特許拒絶査定不服審判
2025-012705
処理装置、処理方法及びプログラム
- 審判番号
- 2025-012705
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-153151
- 請求日
- 2025年08月13日
- 審決日
- 2026年04月28日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本電気株式会社
- 【請求人代理人】速水 進治
- 審判長/審判官
- 審判長 岩間 直純
- 審判官 梅本 章子
- 審判官 米倉 明日香
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q) / P18 .575-Z (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-153151「処理装置、処理方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 4月 3日出願公開、特開2023- 44992〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年9月21日を出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
令和7年3月27日付け:拒絶理由通知書
令和7年5月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年6月11日付け:拒絶査定
令和7年8月13日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年8月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年8月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された。(下線部は補正箇所である。)
「【請求項1】
授業毎に、複数の生徒用端末各々の操作履歴を取得する操作履歴取得手段と、
前記授業毎に、前記操作履歴の中から、予め定義されたNG操作を検出する検出手段と、
前記授業毎に、前記NG操作が検出された場合に出力端末を介して警告情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記警告情報は、
授業中に前記NG操作を検出された生徒がその授業中にそれまでに行った前記NG操作の累積回数、又は、
前記NG操作を検出された生徒がその前記NG操作の直前に他の前記NG操作を行ったタイミング、
を示す処理装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和7年5月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
授業毎に、複数の生徒用端末各々の操作履歴を取得する操作履歴取得手段と、
前記授業毎に、前記操作履歴の中から、予め定義されたNG操作を検出する検出手段と、
前記授業毎に、前記NG操作が検出された場合に出力端末を介して警告情報を出力する出力手段と、
を有する処理装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「警告情報」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明の産業上
の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載、引用発明等
ア 引用文献1、引用発明
(ア)原査定の拒絶の理由において引用された特開2012-63885号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。
「【0027】
図2Dは、情報分析装置17のハードウエア構成を示す図である。情報分析装置17も、コンピュータの一種である。情報分析装置17では、ハードディスクドライブ(HDD55)に記憶されているソフトウエアにしたがってCPU51が各種手段として機能する。メモリ53は、RAMやROMなどを含む。ネットワークインターフェース54は、ネットワーク50を通じて他のコンピュータと通信するための通信回路である。HDD55は、OS(オペレーティングシステム)や情報分析プログラム57、分析結果DB29を記憶する。出力部56は、分析結果を出力する表示装置や印刷装置などである。メモリ53の一部であるROMは読出専用メモリであり、設定データやブートプログラム等が格納されている。メモリ53の一部であるRAMは書込可能メモリであり、HDD(ハードディスクドライブ)55からロードされたコンピュータプログラムやデータ、ネットワークインターフェース54を介して外部から受信したデータ等を一時的に記憶するためのエリアを有する。さらに、RAMは、CPU51が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。HDD55は、SDD(シリコンディスクドライブ)によって一部または全部を実現されてもよい。
【0028】
(ログ管理データベース)
