特許異議申立
2022-701185
卵パックの移載装置
- 審判番号
- 2022-701185
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-500434
- 登録番号
- 7078290
- 請求日
- 2022年11月30日
- 審決日
- 2023年04月12日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ナベル
- 【異議申立人】モバ グループ ベー.フェー.
- 【異議申立人代理人】村越 智史
- 【異議申立人】共和機械 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 藤原 直欣
- 審判官 藤井 眞吾
- 審判官 久保 克彦
- 分類
- P1651.121-Y (B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7078290号発明「卵パックの移載装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7078290号の請求項1、2に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7078290号の請求項1、2に係る特許についての出願は、2019年(平成31年)2月6日(優先権主張 2018年(平成30年)2月15日)を国際出願日とする出願であって、令和4年5月23日にその特許権の設定登録がされ、令和4年5月31日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年11月29日に特許異議申立人共和機械株式会社(以下「申立人2」という。)により、また、令和4年11月30日に特許異議申立人モバ グループ ベー.フェー.(以下「申立人1」という。)により、それぞれ特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
特許第7078290号の請求項1、2に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1、2の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
一時待機領域に集められた複数個の卵パックを収容空間に移載する卵パックの移載装置であって、
一の卵パックおよび他の卵パックを含む複数個の前記卵パックを同じ向きの整列状態で保持し、保持した複数個の前記卵パックを前記収容空間まで移動する保持部と、
前記卵パックを保持する動作、保持した前記卵パックを移動させる動作、および、前記卵パックを保持した状態を解除する動作を含む前記保持部の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、複数個の前記卵パックを保持し、前記収容空間内に前記一の卵パックおよび前記他の卵パックを同時に下降させ、前記一の卵パックを保持した状態を前記収容空間内における第1位置で解除した後、前記保持部を移動させて、前記収容空間内における前記第1位置とは水平面上での位置および高さ位置の少なくとも一方が異なる第2位置において、前記他の卵パックを保持した状態を解除する動作を制御する、卵パックの移載装置。
【請求項2】
前記制御部によって制御される前記保持部の動作は、保持した前記卵パックの向きを変える動作を含む、請求項1記載の卵パックの移載装置。」
第3 申立理由の概要
1 申立人1による申立理由の概要
申立人1は、以下に示す甲第1号証~甲第11号証(以下「申立1甲1」等という。)を提出し、本件発明1、2に係る特許は、以下の理由(以下申立人1が主張する理由1等を「申立1理由1」等という。)により、取り消すべきものである旨を主張する。
(1)申立1理由1(進歩性)
本件発明1、2は、申立1甲1によって電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(2)申立1理由2(進歩性)
本件発明1、2は、申立1甲8によって電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
[引用文献等一覧]
申立1甲1:Premier Tech Systems and Automation、“Robot Palletizer | Robotic Modular Palletizer (RPM Series)”、[online]、YouTube、インターネット(令和4年11月29日に申立人1によりDVD-Rに記録された動画)
<URL:https://www.youtube.com/watch?v=jHsRjke6fhI>
申立1甲2:Premier Tech Systems and Automation、“Robot Palletizer | Robotic Modular Palletizer (RPM Series)”、[online]、YouTube、インターネット(令和4年11月29日に出力)、及びその抄訳文
<URL:https://www.youtube.com/watch?v=jHsRjke6fhI>
申立1甲3の1:Google LLC、“動画の置き換えまたは削除-パソコン-YouTube ヘルプ”、[online]、インターネット(令和4年11月8日に出力)
<URL:https://support.google.com/youtube/answer/55770?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DDesktop>
申立1甲3の2:Google LLC、“動画の設定を編集する-パソコン-YouTube ヘルプ”、[online]、インターネット(令和4年11月10日に出力)
<URL:https://support.google.com/youtube/answer/57404?visit_id=638036738766905563-3985258921&rd=1>
申立1甲4:Premier Tech Ltd.、“RPM SERIES Robotic Modular Palletizer”、2017年(平成29年)、及びその抄訳文
申立1甲5:ファナック株式会社、“FANUC Robot R-2000iB/100H, 150U”、[online]、インターネット(令和4年11月9日に印刷)
<URL: http://host118022018037.metio.jp/digianaecatalog/fanuc-r2000/Book/fanuc-r2000-P0007.html>
