付部によって受け付けた座席に関する情報に基づいて判定された前記ユーザが来店した店舗についての提供料理情報を前記記憶部から読み出して前記外部端末に送信し、その後、前記外部端末に決済が行われた情報を送信する通信部」とは、「前記受付部によって受け付けた座席に関する情報に基づいて判定された前記ユーザが来店した店舗についての提供料理情報を前記記憶部から読み出して前記外部端末に送信する通信部」である点で共通する。 オ 引用発明の「統合サーバ」は、注文処理部314等を備えており、注文に関する情報を処理していることは明らかであるから、後記[相違点]に係る構成を除き、本件補正発明の「情報処理装置」に相当する。 以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 [一致点] ユーザが注文する内容を示す注文情報と、前記ユーザが利用する座席に関する情報とを、前記ユーザが所有する外部端末から受け付ける受付部と、 前記受付部によって受け付けた注文情報と、座席に関する情報とを関連付けて記憶すると共に、店舗毎に提供する料理に関する提供料理情報を記憶する記憶部と、 前記記憶部に記憶された注文情報及び座席に関する情報を出力する出力部と、 前記受付部によって受け付けた座席に関する情報に基づいて判定された前記ユーザが来店した店舗についての提供料理情報を前記記憶部から読み出して前記外部端末に送信する通信部と、 を備える情報処理装置。 [相違点] 決済に関し、本件補正発明の情報処理装置は、受付部において、ユーザが所有する外部端末から「決済に関する情報」を受け付け、「前記受付部によって受け付けた注文情報と決済に関する情報とに基づいて決済を行う決済部」を備えており、出力部において、「前記決済部によって決済が行われた際に」、注文情報及び座席に関する情報を出力し、通信部において、「まず」、提供料理情報を外部端末に送信し、「その後、決済が行われた情報を送信する」のに対し、引用発明の情報処理装置(統合サーバ)は、受付部において、ユーザが所有する外部端末(携帯端末200)から「決済に関する情報」を受け付けることは特定されておらず、「前記受付部によって受け付けた注文情報と決済に関する情報とに基づいて決済を行う決済部」を備えていることも特定されておらず、出力部において、「前記決済部によって決済が行われた際に」、記憶部に記憶されたメニューID及び注文数量(注文情報)及び座席に関する情報(店舗ID及びテーブル識別情報)を出力することは特定されておらず、通信部において、「まず」、提供料理情報(メニュー情報)を外部端末(携帯端末200)に送信し、「その後、決済が行われた情報を送信する」ことも特定されていない点。 (4)判断 上記相違点について判断する。 ア 引用発明は、「決済サーバ400」の「決済完了判定部406」が「決済情報送信部404により送信した決済開始メールに基づいて携帯端末200により電子決済が正常に行われたか否か(決済完了の正否)を、携帯端末200から受信した決済ID、電子決済に用いた電子マネーID、及び決済の正否の情報に基づいて判定」する構成や、「決済サーバ400」が「携帯端末200から電子マネー決済の完了通知を受け付けて、決済完了メールを携帯端末200に送信する」構成を有するものである。また、引用文献1の【0026】には、「ユーザは、携帯端末200により・・・注文したメニューの電子決済を決済サーバ400との間で実行する等の処理を行う。」と記載されている(上記(2)ア参照。)。 そこで検討するに、引用発明の上記構成や引用文献1の記載に鑑みると、引用発明における決済は、「携帯端末200」のみで行われているとはいえず、むしろ、「携帯端末200」と「決済サーバ400」とが協働し、「決済サーバ400」でも行われていると考えるのが自然である(この点に関し、例えば、プリペイドカードによる決済は、カード自体に残高が記憶され、その残高が増減するものであるから、サーバと端末からなるシステムであったとしても、端末のみで決済を行うことは可能であると考えられる。しかしながら、引用発明のような電子マネーによる決済は、サーバによって残高が管理され、不正利用の防止等が図られるのが通常であり、端末のみで決済を行い、サーバは決済に関して何ら関与しないということは考えがたい。)。 そうすると、引用発明の情報処理装置(統合サーバ)も、決済を行っているといえるから、引用発明は、受付部において、ユーザが所有する外部端末(携帯端末200)から決済に必要な「決済に関する情報」を受け付け、「前記受付部によって受け付けた注文情報と決済に関する情報とに基づいて決済を行う決済部」を備えているといえる。 そして、引用発明の情報処理装置(統合サーバ)は、出力部において、記憶部に記憶されたメニューID及び注文数量(注文情報)及び座席に関する情報(店舗ID及びテーブル識別情報)を出力するものであり、「注文処理部314は、決済結果受信部により受信した決済結果が正常完了を示す注文情報について、当該注文情報に係る店舗IDに応じた店舗端末600に注文情報を送信する」のであるから、その送信(出力)は、「前記決済部によって決済が行われた際に」行われるものである。 また、引用発明の情報処理装置(統合サーバ)は、提供料理情報(メニュー情報)を外部端末(携帯端末200)に送信しており、「決済完了メールを携帯端末200に送信する」ものでもあるところ、提供料理情報(メニュー情報)を外部端末(携帯端末200)に送信しなければ、注文をすることはできないし、その結果、決済をすることもできないから、まず、提供料理情報(メニュー情報)を外部端末(携帯端末200)に送信し、「前記受付部によって受け付けた注文情報と決済に関する情報とに基づいて決済を行う決済部」が、決済を行った後(その後)、外部端末(携帯端末200)に決済が行われた情報を送信するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 イ なお、仮に、引用発明の情報処理装置(統合サーバ)において、決済を行っていないとしても、以下のとおり、引用発明において、[相違点]に係る構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 すなわち、引用文献1の【0054】(上記(2)ア参照。)