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特許拒絶査定不服審判

2023-011830

ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤の結晶形態

審判番号
2023-011830
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-121857外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年07月13日
審決日
2026年03月25日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第44条第1項、特許法第29条第2項
データ出所
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事件の表示

特願2021-121857「ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤の結晶形態」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年12月 2日出願公開、特開2021-183617〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)6月3日(パリ条約による優先権主張 2012年6月4日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2015-516091号を最先の出願とし、その一部を特許法第44条第1項の規定に基づく新たな特許出願(特願2017-207591号、出願日:平成29年10月26日)とし、さらにその一部を特許法第44条第1項の規定に基づく新たな特許出願(特願2019-163455号、出願日:令和1年9月6日)とし、さらにその一部を特許法第44条第1項の規定に基づく新たな特許出願(特願2021-121857号、出願日:令和3年7月26日)としたものであり、その主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和3年 8月23日 手続補正書 令和4年 9月 2日付け 拒絶理由通知 令和4年12月 7日 手続補正書・意見書の提出(受付) 令和5年 3月 1日付け 令和4年12月7日付け手続補正書による補正の却下の決定・拒絶査定 令和5年 7月13日 審判請求書・手続補正書の提出(受付) 令和7年 5月 7日付け 拒絶理由通知(当審) 令和7年 8月12日 手続補正書・意見書の提出(受付) 第2 本願発明 本願の請求項1~22に係る発明は、令和7年8月12日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「経口投与のための医薬製剤であって、該医薬製剤は、少なくとも (a)約140mgの1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-en-1-オン、 (b)約40wt%乃至約50wt%の、ラクトース、スクロース、デキストロース、デキストラート、マルトデキストリン、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、シクロデキストリン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、微結晶性セルロース、微細セルロース、及びタルクから成る群から選択される、1以上の希釈剤、 (c)約2wt%乃至約7wt%の、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、及びエチレンオキシドと酸化プロピレンのコポリマーから成る群から選択される、1以上の界面活性剤、並びに (d)約0.2wt%乃至約1wt%の、ステアリン酸、水酸化カルシウム、フマル酸ナトリウムステアリル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、及びワックスから成る群から選択される、1以上の潤滑剤 を含む、医薬製剤。」 以下、本願発明の「1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-en-1-オン」を本願明細書の【0005】に記載のUSAN名である「イブルチニブ」というが、その化学構造は、以下のとおりである(本願明細書【0237】及び【0238】)。 [図:0001438599000001.jpg] 第3 当審において通知した拒絶の理由 令和7年5月7日付けで当審において通知した拒絶の理由のうち、本願発明に対応する請求項1に係る発明に対する進歩性の拒絶理由の要旨は、次のとおりである。 本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記の引用文献2に記載された発明、及び、引用文献2、A~Dの記載に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献> 2.特表2010-504324号公報 A.J.Korean Oriental Medicine(2010),Vol.31,No.3,p.1-7 B.橋田充 編集「経口投与製剤の処方設計」、平成10年4月15日発行、株式会社 薬業時報社、97~137頁 C.特表2008-531741号公報 D.特表2005-526785号公報 第4 引用文献に記載された事項及び引用文献2に記載された発明 以下において、引用文献の摘記においては、原文の表記にかかわらず、原則、全角表記に統一して記載した。また、原文にない下線は強調のために合議体が付したものである。 1 引用文献2に記載された事項 (1)特許請求の範囲の請求項1~9には、以下の記載がある。 「【請求項1】 [図:0001438599000002.jpg] [式中、 Laは、CH2、O、NH、またはSであり; Arは、置換もしくは無置換アリール、または、置換もしくは無置換ヘテロアリールであり; Yは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択される適宜置換された基であり; Zは、C(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであり、その中でxは1または2であり; R7およびR8は独立して、H、無置換C1-C4アルキル、置換C1-C4アルキル、無置換C1-C4ヘテロアルキル、置換C1-C4ヘテロアルキル、無置換C3-C6シクロアルキル、置換C3-C6シクロアルキル、無置換C2-C6ヘテロシクロアルキル、および置換C2-C6ヘテロシクロアルキルから選択され;あるいは、 R7およびR8は、一緒になって結合を形成し; R6は、H、置換もしくは無置換C1-C4アルキル、置換もしくは無置換C1-C4ヘテロアルキル、C1-C6アルコキシアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、置換もしくは無置換C3-C6シクロアルキル、置換もしくは無置換アリール、置換もしくは無置換C2-C8ヘテロシクロアルキル、置換もしくは無置換ヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C4アルキル(C3-C8シクロアルキル)、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)である] によって表される構造を有する化合物、並びに、その医薬的に活性な代謝物、または医薬的に許容される溶媒和物、医薬的に許容される塩、または医薬的に許容されるプロドラッグ。 【請求項2】 LaがOである、請求項1の化合物。 【請求項3】 Arがフェニルである、請求項2の化合物。 【請求項4】 ZがC(=O)、NHC(=O)、またはS(=O)2である、請求項3の化合物。 【請求項5】 R7およびR8のそれぞれがHであるか、またはR7およびR8が一緒になって結合を形成する、請求項4の化合物。 【請求項6】 R6がH、置換もしくは無置換C1-C4アルキル、置換もしくは無置換C1-C4ヘテロアルキル、C1-C6アルコキシアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C4アルキル(C3-C8シクロアルキル)、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)である、請求項5の化合物。 【請求項7】 Yが4、5、6、もしくは7員シクロアルキル環、またはYが4、5、6、もしくは7員ヘテロシクロアルキル環である、請求項6の化合物。 【請求項8】 1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物4); (E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(化合物5); 1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)スルホニルエテン(化合物6); 1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-イン-1-オン(化合物8); 1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物9); N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)アクリルアミド(化合物10); 1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物11); 1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物12); 1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物13); 1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物14);および、 (E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物15) の中から選択される化合物。 【請求項9】 治療上の有効量の請求項1の化合物、および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。」 (2)【0005】 に、「発明の概要」として、「本明細書に記載されているのは、ブルートンチロシンキナーゼ(Btk)の阻害剤である。また、不可逆的なBtkの阻害剤もここに記載されている。・・・また、そのような不可逆的な阻害剤の合成方法、疾患(不可逆的なBtkの阻害が、その疾患を有する患者に治療上の利益をもたらす疾患を含む)の治療におけるそのような不可逆的な阻害剤の使用方法もここに記載されている。さらに記載されているのは、Btkの不可逆的な阻害剤を含む医薬製剤である。」と記載され、また、【0006】に、「ここに記載されている化合物には、式(A)、式(B)、式(C)、または式(D)のいずれかの構造を有する化合物、並びにそれらの医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステル、酸およびプロドラッグが含まれる。また、ある特定の態様には、異性体、および式(A)、式(B)、式(C)、または式(D)に示されるいずれかの構造を有する化合物の化学的に保護された形も提供されている。」と記載されるとおり、引用文献2の特許請求の範囲に記載の化合物は、Btk阻害活性を有する化合物であるところ、Btk阻害活性を有する化合物(分子)による治療の標的となる疾患に関し、【0163】~【0164】には、以下の記載がある。 