特許拒絶査定不服審判
2023-005011
スクリーン
- 審判番号
- 2023-005011
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-180176外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年03月28日
- 審決日
- 2024年07月17日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G03B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-180176「スクリーン」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 2日出願公開、特開2020- 52173〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、平成30年9月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 7月26日付け 拒絶理由通知書
令和4年 9月26日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 1月13日付け 拒絶査定
令和5年 3月28日 審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 3月 6日付け 拒絶理由通知書
令和6年 5月 9日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~3に係る発明は、令和6年5月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「枠状をなすスクリーン本体と、このスクリーン本体の表裏両面に配された対をなす表装材とを具備してなるものであって、
前記各表装材は双方がともに、それぞれ光を通しにくい難透光部と、光を通しやすい透光部とをランダムに混在させて備えたものであり、
前記各表装材は、糸素材を用いて作られたニットであり、
前記難透光部は糸素材が密に組まれた編み目状構造をなすものであるとともに、前記透光部は編み目構造をなして連続する難透光部の間に多数存在する糸素材が存在しない孔状をなすもので当該透光部が多数上下及び左右にランダムに点在しているスクリーン。」
第3 拒絶の理由
令和6年3月6日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)のうち、請求項1に係る発明に対して通知したものの概略は、次のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2004-225340号公報
引用文献2:特開平6-87179号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1) 当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様である。)。
ア 「【0001】
本発明は、オフィスの執務空間等において、間仕切または目隠しパネル等として使用される、表面をクロスで覆ったクロスパネルに関する。」
イ 「【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)左右方向を向く上部横杆と下部横杆との両側端を、上下方向を向く左右の縦杆により連結したフレームにおける上部横杆と下部横杆との間にクロスを張設したクロスパネルにおいて、上部横杆より垂下してきたクロスの少なくとも下部を、下端に左右方向に連通する袋状部を形成した前片と後片とからなるものとし、前記各袋状部に左右方向を向く芯材を挿通し、前記前片と後片とにより下部横杆を前後から挟み、かつ前記芯材が挿通された前片及び後片の袋状部を、下部横杆と、その下方に配設した押さえ部材とにより挟んで、前記押さえ部材を下部横杆に締着手段により締着する。
【0007】
(2)上記(1)項において、下部横杆の下面に、左右方向を向く凹入溝を設け、この凹入溝に、芯材が挿通された前片及び後片の袋状部と、押さえ部材とを嵌合する。
【0008】
