特許異議申立
2023-701179
管接続部材撤去装置および管接続部材撤去方法
- 審判番号
- 2023-701179
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-097057
- 登録番号
- 7273615
- 請求日
- 2023年11月07日
- 審決日
- 2024年10月31日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】コスモ工機株式会社
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】秋庭 英樹
- 【権利者代理人】林 道広
- 【異議申立人】西内 大生
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 充
- 審判官 間中 耕治
- 審判官 竹下 和志
- 分類
- P1651.113-YAA(F16L) / P1651.121-YAA(F16L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7273615号発明「管接続部材撤去装置および管接続部材撤去方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7273615号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。
特許第7273615号の請求項1、3~8に係る特許を維持する。
特許第7273615号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7273615号の請求項1~8に係る特許についての出願は、令和元年5月23日の出願であって、令和5年5月2日にその特許権の設定登録がされ、同年5月15日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年11月 7日 :特許異議申立人 西内大生(以下、「申立人」という。)による請求項1~8に係る特許についての特許異議の申立て
令和6年 3月28日付け:取消理由通知
同年 5月 7日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出(以下、この訂正請求を「本件訂正請求」といい、この訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)
同年 7月 9日 :申立人による意見書の提出
第2 本件訂正の適否
1.本件訂正の内容
本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向一方側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されており、」とあるのを、「前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向前記ケース部材側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されており、」に訂正する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項3~7も同様に訂正する。)。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3において、「請求項1または2に記載」とあるのを、「請求項1に記載」に訂正する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4において、「請求項1ないし3のいずれかに記載」とあるのを、「請求項1または3に記載」に訂正する。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7において、「請求項1ないし6のいずれかに記載」とあるのを、「請求項1、3ないし6のいずれかに記載」に訂正する。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、「密封部用の切欠き凹部」が「開放」している方向について、ベース部材から見て分岐管部の軸方向下流側(ケース部材側)であるか分岐管部の軸方向上流側(本管部側)であるのかが特定されていなかったものを、「軸方向前記ケース部材側と内径側」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)の段落【0046】に「・・・環状ベース部材9の環状板部91に、分岐管部2の上方側(軸方向一方側)と内径側とに開放するシールリング11用の切欠き凹部92が分岐管部2の首部2Aの周囲を囲うように形成されている。」、段落【0047】に「また、切欠き凹部92は、環状板部91の作業用ケース30側に形成されており・・・」と記載されているから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、「密封部用の切欠き凹部」が「開放」している方向について、ベース部材から見て分岐管部の軸方向下流側(ケース部材側)であるか分岐管部の軸方向上流側(本管部側)であるのかが特定されていなかったものを、「軸方向前記ケース部材側と内径側」に限定するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、請求項3が請求項1または2を選択的に引用していたものを、請求項1のみを引用するように訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項3は、請求項3が請求項1または2を選択的に引用していたものを、請求項1のみを引用するように訂正するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、請求項4が請求項1ない3のいずれか1項を選択的に引用していたものを、請求項1または3を選択的に引用するように訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項4は、請求項4が請求項1ない3のいずれか1項を選択的に引用していたものを、請求項1または3を選択的に引用するように訂正するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、請求項7が請求項1ないし6のいずれか1項を選択的に引用していたものを、請求項1、3ないし6を選択的に引用するように訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項5は、請求項7が請求項1ないし6のいずれか1項を選択的に引用していたものを、請求項1、3ないし6を選択的に引用するように訂正するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。
(6)一群の請求項について
訂正前の請求項1~7について、請求項2~7は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3.訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項1~5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項、第6項に適合するから、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正により訂正された請求項1~7に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明7」という。)及び請求項8に係る発明(以下、「本件発明8」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
【請求項1】
既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定される分割構造のベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材と、を備える作業用ケースにより前記分岐管部に取付けられた管接続部材を密封状に囲い、該作業用ケース内で前記管接続部材を不断流状態で撤去する管接続部材撤去装置であって、
前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向前記ケース部材側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されており、前記切欠き凹部に前記密封部が設けられるとともに、前記切欠き凹部よりも前記分岐管部の外径側に、前記ベース部材と前記ケース部材との間を密封する環状の密封リングが配設されることを特徴とする管接続部材撤去装置。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記切欠き凹部は、前記ベース部材の板厚の半分以上にわたり形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管接続部材撤去装置。
