特許拒絶査定不服審判
2024-009268
評価データ提供装置
- 審判番号
- 2024-009268
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-214139外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年06月04日
- 審決日
- 2026年02月09日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .536-WZ (G21F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-214139「評価データ提供装置」拒絶査定不服審判事件〔令和4年7月5日出願公開、特開2022-100019〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年12月23日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年10月20日付け:拒絶理由通知書
同年12月21日 :意見書及び手続補正書の提出
令和6年 1月12日付け:拒絶理由通知書
同年 2月19日 :応対記録
同年 3月13日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 4月 5日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月16日 :原査定の謄本の送達)
同年 6月 4日 :審判請求書の提出
令和7年 6月13日付け:拒絶理由通知書(以下、この拒絶理由通知書で通知した拒絶理由を「当審拒絶理由」という。)
同年 8月12日 :意見書及び手続補正書の提出
2 本願発明について
(1) 本願発明の認定
本願の請求項1~5に係る発明は、令和7年8月12日に提出された手続補正書により補正された次に示す請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】
キャスクの貯蔵施設を設置する際に提出する設置許可申請において必要となる、キャスクの遮蔽機能が許可基準を満たすことを説明するための評価データを作成する評価データ提供装置であって、
前記設置許可申請の対象である前記キャスクの型式証明申請で作成されて認可された前記キャスクの放射線の遮蔽能力を示す認可済み申請データを取得する入力受付部と、
遮蔽計算コードによって算出された遮蔽機能データを用いて、前記キャスクの放射線の遮蔽能力を示す評価データを作成する評価データ作成部と、
作成した前記評価データと取得した前記認可済み申請データとを比較して、両者の差が所定の閾値以下か否かを判定し、前記閾値以下の場合、前記評価データが、所定の基準を満たすように作成されたと判定する判定部と、
前記判定部によって前記所定の基準を満たすように作成されたと判定された前記評価データを出力する出力部と、
を備え、
前記判定部は、前記キャスクの型式証明申請で使用された、前記認可済み申請データに含まれる第1の評価点における線量当量率と前記評価データ作成部が前記評価データから計算した前記第1の評価点と同じ位置における線量当量率とを比較して、2つの前記線量当量率の差が前記閾値以下かどうかを判定するか、又は、前記評価データ作成部が前記認可済み申請データに含まれる遮蔽機能データに基づいて計算した前記キャスクの型式証明申請で使用されていない第2の評価点における線量当量率と前記評価データ作成部が前記評価データから計算した前記第2の評価点と同じ位置における線量当量率とを比較して、2つの前記線量当量率の差が前記閾値以下かどうかを判定する、
評価データ提供装置。
【請求項2】
前記認可済み申請データの前記遮蔽機能データと前記評価データとの比較では、前記キャスクの周囲に設定された複数の評価点における線量当量率を比較する、
請求項1に記載の評価データ提供装置。
【請求項3】
前記評価データ作成部は、
前記キャスクの型式証明申請と同様の線源条件で、前記キャスクの型式証明申請に用いたものと同じ前記遮蔽計算コードを用いて、前記評価データを作成する、
請求項1から請求項2の何れか1項に記載の評価データ提供装置。
【請求項4】
前記評価データは、前記キャスクの貯蔵施設の設置許可申請にあたり、貯蔵施設の外へ放射される放射線が安全基準を満たすことを示すために使用される、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の評価データ提供装置。
【請求項5】
前記評価データ作成部は、キャスクの遮蔽機能データ又はキャスク表面から1m離れた位置における線量当量率が100μSv/hとなるよう放射線源強度を規格化したものを用いること、という設置許可基準規則に適合する貯蔵施設であることを示すための方式を定めた規定のうち、キャスクの遮蔽機能データに基づいて前記評価データを作成する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の評価データ提供装置。」
