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特許異議申立

2022-700270

土木建築用構造体、及び、滑り止め舗装構造体の製造方法

審判番号
2022-700270
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-248215
登録番号
6989243
請求日
2022年03月29日
審決日
2023年01月12日
公報発行日
2023年02月24日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】DIC株式会社
  • 【権利者代理人】小川 眞治
  • 【異議申立人】山口 雅行
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 前川 慎喜
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P1651.121-Y (E01C) / P1651.537-Y (E01C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
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特許第6989243号発明「土木建築用構造体、及び、滑り止め舗装構造体の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6989243号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6989243号の請求項1ないし6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願(以下、「本件特許出願」という。)は、平成27年12月21日に出願され、令和3年12月6日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月5日に特許掲載公報が発行され、その後、令和4年3月29日付けで特許異議申立人山口 雅行(以下「申立人」という。)より、請求項1ないし6に係る特許に対して、特許異議の申立てがされたものである(特許異議申立書について、以下「申立書」という。)。 第2 本件特許発明 特許第6989243号の請求項1ないし6の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、下記のとおりのものである(以下、請求項1ないし6の特許に係る発明を総称して「本件特許発明」、各請求項の特許に係る発明をそれぞれ「本件特許発明1」等という。)。 「【請求項1】 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)、並びに、ラジカル重合性樹脂(A)、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有するラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)を有する土木建築用構造体であって、前記ラジカル重合性樹脂(A)が、ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂であり、前記ラジカル重合性単量体(B)が、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体であることを特徴とする土木建築用構造体。 【請求項2】 前記硬化剤(C)が、ジアシルパーオキサイド化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、及びケトンパーオキサイド化合物からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の土木建築用構造体。 【請求項3】 前記硬化剤(C)が、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、及びアセチルアセトンパーオキサイドからなる群より選ばれる1種以上である請求項2記載の土木建築用構造体。 【請求項4】 前記硬化促進剤(D)が、有機酸のコバルト塩、及び/又は、アミン化合物である請求項1記載の土木建築用構造体。 【請求項5】 前記硬化促進剤(D)が、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、及び、トルイジン化合物からなる群より選ばれる1種以上である請求項4記載の土木建築用構造体。 【請求項6】 舗道(i)上に、エポキシ樹脂を塗布して下地(ii)を形成し、次いで前記下地(ii)上に骨材(iii)を散布し、更にその上に、ラジカル重合性樹脂(A)、芳香環を有し、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有するラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層(iv)を形成することにより得られる滑り止め舗装構造体の製造方法であって、前記ラジカル重合性樹脂(A)が、ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂であることを特徴とする滑り止め舗装構造体の製造方法。」 第3 申立された取消理由の概要 申立人が主張する取消理由の概要は以下のとおりである。 1 特許法第29条第2項(進歩性)(以下「取消理由1」という。) 本件特許発明1ないし6に係る特許は特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである旨主張し、次の証拠方法とともに以下のとおり主張している。 [証拠方法] 甲第1号証:特開2005-187683号公報 甲第2号証:国際公開第2014/002140号 甲第3号証:特開平7-33501号公報 甲第4号証:特開2013-141764号公報 甲第5号証:特開2008-207182号公報 甲第6号証:特開2004-203949号公報 甲第7号証:特開2009-292890号公報 甲第8号証:特開平6-305801号公報 甲第9号証:本件特許出願に係る令和3年2月5日付け拒絶理由通知書 甲第10号証:本件特許出願に係る令和3年4月8日提出手続補正書 甲第11号証:本件特許出願に係る令和3年4月8日提出意見書 (1)本件特許発明(分節) 申立人は、申立書において、本件特許発明について次のとおり分節している。 「【請求項1】 A1 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)、並びに、 B1 ラジカル重合性樹脂(A)、 C1 芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、 D1 硬化剤(C)、及び、 E 硬化促進剤(D)を含有する F1 ラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)を有する G1 土木建築用構造体であって、 B2 前記ラジカル重合性樹脂(A)が、ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂であり、 C2 前記ラジカル重合性単量体(B)が、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体であることを特徴とする G1 土木建築用構造体。 ・・・(請求項2ないし5について中略)・・・ 【請求項6】 H 舗道(i)上に、 A2 エポキシ樹脂を塗布して下地(ii)を形成し、 I 次いで前記下地(ii)上に骨材(iii)を散布し、更にその上に、 B1 ラジカル重合性樹脂(A)、 C1 芳香環を有し、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、 D1 硬化剤(C)、及び、 E1 硬化促進剤(D)を含有する F2 ラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層(iv)を形成することにより得られる G2 滑り止め舗装構造体の製造方法であって、 B2 前記ラジカル重合性樹脂(A)が、ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂であることを特徴とする G2 滑り止め舗装構造体の製造方法。」 (申立書6頁下から11行~8頁6行) (2)対比 (「A1」等の記号は、上記(1)に摘記した本件特許発明の分節を指す。) ア 本件特許発明1について (ア)本件特許発明1と甲第1号証及び甲第4号証乃至甲第8号証との対比 a 「本件特許発明1と甲第1号証を対比する。 甲第1号証は、土木建築用構造物を開示するものであり(甲第1号証:【0001】【0008】)、 甲第1号証には、 少なくとも飽和水分以下の水分を含む乾燥乃至湿潤下地上に樹脂塗膜を形成するに際し、下地上に、 (A)液状エポキシ樹脂、 (B)液状ポリアミン、 (C)低粘度脂肪族エポキシ化合物、 及び(D)シランカップリング剤を含有してなるプライマーを塗布した後、該塗布層の上に樹脂塗膜材を塗布・積層してなる防水構造、が記載され(【請求項5】)、(1)コンクリートに対する接着性、(2)接着力の耐水耐久性、(3)剥離接着性、(4)低粘度及び(5)広範な塗膜樹脂に対して接着性を目的の一つとしている(甲第1号証:【0007】)。 さらに甲第1号証の実施例2では、エポキシ樹脂を主成分とするプライマーを塗布・乾燥して、塗布層を形成し、該塗布層上に、樹脂塗膜材として、MMA樹脂(シリカルR17D:三井化学産資(株)品)を塗布して、樹脂塗膜構造物を得、その評価を行っている(甲第1号証:【0024】【0027】の【表1】。) 実施例2において、樹脂塗膜材として使用されているMMA樹脂であるシリカルR17D(三井化学産資(株)品)は、甲第8号証によれば、シリカルがメチルメタクリレートを主成分とし、副成分として、他の(メタ)アクリレート系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリレート系重合体を含有し、さらに必要に応じて耐候安定剤、可塑剤等が配合され、さらに重合促進剤として第3アミンを含有し、成形硬化に際して重合開始剤を添加して、レドックス重合触媒を形成するメチルメタクリレート系液状レジンであることが記載されている(甲第8号証:【0031】)。 ここで、甲第1号証の構造体では、エポキシ樹脂を含むプライマーから形成される塗布層、樹脂塗膜材から形成される層の順に積層されるため、エポキシ樹脂を含むプライマーから形成される塗布層は、本件特許発明1の「A1 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)」に該当する。 また甲第1号証の実施例2において、樹脂塗膜材として使用されるMMA樹脂であるシリカルR17D(三井化学産資(株)品)に含まれる成分のうち、主成分であるメチルメタクリレート、副成分の一つである(メタ)アクリレート系重合体、重合開始剤、重合促進剤としての第3アミンは、それぞれ、本件特許発明1の「C1 芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、「B1 ラジカル重合性樹脂(A)」、「D1 硬化剤(C)」及び「E 硬化促進剤(D)」に該当し、またMMA樹脂であるシリカルR17D(三井化学産資(株)品)は、前述の如くラジカル重合性樹脂を含む組成物であり、本件特許発明1の「A1 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)」に該当するエポキシ樹脂を含むプライマーから形成される塗布層上に塗布され層を形成することから、当該層は、本件特許発明1の「F1 ラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)」に該当する。 そして、甲第1号証の構造体は、本件特許発明1の「G1 土木建築用構造体」である。 以上より、甲第1号証は、甲第8号証の内容を参照すると、本件特許発明1と同様に、エポキシ樹脂層の上に硬化不良を起こさずにMMA樹脂であるシリカルを含むアクリル樹脂層を形成することを開示する発明であり、 ・・・ 甲第1号証には、 本件特許発明1の 「B2 ・・・、 C2 ・・・」が記載されていない点で相違する。」(申立書41頁下から8行~43頁24行) b 「一方、・・・甲第4号証も、本件特許発明1と同様、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層を設けている。 この甲第4号証では、エポキシ樹脂により形成された下地の上に設けられる上塗り層を形成するラジカル重合性樹脂組成物に、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、「ラジカル重合性不飽和単量体(2)」、及び本件特許発明1のC1及びC2に該当する、「ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)」又は「空乾性不飽和ポリエステル樹脂(3)」を使用しても良いことが記載されている。 また甲5号証にも、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、「重合体(B)」及び本件特許発明1のC1及びC2に該当する、「アクリル系単量体(A)」が記載されている。 同様に、甲6号証にも、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、「エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(A)重合性不飽和基を有する樹脂」、及び本件特許発明1のC1及びC2に該当する、「フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(B)フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体」、「2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくは2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(C)アルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」、及び・・・「化合物X」(審決注:甲第6号証中の「アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトンアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n-ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸2-エチルヘキシル、メタアクリル酸n-オクチル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトンメタアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールメタアクリレート」をまとめて「化合物X」としている。)、が記載され、 甲7号証にも、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、「ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂などの(A)ラジカル重合性樹脂」、及び本件特許発明1のC1及びC2に該当する、「ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレートなどの(B)ラジカル重合性不飽和単量体」が記載されている。 前述如く、・・・エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けており、上下層で異なる硬化システムを採用することは、甲第1号証の記載から公知であり、 このような公知の構成において、土木建築構造体の分野において、硬化不良が発生せず、優れた常温硬化性より向上させるという公知の課題を解決するために、 甲第1号証のエポキシ樹脂からなる下地上に形成される樹脂塗膜材を構成する成分として、 本件特許発明1のB1及びB2に該当する、公知の成分である、甲第4号証の「ラジカル重合性不飽和単量体(2)」、甲第5号証の「重合体(B)」、甲第6号証の「エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(A)重合性不飽和基を有する樹脂」、又は甲第7号証の「ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂などの(A)ラジカル重合性樹脂のいずれか」を選択し、かつ 本件特許発明1のC1及びC2に該当する、公知の成分である、甲第4号証の「ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)」又は「空乾性不飽和ポリエステル樹脂(3)」、甲第5号証の「アクリル系単量体(A)」、甲第6号証の「フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(B)フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体」、「2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくは2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(C)アルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」、及び上記「化合物X」のいずれか、又は甲第7号証の「ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレートなどの(B)ラジカル重合性不飽和単量体」の何れかを選択することは、当業者が容易になし得ることであり、その効果は当業者が予測しえないほど格別顕著であるとはいえない。」(申立書51頁6行~52頁12行) (イ)本件特許発明1と甲第2号証及び甲第4号証乃至甲第8号証との対比 「本件特許発明1と甲第2号証を対比する。 甲第2号証は、凍結抑制舗装構造などの土木建築用構造物を開示するものであり(甲第2号証:【請求項1】【0042】【0045】)、 甲第2号証には、 舗装面上に設置された、エポキシ系樹脂で形成されたバインダ層と、 弾性心材の表面に硬質稲子が担持された粒子担持弾性骨材と、硬質骨材とが混合されてなり、上記バインダ層に、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材とが深さ方向に均一に配置された混合骨材と、 上記バインダ層と、上記硬質骨材と、上記粒子担持弾性骨材とを被覆する、ウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂で形成されたトップコート層と を備えることを特徴とする舗装構造、が記載され(【請求項1】【請求項5】【0018】【0035】)、耐久性が高く、凍結抑制機能や、滑り防止機能や、騒音抑制機能や、衝撃緩和機能を安定して発揮する舗装構造の提供を目的の一つとしている(甲第2号証:【0010】)。 甲第2号証の実施例では、エポキシ系樹脂で形成されたバインダ層を、主剤のメタクリル樹脂としての、三井化学産資社製シリカルと、硬化促進剤と、硬化剤の50%ベンゾイルパーオキシドとしての、化薬アクゾ社製BPO-50等を混合した材料を塗布してトップコート層を形成して、凍結抑制舗装構造を製造している(甲第2号証:【0042】【0044】【0045】) 実施例において、主剤のメタクリル樹脂としての、三井化学産資社製シリカル)は、甲第8号証によれば、メチルメタクリレートを主成分とし、副成分として、他の(メタ)アクリレート系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリレート系重合体を含有し、さらに必要に応じて耐候安定剤、可塑剤等が配合され、さらに重合促進剤として第3アミンを含有し、成形硬化に際して重合開始剤を添加して、レドックス重合触媒を形成するメチルメタクリレート系液状レジンであることが記載されている(甲第8号証:【0031】)。 ここで、甲第2号証の舗装構造では、エポキシ系樹脂から形成されるバインダ層、トップコート層の順に積層されるため、エポキシ系樹脂で形成されたバインダ層は、本件特許発明1の「A1 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)」に該当する。 また甲第2号証の実施例において、主剤のメタクリル樹脂として使用される三井化学産資社製シリカルに含まれる成分のうち、主成分であるメチルメタクリレート、副成分の一つである(メタ)アクリレート系重合体、重合促進剤としての第3アミンは、それぞれ、本件特許発明1の「C1 芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、「B1 ラジカル重合性樹脂(A)」、及び「E 硬化促進剤(D)」に該当する。 また実施例において、硬化剤の50%ベンゾイルパーオキシドとして使用される、化薬アクゾ社製BPO-50は、「D1 硬化剤(C)」に該当する。 