申立1甲6:特開2017-165565号公報
申立1甲7:特開2002-211508号公報
申立1甲8:Premier Tech Systems and Automation、“Robotic Modular Palletizer With Vacuum Gripper (RPM Series)”、[online]、YouTube、インターネット(令和4年11月29日に申立人1によりDVD-Rに記録された動画)
<URL:https://www.youtube.com/watch?v=Jc0J1LqwRtk>
申立1甲9:Premier Tech Systems and Automation、“Robotic Modular Palletizer With Vacuum Gripper (RPM Series)”、[online]、YouTube、インターネット(令和4年11月9日に出力)、及びその抄訳文
<URL:https://www.youtube.com/watch?v=Jc0J1LqwRtk>
申立1甲10の1:Joulin France、Joulin USA、“Handling of Cartons”、[online]、インターネット(令和4年11月26日に出力)、及びその抄訳文
<URL:https://www.joulin.com/all-industries/applications/handling-of-cartons.html>
申立1甲10の2:Joulin France、Joulin USA、“Handling of Cartons”、[online]、インターネット(令和4年11月26日に出力)、及びその抄訳文
<URL:https://www.joulin.com/component/rsfiles/download-file/files.html?path=toutes_industries%252Fen%252Ffiches_application%252FJOULIN_handling_cartons_EN.pdf&Itemid=125>
甲11:Alexis Darisse, PhD, Innovation Coordinator、宣誓書、2022年(令和4年)11月21日
2 申立人2による申立理由の概要
申立人2は、以下に示す甲第1号証~甲第5号証(以下「申立2甲1」等という。)を提出し、本件発明1、2に係る特許は、以下の理由により、取り消すべきものである旨を主張する。
(1)申立2理由1(進歩性)
本件発明1、2は、申立2甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(2)申立2理由2(進歩性)
本件発明1は、申立2甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
[引用文献等一覧]
申立2甲1:米国特許出願公開第2008/0000203号明細書
申立2甲2:株式会社不二越、“NACHI TFDJP-013-005 FD制御装置取扱説明書パレタイズ機能”、5版、1-1~1-4、4-7、4-8、5-21、5-22ページ
申立2甲3:特開昭64-84806号公報
申立2甲4:公証人波多野新一、“公正証書”謄本、令和4年11月25日原本に基づき謄本作成
申立2甲5:共和機械株式会社(申立人2)、事実実験の動画と写真のDVD-R、2022年(令和4年)11月16日
第4 当審の判断
1 証拠の記載等
(1)申立1甲1
ア 申立1甲1の動画の投稿日
申立1甲1の動画は、2015年(平成27年)9月11日に、Premier Tech Systems and Automationによって「Robot Palletizer | Robotic Modular Palletizer (RPM Series)」の題でYouTubeに投稿されたものである(申立1甲2)。
イ 申立1甲1の動画に含まれる画像
申立1甲1の動画には、次の画像が含まれている。
(ア)動画の0分39秒の時点の画像
(なお、この(ア)の画像と、以下の(イ)~(エ)a~h)の画像とでは、「SHEET BIN」と「INFEED CONVEYOR」の位置が入れ替わっていることに注意されたい。)
[図:0001398287000001.jpg]
上記画像から、FANUC R2000IB/100H 5軸ロボット(5―AXIS ROBOT)(以下「5軸ロボット」という。)、パレットマガジン(PALLET MAGAZINE)、シートビン(SHEET BIN)、搬入コンベア(INFEED CONVEYOR)、制御パネル(CONTROL PANEL)、パレットコンベア(PALLETCONVEYORS)からなる設備が見て取れる。
(イ)動画の1分05秒の時点の画像
[図:0001398287000002.jpg]
上記画像から、5軸ロボットがアームの先端部に、パレット、シート、箱を扱うためのグリッパー(GRIPPER)を備えていることが見て取れる。
(ウ)動画の1分19秒の時点の画像
[図:0001398287000003.jpg]
上記画像から、搬入コンベアにおいて、搬入された4つの箱がパレットコンベアの長手方向に箱の短辺方向が一致するように整列されていることが見て取れる。
(エ)動画の1分21秒~1分24秒の間のいくつかの時点の画像に、当審で補足説明を加えた図
a 1分21秒(1)
[図:0001398287000004.jpg]
b 1分21秒(2)
[図:0001398287000005.jpg]
c 1分22秒(1)
[図:0001398287000006.jpg]
d 1分22秒(2)
[図:0001398287000007.jpg]
e 1分22秒(3)
[図:0001398287000008.jpg]
f 1分22秒(4)
[図:0001398287000009.jpg]
g 1分23秒(1)
[図:0001398287000010.jpg]
h 1分23秒(2)
[図:0001398287000011.jpg]
上記a~hより、申立1甲1に係る動画から、申立1甲1から把握される「5軸ロボット」等は、以下の動作をするものであるといえる。
搬入コンベアにおいて同じ向きに整列された4つの箱のうち、最もパレットコンベア側にある箱(以下「箱(1)」という。)とそれに隣接する箱(以下「箱(2)」という。)の2つの箱を、5軸ロボットが、グリッパーで上側から保持し(a)、
グリッパーを、鉛直軸周りに反時計方向に90°回転させながら、パレットコンベア上に置かれたパレットの上にさらに置かれたシートの上方に移動させ(b、c)、
