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特許拒絶査定不服審判

2024-014572

検査支援装置

審判番号
2024-014572
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-070700
請求日
2024年09月11日
審決日
2026年04月27日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】清水建設株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人アルファ国際特許事務所
  • 【請求人】株式会社オービタルネット
  • 【請求人代理人】弁理士法人アルファ国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 小島 寛史
  • 審判官 藏田 敦之
分類
P18 .121-Z (E04G) / P18 .561-Z (E04G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-70700「検査支援装置」拒絶査定不服審判事件〔令和3年10月21日出願公開、特開2021-167516〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年4月10日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和6年 2月26日付け:拒絶理由通知書 同年 4月10日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月 2日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月 9日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月11日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年9月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年9月11日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年9月11日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年4月10日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 構造物を構成する2つの鉄骨部材にまたがって配置されたプレート部材と、前記鉄骨部材および前記プレート部材に形成された複数の孔のそれぞれに挿入された高力ボルトと、各前記高力ボルトに螺合するナットと、各前記ナットと前記プレート部材との間に挟持された座金とを含み、前記2つの鉄骨部材を接合する接合部の検査を支援する検査支援装置であって、 前記接合部が撮影された対象画像を取得する画像取得部と、 前記対象画像を解析することにより、前記高力ボルトと前記ナットと前記座金との組合せである各締結単位について、前記高力ボルト、前記座金または前記プレート部材に付された第1のマークの基準点と、前記ナットに付された第2のマークの基準点と、前記高力ボルトの中心点とを検出し、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点との間の、前記高力ボルトの前記中心点を中心とした角度であるナット回転角度を特定する画像解析部と、 特定された前記ナット回転角度に基づき、前記接合部の検査に用いられる検査画像を生成する画像生成部と、 前記検査画像を表示部に表示させる表示制御部と、 を備え、 前記画像解析部は、少なくとも1つの前記締結単位を対象として、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点との少なくとも2つについて所定の基準平面への射影変換を行うことにより、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点とのそれぞれについての前記基準平面上の座標を取得し、前記基準平面上の座標を用いて前記ナット回転角度を特定し、 前記検査支援装置は、さらに、 前記接合部の構成を示す属性情報を取得する属性情報取得部と、 前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部と、 前記構造物の前記接合部の位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記接合部の位置を示すアイコンと、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、 操作を受け付ける操作受付部と、 を備え、 前記画像解析部は、前記属性情報を参照して前記対象画像の解析を行い、 前記表示制御部は、前記図面データに基づいて前記表示部に前記二次元図面を表示させると共に、前記地図情報データに基づいて前記表示部に表示された前記二次元図面上の前記接合部の位置に前記アイコンを表示させ、 前記属性情報取得部は、前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンに対応する前記接合部の前記属性情報を特定し、 前記表示制御部は、前記表示部に前記二次元図面の全体が表示されない状態では、GIS表示機能により前記地図情報データに基づいて前記構造物の各位置の属性を表示させる、検査支援装置。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 構造物を構成する2つの鉄骨部材にまたがって配置されたプレート部材と、前記鉄骨部材および前記プレート部材に形成された複数の孔のそれぞれに挿入された高力ボルトと、各前記高力ボルトに螺合するナットと、各前記ナットと前記プレート部材との間に挟持された座金とを含み、前記2つの鉄骨部材を接合する接合部の検査を支援する検査支援装置であって、 撮影部と、 自己の現在位置を特定する情報を取得するGPS受信部と、 前記撮影部の向きを特定する情報を取得する地磁気センサと、 前記撮影部により前記接合部が撮影されることによって生成された対象画像を取得する画像取得部と、 前記対象画像を解析することにより、前記高力ボルトと前記ナットと前記座金との組合せである各締結単位について、前記高力ボルト、前記座金または前記プレート部材に付された第1のマークの基準点と、前記ナットに付された第2のマークの基準点と、前記高力ボルトの中心点とを検出し、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点との間の、前記高力ボルトの前記中心点を中心とした角度であるナット回転角度を特定する画像解析部と、 特定された前記ナット回転角度に基づき、前記接合部の検査に用いられる検査画像を生成する画像生成部と、 前記検査画像を表示部に表示させる表示制御部と、 前記検査画像を含む検査帳票を表す検査帳票データを作成する検査帳票作成部と、 を備え、 前記画像解析部は、少なくとも1つの前記締結単位を対象として、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点との少なくとも2つについて所定の基準平面への射影変換を行うことにより、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点とのそれぞれについての前記基準平面上の座標を取得し、前記基準平面上の座標を用いて前記ナット回転角度を特定し、 前記表示制御部は、前記GPS受信部が取得した自己の現在位置を特定する情報と、前記地磁気センサが取得した前記撮影部の向きを特定する情報と、に基づき、前記撮影部により撮影された前記接合部の位置を特定し、 前記検査支援装置は、さらに、 前記接合部の構成を示す属性情報を取得する属性情報取得部と、 前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部と、 前記構造物の前記接合部の位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記接合部の位置を示すアイコンと、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、 操作を受け付ける操作受付部と、 を備え、 前記画像解析部は、前記属性情報を参照して前記対象画像の解析を行い、 前記表示制御部は、前記図面データに基づいて前記表示部に前記二次元図面を表示させると共に、前記地図情報データに基づいて前記表示部に表示された前記二次元図面上の前記接合部の位置に前記アイコンを表示させ、 前記属性情報取得部は、前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンに対応する前記接合部の前記属性情報を特定し、 前記表示制御部は、前記表示部に前記二次元図面の全体が表示されない状態では、GIS表示機能により前記地図情報データに基づいて前記構造物の各位置の属性を表示させる、検査支援装置。」 2 本件補正の適否(新規事項の追加の有無) (1) 新規事項の追加の有無についての当合議体の判断の概要 本件補正後の請求項1の記載は、前記1(2)に示したとおりであるところ、本件補正により、「前記表示制御部は、前記GPS受信部が取得した自己の現在位置を特定する情報と、前記地磁気センサが取得した前記撮影部の向きを特定する情報と、に基づき、前記撮影部により撮影された前記接合部の位置を特定し」との発明特定事項(以下「補正特定事項」という。)が追加された。 しかしながら、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、補正特定事項は記載も示唆もされていないから、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。下記(2)において詳説する。 (2) 新規事項の追加の有無についての当合議体の判断 ア 当初明細書等に記載された事項 当初明細書等には、補正特定事項に関連する可能性のある記載として、例えば以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付した。 「【0031】 検査支援装置200は、構造物の検査を支援する装置であり、具体的には、検査を実施する検査者が操作する作業端末である。検査支援装置200は、制御部210と、記憶部220と、通信部230と、表示部240と、撮影部250と、地磁気センサ260と、GPS受信部270とを備える。記憶部220は、例えばHDDやROM、RAM等により構成されており、検査支援装置200を制御するための各種プログラムを記憶する。通信部230は、無線通信方式または有線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。表示部240は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、図面等を表示する。本実施形態では、表示部240は、タッチパネルを有し、ユーザによる操作を受け付ける操作受付部としても機能する。