特許異議申立
2021-700058
防音室
- 審判番号
- 2021-700058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-113612
- 登録番号
- 6764107
- 請求日
- 2021年01月18日
- 審決日
- 2022年11月25日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】テレキューブ株式会社
- 【権利者代理人】木戸 良彦
- 【権利者代理人】木戸 一彦
- 【異議申立人】太田 幸子
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 西田 秀彦
- 審判官 住田 秀弘
- 分類
- P1651.121-YAA(E04H) / P1651.113-YAA(E04H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6764107号発明「防音室」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6764107号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。
特許第6764107号の請求項1-3に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第6764107号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、令和1年6月19日に出願され、令和2年9月15日にその特許権の設定登録がされ、同年9月30日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和3年1月18日に、特許異議申立人太田幸子により、本件特許の請求項1~3に係る特許に対して特許異議の申立てがされたところ令和3年3月3日に取り下げられ、また、令和3年3月26日に特許異議申立人太田幸子(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~3に係る特許に対して特許異議の申立てがされたところ、その後の経緯は、次のとおりである。
令和3年 7月30日付け:取消理由通知書
同年10月 1日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の 提出
同年11月24日 :申立人による意見書の提出
令和4年 1月 6日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 3月11日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の 提出
同年 5月26日付け:訂正拒絶理由通知
同年 6月29日 :特許権者による意見書及びに令和4年3 月11日付け訂正請求書に係る手続補正 書の提出
同年 9月16日 :申立人による意見書の提出
なお、特許権者より、令和4年3月11日付けで訂正の請求があったことにより、令和3年10月1日付けの訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正拒絶理由の概要
令和4年3月11日付け訂正請求書に対し、同年5月26日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は次のとおり。
訂正事項7、訂正事項11及び訂正事項13は、以下(1)~(3)のとおり適法でない。
そして、訂正事項7、11及び13に係る訂正については、訂正後の請求項1~3に係る一群の請求項を訂正するものであるから、その他の訂正事項の適否にかかわらず、請求項1~3に係る一群の請求項の訂正である訂正事項1~6、8~10、12に係る訂正も認めることができない。
したがって、訂正事項1~13に係る本件訂正は認められない。
(1)訂正事項7について
上記訂正事項7は、本件訂正請求前の請求項1の「消火剤容器」について、「幅より高さが小さく形成されるとともに、前記熱感知部を通る鉛直軸まわりに円弧を回転して得られる外周面を有し」ているものに限定するものであるから、特許請求の範囲の限定を目的とするものである。
しかしながら、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)をみると、消火剤容器について「幅より高さが小さく形成される」ものは、【図4】、【図8】には記載されているものの、「前記熱感知部を通る鉛直軸まわりに円弧を回転して得られる外周面を有し」ている点は記載も示唆もされていない。
したがって、上記訂正事項7は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であると認めることはできず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものではない。
(2)訂正事項11について
訂正事項11は、本件訂正請求前の請求項1の消火剤容器の外周面と消火装置カバーの側板の内側面との間に設けられる隙間について特定がなされていないものから、「前記取付スペースで前記消火剤容器の外周面を把握して前記回転を与えることが可能な、幅方向の隙間」と限定するものであるから、特許請求の範囲の限定を目的とするものである。
しかしながら、消火剤容器の外周面と消火装置カバーの側板の内側面との間に設けられる隙間について、「幅方向の隙間」が「前記取付スペースで前記消火剤容器の外周面を把握して前記回転を与えることが可能」なものであることは、本件明細書等に記載も示唆もされていない。
したがって、訂正事項11は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であると認めることはできず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものではない。
(3)訂正事項13について
訂正事項13は、訂正事項7及び訂正事項11などの訂正に伴って、特許請求の範囲の記載明細書の記載との整合を図るための訂正であるが、訂正事項13において、訂正事項7及び訂正事項11に対応する部分については、それぞれ上記(1)及び(2)における訂正事項7及び訂正事項11についての検討と同様である。
そうすると、訂正事項13は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であると認めることはできず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものではない。
2 本件補正の適否
(1)本件補正の内容
令和4年6月29日付けの訂正請求書に係る手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)の「4 手続補正1」~「6 手続補正3」の記載から、訂正事項7、訂正事項11及び訂正事項13について、下記のとおりの内容で補正するものである。
ア 訂正事項7に係る補正の内容
「キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に新たな段落を設けて「前記消火剤容器は、幅よりも高さが小さく形成されるとともに、前記熱感知部を通る鉛直軸まわりに円弧を回転して得られる外周面を有し、」の記載を加えて訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。」という記載を、
「キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に新たな段落を設けて「前記消火剤容器は、幅よりも高さが小さく形成され、」の記載を加えて訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。」に補正する。
イ 訂正事項11に係る補正の内容
「サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項1に新たな段落を設けて「前記消火剤容器の外周面と前記消火装置カバーの前記側板の内側面との間には、前記取付スペースで前記消火剤容器の外周面を把持して前記回転を与えることが可能な、幅方向の隙間が設けられ、」の記載を加えて訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。」という記載を削除する。
ウ 訂正事項13に係る補正の内容
「ス 訂正事項13
明細書の段落【0006】に、「ユーザが入ることができる空間を形成する筐体と、該筐体に結合した扉とを備える可搬式の防音室であって、前記筐体の天井には、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備えた自動消火装置が設けられ、前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスターが設けられ、前記自動消火装置は、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられ、前記天井には、前記消火剤容器を覆う消火装置力バーが設けられ、前記消火装置カバーは、上板に前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有し、該取付部に前記消火剤容器を取り付けた状態で、前記放出ノズルが前記天井の高さ位置に揃う高さ寸法を有するとともに、前記消火剤容器の外径に対応する幅寸法を有して形成されている」と記載されているのを、「ユーザが入ることができる空間を形成する直方体の筐体と、該筐体に結合した扉とを備え、建物内に設置される可搬式の防音室であって、前記筐体は、側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成され、前記筐体の天井には、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、該消火剤容器の下端中央に設けられ、内蔵される前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない自動消火装置が設けられ、前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスタ一が設けられ、前記自動消火装置は、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられるとともに、前記消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませてなり、前記消火剤容器は、幅よりも高さが小さく形成されるとともに、前記熱感知部を通る鉛直軸まわりに円弧を回転して得られる外周面を有し、前記天井の室外側には、前記消火剤容器を覆う消火装置カバーが設けられ、前記消火装置カバーは、側板と、上板とからなる箱状のものであって、内側には箱の開放部を通じて導入される前記消火剤容器の取付スペースが設けられ、前記上板に前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有し、該取付部に前記消火剤容器を取り付けた状態で、前記放出ノズルが前記天井の高さ位置に揃う高さ寸法を有するとともに、前記消火剤容器の外径に対応する幅寸法を有して形成され、前記取付部は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具からなり、前記上金具は、前記消火装置カバーの上板の下面に、前記下金具は、前記消火剤容器の上面にそれぞれ固着され、両金具のいずれか一方のフックをいずれか他方の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記消火剤容器を前記消火装置カバーに対して水平方向に回転させることにより、前記フックが前記上金具又は下金具に対して係合可能に形成され、前記消火剤容器の外周面と前記消火装置カバーの前記側板の内側面との間には、前記取付スペースで前記消火剤容器の外周面を把持して前記回転を与えることが可能な、幅方向の隙間が設けられ、前記自動消火装置は、前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバ一と一体で着脱可能に設けられている」に訂正する。」という記載を、
「ス 訂正事項13
明細書の段落【0006】に、「ユーザが入ることができる空間を形成する筐体と、該筐体に結合した扉とを備える可搬式の防音室であって、前記筐体の天井には、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備えた自動消火装置が設けられ、前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスターが設けられ、前記自動消火装置は、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられ、前記天井には、前記消火剤容器を覆う消火装置力バーが設けられ、前記消火装置カバーは、上板に前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有し、該取付部に前記消火剤容器を取り付けた状態で、前記放出ノズルが前記天井の高さ位置に揃う高さ寸法を有するとともに、前記消火剤容器の外径に対応する幅寸法を有して形成されている」と記載されているのを、「ユーザが入ることができる空間を形成する直方体の筐体と、該筐体に結合した扉とを備え、建物内に設置される可搬式の防音室であって、前記筐体は、側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成され、前記筐体の天井には、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、該消火剤容器の下端中央に設けられ、内蔵される前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない自動消火装置が設けられ、前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスタ一が設けられ、前記自動消火装置は、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられるとともに、前記消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませてなり、前記消火剤容器は、幅よりも高さが小さく形成され、前記天井の室外側には、前記消火剤容器を覆う消火装置カバーが設けられ、前記消火装置カバーは、側板と、上板とからなる箱状のものであって、内側には箱の開放部を通じて導入される前記消火剤容器の取付スペースが設けられ、前記上板に前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有し、該取付部に前記消火剤容器を取り付けた状態で、前記放出ノズルが前記天井の高さ位置に揃う高さ寸法を有するとともに、前記消火剤容器の外径に対応する幅寸法を有して形成され、前記取付部は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具からなり、前記上金具は、前記消火装置カバーの上板の下面に、前記下金具は、前記消火剤容器の上面にそれぞれ固着され、両金具のいずれか一方のフックをいずれか他方の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記消火剤容器を前記消火装置カバーに対して水平方向に回転させることにより、前記フックが前記上金具又は下金具に対して係合可能に形成され、前記自動消火装置は、前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバ一と一体で着脱可能に設けられている」に訂正する。」に補正する。
