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特許異議申立

2022-700262

制流体の設置装置の組立方法

審判番号
2022-700262
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-199698
登録番号
6952564
請求日
2022年03月28日
審決日
2024年08月26日
公報発行日
2024年11月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】コスモ工機株式会社
  • 【権利者代理人】重信 和男
  • 【権利者代理人】石川 好文
  • 【権利者代理人】秋庭 英樹
  • 【権利者代理人】林 道広
  • 【異議申立人】小川 鐡夫
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 槙原 進
  • 審判官 鈴木 充
分類
P1651.113-YAA(F16L) / P1651.121-YAA(F16L) / P1651.537-YAA(F16L) / P1651.841-YAA(F16L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6952564号発明「制流体の設置装置の組立方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6952564号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6952564号の請求項1、3及び4に係る特許を維持する。 特許第6952564号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6952564号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-4に係る特許についての出願は、平成29年10月13日に出願され、令和3年9月30日にその特許権の設定登録がされ、令和3年10月20日に特許掲載公報が発行された。 その後、特許異議申立人小川 鐵夫(以下、単に「申立人」という。)により本件特許の請求項1-4に係る特許についての特許異議の申立てがされたものであり、その主な経緯は次のとおりである。 令和4年3月28日 : 申立人による特許異議の申立て 令和4年6月22日付け: 取消理由通知 令和4年8月17日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和4年9月14日付け: 訂正拒絶理由通知 令和4年10月12日 : 特許権者による意見書、訂正請求書についての手続補正書及び訂正特許請求の範囲についての手続補正書の提出 令和4年11月29日 : 申立人による意見書の提出 令和5年2月13日付け: 取消理由通知(決定の予告) 令和5年4月5日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和5年6月26日付け: 訂正拒絶理由通知 令和5年7月25日 : 特許権者による意見書、訂正請求書についての手続補正書及び訂正特許請求の範囲についての手続補正書の提出 令和5年11月30日付け: 取消理由通知(決定の予告) 令和6年1月25日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出(以下、この訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。) 令和6年3月7日 : 申立人による意見書の提出 令和6年4月11日付け: 訂正拒絶理由通知 令和6年5月13日 : 特許権者による意見書の提出 なお、令和4年8月17日に提出された訂正請求書による訂正の請求及び令和5年4月5日に提出された訂正請求書による訂正請求については、令和6年1月25日に提出された訂正請求書による本件訂正請求がされたので、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正請求について 1 本件訂正の内容 本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-4について訂正すること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものである。 本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記流体管の流路を制御する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するための制流体の設置装置の組立方法であって、」とあるのを、 「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する制流体の設置装置の組立方法であって、」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「前記切断機、若しくは前記制流体の少なくともいずれかは、複数の分割体から構成されており、前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記複数の分割体のうち第1の分割体を前記筐体側に設けられた係止部に係止させ、前記係止部に係止された前記第1の分割体に、残りの第2の分割体を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」とあるのを、 「前記切断機は、前記カッタと前記駆動部の分割体から構成されており、前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、残りの第2の分割体である前記駆動部を吊り下ろし、前記係止部に係止された前記カッタに対して、前記駆動部を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3に 「前記第2の分割体をクレーンに接続した状態で、該第2の分割体を前記第1の分割体に組み立てることを特徴とする請求項1または2に記載の制流体の設置装置の組立方法。」とあるのを、 「前記第2の分割体をクレーンに接続した状態で、該第2の分割体を前記第1の分割体に組み立てることを特徴とする請求項1に記載の制流体の設置装置の組立方法。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に 「前記切断機は、前記複数の分割体として前記カッタと前記駆動部とから構成されており、前記駆動部は、前記制流体を前記筐体内に挿入可能に接続されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の制流体の設置装置の組立方法。」とあるのを、 「 前記駆動部は、前記制流体を前記筐体内に挿入可能に接続されることを特徴とする請求項1または3に記載の制流体の設置装置の組立方法。」に訂正する。 (6)一群の請求項について 訂正前の請求項1-4について、請求項2-4はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1-4に対応する訂正後の請求項1-4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求は、一群の請求項〔1-4〕についてされたものである。 2 訂正拒絶理由通知の概要 令和6年4月11日付け訂正拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。 本件訂正の訂正事項2は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載されていない事項を追加するものであり、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものとはいえない。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであって、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項1-4に係る訂正であるから、本件訂正による訂正事項1-5は、認めることができない。 3 本件訂正の適否について (1)訂正事項1について 訂正事項1は、次の各訂正事項(以下、それぞれ「訂正事項1-1」及び「訂正事項1-2」という。)を含むものであり、以下に検討する。 [訂正事項1-1] 特許請求の範囲の請求項1に「前記流体管の流路を制御する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置する」とあるのを、「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置する」に訂正する。 [訂正事項1-2] 特許請求の範囲の請求項1に「制流体の設置装置の組立方法」とあるのを、「前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する制流体の設置装置の組立方法」に訂正する。 ア 訂正事項1-1について (ア)訂正の目的について 訂正事項1-1は、「制流体を不断流状態で前記筐体内に設置する」ことに関し、筐体内の状態を「前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること a 特許明細書等の記載 訂正事項1-1に関し、特許明細書等には次の記載がある。 なお、下線は当審で付したものである(以下、同様。)。 ・「【0013】 実施例においては、流路構成部材を構成する既設の流体管1の所定箇所を切断し、その切断箇所にバタフライ弁10(制流体)を設置するまでの一連の流れを図1から図26を参照して説明する。」 【0014】 図1に示されるように、地中に埋設された流体管1の所定箇所の周囲を掘削し、上方に開口する分岐部2aを有する2分割構造の筐体2を密封状に囲繞する。尚、流体管1内の流体は、例えば、上水や工業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。更に尚、筐体2は、本実施例では2分割構造であるが、他の複数分割構造であってもよく、分割筐体同士の接合は、溶接若しくはパッキンを介しボルトにより取付けても構わない。」 ・「【0017】次いで、筐体2の分岐部2a(開口部)に分岐部2aの開口を閉塞可能な作業弁4を取付ける工程について説明する。先ず、図1に示されるように、作業弁4を構成する弁箱41(第1の分割体)を上方から図示しないクレーンに吊支されるフックを備えた吊り具C及びワイヤWにより吊持して分岐部2aのフランジ2b上に載置し、フランジ2b上で弁箱41の位置調整をしながらフランジ2bと弁箱41とを図示しないボルトナットで固定する。」 ・「【0030】 次に、作業弁4の上方に流体管1を切断するための切断機5を設置する工程について説明する。図3に示されるように、先ず、上下方向に貫通する取付フランジ筒51(筒状体)を吊り具C及びワイヤWにより吊持して弁箱41の上方まで下降させ、弁箱41の上方に取付フランジ筒51を図示しないボルトナット等により固定する。本実施例における取付フランジ筒51の重量は、略2600kgとなっている。また、取付フランジ筒51と弁箱41との間には、図示しないOリングが圧接されるため、弁箱41と取付フランジ筒51とが密封状に接続される。」 【0046】 続いて、図9に示されるように、クレーンによりケース部86が蓋体53の上部フランジ53cに載置されるように駆動機構8を吊り降ろして図示しないボルトナットによりケース部86と蓋体53とを固定する。これにより、取付フランジ筒51、カッタ52、蓋体53、アダプタ54及び駆動機構8により切断機5が構成され、筐体2、作業弁4及び切断機5により切断装置が構成される。この際、センタードリル52bが弁体42と接触しないように調整されるのは言うまでもない。」 ・「【0049】 次に、切断機5により流体管1を切断する工程について説明する。図10に示されるように、先ず、作業弁4の弁体42を退避させて分岐部2aを開放するとともに、上述した把持部材82により軸部材81における後端側の外周面を把持する。次いで、回転モータ87を駆動させ、軸部材81及びカッタ52を回転させる。そして、軸部材81及びカッタ52が回転された状態で進退部材83を流体管1に向けて進行させる。これによると、先ずカッタ52のセンタードリル52bが流体管1の管壁を穿設する。 【0050】 軸部材81及びカッタ52の進行移動は、把持部材82が軸部材81を把持位置から規制部材84に近接する位置までの範囲で行われ、軸部材81は、パッキンS3に摺動して進行移動され、進行移動完了後の軸部材81及びカッタ52は、規制部材84によって移動規制される。その後、回転モータ87による軸部材81の回転を停止し、軸部材81の上端に別の軸部材81’を連結し、上記工程を繰り返すことでカッタ52の円筒部材52aが流体管1を切断する。この際、必ずしも別の軸部材81’を連結するとは限らず、予め所定長さの軸部材81を用いて、切断を完了してもよい。 【0051】 図11に示されるように、カッタ52により流体管1が切断されると、流体管1が切断されることにより形成された切片1aが円筒部材52a内に保持された状態となる。そして、軸部材81及びカッタ52を上記工程と逆の手順で退行移動させることで、切片1aとともに取付フランジ筒51の内部に引き上げ、作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞することで、流体管1の切断作業が完了する。 【0052】 以上説明したように、筐体2を流体管1に密封状に取付けるとともに、筐体2の分岐部2aに作業弁4を取付けた後、作業弁4にカッタ52、蓋体53及びアダプタ54をユニット化した状態で設置し、作業弁4に設置されたカッタ52、蓋体53及びアダプタ54に駆動機構8を取付けることで切断機5を構成している。これによれば、切断機5におけるカッタ52、蓋体53及びアダプタ54(略5100kg)と駆動機構8(略6060kg)とを別々に運搬できることから、切断機5を組み立てた状態で作業弁4に設置する場合(略11160kg)に比べて、クレーンへの負荷を分散して軽減できるため、クレーンを小型化することができ、切断機5を設置する作業スペースを省スペース化できる。」 ・「【0060】 次に、流体管1を切断した箇所にバタフライ弁10を設置するための弁導入機6を設置する工程について説明する。図12に示されるように、先ず、作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞した状態のまま、上下方向に貫通する円筒部材61(筒状体)を吊り具C及びワイヤWにより吊持して作業弁4の上方まで下降させ、作業弁4の上方に円筒部材61を図示しないボルトナット等により固定する。本実施例における円筒部材61の重量は、略3000kgとなっている。また、円筒部材61と作業弁4(弁箱41)との間には、図示しないOリングが圧接されるため、円筒部材61と作業弁4とが密封状に接続される。」 ・「【0082】 次いで、図20に示されるように、駆動機構8により弁吊金具64を下降させ、弁吊金具64の取付面部64aとバタフライ弁10の上蓋部14とを図示しないボルトナットにより接続する。これにより、円筒部材61、取付フランジ筒63、弁吊金具64、蓋体65、アダプタ66及び駆動機構8により弁導入機6が構成され、筐体2、作業弁4及び弁導入機6により弁設置装置が構成される。尚、このとき、バタフライ弁10の開閉軸12は、弁吊金具64の軸部64cに挿入される。」 ・「【0084】 次に、弁導入機6により流体管1の切断された箇所にバタフライ弁10を設置する工程について説明する。図21に示されるように、作業弁4の弁体42を退避させて分岐部2aを開放するとともに、上述した把持部材82により軸部材81における後端側の外周面を把持する。そして、進退部材83を流体管1に向けてスライドさせることで軸部材81及びバタフライ弁10を流体管1に向けて進行させる。 【0085】 軸部材81及びバタフライ弁10の進行移動は、把持部材82が軸部材81を把持位置から規制部材84に近接する位置までの範囲で行われ、進行移動完了後の軸部材81及びバタフライ弁10は、規制部材84によって移動規制される。その後、軸部材81の上端に別の軸部材81’,81’を連結し、上記工程を繰り返すことでバタフライ弁10を流体管1の切断箇所に配置する。バタフライ弁10を流体管1の切断箇所に配置した後、所定の固定手段によりバタフライ弁10を筐体2に固定する。この際、必ずしも別の軸部材81’を連結するとは限らず、予め所定長さの軸部材81を用いて、配置を完了してもよい。 【0086】 尚、バタフライ弁10を筐体2に固定した状態にあっては、仕切壁11のパッキンS5が筐体2の両内側面及び内底面に亘って圧接されるとともに、上蓋部14のパッキンS6が分岐部2aの内周面に亘って圧接されるため、流体管1を流れる流体が仕切壁11と筐体2との間から回り込むことが防止されるとともに、分岐部2aから流体が漏れることが防止される。 【0087】 次いで、図22に示されるように、円筒部材61及び取付フランジ筒63内の流体を外部に排出するとともに、円筒部材61の作業孔部61bからアクセスして弁吊金具64の取付面部64aとバタフライ弁10の上蓋部14とのボルトナットによる接続を解除する。そして、軸部材81を上記工程と逆の手順で退行移動させ、弁吊金具64を円筒部材61及び取付フランジ筒63の内部に引き上げることで、バタフライ弁10を流体管1の切断箇所に設置する作業が完了する。」 ・「【0099】 尚、本実施例では、作業弁4、切断機5、バタフライ弁10がそれぞれ複数の分割体から構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、作業弁4、切断機5、バタフライ弁10のうち少なくとも1つが複数の分割体から構成されていればよい。また、不断流状態での切断や弁導入の際に全ての窓部や作業孔部などには蓋を密封状に取り付けるのは言うまでもない。」 ・「【図1】 [図:0001416425000001.jpg] 」 ・「【図3】 [図:0001416425000002.jpg] 」 ・「【図9】 [図:0001416425000003.jpg] 【図10】 [図:0001416425000004.jpg] 【図11】 [図:0001416425000005.jpg] 」 ・「【図20】 [図:0001416425000006.jpg] 【図21】 [図:0001416425000007.jpg] 【図22】 [図:0001416425000008.jpg] 」 b 検討 上記aによれば、流体管1の流路を制御する制流体であるバタフライ弁10を、切断機5を用いて流体管1が切断された筐体1内の切断箇所に不断流状態で設置することが記載されているから、訂正事項1-1の「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置する」ことを特定する訂正は、特許明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1-1は、「前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に」との事項を直列的に付加し、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 イ 訂正事項1-2について (ア)訂正の目的について 訂正事項1-2は、「制流体の設置装置の組立方法」に関し、「前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」という具体的な組立方法を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること a 特許明細書等の記載 訂正事項1-2に関し、特許明細書等には次の記載がある。 (a)切断機の配置についての記載 ・「【0030】 次に、作業弁4の上方に流体管1を切断するための切断機5を設置する工程について説明する。図3に示されるように、先ず、上下方向に貫通する取付フランジ筒51(筒状体)を吊り具C及びワイヤWにより吊持して弁箱41の上方まで下降させ、弁箱41の上方に取付フランジ筒51を図示しないボルトナット等により固定する。本実施例における取付フランジ筒51の重量は、略2600kgとなっている。また、取付フランジ筒51と弁箱41との間には、図示しないOリングが圧接されるため、弁箱41と取付フランジ筒51とが密封状に接続される。 【0031】 尚、本実施例では、取付フランジ筒51を弁箱41の上に載置した後も、安全性確保のために取付フランジ筒51にワイヤWを若干緩めた状態で図示しないクレーンに接続しているが、これに限られず、吊り具C及びワイヤWを取付フランジ筒51から取外してもよい。また、取付フランジ筒51を位置調整しやすくするために、クレーンにより取付フランジ筒51を若干吊った状態で弁箱41に対して位置調整を行うようにしてもよい。 【0032】 次に、図4に示されるように、取付フランジ筒51に対してカッタ52を仮設置する。詳しくは、カッタ52の上方に取付フランジ筒51の蓋体53を接続した状態で吊り具C及びワイヤWにより吊持して取付フランジ筒51の上方まで下降させる。カッタ52は、周端に切断刃を備えた円筒部材52aと、この円筒部材52aに同軸に配設され穿孔刃よりも先方に突出したセンタードリル52bと、からなり、円筒部材52aとセンタードリル52bとは固定されている。また、円筒部材52aとセンタードリル52bとの上方には、上端に環状突部54aが形成されたアダプタ54が相対回転不能に取付けられている。 【0033】 また、蓋体53は、中心部に上下方向に貫通する貫通孔53aが形成されており、貫通孔53aにアダプタ54が挿通されている。また、蓋体53は、貫通孔53aの内周面から外径方向に凹設される凹部53bが周方向に複数形成されており、凹部53bには、貫通孔53aの径方向に進退可能な固定冶具55が配設されている。固定冶具55が貫通孔53aの内径方向に突出し、アダプタ54の環状突部54aの下面に係止することで、カッタ52と蓋体53とが一体化されている。 【0034】 本実施例におけるカッタ52の重量は、略2910kgとなっており、蓋体53の重量は、略1900kgとなっており、アダプタ54の重量は、略290kgとなっており、これらの総重量は略5100kgとなっている。 【0035】 図5に示されるように、取付フランジ筒51の上方に蓋体53を載置した状態で取付フランジ筒51と蓋体53との位置合わせを行い、図示しないボルトナット等により固定する。このとき、カッタ52は、取付フランジ筒51の内部に収容されることとなる。 ・「【0043】 図7に示されるように、駆動機構8をカッタ52と接続する際には、蓋体53の上部フランジ53cの周方向にジャッキ7(スペーサ)を複数配置しておき、軸部材81を予め所定長さ下方に進行させ、軸部材81の下端部がケース部86よりも下方に突出した状態とし、吊り具C及びワイヤWにより駆動機構8を吊り下げ、ケース部86をジャッキ7上に載置する。次いで、ジャッキ7により形成されるケース部86と蓋体53の上部フランジ53cとの隙間から作業者がアクセスして、軸部材81とアダプタ54とをボルトナットN1により接続する。 【0044】 尚、本実施例では、駆動機構8をジャッキ7の上に載置した後も、安全性確保のために駆動機構8にワイヤWを若干緩めた状態でクレーンに接続しているが、これに限られず、吊り具C及びワイヤWを駆動機構8から取外してもよい。また、駆動機構8を位置調整しやすくするために、クレーンにより駆動機構8を若干吊った状態で軸部材81とアダプタ54との位置調整を行うようにしてもよい。 【0045】 次に、図8に示されるように、駆動機構8、アダプタ54、カッタ52をクレーンにより僅かに上方に吊り上げ、ジャッキ7をケース部86と蓋体53の間から取外すとともに、固定冶具55を凹部53b内に退避させる。このときには、カッタ52(略2910kg)、アダプタ54(略290kg)、駆動機構8(略6060kg)をクレーンにより吊り上げるため、クレーンにかかる重量は、略9260kgとなっている。この際、蓋体53の下部フランジ53dの周方向にジャッキ7(スペーサ)を複数配置しておき、駆動機構8をジャッキ7の上に載置して、重量を受けるようにして、クレーンにかかる重量を軽減してもよい。 【0046】 続いて、図9に示されるように、クレーンによりケース部86が蓋体53の上部フランジ53cに載置されるように駆動機構8を吊り降ろして図示しないボルトナットによりケース部86と蓋体53とを固定する。これにより、取付フランジ筒51、カッタ52、蓋体53、アダプタ54及び駆動機構8により切断機5が構成され、筐体2、作業弁4及び切断機5により切断装置が構成される。この際、センタードリル52bが弁体42と接触しないように調整されるのは言うまでもない。」 ・「 【図3】 [図:0001416425000009.jpg] 【図4】 [図:0001416425000010.jpg] 【図5】 [図:0001416425000011.jpg] 」 ・「 【図7】 [図:0001416425000012.jpg] 【図8】 [図:0001416425000013.jpg] 【図9】 [図:0001416425000014.jpg] 」 (b)制流体の配置についての記載 ・「【0060】 次に、流体管1を切断した箇所にバタフライ弁10を設置するための弁導入機6を設置する工程について説明する。図12に示されるように、先ず、作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞した状態のまま、上下方向に貫通する円筒部材61(筒状体)を吊り具C及びワイヤWにより吊持して作業弁4の上方まで下降させ、作業弁4の上方に円筒部材61を図示しないボルトナット等により固定する。本実施例における円筒部材61の重量は、略3000kgとなっている。また、円筒部材61と作業弁4(弁箱41)との間には、図示しないOリングが圧接されるため、円筒部材61と作業弁4とが密封状に接続される。 【0061】 尚、本実施例では、円筒部材61を作業弁4の上に載置した後も、安全性確保のために円筒部材61にワイヤWを若干緩めた状態でクレーンに接続しているが、これに限られず、吊り具C及びワイヤWを円筒部材61から取外してもよい。また、円筒部材61を位置調整しやすくするために、クレーンにより円筒部材61を若干吊った状態で弁箱41と円筒部材61との位置調整を行うようにしてもよい。 【0062】 次に、円筒部材61に対してバタフライ弁10を仮設置する工程を説明する。先ず、バタフライ弁10の構造について図14に基づいて説明する。 【0063】 図14に示されるように、バタフライ弁10は、流体管1の流路を流体が通過可能状態と通過不能状態とに制御するものであり、ほぼ中央部に開口を有する仕切壁11と、仕切壁11の上端部に回動可能に取付けられる開閉軸12と、開閉軸12を中心に回動して仕切壁11の開口を開閉可能に設けられた弁体13と、仕切壁11の上端部に密封状に接続される略水平方向に延びる略円形の上蓋部14(蓋体部)と、を備える。仕切壁11には、その両側面及び底面に亘ってパッキンS5が固着され、上蓋部14には、その外周面の全周に亘ってパッキンS6が固着されており、パッキンS5,S6は連続するように接続される。尚、本実施例におけるバタフライ弁10の総重量は、略9540kgとなっている。更に尚、仕切壁11と上蓋部14との間がパッキン等で密封されていることは言うまでもない。 【0064】 図13に示されるように、バタフライ弁10を円筒部材61に仮設置する際には、先ず、仕切壁11、開閉軸12及び弁体13(本体部)を一体化した状態で吊り具C及びワイヤWにより吊持して円筒部材61内に収容される位置まで下降させる。このとき、弁体13は、管軸方向と略平行(仕切壁11の開口を開放した状態)となるように配置する。 【0065】 そして、円筒部材61の周方向に複数形成された窓部61aを介して外部から円筒部材61内に一部突出するように係止部材62(係止部、保持部)を挿入する。これにより、仕切壁11から外側に突出する突出片11aが係止部材62の先端部に載置(係止)されるようになり、仕切壁11、開閉軸12及び弁体13が円筒部材61に保持されることとなる。尚、係止部材62の先端側下部には、弁体13の一部を収容可能な凹部62aが形成されているため、係止部材62と弁体13とが干渉しない。 【0066】 次いで、図14に示されるように、上蓋部14を吊り具C及びワイヤWにより吊持して開閉軸12を挿通させた状態で仕切壁11の上部に載置する。そして、図示しない固定手段により上蓋部14と仕切壁11とを密封状に接続してバタフライ弁10を構成する。」 ・「 【図13】 [図:0001416425000015.jpg] 【図14】 [図:0001416425000016.jpg] 」 b 検討 上記a(a)によれば、切断機5(切断機)を、吊持して作業弁4に設置することが記載されている。 そして、その設置は、切断機5により流体管1を切断する前に行われることから、特許明細書等には、切断機5が流体管1内の流体(上記ア(イ)aの段落【0014】において、上水や工業用水、下水等が例示されている。)が存在しない空間において吊持して設置されることが記載されているといえる。 また、上記a(b)によれば、バタフライ弁10(制流体)を、吊持して作業弁4に密封状に接続された弁導入機6の円筒部材61に対して設置することが記載されている。 そして、その設置は、作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞した状態のまま行われることから、特許明細書等には、バタフライ弁10が流体管1内の流体が存在しない空間において吊持して設置されることが記載されているといえる。 そうすると、訂正事項1-2の「前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」ことを特定する訂正は、特許明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1-2は、「前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」との事項を直列的に付加し、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 ウ 訂正事項1についてのまとめ 上記ア及び上記イによれば、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、次の各訂正事項(以下、それぞれ「訂正事項2-1」、「訂正事項2-2」及び「訂正事項2-3」という。)を含むものであり、以下に検討する。 [訂正事項2-1] 特許請求の範囲の請求項1に「前記切断機、若しくは前記制流体の少なくともいずれかは」とあるのを、「前記切断機は」に訂正する。 [訂正事項2-2] 特許請求の範囲の請求項1に「複数の分割体」とあるのを、「前記カッタと前記駆動部の分割体」に訂正する。 [訂正事項2-3] 特許請求の範囲の請求項1に「前記複数の分割体のうち第1の分割体を前記筐体側に設けられた係止部に係止させ、前記係止部に係止された前記第1の分割体に、残りの第2の分割体を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」とあるのを、「前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、残りの第2の分割体である前記駆動部を吊り下ろし、前記係止部に係止された前記カッタに対して、前記駆動部を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」に訂正する。 ア 訂正事項2-1について (ア)訂正の目的について 訂正事項2-1は、択一的に引用する選択肢である「前記制流体」を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2-1は、択一的に引用する選択肢である「前記制流体」を削除する訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2-1は、択一的に引用する選択肢である「前記制流体」を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 イ 訂正事項2-2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2-2は、複数の分割体を具体的に特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 特許明細書等には、上記(1)イ(イ)a(a)の段落【0035】、【0043】、【0045】及び【0046】並びに図5及び7-9の記載と、段落【0097】の「また、切断機5の場合、第1の分割体であるカッタ52を作業弁4を介して筐体2に接続される取付フランジ筒51の蓋体53に設けられる固定冶具55(係止部)に係止させ、そのカッタ52に第2の分割体である駆動機構8を組み立てるようになっている。」との記載によると、切断機5は、カッタ52と駆動機構8(駆動部)との複数の分割体から構成されていることが記載されているから、訂正事項2-2は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2-2は、複数の分割体を具体的に特定し、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 ウ 訂正事項2-3について (ア)訂正の目的について 訂正事項2-3は、訂正前の「第1の分割体」及び「第2の分割体」を、それぞれ「カッタ」及び「駆動部」に特定すると共に、第1の分割体を係止させる「前記筐体側に設けられた係止部」について、「第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置すること」の結果として、「該筐体に支持された前記係止部」となることを特定し、また、「残りの第2の分割体を組み立て」ることについて、「吊り下ろし」によることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 特許明細書等には、上記(1)イ(イ)a(a)の段落【0035】、【0043】、【0045】及び【0046】並びに図5及び7-9の記載と、段落【0097】の「また、切断機5の場合、第1の分割体であるカッタ52を作業弁4を介して筐体2に接続される取付フランジ筒51の蓋体53に設けられる固定冶具55(係止部)に係止させ、そのカッタ52に第2の分割体である駆動機構8を組み立てるようになっている。」との記載によると、切断機5は、第1の分割体であるカッタ52と第2の分割体である駆動機構8(駆動部)とからなる複数の分割体から構成されていることが記載されている。 また、特許明細書等には、上記(1)イ(イ)a(a)の段落【0032】、【0033】、【0035】、【0043】及び【0045】並びに図4、5、7及び8の記載によると、カッタ52(カッタ)を、固定治具55(係止部)により蓋体53と一体化した状態で吊り下ろし、蓋体53(蓋体)を作業弁4に固定された取付フランジ筒51に載置することで、取付フランジ筒51に支持された蓋体53に設けられた固定治具55でカッタ52を係止させた状態とし、残りの駆動機構8(駆動部)を吊り下ろし、固定治具55に係止されたカッタ52に対して、駆動機構8を組み立てた後、固定治具55の係止を解除することが記載されている。 ここで、上記(1)ア(イ)aの段落【0014】及び【0017】並びに図1の記載によると、筐体2の上方に作業弁4が固定されることから、蓋体53は、取付フランジ筒51及び作業弁4を介して筐体2に載置され、筐体2に支持されたものとなる。 そうすると、特許明細書等には、複数の分割体のうち第1の分割体であるカッタ52(カッタ)を、固定治具55(係止部)により蓋体53(蓋体)と一体化した状態で吊り下ろし、蓋体53を筐体2(筐体)に載置することで、筐体2に支持された蓋体53に設けられた固定治具55でカッタ52を係止させた状態とし、残りの第2の分割体である駆動機構8(駆動部)を吊り下ろし、固定治具55に係止されたカッタ52に対して、駆動機構8を組み立てた後、固定治具55の係止を解除することが記載されているといえる。 また、上記(1)イ(イ)a(a)の段落【0030】-【0035】及び図3-5の記載によると、特許明細書等には、第1の分割体であるカッタ52(カッタ)を、固定治具55(係止部)により蓋体53と一体化した状態で吊り下ろす際に、取付フランジ筒51が作業弁4に設置されている態様が記載されている。 そして、特許明細書等の段落【0055】には、「また、作業弁4にカッタ52を収容可能な取付フランジ筒51(略2600kg)を設置し、その取付フランジ筒51にカッタ52、蓋体53及びアダプタ54を設置するため、取付フランジ筒51にガイドされながらカッタ52が挿入されることとなり、カッタ52を位置決めしながら流体管1に対して精度よく設置できる。また、カッタ52、蓋体53、アダプタ54及び取付フランジ筒51をユニット化した状態で作業弁4に設置する場合(略7700kg)に比べて、クレーンへの負荷を軽減できる。」との記載があり、第1の分割体であるカッタ52(カッタ)を、固定治具55(係止部)により蓋体53と一体化した状態で吊り下ろす際に、取付フランジ筒51が蓋体53と一体化した状態にされている態様も記載されている。 この場合、クレーンへの負荷を軽減できる効果は、取付フランジ筒51が作業弁4に設置されている態様に比べて劣るものの、切断機5を複数の分割体に分轄しない場合に比べて優位であるから、発明の実施態様として記載されているものといえる。 したがって、訂正事項2-3は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2-3は、訂正前の「第1の分割体」及び「第2の分割体」を、それぞれ「カッタ」及び「駆動部」に特定すると共に、第1の分割体を係止させる「前記筐体側に設けられた係止部」について、「第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置すること」の結果として、「該筐体に支持された前記係止部」となることを特定し、また、「残りの第2の分割体を組み立て」ることについて、「吊り下ろし」によることを特定するものものであり、訂正前の事項について、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 エ 訂正事項2についてのまとめ 上記ア-ウによれば、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項3において、請求項1または2を引用する記載であったものを、請求項2の削除に伴い、択一的に引用する請求項の選択肢である請求項2を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、択一的に引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、択一的に引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項4において、請求項1ないし3のいずれか1つを引用する記載であったものを、請求項2の削除に伴い、択一的に引用する請求項の選択肢である請求項2を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、択一的に引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、択一的に引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (6)申立人の主張について ア 訂正事項1に対する主張について 申立人は、令和6年3月7日に提出された意見書において、「『前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない空間において吊持して設置する」について、請求人は訂正の根拠を図4~9、図12~20の記載としているが、図面に流体が描写されていないことから、管内流体の存在しない空間について開示も示唆もされておらず、明細書にも一切切記載のない発明特定事項である。また、『管内流体」とは何処の管内を指すかも不明であるため、仮に取付けフランジ筒51,63のことを指すとしても、特許請求の範囲に記載の無い文言であり、明細書等を見た当業者が一義的に理解することができない発明特定事項である。」(1頁下から6行-2頁2行)と主張する。 しかしながら、「管内流体の存在しない空間」については、上記(1)イ(イ)bで述べたとおり、流体管内の流体(上水や工業用水、下水等)が存在しない空間と解するのが相当であり、当業者が一義的に理解できないとは認められないから、申立人の上記主張は採用できない。 イ 訂正事項2に対する主張について 申立人は、令和6年3月7日に提出された意見書において、「『前記蓋体を前記筐体に載置する』について、請求人は訂正の根拠を図4~5、7~8の記載(蓋体2に作業弁4を介して支持される取付けフランジ筒51の上方に蓋体53が載置される)としているが、『蓋体を筐体に載置する』とは、(a)蓋体を筐体に直接的に載置する形態、(b)蓋体を作業弁を介して筐体に載置する形態、又は(c)蓋体を作業弁及び取付フランジ筒を介して筐体に載置する形態の3パターンが含まれる。一方、構成要件A『流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、』の記載からすると、少なくとも、筐体の上に作業弁があることから、(b)蓋体を作業弁を介して筐体に載置する形態又は(c)蓋体を作業弁及び取付フランジ筒を介して筐体に載置する形態の2バターンが含まれる。しかしながら、(b)蓋体を作業弁を介して筐体に載置する形態について明細書等に開示も示唆もなく、明細書等を見た当業者が一義的に理解することができない発明特定事項である。」(2頁3行-15行)と主張する。 しかしながら、訂正後の請求項1は、「該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁」を備えるのであるから、筐体の開口部には作業弁が取り付けられており、作業弁に蓋体を直接載置する場合には、「蓋体と一体化した状態のカッタ」が作業弁に干渉するため、作業弁に蓋体を直接載置することはできないことが技術的に明らかである。 そうすると、「蓋体と一体化した状態のカッタ」を備える「蓋体」を「筐体に載置」することとは、「蓋体と一体化した状態のカッタ」を内部に収容する「取付フランジ筒」を介して作業弁に載置する他ないと解されるから、申立人の上記主張は採用できない。 4 本件訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1-5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の発明 本件訂正請求により訂正された請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」-「本件発明4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、該作業弁に取付けられ、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え、前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する制流体の設置装置の組立方法であって、 前記切断機は、前記カッタと前記駆動部の分割体から構成されており、前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、残りの第2の分割体である前記駆動部を吊り下ろし、前記係止部に係止された前記カッタに対して、前記駆動部を組み立てた後、前記係止部の係止を解除することを特徴とする制流体の設置装置の組立方法。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 前記第2の分割体をクレーンに接続した状態で、該第2の分割体を前記第1の分割体に組み立てることを特徴とする請求項1に記載の制流体の設置装置の組立方法。 【請求項4】 前記駆動部は、前記制流体を前記筐体内に挿入可能に接続されることを特徴とする請求項1または3に記載の制流体の設置装置の組立方法。」 第4 取消理由の概要 当審が令和5年11月30日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 1 理由1(サポート要件) 本件特許の請求項1-4に係る発明は、下記の点で、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 したがって、本件特許の請求項1-4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 記 ・請求項1-4について 請求項1に記載された、「前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え」、かつ「前記切断機」は、「複数の分割体から構成されており」、「前記複数の分割体のうち第1の分割体を前記筐体側に設けられた係止部に係止させ、前記係止部に係止された前記第1の分割体に、残りの第2の分割体を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」との事項(以下「事項A」という。)は、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない。 請求項1を引用する請求項2-4も同様である。 2 理由2(進歩性) 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 記 (引用文献等については「(1)引用文献等一覧」を参照) (1)引用文献等一覧 特開2016-125525号公報(甲第1号証であって、以下「甲1」という。) 特開2010-196762号公報(甲第2号証であって、以下「甲2」という。) 特開2010-214490号公報(甲第3号証であって、以下「甲3」という。) (2)理由2の概要 ア 請求項1について 本件特許の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件特許の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許の請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。 