特許異議申立
2024-700188
LED光源ユニット
- 審判番号
- 2024-700188
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-066668
- 登録番号
- 7333664
- 請求日
- 2024年02月29日
- 審決日
- 2026年02月26日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ホタルクス
- 【権利者代理人】辻丸 光一郎
- 【権利者代理人】高木 進
- 【権利者代理人】松縄 正登
- 【権利者代理人】伊佐治 創
- 【権利者代理人】南野 研人
- 【異議申立人】平位 和也
- 審判長/審判官
- 審判長 草野 顕子
- 審判官 横溝 顕範
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P1651.121-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条の2、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7333664号発明「LED光源ユニット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7333664号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第7333664号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7333664号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成29年8月8日に出願した特願2017-153407号の一部を令和4年4月14日に新たな特許出願としたものであって、令和5年8月17日にその特許権の設定登録がされ、同年8月30日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人平位和也(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 2月29日 :特許異議の申立て(全請求項)
同年 5月 2日付け:取消理由通知書
同年 7月 5日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
同年 8月 1日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年 9月19日 :申立人による意見書の提出
同年11月26日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和7年 1月22日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
同年 3月13日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年 5月 7日 :申立人による意見書の提出
同年 6月30日付け:訂正拒絶理由通知書
同年 8月 1日 :特許権者よる意見書、手続補正書の提出
同年10月28日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年8月1日提出の手続補正書(方式)により補正された令和6年7月5日提出の訂正請求書による訂正の請求は、令和7年3月13日提出の手続補正書(方式)により補正された令和7年1月22日提出の訂正請求書による訂正の請求がされたので、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正の適否
1 令和7年3月13日提出の手続補正書(方式)により補正された令和7年1月22日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正の内容
本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正(1)」という。)の内容は以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。以下同様。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「LED実装基板が配置された取付部材と、カバー部材と、を含むLED光源ユニットであって、」と記載されているのを、「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材と、長尺状のカバー部材と、を含むLED光源ユニットであって、」と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記カバー部材は、前記LED実装基板の実装面を覆うカバー部と、前記取付部材と接触する接触部と、を含み、」と記載されているのを、「前記カバー部材は、その短手方向両端部に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからなり、前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、」と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「前記接触部は、前記取付部材と対向する面において、前記取付部材と接触しない平坦部と、前記取付部材と接触する凸部と、からなり、」と記載されているのを、「前記接触部は、前記取付部材の前記取付部と対向する面において、前記取付部材の前記取付部と接触しない平坦部と、前記取付部材の前記取付部と接触する凸部と、からなり、」と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する。)
(4)一群の請求項について
訂正前の請求項1~6について、請求項2~6はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1~3によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正拒絶理由の概要
令和7年6月30日付け訂正拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。
本件訂正(1)における訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合しないものである。
よって、一群の請求項である請求項〔1~6〕についてする本件訂正は認められない。
3 令和7年8月1日提出の手続補正書による手続補正について
訂正請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならない(特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項)。
そして、訂正拒絶理由通知に対しては、訂正事項の削除、軽微な瑕疵の補正等、訂正請求書の要旨を変更しないものであれば補正することができる。しかし、新たな訂正事項を加えることや、訂正事項を変更することは、訂正の要旨を変更するものである。(審判便覧67―05.3の4.(3)イ参照)。
そこで、令和7年8月1日提出の手続補正書(以下「本件手続補正書」という。)による手続補正(以下「本件補正」という。)が、訂正請求書の要旨を変更しないものであって補正をすることができるものであるか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正の内容
本件訂正(1)の訂正事項2は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記カバー部材は、前記LED実装基板の実装面を覆うカバー部と、前記取付部材と接触する接触部と、を含み、」との記載を、「前記カバー部材は、その短手方向両端部に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからなり、前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、」と訂正しようとするものであった。
そして、本件補正は、本件訂正請求書の訂正事項2に関する記載(本件訂正請求書第2ページ21行~29行、第4ページ17行~第5ページ16行、及び本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲)を本件手続補正書に添付した訂正請求書及び訂正特許請求の範囲のとおり手続補正するものであるところ、その内容は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記カバー部材は、前記LED実装基板の実装面を覆うカバー部と、前記取付部材と接触する接触部と、を含み、」との記載を、「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからなり、前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、」に訂正する、と補正するものである。
(2)検討
前記(1)で示したとおり、本件補正は、本件訂正(1)の訂正事項2における「その短手方向両端部に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」との記載における「その短手方向両端部」を「その短手方向両端部側」に補正するものである。
ここで、訂正事項2の記載全体に照らせば、「その短手方向両端部」との記載の「その」は、「前記カバー部材の」を意味することは明らかであるので、そうすると、「その短手方向両端部」は前記カバー部材の「短手方向両端部」の意味であり、「その短手方向両端部側」はカバー部材の「短手方向両端部側」の意味であると認められる。
一方、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)において、「カバー部材」における「接触部」の位置に関する記載については、段落【0018】に「・・・図2(a)および(b)に示すように、接触部32は、カバー部材30の短手方向Xの端部側(下線は、当審において付与。)であって、取付部材20と対向する面に、複数(図2(a)および(b)においては、4つ)の凸部を有し、前記凸部において、取付部材20と接触している。」との記載及び図2(a)の記載があるところ、図2(a)からは、2つの接触部32のそれぞれがカバー部材30の短手方向Xに沿う両方向の端部側に位置することが看取できる。すなわち、段落【0018】及び図2(a)の両記載は、2つの接触部32のそれぞれがカバー部材30の短手方向Xの両端部側に位置することを示す点で符合するものである。そして、本件明細書等には、他に「カバー部材」における「接触部」の位置を示すような記載は見当たらない。
そうすると、本件訂正(1)の訂正事項2における「その短手方向両端部」との記載は、本来「その短手方向両端部側」と記載すべきところを誤って記載したものと認められる。
したがって、本件補正は、訂正請求書に添付された訂正特許請求範囲の請求項1において、「その短手方向両端部」との誤記を本来記載すべき「その短手方向両端部側」に正すものであり、軽微な瑕疵の補正と認められるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(3)令和7年10月28日提出の意見書における申立人の本件補正に関する主張について
令和7年10月28日提出の意見書において、申立人の本件補正後の訂正事項2における「その短手方向両端部側」に関する主張は、要するに、「その短手方向端部側」は、カバー部材の短手方向端部の外側、内側、又はその両方を表すのか不明であり、また、カバー部材の短手方向両端部を含むか否かも不明であるところ、これら全てを含むものと解釈することができるので、本件明細書等に記載した事項の範囲を超えるものであるというものである。
しかしながら、「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」との記載は、前記(2)で述べたように、前記カバー部材の「短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」と解釈することができる。
そして、カバー部材の短手方向両端部側に形成されるとは、カバー部材の短手方向の中心よりも両端部側の位置に形成されることを意味するものであることは明らかである。
すなわち、本件補正後の訂正事項2における「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」との記載は、「前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」がカバー部材の「短手方向」の中心よりも「両端部側」の位置に「形成され」ることを意味することが明確である。
また、前記(2)で述べたように、本件補正後の訂正事項2における「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」との記載は、本件明細書等の記載に基づくものであると認められる。
したがって、申立人の主張を採用することできない。
(4)本件補正についてのまとめ
以上から、本件補正は、訂正請求書の要旨を変更しないものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するので、これを認める。
4 訂正についての当審の判断
(1)訂正の内容について
前記3のとおり、本件補正は認められるので、本件補正後の本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正(2)」という。)の内容は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1
前記1(1)に示すとおり。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「前記カバー部材は、前記LED実装基板の実装面を覆うカバー部と、前記取付部材と接触する接触部と、を含み、」との記載を、「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからなり、前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、」と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
