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特許異議申立

2022-700623

飲料用缶の製造方法

審判番号
2022-700623
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-147855
登録番号
7013161
請求日
2022年07月12日
審決日
2024年06月28日
公報発行日
2024年09月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】アルテミラ株式会社
  • 【権利者代理人】古部 次郎
  • 【権利者代理人】水戸 洋介
  • 【権利者代理人】尾形 文雄
  • 【異議申立人】宮口 聡
審判長/審判官
  • 審判長 殿川 雅也
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 門 良成
分類
P1651.121-YAA(B21D) / P1651.537-YAA(B21D) / P1651.55 -YAA(B21D) / P1651.851-YAA(B21D) / P1651.857-YAA(B21D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7013161号発明「飲料用缶の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7013161号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、〔1-4〕、5、6、7、8、9について訂正することを認める。 特許第7013161号の請求項3及び4に係る特許についての申立ては却下する。 特許第7013161号の請求項1乃至2、5、6、7、8、9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7013161号の請求項1乃至9に係る特許についての出願(以下「本願」という。)は、平成29年7月31日に出願され、令和4年1月21日にその特許権の設定登録がされ、同年1月31日に特許公報が発行された。 その後、その特許について、同年7月12日付けで特許異議申立人 宮口聡(以下「特許異議申立人」という。)により請求項1乃至9に対して特許異議の申立がされ、同年9月14日付けで取消理由が通知され、同年11月18日に特許権者より訂正請求がなされるとともに意見書が提出され、令和5年1月11日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年2月10日に特許権者より意見書が提出され、同年5月9日付で取消理由(決定の予告)が通知され、同年7月10日に特許権者より訂正請求がなされるとともに意見書が提出され、同年10月27日に特許異議申立人より意見書が提出され、令和6年2月14日付けで取消理由が通知され、同年4月18日に特許権者より訂正請求(以下「本件訂正請求」といい、また、本件訂正請求によりなされる訂正を、以下「本件訂正」という。)がなされるとともに意見書が提出され、同年6月6日に特許異議申立人より意見書が提出されたものである。 なお、令和4年11月18日及び令和5年7月10日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取下げられたものとみなす。 第2 本件訂正請求による訂正の適否 1 訂正請求の趣旨 本件訂正請求は、令和6年4月18日に提出された訂正請求書の記載からみて、その請求の趣旨を「特許第7013161号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを求める。」とするものである。 また、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(特許掲載公報に記載されたものであって、本件訂正請求による訂正前のもの)について言及する際には、以下において、それぞれ、「本件特許明細書」、「本件特許請求の範囲」、「本件特許図面」といい、これらをまとめて「本件特許明細書等」という。 2 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである(注:下線部分は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備える飲料用缶の製造方法。」と記載されているのを、 「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体を周方向へ回転させながら、当該空の缶体の外面のうちの前記縮径部に位置する部分および当該外面のうちの前記缶胴部分に位置する部分の両者に対して、当該空の缶体の軸方向に沿って延び当該縮径部および当該缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて直接画像を形成する画像形成工程と、 を備える飲料用缶の製造方法。」 に訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、 「前記空の缶体は、前記開口部とは反対側に底部を有し、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体に入れられて当該空の缶体の内部から当該缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも前記底部側に位置する缶胴部分の内周面に接近して当該内周面に接触する部位を備えた支持部材により当該缶体が支持される請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。」と記載されているのを、 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記空の缶体は、前記開口部とは反対側に底部を有し、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体に入れられて当該空の缶体の内部から当該缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも前記底部側に位置する缶胴部分の内周面に接近して当該内周面に接触する部位を備えた支持部材により当該缶体が支持される、 飲料用缶の製造方法。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に、 「前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体の内部から当該空の缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能を有した支持部材により当該缶体が支持される請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。」と記載されているのを、 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体の内部から当該空の缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能を有し当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される当該支持部材により当該空の缶体の当該底部と当該開口部とが支持される、 飲料用缶の製造方法。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に、 「前記空の缶体の底部には、当該空の缶体の内部側に凹む凹部が設けられ、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体を当該空の缶体の外側から支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記底部に設けられた前記凹部に入る凸部を有し当該底部を吸引する機能を有した支持部材により当該空の缶体が支持される請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。」 と記載されているのを、 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程であって、当該空の缶体の軸方向に沿って延びるインクジェットヘッドを用いて当該外面への画像の形成を行う画像形成工程と、 を備え、 前記空の缶体の底部には、当該空の缶体の内部側に凹む凹部が設けられ、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体を当該空の缶体の外側から支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記底部に設けられた前記凹部に入る凸部を有し当該底部を吸引する機能を有した当該支持部材により当該空の缶体が支持されるとともに、当該空の缶体の前記外面が前記インクジェットヘッドに対峙した状態で当該空の缶体の当該外面への画像の形成が行われる、 飲料用缶の製造方法。」 に訂正する。 請求項7の記載を引用する請求項8も同様に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項9に、 「前記画像形成工程では、縮径が行われた後の前記空の缶体の前記外面のうちの、前記縮径部を除いた部分である缶胴部分に画像を形成する請求項1に記載の飲料缶の製造方法。」 と記載されているのを、 「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して、当該空の缶体の軸方向に沿って延び前記縮径部および前記缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記画像形成工程では、縮径が行われた後の前記空の缶体の前記外面のうちの前記缶胴部分への画像の形成を行い、当該外面のうちの前記縮径部への画像の形成を行わない、 飲料用缶の製造方法。」に訂正する。 (8)別の訂正単位とする求め 特許権者は、訂正請求書において、訂正後の請求項5~9については、当該請求項5~9の各々の請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 3 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無について (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 上記訂正事項1は、請求項1の「飲料用缶の製造方法」における発明特定事項である「縮径工程」における「筒状且つ空の缶体」について、「筒状に形成され」「開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体」と缶体の形態に係り限定するとともに、「貯蔵工程」における「縮径部を備えた前記空の缶体」について、「縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体」と缶体の形態に係り限定し、さらに、「画像を形成する画像形成工程」における「当該空の缶体の外面に対して画像を形成する」の「当該空の缶体」について、「当該空の缶体を周方向へ回転させながら、」と画像を形成する手段に係り限定し、同記載の「外面に対して」について、「外面のうちの前記縮径部に位置する部分および当該外面のうちの前記缶胴部分に位置する部分の両者に対して、」と、画像を形成する対象となる缶体の部位に係り限定するとともに、「当該空の缶体の軸方向に沿って延び当該縮径部および当該缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて直接」と、画像を形成する手段に係り限定をするものである。 そうすると、上記訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記「ア」に記載したとおり、上記訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること(なお、スペースは改行を意味する。以下、同様。) 上記訂正事項1について、本件特許明細書等には、段落【0013】に、「一方に開口部を有し他方に底部を有する円筒状の缶体が成形される」と、段落【0022】に、「ネッカー・フランジャー(SDN)では、缶体の開口部を縮径する」と、段落【0023】に、「ネック処理後の缶体は、縮径部11と、胴部12とを備える。 縮径部11は、缶体の開口部13側に位置している。」、「胴部12は、円筒状に形成され、縮径部11よりも底部14に位置している。」と、段落【0028】には、「一時貯蔵工程では、縮径部11(図2参照)を有する複数の缶体が、軸方向に並べられた状態で上下方向に積載される。」と、段落【0033】に、「縮径部11への画像形成を排除するものではなく、縮径部11の外周面に対し、インクジェットヘッド300を用いて画像形成を行ってもよい。」と、段落【0036】に、「さらに、プリンター(PR)では、缶体の内部に、支持部材の一例である筒状のマンドレル(図4では不図示)を挿入し、マンドレルで缶体を内側から支持したうえで、缶体への印刷を行う。さらに、このとき、マンドレルを周方向に回転させて、缶体を周方向に回転させる。」と記載されている。 また、段落【0031】に、「[画像形成工程] その後、画像形成工程の一例としてのプリンター(PR)での処理が開示される。 具体的には、本実施形態では、図4(プリンター(PR)における処理を説明する図)に示すように、プリンター(PR)にインクジェットヘッド300が設けられている。そして、このインクジェットヘッド300から、下方に位置する缶体に向けてインクを吐出する。これにより、缶体の外周面19への画像形成が行われる。言い換えると、本実施形態では、非接触の画像形成方式が用いられて、缶体への画像形成が行われる。」と、段落【0032】に、「ここで、本実施形態では、缶体に縮径部11が設けられており、缶体の外周面19のうちの縮径部11が設けられている箇所は、インクジェットヘッド300の下面301(インク吐出口が設けられている面)から離れるようになる。 この場合、缶体の外周面19のうちの縮径部11が設けられている箇所では、形成される画像の質が低下するおそれがある。」と段落【0033】に、「このため、プリンター(PR)での画像形成処理では、例えば、縮径部11への画像形成を行わずに、胴部12のみへの画像形成を行ってもよい。」と記載されていることから、上記訂正事項1は、本件特許明細書等に記載された範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 特許異議申立人の主張 令和6年6月6日に提出された意見書において、特許異議申立人は、 「本件特許の明細書には、「当該空の缶体の軸方向に沿って延び当該縮径部および当該缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッド」は明記されていない。 審判合議体は、明細書等の段落0022、0031から0033を摘記し、これらの記載に基づいて、「訂正事項1は、本件特許明細書等に記載された範囲内のもの」と認定している。しかしながら、段落0022、0031から0033には、「当該空の缶体の軸方向に沿って延び当該縮径部および当該缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッド」ことを意味する記載はない。加えて、図4はあくまで断面図であり、インクジェットヘッドがどの方向に延びているか明確にみてとれるようにはなっていない(例えば、紙面の奥方向に延びていると解し得る)。」 と主張する。 しかし、インクジェット記録方法の技術分野において、円筒形状の被記録媒体(円筒形プラテンを含む)に対しては、当該円筒形状の中心軸とインクジェットヘッドの延伸方向とを一致させるのが技術常識といえる。 また、空の缶体の軸とインクジェットヘッドの延伸方向が必ずしも一致(平行)となっていなくても、空の缶体の両端部に対しても記録を行うことからすると、インクジェットヘッドの両端部は、缶体の端部と対向した配置であるといえる。 そうすると、上記特許異議申立人の主張は、採用できない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 上記訂正事項2は、請求項3を削除するというものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記「ア」に記載したとおり、上記訂正事項2は、請求項3を削除するというものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記「ア」に記載したとおり、上記訂正事項2は、請求項3を削除するというものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 上記訂正事項3は、請求項4を削除するというものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記「ア」に記載したとおり、上記訂正事項3は、請求項4を削除するというものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記「ア」に記載したとおり、上記訂正事項3は、請求項4を削除するというものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 上記訂正事項4は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるための訂正を行っているから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記「ア」に記載したとおり、上記訂正事項4は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記「ア」に記載したとおり、上記訂正事項4は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるための訂正を行うものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的について 上記訂正事項5は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるための訂正を行っているから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 これに加えて、上記訂正事項5は、請求項6の「飲料用缶の製造方法」における発明特定事項である「支持部材」について、「当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される」との限定をし、支持される「空の缶体」について、「当該底部と当該開口部」とが支持されると限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項5は、上記「ア」のとおり「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項5のうち、「支持部材」の限定に関する記載として、本件特許明細書等には、段落【0070】に、「ここで、マンドレルの拡径は必須ではなく、例えば、缶体の底部14(図2参照)をマンドレルの先端部で吸引して缶体を保持するようにすれば、缶体の振れを抑えられるようになり、この場合は、マンドレルの拡径は不要となる。 図10(マンドレルによる缶体の他の支持例を示した図)では、缶体の底部14をマンドレルで吸引する場合を例示している。マンドレルは、円筒状に形成され、缶体に挿入される際の挿入方向における先端部に開口71を備える。さらに、この構成例では、不図示の吸引機構によって、マンドレルの根本72側からマンドレル内の空気が吸引されている。」と、段落【0071】に、「この構成例では、缶体の開口部13からマンドレルが挿入され、そして、開口部13とは反対側に位置する底部14が、マンドレルにより吸引され、この底部14がマンドレルにより支持されるようになる。さらに、この例では、缶体の開口部13の部分も、マンドレルにより支持されるようになる。これにより、缶体がマンドレルにより安定的に支持される。」と記載されていることから、上記訂正事項5は、本件特許明細書等に記載された範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的について 上記訂正事項6は、訂正前の請求項7が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるための訂正を行っているから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 これに加えて、上記訂正事項6は、請求項7の「飲料用缶の製造方法」における発明特定事項である「画像形成工程」について、「当該空の缶体の軸方向に沿って延びるインクジェットヘッドを用いて当該外面への画像の形成を行う」、及び、「当該空の缶体の前記外面が前記インクジェットヘッドに対峙した状態で当該空の缶体の当該外面への画像の形成が行われる」との限定をするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項6は、上記「ア」のとおり「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項6に関する記載として、本件特許明細書等には、段落【0031】に、「このインクジェットヘッド300から、下方に位置する缶体に向けてインクを吐出する。これにより、缶体の外周面19への画像形成が行われる。」と記載されていることから、上記訂正事項6は、本件特許明細書等に記載された範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 特許異議申立人の主張 令和6年6月6日に提出された意見書において、特許異議申立人は、 「明細書には、缶体の外側から吸引で支持する支持部材の構成(段落0073)と、インクジェットヘッドを用いた構成(段落0031)とを組み合わせて用い得ることについて何ら記載も示唆もされていない。 したがって、上記訂正後の請求項7は、当所明細書等から把握できる事項に含まれない範囲を含むように訂正されたものであり、当所明細書等との関係で新たな技術的事項を追加するものである。」 と主張する。 しかし、本件特許明細書の段落【0073】の冒頭の「また、缶体の支持は、他の機構を用いて行ってもよい。」との記載は、支持機構として、図11に示された機構を採用することを意図する記載であって、インクジェットヘッドまで変更することを意図した記載ではないと解する。 そうすると、上記訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえるから、上記特許異議申立人の主張は、採用できない。