イ 請求項2について 本件特許の請求項2に係る発明は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項並びに甲2及び甲3に例示された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件特許の請求項2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、本件特許の請求項2に係る特許は、取り消されるべきものである。 ウ 請求項3について 本件特許の請求項3に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲1に記載された事項に基いて、又は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項並びに甲2及び甲3に例示された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件特許の請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許の請求項3に係る特許は、取り消されるべきものである。 エ 請求項4について 本件特許の請求項4に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲1に記載された事項に基いて、又は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項並びに甲2及び甲3に例示された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件特許の請求項4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許の請求項4に係る特許は、取り消されるべきものである。 第5 当審の判断 1 理由1(サポート要件)について (1)取消理由の対象となった事項について 本件訂正により、請求項1の事項Aは、 「前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え」、かつ、「前記切断機は、前記カッタと前記駆動部の分割体から構成されており」、「前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、残りの第2の分割体である前記駆動部を吊り下ろし、前記係止部に係止された前記カッタに対して、前記駆動部を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」との事項(以下「事項B」)に訂正された。 (2)検討 上記事項Bは、上記第2の3(2)イ(イ)及びウ(イ)で説示したとおりであるから、事項Bは、特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものと認められる。 そして、本件特許の請求項1、3及び4に係る発明は、事項Bを備えることにより、「クレーンへの負荷を軽減」しつつ「制流体の設置装置の組立」をするという課題を解決することができると、当業者であれば、発明の詳細な説明の記載から理解し得るものと認められる。 (3)申立人の主張について 申立人は、令和6年3月7日に提出された意見書において、 「仮に訂正が認められるとしても、 訂正後の請求項1の構成要件C「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない空間において吊持して設置する制流体の設置装置の組立方法であって、」は、(1)に記載した理由(当審注:特許法第126条第5項違反(新規事項追加)についての理由である。)により、「前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない空間において吊持して設置する」が発明の詳細な説明に記載されたものではなく、 訂正後の請求項1の構成要件E「前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、」は、(1)に記載した理由により、「前記蓋体を前記筐体に載置することで、」について(b)蓋体を作業弁を介して筐体に載置する形態が発明の詳細な説明に記載されたものではない。また、訂正後の請求項1に従属する訂正後の請求項3~4についても、発明の詳細な説明に記載されたものではない。」(4頁2行-16行)と主張する。 しかしながら、構成要件Cについては、上記第2の3(1)ア(イ)及びイ(イ)で説示したとおりであるから、発明の詳細な説明に記載されていると認められ、また、構成要件Eについては、上記第2の3(2)ウ(イ)で説示したとおりであるから、発明の詳細な説明に記載されていると認められ、申立人の上記主張は採用することができない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1、3及び4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものと認められ、上記第4の理由1(サポート要件)は解消した。 したがって、本件特許の請求項1、3及び4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号の規定に該当せず、取り消すことはできない。 2 理由2(進歩性)について (1)各引用文献について ア 甲1について (ア)甲1の記載 本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には、次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである(以下、同様。)。 「【0001】 本発明は、流体管に装着された外箱の内部にカッターなどの作業具を導入するための作業具導入方法及び作業具導入装置に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、既設の水道管路を上流側で止水することなく不断水の状態を維持したまま、水道管の周壁をカッターで切削する、いわゆる不断水切削が行われている(例えば、特許文献1,2)。 【0003】 図9に示すように、不断水切削では、切削箇所を取り囲むようにして水道管Kに外箱91が装着され、その外箱91に仕切弁92を介して収容箱93が接続される。外箱91の下方には図示しない別の管が接続され、その流路は不図示の仕切弁によって閉塞されている。収容箱93には、穿孔機97の軸に接続されたカッター94aが収容されている。外箱91と収容箱93の内部には、仕切弁92によって仕切られた密封空間が形成されている。仕切弁92を開いて穿孔機97の軸を進出させると、外箱91内にカッター94aが導入され、水道管Kの周壁が切削される。切削が完了したら、穿孔機97の軸を後退させてカッター94aを収容箱93内に戻し、仕切弁92を閉じる。 【0004】 続いて水道管Kの下側の周壁を切削する場合には、図10のように、カッター94aよりも小径のカッター94bと、ストローク不足を補うための継足し軸95を使用する。カッター94bが仕切弁92と干渉しないように、不図示のクレーンによって穿孔機97が吊り上げられている。切削の際には、図11のように、仕切弁92を開き、穿孔機97を下降させて継足し軸95を挿入した後、穿孔機97の軸を進出させてカッター94bを外箱91内に導入する。水道管Kの下側の周壁を切削したら、穿孔機97の軸を後退させるとともに穿孔機97を上昇させ、カッター94bを収容箱93内に戻してから仕切弁92を閉じる。 【0005】 かかる施工では、作業具であるカッター94bを外箱91内に導入するに際して、大型で重量物である穿孔機97をクレーンで吊り上げて昇降させる必要があることから、安全性の確保が困難である、カッター94bが位置ずれを起こしやすい、上方に障害物があると実施が妨げられる、といった問題を抱えていた。また、収容箱93の軸受96から継足し軸95が一旦離脱するため、カッター94bを収容箱93内に戻すときに継足し軸95が軸受96に的確に収まらなかったり、継足し軸95を軸受96に収めたときに軸受96に装着されているシール材が脱落したりする恐れがあった。 ・・・ 【0009】 本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、穿孔機などの導入機の昇降動作を伴わずにストローク不足を補うことができる作業具導入方法及び作業具導入装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明に係る作業具導入方法は、継足し軸が挿入されたスライドパイプを収容箱の外方に装着し、前記継足し軸に接続された作業具を収容した前記収容箱を、流体管に装着された外箱に仕切弁を介して接続する第1の工程と、前記スライドパイプを前記継足し軸と共に前記収容箱内に挿入する第2の工程と、前記収容箱の外方に導入機を装着して、前記導入機の軸を前記継足し軸に接続する第3の工程と、前記導入機の軸を進出させて前記収容箱内の前記スライドパイプに挿入し、前記継足し軸を前記スライドパイプから突出させて前記作業具を前記外箱内に導入する第4の工程と、を備えるものである。 【0011】 この作業具導入方法によれば、収容箱の外方に導入機を装着して、その導入機の軸を進出させることにより、収容箱内のスライドパイプに挿入されている継足し軸が突出し、それに伴って作業具が外箱内に導入されるので、導入機の昇降動作を伴わずにストローク不足を補うことができる。その結果、安全性を容易に確保できる、作業具の位置ずれが抑えられる、上方の障害物を回避して実施しやすい、といった点で有益である。 ・・・ 【0014】 また、本発明に係る作業具導入装置は、流体管に装着される外箱と、前記外箱に仕切弁を介して接続される収容箱と、前記収容箱に装着され、前記収容箱の外方と内方との間で変位可能なスライドパイプと、前記スライドパイプに挿入される継足し軸と、前記収容箱に収容された状態で、前記スライドパイプに挿入された前記継足し軸に接続される作業具と、前記スライドパイプを前記継足し軸と共に前記収容箱内に挿入した状態で前記収容箱の外方に装着され、前記継足し軸に接続される軸を有する導入機と、を備え、前記収容箱に装着した前記導入機の軸を進出させて前記収容箱内の前記スライドパイプに挿入することにより、前記継足し軸が前記スライドパイプから突出するように構成されたものである。 【0015】 この作業具導入装置は、上述した作業具導入方法を実施するうえで有用であり、したがって導入機の昇降動作を伴わずにストローク不足を補うことができる。それ故、安全性を容易に確保できる、作業具の位置ずれが抑えられる、上方の障害物を回避して実施しやすい、といった点で有益である。」 「【0020】 図1では、既設の水道管K(流体管の一例)に外箱1が装着されている。水道管Kの上側の周壁は、図9で例示したような事前の不断水切削により既に切削されている。外箱1は複数の分割体からなり、既設の水道管Kに対して外嵌可能に構成されている。これらの分割体は、ボルトとナットなどの締結具によって連結され、または溶接によって一体化される。外箱1には仕切弁2を介して収容箱3が接続され、それらの内部には仕切弁2によって仕切られた密封空間が形成されている。外箱1の内部は、穿孔H1を通じて水道管Kから流出した水で充満している。外箱1の下方には図示しない別の管が接続され、その流路は不図示の仕切弁により閉塞されている。 【0021】 作業具であるカッター4は、水道管Kの下側の周壁を切削するために準備されたものであり、前工程で上側の周壁を切削したカッターとは別物である。カッター4は、穿孔H1を容易に通過できるように、その外径が穿孔H1の直径よりも少し小さく設定されている。継足し軸5は、後述する導入機としての穿孔機7のストローク不足を補う部材であり、その継足し軸5の先端にはカッター4が接続されている。継足し軸5は、シリンダに挿入されるピストンロッドのように、スライドパイプ6に挿入されている。 【0022】 スライドパイプ6は、収容箱3に装着され、収容箱3の外方と内方との間で変位可能に構成されている。図1では、スライドパイプ6が収容箱3の外方に装着されている。図2に拡大して示すように、収容箱3には、スライドパイプ6を支持する軸受31が設けられている。軸受31には、収容箱3とスライドパイプ6との間を密封するシール材32が装着されている。これにより、スライドパイプ6は、収容箱3に対して密封状態を維持したまま、軸方向(図1における上下方向)に沿ってスライド移動することができる。 【0023】 スライドパイプ6の先端部には、継足し軸5を支持する軸受61が設けられている。図1の継足し軸5は、スライドパイプ6に挿入されている状態で軸受61によって支持されている。図2のように、軸受61には、継足し軸5とスライドパイプ6との間を密封するシール材62が装着されている。これにより、継足し軸5は、スライドパイプ6に対して密封状態を維持したまま、軸方向に沿ってスライド移動することができる。スライドパイプ6の後端部には、中心に開口を有するフランジ63、フランジ63から軸方向に離れて位置するフランジ64、及び、それらの間に介在して両者を連結するリブ65が設けられている。 【0024】 作業具導入方法としては、まず、図1のように、継足し軸5が挿入されたスライドパイプ6を収容箱3の外方に装着し、その継足し軸5に接続されたカッター4を収容した収容箱3を、水道管Kに装着された外箱1に仕切弁2を介して接続する(第1の工程に相当)。カッター4は、弁体21よりも上方に配置され、仕切弁2には干渉しない。続いて、仕切弁2を開き、外箱1と収容箱3とを連通させる。これにより収容箱3の内部にも水が流れ込むが、収容箱3とスライドパイプ6との間、及び、継足し軸5とスライドパイプ6との間は、それぞれ密封されているので漏水しない。 【0025】 次に、図3に示すように、スライドパイプ6を継足し軸5と共に収容箱3内に挿入する(第2の工程に相当)。このとき、カッター4、継足し軸5及びスライドパイプ6の自重を利用して自動的に挿入してもよいが、水圧が大きい場合にはレバーホイストなどの牽引具の使用が好ましい。レバーホイストを利用する場合には、スライドパイプ6(のリブ65)と収容箱3とをチェーンで連結して水圧による反力を受け止めながら、そのチェーンをレバー操作により巻き取ることで挿入が円滑に行われる。スライドパイプ6のフランジ63が収容箱3のフランジ33に当接したら挿入を終了し、そのフランジ同士をボルトとナットからなる締結具などで接続してスライドパイプ6を収容箱3に固定する。 【0026】 次に、図4に示すように収容箱3の外方に導入機である穿孔機7を装着し、その穿孔機7の軸70を継足し軸5に接続する(第3の工程に相当)。この例では、穿孔機7のフランジ71をスライドパイプ6のフランジ64に接続することで、穿孔機7を収容箱3に装着している。図5(a)は、図4の要部拡大図に相当し、軸70を継足し軸5に接続する前の状態を示している。図5(b)では、軸70を少し進出させて継足し軸5の後端に当接させ、それらをボルトなどの留め具72によって固着している。軸70と継足し軸5との接続を補強するため、バンドなどの補強部材を更に取り付けても構わない。 【0027】 次に、図6に示すように、穿孔機7の軸70を進出させて収容箱3内のスライドパイプ6に挿入し、継足し軸5をスライドパイプ6から突出させてカッター4を外箱1内に導入する(第4の工程に相当)。カッター4は、穿孔機7が備える不図示の駆動手段により回転しながら下降し、外箱1内に導入されることで水道管Kの周壁を切削し、これにより穿孔H2が形成される。切削が完了したら、軸70を後退させて図4の位置までカッター4を上昇させる。切り取られた切削片Pは、カッター4のセンタードリル41で引っ掛けて回収される。 【0028】 このように、作業具であるカッター4を外箱1内に導入するに際して、導入機である穿孔機7は収容箱3に装着されたままの状態であり、クレーンで吊り上げた穿孔機の昇降動作を伴わない。