(2)本件補正の適否
訂正事項7に係る補正は、「消火剤容器」の幅と高さについての訂正事項と、外周面の形状について訂正事項のうち、外周面の形状についての訂正事項を削除するものであるから、訂正請求書の請求の趣旨の要旨を変更するものではない。訂正事項11に係る補正は、訂正事項11を削除する補正であるから訂正請求書の請求の趣旨の要旨を変更するものではない。訂正事項13に係る補正は、訂正事項11及び訂正事項13に係る補正に整合させるための訂正明細書についての訂正事項の補正であるから、訂正請求書の請求の趣旨の要旨を変更するものではない。
よって、本件補正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定に違反するものではないので、これを認める。
3 訂正の適否
上記2に示したとおり本件補正は認められるから、本件補正後の本件訂正の内容は、以下のとおりである。なお、訂正事項11は、本件補正により削除されている。
(1)本件補正後の訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「ユーザが入ることができる空間を形成する筐体」と記載されているのを、
「ユーザが入ることができる空間を形成する直方体の筐体」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「筐体に結合した扉とを備える可搬式の防音室」と記載されているのを、
「筐体に結合した扉とを備え、建物内に設置される可搬式の防音室」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の「防音室であって、」の後に新たな段落を設けて「前記筐体は、側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成され、」の記載を加えて訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズル」と記載されているのを、
「該消火剤容器の下端中央に設けられ、内蔵される前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズル」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に、
「一体的に備えた自動消火装置」と記載されているのを、
「一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない自動消火装置」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられ」と記載されているのを、
「前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられるとともに、前記消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませてなり」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1の訂正事項6によって訂正された「臨ませてなり、」の後に新たな段落を設けて「前記消火剤容器は、幅よりも高さが小さく形成され、」の記載を加えて訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記天井には、前記消火剤容器を覆う消火装置カバーが設けられ、」と記載されているのを、
「前記天井の室外側には、前記消火剤容器を覆う消火装置カバーが設けられ、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記消火装置カバーは、上板に」と記載されているのを、
「前記消火装置カバーは、側板と、上板とからなる箱状のものであって、内側には箱の開放部を通じて導入される前記消火剤容器の取付スペースが設けられ、前記上板に」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項1の「幅寸法を有して形成され、」の後に新たな段落を設けて「前記取付部は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具からなり、前記上金具は、前記消火装置カバーの上板の下面に、前記下金具は、前記消火剤容器の上面にそれぞれ固着され、両金具のいずれか一方のフックをいずれか他方の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記消火剤容器を前記消火装置カバーに対して水平方向に回転させることにより、前記フックが前記上金具又は下金具に対して係合可能に形成され、」の記載を加えて訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
サ 訂正事項11
本件補正により削除。
シ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項1の訂正事項11によって訂正された「幅方向の隙間が設けられ、」の後に新たな段落を設けて「前記自動消火装置は、前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられ」の記載を加えて訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
ス 訂正事項13
明細書の段落【0006】に、
「ユーザが入ることができる空間を形成する筐体と、該筐体に結合した扉とを備える可搬式の防音室であって、前記筐体の天井には、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備えた自動消火装置が設けられ、前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスターが設けられ、前記自動消火装置は、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられ、前記天井には、前記消火剤容器を覆う消火装置力バーが設けられ、前記消火装置カバーは、上板に前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有し、該取付部に前記消火剤容器を取り付けた状態で、前記放出ノズルが前記天井の高さ位置に揃う高さ寸法を有するとともに、前記消火剤容器の外径に対応する幅寸法を有して形成されている」と記載されているのを、
「ユーザが入ることができる空間を形成する直方体の筐体と、該筐体に結合した扉とを備え、建物内に設置される可搬式の防音室であって、前記筐体は、側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成され、前記筐体の天井には、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、該消火剤容器の下端中央に設けられ、内蔵される前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない自動消火装置が設けられ、前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスタ一が設けられ、前記自動消火装置は、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられるとともに、前記消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませてなり、前記消火剤容器は、幅よりも高さが小さく形成され、前記天井の室外側には、前記消火剤容器を覆う消火装置カバーが設けられ、前記消火装置カバーは、側板と、上板とからなる箱状のものであって、内側には箱の開放部を通じて導入される前記消火剤容器の取付スペースが設けられ、前記上板に前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有し、該取付部に前記消火剤容器を取り付けた状態で、前記放出ノズルが前記天井の高さ位置に揃う高さ寸法を有するとともに、前記消火剤容器の外径に対応する幅寸法を有して形成され、前記取付部は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具からなり、前記上金具は、前記消火装置カバーの上板の下面に、前記下金具は、前記消火剤容器の上面にそれぞれ固着され、両金具のいずれか一方のフックをいずれか他方の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記消火剤容器を前記消火装置カバーに対して水平方向に回転させることにより、前記フックが前記上金具又は下金具に対して係合可能に形成され、前記自動消火装置は、前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバ一と一体で着脱可能に設けられている」に訂正する。
(2)訂正の目的、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的
訂正事項1に係る訂正は、「筐体」について、「直方体」のものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項1で限定した特定事項について、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。)の段落【0013】には、「筐体12は、金属、木材又は樹脂などの部材からなり、全体として高さ寸法の大きい直方体に形成され、・・・」との記載がある。前記記載を踏まえると、訂正事項1で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的
訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「防音室」について、「建物内に設置される」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記(ア)のとおり、訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項2で限定した特定事項について、本件明細書等の段落【0012】には、「防音室11は、図1乃至図7に示すように、筐体12と扉13とによって形成され、人が入ることができる空間を有し、例えば、駅構内、空港、商業施設、展示場、屋外の広場、店舗の内部、ホテル、共同住宅、又はオフィス内のように、さまざまな人が通行する場所に設置される。」との記載があり、また、段落【0020】には、「防音室11には、防災上の観点から、内壁面の吸音材12aや床面に敷き詰めたタイル材12cについて不燃性のものを使用しているが、通常、建物内に壁などによって囲まれた空間が新たに構成される場合には、密閉の程度に応じて、防災設備の増設が必要となる場合がある。」との記載がある。前記記載を踏まえると、訂正事項2で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 訂正事項3
(ア)訂正の目的
訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「筐体」について、「側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成」されることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項3で限定した特定事項について、本件明細書等の図2には、側面図が示されており、筐体2が側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成されている点が記載されている。前記記載を踏まえると、訂正事項3で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 訂正事項4
(ア)訂正の目的
訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「放出ノズル」について、「消火剤容器の下端中央に設けら」れること、及び、訂正前の請求項1に記載の「前記熱感知部」について「放出ノズル」に「内蔵される」ことを限定する訂正であるから、当該訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項4で限定した特定事項について、本件明細書等の段落【0021】には、「・・・該消火剤容器25の下端中央に設けられ、内蔵される熱感知部(図示せず)の感知を受けて消火剤を室内に放出可能な放出ノズル26とを一体的に備えている。・・・」との記載があり、前記記載を踏まえると、訂正事項4で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
オ 訂正事項5
(ア)訂正の目的
訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「自動消火装置」について、「前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない」ことを限定する訂正であるから、当該訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項5に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項5で限定した特定事項について、本件特許明細書の段落【0021】には、「・・・熱感知部には低融点金属が使用され、放出ノズル26の下端にある集熱板26aが火災源からの熱を感知すると、低融点金属が融けるとともに、容器内の加圧されたガスが密閉栓及び集熱板26aを吹き飛ばし、消火剤の放出が始まる。」との記載がある。前記「自動消火装置」が電源を使用しないで消火剤を放出できることは明らかである。前記記載を踏まえると、訂正事項5で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
カ 訂正事項6
(ア)訂正の目的
訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「放出ノズル」と「空間」との関係について、「前記消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませてな」ることを限定する訂正であるから、当該訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項6に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項6で限定した特定事項について、本件明細書等の【図8】には、つぎのものが記載されている。
「
[図:0001395169000001.jpg]
」
上記図8から、消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませてなる点が看取でき、この点を踏まえると、訂正事項6で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
キ 訂正事項7
(ア)訂正の目的
訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「消火剤容器」について、「幅よりも高さが小さく形成される」ことを限定するものであるから、当該訂正事項7は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項7に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項7で限定した特定事項について、図8(上記(6)ウ参照)には、消火剤容器の形状が「幅よりも高さが小さく形成される」ことが看取でき、この点を踏まえると、訂正事項7で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項7に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ク 訂正事項8
