特許異議申立
2024-700940
再生アスファルト混合物の製造方法及び再生アスファルト混合物の製造装置
- 審判番号
- 2024-700940
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-172000
- 登録番号
- 7460342
- 請求日
- 2024年09月30日
- 審決日
- 2024年12月06日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社NIPPO
- 【権利者代理人】棚井 澄雄
- 【権利者代理人】鈴木 慎吾
- 【異議申立人】藤央 弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 古屋野 浩志
- 審判官 加藤 範久
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P1651.121-Y (E01C) / P1651.537-Y (E01C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第113条第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7460342号発明「再生アスファルト混合物の製造方法及び再生アスファルト混合物の製造装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7460342号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7460342号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和元年9月20日に出願された特願2019-172000号であって、令和6年3月25日にその特許権の設定登録がされ、同年4月2日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和6年9月30日に、特許異議申立人 藤央弁理士法人(以下「申立人」という。)により、請求項1~5に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1~5の特許に係る発明(以下、それぞれを「本件特許発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
アスファルト廃材を破砕し、破砕した後の前記アスファルト廃材を、粒径5mm~0mmの第一の再生骨材と、粒径13mm~5mm超の第二の再生骨材とに分級する工程と、
加熱溶融した新規のアスファルトと再生用添加剤及び施工性改善剤とを加熱しながら混合した再生用アスファルトに、前記第一の再生骨材を、混合してアスファルトモルタルを製造する工程と、
前記アスファルトモルタルと、異なる加熱手段でそれぞれ加熱された前記第二の再生骨材及び新規骨材とを混合して再生アスファルト混合物を製造する工程と、を、有し、
前記第一の再生骨材および前記第二の再生骨材は、針入度が20以上である旧アスファルトを3質量%以上含むことを特徴とする再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項2】
前記アスファルトモルタル製造時に、前記新規のアスファルトと加熱混合を行う前の前記第一の再生骨材は常温である請求項1に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項3】
前記新規のアスファルト及び/または前記アスファルトモルタルに、発泡剤を含む水溶液を添加して発泡させることで容積を増大させ、粘性を低減させる請求項1または2に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項4】
前記アスファルトモルタルの製造時の加熱混合時間は10分以上である請求項1から3のいずれか1項に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載された再生アスファルト混合物の製造方法に用いられる再生アスファルト混合物の製造装置であって、
加熱された新規のアスファルトと第一の再生骨材と再生用添加剤及び/または施工性改善剤とを加熱混合してアスファルトモルタルを製造する混合釜と、
前記アスファルトモルタルと前記第一の再生骨材より粒径の大きい第二の再生骨材及び/または新規骨材とを、攪拌混合することで再生アスファルト混合物を製造するミキサーと、
を備えたことを特徴とする再生アスファルト混合物の製造装置。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人による特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
1 特許異議申立理由1(甲第1号証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1、2、4、5は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術、並びに、甲第4号証及び甲第5号証に記載された周知技術に基づいて、本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術、甲第4号証及び甲第5号証に記載された周知技術、並びに、甲第6号証及び甲第8号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 特許異議申立理由2(甲第7号証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1、2、4、5は、甲第7号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術、並びに、甲第4号証及び甲第5号証に記載された周知技術に基づいて、本件特許発明3は、甲第7号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術、甲第4号証及び甲第5号証に記載された周知技術、並びに、甲第6号証及び甲第8号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 特許異議申立理由3(甲第8号証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1、2、4、5は、甲第8号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術、並びに、甲第4号証及び甲第5号証に記載された周知技術に基づいて、本件特許発明3は、甲第8号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術、甲第4号証及び甲第5号証に記載された周知技術、並びに、甲第6号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
4 特許異議申立理由4(明確性要件違反)
本件特許発明1~5は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
第4 証拠
1 証拠一覧
甲第1号証:Marius Huurman 他4名、「Low Emission2 Asphalt Pavement, LE2AP」、6th Eurasphalt & Eurobitume Congress、2016年6月2日
甲第2号証:国際公開第2014/168478号
甲第3号証:国際公開第2014/168479号
甲第4号証:国際公開第2019/003645号
甲第5号証:特許第6367995号公報
甲第6号証:特開2000-51746号公報
甲第7号証:Jian Qiu他3名、「Sustainable Warm In-plant SMA Mixtures with 80% Recycling and Produced at 115℃」、Proceedings of the 5th International Symposium on Asphalt Pavements & Environment (APE)、283~293頁、2019年9月12日
甲第8号証:国際公開第2014/168477号
甲第9号証:6th Eurasphalt & Eurobitume Congress Programme & Exhibition Catalogue
甲第10号証:ISAP 2019 APE Symposium, 5th International Symposium on Asphalt Pavements & Environment (APE) Final Program
2 各証拠について
(1)甲1
ア 記載事項
申立人が甲第1号証として提出した「Low Emission2 Asphalt Pavement, LE2AP」(以下「甲1」という。)には、次の事項が記載されている。なお、括弧書きは、申立人が提出した抄訳文を参考にした当審訳を示す。(下線は、当審合議体が付した。以下同様。)
(ア)1頁目 ABSTRACT 第1~13行
「
[図:0001418274000001.jpg]
(要約
この論文では、現在進行中のLE2APプロジェクト(Low Emission2 Asphalt Pavement)の進捗状況について述べる。なお、2は、製造時の汚染物質の排出と使用時の騒音を考慮したことを示している。LE2APは、アスファルトリサイクルの新しい方法に着目している。LE2AP アプローチの重要な問題は、道路再建で利用可能になる材料が評価されることである。最初のステップは、これらの材料をドライミリングにより取得することである。その後、再生されたアスファルトがその成分に分解される。この結果、ビチューメンをほとんど含まない再生骨材と、ビチューメン、フィラー、砂の混合物であるビチューメンリッチなモルタル砂とが得られる。モルタル砂は、標準的なモルタルの製造の主な成分として使用される。標準モルタルは、攪拌装置を備えた密閉タンクで製造される。このタンクでは、モルタルは均質化され、再生用添加剤と軟質ビチューメンとで処理される。標準モルタルは、一定のアスファルト含有量と一定の性能特性を持つ。標準モルタルは、今日、オランダで使用されている多孔質アスファルト混合物の多くを製造するために使用することができる。より密度の高いアスファルトの製造には、特に砂を加える必要がある。混合物の製造中、モルタルは発泡され、再生骨材と混合されるミキサーに供給され、低温で製造された再生材料を高い割合で含む高品位アスファルト混合物を得る。)」
(イ)3頁目 第17~35行
「
[図:0001418274000002.jpg]
(そして、再生アスファルトは、各要素に分解される。様々な破砕物から分離され、ビチューメンをほとんど含まない骨材と、ビチューメンを豊富に含むモルタル砂も得られる。モルタル砂は160~170℃に加熱され、再生骨材とは別に処理される。この工程では、現行のアスファルトリサイクルのように、アスファルトを豊富に含んだモルタル砂を乾燥ドラムのバーナーの炎や空気に接触させることはない。このため、排出は限定的である。処理として、軟質ビチューメン、再生用添加剤の添加、均質化が行われる。必要に応じて、フィラーダストを加えることもできる。アスファルトの混合効率、均質性、アスファルトの酸化や燃焼といった、従来のアスファルトリサイクルで一般的な問題を防ぐことができる。この新しいアプローチは、環境を保護し、再生材料を高い割合で含む新しいアスファルトの品質を向上させる。
処理されたモルタル砂は、新しい製品、すなわち高品質で均質なLE2AP モルタルを提供し、新しいアスファルトの結合媒体となる。モルタルは制御された方法で混合・加熱されるため、再生用添加剤の拡散に関する問題は存在しない。
再生モルタルはその後発泡され、ミキサーに供給され、混合レシピに従って様々な破砕物の中の再生骨材と混合される。再生材料の品質と投入速度が厳密に管理されているため、再生アスファルトの割合が高い高品質の新アスファルトが得られる。
