特許拒絶査定不服審判
2023-001312
建築用養生板
- 審判番号
- 2023-001312
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-096685外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年01月25日
- 審決日
- 2024年10月15日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (E04G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018- 96685「建築用養生板」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月21日出願公開、特開2019-199791〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月18日の出願であって、令和4年2月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月28日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年10月11日に意見書が提出されたところ、同月17日付け(送達日:同月25日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和5年1月25日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、令和6年1月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月29日に手続補正書が提出され、同年4月1日に意見書が提出され、当審において、同年5月30日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月2日に意見書が提出されたものである。
第2 本願の請求項1に係る発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年3月29日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ベニヤ板と発泡スチロールを貼り合わせた従来の建築用養生板を改良した建築用養生板であって、
ベニヤ板の代わりにシート材を両面が平らな板状発泡体と、シート材と板状発泡体の二つの面が、同一平面上にあり、シート材と板状発泡体の二つの断面が、平らでなめらかである位置関係で貼り合わせていて、
前記シート材が、パステルカラーであることを特徴とする建築用養生板。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 登録実用新案第3133046号公報
第4 引用文献の記載、引用発明
当審拒絶理由で引用文献1として引用され、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され、又は電気通信回線を通じて利用可能となった登録実用新案第3133046号公報(平成19年6月28日発行)には、壁面用保護シートの固定枠(考案の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は当審で付した。
1 記載事項
「【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、壁面用保護シートの固定枠に関し、特にエレベータの内壁面、建設中の建物壁面、防音壁等などの壁面を衝撃等から保護するための壁面用保護シートを壁面に固定するための固定枠に係る。」
「【考案の効果】
【0006】
1)複数枚の壁面用保護シートを壁面に容易、迅速、確実かつ安定して着脱自在に貼り付けることができる。
2)各種サイズの壁面用保護シートを容易に組み合わせて貼り付けることができる。
3)壁面用保護シートの固定枠は、壁面に対する着脱や、持ち運び移動が簡単である。
4)平滑な壁面に、壁面用保護シートを貼り付けることにより、押しピン等により、掲示板として利用することが出来る。
5)所定サイズ、例えば30cm×30cmの四角状で裏側に部分的にマグネットシートを貼り付けているため、マグネットの効力を効かせた状態で、四角状の壁面用保護シートをきめ細かくずらす事が出来る。また脱着が容易である。さらに小型正方形形状であるため、持ち運びが簡単である利便性を有する。
6)壁面用保護シートの組み合わせを自由に出来ることによりデザイン的に優れたものとすることが出来る。」
「【考案を実施するための最良の形態】
【0007】
図1において、1は壁面用保護シート、2は固定枠である。壁面用保護シート1は、図2からも明らかなように、保護層1aと衝撃吸収層1bを適当な接着剤により一体的に積層して構成されている。該保護層1aは、例えば、織物や不織布、軟質合成樹脂シート、ゴムシート、紙質シートなど、損傷し難くい材質で、好ましくはその表面に色柄やデザインを施し得る表面材であればいずれでもよい。また、形状としては、正方形・長方形などの矩形が好ましく、一辺が短いものと一辺が長いものを組み合わせてもよい。さらに、上記衝撃吸収層1bは、例えば、発泡ウレタン、発泡ポリプロピレンなどのクッション材質のもので適宜厚さ寸法を有する。該衝撃吸収層1bの裏面には、また更に、マグネットシート(図示せず)を一体的に積層させてもよい。Wはエレベータ等の壁面である。該壁面Wは鉄板等の磁性体から成る。