(3)左右方向を向く上部横杆と下部横杆との両側端を、上下方向を向く左右の縦杆により連結したフレームにおける上部横杆と、下部横杆との間にクロスを張設したクロスパネルにおいて、上部横杆より垂下してきたクロスの少なくとも下部を、下部横杆の前面及び後面に沿って垂下する前片及び後片からなるものとし、後方に向けて折り曲げた前片の下端部と、前方に向けて折り曲げた後片の下端部とを、互いに上下に重合して、下部横杆の下面に止着する。」
ウ 「【0013】
(8)上記(1)~(7)項のいずれかにおいて、クロスを、下端が開口し、かつフレームのほぼ全体を覆う袋状とする。
【0014】
(9)上記(1)~(7)項のいずれかにおいて、クロスを、フレームの内側となる部分が一重となるものとする。」
エ 「【0015】
【発明の実施の形態】
図1~図5は、本発明クロスパネルの第1の実施形態を示す図で、図1は、その構成部材を分解して示す斜視図、図2は、その組み立ての第1段階を説明する斜視図、図3は、組み立ての第2段階を説明する斜視図、図4は、第3段階を説明する拡大縦断側面図、図5は、組み立て完了状態における下部の拡大縦断側面図である。
【0016】
図1に示すように、このクロスパネルは、クロス(1)と、フレーム(2)と、芯材(3)と、押さえ部材(4)と、締結手段(5)とを主要部材としてなるものである。
【0017】
この実施形態に示すクロス(1)は、伸縮性を有するクロス材を、下部に開口部を形成するように方形の袋状に縫製したもので、開口部となる下部には、下端に左右方向に連通する筒状の袋状部(6a)を形成した前片(6)と、同じく下端に左右方向に連通する筒状の袋状部(7a)を形成した後片(7)とが形成されている。
【0018】
フレーム(2)は、例えば金属管または合成樹脂材の管をほぼ下向きコ字状に折り曲げて、上部横杆(2a)と、その左右の端部から下向きに伸びる縦杆(2b)(2c)とを形成し、これら縦杆(2b)(2c)の下端を延長して、机等への取付部(8)を形成させている。フレーム(2)の下部には、同様な素材により作られた下向きコ字状断面形状(図4及び図5参照)として凹入溝(9a)を下面に形成した下部横杆(9)が固着されている。
【0019】
2本の芯材(3)は、金属または合成樹脂材の丸棒材で、下部横杆(9)と同長か若干短い長さを有し、クロス(1)の袋状部(6a)(7a)に挿通できる太さのものである。
【0020】
押さえ部材(4)は、金属または合成樹脂材の下向きコ字状断面の短い長さの部材で、その上面には取付孔(4a)が穿設されている。その外形寸法は、下部横杆(9)の内部に丁度納まる程度の寸法とされている。この実施形態では、これが3個使われている。
【0021】
締着手段(5)は、例えばセルフタッピングねじであり、押さえ部材(4)の取付孔(4a)に挿入され、下部横杆(9)に穿設された下孔(9b)に螺入される。
【0022】
このクロスパネルの組み立てを説明すると、まず図2の矢印に示すようにクロス(1)の開口部の前片(6)の袋状部(6a)及び後片(7)の袋状部(7a)に、それぞれ芯材(3)を挿通する。
【0023】
ついで、図3に示すように、このように芯材(3)を挿通したクロス(1)を、その開口部をフレーム(2)の上から被せてゆき、フレーム(2)を全体的に覆うようにする。完全に覆った状態を、図4の断面図に示してある。
【0024】
ついで、図4の矢印に示すように、クロス(1)の開口部の前片(6)及び後片(7)の、芯材(3)を挿通した袋状部(6a)(7a)を、下部横杆(9)の凹入溝(9a)に押し込み、下から押さえ部材(4)を入れて挟み、締着手段(5)によりこれを下部横杆(9)に締着させる。その最終取付状態を図5に示してある。」
オ 「【0033】
図13は、クロス(1)の断面形状を示すもので、これは、図1~5に示す第1の実施形態に対応し、クロス(1)は袋状で、フレーム(2)(この図では上部横杆のみが示されている)の内側となる部分は2枚となっている。
【0034】
図14は、図13と同様な図で、この場合には、クロス(1)の上端は左右方向を向く筒状の袋状部(14)を形成しており、フレーム(2)の内側となる部分は1枚となっている。
【0035】
また、図示は省略したが、クロス(1)は、上部横杆(2a)と下部横杆(9)(11)(13)との中間部分のみに張設し、それらの両側端部及び縦杆(2b)(2c)は露呈するようにしてもよい。また、フレーム(2)は、方形枠状のものに限定されるものではなく、台形、円形、その他の形状とすることもできる。」
