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特許拒絶査定不服審判

2024-009885

例えば汚染マスクで使用するための粒子感知システム

審判番号
2024-009885
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-559402
請求日
2024年06月13日
審決日
2025年06月10日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 【請求人代理人】弁理士法人M&Sパートナーズ
審判長/審判官
  • 審判長 加々美 一恵
  • 審判官 北島 拓馬
  • 審判官 宮澤 浩
分類
P18 .121-Z (G01N) / P18 .572-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-559402「例えば汚染マスクで使用するための粒子感知システム」拒絶査定不服審判事件〔令和2年10月15日国際公開、WO2020/207908、令和4年6月2日国内公表、特表2022-527563〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)4月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年4月11日、(CN)中国 2019年7月23日、(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和5年12月22日付けの拒絶理由の通知に対し、令和6年3月13日に意見書が提出されたが、同年4月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月13日に審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正前の請求項1に係る発明 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。 「 空気室と、 干渉ベースの粒子センサであって、 光を光路に沿って前記空気室に放出するための光源、 放出された光と、検出区域の粒子状物質によって検出器の方に反射された光との間の干渉に依存する検出信号を供給するための検出器、及び 前記粒子状物質によって反射された光の受光に基づいて粒子状物質の数又は濃度を決定するためのプロセッサを含む、干渉ベースの粒子センサと、 光学ユニットから前記検出器への直接反射を抑制する、前記光路に沿った光学ユニットであって、前記光学ユニットが前記光路に沿って前記検出区域の下流にある、光学ユニットと を含む、粒子感知システム。」 (2)本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。 「 空気室と、 干渉ベースの粒子センサであって、 光を光路に沿って前記空気室に放出するための光源であって、前記光路が前記光源への戻りを含む、当該光源、 放出された光と、検出区域の粒子状物質によって検出器の方に反射された光との間の干渉に依存する検出信号を供給するための検出器であって、前記光源に戻る光を検出する当該検出器、及び 前記粒子状物質によって反射された光の受光に基づいて粒子状物質の数又は濃度を決定するためのプロセッサを含む、干渉ベースの粒子センサと、 光学ユニットから前記検出器への直接反射を抑制する、前記光路に沿った光学ユニットであって、前記光学ユニットが前記光路に沿って前記検出区域の下流にある、光学ユニットと を含む、粒子感知システム。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「光源」について、「光路が前記光源への戻りを含む」ように配置されることを限定するとともに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「検出器」について、「光源に戻る光を検出する」ように配置されることを限定するものである。 本件補正は、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 3 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に記載したとおりのものである。 4 引用文献 (1)引用文献1 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の最先の優先権主張の日(以下「最先の優先日」という。)前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2018-525606号公報(平成30年9月6日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、引用発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。 (ア)技術分野 「【0001】 本発明は、粒子密度検出のための自己混合干渉を用いるレーザセンサ又はレーザセンサモジュール、及び、これらに関連する粒子密度検出方法に関する。」 (イ)発明が解決しようとする課題 「【0004】 本発明の目的は、粒子密度検出のための改善されたレーザセンサを提供することである。」 (ウ)課題を解決するための手段 「【0005】 第1の態様によれば、粒子密度検出のためのレーザセンサモジュールが提供される。レーザセンサモジュールは、少なくとも1つの第1のレーザと、少なくとも1つの第1の検出器と、少なくとも1つの電気駆動部と、を有する。第1のレーザは、少なくとも1つの電気駆動部によって供給される信号に応じて第1のレーザ光を放出するように構成される。少なくとも1つの第1の検出器は、第1のレーザの第1のレーザキャビティ内の光波の第1の自己混合干渉信号を検出するように構成される。第1の自己混合干渉信号は、第1のレーザ光の少なくとも一部を受ける粒子によって反射された、第1のレーザキャビティに再入射する第1の反射レーザ光によって引き起こされる。レーザセンサモジュールは、粒子の多重カウントを低減させるように構成される。 ・・・ 【0009】 レーザセンサモジュールは、コントローラを更に有していてもよい。コントローラは、粒子をカウントするためにセンサによって供給される第1の自己混合干渉信号を評価するように構成されてもよく、また、コントローラは、粒子の検出を中断するように構成されてもよい。コントローラは、例えば、所定期間、第1のセンサによって供給される第1の自己混合干渉信号の評価を中断するように構成されてもよい。 ・・・ 【0015】 例えば、第1の検出器などの1つの共通の検出器が、第1の自己混合干渉信号、第2の自己混合干渉信号、及び、レーザアレイの第3、第4、第5などのレーザによって生成され得る更なる自己混合干渉信号を検出するために使用されてもよい。1つの共通の検出器を使用すると、ある時点で異なる粒子の多重粒子検出を引き起こすことがある。この多数の自己混合干渉信号の識別は困難であるか、より高度なコントローラが使用され得る。コントローラは、例えば、粒子密度に依存し、電気駆動部によって、レーザアレイに含まれるレーザの少なくとも一部をスイッチオフするように構成され得る。コントローラは、特に、決定された粒子密度が連続的に上昇した場合、レーザ光を放出するレーザアレイのレーザの数が連続的に減少するように電気駆動部を制御するように構成されてもよい。或る瞬間に1つの粒子しかカウントされないという状況を達成するために、動作するレーザの数をある程度減らすことができる。より一般的には、検出された粒子濃度に依存して使用されるレーザの最適数を決定するアルゴリズムを適用することができる。濃度が低いと使用されるレーザの数が多くなる。このとき、ノイズは大きくなるものの、スキャンするボリュームは大きくなる。濃度が高いと使用されるレーザの数が少なくなる。このとき、ノイズは少なくなるものの、スキャンされるボリュームが小さくなる。これらの手段によって、検出速度及び精度が向上し得る。」 (エ)発明を実施するための形態 「【0026】 以下、本発明の様々な実施形態が、図により説明される。 ・・・ 【0032】 図2は、第2のレーザセンサモジュール100の原理図を示している。第2のレーザセンサモジュールは、第1のレーザ110を有する。第1の検出器120が、第1のレーザキャビティに印加される電圧、又は、より一般的には、第1の自己混合干渉信号によって影響を受ける第1のレーザキャビティのインピーダンスを決定する外部測定回路として配置されている。第1のレーザセンサモジュール100は、電気駆動部130を更に有する。電気駆動部130は、第1のレーザ光を放射するために、第1のレーザ110に電力を供給する。第1のレーザ110は、この場合、側面発光型半導体レーザである。レーザセンサモジュール100は、電気駆動部130によって変調及び供給される電力を供給する電力供給装置(図示省略)に接続されている。電気駆動部130は、第1のレーザ光が第1のレーザ110によって放出されるように一定の駆動電流を供給する。電気駆動部130は、第1の自己混合干渉信号による粒子の二重カウント又は複数カウントのリスクが回避又は少なくとも低減されるように、1ms間、第1のレーザ光の放射を中断するように更に構成される。レーザセンサモジュール100は、規定の粒子速度を供給するための装置を更に有する。決定された粒子速度を供給するための装置は、透明管182と、管内部の気体又は空気を移動させるためのファン180と、を有する。ファン180の速度は、第1のレーザ光の放射の中断時間に適合される。規定の粒子速度を供給するため、ファン180の代わりに、ポンプが使用されてもよい。 【0033】 代替的に、ヒータ/クーラが、対流により空気移動を供給するために配置されてもよい。