撮影部250は、被写体を撮影することにより画像を表す画像データを生成するカメラである。地磁気センサ260は、撮影部250の向きを特定する情報を取得するセンサである。GPS受信部270は、上空にある衛星20が送信する信号を受信することにより、自己の現在位置を特定する情報(緯度、経度および高度)を取得する装置である。制御部210は、例えばCPU等により構成されており、記憶部220から読み出したプログラムに従って、検査支援装置200の各部を制御する。制御部210は、画像取得部、画像解析部、画像生成部、表示制御部、属性情報取得部、図面データ取得部、地図情報データ取得部および検査帳票作成部の一例であり、表示部240は、表示部および操作受付部の一例である。」 「【0054】 また、表示部240は、図面30上に現在位置マークAZを表示する。検査支援装置200の制御部210は、地磁気センサ260とGPS受信部270とから、撮影部250の向きを特定する情報と検査支援装置200の現在位置を特定する情報とを取得し、これらの情報を図面30上における向きと位置とを示す情報に変換する。表示部240は、変換した向きと位置とを示す情報に基づいて現在位置マークAZを表示する。検査者は、現在位置マークAZを利用して図面30上の複数の検査位置から所望の検査位置を決定する際の参考にすることができる。 【0055】 検査支援装置200の制御部210は、表示部240を介して検査位置KL1(以下、「選択検査位置KL1」という。)に表示された梁アイコンAG2へのタップ(選択操作)を受け付けたことに応じて、表示部240に選択検査位置KL1における検査画面HSを表示させると共に、記憶部220に記憶された個別現場データD102から、選択されたアイコンに対応する梁の接合部についての属性データD402(例えば、該梁の接合部についての構造データD508)を特定する。図5は、選択検査位置KL1における検査画面HSの一例を示す説明図である。図5は、検査が実施される前の検査画面HSを示す。検査画面HSは、選択検査位置KL1に対応する検査データD506に基づいて表示される。検査画面HSは、前述したヘッダ領域HUに加え、部材表示領域HBと、検査結果表示領域HKと、検査項目表示領域HCと、画像関連領域HPと、機能表示領域HDとを含む。(後略)」 「【図4】 [図:0001436712000001.jpg] 【図5】 [図:0001436712000002.jpg] 」 「【0058】 画像関連領域HPは、検査に用いられる画像に関連する領域であり、具体的には、画像表示欄HP1と、カメラアイコンHP2と、を表示する領域である。画像表示欄HP1は、選択検査位置KL1に対応する画像データD507の表す画像(またはサムネイル画像)を表示する欄であり、本実施形態では複数の画像を同時に表示可能である。カメラアイコンHP2は、画像データD507の取得を指示するためのアイコンである。具体的には、カメラアイコンHP2には、「撮影部250で撮影する」内容と、「記憶部220から選択する」内容とが記載されたマルチウインドウ(不図示)を示す画面が関連付けられている。検査支援装置200の制御部210は、検査者により「撮影部250で撮影する」内容が選択されると、撮影部250を起動し、検査者が撮影部250を用いて撮影した被写体の画像データを、被写体に対応する座標に関連付けて地図情報データD302に追加する。具体的には、制御部210は、被写体の画像データを、被写体に対応する地図情報データD302の画像データD507として記憶部220に記憶させる。また、制御部210は、検査者により「記憶部220から選択する」内容が選択されると、検査システム用データD100とは別に記憶部220に記憶されている画像データを、選択検査位置KL1に対応する地図情報データD302に追加する。」 イ 補正特定事項の追加が新規事項を追加するものであることについて (ア) 前記アに摘記した当初明細書等の記載において、補正特定事項が記載又は示唆されているとはいえない。 (イ) 例えば、当初明細書等の【0054】には、表示制御部として機能する制御部210が、「地磁気センサ260とGPS受信部270とから、撮影部250の向きを特定する情報と検査支援装置200の現在位置を特定する情報とを取得し、これらの情報を図面30上における向きと位置とを示す情報に変換」し、「表示部240は、変換した向きと位置とを示す情報に基づいて現在位置マークAZを表示する」ことが記載されるとともに、「検査者は、現在位置マークAZを利用して図面30上の複数の検査位置から所望の検査位置を決定する際の参考にすることができる」ことが記載されている。 しかしながら、当該【0054】には、表示制御部として機能する制御部210が、これらの情報に基づき、撮影部に撮影された接合部の位置を特定することは記載も示唆もされていない。 (ウ) また、当初明細書等の【0055】及び【0058】の記載によれば、制御部210は、表示部240を介して検査位置KL1に表示された梁アイコンAG2へのタップ(選択操作)を受け付けたことに応じて、表示部240に選択検査位置KL1における検査画面HS(画像関連領域HPを含む。)を表示させ、検査者により、画像関連領域HPにおけるカメラアイコンHP2から「撮影部250で撮影する」内容が選択されると、撮影部250を起動し、検査者が撮影部250を用いて撮影した被写体の画像データを、被写体に対応する座標に関連付けて地図情報データD302に追加するものとして記載されている。 すなわち、当初明細書等に記載された構成においては、表示部240における梁アイコンAG2へのタップ(選択操作)を受け付けた後に起動した撮影部250を用いて画像データを撮影することにより、操作者により選択された梁アイコンAG2の座標に基づいて、撮影部により撮影された接合部の位置を特定していると理解するのが相当であって、GPS受信部が取得した自己の現在位置を特定する情報と、地磁気センサが取得した撮影部の向きを特定する情報とに基づき、撮影部により撮影された接合部の位置を特定するものでないことは明らかである。 (エ) さらに、当初明細書等のその余の箇所においても、補正特定事項は記載も示唆もされておらず、本願の出願時の技術常識を考慮しても、当初明細書等の記載から補正特定事項を導くことはできない。 (オ) 前記(ア)~(エ)において検討したとおり、当初明細書等には、補正特定事項は記載も示唆もされていなから、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 ウ 請求人の主張について(新規事項) (ア) 請求人の主張の内容 請求人は、審判請求書の「3 補正について」において、本件補正のうち請求項1に対して補正特定事項を追加する補正は、例えば当初明細書等の【0054】の記載を根拠としている旨主張している。 (イ) 請求人の主張の検討 しかしながら、前記イ(イ)において説示したとおり、当初明細書等の【0054】の記載は、補正特定事項の根拠となるものではないから、請求人の主張は採用できない。 (3) 新規事項の追加の有無についての判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 3 補正の却下の決定の理由のむすび 前記2(3)のとおり、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 (1) 本願発明の認定 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 (2) 本願発明の分説 検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Hまでに分説する。また、参考図として、本願の【図4】、【図13】、【図15】を掲載する。 <本願発明の分説> X 構造物を構成する2つの鉄骨部材にまたがって配置されたプレート部材と、前記鉄骨部材および前記プレート部材に形成された複数の孔のそれぞれに挿入された高力ボルトと、各前記高力ボルトに螺合するナットと、各前記ナットと前記プレート部材との間に挟持された座金とを含み、前記2つの鉄骨部材を接合する接合部の検査を支援する検査支援装置であって、 A 前記接合部が撮影された対象画像を取得する画像取得部と、 B 前記対象画像を解析することにより、前記高力ボルトと前記ナットと前記座金との組合せである各締結単位について、前記高力ボルト、前記座金または前記プレート部材に付された第1のマークの基準点と、前記ナットに付された第2のマークの基準点と、前記高力ボルトの中心点とを検出し、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点との間の、前記高力ボルトの前記中心点を中心とした角度であるナット回転角度を特定する画像解析部と、 C 特定された前記ナット回転角度に基づき、前記接合部の検査に用いられる検査画像を生成する画像生成部と、 D 前記検査画像を表示部に表示させる表示制御部と、 を備え、 B1 前記画像解析部は、少なくとも1つの前記締結単位を対象として、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点との少なくとも2つについて所定の基準平面への射影変換を行うことにより、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点とのそれぞれについての前記基準平面上の座標を取得し、前記基準平面上の座標を用いて前記ナット回転角度を特定し、 X 前記検査支援装置は、さらに、 E 前記接合部の構成を示す属性情報を取得する属性情報取得部と、 F 前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部と、 G 前記構造物の前記接合部の位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記接合部の位置を示すアイコンと、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、 H 操作を受け付ける操作受付部と、 を備え、 B2 前記画像解析部は、前記属性情報を参照して前記対象画像の解析を行い、 D1 前記表示制御部は、前記図面データに基づいて前記表示部に前記二次元図面を表示させると共に、前記地図情報データに基づいて前記表示部に表示された前記二次元図面上の前記接合部の位置に前記アイコンを表示させ、 E1 前記属性情報取得部は、前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンに対応する前記接合部の前記属性情報を特定し、 D2 前記表示制御部は、前記表示部に前記二次元図面の全体が表示されない状態では、GIS表示機能により前記地図情報データに基づいて前記構造物の各位置の属性を表示させる、 X 検査支援装置。 <参考図> 【図4】(再掲) [図:0001436712000003.jpg] 【図13】 [図:0001436712000004.jpg] 【図15】 [図:0001436712000005.jpg] (3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は、当合議体において付したものである。 「【背景技術】 【0002】 建築物や土木構造物等の構造物を構成する2つの鉄骨部材(例えば、梁の端部部材と中央部部材)を接合する方法として、高力ボルト接合が広く用いられている。