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特許拒絶査定不服審判

2023-009879

血管の評価

審判番号
2023-009879
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-558523外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年06月14日
審決日
2024年03月04日
公報発行日
2024年08月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-558523「血管の評価」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月24日国際公開、WO2019/203895、令和 3年 8月30日国内公表、特表2021-521943〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件出願(以下「本願」と記す。)は、2018年(平成30年)11月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年4月20日(以下、「優先日」という) 米国(US))を国際出願日とする出願であって、令和4年8月31日付けで拒絶理由が通知され、令和5年1月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年2月8日付けで拒絶査定されたところ、同年6月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和4年2月8日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は次のとおりである。 1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 請求項 1,4,20-21 引用文献等 1 2.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 請求項 1-22 引用文献等 1-2 <引用文献等一覧> 1.特表2014-529442号公報 2.国際公開第2017/013020号 第3 本願発明 本願請求項1ないし22に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明22」という。)は、令和5年1月24日提出の手続補正書により手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりである。 「血管の解剖学的構造を評価するための圧力比を計算する、1つまたは複数のプロセッサを有する医療デバイスの作動の方法であって、 前記プロセッサが、第1の期間にわたる、前記血管内の第1の場所での第1の場所の圧力測定値のセット、および前記第1の期間にわたる、前記血管内の第2の場所での第2の場所の圧力測定値のセットを取得するステップであって、前記第1の場所が、前記血管における狭窄の第1の側にあり、前記第2の場所が、前記狭窄の前記第1の側の反対側にあり、第1の場所の圧力測定値の前記セットおよび第2の場所の圧力測定値の前記セットが、充血中でないときに、取得するステップと、 前記プロセッサが、第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第1の前特性、および第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第2の前特性を識別するステップと、 前記プロセッサが、第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第1の後特性、および第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第2の後特性を識別するステップであって、前記識別された第1の後特性が、前記第1の期間において前記識別された第1の前特性の後であり、かつ前記識別された第2の後特性が、前記第1の期間において前記識別された第2の前特性の後であり、かつ前記識別された第1の前特性、前記識別された第2の前特性、前記識別された第1の後特性、および前記識別された第2の後特性の少なくとも1つが、第1の場所の圧力測定値および第2の場所の圧力測定値の前記それぞれのセットにおける圧力測定値に関連し、第1の場所の圧力測定値の前記セットおよび第2の場所の圧力測定値の前記セットが、第1の場所の圧力測定値および第2の場所の圧力測定値の前記それぞれのセットに存在し得るいずれの重複切痕を考慮せずに取得され、識別するステップと、 前記プロセッサが、 i)前記識別された第1の前特性と前記識別された第1の後特性との間の第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値、およびii)前記識別された第2の前特性と前記識別された第2の後特性との間の第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値を使用して、圧力比を計算するステップと、を含む、方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献の記載について 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の優先日前である2014年(平成26年)11月13日に頒布された刊行物である特表2014-529442号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同じ。) (1)「【0001】 本開示は、概して、管の評価、特に管を通じた流体の流れに対する妨害又は他の制限の重大性の評価に関する。本開示の態様は、幾つかの実施形態においては体内管の評価に特に適する。例えば、本開示の幾つかの特定の実施形態が、具体的には、ヒト血管の狭窄の評価のために構成される。」 (2)「【0006】 本開示の実施形態は、管における妨害、特には血管の狭窄の重大性を評価するように構成される。幾つかの特定の実施形態においては、本開示の装置、システム、及び方法は、充血剤の投与無しで冠状動脈における狭窄の重大性を評価するように構成される。 【課題を解決するための手段】 【0007】 幾つかの場合においては、患者の管の評価方法が提供される。方法が、患者の管内に少なくとも一つの機器を導入する;少なくとも一つの患者の心周期について前記管の狭窄の近位の位置で管内の近位圧力測定値を前記少なくとも一つの機器から取得する;前記少なくとも一つの患者の心周期について前記管の前記狭窄の遠位の位置で管内の遠位圧力測定値を前記少なくとも一つの機器から取得する;患者の心周期内で前記患者の心周期の一部のみを包囲する診断窓を選択する;及び前記診断窓内で取得された前記遠位圧力測定値と前記診断窓内で取得された近位圧力測定値の間の圧力差を計算するステップを含む。幾つかの実施形態においては、前記診断窓が、前記近位圧力測定値の1以上の特徴に基づいて少なくとも部分的に選択される。例えば、前記診断窓の始点及び/又は終点が、前記近位圧力測定値に基づいて選択される。その点に関して、始点及び/又は終点が、前記近位圧力測定値の重拍ノッチ、近位圧力測定値のピーク圧力、近位圧力測定値の圧力の最大変化、前記近位圧力測定値の心周期の開始、前記近位圧力測定値の心拡張の開始の1以上に基づく。