特許異議申立
2022-700585
情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
- 審判番号
- 2022-700585
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-107707
- 登録番号
- 7012123
- 請求日
- 2022年07月04日
- 審決日
- 2022年10月14日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】PayPay株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 【異議申立人】小宮 亜希子
- 審判長/審判官
- 審判長 篠原 功一
- 審判官 児玉 崇晶
- 審判官 須田 勝巳
- 分類
- P1652.113-Y (G06F) / P1652.121-Y (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7012123号発明「情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7012123号の請求項1~4、6~15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7012123号の請求項1~4、6~15に係る特許についての出願は、令和2年6月23日に出願され、令和4年1月19日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月27日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年7月4日に特許異議申立人小宮亜希子(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第7012123号の請求項1~4、6~15の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明4」、「本件発明6」~「本件発明15」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~4、6~15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
利用者の認証に用いる認証情報を生成する生成部と、
前記認証情報を前記利用者に通知する通知部と、
前記認証情報の一部があらかじめ表示された認証画面を前記利用者に提供する提供部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記認証情報は、
前記認証画面にあらかじめ表示される表示情報と、
前記利用者により前記認証画面に入力される入力情報と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記入力情報は、数値である、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示情報は、文字列である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示情報は、前記認証情報の先頭の所定の数の文字列である、
ことを特徴とする請求項2~5のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記利用者により前記認証画面に入力された入力情報が、前記生成部により生成された前記入力情報と一致する場合には、前記利用者のログインを許可する認証部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2~6のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記認証画面にあらかじめ表示された表示情報と、前記利用者により前記認証画面に入力された入力情報との組が、前記生成部により生成された前記表示情報と前記入力情報との組と一致する場合には、前記利用者のログインを許可する認証部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2~6のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通知部は、第1経路を介して、前記認証情報を前記利用者に通知し、
前記提供部は、第2経路を介して、前記認証情報の一部があらかじめ表示された前記認証画面を前記利用者に提供する、
ことを特徴とする請求項1~8のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1経路および前記第2経路の少なくとも一方を暗号化する暗号化部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記利用者のアカウントIDとパスワードとを受け付ける受付部と、
をさらに備え、
前記生成部は、前記利用者のアカウントIDとパスワードとを受け付けた場合に、前記利用者の認証に用いる前記認証情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1~10のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記生成部は、毎回異なる前記認証情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1~11のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記生成部は、毎回、無作為に前記認証情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1~12のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項14】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
利用者の認証に用いる認証情報を生成する生成工程と、
前記認証情報を前記利用者に通知する通知工程と、
前記認証情報の一部があらかじめ表示された認証画面を前記利用者に提供する提供工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項15】
利用者の認証に用いる認証情報を生成する生成手順と、
前記認証情報を前記利用者に通知する通知手順と、
前記認証情報の一部があらかじめ表示された認証画面を前記利用者に提供する提供手順と、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠として「Googleの2段階認証設定後にメーラーからログインできなくなった場合の対処法」[online]、公知日:2018年5月18日、[2022年6月24日検索]インターネット<URL: https://coeure.co.jp/blog/pc_support/gmail_login_error_180409>(以下「文献1」という。)を提出し、請求項1~4、6~15に係る特許は特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~4、6~15に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
第4 文献の記載、引用発明
1 文献1に記載された事項
文献1には,次の事項の記載が認められる。(下線は当審で付加。)
A 「1.Googleの検索画面の右上にある下図のように赤で丸く囲った箇所をクリックし、「アカウント」ボタンをクリックします。下図の例では赤で丸く囲った箇所に「H」と表示されていますが、実際にはアカウント名によって表示は異なります。