高力ボルト接合は、引っ張り耐力の高い高力ボルト(ハイテンションボルト)を所定の力で締め付けることにより、摩擦力を利用して部材間を接合する方法である。 【0003】 高力ボルト接合の際には、接合される2つの鉄骨部材にまたがるようにプレート部材(スプライスプレート)が配置され、各鉄骨部材およびプレート部材に形成された複数の孔のそれぞれに高力ボルトが挿入され、各ナットとプレート部材との間に座金が挟持された状態となるように各高力ボルトにナットが螺合される。そして、ナットの一次締めが行われた後、高力ボルト、ナット、座金およびプレート部材にわたって直線状のマークを付すマーキングが行われ、その後、ナットの本締めが行われる。ナットの本締めにより、ナットに付されたマークの位置が、高力ボルト、座金およびプレート部材に付されたマークの位置から、ナットの回転角度分だけずれる。 【0004】 ナットの本締め後、高力ボルトの締め付け検査が行われる。従来の締め付け検査では、検査者が目視で、高力ボルト、ナット、座金およびプレート部材に付されたマークの位置に基づき、本締めによる各ナットの回転角度を特定し、各ナットの回転角度が合格範囲内にあるか否かを判定する(例えば、特許文献1参照)。合格範囲は、例えば、各ナットの回転角度の平均値から±30度の範囲とされる。ナットの回転角度が合格範囲を超える大きな値であった場合には、高力ボルトが取り替えられ、ナットの回転角度が合格範囲に満たない小さな値であった場合には、再度の締め付けが行われる。 …(中略)… 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 高力ボルトを用いた接合部を対象とした上記従来の締め付け検査では、検査者が目視で各ナットの回転角度を特定したり、各ナットの回転角度に基づき合格範囲を計算したり、各ナットの回転角度が合格範囲内にあるか否かを判定したりする必要があるため、手間がかかると共に検査精度が低下するおそれがあり、さらに、検査結果の追跡可能性(トレーサビリティ)が低いという課題がある。 【0007】 本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。 【課題を解決するための手段】 …(中略)… 【0010】 このように、本検査支援装置によれば、鉄骨部材の接合部が撮影された対象画像を解析することにより、高力ボルトとナットと座金との組合せである各締結単位について、高力ボルト、座金またはプレート部材に付された第1のマークの基準点と、ナットに付された第2のマークの基準点との間の、高力ボルトの中心点を中心とした角度であるナット回転角度が特定され、特定されたナット回転角度に基づき生成された検査画像が表示部に表示される。すなわち、本検査支援装置によれば、検査者が目視で各締結単位についてのナット回転角度を特定したり、各締結単位のナット回転角度に基づき合格範囲を計算したり、各締結単位のナット回転角度が合格範囲内にあるか否かを判定したりする必要がない。検査者は、鉄骨部材の接合部が撮影された対象画像を検査支援装置に取得させるだけで、鉄骨部材の接合部の検査に用いられる検査画像を得ることができる。従って、本検査支援装置によれば、検査手間の低減および検査精度の向上を実現することができると共に、検査画像を得ることによって検査結果の追跡可能性(トレーサビリティ)を向上させることができる。 【0011】 さらに、本検査支援装置によれば、高力ボルト、座金またはプレート部材に付された第1のマークの基準点と、ナットに付された第2のマークの基準点と、高力ボルトの中心点と、のそれぞれについての同一の基準平面上における座標を用いてナット回転角度が特定される。そのため、本検査支援装置によれば、ナット回転角度の算出にあたり、撮影装置のレンズの特性や高力ボルトおよびナットの高さに起因する画像の歪みの影響を抑制することができ、ナット回転角度の算出精度を向上させることができ、その結果、検査精度を向上させることができる。 …(中略)… 【0021】 (11)上記検査支援装置において、さらに、前記接合部の構成を示す属性情報を取得する属性情報取得部を備え、前記画像解析部は、前記属性情報を参照して前記対象画像の解析を行う構成としてもよい。本検査支援装置によれば、鉄骨部材の接合部の構成を示す属性情報を参照することにより、対象画像における高力ボルト等の画像認識精度を向上させつつ処理時間を短縮することができ、検査手間のさらなる低減および検査精度のさらなる向上を実現することができると共に、検査結果の追跡可能性(トレーサビリティ)をさらに向上させることができる。 …(中略)… 【0025】 (15)上記検査支援装置において、さらに、前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部と、前記構造物の前記接合部の位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記接合部の位置を示すアイコンと、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、操作を受け付ける操作受付部と、を備え、前記表示制御部は、前記図面データに基づいて前記表示部に前記二次元図面を表示させると共に、前記地図情報データに基づいて前記表示部に表示された前記二次元図面上の前記接合部の位置に前記アイコンを表示させ、前記属性情報取得部は、前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンに対応する前記接合部の前記属性情報を特定する構成としてもよい。本検査支援装置によれば、選択されたアイコンに対応する接合部についての属性情報を確実に該接合部に対応付けることができると共に、該属性情報を利用することによって、対象画像における高力ボルト等の画像認識精度を向上させつつ処理時間を短縮することができる。」 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 (進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2018-9932号公報 引用文献2.特開2000-121358号公報 引用文献3.特開2017-106965号公報 3 引用文献の記載事項及び引用発明等の認定 (1) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2018-9932号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、当合議体により、後記イの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。 (ア) 【0001】~【0007】、【図7】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば高力ボルト本締め後の状態を検知する高力ボルト締付け状態の検知システムおよび方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、高力ボルト本締め後の状態を検知する場合には、1次締め後にボルト、ナット、座金、プレートに施したマーキングのボルト中心軸線に対するナットの回転角度を分度器や目視で測定したり、ナットと座金の共回りやボルトの軸回りなど高力ボルト締付けの状態を目視で判定していたため、検査漏れや測定ミスなどが発生しやすく、検査に手間と時間がかかっていた。また、ナットの回転角度を目視で測定する方法は、誤差を含む可能性が高くなるという問題がある。 【0003】 図7は、高力ボルト本締め後の状態を示したものである。(1)は軸回り、(2)は正常、(3)は共回りである。この図に示すように、1次締め後に高力ボルト1、ナット2、座金3、プレート4にマーキング5を施して本締めする場合、共回りや軸回りについては、全数を注意深く観察しないと見落としてしまうことがある。」 「【図7】 [図:0001436712000006.jpg] 」 「【0004】 一方、ボルトやナットのマーキングにより緩みを検知する従来の方法として、例えば特許文献1の方法が知られている。この方法は、構造物を締結するボルトの緩み点検において、予めボルト締結時にボルトおよびボルト取付け部の鋼材に耐候性に優れた塗料などでマーキングを施しておき、ボルトの緩み点検時に、地上から撮像した構造物の画像から、ボルト部を拡大して、ボルトに施したマーキングとボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線のずれによって被検査対象ボルトの緩みの判定を行うものである。しかしながら、この方法では、ナットと座金の共回りやボルトの軸回りなど高力ボルト締付けの状態を検知することはできない。また、複数のナットの回転角を測定し、その平均値の算出やバラツキの状態検知などに活用することは示されていない。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 特開2005-3658号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 このため、ナットと座金の共回りやボルトの軸回りなど高力ボルト締付け状態を検知することのできる技術の開発が求められていた。 【0007】 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、共回りや軸回りなど高力ボルト締付け状態を検知することのできる高力ボルト締付け状態の検知システムおよび方法を提供することを目的とする。」 (イ) 【0024】~【0025】、【図1】 「【0024】 本発明に係る高力ボルト締付け状態の検知システムは、ガセットプレート(プレート)に座金およびナットを介して締付けた高力ボルトの締付け状態を、それぞれに締付け前に施されたマーキングを用いて検知するシステムである。図1に示すように、本発明に係る高力ボルト締付け状態の検知システム10は、プレートに対する座金とナットと高力ボルトの締付け状態を撮影するカメラからなる撮影手段12と、撮影した画像に基づいて、プレートと座金とナットと高力ボルトのそれぞれに施されたマーキングについてのマーキング角度を検出するマーキング角度検出手段14と、検出したマーキング角度に基づいて、締付け状態を判定する判定手段16とを備える。」 「【図1】 [図:0001436712000007.jpg] 」 「【0025】 マーキング角度検出手段14、判定手段16は、例えば各種演算処理機能を有するコンピュータとデータベースを用いて構成することができる。判定手段16は、ナット回転角のバラツキ判定部18と、共回り判定部20と、軸回り判定部22とを有する。」 (ウ) 【0026】~【0035】、【図2】、【図3】 「【0026】 (各部マーキング角度の検出) 次に、マーキング角度検出手段14による各部マーキング角度の検出フローについて説明する。 【0027】 図3は、マーキング角度検出フローを示した図である。このフローでは、撮影手段12のカメラで撮影した画像を解析処理することにより、ボルト軸、ナット、座金、プレートのマーキング角度を検出する。」 「【図3】 [図:0001436712000008.jpg] 」 「【0028】 まず、図2に示すように、予めマーキングされた高力ボルトを本締めした後に、検知対象の検査エリアRを撮影手段12のカメラで撮影し、カラー画像を取得する(ステップS11)。