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特許異議申立

2022-700611

管理装置、管理方法および管理プログラム

審判番号
2022-700611
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-061942
登録番号
7004861
請求日
2022年07月08日
審決日
2022年10月13日
公報発行日
2022年11月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】PayPay株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
  • 【異議申立人】平野 裕史
審判長/審判官
  • 審判長 渡邊 聡
  • 審判官 相崎 裕恒
  • 審判官 小田 浩
分類
P1651.113-Y (G06Q) / P1651.121-Y (G06Q) / P1651.536-Y (G06Q) / P1651.537-Y (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7004861号発明「管理装置、管理方法および管理プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7004861号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。

理由

理 由 1 手続の経緯 特許第7004861号の請求項1~11に係る特許についての出願は、令和3年3月31日に出願され、同4年1月6日にその特許権の設定登録がされ、同年1月21日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同4年7月8日に特許異議申立人 平野裕史(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 2 本件発明 特許第7004861号の請求項1~11の特許に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得部と、 前記利用者に対するデジタルマネーの入金を受け付ける入金受付部と、 前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動部と を有し、 前記入金受付部は、前記利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付け、 前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与である場合に、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与残高に対する入金処理を行い、前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与以外の名目である場合には、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与以外残高に対する入金処理を行う入金処理部 をさらに有することを特徴とする管理装置。 【請求項2】 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得部と、 前記利用者 が所有する決済口座であって、給与としてのデジタルマネーおよび給与以外の前記デジタルマネーが入金される前記決済口座に対する 前記デジタルマネーの入金を受け付ける入金受付部と、 前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動部と を有し、 前記資金移動部は、 前記給与として入金された前記デジタルマネーの一部を、前記決済口座以外の口座に移動させることを特徴とする管理装置。 【請求項3】 前記資金移動部は、 前記給与として入金された前記デジタルマネーの一部を、前記給与としての前記デジタルマネーが入金された決済口座以外の口座に移動させる ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。 【請求項4】 前記決済口座以外の口座は、運用口座であって、 前記給与として入金された前記デジタルマネーの金額と前記利用者情報とに基づき、前記運用口座に移動させる前記デジタルマネーの金額を推定する推定部 をさらに有し、 前記資金移動部は、 前記給与として入金された前記デジタルマネーのうち前記推定部によって推定された金額の前記デジタルマネーを前記運用口座に移動させる ことを特徴とする請求項2または3に記載の管理装置。 【請求項5】 前記資金移動部は、 前記給与として入金された前記デジタルマネーの一部を、前記給与としての前記デジタルマネーが入金された決済口座のうちの取り置き残高に移動させる ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。 【請求項6】 前記所定の決済手段を用いた決済に関する決済情報が取得された場合に、前記決済の内容が、前記取り置き残高に設定された用途と合致するか否かを判定する判定部と、 前記判定部によって前記決済の内容が前記用途と合致すると判定された場合に、前記取り置き残高を用いた決済処理を行う決済処理部と を有することを特徴とする請求項5に記載の管理装置。 【請求項7】 前記入金受付部は、前記利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付け、 前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与である場合に、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与残高に対する入金処理を行い、前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与以外の名目である場合には、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与以外残高に対する入金処理を行う入金処理部 をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の管理装置。 【請求項8】 コンピュータが実行する管理方法であって、 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得工程と、 前記利用者に対するデジタルマネーの入金を受け付ける入金受付工程と、 前記入金受付工程によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーを前記取得工程によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動工程と を含み、 前記入金受付工程は、前記利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付け、 前記入金受付工程によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与である場合に、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与残高に対する入金処理を行い、前記入金受付工程によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与以外の名目である場合には、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与以外残高に対する入金処理を行う入金処理工程 をさらに含むことを特徴とする管理方法。 【請求項9】 コンピュータが実行する管理方法であって、 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得工程と、 前記利用者 が所有する決済口座であって、給与としてのデジタルマネーおよび給与以外の前記デジタルマネーが入金される前記決済口座に対する 前記デジタルマネーの入金を受け付ける入金受付工程と、 前記入金受付工程によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーを前記取得工程によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動工程と を含み、 前記資金移動工程は、 前記給与として入金された前記デジタルマネーの一部を、前記決済口座以外の口座に移動させることを特徴とする管理方法。 【請求項10】 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得手順と、 前記利用者に対するデジタルマネーの入金を受け付ける入金受付手順と、 前記入金受付手順によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーを前記取得手順によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動手順と をコンピュータに実行させ 、 前記入金受付手順は、前記利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付け、 前記入金受付手順によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与である場合に、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与残高に対する入金処理を行い、前記入金受付手順によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与以外の名目である場合には、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与以外残高に対する入金処理を行う入金処理手順 を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする管理プログラム。 【請求項11】 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得手順と、 前記利用者 が所有する決済口座であって、給与としてのデジタルマネーおよび給与以外の前記デジタルマネーが入金される前記決済口座に対する 前記デジタルマネーの入金を受け付ける入金受付手順と、 前記入金受付手順によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーを前記取得手順によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動手順と をコンピュータに実行させ 、 前記資金移動手順は、 前記給与として入金された前記デジタルマネーの一部を、前記決済口座以外の口座に移動させることを特徴とする管理プログラム。」 なお、本件特許発明3、5、6は、本件特許発明1に対してさらに技術的事項を追加した発明であり、本件特許発明4は、本件特許発明1又は本件特許発明2に対してさらに技術的事項を追加した発明であり、本件特許発明7は、本件特許発明2に対してさらに技術的事項を追加した発明である。 また、本件特許発明8、9と本件特許発明10、11は、それぞれ本件特許発明1、2に対応する方法発明とプログラム発明である。 3 申立理由の概要 (1)申立人が提示した各甲号証(以下「甲1」等という。)は、次のとおりである。 甲1:特開2021-2304号公報 甲2:特許第6231652号公報 甲3:特開2018-112965号公報 甲4:特開2019-148970号公報 甲5:特開2020-112891号公報 甲6:特開2003-30449号公報 甲7:インターネットウェブアーカイブの写し(URL:https://web.archive.org/web/20200529071214/https://paypay.ne.jp/help/c0048/) (2)申立人は、甲6を主たる証拠として請求項1、8、10に係る特許が特許法29条1項に違反してなされたものである旨(以下「申立理由1-1」という。)、甲6を主たる証拠として請求項3~6に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものである旨(以下「申立理由1-2」という。)