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特許異議申立

2022-700739

防音室及び防音室の使用方法

審判番号
2022-700739
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-137133
登録番号
7029735
請求日
2022年08月01日
審決日
2023年07月07日
公報発行日
2023年10月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】テレキューブ株式会社
  • 【権利者代理人】木戸 良彦
  • 【権利者代理人】木戸 一彦
  • 【異議申立人】太田 幸子
  • 【異議申立人】赤松 智信
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 西田 秀彦
  • 審判官 住田 秀弘
分類
P1651.121-YAA(E04H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7029735号発明「防音室及び防音室の使用方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7029735号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第7029735号の請求項1-5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7029735号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、令和元年6月19日に出願された特願2019-113612号の一部を新たな特許出願として令和2年8月14日に出願され、令和4年2月24日にその特許権の設定登録がされ、同年3月4日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。 令和4年 8月1日(差出日):特許異議申立人太田幸子(以下「申立人 A」という。)による特許異議の申立て 9月2日 :特許異議申立人赤松智信(以下「申立人 B」という。)による特許異議の申立て 令和5年 1月16日付け :取消理由通知書 令和5年 3月16日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の 提出 令和5年 5月25日 :申立人Aによる意見書の提出 なお、当審から令和5年4月21日付けで申立人Bに対して訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を、期間を指定して行ったが、当該期間内に申立人Bからは応答がなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年3月16日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「一体的に備え、」と記載されているのを、「一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しないものであり、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、「前記消火剤容器にそれぞれ設けられている」と記載されているのを、「前記消火剤容器にそれぞれ設けられ、 前記自動消火装置は、前記一対の固定具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 明細書の段落【0006】に、「ユーザが入ることができる空間を形成する筐体と、該筐体に結合した扉とを備える可搬式の防音室であって、前記筐体の天井には、自動消火装置が設けられ、前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスターが設けられ、前記筐体の天井には、前記空間内に上昇気流を形成させ、前記空間内の空気を天井に向かわせるファンが設けられ、前記自動消火装置は、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられ、前記天井には、前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有する消火装置カバーが設けられ、前記取付部は、互いに係合可能な一対の固定具からなり、一方の固定具は、前記消火装置カバーに、他方の固定具は、前記消火剤容器にそれぞれ設けられていることを特徴としている。」と記載されているのを、 「ユーザが入ることができる空間を形成する筐体と、該筐体に結合した扉とを備える可搬式の防音室であって、前記筐体の天井には、自動消火装置が設けられ、前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスターが設けられ、前記筐体の天井には、前記空間内に上昇気流を形成させ、前記空間内の空気を天井に向かわせるファンが設けられ、前記自動消火装置は、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しないものであり、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられ、前記天井には、前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有する消火装置カバーが設けられ、前記取付部は、互いに係合可能な一対の固定具からなり、一方の固定具は、前記消火装置カバーに、他方の固定具は、前記消火剤容器にそれぞれ設けられ、前記自動消火装置は、前記一対の固定具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられていることを特徴としている。」に訂正する。 2 訂正の目的、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「自動消火装置」について、「前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない」ことを限定して特定する訂正であるから、当該訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アのとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無 訂正事項1で限定した特定事項について、本件特許明細書の段落【0022】には、「・・・熱感知部には低融点金属が使用され、放出ノズル26の下端にある集熱板26aが火災源からの熱を感知すると、低融点金属が融けるとともに、容器内の加圧されたガスが密閉栓及び集熱板26aを吹き飛ばし、消火剤の放出が始まる。」との記載があり、また当該記載から前記「自動消火装置」が電源を使用しないで消火剤を放出できることは明らかである。前記記載をふまえると、訂正事項1で追加された特定事項は、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載されているといえる。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「自動消火剤装置」が「天井」に設けられた態様について、「前記自動消火装置は、前記一対の固定具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アのとおり、訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無 訂正事項2で限定した特定事項について、本件明細書等の段落【0023】には、「消火剤容器25は、箱状の消火装置カバー30によって覆われており、消火装置カバー30の上板30aに設けた取付部31に対して、消火剤容器25が着脱可能になっている。」との記載があり、段落【0024】には、「取付部31は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の固定金具であり、上金具31aが上板30aの下面に、下金具31bが消火剤容器25の上面にそれぞれ固着されている。これにより、下金具31bのフック31cを上金具31aの合わせ面に設けた係合孔に差し込むとともに、消火剤容器25を消火装置カバー30に対して水平方向に回転させることより、フック31cが上金具31aに係合し、消火装置カバー30内に自動消火装置24が固定される。」との記載があり、当該記載から、「自動消火剤装置」は「消火装置カバー」と一対の固定金具を係合させて一体となるものといえる。また、段落【0030】には、「建屋内の間口が狭い場所など、防音室11を傾斜状態にして通過せざるを得ない状況であっても、消火装置カバー30の位置を低く抑えて安全かつ迅速な運搬が行える。」との記載があり、当該記載から、「防音室」を傾斜状態した場合であっても、「消火装置カバー」が天井から脱落していないから、「自動消火装置」は、「消火装置カバー」を介して天井に取り付けることができているといえる。さらに、図8には、「自動消火装置」が、天井の外側に設けられるとともに、消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませている点が看取できる。