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特許拒絶査定不服審判

2023-002211

放射能汚染水の処理方法

審判番号
2023-002211
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-104073外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年01月23日
審決日
2024年01月22日
公報発行日
2024年04月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .536-Z (G21F) / P18 .561-Z (G21F) / P18 .575-Z (G21F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-104073「放射能汚染水の処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年12月21日出願公開、特開2023-181033、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和4年6月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 7月26日 :手続補正書提出 令和4年 8月22日付け :拒絶理由通知書 令和4年11月 4日(受付日):意見書、手続補正書の提出 令和4年12月13日付け :拒絶査定 令和5年 1月24日(受付日):審判請求書、手続補正書の提出 令和5年10月27日(受付日):上申書の提出 第2 令和5年1月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年1月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。 「本発明は軽水とトリチウム水の凝固点が異なる点を利用し、軽水が凝固せずにトリチウム水が凝固する温度に調整して分離を図るが、この方法は実験等ですでに周知のことであるが、実際に処理する汚染水の量は膨大であり、ペットボトルの実験に比べて、100万倍分の処理量(500KL)を想定した装置であり、そのトリチウム水分離槽には外面に冷却設備を備えて、更には槽内の汚染水を水源として、外部に循環ラインを設け、上段・中段・下段と振り分けて、槽内戻り口に水平エルボ形ノズルを取付けて水流攪拌を起こせる様にし、槽内の水温の冷却を早めると共に水温を均一化させ、そして、槽内の水温が2℃に安定した時点で循環ラインを一旦止めて、トリチウム水を凍結させる静止時間を設け、再稼働で水流攪拌を起こすことで軽水から凍結したトリチウム水の分離を促すことになり、氷結したトリチウム水の粒子が点在する状況を作りだし、更に下方へ抜き出す循環水に伴い沈降させ、下部排水口に設けたストレーナー(頑丈な骨組で補強された金網)によって留め置くことで、ストレーナーの周辺に堆積しながら比重の重い氷結したトリチウム水は浮かずに滞留しており、そして槽内水を数回入れ替わらせ、凍結したトリチウム水の分離の確率をより高め、その回数は容量に対するポンプの処理能力で判断し、軽水だけの循環となった時点で循環を停止して、排水ポンプに切り替えて軽水だけを抜き出すことからなるトリチウム水分離装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和4年11月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「本発明は軽水とトリチウム水の凝固点が異なる点を利用し、軽水が凝固せずにトリチウム水が凝固する温度に調整して分離を図るが、この方法は実験等ですでに周知のことであるが、ところが実際の汚染水ではトリチウム水の含有量が非常に少なく、凍結しても微細な粒子となって点在し、これを集結させるためにトリチウム水分離槽では通常の貯槽とは全く違った考えの発想であり、他の分離槽と比べても類を見ない装置と言え、それは、この装置が槽内の汚染水を水源として、外部に循環ラインを設け、内部に上段・中段・下段と分けてエルボ形ノズルを取付けて水流回転を起こさせることによって、槽内の水温の冷却を早めると共に水温を均一化させ、更に凍結して分散しているトリチウム水の結合を促し、そして下部から抜き出す循環水に伴って比重の重い凍結したトリチウム水を沈降させることにより槽内下部に堆積し、滞留することになり、循環水が軽水だけの循環となった時点で循環を停止させ、排水ポンプに切り替えて軽水だけを抜き出す方法からなるトリチウム水分離除去装置。」 2 補正の適否 (1)本件補正による新規事項の追加について ア 本件補正によって、本願の特許請求の範囲の請求項1には、「ストレーナー」について、「氷結したトリチウム水の粒子」を「下部排水口に設けたストレーナー(頑丈な骨組で補強された金網)によって留め置くことで、ストレーナーの周辺に堆積しながら比重の重い氷結したトリチウム水は浮かずに滞留」しているようにするという技術的事項(以下「本件補正事項」という。)