(2) 課題及び作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願の明細書(以下「本願明細書」という。)の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本開示は、キャスクの評価データ提供方法及び評価データ提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャスクは、原子力燃料を保管する容器である。キャスクには、放射線を適切に遮蔽する能力が要求される。キャスクのメーカは、キャスクの遮蔽能力を証明するデータを添えて型式証明申請を行う。特許文献1には、使用済燃料を輸送するキャスクの遮蔽計算を行う場合に、放射線源を過大に評価せずに合理的に評価する方法が開示されている。また、キャスクを貯蔵する貯蔵施設の設置業者は、施設の壁を通過する放射線量が安全基準を満たすことを証明するデータを添えて、キャスクの貯蔵施設の設置許可申請を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2869444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全基準への適合性を判断しやすい、キャスクの評価データを作成することが求められている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができるキャスクの評価データ提供方法及び評価データ提供装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、評価データ提供装置は、キャスクの貯蔵施設を設置する際に提出する設置許可申請において必要となる、キャスクの遮蔽機能が許可基準を満たすことを説明するための評価データを作成する評価データ提供装置であって、前記設置許可申請の対象である前記キャスクの型式証明申請で作成されて認可された前記キャスクの放射線の遮蔽能力を示す認可済み申請データを取得する入力受付部と、遮蔽計算コードによって算出された遮蔽機能データを用いて、前記キャスクの放射線の遮蔽能力を示す評価データを作成する評価データ作成部と、作成した前記評価データと取得した前記認可済み申請データとを比較して、両者の差が所定の閾値以下か否かを判定し、前記閾値以下の場合、前記評価データが、所定の基準を満たすように作成されたと判定する判定部と、前記判定部によって前記所定の基準を満たすように作成されたと判定された前記評価データを出力する出力部とを備え、前記判定部は、前記キャスクの型式証明申請で使用された、前記認可済み申請データに含まれる第1の評価点における線量当量率と前記評価データ作成部が前記評価データから計算した前記第1の評価点と同じ位置における線量当量率とを比較して、2つの前記線量当量率の差が前記閾値以下かどうかを判定するか、又は、前記評価データ作成部が前記認可済み申請データに含まれる遮蔽機能データに基づいて計算した前記キャスクの型式証明申請で使用されていない第2の評価点における線量当量率と前記評価データ作成部が前記評価データから計算した前記第2の評価点と同じ位置における線量当量率とを比較して、2つの前記線量当量率の差が前記閾値以下かどうかを判定する。
【0007】
本開示の一実施形態によれば、前記評価データ作成部は、キャスクの遮蔽機能データ又はキャスク表面から1m離れた位置における線量当量率が100μSv/hとなるよう放射線源強度を規格化したものを用いること、という設置許可基準規則に適合する貯蔵施設であることを示すための方式を定めた規定のうち、キャスクの遮蔽機能データに基づいて前記評価データを作成する。
【発明の効果】
【0008】
上述のキャスクの評価データ提供方法及び評価データ提供装置によれば、安全基準への適合性を判断しやすいキャスクの評価データを作成することができる。」
「【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本開示の評価データ提供装置について、図1~図5を参照しながら説明する。
図1に示す評価データ提供装置10は、キャスクの放射線の遮蔽能力を示す評価データを作成し、その評価データが遮蔽機能データを用いて適切に作成されたものであることを確認する。遮蔽機能データは、遮蔽計算コードと呼ばれるプログラムによって生成され、遮蔽機能データには、キャスク容器の壁を通過して外へ放射される放射線量の情報が含まれる。評価データは、遮蔽機能データに基づいて作成される。評価データは、例えば、キャスクの貯蔵施設を設置する際に原子力規制委員会へ提出する設置許可申請に用いられ、貯蔵施設の設置許可基準規則(例えば「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」の29条、30条)への適合性を説明する為に使用される。貯蔵施設の設置業者は、キャスクのメーカから評価データの提供をうけ、評価データに基づいて、貯蔵施設の壁の厚さなどを設計する。また、設置許可申請を行う場合、設置業者は、貯蔵施設が安全基準を満たすことを示すとともに、その計算の根拠となったデータを提示する。根拠となるデータには、貯蔵施設内に収容するキャスク内の燃料がどのようなものであるか(線源条件)、その燃料を収容したキャスクからはどれぐらいの放射線が放射されるかといった情報が含まれる。