一般的に「消火剤が充填された消火剤容器」を備える消火装置は、消火剤に使用期限があることから、定期的に交換できる仕組みを具備していると考えることが技術常識である。そうすると、図8において、消火剤容器が開口を通じて室内側に取り出せない構造であることを踏まえれば、「自動消火装置」は、「一対の固定具同士を係合させた状態で、室外側から」、「消火装置カバーと一体」で取り外せるように設けていると考えるのが自然である。よって、前記記載をふまえると、訂正事項2で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3に係る訂正は、上記訂正事項1ないし10,12に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるので、訂正事項3は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無 訂正事項3は、上記ア及びイで判断したことを踏まえれば、本件明細書等に記載されているといえるから、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (4)申立人Aの主張 申立人Aは、訂正事項2における「前記自動消火装置は、前記一対の固定具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」は、本願特許発明の出願当初の特許請求の範囲、明細書、及び図面はもとより、原出願(特願2019-113612)の特許請求の範囲、明細書、及び図面にも一切記載のない文言であり、また、特許請求の範囲、明細書、及び図面から自明な事項といえず、「着脱可能」という文言は、原出願の出願当初の特許請求の範囲及び明細書において、消火装置カバー30と消火剤容器25との取付関係にのみ用いられているものであるから、訂正事項2は、新規事項である旨主張する。(意見書2~3頁 3のAのイ) しかしながら、上記(2)ウで述べたとおり、本件明細書等の段落【0023】、【0024】、【0030】及び図8、並びに技術常識をふまえると、訂正事項2における上記事項は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しない。 したがって、申立人Aの主張を採用することはできない。 3 訂正の単位について 訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は、請求項1を引用するものであって、訂正事項1~2によって記載が訂正され、請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 訂正の適否のまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 令和5年3月16日にした本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~5に係る発明(以下「本件訂正発明1」等といい、本件訂正発明1ないし5をまとめて「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 ユーザが入ることができる空間を形成する筐体と、該筐体に結合した扉とを備える可搬式の防音室であって、 前記筐体の天井には、自動消火装置が設けられ、 前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスターが設けられ、 前記筐体の天井には、前記空間内に上昇気流を形成させ、前記空間内の空気を天井に向かわせるファンが設けられ、 前記自動消火装置は、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しないものであり、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられ、 前記天井には、前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有する消火装置カバーが設けられ、前記取付部は、互いに係合可能な一対の固定具からなり、一方の固定具は、前記消火装置カバーに、他方の固定具は、前記消火剤容器にそれぞれ設けられ、 前記自動消火装置は、前記一対の固定具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられていることを特徴とする防音室。 【請求項2】 前記一対の固定具は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具からなり、前記上金具は、前記消火装置カバーの上板の下面に、前記下金具は、前記消火剤容器の上面にそれぞれ固着され、両金具のいずれか一方のフックをいずれか他方の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記消火剤容器を前記消火装置カバーに対して水平方向に回転させることより、前記フックが前記上金具又は下金具に対して係合可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載の防音室。 【請求項3】 請求項1又は2記載の防音室の使用方法であって、前記取付部に前記消火剤容器を取り付けた後、この状態のまま設置場所へと運搬することを特徴とする防音室の使用方法。 【請求項4】 前記防音室を設置場所に移動した後、前記アジャスターの長さを前記筐体の底面と、床面との距離に等しくなるように調整することを特徴とする請求項3記載の防音室の使用方法。 【請求項5】 前記キャスターを使用して設置場所に移動することを特徴とする請求項4記載の防音室の使用方法。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要、及び証拠等の記載 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1~5に係る特許に対して、当審が令和5年1月16日付けで通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 【取消理由の要旨】 請求項1及び2に係る発明は、刊行物1発明、刊行物2発明、周知技術1及び2、常套手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3~5に係る発明は、刊行物1使用方法発明、刊行物2発明、周知技術1及び2、常套手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項に規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 <証拠> 刊行物1 :TELECUBE by okamura[テレキューブbyオカ ムラ]、株式会社オカムラ、独立行政法人工業所有権情報 ・研修館、平成30年12月4日受入(申立人Aの甲第1 号証、申立人Bの甲第1号証) 刊行物2 :米国特許第5315292号明細書(申立人Aの甲第3号 証、申立人Bの甲第2号証) 刊行物3 :“SPA-5型スプリンクラーエース取扱説明書”、日本 ドライケミカル株式会社(申立人Aの甲第9号証、申立人 Bの甲第3号証の1) 刊行物3の3:日本消防設備安全センター認評定合格品・評価業務一覧検 索(申立人Aの甲第9号証の3) 刊行物3の4:NDC SPA-5 下方放出型自動消火装置(固定式・ 吊下げ式)スプリンクラーエース Sprinkler ACE、日本 ドライケミカル株式会社(申立人Aの甲第9号証の4、申 立人Bの甲第3号証の2) 刊行物3の6:Spurinkler ACE スプリンクラーエース SPA-5 下方放出型自動消火装置(固定式・吊下げ式 )、NDC日本ドライケミカル株式会社、独立行政法人工 業所有権情報・研修館、平成26年3月24日受入(申立 人Aの甲第9号証の6) 刊行物4 :意匠登録第1415106号公報(申立人Aの甲第15号 証、申立人Bの甲第4号証) 刊行物5 :実願平3-9459号(実開平4-127371号)のマ イクロフィルム(申立人Aの甲第16号証、申立人Bの甲 第5号証) 刊行物6 :特開2019-28995号公報(申立人Aの第28号証 ) 刊行物7 :意匠登録第1631642号公報(申立人Aの第29号証 ) 刊行物8 :特開2008-218093号公報(申立人Aの甲第24 号証) 刊行物9 :実願昭61-40009号(実開昭62-152118号 )のマイクロフィルム(申立人Aの甲第25号証、申立人 Bの甲第8号証) 2 刊行物の記載 (1)刊行物1 本件特許の出願前に頒布された刊行物である刊行物1には、次の記載がある。(下線は当審で付した。以下同様。) ア 2枚目の上段右の記載 (ア)「最高の集中環境をもたらすフルクローズ型のワークブース」 (イ)「床・壁・天井すべての面が囲われた個室空間。 遮音、吸音、照明、換気の各機能が室内の快適性を高め、これまでにない集中環境をもたらします。」 (ウ)「主たる構成部材にスチールや不燃クロス、グラスウールなどの不燃材を採用し、熱感知式の消火器を設置することで防火性を高めています。」 (エ)写真 「 [図:0001402742000001.jpg] 」 上記写真から、以下の点が看取できる。 ・天井の外側に物体を設けた点 ・ワークブースが、床・壁・天井により形成され、直方体の形状をなす構造体と、前記床の下に前記構造体を支持する支持部材とを有している点。 ・前記壁にドアを備えている点。 