特許異議申立
2022-701098
光源ユニット及び照明器具
- 審判番号
- 2022-701098
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-210977
- 登録番号
- 7079233
- 請求日
- 2022年11月10日
- 審決日
- 2023年06月29日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社遠藤照明
- 【異議申立人】中原 壮一
- 審判長/審判官
- 審判長 中村 則夫
- 審判官 藤井 昇
- 審判官 八木 誠
- 分類
- P1652.113-YAA(F21S) / P1652.121-YAA(F21S) / P1652.537-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7079233号発明「光源ユニット及び照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7079233号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6~9〕について訂正することを認める。
特許第7079233号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7079233号の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和1年11月22日の特許出願であって、令和4年5月24日にその特許権の設定登録がされ、同年6月1日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 4年11月10日 : 特許異議申立人中原 壮一(以下、「申立人」という。)による請求項1に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 5年 2月14日付け : 取消理由通知書
令和 5年 4月11日差出 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 5年 4月18日付け : 訂正請求があった旨の通知書
なお、令和5年4月18日付けの訂正請求があった旨の通知書に対して申立人による応答はなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年4月11日差出の訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第7079233号(以下、「本件特許」という。)の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3、6~9について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「長尺板状であり金属で構成される支持体と、前記支持体の一の面に配される電源部と、前記ーの面の裏面に配される光源基板と、アース線を含む送り配線とを備え、前記アース線は、入力側線及び出力側線に分離されており、前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記支持体に、前記電源部を挟んで両側に電気的に接続されている光源ユニット。」と記載されているのを、「長尺板状であり金属で構成される支持体と、前記支持体の一の面に配される電源部と、前記ーの面の裏面に配される光源基板と、アース線を含む送り配線とを備え、前記アース線は、入力側線及び出力側線に分離されており、前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記電源部を挟んで前記支持体の長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている光源ユニット。」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2、3、6~9も同様に訂正する。)。
(2)一群の請求項について
訂正前の請求項1~3、6~9について、請求項2、3、6~9は、請求項1を直接又は間接的に引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~3、6~9に対応する訂正後の請求項1~3、6~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は、一群の請求項1~3、6~9について請求されている。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項1では、アース線が「前記支持体に、前記電源部を挟んで両側に電気的に接続されている」とされていたのを、訂正後の請求項1では、アース線が「前記電源部を挟んで前記支持体の長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている」ことを特定しており、訂正事項1は、訂正前の請求項1の内容をより具体的に特定して限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項1の「前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記電源部を挟んで前記支持体の長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている」という訂正は、段落【0040】の「アース線68aについては、図6(b)に示すように、支持体51の長手方向の、給電側コネクタ63側の端部付近において、その丸形端子部分が支持体51の溝部515にネジで固定されることで、アース線68と支持体51とが電気的に接続する。また、アース線68bについても、アース線68aと同様に、図6(c)に示すように、支持体51の長手方向の、送り配線コネクタ64側の端部付近において、その丸形端子部分が支持体51の溝部515にネジで固定されることで、アース線68と支持体51とが電気的に接続する。」との記載、段落【0041】の「アース線68において、アース線68a及びアース線68bの間は、物理的に電線で接続されてはいないが、支持体51を用いて実質的に電気的に接続し、電源部56を挟んだアース線68a及びアース線68bの間、支持体51の長手方向の、給電側コネクタ63側の端部付近から送り配線コネクタ64側の端部付近までの間において、電線が1本少ない構成で、送り配線を実現できる。」との記載、及び図6(b)、図6(c)に基づく構成である。
