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特許異議申立

2022-701176

調理器具及びその制御方法

審判番号
2022-701176
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-572800
登録番号
7078765
請求日
2022年11月29日
審決日
2025年02月17日
公報発行日
2025年05月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】佛山市▲順▼▲徳▼区美的▲電▼▲熱▼▲電▼器制造有限公司
  • 【権利者代理人】及川 周
  • 【権利者代理人】▲高▼橋 史生
  • 【権利者代理人】橋口 明子
  • 【権利者代理人】小林 淳一
  • 【権利者代理人】梶井 良訓
  • 【権利者代理人】木村 一貴
  • 【異議申立人】角田 朗
審判長/審判官
  • 審判長 平城 俊雅
  • 審判官 鈴木 充
  • 審判官 間中 耕治
分類
P1651.121-YAA(A47J) / P1651.161-YAA(A47J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第29条の2、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7078765号発明「調理器具及びその制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7078765号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし10〕、11について訂正することを認める。 特許第7078765号の請求項1、3、5、7ないし10及び11に係る特許を維持する。 特許第7078765号の請求項2、4及び6に係る特許についての特許異議申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7078765号の請求項1ないし11に係る特許は、2019年(令和元年)7月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年8月13日(CN)中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、令和4年5月23日にその特許権の設定登録がされ、同年5月31日に特許掲載公報が発行されたものである。本件特許異議の申立ての経緯は、以下のとおりである。 令和 4年11月29日:特許異議申立人 角田朗(以下、「申立人」という。)による請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立て 令和 5年 3月 9日付け:取消理由通知 同年 6月12日 :特許権者による意見書及び訂正請求書 同年 8月18日付け:訂正拒絶理由通知 同年10月12日 :特許権者による意見書及び手続補正書 同年12月28日 :申立人による意見書 令和 6年 2月 5日付け:訂正拒絶理由通知 同年 3月27日 :特許権者による意見書及び手続補正書 同年 4月26日付け:取消理由通知(決定の予告)(以下、「決定の予告」という。) 同年 8月 2日 :特許権者による意見書及び訂正請求書(以下、この訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。) なお、令和5年6月12日に特許権者がした訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 また、申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、異議申立人からの応答はなかった。 第2 本件訂正の適否 1 一群の請求項1ないし10の訂正について (1)訂正の内容 本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される前記切替弁と、 を含む、ことを特徴とする調理器具。」 と記載されているのを、 「且つ前記外側抽気口が 前記切替弁の前記排気口から切り離される前記切替弁と、 を含み、 前記鍋本体は、 内部に前記調理チャンバが設けられている鍋体と、 前記調理チャンバを開閉するように前記鍋体に設けられる鍋蓋と、を含み、 前記鍋蓋または前記鍋体内に、大気に連通する収容チャンバがあり、前記外側抽気口は前記収容チャンバに連通し、 前記真空ポンプは前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記切替弁は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記鍋蓋または前記鍋体の外面には大気に連通する外側排気口が設けられ、前記外側排気口は外部排気管を介して前記真空ポンプの前記排気口に接続されることを特徴とする調理器具。」 と訂正する。 (請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項3、5、7ないし10も同様に訂正する。) イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に 「請求項2に記載の調理器具。」と記載されているのを、 「請求項1に記載の調理器具。」 と訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に 「請求項2に記載の調理器具。」と記載されているのを、 「請求項1に記載の調理器具。」 と訂正する。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に 「請求項2に記載の調理器具。」と記載されているのを、 「請求項1に記載の調理器具。」 と訂正する。 (2)訂正の適否についての判断 ア 訂正事項1について (ア)訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に、 「前記鍋本体は、 内部に前記調理チャンバが設けられている鍋体と、 前記調理チャンバを開閉するように前記鍋体に設けられる鍋蓋と、を含み、 前記鍋蓋または前記鍋体内に、大気に連通する収容チャンバがあり、前記外側抽気口は前記収容チャンバに連通し、 前記真空ポンプは前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記切替弁は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記鍋蓋または前記鍋体の外面には大気に連通する外側排気口が設けられ、前記外側排気口は外部排気管を介して前記真空ポンプの前記排気口に接続される」 との発明特定事項を直列的に付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項2、4及び6並びに願書に添付した明細書の段落【0036】の「具体的には、図1に示すように、鍋本体100は、鍋体110及び鍋蓋120を含み、調理チャンバ101は鍋体110内に設けられる。鍋蓋120は、調理チャンバ101を開閉するように鍋体110に設けられ、真空ポンプ200は鍋蓋120または鍋体110内に設けられ、切替弁300は鍋蓋120または鍋体110内に設けられる。こうすると、真空ポンプ200及び切替弁300の設置が容易になり、調理チャンバ101内の高温高湿環境が真空ポンプ200及び切替弁300の正常な動作に影響を与えることを回避する。」との記載、段落【0038】の「好ましくは、図2及び図3に示すように、鍋蓋120または鍋体110内に、大気に連通する収容チャンバ122を有し、外側抽気口301は収容チャンバ122に連通する。こうすると、真空ポンプ200が切替弁300を介して大気中の空気を抽出することが容易になり、さらに、外部の空気で真空ポンプ200及び切替弁300を洗浄することが容易になる。」との記載及び段落【0041】の「好ましくは、図1に示すように、鍋蓋120または鍋体110の外面には大気に連通する外側排気口123が設けられ、外側排気口123は外部排気管330を介して排気口202に接続される。こうすると、真空ポンプ200が、抽出された気体を大気に排出することが容易になり、さらに、真空ポンプ200が抽気動作をスムーズに行うことが容易になる。」との記載並びに図1の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 イ 訂正事項2について (ア)訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ 訂正事項3について (ア)訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項2を引用するものであったのを、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、訂正事項1と同様に願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、訂正事項1と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 エ 訂正事項4について (ア)訂正の目的 訂正事項4は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 オ 訂正事項5について (ア)訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項2を引用するものであったのを、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、訂正事項1と同様に願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、訂正事項1と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 カ 訂正事項6について (ア)訂正の目的 訂正事項6は、訂正前の請求項6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、訂正前の請求項6を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、訂正前の請求項6を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 キ 訂正事項7について (ア)訂正の目的 訂正事項7は、訂正前の請求項8が請求項2を引用するものであったのを、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7は、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、訂正事項1と同様に願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は、訂正事項1により訂正前の請求項2の内容が請求項1に付加されるとともに、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い、請求項1を引用するものとしたものであるから、訂正事項1と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (3)一群の請求項について 訂正事項1ないし7に係る訂正前の請求項1ないし10について、請求項2ないし10は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1ないし10に対応する訂正後の請求項〔1ないし10〕は、一群の請求項であって、訂正事項1ないし7は、一群の請求項ごとに請求されたものである。 