グリッパーを鉛直方向に下降させ(d)、
箱(1)をグリッパーから離して、箱(1)をシート上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させ(e)、
グリッパーを、おおむね箱の長辺の長さ分パレットコンベア搬送方向の下流方向に平行移動させ、おおむね箱の短辺の長さ分パレットコンベア搬送方向に直交する方向の5軸ロボットから離れる向きに平行移動させ(f)、
グリッパーを、鉛直方向に下降させ(g)、
箱(2)をグリッパーから離して、シート上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させる(h)。
ウ 申立1甲1発明
上記ア、イから、申立1甲1によって、次の発明(以下「申立1甲1発明」という。)が、本件特許に係る出願前に、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったと認められる。
「5軸ロボット、パレットマガジン、シートビン、搬入コンベア、制御パネル、パレットコンベアからなる設備であって、
5軸ロボットがアームの先端部に、パレット、シート、箱を扱うためのグリッパーを備えており、
搬入コンベアにおいて、搬入された4つの箱がパレットコンベアの長手方向に箱の短辺方向が一致するように整列され、
搬入コンベアにおいて同じ向きに整列された4つの箱のうち、最もパレットコンベア側にある箱(1)とそれに隣接する箱(2)の2つの箱を、5軸ロボットが、グリッパーで上側から保持し、
グリッパーを、鉛直軸周りに反時計方向に90°回転させながら、パレットコンベア上に置かれたパレットの上にさらに置かれたシートの上方に移動させ、
グリッパーを鉛直方向に下降させ、
箱(1)をグリッパーから離して、箱(1)をシート上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させ、
グリッパーを、おおむね箱の長辺の長さ分パレットコンベア搬送方向の下流方向に平行移動させ、おおむね箱の短辺の長さ分パレットコンベア搬送方向に直交する方向の5軸ロボットから離れる向きに平行移動させ、
グリッパーを、鉛直方向に下降させ、
箱(2)をグリッパーから離して、シート上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させる、設備。」
(2)申立1甲4
申立1甲4には、次の事項が記載されている。
「RPMシリーズロボティックパレタイザーは、実質上あらゆるタイプの工場レイアウトに容易に適用可能なモジュラー式パレタイジングセルです。・・・
用途
箱、バケツ、トート、バンドル等」(2ページ1欄1~10行)
(3)申立1甲7
ア 申立1甲7の記載
申立1甲7には、次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定個数の卵を収容可能な収容部と、この収容部をカバーする蓋部とを有する包装容器に卵を包装する卵包装装置及びこの卵包装装置が設けられた卵自動選別システムに関するものである。」
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような包装手順において、ラベルLを貼り付けたり、コマーシャルカードCを挿入する作業は、人手で行うには煩雑な作業である。また、機械により行うにしても卵Eの端部にラベルLを貼り付ける際やコマーシャルカードCを挿入する際に、卵Eに割れ等の不具合が発生する可能性がある。」
「【0046】選別コンベア5a~5eでは、搬送上流側でパック4を構成する収容部40のみが供給される。収容部40に、10個の鶏卵1が単列コンベア3から放出されると、鶏卵1が収容された収容部40は、卵包装装置16へと送り込まれる。収容部40の到着をセンサー55により検出すると、所定量のフィルムを引き出してカッター53によりカットし、押えローラ52によりフィルムを収容部40に押えて接着する。これにより蓋部41が形成され、包装製品が完成する。
【0047】なお、フィルムとしては常温で接着できるものではなく、加熱して接着するヒートシール方式のフィルムを採用してもよい。包装製品として完成されたパック4は、搬出コンベア17により排出される。
【0048】パック4が搬送される姿勢は、図1に示すように、パック4の短辺方向が搬送方向に沿う方向で搬送されるが、パック4の長辺方向が搬送方向に沿うような姿勢で搬送してもよい。
【0049】図5に示すように、搬出コンベア17の下流側には、包装容器の積み重ね機構(パレタイザー)が設けられている。包装が完了した包装容器(包装製品)は、いくつか積み重ねた状態で箱詰めされて出荷される。この積み重ねを積み重ねロボットにより行うときに、パック4の蓋部41を吸引して所定の場所に移動することにより自動的に積み重ねを行うことができる。
【0050】図5に示すように、搬出コンベア17の終端にストッパー60が設けられており、パック4はこのストッパー60の位置を先頭に並べられていく。ガイドレール63に沿ってスライド移動可能な吸着ヘッド61が設けられており、吸着ヘッド61はいくつかのパック4をまとめて吸引することができる。吸引されたパック4は、別の場所に待機しているパレット64と呼ばれる箱に詰められていく。図5には1段だけ詰められた状態が図示されているが、複数段積み重ねることができる。
【0051】吸着ヘッド61は支持軸62を中心に回転自在になっており、パレット64に積み重ねるパック4の方向を変更しながら積み重ねることができる。これにより、安定した状態で積み重ねることができる。」
「【図5】
[図:0001398287000012.jpg]
」
イ 申立1甲7記載事項
上記アから、申立1甲7には、次の事項(以下「申立1甲7記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「ガイドレール63に沿ってスライド移動可能な吸着ヘッド61が設けられ、吸着ヘッド61は鶏卵1が収容されたいくつかのパック4をまとめて吸引することができる包装容器の積み重ね機構によって、吸引されたパック4を、別の場所に待機しているパレット64と呼ばれる箱に詰めていくこと」
(4)申立1甲8
ア 申立1甲8の動画の投稿日
申立1甲8の動画は、2017年(平成29年)2月7日に、Premier Tech Systems and Automationによって「Robotic Modular Palletizer With Vacuum Gripper (RPM Series)」の題でYouTubeに投稿されたものである(申立1甲9)。
イ 申立1甲8の動画に含まれる画像
