特許異議申立
2022-700602
被監視者監視システムの中央処理装置、中央処理方法およびプログラムならびに被監視者監視システム
- 審判番号
- 2022-700602
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-523883
- 登録番号
- 6992749
- 請求日
- 2022年07月08日
- 審決日
- 2023年02月10日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】コニカミノルタ株式会社
- 【権利者代理人】小谷 昌崇
- 【異議申立人】田中 貞嗣
- 【異議申立人】小山 卓志
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 衣鳩 文彦
- 審判官 角田 慎治
- 分類
- P1652.121-YAA(G08B) / P1652.537-YAA(G08B) / P1652.536-YAA(G08B) / P1652.55 -YAA(G08B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6992749号発明「被監視者監視システムの中央処理装置、中央処理方法およびプログラムならびに被監視者監視システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6992749号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4、10〕について訂正することを認める。
特許第6992749号の請求項3、5~6及び9~10に係る特許を維持する。
特許第6992749号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6992749号の請求項1~11に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)6月12日(優先権主張 平成28年6月24日)を国際出願日とする出願であって、令和3年12月13日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月13日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和4年7月8日に特許異議申立人 田中貞嗣及び小山卓志(以下、合わせて「異議申立人」という。)により、請求項3~6、請求項9~10に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、当審は、令和4年10月5日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和4年12月5日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。
そして、令和4年12月5日にされた本件訂正請求は、下記第2のとおり、実質的に一部の請求項の削除のみを目的とするものであるから、特許法第120条の5第5項ただし書における特別の事情にあたるものと合議体は判断し、異議申立人に意見書の提出の機会は与えないこととした。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)、(2)のとおりである。なお、下線は、特許権者が付与したとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10における「請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の中央処理装置」との記載を、「請求項1ないし請求項3、請求項5および請求項6のいずれか1項に記載の中央処理装置」に訂正する。
(3)一群の請求項について
訂正前の請求項4及び請求項10について、請求項10は請求項4を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項4及び請求項10に対応する訂正後の請求項4及び請求項10は一群の請求項であり、本件訂正請求は、一群の請求項〔4、10〕に対して請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項10が「請求項1ないし請求項6」を引用していたのを、請求項4を引用することを削除し、「請求項1ないし請求項3、請求項5および請求項6」を引用するものとするものであり、引用する請求項を減少させ、訂正により削除された請求項4を引用しているという不明瞭な状態を解消させるものであるから、特許請求の範囲の減縮、及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、引用する請求項を減少させる訂正が、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であること、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
3 独立特許要件について
本件特許異議の申立ては、請求項3~6、請求項9~10について特許異議の申立てがされているので、訂正後の請求項4及び10に係る訂正事項1及び2について、独立特許要件は課されない。
4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4、10〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明11」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】
監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システムの前記中央処理装置であって、
記憶部と、
履歴情報抽出処理部と、
監視処理部とを備え、
前記記憶部は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて監視情報として記憶し、
前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含み、
前記履歴情報抽出処理部は、前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応するイベントの種類を抽出し、
前記監視処理部は、前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ、
前記記憶部は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを所定の端末装置へ通知するか否かを前記イベントの種類ごとに表す返信許否情報を、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて通知許否情報としてさらに記憶し、
前記監視処理部は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを前記所定の端末装置へ通知する通知処理を前記記憶部に記憶された通知許否情報に基づいて実行し、前記通知処理による通知の有無を前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信した前記イベントに対応付けて前記監視情報の一つとして前記記憶部にさらに記憶し、
前記監視処理部は、前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させる際に、さらに、前記通知の有無を前記所定の表示装置に表示させる、
中央処理装置。
【請求項2】
監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システムの前記中央処理装置であって、
記憶部と、
履歴情報抽出処理部と、
監視処理部とを備え、
前記記憶部は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて監視情報として記憶し、
前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含み、
前記履歴情報抽出処理部は、前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応するイベントの種類を抽出し、
前記監視処理部は、前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ、
分析処理部をさらに備え、