2 請求項11の訂正について (1)訂正の内容 ア 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項11に 「前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップと、を含む、 ことを特徴とする調理器具の制御方法。」 と記載されているのを、 「前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップと、を含み、 前記切替弁は、 内部に弁チャンバが設けられ、前記内側抽気口、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口が設けられているとともに前記弁チャンバに連通する、弁体と、 洗浄位置と真空位置との間で移動可能に前記弁チャンバ内に結合された弁コアであって、前記内側抽気口が前記弁コアの移動方向側に位置し、前記洗浄位置にある場合、前記内側抽気口を塞ぎながら、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口を避け、前記真空位置にある場合、前記内側抽気口を避けながら、前記外側抽気口と前記切替弁の前記排気口との間を塞ぐ弁コアと、を含む、 ことを特徴とする調理器具の制御方法。」 と訂正する。 (2)訂正の適否についての判断 ア 訂正事項8について (ア)訂正の目的 訂正事項8は、訂正前の請求項11に、 「前記切替弁は、 内部に弁チャンバが設けられ、前記内側抽気口、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口が設けられているとともに前記弁チャンバに連通する、弁体と、 洗浄位置と真空位置との間で移動可能に前記弁チャンバ内に結合された弁コアであって、前記内側抽気口が前記弁コアの移動方向側に位置し、前記洗浄位置にある場合、前記内側抽気口を塞ぎながら、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口を避け、前記真空位置にある場合、前記内側抽気口を避けながら、前記外側抽気口と前記切替弁の前記排気口との間を塞ぐ弁コアと、を含む、」 との発明特定事項を直列的に付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、訂正前の請求項10及び願書に添付した明細書の段落【0046】の「より具体的には、図2及び図3に示すように、切替弁300は、弁体340及び弁コア350を含み、弁体340内には弁チャンバ341が設けられ、内側抽気口302、外側抽気口301及び排気口303は弁体340に設けられるとともに弁チャンバ341に連通する。弁コア350は弁チャンバ341内に洗浄位置と真空位置との間で移動可能に結合され、弁コア350が前記洗浄位置にある場合、内側抽気口302を塞ぎながら、外側抽気口301及び排気口303を避け、弁コア350が前記真空位置にある場合、内側抽気口302を避けながら、外側抽気口301と排気口303との間を塞ぐ。こうすると、切替弁300が前記洗浄状態と前記真空状態との間での切り替えが容易になり、さらに、真空ポンプ200及び切替弁300の真空性能及びセルフ洗浄性能を向上させることが容易になる。」との記載並びに願書に添付した図面の図2及び3の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項8は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 3 まとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、訂正後の請求項〔1ないし10〕、11について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記のとおり訂正が認められるから、本件特許の請求項1ないし11に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」ないし「本件発明11」という。)は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 内部に調理チャンバを有する鍋本体と、 前記鍋本体内に設けられ、且つ吸気口及び大気に連通する排気口を有する真空ポンプと、 切替弁であって、前記鍋本体内に設けられており、大気に連通する外側抽気口と、前記調理チャンバに連通する内側抽気口と、前記吸気口に連通する排気口とを有し、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能であり、前記洗浄状態である場合、前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離され、前記真空状態である場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される前記切替弁と、 を含み、 前記鍋本体は、 内部に前記調理チャンバが設けられている鍋体と、 前記調理チャンバを開閉するように前記鍋体に設けられる鍋蓋と、を含み、 前記鍋蓋または前記鍋体内に、大気に連通する収容チャンバがあり、前記外側抽気口は前記収容チャンバに連通し、 前記真空ポンプは前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記切替弁は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記鍋蓋または前記鍋体の外面には大気に連通する外側排気口が設けられ、前記外側排気口は外部排気管を介して前記真空ポンプの前記排気口に接続されることを特徴とする調理器具。」 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 前記鍋蓋の下面には、前記調理チャンバに連通する内貫通孔が設けられ、前記内側抽気口は内側抽気管を介して前記内貫通孔に接続される、 ことを特徴とする請求項1に記載の調理器具。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 前記切替弁の前記排気口と前記吸気口とは導気管を介して接続される、 ことを特徴とする請求項1に記載の調理器具。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 前記内側抽気口及び前記外側抽気口の内径は1~6ミリメートルである、 ことを特徴とする請求項1に記載の調理器具。 【請求項8】 前記鍋蓋の下方に取り外し可能に取り付けられる可動蓋板をさらに含み、前記可動蓋板には前記調理チャンバに連通する通気孔が設けられている、 ことを特徴とする請求項1に記載の調理器具。 【請求項9】 前記切替弁は電磁弁である、 ことを特徴とする請求項1に記載の調理器具。 【請求項10】 前記切替弁は、 内部に弁チャンバが設けられ、前記内側抽気口、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口が設けられているとともに前記弁チャンバに連通する弁体と、 洗浄位置と真空位置との間で移動可能に前記弁チャンバ内に結合され、前記洗浄位置にある場合、前記内側抽気口を塞ぎながら、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口を避け、前記真空位置にある場合、前記内側抽気口を避けながら、前記外側抽気口と前記切替弁の前記排気口との間を塞ぐ弁コアと、を含む、 ことを特徴とする請求項9に記載の調理器具。 【請求項11】 調理器具の制御方法であって、 前記調理器具は、内部に調理チャンバを有する鍋本体と、前記鍋本体内に設けられ、且つ吸気口及び大気に連通する排気口を有する真空ポンプと、前記鍋本体内に設けられており、大気に連通する外側抽気口と、前記調理チャンバに連通する内側抽気口と、前記吸気口に連通する排気口とを有し、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能であり、前記洗浄状態である場合、前記外側抽気口が切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離され、前記真空状態である場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される切替弁と、を含み、 前記制御方法は、 真空引きして食材を調理する必要がある場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記真空状態にするステップと、 前記真空ポンプ及び前記切替弁を洗浄する必要がある場合、前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップと、を含み、 前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップと、を含み、 前記切替弁は、 内部に弁チャンバが設けられ、前記内側抽気口、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口が設けられているとともに前記弁チャンバに連通する、弁体と、 洗浄位置と真空位置との間で移動可能に前記弁チャンバ内に結合された弁コアであって、前記内側抽気口が前記弁コアの移動方向側に位置し、前記洗浄位置にある場合、前記内側抽気口を塞ぎながら、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口を避け、前記真空位置にある場合、前記内側抽気口を避けながら、前記外側抽気口と前記切替弁の前記排気口との間を塞ぐ弁コアと、を含む、 ことを特徴とする調理器具の制御方法。」 