申立1甲8の動画には、次の画像が含まれている。
(ア)動画の1分08秒の時点の画像に、申立人1が補足説明を加えた図
[図:0001398287000013.jpg]
上記画像から、ファナックR2000iB(以下「ロボット」という。)、搬入コンベア、パレットコンベアからなる設備、ロボットがアームの先端部にグリッパーを備えていること、及び搬入コンベアにおいて、搬入された2つの箱がパレットコンベア側に長辺方向に整列されていることが見て取れる。
動画の1分09秒~1分13秒の間のいくつかの時点の画像に、申立人1が朱筆で補足説明を加えた図
a 1分09秒
[図:0001398287000014.jpg]
b 1分10秒(1)
[図:0001398287000015.jpg]
c 1分10秒(2)
[図:0001398287000016.jpg]
d 1分11秒(1)
[図:0001398287000017.jpg]
e 1分11秒(2)
[図:0001398287000018.jpg]
f 1分11秒(3)
[図:0001398287000019.jpg]
g 1分12秒(1)
[図:0001398287000020.jpg]
h 1分12秒(2)
[図:0001398287000021.jpg]
i 1分13秒
[図:0001398287000022.jpg]
上記a~iより、申立1甲8に係る動画から、申立1甲8から把握される「ロボット」等は、以下の動作をするものであるといえる。
搬入コンベアにおいて同じ向きに整列された、最もパレットコンベア側にある物品(以下「第1物品」という。)とそれに隣接する物品(以下「第2物品」という。)の2つの物品を、ロボットが、グリッパーで上側から保持し(a)、
グリッパーを、鉛直軸周りに反時計方向に90°回転させながらパレットの上方に移動させ(b)、
グリッパーを鉛直方向に下降させ(c)、
第1物品をパレット上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させ(d)、
グリッパーを、鉛直軸周りに時計方向に90°回転させながら、おおむね箱の短辺の長さ分搬送コンベア側に移動させ(e~g)、
グリッパーを、鉛直方向に下降させ(h)、
第2物品をパレット上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させる(i)。
ウ 申立1甲8発明
上記ア、イから、申立1甲8によって、次の発明(以下「申立1甲8発明」という。)が、本件特許に係る出願前に、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったと認められる。
「ロボット、搬入コンベア、パレットコンベアからなる設備であって、
ロボットがアームの先端部にグリッパーを備えており、
搬入コンベアにおいて、搬入された2つの箱がパレットコンベア側に長辺方向に整列され、
搬入コンベアにおいて同じ向きに整列された、最もパレットコンベア側にある第1物品とそれに隣接する第2物品の2つの物品を、ロボットが、グリッパーで上側から保持し、
グリッパーを、鉛直軸周りに反時計方向に90°回転させながらパレットの上方に移動させ、
グリッパーを鉛直方向に下降させ、
第1物品をパレット上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させ、
グリッパーを、鉛直軸周りに時計方向に90°回転させながら、おおむね箱の短辺の長さ分搬送コンベア側に移動させ、
グリッパーを、鉛直方向に下降させ、
第2物品をパレット上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させる、設備。」
(5)申立2甲1
ア 申立2甲1の記載
申立2甲1には、次の事項が記載されている。
「技術分野
[0001]本発明は、ケース内にパッケージを配置するのに適したロボットアームのためのアームの端部ツール、及びケース内にパッケージを配置するプロセスを自動化する方法に関する。具体的には、本発明は、卵カートンをシッパーケースに包装するプロセスを自動化するためにアーム端ツールを使用する方法に関する。」
「[0003]ロボットアームの多くの使用にもかかわらず、容器(例えば、卵カートン)内に包装され、次いで、シッパーケース内に配置される卵などの特殊な取扱いを必要とする脆弱な物品を取り扱うことができるアームツールの端部を提供する必要性が依然として存在する。これまで、卵のカートンをシッパーケースに梱包することは、手動の作業のままであった。」
「例
[0032]本発明によるアームツールの端部は、3つの12個用カートン又は2個の18個用カートンのいずれかで36個の卵をケースパッキングするために構築された。アームツールの端部は、特に、プラスチックフォームカートンをインフィードコンベヤからピックアップし、それらを3つの異なるシッパーケースのうちの1つに入れて食料品店へ出荷するように設計された。荷主ケースに使用されるスペースは、3つの輸送業者ケースのサイズおよび構成は、以下のとおりである:(1)15個のケース-1層当たり3個のダース、5層;(2)24個のケース-1層当たり6個のダース、4層;(3)30個のケース-1層当たり6個のダース、5層。シッパーケースのサイズと寸法は時々変わることがあるが、アームツールの端部の動作は変更してはいけない。ロボットアーム用のコントローラは、異なる場合について単純に再プログラムすることができる。
[0033]EOATは、FANUC Robotics America, Inc.(Mich. Rochester ひlls)が供給するModel M-6iB/6s 6軸ロボットアームの面板に取り付けられ、これによって操作された。ロボットアームの構造、動作、プログラミング、および制御は、当技術分野でよく知られており、したがって、本明細書では詳細に説明しない。アームツールの端部上の機構(すなわち、クランプアクチュエータ、リリースアクチュエータ、グリッパアクチュエータ)は、電気的に操作される空気圧ソレノイドによって空気圧で作動されることができ、これは遠隔に取り付けられる。市販のロボットアームは、アームツールの端部に必要な電気的および空気式接続部を提供する。