には、「本実施形態では、携帯端末200は電子決済を電子マネーにより行うこととするが、クレジットカード決済等の他の電子決済を行うこととしてもよい。」と記載されているところ、引用発明において、電子マネーによる決済に代えて、クレジットカードによる決済とした場合、「携帯端末200」のみで決済を行うことはできず、「決済サーバ400」による決済が必要であることは明らかである。 そうすると、引用発明の情報処理装置(統合サーバ)において、クレジットカードによる決済を行う場合、受付部において、ユーザが所有する外部端末(携帯端末200)からクレジットカード番号等の「決済に関する情報」を受け付け、「前記受付部によって受け付けた注文情報と決済に関する情報とに基づいて決済を行う決済部」を備え、出力部において、「前記決済部によって決済が行われた際に」、記憶部に記憶されたメニューID及び注文数量(注文情報)及び座席に関する情報(店舗ID及びテーブル識別情報)を出力し、通信部において、まず、提供料理情報(メニュー情報)を外部端末(携帯端末200)に送信し、その後、外部端末(携帯端末200)に決済が行われた情報を送信するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 (5) 請求人の主張について 請求人は、審判請求書(9頁)において、(i)本件補正発明は、「店舗毎に提供する料理に関する提供料理情報を記憶する記憶部」と「まず、前記受付部によって受け付けた座席に関する情報に基づいて判定された前記ユーザが来店した店舗についての提供料理情報を前記記憶部から読み出して前記外部端末に送信」する「通信部」という発明特定事項を備えているのに対し、引用文献1を含め、拒絶の理由で引用された文献のいずれにもこれらの発明特定事項は記載も示唆もされていないから、本件補正発明の発明特定事項のすべてを想到することはできない、(ii)本件補正発明は、本願明細書の【0082】に記載されているように、「サービスの迅速性」が求められているのであって、「ユーザが外部端末を利用して座席に関する情報を読み取って送信すれば、ユーザが来店した店舗を自動的に判定して、その店舗のメニューをそのユーザに提供できるので、店舗毎に提供するメニューが異なる場合でもユーザに適したメニューを素早く提供できるという効果」を奏するところ、拒絶の理由で引用された文献には、上記(i)の「記憶部」及び「通信部」に係る発明特定事項が記載されていないから、当該効果を奏することはない、すなわち、本件補正発明は、拒絶の理由で引用された文献に対して有利な効果を奏する旨主張する。 そこで検討するに、上記(i)の本件補正発明の発明特定事項に係る主張について、請求人の主張する「記憶部」を引用発明(引用文献1に記載された発明)が備えていることは、上記(3)イのとおりであり、引用発明において、請求人の主張する「通信部」を備えることが当業者であれば容易に想到し得るものであることは、上記(4)のとおりである。 また、上記(ii)の有利な効果に係る主張において、請求人が前提とする「ユーザが外部端末を利用して座席に関する情報を読み取って送信」することは、そもそも、本件補正発明の「情報処理装置」の構成ではなく、「外部端末」に関する構成である。したがって、請求人の主張は、その前提を欠いている(本件補正発明の「情報処理装置」は、「受付部」が「座席に関する情報」を受け付けると特定されているだけであって、「外部端末」がどのようにして「座席に関する情報」を送信しているのかを特定するものではない。)。そうすると、本件補正発明は、請求人の主張する効果を奏するものであるとはいえないから、拒絶の理由で引用された文献に対して有利な効果を奏するということはできない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (6) 小括 以上によれば、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載したとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由 本願発明についての原査定の拒絶の理由は、概略、本願発明は、本願の出願日前に日本国内において頒布された上記引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3 引用文献の記載、引用発明等 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用発明は、上記第2の2(2)のとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の2のとおり、本件補正発明から「記憶部」及び「通信部」に付加された事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の2のとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-012486

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