「【0163】 本明細書に記載されている方法には、本明細書に記載されている一以上の不可逆的なBtk阻害剤化合物の治療上の有効量を含む組成物を、治療の必要な患者に投与することが含まれる。理論に縛られることなく、様々な造血細胞機能においてBtkシグナル伝達機能が果たしている多様な役割である、例えばB細胞受容体の活性化は、Btk阻害剤の小さな分子が、例えば自己免疫疾患、異種免疫の症状または疾患、炎症性疾患、癌(例えば、B細胞増殖性疾患)、および血栓塞栓性障害のような造血系の多くの種類の細胞によって影響を受ける、または影響を与える様々な疾患のリスクを減少する、または治療をすることに、有用であることを示唆する。さらに、本明細書に記載されている不可逆的なBtk阻害剤化合物は、不可逆的な阻害剤と共有結合を形成できるシステイン残基(システイン481を含む)を有することにより、Btkとホモロジーを共有する他のチロシンキナーゼの小さなサブセットの阻害に使用できる。例えば、図1のタンパク質キナーゼの例を参照。ゆえに、Btk以外のチロシンキナーゼのサブセットも、多くの健康状態における治療上の標的として有用であることが期待される。 【0164】 ある態様において本明細書で記載されている方法は、自己免疫疾患の治療に用いることができ、それにはこれらに限定されないが、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、骨関節炎、スチル病、若年性関節炎、ループス、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オルド(Ord’s)甲状腺炎、グレーブス病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温暖自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、強皮症、および外陰部痛が含まれる。」 (3)実施例1(【0389】~【0403】)には、上記(1)で記載した請求項1を引用する請求項2~7の特定を充足する化合物に相当する、請求項8に記載の化合物である、化合物4(【0393】~【0395】)、化合物13(【0396】)、化合物14(【0397】)等の化合物についての具体的な製造方法及び同定データが記載されている。 (4)実施例2(【0404】~【0411】)には、請求項8に記載の化合物4~15のインビトロのBtk阻害活性に関し、以下の記載がある。 なお、化合物13(R体)、化合物14(S体)は、それぞれ、化合物4(ラセミ体)の特定の光学活性体であり、化合物13は、本願発明の「イブルチニブ」に相当する化合物である。 「【0404】 実施例2:インビトロのBtk阻害活性 本明細書で開示されている化合物のBtkのIC50は、下記に記載されていようにBCR誘導性のカルシウム流出を、無細胞キナーゼアッセイ、および細胞機能アッセイの両方を用いて測定した。 【0405】 Btkキナーゼ活性は時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR-FRET)方法論を用いて測定した。測定は、96ウェルのアッセイプレートを用いて、反応体積50μlについて行った。キナーゼ酵素、阻害剤、ATP(キナーゼのKmで)、および1μMのペプチド基質(ビオチン-AVLESEEELYSSARQ-NH2)を、Tris(20mM)、NaCl(50mM)、MgCl2(キナーゼに依存して、5から25mM)、MnCl2(0から10mM)、DTT(1mM)、EDTA(0.1mM)、0.01%のウシ血清アルブミン、0.005%のツウィーン-20、および10%のDMSOから構成される反応緩衝液の中で、1時間ほどpH7.4でインキュベートした。その反応を、1.2当量のEDTA(二価陽イオンと比べて)の1xランス緩衝液(Lance buffer)(25μl)(パーキンエルマー)を加えて、クエンチした。ストレプトアビジン-APC(パーキンエルマー)、およびEuで標識されたp-Tyr100抗体(パーキンエルマー)の1xランス緩衝液(Lance buffer)を体積で25μl加えて、それぞれの最終濃度を100nM、および2.5nMとし、そしてその混合物を1時間培養することが可能となった。330nmの励起波長(λEx)、並びに615および665nmの検出波長(λEm)で、マルチモードプレートリーダーを用いて、TR-FRETシグナルを測定した。665nmおよび615nmの蛍光の割合により、活性を決定した。それぞれ化合物に関して、化合物の多様な濃度で酵素活性を測定した。負の制御反応を阻害剤のない6つの複製で行い、そして2つの酵素のない対照を蛍光ベースラインレベル決定するために用いた。阻害定数であるKi(app)は、プログラムバッチ(program Batch)Kiを用いて得た(Kuzmic et al.(2000),Anal.Biochem.286:45-50)。IC50は、次の方程式によって得た。 【0406】 IC50={Ki(app)/(1+[ATP]/KmATP)}+[E]total/2 【0407】 全てのキナーゼにおいて、[ATP]=KmATP、[Btk]total=0.5nM、および[Lck]total=6nM 【0408】 製造者の使用説明書に従って、フレックスステーション(FlexStation)II384蛍光イメージングプレートリーダー(モレキュラーデバイシス(Molecular Devices))を用いて、カルシウム流出蛍光アッセイを行った。簡潔に、10%FBS(インビトロジェン)を追加したRPM1培地で活発に成長するラモス細胞(ATCC)を洗浄して、約100μlあたり5×105細胞が、96ウェルプレートの一つのウェルの低血清培地に、再プレートした。アッセイする化合物をDMSOに溶解して、次いで低血清培地で希釈して、最終濃度が0から10μMの範囲内(希釈係数が0.3)にあるようにした。次に、希釈した化合物をそれぞれのウェル(最終DMSO濃度は0.01%だった)に加えて、そしてCO25%のインキュベーターに1時間、37度でインキュベートした。後に、100μlのカルシウム感受性色素(カルシウム3アッセイキットにより、モレキュラーデバイシス(Molecular Devices))を、それぞれのウェルに加え、さらに1時間インキュベートした。その化合物で処理された細胞をゴートアンチヒューマン(goat anti-human)IgM抗体(80μg/ml;ジャクソンイミューノリサーチ(Jackson ImmunoResearch))で刺激して、フレックスステーション(FlexStation)II384で、λEx=485nm、およびλEm=538nmを用いて200秒、読まれた。相対蛍光ユニット(RFU)、およびIC50を、内蔵ソフトマックスプログラム(SoftMax program)(モレキュラーデバイシス(Molecular Devices))で記録し、分析した。 表2:代表的な化合物のアッセイデータ 【化31】 [図:0001438599000003.jpg] 【表2-1】 [図:0001438599000004.jpg] 【表2-2】 [図:0001438599000005.jpg] 【0409】 これらの化合物による、Btkの不可逆的な阻害を、二つの証拠が示した。一つ目は、組換え型Btkを化合物で前処理した後では、その活性を、阻害剤のない培地で繰り返し洗浄しても回復しなかった(例えば、J.B.Smaill,et al.,J.Med.Chem.1999,42,1803を参照)。二つ目は、質量分析により、大きな質量スペクトルピークを観測し、それは化合物4とBtkの1:1共有結合複合体の分子量に対応していた(化合物4:440Da、組換え型Btkキナーゼドメイン:33,487Da;複合体:予想値33、927Da、観測値33、927Da)。 【0410】 これらの化合物は、Btkキナーゼ活性の高度で強力な阻害剤であり、インビトロのキナーゼ活性はIC50がサブナノモルから1桁のナノモル範囲にある。(ラモス細胞)カルシウム流束アッセイにおけるこれらのIC50は、3から92nMにわたる。 【0411】 注目すべきは、マイケル受容体の3種類、アクリルアミド、ビニルスルホンアミド、およびプロパギルアミドがBtkと強い相互作用を示したことを発見したことである。トランス向きのメチル基をビニル基に加えることで、化合物5で示されるように効力が減少し、それは化合物4よりも28倍、強力性が劣った。これはおそらく、より多くの置換オレフィンの求電子性の減少に関連する。三級アミン基を有する化合物15は、化合物5と比較していくらか効力を取り戻したものの、それでもそれは化合物13と比べて効力の低下を受けた。化合物10は化合物9よりも約6倍強力な効果があり、それはおそらく求電子試薬剤の配向の違いに起因している。最後にR立体配置は、二組のエナンチオマー(化合物11対化合物12、および化合物13対化合物14)による、わずかに望まれる、絶対的な立体化学配置として決定した。」 (5)実施例3(【0412】)には、化合物4の、Btk阻害活性に対する、Btkと密接に関連したタンパク質キナーゼに対する阻害活性と比較しての選択性を示す薬理試験に関し、以下の記載がある。 「【0412】 実施例3:Btk阻害 さらに、多くの細胞の生化学的、および機能的エンドポイントをアッセイすることにより、これらの化合物の性質を特徴付けた。特に、Btk対それと密接に関連したタンパク質キナーゼであるLck、Lyn、およびSykの阻害に対するこれらの化合物の選択性を評価するために、探求した。抗IgMに刺激されたラモス細胞(ヒトB細胞株)において、PLC-γ1のBtk依存性リン酸化反応;Btkにあるチロシン551のLyn、およびSyk依存性リン酸化反応;並びにBCRに活性化されたカルシウム流出をアッセイした。T細胞受容体介在性のカルシウム流出にLck、およびItkは必要だが、Btkは必要ない、ヒトT細胞株であるジャーカット細胞において、化合物4の効果も測定した。表3で示すように化合物4は細胞アッセイにおいて、Btkへの顕著な選択性を示した。抗IgMに刺激されたラモス細胞において化合物4は、PLC-γ1のリン酸化反応をIC50=0.014μMで阻害し、一方でBtkにあるチロシン551のLyn、およびSyk依存性リン酸化反応の阻害はもっと弱かった(IC50>7.5μM)。ゆえに、細胞において、化合物4はBtkおよびLyn、またはSykとの間で500倍よりも大きい選択性を示した。さらに、化合物4はラモス細胞におけるよりも、11倍カルシウム流入の阻害にあたり活性が低く、これは期待されるB細胞対T細胞の選択性を支持する。 表3:化合物4の細胞アッセイデータ 【表3】 [図:0001438599000006.jpg] 」 (6)実施例4(【0413】~【0415】)には、以下のとおり、自己免疫疾患である「リウマチ性関節炎」の動物モデルとして知られる関節リウマチマウスモデル(【0170】~【0171】)を使用して、化合物4を経口投与してリウマチ性関節炎を治療した例が記載されているし、また、【0161】及び図7には、化合物13によってマウスモデルにおける関節炎の発生が阻害されることが示されている。 「【0413】 実施例4:リウマチ性関節炎治療のための化合物4の使用 化合物4のインビボの有効性は、間接リウマチ(合議体注;「関節リウマチ」の誤記と認める。)マウスモデルで評価した。関節炎は、BALB/cマウスにおいて、抗コラーゲン抗体、およびリポポリサッカリド(LPS)を投与することにより引き起こした。Nandakumar et al.(2003),Am.J.Pathol.163:1827-1837を参照。 【0414】 メスBALB/cマウスについて、0日目にケミコンマブ(ChemiconmAb)をII型コラーゲンと混合したものを100mg/kg静脈内に、そして1日目にLPSを1.25mg/kg腹腔内に注射した。化合物4を、2日目に始まり12日目まで、1、3、10および30mg/kgを一日一回、メチルセルロースベース水性懸濁液製剤の形で、経口的に投与した。