図の例では、検査エリアRのプレートに、格子点状に配置した4×9=36個の複数の高力ボルトが本締めしてある。」 「【図2】 [図:0001436712000009.jpg] 」 「【0029】 次に、図3に示すように、取得したカラー画像を周知の画像解析処理方法によって解析し、ガセットプレートおよび高力ボルトの位置関係を検出する。また、予めデータベース等に記録してある設計寸法と比較することにより変形量を算出するとともに、撮影時のカメラ本体の姿勢からカメラ位置を算出する(ステップS12)。なお、カメラ本体の姿勢は、本体に備わるIMU(慣性計測装置)などの姿勢センサにより取得することが可能である。 【0030】 次に、ピンテール破断面を色識別して、各ボルト断面の変形量を考慮して楕円で形状を近似し、ボルト位置を特定する(ステップS13)。高力ボルトのピンテール破断面は、プレート面から最も離れた位置にあるので、他の対象物の陰にならないで切断面全体の写真を撮影できる。また、ピンテールが破断した直後の切断面の色はバラツキが少なく、予めデータベース等に記録してあるピンテール破断面の色見本で識別するのに適している。 【0031】 次に、画像解析によって楕円の長辺と短辺を検知し、それらの交点を各ボルト中心位置として算出する(ステップS14)。 【0032】 次に、予めデータベース等に記録してあるボルトの配列位置データから各ボルト中心位置を算出し、各ボルト中心位置を補正する(ステップS15)。 【0033】 次に、予めデータベース等に記録してあるボルト・ナット・座金の3次元形状と寸法データを重ね合わせることにより、各ボルト中心軸線を算出する(ステップS16)。 【0034】 次に、各ボルト中心軸線からの距離により、ボルト、ナット上部、ナット側部、座金上部、座金側部、プレート部を識別し、各部のマーキング角度を検出する(ステップS17)。 【0035】 なお、上記のステップS14~S17において、カメラ本体の撮影位置と姿勢は個々のボルトにより異なるので、個別に算出する。」 (ウ) 【0036】~【0037】、【図4】 「【0036】 (ナット回転角のバラツキ判定) 次に、ナット回転角のバラツキ判定部18によるナット回転角のバラツキ判定フローについて説明する。 【0037】 図4は、ナット回転角のバラツキ判定フローを示したものである。この図に示すように、ボルト中心軸線からの距離により、ボルト、ナット上部、ナット側部、座金上部、座金側部、プレートのマーキング角度を検出した後に(ステップS21)、ナット回転角のバラツキ判定部18は、プレートのマーキング角度とナット上部またはナット側部のマーキング角の差Aをボルト全数について算出する(ステップS22)。Aの平均値と個々のボルトのAとの差が所定角度(例えば±30度)以内であるかを判定し(ステップS23、S24)、この条件を満たさない場合は、ナット回転角のバラツキが所定の規定範囲を超えていると判定し、例えばコンピュータに備わるモニタやスピーカなどを介してそれを表すアラームを出す(ステップS25)。」 「【図4】 [図:0001436712000010.jpg] 」 (オ) 【0043】~【0046】 「【0043】 以上説明したように、本発明に係る高力ボルト締付け状態の検知システムによれば、プレートに座金およびナットを介して締付けた高力ボルトの締付け状態を、それぞれに締付け前に施されたマーキングを用いて検知するシステムであって、プレートに対する座金とナットと高力ボルトの締付け状態を撮影する撮影手段と、撮影した画像に基づいて、プレートと座金とナットと高力ボルトのそれぞれに施されたマーキングについてのマーキング角度を検出するマーキング角度検出手段と、検出したマーキング角度に基づいて、締付け状態を判定する判定手段とを備えるので、例えば、共回りや軸回りなど高力ボルト締付け状態を検知することができる。 【0044】 また、本発明に係る他の高力ボルト締付け状態の検知システムによれば、マーキング角度検出手段は、撮影した画像における高力ボルトのピンテール破断面に基づいて高力ボルトの中心軸線を算出し、算出した中心軸線からの距離に基づいてボルトとナットと座金とプレートを検出するとともにマーキング角度を検出するので、マーキング角度を精度良く検出することができる。 【0045】 また、本発明に係る他の高力ボルト締付け状態の検知システムによれば、撮影手段は、複数の高力ボルトの締付け状態を同時に撮影し、マーキング角度検出手段は、複数の高力ボルトについてマーキング角度を検出し、判定手段は、複数の高力ボルトについて締付け状態を判定するので、複数の高力ボルトの締付け状態を迅速に判定することができる。 【0046】 また、本発明に係る他の高力ボルト締付け状態の検知システムによれば、判定手段は、個々の高力ボルトについてプレートのマーキング角度とナットのマーキング角の差を算出するとともに全体の平均値を算出し、算出した全数の平均値と個々の高力ボルトにおけるマーキング角度の差が所定の角度以上である場合には、ナット回転角のバラツキが所定の規定範囲を超えていると判定するナット回転角のバラツキ判定部を有するので、ナット回転角のバラツキを効率的に判定することができる。」 イ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「ガセットプレート(プレート)に座金およびナットを介して締付けた高力ボルトの締付け状態を、それぞれに締付け前に施されたマーキングを用いて検知するシステムである、高力ボルト締付け状態の検知システムであって、(【0024】) プレートに対する座金とナットと高力ボルトの締付け状態を撮影するカメラからなる撮影手段12と、撮影した画像に基づいて、プレートと座金とナットと高力ボルトのそれぞれに施されたマーキングについてのマーキング角度を検出するマーキング角度検出手段14と、検出したマーキング角度に基づいて、締付け状態を判定する判定手段16とを備え、(【0024】) マーキング角度検出手段14、判定手段16は、例えば各種演算処理機能を有するコンピュータとデータベースを用いて構成することができ、判定手段16は、ナット回転角のバラツキ判定部18を有し、(【0025】) 撮影手段12のカメラで撮影した画像を解析処理することにより、ボルト軸、ナット、座金、プレートのマーキング角度を検出する、マーキング角度検出手段14による各部マーキング角度の検出フローにおいて、(【0026】、【0027】) まず、予めマーキングされた高力ボルトを本締めした後に、検知対象の検査エリアRを撮影手段12のカメラで撮影し、カラー画像を取得し(ステップS11)、ここで、検査エリアRのプレートに、格子点状に配置した4×9=36個の複数の高力ボルトが本締めしてあり、(【0028】) 次に、取得したカラー画像を周知の画像解析処理方法によって解析し、ガセットプレートおよび高力ボルトの位置関係を検出し、また、予めデータベース等に記録してある設計寸法と比較することにより変形量を算出するとともに、撮影時のカメラ本体の姿勢からカメラ位置を算出し(ステップS12)、(【0029】) 次に、ピンテール破断面を色識別して、各ボルト断面の変形量を考慮して楕円で形状を近似し、ボルト位置を特定し(ステップS13)、(【0030】) 次に、画像解析によって楕円の長辺と短辺を検知し、それらの交点を各ボルト中心位置として算出し(ステップS14)、(【0031】) 次に、予めデータベース等に記録してあるボルトの配列位置データから各ボルト中心位置を算出し、各ボルト中心位置を補正し(ステップS15)、(【0032】) 次に、予めデータベース等に記録してあるボルト・ナット・座金の3次元形状と寸法データを重ね合わせることにより、各ボルト中心軸線を算出し(ステップS16)、(【0033】) 次に、各ボルト中心軸線からの距離により、ボルト、ナット上部、ナット側部、座金上部、座金側部、プレート部を識別し、各部のマーキング角度を検出し(ステップS17)、(【0034】) ナット回転角のバラツキ判定部18によるナット回転角のバラツキ判定フローにおいて、(【0036】) ボルト中心軸線からの距離により、ボルト、ナット上部、ナット側部、座金上部、座金側部、プレートのマーキング角度を検出した後に(ステップS21)、ナット回転角のバラツキ判定部18は、プレートのマーキング角度とナット上部またはナット側部のマーキング角の差Aをボルト全数について算出し(ステップS22)、(【0037】) Aの平均値と個々のボルトのAとの差が所定角度(例えば±30度)以内であるかを判定し(ステップS23、S24)、この条件を満たさない場合は、ナット回転角のバラツキが所定の規定範囲を超えていると判定し、例えばコンピュータに備わるモニタやスピーカなどを介してそれを表すアラームを出す(ステップS25)、(【0037】) 高力ボルト締付け状態の検知システム。(【0024】)」 (2) 引用文献2の記載事項及び周知技術1の認定 ア 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2000-121358号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 (ア) 【0001】 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、検査対象構造物の平面に含まれる検査領域の任意点の位置を求める方法およびその装置に関する。」 (イ) 【0038】~【0054】、【図3】 「【0038】図3は、この実施の形態の検査点位置取得装置を用いた検査点位置取得方法の概念図である。以下この図を参照しながらこの発明の概念を説明する。」 「【図3】 [図:0001436712000011.jpg] 」 「【0039】<基準点設定のための指標の設置作業>平面構造物の表面の四隅近傍に、この図に示すような市松模様の指標を設置する。このような市松模様の指標としたのは、その図柄により中心点が視認しやすいからである。これら中心点は、以下に説明する実寸座標系の基準点となる。指標の代わりに平面構造物の目地の交差部分や、ひび割れの分岐点を4点定めて基準点としてもよい。 【0040】<基準点の実寸座標の計測および実寸座標系の設定>そして、これら4基準点の相対位置関係を測量する。この位置関係をもとに平面構造物の表面を座標平面と見立てて、実寸座標系(X,Y) を設定し、各指標の中心点R1,R2,R3,R4(基準点)の実寸座標(Xi,Yi)(i=1,2,3,4)を決定しておく。基準点の相対位置関係は実際に平面構造物において作業者が測量してもよいし、3角測量により各基準点の3次元座標を計測し、それらを平面構造物に投影する方法を用いてもよい。また、平面構造物の目地の交差部分を基準点とする場合は、設計図から取得してもよい。 【0041】<低解像度画像の取得>次に、基準点R1~R4を含む平面構造物のディジタル画像(通常は平面すべて)を取得する。先ず、カメラ1を使って、アナログ撮影を行い、現像後にフィルムリーダ2を使用してディジタル画像に変換する(以下、このディジタル画像を低解像度画像と記す。)。撮影に際しては、歪みの少ないレンズを使用するのが好ましい。デジタルカメラを用いる場合は、なるべく画素数の多い高解像度カメラを使用する。後述する精細画像の取得においても同様である。 【0042】<精細画像の取得>低解像度画像を得る一方、ひび割れ部分Aの精細なディジタル画像を取得する。