カ 「【0036】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、異素材の部品を縫着する必要がないので、加工が容易であり、リサイクル時に素材分離が容易となる。また、伸縮性のあるクロス材に対して、別部材(伸びがない部材)を付けていないので、伸縮性が損なわれることがない。したがって、弛みや皺のない美しい張り上げ状態が簡単な作業で達成されるとともに、安価に製造することができる。
【0037】
請求項2記載の発明によれば、芯材、押さえ部材等が、下部横杆の下面の凹入溝内に収容されるので、外部に露出せず美観上優れている。
【0038】
請求項3記載の発明によれば、前片、後片に袋状部を形成せず、しかも芯材、押さえ部材等を使用せず、最小限の加工、部品でクロスパネルを形成することができる。」
キ 「【0043】
請求項8記載の発明によれば、フレームの上から袋状のクロスを被せるので、フレームが見えなくなるか目立たなくなり、美観上有利である。
【0044】
請求項9記載の発明によれば、クロスがメッシュ状のものであっても、モアレ模様が発生しない。」
ク 引用文献1には、以下の図面が示されている。
「【図1】
[図:0001414706000001.jpg]
【図2】
[図:0001414706000002.jpg]
【図3】
[図:0001414706000003.jpg]
【図4】
[図:0001414706000004.jpg]
【図5】
[図:0001414706000005.jpg]
【図13】
[図:0001414706000006.jpg]
【図14】
[図:0001414706000007.jpg]
」
ケ 引用文献1に記載の「クロス(1)」は、「伸縮性を有するクロス材を、下部に開口部を形成するように方形の袋状に縫製したもの」(上記エ参照)であり、「クロスがメッシュ状のもの」(上記キ参照)であることも記載されていることから、当該「クロス(1)」は、「メッシュ状である」ものと認められる。
(2) 引用文献1の上記ア~ケで示した内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「上部横杆(2a)とその左右の端部から下向きに伸びる縦杆(2b)(2c)とからなるフレーム(2)と、当該フレーム(2)の下部に固着される下部横杆(9)と、フレーム(2)の上から被せるクロス(1)とを備えるクロスパネルであって、
当該クロス(1)は、メッシュ状であるクロスパネル。」
2 引用文献2の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。
(1) 「【0014】図15は、完全に開放された受光状態にある窓カバー材料を示している。この状態においては、各々の羽根10は、第1及び第2の薄い布20、19に概ね直交する中央部分17を有している。薄い布すなわち透明な布に接合された羽根10の縁部12、14は、円滑な湾曲形状を有する部分18によって、中央部分17に接続されている。本発明の接着接合プロセスは、皺又は鋭角的な折目を生ずることなく、部分18を形成することを可能とする。これら部分のその完全に開放された状態における円滑に湾曲した性質は、羽根がその弾性を維持することを可能とし、従って、透明な布20、19を互いに閉止したすなわち引っ張られた状態に偏椅する傾向を有する。これにより、窓カバーは、繰り返して開放及び閉止された後にも、その形状を失うことがない。また、羽根10に沿う折目は、窓カバーを開閉する際に必ず生ずる繰り返しの曲げにより、破壊点を形成する可能性がある。
【0015】図15はまた、このタイプの窓カバーにモアレ効果が生ずるのを防止するために採用される技術を示している。上述のような窓カバーを用いた場合には、繊維の間に小さな空隙を有する薄い布は、第1及び第2の薄い布20、19に満足すべき望ましい外観を与える。しかしながら、上述のタイプと同様の又はこれに非常に類似した材料を第1及び第2の薄い布として用いた場合には、これら薄い布を重ねて見た時に、光の干渉効果によりモアレパターンが生ずる。本発明においては、第1及び第2の薄い布を編むか、又は好ましくは、異なった寸法、形状及び/又は向きの空隙を有するニット(編物)の布材料で形成することにより、上記モアレ効果を解消する。本発明によれば、モアレ効果は、第1及び第2の布の一方又は両方として薄い不織布材料を使用するか、あるいは、第1及び第2の布の一方又は両方として透明なプラスチック材料を使用することによっても、上記モアレ効果が防止される。