第4 決定の予告における取消理由の概要 当審が決定の予告で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)本件特許の請求項1ないし3、5、7ないし10に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1ないし3、5、7ないし10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 <引用文献等一覧> 甲第2号証:特開2009-28088号公報(以下、「甲2」という。) 甲第4号証:実公平3-43431号公報(以下、「甲4」という。) 第5 甲号証に記載された発明、事項等 1 甲2 甲2には、以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。 (1)「【請求項1】 鍋と、本体内を大気圧未満に減圧する減圧手段と、前記減圧手段と前記鍋との間の連通部を開閉する開閉手段とを備え、 前記本体内を大気圧未満に減圧する際に、前記連通部を閉状態にし、前記減圧手段が動作して所定時間が経過した後に、前記連通部を開状態にするように、前記開閉手段を動作させる構成としたことを特徴とする炊飯器。」 (2)「【0028】 図1は、炊飯器の模式的な全体構成を示している。同図において、1は本体、2は本体1の外郭を成す外枠で、外枠2の底部には、その開口を覆い本体1の底面外郭を形成する底板3が嵌合し固定されている。また、外枠2の内部には、有底筒状の鍋収容部4が配設され、この鍋収容部4に被炊飯物を収容する容器たる鍋5が着脱自在に装着される。鍋5の上部には、水平方向外側に延出したフランジ部6が形成されており、このフランジ部6の下面を外枠2の内周上端部に載置することで、鍋収容部4の内部にて鍋5が吊設状態に収容される。」 (3)「【0031】 21は、本体1ひいては鍋5の上面開口部を覆う蓋体である。この蓋体21は、蓋体21の外観部品となる外蓋22と、蓋体21の外周下部にあって、鍋5の上部を覆う外蓋カバー23と、蓋体21の下面(蓋体下面)をなし、鍋5の上面開口部に対向する部分を形成する蓋下面部材24とを主な構成部品としている。また、蓋下面部材24を覆うようにして、鍋5の上面開口部を直接覆う内蓋25が設けられる。内蓋25の外周には、図示しない環状の蓋パッキンが装着され、この内蓋25および蓋パッキンを含む内蓋組立体が、蓋下面部材24に対し着脱可能に設けられる。」 (4)「【0034】 31は、前記内蓋25に開口形成された連通孔で、これは内蓋25により閉ざされた鍋5の内外を連通させるためのものである。また、この連通孔31に対向して、管状の連通部32の一端に位置する吸込孔33が、蓋下面部材24に開口形成される。連通孔31と吸込孔33の周囲に位置して、蓋下面部材24と内蓋25との間には、弾性を有する環状のパッキン34が密着状態に設けられ、これにより連通孔31から吸込孔33に至る連通路が形成される。 【0035】 前記連通孔31の上方には、連通部32を開閉する連通開閉切替手段部として、電磁弁による開閉手段35が設けられる。開閉手段35は連通部32の途中にあって、内蓋25の連通孔31に連通する連通口35Aと、排出用の排出口35Bとをそれぞれ備えており、排出口35Bは蓋体21の内部に設けた減圧手段37と連通している。つまり、連通部32は、開閉手段35の連通口35Aと連通孔31とを繋ぐと共に、開閉手段35の排出口35Bと減圧手段37とを繋いでいる。 【0036】 減圧手段37は、例えば電動機による動力を利用したポンプでもよいし、コンプレッサーなどで構成してもよい。本実施例では、ポンプ式の減圧手段37を使用する形態とする。また、減圧手段37は蓋体21の内部後方に設けられるが、鍋5を収納する本体1の内部に設けてもよい。その場合、連通部32を蓋体21から本体1の内部にかけて延設することになるので、連通部32の途中にある開閉手段35は、蓋体21にではなく本体1の内部に設けても構わない。開閉手段35の排出口35Bと減圧手段37との間を連結する連通部32は、例えば可撓性を有するチューブで構成される。」 (5)「【0058】 図6に示す例では、減圧制御手段47による減圧制御を開始すると、当該減圧制御手段47は、先ず開閉手段35により連通部32を閉塞させた状態で、減圧手段37に駆動信号を供給する。これにより減圧手段37が動作し、それ以前に減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃す。その後、所定時間が経過したら、減圧手段37を引き続き駆動させつつ、開閉手段35に信号を供給して連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にする。これにより、鍋5内から空気が吸い上げられ、鍋5内は大気圧状態から徐々に減圧する。そして減圧制御手段47は、減圧手段37が動作してから一定時間が経過するか、若しくは鍋5内の圧力が一定値にまで低下したら、開閉手段35により連通部32を閉塞し、且つ減圧手段37の動作を停止させて、鍋5に対する減圧制御を中断する。この一連の減圧制御は、前述のように、一定の経過時間に達するか、或いは鍋5内の圧力が減圧制御の終了時点から所定値まで上昇すると、再び行なわれる。 【0059】 このように本例では、鍋5と、本体1ひいてはこの本体1に収容される鍋5内を大気圧未満に減圧する減圧手段37と、減圧手段37と鍋5との間の連通部32を開閉する開閉手段35とを備え、本体1内を大気圧未満に減圧する際に、連通部32を閉状態にして減圧手段37だけを動作させ、減圧手段37が動作してから所定時間が経過した後に、連通部32を開状態にするように、開閉手段35を動作させる減圧制御手段47を備えている。 【0060】 こうすると、開閉手段35により鍋5と減圧手段37との間の連通部32を閉塞した状態で、減圧手段37を所定時間動作させ、減圧手段37の内部に残っている水滴を外部に逃す。その後、開閉手段35により連通部32を開放し、鍋5内から空気を吸い上げることで、減圧手段37の内部で過剰な水滴が蓄積するのを抑制でき、減圧手段37の動作寿命を延ばすことができる。」 (6)「【図1】 [図:0001422365000001.jpg] 」 (7)上記段落【0036】の記載から、減圧手段37は、ポンプでもよいし、コンプレッサーなどで構成してもよいのであるから、吐出部、及び吸引部、すなわち、連通部32を介して鍋5の連通孔31に連通する吸気口、及び大気に連通する排気口を有することが把握できる。 (8)図1から、蓋体21には、下記参考図において太線の丸で囲んだ部分において大気に連通する空間を有することが看取できる。 〔参考図〕(図1に加工したもの) [図:0001422365000002.jpg] 上記によれば、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明1」及び「甲2発明2」という。)が記載されている。 〔甲2発明1〕 「内部に鍋5を収容する本体1及び蓋体21と、 蓋体21内に設けられ、且つ連通部32を介して鍋5の連通孔31に連通する吸気口及び大気に連通する排気口を有する減圧手段37と、 鍋5の連通孔31と減圧手段37の吸気口を連通する連通部32の途中に設けられ、鍋5内部の減圧制御の開始時に連通部32を閉塞させて減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃し、その後、所定時間経過後に連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧する、蓋体21内に設けられた開閉手段35と、 を含み、 本体1及び蓋体21は、 内部に鍋5を収容する本体1と、 前記鍋5を開閉するように本体1に設けられる蓋体21であり、 前記蓋体21に、大気に連通する空間がある、 炊飯器。」 〔甲2発明2〕 「炊飯器の制御方法であって、 前記炊飯器は、内部に鍋5を収容する本体1及び蓋体21と、 蓋体21内に設けられ、且つ連通部32を介して鍋5の連通孔31に連通する吸気口及び大気に連通する排気口を有する減圧手段37と、 鍋5の連通孔31と減圧手段37の吸気口を連通する連通部32の途中に設けられ、鍋5内部の減圧制御の開始時に連通部32を閉塞させて減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃し、その後、所定時間経過後に連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧する、蓋体21内に設けられた開閉手段35と、を含み、 前記制御方法は、 鍋5の連通孔31と減圧手段37の吸気口を連通する連通部32の途中に設けられ、鍋5内部の減圧制御の開始時に連通部32を閉塞させて減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃すステップと、 その後、所定時間経過後に連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧するステップと、を含む、 炊飯器の制御方法。」 2 甲第3号証 申立人が提出した甲第3号証(特開2014-66383号公報。以下、「甲3」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1)「【0018】 真空冷却装置は、被冷却物を収容する冷却槽2、冷却槽2の空気を吸引する真空ポンプ1、冷却槽2と真空ポンプ1の間をつなぐ真空配管部9などからなる。冷却槽2は、側面に扉を持った略直方体の容器であり、中に被冷却物を収容して密閉することができるようにしている。冷却槽2には、内部の圧力を検出するための圧力検出装置7を設けておき、圧力検出装置7で検出した圧力値は真空冷却装置の運転を制御する運転制御装置10へ出力する。運転制御装置10は真空ポンプ1とも接続しており、運転制御装置10が真空ポンプ1の作動を行うことで冷却槽2内の空気を吸引させ、冷却槽2内に収容した被冷却物の冷却を行う。 【0019】 真空冷却装置は、冷却槽内を減圧することで被冷却物内の水分を蒸発させ、気化熱によって被冷却物の冷却を行うものであるため、冷却槽から吸引している空気は蒸気を含んでいる。水は蒸気になると体積が大幅に大きくなるため、そのままでは大容積の蒸気を真空ポンプ1へ送ることになり、それでは真空ポンプ1の運転効率が悪くなる。また、真空ポンプ内に水分が入った場合には、真空ポンプの能力低下や真空ポンプの故障を招くことがあるため、途中の真空配管部9で吸引空気から水分の除去を行う。