特許拒絶査定不服審判
2023-006286
遊技機
- 審判番号
- 2023-006286
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-010788外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年04月17日
- 審決日
- 2024年03月04日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .537-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 10788「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月 6日出願公開、特開2020-116214〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概要
本願は、平成31年1月25日の特許出願であって、令和3年12月14日に上申書及び手続補正書が提出され、令和4年10月20日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和5年3月10日付け(送達日:同年同月22日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、同年4月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、これに対し、合議体において、同年10月4日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月4日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年12月4日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A~Fは、本願発明を分説するために合議体にて付した。以下、A等が付された事項を「構成A」等という。)。
「A 表示領域を有する表示装置と、
B 遊技する遊技者が感じることのできる振動を生じさせる振動装置と、
C 前記表示領域に基準画像が表示された基準状態から、当該基準画像が前記表示領域に対して変位したかのように表示された変位状態に変化するとともに、当該変位状態にて前記振動装置による振動が発生する可能性がある演出であって、当否判定結果を報知する識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出の一部として実行される画像変位演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
D 所定のタイミングにて発生する前記画像変位演出の態様として
D1 前記変位状態にて前記振動装置による振動が発生しない通常態様と、
D2 前記変位状態における前記基準画像の外縁形状は前記通常態様と同じであるものの前記変位状態にて前記振動装置による振動が発生する特別態様と、
が設けられており、
E 前記所定のタイミングで発生した前記画像変位演出が前記通常態様となった場合よりも、前記特別態様となった場合の方が、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高い
F ことを特徴とする遊技機。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、以下の拒絶理由を含む。
(理由1)(進歩性)
本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.特許第6300289号公報
2.特開2018-149156号公報
第4 引用文献等
1 引用文献1の記載事項、引用発明について
(1)引用文献1の記載事項
当審拒絶理由において引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(特許第6300289号公報、平成30年3月9日発行)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は合議体にて付した。以下同じ。)。
ア
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、画像変位演出の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
・・・
【0012】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
・・・
【0014】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。」
イ
「【0019】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄70(図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70g(左識別図柄群70gL、中識別図柄群70gC、右識別図柄群70gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群70gから選択されて停止した識別図柄70の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄70の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄70を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄70として設定することができる。
【0020】
当否判定結果を報知する演出として、種々の演出が実行される。本実施形態では、当該演出の一種として、画像変位演出を実行することが可能である。すなわち、画像変位演出は、対象の当否判定結果を報知する一連の演出の一部として発生しうるものである。以下、当該画像変位演出について詳細に説明する。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明において「画像」(基準画像10等)というときは、静止画と動画の両方を含むものとする。
【0021】