(ア)訂正の目的
訂正事項8に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「前記消火剤容器を覆う消火装置カバーが設けられ」るところについて、「前記天井の室外側」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項8に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項追加の有無
訂正事項8で限定した特定事項について、本件明細書等の図8(上記(6)ウ等参照)等には、消火装置カバー30が天井12bの室外側に設けられている点が看取でき、この点を踏まえると、訂正事項8で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項8に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ケ 訂正事項9
(ア)訂正の目的
訂正事項9に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「消火装置カバー」について、その構造を「側板と、上板とからなる箱状のものであって、内側には箱の開放部を通じて導入される前記消火剤容器の取付スペースが設けられている」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項9に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項追加の有無
訂正事項9で限定した特定事項について、本件明細書等の段落【0022】には、「消火剤容器25は、箱状の消火装置カバー30によって覆われており、消火装置カバー30の上板30aに設けた取付部31に対して、消火剤容器25が着脱可能になっている。」との記載があり、また段落【0028】には、「取付部31が上下方向に当接する合わせ面を有した一対の固定金具であるため、たとえ取付スペースに制限がある場合であっても、その着脱を容易に行うことができる。」との記載がある。また、図8には、「消火剤容器25」が上方と側方の板状部材で構成されていて、その内部のスペースに「消火剤装置25」を取り付けている点が看取でき、この点を踏まえると、訂正事項9で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項9に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
コ 訂正事項10
(ア)訂正の目的
訂正事項10に係る訂正は、「着脱可能な取付部」の構成について、「前記取付部は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具からなり、前記上金具は、前記消火装置カバーの上板の下面に、前記下金具は、前記消火剤容器の上面にそれぞれ固着され、両金具のいずれか一方のフックをいずれか他方の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記消火剤容器を消火装置カバーに対して水平方向に回転させることより、前記フックが上金具又は下金具に対して係合可能に形成され」ることを限定する訂正であるから、当該訂正事項10は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項10に係る訂正は、上記(ア)のとおり、「着脱可能な取付部」の構成を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項10で限定した特定事項について、本件明細書等の【0023】には、「取付部31は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の固定金具であり、上金具31aが上板30aの下面に、下金具31bが消火剤容器25の上面にそれぞれ固着されている。これにより、下金具31bのフック31cを上金具31aの合わせ面に設けた係合孔に差し込むとともに、消火剤容器25を消火装置カバー30に対して水平方向に回転させることより、フック31cが上金具31aに係合し、消火装置カバー30内に自動消火装置24が固定される。」との記載がある。また、【0031】には「加えて、・・・取付部の形状も任意であ」ることも記載されている。前記記載を踏まえると、訂正事項10で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
よって、訂正事項10に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
サ 訂正事項11
本件補正により削除された。
シ 訂正事項12
(ア)訂正の目的
訂正事項12に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「自動消火剤装置」が「天井」に設けられた態様について、「前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)のとおり、訂正事項12に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項追加の有無
訂正事項12で限定した特定事項について、本件明細書等の段落【0023】には「消火装置カバー30内に自動消火装置24が固定される。」との記載があり、当該記載から、「自動消火剤装置」は「消火装置カバー」と一体となるものといえる。また、段落【0029】には、「建屋内の間口が狭い場所など、防音室11を傾斜状態にして通過せざるを得ない状況であっても、消火装置カバー30の位置を低く抑えて安全かつ迅速な運搬が行える。」との記載があり、当該記載から、「防音室」を傾斜状態した場合であっても、「消火装置カバー」が天井から脱落していないから、「自動消火装置」は、「消火装置カバー」を介して天井に取り付けることができているといえる。さらに、図8には、「自動消火装置」が、天井の外側に設けられるとともに、消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませている点が看取できる。一般的に「消火剤が充填された消火剤容器」を備える消火装置は、消火剤に使用期限があることから、定期的に交換できる仕組みを具備していると考えることが技術常識である。そうすると、図8において、消火剤容器が開口を通じて室内側に取り出せない構造であることを踏まえれば、「自動消火装置」は、「両金具同士を係合させた状態で、室外側から」、「消火装置カバーと一体」で取り外せるように設けていると考えるのが自然である。よって、前記記載を踏まえると、訂正事項12で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項12に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ス 訂正事項13
(ア)訂正の目的
訂正事項13に係る訂正は、上記訂正事項1ないし10,12に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるので、訂正事項13は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項13に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項13は、上記ア~コ、シで判断したことを踏まえれば、本件明細書等に記載されているから、訂正事項13に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(3)訂正の単位について
訂正前の請求項1~3について、請求項2及び3は、請求項1を引用するものであって、訂正事項1~12によって記載が訂正され、請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 訂正請求のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
令和4年3月11日にした本件訂正請求は認められるから、本件特許の請求項1~3に係る発明(以下「本件訂正発明1」等といい、本件訂正発明1ないし3をまとめて「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ユーザが入ることができる空間を形成する直方体の筐体と、該筐体に結合した扉とを備え、建物内に設置される可搬式の防音室であって、
前記筐体は、側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成され、
前記筐体の天井には、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、該消火剤容器の下端中央に設けられ、内蔵される前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない自動消火装置が設けられ、
前記筐体の底面には、キャスター及びアジャスターが設けられ、
前記自動消火装置は、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられるとともに、前記消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませてなり、
前記消火剤容器は、幅よりも高さが小さく形成され、
前記天井の室外側には、前記消火剤容器を覆う消火装置カバーが設けられ、
前記消火装置カバーは、側板と、上板とからなる箱状のものであって、内側には箱の開放部を通じて導入される前記消火剤容器の取付スペースが設けられ、前記上板に前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有し、該取付部に前記消火剤容器を取り付けた状態で、前記放出ノズルが前記天井の高さ位置に揃う高さ寸法を有するとともに、前記消火剤容器の外径に対応する幅寸法を有して形成され、
前記取付部は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具からなり、前記上金具は、前記消火装置カバーの上板の下面に、前記下金具は、前記消火剤容器の上面にそれぞれ固着され、両金具のいずれか一方のフックをいずれか他方の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記消火剤容器を前記消火装置カバーに対して水平方向に回転させることにより、前記フックが前記上金具又は下金具に対して係合可能に形成され、
前記自動消火装置は、前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられていることを特徴とする防音室。
【請求項2】
前記筐体の天井には、前記空間内に上昇気流を形成して火災源からの熱の上昇を促進させるファンが設けられていることを特徴とする請求項1記載の防音室。
【請求項3】
前記消火装置カバーは、前記筐体の外壁面の位置に対して内側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の防音室。」
第4 取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由の概要、及び証拠等の記載
1 取消理由の概要訂正前の請求項1~3に係る特許に対して、当審が令和4年1月6日付け取消理由の要旨は、次のとおりである。
【取消理由の要旨】
請求項1~3に係る発明は、甲1発明、甲3発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項に規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<証拠>
甲第1号証 :TELECUBE by okamura[テレキューブbyオ カムラ]、株式会社オカムラ、独立行政法人工業所有権 情報・研修館、平成30年12月4日受入
甲第3号証 :米国特許第5315292号明細書
甲第9号証 :“SPA-5型スプリンクラーエース取扱説明書”、日 本ドライケミカル株式会社
甲第9号証の3:日本消防設備安全センター認評定合格品・評価業務一覧 検索
甲第9号証の4:NDC SPA-5 下方放出型自動消火装置(固定式 ・吊下式)スプリンクラーエース Sprinkler ACE、日 本ドライケミカル株式会社
甲第9号証の6:Spurinkler ACE スプリンクラーエース SPA-5 下方放出型自動消火装置(固定式・吊下式 )、NDC日本ドライケミカル株式会社、独立行政法人 工業所有権情報・研修館、平成26年3月24日受入
甲第15号証 :意匠登録第1415106号公報
甲第16号証 :実願平3-9459号(実開平4-127371号)の マイクロフィルム
参考文献3 :実願昭52-134444号(実開昭54-60996 号)のマイクロフィルム
参考文献4 :特開平10-216261号公報
参考文献5 :特開平11-104263号公報
参考文献10 :実願昭61-40009号(実開昭62-152118 号)のマイクロフィルム
なお、参考資料は、申立人が令和3年11月24日付けの意見書に添付して提出したものである。
2 証拠等の記載
(1)甲第1号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、次の記載がある。(下線は当審で付した。以下同様。)
ア 2枚目の上段右の記載
(ア)「最高の集中環境をもたらすフルクローズ型のワークブース」
(イ)「床・壁・天井すべての面が囲われた個室空間。
遮音、吸音、照明、換気の各機能が室内の快適性を高め、これまでにない集中環境をもたらします。」
(ウ)「主たる構成部材にスチールや不燃クロス、グラスウールなどの不燃材を採用し、熱感知式の消火器を設置することで防火性を高めています。」
(エ)写真
「
[図:0001395169000002.jpg]
」
上記写真から、以下の点が看取できる。
・天井の外側に物体を設けた点
・ワークブースが、床・壁・天井により形成され、直方体の形状をなす構造体と、前記床の下に前記構造体を支持する支持部材とを有している点。
・前記壁にドアを備えている点。
イ 2枚目中段の記載
(ア)「高い遮音性と吸音性
ドアは建材仕様で密閉度が高く、音漏れを防ぎます。また内装パネルは映画館等でも使用されている高性能の吸音パネルを採用し、音の反響を軽減します。」
(イ)「ダウンライトと換気ファン温白色(3500K)のダウンライトが室内を優しく照らします。また換気ファンによって室内の空気を常に循環し、快適性を保ちます。」
(ウ)2枚目中段の左から2番目の写真の下部に「ダウンライトと換気ファン」との記載があり、また当該写真から、天井に、白く光る部分と、2つの四角形の部位とが存在している点が看て取れる。
ウ 2枚目の下段左のサイズの欄
(ア)床・壁・天井により形成される構造体について、正面からみて横幅が1200mm、高さ(天井の上端から床の下端まで)が2135mmの寸法あり、側面からみて横幅が1200mmの寸法である点が記載されている。
(イ)各図面からみて、天井の外側に直方体の突出物体が設けられている点が看取できる。
エ 2枚目の上段左の写真
ワークブースが、床部、壁部、天井部を有する建造物ににおいて、前記床部の上であって、壁部側に3台並んで設置されている点が看て取れる。
オ 上記イ(イ)及び(ウ)から、ワークブースは、天井にダウンライトと換気ファンを備えているといえる。
カ 以上を総合すると、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲1発明)