前記1(3)に示すとおり。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正(2)前の請求項1における「取付部」が「長尺状」であり、「長尺状のLED照明器具」の「被取付部に取り付けられるための取付部を」有するものであること、及び「カバー部材」が「長尺状」であることを特定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項1は、本件明細書等の段落【0002】、【0014】、【0017】、【0018】、【0030】、及び【0032】、並びに図1及び3の記載に基づくものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではい。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的
訂正事項2は、本件訂正(2)前の請求項2における「前記カバー部材」が、「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続」する「1つのカバー部、のみからな」ること、及び「前記カバー部」が「前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続して」いることを特定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項2のうち、「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」との点は、前記3(2)で示したとおり、本件明細書等の段落【0018】及び図2(a)に基づくものである。
また、訂正事項2のうち「2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部」及び「前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、」との点は、段落【0017】及び【0022】、並びに図1及び2に基づくものである。
そして、本件明細書等の段落【0017】には、「カバー部材30は、LED実装基板10の実装面12を覆うカバー部31と、取付部材20と接触する接触部32と、を含む。」との記載があるところ、当該記載には、カバー部材30は、少なくともカバー部31と、取付部材20と接触する接触部32と、を含むとの意味も含まれると認められる。
また、本件明細書等の記載全体からも、本件特許が本件明細書等の段落【0006】に記載された課題を解決する上で、カバー部材30に求められる構成は、少なくともカバー部31と、取付部材20と接触する接触部32と、を含めば十分であることが理解できる。
そうすると、訂正事項2のうち「前記カバー部材は、」「2つの接触部と、」「1つのカバー部、のみからなり、」との点は、本件明細書等の記載全体を総合することで導かれるものと認められる。
したがって、訂正事項2は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではい。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3は、本件訂正(2)前の請求項1における「前記取付部材と対向する面」、「前記取付部材と接触しない平坦部」、「前記取付部材の前記取付部と接触する凸部」が、それぞれ、「前記取付部材の前記取付部と対向する面」であり、「前記取付部材の前記取付部と接触しない平坦部」であり、「前記取付部材の前記取付部と接触する凸部」であることを特定するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項3は、本件明細書等の段落【0018】及び図2に基づくものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではい。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(3)一群の請求項
前記1(5)で述べたとおりである。
(4)令和7年10月28日提出の意見書における申立人の本件訂正に関する主張について
令和7年10月28日提出の意見書において、申立人の本件訂正に関する主張は、要するに、本件明細書の段落[0017]の「カバー部材30は、LED実装基板10の実装面12を覆うカバー部31と、取付部材20と接触する接触部32と、を含む。」との記載の「を含む」と本件発明1の「のみからなり」は、全く意味が異なる用語であり、「含む」は、記載されている構成要件以外の構成要素も存在することが示唆されており、たとえ、それ以外の構成要素の存在について記載されていなかったとしても、「のみからなり」が開示されているとはいえず、「前記カバー部材は、・・・2つの接触部と、・・・1つのカバー部、のみからなり」を追加する訂正は、本件明細書等に記載した範囲を超える訂正であるというものである。
しかしながら、「前記カバー部材は、」「2つの接触部と、」「1つのカバー部、のみからなり」との訂正については、前記(2)イ(イ)で述べたとおりであるので、申立人の主張を採用することはできない。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項1~3に係る本件訂正(2)は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、本件訂正(2)は、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記第2で説示したように本件訂正は認められるから本件訂正後の請求項1~6に係る発明(以下、「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材と、長尺状のカバー部材と、を含むLED光源ユニットであって、
前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからなり、
前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、
前記接触部は、前記取付部材の前記取付部と対向する面において、前記取付部材の前記取付部と接触しない平坦部と、前記取付部材の前記取付部と接触する凸部と、からなり、
前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面における摩擦係数を、前記カバー部表面の摩擦係数より小さくしたことを特徴とするLED光源ユニット。
【請求項2】
前記接触部表面における光反射率を、前記カバー部表面の光反射率より高くした、請求項1記載のLED光源ユニット。
【請求項3】
前記カバー部材において、前記接触部を、前記カバー部と異なる材料により形成した、請求項1または2に記載のLED光源ユニット。
【請求項4】
前記カバー部材において、前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面を、前記カバー部表面と異なる材料により被覆した、請求項1または2に記載のLED光源ユニット。
【請求項5】
前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面を、拡散剤を含むポリカーボネートにより被覆した、請求項4に記載のLED光源ユニット。
【請求項6】
前記取付部材が、ヒートシンクである、請求項1または2に記載のLED光源ユニット。」
第4 取消理由(決定の予告)の概要
本件訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審において特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
理由1:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
理由2:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
[引用文献一覧]
1.甲第1号証:特開2017-59374号公報
2.甲第5号証:特開2001-210133号公報
3.甲第4号証:特開2000-357410号公報
4.甲第7号証:特開2002-170412号公報
以下、甲第○号証を甲○という。
[理由1]
・請求項1~6
本件発明1において、「取付部材の取付部」が、「取付部材」を「何」に取り付ける部分であるか明確ではなく、「取付部材」の構成が不明確である。
また、本件発明1において、「カバー部」が「何」と接続しているか明確ではなく、「カバー部」の構成が不明確である。
[理由2]
・請求項 1~6
引用文献 1~4
第5 当審の判断
1 理由1(明確性要件)について
請求項1には、「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材」との記載があり、当該記載から、「取付部材」の「取付部」が「長尺状のLED照明器具」の「被取付部に取り付けるための」ものであることが明確である。
また、請求項1には、「前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、」との記載があり、当該記載から、「前記カバー部」が「前記接触部と連続」することが明確である。
したがって、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2~6は、明確である。
以上から、本件発明1~6は、明確であり、本件特許にかかる出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
したがって、取消理由1によって、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
2 理由2(進歩性)について
(1)甲号証の記載事項
ア 甲1
(ア)記載事項
甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付与。以下同様。)。
a「【0007】
ところで、特許文献1記載の従来例では、金属製の取付部材と、合成樹脂製のカバー部材とで熱膨張係数が大きく異なることにより、カバー部材の取付部材と接触している部位から異音が生じる可能性があった。」
・・・
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされており、異音の発生を抑制することを目的とする。」
b「【0014】
本実施形態に係る照明器具X(以下、照明器具Xと略す)は、図1及び図2に示すように、本実施形態に係る光源ユニットW(以下、光源ユニットWと略す)と、器具本体6とを備える。ただし、以下の説明では、特に断りのない限り、図1に示す向きにおいて前後、上下、左右の各方向を規定する。すなわち、照明器具Xの長手方向を左右方向とし、照明器具Xの高さ方向を上下方向とし、照明器具Xの幅方向(短手方向)を前後方向とする。
・・・
【0015】
器具本体6は、図1及び図2に示すように、天板ユニット60と反射板ユニット61と枠体62とを有する。天板ユニット60は、長尺の矩形平板状に形成された天板600と、天板600の前端及び後端から下向きに立ち下がる一対の側壁601とを有する。・・・」
c「【0019】
光源ユニットWは、図2及び図3に示すように、複数(図示例では2つ)のLEDモジュール1、取付部材2、カバー3、配光パネル4、電源ユニット5などを備える。
・・・
【0020】
LEDモジュール1は、図2に示すように、複数個の発光ダイオード(LED)10と、基板11とを有する。基板11は、左右方向を長手方向とする矩形の平板状に形成されている。LED10は、例えば、白色光を放射する白色発光ダイオードであり、基板11の下面における前後方向(短手方向)の中央に、左右方向(長手方向)に沿って等間隔かつ1列に並べて実装されている。
・・・
【0021】
取付部材2は、長尺の矩形平板状に形成されている底板20と、長尺の矩形平板状に形成されて底板20の左右方向に沿った両端から上向きに突出する一対の側板21とを有する。なお、取付部材2は、亜鉛鋼板などの金属板が曲げ加工されることにより、底板20と一対の側板21とが一体に形成されることが好ましい。
・・・
【0022】
底板20は、前後方向の中央部分が上向きに凹んでおり、その中央部分にLEDモジュール1が配置されている。また、底板20の中央部分における前後両端には、複数の固定片23が左右方向に間隔を空けて切り起こされている(図3参照)。これら複数の固定片23は、先端部分が内向きに曲げられることにより、LEDモジュール1の基板11を支持するように構成されている。
・・・
【0023】
また、取付部材2は、一対の引掛金具24と、一対の引掛ばね25とを備えることが好ましい。一対の引掛金具24は、先端が鈎形に形成され、その先端部分が後側の側板21の上を乗り越えるように、底板20の左右両端の近傍にそれぞれ設けられている(図3参照)。これら一対の引掛金具24は、器具本体6に設けられている引掛孔64に引っ掛けられる(図2参照)。また、一対の引掛ばね25は、ねじりコイルばねで構成され、底板20の前端における左右両端の近傍にそれぞれ設けられている(図3参照)。これら一対の引掛ばね25は、器具本体6に設けられているばね受け金具に一方の端が引っ掛けられる。つまり、取付部材2は、一対の引掛金具24と一対の引掛ばね25とによって、器具本体6に着脱可能に取り付けられる。」
d「【0025】
カバー3は、図2に示すように、カバー本体30と一対のエンド部材31とを有する。カバー本体30は、前板部300、拡散部301、一対の側板部302、一対の第1突板部303、一対の第2突板部304、一対の引掛部305などを有する(図3参照)。前板部300は、左右方向を長手方向とする長尺の矩形板状に形成されている。拡散部301は、長手方向(左右方向)からみた形状が下に凸となる曲面である、長尺の半筒状に形成されている。一対の第1突板部303は、いずれも長尺の矩形板状に形成されている。・・・一対の側板部302は、いずれも、長手方向(左右方向)からみた形状がおおよそV字状となる長尺の矩形板状に形成されている。・・・前側の側板部302には、下部の後面から前板部300の上面と平行に突出する幅細の突起3060が左右方向の全長に渡って設けられている。同じく、後側の側板部302には、下部の前面から前板部300の上面と平行に突出する幅細の突起3060が左右方向の全長に渡って設けられている。なお、これら一対の突起3060と前板部300との間に形成される長尺の空間(隙間)を保持溝306と呼ぶ。」
e「【0027】
ところで、前板部300、拡散部301、一対の側板部302、一対の第1突板部303、一対の第2突板部304、一対の引掛部305及び一対の突起3060は、合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート樹脂)で一体に形成されている。ただし、前板部300を除く拡散部301、一対の側板部302、一対の第1突板部303、一対の第2突板部304、一対の引掛部305及び一対の突起3060は、例えば、アクリル樹脂やシリコーン樹脂の微粒子を原料とする拡散材が混入されている。一方、前板部300は、拡散材が混入されていないために無色透明(透過率がほぼ100%)である。さらに、拡散部301と一対の側板部302は、例えば、透過率が60%~90%程度となる分量の拡散材が混入されている。これに対して、一対の第1突板部303、一対の第2突板部304及び一対の引掛部305は、透過率がほぼ0%、つまり、不透過となる分量の拡散材が混入されている。なお、このようなカバー本体30は、多色の押出成形によって形成されることが好ましい。」
