特許拒絶査定不服審判
2021-014004
遊技機
- 審判番号
- 2021-014004
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-203086外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月14日
- 審決日
- 2022年10月12日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ソフイア
- 【請求人代理人】特許業務法人後藤特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .537-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-203086「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月23日出願公開、特開2019- 76130〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年10月20日の出願であって、令和1年10月21日に上申書及び手続補正書が提出され、令和2年7月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月18日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年1月26日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月29日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年7月9日付け(送達日:同年7月27日)で、同年3月29日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年10月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和4年6月14日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月16日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年8月16日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び請求項2のうち、請求項1に記載された次のとおりのものである(なお、符号A等は、分説するため当審が付した。分説された本願発明の発明特定事項を、符号に基づき以下「特定事項A」等という。)。
「A 始動条件の成立に基づき識別情報を変動表示させる変動表示ゲームを表示部に表示可能な遊技制御手段を備え、前記変動表示ゲームの停止結果が特別結果となる場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機において、
B 前記遊技制御手段は、
B-1 遊技制御プログラムを記憶する遊技制御プログラム記憶手段と、
B-2 前記遊技制御プログラムにより所定の演算処理を行う演算処理手段と、
B-3 前記演算処理手段による演算結果の情報を記憶可能であり、電源が遮断されても記憶されている情報を保持可能な記憶手段と、
B-4 当該遊技機への電源投入の際に、前記変動表示ゲームの抽選に関する確率値が割り当てられた確率設定値を設定可能な設定手段と、を備え、
C 前記記憶手段には、遊技の制御に係る遊技制御用ワーク領域及び遊技制御用スタック領域と、獲得した遊技媒体数に基いて算出される数値の情報の表示に係る表示用ワーク領域及び表示用スタック領域と、を含み、前記遊技制御用ワーク領域と前記表示用ワーク領域の間に未使用領域を配置し、
D 前記設定手段により前記確率設定値の設定を行うことに伴って、前記記憶手段に記憶されている情報の少なくとも一部を初期化(以下、「初期化A」という)し、
E 前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行するよりも前に、前記遊技制御用ワーク領域に記憶されている情報が正当であるかを判定し、
F 前記判定の結果が正当でない場合は電源が遮断されるまで遊技停止状態となり、前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行する条件を満たした状態で新たに電源投入されなければ、再度電源投入しても再び前記遊技停止状態となり、
G 前記初期化Aを行うことにより遊技が実行可能となり、前記判定の結果が正当である場合は前記初期化Aを行う際に前記確率設定値の記憶領域を初期化しないようにする一方で、前記判定の結果が正当でない場合は前記初期化Aを行う際に前記確率設定値の記憶領域を初期化するようにし、
H 前記判定の結果が正当である場合と正当でない場合とで、前記初期化Aを行う際に前記表示用ワーク領域及び前記表示用スタック領域は初期化しないようにし、
I 前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態において、
I-1 前記特別結果以外の表示を前記表示部に表示するとともに、
I-2 前記記憶手段を用いずに更新可能な、前記変動表示ゲームの抽選に用いる乱数の更新を行うこと
J を特徴とする遊技機。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1
・引用文献等
引用例1. 設定を搭載したぱちんこ遊技機の電源投入時動作(案),日本遊技機工業組合提供資料(「確率設定」に関する技術資料),2017年10月5日
引用例2.特開2010-200904号公報
引用例3. 特開2011-182839号公報
引用例4.特許第6174204号公報
引用例5.特開2016-174833号公報
引用例6.特開2017-18307号公報
第4 引用文献の記載、引用発明、周知技術
1 当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に頒布された文献である「設定を搭載したぱちんこ遊技機の電源投入時動作(案),日本遊技機工業組合提供資料(「確率設定」に関する技術資料)(平成29年10月5日)」(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)引用例1の第1頁~第4頁には以下の事項が記載されている。
第1頁
「
[図:0001391595000001.jpg]
」
第2頁
「
[図:0001391595000002.jpg]
」
第3頁
「
[図:0001391595000003.jpg]
」
第4頁
「
[図:0001391595000004.jpg]
」
(2)引用例1の第1頁の表題には、「設定を搭載したぱちんこ機の電源投入時動作」と記載されていることから、「設定を搭載したぱちんこ遊技機」が認定できる(以下「認定事項1」という。)。
(3)引用例1の第1頁~第4頁には、設定を搭載したぱちんこ遊技機の電源投入時動作として不正防止対策と使用者の利便性を考慮した代表的な動作が例示されており、「設定を搭載したぱちんこ遊技機」を構成する要素として、少なくとも「モニタと、RWMと、設定キーとRWMクリアスイッチと、を備え」ている点が認定できる(以下「認定事項2」という。)。
