特許拒絶査定不服審判
2020-008785
発熱を伴う変換法
- 審判番号
- 2020-008785
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-529138
- 請求日
- 2020年06月24日
- 審決日
- 2022年06月10日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アド マイオーラ エルエルシー
- 【請求人代理人】特許業務法人筒井国際特許事務所
- 【請求人】ギャップメド リミテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人筒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬川 勝久
- 審判官 野村 伸雄
- 審判官 松川 直樹
- 分類
- P18 .536-WZ (G21F) / P18 .537-WZ (G21F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-529138「発熱を伴う変換法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月25日国際公開、WO2016/026720、平成29年 9月 7日国内公表、特表2017-525980〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成27年8月7日(パリ条約による優先権主張 2014年8月20日、カナダ(CA))の出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。
令和 元年 7月 2日付け:拒絶理由通知書
令和 元年10月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 2月18日付け:拒絶査定
令和 2年 6月24日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 8月30日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 2月28日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
令和4年2月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法であって、
‐ 密閉容器の外で反応炉(1)のチャンバ(7)内に少なくとも一つの遷移金属を含んだ粉末状化合物を配置するステップであって、前記遷移金属は、以下の核種、すなわち、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、 Ru、Rh、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、ランタノイド(lanthanides)およびアクチノイド(actinides)のグループの元素よりなるステップと、
‐ 前記チャンバ(7)内に前記放射性物質を配置するステップであって、前記放射性物質は、前記密閉容器に封入され且つ封入されたままであるステップと、
‐ 周囲圧力よりも高い圧力によって前記粉末状化合物および前記放射性物質と接触する水素を前記密封容器内に供給し、前記粉末状化合物および前記放射性物質と前記水素とを前記密封容器内で接触させるステップと、
‐ 前記チャンバ(7)内に電場を発生させるステップであって、前記電場は、前記粉末状化合物および前記放射性物質に印加され、前記電場は、20~30000ボルト/mの間であるステップと、
‐ 加熱によって前記粉末状化合物を活性化し、次いで、前記少なくとも一つの遷移金属の別の遷移金属への変換と、前記放射性物質へ向かう陽子放出とを生じるステップであって、前記電場および超音波の生成中の前記チャンバ(7)内の圧力は5×105Paより大きく、前記チャンバ(7)は、水素を少なくとも99%含み、水素は加熱前に提供され、後続のステップ中は前記チャンバ(7)内に留まり、前記加熱の初期温度は、80℃~200℃の間であり、前記放射性物質が少なくとも部分的に非放射化されるステップと、
‐ 前記反応炉(1)から熱エネルギーを取り除くステップと、を含み、
‐ 前記水素は、デューテリウムおよびトリチウムが追加されない、発熱を伴う変換法。
【請求項2】
前記チャンバ(7)内に電場を発生させるステップを備え、当該電場は、前記粉末状化合物および前記放射性物質に印加され、
前記粉末状化合物を超音波によって活性化し、超音波は、250と600kHzの間の周波数を有し、エネルギー束は、1.3Wm-2以上である、請求項1に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項3】
放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法であって、