f「【0029】
・・・配光パネル4は、図3に示すように、プリズム40が設けられている面(以下、プリズム面と呼ぶ)を前板部300に向けた状態で、前端部分及び後端部分がそれぞれカバー本体30の一対の保持溝306に保持されている。・・・この配光パネル4は、拡散部301で拡散されたLEDモジュール1の光(照明光)を集光することにより、長手方向(左右方向)からみたときの不快グレアの抑制を図ることができる。」
g「【0031】
また、作業者は、配光パネル4をカバー本体30の一端側から保持溝306に挿入した後、カバー本体30の両端にそれぞれエンド部材31を装着し接合することでカバー3を組み立てる。そして、作業者は、カバー3の一対の第2突板部304の間に取付部材2を挿入し、一対の第2突板部304の上端の引掛部305を取付部材2の一対の側板21の被引掛部22にそれぞれ引っ掛ける。・・・」
h「【0033】
ここで、従来技術で説明した異音の発生メカニズムについて、簡単に説明する。この異音は、金属製の取付部材2と合成樹脂製のカバー3との熱膨張係数の違いに起因して発生すると考えられる。つまり、取付部材2とカバー3との接触面において、熱膨張係数が相対的に大きい合成樹脂製のカバー3(カバー本体30)の膨張及び収縮する力が最大静止摩擦力を超えたとき、カバー本体30に生じていた歪みが急激に開放される。カバー本体30の歪みが急激に開放されることにより、カバー本体30における取付部材2との接触面で振動を伴う摩擦音が発生する。このような現象は、一般にスティックスリップ現象として知られている。そして、スティックスリップ現象による異音は、2つの部材(取付部材2とカバー本体30)の接触面積が大きいほど、発生し易いと考えられる。
【0034】
そこで、光源ユニットWのカバー本体30は、取付部材2の長手方向に沿って取付部材2と対向する面に、取付部材2に向かって突出する1つ又は複数のリブを有している。具体的には、一対の第1突板部303及び一対の引掛部305に、それぞれ複数のリブ307が設けられている(図3及び図6参照)。・・・なお、これらのリブ307は、必ずしも全てが同時に取付部材2と接触しているわけではなく、取付部材2とカバー本体30の膨張、収縮の程度などによって、取付部材2との接触状況が変化する。
【0035】
上述のように、カバー本体30の第1突板部303及び引掛部305は、取付部材2の底板20及び被引掛部22とリブ307の先端でのみ接触するので、リブ307が設けられない場合と比較して、カバー本体30と取付部材2との接触面積が低減される。その結果、光源ユニットWは、スティックスリップ現象に伴う異音の発生を抑制することができる。ただし、リブ307が設けられる場所は第1突板部303及び引掛部305に限定されない。例えば、第2突板部304が取付部材2の側板21と接触するように構成されている場合、第2突板部304の側板21との対向面にリブが設けられてもよい。また、第1突板部303及び引掛部305に設けられるリブ307の数は1つ又は3つ以上であっても構わない。・・・」
i 図2は、以下のとおりである。
「
[図:0001436134000001.jpg]
」
j 図3は以下のとおりである。
「
[図:0001436134000002.jpg]
」
k 図6は以下のとおりである。
「
[図:0001436134000003.jpg]
」
(イ)認定事項
前記(ア)から、甲1には、次の事項が示されていると認められる。
a 段落【0019】、【0025】から、光源ユニットWは、取付部材2及びカバー本体30を備える。
b 段落【0014】及び【0019】から、照明器具Xは、LED照明器具である。
c 段落【0015】、【0020】~【0023】、図2、及び前記bから、取付部材2は、長尺の矩形平板状に形成されている底板20と、長尺の矩形平板状に形成されて底板20の左右方向に沿った両端から上向きに突出する一対の側板21と、一対の引掛金具24と、一対の引掛ばね25とを有し、底板20と一対の側板21は、亜鉛鋼板などの金属板が曲げ加工されて一体に形成され、底板20には、下面にLED10が実装されている基板11を有するLEDモジュール1が配置され、一対の引掛金具24は、底板20の左右両端の近傍にそれぞれ設けられ、長尺状のLED照明器具である照明器具Xにおける長尺状の器具本体6に設けられている引掛孔64に引っ掛けられ、一対の引掛ばね25は、底板20の左右両端の近傍にそれぞれ設けられ、器具本体6に設けられているばね受け金具に引っ掛けられる。
d 段落【0025】及び図1から、カバー本体30は、長尺状である。
e 段落【0025】、【0034】、図2、及び図3から、カバー本体30は、前板部300、拡散部301、一対の側板部302、一対の第1突板部303、一対の第2突板部304、及び一対の引掛部305を有し、前記一対の第1突板部303、前記一対の第2突板部304、及び前記一対の引掛部305は、カバー本体30の短手方向両端部側に形成される。
f 図3から、拡散部301は、基板11の下面を覆うものでもあることが看取できる。
g 図3から、前板部300及び一対の側板部302は、拡散部301を覆い、拡散部301により覆われている基板11の下面をも覆うものでもあることが看取できる。
h 段落【0023】、図3、及び図6(下記参考図参照)から、側板部302は、一対の引掛金具24及び一対の引掛ばね25が設けられる底板20の左右両端の近傍のより外側となる位置で、第1突板部303に連続している。
参考図:図6に当審において付記したもの
[図:0001436134000004.jpg]
i 図3、及び図6(上記参考図参照)から、拡散部301は、側板21より内側となる位置で、第1突板部303に連続している。
j 図6(上記参考図を参照)から、第1突板部303、第2突板部304及び引掛部305のリブ307が設けられていない部分は、凹凸のない「平坦部」であることが看取できる。
そうすると、段落【0034】、【0035】、及び図6(上記参考図を参照)から、第1突板部303、第2突板部304及び引掛部305は、取付部材2に向かって突出する複数のリブ307と、リブ307が設けられていない平坦部を有し、第1突板部303、第2突板部304、及び引掛部305は、取付部材2の底板20及び側板21とリブ307の先端でのみ接触するといえる。
k 段落【0025】及び【0029】から、一対の側板部302のそれぞれには、突起3060が設けられ、これら一対の突起3060と前板部300との間に配光パネル4を保持する保持溝306が形成され、配光パネル4は、拡散部301で拡散されたLEDモジュール1の光を集光して、長手方向(左右方向)からみたときの不快グレアの抑制を図る。
(ウ)甲1発明
前記(ア)及び(イ)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「取付部材2及びカバー本体30を備える光源ユニットWであって(前記(イ)a)、
前記取付部材2は、長尺の矩形平板状に形成されている底板20と、長尺の矩形平板状に形成されて前記底板20の左右方向に沿った両端から上向きに突出する一対の側板21と、一対の引掛金具24と、一対の引掛ばね25とを有し(前記(イ)c)、
前記底板20と前記一対の側板21は、亜鉛鋼板などの金属板が曲げ加工されて一体に形成され(前記(イ)c)、
前記底板20には、下面にLED10が実装されている基板11を有するLEDモジュール1が配置され(前記(イ)c)、
前記一対の引掛金具24は、前記底板20の左右両端の近傍にそれぞれ設けられ、長尺状のLED照明器具である照明器具Xにおける長尺状の器具本体6に設けられている引掛孔64に引っ掛けられ(前記(イ)c)、
前記一対の引掛ばね25は、底板20の左右両端の近傍にそれぞれ設けられ、前記器具本体6に設けられているばね受け金具に引っ掛けられ(前記(イ)c)、
前記カバー本体30は、長尺状であり、前板部300、拡散部301、一対の側板部302、一対の第1突板部303、一対の第2突板部304、及び一対の引掛部305を有し、前記一対の第1突板部303、前記一対の第2突板部304、及び前記一対の引掛部305は、カバー本体30の短手方向両端部側に形成され(前記(イ)d及びe)、
前記拡散部301は、前記基板11の前記下面を覆い、前記前板部300及び前記一対の側板部302は、前記拡散部301を覆い、前記拡散部301により覆われている前記基板11の下面をも覆い(前記(イ)f及びg)、
前記側板部302は、前記一対の引掛金具24及び前記一対の引掛ばね25が設けられる前記底板20の左右両端の近傍より外側となる位置で、前記第1突板部303に連続し(前記(イ)h)、
前記拡散部301は、前記側板21より内側となる位置で、前記第1突板部303に連続し(前記(イ)i)、
前記第1突板部303、前記第2突板部304、及び前記引掛部305は、前記取付部材2に向かって突出する複数のリブ307と、前記リブ307が設けられていない平坦部を有し、前記第1突板部303、前記第2突板部304、及び前記引掛部305は、前記取付部材2の前記底板20及び前記側板21とリブ307の先端でのみ接触し(前記(イ)j)、
前記一対の側板部302のそれぞれには、突起3060が設けられ、前記一対の突起3060と前記前板部300との間に配光パネル4を保持する保持溝306が形成され、前記配光パネル4は、前記拡散部301で拡散された前記LEDモジュール1の光を集光して、長手方向(左右方向)からみたときの不快グレアの抑制を図る(前記(イ)k)
光源ユニットW。」
イ 甲4
(ア)記載事項
甲4には、次の事項が記載されている。
a「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点灯・消灯時に照明器具本体と照明カバーが擦れて生じる摩擦音を防止した照明カバー、および、この照明カバーに使用する為の樹脂シートに関する。」
b「【0003】
【発明が解決しようとしている課題】近年の照明器具は、虫や埃の進入を防止する為に、照明器具本体との隙間が小さい状態またはきつい状態で、照明カバーが取り付けられている。この照明器具本体は金属材料が主体であるが、照明カバーは樹脂材料である。したがって、点灯・消灯時に熱膨張によって伸縮し、照明器具本体と照明カバーが擦れて点灯・消灯の数分後に30dB前後の摩擦音が発生する。」
c「【0012】本発明の照明カバー用樹脂シートの表面の凹凸、および、本発明の照明カバーの少なくとも照明器具本体に接触する取付部の表面の凹凸の中心線平均粗さ(Ra)は1~15μmであり、好ましくは1~5μmであり、より好ましくは1~3μmである。また、十点平均粗さ(Rz)は10~100μmであり、好ましくは10~70μmであり、より好ましくは10~40μmである。
【0013】これら各平均粗さ(Ra)(Rz)を上記のように適度に大きくすれば、接触部における静摩擦係数が小さくなり、摩擦音が発生し難くなる。一方、これら各平均粗さ(Ra)(Rz)は、無制限に大きくすれば良い訳ではなく、樹脂シートや照明カバーの外観を損なわないようにする等の理由から、上記のように適度に小さくすることも必要である。」
d「【0015】また、本発明の照明カバー用樹脂シートの表面の静摩擦係数は、荷重負荷1分後の値が0.25以下、荷重負荷15分後の値が0.30以下である。このような樹脂シートを得るには、樹脂シートの表面に上記の凹凸を形成することが最も有効である。」
e「【0019】方法○2は、凹凸形成用の微粒子を添加した材料を用いるので、方法と比べて凹凸の均一性や再現性はやや劣るが、照明カバー成形後の凹凸の変形が小さい。また、この微粒子は拡散剤をも兼ねる場合もある。」
f「【0023】本発明の照明カバーおよび照明カバー用樹脂シートを構成する主要材料は、特に限定されないが、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂などが好ましい。その他にも、MS樹脂(スチレン・メタクリル酸メチル共重合体)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂なども使用できる。これらは単独に使用してもよく、品質上支障のない限り複数種混合してもよい。また、単一層でも複層でもよく、複層の場合の樹脂は同種でも異種でもよい。」
(イ)甲4記載事項
前記(ア)から、甲4には、次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「金属材料が主体である照明器具本体に樹脂材料である照明カバーが取り付けられている照明器具において、照明カバーの少なくとも照明器具本体に接触する取付部の表面の凹凸の平均粗さを適度に大きくし、接触部における静摩擦係数が小さくして、摩擦音が発生し難くした照明器具。」
ウ 甲5
(ア)記載事項
甲5には、次の事項が記載されている。
a「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ランプの点灯、消灯に伴う熱変形によって発生音を生じることがある照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ランプの点灯、消灯に伴い器具本体やグローブが熱変形することにより、耳障りな軋み音が発生することがある。グローブは一般にアクリル樹脂などの合成樹脂で形成される場合が多く、接触する器具本体を構成する鋼板などの金属、或いは木材などとくらべる熱膨張が大きいため、接触部分の擦れによる摩擦力変化が原因で音が発生していると考えられている。・・・」
b「【0019】図2に示すように、照明器具は、点灯装置およびランプ20を有する器具本体1と、この器具本体1に取付けられ内にランプ20を収納するグローブ2とを備えている。図1に示すように、器具本体1とグローブ2の取付構造4では、器具本体1の接触部5と、器具本体1に取付けた受金具3の接触部6とで形成された空間にグローブ2の嵌合部7が挟持される位置関係にある。ランプの点灯、消灯に伴い、器具本体1、グローブ2ともに熱変形が起こり、一般にアクリル樹脂などの合成樹脂を使うグローブ2と器具本体1の間に相対的な変形量の差(ΔL)が生じるので、擦れによる音が発生する。そのため、ランプの点灯、消灯に伴う熱変形時に生じる器具本体1とグローブ2との接触部分の摩擦力変化を抑制することにより、スティックスリップ現象により発生する照明器具異音を聞こえないようにした。・・・」
c「【0050】
この発明の第10の実施の形態を図24に基づいて説明する。図24はこの発明の第10の実施の形態の要部断面図である。この実施の形態では、図24に示すように器具本体1と接する部分15の表面粗さを粗くしてグローブ2を構成した。このようなグローブ2を製造する方法には、グローブ2の成形に使用するシート状アクリル樹脂を固定する金型側の表面を粗くしておき、成形時にアクリル樹脂を暖めた際に、金型表面形状を転写することでグローブ2の嵌合部7の表面を粗くするなどの方法がある。照明器具全体の構成は図2と同様である。