乾燥した再生骨材は、加熱されないか、部分的にしか加熱されない。水分を系から排除することで、最終的には乾燥ドラムが不要になる可能性がある。これにより、再生アスファルトを高い割合で含む高品質のアスファルトの現場生産が可能になる。今日、アスファルト道路建設中に行われている輸送作業の多くは、その後、省略されるかもしれない。大規模なプロジェクトでは、輸送作業は、再建設現場のパラメータ内の輸送作業のみに制限される。)」
(ウ)4頁目 第6行~最下行 及び、5頁目 第1~3行
「
[図:0001418274000003.jpg]
[図:0001418274000004.jpg]
(6.乾式分解
粉砕されたアスファルトは、定義によれば、新しい混合物のレシピに準拠しない所定の組成を持つ。さらに、再生アスファルトに含まれるビチューメンは劣化しており、これはPA表層アスファルトの場合に顕著である。現在、オランダで製造されている標準的なACビン/ベース層は、50%から60%の再生アスファルトを含んでいる。これより多くの再生アスファルトを含むものは、偶発的にしか作られず用いられない。オランダでは、表層は再生アスファルトを含まないか、ごく限られた量しか含まない。
前述の再生アスファルトの使用割合では、混合物への新鮮な材料の添加率が、混合物の組成:鉱物の等級と最終製品のアスファルトの割合に対する制御を維持するのに十分高いものである。さらに、新鮮なアスファルトの添加率は、十分な品質の混合物が得られるようなものである。その結果、アスファルトリサイクル率を30%以上とする既存の技術が、メジャーなアスファルトリサイクルに採用されておらず、すなわち表層のリサイクルには適用されていない。
将来的には、再生材料をベースに高品質のアスファルトを生産できるようにする必要がある。これは、約95%のリサイクル率が必要となる。このようなリサイクルは、ACビン/ベース混合物に適用されるだけでなく、特に表層に適用されるべきである。
このような高い割合のリサイクルは、再生アスファルトが様々な破砕物中における鉱物性骨材とモルタル砂に分解された場合にのみ実現可能である。選択的な粉砕によって、表層からの高品質の骨材は、他のもの、柔らかい骨材から分離された状態に保つことができる。回収されたモルタル砂は、新しいアスファルトの生産に使用される高品質のモルタルを得るために処理、均質化される分離処理を経る。
図3に示すように、再生アスファルトの分離方法は、扱われる。この方法では、低周波におけるチューインガムのような挙動、及びより重要となる高周波におけるガラスのような挙動というアスファルトの特性が利用される。この分離方法では、粉砕されたアスファルトが、鉄の壁に投射される。その衝撃は、非常に高い負荷周波数を生じさせる。その結果、アスファルトとモルタルは衝撃でガラス様の挙動を見せる。その結果、脆性破壊が生じ、個々の骨材を覆うモルタル膜が、結果的に剥離する。図4に示すように、この方法の結果、得られるものは、アスファルトをほとんど含まない1%以下(m/m)の骨材と10-12%含むアスファルトリッチなモルタル砂の分離混合物である。篩分け技術を使用することにより、2mm未満のモルタル砂を2mm超の鉱物骨材から分離する。)」
(エ)11頁目 第4~13行
「
[図:0001418274000005.jpg]
(8.混合デザイン
前節では、LE2APリサイクル方法が、再生モルタルをベースに高品質のモルタルを製造できることを保証することが示された。このLE2APモルタルは浸透度が70/100のアスファルトから成り、品質(浸透度と経年変化しやすさ)の点で、少なくとも新鮮なアスファルトと同等である。LE2APモルタルのアスファルト含有量を目標とするモルタルのそれと等しくした場合、得られたLE2APモルタルの特性は、応答挙動(G *とδのマスターカーブ)、疲労挙動、経時感受性が、少なくとも目標モルタルのそれと等しくなる。
LE2AP の理念(アスファルト、モルタル、バルクの規模での同等性の追求)において、これは、LE2AP モルタルが適用された混合物は、2つの混合物の組成が鉱物等級(2mm超)とモルタル含有量(V/V)の点で同等であれば、少なくとも、フレッシュな製造された混合物の特性と同等となるはずであるとの結論が導かれる。
表3:混合物のレシピ、製造方法、及び混合物TZ086の変数のためのITSR値)」
(オ)13頁目 下から15~7行
「
[図:0001418274000006.jpg]
(12.議論と結論
この論文では、新しいリサイクルへのアプローチについて議論された。望ましいリサイクル手順の開発への進行中の研究への洞察が与えられた。アスファルトリサイクルの新しいアプローチの主要な点は以下の通りである。
-再生アスファルトの含水率を抑えるため、古いアスファルトはできるだけ水を使わずに粉砕され、その後は乾燥した状態に保たれる。
-再生アスファルトは分解され、ごく限られた量のアスファルトを含む2mm超の再生骨材と、高い割合のアスファルトを含む2mm未満のモルタル砂が得られる。
-モルタル砂は165~170℃に加熱され、アスファルトの含有量と性能が一定した標準モルタルが得られるように均質化処理される。)」
イ 認定事項
上記ア(エ)で示した表3は、その表題にあるように、混合物のレシピ等を示すものであって、5種類の混合物の各構成材料の配合割合等を示すものであることが看取できる。そして、「Bestone」を含み「RC stone」を含まない「TZ086 Type Test」は、リサイクル率が「0.0%」となっているのに対し、「Bestone」と「RC stone」を含む「LE2AP 50 % RC stone」、「LE2AP 95% RC stone」、「LE2AP 95 % RC stone LTA」の混合物はリサイクル率が所定の値となっていて、「RC stone」の割合が高い方が、リサイクル率の割合が高くなっていることから、「Bestone」は新規骨材を意味し、「RC stone」は再生骨材を意味すると認められる。すると、表3の「LE2AP 50 % RC stone」、「LE2AP 95% RC stone」、「LE2AP 95 % RC stone LTA」の混合物は、新規骨材、再生骨材、LE2AP標準モルタルの混合物であると認められる。
ウ 甲1発明
上記アの記載事項及びイの認定事項から、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。
なお、甲1には、モルタル砂を再生処理したモルタルについて、「標準モルタル」、「標準的なモルタル」、「LE2APモルタル」、「LE2AP標準モルタル」という異なる用語で記載されているが、これらはいずれも同じものを意味していることは明らかであるから、甲1発明の認定においては、統一して「標準モルタル」という用語を用いることとした。
<甲1発明>
「道路再建で利用可能になる材料をドライミリングにより取得し、再生されたアスファルトがその成分に分解され、ビチューメンをほとんど含まない再生骨材と、ビチューメン、フィラー、砂の混合物であるビチューメンリッチなモルタル砂とが得られ、モルタル砂は、標準モルタルの製造の主な成分として使用され、標準モルタルは、攪拌装置を備えた密閉タンクで製造され、このタンクでは、モルタルは均質化され、再生用添加剤と軟質ビチューメンとで処理され、標準モルタルはアスファルト混合物の多くを製造するために使用され、混合物の製造中、モルタルは発泡され、再生骨材と混合されるミキサーに供給され、低温で製造された再生材料を高い割合で含む高品位アスファルト混合物を得る方法であって、(前記ア(ア))
再生アスファルトは、各要素に分解され、様々な破砕物から分離され、ビチューメンをほとんど含まない骨材と、ビチューメンを豊富に含むモルタル砂も得られ、モルタル砂は160~170℃に加熱され、再生骨材とは別に処理され、処理としては、軟質ビチューメン、再生用添加剤の添加、均質化が行われ、処理されたモルタル砂は、新しい製品、すなわち高品質で均質な標準モルタルを提供し、新しいアスファルトの結合媒体となるものであって、再生モルタルはその後発泡され、ミキサーに供給され、混合レシピに従って様々な破砕物の中の再生骨材と混合され、乾燥した再生骨材は、加熱されないか、部分的にしか加熱されないものであり、(前記ア(イ))
再生アスファルトの分解について、選択的な粉砕によって、表層からの高品質の骨材は、他のもの、柔らかい骨材から分離された状態に保つことができ、回収されたモルタル砂は、新しいアスファルトの生産に使用される高品質のモルタルを得るために処理、均質化される分離処理を経るものであり、この分離方法では、粉砕されたアスファルトが、鉄の壁に投射され、個々の骨材を覆うモルタル膜が、結果的に剥離し、アスファルトをほとんど含まない1%以下(m/m)の骨材と10-12%(m/m)含むアスファルトリッチ なモルタル砂の分離混合物を得て、篩分け技術を使用することにより、2mm未満のモルタル砂を2mm超の鉱物骨材から分離するものであり、(前記ア(ウ))
再生アスファルトは分解され、ごく限られた量のアスファルトを含む2mm超の再生骨材と、高い割合のアスファルトを含む2mm未満のモルタル砂が得られるものであり、(前記ア(オ))
混合物のレシピとして、新規骨材、再生骨材、標準モルタルの混合物がある(前記イ)
方法。」
エ 甲1の公知日について
甲1の各頁のフッダーには、「6th Eurasphalt & Eurobitume Congress 1-3 June 2016 Prague, Czech Republic」と記載されており、甲第9号証(以下「甲9」という。)は、「6th Eurasphalt & Eurobitume Congress Programme & Exhibition Catalogue」であって、その9頁には、2016年6月2日の講演の題目の一つとして「Low Emission2 Asphalt Pavement, LE2AP」と記載されている。甲1のフッダーに記載された学会名と甲9のプログラムの学会名とが一致しており、さらに、甲1の論文の題目と、甲9のプログラムに記載された2016年6月2日の講演の題目とが一致していることから、甲1は2016年6月2日に公知になったものと認められる。
以上のとおり、甲1の公知日は、2016年6月2日であるから、前記ウで示した甲1発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明であると認められる。
(2)甲2について
ア 記載事項
申立人が甲第2号証として提出した「国際公開第2014/168478号」(以下「甲2」という。)には、次の事項が記載されている。なお、括弧書きは、申立人が提出した抄訳文を参考にした当審訳を示す。
(ア)CLAIMS
「1. Process for the preparation of an asphalt composition, comprising the steps:
a) heating reclaimed asphalt material that comprises reclaimed asphalt aggregates and recycle bitumen, wherein the amount of recycle bitumen is in the range of 0.1 to 2.5%wt, based on the weight of the reclaimed asphalt material;
b) heating fresh bitumen;
c) heating a reclaimed asphalt;
d) mixing at least part of the heated reclaimed asphalt material obtained in step a) with at least part of the heated fresh bitumen obtained in step b) and with at least part of the heated reclaimed asphalt obtained in step c) to form the asphalt composition.