イ 2枚目中段の記載 (ア)「高い遮音性と吸音性 ドアは建材仕様で密閉度が高く、音漏れを防ぎます。また内装パネルは映画館等でも使用されている高性能の吸音パネルを採用し、音の反響を軽減します。」 (イ)「ダウンライトと換気ファン温白色(3500K)のダウンライトが室内を優しく照らします。また換気ファンによって室内の空気を常に循環し、快適性を保ちます。」 (ウ)2枚目中段の左から2番目の写真の下部に「ダウンライトと換気ファン」との記載があり、また当該写真から、天井に、白く光る部分と、2つの四角形の部位とが存在している点が看て取れる。 ウ 2枚目の下段左のサイズの欄 (ア)床・壁・天井により形成される構造体について、正面からみて横幅が1200mm、高さ(天井の上端から床の下端まで)が2135mmの寸法あり、側面からみて横幅が1200mmの寸法である点が記載されている。 (イ)各図面からみて、天井の外側に直方体の突出物体が設けられている点が看取できる。 エ 2枚目の上段左の写真 ワークブースが、床部、壁部、天井部を有する建造物において、前記床部の上であって、壁部側に3台並んで設置されている点が看て取れる。 オ 上記イ(イ)及び(ウ)から、ワークブースは、天井にダウンライトと換気ファンを備えているといえる。 カ 上記ア~オを総合すると、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認められる。 (刊行物1発明) 「床部、壁部、天井部を有する建造物において、前記床部の上であって壁部側に設置されていて、 床・壁・天井により形成され、直方体の形状をなす構造体と、前記床の下に前記構造体を支持する支持部材とを有しているフルクローズ型のワークブースであり、 前記壁にドアを備えており、 床・壁・天井すべての面が囲われた個室空間を有し、 遮音、吸音、照明、換気の各機能を有し、主たる構成部材にスチールや不燃クロス、グラスウールなどの不燃材を採用し、熱感知式の消火器を設置することで防火性を高めており、 ドアは建材仕様で密閉度が高く、音漏れを防ぎ、高性能の吸音パネルを採用し、音の反響を軽減し、 天井に室内の空気を常に循環する換気ファンを備え、 床・壁・天井により形成される構造体について、正面からみて横幅が1200mm、高さが2135mmの寸法、側面からみて横幅が1200mmの寸法であり、 天井の外側に直方体の突出物体が設けられている、 ワークブース。」 また、刊行物1には、ワークブースを、床部、壁部、天井部を有する建造物において、前記床部の上であって壁部側に設置して使用することが記載されていることから、刊行物1発明を使用する方法の発明(以下「刊行物1使用方法発明」という。)が記載されているものと認められる。 (2)刊行物2 ア 刊行物2の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である刊行物2には、次の記載がある。 (ア)「The present invention is a combination smoke detector with audible alarm andautomatic fire extinguisher for mounting in the ceiling of a room.」(第1欄第66~68行) (申立人が刊行物2に添付した翻訳文(以下「(翻訳文)」という。)による。) 「本発明は、部屋の天井に取り付けるための可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知器である。」 (イ)「Referring now to the drawing figures in general, and particularly to FIG. 1 which is an exploded view of a preferred embodiment of the present invention, which includes a housing 10 which in this example of the invention is a cylindrical member having one opened end 12 and an oppositely disposed closed end 14. Housing 10 may be made of sheet metal. The opened end 12 of housing 10 being considered the bottom end, and the closed end of housing 10 being considered the top end because of the orientation thereof when installed in a ceiling 94. The opened end 12 of housing 10 includes an outwardly extending annular flanged rim, designated flange 16, which serves as a surface to which to abut to the finished ceiling 94 of the room. Flange 16 also includes screw apertures 18 for receiving mounting screws 20 used to removably attach the trim plate 22. The trim plate 22 which includes a powder manifold and distributor will be described in detail later.」(第3欄第30~47行) (翻訳文) 「ここで、一般的な図面、特に図1を参照する。図1は、本発明の好ましい実施形態の分解図であり、ハウジング10を含み、ハウジング10は、本発明のこの例では、1つの開放端12および反対に配置された閉鎖端14を有する円筒形部材である。ハウジング10は、板金でできていてもよい。ハウジング10の開放端12は下端と見なされ、ハウジング10の閉鎖端は、天井94に設置されたときのその向きのために上端と見なされる。ハウジング10の開放端12は、部屋の完成した天井94に隣接する表面として機能する。フランジ16と呼ばれる外向きに延びる環状フランジ付きリムを含む。 フランジ16はまた、トリムプレート22を取り外し可能に取り付けるために使用される取り付けねじ20を受け入れるためのねじ開口18を含む。粉末マニホルドおよび分配器を含むトリムプレート22については、後で詳細に説明する。」 (ウ)「The solenoid valve 52 will be open only when smoke is being sensed simultaneously with sufficient heat around the close-on-temperature-rise heat sensor switch 55 wherein the heat sensing switch 55 closes to complete the circuit and allow the activation of the solenoid valve 52 at which point a quantity of fire retardant powder 56 is dispersed in the immediate area from a pressurized canister 58. ・・・・・. If smoke is being sensed and the audible alarm is sounding, and there is sufficient heat to close the electrical contacts of the heat sensor switch 55, then solenoid valve 52 will be opened by the electro magnetic coil, and fire retardant powder 56 will be released to hopefully put out the fire or at least slow it down. Solenoid valve 52, which is a normally closed valve, is positioned over the dispensing opening 60 of the pressurized canister 58 of fire retardant powder 56. Upon activation of solenoid valve 52, fire retardant powder 56 is released or dispersed from my invention into the room.」(第5欄第1~29行) (翻訳文) 「電磁弁52は、温度上昇により閉じる熱センサースイッチ55の周囲の十分な熱と同時に、煙が感知されているときにのみ開くものであり、熱センサースイッチ55は、回路を完成させて、電磁弁52の作動を可能にしている。その時点で、ある量の難燃性粉末56が、加圧されたキャニスター58からすぐ近くの領域に分散される。・・・・・煙が感知され、可聴アラームが鳴り、熱センサースイッチ55の電気接点を閉じるのに十分な熱がある場合、電磁弁52が電磁コイルによって開かれ、難燃性粉末56が放出され、うまくいくと、消火し、少なくとも火災を遅延させる。