前記分析処理部は、前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、入床から離床までの時間を臥床時間として求め、前記求めた臥床時間の中から、所定の第1 時刻以降の最初の入床から翌日の所定の第2 時刻以降の最初の離床までの時間を睡眠時間とする分析処理を実行し、
前記監視処理部は、前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させる際に、さらに、前記分析処理の実行で求められた睡眠時間と前記睡眠時間を除いた残余の臥床時間とを互いに異なる表示態様で前記所定の表示装置に表示させる、
中央処理装置。
【請求項3】
監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システムの前記中央処理装置であって、
記憶部と、
履歴情報抽出処理部と、
監視処理部と、
分析処理部とを備え、
前記記憶部は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて監視情報として記憶し、
前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含み、
前記履歴情報抽出処理部は、前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応するイベントの種類を抽出し、
前記監視処理部は、前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ、
前記分析処理部は、前記記憶部に記憶された監視情報から、分析対象である所定の第2期間内における、所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数することで第1計数結果を求め、前記第2期間よりも以前の所定の第3期間内における、前記所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数して前記第2期間長に応じた平均値で第2計数結果を求め、前記第1計数結果と前記第2計数結果とを種類別に比較し、所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を求める第2分析処理を実行し、
前記監視処理部は、前記第2分析処理の実行で求めた所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を前記所定の表示装置に表示させる、
中央処理装置。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記第2期間は、複数のサブ期間を備え、
前記分析処理部は、1人の被監視者に対して複数のサブ期間それぞれについて、当該サブ期間を前記第2期間とする前記第2分析処理を実行する、
請求項3に記載の中央処理装置。
【請求項6】
前記分析処理部は、複数の被監視者それぞれについて、前記第2分析処理を実行する、
請求項3に記載の中央処理装置。
【請求項7】
監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システムの中央処理方法であって、
記憶工程と、
履歴情報抽出工程と、
監視処理工程とを備え、
前記記憶工程は、前記センサ装置で検知され前記センサ装置から受信したイベントを、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて監視情報として記憶部に記憶し、
前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含み、
前記履歴情報抽出工程は、前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応する検知結果の種類を抽出し、
前記監視処理工程は、前記履歴情報抽出工程の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ、
前記記憶工程は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを所定の端末装置へ通知するか否かを前記イベントの種類ごとに表す返信許否情報を、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて通知許否情報としてさらに記憶し、
前記監視処理工程は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを前記所定の端末装置へ通知する通知処理を前記記憶部に記憶された通知許否情報に基づいて実行し、前記通知処理による通知の有無を前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信した前記イベントに対応付けて前記監視情報の一つとして前記記憶部にさらに記憶し、
前記監視処理工程は、前記履歴情報抽出処理工程の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させる際に、さらに、前記通知の有無を前記所定の表示装置に表示させる、
中央処理方法。
【請求項8】
監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システムの中央処理方法であって、
記憶工程と、
履歴情報抽出工程と、
監視処理工程と、
分析処理工程とを備え、
前記記憶工程は、前記センサ装置で検知され前記センサ装置から受信したイベントを、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて監視情報として記憶部に記憶し、
前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含み、
前記履歴情報抽出工程は、前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応する検知結果の種類を抽出し、
前記監視処理工程は、前記履歴情報抽出工程の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ、
前記分析処理工程は、前記履歴情報抽出処理工程の抽出結果に基づいて、入床から離床までの時間を臥床時間として求め、前記求めた臥床時間の中から、所定の第1 時刻以降の最初の入床から翌日の所定の第2 時刻以降の最初の離床までの時間を睡眠時間とする分析処理を実行し、
前記監視処理工程は、前記履歴情報抽出処理工程の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させる際に、さらに、前記分析処理の実行で求められた睡眠時間と前記睡眠時間を除いた残余の臥床時間とを互いに異なる表示態様で前記所定の表示装置に表示させる、
中央処理方法。
【請求項9】
監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システムの中央処理方法であって、
記憶工程と、
履歴情報抽出工程と、
監視処理工程と、
分析処理工程とを備え、
前記記憶工程は、前記センサ装置で検知され前記センサ装置から受信したイベントを、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて監視情報として記憶部に記憶し、
前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含み、
前記履歴情報抽出工程は、前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応する検知結果の種類を抽出し、
前記監視処理工程は、前記履歴情報抽出工程の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ、
前記分析処理工程は、前記記憶部に記憶された監視情報から、分析対象である所定の第2期間内における、所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数することで第1計数結果を求め、前記第2期間よりも以前の所定の第3期間内における、前記所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数して前記第2期間長に応じた平均値で第2計数結果を求め、前記第1計数結果と前記第2計数結果とを種類別に比較し、所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を求める第2分析処理を実行し、
前記監視処理工程は、前記第2分析処理の実行で求めた所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を前記所定の表示装置に表示させる、
中央処理方法。
【請求項10】