そして、最終的にそれらのキャスクを貯蔵施設内に貯蔵した場合、貯蔵施設から外部へどの程度の放射線が放出されるかを計算し、その値が安全基準を満たすことを説明する。その際、メーカが提供する評価データが、不明確であると、計算の根拠が疑われ、安全基準への適合性の判断が難しくなる。例えば、遮蔽機能データに含まれる放射線量の情報は、キャスクの位置やエネルギーごとに異なり、その値は膨大且つ連続的である。連続的なデータの中から選択する値によって、その値から推定される線源条件は変化するため、遮蔽計算コードで計算した遮蔽機能データから線源条件を特定することは難しく、線源条件はブラックボックスとなる。線源条件がブラックボックスの場合、原子力規制委員会の安全審査において、安全基準への適合性を判断するのに支障を来す。従って、設置業者は、設置許可申請に際し、遮蔽機能データを用いて適切に、つまり、線源条件が明確となるように作成された評価データを用いて、貯蔵施設の安全性を説明しなければならない。評価データ提供装置10は、遮蔽機能データを用いて適切に評価データを作成し、この評価データをユーザへ提供する。
【0011】
貯蔵施設の設置許可基準規則に適合する貯蔵施設であることを示すための方式が、例えば、「原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド」にて定められている。貯蔵施設の設置業者は、この方式に則って作成された評価データを用いて、貯蔵施設が設置許可基準を満たすことを証明しなければならない。例えば、上記の審査ガイドでは、貯蔵施設に求められる「閉じ込め機能」、「遮蔽機能」、「除熱機能」、「臨界防止機能」などの各種機能のうちの「遮蔽機能」に関し、敷地境界における実効線量のソースタームとして、次のような評価データを使用するように定めている。
【0012】
「兼用キャスクの遮蔽機能データ又は兼用キャスク表面から1m離れた位置における線量当量率が100μSv/hとなるよう放射線源強度を規格化したものを用いること。ここで、放射線源強度を規格化して用いる場合は、中性子100又はガンマ線100のいずれか保守的な線量評価とすること。また、中性子及びガンマ線の表面エネルギースペクトルは、保守的な線量評価となるものを使用すること。」
【0013】
「兼用キャスクの遮蔽機能データ又は」以降の「兼用キャスク表面から~」の内容は、従来から定められた評価データの作成方法であって、この方法に則って評価データを作成すると、より安全側に配慮した保守的な貯蔵施設の設計が必要となることが知られている。一方の「兼用キャスクの遮蔽機能データ」を評価データとして用いることは、近年になって上記の審査ガイドに明記された方式であって、この方式で評価データを作成すると過度に保守的にならず、実態に即した貯蔵施設の設計が可能になる。しかし、上記の審査ガイドでは、「兼用キャスクの遮蔽機能データ」を使用して良いことが記載されているだけで、どのようにして評価データを作成すればよいのかが不明である。そこで、評価データ提供装置10は、キャスクの遮蔽機能データから評価データを作成し、さらにその評価データが、貯蔵施設の設置許可申請に用いる実効線量を示すデータとして適切(遮蔽機能データを用いて適切に作成されたもの、線源条件が明確であること)であることを確認し、確認できたデータを評価データとして、ユーザへ提供する。
【0014】
ところで、キャスクのメーカは、キャスクの設計にあたり、そのキャスクが上記の規則16条で要求される安全基準を満たすことを、例えば原子炉等規制法43条の26の2に基づく型式証明申請によって説明し、キャスクの設計の認可を得ている。型式証明申請では、遮蔽計算コードによって遮蔽機能データを計算するうえで放射線源についても解析を行い、線源条件を明確にしたうえで計算した遮蔽機能データ(より具体的には、16条遮蔽解析で得られるキャスク表面を通過する放射線束データ)やキャスクの形状などを申請データとして提出し、認可を受けている。本実施形態では、設置許可申請に先立ちメーカが型式証明申請で認可を受けたときの申請データをリファレンスとして、設置許可申請用の評価データが適切であることを確認する。
【0015】
(システム構成)
図1は、実施形態に係る評価データ提供装置の一例を示す機能ブロック図である。
評価データ提供装置10は、入力受付部11と、制御部12と、評価データ作成部121と、判定部122と、記憶部13と、遮蔽計算コード131と、出力部14と、を備える。
入力受付部11は、評価データの作成と確認処理に必要な各種情報の入力を受け付ける。
制御部12は、評価データの作成と確認の処理を制御する。制御部12は、評価データ作成部121と、判定部122とを備える。評価データ作成部121は、例えば、遮蔽計算コードを用いてモンテカルロ法による遮蔽計算を実行する。評価データ作成部121は、遮蔽計算の実行により生成された遮蔽機能データに基づいて評価データを作成する。例えば、評価データ作成部121は、遮蔽機能データからキャスク表面における放射線量と評価点における線量当量率を計算し、これらを評価データとして作成する。判定部122は、評価データが、遮蔽機能データを用いて適切に作成されたかどうかを判定する。判定部122は、評価データと型式証明申請時に用いられた認可済み申請データを比較して、両者の差が所定の範囲内であれば、評価データは適切に作成されたと判定する。