画像変位演出の基本的態様は、表示装置91の表示領域911に基準画像10が表示された第一状態(図3(a)に示した状態)から、表示領域911に対して当該基準画像10がずれたかのように表示された第二状態(図3(b)または(c)に示した状態)に変位するというものである。基準画像10は、画像変位演出の発生前に実行されていた演出(以下、当該演出を事前演出と称することもある)中に表示されていた画像に基づくものである。事前演出の具体的な態様はどのようなものであってもよい。画像変位演出前に発生しうる事前演出は複数種設定されていてもよいし、一種のみに限定されていてもよい。本実施形態では、画像変位演出の発生直前に表示されていた事前演出の画像が、画像変位演出における基準画像10に引き継がれる。画像変位演出の発生直前に表示されている事前演出の画像は、表示領域911全体に表示された画像であるといえる。ただし、事前演出において表示された画像の一部のみが基準画像10として変位する構成としてもよい。基準画像10を静止画とする(ここでいう静止画とは、基準画像10が表す画像の内容が遊技者から同一視できる態様に維持されることをいい、画像全体が変位することによる態様の変化を含まないという意味である)のであれば、画像変位演出の発生直前に表示されていた事前演出の画像の態様を維持しつつ基準画像10全体を表示領域911に対して変位させる。基準画像10を動画とする(ここでいう動画とは、基準画像10が表す画像の内容が時間経過とともに変化することをいう)のであれば、画像変位演出の発生直前に表示されていた事前演出の画像からそのまま継続的に基準画像10の態様を変化させるとともに、基準画像10全体を表示領域911に対して変位させる。」
ウ
「【図3】
[図:0001418635000001.jpg]
」
エ
「【0022】
表示領域911に対する基準画像10全体の変位態様は種々考えられる。本実施形態では、基準画像10が平面方向(表示装置91の表示領域911に沿う方向をいう。以下同じ)に対してあたかも傾斜するように変位したかのような表示(三次元的に変位したかのような表示)がなされる。より具体的には、本実施形態では、基準画像10の左側縁が奥側に、基準画像10の右側縁が手前側に向かうように、基準画像10があたかも回動したかのような表示がなされる(図3(b)、(c)参照)。ただし、かかる変位態様はあくまで一例である。基準画像10が平面方向に沿って(上下左右いずれかの方向に)変位したかのような表示(二次元的に変位したかのような表示)がなされるようにしてもよい。また、時間経過とともに基準画像10の変位量が変化するかのような態様(例えば、基準画像10が揺れる態様)としてもよい。また、基準画像10の輪郭形状が変化する態様(例えば、基準画像10の輪郭が歪む態様)としてもよい。また、基準画像10の変位によりその一部が表示領域911外に位置したかのような態様(一部が見切れる態様)としてもよい。また、画像変位演出が終了したときに再び基準画像10が元に戻るような演出形態としてもよいし、基準画像10が元に戻らずに全く別の画像が表示された状態に移行しうるような演出形態としてもよい。
【0023】
画像変位演出の発生直前に表示されている事前演出の画像は表示領域911全体に表示された画像であるのであるから、画像変位演出における基準画像10の変位態様がどのようなものであっても、画像変位演出発生時には表示領域911において基準画像10が表示された領域と、それ以外の領域(以下、特定領域911sと称する)が生じることになる(図3(b)、(c)参照)。本実施形態における画像変位演出は、当該特定領域911sをも利用したものである。特定領域911sに表示される画像は、表示領域911に対して変位した基準画像10の背景画像(基準画像10が表示領域911に対して変位したようにみせるための画像)であるといえるところ、当該背景画像をも予告に利用するものである。
【0024】
本実施形態における画像変位演出の態様としては、少なくとも、特定領域911sに特定画像22が表示された第一演出態様(図3(b)参照)と、特定領域911sに特定画像22とは異なる通常画像21が表示された第二演出態様(図3(c)参照)と、が設定されている。第二演出態様は基準となる演出(デフォルトの演出)であり、第一演出態様は第二演出態様が発生したときよりも、対象となる当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)が高まったことを示唆する演出(いわゆるチャンスアップの演出)である。
【0025】
なお、以下では通常画像21や特定画像22の基本的態様のみ説明する。通常画像21や特定画像22とともに、別の画像が表示される構成としてもよい。例えば、基準画像10が表示領域911に対して変位したことを示すような画像が通常画像21や特定画像22に重ねて、または通常画像21や特定画像22とは別に表示される構成としてもよい。この種の画像としては、基準画像10の変位を明瞭するために表示される変位方向に延びる線状の画像を例示することができる。
【0026】
まず、第二演出態様について説明する。第二演出態様にて表示される通常画像21は、基本的には、第一演出態様にて表示される特定画像22と異なる態様であればよい。ただし、第二演出態様は、いわゆるチャンスアップの演出として設定された第一演出態様との関係性を考慮し(デフォルトの演出であることを考慮し)、単純な背景画像として設定されていることが好ましい。例えば、色彩のみからなるような画像を通常画像21とすることで、基準画像10の背景画像であることを明瞭とすることが考えられる。本実施形態における通常画像21は、単一色(例えば黒一色)の画像である(図を分かりやすくするため、各図においては通常画像21を無地の画像として表している)。なお、表示装置91が、複数の画素の組み合わせによって画像を表示する表示装置である場合において、特定領域911sを構成する画素をOFFとして(画素に信号を送信しないようにして)特定領域911sに表示される画像を黒一色等の通常画像21としてもよい。このように制御される場合であっても、特定領域911sに通常画像21が「表示」されているものとする。
【0027】