・・・
9. Process according to any one of claims 1 to 8, wherein the fresh bitumen is heated to a temperature of at least 130 °C, preferably at least 150 °C.
(1. アスファルト組成物を調製するための方法であって、以下のステップを含む:
a)再生アスファルト骨材と再生アスファルトからなる再生アスファルト材料を加熱する工程であって、再生アスファルトの量が、再生アスファルト材料の重量を基準として、0.1~2.5重量%の範囲である工程;
b) 新鮮なビチューメンを加熱する工程;
c) 再生アスファルトを加熱する工程;
d) ステップa)で得られた加熱再生アスファルト材料の少なくとも一部を、ステップb)で得られた加熱新鮮ビチューメンの少なくとも一部、およびステップc)で得られた加熱再生アスファルトの少なくとも一部と混合して、アスファルト組成物を形成する工程。
・・・
9. 新鮮なアスファルトを少なくとも130℃、好ましくは少なくとも150℃の温度で加熱する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。)」
(3)甲3について
ア 記載事項
申立人が甲第3号証として提出した「国際公開第2014/168479号」(以下「甲3」という。)には、次の事項が記載されている。なお、括弧書きは、申立人が提出した抄訳文を参考にした当審訳を示す。
(ア)CLAIMS
「1. Process for the production of reclaimed asphalt aggregates, comprising the steps:
a) providing reclaimed asphalt lumps and treating the reclaimed asphalt lumps by the use of impact to obtain reclaimed asphalt aggregates that comprise recycle bitumen; and
b) separating the reclaimed asphalt aggregates into at least a coarse fraction having granular particles with a diameter of more than 2 mm and at least a fine fraction having granular particles with a diameter of at most 2 mm.
2. Process according to claim 1 , which is carried out without the addition of water, preferably in the substantial absence of water.
・・・
10. Process for the preparation of an asphalt composition comprising reclaimed asphalt aggregates comprising recycle bitumen, comprising the steps:
a) providing at least a coarse fraction of reclaimed asphalt aggregates and at least a fine fraction of reclaimed asphalt aggregates obtained by the process according to any one of claims 1 to 9;
b) heating at least a part of the coarse fraction to a temperature of more than 130 °C, to obtain a hot coarse fraction,
c) providing fresh bitumen and heating the fresh bitumen to a temperature of at least 130 °C, to obtain hot fresh bitumen; and
d) mixing at least a portion of the hot coarse fraction and, optionally, at least a portion of the fine fraction with hot fresh bitumen to obtain an asphalt composition.
11. Process according to claim 10, wherein the reclaimed asphalt aggregates in the at least one coarse fraction are heated to a temperature of at least 150 °C.
(1. 再生アスファルト骨材の製造方法であって、
a)再生アスファルト塊を供する、再生アスファルト塊を衝撃を与えて処理して、再生アスファルトを含む再生アスファルト骨材を得るステップと、
b)再生アスファルト骨材を、直径が2mmを超える粒状粒子を有する少なくとも粗い破砕物と、直径が最大でも2mmの粒状粒子を有する少なくとも細かい破砕物とに分離するステップと、を含む方法。
・・・
10. 再生アスファルトを含む再生アスファルト骨材を含むアスファルト組成物の調製方法であって、以下の工程を含む方法:
a) 再生アスファルト骨材の少なくとも粗粒の破砕物と、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって得られた再生アスファルト骨材の少なくとも細粒の破砕物とを提供するステップ;
b) 粗骨材の少なくとも一部を130℃以上の温度に加熱し、高温の粗骨材を得る工程、
c) 新鮮なアスファルトを供給し、その新鮮なアスファルトを少なくとも130℃の温度に加熱して、高温のフレッシュなアスファルトを得る工程;および
d) 加熱した粗粒の破砕物の少なくとも一部と、任意で細粒の破砕物の少なくとも一部を高温のフレッシュなアスファルトと混合し、アスファルト組成物を得る工程。
11.請求項10に記載の方法において、少なくとも1つの破砕物の中の再生アスファルト骨材は少なくとも150℃まで加熱される。)」
(4)甲4について
ア 記載事項
申立人が甲第4号証として提出した「国際公開第2019/003645号公報」(以下「甲4」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)段落[0052]
「
[図:0001418274000007.jpg]
」
(5)甲5について
ア 記載事項
申立人が甲第5号証として提出した「特許第6367995号公報」(以下「甲5」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)段落【0013】~【0015】
「【0013】
本発明の舗装用再生アスファルト混合物は、
(a)アスファルトコンクリート再生骨材と、
(b)ヨウ素価が50~110の脂肪酸系化合物、および/または、(c)グリコールエーテル系化合物と、
を含む。
【0014】
(a)アスファルトコンクリート再生骨材
本発明に用いるアスファルトコンクリート再生骨材は、舗装の補修や打換え時などで発生するアスファルトコンクリート発生材からなり、使用済みアスファルト(旧アスファルト)を含んでいる。
【0015】
アスファルトコンクリート再生骨材の品質は、旧アスファルトの含有量が2.5質量%以上、旧アスファルトの針入度(1/10mm)が1以上30未満、圧裂係数(MPa)が3.00以下、骨材の微粒分量が15質量%以下であることが好ましい。」
(6)甲6について
ア 記載事項
申立人が甲第6号証として提出した「特開2000-51746号公報」(以下「甲6」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)段落【0001】~【0002】
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱アスファルトの供給とほぼ同時に圧縮空気と水の混合体を加熱アスファルト中に分散させることにより加熱アスファルトを発泡させるフォームドアスファルトの製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、フォームドアスファルトは、道路舗装において砕石及び砕砂などを被覆することにより土壌を安定化させるために、道路舗装の作業現場で使用されている。このフォームドアスファルトの製造は、約150℃~170℃に加熱されたアスファルトに少量(アスファルト量に対し2~3%)の水を混合することによりなされる。このアスファルトは高粘性の材料からなり、常温では個体である。しかして、水が、加熱して溶融状態にあるアスファルト(以下、加熱アスファルトという。)に浸入すると、加熱アスファルトに囲まれた無数の微小な水蒸気になり、この加熱アスファルトの容積は膨張して約15~20倍又はそれ以上の容積にもなる。このようなフォームドアスファルトは粘性も非常に低く、砕石及び砕砂などの骨材の間に侵入しやすく、且つ骨材を加熱乾燥する必要がないので、冷温及び湿潤状態のときにも施工が可能である。また、プラントの規模を小さくできるなどという利点もある。道路舗装においてフォームドアスファルトを散布すると、細骨材がフォームドアスファルトに被覆され、次いで、例えばモータグレーダ及びロードローラの転圧により、この細骨材を被覆しているフォームドアスファルトを潰して、この潰したフォームドアスファルトを接着剤として粗骨材同士が結合される。」
(7)甲7について
ア 記載事項
申立人が甲第7号証として提出した「Sustainable Warm In-plant SMA Mixtures with 80% Recycling and Produced at 115℃」(以下「甲7」という。)には、次の事項が記載されている。なお、括弧書きは、申立人が提出した抄訳文を参考にした当審訳を示す。
(ア)283頁目 Abstract.