‐ 密封容器である反応炉(1)のチャンバ(7)内に少なくとも一つの遷移金属を含んだ粉末状化合物を配置するステップであって、前記遷移金属は、以下の核種、すなわち、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、ランタノイド(lanthanides)およびアクチノイド(actinides)のグループの元素よりなるステップと、
‐ 前記チャンバ(7)内に前記放射性物質を配置するステップであって、前記放射性物質は、前記粉末状化合物と近接または前記粉末状化合物と混合されるステップと、
‐ 周囲圧力よりも高い圧力にて前記粉末状化合物および前記放射性物質と接触する水素を提供するステップと、
‐ 前記チャンバ(7)に電場を発生させるステップであって、当該電場は、前記粉末状化合物および前記放射性物質に印加され、前記電場は、20~30000ボルト/mの間であるステップと、
‐ 超音波によって前記粉末状化合物を活性化し、次いで、前記少なくとも一つの遷移金属の別の遷移金属への変換と、前記放射性物質へ向かう陽子放出とを生じるステップであって、前記超音波は、250kHz~600kHzの間の周波数を有し、エネルギー束は、1.3Wm-2以上であり、前記電場および超音波の生成中の前記チャンバ(7)内の圧力は5×105Paより大きく、前記チャンバ(7)は、水素を少なくとも99%含み、水素は、後続のステップ中は前記チャンバ(7)内に留まり、前記放射性物質が少なくとも部分的に非放射化されるステップと、
‐ 前記反応炉(1)から熱エネルギーを取り除くステップと、を含み、
‐ 前記水素は、デューテリウムおよびトリチウムが追加されない、発熱を伴う変換法。
【請求項4】
前記活性化のステップは、前記粉末状化合物および前記放射性物質を加熱するステップを含み、前記加熱の初期温度は、80℃~200℃の間である、請求項3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項5】
前記放射性物質は、採鉱廃棄物、核分裂生成物、医療核廃棄物である、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項6】
前記チャンバ(7)から空気を取り除くステップを含む、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項7】
前記粉末状化合物はNiおよびFeを含み、
好ましくはNiを質量で50%~95%と、Feを5%~50%含み、
Ni原子は、Cuに変換される、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項8】
前記粉末状化合物は、Cuを質量で1%~10%含み、
前記粉末状化合物のCuは、10μm~100μmの間の平均粒径の粒子を少なくとも99%有する、請求項10に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項9】
前記粉末状化合物のNiは、10μm~100μmの間の平均粒径のNi粒子100%のうちの少なくとも99%有し、
前記粉末状化合物のFeは、10μm以下の平均粒径のFe粒子100%のうちの少なくとも99%有する、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項10】
前記粉末状化合物は、グラファイトを質量で25%~40%含む、請求項1または3に 記載の発熱を伴う変換法。
【請求項11】
前記粉末状化合物は、Crを含む、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項12】
同一の粉末状化合物の組成が、複数の放射性物質の非放射化のために使用される、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項13】
前記電場は、本質的に静電場である、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項14】
前記放射性物質は、10μm以下の平均粒径の粒子を少なくとも99%有した粉体である、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項15】
前記反応炉(1)からの熱エネルギーの除去は、気体冷却または液体冷却によって行われる、請求項1または3に記載の発熱を伴う変換法。
【請求項16】
電場および超音波は、前記初期温度にて前記チャンバ(7)を加熱した後に発生させ、
加熱は、電場および超音波の発生期間のうちの第一期中は維持され、
加熱は、前記第一期の終わりに停止され、
熱エネルギーの除去は、前記第一期の後に開始され、
電場および超音波発生期間は、1時間~6時間の継続時間を有する、請求項4に記載の発熱を伴う変換法。」
第3 当審の拒絶の理由
令和3年8月30日付けで当審が通知した拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
[理由1](実施可能要件)本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
[理由2](サポート要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
[理由3](明確性要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