が記載された。そこで、以下、本件補正事項に係る本件補正が、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本願当初明細書等」という。)等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものといえるかどうかについて検討する。 イ 本件補正事項に係る「ストレーナー」について、本願当初明細書等では、「5,ストレーナ」(【0014】)と記載されているとともに、図2において、「トリチウム分離槽断面図」における符号3で示される「下部鏡板」に、符号5の「ストレーナ」が点線の状態で設けられることが看て取れるにとどまるものである。 「【図2】 [図:0001408695000001.jpg] 」 ウ 以上を踏まえて検討すると、まず、本願当初明細書等には、上記ストレーナーが、どのような作用効果を奏する部材であるのかを示す記載はなく、また、ストレーナーの具体的な形状や構造についての記載も一切存在しないことから、作用効果を推測する手がかりもない。この点、「ストレーナー」が、一般に、液体や気体から固形成分を取り除くために用いられる網状の器具を意味するとしても、本願当初明細書等には、上記ストレーナーが、氷結したトリチウム水の粒子を取り除くことと関係するかすら記載されていないのであり、むしろ、本願当初明細書等には、長期間保管されたタンク内の汚染水には必ず雑菌(藻類も含む)が繁殖していることが記載されていることから(【0015】の(8))、トリチウム分離槽中に含まれるゴミ等を取り除くためのものと解する余地もある。そのため、本願当初明細書等には、上記ストレーナーが、本件補正事項のように、トリチウム水を留め置くものであることを示す記載があるとはいえないし、ましてや、氷結したトリチウム水の粒子が当該ストレーナー自身の周辺に堆積しながら滞留することを意味する記載があるともいえない。 また、氷結した粒子と液体を分離する分離槽の下部に設けられたストレーナーが、氷結した粒子を留め置くことで、氷結した粒子が当該ストレーナー自身の周辺に堆積しながら滞留する作用効果を奏するためのものであることが、本願出願当時の技術常識であるとはいえない。 そして、本件補正事項によって、比重の重い氷結したトリチウム水をストレーナーの周辺に堆積させることで、軽水だけを抜き出すことができるようにするという新たな技術的意義を奏することになるといえる。 このように、本願出願当時の技術常識に照らしても、本願当初明細書等には、「ストレーナー」がどのような作用効果を奏する部材であるのかの記載があるとはいえず、しかも、本件補正事項に係る「ストレーナー」によって新たな技術的意義を奏することになることから、本件補正事項に係る本件補正は、本願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。 したがって、本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものということはできない。 エ よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているとはいえない。 (2)独立特許要件について ア 本件補正が仮に新規事項を追加するものではないとすると、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「下部から抜き出す循環水に伴って比重の重い凍結したトリチウム水を沈降させることにより槽内下部に堆積し、滞留すること」について、「ストレーナー」を設け、当該ストレーナーにより、「氷結したトリチウム水の粒子を」を「下部排水口に設けたストレーナー(頑丈な骨組で補強された金網)によって留め置くことで、ストレーナーの周辺に堆積しながら比重の重い氷結したトリチウム水は浮かずに滞留」しているようにする限定を付加することを含むものであり、前記限定を付加する本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的の一つとするものである。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。 イ 本件補正後の本願の明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件補正明細書等」という。)には、本件補正発明の「比重の重い氷結したトリチウム水は浮かずに滞留して」いることについて、「放射能汚染水から放射能物質を除去する多核種除去処理設備(ALPS)によって処理された汚染水に於いて、どうしても除去できなかったトリチウム水をトリチウム水分離槽に送水して、軽水の凍結温度(0℃)とトリチウム水の凍結温度(3.82℃)の温度差を利用して、トリチウム水分離槽の温度を2℃に温度調節することによって、汚染水の中に存在するトリチウム水の凍結を促して、氷塊として浮遊させて、凍結していない軽水のみを槽内から排出させる分離方法。」