常閉弁である電磁弁52が、難燃性粉末56の加圧キャニスター58の分配開口部60の上に配置されている。電磁弁52が作動すると、難燃性粉末56がこの発明から部屋に放出又は分散される。」 (エ)「Canister 58 is removably retained within housing 10 by three equal distantly spaced clips 66 attached within the interior of housing 10. As may be ascertained from FIGS. 1 and 4, clips 66 are elongated spring or resilient members attached at the top ends thereof to the interior surface of the closed end 14 of housing 10. The lower ends, that is the ends of clips 66 closest to the opened end 12 of housing 10 are left unattached. Clips 66 are roughly shaped the same as the outside of the canister 58. Clips 66 are flexible and resilient, and positioned so that canister 58 may be pressed in between the clips 66 at which time the clips 66 move outward until canister 58 is fully inserted between the clips 66 within housing 10, and the clips 66 spring back to removably retain the canister 58 within the housing 10 by frictional engagement or adhesion, particularly around the narrowed neck portion of the canister 58.」(第5欄第57行~第6欄第5行) (翻訳文) 「キャニスター58は、ハウジング10の内部に取り付けられた3つの等間隔のクリップ66によって、ハウジング10内に取り外し可能に保持される。図1及び4に示されるように、クリップ66は、その上端がハウジング10の閉端14の内面に取り付けられた細長いバネ又は弾性部材である。下端、すなわち、ハウジング10の開放端12に最も近いクリップ66の端は、取り付けられていないままである。クリップ66は、キャニスター58の外側とほぼ同じ形状である。 クリップ66は可撓性で弾力性があり、キャニスター58がクリップ66の間に押し込まれることができるように配置され、その時点で、キャニスター58がハウジング10内のクリップ66の間に完全に挿入され、クリップ66が跳ね返って戻るまでクリップ66が外側に移動する。特にキャニスター58の狭くなったネック部分の周りで、摩擦係合または接着によって、キャニスター58をハウジング10内に取り外し可能に保持する。」 (オ)「The second attachment system, and the one which will most likely only be used during remodeling when the finished ceiling 94 is in place, uses a plurality of L-shaped attachment clips 91. When using attachment clips 91, the band 78 with attachment arms 72 is removed from housing 10 and not used. In order to use attachment clips 91, housing 10 includes a plurality of cross-shaped apertures 92 through the sidewall of the housing 10. Three or four cross-shaped apertures 92 will normally be used spaced equal distance from one another around the housing 10 and positioned above or further away from the open end of the housing 10 than flange 16. Using attachment clips 91, housing 10 may be installed into an existing finished ceiling 94 without accessing an attic above the ceiling 94. During a remodel in multi-story building, it is not always possible to enter an attic, particularly when most of the time there is no accessible attic between the ceiling 94 of a lower story room and the adjacent floor of the room one flight up. To install housing 10, a hole must be cut in the finished ceiling 94 just large enough to allow the insertion of the closed end 14 of the housing through the hole, but not so large as to allow the flange 16 at the opened end 12 of the housing 10 to pass through the hole.」(第7欄第9~33行) (翻訳文) 「第2の取付けシステム、および完成した天井94が所定の位置にあるときの改造中にのみ使用される可能性が最も高いものは、複数のL字型取り付けクリップ91を使用する。取り付けクリップ91を使用する場合、取り付けアーム72を備えたバンド78は、ハウジング10から取り外され、使用されない。取り付けクリップ91を使用するために、ハウジング10は、ハウジング10の側壁を通る複数の十字形の開口92を含む。3つまたは4つの十字形の開口92は、通常、ハウジング10の周りに互いに等距離間隔で配置され、フランジ16よりもハウジング10の開放端の上またはさらに離れて配置されて使用される。取り付けクリップ91を使用して、ハウジング10は、天井94の上の屋根裏部屋にアクセスすることなく、既存の完成した天井94に設置することができる。複数階建ての建物の改造中、特に下の階の部屋の天井94と1階上の部屋の隣接する階の間にアクセス可能な屋根裏部屋がない場合は特に、屋根裏部屋に入ることが常に可能であるとは限りません。ハウジング10を設置するために、穴を通してハウジングの閉じた端部14を挿入するのにちょうど十分な大きさである一方、ハウジングの開放端12のフランジ16を通過させない大きさの穴を、完成天井94に開けなければならない。」 (カ)「・・・When all clips 91 are in place and secured, housing 10 is retained in place against the finished ceiling 94 as may be ascertained from FIG. 4. At this point, canister 58 may be installed, followed by smoke detector circuit board 36, and finally by trim plate 22.Trim plate 22, shown best in FIGS. 1, 4, and 9, is a bowl shaped disk having an outer flange or rim 102 which is large enough in diameter to cover flange 16 of housing 10. Rim 102 has a series of screw apertures 104 for attachment of trim plate 22 to flange 16 with screws 20. Trim plate 22 also has apertures 109 which serve to allow heat and smoke access to smoke detector circuit board 36. Within the concave interior surface of trim plate 22 is a powder manifold 106 which receives fire retardant powder 56 from