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的について 上記訂正事項7は、訂正前の請求項9が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるための訂正を行っているから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 これに加えて、上記訂正事項7は、請求項9の「飲料用缶の製造方法」における発明特定事項である「縮径工程」の「空の缶体」、「貯蔵工程」の「空の缶体」、「画像形成工程」について、それぞれ、「形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する」、「当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える」、「当該空の缶体の軸方向に沿って延び前記縮径部および前記缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて」及び「当該外面のうちの前記縮径部への画像の形成を行わない」との限定をするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項7は、上記「ア」のとおり「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項7について、本件特許明細書等には、段落【0013】に、「これにより、一方に開口部を有し他方に底部を有する円筒状の缶体が成形されるようになる(DI成形)。」と、段落【0022】に、「ベークオーブン(BO)の下流側には、縮径工程の一例としてのネッカー・フランジャー(SDN)が設けられている。ネッカー・フランジャー(SDN)では、缶体の開口部を縮径するとともに、缶蓋を取り付けるためのフランジを成形する。」と、段落【0023】に、「図2は、ネック処理が行われた後の缶体を示しており、ネック処理後の缶体は、縮径部11と、胴部12とを備える。 縮径部11は、缶体の開口部13側に位置している。縮径部11は、開口部13に近づくに従い外径が次第に小さくなるように形成されている。 胴部12は、円筒状に形成され、縮径部11よりも底部14側に位置している。」と、段落【0027】に、「図1に示すように、ネッカー・フランジャー(SDN)の下流側には、一時貯蔵工程が設けられている。 一時貯蔵工程では、例えば、パレタイザー(PT)を用い、缶体を段積みして貯蔵する。また、その他に、例えば、アキュームレーター(ACC)を用いて、缶体を貯蔵してもよい。」と、段落【0028】に、「一時貯蔵工程では、縮径部11(図2参照)を有する複数の缶体が、軸方向に並べられた状態で上下方向に積載される。」と、段落【0031】に、「このインクジェットヘッド300から、下方に位置する缶体に向けてインクを吐出する。これにより、缶体の外周面19への画像形成が行われる。」と、段落【0033】に、「このため、プリンター(PR)での画像形成処理では、例えば、縮径部11への画像形成を行わずに、胴部12のみへの画像形成を行ってもよい。」と記載されていることから、上記訂正事項7は、本件特許明細書等に記載された範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (8)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて 本件特許についての特許異議の申立て事件では、訂正前の請求項1~9について特許異議の申立ての対象とされているから、本件訂正における訂正前の請求項1~9に係る上記訂正事項1乃至7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (9)一群の請求項について 訂正前の請求項1~9について、請求項2~9はそれぞれ請求項1を直接的または間接的に引用するものであって、上記訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるところ、特許権者は、訂正後の請求項5~9について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めているので、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無についてのまとめ 上記のとおり、請求項1~9に係る上記訂正事項1~7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、上記訂正事項1~7は認められる。 第3 本件特許 上記第2で検討したとおり、訂正前の請求項1~9に係る訂正を認めることができるから、請求項1乃至9に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」乃至「本件訂正特許発明9」といい、総称して「本件訂正特許発明」という。)。 「【請求項1】 筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体を周方向へ回転させながら、当該空の缶体の外面のうちの前記縮径部に位置する部分および当該外面のうちの前記缶胴部分に位置する部分の両者に対して、当該空の缶体の軸方向に沿って延び当該縮径部および当該缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて直接画像を形成する画像形成工程と、 を備える飲料用缶の製造方法。 【請求項2】 前記縮径工程による縮径が行われる前の前記空の缶体の外面および内面の少なくとも一方の面に対して塗料を付着させる塗料付着工程をさらに備える請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記空の缶体は、前記開口部とは反対側に底部を有し、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体に入れられて当該空の缶体の内部から当該缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも前記底部側に位置する缶胴部分の内周面に接近して当該内周面に接触する部位を備えた支持部材により当該缶体が支持される、 飲料用缶の製造方法。 【請求項6】 筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体の内部から当該空の缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能を有し当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される当該支持部材により当該空の缶体の当該底部と当該開口部とが支持される、 飲料用缶の製造方法。 【請求項7】 筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程であって、当該空の缶体の軸方向に沿って延びるインクジェットヘッドを用いて当該外面への画像の形成を行う画像形成工程と、 を備え、 前記空の缶体の底部には、当該空の缶体の内部側に凹む凹部が設けられ、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体を当該空の缶体の外側から支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記底部に設けられた前記凹部に入る凸部を有し当該底部を吸引する機能を有した当該支持部材により当該空の缶体が支持されるとともに、当該空の缶体の前記外面が前記インクジェットヘッドに対峙した状態で当該空の缶体の当該外面への画像の形成が行われる、 飲料用缶の製造方法。 【請求項8】 前記支持部材には、前記凸部の周囲に、前記空の缶体の接地部分の形状に合った円環状の溝が設けられている請求項7記載の飲料用缶の製造方法。 【請求項9】 筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して、当該空の缶体の軸方向に沿って延び前記縮径部および前記缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記画像形成工程では、縮径が行われた後の前記空の缶体の前記外面のうちの前記缶胴部分への画像の形成を行い、当該外面のうちの前記縮径部への画像の形成を行わない、 飲料用缶の製造方法。」 第4 令和6年2月14日付けの取消理由通知の概要 [取消理由]本件訂正特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記 請求項6には、「当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される当該支持部材」と、支持部材は、缶胴部分の内周面に非接触であることが特定されているところ、「当該支持部材により当該空の缶体が支持される」と、空の缶体が支持されることが特定されているが、缶胴部分の内周面に非接触である支持部材が、どのような構成により、空の缶体を支持しているのか、理解できない。 よって、請求項6に係る特許は、明確でない。 第5 取消理由についての当審の判断 本件訂正(訂正事項5)により、請求項6は、 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記画像形成工程では、前記縮径が行われた後の前記空の缶体の内部から当該空の缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能を有し当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される当該支持部材により当該空の缶体の当該底部と当該開口部とが支持される、 飲料用缶の製造方法。」 と訂正された。 そして、訂正事項5により、これまで、空の缶体の支持構成が明らかでなかったところ、支持部材により空の缶体の「当該底部」と「開口部」とが支持されることが明らかになった。 してみると、請求項6に係る特許について、その特許請求の範囲の記載が不明確とはいえない。 したがって、本件訂正特許発明6は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないとはいえないから、取消理由により、本件特許請求の範囲の請求項6に係る特許を取り消すことはできない。 第6 令和6年2月14日付けの取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要 1 [申立理由1-1](特許法第29条第2項違反(甲第1号証に記載された発明を主引用発明とした理由)) 本件特許の請求項1乃至9に係る発明は、甲第1号証乃至甲第12号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件請求項1乃至9に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 [申立理由1-2](特許法第29条第2項違反(甲第2号証に記載された発明を主引用発明とした理由)) 本件特許の請求項1乃至8に係る発明は、甲第1号証乃至甲第11号証、甲第13号証、甲第14号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件請求項1乃至8に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 [申立理由1-3](特許法第29条第2項違反(甲第3号証に記載された発明を主引用発明とした理由)) 本件特許の請求項1乃至9に係る発明は、甲第3号証、甲第5号証乃至甲第11号証、甲第14号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件請求項1乃至9に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 4 [申立理由2] 本件特許発明1乃至9は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、本件請求項1乃至9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 したがって、本件請求項1乃至9に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 記 請求項1には、「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体」なる記載があるところ、上記記載中の「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」という修飾語は、缶体の以降の予定を指すものであり、缶体の構成を示すものではない。 そのため、上記記載により特定される缶体が、どのようなものを指すのか不明である。 したがって、請求項1及びこれを引用する請求項2乃至9に係る発明は明確でない。 よって、本件特許発明1乃至9は、特許が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対しなされたものである。 5 [申立理由3] 令和3年8月16日付けでした手続補正が、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、請求項1乃至9に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。 したがって、本件請求項1乃至9に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである。 記 令和3年8月16日付け手続補正書により、請求項1に「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程」という構成が追加された。 上記構成には「内容物充填設備を備えた場所」という記載が含まれている。 本件出願人は、上記手続補正書と同日に提出された意見書において、上記補正の根拠として、明細書の段落【0028】~【0030】、【0047】及び【図1】を挙げている。 しかしながら、上記明細書には、「缶体が缶体製造工程へ再投入される。」、「その後、缶体は、例えば、飲料缶製造工場(飲料の充填を行う工程)に出荷され、飲料缶製造工場では、缶体への飲料の充填、蓋の取り付けが行われる。」と記載されるのみで、「内容物充填設備を備えた場所」について記載されていない。 「場所」という概念は、「工場」とは異なる概念であることは言うまでもなく、土地、区域、位置など幅広い概念を含むものである。したがって、上記補正後の請求項1で特定される事項は、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであることは明らかである。 したがって、上記補正は、補正が新たな技術的事項を導入するものであり、新規事項を追加する補正である。よって、本件特許発明1乃至9は、特許が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。 第7 令和6年2月14日付けの取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断 1 各甲号証 (1)甲第1号証 本願の出願前の平成16年4月2日に公表された特表2004-509766号公報(以下「甲第1号証」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 ア 「【0012】 実施の形態の図面を使用して、以下に本発明について説明する。 本発明は、狭められた缶ネック部を有する本体と、缶本体に取り付けられる装飾層とを備える金属缶を製造する方法に関するものである。方法ステップの第一の段階において、未装飾の缶本体と、テーパー付きの缶ネック部とを有する金属缶予成形体が製造され、方法ステップの第一の段階の後又はその第一の段階の直後に行われる方法ステップの第二の段階において、金属缶予成形体には、装飾物を有する好ましくは収縮可能な金属材料である装飾層が設けられ且つこの予成形が完成される。本発明は、さらに、該方法を実施する装置及びシステム、この方法を使用して製造することができる金属缶又は更に加工することができる金属缶予成形体及びこの方法にて使用される好ましくは収縮可能な材料である装飾層に更に関するものである。」 イ 「【0014】 方法ステップ1は、「缶本体の製造」を示す。例えば、円板状の金属ブランクが例えば、一つの開口部を有する円筒状缶本体となるように金型内で加圧装置によって成形される。例えば、金属薄板をロール成形し、端部を溶接装置によって溶接し例えば、2つの開口部を有する円筒状缶本体となるようにする。金属は、アルミニウム又はスチールとし、また、アルミニウム又はスチールとの合金とすることができる。本発明のこの知識に基づいて、当該技術分野の当業者は缶本体を加圧し又は溶接するためその他の金属を自由に使用することができる。」 ウ 「【0016】 方法ステップ4は、「缶本体の内側エナメル被覆」に関するものであり、エナメルは、例えば、適宜な形状の噴霧ノズルのようなエナメル被覆装置により缶本体の内面に施される。内側エナメル被覆すべくノズルを使用することは、例えば、引抜き成形した缶本体の50%テーパー付きネック領域内まで大きくテーパーを付けた部分にこれらノズルが挿入可能であるため、好ましいことである。方法ステップ5は、例えば、循環空気乾燥機によるような乾燥装置により又は紫外線光を照射することによって引き続く「内側エナメル被覆の乾燥」を行う。 【0017】 方法ステップ40は、選択的であり、該ステップは「缶本体の外面の下塗りエナメル」に少なくとも関するものであり、エナメルは、例えば適宜な形状の噴霧ノズルのようなエナメル被覆装置により缶本体の外面に施される。方法ステップ50も同様に選択的であり、例えば、循環空気乾燥機のような乾燥装置により又は紫外線光を照射することによりその後の「下塗りエナメルの乾燥」を行う。方法ステップ40、50は、選択的であり、下塗りエナメルが存在することは表面の粗さを軽減し、下塗りエナメル被覆した缶本体の表面は、未処理の金属缶本体の表面よりも平滑である。このことは装飾層の取り付けにとって重要ではなく、装飾層は、金属缶本体に直接取り付けるか又は缶本体の外面の下塗りエナメルに間接的に取り付けることができる。 【0018】 方法ステップ6において、テーパー付け装置を使用して外側から缶本体111のネック部112を例えば、2%又は50%でさえも少なくとも部分的に狭小化すること、すなわち「缶ネック部又は少なくとも窪み部のテーパー付け」が為される。同一の方法ステップ6において、少なくとも1つの窪み部113の更なる半径の狭小化又は半径の拡張を金属缶予成形体にて行うことができる。図9に図示した金属缶予成形体110の実施の形態及び図10に図示した該予成形体から製造された金属缶11の実施の形態は、例えば、金属缶を一層良く把持し得るように缶本体111に形成された1つのかかる窪み部113を示す。本発明を理解するとき、缶ネック部112はテーパーを付けることができ又は少なくとも1つの窪み部を缶本体111に形成することができる。この場合、「又は」とは、缶本体に窪み部113を形成することが選択的であり、缶本体111のネック部112にテーパーを付けることに加えて、行うことができることを意味する。」 エ 「【0020】 少なくとも方法ステップ1、6は、更に加工することが可能である金属缶予成形体を製造することにより、金属缶の製造における第一の段階を形成する。一例として、缶本体111と、テーパー付きの缶ネック部112とを有する、図7、図9、図16の3つの実施の形態にて図示したこれらの金属缶予成形体110は、貯蔵又は輸送可能な中間製品である。特に、方法ステップ1、6に従って製造されたかかる金属缶予成形体110は、世界市場で金属缶製造メーカの間で販売することができ且つ例えば、缶詰工場に輸送し且つ例えば、貯蔵することができる。」 オ 「【0022】 装飾物は、管又は平坦なフィルム、フォイル或いは収縮可能なプラスチック管の上に任意の方法にて予め印刷することができる。例としては、デジタル印刷、フレキソ印刷、凹版印刷等があり、これらは装飾層の少なくとも部分的に透明な材料の装飾層の裏側に絵、文書、図形、表等を印刷することを可能にし、その印刷した装飾層は、位置決めした後、缶本体に静止する位置に戻り、これにより装飾物は装飾層の材料自体、すなわちその装飾層の正面によって化学的に且つ機械的に保護される。これらの装飾層の厚さは、0.01mm乃至0.1mm、典型的に0.05mmである。本発明の知識に基づいて、当業者は装飾層を印刷するためその他の印刷方法を自由に使用することができる。したがって、紫外線フレキソ印刷法を使用することができ、また、任意の異なる金属缶の形状に対し最も様々な装飾物を使用することができる。装飾物は2次元的(平坦な材料)である必要はなく、3次元的(例えば、厚さ1mmの材料にてレリーフ構造体)とすることもできる。本発明の知識に基づいて、当業者はまた異なる形状の材料を自由に使用することもできる。 【0023】 方法ステップ7において、金属缶予成形体に対する装飾層の位置決め及び取り付けが行われる。これを行うためには、予め印刷され且つそれに応じて作製した材料を缶本体に取り付ける。装飾物100を有するかかる1つの装飾層10が一例として図5、図6に図示されている。図5には、一例として、管の形態をした装飾層10が図示されている。図6には、一例として、フォイル又はフィルムの形態をした装飾層10が図示されている。缶本体の外径及び装飾層の内径は、互いに適合し、装飾層は、取り付けた後、それ自体の弾性によってのみ缶に接着する。本発明の特許請求の範囲に記載したように、装飾層は接着接続によって缶本体に取り付けられる。接着接続の概念は、「接着」という最も一般的な語にて規定される。この語による接着接続は、例えば、主としてフォイルの端部におけるスポット溶接及び線溶接接続、収縮可能な材料の収縮を含むが、接着及び圧着も含む。装飾層10は、金属缶本体に直接取り付け又は缶本体の外面の下塗りエナメル被覆に間接的に取り付けることができる。」 カ 「【0030】 別個に製造し且つ金属缶の上に1回の迅速な方法ステップにて位置決めされ、また、同時に接着力によってのみ接続される装飾層を使用することは、一例としての価値形成の2つの場合について図14、図15に図示するように、缶詰工場にて製品を迅速に交換することを可能とする。第一の段階において、未印刷の金属缶予成形体は、金属缶製造メーカにて製造され且つ缶詰工場に納入され、そこで貯蔵され且つ(又は)金属缶製造メーカにて貯蔵される。フィルム又はフォイルおよび管の納入業者によって印刷されなかったフィルム、およびフォイルまたは管は、装飾層の印刷工場及び(又は)缶詰工場に納入される。第二の段階において、これらの未印刷の金属缶予成形体には、「ジャスト・イン・タイム」にて装飾層が施され、缶のネック部または缶の下端縁は、選択的にフランジ付けされ、金属缶はある物質が充填、密封され且つ包装される。」 キ 「【0032】 貯蔵されている予め製造した未装飾金属缶予成形体に基づく缶詰工場におけるこのジャスト・イン・タイムの製造方法は、1回限りのイベント、各個人毎の直接的な1対1のマーケッティング及び将来の傾向に備えて迅速に対応することを可能にする。このことは、金属缶の製造時の生産管理を行うことを許容する。特に、このことはマーケッティングの決定に従って方法ステップの第一及び第二の段階を開始することを許容する。図14、図15に図示した価値形成の2つの例は、マーケッティングの決定に従って、いかに設計者が特定の装飾物を選び、装飾層が、装飾層印刷工場及び(又は)缶詰工場にて形成されるかが示されている。かかる1つのマーケッティングの決定は、例えば、販売部署又はマーケッティング部署にて行われる。マーケッティングの決定は、例えば、「印刷可能」の釦を押し、選んだ特定の装飾物を記憶装置からロードし、そして例えば、遠方まで装飾層の印刷工場及び(又は)缶詰工場に送り、この缶詰工場にて、装飾層は、例えば、印刷によって形成され、缶詰工場にて金属缶予成形体に取り付けられることにより明らかとなる。