[0034]アームツールの端部は、各側面で約10.13インチを測定する実質的に正方形のプレートを含んでいた。プレートは、1/4インチの厚さのポリカーボネート材料から作製された。真空カップがプレートの底面上に位置するように、10個の真空カップアセンブリをプレートに取り付けた。プレートの底面に取り付けられた4つのリリースアクチュエータマウントを使用して、プレートの4つの角のそれぞれにリリースアクチュエータを取り付けた。押し込みアセンブリを4つのリリースアクチュエータに接続した。押し込みアセンブリは、2つの外側バーと1つの内側バーで構成されていた。2つの外側バーは、2つのリリースアクチュエータにそれぞれ接続された。加えて、2つの外側棒を互いに連結する2つの連結棒があった。内側棒は、2つの外側棒の間の連結棒に取り付けられた。アームツールの端部は、さらに、2つのクランプバーを含んでいた。各クランプバーは、2つのクランプアクチュエータに接続された。クランプアクチュエータは、クランプアクチュエータブラケットを用いてプレートの底面に取り付けた。厚さ0.0625インチのばね鋼で作られた5個のクランプフィンガを各クランプバーに取り付けた。各クランプフィンガの中央部分は長さ約3.23インチであり、その湾曲した底部部分は半径0.12の長さ約0.19インチのフックを形成していた。これらの寸法は、標準的な卵カートンを把持するのに適している。
[0035]上述のアームツールの端部を使用して、シッパーケースに卵カートンを梱包した。アームツールの端部は、ロボットアームによって卵カートンの上に配置され、すなわち、3つの12個用卵カートンまたは2つの18個用卵カートンの真上に中心合わせされ、その結果、真空カンプアセンブリは、各卵カートンの上面と接触した。真空発生器を加圧する空気圧ソレノイドが作動した。真空を真空カップアセンブリに供給し、真空カンプが各卵カートンの上面を把持するようにした。約0.5秒の短い遅延の後、クランプフィンガは、空気圧クランプアクチュエータおよびクランプバーを介して引き戻され、その結果、クランプフィンガの湾曲した先端は、卵カートンの下部の端部の中央リップの下に引っ掛かった。クランプアクチュエータを作動させて、クランプフィンガを正常に伸ばしたままにした。クランプフィンガの開位置及び閉位置は、図3(破線で示す開位置)に見ることができる。クランプフィンガは、卵カートンが真空カップアセンブリによって持ち上げられるときに、卵カートンが開くことを防止するために使用された。
[0036]約0.5秒のさらに短い遅延の後、ロボットアームは卵カートンを持ち上げ、それらをシッパーケース内に移動させた。上述のように、使用されるクランプフィンガは、卵カートンの縁部に引っ掛けられたクランプフィンガが、卵カートンまたは輸送用ケースのいずれかを損傷することなく、輸送用ケースの内面と卵カートンとの間の狭い間隙に容易に嵌合することができるように、ばね鋼で作られた。ロボットアームは、シッパーケースの層数に応じて、卵カートンを適切な高さ位置に配置した。いったん定位置になると、真空ソレノイドを作動させて真空を停止させ、空気圧を逆にして陽圧の空気圧を供給し、卵用カートンの頂部から真空カップを解放するのを助け、すなわち、卵用カートンの頂部を「吹き飛ばす」のを助けた。クランプアクチュエータを作動させて、それらを伸ばし、クランプフィンガを開位置に移動させた。輸送機ケースの内面は、通常、クランプフィンガが卵カートンを完全に解放するのに十分なほどフィンガが開かないようにする。したがって、押し込みアセンブリを使用して、卵カートンをクランプフィンガから押し離した。空気圧をブローオフモードに逆転させ、クランプフィンガを伸ばすと、ロボットアームは約1/2インチ上に移動した。カートンはロボットアームに引き上げられる傾向があった。押し込みアセンブリは、リリースアクチュエータを加圧する空気ソレノイドによって作動され、その結果、押し込みアセンブリが伸長し、下方に押し出され、したがって、卵用カートンをクランプフィンガから解放した。リリースアクチュエータの通常の状態は引き込まれており、つまり、押し込みアセンブリは上になっている。
[0037]約0.5秒のさらに短い遅延の後、ロボットアームは、アームツールの端部を上に動かし、シッパーケースから出た。「ブローオフ」空気はオフにされ、押し込みアセンブリは、その通常位置に後退された。サイクルを完了し、シッパーケースが卵箱で満たされるまで、それを繰り返した。」
イ 申立2甲1発明
上記アから、申立2甲1には、次の発明(以下「申立2甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「シッパーケースに卵カートンを梱包するアームツールであって、
アームツールの端部は、3つの12個用卵カートンまたは2つの18個用卵カートンの真上に中心合わせされ、
真空カンプアセンブリを、各卵カートンの上面と接触させ、
真空カンプが各卵カートンの上面を把持するようにし、
クランプフィンガの湾曲した先端を、卵カートンの下部の端部の中央リップの下に引っ掛け、
ロボットアームは卵カートンを持ち上げ、それらをシッパーケース内に移動させ、
ロボットアームは、シッパーケースの層数に応じて、卵カートンを適切な高さ位置に配置し、いったん定位置になると、真空ソレノイドを作動させて真空を停止させ、空気圧を逆にして陽圧の空気圧を供給し、卵用カートンの頂部から真空カップを解放するのを助け、
クランプフィンガを開位置に移動させ、
ロボットアームを、アームツールの端部を上に動かし、シッパーケースから出す、アームツール。」
(6)申立2甲2
ア 申立2甲2の記載
申立2甲2には、次の事項が記載されている。
「1.1 パレタイズ機能とは
1.1.1 概要
パレタイズとは、品物(以降、ワークと記述します)を順序よく並べることをいいます。本制御装置のパレタイズ機能を使用することで、1つのワークを積む(降ろす)動作のティーチングとワークの個数・積み方(降し方)・ワークの配置を指定するだけで、全てのワークに対する積む(降ろす)動作を簡単に教示することが出来ます。・・・」(1-1ページの「1.1 パレタイズ機能とは」の「1.1.1 概要」)
「1.1.2 よく使う用語
パレタイズ機能で使用する用語について、簡単に説明します。
[図:0001398287000023.jpg]
[図:0001398287000024.jpg]
」(1-1~1-2ページの「1.1 パレタイズ機能とは」の「1.1.2 よく使う用語」)
「ロボットでパレタイズ(デパレタイズ)作業を実施するまでの作業の流れについて説明します。」(1-3ページの「1.2 ティーチングから運転まで」)
「
[図:0001398287000025.jpg]
」(1-3ページの「1.2 ティーチングから運転まで」の「図1.2.1 ティーチングから運転までの作業」)
「1.2.1 パレット座標を登録する
・・・
1.2.2 パレタイズパターンを登録する
・・・
1.2.3 ティーチングする
・・・
1.2.4 動作確認・運転する