真空配管部9の途中には熱交換器5を設け、熱交換器5には冷却用水を供給するようにしておき、冷却槽2から吸引してきた空気と冷却用水の間で熱交換を行うことで、吸引空気の冷却を行う。熱交換器で吸引空気の冷却を行うと、空気中に含まれている蒸気が凝縮するため、空気中の水分を分離することができる。熱交換器で分離した凝縮水は、熱交換器の下方に設置している凝縮水タンク8にためておき、冷却運転の終了後に排出する。 【0020】 真空配管部9には、熱交換器5よりも下流に真空弁6を設け、真空弁6の下流側に空気取り入れ経路3を接続する。空気取り入れ経路3には、真空ポンプの乾燥運転時に空気を真空ポンプ1へ送るための真空ポンプ乾燥弁4を設けておく。真空ポンプ乾燥弁4は、真空ポンプ1の乾燥運転を行う場合に開くものであり、通常時は閉じている。真空弁6及び真空ポンプ乾燥弁4も運転制御装置10と接続しており、運転制御装置10によって真空弁6と真空ポンプ乾燥弁4の作動を制御する。 【0021】 図2に基づいて運転動作を説明する。冷却運転は、冷却槽2内に被冷却物を収容し、冷却槽2を密閉した状態で真空ポンプ1を作動することによって行う。その時、冷却開始時における冷却槽内の圧力を圧力P1とし、圧力検出装置7にて検出して記録しておく。冷却運転開始時には、真空ポンプ乾燥弁4は閉じ、真空弁6は開いておき、真空ポンプ1を作動すると真空ポンプ1は冷却槽2内の空気を吸引する。冷却槽2から空気の吸引を行うと、冷却槽内の圧力は低下していく。運転制御装置10では、冷却運転開始時から所定のX秒が経過すると、再び冷却槽2での槽内圧力を圧力P2とし、圧力検出装置7にて検出して記録する。」 (2)「【0027】 運転制御装置10では、実際の圧力値が想定圧力値よりも所定幅以上高い状態が所定時間以上続いた場合、ドレンの影響により真空ポンプの能力が低下したと判断し、真空ポンプの乾燥運転を行う。乾燥運転では、まず冷却槽と真空ポンプの間に設けた真空弁6を閉じ、冷却槽内に空気が逆流しない状態とする。次に真空ポンプ乾燥弁4を開き、真空ポンプ1に外気を吸入させる。真空ポンプ1では減圧状態の冷却槽2から空気を吸引していた場合、吸引する空気量は少なくなっていくため、真空ポンプ内にドレンがあってもドレンを押し出す力は弱くなっている。しかし、真空ポンプに外気を吸引させると、真空ポンプ内を流れる空気量が大きくなるため、空気流が真空ポンプ内のドレンを押し出すことになり、真空ポンプ内のドレンを排出することができる。 【0028】 一定時間の乾燥運転を行うと、真空ポンプ乾燥弁4を閉じて乾燥運転を終了し、真空弁6を開くことで冷却運転を再開する。乾燥運転によって真空ポンプ内からドレンを排出することで能力を回復した真空ポンプ1では、冷却槽2内の減圧を行うことができる。被冷却物が目標温度に達すると、冷却運転は終了する。冷却運転を終了させる時の冷却槽内圧力は、目標温度に相当する圧力で終了することになる。実際圧力の曲線での終了は、想定圧力の曲線での終了よりも遅くなってはいるが、真空ポンプ内にドレンがたまることは仕方のないことであり、ドレンがたまっても冷却が終了するまでの時間の延びは乾燥運転を行うことで短くしているため、影響を最小限に抑えることができる。」 (3)「【図1】 [図:0001422365000003.jpg] 」 3 甲4 甲4には、以下の事項が記載されている。 (1)「〈作用〉 真空チヤンバ内を減圧させる場合は、三方電磁弁のノーマルクローズ側(真空チヤンバ側)とイン側(真空ポンプ側)とを導通させ、真空チヤンバ内が所定の減圧状態になつたら、三方電磁弁のノーマルクローズ側(真空チヤンバ側)を閉じてノーマルオープン側(大気側)とイン側(真空ポンプ側)とを導通させ、その状態でもつて真空ポンプを、タイマで設定した時間動作を継続させて真空ポンプ内に大気を供給せしめ、真空ポンプ内に浸入した水滴を排出すると共に内部を乾燥させる。」(第2ページ左欄第2ないし13行) (2)「真空ポンプ2と真空チヤンバ1とを接続するパイプ3には三方電磁弁4を組込み、この三方電磁弁4のノーマルクローズ側に真空チヤンバ1を接続させ、イン側に真空ポンプ2を接続させる。そして、真空チヤンバ1内を減圧する時はノーマルクローズ側(真空チヤンバ1側)とイン側(真空ポンプ2側)とを連通させ、真空チヤンバ1内が所定の減圧状態になつたらイン側(真空ポンプ2側)とノーマルオープン側(大気側)とを導通させて、大気を真空ポンプ2へ供給できるようにする。」(第2ページ左欄第25行ないし右欄第4行) (3)「図面 [図:0001422365000004.jpg] 」 上記(1)ないし(3)から、甲4には、次の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されている。 〔甲4記載事項〕 「真空チヤンバ1と真空ポンプ2とを接続するパイプに、ノーマルオープン側(大気側)と、ノーマルクローズ側(真空チヤンバ1側)とイン側(真空ポンプ2側)とを有する三方電磁弁4を組み込むことによって、イン側(真空ポンプ2側)とノーマルオープン側(大気側)とを導通させて、大気を真空ポンプ2へ供給して真空ポンプ2内に侵入した水滴を排出すると共に内部を乾燥させる機能と、ノーマルクローズ側(真空チヤンバ1側)とイン側(真空ポンプ2側)とを連通させて真空チヤンバ1内を減圧する機能とを切り替え可能とすること。」 4 甲第5号証 申立人が提出した甲第5号証(中国実用新案第207428957号明細書。以下、「甲5」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1) [図:0001422365000005.jpg] (当審訳:図1~図5に示すように、本発明の一実施例に係る調理器具100は、本体10と、蓋体20と、圧力変換装置30と、電磁弁40と、を含む。) (2) [図:0001422365000006.jpg] (当審訳:図4に示すように、一部の例において、電磁弁40は、第1ポート41と、第2ポート42と、第3ポート43とを含む。電磁弁40の外部において、第1ポート41が第1孔21に連通し、第2ポート42が真空ポンプ31に連通し、第3ポート43が増圧ポンプ32に連通する。電磁弁40の内部において、第1ポート41が選択的に第2ポート42と第3ポート43とのうちの多くとも一つに連通し、即ち電磁弁40は、三つの接続状態がある。第1ポート41が第2ポート42に接続され、この場合、第1ポート41が第3ポート43に接続されてはならない。第1ポート41が第3ポート43に接続され、この場合、第1ポート41が第2ポート42に接続されてはならない。第1ポート41は、他の二つのポートのいずれにも接続されなくてもよい。 さらに、電磁弁40は、弁箱と、弁箱内に設けられる弁体と、弁体に接続されるレバーと、を含み、弁箱の外部には、左右に配置される二つのコイルが設けられ、且つ二つのコイルは、それぞれレバーの左右の両端に接続される。電磁弁40は、二つのコイルを制御することにより、レバーを左右へ移動させ、圧力変換装置30の作動を制御する。 具体的には、左側のコイルが通電された場合(図4のAに示される)、弁体がレバーとともに右へ移動することにより、第1ポート41が第2ポート42に連通され、電磁弁40が真空ポンプ31を作動するように制御して、真空ポンプ31が調理チャンバー11内を排気減圧して、調理チャンバー11内の気体が負圧状態になる。右側のコイルが通電された場合(図4のCに示される)、弁体がレバーとともに左へ移動することにより、第1ポート41が第3ポート43に連通され、電磁弁40が増圧ポンプ32を作動するように制御して、増圧ポンプ32が調理チャンバー11内を増圧して、調理チャンバー11内の気体が正圧状態になる。二つのコイルがいずれも通電されていない場合(図4のBに示される)、第1ポート41が第2ポート42と第3ポート43とのうちいずれにも連通せず、この場合、真空ポンプ31と増圧ポンプ32とがいずれも作動せず、調理チャンバー11が密閉状態になる。」 (3)「図4 [図:0001422365000007.jpg] 」 5 申立人が令和5年12月28日に提出した意見書に添付した参考資料1 申立人が、令和5年12月28日に提出した意見書に添付した参考資料1(特開2002-243050号公報。以下、「参考資料1」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。図1(A)は本発明による分流制御弁を示す断面図であり、図1(B)は同分流制御弁に設けられた弁体を示す外観斜視図であり、図1(C)は弁体に設けられた逆流防止部を示す要部断面図である。図2は本発明による分流制御弁が空気調和機に装着された状態を示す断面図であり、図3及び図4は同分流制御弁での冷媒の流れを示す断面図である。本発明による分流制御弁1は、図1(A)で示すように、流体の入出口となる第二ポート2aを一端に開放し、他端に、シール部材10を介してステッピングモータ5を装着した管状体2と、同管状体2に突設され第一ポート3aを備えた流入管3と、同流入管3に所定の間隔をおいて前記管状体2に突設され第二ポート4aを備えた流出管4と、前記流入管3に対向するように前記管状体2内に設けられ円盤状に形成された弁体8と、同弁体8の両側に所定の間隔をおいて前記管状体2の内壁に設けられたリング状の弁座9a及び9bとから構成されている。尚、同弁座9aは前記第三ポート側に、前記弁座9bは前記第二ポート側に夫々設けられている。前記ステッピングモータ5の回転軸7は前記流入管3側まで延出され、その先端部にはネジ山を螺刻したスラストネジ部7aが形成されている。また前記弁体8は、図1(B)で示すように、その中心部に前記スラストネジ部7aのネジ山に螺合するネジ孔8aを穿設するとともに、外周面に前記ネジ孔8aと平行して断面が円弧状に形成されたガイド溝8bを設けている。前記弁体8が前記ステッピングモータ5の駆動により移動して、前記弁座9aに当接すると前記第三ポート4aが閉鎖され、前記弁座9bに当接すると前記第二ポート2aが閉鎖されるようになっている。また、前記管状体2の内壁には、前記ガイド溝8bに対応するガイド用突起2bが設けられており、同ガイド用突起2bを前記ガイド溝8bが滑動して前記弁体8が前記回転軸7に沿い前後に案内されるようになっている。また、前記ガイド用突起2bは前記管状体8の廻り止めとしての機能も備えている。」 (2)「【0016】次に、除湿運転時の前記分流制御弁1の動作について説明をする。前記下方傾斜部34cで熱交換を行わないようにして、前記垂直部34aと前記後方傾斜部34bとで冷房運転を行い、いわゆる冷えない除湿運転を行う際は、図4(A)で示すように、前記管状体8が前記弁座9bに当接するように移動し前記第一ポート3aから流入した冷媒を全て前記第三ポート4aに流出させるようになっている。 