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特許異議申立

2024-700218

制流体の設置装置の組立方法

審判番号
2024-700218
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-157107
登録番号
7343558
請求日
2024年03月07日
審決日
2024年06月28日
公報発行日
2024年08月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】コスモ工機株式会社
  • 【権利者代理人】重信 和男
  • 【権利者代理人】石川 好文
  • 【権利者代理人】秋庭 英樹
  • 【権利者代理人】林 道広
  • 【異議申立人】西内 大生
審判長/審判官
  • 審判長 平城 俊雅
  • 審判官 中屋 裕一郎
  • 審判官 尾崎 和寛
分類
P1651.121-Y (F16L) / P1651.537-Y (F16L) / P1651.55 -Y (F16L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7343558号発明「制流体の設置装置の組立方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7343558号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7343558号の請求項1~3に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成29年10月13日に出願した特願2017-199698号の一部を令和3年9月27日に新たな特許出願としたものであって、令和5年9月4日にその特許権の設定登録がされ、令和5年9月12日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年3月7日に特許異議申立人 西内 大生(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 特許第7343558号の請求項1~3に係る特許に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明3」といい、総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、該作業弁に取付けられ、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え、前記流体管の流路を制御する、弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する制流体の設置装置の組立方法であって、 前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記筐体周辺の重量を支持する支持手段として、前記筐体の管軸方向の両側それぞれの下方位置にコンクリート基礎を設け、前記コンクリート基礎によって、前記筐体の両側部それぞれの外面から該筐体の両側部それぞれの開口及び管軸方向に延びる前記流体管の周面にわたって支持し、前記切断機により前記筐体内の前記流体管を切断した後、前記筐体内に前記制流体を設置するものであり、 前記切断機、若しくは前記制流体の少なくともいずれかは、複数の分割体から構成されており、前記筐体及び前記作業弁を介して前記コンクリート基礎で支持された係止部に、前記複数の分割体のうち第1の分割体を係止し、前記係止部に係止された前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てることを特徴とする制流体の設置装置の組立方法。 【請求項2】 前記切断機、及び前記制流体のいずれもが、前記複数の分割体から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制流体の設置装置の組立方法。 【請求項3】 前記切断機は、前記複数の分割体として前記カッタと前記駆動部とから構成されており、前記駆動部は、前記制流体を前記筐体内に挿入可能に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の制流体の設置装置の組立方法。 