特許拒絶査定不服審判
2023-005128
ポリマーの固有粘度及び非ニュートン挙動を同時特定する装置及び方法
- 審判番号
- 2023-005128
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-036661外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年03月29日
- 審決日
- 2024年04月09日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-Z (G01N) / P18 .572-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 36661「ポリマーの固有粘度及び非ニュートン挙動を同時特定する装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 7月15日出願公開、特開2021-103175〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)3月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年3月7日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2018-546793号(原出願)の一部を令和3年3月8日に新たな特許出願としたものであって、同月31日に上申書及び手続補正書が提出され、令和4年3月25日付けで拒絶理由が通知され、同年9月29日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月30日付けで拒絶査定(原査定)がされた(謄本の送達日:同年12月2日)ところ、令和5年3月29日に拒絶査定不服審判の請求がされ、それと同時に手続補正がされ、同年7月12日に上申書(以下、当該上申書を「本件上申書」という。)が提出されたものである。
第2 令和5年3月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年3月29日にされた手続補正(以下「本件補正」ということがある。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1及び10の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示す。)
「【請求項1】
装置であって、
2つ以上の粘度計と、
時間間隔中に前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成された少なくとも1つのポンプであって、前記2つ以上の粘度計の各々が異なるせん断速度で同じ試料溶液を測定する、ポンプと、
前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器と、
前記2つ以上の粘度計において、同時に、少なくとも2つのせん断速度下の前記試料溶液の前記時間間隔中にレオロジー特性を監視し測定するように構成されたコンピュータシステムと、を備え、
前記レオロジー特性は、異なるせん断速度における前記試料溶液の粘度を含み、前記時間間隔は重合反応プロセスの間であり、測定が前記反応を含む時間間隔にわたって試料の連続流で行われ、前記装置は前記反応を含む前記時間間隔にわたって前記試料溶液の非ニュートン挙動の度合いを決定するように、前記試料溶液の前記レオロジー特性を測定するよう構成され、前記非ニュートン挙動はせん断流動化を含む、
前記装置。」
「【請求項10】
前記試料溶液のポリマー濃度を測定する濃度検出器をさらに備え、前記装置はさらに、時間的に断続的な間隔で、離散的な量の試料溶液の前記連続的な流れを前記濃度検出器に注入するように構成され、前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を連続的に流通させるように構成される、請求項1に記載の装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和4年9月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び10の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
装置であって、
2つ以上の粘度計と、
時間間隔中に前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成された少なくとも1つのポンプであって、前記2つ以上の粘度計の各々が異なるせん断速度で同じ試料溶液を測定する、ポンプと、
前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器と、
前記2つ以上の粘度計において、同時に、少なくとも2つのせん断速度下の前記試料溶液の前記時間間隔中にレオロジー特性を監視し測定するように構成されたコンピュータシステムと、を備え、
前記レオロジー特性は、異なるせん断速度における前記試料溶液の粘度を含み、前記時間間隔は重合反応プロセスの間であり、測定が時間間隔にわたって前記反応を含む試料の連続流で行われ、前記装置は前記時間間隔にわたって前記反応を含む前記試料溶液の非ニュートン挙動の度合いを決定するように、前記試料溶液の前記レオロジー特性を測定するよう構成され、前記非ニュートン挙動はせん断流動化を含む、
前記装置。」
「【請求項10】
前記装置はさらに、時間的に断続的な間隔で、離散的な量の試料溶液の前記連続的な流れを前記濃度の検出器に注入するように構成され、前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を連続的に流通させるように構成される、請求項1に記載の装置。」
2 補正の適否
(1)本件補正のうち、請求項10に係る補正(以下「本件請求項10補正」という。)は、「前記試料溶液のポリマー濃度を測定する濃度検出器をさらに備え」ることを発明特定事項として追加するとともに、本件補正前の請求項10に記載された発明を特定するために必要な事項である「時間的に断続的な間隔で、離散的な量の試料溶液の前記連続的な流れを前記濃度の検出器に注入するように構成され」るところの「前記濃度の検出器」を、「前記濃度検出器」に補正するものである。
(2)そこで、本件請求項10補正の目的について検討する。
ア 本件補正前の請求項10に記載された「前記濃度の検出器」について
本件補正前の請求項10には、「前記濃度の検出器」の前に「検出器」の記載はない。そして、請求項10が引用する請求項1には、「検出器」について、「前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」との記載のみがある。
そのため、本件補正前の請求項10に記載された「前記濃度の検出器」は、本件補正前の請求項1に記載された「前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」を指すものと解される。
イ 本件補正後の請求項10に記載された「前記濃度検出器」について
(ア)本件補正後の請求項10には、「濃度検出器」について、「前記濃度検出器」の前に「前記試料溶液のポリマー濃度を測定する濃度検出器をさらに備え」との記載がある。
また、本件補正後の請求項1には、「前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」との記載はあるものの、「濃度検出器」の記載はない。
そのため、本件補正後の請求項10に記載された「前記濃度検出器」は、本件補正後の請求項10に記載された「前記試料溶液のポリマー濃度を測定する濃度検出器をさらに備え」における「濃度検出器」を指すと解される。
(イ)ここで、本件補正後の請求項10では、「前記試料溶液のポリマー濃度を測定する濃度検出器をさらに備え」と、追加的に「濃度検出器」を備えることが特定されていることから、本件補正後の請求項10に記載された「濃度検出器」は、請求項10が引用する請求項1に記載された「前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」とは別の「濃度検出器」である。
ウ 本件補正後の請求項1に記載された「検出器」について
本件補正後の請求項1に記載された「検出器」は、「前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」とのみ特定され、「装置」により「時間的に断続的な間隔で、離散的な量の試料溶液の前記連続的な流れ」が「注入」されることは特定されていない。
エ そうすると、本件補正により、「装置」により「時間的に断続的な間隔で、離散的な量の試料溶液の前記連続的な流れ」が「注入」される「検出器」が、本件補正前は、「前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」であったものが、本件補正後は、「前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」とは別の「前記試料溶液のポリマー濃度を測定する濃度検出器」に変更されたことになる。
すなわち、「装置」により「時間的に断続的な間隔で、離散的な量の試料溶液の前記連続的な流れ」が「注入」される「前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」について、本件補正により、「前記時間間隔中に」測定するものであるとの特定事項が削除されたことになる。
オ 以上のことから、本件請求項10補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。
カ また、本件補正前の請求項10の記載において、「検出器」について、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示された不明瞭な事項はなく、誤記と認められる記載もないので、本件請求項10補正は、同項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも、同項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものにも該当しない。