これは従来から行われている工程であり、ひび割れ近傍の比較的狭い領域の画像を低解像度画像よりも高い解像度で取得する(以下、このディジタル画像を精細画像と記す。)。この精細画像も上記低解像度画像と同様に、フィルムリーダ2を使用して現像後の撮影フィルムを読み取って取得し、コンピュータに保存する。 【0043】<基準点の低解像度画像座標の計測>次に、基準点R1~4の低解像度画像の範囲における座標(xi,yi)(i=1,2,3,4)を取得する。低解像度画像の範囲における座標はピクセル座標で表現される(以下、低解像度画像座標系と記す)。 【0044】<第1射影変換係数h の算出>次に、基準点の実寸座標および低解像度画像座標から第1射影変換係数h を算出する。 【0045】第1射影変換係数h は、平面構造物が凹凸のない理想平面で、カメラ1をピンホールカメラと近似的にみなしたときの座標変換係数であり、低解像度画像座標系(x,y) と実寸座標系(X,Y) とを数式1で表したときの、係数h1,h2,...,h8からなる集合である。 【0046】 【数1】X=(h1x+h2y+h3)/(h7x+h8y+1) Y=(h4x+h5y+h6)/(h7x+h8y+1) 第1射影変換係数h は基準点R1~4の実寸座標(xi,yi)(i=1,2,3,4) および低解像度画像座標(xxi,yyi)(i=1,2,3,4) を数式1に代入して8元1次連立方程式を立て、これを解くことにより得ることができる。 【0047】<第2射影変換係数H の算出>上述の第1射影変換係数h と同じように、精細画像における座標系(xx,yy) (以下、精細画像座標系と記す。)から低解像画像度画像座標系(x,y) への座標変換も、射影変換係数を用いて表すことができる。 【0048】すなわち、第2射影変換係数H(H1,H2,...,H8)は数式2の変換を与える射影変換係数である。 【0049】 【数2】x=(H1xx+H2yy+H3)/(H7xx+H8yy+1) y=(H4xx+H5yy+H6)/(H7xx+H8yy+1) 第2射影変換係数H も理論的には第1射影変換係数h を求めた方法のように、基準となる4点の座標情報を用いて求めることができるが、精細画像には必ずしも4箇所の指標が含まれるとは限らないので、この実施の形態では後述するLM法(Levenberg-Marquardt 法)という非線形最適化手法を用いて第2射影変換係数H を求める。 【0050】<射影変換係数の合成>既に求められた第1射影変換係数h 、および第2射影変換係数H とを合成して、精細画像座標系(xx,yy) から実寸座標系(X,Y) への合成射影変換係数HHを算出する。これらの射影変換係数は、いずれも8係数から構成されるので、これらを用いて、回転、平行移動、縮尺および奥行き方向の傾きの要素を含んだ変換を行うことができる。 【0051】<オブジェクトの指定>この実施の形態でオブジェクトとは実寸座標が求められる検査対象点であり、オペレータが精細画像の範囲内で指定する。 【0052】通常この段階の前に、ひび割れ写真解析などの他の技術を用いて解析点検が行われ、ある部分の構造物における実寸座標が必要となった場合に、これ以降の段階へと進む。ここで指定されたオブジェクトPobjの精細画像座標をPobj(xxobj,yyobj) とする。 【0053】<オブジェクトの実寸座標の算出>最後に、オブジェクトPobjの精細画像座標(xxobj,yyobj) を射影変換係数HHで座標変換して、オブジェクトPobjの実寸座標(Xobj,Yobj) 、つまり平面構造物における位置を算出する。 【0054】以上この発明の概念を説明したが、この発明は、射影変換係数を用いて指定されたオブジェクトの実寸座標(位置)を段階的に求めるものである。ただし、このように2段階に限定するものではなく、3段階以上の変換を行うことでも、同様に実寸座標を求めることができる。」 イ 周知技術1の認定 前記アに示した引用文献2の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) <周知技術1> 「撮影された二次元画像に基づき、当該二次元画像上の位置を特定の実平面に投影した位置を求めるにあたり、射影変換を用いること。」 (3) 引用文献3の記載事項及び引用文献3技術事項の認定 ア 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2017-106965号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 (ア) 請求項1 「【請求項1】 構造物の検査を支援する検査支援装置であって、 前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部と、 前記構造物の検査位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記検査位置における属性であって、検査内容を含む複数種類の属性とアイコンとを含む前記属性を示す属性情報と、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、 操作を受け付ける操作受付部と、 前記図面データに基づいて前記二次元図面を表示するとともに、前記地図情報データに基づいて、前記アイコンを、前記二次元図面上の前記検査位置に表示し、前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンが表示された前記検査位置に対応する座標に関連付けられた前記複数種類の属性を表示する表示部と、を備える、検査支援装置。」 (イ) 【0026】~【0032】、【図1】~【図2】 「【0026】 A.実施形態: A-1.検査システム10の構成: 図1は、本実施形態における検査システム10の構成を示すブロック図である。検査システム10は、建築物や土木構造物等の構造物の検査を支援するためのものであり、データ生成装置100と、複数の検査支援装置200と、図面データ保管サーバ300と、検査システム用データ保管サーバ400と、を備える。各装置やサーバは、ネットワークNWを介して互いに接続されている。データ生成装置100は、例えばパーソナルコンピュータ等である。検査支援装置200は、例えばタブレット型端末やスマートフォン等である。図1には、3つの検査支援装置200が示されているが、検査システム10に含まれる検査支援装置200の数は、2つまたは4つ以上でもよい。」 「【図1】 [図:0001436712000012.jpg] 」 「【0027】 データ生成装置100は、構造物の検査を管理する装置であり、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、操作部140と、表示部150とを備える。…(中略)… 【0028】 検査支援装置200は、構造物の検査を支援する装置であり、具体的には、検査を実施する検査者が操作する作業端末である。検査支援装置200は、制御部210と、記憶部220と、通信部230と、表示部240と、撮影部250と、地磁気センサ260と、GPS受信部270とを備える。…(中略)…表示部240は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、図面等を表示する。本実施形態では、表示部240は、タッチパネルを有し、ユーザによる操作を受け付ける操作受付部としても機能する。撮影部250は、被写体を撮影することにより画像を表す画像データを生成するカメラである。…(中略)…制御部210は、例えばCPU等により構成されており、記憶部220から読み出したプログラムに従って、検査支援装置200の各部を制御する。制御部210は、表示画像取得部、第1付加画像追加部および第2付加画像追加部の一例であるとともに検査帳票作成部の別例であり、通信部230は、端末通信部の一例であるとともに図面データ取得部および地図情報データ取得部の別例であり、表示部240または制御部210と表示部240との組み合わせは、表示部の一例であり、表示部240は、操作受付部の一例である。 【0029】 図面データ保管サーバ300は、構造物の二次元図面(以下、単に「図面」という)を表す図面データD301(図2参照)を保管する装置である。図面データD301は、例えば構造物の各階の平面図や床伏図等を表すデータであり、例えばDXF形式のデータである。図面データ保管サーバ300には、図面データD301が予め記憶されている。 【0030】 検査システム用データ保管サーバ400は、検査システム用データD100を保管する装置である。検査システム用データ保管サーバ400には、データ生成装置100により生成された検査システム用データD100が記憶される。 【0031】 図2は、検査システム用データD100のファイル構造を示す説明図である。検査システム用データD100は、システムデータD101と個別現場データD102とを含む。システムデータD101は、個別現場データD102を管理するためのデータであり、検査対象となる全ての構造物に共通に用いられる。システムデータD101は、例えば梁アイコンAG、柱アイコンAC(図4参照)またはこれらの色違いアイコン(図10参照)を含む複数種類のアイコンを表示するためのアイコン画像データD201を含む。」 「【図2】 [図:0001436712000013.jpg] 」 「【0032】 個別現場データD102は、構造物の建設現場毎に設定されるデータである。個別現場データD102は、例えば配筋検査や鉄骨ボルト検査等、構造物に対して実施される検査の種類毎に設定される複数の検査種類別データD202を含む。各検査種類別データD202は、図面データD301と、地図情報データD302とを含む。地図情報データD302は、構造物の位置データD401と属性データD402とが互いに関連付けられたデータであり、例えばShape形式のデータである。具体的には、地図情報データD302は、位置データD401と、属性データD402と、対応関係データD403とを含む。」 (ウ) 【0043】~【0061】、【図3】~【図5】、【図8】、【図9】 「【0043】 (2)支援実施処理 支援実施処理は、検査支援装置200(図1)により実施される。以下では、支援実施処理の一例として、鉄筋コンクリート造の建築物の梁および柱の配筋検査を行う場合における動作例について説明する。検査支援装置200の制御部210は、表示部240を介した操作に応じて検査者から検査開始の指示を受け付けると、支援実施処理を開始する。…(中略)… 【0044】 検査支援装置200の制御部210は、支援実施処理を開始すると、検査者から入力される検査の種類を特定する検査種類情報と構造物のフロアを特定するフロア情報とに基づいて、個別現場データD102に含まれる複数の検査種類別データD202から1の検査種類別データD202を選択する。制御部210は、選択した検査種類別データD202に含まれる図面データD301に基づいて、表示部240に構造物の図面30(図3参照)を表示させる。」 「【図3】 [図:0001436712000014.jpg] 」 「…(中略)… 【0046】 検査支援装置200の制御部210は、図面表示領域HZに表示された図面30の表示倍率と表示位置とを変更可能である。具体的には、制御部210は、表示部240を介した操作に応じて図面30を任意の倍率に拡大・縮小して表示させ、または、図面30をスクロールして表示させることが可能である。