したがって、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件異議事件においては、訂正前の請求項1に係る特許が特許異議申立の対象とされているため、訂正前の請求項1に対応する訂正後の請求項1に係る発明に対しては、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
そして、第5以降で述べるように、訂正後の請求項1に係る発明には、取消理由がない。そうすると、訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用する訂正後の請求項2、3及び6~9については、訂正後の請求項1の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えたものであるから、独立して特許を受けることができない理由は見いだせない。
したがって、特許異議の申立てがされていない請求項2、3及び6~9に係る発明は、訂正事項1による訂正後も、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。
(2)小括
上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項~第7項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6~9〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1~3、6~9に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明3」、「本件発明6」~「本件発明9」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~3、6~9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
長尺板状であり金属で構成される支持体と、
前記支持体の一の面に配される電源部と、
前記ーの面の裏面に配される光源基板と、
アース線を含む送り配線とを備え、
前記アース線は、入力側線及び出力側線に分離されており、前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記電源部を挟んで前記支持体の長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている
光源ユニット。
【請求項2】
前記支持体の前記裏面には、溝部が設けられており、
前記アース線以外の電線のうち少なくとも1本は、前記溝部内に収容され、前記電源部の下方に位置する
請求項1記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記アース線以外の電線のうち少なくとも1本は、前記電源部の内部を通る
請求項1記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記光源ユニットは、前記光源ユニットの少なくとも一部を収容する収容凹部を備える
器具本体と共に用いられ、
前記電源部の上面は、平坦であり、前記収容凹部の底面に当接する
請求項1~5のいずれか1項記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記電源部は、ブラケット部と、前記ブラケット部の内部に配される電源基本部とを含み、
前記電源部の上面が、前記ブラケット部の上面である
請求項1~6のいずれか1項記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記ブラケット部及び前記電源基本部の少なくとも一方は、樹脂で構成されている
請求項7記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記光源ユニットと、前記光源ユニットの少なくとも一部を収容する収容凹部を備える器具本体とを備えた
請求項1~8のいずれか1項記載の照明器具。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要について
訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が令和5年2月14日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
「[取消理由1]
(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
[取消理由2]
(サポート要件)請求項1に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。
記
1 取消理由1(進歩性)について
(1)甲号証
甲第1号証:米国特許出願公開第2013/0343050号明細書
甲第2号証:特開2017-54688号公報
甲第4号証:特開2012-33401号公報
甲第1、2及び4号証は、それぞれ、申立人が提出した甲第1、2及び4号証であり、以下それぞれ「甲1」、「甲2」及び「甲4」という。
2 取消理由2(サポート要件) について
(1)
請求項1の「前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記支持体に、前記電源部を挟んで両側に電気的に接続されている」という事項(「以下「事項1」という。)は、支持体に電気的に接続されているもとして特定することはできるが、「前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記支持体に、前記電源部を挟んで支持体の長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている」事項(「以下「事項3」という。本件の段落【0040】の内容、図3(c)を参照。)として特定することはできず、例えば、「前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記支持体に、前記電源部を挟んで支持体の短手方向の両側に電気的に接続されている」という事項「以下「事項2」という。)を含み得るものである。
(2)
そうすると、事項2には、電源部56の支持体51の短手方向の両側において、入力側線68a及び出力側線68が長いものも該当し(特許異議申立書の59ページの参考図2など参照。)、小型化する旨の課題(本件の段落【0006】、【0041】、【0043】)が解決できるとはいえないし、事項2を含む事項1が記載されている特許請求の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるともいえない。