(4)引用例1の第1頁~第3頁には、復旧時にRWMが正常の際の態様が記載されており、電源投入時に設定キーがON又はOFFの場合、RWMクリアスイッチがON又はOFFの場合において、それぞれ、どのような動作となるかが明記されている。そして、その中でも、電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONに着目すると、引用例1には、「設定を搭載したぱちんこ遊技機」が「電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって、復旧時にRWMが正常な場合は、RWMは設定と性能表示以外はクリアされ」る点が認定できる(以下「認定事項3」という。)。
(5)引用例1の第4頁には、復旧時にRWMが異常の際の態様が記載されており、電源投入時に設定キーがON又はOFFの場合、RWMクリアスイッチがON又はOFFの場合において、それぞれ、どのような動作となるかが明記されている。そして、その中でも、電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONに着目すると、引用例1には、「設定を搭載したぱちんこ遊技機」が「電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって、復旧時にRWMが異常な場合は、RWMは性能表示以外クリアされ」る点が認定できる(以下「認定事項4」という。)。
(6)引用例1の第1~4頁には、「RWMは設定と性能表示以外はクリア」と明記されており、RWMには少なくとも「設定」と「性能表示」に関するアドレス領域が存在していることは明らかである。そうすると、引用例1には「RWMには、少なくとも設定と性能表示に関する領域が配置され」ている点が認定できる(以下「認定事項5」という。)。
(7)引用例1の第1~4頁には、電源投入時に設定キーがON、RWMスイッチがONの場合には、前回の電源断の状況やRWMが正常、異常に関わらず、「設定変更状態」であり、「モニタは設定表示」である点が明記されている。そうすると、引用例1には、「設定を搭載したぱちんこ遊技機」が「電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONの場合、設定変更状態となり、モニタは設定表示が表示されている」点が認定できる(以下「認定事項6」という。)。
(8)引用例1の第4頁には、「前回の電源断の状況に関わらず復旧時にRWMが異常」の場合の電源投入時動作について、設定キー及びRWMクリアスイッチが共にONの場合以外、つまり設定キーがONでRWMクリアスイッチがONの場合、設定キーがOFFでRWMクリアスイッチがOFFの場合、設定キー及びRWMクリアスイッチが共にOFFの場合、「遊技停止状態」となる点が明記されている。そうすると、引用例1には、「設定を搭載したぱちんこ遊技機」が「RWMが異常の場合、電源投入時に設定キーがON、RWMクリアスイッチがONの場合以外は遊技停止状態となる」点が認定できる(以下「認定事項7」という。)。
(9)上記(1)ないし(8)からみて、引用例1には、
「a-1 モニタと(認定事項2)、
b、b-3 RWMと(認定事項2)、
b、b-4 設定キーとRWMクリアスイッチと、を備え(認定事項2)、
c RWMには、少なくとも設定と性能表示に関する領域が配置され(認定事項5)、
d、e、g、h 電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって、復旧時にRWMが正常な場合は、RWMは設定と性能表示以外はクリアされ(認定事項3)、電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって復旧時にRWMが異常な場合は、RWMは性能表示以外クリアされ(認定事項4)、
f RWMが異常の場合、電源投入時に設定キーがON、RWMクリアスイッチがONの場合以外は遊技停止状態となり(認定事項7)、
i、i-1 電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONの場合は、設定変更状態となり、モニタは設定表示が表示されている(認定事項6)
a-2、b、b-1、b-2、j 設定を搭載したぱちんこ遊技機(認定事項1)。」(以下「引用発明」という。)が記載されている(なお、記号a等については、請求項1の上記A等に概ね対応させて付与した。)。
2 当審拒絶理由で引用例2として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010-200904号公報(平成22年9月16日公開)(以下「引用例2」という。)には、弾球遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(1)「【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不正な設定変更操作を効果的に防止できる弾球遊技機を提供することにある。
・・・
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて詳述する。図1~図12は本発明をパチンコ遊技機に採用した一実施形態を例示している。図1において、1は遊技機本体で、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に開閉自在に枢着された前枠(扉体)3とを備えている。前枠3は左端側の上下一対のヒンジ4を介して外枠2に着脱及び開閉自在に装着されている。」
(2)「【0060】
演出制御基板34側に設定変更中コマンドが送信されると、例えば液晶表示手段20の設定演出表示手段22に「設定変更中」等の報知画像が表示されることにより設定変更中である旨が報知される。また、払い出し制御基板53側に発射禁止コマンドが送信されると、この払い出し制御基板53により、発射制御基板96に対する発射制御信号がONからOFFに切り替えられる。これにより発射手段8の動作が停止され、発射ハンドル10を操作しても遊技球を発射することができなくなる。なお、例えば電源投入時に発射制御信号がOFFの状態で払い出し制御基板53が起動されるように構成されている場合にはS33の処理は不要である。」
(3)上記(1)及び(2)からみて、引用例2には、次の事項(以下「引用例2記載の事項」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号を併記した。
「演出制御基板34側に設定変更中コマンドが送信されると、液晶表示手段20の設定演出表示手段22に「設定変更中」等の報知画像が表示されることにより設定変更中である旨が報知される(【0060】)、
弾球遊技機(【0006】、【0010】)。」
3 当審拒絶理由で引用例3として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-182839号公報(平成23年9月22日公開)(以下「引用例3」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【0009】