「
[図:0001418274000008.jpg]
(要約 砕石マスチックアスファルト(SMA)は、その優れた性能と15~20 年という長い耐用年数から、オランダの地方道路で表層として広く使用されている。しかし、このSMA 混合物は100%新しい材料で作られており、品質上の懸念からリサイクルは認められていない。本稿では、ゲルダーラント州、ノールト・ブラバント州、オーヴァーアイセル州およびオランダ運輸省(Rijkswaterstaat)と共同で、高品質、リサイクル率80%、115℃の低温生産が可能なサステイナブルSMA 混合物を開発した。80%までリサイクル可能な高品質のSMA 混合物は、再生骨材分(ビチューメン含有量1%未満)とアスファルトリッチなモルタル分(ビチューメン含有量10~12%)で設計され、欧州のLife+プログラムの支援を受けた、革新的な分解技術によって、達せられている。115℃という低い製造温度を達成するために、アスファルト発泡とモルタル発泡という2つの発泡技術が適用された。実験室研究の良好な結果を受け、2018年7月、オランダのゲルダーラント州とノールト・ブラバント州の2つの州道N317とN625において、最大80%のリサイクルを含み115℃で製造されるサステイナブルSMA 混合物を使用して合計4kmの実証区間の建設に成功した。)」
(イ)284頁目 第21~30行
「
[図:0001418274000009.jpg]
(2.1 LE2APとLE2AP SMA
図1aは、LE2AP のリサイクル方法の概要を示す。図1b及び図1cに示されるように、再生ポーラスアスファルトは、まず、その成分である、モルタル(2mmより小さい,ビチューメン含有量10-15%)と、骨材(ポーラスアスファルト石材,ビチューメン含有量1%未満)と、に分離される。再生骨材は認証されており、バージン骨材の代わりに直接再利用できる (Huurman et al 2018)。その後、モルタルを濃縮し、再生処理及び均質化を行い、フレッシュな同等のものと同じ性能を持つLE2AP モルタルを得る。その後、LE2AP モルタルを発泡させ、PA骨材と混合し、100~110℃の温度で混合物を製造する。この方法により、再利用率が高くても成分の品質と混合組成を管理でき、低温での製造が可能になる。)
(ウ)285頁目 第13~20行
「
[図:0001418274000010.jpg]
(2.2 PA骨材
PA骨材の特性はバージン骨材と同様であり、PA骨材は再生骨材と見なすことができ、砂と充填材はごく限られており、アスファルトの含有量は約0.7~1%である。PA骨材は、アスファルトの浸透度が5~10(0.1mm)程度の、およそ10年経過した再生多孔質アスファルト層から得られる。したがって、PA骨材上に残存するアスファルトの活性率を理解することは、SMA混合物の容積設計を正しく成功させるために重要である。)」
(エ)286頁目 第10~20行、及び、287頁目 表1
「
[図:0001418274000011.jpg]
[図:0001418274000012.jpg]
(2.3 LE2APモルタル
LE2AP 方法では、アスファルトの大部分を含むモルタル砂が鉱物骨材から分離され、単独に処理される。処理中、モルタルは加熱されるが、昨今のACリサイクルと比較すると、炎や過熱した空気と接触することはない。その結果、再生アスファルトは過熱されず、再生アスファルト中の軽炭化水素が維持される。さらに、処理には、軟質アスファルト及び再生用添加剤の添加、と均質化が含まれる。この個別のモルタル処理方法により、従来の AC リサイクルでよく見られるアスファルトの混合効率、均質性、アスファルトの酸化または燃焼の問題が確実に克服される(Huurman et al. 2018)。
表1は、LE2AP モルタルと基準SMA モルタルの比較である。・・・
表1 モルタル組成物の詳細
」
(オ)288頁目 下から8行~最下行、及び表2
「
[図:0001418274000013.jpg]
((B)モルタル発泡(混合物5、図5b): モルタル発泡技術は、欧州のLife+プロジェクトLE2AP の下でBAM が特別に開発したものである。この混合物では、再生モルタル砂は170℃の温度で、アスファルト含有率約25~30質量%のLE2APモルタルに再生・濃縮される(2.3 節参照)。このLE2APモルタルはその後、特別に設計された発泡ユニット(図5b)で発泡されてミキサーに投入され、約120℃に予熱された骨材と混合される。このユニットは、アスファルトの発泡原理と、砂やフィラー粒子の影響の両方を考慮して特別に設計されている(Huurman et al.)。
表2 5つのSMA混合物とそれらの製造方法の詳細」
イ 認定事項
上記ア(オ)で示した表2は、表題にあるように「5つのSMA混合物」の詳細を示すものであって、「LE2AP SMA80%+115C」との混合物には、PA骨材とLE2APモルタルと新鮮な新規骨材(Bestone)が含まれていることが認められる。
ウ 甲7発明
上記アの記載事項及びイの認定事項から、甲7には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲7発明」という。)。
「高品質、リサイクル率80%、115℃の低温生産が可能な持続可能な砕石マスチックアスファルト(SMA) 混合物の製造方法であって、(前記ア(ア))
SMA混合物は、革新的な分解技術によって、再生骨材分(ビチューメン含有量1%未満)とアスファルトリッチなモルタル分(ビチューメン含有量10~12%)で設計されており、アスファルト発泡とモルタル発泡という2つの発泡技術が適用されており、(前記ア(ア))
再生ポーラスアスファルトは、まず、その成分である、モルタル(2mmより小さい,ビチューメン含有量10-15%)と、骨材(ポーラスアスファルト石材,ビチューメン含有量1%未満)と、に分離され、その後、モルタルを濃縮し、再生処理及び均質化を行い、フレッシュな同等のものと同じ性能を持つLE2APモルタルを得て、その後、LE2APモルタルを発泡させ、PA骨材と混合し、100~110℃の温度で混合物を製造するものであり、(前記ア(イ))
PA骨材の特性はバージン骨材と同様であり、PA骨材は再生骨材と見なすことができ、アスファルトの含有量は約0.7~1%であって、およそ10年経過した再生多孔質アスファルト層から得られるものであり、(前記ア(ウ))
アスファルトの大部分を含むモルタルサンドが鉱物骨材から分離され、単独に処理され、処理には、軟質アスファルト及び再生用添加剤の添加、と均質化が含まれ、(前記ア(エ))
再生モルタル砂は、アスファルト含有率約25~30質量%のLE2APモルタルに再生・濃縮され、LE2APモルタルはその後、発泡されてミキサーに投入され、約120℃に予熱された骨材と混合され、(前記ア(オ))
混合物には、PA骨材とLE2APモルタルと新鮮な新規骨材が含まれている(前記イ)
方法。」
エ 甲7の公知日について
甲7の1頁目には、「Proceedings of the 5th International Symposium on Asphalt Pavements & Environment (APE)」と記載されている。そして、甲第10号証(以下「甲10」という。)は、「ISAP 2019 APE Symposium 5th International Symposium on Asphalt Pavements & Environment (APE)」の「Final Program」であって、その40頁には、2019年9月12日の講演の題目の一つとして「Sustainable warm in-plant SMA mixtures with 80% recycling and produced at 115℃」と記載されている。甲7の1頁目に記載された学会名と甲10のプログラムの学会名とが一致しており、さらに、甲7の論文の題目と、甲10のプログラムに記載された2019年9月12日の講演の題目とが一致していることから、遅くとも甲7は2019年9月12日に公知になったものと認められる。
以上のとおり、甲7の公知日は、2019年9月12日であるから、前記ウで示した甲7発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明であると認められる。
なお、申立人は、甲7は、2019年8月30日にインターネットで利用可能になったと主張しているが、2019年8月30日にインターネットで利用可能になったことを示す証拠はなく、また、2019年8月30日でも、2019年9月12日でも、本願の特許出願前であることには変わらないので、甲7の公知日は2019年9月12日であると認めて、検討を進めることとした。
(8)甲8について
ア 記載事項
申立人が甲第8号証として提出した「国際公開第2014/168477号」(以下「甲8」という。)には、次の事項が記載されている。なお、括弧書きは、申立人が提出した抄訳文を参考にした当審訳を示す。
(ア)第2頁第23行~第3頁第5行
「The mastic composition according to the present invention enables the use of an additional portion of the reclaimed asphalt aggregates. Not only the aggregates are reused, but also the bitumen that is adhered to the reclaimed aggregates, is in this way recycled to the mastic composition and can be reused in the manufacture of new asphalt mixtures. By ensuring that the mastic composition has a shear modulus of at most 2000 MPa at -10°C and a frequency of 1 Hz, the skilled person has a mastic composition at his disposal that can be re-used as binder in asphalt compositions with substantially the same specifications as freshly prepared mastic compositions.