図3は、本発明の第一実施形態に係るログ管理DB14の記録内容の一例を示す図である。ログ管理DB14には、端末装置11で取得された操作履歴の各レコードが記録される。PC名の欄301には、端末装置の識別情報が格納される。ユーザ名の欄302には、端末装置11にログインしている操作者のユーザIDが格納される。取得日時の欄303には、端末装置11が操作履歴を取得した日時のデータが格納される。操作内容の欄304には、端末装置11において監視された操作内容が格納される。例えば、ブラウザプログラムがアクセスしたURLが、予め登録されたオークションサイトを示すURLであるときに、監視部13は、操作内容を「オークションサイトの閲覧」に決定する。監視部13は、週報作成するためのアプリケーションプログラムが起動されているときに、操作内容を「週報作成」と決定する。監視部13は、スケジュールを管理するためのアプリケーションプログラムが起動されているときに、操作内容を「スケジュールの閲覧」と決定する。監視部13は、起動したアプリケーションプログラムのファイル名がゲームプログラムのファイル名であれば、操作内容を「ゲーム」に決定する。監視部13は、URLやキャプション名、ファイル名と操作内容とを関係付けた操作内容決定テーブルを保持していてもよい。つまり、業務に関連するURLやキャプション名、ファイル名は、その企業において予め定められているケースが多いからである。」
「【0030】
(情報分析装置の処理)
図5は、本発明の第一実施形態に係る情報分析処理の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、情報分析プログラム57にしたがってCPU51が実行する手順を示している。
【0031】
S501で、CPU51は、ログ管理DB14または可搬型の記録媒体から操作履歴を読み出す。CPU51は、端末装置に対する操作者の操作内容と操作内容の取得日時とを含む操作履歴を取得する取得手段として機能する。操作履歴の読出単位は、ユーザ(操作者)ごと、グループごと、所定期間など管理者が入力部を通じてCPU51に対して設定する。グループとは、複数のユーザや複数の端末装置から構成されている。つまり、グループを示すグループ識別情報と、そのグループに所属しているユーザのユーザ識別情報(そのグループに所属している端末装置の端末識別情報)とが予めテーブル(従業員管理テーブル)などによって管理されている。CPU51は、管理者によって指定または選択されたグループ識別情報から、そのグループに属しているユーザのユーザ識別情報や端末装置の端末識別情報をテーブルから抽出し、抽出した情報に基づいてログ管理DB14を検索する。なお、このテーブルには、各ユーザのメールアドレスがユーザ識別情報として、あるいはユーザ識別情報とともに格納されていてもよい。所定期間は、ある取得日時から他の取得日時までの期間を示している。所定期間は、管理者によって指定または選択され、CPU51に設定される。操作履歴の読み出しに成功すると、S502へ進む。
【0032】
S502で、CPU51は、抽出した操作履歴のレコードのうち未処理のレコードが存在するか否かを判定する。未処理のレコードが存在すると、S503に進む。未処理のレコードがなくなると、CPU51は、S504に進む。
【0033】
S503で、CPU51は、読み出した操作履歴から未処理のレコードを読み出す。未処理のレコードの読出に成功すると、S504に進む。
【0034】
S504で、CPU51は、ログ分析部19として機能して、操作履歴の分析処理を実行する。例えば、CPU51は、取得手段により取得された操作履歴に含まれている操作内容を予め定められた複数の区分のいずれかに分類する分類手段として機能する。HDD55には、複数の操作内容とその区分とが対応付けて登録されている操作内容分類テーブルを記憶している。区分としては、第1区分である業務内や第2区分である業務外などがある。操作内容分類テーブルには、例えば、「オークションサイトの閲覧」や「ゲーム」が「業務外」と対応付けられており、「週報作成」や「スケジュール閲覧」が「業務内」と対応付けて登録されている。これらの区分は、例示にすぎず、操作内容を区別するための他の種類の区分が存在してもよい。CPU51は、読み出したレコードに含まれている操作内容をもとに、操作内容分類テーブルを参照し、対応する区分を決定する。このように、操作内容分類テーブルは、端末装置に対する操作者の操作履歴と、操作履歴の区分とを対応付けたテーブルの一例である。また、CPU51は、取得手段により取得された操作履歴に対応する区分を、テーブルを参照して決定する分類手段の一例である。
【0035】
S505で、CPU51は、決定した区分を表す識別情報を分析結果の一部として、分析結果DB29に記憶する。
【0036】
すべてのレコードについて分析処理が終了すると(すなわち、未処理のレコードが存在しなくなると)、S506に進む。」
「【0039】
S508で、CPU51は、分析結果を出力部56から出力する。分析結果には、操作内容の区分と、生体情報から求められた操作者が所定の作業に集中していたか否かを示す集中情報(リアプノフ指数)とが含まれている。よって、CPU51は、分類手段により決定された操作内容の区分と、生体情報から求められた操作者が所定の作業に集中していたか否かを示す集中情報とを示す分析結果を出力する分析手段として機能する。