the output side of solenoid valve 52 when the valve 52 is open. Manifold 106 distributes the fire retardant powder 56 through a plurality of cone shaped distribution tubes 108 out into the room. Distribution tubes 108 are attached to powder manifold 106 to structurally support the manifold. Powder manifold 106 includes a cylindrical rubberized hollow tube, the upper open end of which is sized for placement over nipple 64 of canister 58. The resilient nature of the rubberized material of powder manifold 106 allows a snug frictional attachment to nipple 64. The open interior chamber of powder manifold 106 communicates with the hollow interior of each cone shaped distribution tube 108, which is each affixed, at the narrow end, radially around the exterior of powder manifold 106, as shown in FIG. 1. The larger open ends of distribution tubes 108 are attached to and open through the outer wall of trim plate22, allowing ejection of retardant powder 56 out into the room. The cone shape of the distribution tube 108 allows the retardant 56 to be disbursed in a wide pattern, and the radial placement of the openings of distribution tubes 108 through trim plate 22 allows for a 360 degree dispersement pattern. 」(第8欄第13~49行) (翻訳文) 「・・・図4から理解されるように、すべてのクリップ91が所定の位置に配置されて固定されると、ハウジング10は、完成した天井94に対して所定の位置に保持される。この時点で、キャニスター58、続いて煙探知器回路基板36、そして最後にトリムプレート22が設置され得る。トリムプレート22は、図1および図2に最もよく示されている。図1,4及び9は、ハウジング10のフランジ16を覆うのに十分な直径の外側フランジまたはリム102を有するボウル型のディスクである。リム102は、ねじ20でトリムプレート22をフランジ16に取り付けるための一連のねじ開口104を有する。トリムプレート22はまた、煙探知器回路基板36への熱および煙のアクセスを可能にするのに役立つ開口109を有する。トリムプレート22の凹状の内面内には、電磁弁52が開いているときに電磁弁52の出力側から難燃性粉末56を受け取る粉末マニホルド106がある。マニホルド106は、難燃性粉末56を複数の円錐型の分配管108を通して室内に分配する。分配管108は、マニホルドを構造的に支持するために粉末マニホルド106に取り付けられている。粉末マニホルド106は、円筒形のゴム引き中空管を含み、その上部開放端は、キャニスター58のニップル64上に配置するためのサイズになっている。粉末マニホルド106のゴム引きされた材料の弾力性は、ニップル64へのぴったりとした摩擦付着を可能にする。粉末マニホルド106の開放内部チャンバは、図1に示すように、粉末マニホルド106の外部の周りに半径方向に狭い端部にそれぞれ取り付けられている各円錐形分配管108の中空内部と連絡している。分配管108のより大きな開放端は、トリムプレート22の外壁に取り付けられ、それを通して開放され、遅延剤粉末56を室内に放出することを可能にする。分配管108の円錐形状は、遅延剤56が広いパターンで分配されることを可能にし、トリムプレート22を通る分配管108の開口部の半径方向の配置は、360度の分散パターンを可能にする。」 (キ)図面 a FIG.1 「 [図:0001402742000002.jpg] 」 上記FIG.1から、以下の点が看取できる。 (a)キャニスター58に、電磁弁52が配置されている点。 (b)ハウジング10は、側方の板体と上方の板体とを有し下方が開放された箱状となっており、ハウジング10の上方の板体の内部にクリップ66が、3つ取り付けられている点。(c)熱センサースイッチ55が煙検出器回路基板36に載置されている点。 b FIG.4 「 [図:0001402742000003.jpg] 」 上記FIG.4から、以下の点が看取できる。 (a)キャニスター58が、天井94の、難燃性粉末56が放出される部屋がある側とは反対側において設けられている点。 (b)天井94の部屋がある側と反対側においてキャニスター58を覆うハウジング10が設けられている点。 (c)ハウジング10の上方の板体に取り付けられたクリップ66にキャニスター58が取り付けられた状態で、キャニスター58の分配開口部60が、キャニスター58の下端中央に設けられていて、天井94の高さと略同じ高さに配置されている点。 (d)ハウジング10が、キャニスター58の外径よりもやや大きい幅寸法を有して形成されている点。 (e)難燃性粉末56が充填されているキャニスター58と、煙検出器回路基板36とが接続している点。 (f)キャニスター58の分配開口部60が、マニホルド106の上部に設置され、キャニスター58の大きさよりも、マニホルド106における難燃性粉末56が通過する部分が小さい点。 c 上記a(c)及び上記b(e)から、煙探知器は、煙検出器回路基板36と、熱センサースイッチ55と、難燃性粉末56が充填されているキャニスター58とを、一体的に備えているといえる。 イ 刊行物2発明について 上記アを総合すると、刊行物2には次の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されているものと認められる。 (刊行物2発明) 「部屋の天井に取り付けるための可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知器において、 キャニスター58が、天井94の、難燃性粉末56が放出される部屋がある側とは反対側において設けられ、 天井94の部屋がある側と反対側においてキャニスター58を覆うハウジング10が設けられ、 ハウジング10は、側方の板体と上方の板体とを有していて下方が開放された箱状となっており、ハウジング10の上方の板体の内部にクリップ66が、3つ、等間隔に取り付けられ、 キャニスター58は、3つの等間隔のクリップ66によって、ハウジング10内に取り外し可能に保持されており、 常閉弁である電磁弁52が、難燃性粉末56の加圧キャニスター58の分配開口部60の上に配置されており、前記電磁弁52は、温度上昇により閉じる熱センサースイッチ55の周囲の十分な熱と同時に、煙が感知されているときにのみ開く作動を可能としており、電磁弁52が作動すると、難燃性粉末56がこの発明から部屋に放出又は分散されるものであって、 熱センサースイッチ55と、難燃性粉末56が充填されているキャニスター58とを、一体的に備えており、 ハウジング10の上方の板体に取り付けられたクリップ66にキャニスター58が取り付けられた状態で、キャニスター58の分配開口部60が、キャニスター58の下端中央に設けられていて、天井94の高さと略同じ高さに配置されており、 ハウジング10が、キャニスター58の外径よりもやや大きい幅寸法を有して形成されており、 キャニスター58の分配開口部60が、マニホルド106の上部に設置され、キャニスター58の大きさよりも、マニホルド106における難燃性粉末56が通過する部分が小さくなっており、 ハウジング10を設置するために、穴を通してハウジングの閉端部14を挿入するのにちょうど十分な大きさである一方、ハウジングの開放端12のフランジ16を通過させない大きさの穴を、完成天井94に開けており、 取り付けクリップ91を使用して、ハウジング10は、天井94の上の屋根裏部屋にアクセスすることなく、既存の完成した天井94に設置することができ、すべてのクリップ91が所定の位置に配置されて固定されると、ハウジング10は、完成した天井94に対して所定の位置に保持され、この時点で、キャニスター58、続いて煙探知器回路基板36、そして最後にトリムプレート22が設置され得る、 可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知器。」 (3)刊行物3、刊行物3の3、刊行物3の4及び刊行物3の6 ア 刊行物3の記載 (ア)「(財)日本消防設備安全センター評定合格品〔14-001号〕」(1枚目 中段) (イ)「2.