この遠方への輸送は、例えば、インターネットによる電子ネットワークを通じて低コストにて極めて迅速に行われる。方法ステップの第二の段階は、マーケッティングの決定に従って開始される。選択的に、これらの金属缶内に配置すべき材料の相応する調成は、マーケッティングの決定に従って行い、例えば、これらの材料には、同様に、特別な香り等を施して「ジャスト・イン・タイム」にて特殊な着色を施す。選択的に、フランジ付き缶ネック部又はフランジ付き缶下端縁が設けられた金属缶にはある物質を充填し、頂部又は頂部及び底部を設け且つ包装し、完成した製品を最終消費者に販売し得るよう極めて迅速に出荷することができる。また、品質及び利益を損なうことなく小さく且つ個別の形態の被覆を望む消費者の要望を満足させることができる。これは全て経済的に行われ且つ競争力上の利点をもたらす。」 ク 「【図14】 [図:0001414139000001.jpg] 【図15】 [図:0001414139000002.jpg] 」 ケ 「【要約】 [図:0001414139000003.jpg] 」 コ 上記キの【0032】において、「図14、図15に図示した価値形成の2つの例は、マーケッティングの決定に従って、いかに設計者が特定の装飾物を選び、装飾層が、装飾層印刷工場及び(又は)缶詰工場にて形成されるかが示されている。」と、また、「この缶詰工場にて、装飾層は、例えば、印刷によって形成され、缶詰工場にて金属缶予成形体に取り付けられる」と、装飾層が形成される場所に関し複数の選択肢を含むように記載されている。 そのうち「装飾層が、」「缶詰工場にて形成される」こと、及び、「この缶詰工場にて、装飾層は、」「印刷によって形成され、缶詰工場にて金属缶予成形体に取り付けられる」ことについては、「金属缶製造メーカー」を起点とする矢印の先に位置する「缶詰工場」に対して、一体かつ並置して「装飾層の印刷」との記載があることからみて、図15において示されていると認められる。 これに対し、図14において、「缶詰工場」との記載は「装飾層の印刷」との記載からの矢印で結ばれているところ、当該矢印によって、上記【0032】の「装飾層が、装飾層印刷工場」において形成され、さらに、当該「装飾層」が「缶詰工場にて金属缶予成形体に取り付けられる」ことが示されているといえる。 一方で、図14には、「装飾層の印刷」を起点として、「金属缶製造メーカー」を終点とする矢印も記載されており、これにより「装飾層印刷工場」において「印刷によって形成され」た「装飾層」が、「金属缶製造メーカー」において方法ステップ6でテーパー付けされた「金属缶予成形体に取り付けられる」こと、または、当該「装飾層」が、「金属缶製造メーカー」に搬入され、その後「缶詰工場」において方法ステップ6でテーパー付けされた「金属缶予成形体に取り付けられる」ことも記載されていると解することができる。 してみると、【0032】及び図14には、「マーケッティングの決定に従って、装飾層印刷工場において形成された装飾層は、缶詰工場にて金属缶予成形体に取り付けられる」ことが記載されていると認められる。 サ 要約に示された図から、狭小化されたネック部112を含む缶本体111の側面は鉛直線に対して傾斜していることが看取できる。 以上の記載事項ア乃至ケ及び認定事項コ及びサから、甲第1号証には、以下の発明が記載されているものと認められる(以下「甲1発明」という。)。 「方法ステップ1において、金型内で加圧装置によって成形された一つの開口部を有する円筒状缶本体に(【0014】)、 方法ステップ4において、エナメルが、適宜な形状の噴霧ノズルのようなエナメル被覆装置により缶本体の内面に施され(【0016】)、 方法ステップ40において、エナメルが、適宜な形状の噴霧ノズルのようなエナメル被覆装置により缶本体の外面に施され(【0017】)、 方法ステップ6において、テーパー付け装置を使用して外側から缶本体111のネック部112を、部分的に狭小化し「缶ネック部のテーパー付け」が為され(【0018】)、缶本体111の側面は鉛直線に対して傾斜し(認定事項サ)、 方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵し(【0020】、【0030】)、 方法ステップ7において、マーケッティングの決定に従って、装飾層印刷工場において形成された装飾層であって、裏側に予め絵、文書、図形、表等を印刷した装飾層が、缶詰工場にて、位置決め及び取り付けが行われ(【0022】、【0023】、【0032】、認定事項コ)、 狭められた缶ネック部を有する本体と、缶本体に取り付けられる装飾層とを備える金属缶を製造する方法(【0012】)。」 (2)甲第2号証 本願の出願前の平成15年2月4日に公開された特開2003-34333号公報(以下「甲第2号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0002】 【従来の技術】ボトル型金属容器は、アルミニウム、スチール等の金属薄板を用いて製造される、代表的にはビール、お茶等の飲料を内容物とする容器であって、開栓確認がしやすい、再栓が可能である等の理由により、近年多く用いられるようになっている。」 イ 「【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によるボトル型金属容器を示す斜視図である。このボトル型金属容器はアルミニウム製のアルミボトル10であって、一般的な製造工程、すなわち、アルミニウムシート材Alをカップ状にプレス成形し、このカップ成形体を絞り・しごき加工して形成した有底円筒状の成形体表面に、ベース印刷層P11およびつやニスP12を施し、有底円筒状の成形体すなわち缶胴部11の開口端側に、ネッカーによりネック部12およびテーパ部13を形成(ネッキング)した後、ネック部12に螺条を形成する、という工程で製造されている。 【0018】図2は、上述の工程により少なくともネック部12およびテーパ部13が形成された(螺条が形成される前後いずれでもよい)アルミボトル10のテーパ部13である。このテーパ部13には、発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷された点字表示部14(加熱前)が形成されている。この点字表示部14は、発泡インキP13の各点が、加熱処理を施されることによって図3(a)に示すように膨張して、点字の凸形状を形成する。なお、点字表示部14の凸形状は、図3(a)に示すように、スプレーコート等によってクリヤーニスP14等の塗膜(厚さ約2~6μm程度)を塗布して十分に覆うことにより、保護することができる。 【0019】なお、アルミボトル10は、内容物の充填工程等の工程において互いに擦れ合いながら移動されるので、缶胴部11表面の滑り性が良いことが望ましい。また、ネック部12およびテーパ部13の成形に際しても、表面の滑り性が良いほうが好ましい。このため、アルミボトル10のベース印刷層P11の上層に施されるつやニスP12には通常、表面の滑り性を良くするシリコン、ワックス等の滑材が含まれているが、この滑材が発泡インキP13の密着性を悪くしてしまう。したがって、本実施形態のアルミボトル10では、少なくとも発泡インキP13を印刷するテーパ部13には、シリコンを含まずワックス分のみで滑り性を向上させる、発泡インキP13およびクリヤーニスP14の密着性がよいつやニスP12を用いることが好ましい。」 ウ 「【0031】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に係るボトル型金属容器によれば、テーパ部に点字表示部を形成するので、点字表示部が容器同士の接触・衝突によっても損傷されにくい。また、点字表示部を印刷により形成するので、テーパ部およびネック部の形成後に印刷すれば、ボトル型金属容器の成形(ネッキング)によって損傷されずに点字表示部を設けることができる。」 以上の記載事項ア乃至ウから、甲第2号証には、以下の発明が記載されているものと認められる(以下「甲2発明」という。)。 「アルミニウム、スチール等の金属薄板を用いたボトル型金属容器の製造方法であって、 アルミニウムシート材Alをカップ状にプレス成形し、このカップ成形体を絞り・しごき加工して形成した有底円筒状の成形体表面に、ベース印刷層P11およびつやニスP12を施し、有底円筒状の成形体すなわち缶胴部11の開口端側に、ネッカーによりネック部12およびテーパ部13を形成(ネッキング)した後、ネック部12に螺条を形成する、という工程で製造し、 テーパ部およびネック部の形成後であって、印刷ネック部12およびテーパ部13が形成されたアルミボトル10のテーパ部13には、発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷された凸形状が形成された点字表示部14(加熱前)が形成される、 ボトル型金属容器の製造方法。」 (3)甲第3号証 本願の出願前の平成16年3月18日に公開された特開2004-82153号公報(以下「甲第3号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0006】 本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、充填する内容物の種類及び需要量に応じて柔軟に対応できるとともに、高効率生産に対応できる缶の製造方法並びに缶基体及び缶を提供することを目的とする。」 イ 「【0017】 まず、製罐工程1においては、アルミニウム又はアルミニウム合金製の一枚の金属板に絞り加工及びしごき加工、いわゆるDI加工を施した後、この上端部を切断するトリミング処理を施してその高さを調整しDI成形缶を形成する。そして、このDI成形缶の内外表面に、クロムやジルコニウムの皮膜を形成、いわゆる化成処理を施し、缶基体を形成する。この化成処理を施した缶基体の胴体部表面を、以下、缶基体金属表面という。以上は前述した製造方法と同様である。 【0018】 次に、この缶基体の金属表面に、少なくともシリコン及びワックスを含有する塗料からなる有機樹脂層を形成する。なお、ワックスは、ポリエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、フッ素系ワックス又はカルナバワックス等がある。この有機樹脂層は、前述したオーバーコート層と同一材質のものであり、缶基体表面を保護するとともに、缶基体搬送時において、互いに当接する缶基体同士の胴体部表面の滑りを良好にし、搬送時の缶基体の横転等を抑制するものである。 【0019】 そして、缶基体の内面に内面塗装を施した後、缶基体の上端部にネックイン加工等を施す。ここで、このネックイン加工等には、ボトル缶の場合には、缶基体の上端部を縮径するネックイン加工があり、2ピース缶の場合には、ネックイン加工と、缶蓋を巻締める際の巻締め代(フランジ部)を形成するフランジ加工とがある。その後、形成された缶基体の寸法等の品質を検査する品質検査工程を経た後、複数本単位で缶基体を梱包、貯蔵して製罐工程1が終了し、これらを出荷する。 【0020】 次に、充填工程2は、梱包された缶基体が供された後、これを開梱して、缶基体に内容物を充填する。その後、2ピース缶の場合は、缶蓋巻締め工程を経て、ボトル缶の場合は、キャッピング工程を経た後、表面に印刷層が形成された印刷フィルムを缶基体胴体部の有機樹脂層表面に貼着し、缶を形成する。この印刷フィルムは、例えば、加熱すると収縮するフィルム、いわゆる熱収縮フィルムがある。そして、これら缶を前述と同様に複数本単位で梱包して充填工程2が終了し、これらを出荷する。」 ウ 「【0028】 なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、缶基体胴体部の金属表面に形成された有機樹脂層表面に印刷フィルムを貼着したが、この印刷フィルムに換えて印刷層を形成してもよい。また、缶基体胴体部にエンボス加工を適宜行うようにしてもよい。さらに、缶基体胴体部に印刷フィルムとして、熱収縮フィルムを貼着したが、更に耐熱性を備えたフィルム部材であってもよい。さらにまた、製罐工程1、11、21において、缶基体を梱包、貯蔵したが、梱包せず、貯蔵のみでもよい。さらにまた、前記第二実施形態においては、外表面にオーバーコート層が形成された印刷フィルムを缶基体胴体部に貼着したが、オーバーコート層が形成されていない印刷フィルムを缶基体胴体部に貼着した後、ネックイン加工を施す前に、印刷フィルム外表面にオーバーコート層を形成しても良い。」 以上の記載事項ア乃至ウから、甲第3号証には、以下の発明が記載されているものと認められる(以下「甲3発明」という。)。 「アルミニウム又はアルミニウム合金製の一枚の金属板に絞り加工及びしごき加工、いわゆるDI加工を施した後、この上端部を切断するトリミング処理を施してその高さを調整しDI成形缶を形成し、 缶基体の上端部にネックイン加工等を施し、 形成された缶基体の寸法等の品質を検査する品質検査工程を経た後、複数本単位で缶基体を梱包、貯蔵して製罐工程が終了し、これらを出荷し、 充填工程は、梱包された缶基体が供された後、これを開梱して、缶基体に内容物を充填し、 キャッピング工程を経た後、表面に印刷層が形成された印刷フィルムを缶基体胴体部の有機樹脂層表面に貼着し、缶を形成し、 印刷フィルムに換えて印刷層を形成してもよい、 缶の製造方法。」 (4)甲第4号証 本願の出願前の平成16年2月12日に公開された特開2004-42916号公報(以下「甲第4号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0050】 このようにしてネックイン加工が施された金属缶は、清涼飲料等の内容物を製造する工場に出荷され、そこで内容物を金属缶の内部に充填した後に、別に作成された缶蓋を、ネックイン処理部の端部に巻締め処理によって強固に一体化して、密閉状態の金属缶が構成される。缶蓋には、通常プルタブ等の飲み口形成用の加工が施されている。」 (5)甲第5号証 本願の出願前の平成27年6月25日に公開された特開2015-117030号公報(以下「甲第5号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0002】 アルミやスチール等から成る金属缶は、耐衝撃性が高く、しかも酸素等のガスを透過しないことから、プラスチック容器に比して内容物の保存性が格段に優れており、更に、ガラス瓶に比して軽量である等の利点を有しており、炭酸飲料、アルコール性飲料、その他の飲料や各種食品用の容器として広く使用されている。 金属缶の外面に商品名や各種デザインを施す方法としては、印刷ラベルを貼着する方法や、或いはオフセット印刷等の版式印刷や版を使用しないインクジェット印刷等により、直接缶胴部に曲面印刷を施すことが行われている。」 (6)甲第6号証 本願の出願前の平成24年5月10日に公開された特開2012-86870号公報(以下「甲第6号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0002】 アルミやスチール等の金属からなるシームレス缶は、耐衝撃性が高く、しかも酸素等のガスを透過しないことから、プラスチック容器に比して内容物の保存性が格段に優れており、更に、ガラス瓶に比して軽量である等の利点を有しており、炭酸飲料、アルコール性飲料、その他の飲料や各種食品用の容器として広く使用されている。 【0003】 シームレス缶の外面に商品名や各種デザインを印刷する方法としては、オフセット印刷等の刷版を使用する版式印刷(特許文献1)と、版を使用しないインクジェット印刷が行われている(特許文献2)。 また、版式印刷とインクジェット印刷を組み合わせてなる印刷方式も提案されている(特許文献3) 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2008-62455号公報 【特許文献2】特開2004-42464号公報 【特許文献3】特表2005-531428号公報」 イ 上記アによれば、「アルミやスチール等の金属からなるシームレス缶」に対して、「外面に商品名や各種デザインを印刷する方法として」、「版を使用しないインクジェット印刷が行われている」ことが、甲第6号証が公開された上記日付において公知であることが示されており、かつ、これより前の「特許文献2」が公開された日においても、同様に公知であったことの推認もできる。 以上の記載事項ア及び認定事項イから、甲第6号証には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「甲6技術事項」という。)。 「版を使用しないインクジェット印刷により、アルミやスチール等の金属からなるシームレス缶の外面に商品名や各種デザインを印刷すること。」 (7)甲第7号証 本願の出願前の平成26年5月29日に公表された特表2014-512990号公報(以下「甲第7号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0007】 他の例としては、共有に係るコペンディングの出願であって、概ね円筒形の対象物に印刷する装置および関連する方法とのタイトルであり、LaCaze(本願の発明者の一人)による出願であって、2010年11月25日に公開された米国特許出願公開公報US2010/0295885(本参照により完全に本出願に包含される)には、缶やボトルのような概ね円筒形の対象物に印刷するインクジェットプリンタについて記載されている。一般的に、缶やボトルのような概ね円筒形の対象物は、プリントヘッドからインクを射出することなく印を付され、軸方向および回転の動作の組み合わせによって、プリントヘッドに相対するような位置とされる。対象物は、上記の軸に対して横向きのプリントヘッドによって対象物の搬送方向に沿って形成され、プリントヘッドが軸方向の同位置に配置された「トンネル」へと搬送される。この代わりに、複数のプリントヘッドを搬送の軸に沿って一列に配置してもよい。プリントヘッドは、プログラムされた画像ファイルに従ってコンピュータ制御によってインクを塗布する。」 イ 上記アによれば、「缶やボトルのような概ね円筒形の対象物に」「インクジェットプリンタ」によって「印刷する」ことが、甲第7号証が公表された上記の日付において公知であることが示されており、かつ、これより前の「米国特許出願公開公報US2010/0295885」が公開された日においても、同様に公知であったとの推認もできる。 以上の記載事項ア及び認定事項イから、甲第7号証には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「甲7技術事項」という。)。 「缶のような概ね円筒形の対象物に、インクジェットプリンタによって印刷すること。」 (8)甲第8号証 本願の出願前の昭和62年2月5日に公開された特開昭62-27170号公報(以下「甲第8号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「第1図に、全体に1で示す印刷すべき容器が示されており、この容器は、この例においてはまわりに印刷すべきかんとして構成されている。」(4ページ左上欄8~10行) イ 「キャリジ装置6は、はぼC字形の支持体9を支持しており、この支持体は、周の一部にわたって印刷すべき容器1を囲んでおり、かつ容器1の方に向いた側に容器表面に向いたノズル10-13またはノズルヘッドを有する。」(4ページ左上欄20行~右上欄5行) (9)甲第9号証 本願の出願前の平成26年1月20日に公開された特開2014-8657号公報(以下「甲第9号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明が適用される画像形成装置は、筒状体に挿入され、当該筒状体を内側から支持するとともに当該筒状体を周方向に回転させる支持部材と、前記支持部材により回転される前記筒状体の外周面に画像を形成する画像形成部と、を備え、前記支持部材は、前記筒状体の内部に挿入される支持部材本体と、前記支持部材本体の外周面に取り付けられるとともに前記筒状体の内周面に対峙する対峙部位を有し変形可能に設けられた変形部材と、前記対峙部位が前記筒状体の前記内周面に向かうように前記変形部材を変形させる変形手段と、を備えていることを特徴とする画像形成装置である。」 イ 「【0035】 ここで、保持部材222について更に説明する。 図4は、保持部材222を説明するための図である。なお、同図(B)は保持部材222の軸方向に沿う面であって保持部材222の軸心を通る面における保持部材222の断面図であり、同図(A)は同図(B)のIVA-IVA線における断面図である。 【0036】 支持部材、筒状体支持部材として機能する本実施形態の保持部材222には、同図(A)、(B)に示すように、筒状に形成された保持部材本体410が設けられている。ここで、支持部材本体の一例としてのこの保持部材本体410は、外周面の断面形状が円形となるように形成されている。また、保持部材本体410には、同図(B)に示すように、円筒状に形成された筒状部411、保持部材本体410の先端に位置するとともに円環状に形成され且つ筒状部411の外周面から径方向に突出するように設けられた突出部412が設けられている。」 ウ 「【0040】 また、本実施形態では、突出部412と第1移動部材440との間に、保持部材本体410の外周面を取り囲むように配置されるとともにゴムなどの弾性体により形成された第1リング状部材460が設けられている。付言すると、本実施形態では、突出部412と第1移動部材440との間に、保持部材本体410の外周面に巻き付くように設けられた第1リング状部材460が設けられている。ここで、本実施形態の第1リング状部材460は、保持部材本体410に対して一周り巻き付いた状態となっている。さらに説明すると、本実施形態では、保持部材本体410の先端部側に円環状の第1リング状部材460が設けられた構成となっている。」 エ 「【0047】 図5は、保持部材222の内部の動きを説明するための図である。 ここで、本実施形態では、缶体10の内部に保持部材222が挿入されると、保持部材本体410に形成された孔部413に対して圧縮空気が供給される。これにより、貫通孔414、第1通気孔422A~第3通気孔422Cにも圧縮空気が供給される。そしてこの場合、本実施形態では、同図(A)における矢印5Aに示す方向に向かって(突出部412に向かって)第1移動部材440が移動するようになる。 【0048】 これにより、第1リング状部材460が、突出部412と変形手段の一部として機能する第1移動部材440とにより押圧されるようになり、同図(B)に示すように、第1リング状部材460が弾性変形を行う。付言すると、第1リング状部材460の外周径(外径)が大きくなるように第1リング状部材460が弾性変形を行う。 【0049】 そして、この場合、第1リング状部材460の外周面が缶体10の内周面に接触しこの内周面が第1リング状部材460により押圧されるようになる。付言すると、本実施形態では、その断面形状が楕円となるように第1リング状部材460が弾性変形を行うとともに、楕円の長辺方向の一部が缶体10の内周面に接触するように、第1リング状部材460が弾性変形を行う。さらに説明すると、第1リング状部材460のうちの缶体10の内周面に対峙している対峙部位がこの内周面に向かうように、第1リング状部材460は弾性変形を行う。」 オ 「【0053】 このため、本実施形態では、上記のように、第1リング状部材460および第2リング状部材470によって缶体10を支持する構成としている。この場合、保持部材222(保持部材本体410)の軸心から等距離の位置に缶体10の外周面が位置する可能性が高まり、缶体10とインク吐出装置223との離間距離の変動に伴う画質の低下が起きにくくなる。」 