主剤のメタクリル樹脂として使用される三井化学産資社製シリカルは、前述の如く、ラジカル重合性樹脂組成物であり、本件特許発明1の「A1 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)」に該当するプライマー層上に塗布され、トップコート層を形成することから、当該層は、本件特許発明1の「F1 ラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)」に該当する。 そして、甲第2号証の舗装構造は、本件特許発明1の「G1 土木建築用構造体」である。 以上より、本件特許発明1と甲第2号証とを、甲第8号証の内容を参照しつつ、対比すると、 ・・・ 甲第2号証に記載の土木構造体も、本件特許発明1と同様、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けており、上下層で異なる硬化システムを採用している。 甲第2号証には、本件特許発明1の 「B2 ・・・、 C2 ・・・」が記載されていない点で相違するが、 ・・・ 甲第4号証には、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、ラジカル重合性不飽和単量体(2)と、本件特許発明1のC1及びC2に該当する、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)又は空乾性不飽和ポリエステル樹脂(3)が記載されている。 同様に、・・・、 甲第5号証には、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、重合体(B)と、本件特許発明1のC1及びC2に該当する、アクリル系単量体(A)が記載されている。 同様に、・・・、 甲第6号証には、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(A)重合性不飽和基を有する樹脂と、 本件特許発明1のC1及びC2に該当する、「フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(B)フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体」、「2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくは2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(C)アルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」、及び上記「化合物X」が記載されている。 同様に、・・・、 甲7号証には、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂などの(A)ラジカル重合性樹脂と 本件特許発明1のC1及びC2に該当する、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレートなどの(B)ラジカル重合性不飽和単量体が記載されている。 以上より、・・・、 土木建築構造体の分野において、硬化不良が発生せず、優れた常温硬化性より向上させるという公知の課題を解決するために、 甲第2号証のエポキシ樹脂からなる下地の上に形成されるラジカル重合性樹脂組成物を構成する成分として、 本件特許発明1のB1及びB2に該当する成分、及び本件特許発明1のC1及びC2に該当する成分を、それぞれ甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された公知の化合物から選択することは、当業者が容易になし得ることであり、その効果は当業者が予測しえないほど格別顕著であるとはいえない。」(申立書52頁14行~55頁6行) (ウ)本件特許発明1と甲第3号証並びに甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証乃至甲第8号証との対比 「本件特許発明1と甲第3号証を対比する。 甲第3号証は、レジンコンクリート組成物及びコンクリートなどの土木建築構造物を開示するものであり(甲第3号証:【請求項1】【0001】【0050】)、 具体的には、 エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどのメタクリレート系単量体の1種の単独重合体または2種以上の組合せからなる共重合体などであるメタクリレート樹脂、充填材および骨材からなるレジンコンクリート組成物であって、(1)当該組成物中にメタクリレート樹脂が6~8重量%含有され、(2)充填材に対するメタクリレート樹脂の容量比が2.4以下であり、かつ、(3)JIS A 1101(コンクリートのスランプ試験方法)に準拠した方法で測定されるスランプ値が12~21cmの範囲にあることを特徴とするレジンコンクリート組成物及びコンクリート、が開示し(甲第3号証:【請求項1】【0001】【0009】【0010】)、 セメントコンクリートと同等のコンシステンシーを有するものであり、良好なワーカビリティを有し、従って、水密性、耐薬品性または耐摩耗性等の要請が強い構造物の現場施工において、実用性が極めて高いコンクリート組成物の提供を目的の一つとしている(甲第3号証:【0050】)。 甲第3号証の実施例では、市販のメタクリル酸メチル系の液状レジン(三井石化産資(株)製、シリカルR17DおよびシリカルR17DLV)に、重合開始剤として、市販の過酸化ベンゾイル(日本油脂(株)製、ナイパーFF、50%希釈品)(BPO)を使用してコンクリート組成物を調製している。 また市販のメタクリル酸メチル系の液状レジン(三井石化産資(株)製、シリカルR17DおよびシリカルR17DLV)は、メタクリル酸メチル(以下、MMAと略記することもある。)を主成分として、重合促進剤(第3級芳香族アミン)、架橋性モノマー(多官能性メタクリル酸エステル)、および、若千量の重合禁止剤を含有する(甲第3号証:【0026】【0028】)。 ここで、甲第3号証のコンクリート組成物に使用されるエチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどのメタクリレート系単量体の1種の単独重合体または2種以上の組合せからなる共重合体などであるメタクリレート樹脂は、本件特許発明1の「C1 芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」に該当し、かつ 本件特許発明1の「C2 ・・・」にも該当する。 また甲第3号証の実施例において使用される、市販のメタクリル酸メチル系の液状レジン(三井石化産資(株)製、シリカルR17DおよびシリカルR17DLV)の成分のうち、主成分であるメタクリル酸メチル(以下、MMAと略記することもある。)、重合促進剤(第3級芳香族アミン)、架橋性モノマー(多官能性メタクリル酸エステル)、そしてこの液状レジンに後添加されるBPOは、それぞれ、本件特許発明1の「C1 芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、「E 硬化促進剤(D)」、「B1 ラジカル重合性樹脂(A)」、及びに「D1 硬化剤(C)」に該当する。 コンクリート組成物は、前述の如く、ラジカル重合性樹脂組成物であり、通常、下地上に塗布され、硬化して上層であるコンクリート層を形成することから、本件特許発明1の「F1 ラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)」に該当する。 そして、甲第3号証のコンクリート組成物の硬化物は、本件特許発明1の「G1 土木建築用構造体」である。 以上より、本件特許発明1と甲第3号証とを、対比すると、 ・・・ 甲第3号証には、 本件特許発明1の 「A1 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)、並びに、 B2 ・・・」が記載されていない点で相違する。 しかしながら、・・・甲第1号証及び甲第2号証から、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けること、即ち、本件特許発明1の「A1 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)」は公知である。 また本件特許発明1の「B2 ・・・」についても、同様に甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証から公知である。 以上より、公知の構成である、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けた土木建築構造において、ラジカル重合性樹脂組成物として、甲第3号証のコンクリート組成物を採用し、さらに追加の成分として、本件特許発明1のB2に該当する成分を、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載の化合物から選択することは、当業者が容易になし得ることであり、その効果は当業者が予測しえないほど格別顕著であるとはいえない。」(申立書55頁9行~57頁下から4行) (エ)小括 「以上より、本件特許発明1は、甲第1号証と、甲第4号証乃至甲第8号証との組み合わせ、甲第2号証と、甲第4号証乃至甲第8号証との組み合わせ、甲第3号証と、甲第1号証、甲第2号証甲第4号証乃至甲第8号証との組み合わせ、によって、当業者が容易に発明をすることができるため、進歩性が欠如した発明であり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。。」(申立書57頁下から2行~58頁3行) イ 本件特許発明6について (ア)本件特許発明6と甲第1号証乃至甲第8号証との対比 「・・・甲第2号証には、 舗装面にエポキシ樹脂で形成されているバインダの材料を塗布するバインダ塗布工程と、 上記舗装面上に塗布されたバインダの材料の全面を覆うように、弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と硬質骨材とを混合してなる混合骨材を散布する散布工程と、 上記バインダの材料を硬化させる養生工程と、 余剰の混合骨材を回収する余剰骨材回収工程と、 上記混合骨材及びバインダの表面にトップコートを塗布するトップコート塗布工程と を備えることを特徴とする舗装構造の製造方法が記載されている(甲第2号証:【請求項1】【請求項5】【0018】)。 また具体例として、舗装構造の製造例が以下のとおり記載されている。 主剤であるビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱樹脂株式会社製エポルートN)と硬化剤の変性脂肪族ポリアミン等を撹拌機で混合し、バインダ層の材料を作製する。 上記主剤と硬化剤を混合してなるバインダ材料を、舗装面に塗布する。このバインダ材料の塗布作業を追いかけるように、上記硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の混合骨材を、塗布直後のバインダ材料の上に散布する。 主剤のメタクリル樹脂に硬化促進剤を加え、気温に応じて硬化剤の50%ベンゾイルパーオキシドを添加し、これらを撹拌混合してトップコート層5の材料を作製する。メタクリル樹脂は三井化学産資社製シリカルを用いることができ、50%ベンゾイルパーオキシドは化薬アクゾ社製BPO-50を用いることができる。上記トップコート層5の材料を、バインダ層2と硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の上にローラで塗布する。この後、所定時間養生を行い、トップコート層5が硬化すると、凍結抑制舗装構造1が完成する(甲第2号証:【0042】【0044】【0045】)。 ここで、甲第2号証の「舗装面」は、本件特許発明6の「H 舗道(i)」に該当する。 そして、甲第2号証の「舗装面にエポキシ樹脂で形成されているバインダの材料を塗布するバインダ塗布工程」、具体例として「上記主剤と硬化剤を混合してなるバインダ材料を、舗装面に塗布する。」は、本件特許発明6の「A2 エポキシ樹脂を塗布して下地(ii)を形成し、」に該当する。 また甲第2号証の「上記舗装面上に塗布されたバインダの材料の全面を覆うように、弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と硬質骨材とを混合してなる混合骨材を散布する散布工程、具体例として、「このバインダ材料の塗布作業を追いかけるように、上記硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の混合骨材を、塗布直後のバインダ材料の上に散布する。」は、 本件特許発明6の「I 次いで前記下地(ii)上に骨材(iii)を散布し、」に該当する。 さらに、甲第2号証の「上記混合骨材及びバインダの表面にトップコートを塗布するトップコート塗布工程」、具体的には、「上記トップコート層5の材料を、バインダ層2と硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の上にローラで塗布する。」は、 本件特許発明2の「F2 ラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層(iv)を形成する」が該当する。 以上の工程により製造される甲第2号証の舗装構造は、本件特許発明6と同様、製造過程の途中に骨材を塗布するものであるから、甲第2号証の舗装構造の製造方法は、本件特許発明6と同様、滑り止め舗装構造体を製造するものと言えることから、本件特許発明6の「G2 滑り止め舗装構造体の製造方法」の要件を満たす。 ・・・ 甲第2号証には、 本件特許発明6のラジカル重合性樹脂組成物の成分を規定する要件のうち、 B1 ラジカル重合性樹脂(A)、 C1 芳香環を有し、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、 D1 硬化剤(C)、及び、 E1 硬化促進剤(D)、 が記載され、 本件特許発明6の「B2 ・・・」が記載されていない点で異なるが、 甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証には、前述の如く、本件特許発明6(本件特許発明1)の「B2 ・・・」が記載されていることから、 本件特許発明6のB1及びB2に該当する成分を、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された公知の化合物から選択することは、当業者が容易になし得ることであり、その効果は当業者が予測しえないほど格別顕著であるとはいえない。」(申立書61頁15行~63頁23行) (イ)小括 「以上より、本件特許発明6は、甲第2号証と、甲第4号証乃至甲第8号証との組み合わせ、によって、当業者が容易に発明をすることができるため、進歩性が欠如した発明であり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。」(申立書63頁25~27行) 2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)(以下「取消理由2」という。) 本件特許発明1ないし6に係る特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである旨主張し、その理由として以下のとおり主張している。 「請求項1及び6におけるラジカル重合性樹脂組成物の各成分の含有量について 本件特許発明は、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けても優れた常温硬化性及び接着性を示すものであり、よって、滑り止め舗装体として好適に用いることができるものであり、骨材の離脱抑制効果を向上できるものであるという、目的が達成されるものであるところ(【0010】)、 目的達成のための重要な特徴であるラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂(A)、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)の4つの成分を必須の成分とするものであるところ、当該請求項では、これらの成分の含有量について何等規定されていない。 一方、実施例において、上記目的が達成されていることが実証されているラジカル重合性樹脂組成物の含有量は、本件特許明細書の【0058】の下記【表1】に記載のとおり、ラジカル重合性樹脂(A)、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)の4つの成分が、それぞれ60質量部、40質量部、2質量部、0.5質量部又は0.4質量部の組成のもののみである。 [図:0001394012000001.jpg] 例えば、現在の請求項では、樹脂成分であるラジカル重合性樹脂(A)、及び芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)を極微量含む場合や、添加剤成分である硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)大量に含む形態も、当該請求項に係る範囲に含まれるところ、このような範囲にまで、上記目的が達成できることは何ら具体的な説明はされておらず、また、それが本願出願時の技術常識であったともいえない。 よって、請求項1および6の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許できないものである。また、請求項1を引用する請求項2~5も同様である。」(申立書63頁下から7行~64頁下から2行) 第4 当審の判断 1 各甲号証の記載事項 (1)甲第1号証 本件特許の出願前に発行された甲第1号証には、以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。 ア 「【請求項5】 少なくとも飽和水分以下の水分を含む乾燥乃至湿潤下地上に樹脂塗膜を形成するに際し、下地上に、 (A)液状エポキシ樹脂、 (B)液状ポリアミン、 (C)低粘度脂肪族エポキシ化合物、 及び(D)シランカップリング剤を含有してなるプライマーを塗布した後、該塗布層の上に樹脂塗膜材を塗布・積層してなる防水構造。」 イ 「【0001】 本発明は、構造物の樹脂塗膜の形成において有効なプライマーに関し、詳しくは、乾燥乃至湿潤状態の下地と樹脂塗膜間にあって優れた接着効果を示し、かつ、樹脂塗膜施工後において下地が水分を含む状態にあっても優れた接着力を維持する下地と樹脂塗膜間に用いるプライマーに関する。」 ウ 「【0005】 本発明の課題は、構造物に樹脂塗膜を施工するに際し、下地が湿潤及び乾燥状態にあっても下地との接着は勿論、樹脂塗膜との接着にも優れ、かつ、塗膜施工後の構造物が、例え、下地から水分が供給される状態にあっても接着性が安定に維持される、接着の耐水耐久性に優れたプライマーを提供することである。」 エ 「【0007】 本発明の下地用プライマーは、 (1)コンクリート等の構造物の下地面に対する接着性が優れている、 (2)接着力の耐水耐久性が優れている、 (3)剥離接着性に優れている、 (4)無溶剤であって、低粘度である、 (5)広範な塗膜樹脂に対して接着性を示す、 などの優れた効果を示し、各種樹脂塗膜構造物の施工工事において、打設された下地に対して、湿潤状態及び乾燥状態のいずれであっても優れた接着効果を示す。したがって、樹脂塗膜構造物の建造において、下地施工又下地修復工事から樹脂塗膜の施工が、下地の完全な乾燥を待たず着手可能であり、樹脂塗膜構造物の施工時間を大幅に短縮できる。 また更に、プライマーが、施工後の水中での接着性、接着の耐水耐久性に優れているので、構造物が防水施工の場合、塗膜施工後の構造物が、長期に亘り安定であり、防水塗膜面に修復を要する発生頻度を低減できる。」 オ 「【0008】 本発明のプライマーは、樹脂塗膜を施工する構造物、例えば、防水材、防食材等の樹脂塗膜、塗床材等の下地上に施される。 本発明において、下地とは、樹脂塗膜を施工する、例えば、コンクリート、モルタルなどであって、それらの種類は、特に限定されない。例えば、普通コンクリート、軽量コンクリート、寒中コンクリート、無筋コンクリート、高炉セメントB種を用いる普通コンクリート、マスコンクリート、レディーミクストコンクリートI類、レディーミクストコンクリートII類等のいずれのコンクリートにも適用できる。 防水構造物の修復のため削られたコンクリート面の粗面を、均一に均すために施工されたモルタルの下地であっても良い。」 カ 「【0024】 実施例2 表2に示す配合のプライマーを、実施例1と同様に湿潤下地に塗布した。 プライマー塗布24時間後に、エポキシ樹脂(エポトップ:三井化学産資(株)品)、ポリウレア樹脂(A100:三井化学産資(株)品)、MMA樹脂(シリカルR17D:三井化学産資(株)品)をそれぞれ2mm、2mm、5mm厚で施工した。 施工7日後に、エポキシ及びMMA樹脂に関しては接着強度試験のみを、ポリウレア樹脂に関しては接着強度試験及びピーリング試験を行なった。 接着強度試験及びピーリング試験結果は表2に示す。」 キ 【0027】段落の表1ないし3は次のものである。 [図:0001394012000002.jpg] ク 上記アないしキより、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。(便宜のために関連する段落番号等を付した。