In asphalt the aggregates are generally granular. A usual gradation distinguishes aggregates in coarse aggregates having a diameter of greater than 2 mm and fine aggregates which have a diameter of equal to or smaller than 2 mm. The aggregates are generally mineral material and may be composed of small sized rocks and pebbles, sand and finer dust of mineral material. Asphalt is generally composed of a matrix of aggregates that are bound by bitumen as binder and fine aggregates as filler. A mastic composition can be used as binder and filler for the more coarse rocks and pebbles since it contains both fine aggregates and bitumen. The particle sizes of aggregates are typically determined by sieves. Standard sieves have been mentioned in standard EN13043. In the present invention the diameters are determined by using the appropriate sieve in accordance with EN 13043. That means that the fine aggregates with a diameter of at most 2 mm correspond with the fraction that passes a 2 mm sieve. The more coarse fraction, i.e. particles with a diameter of more than 2 mm, is the fraction that does not pass the 2 mm sieve.
(本発明によるマスチック組成物は、再生アスファルト骨材の追加部分の使用を可能にする。骨材が再利用されるだけでなく、再生骨材に付着しているアスファルトも、このようにしてマスチック組成物にリサイクルされ、新しいアスファルト混合物の製造に再利用することができる。マスチック組成物が-10℃および1Hzの周波数で最大2000MPaのせん断弾性率を有することを保証することにより、当業者は、新鮮に調製されたマスチック組成物と実質的に同じ仕様のアスファルト組成物のバインダーとして再利用することができるマスチック組成物を自由に利用することができる。
アスファルトでは、骨材は一般に粒状である。通常の粒度分布では、骨材は直径2mm以上の粗骨材と、2mm以下の細骨材に区別される。骨材は一般的に鉱物であり、小さなサイズの岩石や小石、砂、鉱物質の微細な粉塵で構成されることがある。アスファルトは一般に、バインダーとしてのアスファルトとフィラーとしての細骨材によって結合された骨材のマトリックスで構成されている。マスチック組成物は、細骨材とアスファルトの両方を含むため、より粗い岩石や小石のバインダーおよび充填材として使用することができる。骨材の粒子径は、通常、ふるいによって決定される。標準的なふるいは規格N13043に記載されている。本発明では、EN13043に準拠した適切なふるいを用いて直径を決定する。つまり、直径が最大でも2mmの細骨材は、2mmのふるいを通過する破砕物に相当する。より粗い破砕物、すなわち直径が2mmを超える粒子は、2mmのふるいを通過しない破砕物である。)」
(イ)第3頁第34行~第4頁第21行
「The use of the reclaimed asphalt aggregates not only entails the recycle of the aggregate material. It has been found that fine reclaimed asphalt aggregates may also contain considerable amounts of bitumen. By recycling the reclaimed granular asphalt aggregates also this bitumen is re-used. In general road pavement comprises from 3 to 8 %wt of bitumen. When this road pavement is being recovered as reclaimed asphalt, one would expect that the various fractions would also contain a homogeneous content of bitumen, ranging from 3 to 8%wt, based on the whole fraction. It has been found that surprisingly the distribution of recycle bitumen over the fractions of reclaimed asphalt aggregates may be varied in such a way that the fine fraction or fractions comprise a higher content of bitumen than the coarse fraction or fractions. It has been found that especially when the reclaimed asphalt aggregates have been obtained by subjecting reclaimed asphalt to decomposition by means of impact, in particular in a centrifugal mill, and to subsequent sieving, fine aggregates are obtainable that have a significantly higher amount of recycle bitumen than the more coarse fraction. Without wishing to be bound by any theory, it would seem that in a centrifugal mill, the reclaimed asphalt is thrown against the side wall of the centrifugal mill or against other aggregates in such a way that larger parts of reclaimed asphalt disintegrates into the original aggregates, without significant breaking of the coarse aggregates that are present in the reclaimed asphalt. The smaller aggregates tend to hold on to more bitumen that the coarse aggregates. A suitable centrifugal mill has been described in EP1335794, which discloses a two chamber-comprising centrifugal mill. This mill will be described in more detail hereinbelow. The coarse aggregates that are obtained from such a mill comprise less recycle bitumen than the average of the reclaimed asphalt. The fine aggregates contain significantly more recycle bitumen than the average of the reclaimed asphalt. The bitumen content in the fine aggregates thus obtained may comprise from 6 to 25%wt, preferably from 7 to 25%wt, more preferably from 9 to 25%wt, based on the combination of reclaimed fine aggregates and recycle bitumen.
(再生アスファルト骨材の使用は、骨材をリサイクルするだけではない。再生アスファルト細骨材には、かなりの量のアスファルトが含まれていることが判明している。再生された粒状アスファルト骨材をリサイクルすることで、このアスファルトも再利用される。一般的に、道路舗装は3~8重量%のアスファルトを含んでいる。この道路舗装が再生アスファルトとして回収される場合、様々な破砕物も、破砕物全体を基準として3~8重量%の範囲のアスファルトを均等に含むと予想される。驚くべきことに、再生アスファルト骨材の破砕物上の再生アスファルトの分布は、細かい単破砕物または破砕物群が、粗い単破砕物または破砕物群よりも、アスファルトの含有量が多くなるように変化することができることが見出されている。特に、再生アスファルト骨材が、再生アスファルトを衝撃、特に遠心粉砕機での分解に供し、その後、篩にかけることによって得られた場合、粗骨材よりも有意に多い量の再生アスファルトを有する細骨材が得られることが見出されている。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、遠心粉砕機では、再生アスファルトは、再生アスファルト中に存在する粗骨材を大きく破壊することなく、再生アスファルトの大きな部分が元の骨材に破砕するように、遠心粉砕機の側壁または他の骨材に投げつけられると見られる。小さな骨材は、粗骨材よりも多くのアスファルトを保持し続ける傾向がある。適切な遠心粉砕機がEP1335794に記載されており、この粉砕機は2つのチャンバーからなる遠心粉砕機を開示している。この遠心粉砕機については、後述する。このような遠心粉砕機から得られる粗骨材は、再生アスファルトにおける平均値よりも少ない再生ビチューメンからなる。細骨材は、再生アスファルトにおける平均値よりもかなり多くの再生ビチューメンを含む。このようにして得られる細骨材中のアスファルト含量は、再生細骨材とリサイクルアスファルトの組み合わせに基づいて、6~25%重量、好ましくは7~25%重量、より好ましくは9~25%重量からなる。)」
(ウ)第4頁第22行~第5頁第4行
「When the fine aggregates have a maximum diameter of at most 2 mm, they can suitably be used in the mastic composition according to the invention. When the bitumen content is high, e.g. from 10 to 20%wt, only a small addition of fresh bitumen is required to obtain a composition according to the invention. The skilled person will realize that bitumen in asphalt compositions will develop an increased hardness due to ageing under the influence of light, ultraviolet radiation and oxygen. Therefore it may be convenient to modify the composition slightly. This may especially be the case when only a small amount of fresh bitumen is required. In such a case it may be advantageous to use a mastic composition that comprises a bituminous binder material that includes a rejuvenating agent. There is a myriad of products that are presently being used and marketed as rejuvenating agents for recycled road pavement. Such products are generally classified as rejuvenators, viscosity graded asphalt and a large variety of proprietary formulations. A potential rejuvenating agent is a shale oil modifier. Commonly used are crude oil fractions, preferably having a viscosity of at least 200 cSt at 60 °C, animal oils, vegetable oils and mixtures thereof. The use of relatively light crude oil fractions has an environmental drawback in that it evaporates and thus produces hydrocarbonaceous vapours that are undesirable from an environmental point of view. Therefore, the rejuvenating agent is preferably a vegetable oil, more preferably selected from soybean oil, sunflower oil, rapeseed oil, corn oil, peanut oil, olive oil, coconut oil, palm oil, palm kernel oil and mixtures thereof, more preferably palm oil or palm kernel oil. The use of such oils is more sustainable and also shows a low volatility and thus has an long-lasting effect on the bitumen.