カ 「【0068】 なお、図8に示す構成例では、第1リング状部材460、第2リング状部材470に加え、第1リング状部材460と第2リング状部材470との間に、第3リング状部材473、第4リング状部材474が設けられた構成となっている。なお、この構成例においても、上記と同様、第1リング状部材460と第3リング状部材473との間、第3リング状部材473と第4リング状部材474との間、第4リング状部材474と第2リング状部材470との間に、圧縮空気を供給するようにしてもよい。」 以上の記載事項ア乃至カから、甲第9号証には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「甲9技術事項」という。)。 「画像形成装置は、筒状体に挿入され、当該筒状体を内側から支持するとともに当該筒状体を周方向に回転させる支持部材と、前記支持部材により回転される前記筒状体の外周面に画像を形成する画像形成部と、を備え、前記支持部材は、前記筒状体の内部に挿入される支持部材本体と、前記支持部材本体の外周面に取り付けられるとともに前記筒状体の内周面に対峙する対峙部位を有し変形可能に設けられた変形部材と、前記対峙部位が前記筒状体の前記内周面に向かうように前記変形部材を変形させる変形手段と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。」 (10)甲第10号証 本願の出願前の平成26年4月3日に公開された特開2014-58142号公報(以下「甲第10号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0015】 [1] 底部と胴部が一体成形された金属製缶体が嵌挿されて保持される印刷用マンドレルであって、 先端に空気が吸引される空間が設けられ、前記空間が陰圧の状態で前記金属製缶体が先端側から嵌挿されるマンドレル本体と、 前記マンドレル本体の内部に設けられ、前記空間の空気が吸引される空気流路が形成されたマンドレル軸と、 を備え、 前記マンドレル本体の内面と前記マンドレル軸の外面とで形成された空隙が、外部から前記空隙に流入する空気量を制限する流入制限機構を有することを特徴とする印刷用マンドレル。」 以上の記載事項から、甲第10号証には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「甲10技術事項」という。)。 「底部と胴部が一体成形された金属製缶体を嵌挿し先端に空気が吸引される空間が設けられ、金属製缶体を保持する印刷用マンドレル。」 (11)甲第11号証 本願の出願前の平成19年3月22日に公開された特開2007-70049特号公報(以下「甲第11号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0051】 ボトムパッド331は、プラスチックや金属などの弾性体からなるほぼ円板状としてあり、上面中央部から下方に向かって真空引きする吸気孔が貫通してある。また、本実施形態のボトムパッド331は、上面に、缶9の底部に対応した形状が形成してある。すなわち、周縁部に円環状の溝が形成され、その内側に、(部分的な)球面状に膨らんだ凸部が形成されている。この溝に缶9の底部が嵌合することにより、製造ターレット13において、缶9にブロー形成する際、缶9のチャイム部92aや中央ドーム部92cが膨らむといった不具合を回避することができる。また、ボトムパッド331に対する缶9の位置が精度よく決められる。さらに、ボトムパッド331は、下面中央に、円筒状の嵌入部が突設され、吸気軸332の上部に嵌入される。」 イ 「【0078】 <製造ターレットから取出しターレットへの搬送> 次に、製造ターレット13から取出しターレット14への搬送について、図9を参照して説明する。 搬送装置1は、同図(e)に示すように、製造ターレット13のボトムパッド331が、投入ターレット12から供給された缶9を、缶9の底部を真空吸着により保持した状態で、時計回り方向に搬送する。また、プッシュロッド27の当接部274が降下し、当接部274が(取出しターレット14の)押下板244と接触している。 なお、フランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動しており、製造ターレット13のボトムパッド331は、ボトムパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド331の(上方から見た)軌跡に沿って、移動している。」 ウ 「【0089】 [有底容器の搬送方法] 本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送方法は、投入ターレット12と製造ターレット13の間で、投入ターレット12に配設された真空吸着手段24が、上部が開口した缶9のフランジ部94を介して、缶9内部を真空吸着し保持する。続いて、製造ターレット13に配設された真空吸着手段33が、缶9の下部を吸着保持し、さらに、投入ターレット12の真空吸着手段24が缶9を開放することにより、缶9を受け渡す有底容器の搬送方法である。また、真空吸着手段24が、缶9の開口されたフランジ部94と当接するフランジパッド241を介して、缶9内の空気を吸引することによって、缶9を保持する方法としてある。 このように、本発明は、有底容器(本実施形態では、缶9)の搬送方法としても有効であり、様々な胴部形状の缶9を高速搬送するとともに、胴部形状が様々に変わっても型替えが不要であり、生産性を向上させることができる。」 エ 「【0092】 以上、本発明の有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。 例えば、製造ターレット13は、投入ターレット12によって搬送されてきた缶9を受け取り、缶9をブロー成形する構成としてあるが、これに限定されるものではない。すなわち、製造ターレット13が行なう作業は、たとえば、塗装、乾燥、印刷など様々な作業を行なうことができる。」 以上の記載事項ア乃至エから、甲第11号証には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「甲11技術事項」という。)。 「ボトムパッド331は、円板状としてあり、上面中央部から下方に向かって真空引きする吸気孔が貫通してあり、上面に、缶9の底部に対応した形状が形成してあり、すなわち、周縁部に円環状の溝が形成され、その内側に、(部分的な)球面状に膨らんだ凸部が形成され、この溝に缶9の底部が嵌合し、 搬送装置1は、製造ターレット13のボトムパッド331が、缶9の底部を真空吸着により保持した状態で、搬送し、 製造ターレット13は、塗装、乾燥、印刷など様々な作業を行なう製造方法。」 (12)甲第12号証 本願の出願前の平成15年7月22日に公開された特開2003-205924号公報(以下「甲第12号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0086】そのような樹脂被覆金属板から一体成形される本実施形態のボトル型缶1の製造工程において、印刷・塗装工程では、円筒状で薄肉に形成された胴部2の外面に対して、先ず、文字や装飾模様などの所望のデザインが印刷されている。」 (13)甲第13号証 本願の出願前の平成14年1月15日に公開された特開2002-12986号公報(以下「甲第13号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0003】DI缶は、DI加工が行われた後、潤滑油の脱脂、化成処理、洗浄、外面塗装、印刷、スプレーでの内面塗装、ネック加工までを、連続工程で行い空缶を製造している。その後、飲料メーカーにその空缶が出荷され、飲料物が充填される。一方、3ピース缶は、板厚0.15~0.25mmの鋼板に塗装、印刷を施し、所定のサイズに剪断し、それを円筒状に加工し、鋼板の重なり合う箇所を接着剤または溶接により接合して缶の胴部が製作される。引き続き、ネック加工が行われ、蓋が取り付けられ、空缶が製造される。その後、DI缶と同様に、飲料メーカーに出荷される。3ピース缶は2ピース缶の様に製缶による板厚の減少は無い。」 (14)甲第14号証 本願の出願前の平成20年10月16日に公開された特開2008-248289号公報(以下「甲第14号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0004】 これらいずれの容器においても、競合他容器に対する競争力を高めるためには、薄肉軽量化を進め、コストダウンを図ることが有効である。しかし、内容物の充填・巻締め時や、その後の輸送・ハンドリング時等に容器の変形を防止するため、十分な強度を保つ必要があり、材料の高強度化や容器形状の工夫等が行われている。」 イ 「【0045】 また、本発明に係る包装容器用アルミニウム合金板を、図2に示すような従来の一般的なDI缶11に適用する場合には、例えば、図3(b)に示すように、本発明に係る包装容器用アルミニウム合金板Aに対し、カップ成形やDI成形等の缶体成形を施して有底円筒状の缶(胴体部12)を形成する。続いて、この有底円筒状の缶(胴体部12)にネッキング加工を施してネック部13を形成する。そして、印刷・焼付けを施し、ネック部13のエンド部に開口部14を形成するが、このときに、開口部14の口径が胴体部12の径に比べて小さくなるように加工することで、DI缶11を製造することができる。」 (15)甲第15号証 本願の出願前の平成25年7月8日に公開された特開2013-132640号公報(以下「甲第15号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0010】 以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。 図1は、画像形成システム100を上方から眺めた場合の図である。 本実施形態における画像形成システム100は、飲料缶などに用いられる缶体10に対してデジタルの画像情報に基づき画像を形成する。ここで、この画像形成システム100には、インクジェット方式を利用して缶体10への画像形成を行う複数の画像形成装置200と、不図示の缶体製造工程にて製造された缶体10をこの複数の画像形成装置200へ順次供給する缶体供給機構300と、画像形成装置200により画像が形成された缶体10を排出する缶体排出機構400とから構成されている。また、画像形成システム100には、予め定められた処理プログラムに従ってデジタル演算処理を実行するCPUなどを備え、画像形成システム100に設けられた各装置、各機構部の制御を行う制御部500が設けられている。」 イ 「【0016】 また、画像形成装置200には、保持機構230により保持されている缶体10の外周面に対し紫外線硬化型のインクを吐出し画像を形成する画像形成手段として機能する4つのインクジェットヘッド240が設けられている。さらに、回転部材210の回転方向において、4つのインクジェットヘッド240よりも下流側に設けられ、保持機構230により保持されている缶体10の外周面に対して紫外線を照射するUVLED(Ultraviolet Light Emitting Diode)ランプ250が設けられている。さらに、4つのインクジェットヘッド240の各々に対応するように複数設けられ、インクジェットヘッド240の清掃を行うヘッドクリーナ(不図示)が設けられている。」 ウ 「【0030】 次いで、この一つ目のインクジェットヘッド240から、下方に位置し予め定められた速度で回転(自転)している缶体10に向けてインクが吐出され、缶体10の外周面に対して一色目のインクによる画像が形成される。ここで本実施形態では、このように、缶体10の上方から缶体10に向けてインクが吐出される。この場合、重力の作用方向とインクの吐出方向とが一致するようになり、吐出されたインクの挙動が安定し、インクの吐出位置をより精度よくコントロールすることができるようになる。」 以上の記載事項ア乃至ウから、甲第15号証には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「甲15技術事項」という。)。 「インクジェット方式を利用して缶体10への画像形成を行う複数の画像形成装置200であって、 画像形成装置200には、保持機構230により保持されている缶体10の外周面に対し紫外線硬化型のインクを吐出し画像を形成する画像形成手段として機能する4つのインクジェットヘッド240が設けられ、回転(自転)している缶体10に向けてインクが吐出される画像形成装置200。」 (16)甲第16号証 本願の出願前の平成29年6月15日に公表された特表2017-515704号公報(以下「甲第16号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0046】 図5は、2つの垂直部分34に配置された一連の印刷ヘッドステーション33を示し、それぞれの垂直部分は、互いに水平方向にオフセットされる。図示された実施形態において、2つの垂直部分は、同じ高さであるが、他の実施形態において、垂直部分は、垂直方向にオフセットされ、かつ水平方向にオフセットされていてもよい。それぞれの印刷ヘッドステーション33は、2個の印刷ヘッド32を備えており、2個の印刷ヘッド32は、吐出部の軸が実質的に水平方向になる方向を向いており、同じ物体を同時に印刷してもよい。印刷ヘッドステーション33の2個の印刷ヘッド32は、流路を形成するように互いに面して配置され、この流路を通り、長手方向の軸が印刷ヘッド32の吐出部に対して平行になるように円筒形の物体が通過してもよい。 … 【0048】 印刷プロセス中、円筒形の物体31(缶または瓶であってもよい)は、ある印刷ヘッドステーション33の近傍の垂直方向の経路を通り、保持デバイス(図示せず)によって運ばれ、保持デバイスは、マンドレルまたは上述の円筒形の物体を保持するのに適した当該技術分野で知られている別のデバイスであってもよい。 【0049】 印刷ヘッドステーション33で、物体31は、その長手方向の軸の周りを回転し、物体がそれぞれの印刷ヘッド32によって印刷される間、静止したままである。」 以上の記載事項から、甲第16号証には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「甲16技術事項」という。)。 「印刷プロセス中、缶は、ある印刷ヘッドステーション33の近傍の垂直方向の経路を通り、保持デバイスによって運ばれ、保持デバイスは、マンドレルであり、 物体31は、その長手方向の軸の周りを回転し、物体がそれぞれの印刷ヘッド32によって印刷される間、静止したままである印刷ヘッドステーション33。」 (17)甲第17号証 本願の出願前の2016年1月28日に公開された米国特許出願公開第2016/0023471号明細書(以下「甲第17号証」という。)には、次の事項が記載されている(なお、括弧内の日本語訳は当審で作成した。)。 ア 「[0002] This invention relates generally to cylindrical can decorating and printing equipment and more particularly to a digital printing system using process color printing for printing labels on cylindrical containers for the beverage, cosmetic, medical and consumer packaging industries.」 ([0002] 本発明は、一般に、円筒缶塗装及び印刷機器に関し、より詳細には飲料用の円筒状容器の上にラベル印刷用のカラー印刷処理を使用して、デジタル印刷システムは、化粧品、医薬品および消費財包装産業に関するものである。) イ 「[0075] With reference to FIGS. 1-7, various views of digital printing system tables 19 of the present invention are illustrated. As illustrated here, the digital printing system comprises an eighteen station 1-18 indexing table 19 preferably comprising the following stations, each of which may be activated or deactivated during the printing process depending on the size of a cylindrical container 25 being printed or a desired design being printed on the cylindrical container 25.」 ([0075] 図1-7を参照して、本発明のデジタルプリントシステム19の種々の図が示されている。図示のように、デジタル印刷システムは、18個のステーション1~18のインデックステーブル19を備え、好ましくは以下のステーションを備え、各ステーションは、印刷される円筒形容器25のサイズまたは円筒形容器25に印刷される所望のデザインに応じて、印刷プロセス中にアクティブ化または非アクティブ化させることができる。) ウ 「[0079] The indexing table 19 is mounted horizontally and supports eighteen separate servo motor 21 driven mandrel assemblies 22. Each mandrel 22 is supplied with a vacuum 23 through the center of a drive shaft 24 and will hold one cylindrical container 25 and rotate the cylindrical container 25 under print heads 26 at a constant speed through multiple revolutions as needed to achieve up to 600 dpi resolution. The print heads 26 may be operated to print during four revolutions of a substrate or printing surface of the cylindrical container 25 while the index table 19 is stationary or in a “dwell period.” However, the operation of the print heads 26 and revolutions of the cylindrical container 25 may be varied by a computer operated motion control system to achieve multiple combinations of speed and positioning programmed to obtain various print effects such as holograms, tactile surface and so forth.」 ([0079] インデックステーブル19は水平に取り付けられ、18個の独立したサーボモーター21駆動のマンドレルアセンブリ22をサポートします。各マンドレル22には、ドライブシャフト24の中心から真空23が供給され、1つの円筒形容器25を保持し、必要に応じて複数回回転して一定速度で印刷ヘッド26の下で円筒形容器25を回転させ、最大600dpiの解像度を実現します。インデックステーブル19が静止しているか「休止期間」にある間に、印刷ヘッド26を操作して、円筒形容器25の基板または印刷面を4回転させて印刷することができます。ただし、印刷ヘッド26の操作と円筒形容器25の回転は、コンピューターの操作によるモーションコントロールシステムによって変更することができ、ホログラム、触覚面などのさまざまな印刷効果を得るためにプログラムされた速度と位置の複数の組み合わせを実現できます。) エ 「[0081] Contour printing is achieved using four angled piezoelectric print heads 26 (as illustrated in FIG. 6) and Ultra Violet (UV) cured inks in index table 19 in stations 3 thru 6 with final UV cure happening in station 6.」 ([0081] 輪郭印刷は、4つの角度付き圧電プリントヘッド26(図6に示す)と、ステーション3から6のインデックステーブル19内の紫外線(UV)硬化インクを使用して実現され、最終的なUV硬化はステーション6で行われます。) オ 「[0082] The straight sides of the product are printed in stations 7 thru 14 and are cured in stations 15 and 16 where an additional spot color or other process may be applied if desired.」 ([0082] 製品の直線部分はステーション7から14で印刷され、ステーション15と16で硬化されます。必要に応じて、追加のスポットカラーやその他のプロセスを適用することもできます。) カ 「[0083] The length of the print heads 26 used to print the straight sides or body of the cylindrical containers 25 has a maximum length of 104 mm. Therefore in order to print patterns longer than 104 mm the print heads 26 must be staggered around the table 19 in relation to the position of the cylindrical container 25 on the mandrel 22. Therefore, stations 7-10 have print heads 26 positioned to print a top part of the substrate of the cylindrical container 25 up to 104 mm in length and print heads 26 in stations 11-14 are designated to print the bottom portion of the cylindrical container 25 up to 200 mm total length or remain idle if cylindrical container 25 having a shorter height are being printed. Therefore, cylindrical containers 25 having various sizes, such as 12 oz. 20 oz., 32 oz. and so forth, may be printed using this staggered configuration.」 ([0083] 円筒形容器25の直線側面または本体を印刷するために使用されるプリントヘッド26の長さは、最大104mmです。したがって、104mmより長いパターンを印刷するには、プリントヘッド26を、マンドレル22上の円筒形容器25の位置に応じてテーブル19の周囲に交互に配置する必要があります。したがって、ステーション7~10には、長さが最大104mmの円筒形容器25の基板の上部を印刷するように配置したプリントヘッド26があり、ステーション11~14のプリントヘッド26は、全長が最大200mmの円筒形容器25の底部を印刷するように指示されています。または、高さの低い円筒形容器25を印刷する場合はアイドル状態のままになります。したがって、この交互に配置した構成を使用して、12オンス、20オンス、32オンスなどのさまざまなサイズの円筒形容器25を印刷できます。) キ 「[0103] When a cylindrical container 25 is loaded onto a mandrel 22 in the infeed station 1, it is possible for the cylindrical container 25 to have a dented side wall and still load onto the mandrel 22 due to the shape of the necked cylindrical container 25. The neck opening is smaller than the body diameter necessitating a smaller mandrel than the inside dimension of the cylindrical container 25 body be used to locate and support the container during printing/coating.」 ([0103] 円筒形容器25がインフィードステーション1のマンドレル22に装填されるとき、円筒形容器25のネック形状により、円筒形容器25の側壁がへこんでいる場合でもマンドレル22に装填される可能性があります。ネック開口部は本体直径よりも小さいため、印刷/コーティング中に容器を配置してサポートするには、円筒形容器25本体の内寸よりも小さいマンドレルを使用する必要があります。) (18)甲第18号証 本願の出願前の2012年8月9日に公開された米国特許出願公開第2012/0199021号明細書(以下「甲第18号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「[0002] It is known that containers such as bottles and packaging are provided with labels so that consumer information can be attached. It is also known that with ink jet printers, marks or other information is applied to the packaging which makes possible an individualisation that is not permitted by label printing. Such printing systems work in monochrome and are restricted to a few printing dots/lines.」 ([0002] ボトルや包装などの容器には、消費者情報を添付できるようにラベルが付けられていることは知られています。また、インクジェットプリンターを使用すると、マークやその他の情報が包装に付けられ、ラベル印刷では許可されていない個別化が可能になることも知られています。このような印刷システムはモノクロで動作し、印刷ドット/ラインは少数に制限されます。) イ 「[0029] FIG. 1 shows locations at which in principle for example a bottle-shaped container B can be printed by means of a printing head 1, i.e. particularly on the belly (print image surface FB) and on the neck (print image surface FH). The container B during printing is located for example on a turntable 2 (see FIGS. 3a and 3b) where it is put into rotary motion during the printing process. The print image D is applied to the surface of the container B in the region of the print image surface FB or/and FH. The position of the printing head 1 by location coordinates and angular position is automatically determined through the shape and position of the container B, which with the help of a camera or an image processing device senses, which in turn emits corresponding alignment signals to the printing head 1 via a control device. The print image surface F of the container B can be at a height that is different from that of the turntable 2, so that the printing head 1 is adjustable in its height position (z-axis). The distance (x-axis) of the printing head 1 from the container axis A is likewise adjustable, also the angular position of the printing head 1 as a function of the container shape and the alignment of the container. In the case of a bottle, the centre points of bottle bottom and bottle mouth can for example be not in the perpendicular or the same position as in the previous printing machine. Alignment in the angles #1 and #2 is provided also for that reason (see FIG. 1d).」 ([0029] 図1は、原理的には、例えばボトル形状の容器Bが印刷ヘッド1によって印刷される位置、すなわち特に腹(印刷画像面FB)および首(印刷画像面FH)上に示されている。印刷中の容器Bは、例えばターンテーブル2上に配置され(図3aおよび3bを参照)、印刷プロセス中に回転運動させられる。印刷画像Dは、印刷画像面FBまたは/およびFHの領域で容器Bの表面に適用される。位置座標および角度位置による印刷ヘッド1の位置は、容器Bの形状および位置によって自動的に決定され、カメラまたは画像処理装置によって感知され、制御装置を介して印刷ヘッド1に適切な位置合わせ信号が送信される。容器Bの印刷画像面Fは、ターンテーブル2の高さとは異なる高さにある場合があり、印刷ヘッド1の高さ位置(Z軸)を調整することができる。容器軸Aからの印刷ヘッド1の距離(x軸)も同様に調整可能であり、容器の形状と容器の配置に応じて印刷ヘッド1の角度位置も調整可能です。ボトルの場合、ボトルの底とボトルの口の中心点は、たとえば垂直でなくてもよく、以前の印刷機と同じ位置でなくてもかまいません。角度#1と#2の配置も、この理由から行われます(図1dを参照)。) (19)甲第19号証 本願の出願前の2009年6月11日に公開された米国特許出願公開第2009/0145511号明細書(以下「甲第19号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「[0019] Containers within the meaning of the present application include but are not limited to bottles, cans or packages, whereby essentially all the containers can have a cylindrical, non-cylindrical, rotationally symmetrical, or non-rotationally symmetrical shape and/or peripheral surface.」 ([0019] 本出願の意味における容器には、ボトル、缶、またはパッケージが含まれるが、これらに限定されず、本質的にすべての容器は、円筒形、非円筒形、回転対称形、または非回転対称形の形状および/または周面を有することができる。) イ 「[0082] FIG. 10 shows, in the form of an additional embodiment of a machine 16d which is not realized in the form of a rotary machine but in the form of a linear machine, for example in the form of a clocked machine. With this machine, the bottles 1 to be printed are each fed individually to the printer station 19d, where they are centered by the bottom rollers 27 located there. For the printing process, each bottle 1 with its bottle axis FA oriented horizontally is clamped between a clamping holder 28 on the bottle mouth 1.1 and a support element 29 that corresponds to the support element 14. Above the respective bottle is the print head array that has at least one print head 3, which is supported on the bottle mouth by means of top rollers. The top rollers 30 are driven by a drive motor 31 around a common axis that is parallel or essentially parallel to the bottle axis FA, and specifically for the rotational movement of the bottle 1 during the printing process. The clamping holder 28 is provided together with a plurality of clamping holders 28 on a rotor 32 that can be driven in rotation around a machine axis MA, which rotor, after the printing of a bottle 1, continues to turn by one rotation step or one interval to remove the printed bottle 1 from the printer station 19d, which does not move with the rotor 32, and to introduce a new bottle 1 to be printed into the printer station.」 ([0082] 図10は、回転機械ではなく、例えばクロック機械の形態のリニア機械の形態で実現される機械16dのさらなる実施形態の形態を示す。この機械では、印刷されるボトル1はそれぞれ個別にプリンタステーション19dに送られ、そこで、そこに配置された下部ローラ27によって中心合わせされる。印刷プロセスでは、各ボトル1は、そのボトル軸FAが水平に向けられ、ボトル口1.1上のクランプホルダ28と、支持要素14に対応する支持要素29との間に挟まれる。各ボトルの上には、少なくとも1つの印刷ヘッド3を有する印刷ヘッドアレイがあり、印刷ヘッドアレイは、上部ローラによってボトル口に支持されている。上部ローラ30は、駆動モータ31によって、ボトル軸FAと平行または実質的に平行な共通軸の周りを駆動され、特に、印刷プロセス中のボトル1の回転運動のために駆動される。クランプホルダー28は、機械軸MAの周りを回転駆動可能なロータ32上に複数のクランプホルダー28とともに設けられ、このロータは、ボトル1の印刷後、1回転ステップまたは1間隔だけ回転し続け、印刷済みのボトル1を、ロータ32と一緒に移動しないプリンタステーション19dから取り除き、印刷する新しいボトル1をプリンタステーションに導入する。) (20)甲第20号証 本願の出願前の2012年2月23日に公開された国際公開第2012/022746号(以下「甲第20号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「(57)Abstract:In a device for printing containers by means of inkjet printing on a rotating machine, a plurality of treatment stations (23) have the print heads (7, 8, 9) which are necessary for printing the containers (1). The print heads (7, 8, 9) and optionally further devices (5, 6) which are required for the pre-treatment and post-treatment of the containers (1) are arranged substantially above one another in a track (B) which is preferably inclined by approximately 90° with respect to the transport plane of the containers (1). The machine (1) has transport elements (13) for displacing the containers (1) along the inclined track.」 ((57)要約:回転機械上でインクジェット印刷によって容器に印刷する装置では、複数の処理ステーション(23)が、容器(1)に印刷するために必要な印刷ヘッド(7、8、9)を有する。印刷ヘッド(7、8、9)および必要に応じて容器(1)の前処理および後処理に必要なその他の装置(5、6)は、好ましくは容器(1)の搬送面に対して約90°傾斜したトラック(B)内で実質的に互いに重なるように配置される。機械(1)は、傾斜したトラックに沿って容器(1)を移動させるための搬送要素(13)を有する。) (21)甲第21号証 本願の出願前の平成21年4月9日に公表された特表2009-514707号公報(以下「甲第21号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 制御された精密運動を実施するために、中空体を収容して精確に固定する方法および緊締装置が提案される。これによって中空体の位置を精確に制御して、高精度で、中空体の壁の外面のデジタル印刷を実現することができる。デジタル印刷(デジタルプリント)は、従来における中空体の外面の、ブランケット-方法で塗布されるインキ付けおよび模様付けに代わるものである。」 イ 「【0013】 この場合中空体の底は、容器の自由端面と協働して、ある種の弁エレメントとして利用され、弁エレメント自体は、負圧によってマンドレルに容器を取り付ける際に、底がマンドレル端面に当接するように作用し、負圧が作用し、緊締セグメントは半径方向外向きに運動し、これによって緊締セグメントは圧力下で容器の内壁に位置する(請求項11、請求項12)。」 (22)甲第22号証 本願の出願前の1962年2月6日に公開された米国特許第3019725号明細書(以下「甲第22号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「This invention relates generally to the art of printing containers to provide printed or design matter in the form of a label on the exterior surface thereof.」(1欄10~12行) (本発明は、概して、容器の外面にラベルの形態で印刷物またはデザイン物を提供する印刷容器の技術に関する。) (23)甲第23号証 本願の出願前の平成27年9月10日に公表された特表2015-526312号公報(以下「甲第23号証」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、飲料缶の円筒状印刷表面に印刷画像を印刷する方法および印刷された飲料缶に関する。この飲料缶は殊に、ブリキ板またはアルミニウムから成る。」 イ 「【0003】 本発明の使用領域は、飲料缶の印刷に関する。飲料缶とはここでは、底面と円筒状の側面と開放されている、底面に対向する端部とを備えた飲料缶胴のことである。このような飲料缶は、通常、パレットにまとめられて、充填作業へ搬送される。この充填作業で飲料缶には、開放端部を通じて飲料が充填され、充填後に、開放端部が飲料缶の蓋によって閉められる。このようにして、充填され、閉められた飲料容器が得られる。飲料缶の開放端部は有利には絞られ、外側へと湾曲した縁が設けられる。このようにして、飲料缶の蓋の縁と、飲料缶開放端部の外側へ湾曲している縁とを接続することができる。飲料缶は、有利には、ブリキ板ないしは鋼またはアルミニウムから製造される。」 ウ 「【0005】 飲料缶の円筒状側面の外側表面、すなわち、円筒状印刷表面には、有利には印刷画像が被着される。この印刷画像は、使用者にアピールするグラフィカルなデザインを有する。択一的または付加的に、この印刷画像内に、情報を伝える図画的な素材、例えば、内容物に関する記述、預かり金マーク、消費期限または製造年月日、識別番号等を配置することができる。」 エ 「【0049】 図2は、ステップ101から114において、同じように、飲料缶の通常の製造プロセスを示している。これは、ステップ101における未加工部材の打ち抜きとカップ状への深絞り加工と、ステップ102における絞りしごき成形と、これに続く、ステップ103における開放端部の切断とを含んでいる。ステップ104において、残留している潤滑剤を洗浄した後、ステップ105において飲料缶が乾かされ、次に、ステップ106においてUVコーティングが施される。その後、ステップ107において凸版印刷方法で印刷が行われ、これに続いてステップ108において乾燥が行われる。次に、ステップ109において、スプレーマシンによって塗料が被着される。この塗料は次にステップ110において乾かされる。ステップ111において、飲料缶の開放端部が絞られ、縁部が設けられる。ステップ112における飲料缶の検査後に、これはステップ113において、パレタイザ内でパレットに積み付けされ、次に、ステップ114で収納される。不特定または所定の収納時間後または要求に応じた収納後に、飲料缶はパレットから出され、1つまたは複数の並行した印刷機械に供給される。図2に示された実施例では、4つの印刷機械が設けられている。従ってステップ116a、b、c、dでは、並行して、飲料缶がデジタルに印刷可能である。次に、飲料缶はステップ117において、まとめて乾燥され、ステップ118において再びパレットに積み付けされる。ステップ116a、b、c、dにおいて複数のデジタル印刷機械を設けることは、次のような利点を有している。すなわち、高いスループット、例えば年間20000万個のスループットを実現することができる、という利点を有している。」 以上の記載事項ア乃至エから、甲第23号証には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「甲23技術事項」という。)。 「飲料缶の円筒状印刷表面に印刷画像を印刷する方法であって、 ステップ101における未加工部材の打ち抜きとカップ状への深絞り加工と、ステップ102における絞りしごき成形と、これに続く、ステップ103における開放端部の切断とを含み、ステップ104において、残留している潤滑剤を洗浄した後、ステップ105において飲料缶が乾かされ、次に、ステップ106においてUVコーティングが施され、ステップ107において凸版印刷方法で印刷が行われ、これに続いてステップ108において乾燥が行われ、ステップ109において、スプレーマシンによって塗料が被着され、この塗料は次にステップ110において乾かされ、ステップ111において、飲料缶の開放端部が絞られ、縁部が設けられ、ステップ112における飲料缶の検査後に、これはステップ113において、パレタイザ内でパレットに積み付けされ、次に、ステップ114で収納される、製造プロセスを含む方法。」 2 [申立理由1-1]について (1)本件訂正特許発明1について ア 対比 本件訂正特許発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「開口部」、「円筒状缶本体」、「缶ネック部」、「『テーパー付け装置を使用して外側から缶本体111のネック部112を、部分的に狭小化し「缶ネック部のテーパー付け」』を『為』す『方法ステップ6』」、「缶詰工場」及び「金属缶を製造する方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「『筒状』『缶体』」、「縮径部」、「開口部を縮径する縮径工程」、「内容物充填設備を備えた場所」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「円筒状缶本体」は「開口部」を有するところ、缶詰工場にて、装飾層が位置決め及び取り付けが行われることからすると、缶詰工場に搬入されるまでは「空」であること、及び開口部の反対側には「底部」が備えられていることは明らかであるから、前者の「円筒状缶本体」と後者の「円筒状缶本体」とは、「開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者の「円筒状缶本体」はネック部が部分的に狭小化され「缶ネック部のテーパー付け」が為されるところ、テーパー付けされていない缶本体は円筒状であるのだから、後者の「缶本体」の「円筒状」部分は、前者の「『縮径部よりも前記底部側』の『缶胴部分』」に相当する。 (エ)後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」するとは、「缶ネック部のテーパー付け」ステップ後であって、金属缶製造メーカにて貯蔵するのであるから、後者の「金属缶製造メーカ」は前者の「貯蔵部」に相当する。 そうすると、後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」することは、前者の「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」に相当する。 (オ)後者の「方法ステップ7」は、「マーケッティングの決定に従って、装飾層印刷工場において形成された装飾層であって、裏側に予め絵、文書、図形、表等を印刷した装飾層が、缶詰工場にて、位置決め及び取り付けが行われ」るところ、後者の「マーケッティングの決定に従って」とは、前者の「指示に応じて」に相当する。 また、後者の「缶本体」は、「金属缶製造メーカにて貯蔵」していたところ、「缶詰工場」にて装飾層が位置決め及び取り付けが行われるから、前者の「空の缶体」と後者の「缶本体」とは、「貯蔵部から供給され」、「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」ものとの概念で一致する。 そして、後者の「装飾層」を「取り付け」ることは、「缶本体」を装飾することであるから、後者の「方法ステップ7」は缶本体の外面に対して、画像を形成する画像形成工程を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明1と甲1発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して、画像を形成する画像形成工程と、 を備える飲料用缶の製造方法。」 [相違点1-1] 本件訂正特許発明1の「画像形成工程」が、「空の缶体を周方向へ回転させながら、当該空の缶体の外面のうちの前記縮径部に位置する部分および当該外面のうちの前記缶胴部分に位置する部分の両者に対して、当該空の缶体の軸方向に沿って延び当該縮径部および当該缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて直接画像を形成」するものであるのに対し、甲1発明は、装飾層印刷工場において形成された装飾層を、缶本体に、位置決め及び取り付けるものである点。 イ 判断 特許異議申立人が提出した甲第2号証乃至甲第23号証に、上記相違点1-1に係る事項は記載されておらず、また、上記相違点1-1が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点1-1を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 そうすると、甲1発明の「缶本体111」の側面は鉛直線に対して傾斜しているから、装飾層を缶本体に取り付けることに代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明1は、甲1発明、甲第2乃至23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (2)本件訂正特許発明2について 本件訂正特許発明2は、本件訂正特許発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件訂正特許発明1が、上記(1)と同様の理由により、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (3)本件訂正特許発明5について ア 対比 本件訂正特許発明5と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「開口部」、「円筒状缶本体」、「缶ネック部」、「『テーパー付け装置を使用して外側から缶本体111のネック部112を、部分的に狭小化し「缶ネック部のテーパー付け」』を『為』す『方法ステップ6』」、「缶詰工場」及び「金属缶を製造する方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「『筒状』『缶体』」、「縮径部」、「開口部を縮径する縮径工程」、「内容物充填設備を備えた場所」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「円筒状缶本体」は「開口部」を有するところ、缶詰工場にて、装飾層が位置決め及び取り付けが行われることからすると、缶詰工場に搬入されるまでは「空」であること、及び開口部の反対側には「底部」が備えられていることは明らかであるから、前者の「円筒状缶本体」と後者の「円筒状缶本体」とは、「開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者の「円筒状缶本体」はネック部が部分的に狭小化され「缶ネック部のテーパー付け」が為されるところ、テーパー付けされていない缶本体は円筒状であるのだから、後者の「缶本体」の「円筒状」部分は、前者の「『縮径部よりも前記底部側』の『缶胴部分』」に相当する。 (エ)後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」するとは、「缶ネック部のテーパー付け」ステップ後であって、金属缶製造メーカにて貯蔵するのであるから、後者の「金属缶製造メーカ」は前者の「貯蔵部」に相当する。 そうすると、後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」することは、前者の「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」に相当する。 (オ)後者の「方法ステップ7」は、「マーケッティングの決定に従って、装飾層印刷工場において形成された装飾層であって、裏側に予め絵、文書、図形、表等を印刷した装飾層が、缶詰工場にて、位置決め及び取り付けが行われ」るところ、後者の「マーケッティングの決定に従って」とは、前者の「指示に応じて」に相当する。 また、後者の「缶本体」は、「金属缶製造メーカにて貯蔵」していたところ、「缶詰工場」にて装飾層が位置決め及び取り付けが行われるから、前者の「空の缶体」と後者の「缶本体」とは、「貯蔵部から供給され」、「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」ものとの概念で一致する。 そして、後者の「装飾層」を「取り付け」ることは、「缶本体」を装飾することであるから、後者の「方法ステップ7」は缶本体の外面に対して、画像を形成する画像形成工程を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明5と甲1発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記空の缶体は、前記開口部とは反対側に底部を有する、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点1-2] 本件訂正特許発明5の「画像形成工程」では、「前記縮径が行われた後の前記空の缶体に入れられて当該空の缶体の内部から当該缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも前記底部側に位置する缶胴部分の内周面に接近して当該内周面に接触する部位を備えた支持部材により当該缶体を支持する」のに対し、甲1発明は、支持部材の有無が不明な点。 イ 判断 特許異議申立人が提出した甲第2号証乃至甲第23号証に、上記相違点1-2に係る事項、特に、縮径が行われた後の空の缶体に入れられて当該空の缶体の内部から当該缶体を支持する支持部材は記載されておらず、また、上記相違点1-2が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点1を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、甲1発明は、装飾層を、缶本体に位置決め及び取り付けるものにすぎないから、缶本体の内部、しかも、縮径部よりも底部側の缶胴部の内周面に接触して支持する支持部材より支持するようにする動機付けは見当たらない。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明5は、甲1発明、甲第2号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明5は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (4)本件訂正特許発明6について ア 対比 本件訂正特許発明6と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「開口部」、「円筒状缶本体」、「缶ネック部」、「『テーパー付け装置を使用して外側から缶本体111のネック部112を、部分的に狭小化し「缶ネック部のテーパー付け」』を『為』す『方法ステップ6』」、「缶詰工場」及び「金属缶を製造する方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「『筒状』『缶体』」、「縮径部」、「開口部を縮径する縮径工程」、「内容物充填設備を備えた場所」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「円筒状缶本体」は「開口部」を有するところ、缶詰工場にて、装飾層が位置決め及び取り付けが行われることからすると、缶詰工場に搬入されるまでは「空」であること、及び開口部の反対側には「底部」が備えられていることは明らかであるから、前者の「円筒状缶本体」と後者の「円筒状缶本体」とは、「開口部とは反対側に位置する底部」を有し「空の」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者の「円筒状缶本体」はネック部が部分的に狭小化され「缶ネック部のテーパー付け」が為されるところ、テーパー付けされていない缶本体は円筒状であるのだから、後者の「缶本体」の「円筒状」部分は、前者の「『縮径部よりも前記底部側』の『缶胴部分』」に相当する。 (エ)後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」するとは、「缶ネック部のテーパー付け」ステップ後であって、金属缶製造メーカにて貯蔵するのであるから、後者の「金属缶製造メーカ」は前者の「貯蔵部」に相当する。 そうすると、後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」することは、前者の「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」に相当する。 (オ)後者の「方法ステップ7」は、「マーケッティングの決定に従って、装飾層印刷工場において形成された装飾層であって、裏側に予め絵、文書、図形、表等を印刷した装飾層が、缶詰工場にて、位置決め及び取り付けが行われ」るところ、後者の「マーケッティングの決定に従って」とは、前者の「指示に応じて」に相当する。 また、後者の「缶本体」は、「金属缶製造メーカにて貯蔵」していたところ、「缶詰工場」にて装飾層が位置決め及び取り付けが行われるから、「缶本体」は、「貯蔵部から供給され」、「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」といえる。 そして、後者の「装飾層」を「取り付け」ることは、「缶本体」を装飾することであるから、後者の「方法ステップ7」は缶本体の外面に対して、画像を形成する画像形成工程を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明6と甲1発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備える、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点1-3] 本件訂正特許発明6の「画像形成工程」では、「前記縮径が行われた後の前記空の缶体の内部から当該空の缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能を有し当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される当該支持部材により当該空の缶体の当該底部と当該開口部とが支持する」のに対し、甲1発明は、支持部材の有無が不明な点。 イ 判断 特許異議申立人が本件特許異議申立時に提出した甲第2号証乃至甲第14号証に、上記相違点1-3に係る事項、特に、縮径が行われた後の前記空の缶体の内部から当該空の缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能は記載されておらず、また、特許異議申立人が本件特許異議申立時以降に提出した甲第15号証乃至甲第23号証に上記相違点1-3が、周知の技術手段であることを立証する証拠は提出されておらず、また、上記相違点1-3が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点1-3を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、甲1発明は、装飾層を、缶本体に位置決め及び取り付けるものにすぎないから、缶本体の開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能を有し当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される当該支持部材により当該空の缶体の当該底部と当該開口部とを支持するようにする動機付けは見当たらない。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明6は、甲1発明、甲第2号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明6は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (5)本件訂正特許発明7について ア 対比 本件訂正特許発明7と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「開口部」、「円筒状缶本体」、「缶ネック部」、「『テーパー付け装置を使用して外側から缶本体111のネック部112を、部分的に狭小化し「缶ネック部のテーパー付け」』を『為』す『方法ステップ6』」、「缶詰工場」及び「金属缶を製造する方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「『筒状』『缶体』」、「縮径部」、「開口部を縮径する縮径工程」、「内容物充填設備を備えた場所」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「円筒状缶本体」は「開口部」を有するところ、缶詰工場にて、装飾層が位置決め及び取り付けが行われることからすると、缶詰工場に搬入されるまでは「空」であること、及び開口部の反対側には「底部」が備えられていることは明らかである。 (ウ)後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」するとは、「缶ネック部のテーパー付け」ステップ後であって、金属缶製造メーカにて貯蔵するのであるから、後者の「金属缶製造メーカ」は前者の「貯蔵部」に相当する。 そうすると、後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」することは、前者の「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」に相当する。 (エ)後者の「方法ステップ7」は、「マーケッティングの決定に従って、装飾層印刷工場において形成された装飾層であって、裏側に予め絵、文書、図形、表等を印刷した装飾層が、缶詰工場にて、位置決め及び取り付けが行われ」るところ、後者の「マーケッティングの決定に従って」とは、前者の「指示に応じて」に相当する。 また、後者の「缶本体」は、「金属缶製造メーカにて貯蔵」していたところ、「缶詰工場」にて装飾層が位置決め及び取り付けが行われるから、前者の「空の缶体」と後者の「缶本体」とは、「貯蔵部から供給され」、「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」ものとの概念で一致する。 そして、後者の「装飾層」を「取り付け」ることは、「缶本体」を装飾することであるから、後者の「方法ステップ7」は缶本体の外面に対して、画像を形成する画像形成工程を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明7と甲1発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備える、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点1-4] 本件訂正特許発明7の「空の缶体」の底部には、「当該空の缶体の内部側に凹む凹部が設けられ」ているのに対し、甲1発明の缶本体の底部の形状が不明である点。 「相違点1-5」 本件訂正特許発明7の「画像形成工程」が、「空の缶体の軸方向に沿って延びるインクジェットヘッドを用い、前記縮径が行われた後の前記空の缶体を当該空の缶体の外側から支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記底部に設けられた前記凹部に入る凸部を有し当該底部を吸引する機能を有した当該支持部材により当該空の缶体が支持されるとともに、当該空の缶体の前記外面が前記インクジェットヘッドに対峙した状態で当該空の缶体の当該外面への画像の形成」を行うものであるのに対し、甲1発明は、装飾層印刷工場において形成された装飾層を、缶本体に、位置決め及び取り付けるものである点。 イ 判断 (ア)[相違点1-4]について 甲11技術事項の「内側に、(部分的な)球面状に膨らんだ凸部」は、上記相違点1-4の「内部側に凹む凹部」に相当する。 しかし、甲11技術事項は、搬送装置1に用いる技術であるところ、甲1発明の装飾層を位置決め及び取り付けるステップは、いわゆる、ライン生産方式であるとはいえないから、甲11技術事項を、甲1発明に適用する動機付けが見当たらない。 (イ)[相違点1-5]について 特許異議申立人が提出した甲第2号証乃至甲第23号証に、上記相違点1-5に係る事項は記載されておらず、また、上記相違点1-5が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点1-5を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 そうすると、甲1発明の「缶本体111」の側面は鉛直線に対して傾斜しているから、装飾層を缶本体に取り付けることに代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明7は、甲1発明、甲第2乃至23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明7は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (6)本件訂正特許発明8について 本件訂正特許発明8は、本件訂正特許発明7の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件訂正特許発明1が、上記(1)と同様の理由により、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (7)本件訂正特許発明9について ア 対比 本件訂正特許発明9と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「開口部」、「円筒状缶本体」、「缶ネック部」、「『テーパー付け装置を使用して外側から缶本体111のネック部112を、部分的に狭小化し「缶ネック部のテーパー付け」』を『為』す『方法ステップ6』」、「缶詰工場」及び「金属缶を製造する方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「『筒状』『缶体』」、「縮径部」、「開口部を縮径する縮径工程」、「内容物充填設備を備えた場所」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「円筒状缶本体」は「開口部」を有するところ、缶詰工場にて、装飾層が位置決め及び取り付けが行われることからすると、缶詰工場に搬入されるまでは「空」であること、及び開口部の反対側には「底部」が備えられていることは明らかであるから、前者の「円筒状缶本体」と後者の「円筒状缶本体」とは、「開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者の「円筒状缶本体」はネック部が部分的に狭小化され「缶ネック部のテーパー付け」が為されるところ、テーパー付けされていない缶本体は円筒状であるのだから、後者の「缶本体」の「円筒状」部分は、前者の「『縮径部よりも前記底部側』の『缶胴部分』」に相当する。 (エ)後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」するとは、「缶ネック部のテーパー付け」ステップ後であって、金属缶製造メーカにて貯蔵するのであるから、後者の「金属缶製造メーカ」は前者の「貯蔵部」に相当する。 そうすると、後者の「方法ステップ1、6において、更に加工することが可能である未印刷の金属缶予成形体を製造し、金属缶製造メーカにて貯蔵」することは、前者の「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」に相当する。 (オ)後者の「方法ステップ7」は、「マーケッティングの決定に従って、装飾層印刷工場において形成された装飾層であって、裏側に予め絵、文書、図形、表等を印刷した装飾層が、缶詰工場にて、位置決め及び取り付けが行われ」るところ、後者の「マーケッティングの決定に従って」とは、前者の「指示に応じて」に相当する。 また、後者の「缶本体」は、「金属缶製造メーカにて貯蔵」していたところ、「缶詰工場」にて装飾層が位置決め及び取り付けが行われるから、前者の「空の缶体」と後者の「缶本体」とは、「貯蔵部から供給され」、「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」ものとの概念で一致する。 