さらに、本件請求項10補正が、同項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当しないことは、明らかである。
キ 以上のとおり、本件請求項10補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、同法第17条の2第5項の規定に違反する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、請求項10に係る補正について、「前記試料溶液のポリマー濃度を測定する濃度検出器をさらに備え」を追加する補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としている旨の主張をするが、「試料溶液の前記連続的な流れ」を注入する対象を「前記濃度の検出器」から、前記追加された「前記濃度検出器」に変更する補正の目的については、何ら説明していない。
イ したがって、請求人の上記主張は、上記(2)における補正の目的についての判断を左右するものではない。
3 補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件請求項10補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年3月29日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年9月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1及び13に係る発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された刊行物である下記の引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて、請求項2ないし12及び14ないし20に係る発明は、その優先日前に頒布された刊行物である下記の引用文献1ないし6に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。なお、引用文献3及び4は、どちらか一方が選択的に引用されるものである。
引用文献1:特表2011-525967号公報
引用文献2:特開2011-69754号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:実願昭61-107251号(実開昭63-14141号)のマイクロフィルム
引用文献4:米国特許第4425790号明細書
引用文献5:米国特許第4578990号明細書(周知技術を示す文献)
引用文献6:特表2010-530545号公報
3 引用文献の記載事項
(1)引用文献1について
ア 引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審において付加した。以下同じ)。
(引1-ア)「【0002】
<発明の分野>
本発明は、“第2世代のACOMP(Automatic Continuous Online Monitoring Polymerazaton reactions)” (重合反応の自動連続オンラインモニタリング)に関するものである。」
(引1-イ)「【発明の概要】
【0013】
ポリマー合成のまさにその過程において、ポリマー刺激応答性がどのように進展するかをモニタリングする方法と装置を開示する。・・・
【0016】
本発明は、本願発明者の過去の発明及び開発に基づいて、ACOMP(重合反応の自動連続オンラインモニタリング)として示される重合化反応のモニタリングすることにある。・・・
【0018】
新しいポリマーの発見と開発には、基本的問題及び応用問題を解決し、プロセスを最適化することができる複雑な解析手法を必要とする。現在、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、核磁気共鳴(NMR)等の技術を用いて最終生成物の合成後分析を行なわれているが、ポリマー特性の発展に関する情報はもたらすことは殆どなく、制御をする機会がない。反応(例えば、光散乱、粘性等)を、連続的又はほぼ連続的にモニターする柔軟な検出プラットフォームを利用して、ACOMPは、転換動力学、組成ドリフト、平均組成分布の進展、モル質量の進展、及び固有粘度分布の進展の追跡を行なう。」
(引1-ウ)「【0028】
<技術仕様>
完全多段式のフロントエンドは、リアクター及び他の容器からの試料を(平衡系のために)抽出(extract)し、希釈(dilute)し、調整(condition)して、高度に希釈され調整された検出用試料の連続的流れを生成する。この汎用的フロントエンドは、低粘度エマルジョン重合流体から、粘度が106cPに近い純粋なバルク重合反応に至るまで抽出を可能にする。調整段階は、ろ過、除泡(debubbling)、モノマーの揮発、相の反転等を含んでいる。」
(引1-エ)「【0047】
本発明の合成中モニタリングの概念は、ポリマーは合成中に進展することから、連続的に変化する分子量、組成及びその他の分子特性(例えば、多価電解質線形電荷密度、ポリマー分岐、架橋、他の分子及びポリマーに対する“クリッキング”等)に対する刺激応答性の進展をモニターすることである。これは、これまでのあらゆる伝統的方法とは異なるし、また、平行して行われる複数反応の最終生成物だけを分析し、ポリマーパラメータの個別変化を測定するにすぎない最新のハイスループット方法とも異なるものである。換言すれば、個々に合成された最終生成物の単なる試料採取ではなく、最終生成物の完全な連続体の等価物に基づいて刺激応答性を評価することができる。」
(引1-オ)「【0066】
<重合反応の制御への拡大>
ACOMPは、反応の結果を予測してフィードバックする(即ち、最適な反応プロセスを予測するのに、ACOMPにより提供される正確な反応動力学及び特性を用いる)ことにより、反応を制御できるところまで成熟してきている。これらのシナリオでは、所望の分子量及び組成分布、グラフティング度等の作成を案内するのにモニタリングが用いられる。
【0067】
図1は、相転移及び関連現象について複数の温度をモニタリングするスキームを示している。多重検出器は、光散乱型、蛍光型、吸光度型などがあり、とりわけ、トレインで用いられることができるあらゆる組合せを含んでいる。なお、抽出/希釈/調整の各段階は、実戦矢印で示されている。簡易なバージョンでは、ACOMPストリームを直接用いており(点線)、複数の転移/関連モニタリング検出器は、残りのACOMP検出器とは単なる直列である。
【0068】
図2は、相転移及び関連現象について、複数種類の組成をモニタリングするスキームを示している。分離と同時希釈を“選択された希釈剤”を用いて行なうために、複数の小さな試料ストリームを回収するために、マルチヘッド蠕動ポンプ又は他の装置を用いることができる。これらは、所望されるあらゆるファクターの組合せであり、例えば、混合溶媒、異なる溶剤、異なるpH、イオン強度、金属イオン、単イオンまたは多価イオン、ポリマーを結合又は“認識(recognition) ”する特別な分子を含む希釈剤、ポリマー、酵素、ポリペプチドなどである。多重検出器は、光散乱型、蛍光型、吸光度型などがあり、とりわけ、毛細管粘度計が用いられることができ、トレインで用いられることができるあらゆる組合せを含んでいる。
【0069】
図3には、重合リアクター(1)が示されている。該重合リアクターは、好ましくはサーモスタットにより温度制御可能で、機械撹拌が行われ、入口アクセスポート、出口アクセスポート、所望によりコンデンサ(例えば、Ace Glass)を具えている。所望により、リアクタープローブ(2)があり、例えば、pH及び/又は伝導度(conductivity)センサ、及び/又は、近赤外線及び/又は中赤外線プローブ、及び/又はRamanプローブ等である。ACOMPのフロントエンド(3)は、以下に示す1又は複数のコンポーネント[Polymer International、57、390-396、2008を参照]を含んでいる。なお、以下のリストは全てを網羅しているものではない。
-リアクターからの抽出ポンプ。例えば、Zenith Corp.製ギヤポンプ;
-リアクターから抽出ポンプを通りリアクターに戻る再循環ループ;
-リアクター内容物の粘度を測定する循環ループ内の圧力トランスデューサー;
-循環ループから低圧力混合チャンバ(LPMC)へ制御可能な所定のピックオフを提供する質量流量コントローラ。例えば、Bronkhorst;
-LPMC。例えば、撹拌及び温度調節可能で、流体入口及び流体出口の入口接続部及び出口接続部を有するバイアル。リアクター流体は、LPMCの中で所望レベルまで希釈され、リアクターの中で発生した全ての気泡は大気中に放出されることが望ましい;
-LPMCレベルコントローラ。例えば、LPMC内の所定高さに抽出管を有する補助ポンプ;
-所望により、高レベルの希釈を達成するための高圧撹拌ステージ及びポンプ又はLPMC及びポンプ
-検出器トレインに導く毛細管チューブ
【0070】
溶媒貯蔵器(4)は、例えば、希釈溶媒又は選択された溶媒混合物が入れられた容器(例えば、4リットルの容量)であり、容器内には、種々ポンプによって抽出するためのチューブが入れられ、試料フローの希釈及び混合、並びに検出器トレインへの供給が行われる。ACOMP検出器トレイン(5)は、好ましくは、以下に示す1又は複数の機器を具えている。
-他角度静的光散乱検出器(当審注:「他角度」は「多角度」の誤記と認める。)。例えばBrookhaven Instruments Corp.製BI-MwA;
-動的光散乱検出器。例えばBrookhaven Instruments Corp.製nano-DLS;
-Mie光散乱検出器。例えば、Malvern Mastersizer;