以下同様。) [甲1発明] 少なくとも飽和水分以下の水分を含む乾燥乃至湿潤下地上に樹脂塗膜を形成するに際し、下地上に、 (A)液状エポキシ樹脂、 (B)液状ポリアミン、 (C)低粘度脂肪族エポキシ化合物、 及び(D)シランカップリング剤を含有してなるプライマーを塗布した後、該塗布層の上に樹脂塗膜材を塗布・積層してなる防水構造であって、(【請求項5】) プライマーは、乾燥乃至湿潤状態の下地と樹脂塗膜間にあって優れた接着効果を示し、かつ、樹脂塗膜施工後において下地が水分を含む状態にあっても優れた接着力を維持する下地と樹脂塗膜間に用いるプライマーであり、(【0001】) 各種樹脂塗膜構造物の施工工事において、打設された下地に対して、湿潤状態及び乾燥状態のいずれであっても優れた接着効果を示し、したがって、樹脂塗膜構造物の建造において、下地施工又下地修復工事から樹脂塗膜の施工が、下地の完全な乾燥を待たず着手可能であり、樹脂塗膜構造物の施工時間を大幅に短縮でき、また更に、プライマーが、施工後の水中での接着性、接着の耐水耐久性に優れているので、構造物が防水施工の場合、塗膜施工後の構造物が、長期に亘り安定であり、防水塗膜面に修復を要する発生頻度を低減できるものである、(【0007】) プライマーを湿潤下地に塗布し、プライマー塗布後に、MMA樹脂(シリカルR17D:三井化学産資(株)品)を施工した、(【0024】) 防水構造。 (2)甲第2号証 本件特許の出願前に発行された甲第2号証には、以下の記載がある。 ア 「[0006] 特許文献1に記載の舗装構造は、バインダの比重よりもゴムチップの比重が小さい一方、バインダの比重よりも硬質磁器骨材の比重が大きいので、製造工程でゴムチップと硬質磁器骨材がバインダ材料の上に散布されたとき、硬質磁器骨材はバインダ材料の中に沈みやすい一方、ゴムチップはバインダ材料の中に沈みにくい。したがって、図4に示すように、硬質磁器骨材13は舗装面10aの近傍までバインダ12中に埋まってバインダ12に固定されるが、ゴムチップ14はバインダ12の表面付近に留まってバインダ12への固定が不十分になりやすい。その結果、上記従来の舗装構造は、車両の通行に伴ってゴムチップ14が脱落しやすく、凍結抑制効果が失われやすいという問題がある。 [0007] 一方、特許文献2に記載の舗装構造は、硬質骨材と弾性骨材をバインダと混合してなる舗装材をプライマ層上に敷設して形成するので、特許文献1の舗装構造よりも弾性骨材の脱落の問題が少ないが、硬質骨材と弾性骨材の比重の差が大きい場合、硬質骨材と弾性骨材の混ざり合いが不均一になりやすい。その結果、舗装構造の平面方向において、硬質骨材と弾性骨材の偏りが生じて、衝撃緩和機能に偏りが生じやすいという問題がある。 [0008] そこで、本発明の課題は、高い耐久性を有し、弾性骨材の機能を安定かつ均一に発揮できる舗装構造を提供することにある。」 イ 「[0010] 上記構成によれば、舗装構造に荷重が作用するに伴い、混合骨材の粒子担持弾性骨材が弾性変形して舗装構造にたわみが生じる。これにより、例えば、舗装構造が道路の舗装に設置された場合、舗装構造の上の氷が破壊されて剥離して、道路の凍結が抑制される。また、車両の車輪が舗装構造に接触する際の衝撃が緩和され、車両の走行に伴う騒音が抑制される。また、例えば、舗装構造が競技場等の舗装に設置された場合、競技者の各部位が舗装構造に接触する際の衝撃が緩和され、競技者の負傷が抑制される。ここで、粒子担持弾性骨材は、弾性心材の表面に硬質粒子が担持されて形成されているので、従来の天然ゴム製のゴムチップよりも比重が大きいと共に、バインダ層の材料であるバインダ材料とのぬれ性が高い。したがって、製造工程において、バインダ材料の中に粒子担持弾性骨材を沈ませて舗装面の近くに到達させることができ、粒子担持弾性骨材と硬質骨材を深さ方向に均一に配置させてバインダ層に固定することができる。したがって、粒子担持弾性骨材と硬質骨材を同等の強度でバインダ層に固定できるので、車両や通行人の通行や競技の実施等、舗装構造の使用に伴う粒子担持弾性骨材の脱落を効果的に防止できる。また、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材は、互いの比重の差が比較的小さいので、混合骨材が製造される際に互いに均一に混ざり合って均質に形成される。したがって、バインダ層の平面方向に混合骨材の粒子担持弾性骨材と硬質骨材が均一に配置されるので、平面方向において偏りの無い均質な機能を発揮できる。このように、本発明によれば、耐久性が高く、凍結抑制機能や、滑り防止機能や、騒音抑制機能や、衝撃緩和機能を安定して発揮する舗装構造が得られる。なお、粒子担持弾性骨材と硬質骨材が均一に配置されるとは、深さ方向又は平面方向において、同じ種類の骨材が凝集することなく、粒子担持弾性骨材と硬質骨材が混ざり合って配置されることをいう。例えば、混合骨材を実質的に1粒分の厚みに配置する場合、粒子担持弾性骨材と硬質骨材が厚み方向に均一に配置されるとは、粒子担持弾性骨材と硬質骨材がバインダ層の実質的に同じ深さに配置されることをいう。」 ウ 「[0018] 一実施形態の舗装構造は、上記バインダ層が、エポキシ系樹脂で形成されている。」 エ 「[0035] トップコート層5は、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂で形成するのが好ましく、特に、硬化促進剤により硬化が促進されるメタクリル樹脂が好ましい。トップコート層5は、単位面積あたり0.1~0.5kg/m2の使用量により、バインダ層2と硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4上に所定の層厚に形成する。」 オ 「[0042] 凍結抑制舗装構造1の設置位置では、舗装面の施工箇所を清掃してゴミや油や水分を除去し、下地処理を行う。続いて、主剤であるビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱樹脂株式会社製エポルートN)と、硬化剤の変性脂肪族ポリアミンとを攪拌機で混合し、バインダ層2の材料を作製する。上記主剤と硬化剤は100:100の重量比で混合する。バインダ層2の材料であるバインダ材料の粘性係数は、舗装面10aへの塗布作業時に、0.01Pa・s以上10Pa・s以下であるのが好ましく、特に好ましくは、0.05Pa・s以上8Pa・s以下である。ここで、バインダ材料の粘性係数は、バインダをローラで塗布する場合は、0.1Pa.s以上0.15Pa.s以下が更に好ましく、バインダをスプレー装置で塗布する場合は、3Pa・s以上5Pa・s以下が更に好ましい。」 カ 「[0044] 上記主剤と硬化剤を混合してなるバインダ材料を、ゴムレーキ又はローラで舗装面10aに塗布する。舗装面10a上のバインダ材料の塗布量は、単位面積あたり1.5kg/m2とする。このバインダ材料の塗布作業を追いかけるように、上記硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の混合骨材を、塗布直後のバインダ材料の上に散布する。混合骨材の散布は、スコップやスプレッダを用いて行う。混合骨材は、バインダ材料を通して舗装面10aが視認できなくなるまで散布し、散布が完了すると、所定時間養生を行う。養生が完了すると、バインダ材料の硬化を確認した後、スイーパー等で余剰の混合骨材をバインダ材料上から除去する。これにより、舗装面10a上に、実質的に1粒分の厚みに混合骨材が平面方向に配列されたバインダ層2が得られる。 [0045] 次いで、主剤のメタクリル樹脂に硬化促進剤を加え、気温に応じて硬化剤の50%ベンゾイルパーオキシドを添加し、これらを撹拌混合してトップコート層5の材料を作製する。メタクリル樹脂は三井化学産資社製シリカルを用いることができ、50%ベンゾイルパーオキシドは化薬アクゾ社製BPO-50を用いることができる。上記トップコート層5の材料を、バインダ層2と硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の上にローラで塗布する。トップコート層5の材料の塗布量は、単位面積あたり0.3kg/m2とする。この後、所定時間養生を行い、トップコート層5が硬化すると、凍結抑制舗装構造1が完成する。」 キ 「[請求項1] 舗装面上に設置されたバインダ層と、 弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と、硬質骨材とが混合されてなり、上記バインダ層に、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材とが深さ方向に均一に配置された混合骨材と、 上記バインダ層と、上記硬質骨材と、上記粒子担持弾性骨材とを被覆するトップコート層と を備えることを特徴とする舗装構造。 ・・・ [請求項5] 請求項1に記載の舗装構造において、 上記バインダ層が、エポキシ系樹脂で形成されていることを特徴とする舗装構造。 ・・・ [請求項7] 請求項1に記載の舗装構造において、 上記トップコート層が、ウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂で形成されていることを特徴とする舗装構造。 [請求項8] 舗装面にバインダの材料を塗布するバインダ塗布工程と、 上記舗装面上に塗布されたバインダの材料の全面を覆うように、弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と硬質骨材とを混合してなる混合骨材を散布する散布工程と、 上記バインダの材料を硬化させる養生工程と、 余剰の混合骨材を回収する余剰骨材回収工程と、 上記混合骨材及びバインダの表面にトップコートを塗布するトップコート塗布工程と を備えることを特徴とする舗装構造の製造方法。」 ク 図1は以下のものである。 [図:0001394012000003.jpg] ケ 上記アないしクより、甲第2号証には、次の物の発明(以下「甲2発明」という。)及び製造方法の発明(以下「甲2方法発明」という。)が記載されていると認める。 [甲2発明] 舗装面上に設置されたバインダ層と、 弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と、硬質骨材とが混合されてなり、上記バインダ層に、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材とが深さ方向に均一に配置された混合骨材と、 上記バインダ層と、上記硬質骨材と、上記粒子担持弾性骨材とを被覆するトップコート層と を備え、([請求項1]) 上記バインダ層が、エポキシ系樹脂で形成され、([請求項5]) 上記トップコート層が、アクリル系樹脂で形成されている舗装構造であって、([請求項7]) 舗装構造に荷重が作用するに伴い、混合骨材の粒子担持弾性骨材が弾性変形して舗装構造にたわみが生じ、これにより、例えば、舗装構造が道路の舗装に設置された場合、舗装構造の上の氷が破壊されて剥離して、道路の凍結が抑制され、また、車両の車輪が舗装構造に接触する際の衝撃が緩和され、車両の走行に伴う騒音が抑制され、また、例えば、舗装構造が競技場等の舗装に設置された場合、競技者の各部位が舗装構造に接触する際の衝撃が緩和され、競技者の負傷が抑制されるものであり、 ここで、粒子担持弾性骨材は、弾性心材の表面に硬質粒子が担持されて形成されているので、従来の天然ゴム製のゴムチップよりも比重が大きいと共に、バインダ層の材料であるバインダ材料とのぬれ性が高く、したがって、製造工程において、バインダ材料の中に粒子担持弾性骨材を沈ませて舗装面の近くに到達させることができ、粒子担持弾性骨材と硬質骨材を深さ方向に均一に配置させてバインダ層に固定することができ、したがって、粒子担持弾性骨材と硬質骨材を同等の強度でバインダ層に固定できるので、車両や通行人の通行や競技の実施等、舗装構造の使用に伴う粒子担持弾性骨材の脱落を効果的に防止でき、また、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材は、互いの比重の差が比較的小さいので、混合骨材が製造される際に互いに均一に混ざり合って均質に形成され、したがって、バインダ層の平面方向に混合骨材の粒子担持弾性骨材と硬質骨材が均一に配置されるので、平面方向において偏りの無い均質な機能を発揮できる、耐久性が高く、凍結抑制機能や、滑り防止機能や、騒音抑制機能や、衝撃緩和機能を安定して発揮する舗装構造であって、([0010]) 主剤であるビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱樹脂株式会社製エポルートN)と硬化剤を混合してなるバインダ材料を舗装面10aに塗布し、硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の混合骨材を、塗布直後のバインダ材料の上に散布し、所定時間養生しバインダ層2が得られ、([0042]、[0044]) 次いで、主剤のメタクリル樹脂に硬化促進剤を加え、気温に応じて硬化剤の50%ベンゾイルパーオキシドを添加し、これらを撹拌混合してトップコート層5の材料を作製し、ここでメタクリル樹脂は三井化学産資社製シリカルを用いることができ、50%ベンゾイルパーオキシドは化薬アクゾ社製BPO-50を用いることができ、そして上記トップコート層5の材料を、バインダ層2と硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の上に塗布し、所定時間養生し、トップコート層5が硬化すると完成する、([0045]) 舗装構造。 [甲2方法発明] 舗装面上に設置されたバインダ層と、 弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と、硬質骨材とが混合されてなり、上記バインダ層に、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材とが深さ方向に均一に配置された混合骨材と、 上記バインダ層と、上記硬質骨材と、上記粒子担持弾性骨材とを被覆するトップコート層と を備え、([請求項1]) 上記バインダ層が、エポキシ系樹脂で形成され、([請求項5]) 上記トップコート層が、アクリル系樹脂で形成されている([請求項7])舗装構造の製造方法であって、 舗装面にバインダの材料を塗布するバインダ塗布工程と、 上記舗装面上に塗布されたバインダの材料の全面を覆うように、弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と硬質骨材とを混合してなる混合骨材を散布する散布工程と、 上記バインダの材料を硬化させる養生工程と、 余剰の混合骨材を回収する余剰骨材回収工程と、 上記混合骨材及びバインダの表面にトップコートを塗布するトップコート塗布工程と を備える製造方法であり、([請求項8]) 舗装構造に荷重が作用するに伴い、混合骨材の粒子担持弾性骨材が弾性変形して舗装構造にたわみが生じ、これにより、例えば、舗装構造が道路の舗装に設置された場合、舗装構造の上の氷が破壊されて剥離して、道路の凍結が抑制され、また、車両の車輪が舗装構造に接触する際の衝撃が緩和され、車両の走行に伴う騒音が抑制され、また、例えば、舗装構造が競技場等の舗装に設置された場合、競技者の各部位が舗装構造に接触する際の衝撃が緩和され、競技者の負傷が抑制されるものであり、 ここで、粒子担持弾性骨材は、弾性心材の表面に硬質粒子が担持されて形成されているので、従来の天然ゴム製のゴムチップよりも比重が大きいと共に、バインダ層の材料であるバインダ材料とのぬれ性が高く、したがって、製造工程において、バインダ材料の中に粒子担持弾性骨材を沈ませて舗装面の近くに到達させることができ、粒子担持弾性骨材と硬質骨材を深さ方向に均一に配置させてバインダ層に固定することができ、 したがって、粒子担持弾性骨材と硬質骨材を同等の強度でバインダ層に固定できるので、車両や通行人の通行や競技の実施等、舗装構造の使用に伴う粒子担持弾性骨材の脱落を効果的に防止でき、また、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材は、互いの比重の差が比較的小さいので、混合骨材が製造される際に互いに均一に混ざり合って均質に形成され、したがって、バインダ層の平面方向に混合骨材の粒子担持弾性骨材と硬質骨材が均一に配置されるので、平面方向において偏りの無い均質な機能を発揮できる、耐久性が高く、凍結抑制機能や、滑り防止機能や、騒音抑制機能や、衝撃緩和機能を安定して発揮する舗装構造であって、([0010]) 主剤であるビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱樹脂株式会社製エポルートN)と硬化剤を混合してなるバインダ材料を舗装面10aに塗布し、硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の混合骨材を、塗布直後のバインダ材料の上に散布し、所定時間養生しバインダ層2が得られ、([0042]、[0044]) 次いで、主剤のメタクリル樹脂に硬化促進剤を加え、気温に応じて硬化剤の50%ベンゾイルパーオキシドを添加し、これらを撹拌混合してトップコート層5の材料を作製し、ここでメタクリル樹脂は三井化学産資社製シリカルを用いることができ、50%ベンゾイルパーオキシドは化薬アクゾ社製BPO-50を用いることができ、そして上記トップコート層5の材料を、バインダ層2と硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の上に塗布し、所定時間養生し、トップコート層5が硬化すると完成する、([0045]) 舗装構造の製造方法。 (3)甲第3号証 本件特許の出願前に発行された甲第3号証には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 メタクリレート樹脂、充填材および骨材からなるレジンコンクリート組成物であって、(1)当該組成物中にメタクリレート樹脂が6~8重量%含有され、(2)充填材に対するメタクリレート樹脂の容量比が2.4以下であり、かつ、(3)JIS A 1101(コンクリートのスランプ試験方法)に準拠した方法で測定されるスランプ値が12~21cmの範囲にあることを特徴とするレジンコンクリート組成物。」 イ 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、メタクリレート樹脂を結合材とするレジンコンクリート組成物に関するものである。」 ウ 「【0005】 【発明の目的】本発明者は、結合材として粘度の低いメタクリレート樹脂を用い、その配合について鋭意研究をした結果、良好なワーカビリティーを有するレジンコンクリートを発明するに至ったものである。 【0006】而して、この発明の目的は、セメントコンクリートと同等のコンシステンシー有するレジンコンクリート組成物を提供することにある。」 エ 「【0009】本発明において結合材となるメタクリレート樹脂は、メタクリレート系単量体の1種の単独重合体または2種以上の組合せからなる共重合体、もしくはメタクリレート系単量体と、該メタクリレート系単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体を主成分とするものである。 【0010】メタクリレート系単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられるが、本発明ではメチルメタクリレートを主成分とするものが好ましい。」 オ 「【0015】本発明の充填材としては、重質炭酸カルシウム、アルミナ、フライアッシュ、高炉スラグ、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、カオリン等を用いることができるが、重質炭酸カルシウムとアルミナが特に好ましい。本発明のレジンコンクリートにおいて、充填材は組成物中に8~16重量%配合される。」 カ 「【0018】重合触媒としては、有機過酸化物、アゾ化合物等の重合開始剤、あるいは重合開始剤と促進剤の組合わせになるレドックス重合触媒等が挙げられる。重合触媒として重合開始剤のみを使用する場合には、樹脂配合物を加熱して硬化させることができる。また、重合触媒として、レドックス重合触媒を使用する場合には、室温、または室温付近の温度で硬化させることができる。 【0019】有機過酸化物としては、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジステアロイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。 ・・・ 【0021】レドックス重合触媒としては、例えば、前記の有機過酸化物と、第3級アミン、第一鉄塩、メルカプタン、ナフテン酸塩等との組合せ、あるいは過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組合せ等が挙げられる。 【0022】前記第3級アミンとしては、例えば、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジ(ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(ヒドロキシエチル)-m-トルイジン、N,N-ジ(β-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン等を挙げることができる。特に、メタクリレート樹脂配合物がメチルメタクリレートを主成分として含むときは、有機過酸化物と第3級アミンの組合せからなるレドックス重合触媒を使用するのが好ましい。」 