「床部、壁部、天井部を有する建造物において、前記床部の上であって壁部側に設置されていて、
床・壁・天井により形成され、直方体の形状をなす構造体と、前記床の下に前記構造体を支持する支持部材とを有しているフルクローズ型のワークブースであり、
前記壁にドアを備えており、
床・壁・天井すべての面が囲われた個室空間を有し、
遮音、吸音、照明、換気の各機能を有し、主たる構成部材にスチールや不燃クロス、グラスウールなどの不燃材を採用し、熱感知式の消火器を設置することで防火性を高めており、
ドアは建材仕様で密閉度が高く、音漏れを防ぎ、高性能の吸音パネルを採用し、音の反響を軽減し、
天井に室内の空気を常に循環する換気ファンを備え、
床・壁・天井により形成される構造体について、正面からみて横幅が1200mm、高さが2135mmの寸法、側面からみて横幅が1200mmの寸法である、
ワークブース。」
(2)甲第3号証
ア 甲第3号証の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には、次の記載がある。
(ア)「The present invention is a combination smoke detector with audible alarm andautomatic fire extinguisher for mounting in the ceiling of a room.」(第1欄第66~68行)
(申立人が甲第3号証に添付した翻訳文(以下「(翻訳文)」という。)による。)
「本発明は、部屋の天井に取り付けるための可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知器である。」
(イ)「Referring now to the drawing figures in general, and particularly to FIG. 1 which is an exploded view of a preferred embodiment of the present invention, which includes a housing 10 which in this example of the invention is a cylindrical member having one opened end 12 and an oppositely disposed closed end 14. Housing 10 may be made of sheet metal. The opened end 12 of housing 10 being considered the bottom end, and the closed end of housing 10 being considered the top end because of the orientation thereof when installed in a ceiling 94. The opened end 12 of housing 10 includes an outwardly extending annular flanged rim, designated flange 16, which serves as a surface to which to abut to the finished ceiling 94 of the room. Flange 16 also includes screw apertures 18 for receiving mounting screws 20 used to removably attach the trim plate 22. The trim plate 22 which includes a powder manifold and distributor will be described in detail later.」(第3欄第30~47行)
(翻訳文)
「ここで、一般的な図面、特に図1を参照する。図1は、本発明の好ましい実施形態の分解図であり、ハウジング10を含み、ハウジング10は、本発明のこの例では、1つの開放端12および反対に配置された閉鎖端14を有する円筒形部材である。ハウジング10は、板金でできていてもよい。ハウジング10の開放端12は下端と見なされ、ハウジング10の閉鎖端は、天井94に設置されたときのその向きのために上端と見なされる。ハウジング10の開放端12は、部屋の完成した天井94に隣接する表面として機能する。フランジ16と呼ばれる外向きに延びる環状フランジ付きリムを含む。フランジ16はまた、トリムプレート22を取り外し可能に取り付けるために使用される取り付けねじ20を受け入れるためのねじ開口18を含む。粉末マニホルドおよび分配器を含むトリムプレート22については、後で詳細に説明する。」
(ウ)「The solenoid valve 52 will be open only when smoke is being sensed simultaneously with sufficient heat around the close-on-temperature-rise heat sensor switch 55 wherein the heat sensing switch 55 closes to complete the circuit and allow the activation of the solenoid valve 52 at which point a quantity of fire retardant powder 56 is dispersed in the immediate area from a pressurized canister 58.
・・・・・. If smoke is being sensed and the audible alarm is sounding, and there is sufficient heat to close the electrical contacts of the heat sensor switch 55, then solenoid valve 52 will be opened by the electro magnetic coil, and fire retardant powder 56 will be released to hopefully put out the fire or at least slow it down. Solenoid valve 52, which is a normally closed valve, is positioned over the dispensing opening 60 of the pressurized canister 58 of fire retardant powder 56. Upon activation of solenoid valve 52, fire retardant powder 56 is released or dispersed from my invention into the room.」(第5欄第1~29行)
(翻訳文)
「電磁弁52は、温度上昇により閉じる熱センサースイッチ55の周囲の十分な熱と同時に、煙が感知されているときにのみ開くものであり、熱センサースイッチ55は、回路を完成させて、電磁弁52の作動を可能にしている。その時点で、ある量の難燃性粉末56が、加圧されたキャニスター58からすぐ近くの領域に分散される。・・・・・煙が感知され、可聴アラームが鳴り、熱センサースイッチ55の電気接点を閉じるのに十分な熱がある場合、電磁弁52が電磁コイルによって開かれ、難燃性粉末56が放出され、うまくいくと、消火し、少なくとも火災を遅延させる。常閉弁である電磁弁52が、難燃性粉末56の加圧キャニスター58の分配開口部60の上に配置されている。電磁弁52が作動すると、難燃性粉末56がこの発明から部屋に放出又は分散される。」
(エ)「Canister 58 is removably retained within housing 10 by three equal distantly spaced clips 66 attached within the interior of housing 10. As may be ascertained from FIGS. 1 and 4, clips 66 are elongated spring or resilient members attached at the top ends thereof to the interior surface of the closed end 14 of housing 10. The lower ends, that is the ends of clips 66 closest to the opened end 12 of housing 10 are left unattached. Clips 66 are roughly shaped the same as the outside of the canister 58. Clips 66 are flexible and resilient, and positioned so that canister 58 may be pressed in between the clips 66 at which time the clips 66 move outward until canister 58 is fully inserted between the clips 66 within housing 10, and the clips 66 spring back to removably retain the canister 58 within the housing 10 by frictional engagement or adhesion, particularly around the narrowed neck portion of the canister 58.」(第5欄第57行~第6欄第5行)
(翻訳文)
「キャニスター58は、ハウジング10の内部に取り付けられた3つの等間隔のクリップ66によって、ハウジング10内に取り外し可能に保持される。図1及び4に示されるように、クリップ66は、その上端がハウジング10の閉端14の内面に取り付けられた細長いバネ又は弾性部材である。下端、すなわち、ハウジング10の開放端12に最も近いクリップ66の端は、取り付けられていないままである。クリップ66は、キャニスター58の外側とほぼ同じ形状である。
クリップ66は可撓性で弾力性があり、キャニスター58がクリップ66の間に押し込まれることができるように配置され、その時点で、キャニスター58がハウジング10内のクリップ66の間に完全に挿入され、クリップ66が跳ね返って戻るまでクリップ66が外側に移動する。特にキャニスター58の狭くなったネック部分の周りで、摩擦係合または接着によって、キャニスター58をハウジング10内に取り外し可能に保持する。」
(オ)「The second attachment system, and the one which will most likely only be used during remodeling when the finished ceiling 94 is in place, uses a plurality of L-shaped attachment clips 91. When using attachment clips 91, the band 78 with attachment arms 72 is removed from housing 10 and not used. In order to use attachment clips 91, housing 10 includes a plurality of cross-shaped apertures 92 through the sidewall of the housing 10. Three or four cross-shaped apertures 92 will normally be used spaced equal distance from one another around the housing 10 and positioned above or further away from the open end of the housing 10 than flange 16. Using attachment clips 91, housing 10 may be installed into an existing finished ceiling 94 without accessing an attic above the ceiling 94. During a remodel in multi-story building, it is not always possible to enter an attic, particularly when most of the time there is no accessible attic between the ceiling 94 of a lower story room and the adjacent floor of the room one flight up. To install housing 10, a hole must be cut in the finished ceiling 94 just large enough to allow the insertion of the closed end 14 of the housing through the hole, but not so large as to allow the flange 16 at the opened end 12 of the housing 10 to pass through the hole.」(第7欄第9~33行)
(翻訳文)
「第2の取付けシステム、および完成した天井94が所定の位置にあるときの改造中にのみ使用される可能性が最も高いものは、複数のL字型取り付けクリップ91を使用する。取り付けクリップ91を使用する場合、取り付けアーム72を備えたバンド78は、ハウジング10から取り外され、使用されない。取り付けクリップ91を使用するために、ハウジング10は、ハウジング10の側壁を通る複数の十字形の開口92を含む。3つまたは4つの十字形の開口92は、通常、ハウジング10の周りに互いに等距離間隔で配置され、フランジ16よりもハウジング10の開放端の上またはさらに離れて配置されて使用される。取り付けクリップ91を使用して、ハウジング10は、天井94の上の屋根裏部屋にアクセスすることなく、既存の完成した天井94に設置することができる。複数階建ての建物の改造中、特に下の階の部屋の天井94と1階上の部屋の隣接する階の間にアクセス可能な屋根裏部屋がない場合は特に、屋根裏部屋に入ることが常に可能であるとは限りません。ハウジング10を設置するために、穴を通してハウジングの閉じた端部14を挿入するのにちょうど十分な大きさである一方、ハウジングの開放端12のフランジ16を通過させない大きさの穴を、完成天井94に開けなければならない。」
(カ)「・・・When all clips 91 are in place and secured, housing 10 is retained in place against the finished ceiling 94 as may be ascertained from FIG. 4. At this point, canister 58 may be installed, followed by smoke detector circuit board 36, and finally by trim plate 22.