【請求項4】
前記ベース部材に、密封部材としてのシールリングを前記切欠き凹部に押圧する押輪が装着可能となっていることを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載の管接続部材撤去装置。
【請求項5】
前記切欠き凹部は、軸方向一方側の端面から内径側に向けて深くなるように延びる傾斜面を有していることを特徴とする請求項4に記載の管接続部材撤去装置。
【請求項6】
前記首部は、該首部の軸方向に沿って延び前記シールリングに当接する直線部を有していることを特徴とする請求項4または5に記載の管接続部材撤去装置。
【請求項7】
前記分岐管部と前記管接続部材との脱着をガイドするガイドボルトと、前記ベース部材との間には、前記ガイドボルトの落下を防止する落下防止手段が配置されていることを特徴とする請求項1、3ないし6のいずれかに記載の管接続部材撤去装置。
【請求項8】
既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定される分割構造のベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材と、を備える作業用ケースにより前記分岐管部に取付けられた管接続部材を密封状に囲い、該作業用ケース内で前記管接続部材を不断流状態で撤去する管接続部材撤去方法であって、
分割された前記ベース部材を前記分岐管部の首部を囲うように設置した状態で、前記作業用ケース側から前記ベース部材の内周面と前記分岐管部の首部の外周面との間を密封するとともに、該密封する箇所よりも前記分岐管部の外径側にて前記ベース部材と前記ケース部材との間を密封する密封処理を行うことを特徴とする管接続部材撤去方法。
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
当審が令和6年3月28日付けの取消理由通知に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。
理由1(新規性)
本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、本件特許の下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してなされたものである。
理由2(進歩性)
本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
甲第1号証:特開2014-119012号公報
甲第2号証:特開2018-80823号公報
甲第3号証:特表2014-526702号公報
甲第4号証:中国特許出願公開第103112934号明細書
甲第5号証:特開2014-126155号公報
以下、甲第1号証~甲第5号証を、それぞれ「甲1」~「甲5」という。
1.甲1に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)を主引用例とした場合
・請求項1、3~7:甲1発明により理由1、2
2.甲2に記載された発明(以下、「甲2発明」という。)を主引用例とした場合
・請求項1、3~6:甲2発明と甲1記載の技術事項により理由2
第5 当審の判断
1.甲号証に記載された事項
(1)甲1について
ア 甲1に記載された事項
甲1には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、既設流体管に連結された弁装置の弁体を撤去する弁体撤去装置及び弁体撤去方法に関する。」
(イ)「【0013】
本発明の弁体撤去方法は、
流体管路に連結された管路部と該管路部を閉塞可能な弁体を有する弁本体部とがシール部を介して着脱可能に接合されており、少なくとも前記弁本体部を作業用ケースで密封状に囲って、該作業用ケース内で前記管路部から前記弁本体部を取り外して撤去する弁体撤去方法であって、
前記作業用ケースを、前記管路部に固定するとともに前記シール部よりも前記流体管側において前記管路部を囲むように封止して、前記管路部と前記弁本体部とを作業用ケースで囲った後に、
前記作業用ケース内で前記管路部から前記弁本体部を取り外し、前記作業用ケース内に備えられた作業弁で前記作業用ケース内における前記弁本体部よりも前記管路部側を密封状に閉塞し、
前記弁本体部を取り外すことで開放された前記管路部の開口を閉塞するための閉塞蓋を、前記作業用ケース内に配置した後に、前記作業弁を開放して、前記閉塞蓋を前記管路部に装着することを特徴としている。
この特徴によれば、作業用ケースを、管路部に固定し、シール部よりも流体管側において管路部を囲むように封止した後に、作業用ケース内で管路部から弁本体部を取り外すとともに管路部を閉塞蓋で閉塞することで、シール部の形状や有無に依らず、管路部と弁本体部とから構成される種々の弁装置に適用可能であるとともに、弁装置全体を囲う必要がなく、流体管路よりも弁本体部側での作業のみで管路部及び弁本体部を作業用ケースで密封状に囲って、弁装置から弁体を撤去することができる。」
(ウ)「【0017】
まず、図1及び図2に示すように、仕切弁2は、流体管1,1’の流体管路に連通する管路4を有する管路部5と、この管路部5を閉塞可能な弁体6を有する弁本体部7とからなり、管路部5と弁本体部7とは、シール材であるパッキン21を介して着脱可能に接合されている。
【0018】
また、管路部5は、管路4をなす略円筒状の胴体部8と、管路4の管軸線と異なる方向に突出された筒状の首部9とから構成される。一方、弁本体部7は、弁蓋部10の内部に収容可能であり管路部5を閉塞可能な弁体6と、弁体6を内部に収容可能であり一端が首部9の上部に接合され管路部5の首部9の開口11を閉塞する略筒状の弁蓋部10と、弁蓋部10の上面に突出され弁体6を仕切弁2の外部から開閉操作するための棒状の弁棒部12と、弁蓋部10の上部に接合され弁棒部12の外周面をシールするためのパッキン(図示略)を内部に備えるパッキン箱部13と、から構成される。
【0019】
また、管路部5の胴体部8の両端部には、管路4の外径方向に突出するフランジ部14,14’が形成されており、このフランジ部14,14’は、流体管1,1’の端部のフランジ部15,15’にパッキン(図示略)を介して密封状に接合されるとともに、フランジ部14,14’,15,15’同士がボルト・ナット16で締結されている。
【0020】
また、管路部5の首部9の端部の外周には、筒状の首部9の外径方向に突出する管路部フランジ部17が形成されている。そして、この管路部フランジ部17は、弁本体部7の弁蓋部10の下端に形成された弁蓋下フランジ部18に、パッキン21を介して密封状に接合され、フランジ部17,18同士がボルト・ナット19で締結されている。これにより、弁本体部7は、管路部5に対して着脱可能になっている。」
(エ)「【0021】
次に、図3に示すように、本実施例の弁体撤去装置20は、仕切弁2の管路部5の一部及び弁本体部7を密封状に囲う作業用ケース25と、作業用ケース25内に備えられるとともに作業用ケース25の外部からの操作により作業用ケース25の内部空間を上部空間Aと下部空間Bとに密封状に仕切ることが可能な作業弁26と、作業用ケース25の外部からの操作で首部9の管軸方向に進退移動させることが可能なスピンドル27を備えた挿入装置28とから構成されている。
【0022】
作業用ケース25は、管路部フランジ部17とその近傍の管路部5及び弁蓋下フランジ部18とその近傍の弁蓋部10を囲うベースフランジ30と、ベースフランジ30の上部に接続され弁蓋部10及びパッキン箱部13を囲うとともに作業弁26を内部に備える作業弁装置部31と、作業弁装置部31の上部に接続されるとともに弁棒部12の上端部と弁本体部7の上方の空間を囲う略円筒状の円筒部材32と、円筒部材32の上端部に接続されて円筒部材32の上端の開口を閉塞するとともに上面に挿入装置28が載置される略円盤状の取付フランジ33とからなる。
【0023】
ベースフランジ30は、図3及び図4に示すように、管路部5の首部9の外周面に接触され首部9の外周面に沿って延びる筒状の接触部34を有している。また、ベースフランジ30には、接触部34の上端部から拡径するように連続的に設けられるとともに、弁蓋下フランジ部18の外側周面よりも若干大径に形成され平面視で略楕円形の筒状をなし、弁蓋下フランジ部18よりも上方側に延びる楕円筒部35が設けられており、更に、楕円筒部35の上端部から拡径されるように平面視で大径略円形の鍔状に形成された大径鍔部36(図7参照)が連続的に設けられている。