記憶部13は、評価データの作成と確認に必要な各種情報を記憶する。例えば、記憶部13は、遮蔽計算コード131を記憶する。
出力部14は、作成した評価データを電子ファイル等に出力する。
【0016】
図2は、実施形態に係る評価データの確認方法を説明する図である。
図2の左側201に示す図は、型式証明申請における遮蔽能力の評価を説明する図である。メーカの型式証明申請では、キャスク200aに収容する燃料について、適切な放射線源を想定、解析し、それを線源条件として、放射線源から放射される放射線量を計算する。線源条件とは、例えば、燃料型式、燃焼度、濃縮度、冷却期間及びこれらに基づいて計算された線源強度などである。型式証明申請では、線源条件を明確にしたうえで、キャスクを通過して放射される放射線量を示す遮蔽機能データを提出し、キャスクの遮蔽能力が安全基準を満たすことを説明し、設計の認可を受ける。
【0017】
図2の右側202に示す図は、設置許可申請における遮蔽能力の評価を説明する図である。設置許可申請では、キャスク200bの表面から放射される放射線量を評価データとして提出する。本実施形態では、評価データが適切であることを確認するために、例えば、キャスク本体の表面から1m離れた評価点P2における線量当量率(μSv/h)と、型式証明申請で作成した遮蔽機能データに基づく、キャスク本体の表面から1m離れた評価点P1における線量当量率(μSv/h)と比較し、これらの値が同程度であることをもって遮蔽機能データの適用が適切であることを確認する。ここでキャスク200aとキャスク200bは同種類のキャスクであり、評価点P1とキャスク200aの位置関係と、評価点P2とキャスク200bの位置関係は同じである。」
「図2
[図:0001433588000001.jpg]
」
「【0018】
図3に評価データの評価点の他の例を示す。図3に示す評価点P3~P7は、いずれもキャスク200aの本体表面から1m離れた位置に存在している。これらの評価点は、型式証明申請時に用いられる評価点である。つまり、型式証明申請時にこれら5つの評価点における線量当量率は計算されている。これら5つの評価点を用いて、設置許可申請用の評価データが、適切に作成されたものであるかどうかを判定すれば、設置許可申請用に生成した遮蔽機能データから、これら5点における線量当量率を計算するだけで、適切に作成されたかどうかの判定を行うことができる。また、型式証明申請が認可されれば、5点における線量当量率は公開情報となるので、認可済みの公開情報と比較して、設置許可申請用の評価データが、適切に作成されたものであることを説明できれば、評価データの信頼性を確保することができる。」
「図3
[図:0001433588000002.jpg]
」
「【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば、キャスクを貯蔵する貯蔵施設の設置業者が、貯蔵施設の設置許可申請を行う場合に必要となるキャスクの遮蔽能力を示す評価データを、遮蔽機能データに基づいて適切に作成することができる。貯蔵施設の設置業者は、評価データに基づいて、貯蔵施設の安全性を示すデータを作成し、さらにその根拠となる評価データを明確な線源条件とともに原子力規制委員会へ提出することができる。既に認可を受けた型式証明申請の申請データと同等な遮蔽機能データを評価データとして使用することで、安全審査を短縮することができる。また、貯蔵施設の設置業者は、過度に保守的ではないキャスクの実態に即した貯蔵施設の設計(例えば、壁の厚さを過度に厚くしなくてよい等)が可能になる。」
「【0028】
<付記>
各実施形態に記載の評価データ提供方法及び評価データ提供装置は、例えば以下のように把握される。
【0029】
(1)第1の態様に係る評価データ提供方法は、遮蔽計算コードによって算出された遮蔽機能データを用いて、キャスクの放射線の遮蔽能力を示す評価データを作成するステップ(S3)と、前記評価データが、前記遮蔽機能データに基づいて所定の基準を満たすように作成されたことを判定するステップ(S4、S5)と、を有する。
キャスクの評価データを提供するとともに、その評価データが遮蔽機能データに基づいて、適切に作成されたことを合理的に確認する方法を提供する。これにより、信頼性があり、安全基準への適合性を判断しやすいキャスクの評価データを作成することができる。
【0030】
(2)第2の態様に係る評価データ提供方法は、(1)の評価データ提供方法であって、前記評価するステップでは、前記キャスクの型式証明申請で作成されて認可された前記キャスクの放射線の遮蔽能力を示す認可済み申請データの前記遮蔽機能データと、前記評価データとを比較して、両者の差が所定の閾値以下か否かを判定する。
認可済み申請データと、前記評価データと比較し、その差が所定の閾値以下であることという基準を満たすように評価データを作成することで、評価データの信頼性を高めることができる。また、認可済み申請データに含まれる線源条件を評価データにも適用することができる。
【0031】