Trim plate 22, shown best in FIGS. 1, 4, and 9, is a bowl shaped disk having an outer flange or rim 102 which is large enough in diameter to cover flange 16 of housing 10. Rim 102 has a series of screw apertures 104 for attachment of trim plate 22 to flange 16 with screws 20. Trim plate 22 also has apertures 109 which serve to allow heat and smoke access to smoke detector circuit board 36. Within the concave interior surface of trim plate 22 is a powder manifold 106 which receives fire retardant powder 56 from the output side of solenoid valve 52 when the valve 52 is open. Manifold 106 distributes the fire retardant powder 56 through a plurality of cone shaped distribution tubes 108 out into the room. Distribution tubes 108 are attached to powder manifold 106 to structurally support the manifold. Powder manifold 106 includes a cylindrical rubberized hollow tube, the upper open end of which is sized for placement over nipple 64 of canister 58. The resilient nature of the rubberized material of powder manifold 106 allows a snug frictional attachment to nipple 64. The open interior chamber of powder manifold 106 communicates with the hollow interior of each cone shaped distribution tube 108, which is each affixed, at the narrow end, radially around the exterior of powder manifold 106, as shown in FIG. 1. The larger open ends of distribution tubes 108 are attached to and open through the outer wall of trim plate22, allowing ejection of retardant powder 56 out into the room. The cone shape of the distribution tube 108 allows the retardant 56 to be disbursed in a wide pattern, and the radial placement of the openings of distribution tubes 108 through trim plate 22 allows for a 360 degree dispersement pattern. 」(第8欄第13~49行)
(翻訳文)
「・・・図4から理解されるように、すべてのクリップ91が所定の位置に配置されて固定されると、ハウジング10は、完成した天井94に対して所定の位置に保持される。この時点で、キャニスター58、続いて煙探知器回路基板36、そして最後にトリムプレート22が設置され得る。
トリムプレート22は、図1および図2に最もよく示されている。図1,4及び9は、ハウジング10のフランジ16を覆うのに十分な直径の外側フランジまたはリム102を有するボウル型のディスクである。リム102は、ねじ20でトリムプレート22をフランジ16に取り付けるための一連のねじ開口104を有する。トリムプレート22はまた、煙探知器回路基板36への熱および煙のアクセスを可能にするのに役立つ開口109を有する。トリムプレート22の凹状の内面内には、電磁弁52が開いているときに電磁弁52の出力側から難燃性粉末56を受け取る粉末マニホルド106がある。マニホルド106は、難燃性粉末56を複数の円錐型の分配管108を通して室内に分配する。分配管108は、マニホルドを構造的に支持するために粉末マニホルド106に取り付けられている。粉末マニホルド106は、円筒形のゴム引き中空管を含み、その上部開放端は、キャニスター58のニップル64上に配置するためのサイズになっている。粉末マニホルド106のゴム引きされた材料の弾力性は、ニップル64へのぴったりとした摩擦付着を可能にする。粉末マニホルド106の開放内部チャンバは、図1に示すように、粉末マニホルド106の外部の周りに半径方向に狭い端部にそれぞれ取り付けられている各円錐形分配管108の中空内部と連絡している。分配管108のより大きな開放端は、トリムプレート22の外壁に取り付けられ、それを通して開放され、遅延剤粉末56を室内に放出することを可能にする。分配管108の円錐形状は、遅延剤56が広いパターンで分配されることを可能にし、トリムプレート22を通る分配管108の開口部の半径方向の配置は、360度の分散パターンを可能にする。」
(ク)図面
a FIG.1
「
[図:0001395169000003.jpg]
」
上記FIG.1から、以下の点が看取できる。
(a)キャニスター58に、電磁弁52が配置されている点。
(b)ハウジング10は、側方の板体と上方の板体とを有し下方が開放された箱状となっており、ハウジング10の上方の板体の内部にクリップ66が、3つ取り付けられている点。
(c)熱センサースイッチ55が煙検出器回路基板36に載置されている点。
b FIG.4
「
[図:0001395169000004.jpg]
」
上記FIG.4から、以下の点が看取できる。
(a)キャニスター58が、天井94の、難燃性粉末56が放出される部屋がある側とは反対側において設けられている点。
(b)天井94の部屋がある側と反対側においてキャニスター58を覆うハウジング10が設けられている点。
(c)ハウジング10の上方の板体に取り付けられたクリップ66にキャニスター58が取り付けられた状態で、キャニスター58の分配開口部60が、キャニスター58の下端中央に設けられていて、天井94の高さと略同じ高さに配置されている点。
(d)ハウジング10が、キャニスター58の外径よりもやや大きい幅寸法を有して形成されている点。
(e)難燃性粉末56が充填されているキャニスター58と、煙検出器回路基板36とが接続している点。
(f)キャニスター58の分配開口部60が、マニホルド106の上部に設置され、キャニスター58の大きさよりも、マニホルド106における難燃性粉末56が通過する部分が小さい点。
c 上記a(c)及び上記b(e)から、煙探知器は、煙検出器回路基板36と、熱センサースイッチ55と、難燃性粉末56が充填されているキャニスター58とを、一体的に備えているといえる。
(キ)以上を総合すると、甲第3号証には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲3発明)
「部屋の天井に取り付けるための可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知器において、
キャニスター58が、天井94の、難燃性粉末56が放出される部屋がある側とは反対側において設けられ、
天井94の部屋がある側と反対側においてキャニスター58を覆うハウジング10が設けられ、
ハウジング10は、側方の板体と上方の板体とを有していて下方が開放された箱状となっており、ハウジング10の上方の板体の内部にクリップ66が、3つ、等間隔に取り付けられ、
キャニスター58は、3つの等間隔のクリップ66によって、ハウジング10内に取り外し可能に保持されており、
常閉弁である電磁弁52が、難燃性粉末56の加圧キャニスター58の分配開口部60の上に配置されており、前記電磁弁52は、温度上昇により閉じる熱センサースイッチ55の周囲の十分な熱と同時に、煙が感知されているときにのみ開く作動を可能としており、電磁弁52が作動すると、難燃性粉末56がこの発明から部屋に放出又は分散されるものであって、
熱センサースイッチ55と、難燃性粉末56が充填されているキャニスター58とを、一体的に備えており、
ハウジング10の上方の板体に取り付けられたクリップ66にキャニスター58が取り付けられた状態で、キャニスター58の分配開口部60が、キャニスター58の下端中央に設けられていて、天井94の高さと略同じ高さに配置されており、
ハウジング10が、キャニスター58の外径よりもやや大きい幅寸法を有して形成されており、
キャニスター58の分配開口部60が、マニホルド106の上部に設置され、キャニスター58の大きさよりも、マニホルド106における難燃性粉末56が通過する部分が小さくなっており、
ハウジング10を設置するために、穴を通してハウジングの閉端部14を挿入するのにちょうど十分な大きさである一方、ハウジングの開放端12のフランジ16を通過させない大きさの穴を、完成天井94に開けており、
取り付けクリップ91を使用して、ハウジング10は、天井94の上の屋根裏部屋にアクセスすることなく、既存の完成した天井94に設置することができ、すべてのクリップ91が所定の位置に配置されて固定されると、ハウジング10は、完成した天井94に対して所定の位置に保持され、この時点で、キャニスター58、続いて煙探知器回路基板36、そして最後にトリムプレート22が設置され得る、
可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知器。」
(3)甲第9号証、甲第9号証の3、甲第9号証の4及び甲第9号証の6
ア 甲第9号証
(ア)「(財)日本消防設備安全センター評定合格品〔14-001号〕」(1枚目 中段)
(イ)「2.特長
1)感知ノズルは、作動開放が確実で、信頼性のあるものです。
2)感知部に低融点合金を使用し、集熱板を二枚にしたことで、感熱性能に優れています。
3)保守点検は、指示圧力計が付いているので簡単です。
3.構成
SPA-5型スプリンクラーエースは、消火薬剤貯蔵容器・消火薬剤・感知ノズル・指示圧力計等で構成されています。