監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システムであって、
前記中央処理装置は、請求項1ないし請求項3、請求項5および請求項6のいずれか1項に記載の中央処理装置である、
被監視者監視システム。
【請求項11】
センサ装置から受信した被監視者に関わる所定のイベントを管理する中央処理装置のコンピュータに、
前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を、監視情報として記憶する記憶工程と、
前記イベントを所定の端末へ通知したか否かの通知の有無情報を前記イベントに対応付けて記憶する通知有無情報記憶工程と、
前記監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応するイベントの種類を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程により抽出された前記所定の期間内おけるイベントを、所定の被監視者に対応付けて種類別に表示させる表示工程と、
前記抽出工程により抽出された前記所定の期間内おけるイベントを、前記通知の有無情報に対応付けて表示させる表示工程とを実行させるプログラム。」
第4 異議申立理由の概要、及び当審において令和4年10月5日付け取消理由通知で通知した取消理由の概要
1 異議申立理由の概要
異議申立人は、証拠方法として甲第1号証~第5号証を提出し、以下申立理由1~5の異議申立理由を主張する。
(1)申立理由1(進歩性)
本件特許の請求項3~6、9~10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項3~6、9~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
証拠方法:
甲第1号証:特開2002-342855号公報
甲第2号証:国際公開第2015/037269号
甲第3号証:特開2015-109044号公報
甲第4号証:特表2016-507256号公報
甲第5号証:特開2005-115411号公報
(2)申立理由2(サポート要件)
本件特許の請求項4、10に係る発明は、次の点で発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許の請求項4、10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 請求項4に係る発明の監視処理部は、第2分析処理の実行で求めた所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を所定の表示装置に表示させるものであって、かつ、所定の期間に応じた時間軸上に、イベントの種類を表した所定のマークを、イベントの検知時刻または受信時刻で表示するものであり、両表示を同時に行うものも含まれる。
しかし、発明の詳細な説明には、監視処理部が両表示を同時に行うことについて、記載も示唆もない。
請求項4を引用する請求項10に係る発明についても同様である。
(3)申立理由3(明確性)
本件特許の請求項3~6、9~10に係る発明は、明確でないから、本件特許の請求項3~6、9~10に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(4)申立理由4(実施可能要件)
本件の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許の請求項3~6、9~10に係る発明を実施することができる程度に明確且つ十分に記載したものではないから、本件特許の請求項3~6、9~10に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(5)申立理由5(新規事項)
令和3年4月8日に提出された手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、上記訂正前の本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正がなされた特許出願に対してなされたものである。
2 令和4年10月5日付け取消理由通知で通知した取消理由の概要
令和4年10月5日付けで通知した取消理由の概略は、以下のとおりである。なお、取消理由は、上記1の申立理由2と同旨である。
(1)(サポート要件)請求項4及び10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
・請求項4、10
請求項4の記載は、例えば、比較結果の表示(請求項3)と、時間軸上の表示(請求項4)とを同時に行うものも含まれる。
しかしながら、発明の詳細な説明には、請求項3の比較結果の表示に対応する図14、16の表示内容と、請求項4の時間軸上の表示に対応する図13の表示内容とを、同時に表示することは記載されていない。
したがって、請求項4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
請求項4を引用する請求項10に係る発明も同様である。
第6 当審の判断
1 令和4年10月5日付け取消理由通知で通知した取消理由について
本件訂正請求により、請求項4は削除され、請求項10は、削除された請求項4を引用しないものとされた。
したがって、令和4年10月5日付けで通知した取消理由は解消した。
2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立理由1(進歩性)について
ア 甲号証について
(ア)甲第1号証及び甲1発明
A 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば在宅の独居老人を対象として行動能力を監視する装置に関する。」
「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を解決するために提案されたものであり、宅内に監視対象者の生活動作を検知する人体検知手段を設置しておく。人体検知手段は、互いに異なる場所に複数配し、少なくとも1つは、上記対象者が最も多く滞在する場所(例えば居間)に配するのが望ましい。また、対象者個人の生活動作についての時間帯ごとの平均回数を記憶手段に記憶させておく。この平均回数は、行動能力監視の本処理を行う前に予め準備期間(例えば30日間)を設定し、この期間中、上記人体検知手段によって上記対象者の実際の生活動作回数を時間帯ごとにカウントし、このカウント値を平均することにより求めるのが望ましい。そして、本処理時にも、上記人体検知手段によって上記対象者の実際の生活動作回数を時間帯ごとにカウントし、このカウント値の上記平均回数に対する過不足値を累計する。この累計値に基づいて上記対象者の行動能力を監視する。そして、上記累計値がマイナスになり、かつその絶対値が所定以上になったとき、上記行動能力の衰え度合が異常域に達したと判定するのが望ましい。上記所定の値は、時間帯などに依らずに一定であってもよく、時間帯などに応じて変えてもよい。判定結果は、システムのオペレータや介助担当者などに報知されるようにするのが望ましい。上記累計値は、一定期間(例えば1日、1週間など)ごとにリセットするとよい。上記人体検知手段によって上記対象者が在宅か外出中かを判断し、外出中と判断した時は、上記累計値をリセットするか、または外出直前のものに据え置くことが望ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、在宅の独居老人を監視対象者Aとする行動能力監視システムSを示したものである。システムSは、対象者Aの宅内に構築された行動能力監視装置10と、この行動能力監視装置10に広域ネットワークN(通信回線)を介して接続された管理センターCとを備えている。
【0006】行動能力監視装置10は、複数(例えば6つ)の人感センサ21~26(人体検知手段)と、この人感センサ21~26に宅内の電灯線Lを介して接続されたコントローラ11とを備えている。
【0007】図2に示すように、6つの人感センサ21~26は、宅内の互いに異なる場所に配されている。すなわち、人感センサ21は居間31に配され、人感センサ22は寝室32に配され、人感センサ23は廊下33に配され、人感センサ24はトイレ34に配され、人感センサ25は洗面所35に配され、人感センサ26は玄関36(外出時の出入り口)に配されている。これら人感センサ21~26は、人体から発する赤外線を検知する焦電センサなどで構成されている。検知信号は、電灯線Lを伝ってコンロトーラ11に送られる。なお、電灯線Lに代えて専用の伝送線を用いてもよく、無線で送信されるようにしてもよい。