-単一又は複数の毛細管粘度計。例えば、Validyneの圧力トランスデューサ;
-紫外線/可視分光光度計。例えば、Shimadzu Diode Arrasy SPD-M20A;
-示差屈折計。例えば、Shimadzu RID-10A:
-近赤外線又は中赤外線検出器。例えば、Shimadzu Diode Array SPD-M20A。
【0071】
データの収集及び分析を行なうマイクロコンピュータコントローラ(6)は、以下のものを含むことができる。
-検出器トレイン信号用に統合され機器制御デバイス及び信号プロセッサー。例えば、the National Instruments NI Compact Field Point Model CFP-2020 Part#:188539G-03
-機器の制御を行ない、入力して分析されたデータのグラフィック表示の制御を行なうソフトウエアプログラム。例えば、Labviewソフトウェアモジュール;
-信号の数値データ分析を行なうソフトウェア。例えば、C++又は他のプログラミング言語(Power Basic, Visual Basic,Fortan)で書き込まれ、制御プログラム内に組み込まれ、又は制御プログラムと同時に動作する;
-コントローラ, データの収集及び分析ソフトウェアを動作させるコンピュータ。標準デスクトップ又はラップトップコンピュータで、例えば、Gateway、Hewlett Packard、Apple又はDell。
【0072】
自動-SEC(サイズ排除クロマトグラフィ)(7)が選択的に設けられ、該自動-SECは、ACOMP検出器トレイン(5)から廃棄物流れに接続される。連続検出器トレイン(5)が使用されない場合、ACOMPのフロントエンド(3)の出口ストリームに直接接続される。自動-SEC(7)には、以下のものを配備することができる。
-前述したストリームに接続され、SECカラムの中へ所定間隔(例えば、10分毎)で少量(例えば、100マイクロリットル)ずつ自動的に注入を行なうことができる自動インジェクターバルブ;
-高圧液体クロマトグラフィポンプ。例えば、Shimadzu LC10-AD;
-溶媒リザーバ。適当であれば、所望により溶媒リザーバ(4)と同じものでよい。
-1又は複数のSECカラム;
-周期的に注入される試料からデータを収集し、分析するためのソフトウェアプログラム;
-以下の検出器の任意の組合せ: 多角度静的光散乱検出器(例えば、Brookhaven Instruments Corp.製のBI-MwA)、動的光散乱検出器(例えば、Brookhaven Instruments Corp.製のnano-DLS)、Mie光散乱検出器(例えば、Malvern Mastersizer)、単一又は複数の毛細管粘度計(例えば、Validyne圧力トランスデューサ)、紫外線/ 可視分光計(例えば、Shimadzu Diode Array)、示差屈折計(例えば、Shimadzu)、近赤外又は中赤外線検出器(例えば、Shimadzu)。
【0073】
廃棄物容器(8)は、好ましくは、システムにより生成された溶媒及び試料の廃棄物ストリームを蓄積するために配備され、例えば、安全に密封される金属ドラムである。所望の希釈/調整部(9)は、ACOMPフロントエンド(3)と同じ機能を有することができる。いくつかの用途では、ACOMPフロントエンド(3)自体であり、他の用途では、ポリマーの刺激応答を測定するのに必要な希釈/調整を行なうのに必要なACOMPフロントエンド(3)のそれら構成要素を含むことができる。複数の検出モジュール(10)は、好ましくは、温度、照明などを、独立して制御され、モニターされ、複数の独立した毛細管粘度計、静的散乱光セル(例えばSMSLS-米国特許第第6,618,144号参照)、動的光散乱、蛍光、及び濁度セルを含むことができる。モジュール(10)と並列に複数の検出モジュール(11)を設けることができ、モジュール(10)とモジュール(11)との間の流れを分離するバルブ又は‘T’を含むことができる。これらは、独立して制御されモニターされた検出器のより大きなバンクを組み込むために用いることができる。
【0074】
<リビングジブロック(living diblock)>
図4は、本発明を使用する具体的実施例であって、ブロック型、ランダム型又は勾配型のコポリマー多価電解質の合成中におけるミセル化、ポリマー寸法、相互作用の塩感受性を特徴づける実施例であるが、これら実施例は本発明の数多くの用途の中の一例にすぎない。
【0075】
図4において、図3の(1)~(8)及び(10)は、図4でも同じである。図3の(9)はポンプ(12)と置き換えられる。図3の(11)は含まれておらず、検出器(14)と置き換えられる。(12)(13)(14)については、以下に記載する。図3の(1)~(10)に対応するこれらの要素は、図3のものよりもより正確に示されているが、これらに限定するものと解すべきではない。ジャケット重合リアクター(101)は、自動温度調節されたバッチから循環するオイルを用いて、好ましくは、2℃~220℃の温度にて自動温度調節されることが好ましい。リアクター(101)は、好ましくは、10~1000RPMに制御可能な機械撹拌式パドル、窒素又は他のガスでパージする入口ポート、試薬を導入するシリンジ又はポンプ、反応内容物を抽出するチューブ、センサ(102)のアクセスポート、上面部に取り付けられたコンデンサ、を有している。リアクター(101)は、通常、密封され、大気圧よりもわずかに高い窒素雰囲気下で保持される。この例では、共重合多価電解質合成反応が選択され、反応中、荷電ポリマー長鎖が生成される。リアクター伝導度センサとして、例えば、Jenway伝導度プローブ及びpHプローブを挙げることができる。この態様でのACOMPフロントエンド(103)は、次の構成を含むことができる。なお、以下のリストは全てを網羅している訳ではない。
-リアクターからの抽出用Shimadzu HPLC ポンプ。
-HPLCポンプの出口フロー内に設けられ、毛細管を有し、リアクター内の希釈されていない内容物の粘度を測定する圧力トランスデューサ。
-自動温度調節可能で、入口チューブと出口チューブを有するバイアルからなるLPMC。入口チューブは、粘性液の分散を促進する出口オリフィスを有し、HPLCポンプによりリアクターの回収を行なうもので、出口チューブは、LPMC内の希釈された内容物を連続的に抽出するものであり、リアクター流体は、LPMCの中で所望レベルまで希釈され、LPMCは、リアクター内で発生した全ての気泡を大気中へ放出できることが望ましい。
-LPMC内で所定高さに固定された抽出管を具えるHPLC又は蠕動補助ポンプからなるLPMCレベル制御部。これは、反応全体と通じて、LPMC内を同じレベル及び容積に維持することを保証する。このレベル制御ポンプの出口は、廃棄物容器(108に連繋される。
-高圧混合ステージ、Upchurch Corp製で10マイクロリットルの高圧混合“T”。“T”の一端は、別個のHPLCポンプを用いて、LPMCを出て行く希釈された流体によって供給される。また、さらに別の他のHPLCポンプが、“T”の他端へ供給して、最終希釈レベルが得られるようにな、高圧混合“T”チャンバを出て行く毛細管を介して、検出器トレインへ供給する。
【0076】
溶媒リザーバ(104)は、例えば、希釈溶媒が入れられた容器であり(例えば、4リットルのガラス容器)、容器内には、種々ポンプによって抽出するためのチューブが入れられ、試料フローの希釈及び混合、並びに検出器トレインへの供給が行われる。ACOMP検出器トレイン(105)は、好ましくは、以下に示す1又は複数の機器を具えている。
-他角度静的光散乱検出器(当審注:「他角度」は「多角度」の誤記と認める。)。例えばBrookhaven Instruments Corp.製BI-MwA。これに対する拡張ボードは、好ましくは、他の全ての検出器からの信号を受ける;
-動的光散乱検出器。例えばBrookhaven Instruments Corp.製nano-DLS;
-Mie光散乱検出器。例えば、Malvern Mastersizer;
-単一の毛細管粘度計。例えば、Norwood及びReedの設計に基づくValidyne圧力トランスデューサを使用[ Int. J. Polym. Ana. and Char., 4, 99-132,1997参照];
-2波長紫外線/可視分光光度計。例えば、Shimadzu Diode Arrasy;
-示差屈折計。例えば、Shimadzu。
【0077】
データの収集及び分析を行なうマイクロコンピュータコントローラ(106)は、以下のものを含むことができる。
-BI-MwA検出器のA/D拡張ボードを介して、入ってくるデータを分析し、分析されたデータを集め、グラフィック表示するBrookhaven Instruments Corp.製のソフトウェアプログラム。
-例えば、パワーベーシックで記載された信号の数値データ分析のためのソフトウェア。
-インテルコア2duoプロセッサ及びUSB接続を有するDELLマイクロコンピュータ。
【0078】
自動-SEC(サイズ排除クロマトグラフィ)(107)が、ACOMP検出器トレイン(105)から廃棄物流れに接続される。自動-SEC(107)には、好ましくは、以下のものを配備することができる。
-100μl試料ループが取り付けられた自動インジェクターバルブ。Rheodyne MXP 7900;
-周期的注入用バルブを制御するために用いられる調節可能なリサイクリングタイマー。AmperiteソリッドステートDFAシリーズ;
-SECカラム。Shodex 804;
-Shimadzu 高圧液体クロマトグラフィポンプ;
-溶媒リザーバ。例えば、容器(104)と同じ;
-周期的に注入された試料からデータを収集し、分析を行なうBI-MwAベースのプログラム
-以下の検出器: 多角度静的光散乱検出器(例えば、Brookhaven Instruments Corp.製のBI-MwA)、動的光散乱検出器(例えば、Brookhaven Instruments Corp.製のnano-DLS)、光散乱検出器(例えば、Malvern Mastersizer)、単一毛細管粘度計、2波長紫外線/可視分光計(例えば、Shimadzu)、示差屈折計(例えば、Shimadzu)。