【0051】この照明器具の作用は第9の実施の形態と同様に、接触部の摩擦係数(μ)を小さく設定できるので、その結果、摩擦力(μ・P)も小さくなることから、(F)>(μ・P)の関係になる場合の変形量(ΔL)が小さくなる。発生する音の大きさは蓄えられる摩擦エネルギに関係するので、変形量(ΔL)が小さくなったことで、発生音のレベルを低減することが可能となる。」
d「【0056】図27はこの発明の第11の実施の形態の変形例の要部断面図である。図27に示すように、グローブ2の嵌合部7を別の部品7cと組み合わせ、ポリエチレン等の表面の摩擦係数の小さな樹脂で構成した。また、器具本体1のフランジ1aがグローブ2との接触部5となる。この実施の形態でも同様の作用効果がある。」
e「【0060】図31はこの発明の第13の実施の形態の変形例の要部断面図である。図31に示すように、器具本体1側の接触部5,6の表面をフッ素塗装等により摩擦係数を小さくした構成において、グローブ2の嵌合部7を別の部品7cと組み合わせ、ポリエチレン等の表面の摩擦係数の小さな樹脂で構成した。また、器具本体1のフランジ1aがグローブ2との接触部5となる。この実施の形態では接触面の相互の摩擦係数が小さいのでさらに発生音のレベルを低減できる。」
(イ)甲5記載事項
前記(ア)から、甲5には、次の事項(以下「甲5記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「鋼板などの金属から構成される器具本体1と、器具本体1に取付けられ内にランプ20を収納するアクリル樹脂などの合成樹脂で形成されるグローブ2とを備えている照明器具において、器具本体1の接触部5と、器具本体1に取付けた受金具3の接触部6とで形成された空間に挟持されるグローブ2の嵌合部7をポリエチレン等の表面の摩擦係数の小さな樹脂で構成した別の部品7cと組み合わせて構成し、接触部の摩擦係数を小さく設定して、発生音のレベルを低減する照明器具。」
エ 甲7
(ア)記載事項
甲7には、次の事項が記載されている。
a「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランプを有する照明器具本体に照明用カバーを取付けた照明器具に関するもので、特に照明器具の照明用カバーの構造に関するものである。」
b「【0013】また、照明用カバー3に照明器具本体2側に設けた取付け部10に取付けるための被取付部11を設け、照明用カバー3の少なくとも被取付部11の照明器具本体2の取付け部10と接触する部分を摩擦抵抗の低い材質により形成することが好ましい。すなわち、照明用カバー3と照明器具本体2に設けた取付け部10との材質が違うので、ランプ1の熱などにより膨張する場合の膨張率が異なり、このため、照明用カバー3が膨張した際に、取付け部分において照明用カバー3がスリップして異常音を発生するが、上記のように照明用カバー3の少なくとも被取付部11の照明器具本体2の取付け部10と接触する部分を摩擦抵抗の低い材質により形成することで、異常音の発生を抑制することができることになる。」
c「【0015】照明器具は図2に示すように、ランプ1を備えた照明器具本体2に照明用カバー3を取付けて構成してある。添付図面に示す実施形態においては、照明器具本体1の下面側にランプ取付け部12が設けてあって、このランプ取付け部12にランプ1が取付けてある。図2において符号19は反射板である。」
d「【0017】ここで、照明用カバー3を照明器具本体2の下面側に取付けるには、例えば、図2に示す実施形態では、照明器具本体1の下面部外周の複数箇所に金属製等の取付け部10を設け、上方が開口部となった照明用カバー3の上開口縁部に上記取付け部10に着脱自在に係止することができる被取付部11を設け、照明用カバー3を照明器具本体2の下面側に配置した状態で照明用カバー3を回転して被取付部11を取付け部10に着脱自在に係止することにより取付けるようにしている。もちろん、上記以外の取付け手段により照明用カバー3を照明器具本体2に取付けるようにしてもよいものである。」
e「【0019】照明用カバー3は少なくとも2層以上で構成された複合材からなっており、この2層以上の複合材は透光性を有する合成樹脂製のベース層4と、このベース層4とは異なった機能を備えた機能性樹脂層5とで構成してある。」
f「【0038】実施形態においては機能性樹脂層5部分に被取け部11が設けてあり、この被取付部11の取付け部10と接触する部分に摩擦抵抗の低い材料を塗装したり、あるいは摩擦抵抗の低い材料よりなるフィルムを接着したりして低摩擦抵抗部15を形成してある。低摩擦抵抗部15は例えば、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、シリコン系樹脂等の樹脂により形成してある。」
(イ)甲7記載事項
前記(ア)から、甲7には、次の事項(以下「甲7記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「金属製等の取付け部10を設けた照明器具本体2に2層以上で構成された複合材からなる照明用カバー3を取付けて構成してある照明器具において、照明用カバー3の少なくとも被取付部11の照明器具本体2の取付け部10と接触する部分に摩擦抵抗の低い材料を塗装することで、異常音の発生を抑制する照明器具。」
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)後者の「長尺状のLED照明器具である照明器具X」は前者の「長尺状のLED照明器具」に相当し、後者の「長尺状の器具本体6」は前者の「長尺状の本体部」に相当する。
そうすると、後者の「長尺状のLED照明器具である照明器具Xにおける長尺状の器具本体6に設けられている引掛孔64に引っ掛けられ」る「前記一対の引掛金具24」及び「前記器具本体6に設けられているばね受け金具に引っ掛けられ」る「前記一対の引掛ばね25」と、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部」は、「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部」との点で共通する。
(イ)前記(ア)から、後者の「下面にLED10が実装されている基板11を有するLEDモジュール1が配置され」る「前記底板20」である「長尺の矩形平板状に形成されている底板20と、長尺の矩形平板状に形成されて前記底板20の左右方向に沿った両端から上向きに突出する一対の側板21と、一対の引掛金具24と、一対の引掛ばね25とを有」する「前記取付部材2」と、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材」は、「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材」で共通する。
(ウ)前記(イ)から、後者の「前記カバー本体30は、長尺状であり、」「取付部材2及びカバー本体30を備える光源ユニットW」は、前者の「長尺状の取付部材と、長尺状のカバー部材と、を含むLED光源ユニット」に相当する。
(エ)前者の「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」「からなり、」との記載において、「その短手方向両側端部」の「その」は、「前記カバー部材の」を意味すると認められる。
そうすると、後者の「前記カバー本体30の短手方向両端部側に形成され」る「前記一対の第1突板部303、前記一対の第2突板部304、及び前記一対の引掛部305」であり、「前記取付部材2と」「接触する」「前記第1突板部303、前記第2突板部304、及び前記引掛部305」と、前者の「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」は、「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材と接触する2つの接触部」で共通する。
(オ)前記(イ)から、後者の「前記基板11の前記下面を覆」う「前記拡散部301」、及び「前記拡散部301を覆い、前記拡散部301により覆われている前記基板11の下面をも覆」う「前記前板部300及び前記一対の側板部302」は、前者の「前記LED実装基板の実装面を覆う」「カバー部」に相当する。
(カ)前記(オ)から、後者の「前記一対の引掛金具24及び前記一対の引掛ばね25が設けられる前記底板20の左右両端の近傍より外側となる位置で」「前記第1突板部303に連続」する「前記側板部302」、及び「前記側板21より内側となる位置で」「前記第1突板部303に連続」する「前記拡散部301」は、前記(エ)の限りにおいて、前者の「2つの前記接触部と連続」する「カバー部」に相当する。
(キ)前記(エ)~(カ)から、後者の「前記カバー本体30は、長尺状であり、前板部300、拡散部301、一対の側板部302、一対の第1突板部303、一対の第2突板部304、及び一対の引掛部305を有し、前記一対の第1突板部303、前記一対の第2突板部304、及び前記一対の引掛部305は、カバー本体30の短手方向両端部側に形成され、前記拡散部301は、前記基板11の前記下面を覆い、前記前板部300及び前記一対の側板部302は、前記拡散部301を覆い、前記拡散部301により覆われている前記基板11の下面をも覆い、前記側板部302は、前記一対の引掛金具24及び前記一対の引掛ばね25が設けられる前記底板20の左右両端の近傍より外側となる位置で、前記第1突板部303に連続し、前記拡散部301は、前記側板21より内側となる位置で、前記第1突板部303に連続し、前記第1突板部303、前記第2突板部304、及び前記引掛部305は、前記取付部材2の前記底板20及び前記側板21と」「接触する」ことと、前者の「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからな」ることは、「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆うカバー部、からな」ることで共通する。
(ク)前記(オ)から、後者の「前記側板部302は、前記一対の引掛金具24及び前記一対の引掛ばね25が設けられる前記底板20の左右両端の近傍より外側となる位置で、前記第1突板部303に連続」することは、前記(ア)及び(エ)の限りにおいて、前者の「前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続して」いることに相当する。
(ケ)後者の「前記第1突板部303、前記第2突板部304、及び前記引掛部305は、前記取付部材2に向かって突出する複数のリブ307と、前記リブ307が設けられていない平坦部を有し、前記第1突板部303、前記第2突板部304、及び前記引掛部305は、前記取付部材2の前記底板20及び前記側板21とリブ307の先端でのみ接触する」ことと、前者の「前記接触部は、前記取付部材の前記取付部と対向する面において、前記取付部材の前記取付部と接触しない平坦部と、前記取付部材の前記取付部と接触する凸部と、からな」ることは、「前記接触部は、前記取付部材と対向する面において、前記取付部材と接触しない平坦部と、前記取付部材と接触する凸部と、からな」ることで共通する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材と、長尺状のカバー部材と、を含むLED光源ユニットであって、
前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆うカバー部、からなり、
前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、
前記接触部は、前記取付部材と対向する面において、前記取付部材と接触しない平坦部と、前記取付部材と接触する凸部と、からなるLED光源ユニット。」
において一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1]
被取付部に関して、本件発明1は、長尺状の本体部の「短手方向両端部に形成された」被取付部であるのに対して、甲1発明は、長尺状の器具本体6における引掛孔64及びばね受け金具の形成位置が定かではない点。
[相違点1-2]
接触部に関して、本件発明1は、長尺状の本体部の被取付部に取り付けるための「取付部」と接触する接触部であり、それゆえ、接触部は、取付部材の「前記取付部」と対向する面において、取付部材の「前記取付部」と接触しない平坦部と、取付部材の「前記取付部」と接触する凸部と、からなるのに対して、甲1発明は、第1突板部303、第2突板部304、及び引掛部305(以下「第1突板部303等」という。)は、一対の引掛金具24及び一対の引掛ばね25を有する「取付部材2」に接触するものであり、それゆえ、第1突板部303等は、「前記取付部材2」に向かって突出するリブ307と、リブ307が設けられていない平坦部を有し、「前記取付部材2の前記底板20及び前記側板21」とリブ307の先端でのみ接触する点。
[相違点1-3]
カバー部材に関して、本件発明1は、カバー部材は、「取付部」と接触する2つの接触部と、LED実装基板の実装面を覆う「1つの」カバー部、「のみ」からなるのに対して、甲1発明は、カバー本体30は、「取付部材2の底板20及び側板21」と接触する第1突板部303等、基板11の下面を覆う「前記拡散部301」、及び「前記拡散部301」と「前記拡散部301により覆われている」前記基板11の下面を覆う「前記前板部300及び前記一対の側板部302」を有する点。
[相違点1-4]
本件発明1は、「前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面における摩擦係数を、前記カバー部表面の摩擦係数より小さくした」のに対して、甲1発明は、引用発明では、リブ307の表面の摩擦係数については特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑み、関連する相違点1-2及び1-3についてまとめて検討する。
前記ア(ア)から、甲1発明において、一対の引掛金具24及び一対の引掛ばね25が、光源ユニットWを器具本体6の被取付部に取り付けるための取付部であると認められるところ、甲1には、一対の引掛金具24及び一対の引掛ばね25に対して第1突板部303等を接触させて、カバー本体30を支持することについては記載も示唆もされていない。
そして、甲1では、段落【0007】及び【0008】の記載から、カバー部材とカバー部材の取付部材が接触している部位で生じる異音の発生を抑制することを目的としていると認められるところ、そのために、カバー本体30の第1突板部303等に取付部材2に向かって突出する複数のリブ307を設け、リブ307の先端でのみ第1突板部30等と取付部材2の底板20及び側板21を接触させるように構成し、これによって、接触面積を低減させて、異音の発生を防止するものである。
そうすると、甲1発明において、一対の引掛金具24及び一対の引掛ばね25に対して、カバー本体30の第1突板部303等を接触させて支持させることには、動機付けはなく、また、前述の課題を解決し得ないこととなるので、阻害要因があるとも認められる。