第3 特許異議申立理由の概要 申立人が主張する特許異議申立理由は、概略、以下のとおりである。 1 申立理由1(進歩性) 本件発明1~3は、下記の甲第1号証記載の発明及び甲第2号証ないし甲第6号証記載の技術的事項に基いて、又は甲第2号証記載の発明及び甲第4号証ないし甲第6号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきでものある。 (証拠方法) 甲第1号証:特開2016-125525号公報 甲第2号証:特開2010-196762号公報 甲第3号証:特開2010-214490号公報 甲第4号証:特開2006-132715号公報 甲第5号証:特開2008-196638号公報 甲第6号証:特開2003-329189号公報 (以下、甲第1号証~甲第6号証をそれぞれ「甲1」~「甲6」という。) 2 申立理由2(明確性) 本件発明1~3は、以下の点で、特許請求の範囲が明確でなく、本件特許の請求項1~3に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきでものある。 ・請求項1に記載の「弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」は、管内流体が存在しない空間とはどの箇所を指しているのか明確でない。 ・請求項1に記載の「前記筐体及び前記作業弁を介して前記コンクリート基礎で支持された係止部」は、係止部の具体的構造及び設置位置が明確でない。 3 申立理由3(新規事項の追加) 本件特許1~3は、次の点で、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから、本件特許の請求項1~3に係る特許は、同法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである。 ・令和5年3年30日に提出した手続補正書でした補正(以下、「本件補正」という。)により補正された請求項1の特徴部分「弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」(下線は、補正箇所。)は、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に、構成及び作用機能ついて開示も示唆もされておらず、当業者であっても当初明細書等から自明な事項でなく、新規事項の追加である。 第4 甲各号証の記載 1 甲1 甲1には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、流体管に装着された外箱の内部にカッターなどの作業具を導入するための作業具導入方法及び作業具導入装置に関する。」 「【0014】 また、本発明に係る作業具導入装置は、流体管に装着される外箱と、前記外箱に仕切弁を介して接続される収容箱と、前記収容箱に装着され、前記収容箱の外方と内方との間で変位可能なスライドパイプと、前記スライドパイプに挿入される継足し軸と、前記収容箱に収容された状態で、前記スライドパイプに挿入された前記継足し軸に接続される作業具と、前記スライドパイプを前記継足し軸と共に前記収容箱内に挿入した状態で前記収容箱の外方に装着され、前記継足し軸に接続される軸を有する導入機と、を備え、前記収容箱に装着した前記導入機の軸を進出させて前記収容箱内の前記スライドパイプに挿入することにより、前記継足し軸が前記スライドパイプから突出するように構成されたものである。」 「【0018】 【図1】 本発明に係る作業具導入装置の一例を示す縦断面図 【図2】 図1におけるX部の拡大図 【図3】 スライドパイプを継足し軸と共に収容箱内に挿入した状態を示す縦断面図 【図4】 収容箱の外方に穿孔機を装着した状態を示す縦断面図 【図5】 継足し軸の後端部の周辺を示す拡大図 【図6】 カッターを外箱内に導入して水道管の周壁を切削する状態を示す縦断面図 【図7】 水平方向に沿って作業具を導入する場合の好ましい実施形態を示す縦断面図 【図8】 図7におけるY部の拡大図 【0019】 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、作業具としてのカッターを外箱内に導入して、既設の水道管の下側の周壁を切削する不断水切削の例を示す。かかる施工では、上側の周壁を切削する場合に比べてカッターの送り量が多くなるため、導入機である穿孔機のストローク不足が問題となりやすい。 