【0079】
廃棄物容器(108)は、例えば4リットルのガラス容器であり、溶媒とストリームによって生成された試料の廃棄物流れを蓄積するために用いられる。好ましくは、10個の個々に特別仕様製作された静的光散乱セル(110)が直列にあり、同時複数試料光散乱特許(米国特許第6618144(Reed))と同様である。各セルは、好ましくは、散乱光について90度光ファイバー検出部と、Pelletier温度制御要素を有する。好ましくは、セルを照明するために、635nmでのダイオードレーザ(レーザ最大)が、ビームスプリッターと共に用いられる。各光ファイバによって検出された散乱光は、好ましくは、個々の光ダイオードへ供給される。これらのセルは、混合“Ts”(13)からの希釈物により供給される。“Ts”(13)は、各々が、マルチヘッドポンプ(12)及びマルチヘッドポンプ(15)から1つの毛細管によって供給される。希釈/調整を行なうマルチヘッド蠕動ポンプ(12)は、例えば、Masterflex (Cole-Parmer) Model 7523-30を含むことができる。ヘッドからの各毛細管チューブは、好ましくは、リアクターの中に浸漬され、好ましくは、毎分約50μlで、分離したマイクロストリームを引き出す。混合“Ts”(13)は、ポンプ(12)からのリアクター流体と第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)からの希釈流体を受ける。10の検出器からなる2列(14)は、第1列の10の検出器は好ましくは10の単一毛細管粘度計を具え、各々が、10の光散乱セル(110)の1つから出口ストリームにより連続して供給される。第2列は、好ましくは特別仕様で製作された10の蛍光検出セルを具え、各々が自動温度調節可能であり、SMSLS型セル(110)と同じように、セルに対して、2つの90度光ファイバーが一体に取り付けられる。セルは、好ましくは、レーザで照射され、NewportCorp.製の光学ノッチフィルタで、蛍光を検出する。しかしながら、第2蠕動ポンプ(例えば、ポンプ(12))は、好ましくは、各々が、異なる希釈リザーバ(16)から溶媒を抽出する毛細管を有している。希釈リザーバ(16)は、好ましくは、異なるイオン強度の水性溶媒が入れられており、好ましくは、適当なピリジンダイ又は誘導体により、多価電解質がミセル化するときに蛍光特性を変化させる。
【0080】
次に、システム全体がどのように動くかについて説明する。具体性のために、ランダム型コポリマーを、荷電モノマー(例えば、スチレンスルホネート、四級化アクリルアミド等)と中性モノマー(例えば、アクリルアミド、ビニルピロリドン等)で合成する。これらは、全容量750mLで0.005MのNaClが入れられた水性リアクター溶液の中での合計重量%は2.1%である。適当なフリーラジカル開始剤(例えば、過硫酸カリウム)を使用し、60℃のN2雰囲気の容器(101)内で、反応を開始させる。伝導度及びpHプローブは、反応全体を通じて、リアクター内のこれらの特性をモニターする(第2の実験では、制御されたラジカル重合を用いてジブロックコポリマーを合成する)。
【0081】
フロントエンド(103)は、リアクター液体を、0.05mL/分の割合で抽出し、LPMCに送られ、LPMCに1.0mL/分の割合で入ってくるリザーバ(104)からの0.1M塩化ナトリウム水溶性溶媒と混合され、21倍希釈を生じる。LPMC液体は、高圧混合“T”内に0.5mL/分の割合で入ってくるリザーバ(104)からの0.1M塩化ナトリウム水溶性溶媒と混合され、合計希釈は42倍となり、0.0005g/mLのモノマーとポリマーが、検出器トレイン(105)を通り、1ml/1分の割合で、連続的に流れる。LPMCに入るとき、0.05mL/分をわずかに超える部分は、LPMCのレベル制御ポンプにより連続的に抽出されて、廃棄物となる。0.1MNaCl溶液は、インターポリマーの静電効果を大いに抑制する。
【0082】
検出器(105)での信号は、Reedらにより公開されたる多くの方法に従って組み合わされ、生じるクォンティティは、累積的及び瞬間的重量平均分子ポリマー質量、累積的及び瞬間的重量平均ポリマー還元粘度、累積的及び瞬間的z-平均ポリマーの旋回半径、各モノマーの累積的及び瞬間的転換、及び平均組成ドリフト及び分配である。システムのこの部分については、何か通常でないプロセスが起これば、実験者に警告を行う。例えば、光散乱は、ミクロゲル化の開始を即座に検出する。リアクター中の伝導度プローブは、多価電解質鎖の対イオン凝縮の程度をモニターする。
【0083】
一方、ポンプ(12)は、リアクター(101)から10の別個の0.01ml/minのストリームを抽出し、Ts”(13)の中で、第2マルチヘッドポンプ(15)により0.5mL/minの割合で“Ts”(13)に供給された別の水性溶媒(16)と混合し、51倍の希釈物を生じる。10の水性溶媒は全て、ミリモル以下濃度のピリミジンを含んでおり、各々は、NaClを加えることにより異なるイオン濃度を有している。各イオン濃度は、0.0001M,0.0005M,0.001M,0.005M,0.010M,0.050M,0.1M,0.25M,0.5M,1.0Mである。最終イオン強度(51倍希釈の前の0.005Mイオン強度を考慮する)が異なる希釈溶液は、各々が、夫々各々の検出器トレイン(110)(14)、90度光散乱、毛細管粘度計、蛍光セルを通って流れる。
【0084】
これらの検出検体から得られる情報から、還元粘度(reduced viscosity)及び光散乱強度(イオン強度に非常に感受性の第2ビリアル計数A2の関数)が、合成の各瞬間に異なるイオン強度に対してどのように反応するかがわかり、ミセル化が起こる場合に限り、蛍光検出器は情報を生じる。光散乱及び粘度検出器はまた、異なる反応状態及び異なるイオン強度下で起こるあらゆる凝集、ミセル化及び有意の立体配座変化にも感受性である。
【0085】
それ故、反応の状態(組成、分子量、及びACOMPフロントエンド(103)及びACOMP検出器トレイン(105)を介して生成される鎖の他の特徴)、及び、外部刺激(イオン強度)並びにミセル又は他の種類の凝集への自己組織化傾向に対するポリマーの挙動に基づいて統一された相関データを獲得することができる。この大量の統一されたデータにより、具体的ポリマーの刺激応答性及び自己組織化挙動を得るのに必要な特性は何か、また標的ポリマー特性を生成する反応を最適化するのに必要な特性は何かをより良く理解することができる。」
(引1-カ)「【0148】
この明細書で用いられる略記のリストは次の通りである。
・・・
ACOMP: 重合反応の自動連続オンラインモニタリング
・・・
HPLC: 高圧液体クロマトグラフィー
・・・
LPMC: 低圧混合チャンバー
・・・
SEC: サイズ排除クロマトグラフィ」
(引1-キ)【図3】
「
[図:0001413837000001.jpg]
」
(引1-ク)【図4】
「
[図:0001413837000002.jpg]
」
イ 引用文献1の記載から看取できる事項
(ア)上記(引1-オ)の段落【0077】に記載された「マイクロコンピュータコントローラ(106)」は、「データの収集及び分析を行なう」ことから、段落【0078】に記載された「自動-SEC(サイズ排除クロマトグラフィ)(107)」で得た測定値の処理、段落【0082】に記載された「検出器(105)での信号」からの「累積的及び瞬間的重量平均分子ポリマー質量、累積的及び瞬間的重量平均ポリマー還元粘度、累積的及び瞬間的z-平均ポリマーの旋回半径、各モノマーの累積的及び瞬間的転換、及び平均組成ドリフト及び分配」の生成、並びに、段落【0083】及び【0084】に記載された「検出器トレイン(110)(14)、90度光散乱、毛細管粘度計、蛍光セルを通って流れる」「検出検体から得られる情報から」の「還元粘度(reduced viscosity)及び光散乱強度(イオン強度に非常に感受性の第2ビリアル計数A2の関数)」の生成は、「マイクロコンピュータコントローラ(106)」により行われると解される。
(イ)a 上記(引1-オ)の段落【0075】及び段落【0079】に記載された「リアクター」は、段落【0075】に記載された「ジャケット重合リアクター(101)」と同じものと解されるから、以後、「ジャケット重合リアクター(101)」に表記を統一する。
b そして、段落【0075】に記載された「検出器トレイン」、段落【0076】に記載された「ACOMP検出器トレイン(105)」、段落【0081】に記載された「検出器トレイン(105)」及び段落【0082】に記載された「検出器 (105)」は、同じものを表すと解されるから、以後、「ACOMP検出器トレイン(105)」に表記を統一する。
c また、段落【0079】に記された「マルチヘッド蠕動ポンプ(12)」と段落【0079】及び段落【0083】に記された「ポンプ(12)」は、同じものを表すと解されるから、以後、「マルチヘッド蠕動ポンプ(12)」に表記を統一する。
段落【0079】に記された「第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)」及び「第2蠕動ポンプ」と段落【0083】に記載された「第2マルチヘッドポンプ(15)」は、同じものを表すと解されるから、以後、「第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)」に表記を統一する。
d さらに、段落【0079】に記載された「静的光散乱セル(110)」及び「光散乱セル(110)」並びに段落【0083】に記載された「90度光散乱」は、同じものを表すと解されるから、以後、「静的光散乱セル(110)」に表記を統一する。
ウ 引用文献1に記載された発明
上記イ(ア)及び(イ)を踏まえると、上記(引1-ア)ないし(引1-ク)の記載から、引用文献1には、
「ポリマー合成のまさにその過程において、ポリマー刺激応答性がどのように進展するかをモニタリングする装置であって(【0013】)、