12日目の、化合物4の投与の0.5および2時間後における、血液試料を採取した(表4を参照)。化合物4の血清濃度は、LC/MS/MSにより定量化した。投与の24時間後、化合物4のレベルは定量化のレベルよりも低かった。 表4:血漿における化合物4濃度の、投与量および時間の依存 【表4】 [図:0001438599000007.jpg] 【0415】 化合物4による関節炎の抑制は用量依存的であり、10および30mg/kgの投与量で最大効果(>95%抑制)を有した。この最大効果を引き起こす、化合物4の血漿濃度は、Tmax(2時間)が0.6-1.7μMの範囲内にあり、有効性を達成するために24時間高いレベルで持続する必要はなく、それは不可逆的な阻害剤において驚くべきことではない。配列解析、および分子モデリングに基づいて、本明細書に記載されている不可逆的な阻害剤は、Btkのシステイン481と共有結合を形成する(例えば、本明細書に記載されている化合物のマイケル反応受容体部分は、Btkのシステイン481残基と反応する)ように意図されている。配列ホモロジー解析に基づき(図1)、本明細書で示されている化合物は、システイン481、または相同なシステイン残基を有するキナーゼの不可逆的な阻害剤として振舞うが、触媒領域配列の範囲内でなければBtkのそれと相同である、触媒領域配列の範囲内の、481の位置に異なるアミノ酸を有するキナーゼと可逆的に結合することも期待されている。・・・」 「【0170】 多くの動物モデルは、前述の疾患のいずれかを治療するための不可逆的なBtk阻害剤化合物における、治療上有効な用量の範囲を確立するために有用である。 【0171】 例えば、自己免疫疾患を治療するために不可逆的なBtk阻害剤化合物の投薬は、間接リウマチ(合議体注;「関節リウマチ」の誤記と認める。)のマウスモデルにおいて評価され得る。このモデルで関節炎は、抗コラーゲン抗体およびリポポリサッカリドを投与することによって、BALB/cマウスで引き起こされる。Nandakumar et al.(2003),Am.J.Pathol 163:1827-1837を参照。」 「【0161】 図7は、化合物13によってマウスモデルにおける関節炎の発生が阻害されることを図解的にを示す。この化合物4のエナンチオマーは、CAIAモデルにおいて投与量が10および30mg/kgで、関節炎の発生を完全に阻害した。比較のために、同じマウスモデルにおいて関節炎の発生の阻害に関するデータを、デキサメタゾンについて示している。」 「【図7】 [図:0001438599000008.jpg] 」 (7)引用文献2には、上記(1)の請求項9の「治療上の有効量の請求項1の化合物、および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物」に関し、以下の一般的な記載がある。 「【0016】 さらなる形態において、本明細書のいずれかの少なくとも一つの治療上の有効量の化合物を含む医薬的組成物、または医薬的に許容される塩、医薬的に活性な代謝物、医薬的に許容されるプロドラッグ、もしくは医薬的に許容される溶媒和物が提供されている。ある特定の態様において、本明細書で提供される組成物にはさらに医薬的に許容される希釈剤、賦形剤および/または結合剤が含まれる。 【0017】 適切な経路により(合議体注:「より」は「よる」の誤記と認める。)投与のため製剤化される医薬組成物、および本明細書で提供されている一以上の化合物、またはチロシンキナーゼ活性に調節さているか、そうでなければ影響されている、もしくはチロシンキナーゼ活性が関与している、一以上の疾患の症候、障害もしくは症状のための治療、予防、もしくは寛解に有効な量を与え、その医薬的に有効な誘導体の有効濃度を含む方法が提供されている。有効量および濃度は、本明細書に開示されているいずれかの疾患、障害または症状の症候を寛解するために効果的である。 ・・・ 【0021】 ある態様において本明細書で提供される化合物は、ヒトに投与される 【0022】 ある態様において本明細書で提供される化合物は、経口的に投与される。 ・・・ 【0046】 上述の形態のいずれに関しても、さらなる態様において投与は経腸的、非経口的、またはその両方であり、それについて (a)化合物の有効量は哺乳類に全身的に投与される; (b)化合物の有効量は哺乳類に経口投与される; ・・・;あるいは、 (i)化合物の有効量は哺乳類に直腸投与される。 ・・・ 【0245】 (医薬組成物/製剤) 医薬組成物は、活性化合物を医薬的に用いることのできる、製剤にするプロセスを促進する、賦形剤および補助剤のような一以上の生理学的に許容される担体を用いて、従来方法によって製剤され得る。適切な製剤は、選択された投与の経路に依存する。いずれの周知技術、担体、および賦形剤は、技術的に適したおよび理解されたものとして用いられ得る。・・・ 【0246】 本明細書で用いられる医薬組成物は、本明細書に記載されている化合物である例えば・・・の化合物などと、他の化学的成分である担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤などの混合物をを指す。医薬組成物は、生物に対する化合物の投与を促進する。本明細書で提供されている治療法または使用方法を実行するに際して、本明細書に記載されている化合物の治療上の有効量は、治療が必要な疾患、障害、または症状を有する哺乳類に対して医薬組成物の形で投与される。望ましくは、哺乳類はヒトである。治療上の有効量は、疾患の重症度、患者の年齢および相対的な健康状態、用いられている化合物の効力および他の要因によって大いに変わり得る。化合物は、単独、または混合物の成分として、一以上の治療薬の組み合わせで用いることができる。 ・・・ 【0250】 本明細書に記載されている医薬製剤は、患者に対して複数の投与経路により投与することができ、それにはこれらに限定されないが、経口、非経口(例えば静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、バッカル、局所、直腸、または経皮性の投与経路が含まれる。・・・ ・・・ 【0258】 「担体」または「担体材料」は、薬剤学で一般に用いられているいずれの賦形剤も含み、並びに本明細書で開示されている化合物・・・との適合性、および望ましい剤形の放出特性性質に基づいて選択されべきである。代表的な担体材料には、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、増量剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、滑沢剤、湿潤剤、希釈剤などが含まれる。「医薬的に相溶性のある担体材料」には、これらに限定されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼインナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスファチジルコリン(phosphotidylcholine)、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、セルロースおよび結合セルロース、糖であるステアロイル乳酸ナトリウム、カラゲナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプンなどが含まれ得る。・・・ 【0259】 「分散剤」および/または「粘性調節剤」には、液体媒体中の薬の拡散および均一性、または造粒法、もしくは混合法をコントロールする物質が含まれる。ある態様においてこれらの薬剤は、基質のコーティングまたは侵食の有効性も促進する。代表的な拡散促進剤/分散剤には、以下が含まれる。例えば親水性ポリマー、電解液、ツウィーン(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;商業的にはプラスドン(登録商標)として知られている)、および炭水化物分散剤である例えばヒドロキシプロピルセルロース(例えばHPC、HPC-SL、およびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHPMCK100、HPMCK4M、HPMCK15M、およびHPMCK100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、非結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(S630)、エチレン酸化物およびホルムアルデヒドを加えた4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール重合体(チロキサポールとしても知られている)、ポロクサマー(例えばプルロニクスF68(登録商標)、F88(登録商標)、およびF108(登録商標)でありそれは、エチレン酸化物およびプロピレン酸化物のブロック共重合体である);並びにポロキサミン(例えばテトロニック908(登録商標)、ポロキサミン908(登録商標)としても知られているが、それは四官能性ブロック共重合体でありエチレンジアミンにプロピレン酸化物およびエチレン酸化物を逐次付加して生じる(BASF社、パーシッパニー(Parsippany)、N.J.)、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(S-630)、ポリエチレングリコールであり、例えばポリエチレングリコールは約300から約6000、もしくは約3350から約4000、もしくは約7000から約5400の分子量、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ゴムである例えばトラガントゴムおよびアカシアゴム、グアーガム、キサンタンゴムを含むキサンタンなど、糖、セルロース誘導体である例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化モノラウリン酸ソルビタン、ポリエトキシル化モノラウリン酸ソルビタン、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸塩、キトサンおよびこれらの組み合わせを有することができる。可塑剤であるセルロースまたはトリエチルセルロースもまた、分散剤として用いることができる。リポソーム分散液および自己乳化分散液の中で特に有用である分散剤は、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルグリセロール、コレステロールおよびイソプロピルミリスチン酸である。 ・・・ 【0261】 用語「希釈剤」は、送達の前に目的化合物を希釈するために用いられる化学化合物を指す。希釈剤は化合物を安定化させるためにも用いることができる、というのもそれらはより安定な環境を提供できるからである。・・・ある特定の態様において、希釈剤は圧縮を促進するか、またはカプセル充填をするため同種混合物の十分なバルクを作り出すために、組成物のバルクを増加させる。そのような化合物には、例えばラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖、微結晶性セルロースであるアビセル(登録商標);第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース;アルファ化デンプン、圧縮性糖であるディパック(Di-Pac)(登録商標)(アムスタール(Amstar));マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、スクロース希釈剤、粉砂糖;第一硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物、デキストレート;加水分解された穀類固体、アミロース;粉末セルロース、炭酸カルシウム、グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール、ベントナイト、などが含まれる。 ・・・ 【0266】 「増量剤」には、ラクトース、カルシウム炭酸塩、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、アルファデンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、などの化合物が含まれる。 ・・・ 【0277】 「界面活性剤」には、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム(sodium docusate)、ツウィーン60または80、トリアセチン、ビタミンETPGS、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポラキソマー、胆汁塩、モノステアリン酸グリセリル、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの共重合体、例えばプルロニック(登録商標)(BASF)、などの化合物が含まれる。他の界面活性剤には、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド(polyoxyethylene fatty acid glycerides)および植物油、例えばポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油;並びにポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびアルキルフェニルエーテル、例えばオクトキシノール10、オクトキシノール40が含まれる。ある態様において界面活性剤は、物理的な安定性を高めるために、または他の目的のために含まれ得る。 ・・・ 【0279】 「湿潤剤」には、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ドクサートナトリウム(sodium docusate)、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドックサートナトリウム(sodium doccusate)、トリアセチン、ツウィーン80、ビタミンETPGS、アンモニウム塩など化合物が含まれる。 【0280】 (投薬形態) 本明細書に記載されている組成物は、これらに限定されないが、経口、非経口(例えば静脈内、皮下、または筋肉内)、バッカル、鼻腔内、直腸または経皮性の投与経路が含まれる、いずれかの従来方法を経て投与される患者のために製剤することができる。・・・ 【0281】 さらに、本明細書に記載されている医薬組成物に含まれる式(A)、式(B)、式(C)、もしくは式(D)のいずれかの化合物は、以下のいずれの適した剤形にも製剤することができ、それらに限定されない。それらは、経口水性分散剤、液剤、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁化剤などであり、治療患者による経口摂取には固体経口剤、エアロゾル、放出制御剤、すぐに溶ける製剤、発泡性製剤、凍結乾燥された製剤、錠剤、粉末、丸剤、糖衣錠、カプセル、徐放性製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、並びに即時放出剤および放出制御剤の混合がある。 【0282】 経口薬剤は、一以上の固体賦形剤と一以上の本明細書に記載されている化合物を混合し、生じた混合物を適宜粉砕し、そして錠剤または糖衣錠の芯を得るため、必要に応じて適した補助剤を加えた後に、顆粒の混合物を処理することにより、得ることができる。適した賦形剤には、例えば糖のような賦形剤でラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール;セルロース製剤である例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム;並びに他のポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムなどが含まれる。必要に応じて崩壊剤である、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天など、またはアルギン酸もしくはこの塩であるアルギン酸ナトリウムなどが加えられ得る。 ・・・ 【0285】 ある態様において、本明細書で開示されている固形剤型は、錠剤(懸濁錠剤、早く溶ける錠剤、噛んで分解する錠剤、すぐに分解する錠剤、発泡性の錠剤、またはカプレットが含まれる)、丸剤、粉末(無菌包装された粉末、重要でない粉末、または発泡性粉末が含まれる)、カプセル(軟性および硬性の両方のカプセルを含み、例えば動物由来のゼラチンもしくは植物由来のHPMCで作られたカプセル、または「スプリンクルカプセル」)、固体分散剤、固体溶液、生体内分解性の剤形、放出制御剤、パルス放出する剤形、多粒子剤形、ペレット、顆粒、またはエアロゾルの形があり得る。他の態様において、医薬製剤は粉末の形である。さらに他の態様において、医薬製剤は錠剤の形であり、早く溶ける錠剤を含むがこれに限定されない。付加的に、本明細書に記載されている医薬製剤は単一カプセルとして、または複数のカプセル剤形に含まれて投与され得る。ある態様において医薬製剤は、2つ、3つ、4つのカプセルまたは錠剤により投与される。 ・・・ 【0287】 従来の薬学的技術には、例えば一つのまたは組み合わせによる以下の方法:(1)乾式複合化法、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾式もしくは非水性造粒法、(5)湿式造粒法、または(6)融合が含まれる。・・・ 【0288】 本明細書に記載されている医薬的な固形剤型には、本明細書に記載されている化合物、および一以上の医薬的に許容される添加剤で混合可能な担体、結合剤、増量剤、懸濁化剤、香味料、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、加湿剤、可塑剤、安定化剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、またはこれらの一以上の組み合わせが含まれ得る。・・・ 【0289】 本明細書に記載されている固形剤型に用いる適した担体には、これらに限定されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼインナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラゲナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどが含まれる。 【0290】 本明細書に記載されている固形剤型に用いる適した増量剤には、これらに限定されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、アルファデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、などが含まれる。 ・・・ 【0294】 本明細書に記載されている固形剤型に用いる適した滑沢剤または流動促進剤には、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩であるアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、マグネシウムステアレート、亜鉛ステアレート、ワックス、ステアロウェト(Stearowet)(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコールであるカルボワックス(登録商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、グリセリンパルミトステアラート、安息香酸グリセリル、ラウリル硫酸マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。 【0295】 本明細書に記載されている固形剤型に用いる適した希釈剤には、これらに限定されないが、糖(ラクトース、スクロース、およびデキストロースを含む)、多糖(デキストレートおよびマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、およびソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどが含まれる。 【0296】 用語「不水溶性希釈剤」は、医薬品の製剤に用いられる典型的な化合物を表し、それらは例えばリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、修飾デンプンおよび微結晶性セルロース、並びにミクロセルロース(例えば約0.45g/cm3の密度を有する、例えばアビセル、粉末セルロース)、並びにタルクである。 【0297】 本明細書に記載されている固形剤型に用いる適した湿潤剤には、例えばオレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、四級アンモニウム化合物(例えばポリクアット10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、マグネシウムステアレート、ドクサートナトリウム、トリアセチン、ビタミンETPGSなどが含まれる。 【0298】 本明細書に記載されている固形剤型に用いる適した界面活性剤には、例えばラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポラキソマー、胆汁塩、モノステアリン酸グリセリル、エチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの共重合体、例えばプルロニック(登録商標)(BASF)などが含まれる。 ・・・ 【0352】 本明細書に記載されている化合物が含まれる組成物は、予防的および/または治療上の処置のために投与することができる。治療上の適用において、既に疾患もしくは症状に羅患している患者に対して、疾患もしくは症状の症候を治療するか、または少なくとも部分的に抑止するために十分な量の組成物が投与される。この使用の有効な量は、疾患の重症度および経過、障害もしくは症状、薬歴、患者の健康状態、体重、および薬の効き目、並びに治療を行う医師の判断によって決まる。当業者の範囲内で、そのような治療上の有効量を日常実験(これに限定されないが、用量漸増臨床試験が含まれる)によって決定するすることは、十分に考えられている。 ・・・ 【0357】 そのような量に相当する薬の投与量は、特定の化合物、疾患もしくは症状およびそれの重症度、治療が必要な患者または宿主の属性(例えば、体重)といった要因によって変わるであろうが、それでもやはり、個々の場合、例えば特定の薬が投与されていること、投与経路、治療している状況、および治療している患者または宿主、をめぐる特定の状況に応じて、周知な方法を用いて型通りに決めることがでる(合議体注:「できる」の誤記と認める。)。しかしながら一般に、成人の治療に用いられる用量は、典型的には、一日あたり0.02から5000mg、または一日あたり約1から1500mgまでの範囲である。望ましい用量は好都合なことに単一用量、または分割用量として提示され、同時に(もしくは短時間に)、または適切な間隔、例えば一日あたり2、3、4もしくはそれ以上の副用量で投与され得る。」 (8)実施例6には、医薬組成物の製剤の例示として以下の記載がある。 「【0417】 実施例6:医薬組成物: 下記に記載されている組成物は、実例の目的として式(A)の化合物が示されている;いずれの式(A)、(B)、(C)、もしくは(D)のいずれの化合物も、そのような医薬組成物として用いることができる。 ・・・ 【0419】 実施例6b:経口組成物 経口送達の医薬組成物を製剤するために、式(A)の化合物100mgをデンプン750mgと混合する。混合物は、経口投与に適した、固いゼラチンカプセルのような経口剤形に組み込まれる。」 なお、式(A)の化合物は以下の【0185】のとおりであり、上記(1)の請求項8に記載の化合物4、13及び14は、いずれも、式(A)の下線を付した置換基である場合の化合物に相当するし、【0204】には、「式(A)、式(B)、式(C)、式(D)の化合物のさらなる態様」として、一番最初に、化合物13に相当する化合物が記載されている。 「【0185】 ある形態において化合物は、式(A)、それの医薬的に許容される塩、医薬的に活性な代謝物、医薬的に許容されるプロドラッグ、および医薬的に許容される溶媒和物である。以下で示す式(A): [図:0001438599000009.jpg] [式中、 Aは、独立してNもしくはCR5から選択され; R1は、H、L2-(置換もしくは無置換アルキル)、L2-(置換もしくは無置換シクロアルキル)、L2-(置換もしくは無置換アルケニル)、L2-(置換もしくは無置換シクロアルケニル)、L2-(置換もしくは無置換ヘテロ環)、L2-(置換もしくは無置換ヘテロアリール)、またはL2-(置換もしくは無置換アリール)であり、その中でL2は、結合、O、S、-S(=O)、-S(=O)2、C(=O)、-(置換もしくは無置換C1-C6アルキル)、または-(置換もしくは無置換C2-C6アルケニル)であり; R2およびR3は、独立してH、低級アルキルおよび置換低級アルキルから選択され; R4は、L3-X-L4-Gであり、その中で L3は任意であり、これが存在するときは結合、任意の置換もしくは無置換アルキル、任意の置換もしくは無置換シクロアルキル、任意の置換もしくは無置換アルケニル、任意の置換もしくは無置換アルキニルであり; Xは任意であり、これが存在するときは結合、O、-C(=O)、S、-S(=O)、-S(=O)2、-NH、-NR9、-NHC(O)、-C(O)NH、-NR9C(O)、-C(O)NR9、-S(=O)2NH、-NHS(=O)2、-S(=O)2NR9-、-NR9S(=O)2、-OC(O)NH-、-NHC(O)O-、-OC(O)NR9-、-NR9C(O)O-、-CH=NO-、-ON=CH-、-NR10C(O)NR10-、ヘテロアリール、アリール、-NR10C(=NR11)NR10-、-NR10C(=NR11)-、-C(=NR11)NR10-、-OC(=NR11)-、または-C(=NR11)O-であり; L4は任意であり、これが存在するときは結合、置換もしくは無置換アルキル、置換もしくは無置換シクロアルキル、置換もしくは無置換アルケニル、置換もしくは無置換アルキニル、置換もしくは無置換アリール、置換もしくは無置換ヘテロアリール、置換もしくは無置換ヘテロ環であり;あるいは、 L3、XおよびL4は一緒になって窒素を含むヘテロ環を形成し; Gは [図:0001438599000010.jpg] であり、その中のR6、R7およびR8は独立してH、低級アルキルもしくは置換低級アルキル、低級ヘテロアルキルもしくは置換低級ヘテロアルキル、置換もしくは無置換低級シクロアルキル、および置換もしくは無置換低級ヘテロシクロアルキルから選択され; R5は、H、ハロゲン、-L6-(置換もしくは無置換C1-C3アルキル)、-L6-(置換もしくは無置換C2-C4アルケニル)、-L6-(置換もしくは無置換ヘテロアリール)、または-L6-(置換もしくは無置換アリール)であり、その中のL6は結合、O、S、-S(=O)、S(=O)2、NH、C(O)、-NHC(O)O、OC(O)NH、NHC(O)、またはC(O)NHであり; 各R9は独立してH、置換もしくは無置換低級アルキル、および置換もしくは無置換低級シクロアルキルから選択され; 各R10は独立してH、置換もしくは無置換低級アルキル、または置換もしくは無置換低級シクロアルキルであり;あるいは、 二つのR10基は一緒になって5、6、7、もしくは8員複素環を形成することができ;あるいは、 R9およびR10は一緒になって5、6、7、もしくは8員複素環を形成することができ;あるいは、 各R11は独立してH、-S(=O)2R8、-S(=O)2NH2、-C(O)R8、-CN、-NO2、ヘテロアリール、またはヘテロアルキルから選択される] によって表される化合物、並びに、その医薬的に活性な代謝物、医薬的に許容される溶媒和物、医薬的に許容される塩、または医薬的に許容されるプロドラッグである。」 「【0227】 本明細書に記載されている化合物は、一以上の立体中心を持ち、またそれぞれの中心はRもしくはS立体配置に存在し得る。」 2 引用文献Aに記載された事項 引用文献Aには、以下の記載がある。なお、引用文献Aは、外国語で記載された文献であるため、以下は、合議体による訳文で記載する。 (1)タイトル及び要約 「医薬品開発のための、動物用量とヒト等価用量の解釈」 「目的:新薬研究におけるヒトから動物、又は動物からヒトへの科学的な用量換算方法をTKM(合議体注:伝統的韓国医薬の略)に導入する。 方法:FDA及びKFDAのガイドラインを検索し、PubMedやGoogleなどの様々なデータベースにある薬物用量換算に関する参考文献と比較した。・・・ 結果:新薬開発においては、ヒトから動物、又は動物からヒトへの用量換算を適切に解釈する必要がある。特に、有効性、毒性、及びメカニズムを調査するための臨床試験又は動物試験において開始用量を推定する場合、用量換算に関する誤解のために、研究者が適切な用量を決定するのに困難を感じることがある。したがって、適切な用量計算に関する教育は、研究者にとって極めて重要である。動物の投与量を、体重のみに基づく単純な換算法でヒトに外挿すべきではない。多くの研究において、正規化法は主に体表面積(BSA)に基づいていることが示唆されているからである。一般的に、体表面積は、酸素利用率、カロリー消費量、基礎代謝、血液量、循環血漿タンパク質など、種間で良好な相関関係にあるようである。同様に、動物毒性試験において高用量を決定する際には、安全係数を考慮する必要がある。 結論:本稿では、体表面積に基づく用量換算と、安全係数を考慮した臨床試験における開始用量推定の重要性について説明する。」 (2)Table 1.と3~4頁の2. 「2.体表面積に基づくヒト等価用量計算 mg/kg用量からmg/m2用量への正確な換算は、対象とする動物種の実際の体重に依存する。体表面積は一般的に、用量換算式としてmg/m2=km×mg/kgで計算される。km係数は種によって一定ではなく、体重が増加すると増加する。km係数は、km=100/K ×W0.33(Kは種固有の値)を用いて、ある体重範囲に対して計算される10)。例えば、ラットのkm値は、100gラットでは5.2、250gラットでは7.0となる。分析の結果、表1に示す標準km値を用いて計算したHED(合議体注:ヒト等価用量)は、作業体重範囲内の正確な動物体重に基づいてkm値を用いて計算したHEDから±20%以内の変動を示す(表1)。ヒトの体重は大きく異なるため、通常、動物種内での体重のばらつきがHEDの計算に与える影響を心配する必要はない。HEDは、以下の式で計算できる。 [図:0001438599000011.jpg] 例えば、マウスにおける有効用量が1000mg/kgであるとした場合、ヒトにおけるHED(mg/kg)=1000mg/kg×(3/37)=81.1 mg/kg(4.866g/日)となる。・・・」 「 [図:0001438599000012.jpg] 」 (なお、Table 1.におけるマーカーは合議体が付した。) 3 引用文献Bに記載された事項 引用文献Bは、本願優先日当時の技術常識を示す文献であり、経口製剤についての一般技術を記載しており、97~137頁には、医薬品の製剤化に使用される添加物の主な種類やその使用目的、使用方法、及び日本における医薬品添加物の使用の現状について記載されている。 以下に、引用文献Bの97~137頁のうち、本願発明の希釈剤に相当する「賦形剤」、同「界面活性剤」に相当する固形製剤用の「湿潤剤」、同「潤滑剤」に相当する「滑沢剤」の代表例を記載する99頁の表4-1-2、100頁、129頁等の記載を摘記する。 (1)99頁の表4-1-2 「 [図:0001438599000013.jpg] 」 (2)100頁 「 [図:0001438599000014.jpg] 」 (3)105頁 「 [図:0001438599000015.jpg] 」 [図:0001438599000016.jpg] 」 (4)120~126頁 「 [図:0001438599000017.jpg] ・・・ [図:0001438599000018.jpg] [図:0001438599000019.jpg] [図:0001438599000020.jpg] ・・・ [図:0001438599000021.jpg] ・・・ [図:0001438599000022.jpg] ・・・ [図:0001438599000023.jpg] 」 (5)127~129頁 「 [図:0001438599000024.jpg] ・・・ [図:0001438599000025.jpg] [図:0001438599000026.jpg] 」 4 引用文献Cに記載された事項 引用文献Cには、以下の記載がある。 (1)請求項1、7、9~11 「【請求項1】 活性物質として、組成物の少なくとも40重量%の分量の4{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピリジン-2-カルボン酸メチルアミド、その溶媒和物、水和物、医薬的に許容し得る塩またはそれらのm、および、少なくとも1種の医薬的に許容し得る補助剤を含む、医薬組成物。 【請求項7】 組成物の少なくとも40重量%の分量の活性物質、0ないし60重量%の分量の充填剤、0ないし15重量%の分量の崩壊剤、0ないし15重量%の分量の結合剤、0ないし2重量%の分量の滑沢剤および0ないし5重量%の分量の界面活性剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。 【請求項9】 経口投与のための、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の医薬組成物。 【請求項10】 固体の経口用投与形である、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の医薬組成物。 【請求項11】 錠剤である、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の医薬組成物。」 (2)【0002】、【0027】~【0037】 「【0002】 発明の背景 ジアリールウレアは、当分野で知られているセリン-スレオニンキナーゼ阻害剤並びにチロシンキナーゼ阻害剤のクラスである・・・。オメガ-カルボキシアリールジフェニルウレアは、WO00/42012およびWO00/41698に開示されている。特に、「BAY43-9006」または4-{4-[({[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}-N-メチルピリジン-2-カルボキサミドとも呼ばれる式(I) 【化1】 [図:0001438599000027.jpg] のジフェニルウレアおよびその医薬的に許容し得る塩は、raf、VEGFR-2、p38およびPDGFRキナーゼの強力な阻害剤である。これらの酵素は、全て、癌を含む過剰増殖疾患の処置のために関心のある分子標的である。従って、式(I)の化合物は、上述の疾患の処置用の医薬として使用される。」 「【0027】 発明によると、医薬的に許容し得る補助剤は、例えば、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、充填剤、可塑剤、界面活性剤および湿潤剤、被膜剤および被覆物質、並びに着色剤、例えば色素である。 