常時、貯蔵容器内には消火薬剤5Lが入り、常用圧力0.7~0.98MPaにより、火災非常時に備え警戒状態を保っています。」(2頁下から4行~3頁5行)
(ウ)3頁の図
「
[図:0001395169000005.jpg]
」
(エ)「○1(○の中に1を意味する。以下同様。)専用取付金具○Aの2カ所の穴に本体取付フックを差し込む。
○2 本体を下に引きながら時計方向に回し、1段下がる位置にする。
○3 反時計方向に戻しても本体が動かなければ取付完了。
○4 化粧板を取り付ける場合は樹脂プラグを使用し、4カ所固定してください。」(6頁下から7行~末行)
(オ)6頁中段の図
「
[図:0001395169000006.jpg]
」
上記の図から、取付金具を用いて、本体を上方の部材に取り付けた点が看取できる。
(カ)6頁下段の図
[図:0001395169000007.jpg]
」
上記の右図及び上記(エ)をふまえると、本体を上方の部材に取り付ける構成として、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具を有し、上金具が上方の部材の下面に、下金具が本体の上面にそれぞれ固着され、下金具の本体取付フックを上金具の合わせ面に設けられた穴に差し込むとともに、前記本体を上方の部材に対して水平方向に回転させることより、前記本体取付フックが上金具に対して係合可能となっている点が看取できる。
(カ)甲第9号証に記載の技術事項
上記(ア)ないし(オ)より、甲第9号証には、以下の技術事項(以下、甲第9号証に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲第9号証に記載の技術事項)
SPA-5型スプリンクラーエースは、消火薬剤貯蔵容器、消火薬剤、感知ノズル、等を備えており、感知ノズルは、感知部に低融点合金を使用しており、
本体を上方の部材に取り付ける構成として、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具を有し、上金具が上方の部材の下面に、下金具が本体の上面にそれぞれ固着され、下金具のフックを上金具の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記本体を上方の部材に対して水平方向に回転させることより、前記フックが上金具に対して係合可能となっている点。
イ 甲第9号証の3
「認評定番号 評14-001号
認評定日 2002-01-25
申請者 日本ドライケミカル株式会社
小分類 住宅用下方放出型自動消火装置
型式記号 SPA-5」
ウ 甲第9号証の4
(ア)「このカタログの記載内容は2018年1月現在です。」(一枚目 注意事項の下)
(イ)「器種 スプリンクラーエースSPA-5
・・・
評定番号 評14-001号」(1枚目 仕様の欄)
(ウ)「すばやく感知。すばやく消火。
温度感知部が一体になった高性能ノズルを採用。
温度の上昇を感知すると特殊ヒューズメタルが溶けて、すばやく薬液が放出されます。」(2枚目)
エ 甲第9号証の6
(ア)「器種 SPA-5
・・・
評定番号 評14-001号」(2枚目 仕様の欄)
(イ)二枚目の構成図
「
[図:0001395169000008.jpg]
」
オ 甲第9号証の6のカタログは、本件特許出願前の平成26年3月24日に独立行政法人工業所有権情報・研修館に受け入れられたものであるから、当該カタログに記載の日本ドライケミカル株式会社製の下方放出型自動消火装置のうち器種が「SPA-5」のものは、本件特許出願前に販売されていることが推認できる。そして、一般に取扱説明書は製品とともに購入者に配布されるものであるから、「SPA-5」の取扱説明書である甲第9号証は、販売時に多数の購入者に配布されたものと認められる。なお、「SPA-5」は、日本消防設備安全センターにおいて、2002年1月25日に認評定され、認評定番号として「14-001」の番号が与えられていたものである(甲第9号証の3参照)。
そうすると、甲第9号証は、本件特許出願前において、頒布された刊行物であると認められる。
(4)甲第15号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第15号証には、次の記載がある。
ア 甲第15号証の記載
(ア)1枚目
「(55)意匠に係る物品の説明
本物品は娯楽施設等に設置し、カラオケの提供等に供するために用いられる防音室である。キャスター付きで、移動可能となっている。酸欠防止のため、換気設備を配置している。また、『透明部を示す参考正面図』に記載の通り、入室状態を確認出来る様、透明素材から成る窓が設置されている。」
(イ)正面図
「
[図:0001395169000009.jpg]
」
(ウ)底面図
「
[図:0001395169000010.jpg]
」
(5)甲第16号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第16号証には、次の記載がある。
ア 甲第16号証の記載
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は工場等の片隅に会議室、更衣室、設計室用として設置されるブース(小屋)の床構造に関するものである。」
(イ)「【0008】
【実施例】
図1は本考案に係る床装置を示す実施例であって、ブース内にはこの床装置が複数台配列されて床を構成する。同図に示すごとく、該床装置は直方体を成す一種の箱であって、該箱の底には高さ調整用のアジャスター1が、又移動用のキャスター2が取着されている。
・・・
【0013】
ところで、このように構成した床装置は、アジャスター1、1を持ち上げるならば、キャスター2、2・・・によって支えられ、これらキャスター2、2・・・は回転して床装置を必要な位置に移動させ、所定の位置にて再びアジャスター1を突出して該アジャスター1、1・・・により床装置を支え、該床装置は所定の高さに上蓋5を保って安定静止する。ブース内には複数台の床装置を配列してブースの床を構成する。以上述べたように、本考案の床装置は内部に収納空間を持った箱の底にキャスターとアジャスターを取着し、上蓋は開閉自在とし、側板は折畳み又は解体可能としたもので、次のような効果を得ることが出来る。」
(ウ)図1
「
[図:0001395169000011.jpg]
」
(6)参考文献3
本件特許の出願前に頒布された刊行物である参考文献3には、次の記載がある。
ア 参考文献3の記載
(ア)「本考案は、上方に消火剤収納槽と下方に消火剤噴出ノズルとを具えた所謂吊下げ型自動消火装置において、消火剤噴出ノズルの下部に直接感熱板を一体に取付け、該ノズル内部には消火剤を分散噴射させるための拡散板を内設した自動消火装置に関するものである。」(明細書1頁12~17行)
(イ)「次に図面に示す実施例について、これを説明すれば、(1)は中空円盤型の消火剤収納槽(消火器本体)で、該収納槽(1)内に適宜の消火剤(a)が例えば窒素等の加圧用ガスによつて加圧充填されている。(2)は、該収納槽(1)の下方に突出した取付部で、該取付部(2)には閉塞栓(3)で閉塞した圧力ガス吹込口(4)と圧力計(5)の取付部材(6)が取付けられ、該取付部材(6)の下方に噴出ノズル(7)がねじ込み(8)によつて取付けられ、該噴出ノズル(7)の先端に鋼板製感熱板(9)が低温溶融はんだ(10)によつて一体に取付けられるとともに、噴出ノズル内には消火剤を分散放射させるためその下方に互に反対方向に折曲げた羽根(b)(b)を有する拡散板(11)を設けたものである。
・・・
収納槽の下部取付部材(6)の下方に取付けた噴出ノズル(7)の下方には感熱板(9)を低温はんだ(10)により一体に取付けたものであるから、該感熱板(9)が火災の発生によつて熱せられはんだ(10)が溶融されると、収納槽内の消火剤の加圧力によつて感熱板(9)は落下するととともに、消火剤は噴出ノズル(7)より噴出し、その際該消火剤は拡散板(11)の羽根(b)(b)によつて拡散してよく広範囲に亘り消火し得られる・・・」(明細書2頁15行~4頁2行)
(ウ)第1図
「
[図:0001395169000012.jpg]
」
(7)参考文献4
本件特許の出願前に頒布された刊行物である参考文献4には、次の記載がある。
ア 参考文献4の記載
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は消火薬剤収納容器を天井裏に設置してなる比較的小規模の自動消火装置に関するものである。」
(イ)「【0007】このような自動消火装置の感知器ノズル(8)の噴射口は低融点金属により接合している熱感知板で閉塞されている。そして火災が発生したときには該熱感知板で感知された火災熱により低融点金属が溶けて噴射口が開口し本体容器(1)内の加圧薬剤が噴射して消火するものである。」
(8)参考文献5
本件特許の出願前に頒布された刊行物である参考文献5には、次の記載がある。
ア 参考文献5の記載
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動消火装置の感熱機構、特に易融性金属型感知部の改良に関するものである。」
(イ)「【0011】図において、11は上端部に接続口11aを有するヘッド本体、12は接続口11aに縦一に連通する放出口、13は放出口12に出入可能に挿入したピストン、14はアルミ製の集熱板、15は集熱板14の中央にあってヘッド本体11の下部を収容できる大きさを有する穴、16は穴15の内周面に形成した雌ネジ、17はリング状の低融点合金(ハンダ)からなる感熱リング、18は感熱リング17の外周面に形成した雄ネジ、19はヘッド本体11の外側に装着されて集熱板14の穴15に螺合装着した感熱リング17の下端面に係合する係止部材である。
【0012】図1に示すように集熱板14の穴15に螺合装着した感熱リング17を係止部材19により吊り下げておくと、この集熱板14によりピストン13が放出口12内に閉じ込められるので、放出口12が閉鎖する。そして、火災発生時に集熱板14により熱を吸収すると、熱は感熱リング17に伝わり、感熱リング(ハンダ)17が溶ける。感熱リング17が溶けると、接続口11a側の圧力もあって、集熱板14が係止部材19から外れ、ピストン13と共に落下する。こうして放出口12が開いて消火剤が放出される。」
(9)参考文献10
本件特許の出願前に頒布された刊行物である参考文献10には、次の記載がある。
ア 参考文献10の記載
(ア)「この考案は、天井隠蔽形による空気調和機に関し、特に電気部品に対する保守サービスの作業性を向上させるための改良に関するものである。」(明細書2頁12~14行)
(イ)「円板状部材16の同心円上部分でかつ対向する部分に円弧状のダルマ孔19が45°以上の範囲にわたって設けられている。そして、この場合におけるダルマ孔19は、大円孔20と小長孔21とによって構成されている。・・・23a,23bは座付ネジのような掛止部材であって、前記円板状部材16に設けられているダルマ孔19の大円孔20から挿入されて小長孔21に掛止されるようになっている。」(明細書7頁5~20行)