それでいて、スライドパイプ6から継足し軸5を突出させることにより、穿孔機7のストローク不足を補うことができる。その結果、安全性を容易に確保できる、カッター4の位置ずれが抑えられる、上方の障害物を回避して実施しやすい、といった点で有益である。 【0029】 本実施形態では、図6のように、継足し軸5をスライドパイプ6から突出させたときに、スライドパイプ6の先端部に設けた軸受61により継足し軸5が支持される。これにより、突出させた継足し軸5が安定し、カッター4を精度良く外箱1内に導入することができる。また、継足し軸5をスライドパイプ6内に戻すときに、継足し軸5を的確に収められるとともに、軸受61のシール材62(図2参照)が脱落するなどの不具合を生じにくい。継足し軸5が常に軸受61で支持されることにより、安全性は大幅に向上する。本実施形態では軸70が継足し軸5よりも小径であるため、かかる構成が特に有用である。 【0030】 本実施形態の装置は、スライドパイプ6に対する継足し軸5の軸方向の移動を規制する規制部材8を備える。これを利用して、第1の工程(図1参照)と第2の工程(図3参照)では、スライドパイプ6に対する継足し軸5の軸方向の移動を規制している。図5(a)で拡大して示すように、規制部材8は、継足し軸5の後端部の側面に着脱自在に取り付けられ、継足し軸5の後端部がフランジ63と係合し得るように外周側に張り出している。規制部材8は、C字状の割りリングにより構成されているが、継足し軸5の移動を規制できるものであれば、これに限られない。 【0031】 そして、第3の工程では、図5(b)のように穿孔機7の軸70を継足し軸5に接続した後、図5(c)のようにその規制を解除してから、第4の工程(図6参照)に移行する。この規制の解除は、継足し軸5の後端部から規制部材8を取り外すことにより行われる。このように継足し軸5の移動を一時的に規制することで、継足し軸5がスライドパイプ6から不意に脱落する事態を防ぎ、カッター4を外箱1内に円滑に導入することができる。 【0032】 フランジ63とフランジ64との間には、作業者が手を入れて作業することができる隙間が形成されている。したがって、規制部材8や留め具72の着脱作業は、その隙間を介して行うことができる。そのような隙間が設けられるように、リブ65は、軸周りにおいて断続的に設けられ、例えば軸周りにおける4~8箇所に等間隔で配置されている。 【0033】 水道管Kの周壁を切削した後(即ち、カッター4を外箱1内に導入した後)は、上記と逆の手順で作業が行われる。具体的には、軸70を後退させてカッター4を上昇させた後、継足し軸5の移動を規制するために規制部材8を装着し、軸70と継足し軸5との接続を解除する(図4参照)。次いで、穿孔機7を収容箱3から取り外し(図3参照)、スライドパイプ6を継足し軸5と共に収容箱3内から抜去したうえで仕切弁2を閉じる(図1参照)。不図示の排水口を介して収容箱3を水抜きした後、仕切弁2と収容箱3との接続を解除してカッター4などを撤去する。 【0034】 上記の工事によれば、不断水の状態を維持したまま、水道管Kを上下に貫通する貫通孔(穿孔H1,H2)が形成される。既述のように外箱1の下方側は不図示の仕切弁により閉塞されており、その仕切弁を介して任意の方向に分岐管を設けることができる。本実施形態では、水道管Kの下側の周壁を不断水切削する例を示したが、水道管の上側の周壁または側方の周壁(例えば半径相当分)を不断水切削する場合にも、本発明を適用することでストローク不足を解消できる。」 「【0037】 本実施形態では、作業具としてカッター4を使用し、導入機として穿孔機7を使用する不断水切削の例を示したが、これに限られるものではなく、工事の目的に応じて、これらとは別種の部材や機具を作業具または導入機として使用できる。例えば、不断水状態(不断流状態)において、作業具としての切換弁を外箱内に導入して流路内に設置したり、作業具としての蓋体を外箱内に導入して仮止水したりしてもよい。また、上記の穿孔機7はカッター4を回転させる駆動手段を備えていたが、作業具の回転を必要としない場合は、そのような駆動手段を備えない導入機を使用しても構わない。」 「 [図:0001416425000017.jpg] [図:0001416425000018.jpg] [図:0001416425000019.jpg] [図:0001416425000020.jpg] [図:0001416425000021.jpg] [図:0001416425000022.jpg] 」 (イ)上記(ア)の記載から認められる事項 a 段落【0020】並びに図1、3、4及び6の記載によれば、水道管Kに対し装着される外箱1が記載されている。 そして、段落【0020】に、外箱1の内部は、穿孔H1を通じて水道管Kから流出した水で充満していることが記載され、また、段落【0034】に、不断水の状態を維持したまま、水道管Kを上下に貫通する貫通孔(穿孔H1,H2)が形成されることが記載されているから、外箱1は、水道管Kに対し密封状に取付けられることが明らかである。 b 段落【0024】及び図1の記載によれば、外箱1の開口部に取付けられ該外箱1の内部を開閉可能な仕切弁2が記載されていることが認められる。 c 段落【0014】、【0020】及び【0024】並びに図1の記載によれば、外箱1に前記仕切弁2を介して接続された収容箱3が記載されている。 d 段落【0025】並びに図1及び3の記載によれば、収容箱3内に挿入され、前記収納箱3に固定されたスライドパイプ6が記載されている。 e 段落【0014】、【0021】、【0023】及び【0024】並びに図4及び6の記載によれば、スライドパイプ6に挿入され、軸方向にスライド移動することができる継足し軸5が記載されている。 f 段落【0014】、【0024】及び【0027】並びに図1及び6の記載によれば、収容箱3に収容された状態から外箱1内に導入されることで水道管Kの周壁を切削する、継足し軸5に接続されたカッター4が記載されているものと認められる。 g 段落【0026】及び【0027】並びに図4及び6の記載によれば、収容箱3の外方に装着され、軸70が継ぎ足し軸5に接続されてカッター4を回転しながら下降させる駆動手段を備える穿孔機7が記載されている。 h 上記c~gと、段落【0001】、【0009】及び【0027】並びに図1~6の記載とによると、収容箱3、スライドパイプ6、継足し軸5、カッター4及び穿孔機7を有するカッターの導入装置が記載されているものと認められる。 i 段落【0020】、【0023】、【0024】及び【0030】並びに図1の記載によると、水道管Kに外箱1を密封状に取付けた後、継足し軸5の後端部を、その側面に着脱自在に取り付けられた規制部材8によって、スライドパイプ6の後端部に設けられたフランジ63に係合させることで、前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動を規制し、前記継足し軸5が挿入された前記スライドパイプ6を収容箱3の外方に装着し、前記継足し軸5に接続されたカッター4を収容した前記収容箱3を、水道管Kに装着された外箱1に仕切弁2を介して接続し、前記仕切弁2を開くことが認められる。 j 段落【0025】及び図3の記載によると、仕切弁2を開いた後に、スライドパイプ6を前記継足し軸5と共に前記収容箱3内に挿入し、前記スライドパイプ6の前記フランジ63を前記収容箱3の前記フランジ33に接続して前記スライドパイプ6を前記収納箱3に固定することが記載されている。 k 段落【0014】、【0026】及び【0031】並びに図5(b)及び5(c)の記載によると、収容箱3の外方に前記穿孔機7を装着し、スライドパイプ6のフランジ63に係合されたカッター4が接続された継足し軸5に、穿孔機7の軸70を接続した後、前記継足し軸5の後端部から規制部材8を取り外すことにより、前記スライドパイプ6の前記フランジ63と前記カッター4が接続された前記継足し軸5の後端部との係合による前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動を規制を解除することが記載されている。 l 上記i~kと、段落【0009】~【0011】、【0024】~【0027】及び【0037】の記載とによると、カッター4を、不断水状態で外箱1内に導入することで水道管Kの周壁を切削し、穿孔H2を形成するためのカッターの導入装置の組立方法が記載されているものと認められる。 m 上記i~kによると、穿孔機7の装着の際、外箱1に接続された収容箱3及び前記収容箱3に固定されたスライドパイプ6からなるものの前記収容箱3の外方に穿孔機7を装着すると共に、継足し軸5及び前記継足し軸5に接続されたカッター4からなるものの前記継足し軸5に前記穿孔機7の軸70を接続することになり、前記穿孔機7の装着によって、前記外箱1に接続された前記収容箱3及び前記収容箱3に固定された前記スライドパイプ6からなるものと、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるものと、前記穿孔機7とが一体化されてカーターの導入装置が構成されることから、カッターの導入装置の組立方法において、前記カッターの導入装置は、前記外箱1に接続された前記収容箱3及び前記収容箱3に固定された前記スライドパイプ6からなるものと、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるものと、前記継足し軸5に接続された前記カッター4を回転しながら下降させる駆動手段を備える前記穿孔機7との複数の分割体から構成されているものと認められる。 n 上記i、j及びmと、段落【0030】の記載によると、水道管Kに外箱1を密封状に取付けた後、継足し軸5が挿入されたスライドパイプ6を収容箱3の外方に装着し、前記継足し軸5に接続されたカッター4を収容した前記収容箱3を、外箱1に仕切弁2を介して接続し、前記仕切弁2を開いた後に、前記スライドパイプ6を前記継足し軸5と共に前記収容箱3内に挿入し、前記スライドパイプ6のフランジ63を前記収容箱3のフランジ33に接続して前記スライドパイプ6を収容箱3に固定する工程において、継足し軸5及び前記継足し軸5に接続されたカッター4からなるものを、外箱1に接続された収容箱3及び前記収容箱3に固定されたスライドパイプ6からなるものに対して、前記継足し軸5の後端部を、その側面に着脱自在に取り付けられた規制部材8によって、前記スライドパイプ6の後端部に設けられたフランジ63に係合させることで、前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動を規制したものとすることが認められる。 o 上記k及びnによると、収容箱3及び前記収容箱3に固定されたスライドパイプ6からなるものの前記収容箱3の外方に前記穿孔機7を装着し、前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動を規制された前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続されたカッター4からなるものの前記継足し軸5に、前記穿孔機7の軸70を接続した後、前記継足し軸5の後端部から前記規制部材8を取り外すことにより、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続されたカッター4からなるものの前記継足し軸5の後端部と前記スライドパイプ6の後端部に設けられた前記フランジ63との係合による前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動の規制を解除することが認められる。 p 上記oと、段落【0004】、【0026】及び【0028】並びに図4及び5(b)の記載とによれば、穿孔機7をクレーンに接続した状態で、該穿孔機7の軸70を継足し軸5及び前記継足し軸5に接続されたカッター4からなるものの前記継足し軸5に接続することが認められる。 (ウ)甲1発明1 上記(ア)及び(イ)を総合して本件発明1に倣って整理すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認める。 「水道管Kに対し密封状に取付けられる外箱1と、該外箱1の開口部に取付けられ該外箱1の内部を開閉可能な仕切弁2と、前記外箱1に前記仕切弁2を介して接続された収容箱3、前記収容箱3内に挿入され、前記収容箱3に固定されたスライドパイプ6、前記スライドパイプ6に挿入され、軸方向にスライド移動することができる継足し軸5、前記収容箱3に収容された状態から前記外箱1内に導入されることで水道管Kの周壁を切削する、前記継足し軸5に接続されたカッター4、及び前記収容箱3の外方に装着され、軸70が前記継足し軸5に接続されて前記カッター4を回転しながら下降させる駆動手段を備える穿孔機7を有するカッターの導入装置とを備え、前記カッター4を、不断水状態で前記外箱1内に導入することで水道管Kの周壁を切削し、穿孔H2を形成するためのカッターの導入装置の組立方法であって、 前記カッターの導入装置は、前記外箱1に接続された前記収容箱3及び前記収容箱3に固定された前記スライドパイプ6からなるものと、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるものと、前記継足し軸5に接続された前記カッター4を回転しながら下降させる前記駆動手段を備える前記穿孔機7との複数の分割体として構成されており、 前記水道管Kに前記外箱1を密封状に取付けた後、 前記継足し軸5が挿入された前記スライドパイプ6を前記収容箱3の外方に装着し、前記継足し軸5に接続された前記カッター4を収容した前記収容箱3を、前記外箱1に前記仕切弁2を介して接続し、前記仕切弁2を開いた後に、前記スライドパイプ6を前記継足し軸5と共に前記収容箱3内に挿入し、前記スライドパイプ6の前記フランジ63を前記収容箱3の前記フランジ33に接続して前記スライドパイプ6を収容箱3に固定する工程において、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるものを、前記外箱1に接続された前記収容箱3及び前記収容箱3に固定された前記スライドパイプ6からなるものに対して、前記継足し軸5の後端部を、その側面に着脱自在に取り付けられた規制部材8によって、前記スライドパイプ6の後端部に設けられたフランジ63に係合させることで、前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動を規制したものとし、 前記収容箱3の外方に前記穿孔機7を装着し、前記スライドパイプ6に対する軸方向の移動を規制された前記継足し軸5に、前記穿孔機7の軸70を接続した後、前記継足し軸5の後端部から前記規制部材8を取り外すことにより、前記継足し軸5の後端部と前記スライドパイプ6の後端部に設けられた前記フランジ63との係合による前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動の規制を解除する、カッターの導入装置の組立方法。」 (エ)甲1発明3 上記(ア)及び(イ)を総合して本件発明3に倣って整理すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明3」という。)が記載されていると認める。 「前記穿孔機7をクレーンに接続した状態で、該穿孔機7の軸70を前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続されたカッター4からなるものの前記継足し軸5に接続するようにした甲1発明1。」 イ 甲2について (ア)甲2の記載 本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2には、次の記載がある。 