(細骨材の最大直径がせいぜい2mmである場合、本発明によるマスチック組成物に好適に使用することができる。アスファルト含量が高い場合、例えば10~20重量%である場合、本発明による組成物を得るために必要なフレッシュなアスファルトの添加量はわずかである。当業者であれば、アスファルト組成物中のアスファルトは、光、紫外線および酸素の影響下での経時変化によって硬度が増加することを理解するであろう。したがって、組成物をわずかに改質することが好都合である場合がある。これは特に、フレッシュなアスファルトを少量しか必要としない場合である。このような場合には、再生添加剤を含むアスファルトバインダー材料からなるマスチック組成物を使用するのが有利である。現在、再生道路舗装用の再生添加剤として使用され、販売されている製品は無数にある。このような製品は一般に、再生添加剤、粘度勾配アスファルト、および多種多様な独自配合に分類される。潜在的な再生添加剤は頁岩油改質剤である。一般的に使用されるのは、好ましくは60℃で少なくとも200cStの粘度を有する原油留分、動物油、植物油、およびそれらの混合物である。比較的軽質な原油留分を使用することは、蒸発するため、環境の観点から望ましくない炭化水素質の蒸気が発生するという環境上の欠点がある。したがって、再生添加剤は好ましくは植物油であり、より好ましくは大豆油、ヒマワリ油、菜種油、トウモロコシ油、落花生油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油およびそれらの混合物から選択され、より好ましくはパーム油またはパーム核油である。このような油の使用は、より持続可能であり、また低い揮発性を示すため、アスファルトに対する効果が長期間持続する。)」
(エ)第8頁第1~14行
「When the mastic composition according to the present invention is directly dosed into the mixer of an asphalt plant, the mastic composition tends to be heated to relatively high temperatures, such as 160 to 200 °C. The present invention also enables the skilled person to prepare a mastic composition that is suitable for preparing an asphalt that may be prepared at lower temperatures. Thereto, the invention provides a process for the manufacture of an asphalt composition, comprising a mastic composition according to the present invention and coarse aggregates, in which process
the mastic composition according to the present invention is provided;
the mastic composition is heated to an elevated temperature and the thus heated mastic composition is passed to an expansion chamber;
water is passed to the expansion chamber to contact the heated mastic composition to form steam, thereby forming a foamed mastic composition; and
the foamed mastic composition is combined with the coarse aggregates, yielding an asphalt composition.
(本発明によるマスチック組成物をアスファルトプラントのミキサーに直接投入する場合、マスチック組成物は比較的高温、例えば160~200℃に加熱される傾向がある。本発明はまた、当業者が、より低い温度で調製され得るアスファルトを調製するのに適したマスチック組成物を調製することを可能にする。そこで、本発明は、本発明によるマスチック組成物および粗骨材を含む、アスファルト組成物を製造する方法を提供し、その方法において
本発明によるマスチック組成物が提供される;
マスチック組成物を高温に加熱し、こうして加熱されたマスチック組成物を膨張室に通す;
水を膨張室に通して、加熱されたマスチック組成物と接触させて蒸気を形成し、それによって発泡したマスチック組成物を形成し;そして
発泡したマスチック組成物を粗骨材と結合させ、アスファルト組成物を得る。)
イ 甲8発明
上記アの記載事項から、甲8には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲8発明」という。)。
「マスチック組成物を新しいアスファルト混合物の製造に再利用する方法であって、(前記ア(ア))
骨材は直径2mm以上の粗骨材と、2mm以下の細骨材に区別され、(前記ア(ア))
再生アスファルトは、破砕物全体を基準として3~8重量%の範囲のアスファルトを均等に含むと予想されるところ、再生アスファルト骨材が、再生アスファルトを衝撃、特に遠心粉砕機での分解に供し、その後、篩にかけることによって得られた場合、粗骨材よりも有意に多い量の再生アスファルトを有する細骨材が得られ、遠心粉砕機では、再生アスファルトは、再生アスファルト中に存在する粗骨材を大きく破壊することなく、再生アスファルトの大きな部分が元の骨材に破砕するように、遠心粉砕機の側壁または他の骨材に投げつけられ、小さな骨材は、粗骨材よりも多くのアスファルトを保持し続ける傾向があり、遠心粉砕機から得られる粗骨材は、再生アスファルトにおける平均値よりも少ない再生ビチューメンからなり、細骨材は、再生アスファルトにおける平均値よりもかなり多くの再生ビチューメンを含み、(前記ア(イ))
細骨材の最大直径がせいぜい2mmである場合、本発明によるマスチック組成物に好適に使用することができ、組成物を得るために必要なフレッシュなアスファルトの添加量はわずかであって、フレッシュなアスファルトを少量必要とする場合には、再生添加剤を含むアスファルトバインダー材料からなるマスチック組成物を使用し、(前記ア(ウ))
水を膨張室に通して、加熱されたマスチック組成物と接触させて蒸気を形成し、それによって発泡したマスチック組成物を形成し、発泡したマスチック組成物を粗骨材と結合させ、アスファルト組成物を得る(前記ア(エ))
方法。」
第5 当審の判断
1 本件特許発明1について
(1)甲1発明を主たる引用発明とした場合
ア 本件特許発明1と甲1発明との対比
本件特許発明と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「再生アスファルト」を「粉砕によって」「分解」することは、本件特許発明1の「アスファルト廃材を破砕」することに相当する。
(イ)甲1発明の「2mm未満のモルタル砂」、「2mm超の再生骨材」は、骨材の粒径の大小関係に着目すると、それぞれ、本件特許発明1の「第一の再生骨材」、「第二の再生骨材」に相当する。よって、甲1発明の「粉砕されたアスファルト」が「篩分け技術を使用することにより、2mm未満のモルタル砂を2mm以上の鉱物骨材から分離する」ことは、本件特許発明1の「第一の再生骨材」と「第二の再生骨材」「とに分級する」ことに相当する。
(ウ)甲1発明の「軟質ビチューメン」は、「軟質」であって、通常、ビチューメンが「軟質」の状態で、混合される時に、加熱溶融されていることは明らかであるから、本件特許発明1の「加熱溶融した」「アスファルト」に相当する。また、甲1発明の「再生用添加剤」は、本件特許発明1の「再生用添加剤」に相当する。
(エ)上記(イ)、(ウ)を踏まえると、甲1発明の「モルタル砂は160~170℃に加熱され」「軟質ビチューメン、再生用添加剤の添加、均質化が行われ」「高品質で均質な標準モルタル」を得ることは、本件特許発明1の「加熱溶融した」「アスファルトと再生用添加剤」とを「加熱しながら」「第一の再生骨材」と「混合して」「アスファルトモルタルを製造する」ことに相当する。
(オ)甲1発明の「アスファルト混合物」は、本件特許発明1の「再生アスファルト混合物」に相当する。そして、甲1発明の「混合レシピに従って様々な分量の再生骨材と混合され」ることについて、「混合物のレシピ」について「新規骨材、再生骨材、標準モルタルの混合物がある」のであるから、「混合レシピに従って」「標準モルタル」と「再生骨材」と「新規骨材」とを混合して、「アスファルト混合物」を得ることは、本件特許発明1の「アスファルトモルタル」と「第二の再生骨材」と「新規骨材」とを混合して、「再生アスファルト混合物を製造する」ことに相当する。
(カ)甲1発明の「アスファルト混合物を得る方法」は、本件特許発明1の「再生アスファルト混合物の製造方法」に相当する。