【0024】
また、ベースフランジ30は、首部9の周方向に略均等に2分割可能な分割片により構成されており、各分割片の分割面には、図示しないパッキンが介在されて、図示しないボルト・ナットにより密封状に接合されている。これにより、ベースフランジ30を首部9の外周側から管路部5に嵌め込むことができるので、ベースフランジ30の取り付け作業を容易にすることができる。」
(オ)「【0026】
また、接触部34の下端部には、図4及び図5に示すように、外周方向に突出し接触部34の外周面に沿って延びる小径鍔状の小径鍔部37が形成されている。この小径鍔部37の下面の外周部には、上下方向に連通する連通孔が周方向に所定間隔離間されて複数個形成されている。一方、小径鍔部37の内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状の溝部38が形成されている。この溝部38には、断面が略円形状をなし首部9の外周面に内接する略環状の弾性体からなり、本発明に係る密封部材としての丸ゴムパッキン39が嵌め込まれている。尚、本実施例の丸ゴムパッキン39は、断面が略円形状であるが、例えば楕円形状若しくは略C字状、方形状に形成されてもよい。これにより、後述するように管路部5を囲って封止することができる。
【0027】
また、小径鍔部37よりも下方の管路部5の外周面には、小径鍔部37の端面に沿って略環状に延びる押輪40が嵌められている。この押輪40の下面の外周部には、上下方向に連通する連通孔が、小径鍔部37の連通孔に対応するように周方向に複数個形成されており、小径鍔部37と押輪40とがボルト・ナット41により接続されるようになっている。また、この押輪40は、首部9の周方向に略均等に2分割可能に構成されており、図示しないパッキンが分割部に介在されて、図示しないボルト・ナットにより密封状に接合される。これにより、押輪40を首部9の外周側から管路部5に嵌め込むことができるので、押輪40の取り付け作業を容易にすることができる。
【0028】
そして、小径鍔部37と押輪40とを接続するボルト・ナット41が締め付けられることで、押輪40の上面の内周部が丸ゴムパッキン39に当接し、丸ゴムパッキン39を溝部38の内周面に押し込まれて、作業用ケース25を構成するベースフランジ30と管路部5とが丸ゴムパッキン39を介して密接されるようになっている。これにより、丸ゴムパッキン39と押輪40とが本発明に係る封止部を構成し、管路部5を囲むように封止することができる。」
(カ)「【0030】
また、ベースフランジ30の接触部34や溝部38、丸ゴムパッキン39、押輪40の形状は、本実施例に限らず、例えば、管路部5の胴体部8に取り付けるように、胴体部8の外周に沿って形成してもよい。ベースフランジ30を管路部5に取り付けることで、流体管路よりも弁本体部7側での作業のみで管路部5及び弁本体部7を作業用ケース25で密封状に囲うことができるので、流体管1や仕切弁2が地中に埋設されている場合でも、管路部5よりも深く掘削する必要がなく、掘削や埋戻し作業が容易になり、作業性を向上させることができる。」
(キ)「【0043】
また、ベースフランジ30の大径鍔部36には、その外周部に上下方向に連通する連通孔103(図7(a)参照)が周方向に形成されている。そして、図4及び図5に示すように、大径鍔部36の上面は、パッキンを介して作業弁装置部31と接続される。これにより、ベースフランジ30と作業弁装置部31とを、密封状に接続することができる。」
(ク)「【0080】
そして、ベースフランジ30、作業弁装置部31、円筒部材32、取付フランジ33により構成される作業用ケース25の内部空間に、図示しない空気弁で内部空間から空気を排出させながら水等の流体を導入して、作業用ケース25の各接続部分から流体の漏洩がないことを確認しつつ、作業用ケース25内の圧力を流体管1,1’の管路内の圧力と略同等に調整する。尚、前述した作業弁装置部31とベースフランジ30との固定作業後の漏洩確認を省略して、作業用ケース25全体の接続を完了させた後にのみ各接続部分から流体の漏洩がないことを確認するようにしてもよい。
【0081】
次に、図8に示すように、作業用ケース25外から弁蓋固定ボルト52の回転操作部54を所定量回転操作して、弁蓋固定ボルト52の傾斜部53を弁蓋部10から離間させる方向に移動させることで、管路部5と弁本体部7と密封状態を緩和させて、管路部5と弁本体部7との隙間から管路部5内の流体を作業用ケース25内に導く。これにより、管路部5内と作業用ケース25内の圧力が同等に調整される。
【0082】
そして、弁蓋固定ボルト52を更に回転操作して、傾斜部53を弁蓋部10から離間させる。その後、挿入装置28を作業用ケース25の外部から操作して、スピンドル27を後退移動させて、連結部材70とともに弁本体部7を作業弁26よりも上側の上部空間Aまで引き上げる。
【0083】
また、作業弁装置部31における操作軸64を操作して、作業弁26を方形部61内から円筒部60内に進出させることで、作業弁26により作業用ケース25の内部空間を上部空間Aと下部空間Bとに分断し、下部空間Bを密封状に閉塞する。これにより、作業用ケース25の内部空間が上部空間Aと下部空間Bとに分断されることになり、下部空間Bを密封状に保ちつつ、上部空間Aを開放することができるようになる。
【0084】
そして、図示しない排出バルブを介して、上部空間A内の流体を作業用ケース25外部に排出する。その後、作業弁装置部31と円筒部材32とを接続するボルト・ナット62を外し、管路部5、ベースフランジ30及び作業弁装置部31を残して、円筒部材32、取付フランジ33、挿入装置28及び弁本体部7を撤去する。また、撤去する弁蓋部10の下部において、弁蓋部10に付着しているパッキン21を確認し、管路部フランジ部17からパッキン21がすべて剥離されて弁蓋部10と共に回収されていることを確認する。」
(ケ)「【0099】
その後、閉塞蓋50と管路部5とを接続する作業用ボルト55にナットを締め付けて、閉塞蓋50と管路部5とを密封状に固定する。このとき、作業用ボルト55の頭部が、ベースフランジ30に装着されたソケット44により把持されていることで、作業用ボルト55にナットを容易に締め付けることができるとともに、作業用ケース25内に作業用ボルト55が抜け落ちることが防止されて、閉塞蓋50と管路部5とを固定する作業の作業性を高めることができる。また、ベースフランジ30を残して作業用ケース25の上方側が撤去されているので、管路部5の上方が開放された状態で、作業用ボルト55にナットを締め付けるなどの作業を行えるので、作業性を向上することができる。」
(コ)「【図1】
[図:0001418220000001.jpg]
」
(サ)「【図3】
[図:0001418220000002.jpg]
」
(シ)「【図4】
[図:0001418220000003.jpg]
」
(ス)「【図5】
[図:0001418220000004.jpg]
」
(セ)「【図7】
[図:0001418220000005.jpg]
」
イ 認定事項
(ア)図1から、「胴体部8」と「首部9」とは、一体に形成されていることが看取できる。
(イ)上記(ア)及び【0001】、【0017】、【0018】から、「既設流体管に連結された弁装置」は、「管路4を有する管路部5」を備え、「管路部5は、管路4をなす略円筒状の胴体部8と、管路4の管軸線と異なる方向に突出された筒状の首部9とから構成される。」のであるから、既設流体管に連結された弁装置の管路部5の管路4をなす胴体部8に一体に形成され、管路4の管軸線と異なる方向に突出された首部9を備えるものといえる。
(ウ)【0023】、【0024】から、「ベースフランジ30」は、「管路部5の首部9の外周面に接触され首部9の外周面に沿って延びる筒状の接触部34を有し」、「首部9の周方向に略均等に2分割可能な分割片により構成され」、「ベースフランジ30を首部9の外周側から管路部5に嵌め込むこと」で「ベースフランジ30の取り付け作業を容易にする」のであるから、首部9に固定される分割構造であるといえる。
(エ)図3及び【0021】、【0022】から、作業用ケース25は、仕切弁2の管路部5の一部である「首部9」と「弁本体部7」を密封状に囲うものといえる。
(オ)【0026】、【図4】、【図5】から、小径鍔部37は、ベースフランジ30に設けられていることが看取できる。
(カ)【0043】、【図4】、【図5】から、ベースフランジ30の大径鍔部36の上面には、小径鍔部37に設けられた溝部38よりも首部9の外径側においてパッキンが配置されていることが看取できる。
ウ 甲1発明
上記ア、イから、甲1には、以下の発明が記載されている(以下、「甲1発明」という。)。
(甲1発明)