【0008】図1に示すように、コントローラ11には、メモリ13(記憶手段)や処理部12が格納されている。メモリ13には、対象者A個人の生活動作についての時間帯ごと(例えば1時間ごと)の平均回数などが記憶されるようになっている。ここで、生活動作とは、例えばトイレ34に行く、洗面所35に行くなどの主に移動行為を意味する。具体的には、対象者Aが各センサ21~26の検知エリアに入ることによってそのセンサ21~26がオンされた時、1回の生活動作があったとみなす。ただし、センサハンチングを防止するために、同一のセンサ21~26が例えば30秒以内に2回以上オンされた時は最初のオンだけが生活動作として数えられ2回目以降のものは無視される。」
「【図1】
[図:0001397202000001.jpg]
」
「【0009】図3のフローチャートに示すように、処理部12は、コントローラ11に内臓された時計機能によって現在時刻を読み込む(ステップ100)。そして、対象者Aについての上記平均回数データが記憶部13に記憶済みか否かを判断し(ステップ101)、記憶済みであれば行動能力監視の本処理フローを実行し(ステップ103)、未だであれば上記平均回数のデータ取りのための前処理フローを実行する(ステップ102)。これを1秒ごとに繰り返す(ステップ104)。」
「【0016】このようにして、準備期間の第1日目から第30日目(最終日)までの生活動作回数のデータを1時間ごとに採取し、メモリ13に記憶することができる。そして、最終日の翌日の午前0時になった時(準備期間が満了した時)、ステップ200→ステップ210→ステップ220→ステップ221の順に進み、このステップ221で「yes(d=30)」と判断する。これによって、30日間にわたる生活動作回数の時間帯ごとの平均値を次式により求める(ステップ230)。
An=(an1+an2+an3+…+an30)÷30
なお、Anはn時台の平均回数を意味している。算出する平均回数Anの数は、0時台のA0から23時台のA23までの全部で24個である。得られた平均回数A0~A23はメモリ13に記憶する。そして、平均回数記憶済みのフラグを立てる(ステップ231)。そして、図3のメインフローに戻る。
【0017】以後、ステップ101の判断が「yes」になる。これによって、行動能力監視の本処理フローに進む(ステップ103)。
【0018】図6に示すように、行動能力監視の本処理に際しては、先ず、ステップ100で読み込んだ現在時刻が新しい時間帯に変わったか否かを判断する(ステップ300)。変わっていない場合(直前の処理実行時(1秒前)と同じ時間帯の場合)には、人感センサ21~26の検知信号に基づいて対象者Aが生活動作を開始したか否かを判断する(ステップ301)。生活動作を開始していない場合には、図3のメインフローに戻る。そして、1秒経過後(ステップ104)、ステップ100以降のフローを反復する。
【0019】一方、ステップ301で生活動作を開始したと判断した場合には、行動能力監視中における実際の生活動作回数Enを1つカウントアップする(ステップ302)。ここで、nは、現在の時間帯を示している。例えば7時台の生活動作回数を表す記号は、E7である。その後、図3のメインフローに戻り、ステップ100以降のフローを1秒ごとに反復する。
【0020】こうして、行動能力監視中におけるn時0分0秒からn時59分59秒までの1時間に対象者Aが実際に行った生活動作回数Enがカウントされる。そして、現在時刻が新しい時間帯になった時、ステップ300で「yes」と判断され、図7のステップ310に進む。
【0021】ステップ310では、時刻nの時間帯における平均回数Anをメモリ13から読み込むことにより、この平均回数Anに対する上記実際の回数Enの過不足値Dn=En-Anを求める。実際回数Enが平均回数Anより大きいとき、過不足値Dnはプラスになり、小さいとき、過不足値Dnはマイナスになる。
【0022】次に、上記過不足値Dnを、0時から(n-1)時までの過不足値の累計Ds=D0+D1+…+Dn-1に加え、n時までの累計値DS=D0+D1+…+Dn-1+Dnを求める(ステップ311)。この累計値DSの推移によって対象者Aの行動能力の状態(体調など)を推測することができる。すなわち、行動能力が衰えてなければ実際回数Enは平均回数Anと概ね同じであり、累計値DSはゼロの付近にとどまる。一方、行動能力が衰えてくると実際回数Enが減少傾向になり、累計値DSがマイナス方向に増大していく。したがって、累計値DSを監視することによって、対象者Aが動けなくなるほどの重い症状になる前にその傾向を察知することができる。
【0023】具体的には、累計値DSがマイナスになったときは、その絶対値が所定値DA以上になったか否かを判断する(ステップ312)。上記所定値DAは、時間帯に依らず一定としてもよく(例えばDA=100、DA=40など)、上記平均回数のn時までの累計(A0+A1+A2+…+An)の一定パーセント(例えば50%など)としてもよく、その他のやり方で決めてもよい。
【0024】そして、「yes」のときは、対象者Aの衰え度合が異常域に達した旨の報知信号を広域ネットワークNを介して管理センタCに送る(ステップ313)。これによって、対象者Aが動けなくなる前に適切な対策を講じることができる。」
「【0029】本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変を行うことができる。例えば、複数の人体検知手段のうちのどれがオンしたかに応じて、または複数の人体検知手段がどのような順番でオンしたかに応じて、生活動作の種類を区別し、各種類ごとに能力監視を行うことにしてもよい。人体検知手段は、扉の開閉や電気機器のオンオフなどで人の動きを間接的に検知するものであってもよい。処理部12やメモリ13に相当する機能を、コントローラ11に代えて管理センタCのホストコンピュータに持たせてもよい。」
「【図3】
[図:0001397202000002.jpg]
」
「【図6】
[図:0001397202000003.jpg]
」
「【図7】
[図:0001397202000004.jpg]
」
B 甲1発明
上記記載事項をコントローラ11についてまとめると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、【0005】の「管理センターC」と【0024】、【0029】の「管理センタC」とは、同じ構成を示すものと認め、「管理センタC」で統一した。
「在宅の独居老人を監視対象者Aとする行動能力監視システムSは、対象者Aの宅内に構築された行動能力監視装置10と、この行動能力監視装置10に広域ネットワークNを介して接続された管理センタCとを備え、(【0005】)
行動能力監視装置10は、人感センサと、この人感センサに宅内の電灯線Lを介して接続されたコントローラ11とを備え、(【0006】)
人感センサは、人体から発する赤外線を検知する焦電センサなどで構成され、検知信号は、電灯線Lを伝ってコンロトーラ11に送られる、コントローラ11であって、(【0007】)
コントローラ11には、メモリ13や処理部12が格納され、メモリ13には、対象者A個人の生活動作についての時間帯ごとの平均回数などが記憶されており、対象者Aがセンサの検知エリアに入ることによってそのセンサがオンされた時、1回の生活動作があったとみなすものであり、(【0008】)
処理部12は、行動能力監視の本処理フローを実行し、(【0009】)
行動能力監視の本処理に際しては、人感センサの検知信号に基づいて対象者Aが生活動作を開始したか否かを判断し、(【0018】)
生活動作を開始したと判断した場合には、行動能力監視中における実際の生活動作回数Enを1つカウントアップし、ここで、nは、現在の時間帯を示し、(【0019】)
現在時刻が新しい時間帯になった時、(【0020】)
時刻nの時間帯における平均回数Anをメモリ13から読み込むことにより、この平均回数Anに対する上記実際の回数Enの過不足値Dn=En-Anを求め、(【0021】)
上記過不足値Dnを、0時から(n-1)時までの過不足値の累計Ds=D0+D1+…+Dn-1に加え、n時までの累計値DS=D0+D1+…+Dn-1+Dnを求め、(【0022】)
累計値DSがマイナスになったときは、その絶対値が所定値DA以上になったか否かを判断し、(【0023】)
「yes」のときは、対象者Aの衰え度合が異常域に達した旨の報知信号を広域ネットワークNを介して管理センタCに送るものであり、(【0024】)
生活動作の種類を区別し、各種類ごとに能力監視を行うことにしてもよく、処理部12やメモリ13に相当する機能を、コントローラ11に代えて管理センタCのホストコンピュータに持たせてもよく、(【0029】)