(キ)上記(ア)~(カ)を踏まえると、本件特許発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点1~6で相違する。
<一致点>
アスファルト廃材を破砕し、破砕した後の前記アスファルト廃材を、第一の再生骨材と、第二の再生骨材とに分級する工程と、
加熱溶融したアスファルトと再生用添加剤と第一の再生骨材を、混合してアスファルトモルタルを製造する工程と、
前記アスファルトモルタルと、前記第二の再生骨材及び新規骨材とを混合して再生アスファルト混合物を製造する工程と、を、有する、
再生アスファルト混合物の製造方法。
<相違点1>
再生骨材を分級する工程について、本件特許発明1では、第一の再生骨材の粒径が「5mm~0mm」、第二の再生骨材の粒径が「13mm~5mm」であるのに対し、甲1発明では、「モルタル砂」が「2mm未満」、「再生骨材」が「2mm超」であって、分級における粒径の閾値が「5mm」ではない点。
<相違点2>
アスファルトモルタルを製造する工程について、混合されるアスファルトが、本件特許発明1では「新規の」アスファルトであるのに対し、甲1発明では、そのような特定を有さない点。
<相違点3>
アスファルトモルタルを製造する工程について、本件特許発明1では「施工性改善剤」が混合されているのに対して、甲1発明では、施工性改善剤が混合されているとの特定を有さない点。
<相違点4>
アスファルトモルタルを製造する工程について、本件特許発明1では、「加熱溶融した新規のアスファルトと再生用添加剤及び施工性改善剤とを加熱しながら混合した再生用アスファルトに、前記第一の再生骨材を、混合して」いるのに対して、甲1発明では、そのような混合の順序に関する特定を有さない点。
<相違点5>
再生アスファルト混合物を製造する工程について、第二の再生骨材及び新規骨材とが、本件特許発明1では、「異なる加熱手段でそれぞれ加熱された」ものであるのに対して、甲1発明では、そのような特定を有さない点。
<相違点6>
本件特許発明1では、「前記第一の再生骨材および前記第二の再生骨材は、針入度が20以上である旧アスファルトを3質量%以上含む」のに対して、甲1発明では、「2mm未満のモルタル砂」は、「アスファルトリッチ」で「10-12%」のアスファルトを含むものの、「2mm超の再生骨材」は「アスファルトをほとんど含まない」ものでアスファルトが「1%」未満であって、上記のような特定を有さない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑み、相違点1、6について判断する。
(ア)相違点1について
相違点1で示したように、本件特許発明1と甲1発明とは、分級における粒径の閾値が異なっており、より詳細には、甲1発明の「2mm未満のモルタル砂」の粒径は「2mm未満」であるので、本件特許発明1の「第一の再生骨材」の「粒径5mm~0mm」に含まれるものであるが、甲1発明の「2mm超の再生骨材」の粒径は「2mm超」であるので、本件特許発明1の「第二の再生骨材」の「粒径13mm~5mm超」の数値範囲に含まれないものとなり、相違する。
この点について、甲1以外のその他の証拠にも、再生骨材を分級する工程において粒径の閾値を「5mm」としたものは示されておらず、再生アスファルト混合物の製造方法において、再生骨材を分級する際に粒径の閾値を「5mm」とすることが、技術常識であるとも認められない。
よって、相違点1に係る本件特許発明1の構成は、甲1発明及びその他の証拠に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。
(イ)相違点6について
前記2(4)で摘記したように、甲4には、再生骨材が、旧アスファルトの含有量4.79%で、旧アスファルトの針入度が20であることが記載されている。また、前記2(5)で摘記したように、甲5には、アスファルトコンクリート再生骨材の品質は、旧アスファルトの含有量が2.5質量%以上、旧アスファルトの針入度(1/10mm)が1以上30未満であることが好ましいことが記載されている。以上の甲4、甲5の記載から、再生アスファルト混合物の製造方法に用いる再生骨材について、針入度が20以上である旧アスファルトを3質量%以上含んだもの(以下「公知技術1」という。)は、本願の出願前に公知であったと認められる。
次に、甲1発明に上記公知技術1を適用する動機付けがあるか否かについて検討する。
甲1発明は、再生アスファルトから再生材料を高い割合で含む高品位アスファルト混合物を得ること目的としたものであって、「粉砕されたアスファルトが、鉄の壁に投射され、個々の骨材を覆うモルタル膜は、結果的に剥離」する「選択的な粉砕」と「篩分け技術」を使用することで、「2mm超の再生骨材」と「2mm未満のモルタル砂」とに「分離」するものである。
そして、「2mm超の再生骨材」は、「アスファルトをほとんど含まない」ことで、「高品質の骨材は、他の柔らかい骨材から分離された状態に保つことができ」ると考えられ、ひいては、新規骨材と変わらない品質を保つことができるものと考えられる。
さらに、「2mm未満のモルタル砂」は、「高い割合のアスファルトを含む」もので、そのようなモルタル砂に対して「軟質アスファルト、再生用添加剤の添加、均質化」するという「再生骨材」とは別の処理を行って「高品質で均質な標準モルタル」が得られるものと考えられる。
甲1発明では、そのような「2mm超の再生骨材」と「2mm未満のモルタル砂」から得られた「高品質で均質な標準モルタル」とを混合することで、最終的に製造されるアスファルト混合物が「高品位」であって「再生材料を高い割合で含む」ものとなる。
以上のとおり、甲1発明は、「2mm超の再生骨材」と「2mm未満のモルタル砂」とで、分級時にアスファルトの付着量に差を設けて、前者を1%未満とする一方、後者を10-12%とすることで、最終的に製造されるアスファルト混合物が「高品位」であって「再生材料を高い割合で含む」ものとしたものである。
そのような甲1発明に対して上記公知技術1を適用すると、「再生骨材」と「モルタル砂」ともに、旧アスファルトを3重量%以上含むものとなるが、そのような「再生骨材」は、少なくとも旧アスファルトを含まない新規骨材とは異質のものとなって、最終的に製造されるアスファルト混合物が「高品位」であって「再生材料を高い割合で含む」ものとはならない。
換言すると、甲1発明において、「2mm超の再生骨材」は、「アスファルトをほとんど含まない」ことが再生骨材としての技術的特徴であるのだから、「2mm超の再生骨材」に対して、わざわざ旧アスファルトの付着量を増やそうとすることは、旧アスファルトを含まない新規骨材とは性質を異にする改変となって、甲1発明の技術的思想に反することになる。よって、甲1発明に、上記公知技術1を適用する動機付けは存在せず、むしろ、甲1発明には、その適用を阻害する要因があると考えられる。
よって、再生アスファルト混合物の製造方法に用いる再生骨材について、針入度が20以上である旧アスファルトを3質量%以上含んだものが公知技術1であったとしても、甲1発明に公知技術1を適用する動機付けが存在せず、甲1発明に基づいて、上記相違点6に係る本件特許発明1の構成を想到し得たということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、前記相違点1、6について、以下のように主張している。
(ア)相違点1について
「粒径2mm未満のモルタルサンドは、本件特許発明1の「粒径5mm~0mmの第一の再生骨材」に相当し、粒径2mm以上の再生石材は、本件特許発明1の「粒径13mm~5mm超の第二の再生骨材」に相当するといえる。」(特許異議申立書第41頁下から7~5行)
(イ)相違点6について
「このように、再生アスファルトが、針入度が20以上である旧アスファルトを3質量%以上含むことは、本件特許発明が属する分野において周知である。
したがって、甲1発明における「粒径2mm未満のモルタルサンド」及び「粒径2mm以上の再生骨材」を針入度が20以上である旧アスファルトを3質量%以上含むものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。」(特許異議申立書第43頁下から12~8行)
まず、相違点1に係る主張について検討する。
前記イ(ア)で示したように、甲1発明の「2mm超の再生骨材」の粒径は「2mm超」であるので、本件特許発明1の「第二の再生骨材」の「粒径13mm~5mm超」の数値範囲に含まれないものとなって明らかに相違するものであって、「粒径2mm以上の再生石材は、本件特許発明1の「粒径13mm~5mm超の第二の再生骨材」に相当する」という申立人の主張は、相違点を看過したものであって、これを採用することはできない。
次に、相違点6に係る主張について検討する。
前記イ(イ)で示したように、仮に、再生アスファルトが、針入度が20以上である旧アスファルトを3質量%以上含むことは、本件特許発明が属する分野において周知であったとしても、甲1発明に上記の事項を適用する動機付けが見いだせない。よって、申立人の主張は、前記イ(イ)で示した判断を左右するものではない。
したがって、申立人の上記主張を考慮しても上記イの判断を変更すべき事情がない。