[図:0001390598000001.jpg]
」
B 「2.「アカウント情報」ページが表示されたら、「Googleへのログイン」をクリックします。
[図:0001390598000002.jpg]
」
C 「3.次に「ログインとセキュリティ」画面で「アプリ パスワード」をクリックします。
[図:0001390598000003.jpg]
」
D 「4.次にGmailアカウントのパスワード入力を求められるので入力し、「次へ」をクリックします。
[図:0001390598000004.jpg]
」
E 「5.2段階認証の設定時に登録したスマホにテキストメッセージが届きます。「G-」の後に6桁のコードが記されたメッセージです。
[図:0001390598000005.jpg]
」
F 「6.スマホに届いた6桁のコードを「4.」の画面に続く下記の画面にて入力し、「次へ」ボタンをクリックします。
[図:0001390598000006.jpg]
」
2 文献1の上記記載について検討する。
a 上記Fの図に「2段階認証プロセス この手順により、ログインしようとしているのがご自身であることを証明できます」と記載されていることが読み取れるから、文献1には、“ログインしようとしているのが自身であることを証明するための2段階認証プロセス”について記載されていると認められる。
b 上記Fの「スマホに届いた6桁のコード」との記載から、文献1には、6桁のコードがスマホに届くことが記載されていると認められ、このスマホに届く6桁のコードは、2段階認証を行う何らかの情報処理装置が生成しているものであることが明らかであるから、文献1には、“6桁のコードを生成する”段階について記載されていると認められる。
c 上記Eの「2段階認証の設定時に登録したスマホにテキストメッセージが届きます。「G-」の後に6桁のコードが記されたメッセージです。」との記載から、文献1には、“2段階認証の設定時に登録したスマホに「G-」の後に6桁のコードが記されたメッセージが届”く段階が記載されていると認められる。
d 上記Fの図に、6桁のコードを入力するための「2段階認証プロセス」画面が表示されていること、及び、当該画面には「G-」が予め表示されることが読み取れ、また、当該画面が“自身の端末”に表示されることは自明であることから、文献1には、“自身の端末に表示される6桁のコードを入力するための「2段階認証プロセス」画面において、予め「G-」が表示される”段階が記載されていると認められる。
3 上記1及び2より、文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 ログインしようとしているのが自身であることを証明するための2段階認証プロセスであって、
6桁のコードを生成する段階と、
2段階認証の設定時に登録したスマホに『G-』の後に6桁のコードが記されたメッセージが届く段階と、
自身の端末に表示される6桁のコードを入力するための『2段階認証プロセス』画面において、予め『G-』が表示される段階と、
を含む2段階認証プロセス。」
第5 当審の判断
1 本件発明14について
(1) 対比
本件発明14と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ログインしようとしているのが自身であることを証明するための2段階認証プロセス」は、2段階認証を行う何らかの情報処理装置により実行される情報処理方法であることが明らかであるから、後述する相違点1を除き、本件発明14の「情報処理装置が実行する情報処理方法」に相当する。
イ 引用発明の「6桁のコード」は、ログインしようとしているのが“利用者自身”であることを証明するために用いられるものであるから、本件発明14の「利用者の認証に用いる認証情報」に相当し、引用発明の「6桁のコードを生成する段階」は、本件発明14の「利用者の認証に用いる認証情報を生成する生成工程」に相当する。
ウ 引用発明において、2段階認証の設定時に登録したスマホに「G-」の後に6桁のコードが記されたメッセージが届くものであるところ、当該メッセージは、2段階認証を行う何らかの情報処理装置により“利用者自身”に通知されるものであることが明らかであるから、引用発明の「2段階認証の設定時に登録したスマホに『G-』の後に6桁のコードが記されたメッセージが届く段階」は、本件発明14の「前記認証情報を前記利用者に通知する通知工程」に相当する。
エ 引用発明の「2段階認証プロセス」画面は、本願発明の「認証画面」に相当し、また、当該「認証画面」は、2段階認証を行う何らかの情報処理装置によって“利用者自身の端末”に提供されるものであることが明らかであるから、引用発明において「自身の端末に表示される6桁のコードを入力するための『2段階認証プロセス』画面において、予め『G-』が表示される」段階は、本件発明14の「認証情報の一部があらかじめ表示された認証画面を前記利用者に提供する提供工程」と、下記相違点1で相違するものの、“認証画面を前記利用者に提供する提供工程”である点で共通する。
オ 以上、上記ア~エの対比より、本件発明14と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
利用者の認証に用いる認証情報を生成する生成工程と、
前記認証情報を前記利用者に通知する通知工程と、
認証画面を前記利用者に提供する提供工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
〈相違点1〉
本件発明14の「認証画面」には、「認証情報の一部があらかじめ表示され」るのに対し、引用発明の「2段階認証プロセス」画面には、予め「G-」が表示される点。
(2)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明において、ログインしようとしているのが自身であることを証明するために用いられる「6桁のコード」は、「G-」の後に続くものであることから、「G-」自体は「6桁のコード」の一部を構成するものではない。
よって、引用発明において「予め表示される」「G-」は、利用者の認証に用いる認証情報の一部には当たらない。
したがって、文献1には、本件発明14が「認証情報の一部があらかじめ表示された認証画面を前記利用者に提供する」ことについて記載も示唆もされておらず、また、当該技術分野における周知技術ともいえないので、本件発明14は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
そして、本件発明14は、生成した認証情報の一部が予め表示された認証画面を利用者に提供することにより、利用者側でのサイトの真偽判定を可能にするという効果を奏するものである。
2 本件発明1、15について
本件発明1、15は、本件発明14と単にカテゴリーが異なるのみであり、上記1において検討したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
3 本件発明2~4、6~13について
本件発明2~4、6~13は、本件発明1を引用するものである。したがって、本件発明2~4、6~13は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、当業者が引用発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。
4 小括
以上のとおり、本件発明1~4、6~15は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~4、6~15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~4、6~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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