【0016】本発明の窓カバーの織物製の又は編物製の第1及び第2の薄い布を重ね合わせて見た場合の望ましくないモアレ効果を防止するために、第1及び第2の薄い布は、第1の薄い布20の平面に対して直交し、また、第2の薄い布19の平面に対して直交する軸線に沿って薄い布のパネルを見た場合に、異なった外観を有する必要がある。第1の薄い布20と第2の薄い布19との間の必要とされる外観の相違は、幾つかの方法によって得ることができる。
【0017】第1の薄い布20は、ある形状の空隙を有する織物又は編物とすることができ、また、第2の薄い布は、第2の形状の空隙を有する織物又は編物製の材料とすることができる。例えば、小さな矩形の空隙を形成する繊維を用いた織物製の布が、第2の薄い布19として使用され、また、上記第2の薄い布19の空隙の寸法と同じか、あるいは小さいか、又は大きな寸法の空隙を形成する繊維を有することのできる材料が第1の薄い布20として使用される。しかしながら、第1の薄い布20の糸は、第2の薄い布19の糸に対して約45°(30°-60°)の角度で伸びる。例えば、第1の薄い布の糸は、斜交して菱形を形成し、一方、第2の薄い布の糸は、直交して矩形を形成する。第1及び第2の薄い布の間の関係を上述のようにすることにより、モアレパターンの発生を防止することができる。」
(2) 引用文献2には、以下の図が示されている。
「【図15】
[図:0001414706000008.jpg]
」
(3) 引用文献2記載事項
前記(1)及び(2)から、引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
「繊維の間に小さな空隙を有する第1及び第2の薄い布20、19からなる窓カバーであって、モアレ効果を防止するために、第1及び第2の薄い布20、19は、異なった寸法、形状及び/又は向きの空隙を有するニットの布材料で形成すること。」
第5 対比・判断
1 対比
以下、本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 引用発明の「フレーム(2)」及び「下部横杆(9)」は、本願発明の「スクリーン本体」に相当し、引用発明の「上部横杆(2a)とその左右の端部から下向きに伸びる縦杆(2b)(2c)とからなるフレーム(2)と、当該フレーム(2)の下部に固着される下部横杆(9)」は、上記第4の「1(1)ク」の図1及び図3から枠状をなしていることが看取できることから、本願発明の「枠状をなすスクリーン本体」に相当する。また、引用発明の「クロス(1)」は、本願発明の「表装材」に相当し、引用発明の「フレーム(2)の上から被せるクロス(1)」は、上記第4の「1(1)ク」の図4からフレーム(2)や下部横杆(9)の両面に配されていることが看取できることから、本願発明の「スクリーン本体の表裏両面に配された対をなす表装材」に相当する。さらに、引用発明の「クロスパネル」は、本願発明の「スクリーン」に相当する。してみると、引用発明の「上部横杆(2a)とその左右の端部から下向きに伸びる縦杆(2b)(2c)とからなるフレーム(2)と、当該フレーム(2)の下部に固着される下部横杆(9)と、フレーム(2)の上から被せるクロス(1)とを備えるクロスパネル」は、本願発明の「枠状をなすスクリーン本体と、このスクリーン本体の両面に配された対をなす表装材とを具備してなるもの」に相当する。
(2) 引用発明の「クロス(1)」は、「メッシュ状である」ことから、光を通しやすい部分と光を通しにくい部分とを有しているといえるので、引用発明の「クロス(1)」と、本願発明の「表装材」とは、「光を通しにくい難透光部」と、「光を通しやすい透光部」とを備える点で一致する。
(3) そうすると、本願発明と引用発明とは、
「枠状をなすスクリーン本体と、このスクリーン本体の表裏両面に配された対をなす表装材とを具備してなるものであって、
前記各表装材は双方がともに、光を通しにくい難透光部と、光を通しやすい透光部とを備えたものであるスクリーン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点>
表装材に関して、本願発明は、難透光部と透光部とを「ランダムに混在させて備えたものであり、前記各表装材は、糸素材を用いて作られたニットであり、前記難透光部は糸素材が密に組まれた編み目状構造をなすものであるとともに、前記透光部は編み目構造をなして連続する難透光部の間に多数存在する糸素材が存在しない孔状をなすもので当該透光部が多数上下及び左右にランダムに点在している」のに対し、引用発明は、「メッシュ状である」ものの、かかる具体的構成が明らかでない点。