【0017】また、除湿運転時、前記垂直部34aと前記後方傾斜部34bとを蒸発器として空気を冷却する一方、前記下方傾斜部34cを凝縮器として冷却された空気の再加熱器として機能させる際、前記分流制御弁1の前記弁体8は、図4(B)で示すように、前記弁座9aに当接するようになっている。これにより前記下方傾斜部34cには前記第二ポート2aを介して高温高圧の冷媒が流入する一方、前記垂直部34aと前記後方傾斜部34bとには、前記弁体8に設けられた前記逆流防止部11により絞られ低圧となった冷媒が流入し、冷却された空気に対し再加熱が充分に行えるようになっている。」 (3)「図4 [図:0001422365000008.jpg] 」 第6 当審の判断 1 本件発明1について 本件発明1と甲2発明1とを対比する。 (1)甲2発明1における「鍋5」は、その内部で調理を行うから、内部に調理チャンバを有しているといえる。よって、甲2発明1における「内部に鍋5を収容する」ことは、本件発明1における「内部に調理チャンバを有する」ことに相当する。そして、甲2発明1における「本体1」と「蓋体21」とを合わせたものは、本件発明1における「鍋本体」に相当する。 そうすると、甲2発明1における「内部に鍋5を収容する本体1及び蓋体21」は、本件発明1における「内部に調理チャンバを有する鍋本体」に相当する。 (2)甲2発明1における「連通部32を介して鍋5の連通孔31に連通する吸気口」、「大気に連通する排気口」及び「減圧手段37」は、それぞれ、本件発明1における「吸気口」、「排気口」及び「真空ポンプ」にそれぞれ相当し、甲2発明1における「蓋体21内」であることは、本件発明1における「鍋本体内」であることに相当する。 そうすると、甲2発明1における「蓋体21内に設けられ、且つ連通部32を介して鍋5の連通孔31に連通する吸気口及び大気に連通する排気口を有する減圧手段37」は、本件発明1における「前記鍋本体内に設けられ、且つ吸気口及び大気に連通する排気口を有する真空ポンプ」に相当する。 (3)甲2発明1の「鍋5内部の減圧制御の開始時に連通部32を閉塞させて減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃」すことは、本件発明1の「洗浄状態」に相当し、以下同様に、「連通部32を開放させ、減圧手段37と、鍋5内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧する」ことは、「真空状態」に、「蓋体21内に設けられ」ることは、「鍋本体内に設けられ」ることに、それぞれ相当する。 そうすると、 甲2発明1の 「鍋5の連通孔31と減圧手段37の吸気口を連通する連通部32の途中に設けられ、鍋5内部の減圧制御の開始時に連通部32を閉塞させて減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃し、その後、所定時間経過後に連通部32を開放させ、減圧手段37と、鍋5内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧する、蓋体21内に設けられた開閉手段35」と、 本件発明1の 「切替弁であって、前記鍋本体内に設けられており、大気に連通する外側抽気口と、前記調理チャンバに連通する内側抽気口と、前記吸気口に連通する排気口とを有し、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能であり、前記洗浄状態である場合、前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離され、前記真空状態である場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される前記切替弁」とは、 「前記鍋本体内に設けられ、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能な手段」という限りにおいて一致している。 (4)甲2発明1における「本体1」及び「蓋体21」は、それぞれ、本件発明1における「鍋体」及び「鍋蓋」に相当する。そして、上記(1)の相当関係を踏まえると、甲2発明1における「内部に鍋5を収容する本体1」は、本件発明1における「内部に前記調理チャンバが設けられている鍋体」に相当し、同様に、「鍋5を開閉するように設けられる本体1に設けられる蓋体21」は「前記調理チャンバを開閉するように前記鍋体に設けられる鍋蓋」に相当する。 そうすると、甲2発明1の「本体1及び蓋体21は、内部に鍋5を収容する本体1と、前記鍋5を開閉するように設けられる前記本体1に設けられる蓋体21であ」ることは、本件発明1の「鍋本体は、内部に前記調理チャンバが設けられている鍋体と、前記調理チャンバを開閉するように前記鍋体に設けられる鍋蓋と、を含」むことに相当する。 (5)甲2発明1の「蓋体21」の「空間」は、そこに減圧手段37や開閉手段35が設けられている、すなわち収容されているから、本件発明1の「収容チャンバ」に相当する。そして、本件発明1では「前記鍋蓋または前記鍋体内に、大気に連通する収容チャンバがあり」とあるように、「前記鍋蓋」と「前記鍋体内」とが選択的に特定されている。そうすると、甲2発明1における「蓋体21に、大気に連通する空間がある」ことは、本件発明1における「前記鍋蓋または前記鍋体内に、大気に連通する収容チャンバがあ」ることに相当する。 (6)甲2発明1の「前記減圧手段は前記蓋体21内に設けられ」ることは、本件発明1の「前記真空ポンプは前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ」ることに相当する。 (7)甲2発明1の「前記開閉手段35は前記蓋体21内に設けられる」ことと、本件発明1の「前記切替弁は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ」ることは、「前記切り替え可能な手段は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられる」こと、という限りにおいて一致している。 (8)甲2発明1における「炊飯器」は、本件発明1における「調理器具」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 〔一致点〕 「内部に調理チャンバを有する鍋本体と、 前記鍋本体内に設けられ、且つ吸気口及び大気に連通する排気口を有する真空ポンプと、 前記鍋本体内に設けられ、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能な手段と、 を含み、 前記鍋本体は、 内部に前記調理チャンバが設けられている鍋体と、 前記調理チャンバを開閉するように前記鍋体に設けられる鍋蓋と、を含み、 前記鍋蓋または前記鍋体内に、大気に連通する収容チャンバがあり、 前記真空ポンプは前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記切り替え可能な手段は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられる、 調理器具。」 〔相違点1〕 「前記鍋本体内に設けられ、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能な手段」に関して、 本件発明1においては、 「前記鍋本体内に設けられており、大気に連通する外側抽気口と、前記調理チャンバに連通する内側抽気口と、前記吸気口に連通する排気口とを有し、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能であり、前記洗浄状態である場合、前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離され、前記真空状態である場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される」、「切替弁」を含み、「前記外側抽気口は前記収容チャンバに連通する」ものであるのに対して、 甲2発明1においては、 「鍋5の連通孔31と減圧手段32の吸気口を連通する連通部32の途中に設けられ、鍋5内部の減圧制御の開始時に連通部32を閉塞させて減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃し、その後、所定時間経過後に連通部32を開状態として、減圧手段37と、鍋5内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧する、蓋体21内に設けられた開閉手段35」である点。 〔相違点2〕 本件発明1においては、 「前記鍋蓋または前記鍋体の外面には大気に連通する外側排気口が設けられ、前記外側排気口は外部排気管を介して前記真空ポンプの前記排気口に接続される」のに対して、 甲2発明1においては、かかる事項を備えていない点。 〔相違点3〕 「前記切り替え可能な手段は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられる」ことに関して、 本件発明1においては、「前記切替弁は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ」るものであるのに対して、 甲2発明1においては、「前記開閉手段35は前記蓋体21内に設けられる」ものである点。 事案に鑑み、相違点2について検討する。 甲4記載事項は、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を示すものではない。また、甲3、甲5及び参考資料1に記載された事項は、上記第5の2、4及び5のとおりであって、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。 そして、本件発明1は、上記相違点2に係る発明特定事項により、「真空ポンプ200が、抽出された気体を大気に排出することが容易になり、さらに、真空ポンプ200が抽気動作をスムーズに行うことが容易になる。」という明細書の段落【0042】に記載の作用効果を奏する。 したがって、上記相違点1及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明1及び甲4記載事項並びに甲3、甲5及び参考資料1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本件発明3、5及び7ないし10について 本件発明3、5及び7ないし10は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるから、上記本件発明1に対して述べたのと同様の理由により、甲2発明1及び甲4記載事項並びに甲3、5及び参考資料1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 決定の予告で採用しなかった特許異議申立ての理由について 申立人が示した特許異議申立て理由のうち決定の予告で採用しなかった理由の概要は、以下のとおりである。 