「 既設流体管に連結された弁装置の管路部5の管路4をなす胴体部8に一体に形成され、管路4の管軸線と異なる方向に突出された首部9の外周面に接触され首部9に固定される分割構造のベースフランジ30と、ベースフランジ30の上部に接続される作業弁装置部31と、作業弁装置部31の上部に接続される円筒部材32と、円筒部材32の上端部に接続される取付フランジ33を備える作業用ケース25により、首部9及び弁本体部7を密封状に囲い、該作業用ケース25内で前記管路部5から前記弁本体部7を取り外して撤去する弁体撤去装置であって、
ベースフランジ30に設けられた小径鍔部37の内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状の溝部38が形成され、溝部38には、首部9の外周面に内接する丸ゴムパッキン39が嵌め込まれているとともに、
ベースフランジ30の大径鍔部36の上面は、小径鍔部37に設けられた溝部38よりも首部9の外径側においてパッキンが配置されて、パッキンを介して作業弁装置部31と接続され、ベースフランジ30と作業弁装置部31とを密封状に接続する、弁体撤去装置。」
(2)甲2について
ア 甲2に記載された事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、流路構成部材から分岐して接続される接続部材を不断流状態で撤去する撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の接続部材の撤去装置には、流路構成部材から分岐する分岐部に対し、該分岐部に延設される例えば空気弁用の接続部材を囲む筐体を密封状に取り付け、この筐体内に挿入した密封部材により分岐部内を密封状態として、この状態で接続部材を分岐部から取外し撤去するものがある(例えば、特許文献1参照)。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る接続部材の撤去方法にあっては、分岐部に接続される接続部材として例えば仕切弁があり、特に仕切弁内部の弁体に連結され当該弁体を開閉操作する操作部など、当該仕切弁の一部に分岐部の軸直交方向に張り出す張出部を有するものがある。しかも、このような場合、流路構成部材や分岐部、分岐部に接続された人孔蓋及び接続部材などが老朽化し、錆の発生などによりボルトナットの取外し不能や、短管部破損の虞があり、仕切弁自体を取外すことが困難な場合も多い。このような接続部材の撤去に際しては、この張出部を含む仕切弁を囲繞するために分岐部よりも大径となる大型の筐体を取付ける必要があり、当該筐体を支持するための付帯工事等を含めると、接続部材の撤去工数や工費等、撤去に要する作業規模が肥大化する虞が生じるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、一部に張出部を有する接続部材であっても、撤去に要する作業規模を肥大化することなく省力化して接続部材を不断流状態で撤去することができる接続部材の撤去方法を提供することを目的とする。」
(ウ)「【実施例1】
【0015】
実施例1に係る接続部材の撤去方法につき、図1から図14を参照して工程順に説明する。本実施例の接続部材の撤去方法は、流路構成部材としての既設流体管1(以下、単に流体管1と称する)の分岐部1aに一端が取付けられた人孔蓋2、該人孔蓋2の他端に取付けられた接続部材としての仕切弁3及び該仕切弁3に取り付けられた空気弁4を不断流状態で撤去、交換する方法である。本実施例において、仕切弁3が本発明に係る接続部材を構成する。
【0016】
図1に示されるように、本実施例の流体管1は、その本管部1cから分岐する分岐部1aを介し作業員等が内部に出入り可能な比較的大径とされており、特に図示しないが、本管部1cの一方の端部に受口部、他方の端部に挿口部が形成され、隣接する流体管等の流路構成部材と密封部材を介して密封状に受口挿口結合されている。また、受口挿口結合に限らず、フランジ結合あるいは継輪を使用してもよく、あるいは溶接接合であってもよい。」
(エ)「【0037】
図8及び図17に示されるように、流体管1に基礎台座93を取付ける。基礎台座93は、後述する分割部材21、筐体25を取付けるための基礎部として構成される。流体管1の周囲のコンクリートや掘削した地面、埋戻土等からなる基礎91上にジャッキ92を配置し、該ジャッキ92上に例えば平面視井桁状の基礎台座93を配設する(図17参照)。さらに、ジャッキ92の高さを調整して、基礎台座93の水平度を調整する。なお、基礎91は必ず設ける必要はなく、流体管1の周囲の地盤の状況、流体管1の上に設置する作業用ケースの大きさに応じて、掘削した地面に鉄板、材木を敷いてもよいし、掘削した地面を使用してもよいし、流体管1を利用してもよい。
【0038】
つぎに、図8に示されるように、基礎台座93の上に分割部材21を設置し、密封用のパッキン21eを介して流体管1の分岐部1aのフランジ1bに取付ける。分割部材21は、流体管1のフランジ1bの周囲に容易に取付けられるように、周方向に2分割されたクランプ片からなり、分割されたクランプ片同士はボルトナット(図示略)により一体環状に組み立てられる。なお、分割部材21は、2分割に限らず3分割以上であってもよい。
【0039】
また、分割部材21には、分岐部1aの径方向に進退する複数の保持ボルト29が周方向に離間して取り付けられており、該保持ボルト29を人孔蓋2に向って螺入して、該人孔蓋2を保持する。その後、作業用ボルトナット51及び案内ボルトナット52のうちボルトに取付けられたナットを取外し、人孔蓋2に作用する流体圧を保持ボルト29によって保持する。
【0040】
また、分割部材21の下部には、フランジ1bの下面或いは前記したボルトの下側に接する延出部21fがフランジ1bの内周側に向かって延出している。また、本実施例では、作業用ボルトナット51及び案内ボルトナット52を下方より支持するボルト53が延出部21fに対し螺入されている。なお、分割部材21は、パッキン21eを介して流体管1のフランジ1bの外周面を密封しているが、例えばフランジ1bの下面を密封してもよい。
【0041】
図8に示されるように、分岐部1aのフランジ1bに密接して一体環状に組み立てた分割部材21の上に、下部作業用ケース22を組立てる。下部作業用ケース22は、その内部を視認可能な確認窓22a及び夾雑物等を清掃可能な清掃具22bを備えた筒状体に形成される。
【0042】
つぎに、図9に示されるように、補修弁8の上部フランジに弁吊り金具27をボルトナット28により結合し、また下部作業用ケース22の上に作業弁装置23を組立てる。更に、作業弁装置23の上に上部作業用ケース24を組立て、また上部作業用ケース24の上に駆動機26を組み立てる。本実施例において、分割部材21、下部作業用ケース22、作業弁装置23及び上部作業用ケース24が本発明に係る筐体25を構成する。筐体25を人孔蓋2、仕切弁3の本体部5、補修弁8及び弁吊り金具27の周囲に取付け後、上部作業用ケース24の作業用孔24aから弁吊り金具27と駆動機アダプタ26aを接続する。その後、上部作業用ケース24の作業用孔24aに蓋24bを取付け、筐体25内に人孔蓋2、仕切弁3の本体部5、補修弁8及び弁吊り金具27を密封する。
【0043】
このように、分岐部1aに接続された仕切弁3(接続部材)の操作部6(張出部)よりも流体管1(流路構成部材)側を、補修弁8(開閉弁)に接続された置きコマ内装装置10(密封部材)の置きコマ12(密封コマ)により密封することで、仕切弁3の本体部5から外側方に張り出す操作部6を取外すことができ、仕切弁3の本体部5を内部容量の小さい筐体25により囲むことができるため、撤去に要する作業規模を肥大化することなく省力化して仕切弁3を不断流状態で撤去することができる。」
(オ)「【実施例2】
【0069】
次に、実施例2に係る接続部材の撤去方法につき、図18を参照して説明する。本実施例は、上記した分割部材21に替えて後述する分割部材71が構成されるものであり、その他の構成は実施例1と同様である。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。
【0070】
図18(a)に示されるように、本実施例の作業用ケースを構成する分割部材71は、分岐部1aのフランジ1b、人孔蓋2のフランジ2b及び短管部2cの一部にかけて外側方を囲むとともに、保持ボルト29を備えた筒体72と、周方向に分割される分割構造を有する筒状体であり筒体72の下端に接続される分割クランプ73と、同じく周方向の分割構造を有する環状体であり分割クランプ73の下端に接続される押輪74と、から構成されている。なお、特に図示しないが、筒体72の上端には上記した実施例1と同様に下部作業用ケース22が接続される。
【0071】