共重合多価電解質合成反応が行われ、反応中、荷電ポリマー長鎖が生成されるジャケット重合リアクター(101)(【0075】)、
ジャケット重合リアクター(101)からの抽出用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプ、抽出用HPLCポンプの出口フロー内に設けられ、毛細管を有し、ジャケット重合リアクター(101)内の希釈されていない内容物の粘度を測定する圧力トランスデューサ、入口チューブと出口チューブを有するバイアルからなる低圧混合チャンバ(LPMC)、LPMCレベル制御部、及び、HPLCポンプにより最終希釈レベルとなった希釈された流体を毛細管を介して重合反応の自動連続オンラインモニタリング(ACOMP)検出器トレイン(105)へ1ml/1分の割合で連続的に供給する高圧混合ステージを含むACOMPフロントエンド(103) (【0075】【0081】【0148】)、
溶媒リザーバ(104) (【0076】)、
多角度静的光散乱検出器、動的光散乱検出器、Mie光散乱検出器、単一の毛細管粘度計、2波長紫外線/可視分光光度計及び示差屈折計を備えたACOMP検出器トレイン(105) (【0076】)、
データの収集及び分析を行なうマイクロコンピュータコントローラ(106) (【0077】)、
自動インジェクターバルブ、リサイクリングタイマー、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)カラム、HPLCポンプ、溶媒リザーバ、周期的に注入された試料からデータを収集し分析を行なうプログラム、並びに、多角度静的光散乱検出器、動的光散乱検出器、光散乱検出器、単一毛細管粘度計、2波長紫外線/可視分光計及び示差屈折計を含む検出器を配備し、ACOMP検出器トレイン(105)から廃棄物容器(108)への流れに接続される自動-SEC (107) (【0078】【0079】【0148】)、
ヘッドからの各毛細管チューブがジャケット重合リアクター(101)の中に浸漬され、分離した0.01ml/minのマイクロストリームを引き出すマルチヘッド蠕動ポンプ(12) (【0079】【0083】)、
異なるイオン強度の水性溶媒が入れられている希釈リザーバ(16) (【0079】)、
異なる希釈リザーバ(16)から溶媒を0.5mL/minの割合で抽出する第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15) (【0079】【0083】)、
マルチヘッド蠕動ポンプ(12)からのリアクター流体と第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)からの希釈流体を受ける混合“Ts”(13) (【0079】)、
混合“Ts”(13)からの希釈物が供給される10個の静的光散乱セル(110) (【0079】)、
並びに、
各々が10個の静的光散乱セル(110)の1つから出口ストリームにより連続して供給される10個の単一毛細管粘度計及び10個の蛍光検出セルを備えた2列の検出器(14) (【0079】)、
を備え、
マイクロコンピュータコントローラ(106)は(イ(ア))、
自動-SEC (107)で得た測定値を処理し(イ(ア))、
ACOMP検出器トレイン(105)での信号を、多くの方法に従って組み合わせ、累積的及び瞬間的重量平均分子ポリマー質量、累積的及び瞬間的重量平均ポリマー還元粘度、累積的及び瞬間的z-平均ポリマーの旋回半径、各モノマーの累積的及び瞬間的転換、並びに平均組成ドリフト及び分配を生成し(【0082】)、
静的光散乱セル(110)、並びに、単一毛細管粘度計及び蛍光検出セルを備えた2列の検出器(14)を通って流れる最終イオン強度が異なる希釈溶液から得られる情報から、還元粘度(reduced viscosity)及び光散乱強度(イオン強度に非常に感受性の第2ビリアル計数A2の関数)を生成し、それにより合成の各瞬間に異なるイオン強度に対してどのように反応するかがわかる(【0083】【0084】)、
装置。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる主な記載箇所を、括弧内に段落番号等で示した。
(2)引用文献2について
ア 引用文献2には、以下の記載がある。
(引2-ア)「【0002】
高分子材料であるポリマーは、繊維、成形材料、シート、フィルムなど、様々な用途に応じて賦形される。このようにポリマーを賦形する方法としては、ポリマーを水や有機溶媒などの溶媒に溶解して高分子溶液とし、これを賦形する方法があり、例えば、繊維の湿式紡糸、溶剤キャストフィルムや塗膜の形成などがその例である。
このような高分子溶液を用いた賦形においては、高分子溶液の流動特性が製品の生産性や性能に影響を及ぼす場合も多い。
【0003】
高分子溶液が賦形される過程では、高分子溶液は広いせん断速度域の流動を受けることが多い。例えば湿式紡糸の場合は、高分子溶液がノズルまで供給される際の配管内での流動は、比較的低せん断速度であるのに対し、ノズルから高分子溶液が押し出される際のノズル内での流動は、非常に高せん断速度となる。一概には言えないが、このような場合の低せん断速度と高せん断速度とは、少なくとも2桁以上、場合によっては5桁以上異なることもある。
したがって、生産性よく、性能のよい製品を生産するためには、このような広いせん断速度域での高分子溶液の流動特性を事前に把握しておくことが極めて重要である。
【0004】
高分子溶液の流動特性を測定する方法としては、落球粘度計、回転粘度計、毛管粘度計(細管粘度計)などの粘度計を用いて、粘度を実測する方法がある(例えば非特許文献1参照。)。特に、粘度のせん断速度依存性を測定するには、回転粘度計や細管粘度計が好ましく、これらの粘度計は数多く市販されている。」
イ 引用文献2に記載された技術事項
上記(引2-ア)の記載から、引用文献2には、
「高分子溶液を用いた賦形においては、高分子溶液の流動特性が製品の生産性や性能に影響を及ぼすので、広いせん断速度域での高分子溶液の流動特性を事前に把握しておくことが極めて重要であり、そのため、毛管粘度計を用いて粘度のせん断速度依存性を測定すること」
という技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。
(3)引用文献3について
ア 引用文献3には、以下の記載がある。
(引3-ア)明細書3頁7行~6頁7行
「細管式粘度計を利用した粘度測定の問題点として、ナイロン、ポリエステル等の高分子材料の原料ポリマーのような非ニュートン流体の粘度測定に供する場合、ある一つの速度条件下における粘度を測定することができても、そのずり速度の変化に対し如何なる粘度変化特性を示すかについては予測できない。すなわち、ニュートン流体であれば、ずり速度(速度勾配)Dsとずり応力(せん断応力)τとの間にはτ=ηDsのリニアな関係が成立するので、ある測定条件によりηが計測されれば十分であるが、非ニュートン流体の場合、ずり速度Dsの変化によって粘度が変化するから、一つのずり速度に対応する粘度を測定してもその流体の粘度変化特性を把握することができない。
しかるに、非ニュートン流体、例えば前記ポリマーを取扱うプラント装置などにあっては、システムコントロールや装置の設計上、流体粘度の変化を刻々測定できると同時に、その流体の性状(例えば、擬塑性流体か塑性流体かあるいはダイラタント流体であるかなど)を察知できる測定手段が要求される場合が多い。
このような要求に応えるためには、そのオリフィスでのずり速度を変えた少なくとも2点での粘度測定を行なう必要がある。そして、そのためには既存の単管式のものの場合、例えば特公昭45-26838号公報に示されるもののように、オリフィスの流速(ずり速度)を可変ならしめる2個乃至それ以上の個数の定容量ポンプを設置することが必要となる。しかし、かかる手段によると、主流路から流体を取り込む粘度計測用流路を複数にし、その途中に各々容量の異なる定容量ポンプを設置しなければならないので装置が複雑大形化し、かつ非常なコスト増を招く。
本考案は、このような従来技術の問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、簡易な構造を維持しながら各種流体の連続的な粘度測定を行なえるとともに、その流体の性状、即ちずり速度の変化による粘度変化の特性も容易に計測して把握できるように改良工夫された細管式粘度計を提供することにある。
[問題点を解決するための手段]
本考案は、かかる目的達成のための手段として、第1図に示すように、主流路Mに付設される粘度計測用流路Bに、それぞれ入口側O1in、O2inと出口側O1out、O2outとの差圧を検出する差圧検出手段S1、S2を備えた内径の異なる複数のオリフィスO1、O2を、上流側から順に内径の大きいものを配するようにして直列に介設したことを特徴とする。
[作用]
このように粘度計測用流路Bに異なる複数のオリフィスO1、O2をその上流側から内径の大きい順に直列に介設すれば、定量ポンプCFPによる流量が一定でも、各オリフィスでその内径に応じ流速を違えることができ、従ってずり速度を相違した流体の2点での粘度測定が同時に実現される。そして、これによりその主流路Mを流通する流体がニュートン流体であるか否か、また非ニュートン流体であればどのような性状、特性のものであるかを迅速、的確に判別することができる。」
(引3-イ)明細書7頁6行~8頁末行
「しかして、かかる構成からなるものであれば、図外の前記定量ポンプCFPから一定流量の流体を計測用流路Bに送り込むようにすると、まず第1オリフィスO1でP1だけ圧力降下し、次いで第2オリフィスO2でP2だけ圧力降下して、流体が各オリフィスを流通することになる。しかるに、流量一定でも各オリフィスの内径が異なるから、第1オリフィスO1と第2オリフィスO2での流速は異なり、それらの内径D1、D2等のファクターが各々既知であるから、一定流量Qに対する各オリフィスでの平均ずり速度を知ることが可能である。したがって、前記差圧計S1、S2により各オリフィス間での差圧P1、Pを測定すれば、前記公式を基に第1オリフィスO1と第2オリフィスO2でのずり速度に対応した2点での粘度η1、η2を算出することができる。