理由1 本件特許の請求項1ないし3、5ないし9及び11に係る発明は、その優先日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、本件特許の請求項1ないし3、5ないし9及び11に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。 理由2 本件特許の請求項11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 甲第1号証:特願2018-32485号(特開2019-146707号)(以下、「甲1」という。) 甲2:特開2009-28088号公報 甲3:特開2014-66383号公報 甲4:実公平3-43431号公報 1 甲1に記載された発明、事項等 甲1の出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の事項が記載されている。 (1)「【0004】 従来の加熱調理器では、例えば特許文献1に記載された加熱調理器のように、減圧経路が閉塞した状態で減圧装置を駆動し、減圧装置内部及び減圧経路内の水滴を排出していたため、減圧装置を流通する空気量が少なく、減圧装置内部及び減圧経路内の水滴の排出が不十分となっていた。 【0005】 本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、減圧装置内部及び減圧経路内の水滴を効率的に排出することで衛生性を保つと共に、減圧装置の性能低下を抑制する加熱調理器を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明に係る加熱調理器は、本体と、前記本体に収納される鍋状容器と、前記鍋状容器の内部を減圧する減圧装置と、前記減圧装置が接続され前記鍋状容器の内部と大気とを連通する減圧経路と、前記鍋状容器の内部と大気とを連通する大気連通経路と、を備え、前記減圧装置と前記鍋状容器の内部との間には前記減圧経路を開閉する減圧経路切替弁が配置され、前記減圧経路切替弁は前記大気連通経路を介して大気と連通するものである。」 (2)「【0010】 実施の形態1. 実施の形態1に係る加熱調理器100を以下説明する。 <加熱調理器100の構成> 図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100の構成を示した断面図である。 図1に示す加熱調理器100は、内部に鍋状容器5を収納する本体1を有している。本体1は、鍋状容器5を格納する容器カバー2と、鍋状容器5を上部から密閉する本体1に対して開閉自在に構成された外蓋9とを有している。 鍋状容器5は、容器カバー2内に着脱自在に内装されている。 鍋状容器5の外周面には、取っ手部6が取り付けられている。 取っ手部6が容器カバー2の上端に当接することで鍋状容器5は支持されている。」 (3)「【0012】 外蓋9には、鍋状容器5の上部を覆う内蓋7が取り付けられている。内蓋7の周縁部にはシ-ル材である蓋パッキン8が環状に取り付けられている。蓋パッキン8が鍋状容器5のフランジ部および内蓋7との間に配置されることで、鍋状容器5内の密閉性を得ることができる。 【0013】 内蓋7には、内蓋通気孔10が形成されている。内蓋通気孔10は、経路パッキン12を介して第1減圧経路14aと第1大気連通経路16aの両方に連通するよう構成される。内蓋通気孔10は、第1減圧経路14aを介して減圧経路切替弁11に接続される。減圧経路切替弁11は、第2減圧経路14bを介して減圧装置13の吸気口と接続される。減圧装置13の吐出口は、第3減圧経路14cを介して第1外気通気孔15aに接続される。 なお、図1では排気用の第1外気通気孔15aは、外蓋9に配置されているが、本体1の底部、外蓋9のヒンジ部などに配置してもよい。第1外気通気孔15aは、下部方向に向かって開口することで、減圧装置13への水分や異物の侵入を防ぎ、故障リスクを抑制することができる。 【0014】 また、減圧経路切替弁11は、第1大気連通経路16aを介して第2外気通気孔15bに接続される。 内蓋通気孔10は、大気連通経路開閉弁17と第2大気連通経路16bとを介して第3外気通気孔15cと接続される。 減圧経路切替弁11は、減圧装置13に対し、第1大気連通経路16aと第1減圧経路14aとを択一的に切り替えることが可能な3方弁である。 また、大気連通経路開閉弁17は、内蓋通気孔10と第2大気連通経路16bとの連通状態を制御する2方弁である。」 (4)「【0024】 実施の形態1に係る加熱調理器100は、100℃未満の温度にて沸騰を維持する減圧温度維持運転を含む加熱工程を備えている。減圧温度維持運転では、鍋状容器5内を所定温度に維持し、かつ、鍋状容器5内を所定温度における飽和蒸気圧まで減圧装置13を駆動して減圧することで沸騰させる。減圧することにより100℃未満であっても沸騰するため、常圧にて同温度で維持された場合よりも対流が促される。すると、内容物が均一に加熱されて熱伝達が向上し調理時間が短縮されるだけでなく、時間短縮により食材からの脱水が抑制され、食材のおいしさが向上する。また、鍋状容器5内の空間部が100℃未満の蒸気で満たされることで、煮汁から食材が露出した部分まで加熱されやすくなり、少ない煮汁でも均一な仕上がりを実現できる。これにより、余分な煮汁を投入する必要がない。さらに、沸騰による気泡の発生によって調味料や油分の撹拌が促され、食材の口触りや味が良くなる効果もある。」 (5)「【0028】 そこで、以下に減圧経路切替弁11及び大気連通経路開閉弁17の切替制御の違いによる各運転モードA、B、C、Dについてそれぞれ説明する。 図4は、実施の形態1に係る各運転モードの減圧経路の接続関係と空気の流れを示した説明図である。」 (6)「【0030】 (運転モードB) 運転モードBでは、減圧経路切替弁11により減圧装置13と内蓋通気孔10とが連通し、減圧装置13と第2外気通気孔15bとは連通しない。一方、大気連通経路開閉弁17は閉状態となっている。 運転モードBでは、鍋状容器5内が密閉状態となり、減圧装置13の駆動により鍋状容器5内が減圧される。 【0031】 (運転モードC) 運転モードCでは、減圧経路切替弁11により減圧装置13と第2外気通気孔15bとが連通し、内蓋通気孔10と減圧装置13とは連通しない。一方、大気連通経路開閉弁17は閉状態となっている。 運転モードCは、鍋状容器5内が密閉状態となり、また、減圧装置13が外気と連通される。よって、鍋状容器5内の圧力を減圧状態としたまま、減圧装置13を駆動し、減圧装置13内に蓄積した水滴を第1外気通気孔15aより排出することができる。」 (7)「【0035】 次に制御部31は、減圧温度維持運転を実施する。そして、制御部31は運転モードAから運転モードBに運転状態を移行させる。 運転モードBにおいて減圧装置13を駆動して鍋状容器5内を減圧する。 運転モードBでは鍋状容器5の内圧が被調理物の飽和蒸気圧付近に達すると被調理物が沸騰する。 運転モードBの減圧温度維持運転では、被調理物の沸騰を維持する圧力を保つため、断続的に減圧装置13を駆動するように制御してもよい。 【0036】 運転モードBの減圧温度維持運転では、被調理物から蒸気が多く発生する場合、減圧装置13内に蒸気が入り込み、性能が低下することがある。 また、運転モードBにおいて長時間に及ぶ減圧温度維持運転を実行する場合、調理経過に伴い減圧装置13の性能が低下し、沸騰状態が変化することがある。 このような状態を回避するため、減圧温度維持運転で制御部31は運転モードBから一時的に運転モードCに切り替えて所定時間、減圧装置13を駆動する。 【0037】 すると、鍋状容器5内の圧力を減圧状態としたまま、減圧装置13は第2外気通気孔15bより大気を吸い込み、減圧装置13内に蓄積した水滴を第1外気通気孔15aより排出することができる。なお、運転モードCを排水運転と定義する。 この運転モードBと運転モードCとの切り替えは、減圧装置13を駆動したまま減圧経路切替弁11を駆動することで行うことができる。 このように、減圧温度維持運転中に減圧装置13内の水分を排出することで減圧能力を維持し、安定した加熱調理を実現することができる。」 (8)「【図1】 [図:0001422365000009.jpg] 」 (9)「【図4】 [図:0001422365000010.jpg] 」 (10)段落【0031】及び図4の記載から、モードC(排水運転)である場合、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bから切り離されることが分かる。 (11)段落【0030】及び図4の記載から、モードB(減圧温度維持運転)である場合、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bから切り離されることが分かる。 (12)図1から、減圧装置13及び減圧経路切替弁11は外蓋9に設けられていることが看取できる。 上記によれば、甲1には,次の発明(以下、「先願発明1」という。)が記載されている。 〔先願発明1〕 「内部に鍋状容器5を収納する本体1と、 本体1内に設けられ、且つ吸気口及び第1外気通気孔15aに接続される吐出口を有する減圧装置13と、 減圧経路切替弁11であって、本体1内に設けられており、第1大気連通経路16aを介して第2外気通気孔15bに接続され、第1減圧経路14aを介して内蓋通気孔10に接続され、第2減圧経路14bを介して減圧装置13の吸気口と接続され、 モードC(排水運転)と、モードB(減圧温度維持運転)との間で切り換え可能であり、 モードC(排水運転)である場合、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bから切り離され、 モードB(減圧温度維持運転)である場合、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bから切り離される減圧経路切替弁11と、 を含み、 前記本体1に対して開閉自在に構成された外蓋9を有し、 前記減圧装置13は外蓋9に設けられ、 前記減圧経路切替弁11は外蓋9に設けられ、 前記外蓋9には排気用の第1外気通気孔15aが配置され、減圧装置13の吐出口は、第3減圧経路14cを介して前記第1外気通気孔15aに接続される、加熱調理器。」 