【0040】
図6は、本発明の第一実施形態に係る分析結果の一例を示す図である。なお、既に説明した項目には同一の参照符号を付与することで、説明の簡潔化を図っている。区分の欄601には、S504で決定された操作内容の区分を示す情報が格納されている。さらに、CPU51は、分析結果を表示する際に、操作者の管理上好ましくない区分と生体情報とについて強調表示を実行してもよい。図6の例では、複数の区分のうち「業務外」が強調表示されている。」
「
[図:0001437250000001.jpg]
」
「【0043】
なお、CPU51は、ある操作者について集中度の低い状態が所定時間にわたって継続した場合に、その操作者の管理者のアドレスに対して電子メールを送信してもよい。この電子メールの本文には、操作者の識別情報(氏名や社員番号など)と、集中力を欠いていることを示すメッセージが含まれる。同様に、CPU51は、その操作者のアドレス宛てに電子メールを送信してもよい。この電子メールの本文には、「集中度が下がっているので、休憩してください」等のメッセージが含まれてもよい。インスタントメッセンジャーなど、電子メール以外のメッセージング方式が採用されてもよい。このように、CPU51は、集中情報から抽出された集中度が所定の閾値を回っている状態が所定時間にわたって継続しているか否かを判定する継続判定手段として機能する。また、CPU51およびネットワークインターフェース54は、集中情報から抽出された集中度が所定の閾値を下回っている状態が所定時間にわたって継続すると、予め定められたアドレスにメッセージを送信するメッセージ送信手段として機能する。CPU51は、ある操作者について、集中度が所定の閾値を下回っているレコードを所定個数以上検出したり、業務外の区分に分類されたレコードを所定個数以上検出したりすると、上記のような警告メッセージを送信してもよい。
【0044】
以上、本実施形態によれば、コンピュータの操作者がどのような区分の作業をし、かつ、その作業に操作者が集中しているのかどうかを表す分析結果を提供することが可能となる。例えば、操作者を企業の従業員と仮定すると、従業員の業務に関連した操作を示す第1区分と、従業員の業務に関連していない操作を示す第2区分とに操作内容を分類することができる。操作者が役所の職員であれば、職員の職務に関連した操作を示す第1区分と、職員の職務に関連していない操作を示す第2区分とに操作内容を分類できる。操作者が学校の生徒であれば、生徒の学習に関連した操作を示す第1区分と、生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分とに操作内容を分類できる。」
(イ)引用発明
【0031】、【0044】の記載より、引用文献1の「情報分析装置」は、「操作者が学校の生徒であり、端末装置に対する操作者の操作内容と操作内容の取得日時とを含む操作履歴を、複数の端末装置から構成されるグループごと、及びある取得日時から他の取得日時までの期間を示している所定期間を単位として取得する取得手段」を有することが記載されている。
【0034】、【0044】の記載より、引用文献1の「情報分析装置」は、「取得手段により取得された操作履歴に含まれている操作内容を、予め定められた、生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分に分類する分類手段」を有することが記載されている。
【0027】、【0039】、【0040】、図6の記載より、引用文献1の「情報分析装置」は、「分類手段により決定された操作内容の区分を示す分析結果を表示装置に出力し、分析結果を表示する際に、操作者の管理上好ましくない区分について強調表示を実行する分析手段」を有することが記載されている。
【0028】、【0040】、図6の記載より、引用文献1には、「分析結果には、端末装置の識別情報、操作者のユーザID、端末装置が操作履歴を取得した日時のデータ、端末装置において監視された操作内容、及び、決定された操作内容の区分を示す情報が含まれる」ことが記載されている。
以上から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「操作者が学校の生徒であり、端末装置に対する操作者の操作内容と操作内容の取得日時とを含む操作履歴を、複数の端末装置から構成されるグループごと、及びある取得日時から他の取得日時までの期間を示している所定期間を単位として取得する取得手段と、
取得手段により取得された操作履歴に含まれている操作内容を、予め定められた、生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分に分類する分類手段と、
分類手段により決定された操作内容の区分を示す分析結果を表示装置に出力し、分析結果を表示する際に、操作者の管理上好ましくない区分について強調表示を実行する分析手段と、を有し、
分析結果には、端末装置の識別情報、操作者のユーザID、端末装置が操作履歴を取得した日時のデータ、端末装置において監視された操作内容、及び、決定された操作内容の区分を示す情報が含まれる、
情報分析装置。」