幾つかの場合においては、前記診断窓の終点が、前記始点からの固定量の時間になるように選択される。 【0008】 幾つかの実施形態においては、前記診断窓が、前記遠位圧力測定値の1以上の特徴に基づいて少なくとも部分的に選択される。例えば、前記診断窓の始点及び/又は終点が、前記遠位圧力測定値に基づいて選択される。その点に関して、始点及び/又は終点が、前記遠位圧力測定値の重拍ノッチ、遠位圧力測定値のピーク圧力、遠位圧力測定値の圧力の最大変化、前記遠位圧力測定値の心周期の開始、前記遠位圧力測定値の心室化点、及び遠位圧力測定値の心拡張の開始の1以上に基づく。幾つかの場合においては、前記診断窓が、最大診断窓を識別し、また診断窓として最大診断窓の一部を選択することにより選択される。 更には、幾つかの実施形態においては、方法は、前記管を通じて流れる流体の流速値を前記少なくとも一つの機器から取得するステップを更に含む。この点に関しては、幾つかの場合においては、前記診断窓が、前記流速値の差分、第1微分係数、及び/又は第2微分係数が相対的に一定値の約ゼロを持つ前記心周期の一部に対応するように選択される。幾つかの実施形態においては、前記診断窓が、患者のECG信号の特徴に基づいて選択される。幾つかの実施形態においては、患者の心臓が、前記近位及び遠位圧力測定値が取得される前記少なくとも一つの心周期の間にストレスを受けない。更には、幾つかの実施形態においては、方法が、更に、前記遠位圧力測定値の少なくとも一部に対して前記近位圧力測定値の少なくとも一部を時間的に整列することを含む。」 (3)「【0022】 本開示の態様においては、少なくとも一つの機器130及び132が、狭窄108の遠位の管100内の圧力をモニターするように構成され、また少なくとも一つの機器130及び132が、狭窄の近位の管内の圧力をモニターするように構成される。この点に関しては、機器130、132が、装置の構成に基づいて必要なように管100内の圧力をモニターするように構成されて狭窄108の近位及び/又は遠位に配置される少なくとも一つの要素の配置を許容する大きさと形状に構成される。この点に関しては、図3は、狭窄108の遠位圧力の測定に適した位置138を図示する。この点に関しては、幾つかの場合においては、(図2に示すように)位置138が、狭窄108の遠位端から、5cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、5mm未満、及び/又は2.5mm未満である。図3は、狭窄108の近位圧力の測定に適した複数の位置も図示する。この点に関しては、幾つかの場合においては、位置140、142、144、146、及び148が、各々、狭窄の近位の圧力の測定に適した位置を代表する。この点に関しては、位置140、142、144、146、及び148が、狭窄108の近位端から変動する距離に設けられ、20cm超から約5mm以下までの範囲に及ぶ。一般的には、近位圧力測定が、狭窄の近位端から離間される。従って、幾つかの場合においては、近位圧力測定が、狭窄の近位端から管のルーメンの内径に等しい若しくはそれよりも大きい距離で行われる。冠状動脈の圧力測定に照らして、近位圧力測定は、一般的に、管の近位部において、狭窄の近位の位置かつ大動脈の遠位の位置で行われる。しかしながら、冠状動脈の圧力測定の幾つかの特定の場合においては、大動脈内の場所から近位圧力測定値が取られる。他の場合においては、近位圧力測定値が、冠状動脈の付け根又は口で取られる。 【0023】 ここで図4を参照すると、開示の実施形態に係るシステム150が図示される。この点に関しては、図4は、システム150の図表の概略図である。開示のように、システム150は、機器152を含む。この点に関しては、幾つかの場合においては、機器152は、上述した機器130及び132の少なくとも一つのとしての使用に適切である。従って、幾つかの場合においては、機器152は、幾つかの場合においては、機器130及び132に関して上述したものと同様の特徴を含む。図示の実施形態においては、機器152は、遠位部154及び遠位部に隣接した配置されたハウジング156を有するガイドワイヤーである。この点に関しては、ハウジング156は、機器152の遠位先端から凡そ3cm離間される。ハウジング156は、管に関する診断情報を取得するべく構成された1以上のセンサー、トランスデューサー、及び/又は他のモニタリング要素を収容するように構成される。図示の実施形態においては、ハウジング156が、機器152が配置されるルーメン内の圧力をモニターするべく構成された少なくとも一つの圧力センサーを含む。シャフト158が、ハウジング156から近位に延びる。トルク装置160が、シャフト158の近位部に亘り配置され、またそこに結合される。機器152の近位端位置162がコネクター164に結合される。ケーブル166が、コネクター164からコネクター168へ延びる。幾つかの場合においては、コネクター168は、インターフェイス170内に差し込まれるべく構成される。この点に関しては、幾つかの場合においては、インターフェイス170は、患者インターフェイスモジュール(PIM)である。幾つかの場合においては、ケーブル166が、ワイヤレスコネクションで置換される。この点に関しては、機器152及びインターフェイス170の間で、物理コネクション(電気、光学、及び/又は流体コネクションを含む)、ワイヤレスコネクション、及び/又はこれらの組み合わせを含む様々な通信路が利用されるものと理解される。 【0024】 インターフェイス170が、コネクション174を介して計算装置172に通信可能に結合される。計算装置172は、概して、本開示内で説明する処理及び分析技術を実行するために適切な任意の装置を代表する。幾つかの実施形態においては、計算装置172が、プロセッサ、ランダムアクセスメモリー、及びストレージ媒体を含む。この点に関しては、幾つかの特定の場合においては、計算装置172が、本明細書で説明のデータ取得及び分析に関連のステップを実行するべくプログラムされる。従って、データ取得、データ処理、機器制御、及び/又は他の本開示の処理及び/又は制御態様に関連する任意のステップが、計算装置によりアクセス可能な非一時的コンピューター読み取り可能媒体上又は内に記憶された対応の指令を用いて計算装置により実行されるものと理解される。幾つかの場合においては、計算装置172がコンソール装置である。幾つかの特定の場合においては、計算装置172は、s5(商標)Imagingシステム又はs5i(商標)Imagingシステムに類似し、各々が、Volcano社から入手可能である。幾つかの場合においては、計算装置172が、ポータブルである(例えば、回転カート上で手持ちされる等)。更には、幾つかの場合においては、計算装置172が、複数の計算装置を備えるものと理解される。この点に関しては、本開示とは異なる処理及び/又は制御態様が、複数の計算装置を用いて別々若しくは事前に設定されたグループ内において実施されるものと特に理解される。複数の計算装置に亘る以下に説明の処理及び/又は制御の態様の任意の分割及び/又は組み合わせが、本開示の範囲内である。 【0025】 一緒に、コネクター164、ケーブル166、コネクター168、インターフェイス170、及びコネクション174が、機器152の1以上のセンサー、トランスデューサー、及び/又は他のモニタリング要素及び計算装置172の間の通信を促進する。