特長 1)感知ノズルは、作動開放が確実で、信頼性のあるものです。 2)感知部に低融点合金を使用し、集熱板を二枚にしたことで、感熱性能に優れています。 3)保守点検は、指示圧力計が付いているので簡単です。 3.構成 SPA-5型スプリンクラーエースは、消火薬剤貯蔵容器・消火薬剤・感知ノズル・指示圧力計等で構成されています。 常時、貯蔵容器内には消火薬剤5Lが入り、常用圧力0.7~0.98MPaにより、火災非常時に備え警戒状態を保っています。」(2頁下から4行~3頁5行) (ウ)3頁の図 「 [図:0001402742000004.jpg] 」 (エ)「○1(○の中に1を意味する。以下同様。)専用取付金具○Aの2カ所の穴に本体取付フックを差し込む。 ○2 本体を下に引きながら時計方向に回し、1段下がる位置にする。 ○3 反時計方向に戻しても本体が動かなければ取付完了。 ○4 化粧板を取り付ける場合は樹脂プラグを使用し、4カ所固定してください。」(6頁下から7行~末行) (オ)6頁中段の図 「 [図:0001402742000005.jpg] 」 上記の図から、取付金具を用いて、本体を上方の部材に取り付けた点が看取できる。 (カ)6頁下段の図 「 [図:0001402742000006.jpg] 」 上記の右図及び上記(エ)をふまえると、本体を上方の部材に取り付ける構成として、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具を有し、上金具が上方の部材の下面に、下金具が本体の上面にそれぞれ固着され、下金具の本体取付フックを上金具の合わせ面に設けられた穴に差し込むとともに、前記本体を上方の部材に対して水平方向に回転させることより、前記本体取付フックが上金具に対して係合可能となっている点が看取できる。 (キ)刊行物3に記載の技術事項 上記(ア)ないし(カ)より、刊行物3には、以下の技術事項(以下、刊行物3に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (刊行物3に記載の技術事項) 「SPA-5型スプリンクラーエースは、消火薬剤貯蔵容器、消火薬剤、感知ノズル、等を備えており、感知ノズルは、感知部に低融点合金を使用しており、 本体を上方の部材に取り付ける構成として、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具を有し、上金具が上方の部材の下面に、下金具が本体の上面にそれぞれ固着され、下金具のフックを上金具の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記本体を上方の部材に対して水平方向に回転させることより、前記フックが上金具に対して係合可能となっている点。 イ 刊行物3の3 「認評定番号 評14-001号 認評定日 2002-01-25 申請者 日本ドライケミカル株式会 小分類 住宅用下方放出型自動消火装置 型式記号 SPA-5」 ウ 刊行物3の4 (ア)「このカタログの記載内容は2018年1月現在です。」(一枚目 注意事項の下) (イ)「器種 スプリンクラーエースSPA-5 ・・・ 評定番号 評14-001号」(1枚目 仕様の欄) (ウ)「すばやく感知。すばやく消火。 温度感知部が一体になった高性能ノズルを採用。 温度の上昇を感知すると特殊ヒューズメタルが溶けて、すばやく薬液が放出されます。」(2枚目) エ 刊行物3の6 (ア)「器種 SPA-5 ・・・ 評定番号 評14-001号」(2枚目 仕様の欄) (イ)二枚目の構成図 「 [図:0001402742000007.jpg] 」 刊行物3の頒布性について 刊行物3の6のカタログは、本件特許出願前の平成26年3月24日に独立行政法人工業所有権情報・研修館に受け入れられたものであるから、当該カタログに記載の日本ドライケミカル株式会社製の下方放出型自動消火装置のうち器種が「SPA-5」のものは、本件特許出願前に販売されていることが推認できる。そして、一般に取扱説明書は製品とともに購入者に配布されるものであるから、「SPA-5」の取扱説明書である刊行物3は、販売時に多数の購入者に配布されたものと認められる。なお、「SPA-5」は、日本消防設備安全センターにおいて、2002年1月25日に認評定され、認評定番号として「14-001」の番号が与えられていたものである(刊行物3の3参照)。 そうすると、刊行物3は、本件特許出願前において、頒布された刊行物であると認められる。 (4)刊行物4 ア 刊行物4の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である刊行物4には、次の記載がある。 (ア)1頁 「(55)意匠に係る物品の説明本物品は娯楽施設等に設置し、カラオケの提供等に供するために用いられる防音室である。キャスター付きで、移動可能となっている。酸欠防止のため、換気設備を配置している。また、『透明部を示す参考正面図』に記載の通り、入室状態を確認出来る様、透明素材から成る窓が設置されている。」 (イ)正面図 「 [図:0001402742000008.jpg] 」 (ウ)底面図 「 [図:0001402742000009.jpg] 」 (5)刊行物5 ア 刊行物5の記載 刊行物5の記載本件特許の出願前に頒布された刊行物である刊行物5には、次の記載がある。 (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は工場等の片隅に会議室、更衣室、設計室用として設置されるブース(小屋)の床構造に関するものである。」 (イ)「【0008】 【実施例】 図1は本考案に係る床装置を示す実施例であって、ブース内にはこの床装置が複数台配列されて床を構成する。同図に示すごとく、該床装置は直方体を成す一種の箱であって、該箱の底には高さ調整用のアジャスター1が、又移動用のキャスター2が取着されている。 ・・・ 【0013】 ところで、このように構成した床装置は、アジャスター1、1を持ち上げるならば、キャスター2、2・・・によって支えられ、これらキャスター2、2・・・は回転して床装置を必要な位置に移動させ、所定の位置にて再びアジャスター1を突出して該アジャスター1、1・・・により床装置を支え、該床装置は所定の高さに上蓋5を保って安定静止する。ブース内には複数台の床装置を配列してブースの床を構成する。以上述べたように、本考案の床装置は内部に収納空間を持った箱の底にキャスターとアジャスターを取着し、上蓋は開閉自在とし、側板は折畳み又は解体可能としたもので、次のような効果を得ることが出来る。」 (ウ)図1 「 [図:0001402742000010.jpg] 」 (6)刊行物6 ア 刊行物6の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である刊行物6には、次の記載がある。 (ア)「【0001】 本発明は、防音室、防音室の解錠方法、及び防音室管理システムに関する。」 (イ)「【0026】 筐体11は、金属、木材又は樹脂等により形成されており、少なくとも一つの側面に、ユーザが出入りするための開口が形成された直方体又は円柱体形状の部材である。筐体11の底面にはキャスター(不図示)及びアジャスター(不図示)が設けられている。防音室1の設置者は、キャスターを使って設置場所に防音室1を移動した後に、アジャスターの長さが防音室1の底面と床面との距離に等しくなるように調整することで、防音室1を固定することができる。」 (7)刊行物7 ア 刊行物の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である刊行物7には、次の記載がある。 (ア)1頁 「(55)【衣装に係る物品の説明】この物品は公衆電話ボツクス2台分の大きさであり、内部の音が外部に漏れにくくするための吸音材が内部に設けられた物品である。この物品の利用者は、この物品の扉を開いて内部に入り、扉を開めた状態で電話をかけたリテレビ会議を行つたり、情報端末として作業することができる。また二人で入り面談もできる。この物品の底面にはキャスターが取り付けられてあり、移動可能となっている。」 (イ)正面図 「 [図:0001402742000011.jpg] 」 (ウ)左側面図 「 [図:0001402742000012.jpg] 」 (8)刊行物8 ア 刊行物8の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である刊行物8には、次の記載がある。 (ア)「【0001】 本発明は、照明装置を構造物に対して吊り下げ固定する照明装置の取付装置およびこれを備えた照明システムに関する。」 (イ)「【0065】 また、各取付孔91は、位置決めピン58の拡大部77が挿入可能な挿通孔部95と、この挿通孔部95に対して軸部74の周方向に沿って連続した抜け止め孔部96とを有する、いわゆるだるま孔状に形成されている。また、各取付孔91は、軸部74を中心とする同一円周上に位置している。 ・・・ 【0074】 さらに、作業者は、図8ないし図10に示すように、照明装置12をさらに持ち上げ、周方向位置決め手段85の一方である位置決め金具84が他方である位置決め孔部57に挿入されるように軸部74を中心として照明装置12を回転させ、位置決め金具84と位置決め孔部57とが合った位置で照明装置12をさらに持ち上げて、照明装置12側を構造物14側に対して軸部74の周方向に位置決めする(第2位置決め工程)。」 (ウ)図8 「 [図:0001402742000013.jpg] 」 (9)刊行物9 ア 刊行物9の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である刊行物9には、次の記載がある。(ア)「この考案は、天井隠蔽形による空気調和機に関し、特に電気部品に対する保守サービスの作業性を向上させるための改良に関するものである。」(明細書2頁12~14行) (イ)「円板状部材16の同心円上部分でかつ対向する部分に円弧状のダルマ孔19が45°以上の範囲にわたって設けられている。そして、この場合におけるダルマ孔19は、大円孔20と小長孔21とによって構成されている。・・・23a,23bは座付ネジのような掛止部材であって、前記円板状部材16に設けられているダルマ孔19の大円孔20から挿入されて小長孔21に掛止されるようになっている。」(明細書7頁5~20行) (ウ)「化粧グリル22に回動力を加えると、化粧グリル22に固定されて円板状部材16のダルマ孔19と係合している掛止部材23a,23bは、ダルマ孔19における小長孔21に案内されて周方向にスライドすることになる。」(明細書8頁9~13行) (エ)「第8図,第9図に示すように掛止部材23a,23bを円板状部材16に設けるとともに、化粧グリル22の掛止部材23a,23bと対応する部分に大円孔20と円弧状の小長孔21からなるダルマ孔19を設けたものである。従って、この様な構成においても、係止関係が反転するのみであって、同様な効果が得られる。」(明細書9頁17行~10頁4行) (オ)図面(第8図~第10図) 「 [図:0001402742000014.jpg] 」 (10)周知技術 ア 刊行物5及び刊行物6から、次の技術(以下「周知技術1」という。)が周知であると認められる。 (周知技術1) 「防音室やブースを構成する筐体の底面や、床構造の裏面に、キャスター及びアジャスターを設けること。」 イ 刊行物4~刊行物7から、次の技術(以下「周知技術2」という。)が周知であると認められる。 (周知技術2) 「防音室やブースを構成する筐体の底面や、床構造の裏面に、キャスターを設けて、防音室やブースを移動させること。」 3 当審の判断 (1)本件訂正発明1 ア 対比 本件訂正発明1と刊行物1発明とを対比する。 (ア)a 刊行物1発明の「ワークブース」は、「フルクローズ型」であり、「遮音」の機能を有していて、「音漏れを防」ぐものである。そうすると、刊行物1発明の、「遮音」の機能を有していて、「音漏れを防」ぐ「ワークブース」は、本件訂正発明1の「防音室」に相当する。 b 刊行物1発明の「個室空間」は、ワークブースの利用者が入れることは明らかである。また、刊行物1発明の「床・壁・天井により形成され」る「構造体」は、「個室空間」を囲う箱状のものといえる。よって、刊行物1発明の「床・壁・天井により形成され」る「構造体」は、本件訂正発明1の「ユーザが入ることができる空間を形成」する「筐体」に相当する。 c 刊行物1発明の「壁」は、「床・壁・天井により形成され」る「構造体」(筐体)の一部であり、また、「壁にドアを備えて」いることから、「ドア」が、「床・壁・天井により形成され」る「構造体」に結合していることは明らかである。そうすると、刊行物1発明の「ドア」は、本件訂正発明1の「該筐体に結合した扉」に相当する。 (イ)刊行物1発明は、「床・壁・天井により形成され」る「構造体」の「床の下」に、「前記構造体を支持する支持部材」を有していることと、本件訂正発明1の「筐体の底面にはキャスター及びアジャスターが設けられ」ていることとは、「筐体の底面には、支持部材が設けられ」ている点で共通する。 (ウ)刊行物1発明の「熱感知式の消火器」は、「消火器」において「熱感知部」を有していることは明らかであり、「熱感知」は、火災の発生による熱の感知であることは明らかである。そして、「熱感知式の消火器」は、熱を感知すると自動的に消火する装置であることは明らかである。また、刊行物1発明の「床・壁・天井により形成され」る「構造体」のいずれかの部位において、前記「熱感知式の消火器」を設置していることは明らかである。 そうすると、刊行物1発明の「熱感知式の消火器」が設置されることと、本件訂正発明1の「前記筐体の天井には、自動消火装置が設けられ」ることとは、「前記筐体」には、「自動消火装置」が設けられる点で共通する。 また、刊行物1発明の「熱感知式の消火器」は、本件訂正発明1の「自動消火装置」が備える「火災の発生による熱を感知する熱感知部」の構成に相当する構成を有しているといえる。 (エ)刊行物1発明の「天井に室内の空気を常に循環する換気ファンを備え」ていることと、本件訂正発明1の「前記筐体の天井には、前記空間内に上昇気流を形成させ、前記空間内の空気を天井に向かわせるファンが設けられ」ることとは、「前記筐体の天井には」、「ファンが設けられ」ることで共通する。 そうすると、本件訂正発明1と刊行物1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「ユーザが入ることができる空間を形成する筐体と、該筐体に結合した扉とを備える防音室であって、 前記筐体には、自動消火装置が設けられ、 前記筐体の底面には、支持部材が設けられ、 前記筐体の天井には、ファンが設けられ、 前記自動消火装置は、火災の発生による熱を感知する熱感知部を備える防音室。」 (相違点1) 「防音室」について、本件訂正発明1は、「筐体の底面」には「キャスター及びアジャスター」が設けられ、「可搬式」のものであるのに対して、刊行物1発明は、「床・壁・天井により形成され」る「構造体」の床の下に「支持部材」を有しているものの、当該支持部材が、「キャスター及びアジャスター」であることが特定されておらず、また「可搬式」であることも特定されていない点。 (相違点2) 「自動消火装置」について、本件訂正発明1では、「筐体の天井」に設けられ、「消火剤が充填された消火剤容器と、前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しないものであり、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられ、 前記天井には、前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有する消火装置カバーが設けられ、前記取付部は、互いに係合可能な一対の固定具からなり、一方の固定具は、前記消火装置カバーに、他方の固定具は、前記消火剤容器にそれぞれ設けられ、 前記自動消火装置は、前記一対の固定具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」のに対して、 刊行物1発明では、自動消火装置が、ワークブースのどのような部位に設けられたのか特定がなく、また、どのような構造であるのか具体的に特定されていないとともに、消火装置カバーとの関係も特定されていない点。 (相違点3) 「ファン」について、本件訂正発明1では、「前記空間内に上昇気流を形成させ、前記空間内の空気を天井に向かわせる」ものであるのに対して、刊行物1発明では、そのような特定がなされていない点。 イ 判断 上記相違点について検討する。 事案に鑑みて相違点2から検討する。 (ア)刊行物2発明について a 刊行物2発明の「部屋の天井に取り付けるための可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知器」は、本件訂正発明1の「自動消火装置」に相当するものの、「前記電磁弁52は、温度上昇により閉じる熱センサースイッチ55の周囲の十分な熱と同時に、煙が感知されているときにのみ開く作動を可能としており、電磁弁52が作動すると、難燃性粉末56がこの発明から部屋に放出又は分散されるものであ」ることから、電源を要するものである。 b また、刊行物2発明は、「穴」が、「完成天井94に開け」られていて、「ハウジング10を設置するために、穴を通してハウジングの閉端部14を挿入する」ものであって「ハウジング10は、完成した天井94に対して所定の位置に保持され」て、「キャニスター58、続いて煙探知器回路基板36、そして最後にトリムプレート22が設置され」るものであるから、煙探知器回路基板36(自動消火装置の部品)は、室内側から設置されるものであり、ハウジング10(消火装置カバー)とは別々に設ける構成である。そして、刊行物2発明は、当該構成を採用することにより、「ハウジング10は、天井94の上の屋根裏部屋にアクセスすることなく、既存の天井94に設置することができ」るというものである。 c したがって、刊行物2発明は、相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち、少なくとも「自動消火装置」についての「前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない」との構成(以下「電源不要の自動消火装置の構成」という。)、及び、「前記自動消火装置は、前記一対の固定具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」構成(以下「自動消火装置の設置に係る構成」という。)は、有していない。 (イ)容易想到性について 刊行物2発明は、上記(ア)cで述べたとおり、相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち「電源不要の自動消火装置の構成」及び「自動消火装置の設置に係る構成」を有していないから、刊行物1発明に刊行物2発明を適用しても、相違点2に係る本件訂正発明1の構成に想到することはできない。 