【0028】 崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム・・・、およびデンプンが含まれるがこれらに限定されない。好ましいのは、クロスカルメロースナトリウムおよび/または架橋ポリビニルピロリドンであり、より好ましいのは、クロスカルメロースナトリウムである。 医薬組成物に含有される崩壊剤の量は、組成物の総重量の0ないし15重量%、好ましくは5ないし12重量%であり得る。 【0029】 結合剤には、ヒドロキシプロピルセルロース・・・およびアルファ化デンプンが含まれるがこれらに限定されない。好ましいのは、造粒液に可溶である親水性結合剤であり、より好ましいのは、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC)および/またはポリビニルピロリドンであり、最も好ましいのはヒプロメロースである。 医薬組成物に含有される結合剤の量は、組成物の総重量の0ないし15重量%、好ましくは0.5ないし8重量%であり得る。 【0030】 滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイル、ステアリン酸、フマル酸、ナトリウムステアリルフマレート、ステアリン酸亜鉛およびポリエチレングリコールが含まれるがこれらに限定されない。好ましいのは、ステアリン酸マグネシウムである。 医薬組成物に含有される滑沢剤の量は、組成物の総重量の0ないし2重量%、好ましくは0.2ないし0.8重量%であり得る。 【0031】 充填剤には、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、珪酸化(silicated)微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、ラクトース、例えば無水形態または一水和物形態などの水和物形態、デキストロース、マルトース、サッカロース、グルコース、フルクトースまたはマルトデキストリン、粉末化セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびデンプンが含まれるが、これらに限定されない。好ましいのは、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトースおよび/またはリン酸二カルシウムであり、より好ましいのは、微結晶セルロースである。 医薬組成物に含有される充填剤の量は、組成物の総重量の0ないし60重量%、好ましくは3ないし20重量%であり得る。 【0032】 界面活性剤および湿潤剤には、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、ソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、塩化ベンザルコニウム、ノノキシノール10、オキシトキシノール(oxtoxynol)9、ポリソルベート類、例えば20、40、60または80、ソルビタンモノ-パルミテート、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどの脂肪アルコール硫酸塩のナトリウム塩、ナトリウムジオクチルスルホスクシネートなどのスルホスクシネートのナトリウム塩、グリセリンモノステアレートなどの脂肪酸のアルコールとの部分エステル、ソルビタンモノラウレートなどの脂肪酸のソルビタンとの部分エステル、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート、-モノステアレートまたはモノオレエートなどの脂肪酸のポリヒドロキシエチレンソルビタンとの部分エステル、脂肪アルコールのポリヒドロキシエチレンとのエーテル、脂肪酸のポリヒドロキシエチレンとのエステル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー(Pluronic(登録商標)およびエトキシル化トリグリセリドが含まれるが、これらに限定されない。好ましいのは、ラウリル硫酸ナトリウムである。 医薬組成物に含有される界面活性剤の量は、組成物の総重量の0ないし5重量%、好ましくは0.1ないし2重量%であり得る。 ・・・ 【0037】 好ましいのは、組成物の少なくとも40重量%の分量の式(I)の化合物、0ないし60重量%の分量の充填剤、0ないし15重量%の分量の崩壊剤、0ないし15重量%の分量の結合剤、0ないし2重量%の分量の滑沢剤および0ないし5重量%の分量の界面活性剤を含む医薬組成物である。」 (【0032】の「Pluronic(登録商標)」の「(登録商標)」は、原文では上付き文字である。) 5 引用文献Dに記載された事項 引用文献Dには、以下の記載がある。 (1)請求項1 「【請求項1】 ナノ粒子マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ阻害剤組成物であって、 (a)約2000nm未満の有効平均粒径を有するMAPキナーゼ阻害剤またはその塩の粒子;および (b)その表面と結合した少なくとも1種の表面安定剤: を含んでなる上記組成物。」 (2)実施例8(【0163】~【0164】)及び【0134】 「【0163】 実施例8 本実施例の目的は、VX-745のナノ粒子組成物の固体投与物を調製することであった。 【0164】 実施例7のナノ粒子MAPキナーゼ阻害剤分散液を5%(w/w)VX-745に希釈し、そしてラクトースおよびラウリル硫酸ナトリウムと組合わせて、1部のVX-745:1部のラクトース:0.06部のSLSから成る最終組成物を得た。この組成物をBuchiミニスプレー乾燥機(ModelB-191;Buchi、Switzerland)でスプレー乾燥した。入口空気温度は120℃、アスピレーター設定値=100%、ポンプ設定値=10%であった。出口温度は50~55℃であった。このようにしてナノ粒子VX-745分散液の乾燥粉末を得た。乾燥粉末はエーロゾル組成物に利用してもよいし、または圧縮しかつ製錠して経口またはその他の好適な投与用の固体投与物を作ってもよい。」 「【0134】 VX-745の構造 (http://www.albmolecular.com/features/tekreps/vol05/nol0/)を以下に掲げる。 【化1】 [図:0001438599000028.jpg] 」 6 引用文献2に記載された発明 上記1の引用文献2の記載、特に、上記(1)の請求項1を引用する請求項9に「治療上の有効量の請求項1の化合物、および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物」と記載されていること、同請求項8に、請求項1の式(D)の化合物の各置換基についての請求項2~7の特定を充足する化合物として、(R)体である化合物13及び化合物13のラセミ体に相当する化合物4、(S)体に相当する化合物14が記載されていること、上記(4)の実施例2の【表2-1】、【表2-2】に、化合物4、13及び14がインビトロでIC50がサブナノモルから1桁のナノモル範囲の強いBtk阻害活性を示し、特に、化合物13は、最も強いBtk阻害活性(IC50<0.5nM)を示したとの試験結果が記載されていること、上記(6)の実施例4及び図7において、化合物4が関節リウマチマウスモデルにおいて関節炎を抑制し、また、化合物13が関節炎の発生を阻害することを示す薬理試験結果が記載されていること、によれば、引用文献2には、化合物4(ラセミ体)の中に含まれるR体の化合物であり、かつ、最も強いBtk阻害活性を示す化合物13を、医薬的に許容される賦形剤とともに含む医薬組成物とする発明が記載されているといえる。 すなわち、引用文献2には、以下の発明が記載されているといえる。 「治療上の有効量の1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物13)、及び医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。」(以下、「引用発明」という。) 以下、「1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物13)」を、引用文献2の記載にならい、単に「化合物13」ともいう。 第5 本願発明と引用発明との対比及び相違点についての判断 1 本願発明と引用発明との対比 (1)引用発明の化合物13は、「1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン」と、化合物名の一部がアルファベット表記になっている点で記載上は異なるが、これは、本願発明の「(a)」として記載される「1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-en-1-オン」、すなわち、「イブルチニブ」に相当する化合物である。 (2)本願発明の「医薬製剤」は、少なくとも(a)~(d)を含むものであるから、「医薬組成物」であるといえるから、本願発明と引用発明とは、「医薬組成物」である限りにおいて一致している。 そうすると、本願発明と引用発明は、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 <一致点> 1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-en-1-オン(イブルチニブ)を含む医薬組成物。 <相違点1> 医薬組成物について、本願発明では「経口投与のための医薬製剤」であることが特定されているのに対し、引用発明ではこのような特定はされていない点。 <相違点2> 医薬組成物に含まれるイブルチニブの含有量について、本願発明では「約140mg」であることが特定されているのに対し、引用発明ではこのような特定はされていない点。 <相違点3> 医薬組成物に含まれるイブルチニブ以外の成分について、本願発明では、 「少なくとも (b)約40wt%乃至約50wt%の、ラクトース、スクロース、デキストロース、デキストラート、マルトデキストリン、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、シクロデキストリン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、微結晶性セルロース、微細セルロース、及びタルクから成る群から選択される、1以上の希釈剤、 (c)約2wt%乃至約7wt%の、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、及びエチレンオキシドと酸化プロピレンのコポリマーから成る群から選択される、1以上の界面活性剤、並びに (d)約0.2wt%乃至約1wt%の、ステアリン酸、水酸化カルシウム、フマル酸ナトリウムステアリル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、及びワックスから成る群から選択される、1以上の潤滑剤」を含むことが特定されているのに対し、 引用発明では、「医薬的に許容される賦形剤」を含むことが特定されている点。 2 判断 (1)相違点1~3について ア(ア) まず、相違点1及び2に関し検討する。 相違点1に関し、引用文献2には、医薬組成物の剤形を経口の投薬形態とすること、経口の剤形には、経口水性分散液や懸濁化剤などがあり、治療患者による経口摂取には、錠剤、カプセル等の形態があることが記載され(第4の1(7)の【0022】、【0046】、【0281】及び【0285】)、また、錠剤やカプセル剤のような経口の固形剤形とする場合の製造法、使用される添加剤等についても詳細に記載されている(同【0282】~【0298】)。