(3)第3の態様に係る評価データ提供方法は、(1)~(2)の評価データ提供方法であって、前記認可済み申請データの前記遮蔽機能データと前記評価データとの比較では、前記キャスクの周囲に設定された1つ又は複数の評価点における線量当量率を比較する。
遮蔽機能データは連続データで膨大であるところ、評価点を定めることによって両者の比較が可能になる。
【0032】
(4)第4の態様に係る評価データ提供方法は、(1)~(3)の評価データ提供方法であって、前記評価データを作成するステップでは、前記キャスクの型式証明申請と同様の線源条件で、前記キャスクの型式証明申請に用いたものと同じ前記遮蔽解析コードを用いて、前記評価データを作成する。
同様の条件で、遮蔽機能データを生成することにより、遮蔽機能データに基づいて適切に作成されたことの判定において、適切に作成されたと認められる評価データを作成することができる。
【0033】
(5)第5の態様に係る評価データ提供装置は、(1)~(4)の評価データ提供方法であって、前記評価データは、キャスクの貯蔵施設の設置許可申請にあたり、貯蔵施設の外へ放射される放射線が安全基準を満たすことを示すために使用される。
これにより、キャスクの貯蔵施設の設置許可申請時に、安全基準への適合性を判断しやすいキャスクの評価データを作成することができる。
【0034】
(6)第6の態様に係る評価データ提供装置は、遮蔽計算コードによって算出された遮蔽機能データを用いて、キャスクの放射線の遮蔽能力を示す評価データを作成する評価データ作成部と、前記評価データが、前記遮蔽機能データに基づいて所定の基準を満たすように作成されたことを判定する判定部と、を備える。」
3 本願明細書に記載の審査ガイドに記載された事項
原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド(原子力規制委員会,2019年03月,<URL:https://www.nra.go.jp/data/000267570.pdf>)には、次の記載がある。
「2.2 遮蔽機能
【審査における確認事項】
(1) 設計上想定される状態において、使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽機能を有すること。
(2) 通常貯蔵時の兼用キャスク表面の線量当量率を2mSv/h以下とし、かつ、兼用キャスク表面から1m離れた位置における線量当量率を100μSv/h以下とすること。
(3) 通常貯蔵時の直接線及びスカイシャイン線について、原子力発電所敷地内の他の施設からのガンマ線と兼用キャスクからの中性子及びガンマ線とを合算し、ALARAの考え方の下、敷地境界において実効線量で50μSv/y以下となることを目標に、線量限度(1mSv/y)を十分下回る水準とすること。
(4) 貯蔵建屋等の損傷によりその遮蔽機能が著しく低下した場合においても、工場等周辺の実効線量が線量限度(1mSv/y)を超えないこと。
【確認内容】
以下を踏まえ遮蔽設計が妥当であること。
1) 使用済燃料の放射線源強度評価
使用済燃料の放射線源強度は、検証され適用性が確認された燃焼計算コードを使用して求めること。また、燃料型式、燃焼度、濃縮度、冷却年数等を条件とし、核種の生成及び崩壊を計算して求めること。
2) 兼用キャスクの遮蔽機能評価
a.兼用キャスクからの線量当量率は、兼用キャスクの実形状を適切にモデル化し、及び1)で求めた放射線源強度に基づき、検証され適用性が確認された遮蔽解析コード及び断面積ライブラリ(以下「遮蔽解析コード等」と総称する。)を使用して求めること。その際、設計貯蔵期間中の兼用キャスクのガンマ線遮蔽材及び中性子遮蔽材の熱劣化による遮蔽機能の低下を考慮すること。
b.兼用キャスク表面の線量当量率を2mSv/h以下とし、かつ、兼用キャスク表面から1m離れた位置における線量当量率を100μSv/h以下とすること。
3)敷地境界における実効線量評価
(1)直接線及びスカイシャイン線の評価
兼用キャスクが敷地境界に近い場所に設置される場合等に、使用済燃料から放出される中性子の敷地境界線量への寄与が大きくなる可能性があることを適切に考慮した上で、通常貯蔵時の直接線及びスカイシャイン線(ガンマ線及び中性子)による実効線量について評価すること。
(2)ソースターム
兼用キャスクの遮蔽機能データ又は兼用キャスク表面から1m離れた位置における線量当量率が100μSv/hとなるよう放射線源強度を規格化したものを用いること。ここで、放射線源強度を規格化して用いる場合は、中性子100%又はガンマ線100%のいずれか保守的な線量評価とすること。また、中性子及びガンマ線の表面エネルギースペクトルは、保守的な線量評価となるものを使用すること。
(3)遮蔽解析コード等
検証され適用性が確認された遮蔽解析コード等を使用すること。なお、モンテカルロコードを用いる場合は、相互遮蔽効果、ストリーミング及びコンクリート深層透過の観点から検証され適用性が確認されたものであること。
(4)通常貯蔵時の線量