イ 引用文献3、引用文献4、周知技術
(ア)原査定の拒絶の理由において引用された特開2000-137430号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「図2(B)の20は,メモリ装置に記憶されている生徒の個人別学習記録データである。学習記録データ20の内容は,生徒の会員番号21,生徒氏名22,受講日時23,授業テーマ24,使用テキスト名称25,先生が判定したその授業での生徒の評価26,たとえば,理解度とか成績を含む。」(第3頁第4欄第36~42行)
(イ)原査定の拒絶の理由において引用された特開2014-75066号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0029】
必要なデバイスの準備ができ、教師の通信端末220から授業の開始がクラウドサーバ210に指示されると、クラウドサーバ210は対応する教育アプリケーションソフトウェアを起動して授業を開始する。そして、教師の通信端末220には、表示画面223のように、授業内容の情報、教室全体を撮影するカメラからの教室画面、特定の生徒や生徒群を撮影した生徒画面、教師からの授業進行などの操作を入力する操作画面などが表示される。なお、表示画面223の内容およびフォーマットは図2に限定されない。一方、生徒の通信端末230では、授業が始まると、表示画面233には生徒の通信端末230がクラウドサーバ210と接続中であることが表示される。そして、生徒の通信端末230に接続するディスプレイ・デバイス240の表示画面241には、教師の通信端末220も表示画面223の内容情報との共有画面や、生徒からの質問や回答などの操作を入力する操作画面などが表示される。授業進行中の教師および生徒を含む参加者から検出した授業情報は、順次、クラウドサーバ210に蓄積される。なお、授業情報には、画像情報、音声情報、操作情報が含まれる。授業進行中の教師および生徒を含む参加者から検出した授業情報は、順次、クラウドサーバ210に蓄積される。なお、授業情報には、画像情報、音声情報、操作情報が含まれる。
【0030】
授業が終了すると、クラウドサーバ210は授業情報を分析して、授業の分析情報を目に見える形式で提示する。例えば、教師の通信端末220の表示画面224には、授業に対する生徒の関心度、理解度、満足度などが、生徒の表情、反応などの授業情報から分析されて、円グラフで提示されている。例えば、生徒の関心度の円グラフには、強い関心を示したと判定された生徒数と、普通に関心を示したと判定された生徒数と、余り関心を示さなかったと判定された生徒数と、無関心と判定された生徒数とを、その割合に対応する領域に分割して表示する。各領域を色や模様などで識別可能に表示するのが望ましい。また、授業に対する教師自身の達成度や満足度が、教師の表情、反応などの授業情報から分析されて提示されている。教師は、この表示画面224を見ることで、自分の授業を客観的に判断した分析情報から課題を見付けて授業の改善を図ることができる。なお、表示画面224の内容やフォーマットは、図2に限定されない。例えば、授業の開始から終了までの時系列の分析情報を表示したり、授業のポイント部分を抽出して分析情報を表示したりすることにより、教師が進行の問題や教え方の問題などのより詳細な課題を見付けて改善することにも寄与できる。」
(ウ)上記(ア)、(イ)の記載はいずれも、「授業毎に、生徒の状況を分析すること」との事項を開示するものであり、当該事項は周知技術(以下「周知技術」という。)である。
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「端末装置」は、「操作者」が「学校の生徒」であるから、本件補正発明の「生徒用端末」に相当する。
また、引用発明の「取得手段」は、「所定期間」を単位として、「グループ」を「構成」する「複数の端末装置」の「操作履歴を取得」するものであるから、本件補正発明の「所定期間毎に、複数の生徒用端末各々の操作履歴を取得」する「操作履歴取得手段」といえる。
したがって、引用発明の「操作者が学校の生徒であり、端末装置に対する操作者の操作内容と操作内容の取得日時とを含む操作履歴を、複数の端末装置から構成されるグループごと、及びある取得日時から他の取得日時までの期間を示している所定期間を単位として取得する取得手段」と本件補正発明の「授業毎に、複数の生徒用端末各々の操作履歴を取得する操作履歴取得手段」とは、「所定期間毎に、複数の生徒用端末各々の操作履歴を取得する操作履歴取得手段」との点で共通する。
(イ)本願明細書の【0080】の「NG操作は、授業中や学校で実行されることが推奨されない操作である。」との記載によれば、本件補正発明の「NG操作」は、「授業中や学校で実行されることが推奨されない操作」である。一方、引用発明の「生徒の学習に関連していない操作」は、授業中や学校で実行されることが推奨されない操作であることは明らかであるから、引用発明の「生徒の学習に関連していない操作」は、本件補正発明の「NG操作」に相当する。