そして、このような粘度測定結果からは、まず第1に粘度η1とη2が等しければ、流体がニュートン流体であると推定することができる。また第2には、両測定値が相違すれば流体が非ニュートン流体であることが知れ、さらに第3にその測定粘度η1、η2を第3図のようにプロットすることにより、同図実線で示されるような流体の粘度変化特性の概要を推測することができる。
このように、本考案に係る細管式粘度計を用いれば、粘度計測用流路Bに異径オリフィスO1、O2を複数に介設するだけの簡易な工夫により、一定流量条件下でずり速度の違う2点での粘度測定が可能となり、流体の粘度変化を連続的に測定できることは勿論、特に非ニュートン流体の場合の性状を的確に把握することができる。
なお、上掲の実施例では2個の異径オリフィスを列設する場合について述べたが、必要なら内径の大きい順に上流側から配することを条件に3個以上のオリフィスを介設するようにしてもよい。」
(引3-ウ)第2図
「
[図:0001413837000003.jpg]
」
(引3-エ)第3図
「
[図:0001413837000004.jpg]
」
イ 引用文献3の記載から看取できる事項
上記(引3-エ)の第3図から、ずり速度Dsに対して測定粘度ηをプロットし、直線近似することが看取できる。
ウ 引用文献3に記載された技術事項
上記イを踏まえると、上記(引3-ア)ないし(引3-エ)の記載から、引用文献3には、以下の2つの技術事項が記載されていると認められる。
「非ニュートン流体であるポリマーを取扱うプラント装置では、ずり速度Dsの変化によって粘度が変化するので、流体粘度の変化を刻々測定できると同時に、その流体の性状を察知できる測定手段が要求されること」(以下「引用文献3A技術事項」という。)
「粘度計測用流路に、それぞれ入口側O1in、O2inと出口側O1out、O2outとの差圧を検出する差圧検出手段S1、S2を備えた内径の異なる複数のオリフィスO1、O2を、上流側から順に内径の大きいものを配するようにして直列に介設し、一定流量の流体を粘度計測用流路に送り込み、差圧検出手段S1、S2で測定した各オリフィス間での差圧P1、Pから第1オリフィスO1と第2オリフィスO2での相違したずり速度に対応した2点での粘度η1、η2を同時に算出し、粘度η1とη2が等しければ、流体がニュートン流体であると推定し、両測定値が相違すれば流体が非ニュートン流体であると判定し、その測定粘度η1、η2をずり速度Dsに対してプロットして直線近似することにより、流体のずり速度Dsに対する粘度変化特性の概要を推測すること」(以下「引用文献3B技術事項」という。)
(4)引用文献5について
ア 引用文献5には、以下の記載がある。
(引5-ア)「A concentration detector 34 such as a differential refractometer cell is placed at the end of the stream. Other types of concentration detectors such as ultraviolet or infrared devices may be used depending upon the particular type of sample used. After it passes the concentration detector 34, the sample stream empties into a waste receptacle 36. Where the concentration of the sample is known, a concentration detector is not needed in order to calculate either the inherent or intrinsic viscosity of the polymer.」
(当審訳:示差屈折計セルのような濃度検出器34が流れの端部に配置されている。紫外線又は赤外線デバイスのような他のタイプの濃度検出器が、使われる試料の特定のタイプに応じて使用されてもよい。濃度検出器34を通った後、試料の流れは廃棄容器36に注がれる。試料の濃度が知られている場合は、ポリマーの対数粘度又は固有粘度を計算するためには、濃度検出器は必要ではない。)
イ 引用文献5に記載された技術事項
上記(引5-ア)の記載から、引用文献5には、
「示差屈折計セルを濃度検出器として使用すること」
という技術事項(以下「引用文献5技術事項」という。)が記載されていると認められる。
3 本願発明と引用発明との対比
(1)引用発明の「Aポリマー合成のまさにその過程において、ポリマー刺激応答性がどのように進展するかをモニタリングする装置」は、本願発明の「装置」に相当する。
(2)引用発明の「ACOMP検出器トレイン(105)」が備える「単一の毛細管粘度計」、「2列の検出器(14)」が備える「単一毛細管粘度計」、及び、「自動-SEC (107)」に配備された「単一毛細管粘度計」は、それぞれ本願発明の「粘度計」に相当する。
(3)ア 本願発明において「前記時間間隔は重合反応プロセスの間であり」と特定されているから、本願発明の「時間間隔中」は、「重合反応プロセスの期間内」を意味すると解される。
また、引用発明の「ポリマー合成」は、「共重合多価電解質合成」であるところ、引用発明の「共重合多価電解質合成反応」は、本願発明の「重合反応」に含まれる。
そうすると、引用発明の「ポリマー合成のまさにその過程」の期間は、本願発明の「時間間隔中」に相当するといえる。
イ 引用発明の「ACOMP検出器トレイン(105)へ供給」される「最終希釈レベルとなった希釈された流体」及び「静的光散乱セル(110)」に「供給される」「希釈物」は、それぞれ本願発明の「試料溶液」に相当する。
ウ(ア)引用発明の「最終希釈レベルとなった希釈された流体を毛細管を介して」「単一の毛細管粘度計」「を備えた」「ACOMP検出器トレイン(105)へ供給する高圧混合ステージ」の「HPLCポンプ」、及び、「自動-SEC (107)」に配備された「HPLCポンプ」は、それぞれ本願発明の「ポンプ」に相当する。
(イ)また、引用発明において、「マルチヘッド蠕動ポンプ(12)からのリアクター流体と第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)からの希釈流体を」「混合“Ts”(13)」が受け、「混合”Ts”(13)からの希釈物が」「10個の静的光散乱セル(110)」へ「供給され」、その「出口ストリームにより連続して」「10個の単一毛細管粘度計」に「供給される」から、引用発明は、「マルチヘッド蠕動ポンプ(12)」及び「第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)」により「希釈物」を「10個の単一毛細管粘度計」に供給しているといえる。
そうすると、引用発明の「マルチヘッド蠕動ポンプ(12)」及び「第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)」もまた、合わせて本願発明の「ポンプ」に相当する。
エ 毛細管粘度計が、被検流体が毛細管の内部をあるせん断速度で流れる時の圧力降下を測定するものであることは、技術常識である。
オ(ア)上記アないしエを踏まえると、引用発明の「ポリマー合成のまさにその過程において」、「最終希釈レベルとなった希釈された流体を毛細管を介して」「単一の毛細管粘度計」「を備えた」「ACOMP検出器トレイン(105)へ供給する高圧混合ステージ」の「HPLCポンプ」、及び、「単一毛細管粘度計」が配備された「自動-SEC (107)」に配備された「HPLCポンプ」の2つの「HPLCポンプ」と、本願発明の「時間間隔中に前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成された少なくとも1つのポンプであって、前記2つ以上の粘度計の各々が異なるせん断速度で同じ試料溶液を測定する、ポンプ」とは、「時間間隔中に前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成された少なくとも1つのポンプであって、前記2つ以上の粘度計があるせん断速度で試料溶液を測定する、ポンプ」の点で共通する。
(イ)また、引用発明の「ポリマー合成のまさにその過程において」、「マルチヘッド蠕動ポンプ(12)からのリアクター流体と第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)からの希釈流体を」「混合“Ts”(13)」が受け、「混合“Ts”(13)からの希釈物が」「10個の静的光散乱セル(110)」へ「供給され」、その「出口ストリームにより連続して」「10個の単一毛細管粘度計」に「供給される」ところの「マルチヘッド蠕動ポンプ(12)」及び「第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)」と、本願発明の「時間間隔中に前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成された少なくとも1つのポンプであって、前記2つ以上の粘度計の各々が異なるせん断速度で同じ試料溶液を測定する、ポンプ」とは、「時間間隔中に前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成された少なくとも1つのポンプであって、前記2つ以上の粘度計があるせん断速度で試料溶液を測定する、ポンプ」の点で共通する。
(4)ア 引用発明の「マイクロコンピュータコントローラ(106)」は、本願発明の「コンピュータシステム」に相当する。
イ(ア)引用発明の「ACOMP検出器トレイン(105)」が備える「単一の毛細管粘度計」、及び、「自動-SEC (107)」に配備された「単一毛細管粘度計」は、それぞれ「最終希釈レベルとなった希釈された流体」の粘度を測定するためのものであり、「2列の検出器(14)」が備える「10個の単一毛細管粘度計」は、「希釈物」の粘度を測定するためのものであり、これらの粘度は「マイクロコンピュータコントローラ(106)」により算出されるといえる。