(ウ)「化粧グリル22に回動力を加えると、化粧グリル22に固定されて円板状部材16のダルマ孔19と係合している掛止部材23a,23bは、ダルマ孔19における小長孔21に案内されて周方向にスライドすることになる。」(明細書8頁9~13行)
(エ)「第8図,第9図に示すように掛止部材23a,23bを円板状部材16に設けるとともに、化粧グリル22の掛止部材23a,23bと対応する部分に大円孔20と円弧状の小長孔21からなるダルマ孔19を設けたものである。従って、この様な構成においても、係止関係が反転するのみであって、同様な効果が得られる。」(明細書9頁17行~10頁4行)
3 当審の判断
(1)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)a 甲1発明の「ワークブース」は、「フルクローズ型」であり、「遮音」の機能を有していて、「音漏れを防」ぐものである。そうすると、甲1発明の、「遮音」の機能を有していて、「音漏れを防」ぐ「ワークブース」は、本件訂正発明1の「防音室」に相当する。
b 甲1発明の「個室空間」は、ワークブースの利用者が入れることは明らかである。また、甲1発明の「床・壁・天井により形成され」る「構造体」は、「個室空間」を囲う箱状のものといえる。よって、甲1発明の「床・壁・天井により形成され」る「構造体」は、本件訂正発明1の「ユーザが入ることができる空間を形成」する「筐体」に相当する。
c 甲1発明の「床・壁・天井により形成され」る「構造体」は、「直方体の形状をな」しており、また、「正面からみて横幅が1200mm、高さが2135mmの寸法であり、側面からみて横幅が1200mmの寸法であ」ることから、側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成されていることは明らかである。そうすると、甲1発明は、本件訂正発明1の「直方体の筐体」の構成、及び、「側面視において高さ寸法の大きい長方形状に形成され」るという構成を有しているといえる。
d 甲1発明の「壁」は、「床・壁・天井により形成され」る「構造体」(筐体)の一部であり、また、「壁にドアを備えて」いることから、「ドア」が、「床・壁・天井により形成され」る「構造体」に結合していることは明らかである。そうすると、甲1発明の「ドア」は、本件訂正発明1の「該筐体に結合した扉」に相当する。
e 甲1発明の「ワークブース」は、「床部、壁部、天井部を有する建造物において、前記床部の上であって壁部側に設置されてい」ることから、建物内に設置されていることは明らかである。
そうすると、甲1発明の「床部、壁部、天井部を有する建造物において、前記床部の上であって壁部側に設置され」る「ワークブース」は、本件訂正発明1の「建物内に設置される」「防音室」に相当する。
(イ)甲1発明は、「床・壁・天井により形成され」る「構造体」の「床の下」に、「前記構造体を支持する支持部材」を有していることと、本件訂正発明1の「筐体の底面にはキャスター及びアジャスターが設けられ」ていることとは、「筐体の底面には支持部材が設けられ」ている点で共通する。
(ウ)甲1発明の「熱感知式の消火器」は、「消火器」において「熱感知部」を有していることは明らかであり、「熱感知」は、火災の発生による熱の感知であることは明らかである。そして、「熱感知式の消火器」は、熱を感知すると自動的に消火する装置であることは明らかである。また、甲1発明の「床・壁・天井により形成され」る「構造体」のいずれかの部位において、前記「熱感知式の消火器」を設置していることは明らかである。
そうすると、甲1発明の「熱感知式の消火器」が設置されることと、本件訂正発明1の「前記筐体の天井には、火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、該消火剤容器の下端中央に設けられ、内蔵される前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない自動消火装置」が設けられることとは、「前記筐体」には、「火災の発生による熱を感知する熱感知部を備え」た「自動消火装置」が設けられる点で共通する。
そうすると、本件訂正発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「ユーザが入ることができる空間を形成する直方体の筐体と、該筐体に結合した扉とを備え、建物内に設置される防音室であって、
筐体の底面には支持部材が設けられ、
前記筐体には火災の発生による熱を感知する熱感知部を備えた自動消火装置が設けられた、
防音室。」
(相違点1)
「防音室」について、本件訂正発明1は、「筐体の底面」に「キャスター及びアジャスター」が設けられ、「可搬式」のものであるのに対して、甲1発明は、「床・壁・天井により形成され」る「構造体」に「支持部材」が設けられているものの、当該支持部材が、「キャスター及びアジャスター」であることが特定されておらず、また「可搬式」であることも特定されていない点。
(相違点2)
「自動消火装置」について、
本件訂正発明1では、「筐体の天井」に、「火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、該消火剤容器の下端中央に設けられ、内蔵される前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え、前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない自動消火装置が設けられ」、
「前記自動消火装置は、前記放出ノズルを前記天井の高さ位置に対応して配置することによって前記消火剤容器が前記天井の外側に設けられるとともに、前記消火剤容器の大きさよりも小さい開口から前記放出ノズルを前記空間に臨ませてなり、
前記消火剤容器は、幅よりも高さが小さく形成され、
前記天井の室外側には、前記消火剤容器を覆う消火装置カバーが設けられ、
前記消火装置カバーは、側板と、上板とからなる箱状のものであって、内側には箱の開放部を通じて導入される前記消火剤容器の取付スペースが設けられ、前記上板に前記消火剤容器が着脱可能な取付部を有し、該取付部に前記消火剤容器を取り付けた状態で、前記放出ノズルが前記天井の高さ位置に揃う高さ寸法を有するとともに、前記消火剤容器の外径に対応する幅寸法を有して形成され、
前記取付部は、上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具からなり、前記上金具は、前記消火装置カバーの上板の下面に、前記下金具は、前記消火剤容器の上面にそれぞれ固着され、両金具のいずれか一方のフックをいずれか他方の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記消火剤容器を前記消火装置カバーに対して水平方向に回転させることより、前記フックが前記上金具又は下金具に対して係合可能に形成され、
前記自動消火装置は、前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」のに対して、
甲1発明では、自動消火装置が、ワークブースのどのような部位に設けられたのか特定がなく、また、どのような構造であるのか具体的に特定されていないとともに、消火装置カバーとの関係も特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について検討する。
事案に鑑みて相違点2から検討する。
(ア)甲3発明について
a 甲3発明の「部屋」、「天井94」、「難燃性粉末56」、「キャニスター58」、「ハウジング10」及び「可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知機」は、本件訂正発明1の「ユーザが入ることができる空間」、「天井」、「消火剤」、「消火剤容器」、「消火装置カバー」及び「自動消火装置」に、それぞれ相当する。
b 甲3発明の「加圧キャニスター58の分配開口部60」は、「熱センサースイッチ55」により「熱」が感知されて、「電磁弁52」が開く作動をし、「難燃性粉末56」が「放出又は分散されるもの」であるから、本件訂正発明1の「前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズル」に相当する。
c 甲3発明は、「天井94の部屋がある側とは反対側においてキャニスター58を覆うハウジング10が設けられ」ていることから、「キャニスター58」が、「部屋」の「天井94」に設けられていることは明らかである。
d 上記b及びcをふまると、甲3発明の「可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知機」について、「熱センサースイッチ55と、難燃性粉末56が充填されているキャニスター58とを、一体的に備え」、「キャニスター58」が「分配開口部60」を有していて、当該「分配開口部60」がキャニスター58の下端中央に設けられていることは、本件訂正発明1が、「自動消火装置」について、「ユーザが入ることができる空間」の「天井」に、「火災の発生による熱を感知する熱感知部と、消火剤が充填された消火剤容器と、該消火剤容器の下端中央に設けられ、内蔵される前記熱感知部の感知を受けて前記消火剤を前記空間に放出可能な放出ノズルとを一体的に備え」ていることに相当する。
e(a)しかしながら、甲3発明は、「部屋の天井に取り付けるための可聴警報器と自動消火器を備えた組み合わせ煙探知器」であり、上記dで説示したとおりの「自動消火装置」を備えているが、「前記電磁弁52は、温度上昇により閉じる熱センサースイッチ55の周囲の十分な熱と同時に、煙が感知されているときにのみ開く作動を可能としており、電磁弁52が作動すると、難燃性粉末56がこの発明から部屋に放出又は分散されるものであ」ることから、電源を要するものである。
(b)また、甲3発明は、「穴」が、「完成天井94に開け」られていて、「ハウジング10を設置するために、穴を通してハウジングの閉端部14を挿入する」ものであって「ハウジング10は、完成した天井94に対して所定の位置に保持され」て、「キャニスター58、続いて煙探知器回路基板36、そして最後にトリムプレート22が設置され」るものであるから、煙探知器回路基板36(自動消火装置の部品)は、室内側から設置されるものであり、ハウジング10(消火装置カバー)とは別々に設ける構成であり、当該構成を採用することにより、「ハウジング10は、天井94の上の屋根裏部屋にアクセスすることなく、既存の天井94に設置することができ」るというものである。
f したがって、甲3発明は、本件訂正発明1との関係では、上記構成を有しているにとどまり、相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち、少なくとも「前記熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって前記放出ノズルを開放する、電源を要しない自動消火装置が設けられ」た構成(以下「電源不要の自動消火装置の構成」という。)、及び、「前記自動消火装置は、前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」構成(以下「自動消火装置の設置に係る構成」という。)は、有していない。