・・・
【0011】
上記壁面用保護シート1の縦横寸法や固定枠2の長さ寸法は大小異なっていても壁面Wに固定できる寸法であれば良く、各種寸法の組み合わせによって、壁面Wを覆う保護シートの全体の大きさは、大小さまざまな大きさにすることが出来る。そして、建材や精密機械等の搬送時に、予めエレベータや部屋の内壁に固定して置くことにより、保護シートの持つ弾性力により衝撃吸収と傷防止等の外観保護の役割を担う。また、シートの材質、色等を選択することにより意匠的に優れたものとすることが可能である。」
「【図2】
[図:0001417966000001.jpg]
」
2 認定事項
【図2】から、「衝撃吸収層1b」の両面が平らであること、「保護層1a」の下面と「衝撃吸収層1b」の上面が、同一平面上にあること、及び、「保護層1a」の断面と「衝撃吸収層1b」の断面からなる「壁面用保護シート1」の断面が、平らでなめらかであることが見て取れる(以下「認定事項」という。)。
3 引用発明
上記1及び2より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「エレベータの内壁面、建設中の建物壁面、防音壁等などの壁面を衝撃等から保護するための壁面用保護シートであって(【0001】)、
壁面用保護シート1は、保護層1aと衝撃吸収層1bを適当な接着剤により一体的に積層して構成され、
該保護層1aは、織物や不織布、軟質合成樹脂シート、ゴムシート、紙質シートなど、損傷し難くい材質で、その表面に色柄やデザインを施し得る表面材であり、
上記衝撃吸収層1bは、発泡ウレタン、発泡ポリプロピレンなどのクッション材質のもので適宜厚さ寸法を有するもので、その両面が平らであり(【0007】、認定事項)、
保護層1aの下面と衝撃吸収層1bの上面が、同一平面上にあり、保護層1aの断面と衝撃吸収層1bの断面からなる壁面用保護シート1の断面が、平らでなめらかであり(認定事項)、
シートの材質、色等を選択することにより意匠的に優れたものとすることが可能であり(【0011】)、
壁面用保護シートの組み合わせを自由に出来ることによりデザイン的に優れたものとすることが出来る(【0006】)壁面用保護シート1(【0007】)。」
第5 対比、判断
1 本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「保護層1a」及び「その両面が平らであ」る「衝撃吸収層1b」は、本願発明の「シート材」及び「両面が平らな板状発泡体」に、それぞれ相当する。
引用発明の「保護層1aの下面と衝撃吸収層1bの上面が、同一平面上にあ」ることは、本願発明の「シート材と板状発泡体の二つの面が、同一平面上にあ」ることに相当し、引用発明の「保護層1aの断面と衝撃吸収層1bの断面からなる壁面用保護シート1の断面が、平らでなめらかであ」ることは、本願発明の「シート材と板状発泡体の二つの断面が、平らでなめらかである」ことに相当する。
そして、引用発明の「壁面用保護シート1は、保護層1aと衝撃吸収層1bを」「接着剤により一体的に積層して構成され」るものであるから、引用発明は、本願発明の「シート材を両面が平らな板状発泡体と、シート材と板状発泡体の二つの面が、同一平面上にあり、シート材と板状発泡体の二つの断面が、平らでなめらかである位置関係で貼り合わせてい」るという構成を備える。
引用発明は「保護層1a」「の表面に色柄やデザインを施し得る」ものであるから、引用発明の「保護層1a」は、本願発明の「パステルカラーである」「シート材」と、色を施し得るシート材である点で共通する。
引用発明の「壁面用保護シート1」は、本願発明の「建築用養生板」に相当する。
以上のことから、本願発明と引用発明は、
「建築用養生板であって、
シート材を両面が平らな板状発泡体と、シート材と板状発泡体の二つの面が、同一平面上にあり、シート材と板状発泡体の二つの断面が、平らでなめらかである位置関係で貼り合わせていて、
前記シート材が、色を施し得る建築用養生板。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願発明の「建築用養生板」は、「ベニヤ板と発泡スチロールを貼り合わせた従来の建築用養生板を改良した建築用養生板であって、ベニヤ板の代わりにシート材を」「板状発泡体と」、「貼り合わせてい」るのに対し、
引用発明の「壁面用保護シート1」は、このような特定がなされていない点。
[相違点2]
本願発明の「シート材」は、「パステルカラーである」のに対し、
引用発明の「保護層1a」は、「色柄やデザインを施し得る」ものである点。
2 上記相違点について検討する。
(1) 相違点1について
引用発明の「壁面用保護シート1」は、「保護層1a」を「衝撃吸収層1b」と「接着剤により一体的に積層して構成され」たものであり、この点において、「シート材を」「板状発泡体と」「貼り合わせ」たものである本願発明の「建築用養生板」と構成上の差異はない。
そして、本願発明は「シート材を」「板状発泡体と」「貼り合わせ」た「建築用養生板」であるところ、その「建築用養生板」が「ベニヤ板と発泡スチロールを貼り合わせた従来の建築用養生板を改良した」ものであること、及び「建築用養生板」の「シート材」が「ベニヤ板の代わり」であることは、本願発明の「建築用養生板」の発明特定事項に何ら影響を及ぼすものではない。