「【0015】 一般に、地中に埋設され内部を上水が流れる既設流体管において、水の流れを制御するために既設流体管の所定箇所を切除して該所定箇所に緊急用の制水体が不断水状態で配置される。このような制水体は、例えば地震等の緊急時に、自動で制水体の遮断状態に制御される遮断装置を備えている。本実施例は、不断水状態で配置した制水体に遮断装置を取付けるまでの一連の工程から成る制水体設置方法及び該制水体設置方法を行う制水体設置装置について説明する。」 「【0021】 次いで、筐体2を用いて既設流体管Pを水密に囲繞する筐体囲繞工程を行う(図5及び図19参照)。ここで、筐体2の構造について説明すると、図5に示されるように、筐体2は、分割構造であって、主に、2分割構造の上部ケース2d及び下部ケース2eと、内部に弁体2bを備えた開閉弁2aと、から構成されている。」 「【0024】 図5に示されるように、開閉弁2aは、内部に弁体2bを備え、上部ケース2dの上部に取外可能に設けられており、この開閉弁2aが、本発明の開閉可能な開口部を構成している。 【0025】 更に、図8に示されるように、開閉弁2aの上部には、筐体2と開状態の開閉弁2aを介し水密に連通する収容部としての作業筒11及び蓋部12が取外し可能に設けられる(図18参照)。蓋部12には、作業筒11内の空気を抜く空気抜きコック120,120が備えられている。」 「【0028】 次に、筐体囲繞工程について説明すると、図2に示されるように、先ず、既設流体管Pを水密に囲繞する筐体2の下部ケース2e内に、筐体2内で既設流体管Pの切除部Kを切除する管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4b(図6参照)を支持した状態で、懸吊手段102にて下部ケース2e及び下ガイド4bを既設流体管Pの図示下側における外周面を囲繞するように配置し、複数のジャッキ75で下部ケース2eの支持部材Wを支持する。」 「【0031】 次いで、図3に示されるように、前述した油圧移動手段を構成する移動部材64を図示下側の移動割継輪Rにおける取付座Rcに取付ける。具体的には、移動部材64は、主に延長ロッド66と油圧ジャッキ65から成り、延長ロッド66を前述した下部ケース2eのロッドガイドL内を嵌挿させて取付座Rcに取付けるとともに、ロッドガイドLの端面に固定的に油圧ジャッキ65のシリンダ65bを取付ける。」 「【0033】 移動割継輪Rの図示下側における取付座Rcに延長ロッド66及び油圧ジャッキ65を接続した後に、管切除装置1(図6参照)を配置し、前述した管切除工程を行う。 【0034】 ここで、管切除装置1の構造について説明すると、図6及び図7に示されるように、管切除装置1は、主に切除ユニット3、ガイド部4、及び駆動部5から成り、既設流体管Pの外側に水密的に密封された筐体2内において、ガイド部4を構成する2分割構造の上ガイド4a及び下ガイド4bが、既設流体管Pの外周面に固定保持される(図5参照)。 【0035】 尚、上ガイド4a及び下ガイド4bの周方向に沿って設けられた複数のボルト28が、内径方向に螺挿され既設流体管Pの外周面に当接することにより、上ガイド4a及び下ガイド4bが既設流体管Pに対し位置決めして固定されるようになっている。また、上ガイド4a及び下ガイド4bには、前述した作業筒11の仮受台55に支持される後述の係合部としての取付部材29が着脱可能に設けられている。 【0036】 ガイド部4の上部には、後述の駆動モータ6と、駆動モータ6が取付けられるロッドとしての駆動長軸106と、駆動長軸106が着脱可能に連結される伸縮継手部107と、伸縮継手部107に固定に連結される駆動軸7’と、駆動軸7’の先端部に設けられた歯車7a’と噛合する歯車7aを有する駆動軸7と、駆動モータ6により駆動長軸106、伸縮継手部107、及び駆動軸7’を介して駆動力が付与される駆動軸7の両端に設けられた一対の駆動スプロケット8と、から成る駆動部5が連結されており、駆動モータ6は筐体2外部に突出して駆動部5に取外し可能に配設されるようになっている(図5参照)。 【0037】 ガイド部4の両端部には、上下2分割構造の上部スプロケット9a及び下部スプロケット9bから成り、既設流体管Pの外周方向に回転自在な一対の従動スプロケット9が配設されている。 【0038】 一対の従動スプロケット9は、図7に示されるように、上部の一対の駆動スプロケット8と巻回された無端チェーン10を介してそれぞれ接続されている。前述した駆動モータ6を作動することで駆動軸7’,7を介して駆動スプロケット8が駆動され、この駆動により回転力が従動スプロケット9に付与され、従動スプロケット9が既設流体管Pの外周を周回する。 【0039】 また、一対の従動スプロケット9の外面には、切除ユニット3が等間隔に4箇所ずつ固着配設され、従動スプロケット9の回転とともに既設流体管Pの外周を回転可能となり、切除ユニット3に設けられた切削バイト19により既設流体管Pを外周回りに切除できるようになっている。 【0040】 切除ユニット3は、前述した切削バイト19と、切削バイト19を固定に支持する支持部材18と、支持部材18に螺合する受動回転体21と、を有している。 【0041】 また、既設流体管Pの外周回りを回転する切除ユニット3の切断経路近傍には、キッカー部30が上ガイド4aの外側面に固定配設されており、キッカー部30にはキッカー片31が受動回転体21を回動可能に突設されている。 【0042】 すなわち、既設流体管Pの外周を回転動作する切除ユニット3がキッカー部30の近傍を通過する際に、受動回転体21の回転羽根21aが、キッカー片31と当接係合し、切除ユニット3がキッカー部30の近傍を通過し終えて、係合が解除されるまで回転羽根21aが所定量回転することになる。 【0043】 したがって、切除ユニット3が既設流体管Pの外周を回転してキッカー部30を通過するたびに、受動回転体21の回転羽根21aがキッカー片31と当接係合して所定量回転し、受動回転体21に螺合した支持部材18に固定に支持された切削バイト19が単位あたり量ずつ内径方向に移動動作することにより、切削バイト19の先端刃が既設流体管Pの外周壁を一定量ずつ切削しながら外周を回転し、既設流体管Pを切断するようになっている。」 「【0046】 次に、管切除装置の配置について説明すると、図4に示されるように、駆動部5の一部構成部材と、ガイド部4の上ガイド4aと、を下ガイド4bに取付け、かつ上ガイド4a及び下ガイド4bに設けられたボルト28(図6参照)を螺入してガイド部4を既設流体管Pに固定する。 【0047】 そして、既設流体管Pの図示上側を囲繞するように筐体2の上部ケース2dを下部ケース2eの上部に取付け、両ケース2d,2eを既設流体管Pに固定する。そして、前述したパッキン69,69と、押輪Q,Qと、ゴム輪68,68を上部ケース2d及び下部ケース2eの側方開口部に夫々取付け、側方開口部を密封する。図5に示されるように、前述と同様に、図示上側の移動割継輪Rの取付座Rcに移動部材64を取付ける。 【0048】 次いで、開閉弁2aを上部ケース2dの上部に取付ける。そして、筐体2内、すなわち上部ケース2d、下部ケース2e、及び開閉弁2a内に水を張り所定の水圧をかけ、筐体2内の水圧テストを行う。水圧テストの後、筐体2内の水を排水し、開閉弁2aの上部に作業筒11を取付け、更に作業筒11の上部に蓋部12を取付ける。そして、駆動長軸106を、その上端側が作業筒11の外方に延びて露出し、かつ筐体2の内部は密封状態になるように蓋部12を貫通して、伸縮継手部107に取付けるとともに、この駆動長軸106の上端にモータ台108を取付け、かつこのモータ台108を蓋部12に取付ける。 【0049】 管切除工程について説明すると、図5の状態において、懸吊手段102により懸吊された駆動モータ6をモータ台108に連結し、駆動モータ6を作動させて駆動長軸106を介し駆動トルクを伸縮継手部107に伝達することで、切除ユニット3に設けられた切削バイト19(図6参照)が既設流体管Pの外周面を切削しながら回動することになる。切除部Kにおいて、2箇所の切断面で既設流体管Pが切断され、すなわち切断面間の管片P1が既設流体管Pから分断されることになる。 【0050】 既設流体管Pの切断が終了した後に、管切除装置1を管片P1とともに引上げる。先ずモータ台108に連結された駆動モータ6を外した後に、管切除装置1と下部ケース2eとの固定を解除し、ガイド部4(図6参照)に取付けられた取付部材29が仮受台55の配置部56よりも高い位置になるまで管切除装置1を引上げる工程、すなわち、駆動長軸106を用い、管切除装置1を筐体2と開状態の開閉弁2aを介し作業筒11内に収容する収容工程を行う(図8参照)。 「【0070】 次いで、蓋部12を作業筒11から取外し、管切除装置1を引上げることで管切除装置1とともに管片P1を外方に取出す。そして、作業筒11を取外し、開閉弁2aの上部に図示しない吸引具が嵌挿されたスイーパ蓋を取付けて、開閉弁2aを開状態とし、切除部Kの切除面付近に既設流体管Pの切除の際に発生した切粉を吸引具から吸引して外部に排出する。切粉の排出後、吸引具を引上げるとともに、開閉弁2aを閉状態として前記スイーパ蓋を開閉弁2aから取外し、開閉弁2aの上部に作業筒11を取付ける。 【0071】 この作業筒11の取付け後、制水弁42を切除部Kに配置する制水体設置工程を行う。ここで、制水弁42の構造について説明すると、図15、図16、及び図18に示されるように、制水弁42は、内部に弁体43を備えた弁筐体42a、及び該弁体43に接続され弁筐体42aの外方に突出した弁軸部43bを有しており、開閉弁2aを介して筐体2内に挿入され、切除部Kに配置される。」 「【0075】 次に、制水弁42を仮受台55,55に配置する工程について説明すると、図15及び図16において、先ず、仮受台55,55の移動操作部材58,58を操作することで配置部56を、配置位置に移動させる。 【0076】 そして、制水弁42を、案内部13,13により案内して下降させ、この配置部56,56の平坦面56d,56dに支持ユニット103,103の凹状部103a,103aの底面部を載置することにより、制水弁42を配置部56,56に配置する。つまり、凹状部103a,103aの底面部が、配置部56,56の平坦面56d,56dに係合することにより、制水弁42を仮受台55,55に仮置される。」 「【0080】 次いで、図18に示されるように、弁軸部43bの図示上部に、連結具42bを設け、この連結具42bにボルト・ナットVにて作業筒11外方まで延びた挿入ロッド109を取外し可能に連結する。 【0081】 そして、懸吊手段102にて制水弁42を懸吊した状態で、仮受台55,55の移動操作部材58,58を操作することで内方に移動した配置部56,56を回避位置に移動する。そして、図19に示されるように、開閉弁2aを開状態にし、制水弁42を下降して既設流体管Pの管軸と略同軸の位置に配置する。 【0082】 このように、配置部56,56を、制水弁42を配置するときに配置位置に移動でき、制水弁42を移動するときに回避位置に移動できるため、制水体42を、作業筒11外方まで延設された長尺の挿入ロッド109を接続した状態で、作業筒11内に挿入する煩雑さを解消できる。」 「【0094】 次いで、遮断装置を構成する各種部材を制水弁42に取付ける。図23(b)に示されるように、弁体43の図示左側において、前述した弁軸部に回動力が伝達可能に遮断装置34を組み付ける。同様に、弁体43の図示右側において、前記弁軸部に回動力が伝達可能に遮断手動手段35に組み付ける。 【0095】 図23(a)、(b)に示されるように、遮断装置34は、後述する荷重体38、緩衝部39、ソレノイド49等の各部材が、基板36に組み付けられて構成されている。 【0096】 次に、弁体43の回動動作について説明すると、例えば地震等の非常時など既設流体管Pの特定状態において、信号線50の他端側に設けられた図示しない地震の感知装置からの電気信号が、ソレノイド49に送られることで、ソレノイドバー49aが上方のソレノイド49本体に向かって移動する。この移動に伴い、保持レバー48がその一端部周りに上方に回動し、他端部が係止片47から外れて、荷重体38が、前記軸部周りに下方に移動しようとする拘束が解かれ、重力落下するので、この荷重体38の重力落下とともに、回動アーム44及び前記軸部を介して前記弁軸部を略90度回動し、すなわち弁体43が閉塞状態となる。 【0097】 このように、遮断装置34の荷重体38を前記弁軸部の上方に設け、既設流体管Pの特定状態において重力落下することで、水平方向の前記弁軸部に直接に駆動力を付与することにより、特段のエネルギを用いずに前記弁軸部の上方に設けられた荷重体38の位置エネルギを利用して、安価且つ効率よく駆動力を前記弁軸部に付与することができる。」 「 【図4】 [図:0001416425000023.jpg] 【図5】 [図:0001416425000024.jpg] 【図6】 [図:0001416425000025.jpg] 【図7】 [図:0001416425000026.jpg] 【図8】 [図:0001416425000027.jpg] 」 「 【図15】 [図:0001416425000028.jpg] 【図16】 [図:0001416425000029.jpg] 【図18】 [図:0001416425000030.jpg] 【図19】 [図:0001416425000031.jpg] 」 「 【図23】 [図:0001416425000032.jpg] 」 ウ 甲3について (ア)甲3の記載 本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3には、次の記載がある。 「【0102】 次いで、遮断装置を構成する各種部材を制水弁42に取付ける。図18(b)に示されるように、弁体43の図示左側において、前述した弁軸部に回動力が伝達可能に遮断装置34を組み付ける。同様に、弁体43の図示右側において、前記弁軸部に回動力が伝達可能に遮断手動手段35に組み付ける。 【0103】 図18(a)、(b)に示されるように、遮断装置34は、後述する荷重体38、緩衝部39、ソレノイド49等の各部材が、基板36に組み付けられて構成されている。 【0104】 次に、弁体43の回動動作について説明すると、例えば地震等の非常時など既設流体管Pの特定状態において、信号線50の他端側に設けられた図示しない地震の感知装置からの電気信号が、ソレノイド49に送られることで、ソレノイドバー49aが上方のソレノイド49本体に向かって移動する。この移動に伴い、保持レバー48がその一端部周りに上方に回動し、他端部が係止片47から外れて、荷重体38が、前記軸部周りに下方に移動しようとする拘束が解かれ、重力落下するので、この荷重体38の重力落下とともに、回動アーム44及び前記軸部を介して前記弁軸部を略90度回動し、すなわち弁体43が閉塞状態となる。 【0105】 このように、遮断装置34の荷重体38を前記弁軸部の上方に設け、既設流体管Pの特定状態において重力落下することで、水平方向の前記弁軸部に直接に駆動力を付与することにより、特段のエネルギを用いずに前記弁軸部の上方に設けられた荷重体38の位置エネルギを利用して、安価且つ効率よく駆動力を前記弁軸部に付与することができる。」 「 [図:0001416425000033.jpg] 」 (2)対比・判断 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・後者の「水道管K」は、前者の「流体管」に相当し、同様に、「外箱1」は「筐体」に相当する。 そして、後者の「水道管Kに対し密封状に取付けられる外箱1」は、前者の「流体管に対し密封状に取付けられる筐体」に相当する。 ・後者の「仕切弁2」は、前者の「作業弁」に相当し、後者の「該外箱1の開口部に取付けられ該外箱1の内部を開閉可能な仕切弁2」は、前者の「該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁」に相当する。 ・後者の「カッター4」は、前者の「カッタ」に相当し、同様に、「駆動手段を備える穿孔機7」は「駆動部」に、「カッターの導入装置」は「切断機」に、それぞれ相当する。 また、後者の「前記収容箱3に収容された状態から前記外箱1内に導入されることで水道管Kの周壁を切削する、前記継足し軸5に接続されたカッター4」は、前者の「前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ」に相当する。 また、後者の「前記収容箱3の外方に装着され、軸70が前記継足し軸5に接続されて前記カッター4を回転しながら下降させる駆動手段を備える穿孔機7」は、前者の「該カッタを駆動する駆動部」に相当する。 そして、後者の「前記外箱1に前記仕切弁2を介して接続された収容箱3、前記収容箱3内に挿入され、前記収容箱3に固定されたスライドパイプ6、前記スライドパイプ6に挿入され、軸方向にスライド移動することができる継足し軸5、前記収容箱3に収容された状態から前記外箱1内に導入されることで水道管Kの周壁を切削する、前記継足し軸5に接続されたカッター4、及び前記収容箱3の外方に装着され、軸70が前記継足し軸5に接続されて前記カッター4を回転しながら下降させる駆動手段を備える穿孔機7を有するカッターの導入装置」は、その収容箱3が仕切弁2に接続されることから、前者と同じく、「作業弁に取り付けられ」ているものといえ、上述のとおり前者の「カッタ」と「駆動部」に相当する構成を有しているから、前者の「該作業弁に取付けられ、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機」に相当する。 ・後者の「不断水状態」は、前者の「不断流状態」に相当する。 そして、後者の「前記カッター4を、不断水状態で前記外箱1内に導入することで水道管Kの周壁を切削し、穿孔H2を形成するためのカッターの導入装置の組立方法」と、前者の「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する制流体の設置装置の組立方法」とは、「切断機を不断流状態で前記筐体内に設置する組立方法」という限りにおいて一致する。 ・後者の「前記カッターの導入装置は、前記外箱1に接続された前記収容箱3及び前記収容箱3に固定された前記スライドパイプ6からなるものと、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるものと、前記継足し軸5に接続された前記カッター4を回転しながら下降させる前記駆動手段を備える前記穿孔機7との複数の分割体として構成されており」と、前者の「前記切断機は、前記カッタと前記駆動部の分割体から構成されており」とは、「前記切断機は、複数の分割体から構成されており」という限りにおいて一致する。 ・後者の「前記水道管Kに前記外箱1を密封状に取付けた後」は、前者の「前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後」に相当する。 ・ 後者の「前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるもの」は、前者の「前記分割体のうち第1の分割体」に相当する。 また、後者の「前記継足し軸5の後端部」の「側面に着脱自在に取り付けられた規制部材8」及び「前記スライドパイプ6の後端部に設けられたフランジ63」は、前記継足し軸5の後端部に取り付けられた規制部材8が前記スライドパイプ6の後端部に設けられたフランジ63に係合することにより、継足し軸5及び継足し軸5に接続されたカッター4からなるものがスライドパイプ6のフランジ63に係止することになるから、前者の「係止部」に相当する。 そして、これら「フランジ63」及び「規制部材8」は、前記継足し軸5に穿孔機7の軸70を接続した後に、外箱1(筐体)に支持されたものになるから、前者の「該筐体に支持された前記係止部」に相当する。 そうすると、後者の「前記継足し軸5が挿入された前記スライドパイプ6を前記収容箱3の外方に装着し、前記継足し軸5に接続された前記カッター4を収容した前記収容箱3を、前記外箱1に前記仕切弁2を介して接続し、前記仕切弁2を開いた後に、前記スライドパイプ6を前記継足し軸5と共に前記収容箱3内に挿入し、前記スライドパイプ6の前記フランジ63を前記収容箱3の前記フランジ33に接続して前記スライドパイプ6を収容箱3に固定する工程において、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるものを、前記外箱1に接続された前記収容箱3及び前記収容箱3に固定された前記スライドパイプ6からなるものに対して、前記継足し軸5の後端部を、その側面に着脱自在に取り付けられた規制部材8によって、前記スライドパイプ6の後端部に設けられたフランジ63に係合させることで、前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動を規制したものと」することと、前者の「前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態と」することとは、「前記分割体のうち第1の分割体を、該筐体に支持された前記係止部で係止させた状態と」するという限りにおいて一致する。 以上のことから、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、該作業弁に取付けられ、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え、切断機を不断流状態で前記筐体内に設置する組立方法であって、 前記切断機は、複数の分割体から構成されており、前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記分割体のうち第1の分割体を、該筐体に支持された前記係止部で係止させた状態とする、切断機を設置する組立方法。」 [相違点1] 「切断機を不断流状態で前記筐体内に設置する組立方法」に関し、本件発明1では、「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する制流体の設置装置の組立方法」であるのに対して、甲1発明1では、「前記カッター4を、不断水状態で前記外箱1内に導入することで水道管Kの周壁を切削し、穿孔H2を形成するためのカッターの導入装置の組立方法」である点。 [相違点2] 「複数の分割体」に関し、本件発明1では、「前記カッタと前記駆動部の分割体」であるのに対して、甲1発明1では、「前記外箱1に接続された前記収容箱3及び前記収容箱3に固定された前記スライドパイプ6からなるものと、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるものと、前記継足し軸5に接続された前記カッター4を回転しながら下降させる前記駆動手段を備える前記穿孔機7との複数の分割体」である点。 [相違点3] 「前記分割体のうち第1の分割体を、該筐体に支持された前記係止部で係止させた状態と」することに関し、 本件発明1では、「前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態と」するのに対して、 甲1発明1では、「前記継足し軸5が挿入された前記スライドパイプ6を前記収容箱3の外方に装着し、前記継足し軸5に接続された前記カッター4を収容した前記収容箱3を、前記外箱1に前記仕切弁2を介して接続し、前記仕切弁2を開いた後に、前記スライドパイプ6を前記継足し軸5と共に前記収容箱3内に挿入し、前記スライドパイプ6の前記フランジ63を前記収容箱3の前記フランジ33に接続して前記スライドパイプ6を収容箱3に固定する工程において、前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続された前記カッター4からなるものを、前記外箱1に接続された前記収容箱3及び前記収容箱3に固定された前記スライドパイプ6からなるものに対して、前記継足し軸5の後端部を、その側面に着脱自在に取り付けられた規制部材8によって、前記スライドパイプ6の後端部に設けられたフランジ63に係合させることで、前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動を規制したものと」する点。 [相違点4] 本件発明1では、「残りの第2の分割体である前記駆動部を吊り下ろし、前記係止部に係止された前記カッタに対して、前記駆動部を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」のに対して、 甲1発明1では、「前記収容箱3の外方に前記穿孔機7を装着し、前記スライドパイプ6に対する軸方向の移動を規制された前記継足し軸5に、前記穿孔機7の軸70を接続した後、前記継足し軸5の後端部から前記規制部材8を取り外すことにより、前記継足し軸5の後端部と前記スライドパイプ6の後端部に設けられた前記フランジ63との係合による前記スライドパイプ6に対する前記継足し軸5の軸方向の移動の規制を解除する」点。 (イ)判断 a 相違点3について 事案に鑑み、上記相違点3について検討する。 上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項における「前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、」との事項については、甲1-3のいずれにも、記載も示唆もされていない。 そうすると、甲1発明1において、上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 b 効果について そして、本件発明1は、上記相違点3に係る発明特定事項を備えることにより、「切断機」「を構成する複数の分割体を別々にクレーンで運搬でき、これらを吊支するクレーンへの負荷を軽減して該クレーンを小型化することができる。」(段落【0007】)との所期の効果を奏するものである。 c まとめ したがって、本件発明1は、相違点1、2及び4の検討を要するまでもなく、甲1発明1及び甲1-3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 イ 本件発明3について (ア)対比 本件発明3と甲1発明3とを、上記ア(ア)の対比を踏まえて対比する。 ・後者の「前記穿孔機7をクレーンに接続した状態で、該穿孔機7の軸70を前記継足し軸5及び前記継足し軸5に接続されたカッター4からなるものの前記継足し軸5に接続する」ことは、前者の「前記第2の分割体をクレーンに接続した状態で、該第2の分割体を前記第1の分割体に組み立てる」ことに相当する。 そうすると、本件発明3と甲1発明3とは、相違点1-相違点4で相違する。 (イ)判断 上記ア(イ)の検討を踏まえると、本件発明1と同様の理由により、本件発明3は、甲1発明3及び甲1-3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 ウ 本件発明4について 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるから、上記ア(イ)の検討を踏まえると、本件発明1と同様の理由により、甲1発明1及び甲1-3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備えるから、上記イの検討を踏まえると、同様の理由により、甲1発明3及び甲1-3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)まとめ よって、本件特許の請求項1、3及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえないから、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。 第6 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由について 1 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由の概要 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由は、概略、次のとおりである。 (1)甲1を主とした請求項1-4についての理由 本件特許の請求項1-4に係る発明は、甲1に記載された発明と同一であり、新規性を有しない(以下、「理由3」という。)。 (2)甲2を主とした請求項1-4についての理由 ア 本件特許の請求項1-3に係る発明は、甲2に記載された発明と同一であり、新規性を有しない(以下、「理由4」という。)。 イ 本件特許の請求項4に係る発明は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「理由5」という。)。 2 当審の判断 (1)理由3について 上記第5の2(2)アの検討を踏まえると、本件発明1と甲1発明1との間に、相違点1-相違点4が認められるから、本件発明1は、甲1に記載された発明ではないことが明らかである。 また、上記第5の2(2)イの検討を踏まえると、本件発明3と甲1発明3との間に、相違点1-相違点4が認められるから、本件発明3は、甲1に記載された発明ではないことが明らかである。 さらに、上記第5の2(2)ア-ウの検討を踏まえると、本件発明4と甲1発明1との間、又は、本件発明4と甲1発明3との間に、少なくとも相違点1-相違点4が認められるから、本件発明4は、甲1に記載された発明ではないことが明らかである。 したがって、本件発明1、3及び4は、甲1に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1、3及び4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。 (2)理由4、5について ア 甲2について (ア)甲2の記載 甲2には、上記第5の2(1)イ(ア)に示したとおりの記載がある。 (イ)上記(ア)から認められる事項 a 段落【0015】の記載によれば、甲2には、制水体設置方法が記載されている。 b 段落【0021】及び【0047】及び図5の記載によれば、制水体設置方法において、既設流体管Pに対し水密に囲繞して取付けられる筐体2を備えることが認められる。 c 段落【0024】及び【0048】及び図5の記載によれば、制水体設置方法において、筐体2の上部ケース2dの上部に取外可能に設けられ、開閉可能な開口部を構成する開閉弁2aを備えることが認められる。 d 段落【0034】-【0043】、【0048】-【0050】及び【0070】並びに図5-8の記載によれば、制水体設置方法において、筐体2の内部で既設流体管Pを切断する、切除ユニット3、ガイド部4及び駆動部5からなる管切除装置1、及び該管切除装置1を駆動する駆動モータ6を有する機器を備えることが認められる。(当該機器は、段落【0049】及び【0050】に記載されているように、既設流体管Pを2箇所の切断面で切断し、管片P1を既設流体管Pから分断させた後、引き上げられることで、管を切除していることから、以下、「管を切除するための機器」という。) そして、段落【0048】-【0050】及び図5-8の記載によれば、筐体2の本体内は、管を切除するための機器を用いて既設流体管Pが切断された状態になるものと認められる。 