、甲5を主たる証拠とし甲2~4及び甲6を従たる証拠として請求項1、3~6、8、10に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものである旨(同「申立理由2-1」)、甲1を主たる証拠とし甲2~3、5~6を従たる証拠として請求項2、4、7、9、11に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものである旨(同「申立理由2-2」)、請求項1~11に係る特許が特許法36条4項1号違反の出願についてなされたものである旨(同「申立理由3」)、請求項1~11に係る特許が特許法36条6項1号違反の出願についてなされたものである旨(同「申立理由4」)を主張し、これらの特許は取り消すべきものであると主張している。 4 主な甲号証の記載 (1)甲1 ア 甲1には、次の記載がある。 「【発明が解決しようとする課題】 【0010】本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、通信端末に設けられたデジタルウォレット内にチャージ(入金)されたデジタルマネーが債務の支払いに優先的に充てられるように適切に管理することで、金融機関に口座を持っていない人々が口座を開設することなく、効率良く計画的な消費を支援することを可能とする技術を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】本発明に係る振分管理システムは、デジタルマネーの計画的な消費を支援する処理を行うためのシステムであって、第一の振分管理システムは、支払債務を有する利用者が所有する利用者端末と、前記利用者に対してデジタルマネーを送金する送金者が利用する送金者端末と、がネットワークを介して通信可能に構成されたものとなっている。 【0012】利用者端末は、使途制限の無いデジタルマネーを保存し、その残高を管理する第一のデジタルマネー記憶手段と、使途制限を有するデジタルマネーを保存し、その残高を管理する第二のデジタルマネー記憶手段と、債権者の名称や氏名、請求金額、支払期限といった債務情報を登録・管理する債務情報記憶手段とを有する。 ・・・ 【0014】また、利用者端末は、債務情報を受け付け、債務情報記憶手段に登録する債務情報受付手段と、送金者端末から送金されたデジタルマネーの受け取りに応じ、債務情報記憶手段に登録されている請求金額の合計(すなわち、債務の合計金額)を算出すると共に、第二のデジタルマネー記憶手段に管理されている残高を特定し、算出した請求金額の合計と特定した残高とを比較して、その差が「0」になるまで、受け取ったデジタルマネーを第二のデジタルマネー記憶手段に優先的に振り分けて保存し、その差が「0」になったら、受け取った(残りの)デジタルマネーを第一のデジタルマネー記憶手段に保存するデジタルマネー振分手段を有する。 ・・・ 【0018】以上のように第一の振分管理システムにおいて利用者端末は、第一のデジタルマネー記憶手段と、第二のデジタルマネー記憶手段と、債務情報記憶手段と、債務情報受付手段と、デジタルマネー振分手段と、を備えることにより構成され、取得したデジタルマネーを、第一のデジタルマネー記憶手段と第二のデジタルマネー記憶手段とに振り分けて保存することで、後々必要となるデジタルマネーを適切に管理することを基本的な特徴とする。 また、デジタルマネー利用許可手段をさらに備えることで、適切に管理されたデジタルマネーが適切な支払いに利用されるように管理することができる。」 「【0019】また、本発明に係る振分管理システムは、利用者の債務の支払を管理する振分管理装置とさらにネットワークを介して通信可能に構成されたものとしても良い。すなわち、本発明に係る第二の振分管理システムは、支払債務を有する利用者が所有する利用者端末と、前記利用者に対してデジタルマネーを送金する送金者が利用する送金者端末と、振分管理装置がネットワークを介して通信可能に構成されたものとなっている。 【0020】この際、第二の振分管理システムにおいて利用者端末は、債務情報受付手段での債務情報の受け付けに応じ、振分管理装置に対して、利用者情報と共に受け付けた債務情報を送信する債務情報送信手段と、デジタルマネー振分手段でのデジタルマネーの振り分けに応じ、振分管理装置に対して、第二のデジタ.ルマネー記憶手段に保存されているデジタルマネーの残高情報を送信するデジタルマネー残高送信手段と、第二のデジタルマネー記憶手段に保存されたデジタルマネーの利用の際、振分管理装置に対して利用先情報と共に利用金額情報を送信すると共に、振分管理装置からデジタルマネーの利用可否を示す回答を受信して、デジタルマネーの利用可否を確認するデジタルマネー利用問合せ手段と、をさらに有する。 【0021】振分管理装置は、利用者を識別する利用者情報と、利用者の支払債務に関する債権者や請求金額、支払期限といった債務情報とを関連付けて記憶する利用者情報記憶手段、利用者情報と、当該利用者が所有する利用者端末の第二のデジタルマネー記憶手段に保存されているデジタルマネーの残高情報とを関連付けて記憶するデジタルマネー残高記憶手段を有する。 【0022】また、振分管理装置は、利用者端末から、利用者情報と共に債務情報を受信し、利用者情報に基づいて、債務情報を利用者情報記憶手段に登録・管理する債務情報登録手段を有する。この債務情報は、利用者端末が債務情報記憶手段に登録して管理する債務情報と同じであり、たとえば、債権者情報と請求金額情報と支払期限情報をいう。 【0023】また、振分管理装置は、利用者端末から、利用者情報と共にデジタルマネーの残高情報を受信し、利用者情報に基づいて、デジタルマネーの残高情報をデジタルマネー残高記憶手段に登録するデジタルマネー残高登録手段をも有する。 【0024】さらに、振分管理装置は、利用者端末から、利用先情報と共に利用金額情報を含むデジタルマネーの利用可否を確認する問い合わせを受信し、利用者情報記憶手段を参照して利用先が登録された債権者であるか否か判断すると共に、デジタルマネー残高記憶手段を参照して利用金額の値が登録されたデジタルマネーの残高情報の値より小さいか否か判断し、利用先が登録された債権者であり、かつ、利用金額の値が登録されたデジタルマネーの残高情報の値より小さい場合に、デジタルマネーの利用可能を示す回答情報を送信するデジタルマネー利用可否判断手段をも有する。 【0025】以上のように第二の振分管理システムにおいて振分管理装置は、利用者情報記憶手段と、デジタルマネー残高記憶手段と、債務情報登録手段と、デジタルマネー残高登録手段と、デジタルマネー利用可否判断手段と、を備えることにより構成され、利用者ごとに、債務情報とデジタルマネーの残高情報とを管理することで、利用者端末の第二のデジタルマネー記憶手段に適切に管理されているデジタルマネーが、適切な支払いに利用されるように管理することができる。 【0026】そして、本発明では、通信端末を上記利用者端末として機能させる振分管理プログラムを実行することで、本発明に係る利用者端末での振分管理方法を実現することができる。」 「【0040】また、デジタルマネー振分部23は、予め設定された振り分け率に基づいて、受け取ったデジタルマネーを第一のデジタルマネー記憶部W1と第二のデジタルマネー記憶部W2とに分けて保存する機能を有するものとしても良い。」 「【0045】すなわち、デジタルマネー利用許可部25は、第二のデジタルマネー記憶部W2に保存されたデジタルマネーを利用する際に、利用先が債務情報記憶部27に登録する債権者であるか否か、すなわち利用先及び利用金額が適切であるかを確認すると共に、債務情報記憶部27に登録する支払期限が最も近いか否かをさらに確認し、適切である(条件を満たしている)場合にデジタルマネーの利用を許可するものである。」 「【0050】第一のデジタルマネー記憶部W1は、電子化(デジタル化)した金銭情報を蓄積する手段であって、使途制限の無いデジタルマネーを保存し、その残高を管理する機能を有する。この第一のデジタルマネー記憶部W1は、デジタルマネーを用いた一般的な決済に利用されるものであって、自由な決済に利用可能なデジタルマネーを蓄積するデジタルウォレットである(以下、「一般決済用ウォレット」と称する場合がある)。」 「【0055】送金者端末30は、利用者に対してデジタルマネーを送金する送金者が利用する端末であって、労働に対する賃金又は商品もしくはサービスの対価としてデジタルマネーを利用者端末20に対して送金する手段を有する。すなわち、送金者端末30は、たとえば、利用者を従業者として雇用し、給与を支給する企業が利用する企業端末30Aや、利用者から商品もしくはサービスの提供を受けた取引先が利用する取引者端末30Bがとすることができる。 本実施の形態においては、企業が利用する企業端末30Aを送金者端末30とする場合を例に説明する。」 「【0071】次に、利用者端末20と企業端末30Aを用いた振分管理方法を実施するための振分管理システムでの処理の流れについて、図2を参照して説明する。 なお、本実施の形態における利用者端末20ではプログラムを実行することで、以下に説明する方法を実現する。 【0072】まず、利用者は、本振分管理サービスを享受するため、事前に利用者端末20の通信機能を用いて本振分管理サービスのサイトにアクセスし、利用登録を行ってアプリケーションソフトをダウンロードしてインストールしておく。この利用登録を行うことで、通常の決済に利用されるデジタルマネーを管理するデジタルウォレット(一般決済用ウォレットW1)とは異なり、デジタルマネーの計画的な消費を支援するために振り分けられることとなるデジタルマネーを管理するデジタルウォレット(債務支払用ウォレットW2)が、利用者端末20に設けられるものとなる。 【0073】なお、一般決済用ウォレットW1は、上述した利用登録を行うことで債務支払用ウォレットW2と同時に利用者端末20に設けられるものとしても良いし、利用登録時に、利用者端末20に既存のデジタルウォレットを指定するものとしても良い。 【0074】まず、利用者端末20は、債権者より、債権者名や請求金額、支払期限等が含まれる債務情報を取得する(10)。債務情報は、既述したように、債権者より紙媒体で取得した請求書等に記載された債務情報に相当する所定事項を、利用者が利用者端末20より入力することで受け付けるようにしても良いし、債権者が送信した請求書情報を利用者端末20が受信し、これを保存することで受け付けるようにしても良い。 利用者端末20は、取得した債務情報に含まれる債権者情報や請求金額情報、支払期限情報を互いに関連付け、債務ごとに債務情報記憶部27に登録し、管理する(20)。 【0075】また、利用者端末20は、企業端末30Aに対して給与の支払いを請求する(30)。 給与の支払いの請求は、たとえば、まず、利用者識別情報と共に、当該利用者の現在までの支給予定給与額を問い合わせる第一の通知を送信する。企業端末30Aは、この第一の通知に応じて、利用者端末20に対し当該利用者の労働に対する対価としての支給予定給与額情報を送信する。すなわち、企業端末30Aは、給与情報記憶手段に保存する支給額情報を支給予定給与額情報として利用者端末20に送信する。 利用者端末20は、企業端末30Aから送信された支給予定給与額情報を受信し、利用者は、支給予定給与額を確認する。 【0076】引き続き、利用者端末20は、企業端末30Aに対して、支給予定給与額の全部又は一部をデジタルマネーとして受け取ることを要求する第二の通知を送信する。これにより、企業端末30Aに対して、デジタルマネーによる給与の支払いを請求することが出来る。そして、企業端末30Aは、この第二の通知に応じて、利用者端末20に対し要求された金額に相当するデジタルマネーを送金する(31)。 【0077】利用者端末20は、企業端末30Aから送信されたデジタルマネーを受け取る(40)。利用者端末20は、デジタルマネーを受け取ると、引き続き、債務情報記憶部27に登録されている請求金額の合計を算出すると共に、債務支払用ウォレットW2にて管理されているデジタルマネーの残高を特定し、これらを比較する(50)。 【0078】利用者端末20は、債務支払用ウォレットW2の残高が請求金額の合計より小さい場合、その差が「0」になるまで、受け取ったデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2へ優先的に保存する(60)。利用者端末20は、債務支払用ウォレットW2の残高と請求金額の合計との差が「0」であれば、残りのデジタルマネー、及びその後受け取ったデジタルマネーを一般決済用ウォレットW1へ保存する(70)。 