理由1(実施可能要件)、理由2(サポート要件)、理由3(明確性要件)について
・発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1―16の「放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法」の実施ができる程度に明確かつ十分に記載したものではない(実施可能要件)。
・請求項1~16に記載された「放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法」が、本願の発明の詳細な説明から、どのようなものか把握できない。また、「放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法の変換メカニズム」は判然としないことから、請求項1―16に記載された遷移金属すべて、又はすべての放射性物質に対し、請求項1-16に係る発明が、発明の詳細な説明に実質的に記載されているとはいえない。
したがって、発明の詳細な説明には、請求項1-16に係る発明が、実質的に記載されていない(サポート要件)。
・20~30000ボルト/mの間にある電場、80℃~200℃の間の初期温度の加熱、遷移金属、超音波、5×105Paより大きいチャンバ内の圧力、H2を少なくとも99%含むチャンバ、又は、20~30000ボルト/mの間にある電場、遷移金属、250kHz~600kHzの間の周波数を有し、エネルギー束は、1.3Wm-2以上である超音波、5×105Paより大きいチャンバ内の圧力、H2を少なくとも99%含むチャンバのみでは、放射性物質は非放射化しないことは、実施可能要件で説示したとおりであり、当該電場等の条件で放射性物質は非放射化することは技術常識とも認められないので、どのようにすれば、放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法とすることができるのか不明確な記載である。
さらに、20~30000ボルト/mの間にある電場、加熱又は超音波による活性化では、遷移金属を当該遷移金属とは別の遷移金属へ変換することができないことは技術常識であり、どのようにすれば、遷移金属を当該遷移金属とは別の遷移金属へ変換することができるのか不明確な記載である。
よって、請求項1-16に係る発明は明確でない(明確性要件)。
第4 当審の判断
1 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について
(1)発明の詳細な説明は、当業者が請求項1、3の「放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法」の実施ができる程度に明確かつ十分に記載したものであるか、検討する。
ア 6027Coについて
(ア)変換が得られるメカニズムについて
a 本願の明細書には、6027Coが61Ni、62Niに変換するメカニズムについて以下のように記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。)。
「【0179】
2. 変換の考え得るメカニズム
2.a 6027Co
60Co(中性子の活性化によって5927Coから得られるー半減期が5.27年のー人工の放射性同位体)の崩壊は、必然的に、6028Niに向かう。全反応の核方程式は、以下のように表されることができる。
【化2】
[図:0001391215000001.jpg]
【0180】
すなわち(最終的な崩壊のみに関して)、
【表5】
[図:0001391215000002.jpg]
【0181】
この変換は、6028Ni*(励起したニッケル60)までβ崩壊によって生じ、次に、ニッケル60は、ガンマ線を放出することによって最低のエネルギー状態に切り替わる。すなわち、
【化3】
[図:0001391215000003.jpg]
上記式において、v(_)eは、反電子ニュートリノであり、
【化4】
[図:0001391215000004.jpg]
この二つ目の式は、静電分極の役割をよりよく説明している。
【0182】
実験段階では、サンプルは、SEM EDAXによって分析され、図5に示すスペクトルを得た。このスペクトルは、明らかにニッケルの-略完全な-存在を示し、三つのピークで強調されている(記号Niで記されている)。コバルトのピークがあった位置は、記号Coで示されている。
【0183】
しかしながら、スペクトルのこの解釈は、ニッケルの二つの異なる安定した同位体の形成を示唆している。
【化5】
[図:0001391215000005.jpg]
これは超音波の役割を強調するためである。分極および「中性子雲(neutron cloud)」が、これらの二つの異常な同位体の出現を促進するという説明になりえる。」
b 本願明細書の【0179】~【0183】には、6027Co変換の考え得るメカニズムについて記載されている。
まず、本願明細書の【0179】~【0181】の記載から、半減期が5.27年の6027Coの崩壊は、必然的に、6028Niに向かうことは把握できる。