詳述すると、図18(b)に示されるように、分割クランプ73の上端部には、外周方向に突出して延びる比較的大径の鍔部73cが形成されている。また分割クランプ73の下端部には、外周方向に突出して延びる比較的小径の鍔部73aが形成されている。この鍔部73aの下面の外周部には、上下方向に連通する連通孔が周方向に所定間隔離間されて複数個形成されている。一方、鍔部73aの内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状の溝部73bが形成されている。この溝部73bには、断面が略円形状をなし分岐部1aの外周面に内接する略環状の弾性体からなるパッキン75が嵌め込まれている。尚、本実施例のパッキン75は、断面が略円形状であるが、例えば楕円形状若しくは略C字状、方形状に形成されてもよい。これにより、分岐部1aを囲って封止することができる。
【0072】
また、押輪74の外周部には、上下方向に連通する連通孔が、鍔部73aの連通孔に対応するように周方向に複数個形成されており、鍔部73aと押輪74とがボルトナット76により接続されるようになっている。また、この押輪74は、分岐部1aの周方向に略均等に2分割可能に構成されており、特に図示しないが、パッキンが分割部に介在されてボルトナットにより密封状に接合される。これにより、押輪74を分岐部1aの外周側から嵌め込むことができるので、押輪74の取り付け作業を容易にすることができる。
【0073】
そして、鍔部73aと押輪74とを接続するボルトナット76が締め付けられることで、押輪74の上面の内周部がパッキン75に密接し、パッキン75を溝部73bの内周面に押し込まれて、作業用ケースを構成する分割部材71と分岐部1aとがパッキン75を介して密接されるようになっている。
【0074】
また、分割クランプ73の鍔部73cの上面には、周方向に沿って複数の雌ネジ部73dが設けられ、該雌ネジ部73dに高さ調整ネジ77が螺挿されている。このようにすることで、高さ調整ネジ77を雌ネジ部73dに螺挿して適宜の高さ位置に調整できるため、この高さ調整ネジ77の上端を分岐部1aのフランジ1bの下端に当接させ、分割部材71を分岐部1aに対し高さ方向に位置決めできるばかりか、高さ調整ネジ77と保持ボルト29とで、フランジ1b,2bを挟持することができる。」
(カ)「【図8】
[図:0001418220000006.jpg]
」
(キ)「【図9】
[図:0001418220000007.jpg]
」
(ク)「【図18】
[図:0001418220000008.jpg]
」
イ 認定事項
(ア)【0070】及び図18の「筒体72」と「分割クランプ73」及び「押輪74」から構成される「分割部材71」は、【0041】及び【0042】及び図9における「分割部材21」に対応する部材と解される。
してみると、【0041】、【0042】、【0070】から、筐体25は、分割クランプ73と、分割クランプ73の上端に接続される筒体72と、筒体72の上端に接続される下部作業用ケース22と、下部作業用ケース22の上に作業弁装置23を組立て、作業弁装置23の上に上部作業用ケース24を組立て、下部作業用ケース22の上に作業弁装置23を組立て、作業弁装置23の上に上部作業用ケース24を組立て、分割部材71、下部作業用ケース22、作業弁装置23及び上部作業用ケース24により構成されるものといえる。
(イ)【0043】から、筐体25は、仕切弁3の本体部5を密封状態で囲むものといえる。
ウ 甲2発明
上記ア、イから、甲2には、以下の発明が記載されている(以下、「甲2発明」という。)。
(甲2発明)
「 既設流体管1の分岐部1aの外側方を囲む、周方向に分割される分割構造を有する筒状体である分割クランプ73と、分割クランプ73の上端に接続される筒体72と、筒体72の上端に接続される下部作業用ケース22と、下部作業用ケース22の上に作業弁装置23を組立て、作業弁装置23の上に上部作業用ケース24を組立て、分割部材71、下部作業用ケース22、作業弁装置23及び上部作業用ケース24により構成される筐体25を備え、接続部材としての仕切弁3の本体部5を筐体25により密封状態で囲むことで、仕切弁3を不断流状態で撤去する、接続部材の撤去に用いる装置であって、
分割クランプ73の下端部には、外周方向に突出して延びる比較的小径の鍔部73aが形成され、鍔部73aの内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状の溝部73bが形成され、この溝部73bには、分岐部1aの外周面に内接するパッキン75が嵌め込まれており、作業用ケースを構成する分割部材71の分割クランプ73と分岐部1aとがパッキン75を介して密接される、接続部材の撤去に用いる装置。」
(3)甲3について
甲3には、以下の事項が記載されている。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプの開口端部をシールする装置及び方法に関する。より詳細には、本発明は、パイプ壁の内側及び外側に設けられた把持手段を有する、パイプの端部をシールする装置及び方法に関する。パイプの端部がシールされると、本装置及び本方法は、パイプが試験目的等で加圧されることを可能にする。」
イ「【0022】
バックプレート14は、Oリング等のようなシール部材18を受け入れる、第1の端面すなわち近位端面13(すなわち、装置の使用時にパイプの開口部に対して面する、すなわち近位にある端部)における溝すなわち凹部16を有する。以下で更に論じられるように、シール部材18は、装置の使用時に、装置とパイプの内面との間に流体密シールを形成する役割を果たす。」
ウ「【図1】
[図:0001418220000009.jpg]
」
(4)甲4について
甲4には、以下の事項が記載されている。なお、翻訳文は、申立人が提出した翻訳文を採用した。
ア「
[図:0001418220000010.jpg]
」
(訳)「
[図:0001418220000011.jpg]
[図:0001418220000012.jpg]
[図:0001418220000013.jpg]
」
(5)甲5について
甲5には、以下の事項が記載されている。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は双口スピンドルの引き抜き工法に関し、特に上水道管、T字管に対してフランジ接合されている双口スピンドル(双口空気弁)を引き抜き、新規な空気弁と交換するための工法に関する。」
イ「【実施例1】
【0010】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図にあって1は双口スピンドルを示している。この双口スピンドル1は上水道管のT字管部分に下端を接続して設置されているもので、その接続管2の上面フランジ2aと本体の下面フランジ1aとは取付ボルト3、3‥によって締結連結されている。双口スピンドル1は左右に空気で上下するボールを収納する収納部を設け、中心部分には上水道管内の空気を外部へ排出もしくは吸入するための空気弁が備えられている。各ボール収納部と空気弁対応部分には各々上部フランジ4、4a、4aが設けられている。
【0011】
この双口スピンドル1を引き抜く作業として、まず、第一には、前記した上面フランジ2a及び下面フランジ1aの清掃をして浄化し、取付ボルト3、3‥を一本づつ交換し、抜け防止部材5を上面フランジ2aの周囲に、側方からネジ5a、5aで固定し取り付ける。この抜け防止部材5の外周にはガイドボルト6、6、挿通部6a、6aが設けられており、ガイドボルト6、6の下端部分が螺合固定される。
【0012】
また、上方へ延設されたガイドボルト6、6の一部には抜け止め支持部材7が螺合固定され、その抜け止め支持部材7の中央で双口スピンドル1の中央部分、すなわち、空気弁対応部分の上部を押圧部材8によって押圧圧縮し、既設の上部フランジ4、4a、4aの締着ボルト9、9‥及び9a、9aを一本づつ交換する。」
ウ「【図1】
[図:0001418220000014.jpg]
」
エ「【図2】
[図:0001418220000015.jpg]
」
オ「【図3】
[図:0001418220000016.jpg]
」
2.甲1発明を主引用例とした場合について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「既設流体管に連結された弁装置の管路部5」は、本件発明1の「既設の流路構成部材」に相当する。
甲1発明の「管路4をなす胴体部8」、「管路4の管軸線と異なる方向に突出」、「首部9」は、それぞれ本件発明1の「本管部」、「分岐される」、「分岐管部」又は「分岐管部の首部」に相当する。
甲1発明の「首部9の外周面に接触され首部9に固定される」ことは、本件発明1の「首部に固定される」ことに相当する。
甲1発明の「分割構造」、「ベースフランジ30」は、本件発明1の「分割構造」、「ベース部材」に相当する。