エ 小括
以上のとおりであるから、相違点1、6以外の相違点2、3、4、5について判断するまでもなく、本件特許発明1に係る特許は、甲1を主たる証拠として、甲4、甲5等のその他の証拠に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
よって、特許法第113条第2号に該当せず、特許異議申立理由1によって、取り消されるべきものではない。
(2)甲7発明を主たる引用発明とした場合
甲7発明は、「モルタル(2mmより小さい,ビチューメン含有量10-15%)と、骨材(ポーラスアスファルト石材,ビチューメン含有量1%未満)と、に分離」する構成を含むものであり、当該構成は、甲1発明と同様の構成である。
よって、本件特許発明1と甲7発明との対比において、両発明は、少なくとも前記(1)アの相違点1、6と同じ点で相違し、その判断は、上記(1)イで説示したとおりである。
したがって、本件特許発明1に係る.特許は、甲7を主たる証拠として、甲4、甲5等のその他の証拠に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
よって、特許法第113条第2号に該当せず、特許異議申立理由2によって、取り消されるべきものではない。
(3)甲8発明と主たる引用発明とした場合
甲8発明は、「骨材は直径2mm以上の粗骨材と、2mm以下の細骨材に区別」する構成、及び「再生アスファルトは、破砕物全体を基準として3~8重量%の範囲のアスファルトを均質に含むと予想されるところ、」「遠心粉砕機から得られる粗骨材は、再生アスファルトにおける平均値よりも少ない再生ビチューメンからなり、細骨材は、再生アスファルトにおける平均値よりもかなり多くの再生ビチューメンを含」む構成を有するものであり、当該構成は、甲1発明と同様の構成である。
よって、本件特許発明1と甲8発明との対比において、両発明は、少なくとも前記(1)アの相違点1、6と同じ点で相違し、その判断は、上記(1)イで説示したとおりである。
したがって、本件特許発明1に係る特許は、甲8を主たる証拠として、甲4、甲5等のその他の証拠に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
よって、特許法第113条第2号に該当せず、特許異議申立理由3によって、取り消されるべきものではない。
2 本件特許発明2~5について
本件特許発明2~5は、本件特許発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、上記1において対比・判断したとおり、本件特許発明1は、甲1発明、甲7発明又は甲8発明及びその他の証拠に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件特許発明2~5も、甲1発明、甲7発明又は甲8発明及びその他の証拠に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件特許発明2~5に係る特許は、甲1、甲7、甲8を主たる証拠として、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないので、特許法第113条第2号に該当せず、特許異議申立理由1、2、3によって、取り消されるべきものではない。
第6 特許異議申立理由4(明確性要件違反)について
1 申立人の具体的主張
申立人は特許異議申立書において、本件特許発明1における「粒径5mm~0mmの第一の再生骨材」との構成が、「粒径0mmの第一の再生骨材」、つまり、粒径の存在しない骨材が請求項1に係る発明に含まれており、請求項1に係る発明の範囲が不明確である旨(特許異議申立書第55頁第17~22行)(以下「主張1」という。)、本件特許発明1における「加熱溶融した新規のアスファルト」との構成が、新規のアスファルトを溶融させるために要する加熱温度が具体的に特定されておらず、請求項1に係る発明の範囲が不明確である旨(特許異議申立書第55頁第29行~第56頁第2行)(以下「主張2」という。)、及び、本件特許発明2における「前記新規のアスファルトと加熱混合を行う前の前記第一の再生骨材は常温である」との構成の「常温」とは何℃であるのか具体的に特定されておらず、請求項2に係る発明の範囲が不明確である旨(特許異議申立書第56頁第9~10行)(以下「主張3」という。)を主張している。
2 具体的主張についての当審の判断
(1)判断基準
特許法36条6項2号の趣旨は、特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合に、特許が付与された発明の技術的範囲が不明確となることにより生じ得る第三者の不測の不利益を防止することにある。そこで、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
(2)判断基準に基づく判断
上記(1)の判断基準に基づいて、判断する。
ア 主張1について
本件特許発明1における「粒径5mm~0mmの第一の再生骨材」との構成について、本願の明細書には、「先ず、再生アスファルト混合物Aを製造するために添加する再生骨材として、既設のアスファルト舗装の補修時や打ち換え時等に掘り起こしたアスファルト廃材を適当な大きさに破砕してアスファルト再生骨材を製造する。破砕されたアスファルト再生骨材は適宜範囲の粒径、例えば粒径13mm~0mmの範囲を有するとされている。そして、このアスファルト再生骨材は例えば6.3mmの網目の篩によって粒径5mm以下、即ち粒径5mm~0mmの第一の再生骨材(細骨材)aと、粒径13mm~5mm超の第二の再生骨材(粗骨材)bとに分級するものとする。これら第一の再生骨材a及び第二の再生骨材bには旧アスファルト量が3質量%以上含まれている。」(【0018】)と記載されている。上記明細書の記載は、「粒径5mm~0mm」が「粒径5mm以下」と同じ意味であることを示している。
よって、本願の明細書の記載を考慮すると、「粒径5mm~0mm」という記載は、「粒径5mm以下」であることを意味していることは明らかであって、「粒径5mm~0mmの第一の再生骨材」という構成は、「第一の再生骨材」が「粒径5mm以下」であることを特定していることは明確である。
してみれば、「粒径5mm~0mmの第一の再生骨材」という構成は、「第一の再生骨材」として、粒径の閾値を「5mm」としたことを特定したに過ぎず、「第一の再生骨材」が粒径が「0mm」のみで構成され、結果として、「第一の再生骨材」を有さないものを特定しているわけではないことは明らかである。
したがって、明細書の記載を考慮して、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
イ 主張2について
本件特許発明1における「加熱溶融した新規のアスファルト」との構成について、「新規の」という用語が意味することは、アスファルト廃材から製造された再生アスファルトではないという意味であって、「アスファルト」自体にそれ以上の特別な意味を持たせるものではないことは、請求項1の記載や明細書の記載からして明らかである。そして、通常の「アスファルト」が溶融する温度は技術常識からして明確であるので、溶融させるために要する加熱温度が具体的に特定されていなくても第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
したがって、明細書の記載を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
ウ 主張3について
本件特許発明2における「前記新規のアスファルトと加熱混合を行う前の前記第一の再生骨材は常温である」との構成について、本願の明細書には、「また、アスファルトモルタル製造時に、新規のアスファルトと加熱混合を行う前の第一の再生骨材は常温である。第一の再生骨材は常温であるため、加熱せずに保管することができる。」(【0011】)と記載されていることから、上記「常温」は「加熱しない」温度を意味していると解することができ、常温が何℃か具体的に特定されていなくても第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
したがって、明細書の記載を考慮して、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
(3)明確性要件のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1及び本件特許発明2は明確であり、特許法36条6項2号の規定を充足する。
よって、本件特許発明1、2及びその記載を引用する本件特許3、4、5に係る特許は、取消理由4によって取り消されるべきものではない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1~5に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては取り消すことができない。
また、他に本件特許発明1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700940