【0020】 図1では、既設の水道管K(流体管の一例)に外箱1が装着されている。水道管Kの上側の周壁は、図9で例示したような事前の不断水切削により既に切削されている。外箱1は複数の分割体からなり、既設の水道管Kに対して外嵌可能に構成されている。これらの分割体は、ボルトとナットなどの締結具によって連結され、または溶接によって一体化される。外箱1には仕切弁2を介して収容箱3が接続され、それらの内部には仕切弁2によって仕切られた密封空間が形成されている。外箱1の内部は、穿孔H1を通じて水道管Kから流出した水で充満している。外箱1の下方には図示しない別の管が接続され、その流路は不図示の仕切弁により閉塞されている。 【0021】 作業具であるカッター4は、水道管Kの下側の周壁を切削するために準備されたものであり、前工程で上側の周壁を切削したカッターとは別物である。カッター4は、穿孔H1を容易に通過できるように、その外径が穿孔H1の直径よりも少し小さく設定されている。継足し軸5は、後述する導入機としての穿孔機7のストローク不足を補う部材であり、その継足し軸5の先端にはカッター4が接続されている。継足し軸5は、シリンダに挿入されるピストンロッドのように、スライドパイプ6に挿入されている。」 「【0024】 作業具導入方法としては、まず、図1のように、継足し軸5が挿入されたスライドパイプ6を収容箱3の外方に装着し、その継足し軸5に接続されたカッター4を収容した収容箱3を、水道管Kに装着された外箱1に仕切弁2を介して接続する(第1の工程に相当)。カッター4は、弁体21よりも上方に配置され、仕切弁2には干渉しない。続いて、仕切弁2を開き、外箱1と収容箱3とを連通させる。これにより収容箱3の内部にも水が流れ込むが、収容箱3とスライドパイプ6との間、及び、継足し軸5とスライドパイプ6との間は、それぞれ密封されているので漏水しない。 【0025】 次に、図3に示すように、スライドパイプ6を継足し軸5と共に収容箱3内に挿入する(第2の工程に相当)。このとき、カッター4、継足し軸5及びスライドパイプ6の自重を利用して自動的に挿入してもよいが、水圧が大きい場合にはレバーホイストなどの牽引具の使用が好ましい。レバーホイストを利用する場合には、スライドパイプ6(のリブ65)と収容箱3とをチェーンで連結して水圧による反力を受け止めながら、そのチェーンをレバー操作により巻き取ることで挿入が円滑に行われる。スライドパイプ6のフランジ63が収容箱3のフランジ33に当接したら挿入を終了し、そのフランジ同士をボルトとナットからなる締結具などで接続してスライドパイプ6を収容箱3に固定する。 【0026】 次に、図4に示すように収容箱3の外方に導入機である穿孔機7を装着し、その穿孔機7の軸70を継足し軸5に接続する(第3の工程に相当)。この例では、穿孔機7のフランジ71をスライドパイプ6のフランジ64に接続することで、穿孔機7を収容箱3に装着している。図5(a)は、図4の要部拡大図に相当し、軸70を継足し軸5に接続する前の状態を示している。図5(b)では、軸70を少し進出させて継足し軸5の後端に当接させ、それらをボルトなどの留め具72によって固着している。軸70と継足し軸5との接続を補強するため、バンドなどの補強部材を更に取り付けても構わない。 【0027】 次に、図6に示すように、穿孔機7の軸70を進出させて収容箱3内のスライドパイプ6に挿入し、継足し軸5をスライドパイプ6から突出させてカッター4を外箱1内に導入する(第4の工程に相当)。カッター4は、穿孔機7が備える不図示の駆動手段により回転しながら下降し、外箱1内に導入されることで水道管Kの周壁を切削し、これにより穿孔H2が形成される。切削が完了したら、軸70を後退させて図4の位置までカッター4を上昇させる。切り取られた切削片Pは、カッター4のセンタードリル41で引っ掛けて回収される。 【0028】 このように、作業具であるカッター4を外箱1内に導入するに際して、導入機である穿孔機7は収容箱3に装着されたままの状態であり、クレーンで吊り上げた穿孔機の昇降動作を伴わない。それでいて、スライドパイプ6から継足し軸5を突出させることにより、穿孔機7のストローク不足を補うことができる。その結果、安全性を容易に確保できる、カッター4の位置ずれが抑えられる、上方の障害物を回避して実施しやすい、といった点で有益である。 【0029】 本実施形態では、図6のように、継足し軸5をスライドパイプ6から突出させたときに、スライドパイプ6の先端部に設けた軸受61により継足し軸5が支持される。