第一演出態様について説明する。第一演出態様にて表示される特定画像22は、基本的には、第二演出態様にて表示される通常画像21と異なる態様であればよい。例えば、通常画像21を黒一色の画像、特定画像22を赤一色の画像としてもよい。ただし、第一演出態様は、いわゆるチャンスアップの演出として設定されたものであるため、単純な背景画像ではないような態様とされていることが好ましい。本実施形態における特定画像22は、チャンスアップであることを示す好機表示221(かかる好機表示221を表す画像が本発明における付加画像に相当する)として所定のキャラクタ画像を含む(図3(b)参照)。遊技者の視点でいえば、当該キャラクタ画像を見ることにより、第一演出態様とは異なる態様の演出であることを把握することができる。好機表示221の態様としては種々考えられる。例えば、「チャンス」といった文字を含む表示を好機表示221としてもよい。また、複数の好機表示221が表示される態様としてもよい。」
オ
「【0036】
○第一具体例
画像変位演出は、一または複数の所定のタイミングにおいて発生しうる演出とする。そして、当該所定のタイミングにおいて、画像変位演出が発生することもあれば、発生しないこともある設定とする。当該タイミングにおいて画像変位演出が発生した場合には、発生しなかった場合に比して遊技者に有利な遊技の進行となる蓋然性が高くなるように設定する。」
カ
「【0056】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1
演出用の画像が表示される表示領域を有する表示装置と、
前記表示領域に基準画像が表示された第一状態から、前記表示領域に対して前記基準画像がずれたかのように表示された第二状態に変化する画像変位演出を実行することが可能な演出実行手段と、
を備え、
前記画像変位演出では、前記第二状態において前記表示領域における前記基準画像が表示された領域以外の領域である特定領域に特定画像が表示される場合があることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、画像変位演出が発生することによって生じる特定領域に特殊な画像が表示される場合があるという趣向性の高い演出を実行することが可能である。」
(2)引用文献1の認定事項
引用文献1には、次の事項が記載、若しくは、図示されている。
・「画像変位演出の基本的態様は、表示装置91の表示領域911に基準画像10が表示された第一状態(図3(a)に示した状態)から、表示領域911に対して当該基準画像10がずれたかのように表示された第二状態(図3(b)または(c)に示した状態)に変位するというものである。」(【0021】)
・「基準画像10の左側縁が奥側に、基準画像10の右側縁が手前側に向かうように、基準画像10があたかも回動したかのような表示がなされる(図3(b)、(c)参照)。」(【0022】)
・「画像変位演出の第二状態における第一演出態様及び第二演出態様について、基準画像10の表示領域911に対する変位後の外縁形状が同じであること」(【図3】(b)、(c))
上記記載事項からみて、引用文献1には、「画像変位演出の第二状態における第一演出態様及び第二演出態様について、基準画像10の表示領域911に対する変位後の外縁形状が、基準画像10があたかも回動したかのような同じ形状であること」(以下「認定事項(ア)」という。)が記載されていると認められる。
(3)引用発明について
上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「a 演出用の画像が表示される表示領域911を有する表示装置91(【0014】、【0056】)と、
c 基本的態様として表示領域911に基準画像10が表示された第一状態から表示領域911に対して当該基準画像10がずれたかのように表示された第二状態に変位する演出であって、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70gが変動を開始し最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止したことで識別図柄70の組み合わせによって、対象の当否判定結果を報知する一連の演出の一部として発生しうる画像変位演出を実行可能な演出実行手段(【0019】~【0021】、【0056】)と、
を備え、
d 一または複数の所定のタイミングにおいて発生しうる画像変位演出の態様として、
基準画像10が表示領域911に対して変位したことを示すような画像や、単純な背景画像として設定される通常画像21の表示を含む第二演出態様と、
基準画像10が表示領域911に対して変位したことを示すような画像や、チャンスアップであることを示す好機表示221として所定のキャラクタ画像を含み、単純ではない背景画像として設定される特定画像22の表示を含む第一演出態様とが設定され( 【0024】~【0027】、【0036】)、
画像変位演出の第二状態における第一演出態様及び第二演出態様について、基準画像10の表示領域911に対する変位後の外縁形状が、基準画像10があたかも回動したかのような同じ形状であり(認定事項(ア))、
e 第二演出態様は基準となる演出であり、第一演出態様は第二演出態様が発生したときよりも、対象となる当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高まったことを示唆する演出(チャンスアップの演出)である(【0024】)、
f 遊技機1(【0012】)。」
2 引用文献2の記載事項、引用文献2記載の技術事項
当審拒絶理由において引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2(特開2018-149156号公報、平成30年9月27日公開)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は合議体にて付した。以下同じ。)。
(1)引用文献2の記載事項
ア
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、演出用操作手段を振動させることができるパチンコ遊技機では、演出用操作手段の振動をより効果的に活用することにより、遊技に対する興趣を更に向上させることが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技に対する興趣を向上できる遊技機を提供することにある。」
イ