(1) 遊技者に対する有利度(たとえば設定値)を変更可能な遊技機(スロットマシン、パチンコ機など)であって、
開閉可能に設けられた開閉体(前面扉1b、本体枠914)と、
前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段(電源スイッチ39、設定キースイッチ37)と、
前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段(ドア開放検出スイッチ25、本体枠開放検出スイッチ925)と、
前記操作手段の操作状態が特定操作状態(電源スイッチ39がOFFからONとなったとき(電源投入時)に設定キースイッチ37がONを特定するための検出信号が出力されている操作状態)となったときの前記開閉体の開閉状態を、前記開閉状態検出手段の検出結果に基いて判定する特定時判定手段(Sa27b)と、
前記特定時判定手段により前記開閉体が開放状態であると判定されたときに、複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御し(Sa28に移行)、前記開閉体が開放状態でないと判定されたときには、前記設定変更状態に制御しない(Sa27cに移行)状態制御手段(Sa27b、Sa27c、Sa28、Sa29、図28など)とを備え、
前記状態制御手段は、前記設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、所定の設定終了条件が成立(図28のSc11においてYES)するまで当該設定変更状態を維持する(図28参照)。」
(2)「【0139】
メイン制御部41が備える乱数回路509は、たとえば16ビット乱数といった、所定の更新範囲を有する乱数値となる数値データを生成する回路である。本実施の形態では、遊技制御基板40の側において、後述する内部抽選用の乱数値を示す数値データがカウント可能に制御される。なお、遊技効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられてもよい。CPU505は、乱数回路509から抽出した数値データに基づき、乱数回路509とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによって各種の数値データを加工或いは更新することで、内部抽選用の乱数値を示す数値データをカウントするようにしてもよい。以下では、内部抽選用の乱数値を示す数値データが、ハードウェアとなる乱数回路509からCPU505により抽出された数値データをソフトウェアにより加工しないものとする。なお、乱数回路509は、メイン制御部41に内蔵されるものであってもよいし、メイン制御部41とは異なる乱数回路チップとして、メイン制御部41に外付けされるものであってもよい。」
(3)「【0192】
そして、メイン制御部41は、その起動時においてRAM507の全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM507に記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。なお、RAM異常エラー状態は、通常のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。」
(4)「【0291】
次いで、Sa5のステップにおいて計算したRAMパリティが0か否かを判定する(Sa7)。正常に電断割込処理(メイン)が行なわれていれば、RAMパリティが0になるはずであり、Sa7のステップにおいてRAMパリティが0でなければ、RAM507に格納されているデータが正常ではなく、この場合には、RAM507の格納領域のうち、使用中スタック領域を除く全ての格納領域を初期化する初期化1を実行した後(Sa30)、設定キースイッチ37がONか否かを判定し(Sa31)、設定キースイッチ37がONであれば、プログラム管理エリアに記憶されている第1乱数初期設定KRS1や第2乱数初期設定KRS2を読み出して、図25に示す乱数回路設定処理を実行した後(Sa25)、乱数回路509における動作異常の有無を検査するために図26に示す乱数回路異常検査処理を実行する(Sa26)。」
(5)「【0316】
Sa31のステップにおいて設定キースイッチ37がOFFであれば、RAM異常を示すエラーコードをレジスタに設定し(Sa32)、RAM異常を示すエラーコマンドを特定コマンド送信用バッファに設定し、サブ制御部91に対して送信し(Sa33)、割込を許可して(Sa34)、エラー処理、すなわちRAM異常エラー状態に移行する。
【0317】
Sa7のステップにおいて、RAMパリティが0であれば、更に破壊診断用データが正常か否かを判定する(Sa8)。正常に電断割込処理(メイン)が行なわれていれば、破壊診断用データが設定されているはずであり、Sa8のステップにおいて破壊診断用データが正常でない場合(破壊診断用データが電断時に格納される5A(H)以外の場合)にも、RAM507のデータが正常ではないので、Sa30のステップに移行して初期化1を実行し、その後、Sa31のステップにおいて設定キースイッチ37がONであれば、乱数回路設定処理(Sa25)、乱数回路異常検査処理(Sa26)を順次行ない、乱数回路異常であれば、乱数回路異常を示すエラーコマンドの送信(Sa22)の後、割込を許可して(Sa23)、エラー処理に移行する。一方、乱数回路異常でなければ、設定開始コマンドの送信(Sa28)の後、割込を許可して(Sa29)、設定変更処理に移行する。また、Sa31のステップにおいて設定キースイッチ37がOFFであれば、RAM異常を示すエラーコードの設定(Sa32)、RAM異常を示すエラーコマンドの送信(S33)の後、割込を許可して(Sa34)、エラー処理に移行する。
【0318】
Sa8のステップにおいて破壊診断用データが正常であると判定した場合には、RAM507のデータは正常であるので、破壊診断用データをクリアし(Sa9)、RAM507の非保存ワーク、未使用領域および未使用スタック領域を初期化する初期化3を行なった後(Sa10)、設定キースイッチ37がONか否かを判定し(Sa11)、設定キースイッチ37がONであれば、Sa24のステップに移行して初期化1を実行し、乱数回路設定処理(Sa25)、乱数回路異常検査処理(Sa26)を順次行ない、乱数回路異常であれば、乱数回路異常を示すエラーコマンドの送信(Sa22)の後、割込を許可して(Sa23)、エラー処理に移行する。一方、乱数回路異常でなければ、設定開始コマンドの送信(Sa28)の後、割込を許可して(Sa29)、設定変更処理に移行する。
【0319】
Sa11のステップにおいて設定キースイッチ37がOFFであれば、Sa25のステップと同じ乱数回路設定処理(Sa13)、Sa26のステップと同じ乱数回路異常検査処理(Sa14)を実行し、乱数回路異常か否かを判定する(Sa15)。
【0320】
Sa15のステップにおいて乱数回路異常であると判定された場合には、乱数回路異常を示すエラーコマンドを特定コマンド送信用バッファに設定し、サブ制御部91に対して送信し(Sa22)、割込を許可して(Sa23)、エラー処理、すなわちRAM異常エラー状態に移行する。」
(6)「【0328】