キ 「【0026】レジンコンクリートの配合 〔使用材料〕 (1)メタクリレート樹脂 市販のメタクリル酸メチル系の液状レジンを使用した。この液状レジンは、メタクリル酸メチル(以下、MMAと略記することもある。)を主成分として、重合促進剤(第3級芳香族アミン)、架橋性モノマー(多官能性メタクリル酸エステル)、および、若干量の重合禁止剤を含有するものである(三井石化産資(株)製、シリカルR17DおよびシリカルR17DLV)。」 ク 「【0028】重合開始剤としては、市販の過酸化ベンゾイル(日本油脂(株)製、ナイパーFF、50%希釈品)を使用した(以下、BPOと略記することもある)。」 【0029】(2)充填材 重質炭酸カルシウム(平均粒径約4μm・比重2.70)およびアルミナ(平均粒径約4μm・比重3.95)の2種類を使用した。 【0030】(3)骨材 粗骨材として外之原産砕石(Gmax 20mm・表乾比重2.71・絶乾比重2.69・F.M.6.90)、細骨材として混合珪砂(3号および6号:絶乾比重2.60)と天竜産陸砂(表乾比重2.61・絶乾比重2.58・F.M.2.45)の2種類を使用した。なお、これらの骨材はほぼ絶乾状態として使用した。」 ケ 「【0037】(1)フレッシュ時 JIS A 1101(コンクリートのスランプ試験方法)およびJIS A 1128(まだ固まらないコンクリートの空気量の圧力による試験方法(空気室圧力方法))に準拠してスランプおよび空気量の測定を行った。」 コ 「【0050】 【発明の効果】本発明のレジンコンクリートは、セメントコンクリートと同等のコンシステンシーを有するものであり、良好なワーカビリティを有する。従って、水密性、耐薬品性または耐摩耗性等の要請が強い構造物の現場施工において、実用性が極めて高いものである。」 サ 上記アないしコより、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。 [甲3発明] メタクリレート樹脂、充填材および骨材からなるレジンコンクリート組成物であって、(1)当該組成物中にメタクリレート樹脂が6~8重量%含有され、(2)充填材に対するメタクリレート樹脂の容量比が2.4以下であり、かつ、(3)JIS A 1101(コンクリートのスランプ試験方法)に準拠した方法で測定されるスランプ値が12~21cmの範囲にあるレジンコンクリート組成物であり、(【請求項1】) メタクリレート樹脂の成分であるメタクリレート系単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられるが、メチルメタクリレートを主成分とするものが好ましく、(【0009】、【0010】) 充填材としては、重質炭酸カルシウム、アルミナ、フライアッシュ、高炉スラグ、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、カオリン等を用いることができるが、重質炭酸カルシウムとアルミナが特に好ましく、レジンコンクリートにおいて、充填材は組成物中に8~16重量%配合され、(【0015】) レジンコンクリートの配合として、 メタクリレート樹脂は、メタクリル酸メチル(MMA)を主成分として、重合促進剤、架橋性モノマー(多官能性メタクリル酸エステル)、および、若干量の重合禁止剤を含有するものである(三井石化産資(株)製、シリカルR17DおよびシリカルR17DLV)、メタクリル酸メチル系の液状レジンを使用するとともに、重合開始剤を使用でき(【0026】、【0028】)、 充填材は、重質炭酸カルシウムおよびアルミナの2種類を使用し、(【0029】) 骨材は、粗骨材として外之原産砕石、細骨材として混合珪砂と天竜産陸砂の2種類を使用し、(【0030】) セメントコンクリートと同等のコンシステンシーを有するものであり、良好なワーカビリティを有し、従って、水密性、耐薬品性または耐摩耗性等の要請が強い構造物の現場施工において、実用性が極めて高いレジンコンクリートである、(【0050】) レジンコンクリート組成物。 (4)甲第4号証 本件特許の出願前に発行された甲第4号証には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 プライマー処理した基体上に、ラジカル重合性樹脂組成物を塗布、硬化した下層(i)を設け、前記下層(i)上に、エポキシ樹脂を塗布、硬化した上層(ii)を設けた複合被覆構造体であって、 前記ラジカル重合性樹脂組成物が、数平均分子量が2,500~7,000であるポリエステルポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C)を得、次いで水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(D)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)、分子量が200~500であるラジカル重合性不飽和単量体(2)、及び空乾性不飽和ポリエステル樹脂(3)を含有するものであることを特徴とする複合被覆構造体。 ・・・ 【請求項4】 前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)が、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上である請求項5に記載の複合被覆構造体。」 イ 「【0005】 本発明が解決しようとする課題は、常温での速硬化性に優れる複合被覆構造体を提供することである。」 ウ 「【0008】 本発明の複合被覆構造体は、特定の下層を用いることで常温での速硬化性に優れるものである。また、本発明の複合被覆構造体は、低臭性にも優れるものである。 従って、本発明の複合被覆構造体は、土木、建築、鉄道、道路等の分野において好適に使用することができる。なかでも、道路用舗装材や道路用防水材、床材等に特に好適に使用することができる。」 エ 「【0010】 前記基体は、例えば、セメントコンクリート、アスファルトコンクリート、石綿スレート、ALC板、PC板、プラスチック、木質物、金属等が挙げられる。これらの基体は、単独で用いても2種以上を併用して構成されたものを用いてもよい。また、前記基体の表面の形状は球面、曲面、延長面、平面、斜面等いずれでもよい。なかでも、本発明の複合被覆構造体は道路用舗装材や道路用防水材、床材等に特に好適に使用することができるため、前記基体としては、セメントコンクリート、アスファルトコンクリートが好ましい。」 オ 「【0012】 前記プライマーは、ウレタン系、エポキシ系、ビニルエステル系、不飽和ポリエステル系、アクリル系等のいずれも公知のプライマーが挙げられる。」 カ 「【0038】 前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)は、(メタ)アクリル基を1個有する単量体を使用することが好ましく、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのラジカル重合性不飽和単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、分子量が200~400であるものがより好ましく、引張り物性や臭気、安全性の観点からジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、更に下層の常温での硬化性及び皮膚刺激性をより向上できる観点から、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートが特に好ましい。」 キ 「【0077】 [実施例1] 30cm×30cmのコンクリート舗装板の表面にウレタン樹脂プライマー(「プライアディックT-120-35」、DIC社製)を200g/m2を塗布し、乾燥させた。 次いで、合成例4で得られたウレタンメタクリレート樹脂(1-1)40質量部と合成例7で得られた空乾性不飽和ポリエステル樹脂(Y-1)10質量部をフェノキシエチルメタクリレート50質量部に溶解し、130°Fパラフィンワックス0.2質量部、6%ナフテン酸コバルト0.4質量部、N,N-ジメチルパラトルイジン-2-エチレンオキサイド付加物0.4質量部、過酸化ベンゾイル40%懸濁液(「ナイパーNS」、日油社製)2質量部を添加し、混合したものを2.0kg/m2の塗布厚みで塗布し、硬化させることで下層を形成した。 次いで、該下層上に合成例8で得られたエポキシ樹脂を1.5kg/m2の塗布厚みで塗布し、硬化させることで上層を形成し、複合被覆構造体を得た。」 ク 上記アないしキより、甲第4号証には、次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認める。 [甲4記載事項] プライマー処理した基体上に、ラジカル重合性樹脂組成物を塗布、硬化した下層(i)を設け、前記下層(i)上に、エポキシ樹脂を塗布、硬化した上層(ii)を設けた複合被覆構造体であって、 前記ラジカル重合性樹脂組成物が、数平均分子量が2,500~7,000であるポリエステルポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C)を得、次いで水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(D)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)、分子量が200~500であるラジカル重合性不飽和単量体(2)、及び空乾性不飽和ポリエステル樹脂(3)を含有するものである複合被覆構造体であり、(【請求項1】) 前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)が、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上である複合被覆構造体であって、(【請求項4】) 特定の下層を用いることで常温での速硬化性に優れ、また、低臭性にも優れ、 土木、建築、鉄道、道路等の分野において好適に使用することができ、なかでも、道路用舗装材や道路用防水材、床材等に特に好適に使用することができ、(【0008】) 前記プライマーは、ウレタン系、エポキシ系、ビニルエステル系、不飽和ポリエステル系、アクリル系等のいずれも公知のプライマーが挙げられ、(【0012】) 前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)は、(メタ)アクリル基を1個有する単量体を使用することが好ましく、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、引張り物性や臭気、安全性の観点からジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、更に下層の常温での硬化性及び皮膚刺激性をより向上できる観点から、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートが特に好ましく、(【0038】) コンクリート舗装板の表面にウレタン樹脂プライマーを塗布し、乾燥させ、 次いで、ウレタンメタクリレート樹脂と空乾性不飽和ポリエステル樹脂をフェノキシエチルメタクリレートに溶解し、130°Fパラフィンワックス、6%ナフテン酸コバルト、N,N-ジメチルパラトルイジン-2-エチレンオキサイド付加物、過酸化ベンゾイル40%懸濁液(「ナイパーNS」、日油社製)を添加し、混合したものを塗布し、硬化させることで下層を形成し、 次いで、該下層上にエポキシ樹脂を塗布し、硬化させることで上層を形成し、得られる、(【0077】) 複合被覆構造体。 (5)甲第5号証 本件特許の出願前に発行された甲第5号証には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 アクリル系単量体(A)35~65質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)20~40質量%と、可塑剤(C)15~25質量%とを含むシラップ(X1)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y1)の硬化物よりなる下層及び、アクリル系単量体(A)60~85質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)15~30質量%と、可塑剤(C)0~10質量%とを含むシラップ(X2)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y2)の硬化物よりなる上層を有し、該下層と該上層との境界付近に骨材を含有する被覆層。 【請求項2】 基材に、アクリル系単量体(A)35~65質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)20~40質量%と、可塑剤(C)15~25質量%とを含むシラップ(X1)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y1)を塗工し、次いで骨材を散布し、更にアクリル系単量体(A)60~85質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)15~30質量%と、可塑剤(C)0~10質量%とを含むシラップ(X2)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y2)を塗工して、硬化した被覆層を得る被覆層の形成方法。」 イ 「【0003】 しかしながら、特許文献1に開示されているシラップ組成物は粘度が低く、これを用いて、アスファルト舗装道路の傾斜部等を塗工すると、シラップ組成物が流れてしまうため充分な厚さを有した被覆層を形成しにくいという問題があった。更に、このようにシラップ組成物が流れやすい被覆層においては、滑り止め材として含有する骨材の付着が良好でなく、その付着性を向上させることが望まれていた。 一方、特許文献2では厚塗りが可能なシラップ組成物が開示されているが、これは伸度が充分ではなく、アスファルト舗装道路等に塗工して得た被覆層の道路などへの接着性を向上させることが望まれていた。 【0004】 本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、アスファルト舗装道路の傾斜部等でも必要な厚みを保持でき、更に、骨材が離脱しにくい、強度や耐剥離性を有する等の耐久性に優れた被覆層とその形成方法を目的とする。」 ウ 「【0007】 本発明の被覆層によれば、アスファルト舗装道路等の傾斜部であっても、シラップ組成物が流れることなく必要な厚みを保持でき、更に骨材の離脱量を少なくすることができ、強度や耐剥離性等の耐久性を得ることができる。 本発明の被覆層の形成方法によれば、骨材の離脱が少ない優れた被覆層を提供できる。」 エ 「【0009】 [下層] 下層は、アクリル系単量体(A)35~65質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)20~40質量%と、可塑剤(C)15~25質量%とを含むシラップ(X1)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y1)の硬化物よりなることを特徴とする。 【0010】 <アクリル樹脂単量体(A)> アクリル系単量体(A)としては、単官能アクリル系単量体、多官能アクリル系単量体が挙げられる。 【0011】 単官能アクリル系単量体は、シラップ組成物(Y1)の塗工作業性、並びにシラップ組成物(Y1)より得られる下層の硬化性、強度等各種物性を制御することが可能な成分である。 単官能アクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の窒素含有(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の非重合性の官能基を有する(メタ)アクリレート類;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環型(メタ)アクリレートなどが挙げられる。 なお、本発明において「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を意味する。 これら単官能アクリル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。」 オ 「【0017】 その他重合体(B)としては、スチレン/ブタジエン共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、セルロースアセテートブチレート樹脂、エポキシ樹脂なども使用可能である。 又、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレート、ウレタンポリ(メタ)メタクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーも任意の割合で使用できる。(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーの具体例としては、フタル酸、アジピン酸、マレイン酸等の多塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート、各種エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシポリ(メタ)アクリレート、各種ポリオールとポリイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーとの反応で得られるウレタンポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。」 カ 「【0024】 <その他の成分> (3級アミン(E)) 3級アミン(E)は、硬化反応を促進させる硬化促進剤である。 3級アミン(E)としては、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、p-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4-(N-メチル-N-ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、N-エチル-m-トルイジン、トリエタノールアミン、m-トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N-置換アニリン、N,N-置換-p-トルイジン、4-(N,N-置換アミノ)ベンズアルデヒド等が挙げられる。 本発明の被覆層においては、以上のような3級アミン(E)の中でも、芳香族3級アミンを用いるとより好ましい。芳香族3級アミンとしては、少なくとも1個の芳香族残基が窒素原子に直接結合しているものが好ましく、具体的には、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N-(2-ヒドロキシエチル)N-メチル-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン;N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジンまたはN,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジンのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。また、p(パラ)体に限定されず、o(オルト)体、m(メタ)体でもよい。 更に、シラップ組成物(Y1)の反応性、硬化性の点から、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジンを用いると特に好ましい。」 キ 「【0026】 (他の効果促進剤) 硬化促進剤としては、3級アミン(E)の他に、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、アセトアセチル酸コバルト等の多価金属石鹸が挙げられる。 これらは、シラップ(X1)100質量部に対して、0.2~2質量部添加すると好ましく、0.3~1質量部添加するとより好ましい。 【0027】 (重合開始剤) 本発明のシラップ組成物(Y1)を硬化させるには、硬化促進剤と硬化剤とを組み合わせたレドックス触媒を用いることが好ましい。 硬化剤としては、ラジカル重合を開始させることができる公知の重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、ジアシルパーオキサイド、アルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、アゾ化合物等が挙げられる。 重合開始剤としては、ジアシルパーオキサイドが好ましく、ベンゾイルパーオキサイドが特に好ましい。ベンゾイルパーオキサイドは、取扱性の点から、不活性の液体または固体によって濃度が30~55質量%程度に希釈された液状、ペースト状または粉末状のものが好ましい。 硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 硬化剤の添加量は、シラップ組成物(Y1)の可使時間が5~60分となるように適宜調整することが好ましい。該範囲で硬化剤を添加すれば、添加後すみやかに重合反応が開始され、シラップ組成物の硬化が進行する。 