そして、実施例6bには、化合物13(及びそのラセミ体の化合物4)を包含する式(A)の化合物を固いゼラチンカプセルのような経口剤形とすることが記載されている(第4の1(8)の【0419】)。 そうすると、これらの引用文献2の記載に接した当業者は、化合物13(イブルチニブ)を含む引用発明の医薬組成物を、カプセルや錠剤等の経口投与のための医薬製剤の形態とすることを動機付けられるといえる。 (イ) 相違点2に関し、引用文献2の【0352】~【0357】(第4の1(7))には、医薬組成物を患者に投与する場合の用量について記載され、特に、【0357】には、「薬の投与量は、特定の化合物、疾患もしくは症状およびそれの重症度、治療が必要な患者または宿主の属性(例えば、体重)といった要因によって変わるであろうが、それでもやはり、個々の場合、例えば特定の薬が投与されていること、投与経路、治療している状況、および治療している患者または宿主、をめぐる特定の状況に応じて、周知な方法を用いて型通りに決めることがでる(合議体注:「できる」の誤記と認める。)。しかしながら一般に、成人の治療に用いられる用量は、典型的には、一日あたり0.02から5000mg、または一日あたり約1から1500mgまでの範囲である。望ましい用量は好都合なことに単一用量、または分割用量として提示され、同時に(もしくは短時間に)、または適切な間隔、例えば一日あたり2、3、4もしくはそれ以上の副用量で投与され得る。」と、薬の投与量は投与経路や患者の状況に応じて適宜決め得るものであり、成人の治療に用いられる典型的な単一用量として「一日あたり約1から1500mgまでの範囲」であることが記載されている。 そうすると、引用発明の医薬組成物を、単一用量として「一日あたり約1から1500mgまでの範囲」内で好適化された量含有する単位製剤とすることは、当業者が適宜なし得ることである。 そして、引用文献2の実施例6には、医薬組成物の実例が記載され(第4の1(8))、実例では式(A)の化合物が示されているが、(D)の化合物等も、そのような医薬組成物として用いることができると記載された上で(【0417】)、実施例6b(【0419】)に、式(A)の化合物をカプセル中100mg含有させた製剤が記載されているし、第4の1(8)で記載したとおり、化合物13(イブルチニブ)は、式(A)に含まれるものであり(【0185】)、かつ、【0204】に、「式(A)、式(B)、式(C)、式(D)の化合物のさらなる態様」として、一番最初に記載される化合物でもあるから、引用発明の、イブルチニブを含有する医薬組成物をカプセルや錠剤などの固形製剤とするに当たり、100mgとある程度近接する「約140mg」を含有量とすることは、当業者が適宜設定し得る事項にすぎない。 (ウ) また、引用文献2には、実施例4(第4の1(6)の【0413】~【0415】)において、化合物13(イブルチニブ)のラセミ体化合物である化合物4を、関節リウマチ性のマウスモデルに、1、3、10及び30mg/kgの用量で一日一回「経口的に投与」したところ、関節炎の抑制は用量依存的であり、関節炎の抑制は10及び30mg/kgの投与量で最大効果(>95%抑制)であったことが記載されているし、図7には、化合物13の10及び30mg/kgの投与量によってマウスモデルにおける関節炎の発生が完全に阻害されたことが示されている。 ここで、優先日当時技術常識となっていた、体表面積に基づいて試験動物の用量からヒトで同等の作用が発現する用量を算出するヒト等価用量(HED;引用文献AのTable 1.(第4の2(2)参照))を参酌して、実施例4においてマウスモデルに対して一日一回経口投与される10mg/kg及び30mg/kgの投与量を、60kgのヒトに換算すると、(10又は30)÷12.33×60=48.66~145.99mgとなり、この範囲において、ヒトにおいても効果が期待できるとの一応の推測がされる。 (エ) そうすると、引用発明の医薬組成物を経口投与のための医薬製剤の形態とすること(相違点1)、その際に、実施例6bのカプセル製剤において、(イブルチニブを包含し得る)式(A)の化合物の含有量として記載される100mgと近接する含有量であり、また、マウスモデルにおいて一日一回の経口投与でインビボで実際に最大の効果が確認された投与量をヒトに換算して導き出される一日一回の経口用量である48.66~145.99mgの範囲内の、一日一回の経口用量である、イブルチニブ約140mgを、医薬製剤の単位剤形当たりの量として含有させること(相違点2)は、当業者が適宜なし得たことであるといえる。 イ(ア) 相違点3に関し、引用文献2には、医薬組成物は、活性化合物を医薬的に用いることのできる、製剤にするプロセスを促進する賦形剤及び補助剤のような一以上の生理学的に許容される担体を用いて、従来方法によって製剤され得ること(第4の1(7)の【0245】)、代表的な担体材料には、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、増量剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、滑沢剤、湿潤剤、希釈剤などが含まれること(同【0258】)、経口薬剤は、一以上の固体賦形剤と一以上の本明細書に記載されている化合物を混合し、生じた混合物を適宜粉砕し、錠剤を得るため、必要に応じて適した補助剤を加えた後に、顆粒の混合物を処理することにより得ることができ、適した賦形剤には、例えば糖のような賦形剤であるラクトース、スクロース、マンニトール等、セルロース製剤である、トウモロコシデンプン、微結晶性セルロース等、リン酸カルシウム等があること(同【0282】)が記載されている。 また、引用文献2には、固形剤型は、錠剤やカプセル(軟性及び硬性)を含むこと(第4の1(7)の【0285】)、医薬固形剤型には、本明細書に記載されている化合物、及び一以上の医薬的に許容される添加剤で混合可能な担体、結合剤、増量剤、懸濁化剤、香味料、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、加湿剤、可塑剤、安定化剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、またはこれらの一以上の組み合わせが含まれ得ること(同【0288】)、「希釈剤」は、送達の前に目的化合物を希釈するために用いられる化学化合物を指し、化合物の安定化のためや、圧縮の促進や組成物のバルクを増加させるためにも使用されること(同【0261】)、固形剤型に用いるのに適した「希釈剤」には、糖(ラクトース、スクロース、デキストロースを含む)、多糖(デキストレート及びマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、及びソルビトールを含む)、シクロデキストリンやリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、修飾デンプン、微結晶性セルロース、ミクロセルロース、タルクなどが含まれること(同【0295】~【0296】)、固形剤型に用いるのに適した「界面活性剤」には、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポラキソマー、胆汁塩、モノステアリン酸グリセリル、エチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの共重合体等が含まれること(同【0298】)、固形剤型に用いるのに適した「滑沢剤」等には、ステアリン酸、水酸化カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、マグネシウムステアレート、亜鉛ステアレート、ワックスなどが含まれること(同【0294】)も記載されている。 (イ) さらに、本願優先日当時の技術常識を示す文献であり、経口製剤についての一般技術を記載する文献である引用文献Bの97~137頁(第4の3)には、医薬品の製剤化に使用される添加物の主な種類やその使用目的、使用方法、及び日本における医薬品添加物の使用の現状について記載されているところ、本願発明で特定される「希釈剤」(これは、引用文献2には、「圧縮を促進するか、または・・・組成物のバルクを増加させる」「希釈剤」として記載され(第4の1(7)の【0261】)、引用文献Bには、99頁の表4-1-2(第4の3(1))に、固形製剤の増量、つまり、希釈のための「賦形剤」として記載されている。)、「界面活性剤」(引用文献Bでは、129頁に固形製剤のための「湿潤剤」(同3(5))として、あるいは99頁の表4-1-2(同3(1))、113頁(摘記は省略した)等に液剤のための「乳化剤」として記載されている。)、「潤滑剤」(引用文献Bでは、99頁の表4-1-2(第4の3(1))等に「滑沢剤」として記載されている。)は、いずれも、引用文献Bの記載からも理解できるとおり、医薬品を固形経口製剤とする際に使用される代表的な添加剤にすぎない。 (ウ) 医薬の経口製剤に使用される希釈剤、界面活性剤及び潤滑剤の含有量について検討すると、例えば、引用文献Bの105頁の4(3)(第4の3(3))には、滑沢剤(本願発明の潤滑剤に相当する。)であるステアリン酸マグネシウムの添加量が、0.5%程度であることが記載されており、これは、本願発明の潤滑剤について「約0.2wt%乃至約1wt%」との条件を充足する。 加えて、引用文献2と同様キナーゼ阻害剤を含む医薬組成物に関する文献である引用文献C(【0002】)の【0027】~【0037】には、組成物中に、充填剤(「充填」されることで、医薬組成物が「希釈」されることにもなるので、本願発明の「希釈剤」に相当すると解される。)、好ましくは、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、リン酸二カルシウムを、組成物の総重量の0~60重量%(【0031】)、界面活性剤(湿潤剤)、好ましくはラウリル硫酸ナトリウムを0~5重量%(【0032】)、滑沢剤(本願発明の「潤滑剤」に相当する。)、好ましくは、ステアリン酸マグネシウムを、0~2重量%含む組成物とすることが記載され(第4の4(2))、また、引用文献Dには、MAPキナーゼ阻害剤であるVX-745とラクトースとラウリル硫酸ナトリウムを1:1:0.06の割合(換算すると、ラクトースは約49wt%、ラウリル硫酸ナトリウムは約2.9wt%)で含む製剤が記載されている(第4の5(2)の【0164】))。 (エ) そうすると、引用発明の医薬組成物を、上記ア(エ)のとおり、化合物13を約140mg含む経口投与のための医薬製剤とするにあたり(相違点1及び2)、引用文献2の記載、及び経口製剤についての技術常識を示す引用文献Bを含めた引用文献B~Dの記載を参酌して、賦形剤として、少なくとも、本願発明の「希釈剤」、「界面活性剤」、「潤滑剤」に相当する、錠剤やカプセル剤のような経口製剤において汎用されている添加成分(賦形剤、湿潤剤、滑沢剤)を配合した製剤とすること、その際に、通常の含有量等も加味しつつ、その含有割合を最適化して、本願発明で特定される程度の含有量とすること(相違点3)は、当業者が容易になし得たことである。 ウ 上記ア及びイのとおりであるから、引用発明を相違点1~3に係る本願発明の構成を備えたものとすることを、当業者は容易に想到し得たといえる。 (2) 本願発明の効果について ア 本願明細書には、本願発明の医薬製剤に関し、本願発明では特定されていない、崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウム(【0043】)が含まれる製剤ではあるが、実施例10に、結晶化合物1(これは、【0237】に記載のとおり、本願発明のイブルチニブである。)を140.0mg(42.4w/w%)、微結晶性セルロース(希釈剤)151.4mg(45.9w/w%)、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)14.0mg(4.2w/w%)、(潤滑剤)1.6mg(0.5w/w%)及びクロスカルメロースナトリウム23.0mg(7.0w/w%)、からなるカプセル製剤が記載されている(【0499】の表5.)