空気の移動に関する情報は、粒子密度の決定を精緻化するために使用されてもよい。ファンは、例えば、レーザセンサモジュール又は第1の自己混合干渉信号及び追加情報に基づいて粒子密度を決定するように構成されたコントローラ又は処理装置を有する外部装置のいずれかに、空気流量についての情報を供給するように構成されてもよい。 【0034】 レーザセンサモジュール100は、代替的に、又は、追加的に、装置内に一体化されていてもよく、装置周囲の空気を移動させるために、装置が、移動されてもよい。動きセンサのような追加のセンサが、装置の移動を決定するとともに、装置周囲の空気の移動を間接的に決定するために使用されてもよい。移動に関する情報は、粒子密度を決定するために使用され得る。 ・・・ 【0036】 図4は、第4のレーザセンサモジュール100の原理図を示している。第4のレーザセンサモジュール100は、一体化された第1の検出器120を具備する第1のレーザ110を有する。一体型の第1の検出器120は、第1のレーザ110のレイヤ構造の一部である一体型フォトダイオードである。第4のレーザセンサモジュール100は、電気駆動部130と、コントローラ140と、第1の光学装置150と、を更に有する。コントローラ140は、第1のレーザ110に接続され、又は、より正確には、第1の検出器120及び電気駆動部130に接続される。電気駆動部130は、第1のレーザ光を放射するため、第1のレーザ110に電力を供給する。第1のレーザ110は、この場合、一体型フォトダイオードを具備する垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。レーザセンサモジュール100は、電気駆動部130によって変調及び供給される電力を供給する電源(図示省略)に接続される。電気駆動部130は、一定の駆動電流を供給する。コントローラ140は、第1の自己混合干渉信号によって引き起こされる第1の検出器120により供給される電気信号を受信する。コントローラ140は、電気駆動部130から情報を更に受ける。第1のレーザ110により放射された第1のレーザ光は、第1の光学装置150によって、第1の焦点領域155に集束される。粒子は、第1の焦点領域155の周囲の範囲内で検出され得る。コントローラ140は、粒子を検出した際の対応する制御信号により粒子を検出後、3ms間、第1のレーザ110をオフに切り替えるように更に構成される。粒子の二重カウント又は複数カウントが回避される、又は、少なくとも低減されるように、粒子は、第1のレーザ光の検出の中断中に、第1の焦点領域155を通過させられる。 【0037】 第1の光学装置150は、例えば、規定の直径rlensを有するただ一つのレンズを有していてもよい。第1の自己混合干渉信号は、(1-exp[-(rlens/wpupil)^2])^2としてスケーリングされる。ここで、wpupilは、レンズ瞳孔における第1のレーザ光のガウシアンビームのウエストパラメータ(waist parameter)である。レンズは、第1のレーザ光の後方散乱ビーム又は反射ビームの口径食(ケラレ)による信号損失を回避するため、或る最小直径を有すべきである。好ましい実施形態は、レンズ直径>1.1瞳孔直径(これは、3dBの信号損失に対応する)を有する。ガウシアンビームの1.5倍の瞳孔直径(1dBの信号損失)より大きいレンズがより優れている。 ・・・ 【0050】 本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、例示的であって制限的ではないとみなされるべきである。 【0051】 本開示を読むことで、他の修正例が、当該技術分野における当業者にとって明らかであろう。かかる修正例は、当該技術分野において既知であり、ここで説明された特徴の代わりに、又は、当該特徴に追加して使用され得る、他の特徴を含んでいてもよい。」 合議体注:図2及び図4は、以下のものである。 [図:0001429625000001.jpg] イ 引用文献1に記載された発明 上記記載事項(ア)及び(ウ)に基づけば、引用文献1には、「粒子密度検出のための自己混合干渉を用いるレーザセンサモジュール」が開示されており、レーザセンサモジュールが「少なくとも1つの第1のレーザと、少なくとも1つの第1の検出器と、少なくとも1つの電気駆動部と、を有する」こと、第1の検出器が「第1のレーザの第1のレーザキャビティ内の光波の第1の自己混合干渉信号を検出するように構成」され、第1の自己混合干渉信号は、「第1のレーザ光の少なくとも一部を受ける粒子によって反射された、第1のレーザキャビティに再入射する第1の反射レーザ光によって引き起こされる」ことが記載されている。さらに、記載事項(ウ)には、レーザセンサモジュールが、「コントローラ」を更に有すること、コントローラは、「粒子をカウントするためにセンサによって供給される第1の自己混合干渉信号を評価するように構成」されることが記載されている。 