このようにエラー処理においては、RAM異常、乱数回路異常以外によるエラー処理であれば、リセット/設定スイッチ38またはリセットスイッチ23が操作されることで、エラー状態を解除してもとの処理に復帰するが、RAM異常や乱数回路異常によるエラー処理であれば、リセット/設定スイッチ38またはリセットスイッチ23が操作されてもエラー状態が解除され、元の状態に復帰することはない。
【0329】
図28は、メイン制御部41が実行する設定変更処理の制御内容を示すフローチャートである。」
(7)「【図23】
[図:0001391595000005.jpg]
」
(8)「【図28】
[図:0001391595000006.jpg]
」
(9)引用例3の【0291】、【0329】、図23、図28より、乱数回路設定処理(Sa25)が実行され、乱数回路異常でなければ、設定開始コマンドの送信(Sa28)の後、割込を許可して(Sa29)、設定変更処理に移行する点が見て取れる。そうすると、引用例3には「乱数回路設定処理を実行した後、設定変更処理の制御が行われることによって設定値を変更可能」である点が認定できる(以下「認定事項8」という。)。
(10)上記(1)ないし(9)からみて、引用例3には、次の事項(以下「引用例3記載の事項」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号を併記した。
「乱数回路設定処理を実行した後、設定変更処理の制御が行われることによって設定値を変更可能(認定事項8)な遊技機(【0009】)において、
メイン制御部41が備える乱数回路509は、たとえば16ビット乱数といった、所定の更新範囲を有する乱数値となる数値データを生成する回路であって、遊技制御基板40の側において、内部抽選用の乱数値を示す数値データがカウント可能に制御され、CPU505は、乱数回路509から抽出した数値データに基づき、乱数回路509とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによって各種の数値データを加工或いは更新することで、内部抽選用の乱数値を示す数値データをカウントするようにする(【0139】)、
設定値を変更可能な遊技機(【0009】)。」
4 当審拒絶理由で引用例4として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第6174204号公報(平成29年8月2日発行)(以下「引用例4」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【0438】
メインCPU110aは、ステップS650-9において、主制御基板110に実装されるエラー表示器(図示省略)に賞球数エラーであることを示す情報を表示するための表示データをメインRAM110cの所定の領域にセットする。これにより、賞球数エラーであることを示す情報を表示するための表示データが上記ステップS700において出力されることで、賞球数エラーが報知(表示)されることになる。なお、エラー表示器は、賞球数エラーであることを表示可能な7セグメント表示器であってもよいし、1又は複数のLEDからなる表示器であってもよい。」
(2)「【0450】
メインCPU110aは、ステップS660-5において、表示用カウンタに基づいて賞球数割合表示器112(7セグメント表示器112a、112b)に賞球数割合の種類を示す識別情報(種類情報)を表示するための識別情報表示データを作成し、メインRAM110cの所定の領域にセットする。」
(3)「【0468】
(賞球数の集計状態と賞球数割合の表示状態の具体例)
図37~図39を用いて、賞球数の集計状態と賞球数割合の表示状態の具体例を説明する。図37は、賞球数が集計される様子を示す図であり、図38及び図39は、賞球数割合表示器の表示例を示す図である。」
(4)「【0511】
(集計用領域の配置)
図40を用いて、メインRAM110cにおける集計用領域の配置を説明する。図40は、メインRAM110cのダンプリストを示す図である。
【0512】
メインRAM110cは、大きく分けて、遊技の進行制御に必要なデータを記憶させるための512バイトの通常領域(規定内領域)と、遊技の進行制御に必要なデータを記憶させない所定バイトの特別領域(規定外領域)の2つの領域で構成されている。
【0513】
通常領域(規定内領域)は、16の倍数となるアドレスから配置されると共に、16の倍数分+αバイトの領域としてメインRAM110cに確保されており、通常領域アドレスの先頭から所定バイト分が通常のワーク領域として設定され、通常領域アドレスの後尾から所定バイト分がスタック領域として設定されている。
【0514】
特別領域(規定外領域)は、通常領域に続く16の倍数となるアドレスから配置されると共に、16の倍数分+αバイトの領域としてメインRAM110cに確保されており、特別領域アドレスの先頭から16バイト分が第1未使用領域として設定され、第1未使用領域から112バイト分が集計用領域として設定され、集計用領域から16バイト以上の領域が第2未使用領域として設定されている。
【0515】
そのため、ダンプリストを出力した場合には、通常領域と集計用領域との間に配置される第1未使用領域によって「00」が1列に亘って記憶される境界ラインが形成されることになり、遊技機1のデバッグ作業や検査において集計用領域の位置(集計用領域に記憶されたデータ)を認識し易くなる。
【0516】
また、集計用領域の後に配置される第2未使用領域によって「00」が少なくとも1列以上に亘って記憶される境界ラインが形成されることになり、遊技機1のデバッグ作業や検査において集計用領域の位置(集計用領域に記憶されたデータ)を認識し易くなる。
【0517】
また、特別領域(規定外領域)に第1未使用領域を配置しているので、その分だけ通常領域を圧迫することがなくなり、遊技の進行制御のための領域を確保して遊技プログラムの設計自由度を向上させることが可能となる。
【0518】
なお、本実施形態では、遊技機1への最初の電源投入から賞球数の集計を開始するようになっているが、所定回数目(例えば2回目)の電源投入から賞球数の集計を開始するようにしてもよい。このようにすると、遊技機1の製造時において各種入賞口に遊技球を入賞させて遊技球の払い出しをチェックするなどの検査を行った場合に、その時に払い出されることになった賞球数を集計の対象から除外することができ、遊技機1が遊技場に設置されてからの賞球数の集計を行うことが可能となる。」
(5)「【0550】
なお、本発明の遊技機は、パチンコ遊技機に限られるものではなく、回胴式遊技機(いわゆるスロットマシン)にも用いることもできる。さらには、じゃん球遊技機、アレンジボール遊技機に用いることもできる。」
(6)「【図38】
[図:0001391595000007.jpg]
」
(7)「【図39】
[図:0001391595000008.jpg]
」
(8)「【図40】
[図:0001391595000009.jpg]
」
5 当審拒絶理由で引用例5として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-174833号公報(平成28年10月6日公開)(以下「引用例5」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機に関する。」