通常貯蔵時の直接線及びスカイシャイン線について、原子力発電所敷地内の他の施設からのガンマ線と兼用キャスクからの中性子及びガンマ線とを合算し、ALARAの考え方の下、敷地境界において実効線量で50μSv/y以下となることを目標に、線量限度(1mSv/y)を十分下回る水準とすること。なお、兼用キャスク以外の施設の線量は、既評価の空気カーマ(Gy/y)を実効線量(Sv/y)へ換算し、又は新たに実効線量(Sv/y)を評価するものとする。換算に当たっては、係数を1とすること。」(7頁24行~8頁37行)
4 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうち理由2(委任省令要件違反)の概要は、次のとおりである。
理由2(委任省令要件違反)
この出願は、発明の詳細な説明が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令(特許法施行規則24条の2)で定めるところにより(すなわち、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することにより)、当業者が請求項1~5に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本願は、発明の詳細な説明の記載が、請求項1~5に係る発明について、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。
すなわち、前記経済産業省令で定められる「当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項」として、発明の詳細な説明には、「発明が解決しようとする課題」として、請求項に係る発明が解決しようとする技術上の課題が少なくとも一つ記載されていること、また、「その解決手段」として、請求項に係る発明によってどのように課題が解決されたかについて記載されていることが、通常、求められるところ、本願の発明の詳細な説明は、請求項1~5に係る発明について、本願明細書及び図面(以下、これらを合わせて「本願明細書等」という。)の記載並びに出願時の技術常識に基づいて当業者が理解できる程度に、発明が解決しようとする課題及びその解決手段が記載されているとは認められない。
5 当合議体の判断
以下に示すとおり、当合議体は、当審拒絶理由で通知した理由2(委任省令要件違反)のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が、請求項1~5に係る発明について、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない、と判断する。
(1) 発明が解決しようとする課題について
本願明細書の発明の詳細な説明における【0010】には、「貯蔵施設の設置業者は、キャスクのメーカから評価データの提供をうけ、評価データに基づいて、貯蔵施設の壁の厚さなどを設計する」ところ、「メーカが提供する評価データが、不明確であると、計算の根拠が疑われ、安全基準への適合性の判断が難しくな」り、例えば、「遮蔽計算コードで計算した遮蔽機能データから線源条件を特定することは難しく、線源条件はブラックボックスとな」り、「原子力規制委員会の安全審査において、安全基準への適合性を判断するのに支障を来す」ことが、発明が解決しようとする課題(以下「本件課題」という。)として記載されている。
しかしながら、遮蔽計算コードを用いて遮蔽機能データを計算するに際しては、線源条件を決定しなければ計算できないことが技術常識であり、このことは、「原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド」(前記3参照)の2.2 遮蔽機能【確認内容】の2)a.に、「兼用キャスクからの線量等量率は、兼用キャスクの実形状を適切にモデル化し、及び1)で求めた放射線源強度に基づき、検証される適用性が確認された遮蔽解析コード及び断面積ライブラリ(以下「遮蔽解析コード等」と総称する。)を使用して求めること。」(下線は、当合議体が付した。)と記載のとおりである。また、遮蔽機能データはその前提となる線源条件と共に提供されることも技術常識である(線源条件が不明な遮蔽機能データは、技術的に意味をなさない。)。そうすると、本件課題における「線源条件はブラックボックスとな」り「線源条件を特定することが難しい」との前提を理解することができないから、発明が解決しようとする課題を理解することはできないし、このことに関する技術常識があるともいえない。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、本願明細書等及び出願時の技術常識に基づいて、当業者が発明が解決しようとする課題を理解することができるように記載されているとはいえない。
(2) 発明が解決しようとする課題の解決手段について
前記(1)のとおりであるが、仮に本件課題があるとしても、以下に示すとおり、請求項1で特定される、認可済み申請データと評価データを比較すること(以下「本件比較」という。)や、遮蔽計算コードによって算出された遮蔽機能データを用いて、前記キャスクの放射線の遮蔽能力を示す評価データを作成することの技術上の意義を理解できない。