(【0005】)の記載がある。 しかしながら、水が氷結により凝固するときは、体積が膨張することから、比重が軽くなると考えられるところ、本件補正明細書等には、「比重の重い氷結したトリチウム水は浮かずに滞留して」いることについての実施例の記載はない。そして、氷結したトリチウム水の比重が重く、水に浮かずに滞留することが技術常識として確立されているともいえない。 また、本件補正明細書等には、上記ストレーナー、すなわち、「頑丈な骨組で補強された金網」の具体的な形状や構造についての記載はないし、ストレーナーの網目の大きさと氷結したトリチウムの粒子の大きさの関係を示す記載はなく、そもそも、上記ストレーナーの網目が氷結したトリチウム水の粒子を通過させるのかどうかについても記載はない。仮にストレーナーの網目の大きさが氷結したトリチウム水の粒子を留め置くことができる大きさだとすると、当該ストレーナーは目詰まりして水の循環を妨げ、軽水だけの循環とはならないし、上記粒子はストレーナーに堆積したまま、当該ストレーナーの周辺に堆積することにもならない。 そうすると、上記ストレーナーによって、どのようにして氷結したトリチウム水の粒子を留め置くことで、ストレーナーの周辺に堆積しながら比重の重い氷結したトリチウム水は浮かずに滞留することを実現するのかを当業者が理解することはできない。 したがって、本願出願当時の技術常識を踏まえても、本件補正明細書等の発明の詳細な説明は、本件補正発明を実施するためには、当業者に期待しうる程度を超えた試行錯誤を要するから、本件補正明細書等の発明の詳細な説明は、本件補正発明を当業者が製造し使用することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 よって、本件補正明細書等の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるとはいえない。 (3)審判請求人の主張について 請求人は、重水の氷が水に沈んでいる状況写真であると主張する写真(証拠2)を示し、トリチウム水の質量は重水の1.5倍ゆえ、さらに重いことから、氷結したトリチウム水が水に沈むことが証明されたと主張する。 「証拠(2) [図:0001408695000002.jpg] 」 しかしながら、上記写真(証拠2)は作成経緯を含め、客観的に信用ができる実験の写真であるのかどうか不明であり、上記写真(証拠2)をもって、重水が水に沈むことが立証できたということはできない。 また、他に、氷結したトリチウム水の粒子が水に沈むことが技術常識であることが確立されていることを示す証拠はない。 よって審判請求人の上記の主張は採用できない。 3 本件補正についてのむすび 上記2(1)及び(2)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、また、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 原査定の拒絶の理由について 1 本願発明 令和5年1月24日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和4年11月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願発明には「この装置が槽内の汚染水を水源として、外部に循環ラインを設け、内部に上段・中段・下段と分けてエルボ形ノズルを取付けて水流回転を起こさせることによって、槽内の水温の冷却を早めると共に水温を均一化させ、更に凍結して分散しているトリチウム水の結合を促し、そして下部から抜き出す循環水に伴って比重の重い凍結したトリチウム水を沈降させることにより槽内下部に堆積」することが特定されているところ、上記「下部から抜き出す循環水に伴って比重の重い凍結したトリチウム水を沈降させることにより槽内下部に堆積」させるための具体的な条件について、本願発明には特定されておらず、明細書にも、そのような条件が記載されていないばかりか、本願発明の実施態様及び作用効果等を裏付ける実験データも一切開示されていないことから、第三者に過度な試行錯誤を要することなく、所期の作用効果を奏する態様で、その実施をすることは極めて困難であるから、発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない、というものである。 3 当審の判断 本願発明は、「槽内の汚染水を水源として、外部に循環ラインを設け、内部に上段・中段・下段と分けてエルボ形ノズルを取付けて水流回転を起こさせることによって、槽内の水温の冷却を早めると共に水温を均一化させ、更に凍結して分散しているトリチウム水の結合を促し、そして下部から抜き出す循環水に伴って比重の重い凍結したトリチウム水を沈降させることにより槽内下部に堆積し、滞留することにな」るという特定事項(以下「本件特定事項」という。)