作成したロボットプログラムをチェックゴーや1ステップ再生で確認し、希望の動作であるか否かを見極め、必要に応じてティーチング修正を実施して下さい。ロボットプログラムの動作確認が済みましたら、実際に再生モードで1サイクル、または連続モードで再生します。
・・・」
「5.4.2 パレタイズワーク掴み位置選択
ワーク掴み位置選択ファンクションの使用例を以下に示します。ワークを2個掴みして、1つずつパレットに配置する例です。
ワークヘ置く経路を同一ポイントで2回記録します([P4,5,6]と[P8,9,10])。ティーチングはワーク1個目を基準にして下さい。
1回目のパレタイズ開始時にPALLET3_SELGR命令でワーク掴み位置選択を1にします。
1個目のワーク置いた後、ワークカウンタを進めるためにPALLET3_ENDを実行します。
2個目のワークを置く前に再度PALLET3でパレタイズを開始します。そしてPALLET3_SELGR命令でワーク掴み位置選択を2に切り替えます。
[図:0001398287000026.jpg]
[図:0001398287000027.jpg]
[図:0001398287000028.jpg]
」(5-21~5-22ページの「5.4.2 パレタイズワーク掴み位置選択」)
イ 申立2甲2記載事項
上記アから、申立2甲2には、次の事項(以下「申立2甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「パレタイズ作業を実施するロボットであって、
ハンド1、ハンド2を備えるハンドにより、ステーション上の2つのワークを2個掴みして、パレット上に1つずつ配置するロボット。」
(7)申立2甲3
ア 申立2甲3の記載
申立2甲3には、次の事項が記載されている。
「2.特許請求の範囲
次々にずらし重ねした一列状にかつ列の長さを函詰めすべき函の一方の内寸法(縦幅)よりも小さくして複数列状に供給される包装パックを、包装パックの列と同数で包装パックの列の間隔と同じ間隔でそれぞれの真上に位置される包装パック吸引手段で吸引して吊上げ、
次いで、隣接する列同士の包装パックを互いに接近させても干渉しない高さに段違いになるように持上げ、
次いで、全ての列の包装パックを等間隔に接近させ、その際、段違いに互いに隣接する列同士の包装パックが平面的に重なり、かつ両側の列の包装パックの外外の距離が函詰めすべき函の他方の内寸法(横幅)よりも小さくなるようにし、もって、全ての包装パックを段違いに接近した状態とし、
次いで、最下段の包装パックを落下してもバウンドが生じないように落下高さにするか落下高さゼロになるようにして、これら全ての包装パックを函内に位置させ、
次いで、下段から順に包装パックの吸引を解いていき、かつその際、二段目以降は、最下段の包装パックと略同一レベルに位置させてから上記吸引を解くようにし、これにより、一回の収容を終えて、段違いに接近した全ての包装パック吸引手段を函より退出してから元の間隔が開いた状態にし、
以後、上記の工程を所要回数繰替えして函詰め完了することを特徴とする包装パックの函詰方法。
3.発明の詳細な説明
<技術分野>
本発明は、裏表の中央部が膨らみ周囲が薄く持上っている包装パック、例えば、ポテトチップ等の食品あるいはゼムクリップ等の非食品を製袋充填包装もしくは給袋充填包装により包装された包装パックをダンボール函に隙間なく函詰めするのに好適な包装パックの函詰方法に関する。」(1ページ下欄2行~2ページ左上欄2行)
「<発明の目的>
本発明は、上述した点に鑑み案出したもので、
包装パックが次々にずれて重なり一列をなすとともに、列と列も一部重なり、函詰め効率が高い函詰めが機械詰めとして実現できる包装パックの面詰方法を提供することを目的としている。」(2ページ右上欄6~11行)
イ 申立2甲3発明
上記アから、申立2甲3には、次の発明(以下「申立2甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「次々にずらし重ねした一列状にかつ列の長さを函詰めすべき函の一方の内寸法(縦幅)よりも小さくして複数列状に供給される、裏表の中央部が膨らみ周囲が薄く持ち上がっている包装パックを、包装パックの列と同数で包装パックの列の間隔と同じ間隔でそれぞれの真上に位置される包装パック吸引手段で吸引して吊上げ、
次いで、隣接する列同士の包装パックを互いに接近させても干渉しない高さに段違いになるように持ち上げ、
次いで、全ての列の包装パックを等間隔に接近させ、その際、段違いに互いに隣接する列同士の包装パックが平面的に重なり、かつ両側の列の包装パックの外外の距離が函詰めすべき函の他方の内寸法(横幅)よりも小さくなるようにし、もって、全ての包装パックを段違いに接近した状態とし、
次いで、最下段の包装パックを落下してもバウンドが生じないように落下高さにするか落下高さゼロになるようにして、これら全ての包装パックを函内に位置させ、
次いで、下段から順に包装パックの吸引を解いていき、かつその際、二段目以降は、最下段の包装パックと略同一レベルに位置させてから上記吸引を解くようにし、これにより、一回の収容を終えて、段違いに接近した全ての包装パック吸引手段を函より退出してから元の間隔が開いた状態にし、
以後、上記の工程を所要回数繰替えして函詰め完了する包装パックの函詰方法。」
2 本件発明1について
(1)申立1甲1発明に基づく進歩性について
ア 対比
本件発明1と申立1甲1発明とを対比する。
申立1甲1発明の「5軸ロボット」は本件発明1の「保持部」に相当する。
申立1甲1発明の「シート上」は本件発明1の「収容空間」に相当する。
申立1甲1発明の「箱」と本件発明1の「卵パック」とは、箱の限りで一致する。
申立1甲1発明の「設備」が、「搬入コンベアにおいて同じ向きに整列された4つの箱のうち、最もパレットコンベア側にある箱(1)とそれに隣接する箱(2)の2つの箱を」、「箱(1)をシート上に置いたまま」とし、「箱(2)をシート上に置いたまま」とすることと、本件発明1の「卵パックの移載装置」が、「一時待機領域に集められた複数個の卵パックを収容空間に移載する」こととは、箱の移載装置が、一時待機領域に集められた複数個の箱を収容空間に移載する限りで一致する。
申立1甲1発明の「5軸ロボットがアームの先端部に、パレット、シート、箱を扱うためのグリッパーを備え」、「搬入コンベアにおいて同じ向きに整列された4つの箱のうち、最もパレットコンベア側にある箱(1)とそれに隣接する箱(2)の2つの箱を、5軸ロボットが、グリッパーで上側から保持し、グリッパーを、鉛直軸周りに反時計方向に90°回転させながら、パレットコンベア上に置かれたパレットの上にさらに置かれたシートの上方に移動させ、グリッパーを鉛直方向に下降させ」ることと、本件発明1の「保持部」が「一の卵パックおよび他の卵パックを含む複数個の前記卵パックを同じ向きの整列状態で保持し、保持した複数個の前記卵パックを前記収容空間まで移動する」こととは、保持部が一の箱および他の箱を含む複数個の箱を同じ向きの整列状態で保持し、保持した複数個の箱を収容空間まで移動する限りで一致する。