準備期間の第1日目から第30日目までの生活動作回数のデータを1時間ごとに採取し、30日間にわたる生活動作回数の時間帯ごとの平均値を
An=(an1+an2+an3+…+an30)÷30
により求め、得られた平均回数A0~A23はメモリ13に記憶する、(【0016】)
コントローラ11」
(イ) 甲第2号証
A 甲第2号証には、次の事項が記載されている。
「[0019] 実施形態における被監視者監視システムMSは、監視対象(見守り対象)である被監視者(見守り対象者)を監視するものであり、例えば、図1に示すように、画像データ生成部MCと、生理学的データ生成部PIと、被監視者監視装置MDとを備える。そして、図1に示す例では、被監視者監視システムMSは、さらに、1または複数の通信端末機CTと、通信ネットワークNWとを備える。被監視者監視システムMSは、被監視者に応じて適宜な場所に配設される。被監視者(見守り対象者)は、例えば、病気や怪我等によって看護を必要とする者や、身体能力の低下等によって介護を必要とする者や、一人暮らしの独居者等の、例えば異常状態等の所定の不都合な状態が生じた場合にその発見を必要としている者である。このため、被監視者監視システムMSは、被監視者の種類に応じて、病院、老人福祉施設および住戸等の建物に好適に配設される。なお、被監視者監視システムMSは、病院や老人福祉施設等の、1個の建物に集中的に配設されてもよく、また、複数の住戸および監視センター等の、複数の建物に分散的に配設されてもよい。例えば、画像データ生成部MCおよび生理学的データ生成部PIは、1フロアにおける各病室また各ベッドに配設され、被監視者監視装置MDは、同じフロアにおけるナースステーションに配設される。また例えば、画像データ生成部MCおよび生理学的データ生成部PIは、各住戸に配設され、被監視者監視装置MDは、監視センターに配設される。なお、通信端末機CTは、例えば、監視者に携行され、または、監視者の居所に配設される。」
B 甲2記載事項
上記Aにおいて、被監視者監視システムMSは、「画像データ生成部MCと、生理学的データ生成部PIと、被監視者監視装置MDとを備え」、「画像データ生成部MCおよび生理学的データ生成部PIは、各住戸に配設され、被監視者監視装置MDは、監視センターに配設され」ることから、甲第2号証には、「監視対象者を複数人とすること」が記載されていると認められる。
(ウ)甲第3号証
A 甲第3号証には、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、見守りの対象者が使用する機器での資源の消費量を利用して対象者を見守る見守り通知装置に関する。」
「【0047】
図2は評価部12が対象者に異常がないと評価した場合の報知情報を、通信部14が定時通知で報知装置20であるスマートフォンに送信した場合の画面である。図示例は、報知情報の受信に伴って、報知装置20の画面上にウインドウA1がポップアップした状態を示している。ウインドウA1には、報知情報に従って、「おおむねいつも通り電力を使用しています」というメッセージが表示されている。つまり、対象者に異常がない可能性が高いことを示している。」
「【0050】
そこで、評価部12による評価が正常ではないと評価した場合、たとえば、図4に示すようなウインドウC3をポップアップさせることが望ましい。ウインドウC3には、「長い時間、電力値に変動がありません」というメッセージが表示されている。このウインドウC3は、消費電力が上限値以上あるいは下限値以下である状態が、定めた時間を超えて継続している場合に生成部13で生成される報知情報に基づいて表示される。また、この報知情報には、報知装置20の管理者から対象者に連絡する方法を表す連絡情報が含まれる。つまり、図4に示すように、ウインドウC3の中に、連絡の方法として、「電話する」の操作釦B2と、「メールする」の操作釦B3とが表示され、いずれかの操作釦B2,B3を押すことによって、電話あるいは電子メールに対応した画面が表示される。ここに電話の画面では、電話番号が事前に登録されていれば、該当する電話番号に誘導され、電子メールの画面では、メールアドレスが事前に登録されていれば、該当するメールアドレスがセットされた状態で電子メール用のプログラムが起動される。」
B 甲3記載事項
上記Aより、甲第3号証には、「対象者についての報知情報を、報知装置に表示すること」が記載されていると認められる。
(エ)甲第4号証
A 甲第4号証には、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は概して患者モニタリングに関する。これは、活動状態及び姿勢に基づく亜急性患者の患者モニタリングと関連して特定の用途を見出し、特にそれを参照して説明される。しかしながら、理解されるべきことには、これはまた、その他の使用状況にも用途を見出すものであり、必ずしも上述の用途に限定されるものではない。」
「【0115】
姿勢は、絶えず更新される単一のキーワード若しくはフレーズ又はアイコンとして表示され得る。他の例では、図23A及び23Bに例示するように、タイムスタンプと、キーワード若しくはフレーズ及び/又はアイコンとを有するリストを用いて、姿勢が示され得る。図23Aはキーワード若しくはフレーズのリストを例示しており、図23Bはアイコンのリストを例示している。姿勢はまた、図24に例示するように、アイコンを用いてタイムライン上に表示されてもよい。
【0116】
例えば姿勢に関するアイコンのタイムラインは、スペースの制約のため(例えば、より長い期間を示すため)、時間軸に沿って、通常は横方向に、圧縮される必要があることがある。これを行うための一手法は、より多くのアイコンを指し示す図式言語を用いるものであり、その例を図25A-25Eに示している。図25Aに示すアイコンのグループ化は、選択を受けて展開されることが可能な複数のアイコンを指し示している。図25B及び25Cの中の矢印は、対応するアイコンの選択を受けて展開されることが可能な複数のアイコンを指し示している。図25Dに示すように、矢印の代わりに、より抽象的な記号を用いてもよい。アイコン群はまた、図25Eに例示するように、他の次元(例えば、時間軸に垂直な方向)で、ずらして配置されてもよい。
【0117】
患者の姿勢をレビューするため、特に、患者が周期的に動かされなければならない場合、姿勢を表示するための更に直観的な一手法は、取り得る姿勢を異なるビジュアル様式(例えば、色、模様など)にマッピングして、異なる姿勢を表現するそれら異なるビジュアル様式のバーを表示するものである。例えば、図26に示すように、”仰臥位”、”もたれかかり”、”直立”、”前のめり”、”腹臥位”、”逆さま”、”左側臥位”、及び”右側臥位”が、異なる色にマッピングされ得る。そして、図27に示すように、これらのビジュアル様式のバーが表示され得る。」
B 甲4記載事項
上記Aより、甲第4号証には、「患者モニタリングにおいて、患者の姿勢を、アイコンを用いてタイムライン上に表示すること」が記載されていると認められる。
(オ)甲第5号証
A 甲第5号証には、次の事項が記載されている。
「【0085】
3.5 日合計活動回数
図9は、日合計活動回数の表示画面を示す図である。
図9に示すように、縦軸をオートスケールでヒットカウント0~2000回表示とし、横軸を短期(3ヶ月~1年)表示の場合は1メモリを1日に、長期(3年~10年)表示の場合は1メモリを1月に表示し、この日合計活動回数表示上に、日合計活動回数700を表示する。短期表示では、一日毎のヒットカウントの合計値を表示し、長期表示では、一ヶ月間の日平均値を表示する。表示は中心線から上下対象で描かれる。日合計活動回数の計算方法については、図22〔表2〕を使用して後述する。」
「【0094】
3.6 動線パターンと移動回数(在室パターン)
図10は、動線パターンと移動回数の原理を説明する図である。図10(a)は、部屋間移動比率であり算出方法は以下に述べる。また、図10(b)は、一日と一月の動線集中率と移動回数の合計である。図10(b)では、移動回数、総合指数、ピークA及びピークBを所定期間ごとに表示した図である。平均化する単位は、ユーザが例えば一週間、月、3ヶ月、年で指定することができ、平均化する単位に応じたグラフを表示することができる。また、変化の範囲が一定値を超えるとアラームを出すように設定可能である。」
「【0107】
時間帯毎のヒットカウント数の平均値表示は、図15(b)に示すように、平均化する単位をユーザが一週間、月、3ヶ月、年に指定してグラフを作成することができる。また、変化の範囲が一定値を超えるとアラームを出すことも設定可能である。」
B 甲5記載事項
上記Aより、甲第5号証には、「被監視期間の単位を種々の単位とすること」が記載されていると認められる。
イ 本件発明3について
(ア)対比
本件発明3と甲1発明とを対比する。