例えば、制御部210は、検査者から図面30の拡大指示を受け付けると、表示部240に図面30の一部を拡大して表示させる。 【0047】 図4は、拡大された図面30を表示する図面表示画面HFの一例を示す説明図である。本実施形態では、検査支援装置200において、図面表示画面HFに図面30の全体が表示された状態以外の状態では、図4に示すように、検査支援装置200の制御部210は、表示部240に図面30を表示させるとともに、GIS表示機能により、地図情報データD302に基づいて属性を表示させる。具体的には、制御部210は、通芯データD503に基づいて通芯AS(AS1~AS3)を表示させ、通芯識別データD504に基づいて通芯識別子AM(AM1~AM3)を表示させ、アイコンデータD502に基づいて梁アイコンAG(AG1~AG5)と柱アイコンAC(AC1,AC2)とを表示させる。 …(中略)…」 「【図4】 [図:0001436712000015.jpg] 」 「【0052】 検査支援装置200の制御部210は、表示部240を介して検査位置KL1(以下、「選択検査位置KL1」という。)に表示された梁アイコンAG2へのタップ(選択操作)を受け付けたことに応じて、表示部240に選択検査位置KL1における検査画面HSを表示させる。図5は、選択検査位置KL1における検査画面HSの一例を示す説明図である。図5は、検査が実施される前の検査画面HSを示す。検査画面HSは、選択検査位置KL1に対応する検査データD506に基づいて表示される。検査画面HSは、前述したヘッダ領域HUに加え、部材表示領域HBと、検査結果表示領域HKと、検査項目表示領域HCと、画像取得領域HPと、機能表示領域HDと、を含む。…(中略)…」 「【図5】 [図:0001436712000016.jpg] 」 「【0058】 図8は、1回目の検査が実施された後の検査画面HSを示す。1回目の検査では、検査項目表示領域HCに表示された全ての検査項目に対して検査が行われる。その結果、検査確認欄HC2では、全ての検査項目に対して「確」表示領域が表示状態となり、必要に応じて検査内容記載欄HC3に検査した内容が記載される。本実施形態では、1回目の検査において、「継手」の検査項目において不備が検出されたものとする。そのため、表示部240を介した操作に応じて検査結果表示領域HKの検査結果入力欄HK2には、「不合格」が入力され、これに伴って、アイコン表示欄HK1におけるアイコンの表示色が赤色に変化する。具体的には、検査支援装置200の制御部210は、選択検査位置KL1に関連付けられた属性データD402のアイコンデータD502を更新し、選択検査位置KL1に表示されるアイコンの表示色を切り替える。」 「【図8】 [図:0001436712000017.jpg] 」 「【0059】 また、1回目の検査では、撮影部250を用いて不備のあった「継手」の画像である検査結果画像PH1(図9参照)が撮影される。検査支援装置200の制御部210は、検査結果画像PH1の画像データを選択検査位置KL1に対応する地図情報データD302の画像データD507として記憶部220に記憶させる。制御部210は、検査結果画像PH1の画像データD507に基づいて、表示部240に検査結果画像PH1のサムネイル画像HP3を表示させる。これにより、画像取得領域HPの画像表示欄HP1に、検査結果画像PH1のサムネイル画像HP3が表示される。すなわち、表示部240には、選択検査位置KL1における検査内容および検査結果とともにサムネイル画像HP3が表示される。制御部210は、表示部240を介して画像表示欄HP1に表示されたサムネイル画像HP3へのタップを受け付けたことに応じて、サムネイル画像HP3に対応する検査結果画像PH1を表示部240に表示させる。」 「【図9】 [図:0001436712000018.jpg] 」 「【0060】 図9は、検査結果画像PH1の表示画面を示す。表示画面には、検査結果画像PH1の他に、検査結果画像PH1に文字や記号などの指示画像の追加を指示する追加アイコンAT1と、検査結果画像PH1の削除を指示する削除アイコンAT2とが含まれる。指示画像は、第2の付加画像の一例である。検査支援装置200の制御部210は、表示部240を介して追加アイコンAT1へのタップを受け付けると、検査者の表示部240を介した操作に基づいて指示画像を追加する。具体的には、検査者が検査結果画像PH1上に矢印画像TK1を記載すると、制御部210は、その矢印画像TK1を示す指示画像を追加する。また、検査者が検査結果画像PH1上に文字画像TK2を入力すると、制御部210は、その文字画像TK2を示す指示画像を追加する。制御部210は、指示画像の追加を終了すると、指示画像が追加された検査結果画像PH1を上書きして保存する(図10参照)。そのため、次回以降に表示部240に検査結果画像PH1が表示される場合には、指示画像が追加された後の検査結果画像PH1が表示される。 【0061】 1回目の検査の終了後、1回目の検査結果に基づいて、構造物に是正工事を行う是正業者により是正工事が行われる。是正業者は、選択検査位置KL1における検査画面HSの検査項目表示領域HCに表示された内容から、是正の対象が「継手」であることを理解することができる。また、是正業者は、画像取得領域HPのサムネイル画像HP3に追加された矢印画像TK1や文字画像TK2(図9)により、是正の詳細な内容を理解することができる。是正業者による是正工事後、検査者は構造物の選択検査位置KL1の検査を再び実施する。」 イ 引用文献3技術事項の認定 前記アに摘記した引用文献3の記載事項から、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されていると認められる。 <引用文献3技術事項> 「構造物の検査を支援する検査支援装置であって、 前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部と、 前記構造物の検査位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記検査位置における属性であって、検査内容を含む複数種類の属性とアイコンとを含む前記属性を示す属性情報と、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、 操作を受け付ける操作受付部と、 前記図面データに基づいて前記二次元図面を表示するとともに、前記地図情報データに基づいて、前記アイコンを、前記二次元図面上の前記検査位置に表示し、前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンが表示された前記検査位置に対応する座標に関連付けられた前記複数種類の属性を表示する表示部と、を備え、(以上、請求項1) 鉄筋コンクリート造の建築物の梁および柱の配筋検査を行う場合における動作例において、(【0043】) 検査支援装置200の制御部210は、選択した検査種類別データD202に含まれる図面データD301に基づいて、表示部240に構造物の図面30を表示させ、(【0044】) 検査支援装置200の制御部210は、図面表示領域HZに表示された図面30の表示倍率と表示位置とを変更可能であり、(【0046】) 図面表示画面HFに図面30の全体が表示された状態以外の状態では、検査支援装置200の制御部210は、表示部240に図面30を表示させるとともに、GIS表示機能により、地図情報データD302に基づいて属性を表示させ、(【0047】) 検査支援装置200の制御部210は、表示部240を介して検査位置KL1に表示された梁アイコンAG2へのタップ(選択操作)を受け付けたことに応じて、表示部240に選択検査位置KL1における検査画面HSを表示させ、(【0052】) 1回目の検査では、撮影部250を用いて不備のあった「継手」の画像である検査結果画像PH1が撮影され、表示部240には、選択検査位置KL1における検査内容および検査結果とともにサムネイル画像HP3が表示され、制御部210は、表示部240を介して画像表示欄HP1に表示されたサムネイル画像HP3へのタップを受け付けたことに応じて、サムネイル画像HP3に対応する検査結果画像PH1を表示部240に表示させ、(【0059】) 制御部210は、指示画像の追加を終了すると、指示画像が追加された検査結果画像PH1を上書きして保存し、そのため、次回以降に表示部240に検査結果画像PH1が表示される場合には、指示画像が追加された後の検査結果画像PH1が表示される、(【0060】) 検査支援装置。」 4 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点(検査支援装置) (ア) 構成Xは、「構造物を構成する2つの鉄骨部材にまたがって配置されたプレート部材と、前記鉄骨部材および前記プレート部材に形成された複数の孔のそれぞれに挿入された高力ボルトと、各前記高力ボルトに螺合するナットと、各前記ナットと前記プレート部材との間に挟持された座金とを含み、前記2つの鉄骨部材を接合する接合部の検査を支援する検査支援装置」の発明であることを特定するものである。 (イ)a 引用発明は、「ガセットプレート(プレート)に座金およびナットを介して締付けた高力ボルトの締付け状態を、それぞれに締付け前に施されたマーキングを用いて検知するシステムである、高力ボルト締付け状態の検知システム」の発明である。 b そして、一般的に「ガセットプレート」は、鉄骨造における大梁と小梁を接合する鋼板を意味し、2つの鉄骨部材(大梁と小梁)にまたがって配置されるものであることは技術常識であるから、引用発明の「ガセットプレート(プレート)」は、本願発明の「構造物を構成する2つの鉄骨部材にまたがって配置されたプレート部材」に相当する。 c また、引用発明の「高力ボルト」は、「ガセットプレート(プレート)に座金およびナットを介して締付けた」ものであるところ、ボルトの使用にあたって、接合しようとする部材それぞれに設けられた孔にボルトを挿入することは自明であり、また、引用発明は、「検査エリアRのプレートに、格子点状に配置した4×9=36個の複数の高力ボルトが本締めしてあ」るものであるから、引用発明の「複数の高力ボルト」は、本願発明の「前記鉄骨部材および前記プレート部材に形成された複数の孔のそれぞれに挿入された高力ボルト」に相当する。 d そして、引用発明の「ナット」、「座金」は、それぞれ本願発明の「各前記高力ボルトに螺合するナット」、「各前記ナットと前記プレート部材との間に挟持された座金」に相当する。 e 引用発明の「高力ボルト締付け状態の検知システム」は、「ナット回転角のバラツキが所定の規定範囲を超えていると判定し」た場合に、「例えばコンピュータに備わるモニタやスピーカなどを介してそれを表すアラームを出す」ものであって、検査を支援し得るものであることは明らかであり、また、少なくとも「カメラからなる撮影手段12」、「各種演算処理機能を有するコンピュータ」を含む複数の機器からなるものであるから、このような複数の機器からなる「検知システム」は、本願発明の「前記2つの鉄骨部材を接合する接合部の検査を支援する検査支援装置」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Xの観点について、次の点において一致する。 