また、取消理由通知書で引用したその他の刊行物をみても、少なくとも上記「自動消火装置の設置に係る構成」は、記載されていない。 したがって、刊行物1発明に、刊行物2発明及び取消理由通知書で引用したその他の刊行物を適用して、相違点2に係る本件訂正発明1の構成とすることはできない。 (ウ)申立人Aの主張 a 申立人Aは、訂正事項1における「電源を有しないものであり、」の意味が不明確である旨主張する。(意見書1頁 3のAのア) しかしながら、訂正後の請求項1は、「自動消火装置は、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しないものであり、・・・」と記載されており、「自動消火装置」が、「前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しないものであ」ることが特定されている、すなわち、「電源を要しない」のは、「自動消火装置」であると、明確に理解することができる。 したがって、申立人Aの主張を採用することはできない。 b 申立人Aは、令和5年5月25日に提出した意見書とともに参考資料101-111を提出し、参考資料101―111の内容が広く公に知られている以上、訂正事項1及び2は、当業者にとって技術常識である旨主張している。(意見書22頁3行-25頁12行) しかしながら、参考資料101-111には、「テレキューブ」や「STATIONBOOTH」の天井に「自動消火装置」を備えているとの説明はなく、また、室内の天井において視認できる部材についての説明が何らないことから、前記部材が、「熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない」「自動消火装置」であるとはいえない。 また、前記参考資料には、「自動消火装置」の「消火装置カバー」と、「天井」との関係について何ら説明がされていない。 よって、上記参考資料から、訂正事項1及び2に係る構成が、当業者にとって技術常識であるとはいえない。 c 申立人Aは、刊行物1(申立人Aが提出した甲第1号証)に記載された可搬式ブース(テレキューブ)には、実際にSPA-5型スプリンクラーエースが搭載されていることは、参考資料112を参照すれば明らかである旨主張する。(意見書22頁3行-25頁12行) しかしながら、刊行物1に記載されたテレキューブと、参考資料112の13頁に記載されたテレキューブとは、「テレキューブ」という名称が一致するだけであって、参考資料112に記載の下方放出型自動消火装置である「スプリンクラーエース」が、刊行物1のテレキューブに搭載されていたとはいえないし、参考資料112の1頁に付された日付(2021年10月16日)は、刊行物1が独立行政法人工業所有権情報/研修館に受入れられた日付(平成30年12月4日)や、本件特許の原出願日(令和元年6月19日)よりも後であることからみても、本件特許の原出願前において、刊行物1のテレキューブに参考資料112に記載の前記「スプリンクラーエース本体」が搭載されていたとはいえない。 よって、刊行物1に記載された可搬式ブース(テレキューブ)に、実際にSPA-5型スプリンクラーエースが搭載されているということはできない。 d 申立人Aは、「テレキューブ」(TELECUBE by OKAMURA)は、参考資料113に示されるように、前述した駅ナカ実証実験のみならず、幕張メッセの国際会議場にも設置して展示されたことが判明している(《株式会社ブイキューブは、・・・「幕張メッセ」の国際会議場に、2019年6月17日(月)よりテレワークのためのコミュニケーションブース「テレキューブ」を5台設置することを発表いたします。》との記載あり)ことから、刊行物1に記載された「テレキューブ」は、原出願日前から公然と実施されていたことが判明している旨主張する。(意見書26頁1-11行) 申立人Aの上記主張は、原出願日前において展示されて公然実施されることとなったテレキューブ(「公然実施された発明」)(特許法29条1項2号)に基づく、本件訂正発明1についての新規性欠如または進歩性欠如を主張するものと理解できる。 しかしながら、上記主張は、申立人Aが特許異議申立書(33頁6行-38頁19行)において述べた、刊行物1(甲第1号証)に記載された発明(特許法29条1項3号)、刊行物2発明(甲3発明)及び周知技術に基づく、訂正前の請求項1に係る発明についての進歩性欠如の主張とは異なる主張であって、新たな取消理由と認められる。 よって、令和5年4月21日付けの通知書に記載のとおり、訂正の請求に対する意見は、特許権者による訂正の請求に付随して生じた事項を除き、特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由に対して意見の内容が実質的に新たな内容を含むものであると認められるときは、実質的に新たな内容を含む部分は、新たな取消理由とされ、採用できない。 e したがって、申立人Aの上記主張は、いずれも採用できない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、その他の相違点を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、刊行物1発明、刊行物2発明、及び取消理由通知書で引用したその他の刊行物に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件訂正発明2~5について 本件訂正発明2は、本件訂正発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、本件訂正発明2は、刊行物1発明、刊行物2発明、及び取消理由通知書で引用したその他の刊行物に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件訂正発明3~5は、本件訂正発明1の構成を全て含み、されに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、本件訂正発明3~5は、刊行物1使用方法発明、刊行物2発明、及び取消理由通知書で引用したその他の刊行物に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について 1 29条2項の規定違反(進歩性)について 申立人Aは、本件出願の出願日以前における技術常識(周知技術)を用い、補充説明を加えたうえで、訂正前の本件発明は、刊行物1発明(甲1発明)、刊行物2発明(甲3発明)、及び周知技術(甲第15号証、甲第16号証、甲第9号証等)に基いて、当業者が容易に発明をすることができた旨主張している。(申立人Aの申立書47頁1行~64頁13行) 申立人Aが補充説明に用いる技術常識(周知技術)を裏付ける証拠をみると、甲第2号証には、簡易自動消火器1が、制御回路7、消火流体噴出手段8(放出ノズル)、消火流体収容タンク5A(消火剤容器)、ハウジング4等を有している点が記載されており、甲第4号証及び甲第5号証には、可搬式ブース内に住宅用下方放出型自動消火器に関する事項が記載されており、甲第6~9号証、甲第9号証の4、甲第9号証の6、甲第9号証の7には、自動消火装置において、熱感知部と、消火剤容器と、放出ノズルとを一体的に設けたものが記載されており、甲第10~14号証には、公共スペースに設置されるボックス型のワークスペースが記載されており、甲第17~20号証、甲第9号証の4には、自動消火装置において、外部電源を用いることなしに、自動的にノズルを開放する構成が記載されており、甲第21~27号証には、自動消火装置や照明器具等の物品を、天井や壁面に取り付けるための対となる固定具が記載されている。なお、上記甲号証は、申立人Aが特許異議申立書に添付した証拠である。 しかしながら、上記証拠のいずれにも、少なくとも「自動消火装置の設置に係る構成」(上記第4の3(1)イ(ア)c)は、記載も示唆もされていない。 したがって、本件訂正発明1は、刊行物1発明(甲1発明)、刊行物2発明(甲3発明)、周知技術(甲第15号証、甲第16号証、甲第9号証等))、及び補足説明に用いた技術常識(周知技術)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件訂正発明2は、本件訂正発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記と同様に、刊行物1発明(甲1発明)、刊行物2発明(甲3発明)、周知技術(甲第15号証、甲第16号証、甲第9号証等)、及び補足説明に用いた技術常識(周知技術)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件訂正発明3~5は、本件訂正発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記と同様に、刊行物1使用方法発明(甲1発明)、刊行物2発明(甲3発明)、周知技術(甲第15号証、甲第16号証、甲第9号証等))、及び補足説明に用いた技術常識(周知技術)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700739

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