また、引用発明の「取得手段により取得された操作履歴に含まれている操作内容を、予め定められた、生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分に分類する」ことは、本件補正発明の「前記操作履歴の中から、予め定義されたNG操作を検出する」ことに相当し、引用発明の「分類手段」は、本件補正発明の「検知手段」に相当する。
そして、引用発明の「取得手段により取得された操作履歴」は、上記(ア)によると「所定期間毎」に取得されたものであるから、引用発明の「分類手段」による「分類」は、「所定期間毎」に行われることは明らかである。
したがって、引用発明の「取得手段により取得された操作履歴に含まれている操作内容を、予め定められた、生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分に分類する分類手段」と本件補正発明の「前記授業毎に、前記操作履歴の中から、予め定義されたNG操作を検出する検出手段」とは、「前記所定期間毎に、前記操作履歴の中から、予め定義されたNG操作を検出する検出手段」との点で共通する。
(ウ)引用発明の「分類手段により決定された操作内容の区分を示す分析結果を表示装置に出力し、分析結果を表示する際に、操作者の管理上好ましくない区分について強調表示を実行する」との事項から、「表示装置」に「出力」された「分析結果」は、「分類手段により決定された操作内容の区分」が「操作者の管理上好ましくない区分」であることを条件として「強調表示」されているものと解される。
ここで、上記「操作者の管理上好ましくない区分」が、上記(イ)の「生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分」であることは明らかである。また、上記「強調表示」により、生徒の好ましくない操作について管理者に通知されることから、「強調表示」された「分析結果」は警告情報といえる。そして、「分析結果」が出力される「表示装置」は、「出力端末」に相当する。してみると、上記(イ)を踏まえると、引用発明において、「分類手段により決定された操作内容の区分」が「操作者の管理上好ましくない区分」であることを条件として「強調表示」された「分析結果」を「表示装置」に「出力」することは、本件補正発明の「前記NG操作が検出された場合に出力端末を介して警告情報を出力する」ことに相当するといえ、引用発明の「分析手段」は、本件補正発明の「出力手段」に相当する。
したがって、引用発明の「分類手段により決定された操作内容の区分を示す分析結果を表示装置に出力し、分析結果を表示する際に、操作者の管理上好ましくない区分について強調表示を実行する分析手段」と本件補正発明の「前記授業毎に、前記NG操作が検出された場合に出力端末を介して警告情報を出力する出力手段」とは、「前記NG操作が検出された場合に出力端末を介して警告情報を出力する出力手段」との点で共通する。
(エ)引用発明は、「分析結果には、端末装置の識別情報、操作者のユーザID、端末装置が操作履歴を取得した日時のデータ、端末装置において監視された操作内容、及び、決定された操作内容の区分を示す情報が含まれる」ものであり、上記(ウ)を踏まえれば、「決定された操作内容の区分を示す情報」は、「操作内容」が「生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分」に分類された場合に「強調表示」されるものである。
そして、「分析結果」には、「操作内容」が「生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分」に分類された操作履歴の各々に対して、その「操作者のユーザID」及び「端末装置が操作履歴を取得した日時のデータ」がともに含まれ、それらは強調表示されることから、ある1つの「生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分」に分類された操作履歴の「操作者」が、その操作の直前に行った、他の「生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分」に分類された操作履歴の「端末装置が操作履歴を取得した日時のデータ」も強調表示されることになることは明らかである。ここで、当該「日時のデータ」は、本件補正発明の「タイミング」に相当し、前記のとおり、引用発明の「強調表示」された「分析結果」を「表示装置」に「出力」することは、本件補正発明の「前記NG操作が検出された場合に出力端末を介して警告情報を出力する」ことに相当するといえるから、引用発明と本件補正発明は、「前記警告情報は、前記NG操作を検出された生徒がその前記NG操作の直前に他の前記NG操作を行ったタイミングを示す」との点で一致する。
(オ)引用発明の「情報分析装置」は、後述する相違点を除き、本件補正発明の「処理装置」に相当する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「所定期間毎に、複数の生徒用端末各々の操作履歴を取得する操作履歴取得手段と、
前記所定期間毎に、前記操作履歴の中から、予め定義されたNG操作を検出する検出手段と、
前記NG操作が検出された場合に出力端末を介して警告情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記警告情報は、