「【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、パチンコ遊技機の一実施形態について説明する。
・・・
【0014】
前搭載枠14に搭載されている部品には、遊技球を発射させるときに遊技者によって操作される発射ハンドルHDがある。発射ハンドルHDは、遊技者により把持可能且つ回動可能に構成されている。パチンコ遊技機10では、発射ハンドルHDの操作量(回動量)に応じた強度で、遊技球が遊技領域YBaに向けて発射される。本実施形態において、発射ハンドルHDは、把持可能な把持手段、及び遊技球を発射するための操作が可能な発射操作手段に相当する。また、前搭載枠14に搭載されている部品には、所定の操作が可能な演出ボタンBTがある。本実施形態の演出ボタンBTは、押しボタン式である。本実施形態において、演出ボタンBTは、遊技者が操作可能な演出用操作手段に相当する。また、パチンコ遊技機10は、演出ボタンBTの内部に、振動可能な振動ユニットSU(図4に示す)を備えている。本実施形態において、演出ボタンBTは、振動ユニットSUによって振動可能に構成されている。」
ウ
「【0042】
演出ゲームは、リーチの組み合わせが表示されたリーチ状態で行うリーチ演出を含む場合がある。リーチの組み合わせとは、複数列のうち特定列(本実施形態では第1列と第3列)に同一の演出図柄が導出され、残りの列(本実施形態では第2列)の演出図柄が変動されている演出図柄の組み合わせである。なお、本実施形態において、リーチ演出は、実行中の演出ゲームにおいて大当り表示結果が導出される期待度(以下、大当り期待度と示す)を報知する演出である。本実施形態において、大当り期待度は、大当りとなる場合とはずれとなる場合の全体における、大当りとなる場合の割合として把握できる。本実施形態におけるリーチ演出には、ノーマルリーチと、ノーマルリーチの演出内容を発展させて行うスーパーリーチと、がある。本実施形態において、スーパーリーチは、ノーマルリーチよりも、実行中の演出ゲームにおける大当り期待度が高いことを報知する演出である。即ち、本実施形態において、リーチ演出は、期待度報知演出に相当する。また、本実施形態において、ノーマルリーチは、特定の実行態様に相当するとともに、低期待度報知演出に相当する。そして、本実施形態において、スーパーリーチは、所定の実行態様に相当するとともに、高期待度報知演出に相当する。なお、上述のように、特別ゲームで大当り表示結果が導出される場合には、演出ゲームでも大当り表示結果が導出される。このため、大当り期待度は、特別ゲームにおいて大当り表示結果が導出される期待度としても把握できる。
・・・
【0045】
立体表示演出は、遊技者に対して画像を立体的に認識させる演出である。遊技者に対して画像を立体的に認識させる方法としては、例えば、視差バリア方式(パララックスバリア方式)を採用してもよいし、レンチキュラー方式を採用してもよい。また、その他の方法を採用してもよい。なお、視差バリア方式は、画像の表示装置(演出表示装置18)において左目用の画像と右目用の画像とを交互に並べ、且つ画像の表示装置と人(遊技者)との間に遮蔽物を設けることで、左右の目で見られる画像を異ならせることにより、画像を立体的に認識させる方法である。また、レンチキュラー方式は、画像の表示装置において左目用の画像と右目用の画像とを交互に並べ、且つ画像の表示装置と人との間に光を屈折させるレンズを設けることで、左右の目で見られる画像を異ならせることにより、画像を立体的に認識させる方法である。
【0046】
本実施形態の立体表示演出は、演出ゲームの実行中に実行可能であって、具体的には、ノーマルリーチの実行中又はスーパーリーチの実行中に実行可能である。また、本実施形態の立体表示演出は、低確低ベース状態、低確高ベース状態、及び高確高ベース状態のうち何れの遊技状態であっても実行可能である。」
エ
「【0050】
また、本実施形態において実行可能な演出には、演出ボタンBTを用いて行う操作演出がある。
操作演出では、はじめに、演出ボタンBTの振動が開始される。そして、操作演出では、演出ボタンBTの振動が開始されてから予め定めた操作期間内に、演出ボタンBTの操作が行われたことを契機として、実行中の演出ゲームにおける大当り期待度を報知する報知画像が演出表示装置18に表示される。その後、操作演出は、報知画像の表示が終了されるとともに、演出ボタンBTの振動が終了されることによって終了する。
【0051】
ここで、本実施形態において、操作演出の実行を許容する実行条件、及び、操作演出の実行を規制する規制条件について説明する。本実施形態において、操作演出の実行を許容するとは、演出ボタンBTの振動を許容することに相当する。また、本実施形態において、操作演出の実行を規制するとは、操作演出を実行させないことに相当する。言い換えれば、操作演出の実行を規制するとは、演出ボタンBTの振動を規制することに相当する。」
オ
「【図3】
[図:0001418635000002.jpg]
」
カ
「【0052】
図3に示すように、本実施形態において、操作演出は、遊技状態が低確高ベース状態、又は高確高ベース状態である場合に実行可能である一方で、遊技状態が低確低ベース状態である場合には実行されない。本実施形態において、遊技状態が低確高ベース状態又は高確高ベース状態であること、即ち、高ベース状態であることは、操作演出の実行条件の1つとして把握できる。一方で、遊技状態が低確低ベース状態であることは、操作演出の規制条件の1つとして把握できる。
【0053】
また、操作演出は、立体表示演出の実行中に実行可能である。言い換えれば、操作演出は、立体表示演出が実行される場合に実行可能である一方で、立体表示演出が実行されない場合には実行されない。即ち、本実施形態において、立体表示演出が実行されることは、操作演出の実行条件の1つとして把握できる一方で、立体表示演出が実行されないことは、操作演出の規制条件の1つとして把握できる。
【0054】
さらに、操作演出は、立体表示演出が実行される場合であっても、該立体表示演出がノーマルリーチの実行中に実行されるときには実行されない。即ち、本実施形態において、ノーマルリーチが実行されたことは、操作演出の規制条件の1つとしても把握できる。言い換えれば、操作演出は、スーパーリーチの実行中に立体表示演出が実行される場合に実行可能である。即ち、本実施形態において、スーパーリーチが実行されたことは、操作演出の実行条件の1つとして把握できる。」