【0079】また、利用者端末20は、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーを利用する際、利用先が、債務情報記憶部27に登録された債権者であるか否か確認をする(80)。すなわち、計画的な消費を支援するために使途が制限されている債務支払用ウォレットW2内のデジタルマネーが、債務返済のために適切に利用されるものであるか否か確認される。そして、利用者端末20は、利用先が登録された債権者である場合、デジタルマネーの利用を制限するロックを解除し、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーの利用を許可する(90)。 【0080】利用者端末20は、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーを利用して債権者に対して請求金額に相当するデジタルマネーを支払った後、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーの残高から利用した分を減算して残高情報を更新する。また、利用者端末20は、債務情報記憶部27に登録された債務情報を支払済として管理する(100)。」 「【0088】利用者は、確認した支給予定給与をデジタルマネーとして受け取ることを要求するため、利用者端末20において、受け取る金額を入力すると共に、OKボタンを選択する(S50)。そうすると、給与請求部は、受け取る給与額に相当するデジタルマネーを企業端末30Aから受け取る(S60)。利用者端末20では、企業端末30Aから送金されたデジタルマネーの受け取りに応じ、デジタルマネー振分部23が、債務情報記憶部27に登録されている請求金額の合計を算出すると共に、債務支払用ウォレットW2に管理されているデジタルマネーの残高を特定する(S70)。 【0089】デジタルマネー振分部23は、引き続き、請求金額の合計とデジタルマネーの残高とを比較してその大きさを判断する(S80)。その結果、債務支払用ウォレットW2の残高の方が小さいと判断した場合(Y)、デジタルマネー振分部23は、受け取ったデジタルマネーを振り分ける前に、さらに振分率の設定がされているか否か判断する(S90)。 【0090】その結果、振分率の設定がされていると判断した場合(Y)、デジタルマネー振分部23は、予め設定された振り分け率に基づいて、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になるまで、受け取ったデジタルマネーを一般決済用ウォレットW1と債務支払用ウォレットW2とに分けて保存する(S100)。引き続き、デジタルマネー振分部23は、受け取ったデジタルマネーの振り分けに伴って、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になったか否か判断する(S110)。 【0091】その結果、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になったと判断した場合(Y)、デジタルマネー振分部23は、受け取ったデジタルマネーをその後全て一般決済用ウォレットW1に保存し(S120)、利用者端末20での一連の動作を終了する。一方、デジタルマネー振分部23は、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になっていないと判断した場合(N)、受け取った全てのデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2に保存し、そのまま利用者端末20での一連の動作を終了(エンド)する。 【0092】また、振分率の設定がされているか否かの判断(S90)において、振分率の設定はされていないと判断した場合(N)、図4に示すように、デジタルマネー振分部23は、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になるまで、受け取ったデジタルマネーを一般決済用ウォレットW1と債務支払用ウォレットW2とに分けて保存する(S101)。デジタルマネー振分部23は、受け取ったデジタルマネーの振り分けに伴って、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になったか否か判断する(S111)。 【0093】その結果、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になったと判断した場合(Y)、デジタルマネー振分部23は、受け取ったデジタルマネーをその後一般決済用ウォレットW1に保存し(S121)、利用者端末20での一連の動作を終了する。一方、デジタルマネー振分部23は、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になっていないと判断した場合(N)、受け取った全てのデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2に保存し、そのまま利用者端末20での一連の動作を終了する。 【0094】また、請求金額の合計と残高との比較(S80)において、債務支払用ウォレットW2の残高は小さくない、すなわち債務支払用ウォレットW2の残高と請求金額の合計との差は「0」と判断した場合(N)、デジタルマネー振分部23は、受け取ったデジタルマネーをその後全て一般決済用ウォレットW1に保存し(S120)、利用者端末20での一連の動作を終了する。」 「【0101】<第二の実施の形態> また、本発明においては、上述した第一の実施の形態における利用者端末20にて管理されている債務情報と、債務支払用ウォレット(第二のデジタルマネー記憶部)W2に保存されたデジタルマネーの残高情報とを、振分管理装置において管理することもできる。すなわち、上述した第一の実施の形態とは、債務払用デジタルウォレットW2に保存されたデジタルマネーを利用する際に、支払先が適切であるかを振分管理装置において確認し、適切である場合にデジタルマネーの利用を許可するようにした点で異なる。 【0102】図6に示すように、本実施の形態における振分管理システムは、振分管理装置10と、利用者端末20と、送金者端末30とがそれぞれネットワークNWを介して通信可能に構成されたものとなっている。本実施の形態においてもまた、企業が利用する企業端末30Aを送金者端末30とする場合を例に説明する。 なお、以下に述べる第二の実施の形態では、上述した第一の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第一の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。 【0103】振分管理装置10は、利用者の債務の支払いを管理する装置である。この振分管理装置10は、所謂サーバコンピュータ等によって実現され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブといったハードウェア資源、CPUが実行するコンピュータプログラム等のソフトウェア資源により構成される。また、振分管理装置10、振分管理サービスを提供するために必要なデータベース等を記憶する記憶部を備える。さらに、振分管理装置10は、CPUでの処理に使用する情報や記憶部に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置を備える。 【0104】この振分管理装置10は、図6に示すように、債務情報登録部11と、デジタルマネー残高登録部12と、デジタルマネー利用可否判断部13と、利用者情報記憶部DB1と、デジタルマネー残高記憶部DB2とを備えることにより構成されている。すなわち、本発明に係る振分管理装置10は、補助記憶装置(たとえば、ROM)に記憶された各種のプログラム(OS、アプリケーション等)が主記憶装置(RAM)にロードされ、CPUにより実行されることによって、債務情報登録部11と、デジタルマネー残高登録部12と、デジタルマネー利用可否判断部13とを含む装置として機能する。 ・・・ 【0118】次に、振分管理装置10と利用者端末20と企業端末30Aを用いた振分管理方法を実施するための振分管理システムでの処理の流れについて、図9及び図10を参照して説明する。なお、本実施の形態における利用者端末20では第一のプログラムを実行し、振分管理装置10では第二のプログラムを実行することで、以下に説明する方法を実現する。 【0119】まず、利用者は、第一の実施の形態と同様に、本振分管理サービスを享受するため、事前に本振分管理サービスのサイトにアクセスし、利用登録を行ってアプリケーションソフトをインストール(ダウンロード)しておく。 【0120】利用者端末20は、債権者より、債権者名や請求金額、支払期限等が含まれる債務情報を取得する(210)。債務情報は、既述したように、債権者より紙媒体で取得した請求書等に記載された債務情報に相当する所定事項を、利用者が利用者端末20より入力することで受け付けるようにしても良いし、債権者が送信した請求書情報を利用者端末20が受信し、これを保存することで受け付けるようにしても良い。 【0121】利用者端末20は、取得した債務情報に含まれる債権者情報や請求金額情報、支払期限情報を互いに関連付け、債務ごとに債務情報記憶部27に登録し、管理する(220)。引き続き、利用者端末20は、取得した債務情報を利用者情報と共に振分管理装置10へ送信する(230)。 【0122】振分管理装置10は、利用者端末20から送信された債務情報と利用者情報を受信する(231)。そうすると、振分管理装置10では債務情報の取得に応じ、利用者情報に関連付けて、債権者情報と請求金額情報と支払期限情報とを利用者情報記憶部DB1に登録する(232)。 【0123】また、利用者端末20は、上述した第一の実施の形態(30?70)と同様に、企業端末30Aに対して給与の支払いを請求し(240)、この請求に応じてデジタルマネーを受け取り(250)、請求金額の合計とデジタルマネー残高とを比較し(260)、受け取ったデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2へ優先的に保存(270)、及び一般決済用ウォレットW1へ保存する(280)。 【0124】引き続き、利用者端末20は、債務支払用ウォレットW2の残高情報を振分管理装置10へ送信する(290)。振分管理装置10は、利用者端末20から送信された債務支払用ウォレットW2の残高情報を受信する(291)。そうすると、振分管理装置10では、利用者情報に関連付けて債務支払用ウォレットW2の残高情報をデジタルマネー残高情報記憶部DB2に登録する(292)。 【0125】また、利用者端末20は、図10に示すように、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーを利用する際、振分管理装置10に対して利用者情報と共に利用先情報を送信し、デジタルマネーの利用可否を確認する(300)。この利用先情報は、支払先の名称や、電話番号、メールアドレスといった利用先である債権者を特定するのに必要となる情報をいう。 【0126】振分管理装置10は、利用者端末20から送信された利用者情報と利用先情報を受信し、利用者情報記憶部DB1を参照して利用者情報に基づき債権者を特定し、利用先が登録された債権者であるか否か判断をする(301)。すなわち、計画的な消費を支援するために使途が制限されている利用者端末20の債務支払用ウォレットW2内のデジタルマネーが、債務返済のために適切に利用されるものであるか否かを確認する。 【0127】また、振分管理装置10は、利用者情報記憶部DB1を参照して利用先情報に基づき請求金額情報を特定すると共に、デジタルマネー残高情報記憶部DB2を参照して利用者情報に基づき残高情報を特定し、デジタルマネー残高情報記憶部DB2に登録された残高が請求金額より大きいか否か判断をする(302)。そして、振分管理装置10は、利用先が登録された債権者であり、かつ、デジタルマネー残高情報記憶部DB2に登録された残高が請求金額より大きいもしくは等しい場合に、デジタルマネーの利用可能を示す回答情報を利用者端末20に対して送信する(303)。 【0128】利用者端末20は、振分管理装置10から送信された回答情報を受信し、デジタルマネーの利用可能を示す回答である場合、デジタルマネーの利用を制限するロックを解除し、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーの利用を許可する(310)。 