よって、上記相違点1に係る「建築用養生板」は、「ベニヤ板と発泡スチロールを貼り合わせた従来の建築用養生板を改良した建築用養生板であって、ベニヤ板の代わりにシート材を」「板状発泡体と」、「貼り合わせてい」る点は、実質的な相違点とはいえない。
(2) 相違点2について
引用発明の「保護層1a」は、「その表面に色柄やデザインを施し得る表面材であり」、何らかの着色が施すことができるものである。
そして、引用発明の「壁面用保護シート1」は、「エレベータの内壁面、建設中の建物壁面、防音壁等などの壁面を」「保護するための」ものであり、「シートの材質、色等を選択することにより意匠的に優れたものとすることが可能であり」、さらに「壁面用保護シートの組み合わせを自由に出来ることによりデザイン的に優れたものとすることが出来る」ものである。
ここで、「エレベータの内壁面、建設中の建物壁面、防音壁等などの壁面」は、そのそれぞれにおいて、「壁面用保護シート1」の設置する際に考慮すべき周囲に与える環境や、利用者(通行者)に与える印象が大きく異なることから、「壁面用保護シート1」の「保護層1a」において、設置箇所に求められる条件に応じて、「意匠的に優れたものとする」ために、様々な色から採用する色を決定する必要があることは明らかである。
してみると、引用発明の「壁面用保護シート1」において「保護層1a」をパステルカラーにすることは、設置箇所に求められる条件に応じて、当業者が適宜選択し得る事項であり、設計事項にすぎない。
よって、引用発明において、「保護層1a」の色としてパステルカラーを選択して、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、引用発明から当業者が容易になし得たものである。
そして、上記相違点2に係る本願発明の構成により格別の効果を奏するものともいえない。
3 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和6年8月2日提出の意見書の「第2 本願発明が特許を受けることができる理由」において、概略以下(1)~(5)の主張をしているので、これらの主張について検討する。
(1) 請求人は、
「(1)引用文献1の図面
図面には、本考案の固定枠に保護シートを組み付けた状態の正面図として、壁面用保護シート1のうち、左上と右下の壁面用保護シート1は黒大理石のような模様を、右上と左下の壁面用保護シート1は御影石のような模様を模した黒色と灰色の石目調らしき色柄で記載されています(図1)。
また、図面には、黒色と灰色の石目調らしき色柄の壁面用保護シート1を、市松模様に組み合わせて記載されています(図1)。
ここで、黒色と灰色の組み合わせは、明度の差が大きく、メリハリのある配色なので、「壁面用保護シートの組み合わせを自由に出来ることによりデザイン的に優れたものとすることが出来る。」(段落0006)と理解されるものです。」と主張する。
しかしながら、引用文献1には、図1に関して、【0007】に「図1において、1は壁面用保護シート、2は固定枠である。」と記載されるに留まるものであり、さらに、図1に示された「壁面用保護シート1」に関して、【0007】に「好ましくはその表面に色柄やデザインを施し得る表面材であればいずれでもよい。」との記載はあるが、「黒大理石のような模様」であるとか、「御影石のような模様を模した黒色と灰色の石目調らしき色柄」といった記載はないし、そもそも図1に示された2種類の「保護シート1」が、黒色や灰色といったモノトーンで色分けされているかどうかもわからない。仮にそうようなものであったとしても、他の配色に変更することを阻害する特段の事由があるとはいえず、上記2(2)に示したように、上記【0007】の記載に従い、適宜の色に変更するように設計することは、当業者であれば容易に想到しえたことである。
したがって、「黒色と灰色の組み合わせは、明度の差が大きく、メリハリのある配色」であることが、【0006】の「壁面用保護シートの組み合わせを自由に出来ることによりデザイン的に優れたものとすることが出来る。」という効果の根拠とはいえない。
(2) 請求人は、
「(3)後知恵であること
引用文献1の図面と明細書の文脈に沿って引用発明を理解すると、引用発明は、本考案の固定枠によって壁面用保護シートの組み合わせを自由にできるので、シートの材質、色等を、例えば、石目調らしき色柄を選択して、重厚感や高級感のあるデザイン的に優れたものとすることができたり、黒色と灰色の組み合わせを選択して、壁面用保護シートを組み合わせたデザイン的に優れたものとすることができたりする壁面用保護シートと理解されるものです。
そして、石目調らしき色柄は、重厚感や高級感を演出し、柔らかくて、明るく澄んだ感じのパステルカラーとは相容れない印象を与えるものです。」と主張する。
しかしながら、上記(1)でも述べたとおり、引用文献1には、「壁面用保護シート1」について、【0007】に「好ましくはその表面に色柄やデザインを施し得る表面材であればいずれでもよい。」と記載されるように、その色柄やデザインについて具体的に限定していない。
請求人が主張するように、引用発明は、「石目調らしき色柄を選択して、重厚感や高級感のあるデザイン的に優れたものとすることができたり、黒色と灰色の組み合わせを選択して、壁面用保護シートを組み合わせたデザイン的に優れたものとすることができ」るものであることはもちろんであるが、他の色として「柔らかくて、明るく澄んだ感じのパステルカラー」を選択することを阻害することが引用文献1に記載も示唆もされてはいない。