キ
「【0140】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・立体表示演出の実行条件は、適宜変更してもよい。例えば、高ベース状態に制御されている場合など、所定の遊技状態に制御されていることを条件として実行可能としてもよい。この場合、立体表示演出が実行されることに特別感を持たせつつ、さらに、演出ボタンBTが振動されるかにも興味を持たせることができ、立体表示演出と演出ボタンBTの振動との相乗効果をより高めることができる。また例えば、スーパーリーチの実行中に実行可能である一方で、ノーマルリーチの実行中には実行されないようにしてもよいし、リーチ演出の非実行中、又は特別ゲームの非実行中に実行可能としてもよい。」
(2)引用文献2の認定事項
引用文献2には、次の事項が記載、若しくは、図示されている。
・「立体表示演出は、・・・ノーマルリーチの実行中又はスーパーリーチの実行中に実行可能である。・・・立体表示演出は、低確低ベース状態、低確高ベース状態、及び高確高ベース状態のうち何れの遊技状態であっても実行可能である。」(【0046】)
・「図3に示すように、本実施形態において、操作演出は、遊技状態が低確高ベース状態、又は高確高ベース状態である場合に実行可能である一方で、遊技状態が低確低ベース状態である場合には実行されない。本実施形態において、遊技状態が低確高ベース状態又は高確高ベース状態であること、即ち、高ベース状態であることは、操作演出の実行条件の1つとして把握できる。一方で、遊技状態が低確低ベース状態であることは、操作演出の規制条件の1つとして把握できる。」(【0052】)
・「操作演出は、立体表示演出の実行中に実行可能である。」(【0053】)
・「さらに、操作演出は、立体表示演出が実行される場合であっても、該立体表示演出がノーマルリーチの実行中に実行されるときには実行されない。即ち、本実施形態において、ノーマルリーチが実行されたことは、操作演出の規制条件の1つとしても把握できる。言い換えれば、操作演出は、スーパーリーチの実行中に立体表示演出が実行される場合に実行可能である。即ち、本実施形態において、スーパーリーチが実行されたことは、操作演出の実行条件の1つとして把握できる。」(【0054】)
・「・立体表示演出の実行条件は、適宜変更してもよい。例えば、高ベース状態に制御されている場合など、所定の遊技状態に制御されていることを条件として実行可能としてもよい。この場合、立体表示演出が実行されることに特別感を持たせつつ、さらに、演出ボタンBTが振動されるかにも興味を持たせることができ、立体表示演出と演出ボタンBTの振動との相乗効果をより高めることができる。・・・」(【0140】)
上記記載事項からみて、引用文献2には、「遊技状態が高ベース状態であり、かつ、スーパーリーチの実行中に立体表示演出が実行される場合に操作演出を実行可能であり、遊技状態が高ベース状態であり、かつ、ノーマルリーチの実行中に立体表示演出が実行される場合に、操作演出は実行されないこと。」(以下「認定事項(ア)」という。)が記載されていると認められる。
(3)引用文献2記載の技術事項
上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されている。
「前搭載枠14に演出ボタンBTを搭載し(【0014】)、
演出ボタンBTの内部に振動可能な振動ユニットSUを有し、演出ボタンBTを振動ユニットSUによって振動可能に構成し(【0014】)、
操作演出では、演出ボタンBTの振動が行われ(【0050】)、
遊技状態が高ベース状態であり、かつ、スーパーリーチの実行中に立体表示演出が実行される場合に操作演出を実行可能であり、
遊技状態が高ベース状態であり、かつ、ノーマルリーチの実行中に立体表示演出が実行される場合に、操作演出は実行されず(認定事項(ア))、
スーパーリーチは、ノーマルリーチよりも、実行中の演出ゲームにおける大当り期待度が高いことを報知する演出であって(【0042】)、
立体表示演出は、遊技者に対して画像を立体的に認識させる演出である(【0045】)
パチンコ遊技機(【0011】)。」
第5 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明を分説に従い対比する。
1 構成Aについて
引用発明の「表示領域911」、「表示装置91」は、それぞれ、本願発明の「表示領域」、「表示装置」に相当する。
したがって、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する。
2 構成Cについて
上記1より、引用発明の「表示領域911」は、本願発明の「表示領域」に相当する。
また、引用発明の「基準画像10」、「第一状態」、「表示領域911に対して当該基準画像10がずれたかのように表示された第二状態」は、それぞれ、本願発明の「基準画像」、「基準状態」、「基準画像が表示領域に対して変位したかのように表示された変位状態」に相当する。
そうすると、引用発明の「表示領域911に基準画像10が表示された第一状態から表示領域911に対して当該基準画像10がずれたかのように表示された第二状態に変位する」「画像変位演出」は、本願発明の「表示領域に基準画像が表示された基準状態から、当該基準画像が表示領域に対して変位したかのように表示された変位状態に変化する」「画像変位演出」に相当する。
そして、引用発明の「一の識別図柄70が選択されて停止したことで識別図柄70の組み合わせによって、対象の当否判定結果を報知する」「各識別図柄群70g」は、本願発明の「当否判定結果を報知する識別図柄」に相当する。
そうすると、引用発明の「複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70gが変動を開始」することは、本願発明の「当否判定結果を報知する識別図柄が変動を開始」することに相当し、引用発明の「最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止したことでその組み合わせによって、対象の当否判定結果を報知する一連の演出の一部として発生しうる」ことは、本願発明の「当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出の一部として実行される」ことに相当する。