ロボットが制御部によって動作させられることは技術常識であるから、申立1甲1発明の「搬入コンベアにおいて同じ向きに整列された4つの箱のうち、最もパレットコンベア側にある箱(1)とそれに隣接する箱(2)の2つの箱を、5軸ロボットが、グリッパーで上側から保持し、グリッパーを、鉛直軸周りに反時計方向に90°回転させながら、パレットコンベア上に置かれたパレットの上にさらに置かれたシートの上方に移動させ、グリッパーを鉛直方向に下降させ、箱(1)をグリッパーから離して、箱(1)をシート上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させ、グリッパーを、おおむね箱の長辺の長さ分パレットコンベア搬送方向の下流方向に平行移動させ、おおむね箱の短辺の長さ分パレットコンベア搬送方向に直交する方向の5軸ロボットから離れる向きに平行移動させ、グリッパーを、鉛直方向に下降させ、箱(2)をグリッパーから離して、シート上に置いたまま、グリッパーを上方に移動させる」ことと、本件発明1の「前記卵パックを保持する動作、保持した前記卵パックを移動させる動作、および、前記卵パックを保持した状態を解除する動作を含む前記保持部の動作を制御する制御部」を「備え」、「前記制御部は、複数個の前記卵パックを保持し、前記収容空間内に前記一の卵パックおよび前記他の卵パックを同時に下降させ、前記一の卵パックを保持した状態を前記収容空間内における第1位置で解除した後、前記保持部を移動させて、前記収容空間内における前記第1位置とは水平面上での位置および高さ位置の少なくとも一方が異なる第2位置において、前記他の卵パックを保持した状態を解除する動作を制御する」こととは、箱を保持する動作、保持した箱を移動させる動作、および、箱を保持した状態を解除する動作を含む保持部の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、複数個の箱を保持し、収容空間内に一の箱および他の箱を同時に下降させ、一の箱を保持した状態を収容空間内における第1位置で解除した後、保持部を移動させて、収容空間内における第1位置とは水平面上での位置および高さ位置の少なくとも一方が異なる第2位置において、他の箱を保持した状態を解除する動作を制御する限りで一致する。
そうすると、本件発明1と申立1甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点1]
「一時待機領域に集められた複数個の箱を収容空間に移載する箱の移載装置であって、
一の箱および他の箱を含む複数個の前記箱を同じ向きの整列状態で保持し、保持した複数個の前記箱を前記収容空間まで移動する保持部と、
前記箱を保持する動作、保持した前記箱を移動させる動作、および、前記箱を保持した状態を解除する動作を含む前記保持部の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、複数個の前記箱を保持し、前記収容空間内に前記一の箱および前記他の箱を同時に下降させ、前記一の箱を保持した状態を前記収容空間内における第1位置で解除した後、前記保持部を移動させて、前記収容空間内における前記第1位置とは水平面上での位置および高さ位置の少なくとも一方が異なる第2位置において、前記他の箱を保持した状態を解除する動作を制御する、箱の移載装置。」
[相違点1]
箱について、本件発明1は「卵パック」であるのに対して、申立1甲1発明は「箱」である点。
イ 判断
相違点1について検討する。
申立1甲1発明は、2個の箱の一の箱を第1位置に置いた後に、他の箱を同じシート上の異なる第2位置に置くものであるところ、申立1甲7記載事項は、鶏卵が収容されたいくつかのパックをまとめて一度でパレットに詰めるものであって、両者は、技術分野が異なることに加えて、作用・機能が異なる。
加えて、申立1甲7の【0005】には、卵を取り扱う際に機械を利用すると卵に割れ等の不具合が発生する可能性があることが記載されており、所定の箇所からパレットまでの搬送時間や搬送装置との接触時間を少なくすることが技術常識であるところ、申立1甲7記載事項においては、鶏卵という搬送途中で割れて白身や黄身が漏れ出し卵パック内部を汚損する可能性があることに対応しなければならないものである。そうすると、甲7の例えば図5に示された内容で説明すると、図示上所定の搬送前位置に配置された4列の卵パックは、吸着ヘッド61により一度でパレットに4列の全てを詰めて終了とする搬送態様といえるから、申立1甲7の吸着ヘッド61において、最初に、図示上左右のいずれか1つの列を脱着し、次に、他の列を吸着したまま卵パックをさらに移動させ、異なる位置に他の列の1つの列を脱着することは、最初の脱着で収納を終えられる卵パックをさらに移動させることであるから、上記述べたとおり、鶏卵の搬送としては採用し得ない態様であり、この点阻害要因があるといえる。
したがって、申立1甲1発明と申立1甲7記載事項とを組み合わせる動機付けはなく、むしろその組合せに阻害要因があるから、申立1甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本件発明1は、当業者が申立1甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)申立1甲8発明に基づく進歩性について
ア 対比
本件発明1と申立1甲8発明との相違点は次のとおりであり、その余の点で一致する。
[相違点2]
物品について、本件発明1は「卵パック」であるのに対して、申立1甲8発明は「物品」である点。
イ 判断
相違点2について検討する。
申立1甲8発明は、2個の物品の一の物品を第1位置に置いた後に、他の物品を同じパレット上の異なる第2位置に置くものであるところ、申立1甲7記載事項は、鶏卵が収容されたいくつかのパックをまとめて一度でパレットに詰めるものであって、両者は、技術分野が異なることに加えて、作用・機能が異なる。