そして、後者の「装飾層」を「取り付け」ることは、「缶本体」を装飾することであるから、後者の「方法ステップ7」は缶本体の外面に対して、缶胴部分への画像を形成する画像形成工程を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明9と甲1発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記画像形成工程では、縮径が行われた後の前記空の缶体の前記外面のうちの前記缶胴部分への画像の形成を行う、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点1-5] 本件訂正特許発明9の「画像形成工程」が、「該空の缶体の軸方向に沿って延び前記縮径部および前記缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用い、空の缶体の当該外面のうちの前記縮径部への画像の形成を行わない」ものであるのに対し、甲1発明は、装飾層印刷工場において形成された装飾層を、缶本体に、位置決め及び取り付けるものである点。 イ 判断 特許異議申立人が提出した甲第2号証乃至甲第23号証に、上記相違点1-5に係る事項は記載されておらず、また、上記相違点1-1が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点1-5を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 そうすると、甲1発明の「缶本体111」の側面は鉛直線に対して傾斜しているから、装飾層を缶本体に取り付けることに代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明9は、甲1発明、甲第2乃至23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明9は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (8)[申立理由1-1]についてのまとめ したがって、申立理由1-1によって、本件訂正特許発明1、2、5乃至9に係る発明を取り消すことができない。 3 [申立理由1-2]について (1)本件訂正特許発明1について ア 対比 本件訂正特許発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)後者の「開口」、「ネック部12」、「底」、「缶胴部11」、「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」、「絞り・しごき加工」及び「ボトル型金属容器の製造方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「縮径部」、「底部」、「缶胴部分」、「『筒状』『缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」の「底」は、開口とは反対側に位置すること及び当該「有底円筒状の成形体」は空であることは明らかであるから、前者の「缶体」と後者の「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」とは、「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者のテーパ部13に「発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷」することは、前者の「直接画像を形成する画像形成工程」に相当する。 したがって、本件訂正特許発明1と甲2発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体に、 直接画像を形成する画像形成工程と、 を備える飲料用缶の製造方法。」 [相違点2-1] 本件訂正特許発明1が、「空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるのに対し、甲2発明は、貯蔵工程を備えない点。 [相違点2-2] 本件訂正特許発明1の「画像形成工程」が、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体を周方向へ回転させながら、当該空の缶体の外面のうちの前記縮径部に位置する部分および当該外面のうちの前記缶胴部分に位置する部分の両者に対して、当該空の缶体の軸方向に沿って延び当該縮径部および当該缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用い」るものであるのに対し、甲2発明は、発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷するものである点。 イ 判断 (ア)[相違点2-1]について 甲2発明は、テーパ部およびネック部の形成後に、印刷するものであるから、貯蔵工程を備える動機付けはない。 (イ)[相違点2-2]について 特許異議申立人が提出した甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に、上記相違点2-2に係る事項は記載されておらず、また、上記相違点2-2が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点2-2を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 ここで、甲2発明は、テーパ部13に印刷するものであることからすると、当該印刷に代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明1は、甲2発明、甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (2)本件訂正特許発明2について 本件訂正特許発明2は、本件訂正特許発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件訂正特許発明1が、上記(1)と同様の理由により、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (3)本件訂正特許発明5について ア 対比 本件訂正特許発明5と甲2発明とを対比する。 (ア)後者の「開口」、「ネック部12」、「底」、「缶胴部11」、「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」、「絞り・しごき加工」及び「ボトル型金属容器の製造方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「縮径部」、「底部」、「缶胴部分」、「『筒状』『缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」の「底」は、開口とは反対側に位置すること及び当該「有底円筒状の成形体」は空であることは明らかであるから、前者の「缶体」と後者の「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」とは、「筒状且つ空」で「開口部とは反対側に底部を有」するものとの概念で一致する。 (ウ)後者のテーパ部13に「発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷」することは、前者の「外面に対して画像を形成する画像形成工程」に相当する。 したがって、本件訂正特許発明5と甲2発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記空の缶体は、前記開口部とは反対側に底部を有する、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点2-3] 本件訂正特許発明5が、「空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるのに対し、甲2発明は、貯蔵工程を備えない点。 [相違点2-4] 本件訂正特許発明5の「画像形成工程」が、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体」を「内容物充填設備を備えた場所へ出荷」し、「前記縮径が行われた後の前記空の缶体に入れられて当該空の缶体の内部から当該缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも前記底部側に位置する缶胴部分の内周面に接近して当該内周面に接触する部位を備えた支持部材により当該缶体が支持される」ものであるのに対し、甲2発明は、発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷するものである点。 イ 判断 (ア)[相違点2-3]について 甲2発明は、テーパ部およびネック部の形成後に、印刷するものであるから、貯蔵工程を備える動機付けはない。 (イ)[相違点2-4]について 特許異議申立人が提出した甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に、上記相違点2-4に係る事項は記載されておらず、また、上記相違点2-4が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点2-4を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明5は、甲2発明、甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明5は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (4)本件訂正特許発明6について ア 対比 本件訂正特許発明6と甲2発明とを対比する。 (ア)後者の「開口」、「ネック部12」、「底」、「缶胴部11」、「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」、「絞り・しごき加工」及び「ボトル型金属容器の製造方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「縮径部」、「底部」、「缶胴部分」、「『筒状』『缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」の「底」は、開口とは反対側に位置すること及び当該「有底円筒状の成形体」は空であることは明らかであるから、前者の「缶体」と後者の「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」とは、「筒状且つ空」で「開口部とは反対側に位置する底部」を有するものとの概念で一致する。 (ウ)後者のテーパ部13に「発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷」することは、前者の「外面に対して画像を形成する画像形成工程」に相当する。 したがって、本件訂正特許発明6と甲2発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備える、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点2-5] 本件訂正特許発明6が、「空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるのに対し、甲2発明は、貯蔵工程を備えない点。 [相違点2-6] 本件訂正特許発明6の「画像形成工程」が、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体」を「内容物充填設備を備えた場所へ出荷」し、「前記縮径が行われた後の前記空の缶体の内部から当該空の缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能を有し当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される当該支持部材により当該空の缶体の当該底部と当該開口部とが支持される」ものであるのに対し、甲2発明は、発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷するものである点。 イ 判断 (ア)[相違点2-5]について 甲2発明は、テーパ部およびネック部の形成後に、印刷するものであるから、貯蔵工程を備える動機付けはない。 (イ)[相違点2-6]について 特許異議申立人が本件特許異議申立時に提出した甲第1号証、甲第3号証乃至甲第14号証に、上記相違点2-6に係る事項は記載されておらず、また、特許異議申立人が本件特許異議申立時以降に提出した甲第15号証乃至甲第23号証に上記相違点2-6が、周知の技術手段であることを立証する証拠は提出されておらず、また、上記相違点2-6が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点2-6を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明6は、甲2発明、甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明6は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (5)本件訂正特許発明7について ア 対比 本件訂正特許発明7と甲2発明とを対比する。 (ア)後者の「開口」、「底」、「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」、「絞り・しごき加工」及び「ボトル型金属容器の製造方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「底部」、「『筒状』『缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」の「底」は、開口とは反対側に位置すること及び当該「有底円筒状の成形体」は空であることは明らかである。 (ウ)後者のテーパ部13に「発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷」することは、前者の「外面に対して画像を形成する画像形成工程」に相当する。 したがって、本件訂正特許発明7と甲2発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「 筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程であって、当該外面への画像の形成を行う画像形成工程と、 を備える、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点2-7] 本件訂正特許発明7の「空の缶体」の底部には、「当該空の缶体の内部側に凹む凹部が設けられ」、「画像形成工程」において「前記空の缶体を当該空の缶体の外側から支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記底部に設けられた前記凹部に入る凸部を有し当該底部を吸引する機能を有した当該支持部材により当該空の缶体が支持される」ものであるのに対し、甲2発明は、底部の形状が不明な点。 [相違点2-8] 本件訂正特許発明7の「画像形成工程」が、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程であって、「当該空の缶体の軸方向に沿って延びるインクジェットヘッドを用い」、「当該空の缶体の前記外面が前記インクジェットヘッドに対峙した状態」で当該空の缶体の当該外面への画像の形成が行われるものであるのに対し、甲2発明は、発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷するものである点。 イ 判断 (ア)[相違点2-7]について 甲11技術事項の「ボトムパッド331」、「内側に、(部分的な)球面状に膨らんだ凸部」、「缶9の底部を真空吸着」すること、「印刷など様々な作業を行なう」こと、は、それぞれ、上記相違点2-7の「前記空の缶体を当該空の缶体の外側から支持する支持部材」、「当該空の缶体の前記底部に設けられた前記凹部に入る凸部」、「底部を吸引する機能」及び「画像形成工程」に相当する。 甲11技術事項の「ボトムパッド331」は、缶9の底部に対応した形状が形成してあるところ、その形状が「(部分的な)球面状に膨らんだ凸部」であることから、缶9の底部は、「内部側に凹む凹部が設けられ」ているといえる。 そうすると、上記[相違点2-7]は、甲11技術事項に示されているといえる。 ここで、甲2発明も甲11技術事項も印刷を伴う金属容器の製造方法の技術の点で共通し、一般に、金属製品の製造方法においては、工程の迅速性及び確実性が求められていることからすれば、甲2発明を甲11技術事項に適用する動機付けがあるといえる。 そして、甲2発明の「ボトル型金属容器の製造方法」は、複数の加工工程を経て、ボトル型金属容器を完成させることからすれば、甲11技術事項を甲2発明のアルミボトル10及び製造方法に適用し、印刷の際にアルミボトル10を支持するようにし、以て、上記[相違点2-7]とすることは、当業者が容易になし得るものである。 (イ)[相違点2-8]について 特許異議申立人が提出した甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に、上記相違点2-8に係る事項は記載されておらず、また、上記相違点2-8が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点2-8を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 ここで、甲2発明は、テーパ部13に印刷するものであることからすると、当該印刷に代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明7は、甲2発明、甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明7は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (6)本件訂正特許発明8について 本件訂正特許発明8は、本件訂正特許発明7の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件訂正特許発明1が、上記(5)と同様の理由により、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (7)本件訂正特許発明9について ア 対比 本件訂正特許発明9と甲2発明とを対比する。 (ア)後者の「開口」、「ネック部12」、「底」、「缶胴部11」、「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」、「絞り・しごき加工」及び「ボトル型金属容器の製造方法」は、それぞれ、前者の「開口部」、「縮径部」、「底部」、「缶胴部分」、「『筒状』『缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「『有底円筒状の成形体』及び『ボトル型金属容器』」の「底」は、開口とは反対側に位置すること及び当該「有底円筒状の成形体」は空であることは明らかであるから、前者の「缶体」と後者の「『有底円筒状の成形体』、『アルミボトル10』及び『ボトル型金属容器』」とは、「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者の「アルミボトル10」は、テーパ部およびネック部の形成後であって、印刷ネック部12およびテーパ部13が形成されたものであるから、前者の「空の缶体」と後者の「『アルミボトル10』及び『ボトル型金属容器』」とは、「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体」との概念で一致する。 (エ)後者のテーパ部13に「発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷」することは、前者の「画像を形成する画像形成工程」に相当する。 したがって、本件訂正特許発明9と甲2発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体と、 画像を形成する画像形成工程と、 を備える、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点2-9] 本件訂正特許発明9が、「空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるのに対し、甲2発明は、貯蔵工程を備えない点。 [相違点2-10] 本件訂正特許発明9の「画像形成工程」が、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して、当該空の缶体の軸方向に沿って延び前記縮径部および前記缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用い」るものであるのに対し、甲2発明は、発泡インキP13のスクリーン印刷やパッド印刷等によって印刷するものである点。 イ 判断 (ア)[相違点2-9]について 甲2発明は、テーパ部およびネック部の形成後に、印刷するものであるから、貯蔵工程を備える動機付けはない。 (イ)[相違点2-10]について 特許異議申立人が提出した甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に、上記相違点2-10に係る事項は記載されておらず、また、上記相違点2-10が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点2-10を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 ここで、甲2発明は、テーパ部13に印刷するものであることからすると、当該印刷に代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明9は、甲2発明、甲第1号証、甲第3号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明9は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 4 [申立理由1-3]について (1)本件訂正特許発明1について ア 対比 本件訂正特許発明1と甲3発明とを対比する。 (ア)後者の「DI成形缶」、「『上端部』の『ネックイン加工』」及び「缶の製造方法」は、それぞれ、前者の「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体」、「開口部を縮径する縮径工程」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を「貯蔵」するものであるから、「缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるといえる。 (ウ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を梱包、貯蔵して製罐工程が終了し、これらを出荷し、充填工程は、梱包された缶基体が供された後、これを開梱して、缶基体に内容物を充填するものであるところ、出荷された缶基体は、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体」に相当する。 (エ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体胴体部の表面に印刷層が形成しているから、「缶胴部分に対して直接画像を形成する画像形成工程」を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明1と甲3発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の缶胴部分に対して直接画像を形成する画像形成工程と、 を備える飲料用缶の製造方法。」 [相違点3-1] 本件訂正特許発明1の「画像形成工程」が、空の缶体を周方向へ回転させながら、当該空の缶体の外面のうちの前記縮径部に位置する部分および当該外面のうちの前記缶胴部分に位置する部分の両者に対して、当該空の缶体の軸方向に沿って延び当該縮径部および当該缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するものであるのに対し、甲3発明は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成するものである点。 イ 判断 特許異議申立人が提出した甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至甲第23号証に、上記相違点3-1に係る事項は、記載されておらず、また、上記相違点3-1が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点3-1を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 そうすると、甲3発明のDI成型缶とは、技術常識からすれば、側面は鉛直線に対して傾斜しているから、印刷層を貼着することに代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明1は、甲3発明、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (2)本件訂正特許発明2について 本件訂正特許発明2は、本件訂正特許発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件訂正特許発明1が、上記(1)と同様の理由により、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (3)本件訂正特許発明5について ア 対比 本件訂正特許発明5と甲3発明とを対比する。 (ア)後者の「DI成形缶」、「ネックイン加工」、「『ネックイン加工』された『上端部』」及び「缶の製造方法」は、それぞれ、前者の「『筒状且つ空の缶体』、『縮径部を備えた前記空の缶体』、『前記開口部とは反対側に底部を有』する『空の缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」、「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を「貯蔵」するものであるから、「缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるといえる。 (ウ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を梱包、貯蔵して製罐工程が終了し、これらを出荷し、充填工程は、梱包された缶基体が供された後、これを開梱して、缶基体に内容物を充填するものであるところ、出荷された缶基体は、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体」に相当する。 (エ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成しているから、「缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程」を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明5と甲3発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記空の缶体は、前記開口部とは反対側に底部を有する、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点3-2] 本件訂正特許発明5の「画像形成工程」が、「前記縮径が行われた後の前記空の缶体に入れられて当該空の缶体の内部から当該缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも前記底部側に位置する缶胴部分の内周面に接近して当該内周面に接触する部位を備えた支持部材により当該缶体が支持される」ものであるのに対し、甲3発明は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成するものである点。 イ 判断 特許異議申立人が提出した甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至23号証に、上記相違点3-1に係る事項は、記載されておらず、また、上記相違点3-1が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点3-1を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 そうすると、甲3発明のDI成型缶とは、技術常識からすれば、側面は鉛直線に対して傾斜しているから、印刷層を貼着することに代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明1は、甲3発明、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (4)本件訂正特許発明6について ア 対比 本件訂正特許発明6と甲3発明とを対比する。 (ア)後者の「DI成形缶」、「ネックイン加工」、「『ネックイン加工』された『上端部』」及び「缶の製造方法」は、それぞれ、前者の「『筒状且つ空の缶体』、『縮径部を備えた前記空の缶体』、『前記開口部とは反対側に位置する底部』を有する『空の缶体』、『前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分』を有する『空の缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」、「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を「貯蔵」するものであるから、「缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるといえる。 (ウ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を梱包、貯蔵して製罐工程が終了し、これらを出荷し、充填工程は、梱包された缶基体が供された後、これを開梱して、缶基体に内容物を充填するものであるところ、出荷された缶基体は、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体」に相当する。 (エ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成しているから、「缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程」を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明6と甲3発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備える、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点3-3] 本件訂正特許発明6の「画像形成工程」が、「前記縮径が行われた後の前記空の缶体の内部から当該空の缶体を支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記開口部とは反対側に位置する底部を当該空の缶体の内部側から吸引する機能を有し当該空の缶体のうちの前記縮径部よりも当該底部側に位置する缶胴部分の内周面に非接触の状態で配置される当該支持部材により当該空の缶体の当該底部と当該開口部とが支持される」ものであるのに対し、甲3発明は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成するものである点。 イ 判断 特許異議申立人が本件特許異議申立時に提出した甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至甲第14号証に、上記相違点3-3に係る事項は記載されておらず、また、特許異議申立人が本件特許異議申立時以降に提出した甲第15号証乃至甲第23号証に上記相違点3-3が、周知の技術手段であることを立証する証拠は提出されておらず、また、上記相違点3-3が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点3-3を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明6は、甲3発明、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明6は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (5)本件訂正特許発明7について ア 対比 本件訂正特許発明7と甲3発明とを対比する。 (ア)後者の「DI成形缶」、「ネックイン加工」、「『ネックイン加工』された『上端部』」及び「缶の製造方法」は、それぞれ、前者の「『筒状且つ空の缶体』、『縮径部を備えた前記空の缶体』、『底部』を有する『空の缶体』、『外面』を有する『空の缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」、「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を「貯蔵」するものであるから、「缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるといえる。 (ウ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を梱包、貯蔵して製罐工程が終了し、これらを出荷し、充填工程は、梱包された缶基体が供された後、これを開梱して、缶基体に内容物を充填するものであるところ、出荷された缶基体は、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体」に相当する。 (エ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成しているから、「缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程」を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明7と甲3発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状且つ空の缶体の開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えた前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備える、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点3-4] 本件訂正特許発明7の「空の缶体」には底部に「内部側に凹む凹部」が設けられ、「画像形成工程」において、「前記縮径が行われた後の前記空の缶体を当該空の缶体の外側から支持する支持部材であって、当該空の缶体の前記底部に設けられた前記凹部に入る凸部を有し当該底部を吸引する機能を有した当該支持部材により当該空の缶体が支持される」ものであるのに対し、甲3発明は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成するものである点。 [相違点3-5] 本件訂正特許発明7の「画像形成工程」が、「当該空の缶体の軸方向に沿って延びるインクジェットヘッドを用い」、「当該空の缶体の前記外面が前記インクジェットヘッドに対峙した状態で当該空の缶体の当該外面への画像の形成が行われる」ものであるのに対し、甲3発明は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成するものである点。 イ 判断 (ア)[相違点3-4]について 甲11技術事項の「ボトムパッド331」、「内側に、(部分的な)球面状に膨らんだ凸部」、「缶9の底部を真空吸着」すること、「印刷など様々な作業を行なう」こと、は、それぞれ、上記相違点2-7の「前記空の缶体を当該空の缶体の外側から支持する支持部材」、「当該空の缶体の前記底部に設けられた前記凹部に入る凸部」、「底部を吸引する機能」及び「画像形成工程」に相当する。 甲11技術事項の「ボトムパッド331」は、缶9の底部に対応した形状が形成してあるところ、その形状が「(部分的な)球面状に膨らんだ凸部」であることから、缶9の底部は、「内部側に凹む凹部が設けられ」ているといえる。 そうすると、上記[相違点3-4]は、甲11技術事項に示されているといえる。 ここで、甲3発明も甲11技術事項も印刷を伴う金属製品の製造方法の技術の点で共通し、一般に、金属製品の製造方法においては、工程の迅速性及び確実性が求められていることからすれば、甲11技術事項を甲3発明に適用する動機付けがあるといえる。 そして、甲3発明の「缶の製造方法」は、複数の加工工程を経て、缶を完成させることからすれば、甲11技術事項を甲3発明のDI成型缶の製造方法に適用し、印刷層を形成する際にDI成型缶を支持するようにし、以て、上記[相違点3-4]とすることは、当業者が容易になし得るものである。 (イ)[相違点3-5]について 特許異議申立人が提出した甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至23号証に、上記相違点3-5に係る事項は、記載されておらず、また、上記相違点3-5が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点3-5を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 そうすると、甲3発明のDI成型缶とは、技術常識からすれば、側面は鉛直線に対して傾斜しているから、印刷層を貼着することに代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明7は、甲3発明、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (6)本件訂正特許発明8について 本件訂正特許発明8は、本件訂正特許発明7の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件訂正特許発明1が、上記(1)と同様の理由により、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 (7)本件訂正特許発明9について ア 対比 本件訂正特許発明9と甲3発明とを対比する。 (ア)後者の「DI成形缶」、「ネックイン加工」、「『ネックイン加工』された『上端部』」及び「缶の製造方法」は、それぞれ、前者の「『筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体』、『当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体』」、「開口部を縮径する縮径工程」、「前記縮径工程による縮径が行われ縮径部」及び「飲料用缶の製造方法」に相当する。 (イ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を「貯蔵」するものであるから、「缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程」を備えるといえる。 (ウ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体を梱包、貯蔵して製罐工程が終了し、これらを出荷し、充填工程は、梱包された缶基体が供された後、これを開梱して、缶基体に内容物を充填するものであるところ、出荷された缶基体は、「指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体」に相当する。 (エ)後者の「缶の製造方法」は、缶基体胴体部の表面に印刷層が形成しているから、「『空の缶体の外面に対して』『画像を形成する画像形成工程』、『缶胴部分に対して直接画像を形成する画像形成工程』」を備えるといえる。 したがって、本件訂正特許発明9と甲3発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「筒状に形成され開口部と当該開口部とは反対側に位置する底部とを有する空の缶体の当該開口部を縮径する縮径工程と、 前記縮径工程による縮径が行われ縮径部を備えるとともに当該縮径部よりも前記底部側に缶胴部分を備える前記空の缶体を貯蔵部に貯蔵する貯蔵工程と、 指示に応じて前記貯蔵部から供給された前記空の缶体であって内容物充填設備を備えた場所へ出荷される当該空の缶体の外面に対して画像を形成する画像形成工程と、 を備え、 前記画像形成工程では、縮径が行われた後の前記空の缶体の前記外面のうちの前記缶胴部分への画像の形成を行う、 飲料用缶の製造方法。」 [相違点3-6] 本件訂正特許発明9の「画像形成工程」が、「当該空の缶体の軸方向に沿って延び前記縮径部および前記缶胴部分の両者に対して対向した状態で配置されたインクジェットヘッドを用いて」、「当該外面のうちの前記縮径部への画像の形成を行わない」ものであるのに対し、甲3発明は、缶基体胴体部の表面に印刷層を形成するものである点。 イ 判断 特許異議申立人が提出した甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至甲第23号証に、上記相違点3-6に係る事項は、記載されておらず、また、上記相違点3-6が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点3-6を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 また、インクジェット記録方法においては、インクジェット記録ヘッドと被記録面とを、等間隔に配設し、記録を行うことが技術常識である。 そうすると、甲3発明のDI成型缶とは、技術常識からすれば、側面は鉛直線に対して傾斜しているから、印刷層を貼着することに代えて、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成するようにする動機付けがないばかりか、インクジェットヘッドを用いて直接画像を形成することは、阻害要因があるといえる。 ウ 小括 したがって、本件訂正特許発明9は、甲3発明、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証乃至甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。 5 [申立理由2]について 本件訂正特許発明1は、「飲料用缶の製造方法」に係る発明であって、主たる工程として、「縮径工程」、「貯蔵工程」及び[画像形成工程]を備える方法である。 そして、特許請求の範囲の請求項1の記載から明らかなとおり、「画像形成工程」は、貯蔵部から空の缶体を供給し、当該空の缶体に画像を形成し、内容物充填設備を備えた場所へ出荷される、という手順からなることを特定したものであって、「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」とは、「画像形成工程」における一手順を特定したものである。 してみると、本件訂正特許発明1について、その特許請求の範囲の記載が不明確とはいえない。 本件訂正特許発明1の「内容物充填設備を備えた場所へ出荷される」と同じ特定事項を備える本件訂正特許発明2、5乃至9も同様の理由により、その特許請求の範囲が不明確とはいえない。 したがって、特許請求の範囲の請求項1乃至9の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないとはいえないから、取消理由により、本件特許請求の範囲の請求項1乃至9に係る特許を取り消すことはできない。 6 [申立理由3]について 一般に「場所」とは、「何かが存在したり行われたりする所。ある広がりをもった土地。」を意味する言葉であることからすると、「内容物充填設備を備えた場所」とは、内容物を充填する設備がある所と解され、そのような設備が備えた所とは、技術常識からすれば、工場と認識し得る。 そうすると、令和3年8月16日付け手続補正書により追加された「内容物充填設備を備えた場所」について、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲、又は図面には記載されていないものの、「飲料缶製造工場(飲料の充填を行う工程)」と記載されていることからすると、実質的に記載されていたものと認められる。 そうすると、令和3年8月16日付け手続補正書により追加された「内容物充填設備を備えた場所」との事項は、本件当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえないから、上記取消理由は理由がない。 したがって、本件特許請求の範囲の請求項1乃至9に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正がなされた特許出願に対してなされたものということはできないから、取り消すことはできない。 第8 むすび 上記2のとおり、本件訂正請求は認められるから、特許第7013161号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正後の請求項[1-4]、5、6、7、8、9について訂正することを認める。 そして、本件訂正請求により、本件特許請求の範囲の請求項3及び4に係る発明は、削除されたから、本件特許異議申立のうち、本件特許請求の範囲の請求項3及び4に係る特許についての申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 そして、上記第5及び第7のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1、2、5乃至9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1、2、5乃至9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、上記結論のとおり決定する。

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2022-700623

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