そして、甲4、甲5、及び甲7にも、光源ユニットを本体部の被取付部に取り付けるための、光源ユニットの取付部に対してカバー部材を支持させることについては、記載も示唆もされておらず、申立人が提出した他の証拠においても同様である。
また、甲1発明は、配光パネル4によって、拡散部301で拡散されたLEDモジュール1の光を集光することによって、長手方向(左右方向)からみたときの不快グレアの抑制を図るものであるところ、配光パネル4は、前板部300及び一対の側板部302の突起3060で形成する保持溝306で支持されるものである。
そうすると、甲1発明において、拡散部301、又は前板部前板部300及び一対の側板部302のいずれか一方を省いて、いずれか他方のみで基板11の下面を覆うようにすることには、阻害要因があると認められる。
したがって、甲1発明において、甲4、甲5、及び甲7記載事項を踏まえ、相違点1-2及び1-3に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、並びに甲4、甲5、及び甲7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(2)イと同様の理由により、本件発明2~6は、甲1発明、並びに甲4、甲5、及び甲7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)令和7年5月7日提出の意見書及び令和7年10月28日提出の意見書における申立人の主張について
前記2つの意見書における申立人の主張は、要するに、本件発明1のカバー部の形状は、甲2、甲3、甲9に加え、新たに提示する甲10(特開2014-78511号公報)に示されるように周知技術にすぎず、本件発明1は、甲1発明、及び該周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるというもの、及び本件発明1の「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからなり」との発明特定事項は、発明の詳細な説明に記載したものでないというものである。
しかしながら、前記(2)イで述べたように、甲1発明において、拡散部301、又は前板部前板部300及び一対の側板部302のいずれか一方を省くことには、阻害要因があり、仮に、本件発明1のカバー部の形状が周知のものであったとしても、これを適用することはできない。
また、「カバー部材」に関する発明特定事項については、前記第2の4(2)イで示したとおりであり、本件明細書等に示されていると認められる。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
(5) 小括
以上のとおり、本件発明1~6は、甲1発明、並びに甲2~甲5、甲7、甲9、及び甲10記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項1~6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。
したがって、取消理由2によって、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書等において、前記第4の甲号証一覧で示した証拠以外に、次の証拠を提出し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
甲2:特開2016-213163号公報
甲3:特開2016-177970号公報
甲6:国際公開第2015/115517号
甲8:特開2005-353562号公報
甲9:特願2017-63150号(特開2018-166067号公報)
甲10:特開2014-78511号公報(令和7年5月7日提出の意見書に添付)
1 申立理由の概要
(1)本件発明1~6は、甲2に記載された発明、及び甲4~甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)本件発明1~6は、甲3に記載された発明、及び甲4~甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)本件発明1、4、及び5は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に特許掲載公報の発行若しくは出願公開がされた甲9の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の甲9の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記甲9の特許出願の出願人と同一でもないから、請求項1、4、及び5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(4)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(5)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(6)本件特許は、明細書の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立理由についての検討
(1)甲号証
ア 甲2
(ア)認定事項
甲2の段落【0011】、【0013】、【0015】、【0017】、【0018】、【0050】、【0053】、図1、図6、図8、図9、及び図26から、甲2には、次の事項が示されていると認める。
a 段落【0011】及び図1から、光源ユニット200は、長尺状の照明器具300の長尺状の器具本体100に着脱可能に取り付けられる。
b 段落【0013】、【0015】、及び図3から、光源ユニット200は、長尺に形成された基板211の実装面211aに発光素子212が実装された発光素子基板210、発光素子基板210が取り付けられる長手形状で平板状をなす取付部221を有する保持部220、発光素子基板210を覆うカバー部230、及び器具本体100に取り付けられたバネ部130と係合する前記取付部221の裏面221bに設けられた連結金具250を備える。
c 段落【0015】から、保持部220は、取付部221と、取付部221の長手両側辺より発光素子基板210が取り付けられる面221aから裏面221bの方向に立設した第一の側面部222-1、及び第二の側面部222-2とを有する。
d 段落【0017】、【0018】、図6、及び図9から、カバー部230は、発光素子基板210を覆う凸形状をしている主部231、一対のカバー側壁部232、保持部220の第一の側面部222-1及び第二の側面部222-2の先端部と当接する一対の上側支持部233、取付部221に当接する一対の下側支持部234を備え、一対の下側支持部234は、一対の上側支持部233に連続し、一対の上側支持部233は、一対のカバー側壁部232の終端部Eに連続する。
e 段落【0050】、【0053】、図8、及び図26から、一対の上側支持部233の各係合部233bの内側表面と、第一の側面部222-1の上端部222-1aの外側表面及び第二の側面部222-2の上端部222-2aの外側表面は、線接触する。
(イ)甲2発明
前記(ア)から、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「長尺状の照明器具300の長尺状の器具本体100に着脱可能に取り付けられる光源ユニット200であって(前記(ア)a)、
前記光源ユニット200は、長尺に形成された基板211の実装面211aに発光素子212が実装された発光素子基板210、前記発光素子基板210が取り付けられる長手形状で平板状をなす取付部221を有する保持部220、前記発光素子基板210を覆うカバー部230、及び前記器具本体100に取り付けられたバネ部130と係合する前記取付部221の裏面221bに設けられた連結金具250を備え(前記(ア)b)、
前記保持部220は、前記取付部221と、前記取付部221の長手両側辺より発光素子基板210が取り付けられる面221aから前記裏面221bの方向に立設した第一の側面部222-1、及び第二の側面部222-2を有し(前記(ア)c)、
前記カバー部230は、前記発光素子基板210を覆う凸形状をしている主部231、一対のカバー側壁部232、前記保持部220の第一の側面部222-1及び第二の側面部222-2の先端部と当接する一対の上側支持部233、前記取付部221に当接する一対の下側支持部234を備え、前記一対の下側支持部234は、前記一対の上側支持部233に連続し、前記一対の上側支持部233は、前記一対のカバー側壁部232の終端部Eに連続し(前記(ア)d)、
前記一対の上側支持部233の各係合部233bの内側表面と、前記第一の側面部222-1の上端部222-1aの外側表面及び前記第二の側面部222-2の上端部222-2aの外側表面は、線接触する(前記(ア)e)
光源ユニット200。」
イ 甲3
(ア)認定事項
甲3の段落【0016】~【0018】、【0020】~【0025】、【0054】、及び図1~図4から、甲3には、次の事項が示されていると認める。
a 段落【0016】、【0021】、【0022】、図1、図2、及び図4から、LED光源ユニット100は、長尺状の照明器具1000の長尺状の本体ユニット200の凹部211に収容される。
b 段落【0017】、【0018】、【0021】、及び図2から、LED光源ユニット100は、表面(実装面)12にLED11が実装されたLED実装基板10、LED実装基板10が取り付けられる取付部材20、及び長尺状のカバー部材30を含む。
c 段落【0020】、【0021】、図2、及び図3から、取付部材20は、一対の底部21、一対の側壁部22、及び土台部23で構成され、LED実装基板の実装面12とは反対側の面に2つ配置され、各底部21はLED実装基板10に固定され、各側壁部22に設けられた1つの係止穴25と土台部23に設けられた2つの係止穴26に、本体ユニット200に設けられた板バネ状係止片が係止される。
d 段落【0023】~【0025】、【0054】から、カバー部材30は、LED実装基板10の実装面12を覆うカバー部31と、LED実装基板10を収容するレール部32とを含み、カバー部31は、カバー部材30の短手方向Xにおける一対の縁部Hに、本体ユニット200の凹部211の開口よりも外側に延出する一対の延出領域33を有し、一対の延出領域33は、本体ユニット200の一対の開口縁部Lに対向する部分に摩擦低減部35を有する。
(イ)甲3発明
前記(ア)から、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「長尺状の照明器具1000の長尺状の本体ユニット200の凹部211に収容されるLED光源ユニット100であって(前記(ア)a)、
前記LED光源ユニット100は、実装面12にLED11が実装されたLED実装基板10、前記LED実装基板10が取り付けられる取付部材20、及び長尺状のカバー部材30を含み(前記(ア)b)、
前記取付部材20は、一対の底部21、一対の側壁部22、及び土台部23で構成され、前記LED実装基板の前記実装面12とは反対側の面に2つ配置され、各前記底部21は前記LED実装基板10に固定され、各前記側壁部22に設けられた1つの係止穴25と前記土台部23に設けられた2つの係止穴26に、前記本体ユニット200に設けられた板バネ状係止片が係止され(前記(ア)c)、
前記カバー部材30は、前記LED実装基板10の前記実装面12を覆うカバー部31と、前記LED実装基板10を収容するレール部32とを含み、前記カバー部31は、前記カバー部材30の短手方向Xにおける一対の縁部Hに、前記本体ユニット200の前記凹部211の開口よりも外側に延出する一対の延出領域33を有し、前記一対の延出領域33は、前記本体ユニット200の一対の開口縁部Lに対向する部分に摩擦低減部35を有する(前記(ア)d)、
LED光源ユニット100。」
ウ 甲6
甲6の段落【0018】、【0021】、【0024】、【0025】、及び図2から、甲6には、次の事項(以下「甲6記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「照明装置1の器具本体10に係止され、光源として用いる複数のLED21を実装した実装基板20を内蔵するカバーユニット30において、前記カバーユニット30は、透過・拡散性と若干の反射・拡散性を有する表カバー部31と高反射性と拡散性を有する裏カバー部32とからなるプラスチックにより一体に成形され、前記実装基板20は、両端33a、33bが折り曲げられて前記裏カバー部32の爪部32c、32dにそれぞれ係止する金属製基板ホルダー33の付勢力により前記裏カバー部32に押しつけられてそこに固定されること。」
エ 甲8
甲8の段落【0003】、【0033】、及び図4から、甲8には、次の事項(以下「甲8記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「天井用照明器具の器具本体1の下面側に回転引掛け式に着脱自在に装着される円形かつ椀状の透光カバー6において、前記透光カバー6の周縁部に柔軟体5を装着し、前記柔軟体5は前記透光カバー6に接着される基部と該基部に植毛された毛様部を具備するものであり、前記器具本体1の下面を前記柔軟体5における前記毛様部に圧接させ、前記器具本体1・透光カバー6間の摩擦力を小さくすること。」
オ 甲9
(ア)認定事項
甲9の段落【0013】、【0016】、【0017】、【0019】~【0023】、【0028】、【0030】、【0031】、【0033】、【0035】、図1、図2、及び図4から、甲9には、次の事項が示されていると認められる。
a 段落【0013】及び図1から、光源ユニット2は、長尺状の照明器具1の長尺状の器具本体10に対して着脱可能に取り付けられる。
b 段落【0016】、【0017】、【0019】、【0020】から、光源ユニット2は、表面に複数のLED220が実装された長い矩形板状の基板221を有する複数のLEDモジュール22、LEDモジュール22が配置された長尺の矩形平板状の底板211を有する取付部材21、カバー23、シート部材5を備える。
c 段落【0019】、【0021】から、取付部材21は、底板211、底板211の左右方向に沿った両端から上向きに突出する一対の側板212、一対の側板212の上端にそれぞれ設けられる被引掛部213、底板の211の左右両端近傍に設けられる一対の引掛金具214及び一対の引掛ばね215を有し、一対の引掛金具214は、器具本体10の側板112に設けられている引掛孔112Aに引っ掛けられ、一対の引掛ばね215は、器具本体10に設けられているばね受け金具1120に引っ掛けられる。