これにより、突出させた継足し軸5が安定し、カッター4を精度良く外箱1内に導入することができる。また、継足し軸5をスライドパイプ6内に戻すときに、継足し軸5を的確に収められるとともに、軸受61のシール材62(図2参照)が脱落するなどの不具合を生じにくい。継足し軸5が常に軸受61で支持されることにより、安全性は大幅に向上する。本実施形態では軸70が継足し軸5よりも小径であるため、かかる構成が特に有用である。 【0030】 本実施形態の装置は、スライドパイプ6に対する継足し軸5の軸方向の移動を規制する規制部材8を備える。これを利用して、第1の工程(図1参照)と第2の工程(図3参照)では、スライドパイプ6に対する継足し軸5の軸方向の移動を規制している。図5(a)で拡大して示すように、規制部材8は、継足し軸5の後端部の側面に着脱自在に取り付けられ、継足し軸5の後端部がフランジ63と係合し得るように外周側に張り出している。規制部材8は、C字状の割りリングにより構成されているが、継足し軸5の移動を規制できるものであれば、これに限られない。 【0031】 そして、第3の工程では、図5(b)のように穿孔機7の軸70を継足し軸5に接続した後、図5(c)のようにその規制を解除してから、第4の工程(図6参照)に移行する。この規制の解除は、継足し軸5の後端部から規制部材8を取り外すことにより行われる。このように継足し軸5の移動を一時的に規制することで、継足し軸5がスライドパイプ6から不意に脱落する事態を防ぎ、カッター4を外箱1内に円滑に導入することができる。 【0032】 フランジ63とフランジ64との間には、作業者が手を入れて作業することができる隙間が形成されている。したがって、規制部材8や留め具72の着脱作業は、その隙間を介して行うことができる。そのような隙間が設けられるように、リブ65は、軸周りにおいて断続的に設けられ、例えば軸周りにおける4~8箇所に等間隔で配置されている。 【0033】 水道管Kの周壁を切削した後(即ち、カッター4を外箱1内に導入した後)は、上記と逆の手順で作業が行われる。具体的には、軸70を後退させてカッター4を上昇させた後、継足し軸5の移動を規制するために規制部材8を装着し、軸70と継足し軸5との接続を解除する(図4参照)。次いで、穿孔機7を収容箱3から取り外し(図3参照)、スライドパイプ6を継足し軸5と共に収容箱3内から抜去したうえで仕切弁2を閉じる(図1参照)。不図示の排水口を介して収容箱3を水抜きした後、仕切弁2と収容箱3との接続を解除してカッター4などを撤去する。」 「【0037】 本実施形態では、作業具としてカッター4を使用し、導入機として穿孔機7を使用する不断水切削の例を示したが、これに限られるものではなく、工事の目的に応じて、これらとは別種の部材や機具を作業具または導入機として使用できる。例えば、不断水状態(不断流状態)において、作業具としての切換弁を外箱内に導入して流路内に設置したり、作業具としての蓋体を外箱内に導入して仮止水したりしてもよい。また、上記の穿孔機7はカッター4を回転させる駆動手段を備えていたが、作業具の回転を必要としない場合は、そのような駆動手段を備えない導入機を使用しても構わない。」 「 [図:0001413359000001.jpg] 」 「 [図:0001413359000002.jpg] 」 上記記載から、甲1には次の技術的事項が記載されていると認められる。 ア 段落【0001】、【0014】及び【0021】の記載から作業具導入装置は、“流体管に装着された外箱の内部にカッターを導入する”作業具導入装置であり、その作業具導入装置は、外箱1、仕切弁2,収容箱3、カッタ4、穿孔機7を備えている。また、甲1には、その“作業具導入装置の組立方法”も記載されているといえる。 イ 段落【0020】の記載から、外箱1は、“水道管Kに装着され、内部に密封空間を形成する外箱1”であるといえる。 図1、図3から、“外箱1の上部開口に取り付けた仕切り弁2”が看て取れる。「続いて、仕切弁2を開き、外箱1と収容箱3とを連通させる。」との記載(段落【0024】参照)、「次いで、穿孔機7を収容箱3から取り外し(図3参照)、スライドパイプ6を継足し軸5と共に収容箱3内から抜去したうえで仕切弁2を閉じる(図1参照)。」との記載(段落【0033】参照)から、仕切り弁2は“外箱1の内部を開閉可能”なものといえる。 ウ 段落【0024】の記載及び図1から、カッター4が“収容箱3に収納され”、その収納箱3が“仕切弁2に接続され”ているといえる。