(イ)周知技術等について
取消理由通知<決定の予告>で提示した周知技術等は以下のとおりである。
a 自動消火装置において、消火剤容器を幅よりも高さが小さく形成すること(甲第9号証、参考文献3(上記第4の2(3)、(6)参照))。
b 消火剤容器の下端中央に設けられ、熱感知部が内蔵される放出ノズル(甲第9号証、参考文献3ないし参考文献5(上記第4の2(3)、(6)~(8)参照))。
c 熱感知部に使用される低融点金属の溶解によって放出ノズルを開放する、電源を要しないもの(甲第9号証、参考文献3ないし参考文献5)。
d 自動消火装置を上方の部材に取り付ける構成として、本体を上下方向に当接する合わせ面を有した一対の上金具及び下金具を有し、上金具が上方の部材の下面に、下金具が本体の上面にそれぞれ固着され、下金具のフックを上金具の合わせ面に設けられた係合孔に差し込むとともに、前記本体を上方の部材に対して水平方向に回転させることより、前記フックが上金具に対して係合可能となっているもの(甲第9号証等)。なお、参考文献10(上記第4の2(9)参照)などにもみられるとおり、このような取付け手段は、自動消火装置に限らず、多様な機器において採用されている常套手段。
(ウ)容易想到性について
a 甲3発明は、上記(ア)fで説示したとおり、相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち「電源不要の自動消火装置の構成」及び「自動消火装置の設置に係る構成」を有していないから、甲1発明に甲3発明を適用しても、相違点2に係る本件訂正発明1の構成に想到することはできない。
b また、甲3発明は、上記(ア)e(a)で説示したとおり、電源を要するものであり、これを電源を要しない自動消火装置に置き換える動機付けがない(仮に、甲3発明の「自動消火装置」を、「電源を要しないもの」に変更すると、甲3発明において必須の構成である「可聴警報器」、及び、煙が感知されているときにのみ開く作動をする「電磁弁」が不要になってしまう)から、「電源不要の電磁弁自動消火装置の構成」が周知技術(上記(イ)c)であるとしても、甲3発明の「自動消火装置」に、前記周知技術に適用することはできないというべきである。
c さらに、甲3発明の「自動消火装置」は、上記(ア)e(b)で説示したとおり、自動消火装置は、室内側から設置され、消火装置カバーとは別々に設ける構成であり、当該構成を採用することにより、天井94の上の屋根裏部屋にアクセスすることなく設置することができるという作用効果を奏するものであるから、上記「前記自動消火装置は、前記両金具同士を係合させた状態で、室外側から前記天井の上面に対して前記消火装置カバーと一体で着脱可能に設けられている」構成に換える動機付けはない。
したがって、申立人が提示する後記の自動消火装置の天井取付構造についての周知技術(参考資料2、参考資料14~参考資料20)を適用することはできない。
d よって、甲1発明に、甲3発明及び周知技術を適用して、相違点2に係る本件訂正発明1の構成とすることはできない。
e その他の証拠及び参考資料について
申立人が提出した甲号証ないし参考資料を見ると、申立書に添付した甲第2号証には、火災流体供給装置5と火災感知手段6と消火流体噴射手段8とを組み付けた構成が記載され、甲第6号証~甲第9号証、甲第9号証7には、住宅用下方放出型自動消火器が記載され、甲第10号証~甲第14号証には、品川駅での実証実験(2018年11月26日に報道公開)に関するものが記載されている。
また、令和4年9月16日に申立人が提出した意見書に添付した参考資料1には「スプリンクラーエース」という商品名の自動消火装置の写真が記載され、参考資料2及び参考資料3には、自動消火装置の消火剤容器において、幅よりも高さを小さく形成した点が記載され、参考資料2~参考資料5には、自動消火装置において、熱感知部を放出ノズルに内蔵させる点が記載され、参考資料3~参考資料5には、自動消火装置において、感知部が低融点金属の溶解によって放出ノズルを電源を要することなく開放するタイプのものが記載され、参考資料6には、消火剤容器のガス供給装置取付け部分の構造が記載され、参考資料7~参考資料12には、他の物品(照明器具等)の取付部の構造が記載され、参考資料2、参考資料14~参考資料20には、自動消火装置の天井取付構造や、各種装置に取り付けた下方放出型の消火装置が記載されている。
なお、甲第4号証は消防庁からの通知であり、甲第5号証は、前記通知の内容を紹介した記事である。また、参考資料13は、2021年10月16日付けのプレゼンの資料である。
しかしながら、申立人が提出した証拠及び参考資料には、相違点2に係る本件訂正発明1の部分的な構成は記載されいるとはいえるものの、相違点2に係る本件訂正発明1の構成は記載されていない。
したがって、甲1発明に、甲3発明及び申立人が提出したその余の証拠ないしは参考資料に記載された技術事項を適用しても、相違点2に係る本件訂正発明1の構成とすることはできない。
(エ)申立人の主張
a 申立人は、本件訂正発明1の「電源不要の自動消火装置の構成」は、甲第9号証、甲第9号証の4に記載された周知技術であり、当該周知技術は、部屋の天井に配設する下方放出の自動消火装置に関するものであり、甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明に組み合わせる動機付けは存在する旨主張している。(申立人意見書(令和4年9月16日)3意見の内容:(B-5)、(C-2))
しかしながら、上記周知技術を、甲第1号証に記載された発明に適用しても、相違点2に係る本件訂正発明1の構成が想到できるものではなく、また上記(ウ)bで説示したとおり、甲第3号証に記載された発明の自動消火装置に、上記周知技術を適用する動機付けはないというべきである。
b 申立人は、本件訂正発明1の「自動消火装置の設置に係る構成」に係る技術的思想は、参考資料2、参考資料14~参考資料20に記載又は示唆されていて周知の事項であって、当該周知の事項を、甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明に組み合わせる動機付けは存在する旨主張している。(申立人意見書(令和4年9月16日)3意見の内容:(B-12)、(C-3))
しかしながら、上記周知の事項を、甲第1号証に記載された発明に適用しても、相違点2に係る本件訂正発明1が想到できるものではない。また、上記(ウ)cで述べたとおり、甲第3号証に記載された発明の自動消火装置は、室内側から設置され、消火装置カバーとは別々に設けられる構成であり、当該構成により、天井94の上の屋根裏部屋にアクセスすることなく設置することができるものであるから、上記構成に換えて、周知の事項を適用する動機付けはないというべきである。
c 以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。
ウ 小括
よって、その他の相違点を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明、甲3発明及び申立人が提出したその余の証拠ないしは参考資料に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明2及び3について
本件訂正発明2及び3は、本件訂正発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、本件訂正発明2及び3は、甲1発明、甲3発明及び申立人が提出したその余の証拠ないしは参考資料に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
1 29条2項違反(進歩性)
申立人は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証に記載された事項及び甲第3号証に記載された事項を適用すれば、本件訂正発明1ないし3に容易に相当する旨主張している。(申立書30頁1行~36頁9行)
しかしながら、甲第2号証には、簡易自動消火器1が、消火流体噴出手段8(放出ノズル)、消火流体収容タンク5A(消火剤容器)、ハウジング4等を有している点は記載されており、甲第3号証には、上記第4の2(2)のとおりの記載があるものの、甲第2号証及び甲第3号証のいずれにおいても、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち、少なくとも「電源不要の自動消火装置の構成」及び「自動消火装置の設置に係る構成」は、記載も示唆もされていない(上記第4の3(1)イ(ア)f参照)
したがって、本件訂正発明1~3は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された事項及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 29条1項3号違反(新規性)
申立人は、本件訂正発明1~3が、甲第1号証に記載された発明である旨主張している。なお、訂正前の請求項1に係る発明における、甲第1号証に記載された発明との相違点に係る発明特定事項は、周知技術1~6(甲第4号証~甲第14号証)に相当すると主張する。(申立書36頁10行~40頁3行)
しかしながら、本件訂正発明1と甲第1号証に記載された発明との相違点は、上記第4の3(1)アのとおり認定でき、認定した相違点1及び2は、実質的な相違点であることから、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明ではない。本件訂正発明2及び3についても同様に、甲第1号証に記載された発明ではない。
なお、申立人は、予備的に甲第1号証に記載された発明及び周知技術1~6(甲第4号証~甲第14号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。(申立書40頁4~8行)
しかしながら、上記第4の3(1)イで検討したとおり、本件訂正発明1と甲1発明との相違点1及び2で相違し、少なくとも、相違点2に係る本件訂正発明1の構成は、当業者が容易に想到することができないものである。
したがって、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術1~6(甲第4号証~甲第14号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件訂正発明2及び3についても、同様の理由により、甲第1号証に記載された発明及び周知技術1~6(甲第4号証~甲第14号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700058