d 段落【0022】、【0023】、【0028】、図1、及び図2から、カバー23は、長尺状であり、短手方向において両端から中央に行くほど下方への突出量が大きくなるような凸レンズ形状の曲面部231を有し、短手方向における両端部には、上下方向において器具本体10の凹部11の開口端縁と重なる延出部232がそれぞれ設けられ、短手方向において延出部232の内側には、上向きに突出する突壁部233がそれぞれ全長に亘って設けられ、各突壁部233の先端には内向きに突出する引掛部234がそれぞれ設けられ、各突壁部233の根元近くには、それぞれ内向きに突出する接触片235が突出し、短手方向における両端部よりも内側で、前記各引掛部234が、前記取付部材21の前記被引掛部213に引っ掛けられ、かつ、前記各接触片235が前記取付部材21の前記底板211の下面に接する。
e 段落【0030】、【0031】、【0033】、【0035】、及び図4から、一対の接触片235の取付部材21の底板211と対向する面(上面)に、長手方向に沿った2つのリブ236が、短手方向に間隔を空けて並ぶように設けられ、一対の引掛部234の被引掛部213と対向する内側の側面に、長手方向に沿った2つのリブ236が、短手方向に間隔を空けて並ぶように設けられ、短手方向に間隔を空けて並ぶ2つのリブの間は平坦部であり、取付部材21とカバー23の間にシート部材5が介在し、接触片235は、シート部材5の第1接触部50とリブ236の先端でのみ接触し、引掛部234は、シート部材5の第2接触部51とリブ236の先端でのみ接触し、シート部材5は、取付部材21と接触する第1面及びカバー23と接触する第2面の少なくともいずれか一方の摩擦係数を取付部材21及びカバー23の摩擦係数よりも小さくするように構成される。
(イ)甲9発明
前記(ア)から、甲9には、次の発明(以下「甲9発明」という。)が記載されていると認められる。
「長尺状の照明器具1の長尺状の器具本体10に対して着脱可能に取り付けられる光源ユニット2であって(前記(ア)a)、
前記光源ユニット2は、表面に複数のLED220が実装された長い矩形板状の基板221を有する複数のLEDモジュール22、前記LEDモジュール22が配置された長尺の矩形平板状の底板211を有する取付部材21、カバー23、シート部材5を備え(前記(ア)b)、
前記取付部材21は、前記底板211、前記底板211の左右方向に沿った両端から上向きに突出する一対の側板212、前記一対の側板212の上端にそれぞれ設けられる被引掛部213、前記底板の211の左右両端近傍に設けられる一対の引掛金具214及び一対の引掛ばね215を有し、前記一対の引掛金具214は、前記器具本体10の側板112に設けられている引掛孔112Aに引っ掛けられ、前記一対の引掛ばね215は、前記器具本体10に設けられているばね受け金具1120に引っ掛けられ(前記(ア)c)、
前記カバー23は、長尺状であり、短手方向において両端から中央に行くほど下方への突出量が大きくなるような凸レンズ形状の曲面部231を有し、短手方向における両端部には、上下方向において前記器具本体10の凹部11の開口端縁と重なる延出部232がそれぞれ設けられ、短手方向において前記延出部232の内側には、上向きに突出する突壁部233がそれぞれ全長に亘って設けられ、前記各突壁部233の先端には内向きに突出する引掛部234がそれぞれ設けられ、前記各突壁部233の根元近くには、それぞれ内向きに突出する接触片235が突出し、短手方向における両端部よりも内側で、前記各引掛部234が、前記取付部材21の前記被引掛部213に引っ掛けられ、かつ、前記各接触片235が前記取付部材21の前記底板211の下面に接し(前記(ア)d)、
前記一対の接触片235の前記取付部材21の前記底板211と対向する面(上面)に、長手方向に沿った2つのリブ236が、短手方向に間隔を空けて並ぶように設けられ、前記一対の引掛部234の被引掛部213と対向する内側の側面に、長手方向に沿った2つのリブ236が、短手方向に間隔を空けて並ぶように設けられ、短手方向に間隔を空けて並ぶ前記2つのリブ236の間は平坦部であり、前記取付部材21と前記カバー23の間に前記シート部材5が介在し、前記接触片235は、前記シート部材5の第1接触部50と前記リブ236の先端でのみ接触し、前記引掛部234は、前記シート部材5の第2接触部51と前記リブ236の先端でのみ接触し、前記シート部材5は、前記取付部材21と接触する第1面及び前記カバー23と接触する第2面の少なくともいずれか一方の摩擦係数を前記取付部材21及び前記カバー23の摩擦係数よりも小さくするように構成される(前記(ア)e)、
光源ユニット2。」
(2)申立理由(1)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
a 後者の「長尺状の照明器具300」は、「発光素子212が実装された発光素子基板210」「を備え」た「光源ユニット200」を含むものなので、前者の「長尺状のLED照明器具」に相当する。
そして、後者の「長尺状の器具本体100」は、前者の「長尺状の本体部」に相当するので、後者の「長尺状の照明器具300の長尺状の器具本体100」は、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部」に相当する。
b 前記aから、後者の「前記器具本体100に取り付けられたバネ部130と係合する」「連結金具250」と、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部」は、「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部」で共通する。
c 後者の「長尺に形成された基板211の実装面211aに発光素子212が実装された発光素子基板210」は、前者の「LED実装基板」に相当する。
そして、後者の「前記発光素子基板210を覆うカバー部230」は、「発光素子基板210」が「長尺に形成された基板211」を含むので、前者の「長尺状のカバー部材」に相当する。
d 前記b及びcから、後者の「前記器具本体100に取り付けられたバネ部130と係合する」「連結金具250」が「裏面221bに設けられた」「前記取付部221」であって、「前記発光素子基板210が取り付けられる長手形状で平板状をなす取付部221を有する保持部220」と、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材」は、「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材」で共通する。
e 前記a~dの限りにおいて、後者の光源ユニット200」は、前者の「LED光源ユニット」に相当する。
f 後者の「前記カバー部230」の「前記保持部220の第一の側面部222-1及び第二の側面部222-2の先端部と当接する一対の上側支持部233」及び「前記取付部221に当接する一対の下側支持部234」であって、「前記一対の下側支持部234」が「前記一対の上側支持部233に連続し、前記一対の上側支持部233」が「前記一対のカバー側壁部232の終端部Eに連続」する「一対の上側支持部233」及び「一対の下側支持部234」は、互いに「連続する」「上側支持部233」及び「下側支持部234」からなるものが、「カバー部230」の「一対のカバー側壁部232」のそれぞれの「終端部E」に設けられているといえるので、互いに「連続する」「上側支持部233」及び「下側支持部234」からなるものは、「カバー部230」の短手方向両端部側にそれぞれ形成されているといえる。
一方、前者の「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」「からなり、」との記載において、「その短手方向両側端部」の「その」は、「前記カバー部材の」を意味すると認められる。
そうすると、前記dから、後者の「前記カバー部230」の「前記保持部220の第一の側面部222-1及び第二の側面部222-2の先端部と当接する一対の上側支持部233」及び「前記取付部221に当接する一対の下側支持部234」であって、「前記一対の下側支持部234」が「前記一対の上側支持部233に連続し、前記一対の上側支持部233」が「前記一対のカバー側壁部232の終端部Eに連続」する「一対の上側支持部233」及び「一対の下側支持部234」と、前者の「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」は、「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材と接触する2つの接触部」で共通する。
g 後者の「前記カバー部230」の「前記発光素子基板210を覆う凸形状をしている主部231」は、「一対のカバー側壁部232」を介して「一対の上側支持部233」及び「一対の下側支持部234」と連続することは明らかである。
そうすると、後者の「前記カバー部230」の「前記発光素子基板210を覆う凸形状をしている主部231」及び「一対のカバー側壁部232」は、前記fの限りにおいて、前者の「2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部」に相当する。
h 前記f、gから、後者の「前記カバー部230は、前記発光素子基板210を覆う凸形状をしている主部231、一対のカバー側壁部232、前記保持部220の第一の側面部222-1及び第二の側面部222-2の先端部と当接する一対の上側支持部233、前記取付部221に当接する一対の下側支持部234を備え」ることと、前者の「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからな」ることは、「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからな」ることで共通する。
i 後者の「連結金具250」が「前記取付部221の裏面221bに設けられ」、「前記保持部220」が「前記取付部221の長手両側辺より発光素子基板210が取り付けられる面221aから前記裏面221bの方向に立設した第一の側面部222-1、及び第二の側面部222-2を有し、」「前記カバー部230」の「前記保持部220の前記第一の側面部222-1及び前記第二の側面部222-2の先端部と当接する一対の上側支持部233」及び「前記取付部221に当接する一対の下側支持部234」であって、「前記一対の下側支持部234」が「前記一対の上側支持部233に連続し、前記一対の上側支持部233」が「前記一対のカバー側壁部232の終端部Eに連続」することは、「前記一対の上側支持部233」と「前記一対のカバー側壁部232の終端部E」が「連続」する箇所が、「第一の側面部222-1」及び「第二の側面部222-2」よりも外側にあることは明らかなので、前記f及びgの限りにおいて、前者の「前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続して」いることに相当する。
j 前記fを踏まえると、後者の「前記一対の上側支持部233の各係合部233bの内側表面と、前記第一の側面部222-1の上端部222-1aの外側表面及び前記第二の側面部222-2の上端部222-2aの外側表面は、線接触」することと、前者の「前記接触部は、前記取付部材の前記取付部と対向する面において、前記取付部材の前記取付部と接触しない平坦部と、前記取付部材の前記取付部と接触する凸部と、からな」ることは、「前記接触部は、前記取付部材と対向する面において、接触する」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲2発明は、
「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材と、長尺状のカバー部材と、を含むLED光源ユニットであって、
前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからなり、
前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、
前記接触部は、前記取付部材と対向する面において、接触するLED光源ユニット。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点2-1]
被取付部に関して、本件発明1は、長尺状の本体部の「短手方向両端部に形成された」被取付部であるのに対して、甲2発明では、前記器具本体100に取り付けられたバネ部130の形成位置が定かではない点。
[相違点2-2]
接触部に関して、本件発明1は、長尺状の本体部の被取付部に取り付けるための「取付部」と接触する接触部であり、それゆえ、接触部は、取付部材の「前記取付部」と対向する面において、「取付部材の前記取付部と接触しない平坦部と、取付部材の前記取付部と接触する凸部と、からなり前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面における摩擦係数を、前記カバー部表面の摩擦係数より小さく」するのに対して、甲2発明は、「前記保持部220の第一の側面部222-1及び第二の側面部222-2の先端部」と当接する一対の上側支持部233、「前記取付部221」に当接する一対の下側支持部234であり、「前記一対の上側支持部233の各係合部233bの内側表面と、前記第一の側面部222-1の上端部222-1aの外側表面及び前記第二の側面部222-2の上端部222-2aの外側表面は、線接触」する点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点2-2について検討する。
前記(ア)bから、甲2発明において、連結金具250が、光源ユニット200を器具本体100の被取付部であるバネ部130に取り付けるための取付部であると認められるところ、甲2には、連結金具250に一対の上側支持部233及び一対の下側支持部234を接触させて、カバー部230を支持することについては記載も示唆もされていない。
そして、甲2の段落【0052】の記載によれば、甲2は、一対の上側支持部233の各係合部233bの内側表面と、第一の側面部222-1の上端部222-1aの外側表面及び前記第二の側面部222-2の上端部222-2aの外側表面を線接触させて、カバー部230を保持部220に取り付けることによって、カバー部230と保持部220の寸法管理の精度を緩和し、部品製造の歩留まりを上げ部品コストを下げるものである。
そうすると、甲2発明において、連結金具250に対して一対の上側支持部233及び一対の下側支持部234を接触させて、カバー部230を支持することには、動機付けはなく、また、阻害要因があるとも認められる。
そして、甲4~甲8及び甲10にも、光源ユニットを本体部の被取付部に取り付けるための、光源ユニットの取付部に対してカバー部材を支持させることについては、記載も示唆もされていない。
したがって、甲2発明において、甲4~甲8及び甲10記載事項を踏まえ、相違点2-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ないことである。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲4~甲8及び甲10記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記ア(イ)と同様の理由により、本件発明2~6は、甲2発明及び甲4~甲8及び甲10記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