e 段落【0015】、【0070】、【0071】、【0075】、【0076】及び【0080】-【0082】並びに図15、16、18及び19の記載を上記dと合わせみると、制水体設置方法は、既設流体管Pの流路を制御する制水弁42を、管を切除するための機器を用いて既設流体管Pが切断された筐体2内に不断水状態で設置するために、制水弁42を開閉弁2aが閉状態とされて取付けられた作業筒11内において仮受台55の配置部56に配置するものであることが認められる。 そして、開閉弁2aが閉状態とされて取付けられた作業筒11内は、既設流体管P内の流体が存在しないのであるから、管内流体の存在しない状態の空間と認められる。 f 段落【0021】、【0028】、【0031】、【0033】、【0034】、【0046】及び【0047】並びに図4-7の記載によれば、管を切除するための機器において、既設流体管Pに管切除装置1を取付けるとともに、既設流体管Pに筐体2を水密に囲繞して取付けることが認められる。 また、段落【0048】及び【0049】並びに図4-7の記載によれば、管を切除するための機器において、既設流体管Pに取り付けた筐体2の上部ケース2dの上部に開閉弁2aを取付け、開閉弁2aの上部に作業筒11を取付け、作業筒11の上部に蓋部12を取付け、蓋部12にモータ台108を取付け、モータ108台に懸吊手段102により懸吊された駆動モータ6を連結して、前記駆動モータ6を作動させて駆動長軸106を介し駆動トルクを前記駆動部5の伸縮継手部10に伝達することで、前記切除ユニット3に設けられた切削バイト19が前記既設流体管Pの外周面を切削しながら回動するように構成したことが認められる。 そして、管を切除するための機器は、既設流体管Pに対して、管切除装置1が取り付けられる一方、蓋部12取付けたモータ台10に駆動モータ6を連結し、管切除装置1の駆動部5の伸縮継手部10に駆動モータ6の駆動トルクが伝達されるように構成されるから、管切除装置1と駆動モータ6の分割体から構成されているものと認められる。 また、管を切除するための機器の管切除装置1は、段落【0046】-【0049】、図4及び図5の記載によれば、既設流体管Pが切断される前に筐体2内で既設流体管Pに取付けられるのであって、その取付けの際の筐体2内は、既設流体管P内の流体が存在しないのであるから、管内流体の存在しない状態の空間と認められる。 さらに、管を切除するための機器の駆動モータ6は、開閉弁2aの上部に取付けられた作業筒11の上部に取付けられた蓋部12に対して、モータ台108を介して取り付けられるから、駆動モータ6の取付けがされる空間は、筐体2、開閉弁2a、作業筒11及び蓋部12で構成する密閉された内部空間の外部である、管内流体の存在しない状態の空間と認められる。 そうすると、管を切除するための機器を取付ける空間は、管内流体の存在しない状態の空間と認められる。 g 上記e及びfから、制流体の設置装置の組立方法において、管を切除するための機器及び制水弁42を管内流体の存在しない状態の空間において設置することが認められる。 (ウ)甲2発明 上記(ア)及び(イ)を総合して本件発明1に倣って整理すると、甲2には、次の事項からなる発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 「既設流体管Pに対し水密に囲繞して取付けられる筐体2と、該筐体2の上部ケース2dの上部に取外可能に設けられ、開閉可能な開口部を構成する開閉弁2aと、前記筐体2の内部で既設流体管Pを切断する、切除ユニット3、ガイド部4及び駆動部5からなる管切除装置1、及び該管切除装置1を駆動する駆動モータ6を有する管を切除するための機器とを備え、前記既設流体管Pの流路を制御する制水弁42を、前記管を切除するための機器を用いて既設流体管Pが切断された前記筐体2内に不断水状態で設置するために、前記管を切除するための機器及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において設置する制水体設置方法であって、 前記管を切除するための機器は、前記管切除装置1と前記駆動モータ6の分割体から構成されており、前記既設流体管Pに前記管切除装置1を取付けるとともに、前記既設流体管Pに前記筐体2を水密に囲繞して取付け、前記筐体2の上部ケース2dの上部に前記開閉弁2aを取付け、前記開閉弁2aの上部に作業筒11を取付け、前記作業筒11の上部に蓋部12を取付け、前記蓋部12にモータ台108を取付け、前記モータ108台に懸吊手段102により懸吊された前記駆動モータ6を連結して、前記駆動モータ6を作動させて駆動長軸106を介し駆動トルクを前記駆動部5の伸縮継手部10に伝達することで、前記切除ユニット3に設けられた切削バイト19が前記既設流体管Pの外周面を切削しながら回動されるように構成した、制水体設置方法。」 イ 対比・判断 (ア)本件発明1について a 対比 本件発明1と甲2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・後者の「既設流体管P」は、前者の「流体管」に相当し、同様に、「水密に囲繞して」は「密封状に」に、「筐体2」は「筐体」に、「開閉弁2a」は「作業弁」に、「切除ユニット3、ガイド部4及び駆動部5からなる管切除装置1」は「カッタ」に、「駆動モータ6」は「駆動部」に、「管を切除するための機器」は「切断機」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「該筐体2の上部ケース2dの上部に取外可能に設けられ、開閉可能な開口部を構成する開閉弁2a」は、開閉弁2aが開閉可能な開口部を構成することからみて、筐体2の上部ケース2dに開口部が設けられており、その開口部に開閉弁2aが取付けられていることは明らかであり、開閉弁2aによって筐体2の内部を開閉可能であるものと認められるから、前者の「該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁」に相当する。 そうすると、後者の「既設流体管Pに対し水密に囲繞して取付けられる筐体2と、該筐体2の上部ケース2dの上部に取外可能に設けられ、開閉可能な開口部を構成する開閉弁2aと、前記筐体2の内部で既設流体管Pを切断する、切除ユニット3、ガイド部4及び駆動部5からなる管切除装置1、及び該管切除装置1を駆動する駆動モータ6を有する管を切除するための機器とを備え」ることと、前者の「流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、該作業弁に取付けられ、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え」ることとは、「流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え」るという限りにおいて一致する。 ・後者の「制水弁42」は、前者の「制流体」に相当し、同様に「不断水状態」は「不断流状態」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「前記既設流体管Pの流路を制御する制水弁42を、前記管を切除するための機器を用いて既設流体管Pが切断された前記筐体2内に不断水状態で設置するために、前記管を切除するための機器及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において設置する」ことと、 前者の「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」こととは、 「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において設置する」という限りにおいて一致する。 ・後者の「制水体設置方法」は、前者の「制流体の設置装置の組立方法」に相当する。 ・後者の「前記管を切除するための機器は、前記管切除装置1と前記駆動モータ6の分割体から構成されて」いることは、前者の「前記切断機は、前記カッタと前記駆動部の分割体から構成されて」いることに相当する。 ・後者の「前記管切除装置1」は、前者の「前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタ」に相当する。 また、後者の「前記駆動モータ6」は、前者の「第2の分割体である前記駆動部」に相当する。 そして、後者の「前記既設流体管Pに前記管切除装置1を取付けるとともに、前記既設流体管Pに前記筐体2を水密に囲繞して取付け、前記筐体2の上部ケース2dの上部に前記開閉弁2aを取付け、前記開閉弁2aの上部に作業筒11を取付け、前記作業筒11の上部に蓋部12を取付け、前記蓋部12にモータ台108を取付け、前記モータ108台に懸吊手段102により懸吊された前記駆動モータ6を連結して、前記駆動モータ6を作動させて駆動長軸106を介し駆動トルクを前記駆動部5の伸縮継手部10に伝達することで、前記切除ユニット3に設けられた切削バイト19が前記既設流体管Pの外周面を切削しながら回動されるように構成した」ことと、 前者の「前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、残りの第2の分割体である前記駆動部を吊り下ろし、前記係止部に係止された前記カッタに対して、前記駆動部を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」こととは、 「前記流体管に前記筐体を密封状に取付け、前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタに対して、残りの第2の分割体である前記駆動部を組み立てる」という限りにおいて一致する。 以上のことから、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、該作業弁に取付けられ、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え、前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において設置する制流体の設置装置の組立方法であって、 前記切断機は、前記カッタと前記駆動部の分割体から構成されており、前記流体管に前記筐体を密封状に取付け、前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタに対して、残りの第2の分割体である前記駆動部を組み立てる制流体の設置装置の組立方法。」 [相違点A] 本件発明1では、「切断機」が「該作業弁に取付けられ」るのに対して、甲2発明では、管を切除するための機器の管切除装置1は既設流体管Pに取付けられるものである点。 [相違点B] 「前記流体管の流路を制御する制流体を、前記切断機を用いて流体管が切断された前記筐体内に不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において設置する」ことに関し、本件発明1では、「前記切断機及び前記制流体」を「吊持して設置」するのに対して、甲2発明では、「前記管を切除するための機器及び前記制流体」を「吊持」することは特定されていない点。 [相違点C] 「前記流体管に前記筐体を密封状に取付け、前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタに対して、残りの第2の分割体である前記駆動部を組み立てる」ことに関し、 本件発明1では、「前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、残りの第2の分割体である前記駆動部を吊り下ろし、前記係止部に係止された前記カッタに対して、前記駆動部を組み立てた後、前記係止部の係止を解除する」のに対して、 甲2発明では、「前記既設流体管Pに前記管切除装置1を取付けるとともに、前記既設流体管Pに前記筐体2を水密に囲繞して取付け、前記筐体2の上部ケース2dの上部に前記開閉弁2aを取付け、前記開閉弁2aの上部に作業筒11を取付け、前記作業筒11の上部に蓋部12を取付け、前記蓋部12にモータ台108を取付け、前記モータ108台に懸吊手段102により懸吊された前記駆動モータ6を連結して、前記駆動モータ6を作動させて駆動長軸106を介し駆動トルクを前記駆動部5の伸縮継手部10に伝達することで、前記切除ユニット3に設けられた切削バイト19が前記既設流体管Pの外周面を切削しながら回動されるように構成した」点。 b 判断 本件発明1と甲2発明との間には、上記相違点A、相違点B及び相違点Cが認められるから、本件発明1は、甲2に記載された発明ではないことが明らかである。 (イ)本件発明3について 本件発明3は、本件発明1の発明特定事項を全て備えており、上記(ア)の検討を踏まえると、甲2発明との間に上記相違点A、相違点B及び相違点Cが認められるから、甲2に記載された発明ではないことが明らかである。 (ウ)本件発明4について a 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て備えており、上記(ア)の検討を踏まえると、甲2発明との間に上記相違点A、相違点B及び相違点Cが認められるから、甲2に記載された発明ではないことが明らかである。 b また、上記相違点Cに係る本件発明4の発明特定特定事項における「前記分割体のうち第1の分割体である前記カッタを、係止部により蓋体と一体化した状態で吊り下ろし、前記蓋体を前記筐体に載置することで、該筐体に支持された前記係止部で前記カッタを係止させた状態とし、」との事項については、甲1及び3のいずれにも、記載も示唆もされていない。 そうすると、甲2発明において、上記相違点Cに係る本件発明4の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 そして、本件発明4は、上記相違点Cに係る発明特定事項を備えることにより、「切断機」「を構成する複数の分割体を別々にクレーンで運搬でき、これらを吊支するクレーンへの負荷を軽減して該クレーンを小型化することができる。」(段落【0007】)との所期の効果を奏するものである。 したがって、本件発明4は、上記相違点A及び相違点Bの検討を要するまでもなく、甲2発明並びに甲1に記載された事項及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 (エ)小括 以上のとおり、本件発明1、3及び4は、甲2に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1、3及び4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。 また、本件発明4は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 3 まとめ したがって、取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由によっても、訂正後の請求項1、3及び4に係る特許を取り消すことはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1、3及び4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、3及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件訂正により請求項2が削除されたため、請求項2に係る特許に対する特許異議の申立ては、その対象となる特許が存在しなくなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700262

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