A 「監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システム」について
(A)甲1発明の「監視対象者A」は、本件発明3の「監視対象である被監視者」に相当する。
また、甲1発明の「行動能力監視システムS」は、「在宅の独居老人を監視対象者Aとする」システムであるから、本件発明3の「被監視者を監視するための被監視者監視システム」に対応する。
(B)「センサ装置」について
a 甲1発明の「コントローラ11」は、「対象者Aがセンサの検知エリアに入ることによってそのセンサがオンされた時、1回の生活動作があったとみなす」ものであり、当該「センサ」は「人感センサ」のことであるから、甲1発明の「人感センサ」は監視対象者Aの生活動作を検知しているといえる。
そして、甲1発明の「行動能力監視装置10」は「対象者Aの宅内に構築される」から、監視対象者Aに対応して設けられるものであり、「行動能力監視装置10」が備える「人感センサ」も、監視対象者Aに対応して設けられているといえる。
b 甲1発明における監視対象者Aの生活動作は、監視対象者Aに関わるイベントの一つであるから、本件発明3の「被監視者に関わる所定のイベント」に相当する。
c そうすると、甲1発明の「人感センサ」は、本件発明3の「監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置」に相当する。
d 以上より、本件発明3と甲1発明とは、「被監視者監視システム」が「監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置」を備える点で一致する。
(C)「中央処理装置」について
a 甲1発明の「コントローラ11」は、本処理フローを実行する「処理部12」が格納されるから、本件発明3の「中央処理装置」といえる。
b 甲1発明の「コントローラ11」は「人感センサに宅内の電灯線Lを介して接続され」、「検知信号は、電灯線Lを伝ってコントローラ11に送られ」るから、「人感センサ」と「コントローラ11」とは通信可能に接続されるものであり、コントローラ11は、人感センサから検知信号を受信するものである。
c コントローラ11の処理部12が実行する「本処理フロー」では、「人感センサの検知信号に基づいて対象者Aが生活動作を開始したか否かを判断」するから、検知信号は、生活動作を示す信号といえる。
そして、コントローラ11の処理部12は、検知信号に基づいて「実際の生活動作回数Enを1つカウントアップ」するから、生活動作を管理しているといえる。
d そうすると、監視対象者Aの生活動作は、監視対象者Aに関わるイベントの一つであるから、処理部12を格納するコントローラ11は、受信した監視対象者Aのイベントを管理しているといえる。
e 以上より、本件発明3と甲1発明とは、「被監視者監視システム」が「前記センサ装置と通信可能に接続され、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置」を備える点で一致する。
(D)「端末装置」について
甲1発明は、コントローラ11の処理部12が「対象者Aの衰え度合が異常域に達した旨の報知信号を広域ネットワークNを介して管理センタCに送るもの」であるから、管理センタCは、人感センサで検知した監視対象者Aの生活動作の通知を受けるものではない。
また、甲1発明において、コントローラ11を介して生活動作の通知を受ける構成は特定されていない。
(E)上記(A)~(D)をまとめると、本件発明3と甲1発明とは、「監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システム」で一致する。
B 「前記中央処理装置であって」、「記憶部と、」を備え、「前記記憶部は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを、前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて監視情報として記憶し、前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含み、」について
甲1発明の「コントローラ11」に格納される「メモリ13」は、本件発明3の「記憶部」に相当する。
そして、メモリ13に記憶している「対象者A個人の生活動作についての時間帯ごとの平均回数」は、対象者A個人の生活動作についての「情報」といえるから、甲1発明の「メモリ13」に記憶している「平均回数」と本件発明3の「監視情報」とは、いずれも「情報」である点で一致する。
また、「平均回数」は、「準備期間の第1日目から第30日目までの生活動作回数のデータを1時間ごとに採取し、30日間にわたる生活動作回数の時間帯ごとの平均値」であるから、生活動作の平均回数であり、「コントローラ11」が受信した検知信号の平均回数である。
そうすると、本件発明3と甲1発明とは、「前記中央処理装置であって」、「記憶部と、」を備え、「前記記憶部は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを、情報として記憶し」ている点で共通する。
C 「前記中央処理装置であって」、「履歴情報抽出処理部と、」を備え、「前記履歴情報抽出処理部は、前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応するイベントの種類を抽出し、」について
甲1発明は、処理部12で実行される本処理フローにおいて、「時刻nの時間帯における平均回数Anをメモリ13から読み込むこと」が特定されている。
さらに、「生活動作の種類を区別し、各種類ごとに能力監視を行うことにしてもよ」いことが特定されている。
しかしながら、甲1発明には、メモリ13から生活動作の種類を抽出することは、特定されていない。
したがって、甲1発明には、「前記中央処理装置であって」、「履歴情報抽出処理部と、」を備え、「前記履歴情報抽出処理部は、前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応するイベントの種類を抽出し、」は特定されていない。
D 「前記中央処理装置であって」、「監視処理部と、」を備え、「前記監視処理部は、前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ、」について
甲1発明には、上記Cのとおり、メモリ13から生活動作の種類を抽出することは特定されていない。
そうすると、甲1発明には、「前記中央処理装置であって」、「前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ」る「監視処理部」を備えることは特定されていない。
E 「前記中央処理装置であって」、「分析処理部と」を備え、「前記分析処理部は、前記記憶部に記憶された監視情報から、分析対象である所定の第2期間内における、所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数することで第1計数結果を求め、前記第2期間よりも以前の所定の第3期間内における、前記所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数して前記第2期間長に応じた平均値で第2計数結果を求め、前記第1計数結果と前記第2計数結果とを種類別に比較し、所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を求める第2分析処理を実行し、」について
甲1発明は、処理部12で実行される本処理フローにおいて、「時刻nの時間帯における平均回数Anをメモリ13から読み込むことにより、この平均回数Anに対する上記実際の回数Enの過不足値Dn=En-Anを求め、上記過不足値Dnを、0時から(n-1)時までの過不足値の累計Ds=D0+D1+…+Dn-1に加え、n時までの累計値DS=D0+D1+…+Dn-1+Dnを求め、累計値DSがマイナスになったときは、その絶対値が所定値DA以上になったか否かを判断」し、絶対値が所定値DA以上になった場合に、「対象者Aの衰え度合が異常域に達した旨の報知信号を広域ネットワークNを介して管理センタCに送る」ことから、メモリ13に記憶されている平均回数と実際の生活動作回数とにより、対象者Aの衰え度合が異常域に達したかを判断するものである。
そして、生活動作について、対象者Aの衰え度合が異常域に達したかを判断することは、対象者Aの生活動作の分析を行っていることに対応するから、甲1発明の処理部12は、メモリ13に記憶された情報から監視対象者Aの生活動作の分析を行っているといえる。
したがって、甲1発明の「処理部12」と本件発明3の「分析処理部」とは、「前記処理部は、前記記憶部に記憶された情報から、分析処理を実行」する点で一致する。