してみると、甲1発明の「既設流体管に連結された弁装置の管路部5の管路4をなす胴体部8に一体に形成され、管路4の管軸線と異なる方向に突出された首部9の外周面に接触され首部9に固定される分割構造のベースフランジ30」は、本件発明1の「既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定される分割構造のベース部材」に相当する。
甲1発明の「ベースフランジ30の上部に接続される作業弁装置部31と、作業弁装置部31の上部に接続される円筒部材32と、円筒部材32の上端部に接続される取付フランジ33」は、本件発明1の「ケース部材」に相当する。
そして、甲1発明の「ベースフランジ30の上部に接続される作業弁装置部31と、作業弁装置部31の上部に接続される円筒部材32と、円筒部材32の上端部に接続される取付フランジ33」は、「ベースフランジ30」とともに「作業用ケース25」を構成し、当該「作業用ケース25」により「仕切弁2の管路部5の一部及び弁本体部7を密封状に囲」うのであるから、「ベーフフランジ30」に「密封状」組み付けられているものといえる。
してみると、甲1発明の「ベースフランジ30の上部に接続される作業弁装置部31と、作業弁装置部31の上部に接続される円筒部材32と、円筒部材32の上端部に接続される取付フランジ33を備える作業用ケース25」は、本件発明1の「前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材と、を備える作業用ケース」に相当する。
甲1発明の「弁本体部7」は、本件発明1の「管接続部材」に相当する。
してみると、甲1発明の「首部9及び弁本体部7を密封状に囲」うことは、本件発明1の「分岐管部に取付けられた管接続部材を密封状に囲」うことに相当する。
甲1発明の「該作業用ケース25内で前記管路部5から前記弁本体部7を取り外して撤去する」ことと本件発明1の「該作業用ケース内で前記管接続部材を不断流状態で撤去する」こととは、「該作業用ケース内で前記管接続部材を撤去する」ことの限りにおいて一致する。
甲1発明の「弁体撤去装置」は、本件発明1の「管接続部材撤去装置」に相当する。
甲1発明の「内周面」、は、本件発明1の「内径側」に相当する。
甲1発明の「下端側」と本件発明1の「軸方向前記ケース部材側」とは、「軸方向一方側」の限りにおいて一致する。
甲1発明の「内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状」であることは、本件発明1の「軸方向一方側と内径側とに開放する」ことに相当する。
甲1発明の「丸ゴムパッキン39」は、本件発明1の「密封部」に相当する。
甲1発明の「周方向に延びる」「溝部38」は、「首部9の外周面に内接する丸ゴムパッキン39が嵌め込まれている」のであるから、本件発明1の「分岐管の首部の周囲を囲うように形成され」た「密封部用の切欠き凹部」に相当する。
そして、甲1発明の「小径鍔部37」は、「ベースフランジ30」の一部分であることを勘案すると、甲1発明の「ベースフランジ30に設けられた小径鍔部37の内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状の溝部38が形成され」ることと、本件発明1の「前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向前記ケース部材側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されて」いることとは、「前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向一方側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されて」いることの限りにおいて一致する。
甲1発明の「溝部38には、首部9の外周面に内接する丸ゴムパッキン39が嵌め込まれている」ことは、本件発明1の「前記切欠き凹部に前記密封部が設けられる」ことに相当する。
甲1発明の「パッキン」は、本件発明1の「密封リング」に相当する。
甲1発明の「小径鍔部37に設けられた溝部38よりも首部9の外径側」は、本件発明1の「切欠き凹部よりも分岐管の外径側」に相当する。
甲1発明の「作業弁装置部31」は、本件発明1の「ケース部材」に相当する関係であることを勘案すると、甲1発明の「パッキンを介して作業弁装置部31と接続され、ベースフランジ30と作業弁装置部31とを密封状に接続する」ことは、本件発明1の「前記ベース部材と前記ケース部材との間を密封する環状の密封リングが配設される」ことに相当する。
そして、甲1発明の「大径鍔部36」は、「ベースフランジ30」の一部分であることを勘案すると、甲1発明の「ベースフランジ30の大径鍔部36の上面は、小径鍔部37に設けられた溝部38よりも首部9の外径側においてパッキンが配置されて、パッキンを介して作業弁装置部31と接続され、ベースフランジ30と作業弁装置部31とを密封状に接続する」ことは、本件発明1の「前記切欠き凹部よりも前記分岐管部の外径側に、前記ベース部材と前記ケース部材との間を密封する環状の密封リングが配設される」ことに相当する。
以上のことから、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点1)
「 既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定される分割構造のベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材と、を備える作業用ケースにより前記分岐管部に取付けられた管接続部材を密封状に囲い、該作業用ケース内で前記管接続部材を撤去する管接続部材撤去装置であって、
前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向一方側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されており、前記切欠き凹部に前記密封部が設けられるとともに、前記切欠き凹部よりも前記分岐管部の外径側に、前記ベース部材と前記ケース部材との間を密封する環状の密封リングが配設される管接続部材撤去装置。」
(相違点1)
作業用ケース内における管接続部材の撤去に関して、本件発明1は、「不断流状態」で撤去するのに対して、甲1発明は、「不断流状態」か否か不明な点。
(相違点2)
切欠き凹部が開放される方向に関して、本件発明1は、「軸方向前記ケース部材側」であるのに対して、甲1発明は、「下端側」である点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
甲2~甲5のいずれにおいても、「管接続部材撤去装置」において、「既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定されるベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材」を備え、「前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向前記ケース部材側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部」を設けることは、なんら記載も示唆もされていない。
そして、本件発明1は、相違点2に係る発明特定事項を備えることで、特許明細書の段落【0008】等に記載の「作業用ケース側から切欠き凹部にアクセスしやすいので、密封処理を簡便に行うことができる」という顕著な効果を奏するものである。
ウ 申立人の主張について
申立人は、令和6年7月9日提出の意見書の3.(3)において、「・・・甲3発明には切欠き凹部が軸方向ベース部材側(バックプレート14の圧縮リング34の設けられる側(近位端面13))に形成される点が、甲4発明には切欠き凹部が軸方向ベース部材(着磁器ベース4)側に形成される点が記載されている。」、「ベース部材の内周面と分岐管部の首部の外周面との間は、密封部が当該内周面と当該外周面とに密着することにより密封される。したがって、密封部の設けられる切欠き凹部が、ベース部材の軸方向ケース部材側に形成されていても、軸方向本管部側に形成されていても、密封部の機能に差異はない。」と主張する。
しかしながら、甲3は、パイプの開口端部をシールする装置であって、分岐管部の首部に作業用ケース部材を配置する際に、分岐管部の首部と作業用ケース部材のベース部材との間をシールするものではない。
また、甲4は、磁化器ベース4と磁化器カバー6との間にシールリング5を配置して密封する構造であるが、そもそも分岐管部の首部と作業用ケース部材のベース部材との間をシールするものではない。
よって、甲3又は甲4は、いずれも甲1発明と関連する技術分野に属するとはいえないものであって、当業者であっても、甲3または甲4に記載された事項から、本件発明1の相違点2に係る発明特定事項を容易に想到することは、困難であったといわざるを得ない。