しかしながら、この通信路は実際には例示であり、また如何なる方法でも限定と理解されるべきではない。この点に関しては、機器152及び計算装置172の間で、物理コネクション(電気、光学、及び/又は流体コネクションを含む)、ワイヤレスコネクション、及び/又はこれらの組み合わせを含む任意の通信路が用いられるものと理解される。この点に関しては、幾つかの場合においては、コネクション174がワイヤレスであるものと理解される。幾つかの場合においては、コネクション174が、ネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、遠隔通信ネットワーク、及び/又は他のネットワーク)上の通信リンクを含む。この点に関しては、幾つかの場合においては、計算装置172が、機器152が用いられるオペ領域から離れて配置されるものと理解される。コネクション174にネットワークを介したコネクションを持たせることにより、計算装置が隣接の部屋、隣接の建物、又は異なる州/国にあるかを問わず、機器152とリモート計算装置172の間の通信を促進することができる。更には、幾つかの場合においては、機器152とリモート計算装置172の間の通信路が、セキュアコネクションであるものと理解される。また更には、幾つかの場合においては、機器152と計算装置172の間の通信路の1以上の部分に亘り通信されるデータが暗号化されるものと理解される。 【0026】 システム150が、機器175を含む。この点に関しては、幾つかの場合においては、機器175が、上述の機器130及び132の少なくとも一つとしての使用に適切である。従って、幾つかの場合においては、機器175が、幾つかの場合において機器130及び132に関して上述したものと同様の特徴を含む。図示の実施形態においては、機器175は、カテーテル-タイプの装置である。この点に関しては、機器175が、管に関する診断情報を取得するべく構成された機器の遠位部に隣接した1以上のセンサー、トランスデューサー、及び/又は他のモニタリング要素を含む。図示の実施形態においては、機器175が、機器175が配置されるルーメン内の圧力をモニターするべく構成された圧力センサーを含む。機器175が、コネクション177を介してインターフェイス176に通信接続される。幾つかの場合においては、インターフェイス176が、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu、及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5といった、血流力学モニタリング装置又は他の制御装置である。ある特定の実施形態においては、機器175が、その長さに沿って延びる流体カラムを含む圧力-検出カテーテルである。そのような実施形態においては、インターフェイス176が、カテーテルの流体カラムに流体的に結合した止血バルブ、止血バルブに流体的に結合したマニホールド、部品を流体的に結合するのに必要なため部品の間を延びるチューブを含む。この点に関しては、カテーテルの流体カラムは、バルブ、マニホールド、及びチューブを介して圧力センサーに流体的に連通される。幾つかの場合においては、圧力センサーがインターフェイス176の一部である。他の場合においては、圧力センサーは、機器175及びインターフェイス176の間に配置された別部品である。インターフェイス176は、コネクション178を介して計算装置172に通信可能に結合される。 【0027】 機器152及び計算装置172の間のコネクションと同様、インターフェイス176及びコネクション177及び178が、機器175の1以上のセンサー、トランスデューサー、及び/又は他のモニタリング要素及び計算装置172の間の通信を促進する。しかしながら、この通信路は実際には例示であり、また如何なる方法においても限定として理解されるべきではない。この点に関しては、機器175及び計算装置172の間で、物理コネクション(電気、光学、及び/又は流体コネクションを含む)、ワイヤレスコネクション、及び/又はこれらの組み合わせを含む任意の通信路が用いられるものと理解される。この点に関しては、この点に関しては、幾つかの場合においては、コネクション178がワイヤレスであるものと理解される。幾つかの場合においては、コネクション178が、ネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、遠隔通信ネットワーク、及び/又は他のネットワーク)上の通信リンクを含む。この点に関しては、幾つかの場合においては、計算装置172が、機器175が用いられるオペ領域から離れて配置されるものと理解される。コネクション178にネットワークを介したコネクションを持たせることにより、計算装置が隣接の部屋、隣接の建物、又は異なる州/国にあるかを問わず、機器175とリモート計算装置172の間の通信を促進することができる。更には、幾つかの場合においては、機器175とリモート計算装置172の間の通信路が、セキュアコネクションであるものと理解される。また更には、幾つかの場合においては、機器175と計算装置172の間の通信路の1以上の部分に亘り通信されるデータが暗号化されるものと理解される。」 (4)「【0032】 図8を参照すると、図6と同様、図5のグラフ表示180のウィンドウ192が示され、グラフ182、184、及び186、に各々が対応するグラフ部分196、198、及び200を含む。しかしながら、図8においては、患者の心拍サイクルのセクション212が識別されている。開示のように、セクション212が、患者の心拍サイクルの部分に対応し、ここでは、抵抗が、充血剤又は他のストレス手法の使用なしに減じられている。つまり、セクション212が、自然に減じられ、また相対的に一定な抵抗を持つ安静状態の患者の心拍サイクルの一部である。他の場合においては、心拍サイクルのセクション212が、心拍サイクルの最大抵抗の固定パーセント未満である心拍サイクルの部分を包含する。この点に関しては、心拍サイクルの最大抵抗の固定パーセントが、幾つかの実施形態においては、50%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、及び5%未満である。また別の場合においては、心拍サイクルのセクション212が、心拍サイクルの平均抵抗の固定パーセント未満である心拍サイクルの部分を包含する。この点に関しては、心拍サイクルの平均抵抗の固定パーセントが、幾つかの実施形態においては、75%未満、50%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、及び5%未満である。 【0033】 従って、本開示の幾つかの実施形態においては、セクション212に合致する心拍サイクルの部分が、充血剤や患者の心臓への他のストレスの使用をなしで患者の管の狭窄の評価のための診断窓として利用される。特には、狭窄に亘る圧力比(近位圧力により除算された遠位圧力)が、1以上の心拍のためにセクション212に対応する時間範囲で計算される。計算された圧力比が、幾つかの場合においては、セクション212により規定された診断窓に亘る平均値である。計算された圧力比を閾値又は所定値と比較することにより、医師又は他の治療医務人員が、もしあれば、治療が施されるべきであると決定できる。