すなわち、請求項1では、その解決手段として、「認可済み申請データを取得」し、「遮蔽計算コードによって算出された遮蔽機能データを用いて、前記キャスクの放射線の遮蔽能力を示す評価データを作成」し、「作成した前記評価データと取得した前記認可済み申請データとを比較して、両者の差が所定の閾値以下か否かを判定し」、「前記閾値以下の場合、前記評価データが、所定の基準を満たすように作成されたと判定する」ことが特定されており、具体的には、「前記キャスクの型式証明申請で使用された、前記認可済み申請データに含まれる第1の評価点における線量当量率と前記評価データ作成部が前記評価データから計算した前記第1の評価点と同じ位置における線量当量率とを比較して、2つの前記線量当量率の差が前記閾値以下かどうかを判定するか、又は、前記評価データ作成部が前記認可済み申請データに含まれる遮蔽機能データに基づいて計算した前記キャスクの型式証明申請で使用されていない第2の評価点における線量当量率と前記評価データ作成部が前記評価データから計算した前記第2の評価点と同じ位置における線量当量率とを比較して、2つの前記線量当量率の差が前記閾値以下かどうかを判定する」こと、すなわち、本件比較を行うことが特定されている。
一方、本願明細書における発明の詳細な説明には、「前記評価データを作成するステップでは、前記キャスクの型式証明申請と同様の線源条件で、前記キャスクの型式証明申請に用いたものと同じ前記遮蔽解析コードを用いて、前記評価データを作成する。」(【0032】)と記載されており、これに反して、評価データ作成時の線源条件や遮蔽解析コードが、キャスクの型式証明申請の線源条件や遮蔽解析コードと異なることの記載はない。そうすると、対象とするキャスクと線源条件及び遮蔽解析コードが同じものであれば、その計算結果が同じになることは当然のことであり、本件比較を行わずとも両者が一致することは当業者には明らかである。したがって、本件比較において両者が一致しない場合としてどのような場合が想定されるのか理解できないから、本件比較を行うことの技術上の意義も理解できない。
さらにいえば、本件比較で両者が一致することが評価データが所定の基準を満たすことの条件なのであるから、評価データは認可済み申請データから作成すればよいのであって、なぜあえて同じ線源条件、同じ遮蔽解析コードで計算をやり直す必要があるのかも理解できず、「遮蔽計算コードによって算出された遮蔽機能データを用いて、前記キャスクの放射線の遮蔽能力を示す評価データを作成する」ことの技術上の意義も理解できない。
(3) 前記(1)及び(2)に説示のとおり、発明の詳細な説明の記載は、本願明細書等及び出願時の技術常識に基づいて、本件課題及び発明の技術上の意義を理解することができるように記載がなされていない。
6 請求人の主張について
(1) 前記5(1)について
ア 請求人は、本願明細書における【0010】には、メーカが提供する評価データは、遮蔽機能データに基づいて作成されるが、その遮蔽機能データが、キャスクの型式証明申請で使用した遮蔽機能データ(=遮蔽計算コードで計算した遮蔽機能データ)であるならば、キャスクからどれぐらいの放射線が放射されるかという情報は、キャスクの位置や放射線のエネルギーレベルによって様々であり、キャスク全体で見た場合に線量当量率や放射線量などの「どれぐらいの放射線が放射されるか」を示す値が連続的となる為、どの値を採用するかによって、線源条件が異なることになるという意味で、ブラックボックスとなるということが記載されている旨を主張している。
しかしながら、前記5(1)に説示のとおり、キャスクの遮蔽機能データは、線源条件を決定しなければ計算できないのであり、遮蔽機能データはその前提となる線源条件と共に提供されることが技術常識であるから、線源条件が不明という状況は通常起こり得ない。このことは、請求人の主張における「メーカが提供する評価データは、遮蔽機能データに基づいて作成されるが、その遮蔽機能データが、キャスクの型式証明申請で使用した遮蔽機能データ(=遮蔽計算コードで計算した遮蔽機能データ)である」との前提においても、本願明細書の【0014】の「型式証明申請では、遮蔽計算コードによって遮蔽機能データを計算するうえで放射線源についても解析を行い、線源条件を明確にしたうえで計算した遮蔽機能データ(より具体的には、16条遮蔽解析で得られるキャスク表面を通過する放射線束データ)やキャスクの形状などを申請データとして提出し、認可を受けている。」(下線は、当合議体が付した。)との記載からも明らかである。また、請求人の「どの値を採用するかによって、線源条件が異なることになるという意味で、ブラックボックスとなる」との主張について検討すると、ここでいう「値」として採用する遮蔽機能データに含まれる放射線量の情報である連続的なデータは、ある特定の線源条件を基に計算された値であって、いずれのデータについてもその線源条件は共通であるから、なぜ「どの値を採用するかによって、線源条件が異なることになる」のかを理解できない。