そして、「粒子密度検出のための自己混合干渉を用いるレーザセンサモジュール」の実施形態の1つとして、上記記載事項(エ)には、図2の「第2のレーザセンサモジュール100の原理図」に示される「第2のレーザセンサモジュール100」が記載されている。ここで、図2に基づけば、第1のレーザが透明管内に放出する第1のレーザ光と、透明管内の粒子によって反射され、第1の検出器に入射する反射光とが、同じ光路に沿って放出及び入射することが看取できる。 なお、記載事項(エ)及び図2の原理図には、コントローラについての記載がない。しかし、第2のレーザセンサモジュール100も、粒子密度検出のために用いられるものであるから、粒子をカウントするためにセンサによって供給される第1の自己混合干渉信号を評価するコントローラを当然備えているものと理解できる。 以上より、引用文献1には、第2のレーザセンサモジュールとして、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「粒子密度検出のための自己混合干渉を用いるレーザセンサモジュールであって、 第1のレーザと、 第1のレーザの第1のレーザキャビティ内の光波の第1の自己混合干渉信号を検出するように構成され、第1の自己混合干渉信号は、第1のレーザ光の少なくとも一部を受ける粒子によって反射された、第1のレーザキャビティに再入射する第1の反射レーザ光によって引き起こされるものであり、第1のレーザキャビティに印加される電圧、又は、第1の自己混合干渉信号によって影響を受ける第1のレーザキャビティのインピーダンスを決定する外部測定回路として配置されている、第1の検出器と、 第1のレーザ光を放射するために、第1のレーザに電力を供給する、電気駆動部と、 透明管と、管内部の気体又は空気を移動させるためのファンと、を有し、規定の粒子速度を供給するための装置と、 粒子をカウントするためにセンサによって供給される第1の自己混合干渉信号を評価するように構成されたコントローラと、を有し、 第1のレーザが透明管内に放出する第1のレーザ光と、透明管内の粒子によって反射され、第1の検出器に入射する反射光とが、同じ光路に沿って放出及び入射するように構成された、 レーザセンサモジュール。」 (2)引用文献3 ア 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の最先の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2016-224034号公報(平成28年12月28日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、引用文献3に記載された技術的事項を認定するのに用いた箇所に下線を付した。 (ア)技術分野 「【0001】 本発明は、粒子センサ装置に関する。」 (イ)背景技術 「【0003】 図1に略示した散乱光粒子カウンタは、レーザ光源10と、光検出器12と、測定セル14とを有しており、この測定セルを通して空気流16が引き込まれる。レーザ光源10から放射されたレーザビーム18は、測定セル14の部分区間に放射されてこれを通過する。光が放射されて通過した上記部分区間内で、レーザビーム18が、空気流16の少なくとも一つの粒子16aに当たると、レーザビーム18の少なくともいくつかの光子は、散乱光20として光検出器12に向かって散乱される(レーザビーム18のうちの散乱されなかった部分は、吸収器22に当たる)。このような従来の散乱光粒子カウンタを使用することにより、光検出器12によって検出された散乱光20に基づいて、空気流16内に場合によっては存在する粒子16aについての情報が求められるようにしている。」 合議体注:図1は次のものである。 [図:0001429625000002.jpg] (ウ)発明を実施するための形態 「【0021】 図2aに略示した粒子センサ装置は、光放射装置50aを備えており、この光放射装置は、光放射装置50aの放射スペクトル内の光ビーム52を放射するように設計されている。 ・・・ 【0023】 有利な一実施形態において、光放射装置50aは、VCSELレーザ(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)50aであり、及び/又は、VCSELレーザ50aを含む。面発光器50aと称されることも多いこのようなVCSELレーザ50aは一般的に、機能化された半導体チップ面に対して垂直に光ビーム52を放射する半導体レーザである。光放射装置50aにVCSELレーザ50aを使用することにより、粒子センサ装置を小型化できる可能性がさらに高くなる。 【0024】 図2aに略示した粒子センサ装置は、体積体54の少なくとも一部分に存在し得る粒子56の検出又は検査に使用することができる。各体積体54は、例えば粒子センサ装置の試料チャンバ/測定チャンバのような装置内部の体積体54であってよい。しかしながら、この粒子センサ装置は、装置外部の体積体54の少なくとも一部分における粒子56を検出又は検査するように設計することも可能である。