ベンゾイルパーオキサイドの添加量は、シラップ(X1)100質量部に対して、0.25~10質量部が好ましく、0.5~8質量部がより好ましい。ベンゾイルパーオキサイドの添加量を0.25質量部以上とすることにより、硬化性が良好となる傾向にある。ベンゾイルパーオキサイドの添加量を10質量部以下とすることにより、シラップ組成物の塗工作業性、得られる被覆層の各種物性が向上する傾向にある。」 ク 「【0032】 [上層] 上層は、アクリル系単量体(A)60~85質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)15~30質量%と、可塑剤(C)0~10質量%とを含むシラップ(X2)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y2)の硬化物よりなることを特徴とする。 【0033】 <アクリル系単量体(A)> アクリル系単量体(A)としては、単官能アクリル系単量体、多官能アクリル系単量体が挙げられる。 単官能アクリル系単量体は、シラップ組成物(Y2)の塗工作業性、並びにシラップ組成物(Y2)より得られる上層の硬化性、強度、耐候性、耐薬品性、耐汚染性及び耐磨耗性等これら各種物性を制御することが可能な成分である。 一方、多官能アクリル系単量体は、シラップ組成物(Y2)の塗工作業性、並びにシラップ組成物(Y2)より得られる上層の耐熱性及び強度等これら各物性を制御することが可能な成分である。 なお、これらアクリル系単量体の具体例としては、下層と同様のものを挙げることが可能である。」 ケ 「【0035】 <重合体(B)> 重合体(B)は、シラップ組成物(Y2)及びシラップ組成物(Y2)より得られる上層の粘度調整及び硬化時間の短縮を目的として配合されるものである。 重合体(B)としては、下層と同様のものを使用することが可能である。 上層のシラップ(X2)における重合体(B)の含有量は15~30質量%であり、18~30質量%であるとより好ましく、20~28質量%であると更に好ましい。含有量が15質量%以上であると、シラップ組成物(Y2)の硬化性が良好となる。一方、含有量が30質量%以下であると、シラップ組成物(Y2)の粘度が低くなって塗工作業性が良好となる。」 コ 「【0038】 <その他の成分> その他の成分としては、下層と同様のものを使用することが可能であり、また、その添加量も下層と同様であると好ましい。」 サ 「【0040】 [被覆層の性状] [下層] 本発明の下層用シラップ組成物(Y1)の粘度は塗工作業性、アスファルト舗装などの道路の傾斜を考慮し、1500~4500mPa・Sが好ましく、特に2000~4000mPa・Sが特に好ましい。粘度が1500mPa・S以上であると良好な作業性が得られ、4500mPa・S以下であると良好な骨材グリップ性が得られ、骨材離脱量を少なくすることが可能となる。 また、下地面のアスファルト舗装に塗工した塗布厚は0.5~2mmであると好ましく、1~1.8mmであると特に好ましい。塗布厚が薄すぎると硬化性、骨材のグリップ性が低下し、骨材離脱量が多くなる傾向にあり、厚すぎるとコストが上がる。 また下層は、伸度が100%以上で強度が15N/mm2以下であると好ましく、伸度が200%以上で強度が10N/mm2以下であると特に好ましい。一方伸度の上限値が300%で、強度の下限値が5N/mm2であると好ましい。 伸度が100%以上で強度が15N/mm2以下の場合、アスファルト舗装からの剥離が低くなる。一方、伸度が300%以下で強度が5N/mm2以上であると、骨材の離脱量が少なくなる。 また、下層の体積収縮率は12%以下が好ましく、特に10%以下が好ましい。12%以下であれば、アスファルト舗装面へシラップ組成物(Y1)が追随し、耐剥離性が向上する。 【0041】 [上層] 本発明の上層用のシラップ組成物(Y2)は骨材散布後の骨材の離脱を抑えるために用いられる。その粘度は50~500mPa・Sが好ましく、100~300mPa・Sが特に好ましい。粘度が50mPa・S以上であると骨材の離脱が小さくなり、500mPa・S以下であると硬化性が良好となる。また、粘度が50mPa・S未満では硬化性が悪くなり、500MPa・Sを超えると、シラップ組成物(Y2)が骨材の間に入りにくく、厚塗りになり、滑り止めの効果が低減する。 また、骨材に塗工される上層の塗布厚は0.3~2mmであると好ましく、0.5~1mmであると特に好ましい。塗布厚が薄すぎると、硬化性や骨材のグリップ性が低下し、骨材離脱量が多くなる傾向にあり、厚すぎると、滑り止め効果が低くなる。 また上層は、強度が10N/mm2以上であると好ましく、20N/mm2以上であると特に好ましい。また、強度の上限値は40N/mm2であると好ましい。強度が低すぎると骨材のグリップ性が低くなり、骨材離脱量が多くなる傾向にある。一方、強度が40N/mm2以下であればアスファルト舗装面へ追随し、耐剥離性が向上する。 【0042】 [被覆層の形成方法] 本発明の被覆層は道路、特にアスファルト舗装面への被覆層として用いる。 道路の舗装面等の施工面への被覆方法としては、施工面に、シラップ組成物(Y1)及びシラップ組成物(Y2)を塗工して被覆層を形成する方法が挙げられる。 本発明では、まずシラップ組成物(Y1)を塗工し、次いで骨材を散布し、更にシラップ組成物(Y2)を塗工して、硬化した被覆層を得ることを特徴としている。 具体的には、まず施工面にシラップ組成物(Y1)を塗工して下層とし、次に骨材を散布する。なお、骨材の散布は、シラップ組成物(Y1)の可使時間内に行うことが好ましく、下層が見えなくなる様に、手撒きあるいは散布機を用いて過剰に散布し、下層用シラップ組成物(Y1)が硬化した後に、余剰の骨材を回収すると好ましい。 その後、骨材表面に、下層表面と骨材表面との隙間を埋めながら、シラップ組成物(Y2)を塗工し、これを被覆層のトップコートとすると好ましい。 塗工手段としては、ローラー、金ゴテ、刷毛、自在ボウキ、塗装機(スプレー塗装機等)等を用いる公知の塗工方法が挙げられ、2液エアレス塗装機を用いる場合は主剤、硬化剤に分け、主剤側には促進剤を添加し、硬化剤側に例えば過酸化ベンゾイルを添加する方法が好ましい。 なお、硬化促進剤である3級アミン(E)は、シラップ組成物を硬化させる直前に添加してもよく、あらかじめシラップ組成物に添加しておいてもよい。 また、シラップ組成物の塗工時の温度は-30~60℃が好ましく、特に-10~40℃が好ましく、施工性の点から、硬化時間は20~40分の範囲が好ましい。 硬化時間が20分以上であると、良好な塗装作業性、骨材グリップ性が得られ、40分以下であると基材であるアスファルト舗装等との良好な付着性が得られる。 硬化時間の調整は硬化剤及び促進剤量を塗工時の温度に応じて調整することにより得ることができる。 また本発明の被覆層の形成方法は、このようにシラップ組成物に骨材を混合せず、上層と下層との間に散布する方法であるので、骨材の離脱をより防ぐことが可能となる。」 シ 「【0050】 [製造例1] <シラップ組成物Y1-1の製造> 攪拌機、温度計、冷却管付きの1Lフラスコに、メチルメタクリレート(以下「MMA」と略す。)38部、2-エチルヘキシルアクリレート(以下「2-EHA」と略す。)16.8部、トリエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDE-150、以下「PDE-150」と略す。)1.6部、トヨパラックス150(東ソー(株)製、塩素化パラフィン)16.4部、トヨパラックスA50(東ソー(株)製、塩素化パラフィン)1.6部、ビニサイザー85(花王(株)製、フタル酸系可塑剤)1.6部、ビニサイザー105(花王(株)製、フタル酸系可塑剤)0.4部、ヒドロキノン(以下「HQ」と略す。)0.005部、パラフィン-115(日本精鑞(株)製、パラフィンワックス、以下「P-115」と略す。)0.3部、パラフィン-130(日本精鑞(株)製、パラフィンワックス、以下「P-130」と略す。)0.25部、パラフィン-150(日本精鑞(株)製、パラフィンワックス、以下「P-150」と略す。)0.25部、JF-77-P(城北化学工業(株)製、紫外線吸収剤)0.3部、N,N-ジメチル-p-トルイジン(以下「DMPT」と略す)0.24部、N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン(以下「DIPT」と略す)0.4部投入後、攪拌しながら、MMA/n-ブチルメタクリレート(以下「n-BMA」と略す)=60/40共重合体(ガラス転移温度(Tg)=66℃、質量平均分子量(Mw)=160,000、以下「ポリマー1」と略す。)23.6部を投入し、60℃で2時間加熱し、溶解した後、冷却して、下層用シラップ組成物Y1-1を得た。」 ス 【0054】段落の表2は次のものである。 [図:0001394012000004.jpg] セ 「【0055】 表中の略号は下記の通りである。 MMA:メチルメタクリレート 2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート PDE-150:トリエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂(株)製) NKエステル14G:ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製) アロニックスM-113:ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート(東亜合成(株)製) ポリマー1:MMA/n-BMA=60/40共重合体 Tg66℃ Mw:160,000 ポリマー2:MMA/n-BMA=60/40共重合体 Tg66℃ Mw:41,000 ポリマー3:MMA/n-BMA=60/40共重合体 Tg66℃ Mw:25,000 ポリマー4:MMA/n-BA=92.5/7.5共重合体 Tg87℃ Mw62,000 トヨパラックス150、A50:可塑剤 塩素化パラフィン(東ソー(株)製) ビニサイザー85、105:フタル酸エステル系可塑剤(花王(株)製) ATBC:可塑剤アセチルクエン酸トリブチル (ワックス(D)) P-115、P-130、P-150、HNP-9:パラフィンワックス(日本精鑞(株)製) DMPT:N,N-ジメチル-p-トルイジン DIPT:N,N-ジ(2-ヒドロキプロピル)-p-トルイジン PTEO:N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン JF-77-P:紫外線吸収剤(城北化学工業(株)製) チヌビン328:紫外線吸収剤(日本チバガイキー(株)製) BHT:2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフエノール BYK-1752:消泡剤(ビックケミージャパン(株)製) HQ:ヒドロキノン」 ソ 「【0056】 [実施例1] 得られた下層用シラップ組成物Y1-1;100部に、BPO50を2部加え混合し、密粒アスファルト板(サイズ:300×300×50mm 大有建設(株)製)に塗布厚1.6mmになるようコテで塗装した。直ちに滑り止め用の骨材(美州興産(株)製、セラサンドA1粒、粒径2~3.3mm)を600g散布し、硬化後、余剰骨材170gを除去して、上層用シラップ組成物Y2-1;100部にBPO50を2部加え混合し、ウーローラー(大塚刷毛製造(株)製塗装用ローラー)で塗布厚0.6mmになるよう塗装し、硬化させて試験片を作成した。」 タ 「【0064】 本発明の被覆層は、骨材グリップ性に優れ、且つ、耐久性に優れるため、床面、壁面、道路舗装面等の被覆等の土木建築用途に有用であり、特に滑り止め工法に最適である。 具体的には、バスレーン、横断歩道の手前、高速道路のサービスエリアあるいはパーキングエリア、カーブなどに施工され安全性、視認性を確保するために使用することができる。」 チ 上記アないしタより、甲第5号証には、次の事項(以下「甲5記載事項」という。)が記載されていると認める。 [甲5記載事項] アクリル系単量体(A)35~65質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)20~40質量%と、可塑剤(C)15~25質量%とを含むシラップ(X1)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y1)の硬化物よりなる下層及び、アクリル系単量体(A)60~85質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)15~30質量%と、可塑剤(C)0~10質量%とを含むシラップ(X2)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y2)の硬化物よりなる上層を有し、該下層と該上層との境界付近に骨材を含有する被覆層であり、(【請求項1】) 基材に、アクリル系単量体(A)35~65質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)20~40質量%と、可塑剤(C)15~25質量%とを含むシラップ(X1)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y1)を塗工し、次いで骨材を散布し、更にアクリル系単量体(A)60~85質量%と、アクリル系単量体(A)に可溶な重合体(B)15~30質量%と、可塑剤(C)0~10質量%とを含むシラップ(X2)の100質量部に対してワックス(D)を0.1~5質量部含有するシラップ組成物(Y2)を塗工して、硬化した被覆層を得ることにより形成される被覆層であって、(【請求項2】) アスファルト舗装道路等の傾斜部であっても、シラップ組成物が流れることなく必要な厚みを保持でき、更に骨材の離脱量を少なくすることができ、強度や耐剥離性等の耐久性を得ることができるものであり、(【0007】) 下層について、(【0009】) アクリル系単量体(A)としては、単官能アクリル系単量体、多官能アクリル系単量体が挙げられ、(【0010】) 単官能アクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の窒素含有(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の非重合性の官能基を有する(メタ)アクリレート類;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環型(メタ)アクリレートなどが挙げられ、(【0011】) 重合体(B)としては、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレート、ウレタンポリ(メタ)メタクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーも任意の割合で使用でき、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーの具体例としては、フタル酸、アジピン酸、マレイン酸等の多塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート、各種エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシポリ(メタ)アクリレート、各種ポリオールとポリイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーとの反応で得られるウレタンポリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、(【0017】) その他、硬化促進剤と硬化剤が用いられ、(【0024】、【0026】、【0027】) 上層については、それぞれ下層と同様のものが使用され、(【0032】、【0033】、【0035】、【0038】) 例えば、 メチルメタクリレート(MMA)、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、MMA/n-ブチルメタクリレート(n-BMA)=60/40共重合体を投入して、下層及び上層シラップ組成物を得ることができ、(【0050】) また、下層用シラップ組成物(Y1)の粘度は1500~4500mPa・Sが好ましく、特に2000~4000mPa・Sが特に好ましく、 下層の強度が15N/mm2以下であると好ましく、強度が10N/mm2以下であると特に好ましく、一方、強度の下限値が5N/mm2であると好ましく、 (【0040】) 上層用のシラップ組成物(Y2)の粘度は50~500mPa・Sが好ましく、100~300mPa・Sが特に好ましく、 上層の強度が10N/mm2以上であると好ましく、20N/mm2以上であると特に好ましく、また、強度の上限値は40N/mm2であると好ましい、(【0041】) 被覆層。 (6)甲第6号証 本件特許の出願前に発行された甲第6号証には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 (A)重合性不飽和基を有する樹脂、(B)フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体および(C)アルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有する樹脂組成物。 ・・・ 【請求項4】 (A)重合性不飽和基を有する樹脂が、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートである請求項1~3いずれか記載の樹脂組成物。 ・・・ 【請求項7】 フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体(B)が、フェノキシエチル(メタ)アクリレート又はフェノキシプロピル(メタ)アクリレートである請求項1~6いずれか記載の樹脂組成物。 【請求項8】 アルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである請求項1~7いずれか記載の樹脂組成物。」 イ 「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、低臭気で、作業性、空気乾燥性に優れ、また、得られる硬化物が強度、耐水性、外観に優れ、さらにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性に優れる樹脂組成物に関するものである。」 ウ 「【0006】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、低臭気性、常温硬化性、表面乾燥性、作業性、乾燥後の塗膜の物性、表面の外観ならびにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性に優れる樹脂組成物を提供することであり、更に詳しくは単量体の揮発による臭気を抑え、かつ、硬化時間が短く常温硬化性に優れるとともに、空気による硬化阻害を受けにくく表面乾燥性に優れ、さらに、塗膜の強度特性、耐水性、耐薬品性、二次接着性および外観に優れた樹脂組成物を提供することにある。」 エ 「【0009】 【発明の実施の形態】 本発明の樹脂組成物は、ラジカル硬化型低臭性樹脂組成物であり、かかる樹脂組成物を構成する(A)重合性不飽和基を有する樹脂としては、例えばエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、用途により必要に応じ2種以上併用しても良い。そのうちでも、硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度に優れるエポキシ(メタ)アクリレートおよび硬化物の耐薬品性、柔軟性に優れるウレタン(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。」 オ 「【0027】 次に、本発明に使用される(B)フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体としては、例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド(EO)変性アクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、アクリロイルオキシエチルフタレート、フェノールEO変性メタアクリレート、ノニルフェニルカルビトールメタアクリレート、ノニルフェノールEO変性メタアクリレート、フェノキシプロピルメタアクリレート、フェノールPO変性メタアクリレート、ノニルフェノキシプロピルメタアクリレート、ノニルフェノールPO変性メタアクリレート、メタアクリロイルオキシエチルフタレート等が挙げられ、単独又は2種以上を併用して用いられるが、特にフェノキシエチル(メタ)アクリレートもしくはフェノキシプロピル(メタ)アクリレートが、臭気、安全性、粘度、耐水性の面で好ましく用いられる。かかるアクリル系単量体の分子量が180より小さい場合は、単量体の揮発による臭気の問題が生じ、分子量500より大きい場合は、高粘度になることから作業性の問題が生じる。」 カ 「【0029】 次に、本発明に使用されるアルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)としては、好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくは2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが臭気、安全性、粘度、硬化性の面で望ましい。かかるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)の炭素数が5以上である場合、高粘度になることから作業性等の問題がある。」 キ 「【0031】 上記したフェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体(B)およびアルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)には、その他各種単量体を併用することができ、かかる単量体としては、例えばアクリル酸メチル(以下、MMAと略す)、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトンアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n-ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t-ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸2-エチルヘキシル、メタアクリル酸n-オクチル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトンメタアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールメタアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、パラ-t-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、スチレン等が挙げられるが、上記した各種単量体を併用して用いる場合、樹脂組成物の低臭性を維持するために、分子量180以上の単量体が好ましい。」 ク 「【0053】 次に、本発明の樹脂組成物には、通常ラジカル硬化剤、硬化促進剤が添加される。 【0054】 かかるラジカル硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、例としてジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等公知公用のものが挙げられる。ラジカル硬化剤の添加量は、本発明の目的を達成することのできる範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは樹脂の合計量100重量部に対して0.5~5重量部であり、かかる範囲で使用することで可使時間、物性等の優れた被覆構造体を得ることができる。 【0055】 硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、p-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4-(N-メチル-N-ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、N-エチル-m-トルイジン、トリエタノールアミン、m-トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N-置換アニリン、N,N-置換-p-トルイジン、4-(N,N-置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類が挙げられ、アミン系、金属石鹸系促進剤が好ましい。なお、硬化促進剤は、2種以上の組み合わせで使用しても良く、更に予め樹脂に添加しておいても良いし、使用時に添加しても良い。硬化促進剤の添加量は、本発明の目的を達成することのできる範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは樹脂の合計量100重量部に対して0.1~5重量部である。」 ケ 「【0065】 [参考例1] エポキシメタアクリレート樹脂〔EPMA〕の合成 温度計、攪拌機、ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、エピクロン830(大日本インキ化学工業(株)製エポキシ樹脂:エピクロルヒドリンとビスフェノールAの反応物:数平均分子量344)2970部、メタアクリル酸1456部、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール1.55部、トリエチルアミン13.3部を仕込み、窒素/空気(流量比1/1)混合気流下90℃まで昇温し、2時間反応させた。次いで、反応温度を105℃まで昇温させ、30時間反応を続け、酸価8.87、エポキシ当量23900の2個のメタクリル基含有エポキシメタアクリレート樹脂を得た。この樹脂を以下[EPMA]とする。 【0066】 [参考例2] ウレタンメタアクリレート樹脂〔UMA〕の合成 温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(数平均分子量399.3)1597部、トリレンジイソシアネート1392部を仕込み、窒素雰囲気中80℃まで昇温し、2.5時間反応させ、NCO当量370になったところで、50℃まで冷却した後、窒素/空気(流量比1/1)混合気流下でトルハイドロキノン0.305部、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート1100部を加え、90℃まで再度昇温させた。3時間反応させ、残存NCO量0.0644%の2個のメタクリル基含有ウレタンメタアクリレート樹脂を得た。この樹脂を以下[UMA-I]とする。」 コ 「【0071】 <引張り強度及び引張り伸び率> 樹脂組成100部に対し、8%オクチル酸コバルト1.0部、メチルエチルケトンパーオキサイド2.0部を添加し、撹拌後脱法し、2mm厚の注型板を作製した。室温で24時間放置後、120℃2時間のアフターキュアーを行い、引張り試験テストピースを作製し、引張り強度(T0)及び引張り伸び率の測定を行った。」 サ 「【0073】 <180度接着剥離試験測定法> コンクリート舗道板に150g/m2本発明、比較例の樹脂組成物をそれぞれ150g/m2塗布し、表面乾燥後、その上に伸び率約200%の柔軟性MMA樹脂(大日本インキ化学(株)製・ディオバーHTP-502)を110g/m2目付けのポリエステル不織布を積層含浸させ、JIS-K-6854に準拠し180度接着剥離試験を実施した。」 シ 【0074】段落の表1は次のものである。 [図:0001394012000005.jpg] ス 「【0075】 【発明の効果】 本発明は、表面乾燥性、作業性、乾燥後の塗膜の物性、表面の外観ならびにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性に優れる樹脂組成物を提供するものである。」 セ 上記アないしスより、甲第6号証には、次の事項(以下「甲6記載事項」という。)が記載されていると認める。 [甲6記載事項] (A)重合性不飽和基を有する樹脂、(B)フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体および(C)アルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有する樹脂組成物であり、(【請求項1】) (A)重合性不飽和基を有する樹脂が、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートであり、(【請求項4】) フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体(B)が、フェノキシエチル(メタ)アクリレート又はフェノキシプロピル(メタ)アクリレートであり、(【請求項7】) アルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである、(【請求項8】) 低臭気で、作業性、空気乾燥性に優れ、また、得られる硬化物が強度、耐水性、外観に優れ、さらにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性に優れる樹脂組成物であって、(【0001】) フェニル基を有し分子量180~500のアクリル系単量体(B)およびアルキル基の炭素数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)には、その他各種単量体を併用することができ、かかる単量体としては、例えばアクリル酸メチル(以下、MMAと略す)、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトンアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n-ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t-ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸2-エチルヘキシル、メタアクリル酸n-オクチル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトンメタアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールメタアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、パラ-t-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、スチレン等が挙げられ、(【0031】) 通常ラジカル硬化剤、硬化促進剤が添加され、(【0035】) 例えばコンクリート舗道板に塗布される、(【0073】) 樹脂組成物。 (7)甲第7号証 本件特許の出願前に発行された甲第7号証には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 (A)ラジカル重合性樹脂と、 (B)ラジカル重合性不飽和単量体と、 (C)コバルト金属塩と、 (D-1)下記一般式(I)で表される水酸基含有芳香族3級アミンと、 [図:0001394012000006.jpg] (式中、R1は、H、CH3またはOCH3であり、R2は、ヒドロキシアルキル基であり、R3は、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である) (D-2)下記一般式(II)で表される芳香族3級アミンと、 [図:0001394012000007.jpg] (式中、R4は、H、CH3またはOCH3であり、R5及びR6はそれぞれ独立してアルキル基である) (E)有機過酸化物と を含有することを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。 ・・・ 【請求項4】 コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタル、木材及び金属からなる群から選択される少なくとも1つの下地の上に、請求項1~3の何れか一項に記載の低温硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させることを特徴とする塗膜形成方法。 【請求項5】 請求項1~3の何れか一項に記載の低温硬化性樹脂組成物に骨材を配合したことを特徴とする樹脂モルタル。」 イ 「【0006】 従って、本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、0℃以下の低温環境下でも短時間で硬化させることができ、低臭気であり、作業性、耐衝撃性及び耐久性に優れた低温硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。」 ウ 「【0009】 本発明によれば、0℃以下の低温環境下でも短時間で硬化させることができ、低臭気であり、作業性、耐衝撃性及び耐久性に優れた低温硬化性樹脂組成物を提供することができる。」 エ 「【0011】 本発明で使用する(A)成分のラジカル重合性樹脂としては、例えば、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。」 オ 「【0023】 <ラジカル重合性不飽和単量体> 本発明で使用する(B)成分のラジカル重合性不飽和単量体は、樹脂の粘度を下げ、硬度、強度、耐薬品性、耐水性などを向上させるために重要である。このラジカル重合性不飽和単量体は、臭気やその他環境などに与える影響を考慮し、常圧(1atm)で140℃以上、好ましくは、140℃~200℃の沸点を有し且つ80℃以上、好ましくは80℃~150℃の引火点を有するものが好ましい。具体的には、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらラジカル重合性不飽和単量体は、一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、低臭気性、乾燥性及び硬化物の物性の観点から、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。」 カ 「【0032】 <コバルト金属塩> 本発明で使用する(C)成分のコバルト金属塩は、硬化促進剤及び乾燥性付与剤として作用するものである。コバルト金属塩としては、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルトなどが挙げられ、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトが好ましい。 (C)成分のコバルト金属塩は、(A)成分のラジカル重合性樹脂と(B)成分のラジカル重合性不飽和単量体との合計100質量部に対して、好ましくは1質量部~20質量部、更に好ましくは2質量部~10質量部の割合で配合される。コバルト金属塩の配合割合が、上記範囲外であると、硬化時間の長期化や硬化不良、乾燥性不良になる場合があるため好ましくない。 【0033】 <水酸基含有芳香族3級アミン> 本発明で使用する(D-1)成分の水酸基含有芳香族3級アミンは、下記一般式(I)で表される。 【0034】 [図:0001394012000008.jpg] 【0035】 (式中、R1は、H、CH3またはOCH3であり、R2は、ヒドロキシアルキル基であり、R3は、アルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、アルキル基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は好ましくは1~10である) 上記水酸基含有芳香族3級アミンの具体例としては、例えば、N-メチル-N-β-ヒドロキシエチルアニリン、N-ブチル-N-β-ヒドロキシエチルアニリン、N-メチル-N-β-ヒドロキシエチル-p-トルイジン、N-ブチル-N-β-ヒドロキシエチル-p-トルイジン、N-メチル-N-β-ヒドロキシプロピルアニリン、N-メチル-N-β-ヒドロキシプロピル-p-トルイジン、N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)アニリン、N,N-ジ(β-ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(β-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、N,N-ジイソプロピロール-p-トルイジン、N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)-p-アニシジンなどが挙げられる。これらの水酸基含有芳香族3級アミンは、一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。水酸基含有芳香族3級アミンとしては、低温硬化性の観点から、N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(β-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジンが好ましい。 【0036】 <芳香族3級アミン> 本発明で使用する(D-2)成分である芳香族3級アミンは、下記一般式(II)で表される。 【0037】 [図:0001394012000009.jpg] 【0038】 (式中、R4は、H、CH3またはOCH3であり、R5及びR6は、それぞれ独立してアルキル基であり、アルキル基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は好ましくは1~10である) 上記芳香族3級アミンの具体例としては、例えば、ジメチルアニリン、ジメチルパラトルイジンなどが挙げられる。これらの芳香族3級アミンは、一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。芳香族3級アミンとしては、低温硬化性の観点から、ジメチルパラトルイジンが好ましい。」 キ 「【0041】 <有機過酸化物> 本発明で使用する(E)成分の有機過酸化物は、コバルト金属塩やアミン類と組み合わせた時に常温ラジカル重合開始剤として作用するものである。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられる。また、その他の公知のラジカル重合開始剤を使用してもよい。その例としては、パーオキシケタール、ジアリルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものであり、またアゾ化合物も有効である。具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、3-イソプロピルヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミドなどが挙げられる。この中でも、ベンゾイルパーオキサイドが好ましいが、必要に応じて数種類の有機過酸化物を併用すること可能である。また、有機過酸化物は、溶剤等で希釈された形態のものを用いることが好ましい。」 ク 「【0049】 本発明の低温硬化性樹脂組成物には、骨材を配合して樹脂モルタルとしてもよい。本発明で使用する骨材としては、硅砂、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。これらの中でもコストや材料入手の観点から硅砂が好ましい。硅砂の粒度としては、0.001mm~5mm、好ましくは0.02mm~2mmである。粒度がこの範囲外であると、樹脂モルタルの作業性や物性が低下するため好ましくない。骨材は、(A)成分のラジカル重合性樹脂と(B)成分のラジカル重合性不飽和単量体との合計100質量部に対して、好ましくは50質量部~500質量部、更に好ましくは100質量部~400質量部の割合で配合される。 【0050】 本発明による塗膜形成方法は、上述した低温硬化性樹脂組成物を、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタル、木材、金属等の下地の上に塗布して硬化させることを特徴とする。本発明の塗膜形成方法は、0℃の低温環境下でも12時間以内に耐衝撃性や耐久性に優れた塗膜を形成することができ、また作業中は低臭気であるため、冷凍倉庫のような低温保管施設の床の補修に好適である。 また、上述した低温硬化性樹脂組成物を繊維強化材に含浸して硬化させることで繊維強化樹脂を得ることもできる。繊維強化材としては、例えば、ガラス繊維、アミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、フェノール繊維、カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維等が挙げられる。」 ケ 「【0053】 <合成例2> 攪拌機、環流冷却器、ガス導入管及び温度計を備えた反応装置に、ビスフェノールAにプロピレンオキシドを付加したポリエーテルジオール(株式会社ADEKA製 アデカポリオールBPX-55) 792g(1モル)及び無水フタル酸 296.2g(2モル)を仕込み、常法に従い210℃で酸価が40mgKOH/gになるまで反応させた後、冷却した。更にグリシジルメタクリレート 255.6g(1.8モル)、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.2g及びハイドロキノン 0.015gを仕込み、空気を吹き込みながら75℃で9時間反応させ、酸価が50mgKOH/gになったところで反応を終了した。反応生成物に、パラフィンワックス115°F 0.5g、アクリロイルモルホリン(株式会社興人製 ACMO)269g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ローム・アンド・ハース株式会社製 QM-57T) 537g及び2-メトキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン株式会社製 アクリエステルMT) 537gを加え、25℃での粘度が0.3Pa・sのポリエステルメタクリレート樹脂組成物(UPM-1)を得た。 なお、ラジカル重合性不飽和単量体(ジシクロペンテニルメタクリレート及び2-メトキシエチルメタクリレート)の理論ポリマーTgを計算したところ、32.0℃であった。」 