そして、本願明細書の【0182】では、実験段階では、サンプルは、SEM EDAXによって分析され、図5に示すスペクトルを得たと記載され、【0183】で、スペクトルのこの解釈は、ニッケルの二つの異なる安定した同位体の形成を示唆していると記載され、【化5】が記載されている。
しかしながら、半減期が5.27年の6027Coの崩壊は、必然的に、6028Niに向かう変換メカニズムは理解できるものの、6027Coが、61Ni、62Niに変換することに関しては、どのようなメカニズムで変換が起こっているのか【表5】も含め理論的な説明がされておらず、さらに、核変換技術として確立された技術常識を踏まえても、6027Coが、61Ni、62Niに実際に変換することは、技術常識とはいえない。
(イ)実験について
上記(ア)で検討したように、6027Coについて、本願請求項1、3に記載の放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法の変換メカニズムについては、どのようなメカニズムで変換が起こっているのか【表5】も含め理論的な説明がされていない。そこで、本願明細書の6027Coについての実験1について検討する。
実験1は、60Coを処理するために実験がなされたものの旨、また、60Coの安定した同位体61Niまたは62Niへの変換の仮説は、測定に基づいている旨、本願明細書の【0126】-【0129】に記載されている。そして、本願明細書の【0129】には、実験1は、「反応炉内の圧力は、約13バールであり、反応炉の外で測定された開始温度は、約110℃であり、継続時間は約165分であり、ドライバは、5マイクロメートル未満の粒径のニッケル(Ni)および鉄(Fe)を約13グラム含んでおり、廃棄物は、5マイクロメートル未満の粒径のコバルト60(60Co)を約1グラム含んでおり、電場は生成されていない。」旨記載されている。
しかしながら、本願明細書の【0129】には、実験1は、「電場は生成されていない」と記載されていることから、「チャンバ(7)内に電場を発生させるステップ」を発明特定事項とする本願請求項1、3に記載の発明の実験であるとはいえない。
上記「電場は生成されていない」点を措いても、処理済み物質のスペクトル解析は行われているものの、処理前物質のスペクトル解析のデータは示されておらず、処理前後でのスペクトルの変化、つまり、6027Coの61Ni、62Niへの変換について確認したとはいえず、また、発熱を伴っているのかについて示されておらず、60Coの61Ni、62Niへの変換の実態が把握できない。
なお、反応炉には、ドライバーとして5マイクロメートル未満の粒径のニッケル(Ni)も含んでいることから、処理済み物質に処理前から存在するニッケル(Ni)が混入していないことの検証はしておらず、当該混入の可能性も否定できない。
そうすると、実験1の実験結果を参酌しても、60Coが61Ni、62Niに変換したことについては確認できない。
結局、この出願の発明の詳細な説明は、放射性物質である6027Coを少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法につき、当業者が実施ができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
イ 13755Csについて
(ア)変換が得られるメカニズムについて
a 本願明細書には、13755Csが13756Baに変換するメカニズムについて以下のように記載されている。
「【0184】
2.b 13755Cs
137Co(主にウランの核分裂の副産物として、特に反応炉内において形成される-半減期が30.17年の-セシウムの放射性同位体)の崩壊は、必然的に13756Baに向かう。核方程式(最終的崩壊のみに関する)は、以下のように表すことができる。
【表6】
[図:0001391215000006.jpg]
この変換は、13756Ba*(励起したバリウム137)までβ崩壊によって生じ、次に、バリウム137は、ガンマ放出によって最低エネルギーの状態になる。さらなる推論および評価は、6027Coに関して表された-既に説明された-ものによく似たものとして展開される。」
b 本願明細書の【0184】には、13755Csの考え得るメカニズムについて記載されている。
しかしながら、半減期が30.17年の13755Csの崩壊は、必然的に、13756Baに向かう変換メカニズムは理解できるものの、本願請求項1、3に記載の放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法の変換メカニズムについては何ら説明されていない。
(イ)実験について
上記(ア)で検討したように、13755Csについて、本願請求項1、3に記載の放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法の変換メカニズムは、本願明細書からは理解できないし、実験についても記載されていない。
結局、この出願の発明の詳細な説明は、放射性物質である13755Csを少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法につき、当業者が実施ができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