また、カッター4に関して、「作業具であるカッター4は、水道管Kの下側の周壁を切削するために準備されたものであり、前工程で上側の周壁を切削したカッターとは別物である。」(段落【0021】参照)との記載及び「カッター4は、・・・(中略)・・・回転しながら下降し、外箱1内に導入されることで水道管Kの周壁を切削し、これにより穿孔H2が形成される。」(段落【0027】参照)との記載があるところ、図4及び図6から、“カッター4”が“外箱1の内部”で“水道管Kの左右両側の周壁を残して水道管Kの下側の周壁を切削し、穿孔H2を形成する”点が看て取れる。 穿孔機7は、“収容箱3の外方に装着”されるものであり(段落【0026】参照)、“駆動手段”を備えている(段落【0027】参照)。 そして、“カッター4”と“穿孔機7”とで“水道管Kに穿孔を形成するための装置全体”(以下、「穿孔装置全体」という。)を構成しているといえる。 エ 甲1記載の方法は、“水道管Kに対して密閉空間を形成するように外箱1を装着し”(段落【0020】参照)、その後で、“カッター4を穿孔機7が備える駆動手段により回転しながら下降し、水道管Kの周壁を切削し、穿孔H2が形成する”(段落【0027】参照)ものである。 オ 「本実施形態の装置は、スライドパイプ6に対する継足し軸5の軸方向の移動を規制する規制部材8を備える。これを利用して、第1の工程(図1参照)と第2の工程(図3参照)では、スライドパイプ6に対する継足し軸5の軸方向の移動を規制している。図5(a)で拡大して示すように、規制部材8は、継足し軸5の後端部の側面に着脱自在に取り付けられ、継足し軸5の後端部がフランジ63と係合し得るように外周側に張り出している。」(段落【0030】参照)との記載及び「そして、第3の工程では、図5(b)のように穿孔機7の軸70を継足し軸5に接続した後、図5(c)のようにその規制を解除してから、第4の工程(図6参照)に移行する。」(段落【0031】参照)との記載から、甲1記載の方法は、“規制部材8によってスライドパイプ6に対するカッター4の継足し軸5の軸方向の移動を規制し、この規制部材8によって軸方向の移動が規制されたカッター4の継足し軸5に対して穿孔機7の軸70を接続する”ものといえる。 そして、「作業具導入方法としては、まず、図1のように、継足し軸5が挿入されたスライドパイプ6を収容箱3の外方に装着し、その継足し軸5に接続されたカッター4を収容した収容箱3を、水道管Kに装着された外箱1に仕切弁2を介して接続する(第1の工程に相当)。」(段落【0024】参照)の記載、「スライドパイプ6のフランジ63が収容箱3のフランジ33に当接したら挿入を終了し、そのフランジ同士をボルトとナットからなる締結具などで接続してスライドパイプ6を収容箱3に固定する。」(段落【0025】参照)との記載及び図3から、規制部材8によって軸方向の移動が規制されたカッター4の継足し軸5に対して、穿孔機7の軸70を接続するときには、“収容箱3が外箱1に対して仕切弁2を介して接続され、スライドパイプ6が収容箱3に固定された状態”にあるといえる。 さらに、「図5(a)で拡大して示すように、規制部材8は、継足し軸5の後端部の側面に着脱自在に取り付けられ、継足し軸5の後端部がフランジ63と係合し得るように外周側に張り出している」(段落【0030】参照)との記載及び図5(a)から、規制部材8は“スライドパイプ6のフランジ63と係合した規制部材8”といえる。 以上を総合すると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲1発明] 水道管Kに対して装着され、密閉空間を形成する外箱1と、外箱1の上部開口に取り付けられ、外箱1の内部を開閉可能な仕切弁2と、仕切弁2に接続された収容箱3に収容されたカッター4であって、外箱1の内部で、水道管Kの左右両側の周壁を残して水道管Kの下側の周壁を切削し、穿孔H2を形成するカッター4、及び収納箱3に装着され駆動手段を備えた穿孔機7で構成される穿孔装置全体を備える、水道管Kに装着された外箱1の内部にカッター4を導入する作業機導入装置の組立方法であって、 水道管Kに対して密閉空間を形成するように外箱1を装着した後、カッター4を穿孔機7が備える駆動手段により回転しながら下降させ、水道管Kの左右両側の周壁を残して水道管Kの下側の周壁を切削し、穿孔H2を形成するものであり、 収容箱3が外箱1に対して仕切弁2を介して接続され、スライドパイプ6が収容箱3に固定された状態で、スライドパイプ6のフランジ63と係合した規制部材8によってスライドパイプ6に対するカッター4の継足し軸5の軸方向の移動を規制し、この規制部材8によって軸方向の移動が規制されたカッター4の継足し軸5に対して穿孔機7の軸70を接続する、作業機導入装置の組立方法。 