前記NG操作を検出された生徒がその前記NG操作の直前に他の前記NG操作を行ったタイミング、
を示す処理装置。」
(相違点)
(相違点1)
「操作履歴取得手段」による「取得」、及び、「検出手段」による「検出」について、本件補正発明では「授業毎」に行うのに対し、引用発明では、「取得手段」による「取得」、及び、「分類手段」による「分類」を、「所定期間毎」に行うものではあるものの、「授業毎に」であることは特定されていない点。
(相違点2)
「出力手段」による「出力」について、本件補正発明では「授業毎」に行うのに対し、引用発明では、「分析手段」による「分析結果」の「出力」はそのように特定されていない点。
(4)判断
ア 相違点1について
引用発明の「情報分析装置」は、「操作者」が「学校の生徒」である「端末装置」の「操作履歴」を「取得」し、「取得された操作履歴に含まれている操作内容を、予め定められた、生徒の学習に関連していない操作を示す第2区分に分類する」ものであるから、引用発明の「操作履歴」は、学校の授業の間の操作履歴を含むものであることは明らかである。
そして、上記(2)イ(ウ)のとおり、「授業毎に、生徒の状況を分析すること」は周知技術であり、引用発明に上記周知技術を適用して、「取得手段」による「取得」、及び「分類手段」による「分類」を、「授業毎」に行うものとして、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
イ 相違点2について
引用文献1における「なお、CPU51は、ある操作者について集中度の低い状態が所定時間にわたって継続した場合に、その操作者の管理者のアドレスに対して電子メールを送信してもよい。この電子メールの本文には、操作者の識別情報(氏名や社員番号など)と、集中力を欠いていることを示すメッセージが含まれる。・・・CPU51は、ある操作者について、集中度が所定の閾値を下回っているレコードを所定個数以上検出したり、業務外の区分に分類されたレコードを所定個数以上検出したりすると、上記のような警告メッセージを送信してもよい。」との記載(上記(2)ア(ア)の【0043】)は、「分析結果」は、所定期間毎に取得手段により取得された操作履歴の操作内容を、所定期間毎に分類手段により分類することに伴い、「所定期間毎」に「出力」されることを示唆する記載であるといえる。また、上記(2)イ(ウ)のとおり、「授業毎に、生徒の状況を分析すること」は周知技術である。してみれば、引用発明の「分析手段」による「分析結果」の「出力」について、当該周知技術を適用して、「授業毎」に行うものとして、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 作用効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「このような特徴的な警告情報を出力する補正後の請求項1に係る発明によれば、「NG操作を検出された生徒がその授業中に何度も繰り返しNG操作を行っているのか」を把握することができます。結果、警告情報を見た人は、「今回は様子を見る」、「直ちに指導する」等の対応を適切かつ迅速に決定することができます。いずれの引例も、このような特徴的な警告情報を出力することを記載も示唆もしていません。」と主張する。
しかしながら、「前記NG操作を検出された生徒がその前記NG操作の直前に他の前記NG操作を行ったタイミングを示す」「警告情報を出力する」ことについては、上記(3)ア(エ)のとおり、引用文献1に開示があるといえる。また、「「NG操作を検出された生徒がその授業中に何度も繰り返しNG操作を行っているのか」を把握することができ」、「結果、警告情報を見た人は、「今回は様子を見る」、「直ちに指導する」等の対応を適切かつ迅速に決定することができ」るとの効果については、上記ウのとおり、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
オ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和7年8月13日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和7年5月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
本願の請求項1-3、5-10に係る発明は、以下の引用文献1、3-4に記載された発明に基づいて、請求項4に係る発明は、以下の引用文献1-4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2012-63885号公報
引用文献2.特開2009-32168号公報
引用文献3.特開2000-137430号公報
引用文献4.特開2014-75066号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1-4の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「警告情報」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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