事項3に訂正することを検討されたい。」
第5 当審の判断
1 甲号証の記載及び引用発明
(1)甲1について
以下の甲1に係る記載ないし認定事項は、申立人が提出した翻訳文に基づくものである。
ア
甲1の「アルミニウム管3」は、その名のとおり中空であり、また、Figure1よりその断面が台形状と看取できることから、「アルミニウム管3」において「LED照明モジュール2」が取り付けられる断面台形状の上面、すなわち、LED照明モジュール2が取付けられる取付け溝部がその長手方向に沿って形成される上面は、長尺板状の上面であると認められる。
そうすると、甲1の「アルミニウム管3の上面」は、「長尺なLED照明モジュール2が取付けられる取付け溝部を表面に構成する長尺な板状部分を備える、アルミニウム管3の上面」として特定できる。
イ
甲1の段落[0047]には、「雌型プラグ端子6を駆動回路モジュール13に接続する2本のリード線、及び、雌型プラグ端子6に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3上に固定される接地リード線と、雄型プラグ端子16を駆動回路モジュール13に接続する2本のリード線、及び、雄型プラグ端子16に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3上に固定される接地リード線と、を備える、LED照明器具」が記載されているといえるところ、図2の「駆動回路モジュール13」と各「ナット9」及び「ねじ10」との位置関係と、「接地リード線」が「LED照明器具」長手方向の両側に分離されていることを踏まえると、甲1において、「雌型プラグ端子6に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3の下面上に固定される接地リード線と、」、「雄型プラグ端子16に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3の下面上に固定される接地リード線と」、「各接地リード線は、アルミニウム管3上に固定される側の端部が、アルミニウム管3の長手方向において、駆動回路モジュール13挟んで、それぞれアルミニウム管3の下面上に固定されている」構成を特定できる。
ウ
上記ア、イ及び甲1の段落[0031]、[0039]、[0047]、図2の記載を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明]
「長尺なLED照明モジュール2が取付けられる取付け溝部を表面に構成する長尺な板状部分を備える、アルミニウム管3の上面と、
アルミニウム管3内に配される駆動回路モジュール13と、
前記取付け溝部に取付けられるLED照明モジュール2と、
雌型プラグ端子6を駆動回路モジュール13に接続する2本のリード線、及び、雌型プラグ端子6に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3の下面上に固定される接地リード線と、
雄型プラグ端子16を駆動回路モジュール13に接続する2本のリード線、及び、雄型プラグ端子16に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3の下面上に固定される接地リード線と、
を備え、
前記各接地リード線は、アルミニウム管3上に固定される側の端部が、アルミニウム管3の長手方向において、駆動回路モジュール13挟んで、それぞれアルミニウム管3の下面上に固定されている、
LED照明器具。」
2 進歩性について
(1)対比・判断
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)
甲1発明の「アルミニウム管3の上面」が「備える」、「長尺なLED照明モジュール2が取付けられる取付け溝部を表面に構成する長尺な板状部分」は、本件発明1の「長尺板状であり金属で構成される支持体」に相当する。
(イ)
甲1発明の「駆動回路モジュール13」は、「LED照明モジュール2」に電力を供給していることが明らかであるから、本件発明1の「電源部」に相当する。
また、甲1発明の「駆動回路モジュール13」は、「アルミニウム管3内に配される」ものであるから、当該「駆動回路モジュール13」が、「LED照明モジュール2が取付けられる」「アルミニウム管3」の「表面」の反対側の面すなわち裏面(「一の面」ということができる。)側に配されていることは、明らかである。
これらのことと上記アを踏まえると、甲1発明の「アルミニウム管3内に配される駆動回路モジュール13」と、本件発明1の「支持体の一の面に配される電源部」とは、「支持体の一の面側に配される電源部」において共通する。
(ウ)
甲1発明の「長尺な板状部分」の裏面及び「長尺な板状部分」の「表面」は、それぞれ、本件発明1の「一の面」及び「一の面の裏面」に相当する。
そして、甲1発明の「前記取付け溝部」は、「長尺な板状部分」の「表面に構成」されたものであるから(上記ア)、甲1発明の「前記取付け溝部に取付けられるLED照明モジュール2」は、本件発明の「一の面の裏面に配される光源基板」に相当する。
(エ)
甲1発明の「雌型プラグ端子6に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3の下面上に固定される接地リード線」及び「雄型プラグ端子16に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3の下面上に固定される接地リード線」(まとめて、以下「2つの接地リード線」ともいう。)は、それぞれ、本件発明1の「入力側線」及び「出力側線」のいずれか一方に相当し、甲1発明の「2つの接地リード線」は、本件発明1の「アース線」に相当する。
そうすると、甲1発明の「2つの接地リード線」の構成は、本件発明1の「アース線は、入力側線及び出力側線に分離されている」構成に相当する。
これらのことを踏まえると、甲1発明の「雌型プラグ端子6を駆動回路モジュール13に接続する2本のリード線、及び、雌型プラグ端子6に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3の下面上に固定される接地リード線と、雄型プラグ端子16を駆動回路モジュール13に接続する2本のリード線、及び、雄型プラグ端子16に接続されナット9を介してねじ10でアルミニウム管3の下面上に固定される接地リード線」は、本件発明1の「アース線を含む送り配線」に相当する。
(オ)