さらに、引用発明の「画像変位演出を実行可能な演出実行手段」は、本願発明の「画像変位演出を実行する演出実行手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成cと本願発明の構成Cとは、「前記表示領域に基準画像が表示された基準状態から、当該基準画像が前記表示領域に対して変位したかのように表示された変位状態に変化する」「演出であって、当否判定結果を報知する識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出の一部として実行される画像変位演出を実行する演出実行手段」を備えることで共通する。
3 構成Dについて
引用発明の「一または複数の所定のタイミングにおいて発生しうる」ことは、本願発明の「所定のタイミングにて発生する」ことに相当する。
そして、上記2より、引用発明の「画像変位演出」は、本願発明の「画像変位演出」に相当することから、引用発明の「画像変位演出の演出態様」は、本願発明の「画像変位演出の態様」に相当し、引用発明の「第二状態」は、本願発明の「変位状態」に相当する。
また、引用発明は、振動装置を備えていることが特定されていないため振動装置を備えるか否か明らかでなく、「第二演出態様」において、振動装置による振動が発生するか否か不明である。
そうすると、引用発明の「画像変位演出の態様として」の「第二状態における」「第二演出態様」と、本願発明の「画像変位演出の態様として」「設けられて」いる「変位状態」における「振動装置による振動が発生しない通常態様」とは、「画像変位演出の態様として設けられている変位状態における通常態様」である点で共通する。
さらに、引用発明の「基準画像10」は、本願発明の「基準画像」に相当することから、引用発明の「基準画像10の表示領域911に対する変位後の外縁形状が、基準画像10があたかも回動したかのような同じ形状であ」ることは、本願発明の「基準画像の外縁形状は」「同じである」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「画像変位演出の態様として」の「第二状態における第一演出態様」と、本願発明の「画像変位演出の態様として」「変位状態」において「設けられて」いる「基準画像の外縁形状は通常態様と同じであるものの変位状態にて振動装置による振動が発生する特別態様」とは、「画像変位演出の態様として設けられている、変位状態における基準画像の外縁形状は通常態様と同じである特別態様」である点で共通する。
したがって、引用発明の構成dと本願発明の構成Dとは、「所定のタイミングにて発生する画像変位演出の態様として、変位状態における通常態様と、変位状態における基準画像の外縁形状が通常態様と同じである特別態様と、が設けられて」いる点で共通する。
4 構成Eについて
引用発明の「第二演出態様」、「第一演出態様」は、「一または複数の所定のタイミングにおいて発生しうる画像変位演出の態様」(構成d)の1
つであるから、上記3より、それぞれ、本願発明の「所定のタイミングで発生した画像変位演出」のうちの「通常態様」、「特別態様」に相当する。
そして、引用発明の「対象となる当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高まった」ことは、本願発明の「当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高い」ことに相当する。
そうすると、引用発明の構成eは、本願発明の構成Eに相当する。
5 構成Fについて
引用発明の「遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の構成fは、本願発明の構成Fに相当する。
6 上記1~5の検討内容からみて、本願発明と、引用発明とは、次の点で一致し、構成B、C、D2に関して以下の相違点1、2で相違する。
「A 表示領域を有する表示装置と、
C´前記表示領域に基準画像が表示された基準状態から、当該基準画像が前記表示領域に対して変位したかのように表示された変位状態に変化する演出であって、当否判定結果を報知する識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出の一部として実行される画像変位演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
D 所定のタイミングにて発生する前記画像変位演出の態様として
D1 前記変位状態における通常態様と、
D2´前記変位状態における前記基準画像の外縁形状は前記通常態様と同じである特別態様と、
が設けられており、
E 前記所定のタイミングで発生した前記画像変位演出が前記通常態様となった場合よりも、前記特別態様となった場合の方が、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高い
F 遊技機。」
[相違点1](構成B)
本願発明は、「遊技する遊技者が感じることのできる振動を生じさせる振動装置」を備えるが、引用発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点。
[相違点2](構成C)
基準状態から変位状態に変化する「画像変位演出」に関して、本願発明は、「変位状態にて振動装置による振動が発生する可能性がある演出」であるが、引用発明は、振動装置を備えるか否か明らかでないため、本願発明のような「変位状態にて振動装置による振動が発生する可能性がある」演出であるか否か明らかでない点。
[相違点3](構成D2)
「画像変位演出の態様として設けられている」「特別態様」に関して、引用発明では、「チャンスアップであることを示す好機表示221として所定のキャラクタ画像を含み、単純ではない背景画像として設定される特定画像22の表示を含む第一演出態様」であるが、本願発明のような「振動装置による振動が発生する」態様であるか否か明らかでない点。
第6 合議体による判断
1 相違点1~3について
上記相違点1~3は、振動装置に関する特定事項であって、互いに関連しているのでまとめて検討する。
まず、相違点に係る本願発明の構成と引用文献2に記載の技術事項との対応関係について検討する。