コ 「【0060】 [-25℃硬化性] 合成例1~7の樹脂組成物を-25℃雰囲気中に24時間放置した後、下記表2及び3に示した配合で実施例1~5及び比較例1~7の硬化性樹脂組成物を調製した(なお、比較例7は、特開2004-224819号公報に記載の樹脂組成物に相当する)。調製した硬化性樹脂組成物の低温(-25℃)における硬化性を下記方法に従って評価した。 レイタンス層の脆弱部を除去したコンクリート板を-25℃雰囲気中に24週間養生した後、このコンクリート板に、先に調製した硬化性樹脂組成物を同温度条件下で1kg/m2塗布し、硬化時間を測定した。硬化時間は指触で確認し、3時間未満の硬化を◎、3時間以上6時間未満の硬化を○、6時間以上12時間未満の硬化を△、12時間以上の硬化を×とした。結果を表2及び3に示した。」 サ 【0065】段落の表2は次のものである。 [図:0001394012000010.jpg] シ 上記アないしサより、甲第7号証には、次の事項(以下「甲7記載事項」という。)が記載されていると認める。 [甲7記載事項] (A)ラジカル重合性樹脂と、 (B)ラジカル重合性不飽和単量体と、 (C)コバルト金属塩と、 (D-1)下記一般式(I)で表される水酸基含有芳香族3級アミンと、 [図:0001394012000011.jpg] (式中、R1は、H、CH3またはOCH3であり、R2は、ヒドロキシアルキル基であり、R3は、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である) (D-2)下記一般式(II)で表される芳香族3級アミンと、 [図:0001394012000012.jpg] (式中、R4は、H、CH3またはOCH3であり、R5及びR6はそれぞれ独立してアルキル基である) (E)有機過酸化物と を含有する低温硬化性樹脂組成物であって、(【請求項1】) コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタル、木材及び金属からなる群から選択される少なくとも1つの下地の上に塗布して硬化させ塗膜を形成するものであり、(【請求項4】) 骨材が配合され、(【請求項5】) 0℃以下の低温環境下でも短時間で硬化させることができ、低臭気であり、作業性、耐衝撃性及び耐久性に優れた低温硬化性樹脂組成物であり、(【0009】) (A)成分のラジカル重合性樹脂としては、例えば、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられ、(【0011】) (B)成分のラジカル重合性不飽和単量体は、、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、(【0023】) (C)成分のコバルト金属塩は、硬化促進剤及び乾燥性付与剤として作用するものであり、(【0032】) (E)成分の有機過酸化物は、常温ラジカル重合開始剤として作用するものである、(【0041】) 低温硬化性樹脂組成物。 (8)甲第8号証 本件特許の出願前に発行された甲第8号証には、以下の記載がある。 ア 「【0031】本発明の人造石の製造において、硬化剤の配合は、硬化剤として重合開始剤を単独で使用する場合は、液状レジンを(C)骨材を含む混合物に加える直前に、液状レジンに重合開始剤を配合する方法にしたがって行うことができ、また、硬化剤としてレドックス重合触媒を使用する場合は、液状レジンに予め重合開始剤を配合しておき、(C)骨材を含む混合物に加える直前に、重合促進剤を配合する方法、あるいは液状レジンに(C)骨材を加える直前に、重合開始剤と重合促進剤を配合する方法等にしたがって行うことができる。硬化剤としてレドックス重合触媒を使用する場合、予め重合促進剤である第3アミン等を液状レジンに配合しておき、液状レジンを、(C)骨材を含む混合物に加えて混練しモルタル状組成物を調製する直前に、過酸化物等の重合開始剤を配合する方法が一般的である。また、市販のメタクリレート系液状レジンは、通常、重合促進剤を含有している。例えば、市販のメチルメタクリレート系液状レジンとして、メチルメタクリレートを主成分とし、副成分として、他の(メタ)アクリレート系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリレート系重合体を含有し、さらに必要に応じて耐候安定剤、可塑剤等が配合され、さらに重合促進剤として第3アミンが配合され、成形硬化に際して重合開始剤を添加して、レドックス重合触媒を形成するものが市販に供されている。この液状レジンの具体例として、三井石化産資(株)から商品名:シリカルで市販されているものなどが挙げられる。」 イ 上記アより、甲第8号証には、次の事項(以下「甲8記載事項」という。)が記載されていると認める。 [甲8記載事項] 市販のメタクリレート系液状レジンは、通常、重合促進剤を含有していること。例えば、市販のメチルメタクリレート系液状レジンとして、メチルメタクリレートを主成分とし、副成分として、他の(メタ)アクリレート系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリレート系重合体を含有し、さらに重合促進剤として第3アミンが配合され、成形硬化に際して重合開始剤を添加して、レドックス重合触媒を形成するものが市販に供されており、この液状レジンの具体例として、三井石化産資(株)から商品名:シリカルで市販されているものなどが挙げられること。 2 取消理由1(進歩性)について (1)本件特許発明1について ア 甲第1号証を主引用例として (ア)対比 a 上記1(1)オで摘記した、甲第1号証における「下地」の定義に関する記載 「【0008】 ・・・本発明において、下地とは、樹脂塗膜を施工する、例えば、コンクリート、モルタルなどであって、それらの種類は、特に限定されない。例えば、普通コンクリート、軽量コンクリート、寒中コンクリート、無筋コンクリート、高炉セメントB種を用いる普通コンクリート、マスコンクリート、レディーミクストコンクリートI類、レディーミクストコンクリートII類等のいずれのコンクリートにも適用できる。」 と、本件特許明細書における「舗道(i)」と「下地(ii)」との関係に関する記載 「【0039】 前記滑り止め舗装構造体の製造方法は、舗道(i)上に、エポキシ樹脂を塗布して下地(ii)を形成し、次いで前記下地(ii)上に骨材(iii)を散布し・・・」 とを踏まえれば、甲1発明の「下地」は上記本件特許明細書(段落【0039】)の記載における「舗道(i)」に相当するものであり、そして甲1発明の「下地上に」塗布される「(A)液状エポキシ樹脂」「を含有してなるプライマー」が、本件特許発明1の「エポキシ樹脂により形成された下地(ii)」に相当する。 b 甲1発明における「プライマーを塗布した後、該塗布層の上に」「塗布・積層してなる」「樹脂塗膜材」と、本件特許発明1の「ラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)」とは、「樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)」である点で共通する。 c 甲1発明の「防水構造」は、本件特許発明1の「土木建築用構造体」に相当する。 d 前記aないしcから、本件特許発明1と甲1発明とは、 [一致点] 「エポキシ樹脂により形成された下地(ii)、並びに、 樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)を有する、 土木建築用構造体。」 の点で一致し、そして以下の点で相違する。 [相違点A1] 本件特許発明1においては、上塗り層(iv)を形成する樹脂組成物は、「ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂である」「ラジカル重合性樹脂(A)」、 「エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体である」「芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、 「硬化剤(C)」、及び、 「硬化促進剤(D)」、 を含有するものであるのに対し、 甲1発明における樹脂塗膜材は「MMA樹脂(シリカルR17D:三井化学産資(株)品)」との特定にとどまる点。 (イ)判断 a 検討 上記相違点A1について検討する。 上記第3の1(2)ア(ア)に摘記した申立人主張のとおり、甲8記載事項を参照して、甲1発明における「シリカルR17D:三井化学産資(株)品」が「メチルメタクリレートを主成分とし、副成分として、他の(メタ)アクリレート系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリレート系重合体を含有し、さらに必要に応じて耐候安定剤、可塑剤等が配合され、さらに重合促進剤として第3アミンを含有し、成形硬化に際して重合開始剤を添加して、レドックス重合触媒を形成するメチルメタクリレート系液状レジンである」とし、 そして「シリカルR17D:三井化学産資(株)品」に含まれる成分のうち、主成分であるメチルメタクリレート、副成分の一つである(メタ)アクリレート系重合体、重合開始剤、重合促進剤としての第3アミンは、それぞれ、本件特許発明1の「C1 芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、「B1 ラジカル重合性樹脂(A)」、「D1 硬化剤(C)」及び「E 硬化促進剤(D)」に該当」したとしても、 やはり甲1発明の樹脂塗膜材は、 「ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂である」「ラジカル重合性樹脂(A)」、及び、 「エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体である」「芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、 を含有するというものではない。 この点について甲4記載事項ないし甲7記載事項について検討すると、甲1発明の樹脂塗膜材は、(甲第1号証の定義での)「下地」が「湿潤状態」で施工され、かつ「樹脂塗膜施工後において下地が水分を含む状態」にある防水構造における樹脂塗膜であるのに対し、甲4記載事項ないし甲7記載事項はそのような状態の防水構造に関するものではなく、かつそのような状態の防水構造への適用についての記載や示唆もないところ、当業者が甲4記載事項ないし甲7記載事項の各樹脂組成物を甲1発明の樹脂塗膜材に適用する動機はない。 また甲第8号証にも、相違点A1に係る本件特許発明1の構成は記載も示唆もされていない。 b 申立人の主張について 上記第3の1(2)ア(ア)bに摘記したように、申立人は、 「・・・このような公知の構成において、土木建築構造体の分野において、硬化不良が発生せず、優れた常温硬化性より向上させるという公知の課題を解決するために、 甲第1号証のエポキシ樹脂からなる下地上に形成される樹脂塗膜材を構成する成分として、本件特許発明1のB1及びB2に該当する、公知の成分である、甲第4号証の・・・、甲第5号証の・・・、甲第6号証の・・・、又は甲第7号証の・・・を選択し、かつ 本件特許発明1のC1及びC2に該当する、公知の成分である、甲第4号証の・・・、甲第5号証の・・・、甲第6号証の・・・、又は甲第7号証の・・・の何れかを選択することは、当業者が容易になし得ることであり、その効果は当業者が予測しえないほど格別顕著であるとはいえない。」 と主張している。 しかしながら、上記1(1)ウに摘記した、甲第1号証の 「【0005】 発明の課題は、構造物に樹脂塗膜を施工するに際し、下地が湿潤及び乾燥状態にあっても下地との接着は勿論、樹脂塗膜との接着にも優れ、かつ、塗膜施工後の構造物が、例え、下地から水分が供給される状態にあっても接着性が安定に維持される、接着の耐水耐久性に優れたプライマーを提供することである。」 という記載を参照して、甲1発明の課題は、(甲第1号証の定義での)「下地」が湿潤状態にあっても、「下地」から水分が供給される状態にあっても、「下地」-「プライマー」-「樹脂塗膜」間の接着性が安定に維持される、接着の耐水耐久性に優れるようにするということであって、硬化不良や常温硬化性を課題とするものではなく、上記aの検討を踏まえると、仮に甲第4号証ないし甲第7号証に「硬化不良が発生せず、優れた常温硬化性」について記載あるいは示唆があったとしても、そのことにより甲4記載事項ないし甲7記載事項を甲1発明に適用する動機が生じるものではない。 よって申立人の主張は採用できない。 c 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証ないし甲第8号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 イ 甲第2号証を主引用例として (ア)対比 a 甲2発明の「エポキシ系樹脂で形成され」ている「バインダ層」は、本件特許発明1の「エポキシ樹脂により形成された下地(ii)」に相当する。 b 甲2発明における「アクリル系樹脂で形成され」、「バインダ層」「を被覆するトップコート層」と、本件特許発明1の「ラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)」とは、「樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)」である点で共通する。 c 甲2発明において、「硬化促進剤を加え、気温に応じて硬化剤」「を添加し、」「トップコート層5の材料を作製」しているということは、本件特許発明1において「上塗り層(iv)」が「硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有する」ことに相当する。 d 甲2発明の「舗装構造」は、本件特許発明1の「土木建築用構造体」に相当する。 e 前記aないしdから、本件特許発明1と甲2発明とは、 [一致点] 「エポキシ樹脂により形成された下地(ii)、並びに、 硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有する樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)を有する、 土木建築用構造体。」 の点で一致し、そして以下の点で相違する。 [相違点A2] 本件特許発明1においては、上塗り層(iv)を形成する樹脂組成物は、「ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂である」「ラジカル重合性樹脂(A)」及び 「エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体である」「芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、を含有するものであるのに対し、 甲2発明においてトップコート層5を形成する樹脂組成物は「主剤のメタクリル樹脂」を用いて材料を作製するもので、「メタクリル樹脂は三井化学産資社製シリカルを用いることができ」るとの特定にとどまる点。 (イ)判断 a 検討 上記相違点A2について検討する。 上記第3の1(2)ア(イ)に摘記した申立人主張のとおり、甲8記載事項を参照して、甲2発明における「三井化学産資社製シリカル」が「メチルメタクリレートを主成分とし、副成分として、他の(メタ)アクリレート系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリレート系重合体を含有し、さらに必要に応じて耐候安定剤、可塑剤等が配合され、さらに重合促進剤として第3アミンを含有し、成形硬化に際して重合開始剤を添加して、レドックス重合触媒を形成するメチルメタクリレート系液状レジンである」とし、 そして「三井化学産資社製シリカルに含まれる成分のうち、主成分であるメチルメタクリレート、副成分の一つである(メタ)アクリレート系重合体・・・は、それぞれ、本件特許発明1の「C1 芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、「B1 ラジカル重合性樹脂(A)」・・・に該当する」としたとしても、 やはり甲2発明は、トップコート層を形成する樹脂組成物が、 「ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂である」「ラジカル重合性樹脂(A)」、及び、 「エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体である」「芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、 を含有するというものではない。 この点について甲4記載事項ないし甲7記載事項について検討する。 まず甲4記載事項、甲6記載事項及び甲7記載事項について検討する。 甲2発明のトップコート層は、 「舗装面上に設置されたバインダ層と、 弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と、硬質骨材とが混合されてなり、上記バインダ層に、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材とが深さ方向に均一に配置された混合骨材と、 上記バインダ層と、上記硬質骨材と、上記粒子担持弾性骨材とを被覆するトップコート層と を備え、 上記バインダ層が、エポキシ系樹脂で形成され、 上記トップコート層が、アクリル系樹脂で形成されている舗装構造」 であり、 「舗装構造に荷重が作用するに伴い、混合骨材の粒子担持弾性骨材が弾性変形して舗装構造にたわみ」を生じさせて「例えば、舗装構造が道路の舗装に設置された場合、舗装構造の上の氷が破壊されて剥離して、道路の凍結が抑制され、また、車両の車輪が舗装構造に接触する際の衝撃が緩和され、車両の走行に伴う騒音が抑制され、また、例えば、舗装構造が競技場等の舗装に設置された場合、競技者の各部位が舗装構造に接触する際の衝撃が緩和され、競技者の負傷が抑制される」ことを前提とする構造において、 「バインダ材料の中に粒子担持弾性骨材を沈ませて」「粒子担持弾性骨材と硬質骨材を深さ方向に均一に配置させてバインダ層に固定」した上に、 「バインダ層2と硬質骨材3と粒子担持弾性骨材4の上に塗布」され、「上記バインダ層と、上記硬質骨材と、上記粒子担持弾性骨材とを被覆」し、舗装構造を完成させる、 トップコート層である。 これに対し、甲4記載事項には「ラジカル重合性樹脂組成物を塗布、硬化した下層(i)」、甲6記載事項には「塗布される、樹脂組成物」、甲7記載事項には「塗膜を形成する」「低温硬化性樹脂組成物」の記載があるが(なお、甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証には、これら「下層(i)」(甲4記載事項)、「塗布される、樹脂組成物」(甲6記載事項)、「低温硬化性樹脂組成物」(甲7記載事項)以上に、相違点A2に係る本件特許発明1の構成に関連し得る樹脂組成物の記載は見られない。)、これら樹脂組成物はそれぞれ、 甲4記載事項においては、「プライマー処理した基体上に、ラジカル重合性樹脂組成物を塗布、硬化した下層(i)を設け、前記下層(i)上に、エポキシ樹脂を塗布、硬化した上層(ii)を設けた複合被覆構造体」における「ラジカル重合性樹脂組成物を塗布、硬化した下層(i)」、 甲6記載事項においては、「コンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性に優れる樹脂組成物であって」「例えばコンクリート舗道板に塗布される、樹脂組成物」、 甲7記載事項においては、「コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタル、木材及び金属からなる群から選択される少なくとも1つの下地の上に塗布して硬化させ塗膜を形成するもので」ある「低温硬化性樹脂組成物」、 というものであって、 甲2発明のように、「バインダ材料の中に粒子担持弾性骨材を沈ませて」「粒子担持弾性骨材と硬質骨材を深さ方向に均一に配置させてバインダ層に固定」した上に塗布されそれらバインダ材料(バインダ層)と粒子担持弾性骨材及び硬質骨材とを被覆するトップコート層ではなく、加えて、「混合骨材の粒子担持弾性骨材が弾性変形して舗装構造にたわみ」を生じさせることを前提とする舗装構造におけるトップコート層でもない。 そして甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証には甲2発明のようなトップコート層への樹脂組成物の適用についての記載や示唆もないところ、当業者が甲4記載事項、甲6記載事項及び甲7記載事項の各樹脂組成物を甲2発明のトップコート層に適用する動機はない。 次に、甲5記載事項について検討する。 甲5記載事項の「被覆層」における「上層」を、「下層」及び「該下層と該上層との境界付近」の「骨材」をコートするトップコート層であるとしたとしても、 この被覆層は、好ましい物理的特性は異なりながら(「下層用シラップ組成物(Y1)の粘度は1500~4500mPa・Sが好ましく、特に2000~4000mPa・Sが特に好ましく、下層の強度が15N/mm2以下であると好ましく、強度が10N/mm2以下であると特に好ましく、一方、強度の下限値が5N/mm2であると好ましく、上層用のシラップ組成物(Y2)の粘度は50~500mPa・Sが好ましく、100~300mPa・Sが特に好ましく、上層の強度が10N/mm2以上であると好ましく、20N/mm2以上であると特に好ましく、また、強度の上限値は40N/mm2であると好ましい」という、組成物としての粘度、及び、層としての強度。)