【0129】利用者端末20は、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーを利用して債権者に対して請求金額に相当するデジタルマネーを支払った後、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーの残高から利用した分を減算して残高情報を更新する。また、利用者端末20は、債務情報記憶部27に登録された債務情報を支払済として管理する(320)。 【0130】なお、上述した振分管理システムにおいて、利用者端末20での債務の支払いは、上述した第一の実施の形態と同様に、デジタルマネーを利用した決済において公知の手段で行うことができる。以上が振分管理装置10と利用者端末20と送金者端末30を用いた方法を実施するための振分管理システムでの基本的な処理の流れとなる。」 「【0135】また、振分管理装置10は、利用者端末20に対して事前に債務の支払いを知らせず、支払期日が到来したら自動的に債務の支払いを行い、その後、利用者端末20に対して債務の支払いを行ったことを知らせる機能を有するものとしても良い。 【0136】すなわち、支払処理通知手段(支払処理通知部)が、利用者情報記憶部DB1を参照して支払期限が到来する債務情報を特定し、デジタルマネー残高記憶部DB2に登録された残高が請求金額より大きいもしくは等しい場合に、保存されたデジタルマネーを利用して債務の支払いを実行する。また、支払処理通知手段(支払処理通知部)は、デジタルマネー残高記憶部DB2に登録された残高から債務の支払いに利用した分を減算して残高情報を更新するものである。 【0137】そして、支払処理通知手段(支払処理通知部)は、利用者端末20に対して、支払完了通知を送信する。なお、この支払完了通知によって、利用者端末20における債務支払用ウォレットW2の残高情報が更新される。」 イ これらの記載のうち、第二の実施の形態(債務情報と債務支払用ウォレット(第二のデジタルマネー記憶部)W2に保存されたデジタルマネーの残高情報とを振分管理装置において管理する形態)について、利用者端末は、企業端末に対して給与の支払いを請求し、この請求に応じてデジタルマネーを受け取り、請求金額の合計とデジタルマネー残高とを比較し、受け取ったデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2へ優先的に保存し、及び一般決済用ウォレットW1へ保存し(【0123】)、債務支払用ウォレットW2の残高情報を振分管理装置10へ送信し(【0124】)、振分管理装置10は、利用者端末20から送信された債務支払用ウォレットW2の残高情報を受信し、利用者情報に関連付けて債務支払用ウォレットW2の残高情報をデジタルマネー残高情報記憶部DB2に登録する(【0124】)ところ、この「請求金額の合計とデジタルマネー残高とを比較し、受け取ったデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2へ優先的に保存し、及び一般決済用ウォレットW1へ保存」するとは、第一の実施の形態に係る【0093】に記載された、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になっていないと判断した場合(N)、受け取った全てのデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2に保存」し、「請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になったと判断した場合(Y)」に「受け取ったデジタルマネーをその後一般決済用ウォレットW1に保存」することを示していることが明らかである。 ウ してみると、甲1には、第二の実施の形態(債務情報と債務支払用ウォレット(第二のデジタルマネー記憶部)W2に保存されたデジタルマネーの残高情報とを振分管理装置において管理する形態)について、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 (甲1発明) 通信端末に設けられたデジタルウォレット内にチャージ(入金)されたデジタルマネーが債務の支払いに優先的に充てられるように適切に管理するための(【0010】)、支払債務を有する利用者が所有する利用者端末と、前記利用者に対してデジタルマネーを送金する送金者が利用する送金者端末と、振分管理装置がネットワークを介して通信可能に構成され(【0019】、【0102】)、利用者端末での債務の支払いはデジタルマネーを利用した決済において公知の手段で行うことができる(【0130】)、振分管理システムであって、 振分管理装置は、債務情報登録部と、デジタルマネー残高登録部と、デジタルマネー利用可否判断部と、利用者情報記憶部DB1と、デジタルマネー残高記憶部DB2とを備えるものであり(【0104】)、 利用者端末は、債権者より、債権者名や請求金額、支払期限等が含まれる債務情報を取得し(【0120】)、取得した債務情報に含まれる債権者情報や請求金額情報、支払期限情報を互いに関連付けて債務ごとに債務情報記憶部に登録管理し、取得した債務情報を利用者情報と共に振分管理装置へ送信し(【0121】)、 振分管理装置は、利用者端末20から送信された債務情報と利用者情報を受信し、利用者情報に関連付けて債権者情報と請求金額情報と支払期限情報とを利用者情報記憶部DB1に登録し(【0122】)、 利用者端末は、利用者に対してデジタルマネーを送金する送金者が利用する端末であって、労働に対する賃金又は商品もしくはサービスの対価としてデジタルマネーを利用者端末20に対して送金する手段を有する送金者端末(【0055】)である企業端末に対して給与の支払いを請求し、この請求に応じてデジタルマネーを受け取り、請求金額の合計とデジタルマネー残高とを比較し、受け取ったデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2へ優先的に保存し、及びデジタルマネーを用いた一般的な決済に利用される一般決済用ウォレットW1へ保存し(【0123】)、すなわち、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になっていないと判断した場合(N)、受け取った全てのデジタルマネーを債務支払用ウォレットW2に保存し、請求金額の合計と債務支払用ウォレットW2の残高との差が「0」になったと判断した場合(Y)、受け取ったデジタルマネーをその後一般決済用ウォレットW1に保存し(【0093】)、債務支払用ウォレットW2の残高情報を振分管理装置10へ送信し(【0124】)、 振分管理装置10は、利用者端末20から送信された債務支払用ウォレットW2の残高情報を受信し、利用者情報に関連付けて債務支払用ウォレットW2の残高情報をデジタルマネー残高情報記憶部DB2に登録し(【0124】)、 利用者端末は、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーを利用する際、振分管理装置10に対して利用者情報と共に利用先情報を送信してデジタルマネーの利用可否を確認し(【0125】)、 振分管理装置10は、利用者端末から送信された利用者情報と利用先情報を受信して利用者情報記憶部DB1を参照して利用者情報に基づき債権者を特定して利用先が登録された債権者であるか否か判断し、計画的な消費を支援するために使途が制限されている利用者端末20の債務支払用ウォレットW2内のデジタルマネーが債務返済のために適切に利用されるものであるか否かを確認し(【0126】)、利用者情報記憶部DB1を参照して利用先情報に基づき請求金額情報を特定すると共にデジタルマネー残高情報記憶部DB2を参照して利用者情報に基づき残高情報を特定して、デジタルマネー残高情報記憶部DB2に登録された残高が請求金額より大きいか否か判断し、利用先が登録された債権者であり、かつ、デジタルマネー残高情報記憶部DB2に登録された残高が請求金額より大きいもしくは等しい場合に、デジタルマネーの利用可能を示す回答情報を利用者端末20に対して送信し(【0127】)、 利用者端末は、振分管理装置から送信された回答情報を受信してデジタルマネーの利用可能を示す回答である場合、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーの利用を許可し(【0128】)、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーを利用して債権者に対して請求金額に相当するデジタルマネーを支払った後、債務支払用ウォレットW2に保存されたデジタルマネーの残高から利用した分を減算して残高情報を更新し、また、債務情報記憶部に登録された債務情報を支払済として管理する(【0129】)ものであり、 さらに、振分管理装置は、利用者端末に事前に債務の支払いを知らせずに支払期日が到来したら自動的に債務の支払いを行い、その後、利用者端末に対して債務の支払いを行ったことを知らせる機能を有するものとしても良く(【0135】)、その際、支払処理通知手段(支払処理通知部)が、利用者情報記憶部DB1を参照して支払期限が到来する債務情報を特定し、デジタルマネー残高記憶部DB2に登録された残高が請求金額より大きいもしくは等しい場合に、保存されたデジタルマネーを利用して債務の支払いを実行し、デジタルマネー残高記憶部DB2に登録された残高から債務の支払いに利用した分を減算して残高情報を更新し(【0136】)、利用者端末に対し支払完了通知を送信し(【0137】)、 この支払完了通知によって、利用者端末における債務支払用ウォレットW2の残高情報が更新される(【0137】)、システム。 (2)甲5 ア 甲5には、次の記載がある。 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】しかしながら、従来技術では、例えば、複数の決済手段のうち、決済に使用する1以上の決済手段を指定する操作に手間がかかる場合がある。本開示は、複数の決済手段を用いた決済を容易に実行できる技術を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、ユーザに利用される情報処理装置であって、決済金額を受信するステップと、前記ユーザに指定された、第1決済手段による第1決済金額と、第2決済手段による第2決済金額とにより、前記決済金額の決済をさせるステップと、を実行する。」 「【0008】 ・・・ <システム構成> 図1は、本開示の一実施形態に係る通信システム1の構成を示す図である。図1に開示されるように、通信システム1では、ネットワーク130を介してサーバ110A、サーバ110Bと、端末120A、端末120B、端末120Cとが接続される。」 「【0044】(1)サーバの機能構成 サーバ110は、受付部311と、送受信部312と、制御部313と、表示制御部314と、記憶部315とを有する。なお、各機能部の機能または処理は、実現可能な範囲において、機械学習またはAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。」 「【0047】制御部313は、決済サービス、及び金融サービス等のサービスを、端末120のユーザに提供する処理を行う。」 「【0056】<実施形態の処理> 図4を参照し、実施形態に係る通信システム1の処理について説明する。図4は、実施形態に係る通信システム1の処理のシーケンスの一例を示す図である。なお、端末120は、サーバ110との通信を行う際、ユーザのアカウントを用いてサーバ110の認証を受けているものとする。 【0057】ステップS1において、端末120の受付部321は、ユーザに選択された商品を購入する操作を受け付ける。ここで、端末120の受付部321は、例えば、商品の一覧から選択された商品に対する購入ボタンの押下操作を受け付ける。 【0058】続いて、端末120の送受信部322は、決済手段の提案要求をサーバ110に送信する(ステップS2)。なお、提案要求には、端末120のユーザのユーザIDが含まれてもよい。なお、サーバ110の制御部313は、予めユーザIDを用いてサーバ110にログインしている端末120から受信したデータの通信用のセッションのIDに基づいて、端末120のユーザのユーザIDを取得してもよい。 【0059】続いて、サーバ110の制御部313は、端末120のユーザ情報等に基づいて、ユーザに提案する各決済手段による決済額(各決済手段毎の決済額)を決定する(ステップS3)。この処理については後述する。」 