さらに、本件発明1は、相違点2に係る発明特定事項を備えることで、「作業用ケース側から切欠き凹部にアクセスしやすいので、密封処理を簡便に行うことができる」という顕著な効果を奏するものであるから、「密封部の設けられる切欠き凹部が、ベース部材の軸方向ケース部材側に形成されていても、軸方向本管部側に形成されていても、密封部の機能に差異はない。」とする申立人の主張は、的を射ないものであるといわざるを得ない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明ではないから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当しない。
また、相違点1について論じるまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。
(2)本件発明3~7について
本件発明3~6は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであって、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明ではないことが明らかであり、本件発明3~7は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
3.甲2発明を主引用例とした場合について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「既設流体管1」、「分岐部1a」、「分岐管1aの外側部」、「分割構造」、「分割クランプ73」は、本件発明1の「既設の流路構成部材の本管部」、「分岐管部」、「首部」、「分割構造」、「ベース部材」に相当する。
してみると、甲2発明の「既設流体管1の分岐部1aの外側方を囲む、周方向に分割される分割構造を有する筒状体である分割クランプ73」は、本件発明1の「既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定される分割構造のベース部材」に相当する。
甲2発明の「筒体72」、「下部作業用ケース22」、「作業弁装置23」、「上部作業用ケース24」、「筐体25」は、本件発明1の「ケース部材」、「作業用ケース」に相当する。
そして、甲2発明の「分割クランプ73と、分割クランプ73の上端に接続される筒体72と、筒体72の上端に接続される下部作業用ケース22と、下部作業用ケース22の上に作業弁装置23を組立て、作業弁装置23の上に上部作業用ケース24を組立て、分割部材71、下部作業用ケース22、作業弁装置23及び上部作業用ケース24により構成される筐体25は、本件発明1の「ベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材と、を備える作業用ケース」に相当する。
甲2発明の「接続部材としての仕切弁3の本体部5」、「密封状態」、「不断流状態」は、本件発明1の「管接続部材」、「密封状」、「不断流状態」に相当する。
してみると、甲2発明の「接続部材としての仕切弁3の本体部5を筐体25により密封状態で囲むことで、仕切弁3を不断流状態で撤去する」ことは、本件発明1の「前記分岐管部に取付けられた管接続部材を密封状に囲い、該作業用ケース内で前記管接続部材を不断流状態で撤去する」ことに相当する。
甲2発明の「接続部材の撤去に用いる装置」は、本件発明1の「管接続部材撤去装置」に相当する。
甲2発明の「内周面」は、本件発明1の「内径側」に相当する。
甲2発明の「下端側」と本件発明1の「軸方向前記ケース部材側」とは、「軸方向一方側」の限りにおいて一致する。
甲2発明の「内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状」であることは、本件発明1の「軸方向一方側と内径側とに開放する」ことに相当する。
甲2発明の「パッキン75」は、本件発明1の「密封部」に相当する。
甲2発明の「周方向に延びる」「溝部73b」は、「分岐部1aの外周面に内接するパッキン75が嵌め込まれて」おり、「作業用ケースを構成する分割部材71の分割クランプ73と分岐部1aとがパッキン75を介して密接され」ているのであるから、本件発明1の「分岐管の首部の周囲を囲うように形成され」た「密封部用の切欠き凹部」に相当する。
そして、甲2発明の「比較的小径の鍔部73a」は、「分割クランプ73」の一部分であることを勘案すると、甲2発明の「分割クランプ73の下端部には、外周方向に突出して延びる比較的小径の鍔部73aが形成され、鍔部73aの内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状の溝部73bが形成され」ることと、本件発明1の「前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向前記ケース部材側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されて」いることとは、「前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向一方側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されて」いることの限りにおいて一致する。
甲2発明の「この溝部73bには、分岐部1aの外周面に内接するパッキン75が嵌め込まれて」いることは、本件発明1の「前記切欠き凹部に前記密封部が設けられる」ことに相当する。
してみると、甲2発明と本件発明1とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点2)
「 既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定される分割構造のベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材と、を備える作業用ケースにより前記分岐管部に取付けられた管接続部材を密封状に囲い、該作業用ケース内で前記管接続部材を不断流状態で撤去する管接続部材撤去装置であって、
前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向一方側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部が前記分岐管部の首部の周囲を囲うように形成されており、前記切欠き凹部に前記密封部が設けられる管接続部材撤去装置。」
(相違点3)
本件発明1は、「前記切欠き凹部よりも前記分岐管部の外径側に、前記ベース部材と前記ケース部材との間を密封する環状の密封リングが配設される」のに対して、甲2発明は、そのような構成がない点。
(相違点4)
切欠き凹部が開放される方向に関して、本件発明1は、「軸方向前記ケース部材側」であるのに対して、甲2発明は、「下端側」である点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点4について検討する。
甲1、甲3~甲5のいずれにおいても、「管接続部材撤去装置」において、「既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定されるベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材」を備え、「前記ベース部材に、前記分岐管部の軸方向前記ケース部材側と内径側とに開放する密封部用の切欠き凹部」を設けることは、なんら記載も示唆もされていない。
そして、本件発明1は、相違点4に係る発明特定事項を備えることで、特許明細書の段落【0008】等に記載の「作業用ケース側から切欠き凹部にアクセスしやすいので、密封処理を簡便に行うことができる」という顕著な効果を奏するものである。
ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲1、甲3~5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。
(2)本件発明3~7について
本件発明3~7は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであって、上記相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲2発明及び甲1、甲3~5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