この点に関しては、幾つかの場合においては、計算された圧力が閾値(例えば、0.00~1.00のスケール上で0.80)を超えるならば、第1治療モード(例えば、治療なし、ドラッグ療法等)が示唆され、他方、計算された圧力比が閾値未満であれば、第2のより侵害の治療モード(例えば、管形成、ステント等)が示唆される。幾つかの場合においては、閾値が固定、プリセット値である。他の場合においては、閾値が特定の患者及び/又は患者の特定の狭窄のために選択される。この点に関しては、特定の患者のための閾値が、1以上の経験的なデータ、患者の特徴、患者経歴、医師の好み、入手可能な治療オプション、及び/又は他のパラメーターに基づく。」 (5)「【0036】 一般的には、本開示に係る充血剤の不使用での狭窄に亘る差分の圧力の評価のための診断窓が、近位圧力測定値、遠位圧力測定値、近位速度測定値、遠位速度測定値、ECG波形、及び/又は他の識別可能及び/又は測定可能な管特性の態様の1以上の特徴及び/又は要素に基づいて識別される。この点に関しては、様々な信号処理及び/又はコンピューター技術が、適切な診断窓を識別するため、近位圧力測定値、遠位圧力測定値、近位速度測定値、遠位速度測定値、ECG波形、及び/又は他の識別可能及び/又は測定可能な管特性の態様の1以上の特徴及び/又は要素に適用可能である。 【0037】 幾つかの実施形態においては、診断窓の決定及び/又は圧力差の計算が、およそリアルタイム又はライブで実行され、セクション212を識別し、また圧力比を計算する。この点に関しては、本開示の内容の範囲内では「リアルタイム」又は「ライブ」での圧力比の計算が、データ取得の10秒内で発生する計算を包含するものと理解される。しかしながら、たびたび、「リアルタイム」又は「ライブ」計算が、データ取得の1秒内で行われるものと理解される。幾つかの場合においては、「リアルタイム」又は「ライブ」計算が、データ取得と同時に行われる。幾つかの場合においては、計算が、データ取得の間の遅滞においてはプロセッサにより実行される。例えば、もしデータが5ms毎1msで圧力検出装置から取得されるならば、データ取得の間の4msにおいてプロセッサが計算を行うことができる。これらのタイミングは単なる例示であり、データ取得速度、処理回数、及び/又は計算に関する他のパラメーターが変更するものと理解される。他の実施形態においては、圧力比の計算が、データ取得の後、10秒以上で実行される。例えば、幾つかの実施形態においては、診断窓の識別及び/又は圧力比の計算のために用いられるデータが、後の分析のために記憶される。」 (6)「【0050】 ここで図16~26を参照すると、本開示に係る診断窓のための開始及び/又は終了時点のための手法の様々なグラフ表示が図示される。この点に関しては、図16~18は、概して、近位圧力測定値に基づく診断窓の始点の識別を図示する;図19~22は、概して、遠位圧力測定値に基づく診断窓の始点の識別を図示する;図23は、診断窓の始点に基づく診断窓の終点の識別を図示する;図24は、近位圧力測定値に基づく診断窓の終点の識別を図示する;及び図25及び26は、遠位圧力測定値に基づく診断窓の終点の識別を図示する。」 (7)「【0056】 ここで図18を参照すると、幾つかの場合においては、診断窓の始点が、心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定される。図18のグラフ表示320に示すように、心周期の開始322が識別されており、また固定時間範囲324が加えられ、診断窓の始点326が決定される。固定時間範囲324が、幾つかの場合においては、約150msと約900msの間である。幾つかの場合においては、固定時間範囲324が、約300msと約600msの間である。幾つかの特定の実施形態においては、固定時間範囲324が、患者の心周期の長さ328のパーセントとして計算される。図18に示すように、心周期の長さ328が、開始322と終了330の間に亘るように、心周期の終点330が識別される。幾つかの場合においては、始点356の計算のために用いられる心周期の長さ328のパーセントが、約25%と約95%の間である。幾つかの場合においては、心周期の長さ328のパーセントが、約40%と約75%の間である。また他の場合、心周期の開始に時間が加えられず、心周期322の開始が始点326である。 【0057】 ここで図19乃至22を参照すると、遠位圧力測定値に基づいて診断窓の始点を識別するための幾つかの手法が図示される。より詳細に図19を参照すると、幾つかの場合においては、診断窓の始点が、重拍ノッチを識別し、また固定量の時間を追加することにより決定される。図19のグラフ表示332に示すように、重拍ノッチ334が識別され、また固定時間範囲336が追加され、診断窓の始点338が決定される。幾つかの場合においては、固定時間範囲336が、約1msと約500msの間である。幾つかの場合においては、固定時間範囲336が、約25msと約150msの間である。他の場合においては、ピーク圧力339が、遠位圧力測定値に基づいて識別され、また固定時間範囲が加えられて診断窓の始点を決定する。ピーク圧力に対する固定時間範囲が、幾つかの場合においては、約1msと約550msの間である。幾つかの場合においては、固定時間範囲が、約25msと約175msの間である。また他の場合においては、重拍ノッチに時間が加えられず、重拍ノッチ334が、始点338である。」 (8)「【0060】 ここで図21を参照すると、幾つかの場合においては、診断窓の始点が、心周期の開始を識別し、また固定量の時間を追加することによりにより決定される。図21のグラフ表示350に示すように、心周期の開始352が識別され、また固定時間範囲354が加えられ、診断窓の始点356が決定される。固定時間範囲354が、幾つかの場合においては約150msと約900msの間である。幾つかの場合においては、固定時間範囲354が、約300msと約600msの間である。幾つかの特定の実施形態においては、固定時間範囲354が、患者の心周期の長さ358のパーセントとして計算される。図21に示すように、心周期の長さ358が開始352と終わり360の間に亘るように、心周期の終わり360が識別される。始点356の計算のために利用される心周期の長さ358のパーセントが、幾つかの場合においては、約25%と約95%の間である。幾つかの特定の場合においては、心周期の長さ358のパーセントが、約40%と約75%の間である。また他の場合においては、心周期の開始に時間が加えられず、心周期352の開始が始点356である。」 (9)「【0063】 ここで図24を参照すると、近位圧力測定値に応じた心周期の終わりの識別に基づいて診断窓の終点を識別するための手法を図示するグラフ表示380が図示され、幾つかの場合においては大動脈圧力測定値であり、固定量の時間を減算する。開示のように、心周期の終わり382が識別され、また固定時間範囲384が減じられ、診断窓の終点386が決定される。固定時間範囲384が、幾つかの場合においては、約1msと約600msの間である。幾つかの特定の実施形態においては、固定時間範囲384が、患者の心周期の長さのパーセントとして計算される。時間範囲384を計算するために用いられる心周期の長さのパーセントが、幾つかの場合においては、約0%と約70%の間である。幾つかの場合においては、心周期の長さのパーセントが、約1%と約25%の間である。また他の場合においては、心周期の終わりから時間が減算されず、心周期382の終わりが、終点386である。 