(2)「【0128】
図6(b)に示すように、RAM41cの使用可能領域は、遊技プログラムがワークとして用いる遊技RAM領域と、未使用領域3と、非遊技プログラムがワークとして用いる非遊技RAM領域と、未使用領域4と、スタック領域と、を含む。
【0129】
遊技RAM領域は8000H~805BHに割り当てられ、非遊技RAM領域は8070H~814CHに割り当てられ、スタック領域は8170H~81FFHに割り当てられている。また、遊技RAM領域と非遊技RAM領域の間の領域(805CH~806FH)、非遊技RAM領域とスタック領域の間の領域(814DH~816FH)は、それぞれ未使用領域3、4とされ、未使用領域3、4には全ての領域に0が格納される。また、スタック領域のうちスタックポインタ(SP)~81FFHまでが使用中スタック領域となり、それ以外の816FH~SPまでは未使用スタック領域となる。このように遊技プログラムがワークとして用いる遊技RAM領域と、非遊技プログラムがワークとして用いる非遊技RAM領域と、は少なくとも16バイト以上の未使用領域3を挟んで連続しない領域に割り当てられている。
【0130】
このように遊技RAM領域と、非遊技RAM領域と、は少なくとも16バイト以上の未使用領域3を挟んで連続しない領域に割り当てられているため、遊技の進行に係わる遊技プログラムが用いる遊技RAM領域と、遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが用いる非遊技RAM領域と、を記憶領域の違いに応じて容易に特定することができる。」
(3)「【図6】
[図:0001391595000010.jpg]
」
6 当審拒絶理由で引用例6として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-18307号公報(平成29年1月26日公開)(以下「引用例6」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【0084】
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域のうちの使用可能領域は、重要ワーク、特別ワーク、一般ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されており、重要ワーク、特別ワーク、一般ワーク、未使用領域、スタック領域の順で配置されている。」
(2)「【0163】
図7(b)に示すように、RAM41cの使用可能領域は、遊技プログラムがワークとして用いる遊技RAM領域と、遊技プログラムがデータを退避する遊技スタック領域と、未使用領域3と、非遊技プログラムがワークとして用いる非遊技RAM領域と、非遊技プログラムがデータを退避する非遊技スタック領域と、未使用領域4と、を含む。尚、本実施例では、遊技スタック領域と非遊技スタック領域とをそれぞれ異なる領域に個別に備える構成であるが、遊技プログラム及び非遊技プログラムが共用する一のスタック領域を備える構成としても良い。
【0164】
遊技RAM領域と、非遊技RAM領域と、は少なくとも16バイト以上の未使用領域3を挟んで連続しない領域に割り当てられているため、遊技の進行に係わる遊技プログラムが用いる遊技RAM領域と、遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが用いる非遊技RAM領域と、を記憶領域の違いに応じて容易に特定することができる。」
(3)「【0279】
また、実施例では遊技機としてスロットマシンを例に説明したが、上記実施例で開示した構成を、他の遊技機、例えば、遊技領域に遊技球を発射させることで遊技が行われ、発射された遊技球が遊技領域内に設けられた入賞口に入って入賞が発生することで、賞球として遊技球が払い出されるパチンコ遊技機等に適用しても良い。」
(4)「【図7】
[図:0001391595000011.jpg]
」
7 上記4ないし6からみて、以下の事項が周知であると認められる。
「記憶領域としてRAMを備え、RAMは複数の領域群を有し、複数の領域群にはそれぞれワーク領域とスタック領域とを含み、複数の領域群の間に未使用領域を配置したパチンコ遊技機」(以下「周知技術」という。)
第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
1 引用発明のa-2、b、b-1、b-2、jの「設定を搭載したぱちんこ遊技機」は、「ぱちんこ遊技機」である以上は変動表示ゲームの停止結果が大当たりなどの特別状態となることは明らかであるので、本願発明の特定事項Aの「前記変動表示ゲームの停止結果が特別結果となる場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機」に相当する。
そして、引用発明のa-2、b、b-1、b-2、hにおいては、「設定を搭載したぱちんこ遊技機」の具体的構成は明示されていないものの、ぱちんこ遊技機が、図柄(本願発明の「識別情報」に相当)を変動表示する表示部を備えること、及び変動表示ゲームの停止結果が特別結果となる場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させることが可能なように構成されることは、当業者の技術常識であることから、引用発明の「設定を搭載したぱちんこ遊技機」は、本願発明の特定事項Aの「始動条件の成立に基づき識別情報を変動表示させる変動表示ゲーム」を表示可能な「表示部」、「始動条件の成立に基づき識別情報を変動表示させる変動表示ゲームを表示部に表示可能な遊技制御手段」、本願発明の特定事項B-1の「遊技制御プログラムを記憶する遊技制御プログラム記憶手段」、及び、本願発明の特定事項B-2の「前記遊技制御プログラムにより所定の演算処理を行う演算処理手段」を当然に備えるものと認められる。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項A、B、B-1、B-2、Jを備える。
2 引用発明のb、b-3の「RWM」は、Read Write Memoryの略称であって、情報を記憶する媒体であることは明らかである。そして、「RWM」には、引用発明のcの「少なくとも設定と性能表示に関する領域が配置され」ていることから、「演算処理手段による演算結果の情報」が記憶されるものであると認められる。さらに、引用発明のd、e、g、hにおいて、「電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって、復旧時にRWMが正常な場合は、RWMは設定と性能表示以外はクリアされ、電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって復旧時にRWMが異常な場合は、RWMは性能表示以外クリアされ」ているように、「電源投入時」に「RWM」は少なくとも「設定表示に関する領域」は「クリアされ」ていないことから、電源が遮断されても、少なくとも設定表示に関する情報は保持されていることは明らかであるので、引用発明のb、b-3、の「RWM」は、本願発明の特定事項B-3の「前記演算処理手段による演算結果の情報を記憶可能であり、電源が遮断されても記憶されている情報を保持可能な記憶手段」に相当するといえる。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項B-3を備える。