そして、引用発明のこれらの粘度は、本願発明の「レオロジー特性」に含まれる。
(イ)また、引用発明の「瞬間的重量平均ポリマー還元粘度」及び「還元粘度(reduced viscosity)」も、本願発明の「レオロジー特性」に含まれる。
ウ 上記ア及びイ並びに(3)エを踏まえると、引用発明の「ポリマー合成のまさにその過程において」、「自動-SEC (107)」に配備された「単一毛細管粘度計」「で得た測定値を処理し」、「単一の毛細管粘度計」「を備えた」「ACOMP検出器トレイン(105)での信号」から「瞬間的重量平均ポリマー還元粘度」を「生成し」、「10個の単一毛細管粘度計」「を備えた2列の検出器(14)」「から得られる情報から、還元粘度(reduced viscosity)」「を生成」する「マイクロコンピュータコントローラ(106)」と、本願発明の「前記2つ以上の粘度計において、同時に、少なくとも2つのせん断速度下の前記試料溶液の前記時間間隔中にレオロジー特性を監視し測定するように構成されたコンピュータシステム」とは、「前記2つ以上の粘度計において、あるせん断速度下の前記試料溶液の前記時間間隔中にレオロジー特性を監視し測定するように構成されたコンピュータシステム」の点で共通する。
(5)ア 引用発明の「ACOMP検出器トレイン(105)」が備える「単一の毛細管粘度計」を用いて測定されるといえる「最終希釈レベルとなった希釈された流体」の粘度、「自動-SEC (107)」に配備された「単一毛細管粘度計」「で得た測定値を処理し」て得ているといえる粘度、及び、「2列の検出器(14)」が備える「10個の単一毛細管粘度計」を用いて測定されるといえる「希釈物」の粘度は、それぞれ本願発明の「前記試料溶液の粘度」に相当する。
そうすると、引用発明は、本願発明の「前記レオロジー特性は、異なるせん断速度における前記試料溶液の粘度を含」む構成と、「前記レオロジー特性は、あるせん断速度における前記試料溶液の粘度を含」む点で共通する構成を備えている。
イ 上記(3)アの対比から、「ポリマー合成のまさにその過程」における「ポリマー合成」が「共重合多価電解質合成反応」である引用発明は、本願発明の「前記時間間隔は重合反応プロセスの間であ」る構成に相当する構成を備えている。
ウ 引用発明において、「最終希釈レベルとなった希釈された流体」は「ACOMP検出器トレイン(105)へ1ml/1分の割合で連続的に供給」され、「マルチヘッド蠕動ポンプ(12)」は「分離した0.01ml/minのマイクロストリームを引き出」し、「第2マルチヘッド蠕動ポンプ(15)」は「溶媒を0.5mL/minの割合で抽出」し、「希釈物が」「2列の検出器(14)」が備える「10個の単一毛細管粘度計」に「連続して供給され」るから、引用発明は、本願発明の「測定が時間間隔にわたって前記反応を含む試料の連続流で行われ」る構成に相当する構成を備えているといえる。
4 一致点及び相違点
そうすると、本願発明と引用発明とは、
「装置であって、
2つ以上の粘度計と、
時間間隔中に前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成された少なくとも1つのポンプであって、前記2つ以上の粘度計があるせん断速度で試料溶液を測定する、ポンプと、
前記2つ以上の粘度計において、あるせん断速度下の前記試料溶液の前記時間間隔中にレオロジー特性を監視し測定するように構成されたコンピュータシステムと、を備え、
前記レオロジー特性は、あるせん断速度における前記試料溶液の粘度を含み、前記時間間隔は重合反応プロセスの間であり、測定が時間間隔にわたって前記反応を含む試料の連続流で行われる、
前記装置。」
の発明である点で一致し、次の2点において相違する。
(相違点1)
本願発明は、装置が、「前記時間間隔にわたって前記反応を含む前記試料溶液の非ニュートン挙動の度合いを決定するように、前記試料溶液の前記レオロジー特性を測定するよう構成され、前記非ニュートン挙動はせん断流動化を含」み、前記レオロジー特性に含まれるあるせん断速度における前記試料溶液の粘度が、「異なるせん断速度」におけるものであって、コンピュータシステムが前記2つ以上の粘度計において監視し測定するレオロジー特性が、「同時に、少なくとも2つのせん断速度における前記試料溶液」に対するものであり、そのための構成として、少なくとも1つのポンプが、「前記2つ以上の粘度計の各々が異なるせん断速度で同じ試料溶液を測定する」ように、前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成されているのに対し、引用発明は、「せん断流動化を含む非ニュートン挙動の度合い」を決定するものではなく、ACOMP検出器トレイン(105)が備える単一の毛細管粘度計、自動-SEC (107)が配備する単一毛細管粘度計、及び2列の検出器(14)が備える10個の単一毛細管粘度計が、「異なるせん断速度で同じ試料溶液を測定する」ものではない点。
(相違点2)
本願発明は、「前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器」を備えるのに対し、引用発明は、濃度を測定する検出器を備えることは特定されていない点。
5 判断
(1)相違点1について
ア 引用文献3A技術事項の「ずり速度Ds」は、本願発明の「せん断速度」に相当する。
引用文献2技術事項及び引用文献3A技術事項から、ポリマーはせん断速度に依存して粘度が変化する非ニュートン流体の特性を有していることが理解できる。そして、当該ポリマーの特性は、従来周知な事項である(以下、当該周知な事項を「周知事項1」という。)。
また、引用文献2技術事項及び引用文献3A技術事項から、ポリマーを扱う製造工程では、ポリマーのせん断速度に対する流動特性を把握している必要があることが理解できる。そして、当該必要性は、ポリマーを扱う技術分野において周知の課題である(以下、当該周知な事項を「周知事項2」という。)。
イ 上記(引1-イ)の
「新しいポリマーの発見と開発には、基本的問題及び応用問題を解決し、プロセスを最適化することができる複雑な解析手法を必要とする。現在、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、核磁気共鳴(NMR)等の技術を用いて最終生成物の合成後分析を行なわれているが、ポリマー特性の発展に関する情報はもたらすことは殆どなく、制御をする機会がない。反応(例えば、光散乱、粘性等)を、連続的又はほぼ連続的にモニターする柔軟な検出プラットフォームを利用して、ACOMPは、転換動力学、組成ドリフト、平均組成分布の進展、モル質量の進展、及び固有粘度分布の進展の追跡を行なう。」、
上記(引1-エ)の
「本発明の合成中モニタリングの概念は、ポリマーは合成中に進展することから、連続的に変化する分子量、組成及びその他の分子特性(例えば、多価電解質線形電荷密度、ポリマー分岐、架橋、他の分子及びポリマーに対する“クリッキング”等)に対する刺激応答性の進展をモニターすることである。これは、これまでのあらゆる伝統的方法とは異なるし、また、平行して行われる複数反応の最終生成物だけを分析し、ポリマーパラメータの個別変化を測定するにすぎない最新のハイスループット方法とも異なるものである。換言すれば、個々に合成された最終生成物の単なる試料採取ではなく、最終生成物の完全な連続体の等価物に基づいて刺激応答性を評価することができる。」、及び、
上記(引1-オ)の
「【0066】・・・ACOMPは、反応の結果を予測してフィードバックする(即ち、最適な反応プロセスを予測するのに、ACOMPにより提供される正確な反応動力学及び特性を用いる)ことにより、反応を制御できるところまで成熟してきている。これらのシナリオでは、所望の分子量及び組成分布、グラフティング度等の作成を案内するのにモニタリングが用いられる。」
との記載から、引用発明は、ポリマーは合成中に進展することから、新しいポリマーの発見と開発のために、反応中の粘性等を連続的にモニターしてその進展を追跡したり、所望の分子量やグラフティング度等のポリマーの作成を案内するために、反応中の粘性等を連続的にモニターして最適な反応プロセスを予測したりすることを、想定したものといえる。
ウ そして、新しいポリマーの発見と開発や、最適な反応プロセスの予測をするためには、周知事項2の課題から、周知事項1に係る粘度変化の程度を反応中にモニタリングすることが有効であるといえる。
そうすると、引用発明には、周知事項1に係る粘度変化の程度をモニタリングする動機があるといえる。
エ ここで、引用文献3B技術事項の「第1オリフィスO1」と「差圧検出手段S1」、及び、「第2オリフィスO2」と「差圧検出手段S2」は、それぞれ本願発明の「粘度計」に相当し、引用文献3B技術事項の「ずり速度Ds」は、本願発明の「せん断速度」に相当するから、引用文献3B技術事項の「一定流量の流体を粘度計測用流路に送り込み、差圧検出手段S1、S2で測定した各オリフィス間での差圧P1、Pから第1オリフィスO1と第2オリフィスO2での相違したずり速度に対応した2点での粘度η1、η2を同時に算出」する構成は、本願発明の「2つ以上の粘度計の各々が異なるせん断速度で同じ試料溶液を測定する」構成及び「前記2つ以上の粘度計において、同時に、少なくとも2つのせん断速度下の前記試料溶液の」「レオロジー特性を」「測定する」構成に相当する。
オ また、引用文献3B技術事項の「粘度η1とη2」の「両測定値が相違す」ることは、本願発明の「非ニュートン挙動」に相当し、引用文献3B技術事項における「両測定値」の「相違」が、「粘度η2」が「粘度η1」に対して低下するものであることは、本願発明の「せん断流動化」に相当する。
そして、引用文献3B技術事項の「測定粘度η1、η2をずり速度Dsに対してプロットして直線近似することにより、流体のずり速度Dsに対する粘度変化特性の概要を推測すること」は、本願発明の「試料溶液の非ニュートン挙動の度合いを決定する」ことに相当する。