【0064】 ここで図25及び26を参照すると、遠位圧力測定値に基づいて診断窓の終点を識別するための手法が図示される。図25をより詳細に参照すると、遠位圧力測定値に応じて心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減算することに基づいて診断窓の終点を識別するための手法を図示するグラフ表示390が図示される。開示のように、周期の終わり392が識別され、また固定時間範囲394が減じられ、診断窓の終点396が決定される。固定時間範囲394が、約1msと約600msの間である。幾つかの場合においては、固定時間範囲394が、約5msと約100msの間である。幾つかの特定の実施形態においては、固定時間範囲394が、患者の心周期の長さのパーセントとして計算される。時間範囲394を計算するために用いられる心周期の長さのパーセントが、約0%と約70%の間である。幾つかの場合においては、心周期の長さのパーセントが、約1%と約25%の間である。また他の場合においては、前記心周期の終わりから時間が減算されず、心周期392の終わりが、終点396である。」 (10)「【0066】 ここで図27及び28を参照すると、近位及び遠位圧力測定値に対する例示の診断窓のグラフ表示が図示される。この点に関しては、図27が、心室化の直後に開始する診断窓を図示し、他方、図28が、心室化の前に始まる診断窓を図示する。図27をより詳細に参照すると、グラフ表示410が、始点414及び終点416を含む診断窓412を示す。幾つかの場合においては、始点414が、診断窓の始点を識別するために上述した1以上の手法を用いて選択される。同様に、幾つかの場合においては、終点416が、診断窓の終点を識別するために上述した1以上の手法を用いて選択される。開示のように、診断窓412が、遠位圧力記録304の心室化点の後に始まり、また心周期の終わりの前に終わる。 【0067】 ここで図28を参照すると、グラフ表示420が、始点424及び終点426を含む診断窓422を示す。幾つかの場合においては、始点424が、診断窓の始点を識別するために上述した1以上の手法を用いて選択される。同様に、幾つかの場合においては、終点426が、診断窓の終点を識別するために上述した1以上の手法を用いて選択される。開示のように、診断窓422が前記遠位圧力記録304の心室化点の前に始まり、また心周期の終わりの前に終わり、心室化点が診断窓422内に含まれる。」 (11)「【0070】 適切な診断窓を選択するための特定の手法の例を上述したが、これらが例示であり、他の手法が利用できるものと理解される。この点に関しては、診断窓が、次から選択される1以上の手法を用いて決定されるものと理解される:波形の特徴又は他のデータ特徴を識別し、また識別された特徴に対して始点を(例えば、特徴の前、後、又は同時に)選択する;波形の特徴又は他のデータ特徴を識別し、また識別された特徴に対して終点を(例えば、特徴の前、後、又は同時に)選択する;波形の特徴又は他のデータ特徴を識別し、また識別された特徴に対して始点及び終点を選択する;始点を識別し、また始点に基づいて終点を識別する;及び終点を識別し、また終点に基づいて始点を識別する。更には、幾つかの実施形態においては、近位及び遠位圧力測定値の各々に対して、分離した及び/又は異なる診断窓が選択され、利用されるものと理解される。従って、幾つかの場合においては、近位圧力測定値の診断窓が、遠位圧力測定値の診断窓とは異なる始点、終点、及び/又は持続期間を有する。」 (12)「【図3】 [図:0001412981000001.jpg] 」 (13)「【図4】 [図:0001412981000002.jpg] 」 (14)「【図18】 [図:0001412981000003.jpg] 」 (15)「【図21】 [図:0001412981000004.jpg] 」 (16)「【図24】 [図:0001412981000005.jpg] 」 (17)「【図25】 [図:0001412981000006.jpg] 」 (18)「【図27】 [図:0001412981000007.jpg] 」 (19)「【図28】 [図:0001412981000008.jpg] 」 2.引用文献の記載から看取される技術事項について (1)上記「1.(6),(7)及び(14)」より、近位圧力測定値の診断窓の始点が、近位圧力測定値の心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定されることが看てとれる。 (2)上記「1.(6)ないし(8)及び(15)」より、遠位圧力測定値の診断窓の始点が、遠位圧力測定値の心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定されることが看てとれる。 (3)上記「1.(6),(9)及び(16)」より、近位圧力測定値の診断窓の終点が、近位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減じることにより決定されることが看てとれる。 (4)上記「1.(6),(9)及び(17)」より、遠位圧力測定値の診断窓の終点が、遠位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減じることにより決定されることが看てとれる。 (5)上記「1.(10),(18)及び(19)」より、始点424及び終点426を含む診断窓422は、始点424が、診断窓の始点を識別するために上述した1以上の手法を用いて選択され、終点426が、診断窓の終点を識別するために上述した1以上の手法を用いて選択される、ことが看てとれる。 (6)上記「1.(11)」より、診断窓は、近位及び遠位圧力測定値の各々に対して、分離した及び/又は異なる診断窓が選択され、従って、近位圧力測定値の診断窓が、遠位圧力測定値の診断窓とは異なる始点、終点、及び/又は持続期間を有するものであることが読み取れ、この読み取り事項と、上記「(1)ないし(5)」から、近位圧力測定値の診断窓は、診断窓の始点が近位圧力測定値の心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定され、診断窓の終点が、近位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減じることにより決定され、遠位圧力測定値の診断窓は、診断窓の始点が、遠位圧力測定値の心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定され、診断窓の終点が、遠位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減じることにより決定されることが読み取れる。 (7)上記「1.(3)及び(13)」より、システム150は、機器152、コネクター164、ケーブル166、コネクター168、インターフェイス170、及びコネクション174、と、機器175、インターフェイス176、コネクション177及び178と、計算装置172とを備えることが看てとれる。 (8)上記「(4)ないし(6)より、診断窓の識別及び/又は圧力比の計算のために用いられるデータは、近位圧力測定値及び遠位圧力測定値であることが読み取れる。 3.引用発明について 上記「1.及び2.」