〔先願発明2〕 「加熱調理器の制御方法であって、 前記加熱調理器は、内部に鍋状容器5を収納する本体1と、本体1内に設けられ、且つ吸気口及び第1外気通気孔15aに接続される吐出口を有する減圧装置13と、本体1内に設けられており、第1大気連通経路16aを介して第2外気通気孔15bに接続され、第1減圧経路14aを介して内蓋通気孔10に接続され、第2減圧経路14bを介して減圧装置13の吸気口と接続され、モードC(排水運転)と、モードB(減圧温度維持運転)との間で切り換え可能であり、モードC(排水運転)である場合、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bから切り離され、モードB(減圧温度維持運転)である場合、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bから切り離される減圧経路切替弁11と、を含み、 前記制御方法は、 モードB(減圧温度維持運転)である場合、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bから切り離され、 モードC(排水運転)である場合、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bから切り離される、加熱調理器の制御方法。」 2 理由1についての当審の判断 (1)本件発明1について 本件発明1と先願発明1とを対比する。 ア 先願発明1における「鍋状容器5」は、本件発明1における「調理チャンバ」に相当し、先願発明1における「本体1」は、本件発明1における「鍋本体1」に相当する。 そうすると、先願発明1における「内部に鍋状容器5を収納する本体1」は、本件発明1における「内部に調理チャンバを有する鍋本体」に相当する。 イ 先願の図1の図示内容によると、第1外気通気孔15aは、外気と連通するものであるから、先願発明1における「第1外気通気孔15aに接続される吐出口」は、本件発明1における「大気に連通する排気口」に相当し、先願発明1における「減圧装置13」は、本件発明1における「真空ポンプ」に相当する。 そうすると、先願発明1における「本体1内に設けられ、且つ吸気口及び第1外気通気孔15aに接続される吐出口を有する減圧装置13」は、本件発明1における「前記鍋本体内に設けられ、且つ吸気口及び大気に連通する排気口を有する真空ポンプ」に相当する。 ウ 先願発明1における「減圧経路切替弁11」において、「第1大気連通経路16aを介して第2外気通気孔15bに接続され」、「第1減圧経路14aを介して内蓋通気孔10に接続され」、「第2減圧経路14bを介して減圧装置13の吸気口と接続され」ることは、「減圧経路切替弁11」が、大気に連通する「抽気口」と、鍋状容器5に連通する「抽気口」と、減圧装置13の吸気口に接続される「排気口」に対応するものを有することは明らかであるから、本件発明1における「切替弁」において、「大気に連通する外側抽気口」と、「前記調理チャンバに連通する内側抽気口」と、「前記吸気口に連通する排気口とを有」することに相当する。そして、先願発明1における「減圧経路切替弁11」が「本体1内に設けられている」ことは、本件発明1における「切替弁」が「前記鍋本体内に設けられている」ことに相当する。 エ 先願発明1における「モードC(排水運転)」は、先願当初明細書の段落【0037】の記載によると、「減圧装置13は第2外気通気孔15bより大気を吸い込み、減圧装置13内に蓄積した水滴を第1外気通気孔15aより排出することができる」のであるから、本件発明1における「洗浄状態」であることに相当する。 また、先願発明1における「モードB(減圧温度維持運転)」は、先願当初明細書の段落【0035】の記載によると、「減圧装置13を駆動して鍋状容器5内を減圧する」のであるから、本件発明1における「真空状態」であることに相当する。 そうすると、先願発明1における「モードC(排水運転)と、モードB(減圧温度維持運転)との間で切り換え可能」であることは、本件発明1における「洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能」であることに相当する。 オ 先願発明1における「第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bに連通」することは、本件発明1における「前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通」することに相当し、先願発明1における「第1減圧経路14aが第2減圧経路14bから切り離され」ることは、本件発明1における「前記内側抽気口が前記切替弁の排気口から切り離される」ことに相当する。 そうすると、先願発明1における「モードC(排水運転)である場合、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bから切り離され」ることは、本件発明1における「前記洗浄状態である場合、前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の排気口から切り離される」ことに相当する。 カ 先願発明1における「第1減圧経路14aが第2減圧経路14bに連通」することは、本件発明1における「前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通」することに相当し、先願発明1における「第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bから切り離される」ことは、本件発明1における「前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される」ことに相当する。 そうすると、先願発明1における「モードB(減圧温度維持運転)である場合、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bから切り離される」ことは、本件発明1における「前記真空状態にある場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される」ことに相当する。 キ 先願発明1における「外蓋9」は、本件発明1における「鍋蓋」に相当する。そうすると、先願発明1における「前記本体1に対して開閉自在に構成された外蓋9を有」することは、本件発明1における「前記鍋本体は、内部に前記調理チャンバが設けられている鍋体と、前記調理チャンバを開閉するように前記鍋体に設けられる鍋蓋と、を含」むことに相当する。 ク 先願発明1における「第1外気通気孔15a」は、本件発明1における「外側排気口」に相当し、「第3減圧経路14c」は「外部排気管」に相当する。そうすると、先願発明1における「前記外蓋9には排気用の第1外気通気孔15aが配置され、減圧装置13の吐出口は、第3減圧経路14cを介して前記第1外気通気孔15aに接続される」ことは、本件発明1における「前記鍋蓋または前記鍋体の外面には大気に連通する外側排気口が設けられ、前記外側排気口は外部排気管を介して前記真空ポンプの前記排気口に接続されること」に相当する。 ケ 先願発明1における「加熱調理器」は、本件発明1における「調理器具」に相当する。 そうすると、本件発明1と先願発明1とは次の一致点で一致し、相違点で相違する。 〔一致点〕 「内部に調理チャンバを有する鍋本体と、 前記鍋本体内に設けられ、且つ吸気口及び大気に連通する排気口を有する真空ポンプと、 切替弁であって、前記鍋本体内に設けられており、大気に連通する外側抽気口と、前記調理チャンバに連通する内側抽気口と、前記吸気口に連通する排気口とを有し、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能であり、前記洗浄状態である場合、前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離され、前記真空状態である場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される前記切替弁と、 を含み、 前記鍋本体は、 内部に前記調理チャンバが設けられている鍋体と、 前記調理チャンバを開閉するように前記鍋体に設けられる鍋蓋と、を含み、 前記真空ポンプは前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記切替弁は前記鍋蓋または前記鍋体内に設けられ、 前記鍋蓋または前記鍋体の外面には大気に連通する外側排気口が設けられ、前記外側排気口は外部排気管を介して前記真空ポンプの前記排気口に接続されることを特徴とする調理器具。」 〔相違点4〕 本件発明1は「前記鍋蓋または前記鍋体内に、大気に連通する収容チャンバがあり、前記外側抽気口は前記収容チャンバに連通」するのに対して、先願発明1は、かかる事項を備えていない点。 上記相違点4について検討する。 上記相違点4は、実質的な相違点である。 したがって、本件発明1は、先願発明1と同一ではない。 (2)本件発明3、5、7ないし9について 本件発明3、5、7ないし9は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるから、上記本件発明1に対して述べたのと同様の理由により、先願発明1と同一ではない。 (3)本件発明11について 本件発明11と先願発明2とを対比すると、本件発明1と先願発明1との対比におけるアないしカの相当関係に加えて、以下の相当関係を有する。 ア 先願発明2の「加熱調理器の制御方法」は、本件発明11の「調理器具の制御方法」に相当する。 イ 先願発明2の「モードB(減圧温度維持運転)である場合、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bから切り離され」ることと、本件発明11の「真空引きして食材を調理する必要がある場合、前記内側抽気口が 前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が 前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記真空状態にするステップ」とは、「前記切替弁を制御して前記真空状態にするステップ」という限りにおいて一致している。 ウ 先願発明2の「モードC(排水運転)である場合、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bから切り離される」ことと、本件発明11の「前記真空ポンプ及び前記切替弁を洗浄する必要がある場合、前記外側抽気口が 前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が 前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップ」とは、「前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップ」という限りにおいて一致している。 