この場合、粒子センサ装置は有利には、以下で説明するその複数のコンポーネントの機能を実行できるように装置外部のこの体積体54に配置することが可能である。 ・・・ 【0033】 光放射装置50aが少なくとも一つのVCSELレーザ及び/又はVeCSELレーザ50aを含む場合、光検出装置50bは有利には、VCSELレーザ又はVeCSELレーザ50aの層構造体に組み込まれているフォトダイオードである。このような光放射及び光検出装置50a及び50b、乃至、対応するチップ66は、自己混合干渉VCSELセンサ66(integrated Self-Mixing VCSELセンサ66)と称することができる。このようなVCSELセンサ66では、少なくとも一つの検出面64に入射する散乱光62の検出は、上記放射と、入射するこの散乱光62との干渉によって行われる。従って、VCSELセンサ66では、(集束領域60内にある少なくとも一つの粒子56における)散乱光62に起因しない、上記少なくとも一つの検出面64への入射光は、自動的にフィルタ除去される。これにより、従来のように粒子56を検出又は検査するために体積体54を周囲光から遮蔽する必要もなくなる。従って、この粒子センサ装置においては、遮光装置用のコスト及び必要な据付スペースが不要になる。」 合議体注:図2aは次のものである。 [図:0001429625000003.jpg] イ 周知技術 上記引用文献3の記載事項(イ)に基づけば、本願の最先の優先日前において、次の周知技術が知られていたといえる。 「散乱光粒子カウンタが有する測定セルに、レーザビームの光子のうちの、粒子に当たって散乱されなかった部分に当たるように、吸収器を配置すること」 5 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (1)空気室 引用発明の「透明管」は、内部を「気体又は空気を移動させる」ように構成されている。したがって、引用発明の「透明管」は、本件補正発明の「空気室」に相当する。 (2)粒子センサ 引用発明の「第1のレーザ」は、「第1のレーザ光を放射する」機能を有している。したがって、引用発明の「第1のレーザ」は、本件補正発明の「光源」に相当する。また、引用発明は、「第1のレーザが透明管内に放出する第1のレーザ光と、透明管内の粒子によって反射され、第1の検出器に入射する反射光とが、同じ光路に沿って放出及び入射するように構成」されている。そうすると、引用発明の「第1のレーザ」は、本件補正発明の「光を光路に沿って前記空気室に放出する」との要件、及び、「前記光路が前記光源への戻りを含む」との要件を満たしている。 また、引用発明の「第1の検出器」は、「第1のレーザ光の少なくとも一部を受ける粒子によって反射された、第1のレーザキャビティに再入射する第1の反射レーザ光によって引き起こされる」ものである「第1の自己混合干渉信号を検出する」ように構成されている。したがって、引用発明の「第1の検出器」は、本件補正発明の「検出器」に相当し、「放出された光と、検出区域の粒子状物質によって検出器の方に反射された光との間の干渉に依存する検出信号を供給する」との要件を満たしている。また、引用発明は、「第1のレーザが透明管内に放出する第1のレーザ光と、透明管内の粒子によって反射され、第1の検出器に入射する反射光とが、同じ光路に沿って放出及び入射するように構成」されている。そうすると、引用発明の「第1の検出器」は、本件補正発明の「前記光源に戻る光を検出する」との要件を満たしている。 さらに、引用発明の「コントローラ」は、「粒子をカウントするためにセンサによって供給される第1の自己混合干渉信号を評価する」ように構成されたものである。したがって、引用発明の「コントローラ」は、本件補正発明の「プロセッサ」に相当し、「前記粒子状物質によって反射された光の受光に基づいて粒子状物質の数又は濃度を決定する」という要件を満たしている。 引用発明の上記「第1のレーザ」、「第1の検出器」及び「コントローラ」は、その機能からみて、本件補正発明の「干渉ベースの粒子センサ」を構成しているといえる。 (3)粒子感知システム 引用発明の「レーザセンサモジュール」は、上記「透明管」を有する「規定の粒子速度を供給するための装置」と、上記「第1のレーザ」と、上記「第1の検出器」と、上記「コントローラ」とを有するものである。そうすると、引用発明の「レーザセンサモジュール」は、本件補正発明の「粒子感知システム」に相当するといえる。 (4)一致点及び相違点 以上より、本件補正発明と引用発明とは、 「 空気室と、 干渉ベースの粒子センサであって、 光を光路に沿って前記空気室に放出するための光源であって、前記光路が前記光源への戻りを含む、当該光源、 放出された光と、検出区域の粒子状物質によって検出器の方に反射された光との間の干渉に依存する検出信号を供給するための検出器であって、前記光源に戻る光を検出する当該検出器、及び 前記粒子状物質によって反射された光の受光に基づいて粒子状物質の数又は濃度を決定するためのプロセッサを含む、干渉ベースの粒子センサと、 を含む、粒子感知システム。