ウ 23592Uについて
(ア)変換が得られるメカニズムについて
a 本願明細書には、23592Uが138Baおよび92Krに変換するメカニズムについて以下のように記載されている。
「【0185】
2.c 23592U(+23892U)用いられるウラン(CAS登録番号6159-44-0)に基づく生成物は、235Uおよび238Uの両方が非常に異なる自然崩壊のモードを有することが分かる。
【0186】
一例として、235Uの処理に金属を曝した場合に見られる崩壊系列を手短に検討する。この結果は、バリウムおよびクリプトンの安定した同位体におけるウランの変換の結果である。235Uは、処理(結果的に、電子が放出された同一の環境における)から陽子を獲得し、つかの間の236U(236Np)になる。
【0187】
【化6】
[図:0001391215000007.jpg]
236Uは、ほぼ一瞬にして崩壊し、141Baおよび92Kr(両方とも不安定)および陽電子処理の放出環境を形成する。
【0188】
【化7】
[図:0001391215000008.jpg]
電子および陽電子は、エネルギーの放出(冷却システムの流体貯留によって吸収される)によって消滅する。
【0189】
【化8】
[図:0001391215000009.jpg]
不安定な141Baおよび92Krは、いずれの場合も三つの中性子の放出によって夫々の安定した形状(138Baおよび89Kr)へと一瞬にして崩壊する。
【0190】
【化9】
[図:0001391215000010.jpg]
六つの中性子(寿命≦1.100秒)は、流体格納容器内で最終的に熱運動化する。」
b 本願明細書の【0185】~【0190】には、23592U(+23892U)の考え得るメカニズムについて記載されている。
そして、本願明細書の【0185】~【0190】の記載から、235Uの崩壊は、138Baおよび89Krに向かうことが可能なことは把握できる。
しかしながら、上記記載の236Uが141Baおよび92Krに分裂し、不安定な141Baおよび92Krは、いずれの場合も三つの中性子の放出することによって、さらに、同じ反応が繰り返され(連鎖反応)、そのときに莫大なエネルギー・放射線が放出されこと、また、連鎖反応においては、23592Uが141Baおよび92Kr以外の様々な放射性元素(例えば、13755Cs等)になることも、技術常識である。
そうすると、上記崩壊は、本願の発明が解決しようとする課題である安全な方法(【0008】)になりえず、上記崩壊を、本願の請求項1、3に記載の発明の、制御棒等の制御手段を用いていない反応炉に用いることは、反応路の核変換技術として確立された技術常識に反する。
(イ)実験について
上記(ア)で検討したように、23592Uについて、本願請求項1、3に記載の放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法の変換メカニズムについては、核変換技術として確立された技術常識に反する。そこで、本願明細書の酢酸ウラニルについての実験2~4について検討する。
a 実験2について
実験2は、廃棄物として酢酸ウラニル水和物を含むものである。また、処理済み廃棄物の放射能の測定値は、著しいガンマ線放出の低下を示し、処理済み廃棄物の残留ガンマ線放出は、自然の放射能と同じ大きさである旨、本願明細書の【0130】-【0146】に記載されている。そして、本願明細書の【0134】には、実験2は、「反応炉内の圧力は、約18バールであり、反応炉の外で測定された開始温度は、約140℃であり、ドライバは、5マイクロメートル未満の粒径のニッケル(Ni)および鉄(Fe)と10マイクロメートル未満の粒径の銅(Cu)を約27グラム含んでおり、この廃棄物は、5マイクロメートル未満の粒径の酢酸ウラニル水和物(hydrate uranyl acetate)(CAS登録番号6159-44-0)を約1.6グラム含んでおり、電場は生成されていない。」旨記載されている。
しかしながら、本願明細書の【0134】には、実験2は、「電場は生成されていない」と記載されていることから、「チャンバ(7)内に電場を発生させるステップ」を発明特定事項とする本願請求項1、3に記載の発明の実験であるとはいえない。
上記「電場は生成されていない」である点を措いても、処理済み物質の実際の定性・定量分析結果は示されておらず、放射性物質が非放射化しているのか実態が把握できない。
また、酢酸ウラニルは、加熱すると煙霧を発生することからも、実験2の反応炉の外で測定された開始温度約140℃では、酢酸ウラニルは実験中に煙霧となり、容器(例えば、図4の核廃棄物23の第2の容器22)から放出されることも推測され、適切な実験にならないと考えられる。
b 実験3について
実験3(【0147】-【0153】)は、廃棄物として酢酸ウラニル粉体を含むものである。そして、本願明細書の【0152】には、実験3は、電場は、約10000V/mであり、加熱を行う旨記載され、約40分後、反応炉の壁が壊れ、冷却システムから恐らく生じた高温の蒸気が漏れ出て、従って、水素が排出され、本処理は中断したことも記載されている。