「【0064】≪ユーザに提案する各決済手段による決済額を決定する処理≫ 図5から図7を参照し、図4のステップS3のユーザに提案する各決済手段による決済額を決定する処理について説明する。図5は、実施形態に係るユーザに提案する各決済手段による決済額を決定する処理の一例について説明するフローチャートである。図6Aは、実施形態に係るユーザ情報記憶部3151に記憶されるユーザ情報の一例を示す図である。図6Bは、実施形態に係る決済履歴記憶部3152に記憶される決済履歴情報の一例を示す図である。図7は、実施形態に係る端末120での表示画面の一例について説明する図である。 【0065】ステップS101において、制御部313は、ユーザ情報記憶部3151を参照し、端末120のユーザのユーザ情報に基づいて、各決済手段の優先度のスコアを算出する。 【0066】(ユーザ情報記憶部3151) 図6Aの例では、ユーザ情報記憶部3151には、ユーザIDに対応付けて、売上金(円):有効期限、ポイント(円分):有効期限、入金された残額(円)、後払い可能残高(円)、銀行口座、クレジットカード、及びキャリア決済等が記憶されている。 【0067】ユーザIDは、端末120を利用するユーザの識別情報である。売上金は、例えば、当該ユーザがサーバ110により提供される、またはサーバ110と連携する電子商取引サービスを用いて商品等を販売した際の当該商品等の代金から手数料を差し引いた額である。なお、サーバ110制御部313は、各商品を販売してから所定の有効期限(例えば、3ケ月)を経過した場合、ユーザに銀行口座が設定されている場合は、有効期限(例えば、3か月)が経過した売上金を当該銀行口座に振り込み、当該売上金の額が所定の閾値(例えば、1万円)未満である場合は、所定の振込手数料(例えば、210円)を当該ユーザから徴収してもよい。サーバ110の制御部313は、ユーザに銀行口座が設定されていない場合は、有効期限が経過した売上金を失効させてもよい。 【0068】ポイントは、例えば、代金の支払いに利用可能なポイントである。なお、1ポイントで1円分の支払いができるようにしてもよい。ポイントは、クーポンのように当該ユーザがサーバ110から付与されてもよい。また、法令等により、売上金から直接支払うことが規制されている場合は、売上金を用いてポイントを購入できるようにしてもよい。サーバ110は、各ポイントに、所定の有効期限を設定してもよい。例えば、売上金により購入されたポイントには購入されてから1年、クーポンのように付与するポイントには、付与の目的に応じて3日または1週間等の有効期限を設定してもよい。 【0069】入金残高は、例えば、銀行、クレジットカード、及び店舗のレジ等を用いてチャージされた金額の残高である。後払い可能残高は、例えば、サーバ110により提供される、またはサーバ110と連携する電子商取引サービスで商品を購入した代金等をまとめて、翌月末まで等の所定期間内に一括して支払うことができるサービスを使用して後払いできる金額の残高である。なお、サーバ110は、当該後払いできる金額に、毎月1万円等の上限額を設定してもよい。 【0070】銀行口座、及びクレジットカードは、それぞれ、ユーザに登録された銀行口座、及びクレジットカードである。キャリア決済は、ユーザに登録された、ユーザの端末120の通信サービスの料金と合算して通信事業者に支払うことができるサービスである。 【0071】制御部313は、ステップS101の処理で、端末120のユーザから予め設定された条件がある場合、当該条件に基づいて各決済手段の優先度のスコアを決定する。また、制御部313は、各決済手段で使用可能な金銭的な価値に有効期限が設定されている場合、現在日時から有効期限までの時間が短いほど、優先度のスコアを高く決定してもよい。この場合、ユーザが保有しているポイントのうち、1000円分のポイントの有効期限まで残り10日、2000円分のポイントの有効期限まで残り15日である場合、当該1000円分のポイントに対する優先度のスコアを、当該2000円分のポイントに対する優先度のスコアよりも高く決定してもよい。 【0072】また、制御部313は、例えば、売上金を振り込み可能な銀行口座がユーザに登録されていない場合は、売上金の有効期限(失効するまでの期限)までの時間が短いほど、当該売上金の優先度のスコアを高く決定してもよい。この場合、制御部313は、ユーザが保有している売上金のうち、1000円のポイントの有効期限まで残り10日、2000円の売上金の有効期限まで残り15日である場合、当該1000円分の売上金に対する優先度のスコアを、当該2000円の売上金に対する優先度のスコアよりも高く決定してもよい。 ・・・ 【0076】続いて、制御部313は、各決済手段の優先度のスコアに基づいて、ユーザに提案する各決済手段による決済額を決定する(ステップS103) ・・・ 【0082】「決済する」ボタン705がユーザに押下されると、円グラフ710に示されている各決済手段による決済額により、代金の決済が行われる。なお、円グラフ710に示されている各決済手段に、売上金による決済が含まれている場合、「決済する」ボタン705がユーザに押下されると、売上金による決済額分のポイントを購入するための購入画面が表示されてもよい。図7の例では、「決済する」ボタン705がユーザに押下されると、売上金の880円で880円分のポイントを購入する画面が表示され、ユーザによる承認操作が行われると、代金の決済が行われる。これにより、決済の操作が容易になると共に、法令等により、売上金から直接支払うことが規制されている場合に、売上金を用いてポイントを購入したことをユーザが確認することができる。なお、入金残高による決済額分の金額をユーザの銀行口座Aから入金する必要がある場合は、同様に、「決済する」ボタン705がユーザに押下されると、4000円を銀行口座Aから入金する画面が表示されてもよく、ユーザによる承認操作が行われると、代金の決済が行われる。」 イ 以上の記載によれば、甲5には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されている。 (甲5発明) ユーザの利用する端末にネットワークを介して接続され、端末のユーザに決済サービスを提供するサーバであって、 サーバのユーザ情報記憶部には、端末を利用するユーザの識別番号であるユーザIDに対応付けて、売上金(円):有効期限、ポイント(円分):有効期限、入金された残額(円)、後払い可能残高(円)、銀行口座、クレジットカード、及びキャリア決済等が記憶されており(【0067】)、 このうち、売上金は、例えば、当該ユーザが電子商取引サービスを用いて商品等を販売した際の当該商品等の代金から手数料を差し引いた額であり(【0067】)、 ポイントは、例えば、代金の支払いに利用可能なポイントであり、法令等により売上金から直接支払うことが規制されている場合は、売上金を用いてポイントを購入できるようにしてもよく(【0068】)、 入金残高は、例えば、銀行、クレジットカード、及び店舗のレジ等を用いてチャージされた金額の残高であり(【0069】)、 後払い可能残高は、例えば、サーバ110により提供される、またはサーバ110と連携する電子商取引サービスで商品を購入した代金等をまとめて、翌月末まで等の所定期間内に一括して支払うことができるサービスを使用して後払いできる金額の残高であり(【0069】)、 各決済手段の優先度のスコアに基づいて、ユーザに提案する各決済手段による決済額を決定し(【0076】)、「決済する」ボタンがユーザに押下されると各決済手段による決済額により代金の決済が行われる(【0082】)、 サーバ。 (3)甲6 ア 甲6には、次の記載がある。 「【0007】【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発明の好適な第1の実施の形態について、図1から図14を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る銀行サーバ5、クライアント端末装置7、7、7、…を適用したネットワークシステムの構成例を示した図である。銀行サーバ5は、銀行が運用するサーバであり、インターネット8に接続されている。銀行サーバ5は、ログインしたユーザに対し、預金残高の確認、振込み、新規口座の開設、定期預金口座の解約、外国通貨との両替などの銀行サービスを提供するサーバである。 ・・・【0020】図3(b)は、銀行サーバ5の記憶装置33に記憶されているプログラムやデータの構成例を示した図である。 ・・・ 【0021】ユーザ元帳41は、ユーザの普通預金口座や定期預金口座などに行われたトランザクション(引き落とし、振り込み、利息の入金など)に関するデータや口座残高に関するデータなどを記録したデータベースである。 ・・・ 【0022】袋分けプログラム42は、例えば、ユーザの普通預金口座に関連して動作し、当該口座の口座残高を予めユーザが設定した区分ごとに表示するプログラムである。即ち、口座残高を仮想的に袋分けして表示する。 ・・・ 【0028】入金部46は、ユーザの口座に入金があった場合、当該入金をユーザが所定の袋に分配するための機能を提供する。入金部46は、ユーザ元帳41とリンクしており、銀行プログラム38によってユーザ元帳に入金データが入力されると、入金部46は、当該入金データを取得し、クライアント端末装置7のディスプレイ20に表示する。 ・・・ 【0029】また、後に示すように、ユーザは入金部46によって表示された入金(お札を模したアイコンとして表示される)をディスプレイ20上で所定の袋にドラッグすることにより、入金を各袋に振り分けることができる。入金部46は、ユーザが入金を袋に振り分けると、当該袋の残高に入金額を加算して袋分けデータ43を更新する。ここで、袋わけデータ43は、各袋ごとの残高を記録したデータベースである。 ・・・ 【0034】出金部48は、入金部46と逆の機能を実現するモジュールである。即ち、出金部48の機能により、ユーザの口座から出金があった場合、当該出金を所定の袋に振り分けることができる。出金部48は、ユーザ元帳41とリンクしており、銀行プログラム38によってユーザ元帳に出金データが入力されると、出金部48は、当該出金データを取得し、クライアント端末装置7のディスプレイ20に表示する。 【0035】また、後に示すように、ユーザは出金部48によって表示された出金(お札を模したアイコンとして表示される)をディスプレイ20上で所定の袋にドラッグすることにより、入金(注:出金の誤記と思われる)を各袋に振り分けることができる。出金部48は、ユーザが出金を袋に振り分けると、当該袋の残高から出金額を減算し、袋分けデータ43を更新する。出金を袋に振り分ける場合については、後程図9を用いて説明する。 ・・・ 【0041】図5は、袋分け画面の一例を示した図である。・・・ 【0045】残高表示エリア57には、各袋に仮想的に蓄積されている預金残高を示したエリアである。ユーザの預金口座が袋に対応して実際に区分されているわけではない。各袋は、当該口座の預金に仮想的な内訳を設けたものである。図5の例では、例えば、「自由に使っていい!!」の袋には、3万9千円たまっており、「留学」の袋には1755万円たまっている。ユーザは、残高表示エリア57に表示される残高から、当該口座に蓄えている預金の用途による内訳を即座に認識することができる。・・・ ・・・ 【0053】図7は、ユーザの口座に入金が入ってきた場合の袋分け画面の一例を示した図である。ユーザの口座に入金があると、入金部46により入出金エリア55に入金に紙幣を模したアイコンが表示される。このアイコンで表された入金は、例えば、給与の振込みなどによってユーザの口座に振り込まれたものであって、まだ特定の袋に振り分けられていないものである。また、五百円、百円、十円などのアイコンは、コインを模したアイコンにより表示される。また、表示額によっては、100万円札や10万円札などの実際には流通していない紙幣を模したアイコンや所定の金額の札束を模したアイコンなども可能である。入出金エリア55に表示されるアイコンの金額の合計値は、ユーザの口座に入金された金額に等しくなるようになっている。 【0054】ユーザは、入出金エリア55に表示されたアイコンを所望の袋の名称にドラッグアンドドロップすることにより、アイコンが表す金額を当該袋の残高に加算することができる。これは、ユーザの口座に既に入金された金額を何れかの袋に振り分けるものであって、実際にユーザの口座内の預貯金が移動するものではない。図7では、ユーザの口座に2万円入金された場合を示している。ユーザは、入金された2万円のうち1万円を「パソコン」の袋76に割り当てている。即ち、マウス操作により、入出金エリア55に表示された1万円のアイコンを「パソコン」の袋にドラッグアンドドロップしている。