2 甲2 甲2には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。 「【技術分野】 【0002】 本発明は、分割構造を有するとともに開閉可能な開口部を備え、既設流体管を水密に囲繞する筐体と、筐体と開状態の開口部を介し水密に連通する収容部と、筐体内で既設流体管の所定箇所を切除し、開口部を介し収容部内に収容される管切除手段と、管切除手段に着脱可能に接続され、管切除手段を移動可能に収容部外方まで延びたロッドと、収容部から開口部を介し筐体内に挿入され、既設流体管を切除した箇所に設置される制水体と、から少なくとも構成され、不断流状態で制水体を設置する制水体設置装置及び制水体設置方法に関する。」 「【0005】 本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ロッドを有する管切除手段の取出し作業の煩わしさを解消する制水体設置装置及び制水体設置方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 前記課題を解決するために、本発明の制水体設置装置は、 分割構造を有するとともに開閉可能な開口部を備え、既設流体管を水密に囲繞する筐体と、 前記筐体と開状態の前記開口部を介し水密に連通する収容部と、 前記筐体内で前記既設流体管の所定箇所を切除し、前記開口部を介し前記収容部内に収容される管切除手段と、 前記管切除手段に着脱可能に接続され、該管切除手段を移動可能に前記収容部外方まで延びたロッドと、 前記収容部から開口部を介し筐体内に挿入され、既設流体管を切除した箇所に設置される制水体と、 から少なくとも構成され、不断流状態で制水体を設置する制水体設置装置であって、 前記収容部内に、少なくとも前記管切除手段を配置可能な配置部が設けられており、 前記ロッドは、前記管切除手段が前記配置部に配置された状態で、該管切除手段から取外されるようになっていることを特徴としている。 この特徴によれば、管切除手段が、筐体内の所定箇所を切除し、ロッドにより収容部内に移動した後に、収容部内に設けられた配置部に配置できることで、管切除手段を配置部に配置した状態で、ロッドを管切除手段から取外すことができるため、収容部外方まで延びた長尺のロッドが接続された状態の管切除手段を、収容部から回収する煩雑さを解消できる。」 「【0015】 一般に、地中に埋設され内部を上水が流れる既設流体管において、水の流れを制御するために既設流体管の所定箇所を切除して該所定箇所に緊急用の制水体が不断水状態で配置される。このような制水体は、例えば地震等の緊急時に、自動で制水体の遮断状態に制御される遮断装置を備えている。本実施例は、不断水状態で配置した制水体に遮断装置を取付けるまでの一連の工程から成る制水体設置方法及び該制水体設置方法を行う制水体設置装置について説明する。 【0016】 図1の符号Pは、土壌に埋設され内部を流れる流体が上水である既設流体管であって、先ず、既設流体管Pの清掃後、既設流体管Pを、H鋼及びコンクリートによる固定部材101,101にて補強及び固定する。 【0017】 次いで、既設流体管Pの切除箇所である切除部Kの上流側及び下流側における既設流体管Pの外周に、制水体としての制水弁42の端部42c,42d及び既設流体管Pの切断部Z,Z(図18参照)に水密に架設される継輪としての2つ割リング構造の移動割継輪R,Rを周方向に沿って夫々取付ける。この移動割継輪R,Rは、内周面にパッキンが配設されており、後述のように制水弁42が切除部Kに設置された後、制水弁42と既設流体管Pとに水密に架設されるようになっている(図20参照)。 【0018】 尚、後述する油圧移動手段にて移動割継輪R,Rを既設流体管Pの管軸方向に潤滑に移動させるために、パッキン及び既設流体管Pの外周面に予め滑剤を塗布しておく。」 「【0021】 次いで、筐体2を用いて既設流体管Pを水密に囲繞する筐体囲繞工程を行う(図5及び図19参照)。ここで、筐体2の構造について説明すると、図5に示されるように、筐体2は、分割構造であって、主に、2分割構造の上部ケース2d及び下部ケース2eと、内部に弁体2bを備えた開閉弁2aと、から構成されている。 