が、当該製剤を使用した試験結果の記載はなく、本願明細書には、実施例10のカプセル製剤自体により、いかなる有利な効果が奏されるのかについては示されていない。 また、仮に、実施例10のカプセル製剤とすることで、他の添加剤を選択する場合に比べて有利な効果が奏される場合であっても、それは、希釈剤、界面活性剤、潤滑剤が実施例10の特定の化合物からなり、かつ、崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウムを含むカプセル製剤の場合についての効果にすぎず、製剤に含まれる希釈剤、界面活性剤及び潤滑剤の種類の違い、特に、崩壊剤の有無により医薬製剤からの有効成分の放出特性が大きく異なることが予測されることを踏まえると、実施例10のカプセル製剤により奏されるそのような効果は、希釈剤、界面活性剤及び潤滑剤が他の化合物であってもよく、また、崩壊剤を含まなくてもよいものとして特定されている本願発明全体にわたって奏される効果とは解されない。 イ なお、本願明細書の実施例1~9には、化合物1の種々の結晶形態の調製例及び結晶形態の同定結果が詳細に記載されているのみであるし、また、実施例11の即時放出錠剤には、界面活性剤は含まれておらず、本願発明の医薬製剤には当たらない。 さらに、実施例12には、経口投与される化合物1(420mg/日)の慢性リンパ性白血病における安全性及び最適用量を確立するための評価項目(化合物1の安全性、耐性及び薬物動態学/薬力学の評価)と試験対象患者の適格性が記載されるのみであり、経口投与される化合物1の製剤組成や試験結果の記載はない。また、再発性/難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)を持つ被験体における化合物1(経口で560mg/日の用量、カプセル形態)の安全性及び有効性の試験の評価項目及び試験対象患者の適格性を記載する実施例13、ハイリスクの慢性リンパ球性白血病及び小リンパ球性リンパ腫の患者に、リツキシマブと組み合わせて化合物1(経口で420mgの用量(1日3回、1回140mgのカプセル)で投与する第2相試験のプロトコルを記載する実施例14についても、同様であり、これらの実施例が、本願発明の医薬製剤についてのものであるかは不明である。 仮に、実施例12~14の製剤が、実施例10のカプセル製剤であるとしても、本願明細書には本願発明の製剤とする点の有利な効果は示されていないことは、上記アのとおりである。 ウ そして、上記ア、イ以外の本願明細書全体の記載を検討しても、本願発明が優れた効果を奏することを具体的に説明する記載はない。 エ そうすると、本願明細書の記載を検討しても、本願発明により、引用発明及び引用文献2、A~Dに示される事項から予測できない格別の効果が奏されることは理解できない。 (3) 請求人の主張について 請求人は、令和7年8月12日提出の意見書(以下「意見書」という。)の3-2.において、概略、引用発明を相違点1~3に係る本願発明の構成を備えたものとする点に関する主張(A)として、以下の(A-1)~(A-3)を、また、効果に関する主張として、以下の(B)を指摘して、本願発明は、引用発明及び引用文献2、A~Dに対して進歩性を有する旨主張しているので、以下、それぞれの主張ごとに検討する。 ア(ア) (A-1)相違点1及び相違点2についての主張 請求人は、引用文献2には、医薬製剤が経口投与可能であること、及び有効成分の投与量が典型的には0.02~5000mg/日、又は約1~1500mg/日の範囲であることが記載されるが、非常に広範で、ほとんどの低分子医薬品について考えられ得るほぼすべての経口投与量を包含しており、3桁にも及ぶこのような広範かつ一般的な投与量範囲にイブルチニブの140mg投与量が含まれるだけでは、当業者が140mgというイブルチニブの正確な投与量を選択する動機付けにはなり得ないし、実施例4、6bも、本願発明の特定の濃度での有効成分、希釈剤、界面活性剤、及び潤滑剤の具体的な組み合わせを教示又は示唆していないため、当業者に140mgの経口用量のイブルチニブを含む経口投与用の医薬製剤に想到する動機付けを与えるものではない旨を主張する。 (イ) (A-1)の主張についての検討 引用文献2の実施例4、6bに、本願発明と同じ、有効成分、希釈剤、界面活性剤及び潤滑剤の具体的な組合せが記載されていなくても、引用文献2の実施例6bに、イブルチニブを包含し得る式(A)の化合物を100mg含有させたカプセル製剤が記載されていること、及び、実施例4及び図7において、関節リウマチ性のマウスモデルへの一日一回の経口投与による関節炎の抑制において最大効果が得られた投与量をヒトに換算すると48.66~145.99mgとなること等を考慮すれば、引用発明において、イブルチニブ約140mgを単位剤形当たりの量として含有させることは当業者が適宜なし得たことであることは、上記(1)アに説示したとおりである。 したがって、当業者は、引用発明を140mgの経口用量のイブルチニブを含む経口投与用の医薬製剤とすることを動機付けられるといえる。 イ(ア) (A-2)相違点3についての主張及び(A-3)引用文献B~Dは、引用文献2の欠陥を是正していない旨の主張 請求人は、引用文献2の記載からは、単独でも、引用文献B~Dを組み合わせても、許容されない後知恵がなければ、当業者が、記載された無数の賦形剤の中から、本願発明の、相違点3に係る特定の濃度の特定の賦形剤に想到することはできなかった旨を主張する。 (イ) (A-2)及び(A-3)の主張についての検討 上記(1)イ(ア)で記載したとおり、引用文献2には、医薬組成物は、活性化合物を医薬製剤にするプロセスを促進する担体を用いて、従来方法によって製剤され得ること、代表的な担体材料には、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、増量剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、滑沢剤、湿潤剤、希釈剤などが含まれること、医薬組成物を錠剤やカプセル剤の形態とすることが示唆されているのであるし、(1)イ(イ)、(ウ)で記載したとおり、本願発明で特定される希釈剤、界面活性剤、潤滑剤は、いずれも、錠剤やカプセル剤のような経口投与製剤において、賦形剤、湿潤剤、滑沢剤として汎用されている代表的な添加剤であり、本願発明の特定の添加剤成分を含む製剤とすることに格別の困難性があるとは解されない。 そして、(1)イ(ウ)で記載したとおり、滑沢剤(潤滑剤)として、第一選択とされるステアリン酸マグネシウムについては、通常の添加量が、0.5%程度であること、及び、有効成分は異なるものの希釈剤や界面活性剤の種類とその含有量が本願発明と同じであるものが既知であること(引用文献C、D)を含め、引用文献A~Dの記載を参酌して、相違点3に係る本願発明の構成とすることを、当業者が容易になし得たことであることは、上記(1)イ(エ)で記載したとおりである。 ウ (B)の主張及び検討 (ア) 請求人は、意見書で引用する欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)が発行したイブルチニブの評価報告書(番号EMA/CHMP/645137/2014、2014年7月24日発行)(請求人によれば資料1)、本願明細書(特に実施例10)、CHMP報告書、引用された米国IMBRUVICA(イブルチニブ)ラベル抜粋(付録B)から、本願発明の経口製剤が、イブルチニブの溶解性の向上と望ましい薬物動態学的及び薬力学的効果の達成に重要な役割を果たすことが立証されている旨を主張する。 (イ)a そこで、まず、本願明細書の記載についてみると、請求人が指摘する実施例10には、微結晶セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを特定量含むイブルチニブの140mgカプセル製剤の組成例が記載されているだけであって、当該カプセル製剤のイブルチニブの溶解性、薬物動態学的及び薬力学的効果については何ら測定されていない。また、実施例10のカプセル製剤は、本願発明において特定のない、崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウムを含むものであり、崩壊剤の有無による影響が不明であるから、実施例10のカプセル製剤と本願発明の経口製剤とが、同様な効果を示すと推認することもできない。 実施例10以外の記載をみても、本願発明の経口製剤に関する、イブルチニブの溶解性、薬物動態学的及び薬力学的効果について、具体的に示す記載は見いだせないから、請求人の上記主張は、本願明細書の記載に基づくものではない。 b 次に、請求人が引用する資料1、CHMP報告書、及び付録Bに記載の薬物動態学的及び薬力学的効果等のデータは、本願の出願後に公開されたものであるから、本願明細書に記載された本願発明の効果を裏付けるものとして参酌することはできない。 c したがって、請求人の上記(ア)の主張は、採用できない。 (ウ) 請求人は、引用文献2、A~Dを検討したとしても、イブルチニブに溶解性の問題があることさえ認識できない当業者はイブルチニブに関連する溶解性の問題を解決する方法に想到することはできず、引用文献を参酌しても本願発明に想到することはできず、本願発明の顕著な効果も奏することはできない旨も主張する。 (エ) しかしながら、引用文献2では、イブルチニブに相当する化合物13について、実施例1aと類似した手順により合成した旨記載され(【0396】)、実施例1a(【0393】~【0395】)では、化合物13のラセミ体である化合物4を、最終段階で、ジクロロメタンを溶媒とする反応混合物をクエン酸、次いで、食塩水で洗浄していることからみて、化合物4及びこのエナンチオマーである化合物13が水に対する溶解性が低いことを当業者は当然理解するといえるし、このことは、化合物4が実施例4において「水性懸濁液製剤」(【0414】)として投与されており、薬剤が水に溶解せず懸濁している薬剤であることからも理解できる。 そして、上記(イ)aで記載したとおり、本願明細書には、本願発明の効果を具体的に示す記載は見いだせないから、本願発明が「イブルチニブに関連する溶解性の問題を解決する方法」であるとはいえず、本願発明が、引用発明及び引用文献2、A~Dに示される事項から予測できない格別の効果が奏されることもいえない。 なお、イブルチニブの溶解性が、本願発明の経口製剤とすることで向上するとしても、難溶性薬物の吸収性の改善のための製剤化技術として、界面活性剤を添加して薬物へのぬれ性を改善する手法は周知であり(必要なら、引用文献Bと同じ文献である橋田充 編集「経口投与製剤の処方設計」、平成10年4月15日発行、株式会社 薬業時報社の162頁及び164頁参照。また、引用文献Bの4-2.の「1 錠剤」の「(6)湿潤剤」の項目、あるいは、同「2 カプセル剤(硬カプセル剤)」の「(5)湿潤剤」の項目として、ポリソルベート80やラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤が使用されていることが記載されていることからも理解できる。)、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を含有する経口製剤とすることで溶解性が向上することは当業者に予測される効果にすぎない。 エ 以上のとおりであるから、請求人の(A)及び(B)の主張は、いずれも採用できない。 (4)まとめ したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2、A~Dの記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-011830

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