これによって、「パソコン」の袋76の残高77に1万円が加算される。これと、同時に入金部46(図3)は、袋分けデータ43を更新する。 ・・・ 【0057】図9は、ユーザの口座から出金があった場合の袋分け画面の一例を示した図である。例えば、ユーザが口座から預金を引き出したり、口座からガス代が引き落されるなどして、口座から出金があった場合は、入出金エリア55に出金されたお金が紙幣やコインを模したアイコンによって表示される。このアイコンによって表示された出金は、既に引き落とされてユーザの口座にはないお金である。このように、出金が行われた場合も入金が行われた場合と同様にアイコンで表示される。ユーザは、このアイコンを預金を支出すべき袋にドラッグアンドドロップすることにより、個々の袋から残高を減じることができる。これは、仮想的に所定の袋からお金を取り出して使用したことを意味する。 ・・・ 【0061】また、本実施の形態では、入金、出金を共にアイコンを用いてビジュアル化したが、これに限定するものではない。例えば、入金、又は出金を優先的に行う袋を予め設定しておき、ユーザの口座に対して入金や出金があった場合、当該設定された袋に対して自動的に入金、又は出金を行うように構成することもできる。即ち、出金の場合、ある定められた袋(出金を優先的に行う袋)から一旦引いておき、その後、使った分のお金のアイコンをその使った袋から定められた袋に戻すように構成することができる。 ・・・ 【0065】また、本実施の形態は、1の袋に振り分けられている預金から所望の金額を他の袋に振り分けることができる。例えば、「パソコン」の袋に振り分けられている預金から1万円を「自由に使っていい!!」の袋に移動させる場合は、以下の手順により移動する。まず、「パソコン」の袋の残高を右クリックする。すると、当該残高が例えば、10万円札や一万円札を模したアイコンによって表示するウインドウが袋分け画面にポップアップする。 【0066】次に、例えば2万円を「自由に使っていい!!」の袋に移動したい場合、一万円を模したアイコンを2つ「自由に使っていい!!」の袋に振り分けられた預金残高にドラッグアンドドロップする。すると、「パソコン」の区分の預金残高から2万円減算され、「自由に使っていい!!」の袋の残高に2万円加算される。このように、1の袋に振り分けられている預金を他の袋にビジュアルに移動することができる。 ・・・ 【0092】更に、ユーザの過去の入金履歴から、ユーザの入金の袋分けのパターンを推測し、これを入金のアイコンの表示に反映させることもできる。例えば、ユーザの口座に毎月所定の日にアルバイト代10万円が入金され、ユーザは、このうちの5千円をアルバイト代入金後に所定の袋に入金するものとする。このユーザの袋分けパターンを過去の履歴から推測し、アルバイト代10万円が口座に入金された場合に、例えば9万円の札束と5千円札2枚のアイコンを表示するようにする。するとユーザは、例えば、1万円札のアイコンを5千円のアイコンにワンクリック両替するなどの手間をかけずに、即5千円のアイコンを所定の袋にドラッグアンドドロップすることができる。このように、ユーザの入出金パターンを推測する推測手段を備えれば、当該推測手段による推測に基づいて、所定のアイコンを入出金エリア55に表示するように構成することもできる。」 「【0093】(第1の実施の形態の変形例)次に、図15?図21を用いて第1の実施の形態の変形例について説明する。第1の実施の形態では、普通預金を袋分けと称して仮想的に使用目的別に区分したが、本変形例では、普通預金の他に、定期預金、外貨普通預金、外貨定期預金、投資信託、ローンなど様々な形態の資産をも仮想的に区分し、ユーザの設定した所定の目的のために管理することができるようにする。システム構成などは第1の実施の形態と同様である。より詳細には、ユーザ元帳41(図3)は、各ユーザの普通預金、定期預金、外貨普通預金、外貨定期預金、投資信託、ローンなど各種形態の資産について行われたトランザクションや資産残高などが記憶されている。これら各種形態の資産を各区分ごとに管理するため親貯金箱と目的別貯金箱という仮想的な貯金箱をGUI(Graphical User Interface)上に設ける。 【0094】目的別貯金箱は、例えば車の購入資金やパソコン購入資金などユーザが所定の目的のために資金を蓄えるための仮想的な区分であり、その機能と目的は第1の実施の形態における袋分け袋と同様である。目的別貯金箱には、普通預金の他、定期預金、外貨普通預金、外貨定期預金、投資信託などの各種形態の資産が区分されている。普通預金、外貨普通預金の区分は通貨単位にて行われ、定期預金、外貨定期預金の区分は契約単位で行われる。また、投資信託の区分は口数単位(口とは投資信託の売買単位である)にて行われる。 【0095】一方、親貯金箱には何れの目的別貯金箱にも属さない資産が区分されている。そして、ユーザの口座から行われる入出金は親貯金箱貯金箱に対して行われる。即ち、ユーザの資産に対して入出金が行われ、資産残高に変動があった場合、これらの変動は親貯金箱に反映される。これらの貯金箱に区分されている各種資産の残高は銀行サーバ5に袋設定部45の代わりに設けられた貯金箱設定管理部によって管理されている。また、各貯金箱に区分された残高や各貯金箱に設定された目標金額や目標などは、貯金箱データに格納されている。これは、第1の実施の形態の袋分けデータ43に対応するものである。以降、親貯金箱と目的別貯金箱を特に区別しない場合は単に貯金箱と記すことにする。 【0096】貯金箱設定管理部は、貯金箱の設定を行ったり、各貯金箱の明細を管理(貯金箱データの更新など)したりする。例えば、ユーザの普通預金口座に入金があった場合、まず、親貯金箱に含まれる普通預金の区分の残高が入金金額の分だけプラスされる。そして、ユーザは親貯金箱に入金された普通預金のうち、任意の金額を所望の目的別貯金箱に振り分けることができる。一方、ユーザの普通預金口座から出金があった場合、出金額は親貯金箱の普通預金の区分からマイナスされ、場合によってはマイナス残高となる。また、ユーザは、所定の目的別貯金箱に振り分けられている普通預金を所望の金額だけ親貯金箱に移動することができる。」 「【0111】図17は、貯金箱画面133で親貯金箱から目的別貯金箱に資産を移動させる場合を説明するための図であり、第1の実施の形態の図7に相当するものである。図17は、一例として、親貯金箱の普通預金から10万円を留学の目的別貯金箱に移動する場合を示している。この場合、まずユーザは親貯金箱エリア121で普通預金をクリックして選択する。すると、普通預金で蓄えられている資産がトレイ122にお金アイコンとして表示される。図の例では、親貯金箱の普通預金残高が15万250円でり、トレイ122には、10万円アイコン150、5万円アイコン151及び250円アイコン152の金額アイコンが表示される。このように、普通預金残高はある程度の金額にまとまった金額アイコンによってあらわされる。次に、10万円アイコン150をトレイ122から留学用の目的別貯金箱153ドラッグアンドドロップして、親貯金箱の普通預金10万円を留学用の目的別貯金箱153の普通預金に移動させることができる。 【0112】このように、親貯金箱エリア121で資産形態を選択して、その明細をアイコンとしてトレイ122に表示させ、そのアイコンを目的別貯金箱にドラッグアンドドロップすることにより、当該形態の資産を親貯金箱から目的別貯金箱に移動することができる。また、後述するように必要があれは大きな単位の金額アイコンを更に小さい単位の金額アイコンにトレイ122上で両替することができる。 【0113】以上は普通預金を親貯金箱から目的別貯金箱に移動する場合であったが、他の種類の資産の移動方法は以下のようになる。外貨普通預金の場合は、預金残高が所定のレートで円換算され、普通預金と同様にある程度の金額にまとまった金額アイコンによって表される。そして普通預金と同様にして目的別貯金箱に移動することができる。移動された金額は銀行サーバ5によって当該外貨普通預金の通貨に所定のレートにて換算され、区分は当該通貨単位にて管理される。定期預金、外貨定期預金の場合は、契約アイコンを目的別貯金箱にドラッグアンドドロップすることにより、契約単位で移動することができる。投資信託の場合は、ファンドアイコンを所望の目的別貯金箱に移動した後に、「何口移動しますか」といったウインドウがポップアップし、ユーザが入力した口数が目的別貯金箱に移動するようになっている。」 「【0115】図19は、親貯金箱のマイナス残高を補充する場合を説明するための図であり、第1の実施の形態の図9に相当するものである。親貯金箱貯金箱、目的別貯金箱などの区分は各種資産上に仮想的に設けたものであるため、親貯金箱の資産を目的別貯金箱に移動したからといって、実際の資産の移動があるわけではない。そして、実際の口座からの入出金による資産残高の加減は親貯金箱貯金箱に対して行われるようになっているため、実際の資産を引き出すと親貯金箱の残高がマイナスになる場合がある。この場合は、ユーザが銀行サーバ5にログインした際に、補充ウインドウ160が貯金箱画面133上に自動的にポップアップし、目的別貯金箱から親貯金箱貯金箱へのマイナス残高補充をユーザに催促する。このように、親貯金箱の残高がマイナスになった場合に、ユーザがその状態を放置しないように促す。」 「【0168】取引メニュー259には、定期預金の申込、外貨購入、投資信託購入、ローン返済などの各種取引に対応した取引アイコンが表示されている。取引アイコンをクリックすると当該取引アイコンに対応した取引画面に移動することができる。また、トレイ258に表示されたお金アイコンや契約アイコンを取引アイコンへドラッグアンドドロップすることにより、そのまま取引画面に移動することも可能である。この場合の取引画面には、ドラッグアンドドロップした金額あるいは契約などが予め入力してある。なお、取引メニュー259に表示される取引アイコンの種類は残高エリア253で選択される商品ごとに設定されており、商品ごとの残高を選択するたびに取引メニュー259に表示される取引アイコンが切り替わる。このように、親貯金箱画面詳細画面251からは、資金管理が容易になる他、全ての取引がこの画面から行うことが可能である。このため、取引を必ずしも取引専用画面から開始する必要がない。」 「【0196】なお、本実施の形態では、ユーザの資産の変動は、全て親貯金箱に対してなされるように構成したが、これに限定するものではなく、例えば、給料の入金は給料入金目的別貯金箱に対して入金され、公共料金の支払いは公共料金支払用目的別貯金箱から支払うというように、資産残高の変動が反映される貯金箱を貯金箱ごとに設定するように構成することもできる。」 イ 甲6の貯金箱間の金額の移動は、表示された金額のアイコンをドラッグアンドドロップすることで行われ、必要に応じて金額のアイコンについて「両替」がなされる(【0111】【0112】)。そして、甲6の【0092】の「ユーザの過去の入金履歴から、ユーザの入金の袋分けのパターンを推測し、これを入金のアイコンの表示に反映させ」「ユーザの袋分けパターンを過去の履歴から推測し、アルバイト代10万円が口座に入金された場合に、例えば9万円の札束と5千円札2枚のアイコンを表示するようにする。するとユーザは、例えば、1万円札のアイコンを5千円のアイコンにワンクリック両替するなどの手間をかけずに、即5千円のアイコンを所定の袋にドラッグアンドドロップすることができる。このように、ユーザの入出金パターンを推測する推測手段を備えれば、当該推測手段による推測に基づいて、所定のアイコンを入出金エリア55に表示する」との記載に示された、ユーザの入金履歴からパターンを推測して、ユーザーのドラッグアンドドロップのための入金された金額のアイコンとして両替されたアイコンを表示して、ユーザの両替の手間を省くことは、袋分けの場合のみならず袋分けに変わる貯金箱の場合についても、同様であることが明らかである。 ウ 以上によれば、甲6には、次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されている。 (甲6発明) 銀行が運用し、ユーザに対し、預金残高の確認、振込み、新規口座の開設、定期預金口座の解約、外国通貨との両替などの銀行サービスを提供し(【0007】)、ユーザの普通預金口座等の口座残高に関するデータなどを記録したデータベースであるユーザ元帳を記憶する(【0020】)、銀行サーバにおいて、 ユーザの普通預金口座の口座残高を予めユーザが設定した区分毎に表示し、口座残高を仮想的に袋分けして表示すること(【0022】)に変えて、普通預金の他に定期預金や投資信託などさまざまな形態の資産をも仮想的に区分して、ユーザの設定した所定の目的のために管理することができるようにすための目的別貯金箱といずれの目的別貯金箱にも属さない資産を区分するための親貯金箱という仮想的な貯金箱をGUI上に設けるプログラムを備え、ユーザの入金はまず親貯金箱に含まれる区分に反映され、任意の金額を目的別貯金箱に振り分けることができ(【0093】~【0096】)、 貯金箱間の金額の移動は、表示された金額のアイコンをドラッグアンドドロップすることで行われ、必要に応じて金額のアイコンについて「両替」がなされ(【0111】【0112】)、ユーザの過去の入金履歴からパターンを推測して、ユーザーのドラッグアンドドロップのための入金された金額のアイコンとして両替されたアイコンを表示して、ユーザの両替の手間を省くものであり(【0092】)、 ユーザの資産の変動が全て親貯金箱に対してなされるのではなく、給料の入金は給料入金目的別貯金箱に対して入金されるように構成されている(【0196】)、 銀行サーバ。 5 申立理由1-1についての当審の判断 (1)本件特許発明1について ア 対比 (ア)甲6発明のユーザは、銀行サービスのうち振込に伴う決済の対象となる銀行口座の利用者であるから、本件特許発明1の「所定の決済手段を利用する利用者」に相当する。また、甲6発明の「ユーザの過去の入金履歴」は、本件特許発明1の「利用者情報」に相当し、甲6発明は、本件特許発明1の「所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得部」に相当する構成を有するといえる。 (イ)甲6発明は、振込による利用者への入金を受け付けることが明らかであり、本件特許発明1の「前記利用者に対するデジタルマネーの入金を受け付ける入金受付部」を有するといえる。 (ウ)甲6発明のデジタルマネーは給料つまり給与として入金されたものを含み「ユーザの資産の変動が全て親貯金箱に対してなされるのではなく、給料の入金は給料入金目的別貯金箱に対して入金されるように構成されている」から、「前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与である場合に、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与残高に対する入金処理を行」っているといえる。 そして、甲6の記載全体を見ても、入金について、給料以外に他の具体的な項目は開示されておらず、給料以外の入金は、親貯金箱に対してなされることが実質的に記載されているといえるから、「前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与以外の名目である場合には、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与以外残高に対する入金処理を行」っているといえる。 また、上記の処理を行うには、「利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付け」る必要上がることは明らかであるから、「入金受付部は、前記利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付け」ているといえる。 (エ)甲6発明では「ユーザの入金はまず親貯金箱に含まれる区分に反映され、任意の金額を目的別貯金箱に振り分け」ているところ、上記親貯金箱に含まれる区分に反映された入金は、上記(ウ)のとおり「入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネー」であって、給料以外のものである。そして、上記親貯金箱に含まれる金額を目的別貯金箱に振り分けることは、入金された前記デジタルマネーの一部を移動させているといえるから、甲6発明は「前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうちの一部を移動させる資金移動部」を有しているといえる。 もっとも、本件特許発明1の資金移動部は「前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動部」であるのに対し、甲6発明では、「前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうちの一部を移動させる資金移動部」であって、「給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて移動」させているとはいえない点で相違する。 (オ)してみると、本件特許発明1と甲6発明との一致点は、次のとおりである。 <一致点> 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得部と、 前記利用者に対するデジタルマネーの入金を受け付ける入金受付部と、 前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうちの一部を移動させる資金移動部と を有し、 前記入金受付部は、前記利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付け、 前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与である場合に、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与残高に対する入金処理を行い、前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与以外の名目である場合には、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与以外残高に対する入金処理を行う入金処理部 をさらに有する、管理装置。 (カ)そして、両者は、次の点で相違する。 <相違点> (相違点1) 本件特許発明1の資金移動部は、「給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて」移動させるのに対し、甲6発明においては、給与として入金された前記デジタルマネー以外の一部をアイコンのドラッグアンドドロップによって移動させる点。 (キ)よって、本件特許発明1と甲6発明との間には相違点1があり、本件特許発明1は甲6に記載された発明ではなく、特許法29条1項3号の発明に該当しない。 (2)本件特許発明8、10について 本件特許発明8と本件特許発明10は、それぞれ本件特許発明1に対応する方法発明とプログラム発明であるから、上記相違点1に対応する相違点において、甲6発明と相違する。 よって、本件特許発明8、10は、甲6に記載された発明ではなく、特許法29条1項3号の発明に該当しない。 (3)申立人の主張について 申立人は、上記相違点1が相違点とならない理由を特に主張していない。 (4)小括 以上によれば、請求項1、8、10に係る特許が特許法29条1項に違反してなされたものであるということはできず、申立理由1-1は、理由がない。 6 申立理由1-2についての当審の判断 (1)本件特許発明3~6について 本件特許発明3~6は、本件特許発明1の全ての特定事項を含むものであることから、少なくとも上記相違点1において、甲6発明と相違する。 そして、甲6発明は、仮想的な袋分けや仮想的な貯金箱を表示してこれに対する金額のアイコンのドラッグアンドドロップ等のユーザによる操作に基づいて金額を振分け管理するものであって、ユーザの過去の入金履歴からパターンを推測した場合においても、ユーザーのドラッグアンドドロップのための入金された金額のアイコンとして両替されたアイコンを表示するのも、このようなユーザによる操作に基づく金額の振分け管理を前提としたものであり、このようなユーザによる操作を自動化しユーザによる振分の際の判断を省くことは想定されていない。 このことから、甲6発明を「給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて」移動させるものに変更することは、動機づけを欠く。 よって、本件特許発明3~6は、甲6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものでなく、特許法29条2項に違反してなされたものであるということはできない。 (2)申立人の主張について 申立人は、上記相違点1が相違点とならない理由を特に主張しておらず、また、この点が容易想到である旨も主張していない。 (3)小括 以上によれば、請求項3~6に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものであるということはできず、申立理由1-2は、理由がない。 7 申立理由2-1についての当審の判断 (1)本件特許発明1について ア 対比 (ア)甲5発明の「ユーザ」はサーバが提供する決済サービスを利用する者であり、本件特許発明1の「所定の決済手段を利用する利用者」に相当する。 (イ)甲5発明のサーバは、電子商取引サービスを用いて商品等を販売した際の当該商品等の代金から手数料を差し引いた額である売上金、クーポンのように付与されるポイント、銀行、クレジットカード、及び店舗のレジ等を用いてチャージされた金額の残高である入金残高等を決済のためにユーザ情報記憶部に記憶するものであり、このことを踏まえれば、本件特許発明1の「前記利用者に対するデジタルマネーの入金を受け付ける入金受付部」に相当する構成を有するといえる。 (ウ)さらに、入金残高等をユーザ情報記憶部に記憶するために、入金受付部が受け付ける入金要求が利用者を識別するための「ユーザID」を含むものといえ、入金名目が売上金であるかポイントであるか入金残高であるかに応じてユーザ情報記憶部に記憶することから、入金要求が入金名目を含むものといえるから、本件特許発明1と甲5発明とは、「前記入金受付部は、前記利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付け」るものである点で共通する。 (エ)甲5発明の「売上金」を用いた「ポイント」の購入のための手段は、デジタルマネーの一部を移動させる手段であるといえ、「前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーの一部を移動させる資金移動部」である点で、本件特許発明1の「前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動部」と共通するといえる。 (オ)甲5発明のサーバは、本件特許発明1の「管理装置」に対応するものであり、いずれも「管理装置」であるといえる。 (カ)してみると、本件特許発明1と甲5発明との一致点は、次のとおりである。 <一致点> 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得部と、 前記利用者に対するデジタルマネーの入金を受け付ける入金受付部と、 前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーの一部を移動させる資金移動部と、を有し、 前記入金受付部は、前記利用者の識別情報および入金の名目を含む入金要求を受け付ける、 管理装置。 (キ)そして、両者は、次の点で相違する。 <相違点> (相違点2-1-1) 本件特許発明1の資金移動部は、「給与として入金されたデジタルマネー」を移動させるのに対し、甲5発明では、給与として入金されたデジタルマネーを移動させるものでない点 (相違点2-1-2) 本件特許発明1の資金移動部は、「前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて」移動させるのに対し、甲5発明では、「売上金」を用いた「ポイント」の購入による移動であって利用者情報に基づいて移動させるのではない点 (相違点2-1-3) 本件特許発明1は、「前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与である場合に、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与残高に対する入金処理を行い、前記入金受付部によって受け付けられた前記入金要求に含まれる前記名目が給与以外の名目である場合には、当該入金要求に含まれる前記識別情報に紐付けられた総残高のうち給与以外残高に対する入金処理を行う入金処理部」を有するのに対し、甲5発明は、これを有しない点 イ 相違点の判断 事案に鑑み、相違点2-1-1とこれに関連する相違点である相違点2-1-3について、合わせて検討する。 