F 「前記監視処理部は、前記第2分析処理の実行で求めた所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を前記所定の表示装置に表示させる、」について
甲1発明は、対象者Aの衰え度合が異常域に達した旨の報知信号を管理センタCのホストコンピュータに送るものである。
そうすると、甲1発明には、「前記第2分析処理の実行で求めた所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を前記所定の表示装置に表示させる、」「監視処理部」は、特定されていない。
(イ)上記(ア)A~Fより、本件発明3と甲1発明とは、次の点で一致ないし相違する。
(一致点)
「監視対象である被監視者に対応して設けられ、前記被監視者に関わる所定のイベントを検知するセンサ装置、前記センサ装置と通信可能に接続され、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを管理する中央処理装置、および、前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して通知を受ける装置を備え、前記被監視者を監視するための被監視者監視システムの前記中央処理装置であって、
記憶部と、
処理部とを備え、
前記記憶部は、前記センサ装置で検知されて前記センサ装置から受信したイベントを、情報として記憶し、
前記処理部は、前記記憶部に記憶された情報から、分析処理を実行する、
中央処理装置」
(相違点)
相違点1:本件発明3は、「被監視者監視システム」が「前記中央処理装置と通信可能に接続され前記中央処理装置を介して前記センサ装置で検知されたイベントの通知を受ける端末装置を備え」ているのに対して、甲1発明は、当該構成について特定されていない点。
相違点2:記憶部に記憶している「情報」について、本件発明3は「監視情報」であり、「前記センサ装置に対応する前記被監視者に対応付けて」記憶するものであって、「前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含」むことが特定されているのに対して、甲1発明は、生活動作についての「平均回数」であり、当該事項について特定されていない点。
相違点3:本件発明3は「履歴情報抽出処理部」を備え、「前記記憶部に記憶された監視情報から、所定の期間内における、所定の被監視者に対応するイベントの種類を抽出」するのに対し、甲1発明は、当該事項について特定されていない点。
相違点4:本件発明3は「監視処理部」を備え、「前記履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを、前記被監視者に対応付けて種類別に、所定の表示装置に表示させ」、「前記第2分析処理の実行で求めた所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を前記所定の表示装置に表示させる」のに対し、甲1発明は、当該事項について特定されていない点。
相違点5:「処理部」について、本件発明3は「前記記憶部に記憶された監視情報から、分析対象である所定の第2期間内における、所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数することで第1計数結果を求め、前記第2期間よりも以前の所定の第3期間内における、前記所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数して前記第2期間長に応じた平均値で第2計数結果を求め、前記第1計数結果と前記第2計数結果とを種類別に比較し、所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を求める」第2分析処理を実行するのに対し、甲1発明は、このような第2分析処理を実行することについて特定されていない点。
(ウ)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
甲第2号証~甲第5号証には、イベントの検知時刻または受信時刻を含む監視情報を記憶することは、記載されていない。
そして、甲1発明は、メモリ13に、生活動作についての時間帯ごとの平均回数を記憶しておくものであり、実際の生活動作回数Enを1つカウントアップし、現在時刻が新しい時間帯になった時、メモリ13に記憶されている平均回数Anに対する上記実際の回数Enの過不足値Dnを求めるものである。
そうすると、時間帯ごとの平均回数を記憶しておく甲1発明において、生活動作の検知信号について検知時刻または受信時刻をメモリ13に記憶する必要性は認められず、仮に生活動作の検知信号について検知時刻または受信時刻をメモリ13に記憶することが周知であったとしても、甲1発明において、生活動作の検知信号について検知時刻または受信時刻をメモリ13に記憶する動機付けがない。
よって、甲1発明において、メモリ11にイベントの検知時刻または受信時刻を含む監視情報を記憶することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
(エ)申立人の主張について
申立人は、上記相違点2に関連して、異議申立書21頁において、甲1発明の構成C、Dとして
「C メモリは、人体検知手段で検知されて人体検知センサから送信された生活動作の回数を生活動作回数として記憶し、
D 生活動作回数は、1時間ごとの時刻の生活動作回数および生活動作の種類ごとに記憶され、」
を認定し、異議申立書26頁において、
「エ)構成要件Dについて、
甲1発明の構成Dにおける「生活動作の種類」は、本件特許発明3の構成要件Dにおける「イベントの種類」に相当する。してみれば、甲1発明の構成Dにおける「生活動作回数は、1時間ごとの時刻の生活動作回数および生活動作の種類ごとに記憶され」との事項は、本件特許発明3の構成要件Dにおける「前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含み」との事項に相当する。」
と主張する。
しかしながら、甲第1号証では、メモリ11には、動作回数についての時間帯ごとの平均回数が記憶されることが記載されるものであり、メモリ11に記憶している情報として、本件発明3の「前記監視情報は、前記イベントの検知時刻または受信時刻」を含むとの事項に相当する構成は、甲第1号証には記載されていない。
したがって、当該主張は採用できない。
(オ)本件発明3についての小括
そうすると、他の相違点について検討するまでもなく。本件発明3は、甲1発明、及び甲第2号証~甲第5号証に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。
ウ 本件発明5~6、10について
本件発明5~6、10は、直接的または間接的に本件発明3を引用するから、本件発明3の特定事項を全て含む発明である。
そうすると、本件発明5~6、10は、上記イの本件発明3で検討した甲1発明との相違点1~5を有し、相違点2は、当業者が容易になし得たものとはいえないから、本件発明5~6、10は、当業者が容易になし得たものとはいえない。
エ 本件発明9について
本件発明9は、本件発明3の「中央処理装置」という「物」の発明を、「中央処理方法」という「方法」の発明としたものであり、本件発明3と同等の構成を備えたものである。
そうすると、本件発明9と甲1発明とは、本件発明3と甲1発明との相違点1~5に対応する相違点を有するものであり、相違点2は、当業者が容易になし得たものとはいえないから、本件発明9は、甲1発明、及び甲第2号証~甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得たものとはいえない。
オ 申立理由1のまとめ
上記のとおり、申立理由1は理由がない。
(2)申立理由3(明確性)について
ア 請求項3~6、9~10(異議申立書38頁)
(ア)異議申立人は、「請求項3に記載された「所定の期間」と、「所定の第2期間」及び「所定の第3期間」との関係が、明確でないため、履歴情報抽出部がどのような動作をし、履歴情報抽出部との関係で分析処理部がどのような動作をする範囲までが、請求項3に係る発明の範囲に含まれるのか明確でない。」旨主張する。
請求項3において、「所定の期間」は、履歴情報抽出処理部がイベントの種類を抽出する期間であり、監視処理部は、履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、前記所定の期間内におけるイベントを所定の表示装置に表示させるものであるから、「所定の期間」は、監視処理部が表示させる種類別のイベントの「期間」を示すものである。