3 引用発明の「設定を搭載したぱちんこ遊技機」における「設定」は、「設定キーとRWMクリアスイッチと」によって「変更」可能なものであって、「ぱちんこ遊技機」の「設定」値を変更可能なものとすることは当然であるので、本願発明の特定事項B-4の「確率設定値」に相当する。
そして、「設定を搭載したぱちんこ遊技機」において、遊技機への電源投入の際に、設定キーとRWMクリアスイッチの操作によって、確率設定値を設定可能とすることは本願の出願時において当業者の技術常識であるといえる。そうすると、引用発明のb-4の「設定キーとRWMクリアスイッチ」は、本願発明の特定事項B-4の「前記変動表示ゲームの抽選に関する確率値が割り当てられた確率設定値を設定可能な設定手段」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項B-4を備える。
4 引用発明のcの「RWM」に「配置され」ている「設定」「に関する領域」は、「ぱちんこ遊技機」の「設定」が遊技の制御に係るものであることは明らかであるので、本願発明の特定事項Cの「遊技の制御に係る」「遊技制御用」「領域」に相当する。
そして、引用発明における「性能表示」について、「遊技機」の分野において、7セグメント表示器を賞球数割合表示器として採用し、賞級数割合を表示させることは出願時すでに技術常識であり(例えば、引用例4【0438】、【0450】、【0468】、図38、図39等参照。)、賞球数割合は「遊技機」の獲得した遊技媒体数に基いて算出される数値の情報であることは明らかであって、「遊技機」の「性能」に関するものである。そうすると、引用発明のcの「RWM」に「配置され」ている「性能表示に関する領域」は、本願発明の特定事項Cの「獲得した遊技媒体数に基いて算出される数値の情報の表示に係る表示用」「領域」に相当する。
したがって、引用発明と本願発明とは、本願発明の特定事項Cのうち「前記記憶手段には、遊技の制御に係る遊技制御用」「領域と、獲得した遊技媒体数に基いて算出される数値の情報の表示に係る表示用」「領域と、を含」む点で共通する。
5 引用発明のd、e、g、hの「電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって」という状態は、「設定キー」と「RWMスイッチ」の「ON」に伴い、「ぱちんこ遊技機」の「設定変更」が可能となるため、本願発明の特定事項Dの「前記設定手段により前記確率設定値の設定を行うことに伴って」に相当する。
そして、引用発明のd、e、g、hの「復旧時にRWMが正常な場合」、「復旧時にRWMが異常な場合」、いずれにおいても、「RWM」は「性能表示以外はクリアされ」ていることは、本願発明の特定事項Dの「前記記憶手段に記憶されている情報の少なくとも一部を初期化(以下、「初期化A」という)し」ていることに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Dを備える。
6 引用発明のd、e、g、hの「電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって」という状態は、「設定キー」と「RWMスイッチ」の「ON」に伴い、「ぱちんこ遊技機」の「設定変更」が可能となるため、本願発明の特定事項Eの「前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態」に相当する。
そして、引用発明のd、e、g、hの「復旧時にRWMが正常な場合は、RWMは設定と性能表示以外はクリアされ」ていることは、「RWM」が「正常」か否かを判定していることは明らかであって、「設定」に関する領域は「クリア」されておらず少なくとも「クリア」されていない領域(「設定に関する領域」)の値が「正常」か否か判定していることから、引用発明においても、本願発明の特定事項Eの「前記遊技制御用」「領域に記憶されている情報が正当であるか」の「判定」を行っていると認められる。
また、引用発明において、「RWM」が「正常」か否かを判定することは、少なくとも「電源投入時に」行われていなければならないことは明らかであるので、そのタイミングは本願発明の特定事項Eの「前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行するよりも前」であると認められる。
したがって、引用発明と本願発明とは、本願発明の特定事項Eのうち「前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行するよりも前に、前記遊技制御用」「領域に記憶されている情報が正当であるかを判定し」ている点で共通する。
7 引用発明のfの「RWMが異常の場合」は、上記6でも検討したとおり、「RWM」が異常か否かを判定しており、本願発明の特定事項Fの「前記判定の結果が正当でない場合」に相当する。
そして、引用発明のfの「電源投入時に設定キーがON、RWMクリアスイッチがONの場合以外は遊技停止状態とな」ることは、「設定キーがON、RWMクリアスイッチがONの場合以外は」遊技機が「遊技停止状態」となり、「設定キーがON、RWMクリアスイッチがON」とならない限り「遊技停止状態」が継続されることは明らかであるので、本願発明の特定事項Fの「電源が遮断されるまで遊技停止状態とな」ることに相当する。
また、引用発明においても、「RWMが異常の場合」、「RWM」の「異常」が解消されない限りは、再度電源を投入したとしても「RWM」は再度「異常」となり、「電源投入時に設定キーがON、RWMクリアスイッチがON」(本願発明の特定事項Fの「前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行する条件」)とならない限りは「遊技停止状態」となることは、「遊技機」の制御上当然であるので(例えば、引用例3【0192】、【0317】、【0318】、【0328】等参照。)、引用発明の「電源投入時に設定キーがON、RWMクリアスイッチがONの場合は、設定変更可能状態とな」り、再度「電源投入時」、「RWMが異常の場合、電源投入時に設定キーがON、RWMクリアスイッチがONの場合以外は遊技停止状態とな」ることは、本願発明の特定事項Fの「前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行する条件を満たした状態で新たに電源投入されなければ、再度電源投入しても再び前記遊技停止状態とな」ることに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Fを備える。
8 上記7で検討したとおり、引用発明において、「RWM」の「異常」が解消されない限りは「遊技停止状態」となり、「電源投入時に設定キーがON、RWMクリアスイッチがON」で「RWMは性能表示以外クリアされ」ること(本願発明の「初期化A」に相当)によって、「遊技機」の状態は「設定変更状態」となり、遊技が実行可能になる。そうすると、引用発明の「電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONであって復旧時にRWMが異常な場合は、RWMは性能表示以外クリアされ」、「遊技機」の状態は「設定変更状態とな」ることは、本願発明の特定事項Gの「前記初期化Aを行うことにより遊技が実行可能とな」ることに相当する。