「構造物を構成する2つの鉄骨部材にまたがって配置されたプレート部材と、前記鉄骨部材および前記プレート部材に形成された複数の孔のそれぞれに挿入された高力ボルトと、各前記高力ボルトに螺合するナットと、各前記ナットと前記プレート部材との間に挟持された座金とを含み、前記2つの鉄骨部材を接合する接合部の検査を支援する検査支援装置」の発明である点。 イ 構成Aの観点(画像取得部) (ア) 構成Aは、「前記接合部が撮影された対象画像を取得する画像取得部」を備えることである。 (イ) 引用発明の「プレートに対する座金とナットと高力ボルトの締付け状態を撮影するカメラからなる撮影手段」により撮影される画像は、本願発明の「前記接合部が撮影された対象画像」に相当する。 そして、引用発明は、「撮影した画像に基づいて、プレートと座金とナットと高力ボルトのそれぞれに施されたマーキングについてのマーキング角度を検出するマーキング角度検出手段14」を備え、「マーキング角度検出手段14」「は、例えば各種演算処理機能を有するコンピュータとデータベースを用いて構成することができ」るから、「マーキング角度検出手段14」を構成する「コンピュータ」が「撮影した画像」を取得していることは明らかであり、このような「コンピュータ」は、本願発明の「前記接合部が撮影された対象画像を取得する画像取得部」に相当する機能を有する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Aの観点について、次の点において一致する。 「前記接合部が撮影された対象画像を取得する画像取得部」を備える点。 ウ 構成Bの観点(画像解析部) (ア) 構成Bは、「前記対象画像を解析することにより、前記高力ボルトと前記ナットと前記座金との組合せである各締結単位について、前記高力ボルト、前記座金または前記プレート部材に付された第1のマークの基準点と、前記ナットに付された第2のマークの基準点と、前記高力ボルトの中心点とを検出し、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点との間の、前記高力ボルトの前記中心点を中心とした角度であるナット回転角度を特定する画像解析部」を備えることである。 (イ)a 引用発明の「撮影手段12のカメラで撮影した画像を解析処理すること」は、本願発明の「前記対象画像を解析すること」に相当する。 b 引用発明は、「検査エリアRのプレートに、格子点状に配置した4×9=36個の複数の高力ボルトが本締めしてあ」るものであり、「複数の高力ボルト」それぞれにおける「高力ボルト」、「ナット」、「座金」の組合せ単位は、本願発明の「前記高力ボルトと前記ナットと前記座金との組合せである各締結単位」に相当する。 c 引用発明の「プレートと座金とナットと高力ボルトのそれぞれに施されたマーキング」のうち、「プレート」に施された「マーキング」は、本願発明の「前記プレート部材に付された第1のマーク」に相当する。 そして、引用発明は、「各ボルト中心軸線からの距離により、ボルト、ナット上部、ナット側部、座金上部、座金側部、プレート部を識別し、各部のマーキング角度を検出」するものであるところ、「プレート部」の「マーキング角度を検出」するためには、マーキングのうちの何らかの位置を基準にする必要があるから、このような基準になる位置は、本願発明の「前記プレート部材に付された第1のマークの基準点」に相当する。 d また、同様に、引用発明の「ナット上部」に施された「マーキング」は、本願発明の「前記ナットに付された第2のマーク」に相当し、当該マーキングのうちの何らかの基準となる位置は、本願発明の「前記ナットに付された第2のマークの基準点」に相当する。 e さらに、引用発明の「各ボルト中心位置」は、本願発明の「前記高力ボルトの中心点」に相当する。 f 引用発明において、「ナット回転角のバラツキ判定部18は、プレートのマーキング角度とナット上部またはナット側部のマーキング角の差Aをボルト全数について算出」するものであるところ、「ナット」が「各ボルト中心軸線」を中心として回転することを考慮すれば、「プレートのマーキング角度とナット上部」「のマーキング角の差A」は、「各ボルト中心位置」を通る「各ボルト中心軸線」まわりの角度差であることは自明である。 そうすると、引用発明の「プレートのマーキング角度とナット上部」「のマーキング角の差A」は、本願発明の「前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点との間の、前記高力ボルトの前記中心点を中心とした角度であるナット回転角度」に相当する。 g 前記a~fの検討を踏まえると、引用発明の「撮影した画像に基づいて、プレートと座金とナットと高力ボルトのそれぞれに施されたマーキングについてのマーキング角度を検出するマーキング角度検出手段14」及び「ナット回転角のバラツキ判定部18を有」する「判定手段16」を構成する「コンピュータ」は、本願発明の「画像解析部」に相当する機能を有するといえる。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Bの観点について、次の点において一致する。 「前記対象画像を解析することにより、前記高力ボルトと前記ナットと前記座金との組合せである各締結単位について、前記高力ボルト、前記座金または前記プレート部材に付された第1のマークの基準点と、前記ナットに付された第2のマークの基準点と、前記高力ボルトの中心点とを検出し、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点との間の、前記高力ボルトの前記中心点を中心とした角度であるナット回転角度を特定する画像解析部」を備える点。 エ 構成B1の観点(画像解析部における処理) (ア) 構成B1は、「前記画像解析部は、少なくとも1つの前記締結単位を対象として、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点との少なくとも2つについて所定の基準平面への射影変換を行うことにより、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点とのそれぞれについての前記基準平面上の座標を取得し、前記基準平面上の座標を用いて前記ナット回転角度を特定」することである。 (イ) 引用発明は、本願発明の構成B1に相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。 <構成B1の観点における相違点> 「前記画像解析部」について、本願発明においては、「少なくとも1つの前記締結単位を対象として、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点との少なくとも2つについて所定の基準平面への射影変換を行うことにより、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点とのそれぞれについての前記基準平面上の座標を取得し、前記基準平面上の座標を用いて前記ナット回転角度を特定する」ものであるのに対して、 引用発明においては、「ボルト中心軸線からの距離により、」「ナット上部、」「プレートのマーキング角度を検出した後に」、「プレートのマーキング角度とナット上部」「のマーキング角の差Aを」「算出」するものである点。 オ 構成E、B2の観点(属性情報取得部等) (ア) 構成Eは、「前記接合部の構成を示す属性情報を取得する属性情報取得部」を備えることであり、構成B2は、「前記画像解析部は、前記属性情報を参照して前記対象画像の解析を行」うことである。 (イ) 引用発明は、「マーキング角度検出手段14による各部マーキング角度の検出フローにおいて」、「予めデータベース等に記録してあるボルトの配列位置データから各ボルト中心位置を算出し、各ボルト中心位置を補正し」、「予めデータベース等に記録してあるボルト・ナット・座金の3次元形状と寸法データを重ね合わせることにより、各ボルト中心軸線を算出」するところ、「ボルトの配列位置データ」及び「ボルト・ナット・座金の3次元形状と寸法データ」は、本願発明の「前記接合部の構成を示す属性情報」に相当する。 そして、「マーキング角度検出手段14」を構成する「コンピュータ」がこれらのデータを取得していることは明らかであるから、このような「コンピュータ」は、本願発明の「前記接合部の構成を示す属性情報を取得する属性情報取得部」に相当する機能を有する。 (ウ) また、引用発明は、「プレートのマーキング角度とナット上部」「のマーキング角の差Aを」「算出」するまでの過程において、これらのデータを用いているから、本願発明の「前記画像解析部は、前記属性情報を参照して前記対象画像の解析を行う」ことに相当する構成を有するといえる。 (エ) したがって、本願発明と引用発明は、構成E、B2の観点について、次の点において一致する。 「前記接合部の構成を示す属性情報を取得する属性情報取得部」を備え、「前記画像解析部は、前記属性情報を参照して前記対象画像の解析を行う」点。 カ 構成C、D、F、G、D1、E1、D2の観点(画像生成部、表示制御部、図面データ取得部、地図情報データ取得部、操作受付部等) (ア) 構成C、D、F、G、D1、E1、D2は、前記1(2)における本願発明の分説に示した、それぞれ対応する構成を有することである。 (イ) 引用発明は、本願発明の構成C、D、F、G、D1、E1、D2に相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。 <構成C、D、F、G、D1、E1、D2の観点における相違点> 本願発明においては、 「特定された前記ナット回転角度に基づき、前記接合部の検査に用いられる検査画像を生成する画像生成部と、 前記検査画像を表示部に表示させる表示制御部と、 前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部と、 前記構造物の前記接合部の位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記接合部の位置を示すアイコンと、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、 を備え、 前記表示制御部は、前記図面データに基づいて前記表示部に前記二次元図面を表示させると共に、前記地図情報データに基づいて前記表示部に表示された前記二次元図面上の前記接合部の位置に前記アイコンを表示させ、 前記属性情報取得部は、前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンに対応する前記接合部の前記属性情報を特定し、 前記表示制御部は、前記表示部に前記二次元図面の全体が表示されない状態では、GIS表示機能により前記地図情報データに基づいて前記構造物の各位置の属性を表示させる」ものであるのに対して、 引用発明は、そのような構成を有しない点。 キ 構成Hの観点(操作受付部) (ア) 構成Hは、「操作を受け付ける操作受付部」を備えることである。 (イ) 引用発明の「検知システム」は、少なくとも「カメラからなる撮影手段12」、「各種演算処理機能を有するコンピュータ」を含む複数の機器からなるものであるところ、「カメラ」や「コンピュータ」のような機器が操作を受け付ける操作受付部を有することは明らかである。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Hの観点について、次の点において一致する。 