4.まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1、3~6は、特許法第29条第1項第3号の発明に該当するものではなく、本件発明1、3~7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。
第6 取消理由通知で採用しなかった異議申立の理由について
1.甲1方法発明を主引用例とした場合について
(1)甲1方法発明
第5の1.(1)ア及びイを参酌すると、甲1には、以下の方法の発明(以下、「甲1方法発明」という。)が記載されている。
(甲1方法発明)
「 既設流体管に連結された弁装置の管路部5の管路4をなす胴体部8に一体に形成され、管路4の管軸線と異なる方向に突出された首部9の外周面に接触され首部9に固定される分割構造のベースフランジ30と、ベースフランジ30の上部に接続される作業弁装置部31と、作業弁装置部31の上部に接続される円筒部材32と、円筒部材32の上端部に接続される取付フランジ33を備える作業用ケース25により、首部9及び弁本体部7を密封状に囲い、該作業用ケース25内で前記管路部5から前記弁本体部7を取り外して撤去する弁体撤去方法であって、
分割片により構成されたベースフランジ30を管路部5の首部9の外周面に接触部34が接触するように設置した状態で、ベースフランジ30に設けられた小径鍔部37の内周面に形成された下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝部38に、首部9の外周面に内接する丸ゴムパッキン39が嵌め込まれているとともに、
ベースフランジ30の大径鍔部36の上面は、小径鍔部37に設けられた溝部38よりも首部9の外径側においてパッキンが配置されて、ベースフランジ30と作業弁装置部31とを密封状に接続する、弁体撤去方法。」
(2)本件発明8について
ア 対比
第5の2.(1)アを参酌すると、本件発明8と甲1方法発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点3)
「 既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定される分割構造のベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材と、を備える作業用ケースにより前記分岐管部に取付けられた管接続部材を密封状に囲い、該作業用ケース内で前記管接続部材を撤去する管接続部材撤去方法であって、
分割された前記ベース部材を前記分岐管部の首部を囲うように設置した状態で軸方向一方側から前記ベース部材の内周面と前記分岐管部の首部の外周面との間を密封するとともに、該密封する箇所よりも前記分岐管部の外径側にて前記ベース部材と前記ケース部材との間を密封する密封処理を行う管接続部材撤去方法。」
(相違点5)
作業用ケース内における管接続部材の撤去に関して、本件発明8は、「不断流状態」で撤去するのに対して、甲1方法発明は、「不断流状態」か否か不明な点。
(相違点6)
密封する方向に関して、本件発明8は、「前記作業用ケース側」から密封するのに対して、甲1方法発明は、「下端側」から密封する点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点6について検討する。
甲2~甲5のいずれにおいても、「管接続部材撤去方法」において、「既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定されるベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材」を備え、「分割された前記ベース部材を前記分岐管部の首部を囲うように設置した状態で前記作業用ケース部材側から前記ベース部材の内周面と前記分岐管部の首部の外周面との間を密封する」ことは、なんら記載も示唆もされていない。
そして、本件発明8は、相違点6に係る発明特定事項を備えることで、特許明細書の段落【0008】等に記載の「作業用ケース側から切欠き凹部にアクセスしやすいので、密封処理を簡便に行うことができる」という顕著な効果を奏するものである。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明8は、甲1方法発明ではないから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当しない。
また、相違点5について論じるまでもなく、本件発明8は、甲1方法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。
2.甲2方法発明を主引用例とした場合について
(1)甲2方法発明
第5の1.(2)ア及びイを参酌すると、甲2には、以下の方法の発明(以下、「甲2方法発明」という。)が記載されている。
(甲2方法発明)
「 既設流体管1の分岐部1aの外側方を囲む、周方向に分割される分割構造を有する筒状体である分割クランプ73と、分割クランプ73の上端に接続される筒体72と、筒体72の上端に接続される下部作業用ケース22と、下部作業用ケース22の上に作業弁装置23を組立て、作業弁装置23の上に上部作業用ケース24を組立て、分割部材71、下部作業用ケース22、作業弁装置23及び上部作業用ケース24により構成される筐体25を備え、接続部材としての仕切弁3の本体部5を筐体25により密封状態で囲むことで、仕切弁3を不断流状態で撤去する、接続部材の撤去方法であって、
分割クランプ73を流体管1の分岐部1aを囲うように設置した状態で、分割クランプ73に設けられた小径の鍔部73aの内周面に形成された下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状の溝部73bに、分岐部1aの外周面に内接するパッキン75が嵌め込まれている、接続部材の撤去方法。」
(2)本件発明8について
ア 対比
第5の3.(1)アを参酌すると、本件発明8と甲2方法発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点4)
「 既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定される分割構造のベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材と、を備える作業用ケースにより前記分岐管部に取付けられた管接続部材を密封状に囲い、該作業用ケース内で前記管接続部材を不断流状態で撤去する管接続部材撤去方法であって、
分割された前記ベース部材を前記分岐管部の首部を囲うように設置した状態で、前記軸方向一方側から前記ベース部材の内周面と前記分岐管部の首部の外周面との間を密封する、管接続部材撤去方法。」
(相違点7)
本件発明8は、「該密封する箇所よりも前記分岐管部の外径側にて前記ベース部材と前記ケース部材との間を密封する密封処理を行う」のに対して、甲2方法発明は、そのような構成がない点。
(相違点8)
密封する方法に関して、本件発明8は、「前記作業用ケース側」から密封するのに対して、甲2方法発明は、「下端側」から密封する点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点8について検討する。
甲1、甲3~甲5のいずれにおいても、「管接続部材撤去方法」において、「既設の流路構成部材の本管部から一体に分岐される分岐管部の首部に固定されるベース部材と、前記ベース部材に密封状に組み付けられるケース部材」を備え、「分割された前記ベース部材を前記分岐管部の首部を囲うように設置した状態で前記作業用ケース部材側から前記ベース部材の内周面と前記分岐管部の首部の外周面との間を密封する」ことは、なんら記載も示唆もされていない。
そして、本件発明8は、相違点8に係る発明特定事項を備えることで、特許明細書の段落【0008】等に記載の「作業用ケース側から切欠き凹部にアクセスしやすいので、密封処理を簡便に行うことができる」という顕著な効果を奏するものである。
ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点7について検討するまでもなく、本件発明8は、甲2方法発明及び甲1、甲3~5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。
第7 まとめ
したがって、請求項1、3~8に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。また、他に請求項1、3~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項2に係る特許は、上記のとおり、本件訂正により削除された。これにより申立人による特許異議の申立てについて、請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701179