そして、「パステルカラー」は、新規な色ではなく、広く知られたものであるところ、「壁面用保護シート1」を適用する現場において、「柔らかくて、明るく澄んだ感じ」を演出したければ、「パステルカラー」を選択することは、当業者にとって格別困難なことではない。
(3) 請求人は、
「また、引用文献1には、「作業現場を明るく見せる」(本願の明細書 段落0027)というような、引用発明の「壁面用保護シート1」において「保護層1a」をパステルカラーにする動機付けとなるような、設置箇所に求められる条件は記載されていません。
そこで、「引用発明の「壁面用保護シート1」において「保護層1a」をパステルカラーにすることは、設置箇所に求められる条件に応じて、当業者が適宜選択し得る事項であり、」とするのは、本願の明細書、特許請求の範囲又は図面の文脈に沿って引用発明の内容を曲解したものであり、引用発明の認定の際に、本願発明に引きずられてしまったものといえます。」と主張する。
しかしながら、引用文献1に記載の「壁面用保護シート1」は、「その表面に色柄やデザインを施し得る」もの(【0007】)であり、「建材や精密機械等の搬送時に、予めエレベータや部屋の内壁に固定」するもの(【0011】)であるところ、狭い空間であるエレベータの内壁に固定する壁面用保護シート1の表面の色柄を選択する際に、より閉鎖的な雰囲気にならないように配慮して色柄を選択することや、生活空間である部屋の内壁に固定する壁面用保護シート1の表面の色柄を選択する際に、空間の雰囲気を損なわないような色柄を選択することは、エレベータや部屋の内壁という設置箇所に求められる条件として自明である。
(4) 請求人は、
「引用発明として本願発明とは課題が大きく異なる発明が選択されていますから、「引用発明の「保護層1a」は、「その表面に色柄やデザインを施し得る表面材であり」、何らかの着色が施すことができるものである。」という理由だけで、引用発明の「壁面用保護シート1」において「保護層1a」をパステルカラーにすることは、設計事項にすぎないとはいえません。
(1)引用発明の課題
引用発明は「壁面用保護シートの固定枠」に関する発明で、その課題は「マグネットシートを必ずしも積層する必要がなく、また、壁面に整然と並べて容易に配置することが可能であり、しかも、大小各種寸法の保護シートをいろいろな組み合わせで配列することができる壁面用保護シートの固定枠を提供すること」(段落0004)です。
そして、引用文献1の文脈に沿って引用発明を理解すると、引用発明は、「壁面用保護シートの組み合わせを自由に出来ることによりデザイン的に優れたものとすることが出来る。」(段落0006)ものなので、引用発明の「壁面用保護シート1」において「保護層1a」は、隣り合う「保護層1a」の色柄を組み合わせることを特徴にしたものと理解されるものです。」と主張する。
確かに、引用文献1には、「壁面用保護シートの固定枠」に関して、請求人が主張するような課題が記載されている。
しかしながら、合議体が引用文献1の記載から抽出した引用発明は「壁面用保護シート1」に関するものであるところ、引用発明として認定した「壁面用保護シート1」は、「固定枠」について特定していないから、引用発明は、「引用発明の「壁面用保護シート1」において「保護層1a」は、隣り合う「保護層1a」の色柄を組み合わせることを特徴にしたもの」とはいえない。また、仮にそのような課題が引用発明に影響をするものとしても、引用発明が「シートの材質、色等を選択することにより意匠的に優れたものとすることが可能であり、壁面用保護シートの組み合わせを自由に出来ることによりデザイン的に優れたものとすることが出来る」ものであるから、この技術の範囲で色等を適宜設計することを上記課題が阻害するものとはいえない。
そして、請求人は上記主張を前提として「(3)一定の課題を解決するための公知材料の中からの最適材料の選択ではないこと」を主張しているが、前提となる上記主張について上記のとおり採用できないので、この主張も採用できない。
(5) 請求人は、
「3 阻害要因があること
引用発明において、「保護層1a」の色としてパステルカラーを選択すると、パステルカラーの壁面用保護シートを組み合わせることになって、メリハリのある配色になりません。
そこで、引用発明において、「保護層1a」の色としてパステルカラーを選択すると、壁面用保護シートを組み合わせていることが分かりづらくなって、壁面用保護シートを組み合わせる価値を損ない、引用発明がその目的に反するものとなります。」と主張する。
しかしながら、上記(4)でも述べたとおり、引用発明は、「メリハリ」をつけるために、隣り合う「保護層1a」の色柄を組み合わせるものを特徴としたものではないから、「壁面用保護シートを組み合わせる」ことは、引用発明の目的ではなく、そのようなものに限定して理解する合理的な理由もない。
よって、「保護層1a」の色としてパステルカラーを選択すると、引用発明の目的に反するものとなるという請求人の主張は採用できない。
よって、上記(1)~(5)に示すとおり、請求人が主張する点は、上記2に示した判断を左右するものでなく、採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-001312