2 判断
(1) 相違点について
以下、<相違点>について検討する。
引用文献2には、上記第4の2(3)に引用文献2記載事項として示した「繊維の間に小さな空隙を有する第1及び第2の薄い布20、19からなる窓カバーであって、モアレ効果を防止するために、第1及び第2の薄い布20、19は、異なった寸法、形状及び/又は向きの空隙を有するニットの布材料で形成すること」が記載されている。そして、この引用文献2記載事項のニットにおいて、空隙以外の部分は、繊維(糸素材)が相対的に密に組まれた編み目状構造の難透光部となっているとともに、空隙の部分は、編み目状構造をなして連続する該難透光部の間に多数存在する繊維(糸素材)が存在しない孔状の透光部となっており、該透光部となっている空隙の部分が多数上下及び左右に点在していることは明らかである。
また、モアレとは「点または線が幾何学的に規則正しく分布したものを重ね合わせた時に生ずる縞状の斑紋」(広辞苑第7版)のことであり、当該モアレの発生を防止するために、重ね合わされる点等を規則正しく分布させないこと、つまり不規則なものとすることは技術常識である。
そして、引用発明と引用文献2記載事項とは、室内に配置され、光を遮る部材に関するものである点で共通するとともに、引用文献1の上記第4の1(1)キを参酌すると、引用発明においてモアレ模様の発生を防止するという課題も示唆されていることから、当該課題を解決するために、引用発明のクロスパネルのクロス(1)に、引用文献2記載事項を適用して、フレーム(2)や下部横杆(9)の両面に配されているクロス(1)をそれぞれ異なった寸法、形状及び/又は向きの空隙を有するニットで構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。また、引用発明のクロスパネルのクロス(1)に引用文献2記載事項を適用する際、上記技術常識も踏まえると、両面に配されるニットの空隙の寸法、形状及び/又は向きを変えるだけではなく、その配置もランダムに点在したものとすることに格別の困難性はない。
以上を踏まえると、引用発明において、引用文献2記載事項を適用し、本願発明の前記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(2) 本願発明の作用効果について
本願発明の作用効果は、引用発明及び引用文献2記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。
(3) 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和6年5月9日に提出した意見書の【意見の内容】1.(2)において、「付言しますと、引用文献2の段落0015には、表装材(布20、19)について「本発明においては、第1及び第2の薄い布を編むか、又は好ましくは、異なった寸法、形状及び/又は向きの空隙を有するニット(編物)の布材料で形成する」と記述されているものの、これは本願請求項1にいう「糸素材が密に組まれた編み目状構造をなす難透光部と、編み目構造をなして連続するその難透光部の間に多数存在する糸素材が存在しない孔状の透光部とを備え、難透光部の間に透光部が上下及び左右に点在するもの」ではないと考えられます。図15中に単純な格子として描画されていることからも、表装材それ自体は単調な編み物であると想定されます。」と主張している。
しかしながら、引用文献2記載事項のニットとは、編物で構成されるものであるから、特定の寸法、形状及び/又は向きの空隙を有するニットにおいて、空隙以外の部分は、繊維が編まれた編み目構造となっており、一方、空隙の部分は、該編み目構造の間の繊維が存在しない孔状となっており、上下及び左右に点在していると解される。すると、相対的に、空隙以外の部分は、繊維が密に組まれて、光を通しにくい難透光部となっており、空隙の部分は、光を通しやすい透光部となっているといえる。そうすると、上記(1)に示したように、引用文献2記載事項のニットにおいて、空隙以外の部分は、繊維(糸素材)が相対的に密に組まれた編み目状構造の難透光部となっているとともに、空隙の部分は、編み目状構造をなして連続する該難透光部の間に多数存在する繊維(糸素材)が存在しない孔状の透光部となっており、該透光部となっている空隙の部分が多数上下及び左右に点在していることは明らかである。
したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-005011