しかしながら、水素が排出され、本処理は中断したと記載されていること、本願明細書の【0153】の「実のところ、二つのサンプルの重量と形状の差によるものであった。コンピュータ解析によって特定された輝線は、同一の相対強度を有するものと同一であった。従って、特定された核種によるγ線放出の実際の変化は発見されなかった。」との記載からも、実験3は、放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法を確認するための実験として、適切な実験とはいえないと考えられる。さらに、実験3は、処理済み物質の実際の定性・定量分析結果は示されておらず、放射性物質が非放射化しているのか実態が把握できない。
c 実験4について
実験4(【0154】-【0178】)の目的は、処理後のサンプルの放射能の低減を明らかにし、証明することである。そして、本願明細書の【0154】には、「サンプルは、放射性物質を収納した図11および図12に示す密封容器である。」と記載され、本願明細書の【0155】には、実験4は、反応炉内では約12バール、容器内では7バールであり、反応炉の外で測定される開始温度は、約140℃である。ドライバは、5マイクロメートル未満の粒径の約70%のニッケル(Ni)、20%の鉄(Fe)および3%のコバルト(Co)と、10マイクロメートル未満の粒径の7%の銅(Cu)とを約36グラム含んでおり、ドライバは、容器の外部かつその周囲に配置され、廃棄物は、5マイクロメートル未満の粒径の(UO2(CH3COO)2(CAS登録番号6159-44-0)を約1.3グラム含んでいる旨記載されている。
しかしながら、処理後のサンプルの実際の定性・定量分析結果は示されておらず、放射性物質が非放射化しているのか実態が把握できない。
また、本願明細書の【0165】には「処理後と処理前のサンプルの重量の差は以下の通りである。Dw=-62±40mg」と記載され、本願明細書の【0165】には「容器の構造により、含まれる物質は、体積を現状のままにしておくことができない。」と記載され、密閉容器のサンプルの重量が処理後に減少していること、容器の構造により、含まれる物質は、体積を現状のままにしておくことができないことから、密閉容器内の物質が放出され、密閉容器外の物質が入り込むことが示唆されている。例えば、酢酸ウラニルは、加熱すると煙霧を発生することからも、実験4の反応炉の外で測定される開始温度約140℃では、酢酸ウラニルは実験中に煙霧となることも推測される。そうすると、酢酸ウラニルは煙霧となり、密閉容器から放出され、密閉容器外から何らかの物質が入りことも想定される。
なお、本願明細書の【0147】には、実験3において「この重量の増加は、汚れた手袋との接触によって生じた可能性がある。」と記載されていることからしても、実験4においても、処理後のサンプルに何らかの物質が入りこむ可能性も否定できない。
d そうすると、実験2~4の実験結果を参酌しても、23592Uが138Baおよび92Krに変換したことについては確認できない。
結局、この出願の発明の詳細な説明は、放射性物質である23592Uを少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法につき、当業者が実施ができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
エ そして、本願明細書において、「(少なくとも部分的に非放射化される)放射性物質」の具体例として挙げられているのは、6027Co、13755Cs、23592Uのみである。そうすると、上記ア~ウから、本願明細書において、請求項1、3に記載の放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法の変換メカニズムについて理論的な説明がされておらず、実験結果を参酌しても、当該変換法により変換したことについては確認できない。
また、請求項1、3を引用する請求項についても同様である。
したがって、請求項1-16に係る発明を実施することは、当業者であっても困難である。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-16に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。
2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
上記「1」で説示したように、請求項1、3に記載された「放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法」が、本願の発明の詳細な説明から、どのようなものか把握できない。
また、請求項1、3は各種遷移金属が記載され、また放射性物質は特定されておらず、本願の発明の詳細な説明において「放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法の変換メカニズム」は判然としないことから、請求項1、3に記載された遷移金属すべて、又はすべての放射性物質に対して、請求項1、3に係る発明が、発明の詳細な説明に実質的に記載されているといえない。
また、請求項1、3を引用する請求項についても同様である。
したがって、発明の詳細な説明には、請求項1-16に係る発明が、実質的に記載されていない。