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 本件補正発明は、「光学ユニットから前記検出器への直接反射を抑制する、前記光路に沿った光学ユニットであって、前記光学ユニットが前記光路に沿って前記検出区域の下流にある、光学ユニット」を含むのに対し、引用発明は、光学ユニットを含んでいない点。 6 判断 (1)[相違点]について 前記4(2)イに記載したとおり、本願の最先の優先日前において、次の周知技術が知られていたといえる。 「散乱光粒子カウンタが有する測定セルに、レーザビームの光子のうちの粒子に当たって散乱されなかった部分が当たるように、吸収器を配置すること」 引用発明と上記周知技術とは、レーザ光を用いて空気中の粒子を計測するレーザセンサに関するものであるから、技術分野が共通している。また、両者は、管内部に存在する粒子、つまり、小さいボリューム中での粒子を測定しようとする点でも共通している。そして、上記周知技術は、センサを、測定セルのような小さいボリュームに設けた場合において、測定セルの壁面に当たって散乱された光子が、検出器によって検出されてしまうことを抑制するものであるが、引用発明においても、透明管の壁面に当たって反射されたレーザ光が第1の検出器によって検出されてしまうという、同じ課題が存在することは明らかである。 そうすると、引用発明において、透明管の壁面に当たって反射されたレーザ光が第1の検出器によって検出されてしまうという課題を解決するために、上記周知技術を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。 なお、念のため、引用文献3の記載事項(ウ)について検討すると、引用文献3の記載事項(ウ)には、発明を実施するための形態として、図2aと共に「自己混合干渉VCSELセンサ66」を用いた「粒子センサ装置」が記載されており、図2aからみて、検出される「粒子56」が存在する「集束領域60」と「光放射及び光検出装置50a及び50b」との間の光路は、本件補正発明における「光源への戻りを含む」、「前記光源に戻る光を検出する」との要件を満たすものである。 引用文献3の記載事項(ウ)には、「測定セル」及び「吸収器」についての記載がない。しかし、引用文献3の記載事項(ウ)に記載された発明を実施するための形態は、「自己混合干渉VCSELセンサ66」等を特定するものであって、「図2aに略示した粒子センサ装置は、体積体54の少なくとも一部分に存在し得る粒子56の検出又は検査に使用することができる。各体積体54は、例えば粒子センサ装置の試料チャンバ/測定チャンバのような装置内部の体積体54であってよい。」と記載されているように、「測定セル」の構成を特定するものではないから、当業者であれば、従来技術における「測定セル」及び「吸収器」を適用できるものと理解する。そうすると、引用文献3には、上記周知技術を、自己混合干渉を用いるレーザセンサモジュールに適用することが示唆されているということもできる。 また、引用文献3の記載事項(ウ)には、「VCSELセンサ66では、(集束領域60内にある少なくとも一つの粒子56における)散乱光62に起因しない、上記少なくとも一つの検出面64への入射光は、自動的にフィルタ除去される。これにより、従来のように粒子56を検出又は検査するために体積体54を周囲光から遮蔽する必要もなくなる。」との記載があるが、「測定セル」の壁面における散乱光は、自動的にフィルタ除去されることはないから、「吸収器」の適用にあたり、阻害要因があるということもいえない。 審判請求人は、動機付けについて、「引用文献3では、吸収器22から検出器12への直接反射が想定されておらず、よって、吸収器22は、本願発明の光学ユニットと異なる構成である。」、「引用文献3及び4の構成は、本願発明、並びに、引用文献1及び2の発明と、異なる光路を形成し、また、検出対象も異なるものである。」とし、「引用文献1及び2の発明において、引用文献3の吸収器22及び引用文献4の第1光トラップ40を採用する動機付けは存在しない。」と主張している。 しかし、上記[相違点]は、引用発明は、光学ユニットを含んでいない点にあり、光路及び検出対象が異なる点にはない。そして、センサを、測定セルのような小さいボリュームに設けた場合において、測定セルの壁面に当たって散乱された光子が、検出器によって検出されてしまうという現象は、レーザ光を散乱する壁面が検出器と対向して配置される場合に発生することは明らかであり、光源から壁面に至る光路と壁面から検出器に至る光路とが共通するものであるか異なるものであるかに依存しない。したがって、引用発明においても、同じ課題が存在することは明らかであるから、審判請求人の上記主張は採用できない。 (2)効果について 本願明細書の段落【0018】の「光センサを汚染マスクで利用するために、光センサをコンパクトなボリューム内に統合できるようにする解決策が必要である。」