、成分(「アクリル系単量体(A)」、「重合体(B)」、その他の成分)として「同様のものが使用される」、下層及び上層(並びに該下層と該上層との境界付近に含有される骨材)で構成されるものであり、この下層及び上層の成分を同様のものでないものとすることは記載も示唆もされていないところ、当業者が、その上層のみ取り出して、成分が同様ではない甲2発明のバインダ層(「エポキシ系樹脂で形成」)上のトップコート層として適用する動機はない。 また甲第8号証にも、相違点A2に係る本件特許発明1の構成は記載も示唆もされていない。 b 申立人の主張について 上記第3の1(2)ア(イ)に摘記したように、申立人は、 「土木建築構造体の分野において、硬化不良が発生せず、優れた常温硬化性より向上させるという公知の課題を解決するために、 甲第2号証のエポキシ樹脂からなる下地の上に形成されるラジカル重合性樹脂組成物を構成する成分として、 本件特許発明1のB1及びB2に該当する成分、及び本件特許発明1のC1及びC2に該当する成分を、それぞれ甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された公知の化合物から選択することは、当業者が容易になし得ることであり、その効果は当業者が予測しえないほど格別顕著であるとはいえない。」 と主張している。 しかしながら、上記第4の1(2)アに摘記した甲第2号証の記載を参照して、甲2発明の課題は、 「[0006] 特許文献1に記載の舗装構造は、バインダの比重よりもゴムチップの比重が小さい一方、バインダの比重よりも硬質磁器骨材の比重が大きいので、製造工程でゴムチップと硬質磁器骨材がバインダ材料の上に散布されたとき、硬質磁器骨材はバインダ材料の中に沈みやすい一方、ゴムチップはバインダ材料の中に沈みにくい。したがって、図4に示すように、硬質磁器骨材13は舗装面10aの近傍までバインダ12中に埋まってバインダ12に固定されるが、ゴムチップ14はバインダ12の表面付近に留まってバインダ12への固定が不十分になりやすい。その結果、上記従来の舗装構造は、車両の通行に伴ってゴムチップ14が脱落しやすく、凍結抑制効果が失われやすいという問題がある。 [0007] 一方、特許文献2に記載の舗装構造は、硬質骨材と弾性骨材をバインダと混合してなる舗装材をプライマ層上に敷設して形成するので、特許文献1の舗装構造よりも弾性骨材の脱落の問題が少ないが、硬質骨材と弾性骨材の比重の差が大きい場合、硬質骨材と弾性骨材の混ざり合いが不均一になりやすい。その結果、舗装構造の平面方向において、硬質骨材と弾性骨材の偏りが生じて、衝撃緩和機能に偏りが生じやすいという問題がある。」 という問題を解決すべく、 「[0008] そこで、本発明の課題は、高い耐久性を有し、弾性骨材の機能を安定かつ均一に発揮できる舗装構造を提供することにある。」 というものであり、硬化不良や常温硬化性を課題とするものではなく、上記aの検討を踏まえると、仮に甲第4号証ないし甲第7号証に「硬化不良が発生せず、優れた常温硬化性」について記載あるいは示唆があったとしても、そのことにより甲4記載事項ないし甲7記載事項を甲2発明に適用する動機が生じるものではない。 よって申立人の主張は採用できない。 c 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、当業者が甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証ないし甲第8号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 よって申立人の主張は採用できない。 ウ 甲第3号証を主引用例として (ア)対比 甲3発明における「レジンコンクリート組成物」は、「構造物の現場施工において、実用性が極めて高いレジンコンクリートである」ことを踏まえると、本件特許発明1の「土木建築用構造体」に相当する。 そして、甲3発明における、「メタクリレート樹脂、充填材および骨材から」なり、「レジンコンクリートの配合として、メタクリレート樹脂は、メタクリル酸メチル(MMA)を主成分として、重合促進剤」「を含有するものである(三井石化産資(株)製、シリカルR17DおよびシリカルR17DLV)、メタクリル酸メチル系の液状レジンを使用するとともに、重合開始剤を使用でき」るものである、「レジンコンクリート組成物」と、 本件特許発明1の「ラジカル重合性樹脂(A)、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有するラジカル重合性樹脂組成物により形成された上塗り層(iv)を有する土木建築用構造体」とは、 「樹脂及び硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有する樹脂組成物により形成される部分を含む土木建築用構造体」である点で共通する。 よって、本件特許発明1と甲3発明とは、 [一致点] 「硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有する樹脂組成物により形成された、 土木建築用構造体。」 の点で一致し、そして以下の点で相違する。 [相違点A3-1] 本件特許発明1の「土木建築用構造体」は「エポキシ樹脂により形成された下地(ii)、並びに、」「上塗り層(iv)を有する」という層構造が特定されているのに対し、甲3発明では「メタクリレート樹脂、充填材および骨材からなるレジンコンクリート組成物」のみが特定され、層構造が特定されるものではない点。 [相違点A3-2] 本件特許発明1においては、上塗り層(iv)を形成する樹脂組成物は、「ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂である」「ラジカル重合性樹脂(A)」、及び 「エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体である」「芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」 を含有するものであるのに対し、 甲3発明におけるレジンコンクリート組成物は、 「(1)当該組成物中にメタクリレート樹脂が6~8重量%含有され、」 「メタクリレート樹脂の成分であるメタクリレート系単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられるが、メチルメタクリレートを主成分とするものが好ましく、 レジンコンクリートの配合として、メタクリレート樹脂は、メタクリル酸メチル(MMA)を主成分として、重合促進剤、架橋性モノマー(多官能性メタクリル酸エステル)、および、若干量の重合禁止剤を含有するものである(三井石化産資(株)製、シリカルR17DおよびシリカルR17DLV)、メタクリル酸メチル系の液状レジンを使用するとともに、重合開始剤を使用でき」るとの特定にとどまる点。 (イ)判断 a 検討 相違点A3-1について検討する。 まず甲1発明及び甲2発明について検討すると、甲1発明の防水構造は「(A)液状エポキシ樹脂」を含有するプライマーを有し、甲2発明の舗装構造は「エポキシ系樹脂」で形成されたバインダ層を有している。しかしながら、甲1発明は防水構造であってプライマー上に塗布されるのは樹脂塗膜であり、甲2発明でバインダ層上に塗布・積層されるのは、バインダ層と骨材とを被覆するトップコート層であり、いずれも甲3発明のような充填材および骨材を含むレジンコンクリート組成物を積層するものではないところ、当業者が甲1発明の「(A)液状エポキシ樹脂」を含有するプライマー、あるいは甲2発明の「エポキシ系樹脂」で形成されたバインダ層を甲3発明の「レジンコンクリート組成物」と組み合わせる動機はない。さらに、甲3発明は、「メタクリレート樹脂、充填材および骨材」で「セメントコンクリートと同等のコンシステンシーを有するものであり、良好なワーカビリティを有し、従って、水密性、耐薬品性または耐摩耗性等の要請が強い構造物の現場施工において、実用性が極めて高いレジンコンクリート」を成しているものであり、そこから、「メタクリレート樹脂」だけ抜き出して、甲1発明の「(A)液状エポキシ樹脂」を含有するプライマー上に塗布する「塗膜」とする動機も、あるいは甲2発明の「エポキシ系樹脂」で形成されたバインダ層と骨材を被覆する「トップコート層」とする動機もない。 また甲第4号証ないし甲第8号証にも、「メタクリレート樹脂、充填材および骨材からなるレジンコンクリート組成物」(甲3発明)を、エポキシ樹脂により形成された下地の上の上塗り層として、層構造を有する構成とすることは、記載も示唆もされていない。 b 申立人の主張について 相違点A3-1に関し、上記第3の1(2)ア(ウ)に摘記したように、申立人は、 「しかしながら、・・・甲第1号証及び甲第2号証から、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けること、即ち、本件特許発明1の「A1 エポキシ樹脂により形成された下地(ii)」は公知である。 ・・・ 以上より、公知の構成である、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けた土木建築構造において、ラジカル重合性樹脂組成物として、甲第3号証のコンクリート組成物を採用し・・・することは、当業者が容易になし得ることであり、その効果は当業者が予測しえないほど格別顕著であるとはいえない。」(申立書55頁9行~57頁下から4行) と主張している。 しかしながら、上記aで検討したように、当業者が、甲1発明のプライマーあるいは甲2発明のバインダ層と甲3発明の「レジンコンクリート組成物」あるいは「メタクリレート樹脂」とを組み合わせる動機はない。 よって申立人の主張は採用できない。 c 小括 以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、当業者が甲第3号証に記載された発明並びに甲第1号証ないし甲第2号証及び甲第4号証ないし甲8号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明2ないし5について 本件特許発明2ないし5は、それぞれ、本件特許発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記(1)と同様の理由により、当業者が、 ・甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証ないし甲第8号証に記載された発明 ・甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証ないし甲第8号証に記載された発明 ・甲第3号証に記載された発明並びに甲第1号証ないし甲第2号証及び甲第4号証ないし甲第8号証に記載された発明 に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件特許発明6について ア 対比 (ア)甲2方法発明の「舗装面にバインダの材料を塗布するバインダ塗布工程」は、「バインダ層が、エポキシ系樹脂で形成され」ていることと合わせ、本件特許発明6における「舗道(i)上に、エポキシ樹脂を塗布して下地(ii)を形成」することに相当する。 (イ)甲2方法発明における「上記舗装面上に塗布されたバインダの材料の全面を覆うように、弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と硬質骨材とを混合してなる混合骨材を散布する散布工程」は、本件特許発明6における「前記下地(ii)上に骨材(iii)を散布」することに相当する。 (ウ)甲2方法発明における「上記混合骨材及びバインダの表面にトップコートを塗布するトップコート塗布工程」は、「主剤のメタクリル樹脂に硬化促進剤を加え、気温に応じて硬化剤の50%ベンゾイルパーオキシドを添加し、これらを撹拌混合してトップコート層5の材料を作製」できることと合わせ、本件特許発明6における、下地(ii)上に骨材(iii)を散布した更にその上に、「硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有するラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層(iv)を形成する」ことと、「硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有する樹脂組成物による上塗り層(iv)を形成する」点で共通する。 (エ)甲2方法発明の「舗装構造の製造方法」は、 本件特許の明細書における、「滑り止め舗装」についての 「【0002】 舗道上に樹脂を塗布し、次いで骨材を散布する滑り止め舗装は、・・・」 という記載、及び甲2方法発明が、 「舗装面上に設置されたバインダ層と、 弾性心材の表面に硬質粒子が担持された粒子担持弾性骨材と、硬質骨材とが混合されてなり、上記バインダ層に、上記粒子担持弾性骨材と硬質骨材とが深さ方向に均一に配置された混合骨材と、」を備える「舗装構造の製造方法」であることを踏まえると、 本件特許発明6の「滑り止め舗装構造体の製造方法」に相当する。 (オ) 前記(ア)ないし(エ)から、本件特許発明6と甲2方法発明とは、 [一致点] 「エポキシ樹脂を塗布して下地(ii)を形成し、 次いで前記下地(ii)上に骨材(iii)を散布し、更にその上に、 硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有する樹脂組成物による上塗り層(iv)を形成することにより得られる、 滑り止め舗装構造体の製造方法。」 の点で一致し、そして以下の点で相違する。 [相違点B] 本件特許発明6においては、上塗り層(iv)を形成する樹脂組成物は、「ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂である」「ラジカル重合性樹脂(A)」及び「芳香環を有し、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」を含有するものであるのに対し、 甲2方法発明においてトップコート層5を形成する樹脂組成物は「主剤のメタクリル樹脂」を用いて材料を作製するもので、「メタクリル樹脂は三井化学産資社製シリカルを用いることができ」るとの特定にとどまる点。 イ 判断 (ア)検討 上記相違点Bについて検討する。 上記第3の1(2)ア(イ)に摘記した申立人主張のとおり、甲8記載事項を参照して、甲2方法発明における「三井化学産資社製シリカル」が「メチルメタクリレートを主成分とし、副成分として、他の(メタ)アクリレート系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリレート系重合体を含有し、さらに必要に応じて耐候安定剤、可塑剤等が配合され、さらに重合促進剤として第3アミンを含有し、成形硬化に際して重合開始剤を添加して、レドックス重合触媒を形成するメチルメタクリレート系液状レジンである」とし、 そして三井化学産資社製シリカルに含まれる成分のうち、主成分であるメチルメタクリレート、副成分の一つである(メタ)アクリレート系重合体・・・は、それぞれ、本件特許発明6の「C1 芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)」、「B1 ラジカル重合性樹脂(A)」・・・に該当する。」としたとしても、 やはり甲2方法発明は、樹脂組成物が、 「ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂」を含有するという特定を備えるものではない。 この点について甲4記載事項ないし甲7記載事項について検討すると、 上記(1)イ(イ)aにおける検討と同様に、当業者が、甲4記載事項、甲6記載事項及び甲7記載事項の各樹脂組成物を、層構造として異なる甲2方法発明のトップコート層に適用する動機はなく、また、甲5記載事項の「被覆層」における「上層」のみ取り出して、成分が同様ではない甲2方法発明のバインダ層(「エポキシ系樹脂で形成」)上のトップコート層として適用する動機もない。 また甲第8号証にも、相違点Bに係る本件特許発明6の構成は記載も示唆もされていない。 (イ)申立人の主張について 上記第3の1(2)イ(ア)に摘記したように、申立人は、 「甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証には、前述の如く、本件特許発明6(本件特許発明1)の「B2 ・・・」が記載されていることから、 本件特許発明6のB1及びB2に該当する成分を、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された公知の化合物から選択することは、当業者が容易になし得ることであり、その効果は当業者が予測しえないほど格別顕著であるとはいえない。」 と主張している。 しかしながら、上記(ア)で検討したように、当業者が、甲4記載事項ないし甲7記載事項を甲2方法発明に適用する動機はない。 よって申立人の主張は採用できない。 (ウ)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明6は、当業者が甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証ないし甲第8号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 3 取消理由2(サポート要件)について (1)特許法第36条第6項第1号の考え方について 一般に「特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきもの」とされている。(平成17年(行ケ)10042号判決参照。) 以下、この観点に立って検討する。 (2)判断 ア 検討 本件特許の明細書の段落【0007】の「本発明が解決しようとする課題は、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けても優れた常温硬化性を示す土木建築用構造体を提供することである。」という記載からみて、本件特許発明1ないし6の課題として、エポキシ樹脂により形成された下地の上にラジカル重合性樹脂組成物による上塗り層を設けても優れた常温硬化性を示す、土木建築用構造体、及び滑り止め舗装構造体の製造方法を提供することであるということが認識できる。 この課題の解決について、本件特許の明細書の発明の詳細な説明では、 「前記下地(ii)上に設けられる前記ラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂(A)、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)を含有するものであることが必須である。なかでも、前記特定のラジカル重合性単量体(B)を用いることが、前記エポキシ樹脂により形成された下地(ii)上でも優れた常温硬化性を発現する上で重要である。前記ラジカル重合性単量体(B)の芳香環の含有量が40質量%以下であることにより、前記エポキシ樹脂に配合されているフェノール化合物が、ラジカル重合性樹脂組成物中に溶解しにくくなり、ラジカル重合性樹脂組成物の硬化阻害を引き起こさないことが、優れた常温硬化性が得られるメカニズムであると考えられる。前記ラジカル重合性単量体(B)の代わりに、芳香環の含有量が40質量%を超える単量体を用いた場合には、芳香環がリッチとなり前記エポキシ樹脂に配合されているフェノール化合物と化学的構造が類似し溶解性が向上するためラジカル重合性樹脂組成物の硬化阻害が引き起こされる。」(段落【0014】) と記載されており、この説明の記載から、当業者であれば、上記のラジカル重合性単量体(B)を用いる本件特許発明1ないし6は上記課題を解決できるものであることを認識することができる。 よって、本件特許発明1ないし6は、本件明細書の発明の詳細な説明の記載により、当業者が本件特許発明1ないし6の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 イ 申立人の主張について 上記第3の2で摘記したように、申立人は申立書において、本件特許発明1ないし6においては、ラジカル重合性樹脂(A)、芳香環の含有量が40質量%以下であるラジカル重合性単量体(B)、硬化剤(C)、及び、硬化促進剤(D)の4つの成分の含有量について何等規定されていないことから、サポート要件違反を指摘している。 しかしながら、上述のように、上記の発明の詳細な説明の記載により本件特許件発明1ないし6は課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであり、当該4つの成分の含有量の規定なくしては当業者が課題を解決できると認識できないというものではなく、申立人の主張は採用できない。 (3)小括 上記(2)で検討したとおり、特許請求の範囲の請求項1ないし6の記載は特許法第36条第6項第1号の要件を満たさないとの主張には理由がない。 よって、申立理由2により本件特許発明1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。 第5 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700270

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