に示した引用文献の記載事項、図面及び看守される技術事項を総合勘案すると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ヒト血管の狭窄の評価のために、充血剤の投与無しで冠状動脈における狭窄の重大性を評価する装置、システム、及び方法において、 システム150は、機器152、コネクター164、ケーブル166、コネクター168、インターフェイス170、及びコネクション174、と、機器175、インターフェイス176、コネクション177及び178と、計算装置172とを備え、 計算装置172が、プロセッサ、ランダムアクセスメモリー、及びストレージ媒体を含み、データ取得、データ処理、機器制御、及び/又は他の処理及び/又は制御態様に関連する任意のステップが、計算装置172によりアクセス可能な非一時的コンピューター読み取り可能媒体上又は内に記憶された対応の指令を用いて計算装置により実行され、 少なくとも一つの機器130及び132が、狭窄108の遠位の管100内の圧力をモニターするように構成され、また少なくとも一つの機器130及び132が、狭窄の近位の管内の圧力をモニターするように構成され、 機器152は、上述した機器130及び132の少なくとも一つのとしての使用に適切であり、遠位部154及び遠位部に隣接した配置されたハウジング156を有するガイドワイヤーであり、 機器175が、上述の機器130及び132の少なくとも一つとしての使用に適切であり、機器175が、機器130及び132に関して上述したものと同様の特徴を含み、 コネクター164、ケーブル166、コネクター168、インターフェイス170、及びコネクション174が、機器152の1以上のセンサー、トランスデューサー、及び/又は他のモニタリング要素及び計算装置172の間の通信を促進し、 インターフェイス176及びコネクション177及び178が、機器175の1以上のセンサー、トランスデューサー、及び/又は他のモニタリング要素及び計算装置172の間の通信を促進し、 診断窓の識別及び/又は圧力比の計算のために用いられるデータである近位圧力測定値及び遠位圧力測定値が、後の分析のために記憶され、 セクション212に合致する心拍サイクルの部分が、充血剤や患者の心臓への他のストレスの使用をなしで患者の管の狭窄の評価のための診断窓として利用され、 近位圧力測定値の診断窓は、診断窓の始点が近位圧力測定値の心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定され、診断窓の終点が、近位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減じることにより決定され、遠位圧力測定値の診断窓は、診断窓の始点が、遠位圧力測定値の心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定され、診断窓の終点が、遠位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減じることにより決定され、 狭窄に亘る圧力比(近位圧力により除算された遠位圧力)が、1以上の心拍のためにセクション212に対応する時間範囲である診断窓で計算される、 装置、システム、及び方法。」 第5 対比・判断 1.対比 本願発明1を、引用発明と比較する。 (1)引用発明の「ヒト血管の狭窄の評価」は、本願発明1における「血管の解剖学的構造を評価する」ことに相当する。 (2)引用発明の「狭窄に亘る圧力比(近位圧力により除算された遠位圧力)」を「計算」することは、ヒト血管の狭窄の評価のために計算されるものであるから、本願発明1における「血管の解剖学的構造を評価するための圧力比を計算する」ことに相当する。 (3)引用発明は、「計算装置172が、プロセッサ、ランダムアクセスメモリー、及びストレージ媒体を含み、データ取得、データ処理、機器制御、及び/又は他の処理及び/又は制御態様に関連する任意のステップが、計算装置172によりアクセス可能な非一時的コンピューター読み取り可能媒体上又は内に記憶された対応の指令を用いて計算装置により実行され」るものであり、上記計算装置172が備えるプロセッサの個数は明示されていないことから、引用発明の「計算装置172」を「備え」る「システム150」は、本願発明1における「1つまたは複数のプロセッサを有する医療デバイス」に相当する。 (4)引用発明の「狭窄108の遠位の管100内」は、本願発明1における「血管における狭窄の第1の側にあ」る「血管内の第1の場所」に相当し、引用発明の「狭窄108の遠位の管100内の圧力」である「遠位圧力」は、本願発明1における「第1の場所の圧力」に相当する。 (5)引用発明の「狭窄の近位の管内」は、本願発明1における「狭窄の前記第1の側の反対側にあ」る「血管内の第2の場所」に相当し、引用発明の「狭窄の近位の管内の圧力」である「近位圧力」は、本願発明1の「第2の場所の圧力」に相当する。 (6)引用発明は、「狭窄108の遠位の管100内の圧力をモニターするように構成され」、また「狭窄の近位の管内の圧力をモニターするように構成され」ていることから、時間軸において連続的に、狭窄108の遠位の管100内の圧力である遠位圧力と狭窄の近位の管内の圧力である近位圧力とを測定していると認められる。また引用発明は、時間軸において連続的に測定された遠位圧力測定値及び近位圧力測定値が、診断窓の識別及び圧力比の計算のために用いられるデータとして記憶される。以上のことから、引用発明における時間軸において連続的に測定された「遠位圧力測定値」及び「近位圧力測定値」は、それぞれ本願発明1における「前記血管内の第1の場所での第1の場所の圧力測定値のセット」及び「前記血管内の第2の場所での第2の場所の圧力測定値のセット」に相当する。 (7)引用発明の「狭窄108の遠位の管100内の圧力をモニターする」「機器130及び132」「の使用に適切である」「機器152」と「狭窄の近位の管内の圧力をモニターする」「機器130及び132」「の使用に適切である」「機器175」と、「プロセッサ」「を含み」「データ取得」「に関連する任意のステップが」「実行され」る「計算装置172」と、を備えた「システム150」は、上記「(6)」で検討したとおり、時間軸において連続的に、狭窄108の遠位の管100内の圧力である遠位圧力と狭窄の近位の管内の圧力である近位圧力とを測定することを、計算装置172のプロセッサでステップとして実行するものであるから、引用発明と本願発明1とは、「プロセッサが、」「前記血管内の第1の場所での第1の場所の圧力測定値のセット、および」「前記血管内の第2の場所での第2の場所の圧力測定値のセットを取得するするステップ」を備える点で共通する。 (8)引用発明の「狭窄108の遠位の管100内の圧力をモニターする」「機器130及び132」「の使用に適切である」「機器152」と「狭窄の近位の管内の圧力をモニターする」「機器130及び132」「の使用に適切である」「機器175」とを備えた「システム150」は、「充血剤の投与無しで冠状動脈における狭窄の重大性を評価する」「システム」であることから、上記「(6)」に示した引用発明の「狭窄108の遠位の管100内の圧力をモニターする」こと及び「狭窄の近位の管内の圧力をモニターする」こともまた「充血剤の投与無し」で行われると認められる。したがって、引用発明と本願発明1とは、「第1の場所の圧力測定値の前記セットおよび第2の場所の圧力測定値の前記セットが、充血中でないときに、取得する」点で共通する。 (9)引用発明の「遠位圧力測定値の心周期の開始」は、本願発明1における「第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第1の前特性」に相当する。 (10)引用発明の「遠位圧力測定値の心周期の終わり」は、本願発明1における「第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第1の後特性」に相当する。 (11)引用発明の「近位圧力測定値の心周期の開始」は、本願発明1における「第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第2の前特性」に相当する。 (12)引用発明の「近位圧力測定値の心周期の終わり」は、本願発明1における「第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第2の後特性」に相当する。 (13)引用発明の「データ処理」を行う「プロセッサ」を含む「計算装置172」を備えた「システム150」は、「遠位圧力測定値の心周期の開始を識別し、」「遠位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、」「近位圧力測定値の心周期の開始を識別し、」「近位圧力測定値の心周期の終わりを識別」することから、引用発明と本願発明1とは、「プロセッサが、第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第1の前特性、および第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第2の前特性を識別するステップ」と、「プロセッサが、第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第1の後特性、および第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第2の後特性を識別するステップ」と、を備える点で共通する。 (14)引用発明の「近位圧力測定値の心周期の終わり」は時間軸上で「近位圧力測定値の心周期の開始」の後にあることは明らかであり、「遠位圧力測定値の心周期の終わり」は時間軸上で「遠位圧力測定値の心周期の開始」の後にあることは明らかであることから、引用発明と本願発明1とは、「前記識別された第1の後特性が、」「前記識別された第1の前特性の後であり、かつ前記識別された第2の後特性が、」「前記識別された第2の前特性の後であり、かつ前記識別された第1の前特性、前記識別された第2の前特性、前記識別された第1の後特性、および前記識別された第2の後特性の少なくとも1つが、第1の場所の圧力測定値および第2の場所の圧力測定値の前記それぞれのセットにおける圧力測定値に関連」する点で共通する。 (15)上記「(6)」で検討したとおり、引用発明の「診断窓の識別及び圧力比の計算のために用いられる」よう「記憶され」る時間軸において連続的に測定された「遠位圧力測定値」及び「近位圧力測定値」は、時間軸において連続的に測定されていることから、遠位圧力測定値や近位圧力測定値に存在し得る重複切痕を区別せずにすべての遠位での圧力の測定値及び近位での圧力の測定値を含むものである。よって、引用発明と本願発明1とは、「第1の場所の圧力測定値の前記セットおよび第2の場所の圧力測定値の前記セットが、第1の場所の圧力測定値および第2の場所の圧力測定値の前記それぞれのセットに存在し得るいずれの重複切痕を考慮せずに取得され」る点で共通する。 (16)引用発明の「狭窄に亘る圧力比(近位圧力により除算された遠位圧力)」の「計算」に用いられる「時間範囲である」「遠位圧力測定値の診断窓」は、「診断窓の始点が、遠位圧力測定値の心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定され、診断窓の終点が、遠位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減じることにより決定され」ることから、本願発明1における「前記識別された第1の前特性と前記識別された第1の後特性との間」の時間範囲に相当する。 (17)引用発明の「狭窄に亘る圧力比(近位圧力により除算された遠位圧力)」の「計算」に用いられる「時間範囲である」「近位圧力測定値の診断窓」は、「診断窓の始点が近位圧力測定値の心周期の開始を識別し、また固定量の時間を加えることにより決定され、診断窓の終点が、近位圧力測定値の心周期の終わりを識別し、また固定量の時間を減じることにより決定され」ることから、本願発明1における「前記識別された第2の前特性と前記識別された第2の後特性との間」の時間範囲に相当する。 (18)引用発明の「データ処理」を行う「プロセッサ」を含む「計算装置172」を備えた「システム150」は、「狭窄に亘る圧力比(近位圧力により除算された遠位圧力)」を「時間範囲である診断窓で計算」するものであり、診断窓については上記「(16)及び(17)」で検討したとおりであるから、引用発明における「狭窄に亘る圧力比」を「診断窓で計算」する際の「遠位圧力」は、本願発明1における「前記識別された第1の前特性と前記識別された第1の後特性との間の第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値」に相当し、引用発明における「狭窄に亘る圧力比」を「診断窓で計算」する際の「近位圧力」は、本願発明1における「前記識別された第2の前特性と前記識別された第2の後特性との間の第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値」に相当する。したがって、引用発明と本願発明1とは、「プロセッサが、i)前記識別された第1の前特性と前記識別された第1の後特性との間の第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値、およびii)前記識別された第2の前特性と前記識別された第2の後特性との間の第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値を使用して、圧力比を計算するステップ」を備える点で共通する。 (19)引用発明の「システム150」は、「プロセッサ」「を含み、データ取得、データ処理、機器制御、及び/又は他の処理及び/又は制御態様に関連する任意のステップが、計算装置172によりアクセス可能な非一時的コンピューター読み取り可能媒体上又は内に記憶された対応の指令を用いて計算装置により実行され」るシステムであり、上記「(7)、(13)及び(18)」で検討した各ステップを計算装置172のプロセッサで実行して「狭窄に亘る圧力比」を「計算」することから、引用発明と本願発明1とは、「血管の解剖学的構造を評価するための圧力比を計算する、1つまたは複数のプロセッサを有する医療デバイスの作動の方法」である点で共通する。 