カ 以上のことから、ポリマー合成のまさにその過程において、せん断速度に依存して粘度が変化する非ニュートン流体の特性をモニタリングすべく、引用発明の「ACOMP検出器トレイン(105)」が備える「単一の毛細管粘度計」、「自動-SEC (107)」に配備される「単一毛細管粘度計」若しくは「2列の検出器(14)」が備える「10個の単一毛細管粘度計」のいずれかに代えて、又は、これらに加えて、引用文献3B技術事項の「それぞれ入口側O1in、O2inと出口側O1out、O2outとの差圧を検出する差圧検出手段S1、S2を備えた内径の異なる複数のオリフィスO1、O2を、上流側から順に内径の大きいものを配する」構成の2つの粘度計を採用し、「マイクロコンピュータコントローラ(106)」で「差圧検出手段S1、S2で測定した各オリフィス間での差圧P1、Pから第1オリフィスO1と第2オリフィスO2での相違したずり速度に対応した2点での粘度η1、η2を同時に算出」し、「測定粘度η1、η2をずり速度Dsに対してプロットして直線近似することにより、流体のずり速度Dsに対する粘度変化特性の概要を推測する」ようにして、上記相違点1に係る本願発明の特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
(2)相違点2について
ア 引用発明は、マイクロコンピュータコントローラ(106)が、ACOMP検出器トレイン(105)での信号から瞬間的重量平均ポリマー還元粘度を生成し、静的光散乱セル(110)、並びに、単一毛細管粘度計及び蛍光検出セルを備えた2列の検出器(14)を通って流れる最終イオン強度が異なる希釈溶液から得られる情報から、還元粘度(reduced viscosity)を生成するものである。
そして、還元粘度は、比粘度を溶質の濃度で割ったものであるから、引用発明において、瞬間的重量平均ポリマー還元粘度や還元粘度(reduced viscosity)を生成するためには、「ACOMP検出器トレイン(105)」を流れる「最終希釈レベルとなった希釈された流体」や「2列の検出器(14)」を流れる「希釈物」中の溶質、すなわち、「ジャケット重合リアクター(101)からの抽出」した物質の濃度を把握する必要がある。
イ ここで、引用文献5技術事項のように示差屈折計セルを濃度検出器として使用することは従来周知である(以下、当該周知な事項を「周知事項3」という。)。
ウ そうすると、3(4)イ(イ)において認定したとおりレオロジー特性として還元粘度を生成(測定・監視)する引用発明において、該還元粘度を生成するために必要な「ジャケット重合リアクター(101)からの抽出」した物質の濃度を確認するために、周知事項3に基づいてACOMP検出器トレイン(105)が備える「示差屈折計」を濃度検出器として使用したり、新たに濃度検出器を追加したりして、上記相違点2に係る本願発明の特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
なお、上記(引5-ア)には、「試料の濃度が知られている場合は、ポリマーの対数粘度又は固有粘度を計算するためには、濃度検出器は必要ではない」と記載されているが、当該記載は、濃度検出器を設けることを否定するものではない。
(3)本願発明の奏する作用効果について
本願発明によってもたらされる効果は、引用文献1ないし3及び5の記載事項から当業者が予測し得る程度を超えるものとはいえない。
(4)小括
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献3B技術事項及び周知事項1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
なお、上記第2において本件補正は却下されたが、仮に、本件補正が認められるとしても、本件補正前後の請求項1の記載は一部の表記が異なるのみであって、本件補正後の請求項1に係る発明は本願発明と実質的に同一であるから、本件補正後の請求項1に係る発明は、本願発明と同じ理由により、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(5)請求人の主張について
ア(ア)請求人は、審判請求書及び本件上申書において、概ね以下の主張をする。
a 本願明細書の開示は、製造中のポリマーの固有粘度と非ニュートン挙動を同時に決定するための装置および方法に関するものである。
b 引用文献2ないし6は、請求項1に記載された「前記2つ以上の粘度計において、同時に、少なくとも2つのせん断速度下の前記試料溶液の前記時間間隔中にレオロジー特性を監視し測定するように構成されたコンピュータシステム」を開示しておらず、請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明との相違点を埋めることができない。
(イ)上記(ア)における請求人の主張について検討する。
a 上記(ア)aの主張について
本願発明は、「重合反応プロセスの間」に「試料溶液の粘度」を「監視し測定するように構成されたコンピュータシステム」を備えることを、その発明特定事項として含んでいるが、「試料溶液の粘度」は、試料溶液に含まれるポリマーの「固有粘度」ではなく、本願発明は、製造中のポリマーの固有粘度を決定することを、その発明特定事項とするものではないから、請求人の上記(ア)aの主張は、本願発明の進歩性についての判断に影響するものではない。
b 上記(ア)bの主張について
上記(1)で説示したとおり、引用文献3B技術事項は、「2つ以上の粘度計において、同時に、少なくとも2つのせん断速度下の試料溶液のレオロジー特性を測定する」ことに相当する構成を開示しており、引用発明に当該構成を採用することには動機がある。
そして、引用文献3が上記の構成を開示するものであることは、原査定の備考において、「異なる径の毛細管を複数準備することで、異なるせん断速度における粘度が算出できることは、引用文献3(第3頁第7行-第8頁第1行,第1-3図)及び引用文献4(第3欄第48行-第4欄第16行,第1図)に記載のとおり公知技術に過ぎない。特に、引用文献3及び4は、ポリマーに関するものであり、特に引用文献3には、せん速度(当審注:「せん速度」が「せん断速度」の誤記であることは明らかである。)と粘度の関係を求めることについても記載がある。」との記載により指摘していたことである。
したがって、請求人の上記(ア)bの主張は、採用できない。
イ(ア)請求人は、本件上申書において、発明の詳細な説明の段落【0021】ないし【0029】等の記載を根拠に、請求項1の記載を以下のように補正する補正案を提示している(下線は請求人が付したものである。)。
「装置であって、
2つ以上の粘度計と、
時間間隔中に前記2つ以上の粘度計を介して試料溶液を導入するように構成された少なくとも1つのポンプであって、前記2つ以上の粘度計の各々が異なるせん断速度で同じ試料溶液を測定する、ポンプと、
前記時間間隔中に前記試料溶液のポリマー濃度を測定する検出器と、
前記2つ以上の粘度計において、同時に、少なくとも2つのせん断速度下の前記試料溶液の前記時間間隔中にレオロジー特性を監視し測定するように構成されたコンピュータシステムと、を備え、
前記コンピュータシステムは、低下した粘度ηr対平均せん断速度<γ>を決定することによって非ニュートン挙動の度合いを決定するようプログラムされており、ηrは前記ポリマー濃度に依存し、
前記レオロジー特性は、異なるせん断速度における前記試料溶液の前記低下した粘度を含み、前記時間間隔は重合反応プロセスの間であり、測定が前記反応を含む時間間隔にわたって試料の連続流で行われ、前記装置は前記反応を含む前記時間間隔にわたって前記試料溶液の非ニュートン挙動の度合いを決定するように、前記試料溶液の前記レオロジー特性を測定するよう構成され、前記非ニュートン挙動はせん断流動化を含む、
前記装置」
(イ)そこで、上記(ア)の補正案について検討する。
a 発明の詳細な説明の「【0024】
粘度ηoの純粋流体に固有粘度[η]のポリマーを濃度Cpで加えた場合の合計流体粘度は、以下により与えられ:
[図:0001413837000005.jpg]
【0025】
L及びRが既知である毛細管にわたって、所定のQで差圧変換器で圧の低下ΔPを測定することにより、直接測定される。[η]は、ポリマー固有粘度(IV)であり、これはポリマー濃度をゼロに近づけていった場合に低下した粘度が近づいてく極限値である。低下した粘度ηr(すなわちRV)は、測定されたηから、以下により求められ:
[図:0001413837000006.jpg]
【0026】
式中、Vは、圧変換器からの電圧または他のシグナル(例えば圧そのもの)であり、cは、既知のまたは測定されたポリマー濃度である。」(下線は当審で付した。)との記載によれば、補正案における「低下した粘度ηr」は、「測定されたポリマー溶液の粘度η」と「溶媒の粘度ηo」との比である「相対粘度」から1を引いて得られる「比粘度」を、「ポリマー濃度c」で割ったものであるから、通常、還元粘度と呼ばれるものである。
そして、引用発明は、「瞬間的重量平均ポリマー還元粘度」や「還元粘度(reduced viscosity)」を生成している。
そのため、レオロジー特性が「低下した粘度」を含むことは、引用発明との相違点とはならない。
b せん断速度として平均せん断速度を用いることは、通常行われており、引用文献3B技術事項においても、ずり速度Dsとして平均せん断速度を用いていると解される。また、仮に、引用文献3B技術事項のずり速度Dsが平均せん断速度であるとはいえないとしても、平均せん断速度を用いることは設計事項にすぎない。
c そして、引用発明は、「瞬間的重量平均ポリマー還元粘度」や「還元粘度(reduced viscosity)」を生成するものであるから、引用発明に引用文献3B技術事項を採用する際、測定粘度をずり速度に対してプロットすることに代えて、又は、加えて、還元粘度を平均せん断速度に対してプロットするようにすることは、具体化に伴う設計変更にすぎない。
d したがって、補正案の請求項1に記載された発明は、本願発明と同様に、引用発明、引用文献3B技術事項及び周知事項1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-005128