そうすると、本件発明11と先願発明2とは次の一致点で一致し、相違点で相違する。 〔一致点〕 「調理器具の制御方法であって、 前記調理器具は、内部に調理チャンバを有する鍋本体と、前記鍋本体内に設けられ、且つ吸気口及び大気に連通する排気口を有する真空ポンプと、前記鍋本体内に設けられており、大気に連通する外側抽気口と、前記調理チャンバに連通する内側抽気口と、前記吸気口に連通する排気口とを有し、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能であり、前記洗浄状態である場合、前記外側抽気口が 切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記 切替弁の前記排気口から切り離され、前記真空状態である場合、前記内側抽気口が前記 切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記 切替弁の前記排気口から切り離される切替弁と、を含み、 前記制御方法は、 前記切替弁を制御して前記真空状態にするステップと、 前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップと、を含む、調理器具の制御方法。」 〔相違点5〕 「前記切替弁を制御して前記真空状態にするステップ」に関して、 本件発明11においては、 「真空引きして食材を調理する必要がある場合、前記内側抽気口が 前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が 前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記真空状態にするステップ」であるのに対して、 先願発明2においては、 「モードB(減圧温度維持運転)である場合、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bから切り離され」るものである点。 〔相違点6〕 「前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップ」に関して、 本件発明11においては、 「前記真空ポンプ及び前記切替弁を洗浄する必要がある場合、前記外側抽気口が 前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が 前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップ」であるのに対して、 先願発明2においては、 「モードC(排水運転)である場合、第1大気連通経路16aが第2減圧経路14bに連通し、且つ、第1減圧経路14aが第2減圧経路14bから切り離される」ものである点。 〔相違点7〕 本件発明11は「前記切替弁は、内部に弁チャンバが設けられ、前記内側抽気口、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口が設けられているとともに前記弁チャンバに連通する、弁体と、洗浄位置と真空位置との間で移動可能に前記弁チャンバ内に結合された弁コアであって、前記内側抽気口が前記弁コアの移動方向側に位置し、前記洗浄位置にある場合、前記内側抽気口を塞ぎながら、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口を避け、前記真空位置にある場合、前記内側抽気口を避けながら、前記外側抽気口と前記切替弁の前記排気口との間を塞ぐ弁コアと、を含む」ものであるのに対して、先願発明2は、かかる事項を備えていない点。 上記相違点5ないし7について検討する。 上記相違点5ないし7は、実質的な相違点である。 したがって、本件発明11は、先願発明2と同一ではない。 3 理由2についての当審の判断 甲2ないし甲4に記載された発明及び事項は、上記第5の1ないし3のとおりである。 本件発明11と甲2発明2とを対比すると、上記第6の1の本件発明1と甲2発明1との対比における(1)ないし(3)及び(8)で述べた相当関係に加えて、以下の相当関係を有する。 (1)甲2発明2における「炊飯器の制御方法」は、本件発明11における「調理器具の制御方法」に相当する。 (2)甲2発明2の「所定時間経過後に連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧する」ことと、本件発明11の「真空引きして食材を調理する必要がある場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記真空状態にするステップ」とは、「切り替え可能な手段を制御して真空状態にするステップ」という限りにおいて一致している。 したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 〔一致点〕 「調理器具の制御方法であって、 前記調理器具は、内部に調理チャンバを有する鍋本体と、前記鍋本体内に設けられ、且つ吸気口及び大気に連通する排気口を有する真空ポンプと、前記鍋本体内に設けられ、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能な手段と、を含み、 前記制御方法は、 前記切り替え可能な手段を制御して真空状態にするステップ、 を含む、 調理器具の制御方法。」 〔相違点8〕 「前記鍋本体内に設けられ、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能な手段」に関して、 本件発明11においては、 「前記鍋本体内に設けられており、大気に連通する外側抽気口と、前記調理チャンバに連通する内側抽気口と、前記吸気口に連通する排気口とを有し、洗浄状態と真空状態との間で切り替え可能であり、前記洗浄状態である場合、前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離され、前記真空状態である場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離される」、「切替弁」を含み、「前記外側抽気口は前記収容チャンバに連通する」ものであるのに対して、 甲2発明2においては、 「鍋5の連通孔31と減圧手段32の吸気口を連通する連通部32の途中に設けられ、鍋5内部の減圧制御の開始時に連通部32を閉塞させて減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃し、その後、所定時間経過後に連通部32を開状態として、減圧手段37と、鍋5内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧する、蓋体21内に設けられた開閉手段35」である点。 〔相違点9〕 本件発明11は「前記真空ポンプ及び前記切替弁を洗浄する必要がある場合、前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記洗浄状態にするステップ」を含むのに対して、甲2発明2は「鍋5内部の減圧制御の開始時に連通部32を閉塞させて減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃」すものである点。 〔相違点10〕 「切り替え可能な手段を制御して真空状態にするステップ」に関して、本件発明11は「真空引きして食材を調理する必要がある場合、前記内側抽気口が前記切替弁の前記排気口に連通し、且つ前記外側抽気口が前記切替弁の前記排気口から切り離されるように、前記切替弁を制御して前記真空状態にするステップ」であるのに対して、甲2発明2は「所定時間経過後に連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にすることにより鍋5内部を減圧する」ものである点。 〔相違点11〕 本件発明11は、 「前記切替弁は、 内部に弁チャンバが設けられ、前記内側抽気口、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口が設けられているとともに前記弁チャンバに連通する、弁体と、 洗浄位置と真空位置との間で移動可能に前記弁チャンバ内に結合された弁コアであって、前記内側抽気口が前記弁コアの移動方向側に位置し、前記洗浄位置にある場合、前記内側抽気口を塞ぎながら、前記外側抽気口及び前記切替弁の前記排気口を避け、前記真空位置にある場合、前記内側抽気口を避けながら、前記外側抽気口と前記切替弁の前記排気口との間を塞ぐ弁コアと、を含む、」のに対して、 甲2発明2は、かかる事項を備えていない点。 事案に鑑み、相違点11について検討する。 甲4記載事項は、上記相違点11に係る本件発明11の発明特定事項を示すものではない。 また、甲3、甲5及び参考資料1に記載された事項は、上記第5の2、4及び5のとおりであって、上記相違点11に係る本件発明11の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。 そして、本件発明11は、上記相違点6に係る発明特定事項により、「切替弁300が前記洗浄状態と前記真空状態との間での切り替えが容易になり、さらに、真空ポンプ200及び切替弁300の真空性能及びセルフ洗浄性能を向上させることが容易になる。」という、明細書段落【0046】に記載の作用効果を奏する。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明11は、甲2発明及び甲4記載事項並びに甲3、甲5及び参考資料1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、請求項1、3、5、7ないし10及び11に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことはできない。また、他に、請求項1、3、5、7ないし10及び11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項2、4及び6に係る特許についての特許異議の申立てについては、請求項2、4及び6が本件訂正により削除され、これにより、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701176

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