「操作を受け付ける操作受付部」を備える点。 (2) 一致点及び相違点 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のア及びイに示すとおりである。 ア 一致点 「構造物を構成する2つの鉄骨部材にまたがって配置されたプレート部材と、前記鉄骨部材および前記プレート部材に形成された複数の孔のそれぞれに挿入された高力ボルトと、各前記高力ボルトに螺合するナットと、各前記ナットと前記プレート部材との間に挟持された座金とを含み、前記2つの鉄骨部材を接合する接合部の検査を支援する検査支援装置であって、 前記接合部が撮影された対象画像を取得する画像取得部と、 前記対象画像を解析することにより、前記高力ボルトと前記ナットと前記座金との組合せである各締結単位について、前記高力ボルト、前記座金または前記プレート部材に付された第1のマークの基準点と、前記ナットに付された第2のマークの基準点と、前記高力ボルトの中心点とを検出し、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点との間の、前記高力ボルトの前記中心点を中心とした角度であるナット回転角度を特定する画像解析部と、 を備え、 前記検査支援装置は、さらに、 前記接合部の構成を示す属性情報を取得する属性情報取得部と、 操作を受け付ける操作受付部と、 を備え、 前記画像解析部は、前記属性情報を参照して前記対象画像の解析を行う、 検査支援装置」である点。 イ 相違点 (ア) 相違点1 「前記画像解析部」について、本願発明においては、「少なくとも1つの前記締結単位を対象として、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点との少なくとも2つについて所定の基準平面への射影変換を行うことにより、前記第1のマークの前記基準点と前記第2のマークの前記基準点と前記高力ボルトの前記中心点とのそれぞれについての前記基準平面上の座標を取得し、前記基準平面上の座標を用いて前記ナット回転角度を特定する」ものであるのに対して、 引用発明においては、「ボルト中心軸線からの距離により、」「ナット上部、」「プレートのマーキング角度を検出した後に」、「プレートのマーキング角度とナット上部」「のマーキング角の差Aを」「算出」するものである点。 (イ) 相違点2 本願発明においては、 「特定された前記ナット回転角度に基づき、前記接合部の検査に用いられる検査画像を生成する画像生成部と、 前記検査画像を表示部に表示させる表示制御部と、 前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部と、 前記構造物の前記接合部の位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記接合部の位置を示すアイコンと、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、 を備え、 前記表示制御部は、前記図面データに基づいて前記表示部に前記二次元図面を表示させると共に、前記地図情報データに基づいて前記表示部に表示された前記二次元図面上の前記接合部の位置に前記アイコンを表示させ、 前記属性情報取得部は、前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンに対応する前記接合部の前記属性情報を特定し、 前記表示制御部は、前記表示部に前記二次元図面の全体が表示されない状態では、GIS表示機能により前記地図情報データに基づいて前記構造物の各位置の属性を表示させる」ものであるのに対して、 引用発明は、そのような構成を有しない点。 5 判断 (1) 相違点1について 引用発明は、「プレートのマーキング角度とナット上部」「のマーキング角の差A」(本願発明の「ナット回転角度」に相当する。)を算出するものであるところ、プレート表面とナット上部は高さが異なる(異なる平面に属する)から、「マーキング角度の差A」を求めるにあたり、プレートやナットの正面側から各マーキングをみた状態で角度を求めることにより、それ以外の方向(斜め方向)からみた状態に比べて、簡便かつ正確に角度を得られることは明らかであって、このためには、斜め方向から撮影された画像上における各マーキングをボルト中心軸線に直交する平面に投影して、当該平面とボルト中心軸線の交点を中心とする両マーキング間の角度を求めればよいことは、幾何学的に自明である。 ここで、前記3(2)イにおいて周知技術1として認定したとおり、「撮影された二次元画像に基づき、当該二次元画像上の位置を特定の実平面に投影した位置を求めるにあたり、射影変換を用いること。」は、本願の出願前に周知の技術であった。 そうすると、引用発明において、「プレートのマーキング角度とナット上部」「のマーキング角の差A」を求めるにあたり、斜め方向から撮影された画像上(例えば、引用文献1の図2を参照)における各マーキングをボルト中心軸線に直交する平面に投影して、当該平面とボルト中心軸線の交点を中心とする両マーキング間の角度を求める手法を採用するとともに、「撮影した画像」から各マーキングのボルト中心軸線に直交する平面に投影した位置を得るために周知技術1に係る射影変換の技術を用いることにより、相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2) 相違点2について ア 本願発明と引用文献3技術事項の対比 本願発明と引用文献3技術事項を対比する。 (ア) 引用文献3技術事項において、「制御部210は、指示画像の追加を終了すると、指示画像が追加された検査結果画像PH1を上書きして保存」するものであるから、本願発明の「検査に用いられる検査画像を生成する画像生成部」に相当する機能を有する。 (イ) 引用文献3技術事項は、「指示画像が追加された後の検査結果画像PH1が表示される」ものであるから、本願発明の「前記検査画像を表示部に表示させる表示制御部」に相当する機能を有する。 (ウ) 引用文献3技術事項の「前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部」は、本願発明の「前記構造物の二次元図面を表す図面データを取得する図面データ取得部」に相当する。 (エ) 引用文献3技術事項の「前記構造物の検査位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記検査位置における属性であって、検査内容を含む複数種類の属性とアイコンとを含む前記属性を示す属性情報と、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部」は、本願発明の「前記構造物の」「位置に対応する前記二次元図面上の座標を示す座標情報と、前記」「位置を示すアイコンと、が互いに関連付けられた地図情報データを取得する地図情報データ取得部」に相当する。 (オ) 引用文献3技術事項は、「前記図面データに基づいて前記二次元図面を表示するとともに、前記地図情報データに基づいて、前記アイコンを、前記二次元図面上の前記検査位置に表示」する「表示部」を備えるから、本願発明の「前記図面データに基づいて前記表示部に前記二次元図面を表示させると共に、前記地図情報データに基づいて前記表示部に表示された前記二次元図面上の」「位置に前記アイコンを表示させ」る「前記表示制御部」に相当する構成を有する。 (カ) 引用文献3技術事項は、「前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンが表示された前記検査位置に対応する座標に関連付けられた前記複数種類の属性を表示する表示部」を備えるから、本願発明の「前記操作受付部が前記アイコンを選択する前記操作を受け付けたことに応じて、選択された前記アイコンに対応する」「前記属性情報を特定」する「前記属性情報取得部」に相当する構成を有する。 (キ) 引用文献3技術事項は、「図面表示画面HFに図面30の全体が表示された状態以外の状態では、検査支援装置200の制御部210は、表示部240に図面30を表示させるとともに、GIS表示機能により、地図情報データD302に基づいて属性を表示させ」るから、本願発明の「前記表示部に前記二次元図面の全体が表示されない状態では、GIS表示機能により前記地図情報データに基づいて前記構造物の各位置の属性を表示させる」「前記表示制御部」に相当する構成を有する。 (ク) 前記(ア)~(キ)より、引用文献3技術事項は、検査対象が「2つの鉄骨部材を接合する接合部」ではなく、このことに伴い本願発明と相違する構成がある点を除けば、相違点2に係る本願発明の構成に相当する構成を全て有するといえる。 イ 引用発明と引用文献3技術事項の組合せについて ここで、引用文献3の【0032】に、「個別現場データD102は、構造物の建設現場毎に設定されるデータである。個別現場データD102は、例えば配筋検査や鉄骨ボルト検査等、構造物に対して実施される検査の種類毎に設定される複数の検査種類別データD202を含む。」と記載されているように、引用文献3技術事項の検査支援装置に係るユーザーインターフェースにおいては、鉄骨ボルト検査も検査対象として想定されている。 また、引用発明は、高力ボルト締付け状態の検知システムに係るものであり、2つの鉄骨部材を接合する接合部の検査を支援し得るものといえるところ、検査のために良好なユーザーインターフェースが必要とされることは自明の課題であるから、引用発明に対して引用文献3技術事項の検査支援装置におけるユーザーインターフェースを採用して、相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (3) 総合評価 前記(1)~(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1~2を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 請求人の主張について(進歩性) (1) 請求人の主張内容 請求人は、令和6年4月10日に提出した意見書において、概略、次のとおりの主張をしている。 いずれの引用文献にも、少なくとも本願発明の「表示制御部は、前記表示部に前記二次元図面の全体が表示されない状態では、GIS表示機能により前記地図情報データに基づいて前記構造物の各位置の属性を表示させる」という構成(構成D2)について、開示も示唆もない。そのため、引用文献をどのように組み合わせても本願発明の構成には至らない。 また、そもそも、引用文献1に引用文献2、3を組み合わせるための動機付けがない。 したがって、本願発明は、引用文献1~3からの十分な進歩性を有するものである。 (2) 請求人の主張についての検討 前記5(2)ア(キ)において説示したとおり、引用文献3技術事項は、本願発明の構成D2に相当する構成を有している。 そして、前記5(1)及び同(2)イにおいて説示したとおり、引用発明に対して、引用文献3技術事項、及び、引用文献2に例示される周知技術1を採用する動機付けはあるといえる。 したがって、前記(1)に示した請求人の主張は採用することができない。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-014572

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