加えて、申立1甲7の【0005】には、卵を取り扱う際に機械を利用すると卵に割れ等の不具合が発生する可能性があることが記載されており、所定の箇所からパレットまでの搬送時間や搬送装置との接触時間を少なくすることが技術常識であるところ、申立1甲7記載事項においては、鶏卵という搬送途中で割れて白身や黄身が漏れ出し、卵パック内部を汚損する可能性があることに対応しなければならないものである。そうすると、甲7の例えば図5に示された内容で説明すると、図示上所定の搬送前位置に配置された4列の卵パックは、吸着ヘッド61により一度でパレットに4列の全てを詰めて終了とする搬送態様といえるから、申立1甲7の吸着ヘッド61において、最初に、図示上左右のいずれか1つの列を脱着し、次に、他の列を吸着したまま卵パックをさらに移動させ、異なる位置に他の列の1つの列を脱着することは、最初の脱着で収納を終えられる卵パックをさらに移動させることであるから、上記述べたとおり、鶏卵の搬送としては採用し得ない態様であり、この点阻害要因があるといえる。
したがって、申立1甲8発明と申立1甲7記載事項とを組み合わせる動機付けはなく、むしろその組合せに阻害要因があるから、申立1甲8発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本件発明1は、当業者が申立1甲8発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)申立2甲1発明に基づく進歩性について
ア 対比
本件発明1と申立2甲1発明との相違点は次のとおりであり、その余の点で一致する。
[相違点3-1]
本件発明1は、「複数個の卵パック」が「一時待機領域に集められた」ものであるのに対して、申立2甲1発明はそのようなものであるか不明である点。
[相違点3-2]
本件発明1は、「前記制御部は、複数個の前記卵パックを保持し、前記収容空間内に前記一の卵パックおよび前記他の卵パックを同時に下降させ、前記一の卵パックを保持した状態を前記収容空間内における第1位置で解除した後、前記保持部を移動させて、前記収容空間内における前記第1位置とは水平面上での位置および高さ位置の少なくとも一方が異なる第2位置において、前記他の卵パックを保持した状態を解除する動作を制御する」のに対して、申立2甲1発明は、「アームツールの端部は、3つの12個用卵カートンまたは2つの18個用卵カートンの真上に中心合わせされ、真空カンプアセンブリを、各卵カートンの上面と接触させ、真空カンプが各卵カートンの上面を把持するようにし、クランプフィンガの湾曲した先端を、卵カートンの下部の端部の中央リップの下に引っ掛け、ロボットアームは卵カートンを持ち上げ、それらをシッパーケース内に移動させ、ロボットアームは、シッパーケースの層数に応じて、卵カートンを適切な高さ位置に配置し、いったん定位置になると、真空ソレノイドを作動させて真空を停止させ、空気圧を逆にして陽圧の空気圧を供給し、卵用カートンの頂部から真空カップを解放するのを助け、クランプフィンガを開位置に移動させ、ロボットアームを、アームツールの端部を上に動かし、シッパーケースから出す」点。
イ 判断
相違点3-2について検討する。
申立2甲1発明は、3つの12個用卵カートンまたは2つの18個用卵カートンを、まとめて一度でシッパーケース内に移動させるものであるところ、申立2甲2記載事項は、ハンド1、ハンド2を備えるハンドにより、ステーション上の2つのワークを2個掴みして、一のワークを第1位置に置いた後に、他のワークを同じパレット上の異なる第2位置に配置するものであって、両者は、技術分野が異なることに加えて、作用・機能が異なる。
加えて、申立2甲1の[0003]には、卵は、シッパーケース内に配置される際に特殊な取扱いを必要とする脆弱な物品であることが記載されており、所定の箇所からシッパーケースまでの搬送時間や搬送装置との接触時間を少なくすることが技術常識であるところ、申立2甲1発明においては、鶏卵という搬送途中で割れて白身や黄身が漏れ出し、卵パック内部を汚損する可能性があることに対応しなければならないものである。そうすると、申立2甲1発明は、3つの12個用卵カートンまたは2つの18個用卵カートンを真空カンプ及びクランプフィンガにより一度でシッパーケース内に収容する搬送態様といえるから、真空カンプアセンブリにおいて、最初に、3つまたは2つの卵カートンのうち一部のみを開放し、次に、他の卵カートンを把持したまま卵カートンをさらに移動させ、異なる位置に他の列の1つの列を脱着することは、最初の脱着で収納を終えられる卵パックをさらに移動させることであるから、上記述べたとおり、鶏卵の搬送としては採用し得ない態様であり、この点阻害要因があるといえる。
したがって、申立2甲1発明と申立2甲2記載事項とを組み合わせる動機付けはなく、むしろその組合せに阻害要因があるから、申立2甲1発明において、相違点3-2に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本件発明1は、当業者が申立2甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)申立2甲3発明に基づく理由
ア 対比
本件発明1と申立2甲3発明との相違点は次のとおりであり、その余の点で一致する。
[相違点4]
包装体に関して、本件発明1は「卵パック」であるのに対して、申立2甲3発明は「裏表の中央部が膨らみ周囲が薄く持ち上がっている包装パック」である点。
イ 判断
一般に「卵パック」は「裏表の中央部が膨らみ周囲が薄く持ち上がっている」形状をしたものではないため、「卵パック」と申立2甲3発明は「裏表の中央部が膨らみ周囲が薄く持ち上がっている包装パック」とは技術分野が異なる。
また、申立2甲3発明は、「裏表の中央部が膨らみ周囲が薄く持ち上がっている」形状のものを、「段違いに接近」するように収納することで、収納効率を向上させるものであるから、隣接する「卵パック」同士を「段違いに接近」させて収納すると、「卵パック」同士がぶつかってしまい、卵にひびや割れが生じる可能性を高めることとなるので、この点、阻害があるといえる。
そうすると、申立2甲3発明の「裏表の中央部が膨らみ周囲が薄く持ち上がっている包装パック」を「卵パック」に替える動機付けはなく、申立2甲3発明において、相違点4に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本件発明1は、当業者が申立2甲3発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記2で検討したのと同じ理由により、当業者が申立1甲1発明、申立1甲8発明又は申立2甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。また、他に請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701185