そして、引用発明のd、e、g、hの「復旧時にRWMが正常な場合は、RWMは設定と性能表示以外はクリアされ」ていることは、「RWM」が「正常」か否かを判定していることは明らかであって、「設定」に関する領域は「クリア」されていないことから、本願発明の特定事項Gの「前期判定の結果が正当である場合は前記初期化Aを行う際に前記確率設定値の記憶領域を初期化しないようにする」ことに相当する。
また、引用発明のd、e、g、hの「復旧時にRWMが異常な場合、RWMは性能表示以外クリアされ」ていることは、「RWM」が「異常」か否かを判定していることは明らかであって、「設定」に関する領域は「クリア」されていることから、本願発明の特定事項Gの「前記判定の結果が正当でない場合は前記初期化Aを行う際に前記確率設定値の記憶領域を初期化するようにし」ていることに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Gを備える。
9 引用発明のd、e、g、hの「復旧時にRWMが正常な場合」、「復旧時にRWMが異常な場合」、いずれにおいても、「RWM」は「性能表示以外はクリアされ」ていることは、本願発明の特定事項Hの「前記判定の結果が正当である場合と正当でない場合とで、前記初期化Aを行う際に前記表示用」「領域は初期化しないようにし」ていることに相当する。
したがって、引用発明と本願発明とは、本願発明の特定事項Hのうち「前記判定の結果が正当である場合と正当でない場合とで、前記初期化Aを行う際に前記表示用」「領域は初期化しないようにし」ている点で共通する。
10 引用発明のi、i-1の「電源投入時、設定キーがON、RWMスイッチがONの場合は、設定変更状態となり」は、本願発明の特定事項Iの「前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態において」に相当する。そして、引用発明のi、i-1の「モニタは設定表示が表示されている」ことは、「モニタ」に「表示され」る「設定表示」は変動表示ゲームの特別結果以外の表示内容であることは明らかであるので、本願発明の特定事項I-1の「前記特別結果以外の表示を表示する」ことに相当する。
したがって、引用発明と本願発明とは、本願発明の特定事項I、I-1のうち「前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態において、前記特別結果以外の表示を」「表示する」点で共通する。
11 以上のことから、本願発明と引用発明は、
「A 始動条件の成立に基づき識別情報を変動表示させる変動表示ゲームを表示部に表示可能な遊技制御手段を備え、前記変動表示ゲームの停止結果が特別結果となる場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機において、
B 前記遊技制御手段は、
B-1 遊技制御プログラムを記憶する遊技制御プログラム記憶手段と、
B-2 前記遊技制御プログラムにより所定の演算処理を行う演算処理手段と、
B-3 前記演算処理手段による演算結果の情報を記憶可能であり、電源が遮断されても記憶されている情報を保持可能な記憶手段と、
B-4 当該遊技機への電源投入の際に、前記変動表示ゲームの抽選に関する確率値が割り当てられた確率設定値を設定可能な設定手段と、を備え、
C’ 前記記憶手段には、遊技の制御に係る遊技制御用領域と、獲得した遊技媒体数に基いて算出される数値の情報の表示に係る表示用領域と、を含み、
D 前記設定手段により前記確率設定値の設定を行うことに伴って、前記記憶手段に記憶されている情報の少なくとも一部を初期化(以下、「初期化A」という)し、
E’ 前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行するよりも前に、前記遊技制御用領域に記憶されている情報が正当であるかを判定し、
F 前記判定の結果が正当でない場合は電源が遮断されるまで遊技停止状態となり、前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行する条件を満たした状態で新たに電源投入されなければ、再度電源投入しても再び前記遊技停止状態となり、
G 前記初期化Aを行うことにより遊技が実行可能となり、前記判定の結果が正当である場合は前記初期化Aを行う際に前記確率設定値の記憶領域を初期化しないようにする一方で、前記判定の結果が正当でない場合は前記初期化Aを行う際に前記確率設定値の記憶領域を初期化するようにし、
H’ 前記判定の結果が正当である場合と正当でない場合とで、前記初期化Aを行う際に前記表示用領域は初期化しないようにし、
I 前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態において、
I-1’ 前記特別結果以外の表示を表示する、
J 遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1](特定事項C、E、H)
「記憶手段」に関し、
本願発明では、「遊技の制御に係る遊技制御用ワーク領域及び遊技制御用スタック領域と、獲得した遊技媒体数に基いて算出される数値の情報の表示に係る表示用ワーク領域及び表示用スタック領域と、を含み、前記遊技制御用ワーク領域と前記表示用ワーク領域の間に未使用領域を配置し」、「前記遊技制御用ワーク領域に記憶されている情報が正当であるかを判定し」、「前記初期化Aを行う際に前記表示用ワーク領域及び前記表示用スタック領域は初期化しないようにし」ているのに対し、
引用発明では、設定に関する領域と、性能表示に関する領域と、を有しているものの、設定に関する領域と、性能表示に関する領域とがワーク領域及びスタック領域を有しているのか不明であり、さらに設定に関する領域と性能表示に関する領域との間に未使用領域を有しているか不明である点。
[相違点2](特定事項I-1)
「特別結果以外の表示」を、
本願発明では、「表示部に表示する」のに対し、
引用発明では、モニタに表示するものの、表示部に表示するか否か不明である点。
[相違点3](特定事項I-2)
「変動表示ゲームの抽選に用いる乱数の更新」に関し、
本願発明では、「前記記憶手段を用いずに更新可能」であるのに対し、
引用発明では、記憶手段を用いずに更新可能か不明である点。
第6 判断
1 相違点1について
周知技術の「ワーク領域」及び「スタック領域」は、「記憶領域」の「領域群」内に存在していることから、それぞれ本願発明の相違点1に係る特定事項Cの「ワーク領域」及び「スタック領域」に相当する。また、周知技術の「未使用領域」は、「複数の領域群の間に」「配置」されており、「複数の領域群」はそれぞれに「ワーク領域」を含んでいることから、本願発明の相違点1に係る特定事項Cの「未使用領域」に相当する。
引用発明と周知技術とは、記憶手段を備える遊技機である点で共通する。そして、引用発明においても、記憶手段内の各領域を適切に配置して、記憶領域の違いに応じて容易に特定することができるように記憶手段内の各領域を適切に配置すること、及び各領域ワーク領域、スタック領域を設けて各領域の動作を円滑にしようとする課題を内在するから、引用発明と周知技術とは共通の課題を有している。