【0022】 図5に示されるように、上部ケース2dは、下部ケース2eとにより既設流体管Pをその外周面に沿って囲繞するものであり、図2に示されるように、下部ケース2eには、ジャッキ75により支持され、下部ケース2eの図示前後方向に突出する支持部材Wが形成されている。」 「【0024】 図5に示されるように、開閉弁2aは、内部に弁体2bを備え、上部ケース2dの上部に取外可能に設けられており、この開閉弁2aが、本発明の開閉可能な開口部を構成している。 【0025】 更に、図8に示されるように、開閉弁2aの上部には、筐体2と開状態の開閉弁2aを介し水密に連通する収容部としての作業筒11及び蓋部12が取外し可能に設けられる(図18参照)。蓋部12には、作業筒11内の空気を抜く空気抜きコック120,120が備えられている。 【0026】 作業筒11には、制水弁42及び管切除装置1を仮置きするための後述の仮受台55,55と、作業筒11内に残留する上水を排水する排水用コック110,110と、が図示左右に複数設けられている。 【0027】 更に、作業筒11内側面には、管切除手段としての管切除装置1及び制水体42を後述の仮受台55,55の配置部56に案内する案内部13,13が、仮受台55,55が設けられている箇所を除いて上部及び下部に架けて図示左右にそれぞれ設けられている。 【0028】 次に、筐体囲繞工程について説明すると、図2に示されるように、先ず、既設流体管Pを水密に囲繞する筐体2の下部ケース2e内に、筐体2内で既設流体管Pの切除部Kを切除する管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4b(図6参照)を支持した状態で、懸吊手段102にて下部ケース2e及び下ガイド4bを既設流体管Pの図示下側における外周面を囲繞するように配置し、複数のジャッキ75で下部ケース2eの支持部材Wを支持する。 【0029】 具体的には、ジャッキ75の先端凸部75aが、支持部材Wに形成された挿通孔に挿通して下部ケース2eを支持するとともに、下部ケース2eの上下位置が既設流体管Pの管軸に対し略平行となるように夫々のジャッキ75を調整し、下部ケース2eが位置決めされるようになっている。」 「【0034】 ここで、管切除装置1の構造について説明すると、図6及び図7に示されるように、管切除装置1は、主に切除ユニット3、ガイド部4、及び駆動部5から成り、既設流体管Pの外側に水密的に密封された筐体2内において、ガイド部4を構成する2分割構造の上ガイド4a及び下ガイド4bが、既設流体管Pの外周面に固定保持される(図5参照)。 【0035】 尚、上ガイド4a及び下ガイド4bの周方向に沿って設けられた複数のボルト28が、内径方向に螺挿され既設流体管Pの外周面に当接することにより、上ガイド4a及び下ガイド4bが既設流体管Pに対し位置決めして固定されるようになっている。また、上ガイド4a及び下ガイド4bには、前述した作業筒11の仮受台55に支持される後述の係合部としての取付部材29が着脱可能に設けられている。 【0036】 ガイド部4の上部には、後述の駆動モータ6と、駆動モータ6が取付けられるロッドとしての駆動長軸106と、駆動長軸106が着脱可能に連結される伸縮継手部107と、伸縮継手部107に固定に連結される駆動軸7’と、駆動軸7’の先端部に設けられた歯車7a’と噛合する歯車7aを有する駆動軸7と、駆動モータ6により駆動長軸106、伸縮継手部107、及び駆動軸7’を介して駆動力が付与される駆動軸7の両端に設けられた一対の駆動スプロケット8と、から成る駆動部5が連結されており、駆動モータ6は筐体2外部に突出して駆動部5に取外し可能に配設されるようになっている(図5参照)。 【0037】 ガイド部4の両端部には、上下2分割構造の上部スプロケット9a及び下部スプロケット9bから成り、既設流体管Pの外周方向に回転自在な一対の従動スプロケット9が配設されている。 【0038】 一対の従動スプロケット9は、図7に示されるように、上部の一対の駆動スプロケット8と巻回された無端チェーン10を介してそれぞれ接続されている。前述した駆動モータ6を作動することで駆動軸7’,7を介して駆動スプロケット8が駆動され、この駆動により回転力が従動スプロケット9に付与され、従動スプロケット9が既設流体管Pの外周を周回する。 