以上のとおり、本件発明1~6は、甲2発明及び甲4~甲8及び甲10記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではく、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(1)によって、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
(3)申立理由(2)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
a 後者の「長尺状の照明器具1000」は、「LED光源ユニット100」を含むものなので、前者の「長尺状のLED照明器具」に相当する。
そして、後者の「長尺状の本体ユニット200」は、前者の「長尺状の本体部」に相当するので、後者の「長尺状の照明器具1000の長尺状の本体ユニット200」は、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部」に相当する。
b 後者の「前記本体ユニット200に設けられた板バネ状係止片」と、前者の「長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部」は、「長尺状の本体部に形成された被取付部」で共通する。
c 後者の「実装面12にLED11が実装されたLED実装基板10」は、前者の「LED実装基板」に相当する。
そして、前記a及びbから、後者の「前記本体ユニット200に設けられた板バネ状係止片が係止され」る「1つの係止穴25」が「設けられた」「一対の側壁部22」及び「2つの係止穴26」が「設けられた」「土台部23」、及び「前記LED実装基板10に固定され」る「一対の底部21」「で構成され」る「前記LED実装基板10が取り付けられる取付部材20」と、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材」は、「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された取付部材」で共通する。
d 後者の「長尺状のカバー部材30」は、前者の「長尺状のカバー部材」に相当する。
e 前記a~dの限りにおいて、後者の「LED光源ユニット100」は、前者「LED光源ユニット」に相当する。
f 後者の「前記LED実装基板10の前記実装面12を覆うカバー部31」は、後者の「前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部」に相当する。
そして、前記dを踏まえると、後者の「前記カバー部材30は、前記LED実装基板10の前記実装面12を覆うカバー部31と、前記LED実装基板10を収容するレール部32とを含」むことと、前者の「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからな」ることは、「前記カバー部材は、前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部を含む」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲3発明は、
「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された取付部材と、長尺状のカバー部材と、を含むLED光源ユニットであって、
前記カバー部材は、前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部を含むLED光源ユニット。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点3-1]
LED光源ユニットに関して、本件発明1は、長尺状の本体部の「短手方向両端部に形成された」被取付部に取り付けるための取付部を有する「長尺状の」取付部材を含むLED光源ユニットであるのに対して、甲3発明は、長尺状の本体ユニット200の「凹部211に収容される」LED光源ユニット100であり、光源ユニット100が、「前記LED実装基板の前記実装面12とは反対側の面に2つ配置され」る取付部材20を含み、取付部材20の「側壁部22」の「1つの係止穴25」と「土台部23」の「2つの係止穴26」が本体ユニット200の「板バネ状係止片」と係止するものである点。
[相違点3-2]
本件発明1は、前記カバー部材は、「その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し」前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、「のみからなり、前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、前記接触部は、前記取付部材の前記取付部と対向する面において、前記取付部材の前記取付部と接触しない平坦部と、前記取付部材の前記取付部と接触する凸部と、からなり、前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面における摩擦係数を、前記カバー部表面の摩擦係数より小さ」いのに対して、甲3発明は、前記カバー部材30は、前記LED実装基板10の前記実装面12を覆うカバー部31と、「前記LED実装基板10を収容するレール部32とを含み、前記カバー部31は、前記カバー部材30の短手方向Xにおける一対の縁部Hに、前記本体ユニット200の前記凹部211の開口よりも外側に延出する一対の延出領域33を有し、前記一対の延出領域33は、前記本体ユニット200の一対の開口縁部Lに対向する部分に摩擦低減部35を有」する点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-2について検討する。
甲3は、本体ユニット200の凹部211に収容されるLED光源ユニット100において、LED光源ユニット100のカバー部材30と本体ユニット200の凹部211の開口縁部の摩擦を低減させるものであり、LED光源ユニット100の取付部である取付部材20の側壁部22及び土台部23とカバー部材30の接触部分の摩擦の低減については、記載も示唆もされていない。
そして、甲4~甲8及び甲10にも、光源ユニットを本体部の被取付部に取り付けるための光源ユニットの取付部とカバー部材の接触部分の摩擦を低減させることについては、記載も示唆もされていない。
したがって、甲3発明において、甲4~甲8及び甲10記載事項を踏まえ、相違点3-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ないことである。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲4~甲8及び甲10記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記ア(イ)と同様の理由により、本件発明2~6は、甲3発明及び甲4~甲8及び甲10記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
以上のとおり、本件発明1~6は、甲3発明及び甲4~甲8及び甲10記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではく、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(2)によって、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
(4)申立理由(3)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲9発明を対比する。
a 後者の「長尺状の照明器具1」は、「LEDモジュール22」を「備え」た「光源ユニット2」を含むものなので、前者の「長尺状のLED照明器具」に相当する。
そして、後者の「長尺状の器具本体10」は、前者の「長尺状の本体部」に相当するので、後者の「長尺状の照明器具1の長尺状の器具本体10」は、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部」に相当する。
b 後者の「表面に複数のLED220が実装された長い矩形板状の基板221」は、前者の「LED実装基板」に相当する。
そして、前記aから、後者の「表面に複数のLED220が実装された長い矩形板状の基板221を有する複数のLEDモジュール22」「が配置された長尺の矩形平板状の底板211を有する取付部材21」であって、「前記器具本体10の側板112に設けられている引掛孔112Aに引っ掛けられ」る「前記一対の引掛金具214」及び「前記器具本体10に設けられているばね受け金具1120に引っ掛けられ」る「前記一対の引掛ばね215」を「有」する「前記取付部材21」と、前者の「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部の短手方向両端部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材」は、「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材」で共通する。
c 後者の「長尺状であ」る「カバー23」は、前者の「長尺状のカバー部材」に相当する。
d 前記a~cの限りにおいて、後者の「光源ユニット2」は、前者の「LED光源ユニット」に相当する。
e 後者の「短手方向において両端から中央に行くほど下方への突出量が大きくなるような凸レンズ形状の曲面部231」は、「LEDモジュール22」を覆うことは明らかなので、前者の「前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部」に相当する。
また、後者の「前記カバー23は、」「短手方向における両端部には、上下方向において前記器具本体10の凹部11の開口端縁と重なる延出部232がそれぞれ設けられ、短手方向において前記延出部232の内側には、上向きに突出する突壁部233がそれぞれ全長に亘って設けられ、前記各突壁部233の先端には内向きに突出する引掛部234がそれぞれ設けられ、前記各突壁部233の根元近くには、それぞれ内向きに突出する接触片235が突出」することにおいて、「前記カバー23」の「短手方向両端」部側に、「延出部232」、「突壁部233」、及び「接触片235」が設けられているといえる。
一方、前者の「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」「からなり、」との記載において、「その短手方向両側端部」の「その」は、「前記カバー部材の」を意味すると認められる。
そうすると、後者の「前記カバー23は、」「短手方向において両端から中央に行くほど下方への突出量が大きくなるような凸レンズ形状の曲面部231を有し、短手方向における両端部には、上下方向において前記器具本体10の凹部11の開口端縁と重なる延出部232がそれぞれ設けられ、短手方向において前記延出部232の内側には、上向きに突出する突壁部233がそれぞれ全長に亘って設けられ、前記各突壁部233の先端には内向きに突出する引掛部234がそれぞれ設けられ、前記各突壁部233の根元近くには、それぞれ内向きに突出する接触片235が突出し、短手方向における両端部よりも内側で、前記各引掛部234が、前記取付部材21の前記被引掛部213に引っ掛けられ、かつ、前記各接触片235が前記取付部材21の前記底板211の下面に接」することと、前者の「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからな」ることは、「前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからな」ることで共通する。
f 後者の「前記カバー23は」「短手方向において両端から中央に行くほど下方への突出量が大きくなるような凸レンズ形状の曲面部231を有し、短手方向における両端部には、上下方向において前記器具本体10の凹部11の開口端縁と重なる延出部232がそれぞれ設けられ」ることにおいて、「前記カバー23」の「短手方向における両端部」で「曲面部231」と「延出部232」は連続しているといえる。
そうすると、後者の「前記取付部材21は、」「前記底板211、前記底板211の左右方向に沿った両端から上向きに突出する一対の側板212、」「前記底板の211の左右両端近傍に設けられる一対の引掛金具214及び一対の引掛ばね215を有し、」「前記カバー23は、」「短手方向において両端から中央に行くほど下方への突出量が大きくなるような凸レンズ形状の曲面部231を有し、短手方向における両端部には、上下方向において前記器具本体10の凹部11の開口端縁と重なる延出部232がそれぞれ設けられ、短手方向において前記延出部232の内側には、上向きに突出する突壁部233がそれぞれ全長に亘って設けられ、前記各突壁部233の先端には内向きに突出する引掛部234がそれぞれ設けられ、前記各突壁部233の根元近くには、それぞれ内向きに突出する接触片235が突出し、短手方向における両端部よりも内側で、前記一対の引掛部234が、前記取付部材21の前記被引掛部213に引っ掛けられ、かつ、各前記接触片235が前記取付部材21の前記底板211の下面に接」することは、前記eの限りにおいて、前者の「前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続して」いることに相当する。
g 後者の「前記一対の接触片235の前記取付部材21の前記底板211と対向する面(上面)に、長手方向に沿った2つのリブ236が短手方向に間隔を空けて並ぶように設けられ、前記一対の引掛部234の被引掛部213と対向する内側の側面に、長手方向に沿った2つのリブ236が短手方向に間隔を空けて並ぶように設けられ、短手方向に間隔を空けて並ぶ前記2つのリブ236の間は平坦部であ」ることと、前者の「前記接触部は、前記取付部材の前記取付部と対向する面において、前記取付部材の前記取付部と接触しない平坦部と、前記取付部材の前記取付部と接触する凸部と、からな」ることは、「前記接触部は、前記取付部材と対向する面において、前記取付部材と接触しない平坦部と、前記取付部材と接触する凸部と、からな」ることで共通する。