を備えるところ、本件特定事項に関し、本件補正前の本願の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面(以下「本願明細書等」という。)には、次の記載がある。 ア 「放射能汚染水から放射能物質を除去する多核種除去処理設備(ALPS)によって処理された汚染水に於いて、どうしても除去できなかったトリチウム水をトリチウム水分離槽に送水して、軽水の凍結温度(0℃)とトリチウム水の凍結温度(3.82℃)の温度差を利用して、トリチウム水分離槽の温度を2℃に温度調節することによって、汚染水の中に存在するトリチウム水の凍結を促して、氷塊として浮遊させて、凍結していない軽水のみを槽内から排出させる分離方法。」(【0005】) イ 「多量の水を2℃に冷却する為にはどうしてもマイナス0℃以下の温度の冷却チラー水を使用する必要があり、そのことによりトリチウム水分離槽の壁面が凍結しない工夫が必要であり、それを解消するために水平エルボ形で先端を絞った水流用配管を設け、壁面に流動性を持たせる様に考えた。これらの対策を施したトリチウム水分離槽を製作することにより、低温運転が可能となり、問題を解決出来るる方法として考案した。」(【0007】) ウ 「大容量の汚染水に含まれたトリチウム水(凍結温度3.82℃)を凍らせて処理するためには冷却チラー水をマイナス温度0℃以下になっても凍らない冷却循環水を使用する必要からグリコール系(不凍液)を採用する。(【0013】) エ 「(1)、ビールタンクの貯蔵の仕方によって、特に美味しいビール作るために重要なことは、温度管理による低温貯蔵技術(発酵・熟成)で、四季や気候の温度変化に対応して槽内温度を2℃に保つために温度調節を行っている。 本発明はそれを参考に汚染水の水温を2℃に保持してトリチウム水(凍結温度3.82℃)だけを凍らせて汚染水との分離を計る方法を考案した。 (2)、トリチウム分離槽を製作する構造は、タンクの胴板にステンレス製の200Φのパイプを半割にして胴板の曲面に合せてラセン状に溶接取付を施して、冷却チラー水の冷却循環ラインを作ることにより槽内の汚染水を冷却できる様にする。 (3)、チラー水の選定も重要項目の一つで、水温が0℃以下でも凍らないグレコール系(不凍液)の冷却循環水を選ぶことで槽内水温を2℃に保つ温度調節ができる。 (4)、トリチウム水分離槽の主な役割は汚染水(凍結温度0℃)と汚染水に含まれているトリチウム水(凍結温度3.82℃)の温度差を利用して槽内温度2℃に温度コントールすることでトリチウム水だけを凍らせて分離除去することが目的である。 (5)、トリチウム分離槽の水温を早く2℃にするためマイナス0℃以下の冷却チラー水を使用する場合があることから壁面を凍らせないために水平エルボ形の先端を絞った水流用配管を数ケ所設け、攪拌翼とは異なるゆっくりとした水流を得るために考案した。」(【0015】) しかしながら、本件特定事項のうち、「比重の重い凍結したトリチウム水」との特定事項については、上記第2[理由]2(2)イと同様の理由で、本願明細書等の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 また、上記の「比重の重い凍結したトリチウム水」の点を措くとしても、本件特定事項のうち、「下部から抜き出す循環水に伴って比重の重い凍結したトリチウム水を沈降させることにより槽内下部に堆積し、滞留することにな」るとの特定事項については、本願明細書等には、上記程度の記載しかないことから、循環水を下部から抜き出す際に、どのようにして氷結したトリチウム水が下部から抜き出されることなく、循環水が軽水だけの循環となるのか、不明であると言わざるを得ない。この点、本願明細書等には、「ストレーナー」が存在することが示されているものの、それについての記載は、上記第2[理由]2(1)イのとおりにとどまり、同ウのとおり、それがどのような作用効果を奏する部材であるのか全く不明であることから、上記ストレーナーに係る記載があることによって、上記の説示を左右するものではない。したがって、上記特定事項についても、本願明細書等の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 そうすると、本願明細書等の発明の詳細な説明の記載は、本願発明を当業者が実施する上で、過度な試行錯誤を要するものであるから、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえない。 したがって、本願明細書等の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 むすび 以上のとおり、本願明細書等の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-002211

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