したがって、引用発明において、周知技術を適用して、「設定と性能表示に関する領域」のそれぞれに「ワーク領域とスタック領域」を設け、「設定」「に関する領域」と「性能表示に関する領域」の間に「未使用領域を配置」する本願発明の相違点1に係る特定事項Cの構成とするは当業者が容易になし得たことである。そして、「設定」「に関する領域」と「性能表示に関する領域」はともに「ワーク領域」を含むことになるので、「未使用領域」は「設定に関する」「ワーク領域」と「性能表示に関する」「ワーク領域」との間に配置されることとなる。
また、引用発明に周知技術を適用すると、「スタック領域」はレジスタ等の値を退避する領域であるので、記憶されている情報が正当であるかを判定する領域は当然「ワーク領域」となり、「RWMは設定と性能表示以外はクリアされ」ることから、「性能表示」に関する「領域」の「ワーク領域」及び「スタック領域」はともにクリア(初期化)されないことは明らかであるので、本願発明の相違点1に係る特定事項E及び特定事項Hの構成となる。
よって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。
2 相違点2について
引用例2記載の事項の「液晶表示手段20」は、本願発明の相違点2に係る特定事項G-1の「表示部」に相当する。そして、引用例2記載の事項の「「設定変更中」等の報知画像が表示される」ことは、大当たりなどの特別結果でないことは明らかであるので、本願発明の相違点2に係る特定事項G-1の「前記特別結果以外の表示を前記表示部に表示する」ことに相当する。したがって、引用例2記載の事項は、本願発明の相違点2に係る特定事項G-1を備える。
引用発明と引用例2記載の事項とは、設定を変更可能な遊技機である点で共通する。そして、引用発明においても、「設定変更」等の報知画像が表示」することにより設定変更中である旨が報知」して、現在の状態を操作者に知らせるという課題を内在するから、引用発明と引用例2記載の事項とは共通の課題を有している。したがって、引用発明において、引用例2記載の事項を適用することは当業者が容易になし得たことである。
よって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が引用例2記載の事項に基づいて当業者が容易になし得たことである。
3 相違点3について
引用例3記載の事項において、「内部抽選用の乱数値を示す数値データ」は、「乱数回路509から抽出した数値データに基づき、乱数回路509とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによって各種の数値データを加工或いは更新」することで「カウント」されており、記憶手段(RAM)を用いていないことは明らかである。そうすると、引用例3記載の事項の「CPU505は、乱数回路509から抽出した数値データに基づき、乱数回路509とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによって各種の数値データを加工或いは更新することで、内部抽選用の乱数値を示す数値データをカウントする」ことは、本願発明の相違点3に係る特定事項G-2の「前記記憶手段を用いずに更新可能な、前記変動表示ゲームの抽選に用いる乱数の更新を行うこと」に相当する。したがって、引用例3記載の事項は、本願発明の相違点3に係る特定事項G-2を備える。
引用発明と引用例3記載の事項とは、設定を変更可能な遊技機である点で共通する。そして、引用発明においても、変動表示ゲームの抽選に用いる乱数の更新は当然行われているものであって、乱数の更新をどのように行うかは当業者が適宜判断し得る事項であり、「記憶手段の領域」を他の処理に使用するために乱数の更新を「記憶手段の領域」を用いずに行うことは当業者が適宜なし得ることである。したがって、引用発明において、引用例3記載の事項を適用することは当業者が容易になし得たことである。
よって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が引用例3記載の事項に基づいて当業者が容易になし得たことである。
4 本願発明の奏する効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明、引用例2記載の事項、引用例3記載の事項及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。
5 小括
したがって、本願発明は、引用発明、引用例2記載の事項、引用例3記載の事項及び周知技術に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
6 請求人の主張について
請求人は、令和4年8月16日提出の意見書における4(3)で、以下のとおり主張する。
「(3)本願発明の奏する効果
本願発明1と本願発明2は、『前記遊技制御用ワーク領域に記憶されている情報が正当であるかを判定し、前記判定の結果が正当でない場合は電源が遮断されるまで遊技停止状態となり、前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行する条件を満たした状態で新たに電源投入されなければ、再度電源投入しても再び前記遊技停止状態となり』という特徴的構成を有する。
当該特徴的構成によって、遊技に関係する遊技制御用ワーク領域のみを正当性の判定の対象とするので、起動時や時間に余裕のない電源断時の処理量を減らすことができ、起動や電源断に関する待ち時間を短くすることができる。そして、データが破損していたとしても遊技の制御に影響を与えない遊技制御用スタック領域と、遊技に直接関係のない数値情報の表示に関する表示用ワーク領域及び表示用スタック領域と、を正当性判定の対象としないため、データの破損が深刻でない場合でも深刻なエラーとして遊技停止状態に移行してしまう確率を低減できる。さらに、設定変更操作等によって設定可能状態に移行する条件を満たさない限り、電源を再投入しても再び遊技停止状態に移行するので、遊技場関係者は設定値を確実に把握でき、必ず意図する確率設定値で遊技機を稼働できる。」
しかしながら、上記第6 1にて検討したように、引用発明に周知技術を適用すると、「前記遊技制御用ワーク領域に記憶されている情報が正当であるかを判定」する構成となる。そして、上記第5 7にて検討したように、引用発明は「前記判定の結果が正当でない場合は電源が遮断されるまで遊技停止状態となり、前記確率設定値の設定が可能な設定可能状態に移行する条件を満たした状態で新たに電源投入されなければ、再度電源投入しても再び前記遊技停止状態とな」る構成を備える。
そして、請求人は上記意見書において、「遊技に関係する遊技制御用ワーク領域のみを正当性の判定の対象」とすることの効果を主張しているが、当該効果は引用発明に周知技術を適用すれば、必然的に奏する効果にすぎない。
したがって、本願発明が格別の効果を奏するものとは認められない。
以上のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2記載の事項、引用例3記載の事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-014004