3 特許法第36条第6項第2号(明確性)について
(1)請求項1、3には「放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法」、請求項1には「前記電場は、前記粉末状化合物および前記放射性物質に印加され、前記電場は、20~30000ボルト/mの間であるステップと、‐ 加熱によって前記粉末状化合物を活性化し、次いで、前記少なくとも一つの遷移金属の別の遷移金属への変換と、前記放射性物質へ向かう陽子放出とを生じるステップであって、前記電場および超音波の生成中の前記チャンバ(7)内の圧力は5×105Paより大きく、前記チャンバ(7)は、水素を少なくとも99%含み、水素は加熱前に提供され、後続のステップ中は前記チャンバ(7)内に留まり、前記加熱の初期温度は、80℃~200℃の間であり、前記放射性物質が少なくとも部分的に非放射化されるステップ」、請求項3には「当該電場は、前記粉末状化合物および前記放射性物質に印加され、前記電場は、20~30000ボルト/mの間であるステップと、‐ 超音波によって前記粉末状化合物を活性化し、次いで、前記少なくとも一つの遷移金属の別の遷移金属への変換と、前記放射性物質へ向かう陽子放出とを生じるステップであって、前記超音波は、250kHz~600kHzの間の周波数を有し、エネルギー束は、1.3Wm-2以上であり、前記電場および超音波の生成中の前記チャンバ(7)内の圧力は5×105Paより大きく、前記チャンバ(7)は、水素を少なくとも99%含み、水素は、後続のステップ中は前記チャンバ(7)内に留まり、前記放射性物質が少なくとも部分的に非放射化されるステップ」と記載されている。
(2)しかしながら、20~30000ボルト/mの間にある電場、80℃~200℃の間の初期温度の加熱、遷移金属、超音波、5×105Paより大きいチャンバ内の圧力、水素を少なくとも99%含むチャンバ、又は、20~30000ボルト/mの間にある電場、遷移金属、250kHz~600kHzの間の周波数を有し、エネルギー束は、1.3Wm-2以上である超音波、5×105Paより大きいチャンバ内の圧力、水素を少なくとも99%含むチャンバのみでは、放射性物質は非放射化しないことは、上記「1」で説示したとおりであり、また、当該電場等の条件で放射性物質は非放射化することは技術常識とも認められないので、どのようにすれば、放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法とすることができるのか不明確な記載である。
したがって、当該記載は不明確である。
また、請求項1、3を引用する請求項についても同様である。
(3)さらに、20~30000ボルト/mの間にある電場、加熱又は超音波による活性化では、遷移金属を当該遷移金属とは別の遷移金属へ変換することができないことは技術常識であり、どのようにすれば、遷移金属を当該遷移金属とは別の遷移金属へ変換することができるのか不明確な記載である。
また、請求項1、3を引用する請求項についても同様である。
よって、請求項1-16に係る発明は明確でない。
4 審判請求人の主張について
(1)審判請求人は、令和4年2月28日付けの意見書において
ア 「本件特許出願の目的は、科学的理論を作り出すことでは無く、それを示すことでもありません。本発明者の意図は、合理的な説明をするとともに、対応する知識が定着したものでは無く、未完成のものとして残されていることでした。したがって、未完成の過去の知識を超える発明を保護して貰いために本件出願が成されました。過去の知識が本願発明を説明できるものでは無いという事実は、本願発明の価値の障害になるものではありません。」(2頁下から16~9行)、
イ 「従いまして、当業者であれば、実験1の実験結果を参酌すれば、60Coが61Ni、62Niに変換したことについて確認できるものと考えます。」(3頁下から14~13行)、
ウ 「セシウム-137は、30.17年の半減期を有し、β粒子の放出によりβ崩壊を起こし、 バリウム1137の準安定核異性体、バリウム-1377mは(137m55Ba、137m Ba.Ba-137m)を形成します。各崩壊の役99%がこの異性体に繋がります。他の5%が直接ベース状態を生成し、これは安定です。一方、Ba-137は、約2.55分の半減期を有し、全てのガンマ(γ)線放出に関与しています。Ba-137mによって生成される光エネルギーは、662keVです。」(4頁12~17行)、
エ 「ご指摘の「13755Cs」については、実験はされておりません。」(4頁25行)、
オ 「1) 238Uで始まり、206Pb(安定)で終わる、いわゆる「デル ラジオ(del radio)」シリーズ。 2) 239Puで始まり、235Uを経て、207Pb(安定)で終わる、いわゆる「アクチニウム」シリーズ。」(5頁下から5~2行)、
カ 「アクチニウムのシリーズ(本願発明では重視されない239Puからスタートして、231Th(4,678MeVのエネルギーを生成)に崩壊する236Uを示し、231Thは、231Pa(0.391MeV)に向けて崩壊し、次いで、227Ac(5.150)、227Th(0.045)、223Fr(6.147)、223Ra(1.149)、219Rn(5.979)、215Po(6.946)、215At(0.715)、211Pb(7.527)、211Bi(1.367)、211Po(0.575)、 207Ti(0.715)、そして、安定な207Pb(1.418MeV)で終わるのであります。」(6頁12~19行)、