引用文献2記載の技術事項の「演出ボタンBTの内部に」有する「振動可能な振動ユニットSU」は、「演出ボタンBT」を介して遊技者に振動を伝達可能であることは明らかであるから、上記相違点1に係る本願発明の構成Bの「遊技する遊技者が感じることのできる振動を生じさせる振動装置」に対応する。
そして、引用文献2記載の技術事項の「立体表示演出」は、「遊技者に対して」平面的に認識していた「画像を立体的に認識させる演出である」ことから、本願発明の「基準状態から、当該基準画像が表示領域に対して変位したかのように表示された変位状態に変化する」「画像変位演出」に対応する。
また、引用文献2記載の技術事項において「操作演出では、演出ボタンBTの振動が行われ」ることから、引用文献2記載の技術事項の「ノーマルリーチ」の態様のうち、その「実行中に立体表示演出が実行される場合に、操作演出は実行され」ない態様は、本願発明の構成D1の「変位状態にて振動装置による振動が発生しない通常態様」に対応し、引用文献2記載の技術事項の「スーパーリーチ」の態様のうち、その「実行中に立体表示演出が実行される場合に操作演出」が実行される態様は、上記相違点3に係る本願発明の構成D2のうちの「変位状態にて振動装置による振動が発生する特別態様」に対応する。
そうすると、引用文献2記載の技術事項の「立体表示演出」は、「実行される場合に操作演出を実行可能であ」ることから、上記相違点2に係る本願発明の構成Cのうちの「変位状態にて振動装置による振動が発生する可能性がある」「画像変位演出」に対応する。
したがって、引用文献2に記載された技術事項は、上記相違点1~3に係る本願発明の構成を備える。
次に、引用発明に引用文献2記載の技術事項を適用する動機付けについて検討する。
引用文献2記載の技術事項の「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」については、「スーパーリーチは、ノーマルリーチよりも、実行中の演出ゲームにおける大当り期待度が高いことを報知する演出である」ことから、引用文献2記載の技術事項における「ノーマルリーチの実行中に立体表示演出が実行され」たが、「操作演出」が実行されなかったときよりも、「スーパーリーチの実行中に立体表示演出が実行され」かつ「操作演出」が実行されたときの方が、「実行中の演出ゲームにおける大当り期待度が高いことを報知する」ものといえ、このことは、本願発明の構成Eのうちの「画像変位演出が通常態様となった場合よりも、特別態様となった場合の方が、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高い」ことに対応する。
ところで、大当たり期待度(信頼度)の高低の観点からみて、引用文献2記載の技術事項の「スーパーリーチの実行中に立体表示演出が実行され」かつ「操作演出」が実行されたときの演出態様、「ノーマルリーチの実行中に立体表示演出が実行され」かつ「操作演出」が実行されなかったときの演出態様は、それぞれ、引用発明の「特定画像22の表示を含む第一演出態様」、「通常画像21の表示を含む第二演出態様」に対応する。
そして、引用発明の「画像変位演出の第二状態における第一演出態様及び第二演出態様」に含まれる「基準画像10が表示領域911に対して変位したことを示すような画像」を表示する態様と、引用文献2記載の技術事項の「スーパーリーチの実行中」及び「ノーマルリーチの実行中」に実行される「立体表示演出」の態様とは、大当たり期待度の高低にかかわらずに実行可能な演出態様である点で共通する。
そうすると、引用発明の「単純な背景画像として設定される通常画像21の表示を含む第二演出態様」と、「チャンスアップであることを示す好機表示221として所定のキャラクタ画像を含み、単純ではない背景画像として設定される特定画像22の表示を含む第一演出態様」とを有する「画像変位演出」と、引用文献2記載の技術事項の「操作演出の実行可能条件」の成立、非成立の態様とを有する「立体表示演出」とは、いずれも、「立体表示演出」や「画像変位演出」という画像を用いた演出については通常態様と大当たり期待度の高い特別態様とで共通にしつつ、特別な演出を更に実行するか否かにより、大当たり期待度が異なることを示唆することで遊技者の興趣を高めるものである点で共通する。
上記の検討内容からみて、引用発明に引用文献2記載の技術事項を適用して、「内部に振動可能な振動ユニットSUを有」する「演出ボタンBT」を備え、通常態様(「画像変位演出」の「第二演出態様」)において「通常画像21」を表示するが、「演出ボタンBTの振動が行われる操作演出を行」わず、特別態様(「画像変位演出」の「第一演出態様」)においては、「特定画像22」を表示することに加えて、「演出ボタンBTの振動が行われる操作演出を行」うことで、上記相違点1~3に係る本願発明の構成することは当業者が容易になし得たものである。
ここでは、さらに別の観点から検討する。
遊技機の技術分野において、遊技者が感じることのできる振動を生じさせる振動装置を操作部に備え、共通の画像を表示する大当たり期待度が異なる演出において、高期待度演出においては操作部に振動を加えるが、低期待度演出においては操作部に振動を加えないことは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2015-54041号公報には、大当たり期待度の高い超激熱パターンでは、操作レバー300を振動させる振動演出を実行するが、超激熱パターンよりも大当たり期待度は低いが、超激熱パターンと画面上で表示に違いのない激熱パターンでは、操作レバー300を振動させる振動演出が実行されないこと(【0204】、【0242】、【図15】)が記載され、特開2018-149238号公報には、バトル演出において、大当たり表示結果となる場合は、プッシュボタン120が振動状態に変化するが、はずれ表示結果となる場合は、プッシュボタン120が振動状態に変化しないこと(【0191】、【0206】、【0249】)が記載され、特開2016-106830号公報には、予告演出中の操作部ユニット300の振動の有無によって、遊技者が大当り期待度を把握可能としたこと(【0152】)が記載されている。以下「周知の技術事項」という。)。
そして、引用発明と上記周知の技術事項とは、演出の種類に応じて大当たり期待度を報知する点で共通するから、引用発明に上記周知の技術事項を適用して、振動装置を操作部に備え、通常態様(「画像変位演出」の「第二演出態様」)において「通常画像21」を表示するが、操作部に振動を加えず、特別態様(「画像変位演出」の「第一演出態様」)においては、「特定画像22」を表示することに加えて、操作部に振動を加えることで、上記相違点1~3に係る本願発明の構成することは当業者が容易になし得たものである。