甲5発明は、デジタルマネーとして「売上金」「ポイント」「入金残額」「後払い可能残高」を管理するものといえるものの、いずれも給与として支払われたデジタルマネーを示すものでなく、また、「売上金」「ポイント」「入金残額」「後払い可能残高」は、いずれも給与として支払われたデジタルマネーの管理とは性質が異なる名目であるから、これらを「給与残高」とすることは甲5発明において想定されていない。また、「売上金」「ポイント」「入金残額」「後払い可能残高」と性質が異なる「給与残高」の名目を追加することは、甲5発明において想定されていない。 このことから、甲5発明において、「給与残高」に対する入金処理を行ったり、資金移動部を「給与として入金されたデジタルマネー」を移動させるものとすることは、動機づけを欠く。 よって、これらの相違点2-1-1及び相違点2-1-3について、容易想到とすることはできず、本件特許発明1は、甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明3~6について 本件特許発明3~6は、本件特許発明1のすべての構成を含むものであり、上記(1)ア(キ)に示した相違点2-1-1及び相違点2-1-3において甲5発明と相違し、上記(1)イに示したとおり、この相違点について容易想到とすることはできない。 よって、本件特許発明3~6は、甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件特許発明8、10について 本件特許発明8と本件特許発明10は、それぞれ本件特許発明1に対応する方法発明とプログラム発明であり、上記(1)ア(キ)に示した相違点2-1-1及び相違点2-1-3と対応する点で甲5発明と相違し、上記(1)イに示したとおり、この相違点2-1-1及び相違点2-1-3について容易想到とすることはできない。 よって、本件特許発明8、10は、甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立人の主張について 申立人は、新たに入金名目として「給与」を設け、入金名目が「給与」である場合に、給与残高に入金することは設計事項であり、入金名目が「給与」である場合に、給料残高に入金する技術は、甲6に記載されていると主張している。 しかし、上記(1)イのとおり、甲5発明に示された入金名目(「売上金」「ポイント」「入金残額」「後払い可能残高」)は、給与として支払われたデジタルマネーの管理とは性質が異なる名目であることから、新たに入金名目として「給与」を設けて入金名目が「給与」である場合に給与残高に入金することが設計事項であるとはいえない。 また、甲6の開示内容は、上記4(3)のとおりであって、いわば銀行システムにおける管理を想定したものであるから、銀行システムにおける管理でないことが明らかである甲5と前提が異なる。よって、甲6の管理のための項目を甲5発明における入金名目として採用することが動機づけられることはない。 (5)小括 以上によれば、請求項1、3~6、8、10に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものであるということはできず、申立理由2-1は、理由がない。 8 申立理由2-2についての当審の判断 (1)本件特許発明2について ア 対比 本件特許発明2と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「利用者」は、利用者端末での債務の支払い等のデジタルマネーを利用した決済の主体であり、本件特許発明2の「所定の決済手段を利用する利用者」に相当する。甲1発明の「利用者情報」と「債務情報」は、いずれの所定の決済手段を利用する利用者の情報として取得されるものであり、本件特許発明2の「利用者情報」に相当する。 (イ)甲1発明の、利用者に対してデジタルマネーを送金する送金者が利用する端末であって、労働に対する賃金又は商品もしくはサービスの対価としてデジタルマネーを利用者端末20に対して送金する手段を有する送金者端末から送金される対価のうち、「労働に対する賃金」のデジタルマネーは、本件特許発明2の「給与としてのデジタルマネー」に相当し、「商品もしくはサービスの対価として」受け取るデジタルマネーは「給与以外の前記デジタルマネー」に相当する。そして、甲1発明におけるこれらのデジタルマネーは、利用者情報に基づき特定される請求金額と残高情報の比較結果に応じて「一般決済用ウォレットW1」と「債務支払用ウォレットW2」のいずれかに保存され、そのうち「債務支払用ウォレットW2」の残高情報は、デジタルマネー残高記憶部DB2に登録されて、支払い期日が到来した場合に利用者端末に事前に知らされることなく行われる自動的な債務の支払いに伴う決済に用いられるといえるから、甲1発明の債務支払用ウォレットW2は、本件特許発明2の「利用者が所有する決済口座であって、給与としてのデジタルマネーおよび給与以外の前記デジタルマネーが入金される前記決済口座」に相当する。 (ウ)以上を踏まえ、甲1発明の「振分管理装置」は、本件特許発明2の「管理装置」に対応する。 (エ)甲1発明の「一般決済用ウォレットW1」は、デジタルマネーを用いた一般的な決済に利用されるウォレットであるから、「一般決済用ウォレットW1」は、本件特許発明2の「前記決済口座以外の口座」に相当しない。また、甲1発明には、「一般決済用ウォレットW1」やデジタルマネー残高記憶部DB2に残高情報が登録された「債務支払用ウォレットW2」から他の口座に資金を移動する旨の記載はない。 (オ)してみると、本件特許発明2と甲1発明との一致点は、次のとおりである。 <一致点> 所定の決済手段を利用する利用者に関する利用者情報を取得する取得部と、 前記利用者が所有する決済口座であって、給与としてのデジタルマネーおよび給与以外の前記デジタルマネーが入金される前記決済口座に対する前記デジタルマネーの入金を受け付ける入金受付部とを有する、管理装置。 (カ)そして、両者は、次の点で相違する。 <相違点> (相違点2-2) 本件特許発明2は、「前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動部」を有し、「前記資金移動部は、前記給与として入金された前記デジタルマネーの一部を、前記決済口座以外の口座に移動させる」のに対し、甲1発明はこれを有しない点。 イ 相違点の判断 甲1発明は、デジタルマネーの口座として、決済に利用されるウォレットである、「一般決済用ウォレットW1」と「債務支払用ウォレットW2」を有するものであり、本件特許発明2の「前記決済口座以外の口座」に対応する口座を設けることは想定されていないし、このような口座への資金移動も想定されていない。 このことに照らせば、甲1発明において、本件特許発明2の「前記入金受付部によって入金が受け付けられた前記デジタルマネーのうち、給与として入金された前記デジタルマネーの一部を前記取得部によって取得された前記利用者情報に基づいて移動させる資金移動部」を設けたり、「前記資金移動部は、前記給与として入金された前記デジタルマネーの一部を、前記決済口座以外の口座に移動させる」ようにすることは、動機づけを欠く。 よって、この相違点2-2について容易想到とすることはできず、本件特許発明2は、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明4、7について 本件特許発明4及び7は、本件特許発明2のすべての構成を含むものであり、上記(1)ア(カ)に示した相違点2-2において甲1発明と相違し、上記(1)イに示したとおり、この相違点について容易想到とすることはできない。 よって、本件特許発明4、7は、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件特許発明9、11について 本件特許発明9と本件特許発明11は、それぞれ本件特許発明2に対応する方法発明とプログラム発明であり、上記(1)ア(カ)に示した相違点2-2と対応する点で甲1発明と相違し、上記(1)イに示したとおり、この相違点2-2について容易想到とすることはできない。 よって、本件特許発明9、11は、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立人の主張について 申立人は、一致点として、甲1には、ユーザ情報に基づいて決済を行う第1ウォレットと、決済が制限された決済口座以外の口座である第2ウォレットに振り分けるデジタルマネー振分部23(【0040】)が開示されており、このデジタルマネー振分部23が本件特許発明2の「資金移動部」に相当する旨を主張している。 しかし、上記(1)アの(イ)及び(エ)に照らせば、甲1に記載された「一般決済用ウォレットW1」と「債務支払用ウォレットW2」のいずれも本件特許発明2の「前記決済口座以外の口座」に相当しない。また、そうである以上、これらの間の振分を行うための「デジタルマネー振分部」は本件特許発明2の「資金移動部」に相当しない。 (5)小括 以上によれば、請求項2、4、7、9、11に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものであるということはできず、申立理由2-2は、理由がない。 9 申立理由3及び申立理由4についての当審の判断 (1)申立人は、特許請求の範囲の記載のうち、入金の名目が「給与以外である場合」について、明細書等の記載において、入金の名目が「給与以外」であると判断して給与以外残高に入金することが記載されていないと主張している(申立理由4)。 しかし、給与であることを判断できればそれ以外であることを判断できることは当然であるし、それによって給与以外を入金することとしている給与以外残高に入金することも、記載がなくても記載されているのも同然であるといえる。 (2)申立人は、特許請求の範囲の「デジタルマネー」の記載について、銀行の取り扱う預金管理をはじめとする為替取引との違いが不明であり、デジタルマネーの入金をどのように受け付けるか不明であると主張している(申立理由3)。 しかし、デジタルマネーについて、明細書の段落【0014】に「各種企業が独自に用いるポイントや通貨等」でよく、また「日本円やドル等の国家による提供される貨幣を電子的に取引可能としたもの」でよいと定義されており、これらを受け付けのための具体的な手段は、当業者の技術常識であって、記載を省略できる程度の事項である。 (3)申立人は、「決済口座以外」の記載の例として明細書等には「運用口座」のみが記載され、この「運用口座」が決済サーバに設けられた口座か決済サーバの外部に設けられた口座かが説明されておらず、資金をどのように移動させればよいか不明確であり、決済口座と決済口座以外との機能的な差も不明確であると主張している(申立理由3)。 しかし、請求項2と請求項2を引用する請求項7、請求項9、請求項11における「前記決済口座以外の口座に移動させる」の記載における「前記決済口座以外の口座」とはデジタルマネーが入金された決済口座以外の口座であって、決済口座でない旨の特定を含んでおらず、請求項4ではこれが「運用口座」である旨を特定しているものであり、申立人の主張は、請求項の記載についての誤解に基づくものである。さらに、請求項1、請求項3、5~6、8、10については、記載上、デジタルマネーが入金された決済口座以外の口座は、そもそも発明特定事項に含まれていない。 以上を踏まえれば、請求項1~11について、決済口座と決済口座以外との機能的な差が明細書等に記載されているか否かは、本件請求項1~11の特許について問題にならない。 また、請求項4の「運用口座」について、入金された口座の資金を「運用口座」に移動させるために必要なことは、当業者の技術常識であって、記載を省略できる程度の事項であり、さらに、「運用口座」が決済サーバと外部のいずれに設けられた口座かは明細書等に記載されていないものの、段落【0082】~【0089】の記載からみて、「利用者が所有する」運用口座であって「用途」に応じた仕分けを管理できるものであればよいのであって、「運用口座」が決済サーバと外部のいずれに設けられた口座かが記載されていないことも、本件請求項4の特許について問題にならない。 (4)小括 以上のとおり、申立理由3及び申立理由4の申立人の主張は、いずれも記載要件違反の主張として失当であり、申立理由3及び申立理由4は、理由がない。 10 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700611

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