h 後者の「前記取付部材21と前記カバー23の間に前記シート部材5が介在し、前記接触片235は、前記シート部材5の第1接触部50と前記リブ236の先端でのみ接触、前記引掛部234は、前記シート部材5の第2接触部51と前記リブ236の先端でのみ接触し、前記シート部材5は、前記取付部材21と接触する第1面及び前記カバー23と接触する第2面の少なくともいずれか一方の摩擦係数を前記取付部材21及び前記カバー23の摩擦係数よりも小さくするように構成される」ことと、前者の「前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面における摩擦係数を、前記カバー部表面の摩擦係数より小さくした」ことは、「前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面と前記カバー部表面の摩擦を小さくした」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲9発明は、
「長尺状のLED照明器具における長尺状の本体部に形成された被取付部に取り付けるための取付部を有しLED実装基板が配置された長尺状の取付部材と、長尺状のカバー部材と、を含むLED光源ユニットであって、
前記カバー部材は、その短手方向両端部側に形成され前記取付部材と接触する2つの接触部と、2つの前記接触部と連続し前記LED実装基板の実装面を覆う1つのカバー部、のみからなり、
前記カバー部は、前記取付部材の前記取付部からみて外側となる前記接触部の位置において前記接触部と連続しており、
前記接触部は、前記取付部材と対向する面において、前記取付部材と接触しない平坦部と、前記取付部材と接触する凸部と、からなり、
前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面と前記カバー部表面の摩擦を小さくしたLED光源ユニット。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点9-1]
被取付部に関して、本件発明1は、本体部の「短手方向両端部に形成された」被取付部であるのに対して、甲9発明は、器具本体10の「側板112に設けられている引掛孔112A」及び「ばね受け金具1120」であり、「側板112」は器具本体10の短手方向両端部には位置せず、「ばね受け金具1120」は、その形成位置が定かではない点。
[相違点9-2]
接触部に関して、本件発明1は、長尺状の本体部の被取付部に取り付けるための「取付部」と接触する接触部であり、それゆえ、接触部は、取付部材の「前記取付部」と対向する面において、取付部材の「前記取付部」と接触しない平坦部と、取付部材の「前記取付部」と接触する凸部と、からなるのに対して、甲9発明は、「取付部材20」の「前記底板211」及び「前記底板211の左右方向に沿った両端から上向きに突出する一対の側板212」の「上端にそれぞれ設けられる被引掛部213」と接触するカバー23の「前記一対の接触片235の前記取付部材21の前記底板211と対向する面(上面)」及び「前記一対の引掛部234の被引掛部213と対向する内側の側面であ」り、これらの「対向する面」に長手方向に沿った2つのリブ236が設けられる点。
[相違点9-3]
摩擦の低減に関して、本件発明1は、「前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面における摩擦係数を、前記カバー部表面の摩擦係数より小さくした」のに対して、甲9発明は、「前記取付部材21と前記カバー23の間に前記シート部材5が介在し、」接触片235は、「前記シート部材5の第1接触部50と前記リブ236の先端でのみ接触し、」引掛部234は、「前記シート部材5の第2接触部51と前記リブ236の先端でのみ接触し、前記シート部材5は、前記取付部材21と接触する第1面及び前記カバー23と接触する第2面の少なくともいずれか一方の摩擦係数を前記取付部材21及び前記カバー23の摩擦係数よりも小さくするように構成される」点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点9-2について検討する。
前記(ア)bから、甲9発明において、一対の引掛金具214及び一対の引掛ばね215が、光源ユニット2を器具本体10の被取付部である引掛孔112A及びばね受け金具1120に取り付けるための取付部であると認められる。
そうすると、相違点9-2は、実質的な相違点であるので、本件発明1と甲9発明は同一ではない。
また、甲9発明において、カバー23の一対の引掛部234及び一対の接触片235を一対の引掛金具214及び一対の引掛ばね215に対して接触させて、カバー23を支持するように構成し、相違点9-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることが、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないとはいえず、すなわち、課題解決のための具体化手段における微差であるとは認められないので、本件発明1は、甲9発明と実質同一でもない。
イ 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記ア(イ)と同様の理由により、本件発明2~6は、甲9発明と同一ではなく、実質同一でもない。
ウ 小括
以上のとおり、本件発明1~6は、甲9発明1と同一でも、実質同一でもないから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(3)によって、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
(5)申立理由(4)について
ア 申立理由(4)の概要
特許異議申立書における申立理由(4)の概要は、要するに、請求項1に記載された「凸部表面における摩擦係数」及び「カバー部表面の摩擦係数」が、それぞれどの部材との間の接触面における摩擦係数を表しているか不明確であるというものである。
イ 申立理由(4)の検討
請求項1には、「接触部」に関して、「前記取付部材の前記取付部と接触する2つの接触部」との記載、「前記接触部は、前記取付部材の前記取付部と対向する面において、前記取付部材の前記取付部と接触しない平坦部と、前記取付部材の前記取付部と接触する凸部と、からなり、」との記載、「前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面における摩擦係数を、前記カバー部表面の摩擦係数より小さくした」との記載があるところ、これらの記載からは、「凸部表面における摩擦係数」及び「カバー部表面の摩擦係数」が、何を対象とした摩擦係数であるかは、直ちに明らかとはいえない。
そこで、本件明細書等をみると、本件特許の課題は、段落【0005】及び【0006】の記載から、取付部材およびカバー部材の接触面での音鳴りの発生の抑制であると認められる。
そして、本件明細書等の段落【0020】には、「本実施形態のLED光源ユニット100では、カバー部材30が、前記凸部において、取付部材20と接触しており、且つ、前記凸部表面の摩擦係数が、カバー部31表面の摩擦係数よりも小さい。このため、本実施形態のLED光源ユニット100によれば、カバー部材30と取付部材20との接触面積が小さくなり、両者の間に生じる摩擦力が低減することで、LED11を点灯または消灯したときに発生する音鳴りを抑制できる。」との記載がある。
すなわち、本件明細書等では、カバー部材30と取付部材20の接触部の摩擦力の低減によって、本件特許の課題を解決し得ることが記載されていると認められる。
そうすると、本件明細書等の記載を踏まえれば、請求項1に記載された「凸部表面における摩擦係数」は、「前記取付部材の前記取付部」との間の摩擦係数であり、「凸部表面」と「前記取付部」との間の摩擦力の低減のために、「凸部表面における摩擦係数」を小さくするのであるから、「凸部表面における摩擦係数」との比較対象である「カバー部表面の摩擦係数」も、当然に同じ対象である「前記取付部材の前記取付部」との間の摩擦係数であることが、当業者であれば理解できるものと認められる。
したがって、請求項1の記載は、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。
よって、本件発明1及びこれを引用する本件発明2~6は明確である。
以上のとおりであるから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないので、申立理由(4)によって、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
(6)申立理由(5)について
ア 申立理由(5)の概要
特許異議申立書における申立理由(5)の概要は、要するに、摩擦係数は、材料に加え、接触面の表面粗さ、接触部の形状等を踏まえ、総合的に定まるものであるところ、本件の明細書には、一般的なポリカーボネートに関する記載しかなく、どのような材料かつどのような形状の場合に摩擦係数が決まるかについて記載がないので、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではないというものである。
イ 申立理由(5)の検討
本件明細書等をみると、本件特許の課題は、段落【0005】及び【0006】の記載から、取付部材およびカバー部材の接触面での音鳴りの発生の抑制であると認められる。
そして、本件明細書等には、本件特許の課題解決に関して、以下の記載がある。
(ア)「【0020】
・・・本実施形態のLED光源ユニット100では、カバー部材30が、前記凸部において、取付部材20と接触しており、且つ、前記凸部表面の摩擦係数が、カバー部31表面の摩擦係数よりも小さい。このため、本実施形態のLED光源ユニット100によれば、カバー部材30と取付部材20との接触面積が小さくなり、両者の間に生じる摩擦力が低減することで、LED11を点灯または消灯したときに発生する音鳴りを抑制できる。」
(イ)「【0022】
・・・接触部32の形成材料として、カバー部31の形成材料よりも摩擦係数が小さく、且つ、光反射率が高い材料を用いることで、前記条件(1)および前記条件(2)を充足させることができる。この場合において、カバー部31の形成材料としては、例えば、光透過性のポリカーボネート、アクリル樹脂等があげられ、接触部32の形成材料としては、例えば、拡散剤を含むポリカーボネート等があげられる。・・・
【0023】
・・・例えば、一般グレードの樹脂材料に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)添加剤を5~30重量%程度配合することにより、摺動性が改善された(摩擦係数の小さい)すべり材に適した材料が市販されている。具体的には、一般グレードの樹脂材料に、PTFE添加剤を10重量%配合することにより、摩擦係数が約50~60%となる例がある。この例の場合、一般的なポリカーボネートの摩擦係数を0.88とすると、摺動性が改善されたポリカーボネートの摩擦係数は、約0.44~0.53程度まで小さくできる。
【0024】
第二の方法は、カバー部材30において、接触部32の表面を、カバー部31の表面とは異なる材料で被覆する方法である。具体的には、例えば、接触部32表面を、カバー部31表面の形成材料よりも摩擦係数が小さく、且つ、光反射率が高い材料で被覆することで、前記条件(1)および前記条件(2)を充足させることができる。この場合において、例えば、カバー部材30全体(カバー部31及び接触部32)をポリカーボネート、アクリル樹脂等で一体成形した後、接触部32表面を、拡散剤を含むポリカーボネート等で被覆すれば、前述の第一の方法よりも、さらにカバー部材30の材料費を低減できる。」
すなわち、前記(ア)及び(イ)から、本件明細書等には、接触部32と取付部材20との間の摩擦力を低減するために、接触部32の形成材料として、カバー部31の形成材料よりも摩擦係数が小さいものとすること、及びその例として、カバー部31の形成材料として、光透過性のポリカーボネート、アクリル樹脂を用い、接触部32の形成材料として、拡散剤を含むポリカーボネートを用いることが記載され、これによって、カバー部31及び接触部32の双方を光透過性のポリカーボネート、アクリル樹脂で形成したときよりも、接触部32と取付部材20との間の摩擦力を低減でき、音鳴りを抑制できることが示されているといえる。
そして、本件明細書等の記載に接した当業者であれば、ポリカーボネート以外の、LED光源ユニットのカバー部材や接触部として用いられる他の材料についても、同様に構成することで課題解決が可能であることが理解できる。
そうすると、本件発明1は、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載されたものであり、本件特許の課題を解決するための手段が反映されているものであるといえる。
以上のとおりであるから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないので、申立理由(5)によって、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
(7)申立理由(6)について
ア 申立理由(6)の概要
特許異議申立書における申立理由(5)の概要は、要するに、摩擦係数は、材料に加え、接触面の表面粗さ、接触部の形状等を踏まえ、総合的に定まるものであるところ、本件の明細書には、一般的なポリカーボネートに関する記載しかなく、どのような材料かつどのような形状の場合に摩擦係数が決まるかについて記載がないので、本件の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明1~6を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものではないというものである。
イ 申立理由(6)の検討
前記(6)イで述べたように、本件明細書等には、接触部32と取付部材20との間の摩擦力を低減するために、接触部32の形成材料として、カバー部31の形成材料よりも摩擦係数が小さいものとすること、及びその例として、カバー部31の形成材料として、光透過性のポリカーボネート、アクリル樹脂を用い、接触部32の形成材料として、拡散剤を含むポリカーボネートを用いることが記載され、これによって、カバー部31及び接触部32の双方を光透過性のポリカーボネート、アクリル樹脂で形成したときよりも、接触部32と取付部材20との間の摩擦力を低減でき、音鳴りを抑制できることが示されているといえる。
そして、本件明細書等の記載に接した当業者であれば、ポリカーボネート以外の、LED光源ユニットのカバー部材や接触部として用いられる他の材料についても、同様に構成することで課題解決が可能であることが理解できる。
そうすると、本件明細書等の発明の詳細な説明は、本件発明1の「前記接触部の内の少なくとも前記凸部表面における摩擦係数を、前記カバー部表面の摩擦係数より小さく」することについて、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、実施することができる程度に記載さされていると認められる。
以上のとおりであるから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないので、申立理由(6)によって、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700188