、段落【0021】の「光学ユニットによる反射の抑制は、光源から光学ユニットまでの光路の物理的長さが短縮できることを意味する。・・・光路によって占められる空間は、センサによる誤った解釈のリスクを増加させることなく減少される。これにより、空気室のよりコンパクトな設計が可能になる。」との記載に基づけば、本件補正発明が奏する効果は、「コンパクト」に設計できるという点にあると理解できる。 一方、引用発明は、「自己混合干渉を用いるレーザセンサモジュール」であって、「透明管」内の粒子密度を検出するものである。そうすると、引用発明も「コンパクト」に設計できるという効果を奏するといえる。また、上記周知技術を採用することにより、測定セルの壁面に当たって散乱された光子が、検出器によって検出されてしまうことを抑制するという効果を奏するものである。 したがって、本件補正発明の効果は、引用発明と同じ効果であるか、あるいは、引用発明の効果と周知技術の効果とを足し合わせた効果に過ぎず、格別なものということができない。 審判請求人は、本件補正発明の効果について、「本願発明は、上記技術的特徴を有することにより、センサをより小さいボリュームに設けることを可能にできるという顕著な効果を発揮するものである(本願明細書の段落0076)。」と主張している。そして、本願明細書の段落【0076】には、「本発明は、光路31に沿った光学ユニットを使用し、それにより、光学ユニットから光路に沿って光源に戻る直接反射が抑制されることによって、センサをより小さいボリュームに設けることを可能にする。このようにして、光路は、長さが減じられる(終端される)か、又は方向が変えられる。これにより、複雑な信号処理の必要性が避けられ、検出信号のより電力効率のよい処理が可能になる。」と記載されている。 しかし、上記周知技術は、「散乱光粒子カウンタが有する測定セルに、レーザビームの光子のうちの、粒子に当たって散乱されなかった部分に当たるように、吸収器を配置する」ものであって、センサを、測定セルのような小さいボリュームに設けた場合において、測定セルの壁面に当たって散乱された光子が、検出器によって検出されることを抑制するものであることは明らかである。そうすると、上記周知技術を採用することにより、吸収器から光路に沿って検出器に至る反射が抑制されることによって、測定セルのような小さいボリュームに設けることを可能にできるという効果を奏することは、当業者にとって自明である。 したがって、審判請求人の主張する効果は、上記周知技術を採用することによる自明な効果であって、当業者が予測できる範囲のものであるから、格別顕著な効果であるということができない。 7 むすび 以上のとおり、上記[相違点]は、周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであり、その効果も当業者が予測できた範囲のものである。そうすると、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件発明 1 本件発明 本件補正は、前記第2に記載したとおり却下されたので、本願の請求項1~15に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1~15に係る発明は、本願の最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 なお、本件発明に対して、引用文献1及び引用文献2を、それぞれ、主引用発明が記載された文献として引用しており、引用文献3及び引用文献4を、それぞれ周知技術が記載された文献として引用している。 引用文献1:特表2018-525606号公報 引用文献2:国際公開第2018/206474号 引用文献3:特開2016-224034号公報 引用文献4:特開2016-090350号公報 引用文献5:特表2013-502572号公報 引用文献6:特表2019-501721号公報 引用文献7:特表2019-507332号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、引用文献3及びその記載事項は、前記第2の4に記載したとおりである。 4 対比・判断 本件発明は、前記第2の2で検討した本件補正発明から、「光源」についての、「光路が前記光源への戻りを含む」ように配置されることの限定と、「検出器」についての、「光源に戻る光を検出する」ように配置されることの限定とを、それぞれ削除したものである。 そうすると、本件発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の5~7に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-009885

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