また、「所定の第2期間」、「所定の第3期間」は、分析処理部において実行される第2分析処理で用いられる期間であり、監視処理部は、第2分析処理で求めた比較結果を所定の表示装置に表示させることから、「所定の第2期間」、「所定の第3期間」は、監視処理部が比較結果を表示させる際に比較結果を求めるための「期間」を示すものである。
そうすると、「所定の期間」、「所定の第2期間」及び「所定の第3期間」は、イベントを種類別に表示させる際の「所定の期間」と、種類別の比較結果を表示させる際の「所定の第2期間」及び「所定の第3期間」であるから、これらの関係は、明確である。
そして、「履歴情報抽出処理部」は、「所定の期間」内におけるイベントの種類を抽出する処理を行うものであり、「分析処理部」は、「前記記憶部に記憶された監視情報から」、「所定の第2期間」と「所定の第3期間」におけるイベントを種類別に計数して比較結果を求める第2分析処理を行うものとして、請求項3に係る発明の範囲は、明確である。
(イ)また、「請求項3に記載された「履歴情報抽出処理部」は、「記憶部」に記憶された「イベント検知時刻または受信時刻」及び「イベントの種類」のうち、「所定の期間内における・・・(略)・・・イベントの種類」を抽出するが、このように抽出されたイベントの種類だけでは、「分析処理部」は、「第2期間」と「第3期間」についての「第2分析処理」を実行することはできない。」旨主張する。
請求項3において、分析処理部は、「前記記憶部に記憶された監視情報から、分析対象である所定の第2期間内における、所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数することで第1計数結果を求め、前記第2期間よりも以前の所定の第3期間内における、前記所定の被監視者に対応するイベントを種類別に計数して前記第2期間長に応じた平均値で第2計数結果を求め、前記第1計数結果と前記第2計数結果とを種類別に比較し、所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を求める第2分析処理を実行し」とされている。
そうすると、分析処理部は、記憶部に記憶された監視情報を用いるものであり、監視情報は「前記イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含」むことから、第2分析処理は実行できるものである。
(ウ)また、「「第3期間」については、第3期間が第2期間よりも以前における具体的にどの時期に設定され、どの処理部によってどのように抽出されるかについて、明細書の記載及び技術常識を勘案しても、理解することができない。」旨主張する。
請求項3において、「所定の第3期間」は、分析処理部で実行される第2分析処理において、第2期間長に応じた平均値を求めるための期間であり、「第2期間よりも以前」の期間であれば、第2期間長に応じた平均値を求められることは明らかであるから、明確な記載である。
(エ)請求項3を引用する請求項5~6、10、及び請求項3に係る装置の発明に相当する方法の発明である請求項9についても同様である。
(オ)したがって、当該主張は採用できない。
イ 請求項5、10(異議申立書38~39頁)
異議申立人は、「請求項5には、サブ期間のそれぞれについてサブ期間を第2期間とする第2分析処理を実行する旨の記載があるが、サブ期間を第2期間とすることに伴って、監視処理部による比較結果の表示がどのような表示となる範囲までが、請求項4に係る発明の範囲に含まれることになるのか明確でない。」旨主張する。
請求項5は、第2分析処理を、サブ期間それぞれについて実行するものであるから、分析したサブ期間それぞれについて複数の比較結果が得られるものであり、表示装置は、得られた複数の比較結果を表示するものとして、発明の範囲は明確である。
請求項5を引用する請求項10に係る発明についても同様である。
したがって、当該主張は採用できない。
ウ 申立理由3のまとめ
以上のとおり、申立理由3は理由がない。
(3)申立理由4(実施可能要件)について(異議申立書39頁)
ア 異議申立人は、「請求項3に係る発明の「履歴情報抽出処理部」は、「所定の期間内における・・・(略)・・・イベントの種類を抽出」し、「分析処理部」は、「第2期間」と「第3期間」についての「第2分析処理」を実行するものである。一方、発明の詳細な説明には、履歴情報抽出処理部は、所定の期間を第2期間として、イベントと受信時刻等を抽出して、監視処理部に出力し、監視処理部は、履歴情報抽出処理部の抽出結果に基づいて、第2期間と第3期間についての第2分析処理を実行することが記載されている(「0103」、「0121」等)。しかし、発明の詳細な説明には、「履歴情報抽出処理部」から「イベントの種類」のみが抽出された場合に、「分析処理部」が、抽出された「イベントの種類」から、どのように第2分析処理を実行するかについては、記載されておらず、また、仮に請求項3の「所定の期間」が「第2期間」を意味していたとしても、抽出された第2期間のイベントの種類のみから、どのように第3期間の分析を含めた第2分析処理を実行するかについては、記載されていない。」旨主張する。
本件特許の発明の詳細な説明には、【0059】において、「分析処理部224は、さらに、監視情報記憶部231に記憶された監視情報から、分析対象である所定の第2期間内における、所定の被監視者Obに対応するイベントを種類別に計数することで第1計数結果を求め、前記所定の第2期間よりも以前の所定の第3期間内における、前記所定の被監視者Obに対応するイベントを種類別に計数して前記第2期間長に応じた平均値で第2計数結果を求め、前記第1計数結果と前記第2計数結果とを種類別に比較し、所定の閾値以上変化している種類別の比較結果を求める第2分析処理を実行する。」と記載されている。
ここで、監視情報記憶部231に記憶された監視情報は、イベントの検知時刻または受信時刻、および、前記イベントの種類を含むものであるから、「第2期間」と「第3期間」についての「第2分析処理」を実行することは、実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
イ 申立理由4のまとめ
したがって、申立理由4は理由がない。
(4)申立理由5(新規事項)について(異議申立書39~40頁)
ア 異議申立人は、「請求項3に係る発明は、分析処理部が第2分析処理のみを実行するものを含む。請求項3を引用する請求項4~6、10に係る発明、及び、請求項3に係る装置の発明に相当する方法の発明である請求項9に係る発明についても同様である。
しかし、本件の出願時の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(当初明細書等)には、分析処理部が「分析処理」を実行し、さらに、「第2分析処理」を実行するものしか記載されていない。したがって、上記手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。」旨主張する。
本件特許の請求項3に係る発明における、「第2分析処理」は、本件の出願時の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面における、【0121】(図12の「S247」)の処理が対応し、【0104】(図12の「S242」)に記載されるように、「S247」の第2分析処理と、「S243,S244」の分析処理とは、表示モードに従って選択的に実行される処理と解される。
そうすると、本件の出願時の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面において、分析処理部が「分析処理」を実行し、さらに、「第2分析処理」を実行することが記載されるものではなく、選択的に「第2分析処理」を実行することが記載されるものである。
したがって、本件特許の請求項3に係る発明、及び請求項3を引用する請求項5~6、10に係る発明、及び、請求項3に係る装置の発明に相当する方法の発明である請求項9に係る発明は、本件の出願時の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
イ 申立理由5のまとめ
したがって、申立理由5は理由がない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項3、5~6、9~10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項3、5~6、9~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項4に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700602