また、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項、若しくは、引用発明及び周知の技術事項から予測される効果の範囲内のものである。
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項、若しくは、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 請求人の主張について
令和5年12月5日提出の意見書において、請求人は、次のように主張する(「3-2)進歩性の拒絶理由について」を参照)。
〇理由1
「・・・
今般の拒絶理由通知におきましては、本願発明と引用発明の一致点・相違点の認定がなされるとともに、「まず、本願発明と引用文献2に記載の技術事項とを対比する。」として、本願発明と引用文献2に記載の事項の対比がなされ、引用文献2に記載の事項が、本願発明の特定事項のいずれかと対応するという認定(引用文献2記載の事項を、本願発明の「通常態様」や「特別態様」等に対応付けること)がなされております。
そして、当該認定に基づいて、「次に、引用発明の「画像変位演出」において、通常画像21が表示される通常態様と特定画像22や所定のキャラクタ画像が表示される特別態様とを有することと引用文献2の「立体表示演出」において、操作演出が実行可能とならない通常態様と操作演出が実行可能となる特別態様とを有することは、いずれも「立体表示演出」や「画像変位演出」という画像を用いた演出については通常態様と当否判定結果が当たりとなる蓋然性がより高い特別態様とで共通にしつつ、特別な演出を更に実行するか否かにより、大当たりとなる信頼度が異なることを示唆することで遊技者の興趣を高めるものである点で共通する。」から、「引用発明の「画像変位演出」において、引用文献2に記載の技術事項を適用して、通常態様において通常画像21を表示する一方、特別態様においては特定画像22や所定のキャラクタ画像が表示するのに代えて、通常態様において「操作演出」を実行可能とせず、特別態様において「操作演出」を実行可能とすることで、上記相違点1、2に係る本願発明の構成することは当業者が容易になし得たものである。」とする判断がなされております。
これは、おおまかにいえば、
(1)本願発明と引用発明の対比
(2)本願発明と引用文献2記載事項の対比
(3)(1)と(2)の対比に基づいた共通点の認定により、引用発明に対し引用文献2記載事項を適用することが容易であるとする判断
という順でなされたものであるといえ、「一の引用発明から出発して」当業者が本願発明に容易に到達する論理付けができるか否かを判断したものであるとはいえません。
すなわち、引用発明から出発して本願発明に向かう動機付けがあるか否か等を判断するにあたり、本願発明と引用文献2記載事項(引用発明ではない発明)の対比までも考慮するのは、一の引用発明から出発した論理付けがなされているとはいえません(引用発明に基づいて本願発明が容易に想到できたか否かの判断は「本願発明を知らない」ことを前提として行わなければならないのであるから、本願発明と引用文献2記載事項の対比が考慮されるのは妥当性を欠く)。」
〇理由2
「・・・上述した通り、本願発明は、「前記変位状態にて前記振動装置による振動が発生する」のが「特別態様」であることを特定しているのでありますから、「演出ボタンBTの振動を許容する」(あくまで振動が発生してもよいということであって、振動が発生するとは限られない)ことが本願発明でいう「特別態様」に相当するとはいえません。
従いまして、本願は、「引用文献2に記載の技術事項の「遊技状態が低確高ベース状態又は高確高ベース状態であり、かつ、スーパーリーチの実行中の場合は、」「操作演出の実行可能条件が成立する」ことは、本願発明の「振動装置による振動が発生する特別態様となった場合」に対応する。」とする判断が正しいことを前提とした今般通知の進歩性の拒絶理由を包含するものではありません。」
そこで、請求人の上記主張について検討する。
・「理由1」について
当審拒絶理由における進歩性の判断では、「(4)本願発明と引用発明の対比」において、本願発明と引用発明との相違点を相違点1、2として抽出し、当該抽出した相違点についての判断を「(5)合議体による判断」において行うものである。
ここで、「(5)合議体による判断」において、相違点に係る本願発明の構成と引用文献2に記載の技術事項とを対比しているのは、本願発明と引用発明との相違点として抽出された構成について、容易か否かの判断をするにあたり、まず、当該抽出された相違点に係る本願発明の構成を、引用文献2記載の技術事項が備えているかを検討し、適切な副引用例となり得るかを見極めるためであり、本願発明と引用発明との相違点に係る構成が容易か否かを判断する際に必要なものである。
このように、合議体による進歩性を判断する際の出発点は、あくまで引用発明であって、引用文献2記載の技術事項を出発点とするものではない。
よって、請求人の「理由1」の主張を採用することはできない。
・「理由2」について
上記「1」において検討したように、引用文献2記載の技術事項の「スーパーリーチ」の態様のうち、その「実行中に立体表示演出が実行される場合に操作演出」が実行される態様を、上記相違点3に係る本願発明の構成D2のうちの「変位状態にて振動装置による振動が発生する特別態様」に対応させており、引用文献2記載の技術事項の「スーパーリーチ」の態様のうち、その「実行中に立体表示演出が実行される場合に操作演出」が実行されない態様を含めたものを、上記相違点3に係る本願発明の構成D2のうちの「変位状態にて振動装置による振動が発生する特別態様」に対応させるものではない。
したがって、請求人の「理由2」の主張を採用することはできない。
よって、請求人の令和5年12月14日提出の意見書における主張を採用することができない。
第7 結論
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の拒絶の理由を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-006286