キ 「ガンマ線放出スペクトル図7~図9において、自然のレベルより大きいものとして示されておりますので、材料は処理前では放射性のものであります。さらに、処理後には、放射性がより少なくなることも示されています。」(7頁9~11行)、
ク 「実験3は、大量のエネルギーを生成することができるのであり、本願書の例えば段落【0153】には、511keVにおける線が陽電子の電子消滅を示しており、本願発明の実験3により大量のエネルギーが生成されることが示されているのであります。」(8頁7~9行)、
ケ 「つまり、容器は密封容器でありますので、何らかの物質が密封容器の外部から内部に侵入するようなことはあり得ないことであります。」(10頁下から11~10行)、
コ 「仮に、諸ロゴに何ら名の物質がサンプルの中に入り込んだとしても、それによって大きなエネルギーが生成されることは無く、上記の如く、本願明細書の段落【0153】に記載されていますように、また、511keVにおける線で示されますように、本願発明により大量のエネルギーが生成されることが記載されているのであります。」(11頁15~18行)、
サ 「本出願人としては、上記記載は、本発明者の実験において実際に起きた現象であり、その現象の主なものは、大量の熱の生成と、放射能の減少とでありました。」(11頁下から8~7行)、
旨主張している。
(2)上記主張について以下検討する。
ア 上記「ア」及び「イ」について
上記1(1)アで説示したように、変換が得られるメカニズムについて理論的な説明がされておらず、実験1は、処理前物質のスペクトル解析のデータは示されていない。また、発熱を伴っているのかについて示されていない。したがって、60Coの61Ni、62Niへの変換の実態が把握できない。
イ 上記「ウ」及び「エ」について
本願明細書の【0184】は、半減期が30.17年の13755Csが、必然的に13756Baに変換することについて記載されているものの、本願請求項1-16に記載の発明の放射性物質を少なくとも部分的に非放射化することについて述べたものでもなく、また、実験もされていない。
ウ 上記「オ」及び「カ」について
本願明細書には、238U又は239Puに始まり207Pb(安定)で終わることについて記載されておらず、本願請求項1-16に記載の発明との関係も不明である。
エ 上記「キ」について
処理済み物質の実際の定性・定量分析結果は示されておらず、放射性物質が非放射化しているのか実態が把握できない。
また、酢酸ウラニルは、加熱すると煙霧を発生することからも、実験2の反応炉の外で測定された開始温度約140℃では、酢酸ウラニルは実験中に煙霧となり、容器(例えば、図4の核廃棄物23の第2の容器22)から放出されることも推測され、適切な実験にならないと考えられる。
オ 上記「ク」及び「コ」について
本願明細書の【0153】には、「コンピュータ解析によって特定された輝線は、同一の相対強度を有するものと同一であった。従って、特定された核種によるγ線放出の実際の変化は発見されなかった。しかしながら、処理済みサンプルからのかすかな線の中に、いくつかの新たなものがある。特に、511keVにおける線は、陽電子電子消滅を示している。」と記載されているが、実験3において処理済みサンプルを解析したデータは、本願明細書に記載されていない。
カ 上記「ケ」について
本願明細書の【0165】には「処理後と処理前のサンプルの重量の差は以下の通りである。Dw=-62±40mg」と記載され、本願明細書の【0165】には「容器の構造により、含まれる物質は、体積を現状のままにしておくことができない。」と記載され、密閉容器のサンプルの重量が処理後に減少していること、容器の構造により、含まれる物質は、体積を現状のままにしておくことができないことから、密閉容器内の物質が放出され、密閉容器外の物質が入り込むことが示唆されている。また、請求人自ら、密閉容器のサンプルの重量が変わることを示している。
例えば、酢酸ウラニルは、加熱すると煙霧を発生することからも、実験4の反応炉の外で測定される開始温度約140℃では、酢酸ウラニルは実験中に煙霧となることも推測される。そうすると、酢酸ウラニルは煙霧となり、容器から放出されることとなり、また、密閉容器外から何らかの物質が入りことも想定される。
キ 上記「サ」について
本願発明の放射性物質を少なくとも部分的に非放射化するための発熱を伴う変換法のメカニズムが不明であり、実験からも放射性物質を少なくとも部分的に非放射化していることが、明確に把握できない。
以上のとおりであるから、審判請求人の主張を採用することはできない。
第5 むすび
以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。また、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、さらに、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-008785