イ また、請求人は、遮蔽機能データの解析においては解析時間を有限で区切る必要があり、解析体系が異なる場合(例えば、キャスクのような小さな体系と、貯蔵施設~原子力施設周辺のような広範囲の体系)、遮蔽機能データを用いて解析することは、モデルの簡易化を行うことに等しく、型式証明申請時に用いた線源条件を、貯蔵施設の設置許可申請を行う場合に必要となるキャスクの遮蔽能力を示す評価データの線源条件として提出したからといって、解析モデルがそもそも異なるため遮蔽機能データが正しいということを証明することにはならず、貯蔵施設の設置許可申請に必要な評価データの線源条件は、解析モデルが異なる型式証明申請で使用した線源条件と一致するかどうか不明な為、ブラックボックスである旨を主張している。
しかしながら、請求人の主張する、型式証明申請時と貯蔵施設の設置許可申請とで解析体系又は解析モデルが異なることは発明の詳細な説明には何ら記載されておらず、請求人の主張は発明の詳細な説明の記載に基づくものではない。これをおくとしても、解析モデルが異なることと、貯蔵施設の設置許可申請に必要な評価データの線源条件が型式証明申請で使用した線源条件と一致するかどうか不明であることとが、技術的にどのように関連するのかも全く不明である。すなわち、前記アでも述べたとおり、線源条件は遮蔽機能データを解析するために必要不可欠な前提なのであって、解析モデルが異なることがなぜ線源条件が異なることを意味するのか、不明である。
なお、貯蔵施設の設置許可申請に必要な評価データの線源条件と、型式証明申請で使用した線源条件とが異なること、すなわち、前提とする線源条件が両者で異なる(例えば、前提とする使用済燃料が異なる)ことは考えられるが、発明の詳細な説明においては、「評価データ作成部121は、遮蔽計算コード131を記憶部13から読み出して、キャスクの型式証明申請と同様の線源条件で、遮蔽計算を実行する。」(【0019】)とされており、発明の詳細な説明の記載はこれには該当しない。
ウ 更に、請求人は、評価データの線源条件がブラックボックスであるために、(型式証明と同じ線源条件、同じ解析コードで計算した)遮蔽機能データの適切性を型式証明申請時の線源条件の明示以外の方法で明確にする必要がある旨主張している。
しかしながら、評価データの線源条件がブラックボックスであることが理解できないことは、これまでに述べたとおりである。
エ 以上のとおりであるから、発明の詳細な説明の記載は、本願明細書等及び出願時の技術常識に基づいて、当業者が発明が解決しようとする課題を理解することができる程度に記載されているとはいえない。
(2) 前記5(2)について
ア 請求人は、「兼用キャスクの遮蔽機能データ」を評価データとして用いた場合の評価データの作成方法が不明であるところ、その作成方法を新たに提供することが目的であるから、評価データと認可済み申請データの比較で両者が一致することが仮に明らかであっても、本件比較において両者が一致しない場合としてどのような場合が想定されるのかが理解できなくても特に問題はない旨主張している。
しかしながら、本件比較において両者が一致しない場合が想定されるから、本件比較に技術上の意義が生じるのであって、両者が一致することが明らかであれば、本件比較を行う必要はない。したがって、本件比較を行うことの技術上の意義を理解する上で、本件比較において両者が一致しない場合としてどのような場合が想定されるのかが理解できなくても特に問題はないとの請求人の主張は失当である。
イ また、請求人は、同じ線源条件、同じ遮蔽解析コードで計算を行うにしても、モンテカルロ法によって解析を行うので、計算結果が一致するわけではなく、また、キャスクのような小さな体系での解析から、貯蔵施設~原子力施設周辺の広範囲の解析を行うためには、計算資源は有限のため、モデルの簡易化を行う(=遮蔽機能データを用いる)必要があり、線源条件が同一なのだから、キャスク解析(認可済み申請データ)と遮蔽機能データが同一の解析結果となるという見解は誤りである旨、これは、解析条件が明確であっても、用いる解析コードの妥当性を別の方法(ベンチマーク等)での説明が求められる点と類似している旨を主張している。
しかしながら、まず、発明の詳細な説明には、モデルの簡易化については何ら記載されておらず、請求人の主張は発明の詳細な説明の記載に基づくものではない。また、用いる解析コードの妥当性を別の方法(ベンチマーク等)での説明が求められる点と類似している旨の請求人の主張は、キャスク解析(認可済み申請データ)の遮蔽解析コードと評価データを作成するための遮蔽機能データを算出する遮蔽解析コードが異なる場合については理解できるが、発明の詳細な説明には、「前記評価データを作成するステップでは、前記キャスクの型式証明申請と同様の線源条件で、前記キャスクの型式証明申請に用いたものと同じ前記遮蔽解析コードを用いて、前記評価データを作成する。」(【0032】)と記載されており、これに反して、評価データ作成時の線源条件や遮蔽解析コードが、キャスクの型式証明申請の線源条件や遮蔽解析コードと異なることの記載はないことは、前記5(2)でも説示したとおりであるから、発明の詳細な説明の記載は当該場合には該当しない。
(3) まとめ
以上のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
7 むすび
以上検討のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないから、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-009268