すると、本願発明1と、引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 「血管の解剖学的構造を評価するための圧力比を計算する、1つまたは複数のプロセッサを有する医療デバイスの作動の方法であって、 前記プロセッサが、前記血管内の第1の場所での第1の場所の圧力測定値のセット、および前記血管内の第2の場所での第2の場所の圧力測定値のセットを取得するステップであって、前記第1の場所が、前記血管における狭窄の第1の側にあり、前記第2の場所が、前記狭窄の前記第1の側の反対側にあり、第1の場所の圧力測定値の前記セットおよび第2の場所の圧力測定値の前記セットが、充血中でないときに、取得するステップと、 前記プロセッサが、第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第1の前特性、および第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第2の前特性を識別するステップと、 前記プロセッサが、第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第1の後特性、および第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける1つ以上の圧力測定値に関連する第2の後特性を識別するステップであって、前記識別された第1の後特性が、前記識別された第1の前特性の後であり、かつ前記識別された第2の後特性が、前記識別された第2の前特性の後であり、かつ前記識別された第1の前特性、前記識別された第2の前特性、前記識別された第1の後特性、および前記識別された第2の後特性の少なくとも1つが、第1の場所の圧力測定値および第2の場所の圧力測定値の前記それぞれのセットにおける圧力測定値に関連し、第1の場所の圧力測定値の前記セットおよび第2の場所の圧力測定値の前記セットが、第1の場所の圧力測定値および第2の場所の圧力測定値の前記それぞれのセットに存在し得るいずれの重複切痕を考慮せずに取得され、識別するステップと、 前記プロセッサが、 i)前記識別された第1の前特性と前記識別された第1の後特性との間の第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値、およびii)前記識別された第2の前特性と前記識別された第2の後特性との間の第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値を使用して、圧力比を計算するステップと、を含む、方法。」 一方で、両者は、次の点で一応相違する。 <相違点> 「血管内の第1の場所での第1の場所の圧力測定値のセット」及び「前記血管内の第2の場所での第2の場所の圧力測定値のセット」が、本願発明1では「第1の期間にわたる」圧力測定値のセットであるのに対し、引用発明では狭窄108の遠位の管100内の圧力と、狭窄の近位の管内の圧力とをモニターするように構成された機器130及び132を用いて測定され、診断窓の識別及び/又は圧力比の計算のために用いられるデータとして保存された遠位圧力測定値及び近位圧力測定値である点。 2.判断 前記「1.」で記載した相違点について判断する。 (1)本願発明1における「第1の期間」とは、本願発明1の発明特定事項より、 ア 「充血中でないとき」であり、 イ その第1の期間に測定された第1の場所での第1の場所の圧力測定値のセットに「第1の前特性」及び「第1の後特性」が関連し、 ウ その第1の期間に測定された第2の場所での第2の場所の圧力測定値のセットに「第2の前特性」及び「第2の後特性」が関連する、 期間であると認められる。 (2)一方、引用発明の遠位圧力測定値は、 ア 充血剤の投与なしで測定されたものであり、 イ 遠位圧力測定値には、心周期の開始及び心周期の終わりが含まれている、 ことから、上記「(1)ア及びイ」の条件を満たす期間に測定されたものであると認められ、引用発明の近位圧力測定値は、 ウ 充血剤の投与なしで測定されたものであり、 エ 近位圧力測定値には、心周期の開始及び心周期の終わりが含まれている、 ことから、上記「(1)ア及びウ」の条件を満たす期間に測定されたものであると認められる。よって、引用発明の遠位圧力測定値及び近位圧力測定値が測定される期間は、少なくとも本願発明1における「第1の期間」を含んだ期間であると認められる。 (3)以上のことから、引用発明の遠位圧力測定値及び近位圧力測定値は、少なくとも本願発明1の「第1の期間にわたる、前記血管内の第1の場所での第1の場所の圧力測定値のセット」及び「第1の期間にわたる、前記血管内の第2の場所での第2の場所の圧力測定値のセット」を含むものである。ゆえに、上記相違点は、本願発明1と引用発明とが実質的に相違する点であるとはいえず、したがって、本願発明1は引用発明である。 (4)また、たとえ本願発明1と引用発明との間に他の相違する点が認められたとしても、その相違する点は微差にすぎず、引用発明においてその相違する点に係る技術事項を備えるようにすることは当業者が容易になしえたことである。 3.小括 したがって、本願発明1は、引用発明である。または、本願発明1は、引用発明から当業者が容易に発明できたものである。 第6 令和5年6月14日提出の審判請求書における請求人の主張について 請求人は、令和5年6月14日提出の審判請求書において、本願発明1は「前記プロセッサが、i)前記識別された第1の前特性と前記識別された第1の後特性との間の第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値、およびii)前記識別された第2の前特性と前記識別された第2の後特性との間の第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値を使用して、圧力比を計算する」ことを使用して圧力比を計算する点で引用文献1とは異なり、新規性と進歩性を有する旨主張する。 しかしながら、上記「第5 1.(18)」で検討したとおり、引用発明と本願発明1とは「プロセッサが、i)前記識別された第1の前特性と前記識別された第1の後特性との間の第1の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値、およびii)前記識別された第2の前特性と前記識別された第2の後特性との間の第2の場所の圧力測定値の前記セットにおける圧力測定値を使用して、圧力比を計算するステップ」を備える点で共通することから、上記請求人の主張は採用することができない。 なお、同審判請求書において、請求人は「引用文献1は、先行及び後続特性によって定義される診断窓中の第1と第2の位置(場所)での圧力の測定値を使用して、圧力比を計算することを開示する。ただし、圧力比の計算には、先行特性と後続特性の間の1つの診断窓のみが使用されている。」とも主張するが、上記「第5 1.(11)」で摘記した引用文献1の段落【0070】にも記載されているように、遠位圧力測定値の診断窓と近位圧力測定値の診断窓は異なる始点、終点、及び/又は持続期間を有する態様もあることは引用文献1に開示されており、引用発明もそのような態様を備えるものを認定したものであるから、上記請求人の主張は採用することはできない。 以上のことから、令和5年6月14日提出の審判請求書における請求人の主張は採用することができない。 第7 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。または本願の請求項1に係る発明は引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、原査定におけるその余の拒絶の理由、及びその余の請求項に係る発明に対する拒絶の理由について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-009879

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