上記(ア)、(イ)、(エ)を踏まえると、甲1発明の「前記各接地リード線は、アルミニウム管3上に固定される側の端部が、アルミニウム管3の長手方向において、駆動回路モジュール13挟んで、それぞれアルミニウム管3の下面上に固定されている」構成と、本件発明1の「アース線は、」「前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記電源部を挟んで前記支持体の長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている」構成とは、「アース線は、前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記電源部を挟んで長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている」構成において共通する。
(カ)
甲1発明の「LED照明器具」が、本件発明1の「光源ユニット」を含むことは、明らかである。
以上から、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「長尺板状であり金属で構成される支持体と、
前記支持体の一の面側に配される電源部と、
前記一の面の裏面に配される光源基板と、
アース線を含む送り配線とを備え、
前記アース線は、入力側線及び出力側線に分離されており、前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記電源部を挟んで両側に固定されて電気的に接続されている
光源ユニット。」
<相違点>
「電源部」及び「アース線」の「入力側線及び出力側線」の配置について、本件発明1では、「電源部」は「支持体の一の面に配される」とともに、「アース線」の「入力側線及び出力側線」は前記電源部を挟んで「支持体の長手方向の両側に」固定されて電気的に接続されているのに対して、甲1発明では、「駆動回路モジュール13」が、アルミニウム管3内にどのように配されているか不明であり、また、「各接地リード線」の「アルミニウム管3の下面上に固定される側の端部」が、「駆動回路モジュール13」を挟んではいるものの、アルミニウム管3の上面の長尺上の板材(支持体)に固定されるものではない点。
イ 判断
相違点について以下検討する。
LED照明器具における光源ユニットの技術分野において、「表面に長尺のLED基板を取り付けた長尺の支持板の裏面に、電源部や端子台のような電子部品を取り付けて配すること」は周知技術である(必要であれば、甲2の「電源ユニット3」、「底板20」、段落【0023】、図4、及び、甲4の「点灯装置14」、「端子台15」、「横板部22」、段落【0039】、【0040】、図3~4、図7等参照。)
しかしながら、上記周知技術は、「アース線」のように「支持体」との導電性が必要なものを取り付けて配することを開示するものではない。
また、甲1のアルミニウム管3の下面にネジ10で取り付けた接地線を支持体たる上面に貫通させてネジ10で取り付けると、LED照明モジュール2と物理的に干渉することになり、阻害要因がある。
さらに、甲1発明に上記周知技術を適用して本件発明を得るためには、まず、甲4の「端子台15」等は「横板部22」に対する導電性を有さないので、これを導電性を有するものとした上で、次に、アルミニウム管3の下面に取り付けられたアース線をアルミニウム管3の上面(の裏面)に取り付けるように変形するという2段階の変形が必要となってしまう。
以上より、甲1発明において、相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
ウ 小括
したがって、本件発明1は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 サポート要件について
本件訂正により、本件発明は、「前記アース線は、」「前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記電源部を挟んで前記支持体の長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている」ものとなった。
そして、この訂正により、本件発明1は、小型化する旨の課題(本件の段落【0006】、【0041】)を解決できるものとなった。
したがって、本件発明1は、サポート要件を満たすものである。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知において採用しなかった申立人の主張する特許異議申立理由の概要
(1)特許法第29条第1項第3号
本件発明1は甲1発明であるから、新規性がない。
(2)特許法第29条第2項
ア 本件発明1は、甲2発明と甲1記載事項に基いて進歩性がない。
イ 本件発明1は、甲3発明と甲1記載事項に基いて進歩性がない。
ウ 本件発明1は、甲4発明と甲5記載事項に基いて進歩性がない。
(3)特許法第36条第6項第2号
請求項1の「前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記支持体に、前記電源部を挟んで両側に電気的に接続されている」という記載からは、入力側線および出力側線のそれぞれの一端が、支持体に固定されていることの技術的意義が理解できず、また、小型化の容易な照明器具を提供するという課題を解決するための特定事項が不足しているため、発明が明確でない。
2 特許異議申立理由1(1)について
上記第5の2(1)アに述べたように、本件発明1と甲1発明とを対比すると相違点があり、当該相違点は、実質的なものであるから、本件発明1は、甲1発明ではない。
したがって、上記特許異議申立理由1(1)には理由がない。
3 特許異議申立理由1(2)について
申立人が提示するいずれの証拠(甲1~甲5)にも、本件発明1の「アース線は、入力側線及び出力側線に分離されており、前記入力側線及び前記出力側線それぞれの一端が、前記電源部を挟んで前記支持体の長手方向の両側に固定されて電気的に接続されている」という特定事項は開示されておらず、甲1ないし甲5に記載された発明や技術事項からは、本件発明1に進歩性がないとすることはできない。
しがたって、上記特許異議申立理由1(2)ア~ウにはいずれも理由がない。
4 特許異議申立理由1(3)について
請求項1の記載は、訂正により発明特定事項の技術的意義が明確になった。
なお、請求項1の記載は発明特定事項が不足しているとの申立理由は、実質的にはサポート要件(同法第36条第6項第1号)に関するものであると認められるところ、上記「第5」の「3」で説示したように、請求項1の記載は、小型化という課題を解決できるものであり、発明特定事項が不足していないことは明らかである。
したがって、上記特許異議申立理由1(3)には理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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