【0039】 また、一対の従動スプロケット9の外面には、切除ユニット3が等間隔に4箇所ずつ固着配設され、従動スプロケット9の回転とともに既設流体管Pの外周を回転可能となり、切除ユニット3に設けられた切削バイト19により既設流体管Pを外周回りに切除できるようになっている。」 「【0046】 次に、管切除装置の配置について説明すると、図4に示されるように、駆動部5の一部構成部材と、ガイド部4の上ガイド4aと、を下ガイド4bに取付け、かつ上ガイド4a及び下ガイド4bに設けられたボルト28(図6参照)を螺入してガイド部4を既設流体管Pに固定する。 【0047】 そして、既設流体管Pの図示上側を囲繞するように筐体2の上部ケース2dを下部ケース2eの上部に取付け、両ケース2d,2eを既設流体管Pに固定する。そして、前述したパッキン69,69と、押輪Q,Qと、ゴム輪68,68を上部ケース2d及び下部ケース2eの側方開口部に夫々取付け、側方開口部を密封する。図5に示されるように、前述と同様に、図示上側の移動割継輪Rの取付座Rcに移動部材64を取付ける。 【0048】 次いで、開閉弁2aを上部ケース2dの上部に取付ける。そして、筐体2内、すなわち上部ケース2d、下部ケース2e、及び開閉弁2a内に水を張り所定の水圧をかけ、筐体2内の水圧テストを行う。水圧テストの後、筐体2内の水を排水し、開閉弁2aの上部に作業筒11を取付け、更に作業筒11の上部に蓋部12を取付ける。そして、駆動長軸106を、その上端側が作業筒11の外方に延びて露出し、かつ筐体2の内部は密封状態になるように蓋部12を貫通して、伸縮継手部107に取付けるとともに、この駆動長軸106の上端にモータ台108を取付け、かつこのモータ台108を蓋部12に取付ける。 【0049】 管切除工程について説明すると、図5の状態において、懸吊手段102により懸吊された駆動モータ6をモータ台108に連結し、駆動モータ6を作動させて駆動長軸106を介し駆動トルクを伸縮継手部107に伝達することで、切除ユニット3に設けられた切削バイト19(図6参照)が既設流体管Pの外周面を切削しながら回動することになる。切除部Kにおいて、2箇所の切断面で既設流体管Pが切断され、すなわち切断面間の管片P1が既設流体管Pから分断されることになる。 【0050】 既設流体管Pの切断が終了した後に、管切除装置1を管片P1とともに引上げる。先ずモータ台108に連結された駆動モータ6を外した後に、管切除装置1と下部ケース2eとの固定を解除し、ガイド部4(図6参照)に取付けられた取付部材29が仮受台55の配置部56よりも高い位置になるまで管切除装置1を引上げる工程、すなわち、駆動長軸106を用い、管切除装置1を筐体2と開状態の開閉弁2aを介し作業筒11内に収容する収容工程を行う(図8参照)。」 「【0061】 次に、収容工程について説明する。図8及び図9に示されるように、既設流体管Pの切断が終了した後に管切除装置1を引上げる際において、配置部56は、取付部57及び筒部53に収容されている位置、すなわち管切除装置1との移動による干渉を回避する回避位置に配置されており、既設流体管Pの切断が終了した後に懸吊手段102により駆動長軸106を介して管切除装置1を引上げることで、取付部材29,29の溝部29c,29cに案内部13,13が嵌合され、すなわち管切除装置1が案内部13,13により案内され、取付部材29が仮受台55,55の配置部56,56よりも若干高い位置になるまで管切除装置1を引上げる。 【0062】 次いで、管切除装置1を配置部56に配置する配置工程を行う。図14に示されるように、仮受台55,55の移動操作部材58,58を操作することで配置部56,56を、作業筒11の内方に向かって、管切除装置1を配置する配置位置に移動させる。 【0063】 そして、引上げた管切除装置1を、案内部13,13により案内して下降させ、この配置部56,56の平坦面56d,56dに取付部材29,29の底面部29b,29bを載置することにより、管切除装置1を配置部56,56に配置する。つまり、取付部材29,29の底面部29b,29bが、配置部56,56の平坦面56d,56dに係合することにより、管切除装置1が仮受台55,55に仮置される。そして、開閉弁2aを閉状態にする。」 「【0068】 尚、管切除装置1を引上げるまでは開閉弁2aを開状態にしているため、上水により作業筒11内が浸水されており、この閉状態にした後に、作業筒11に残留する上水を排水用コック110から排水する。 【0069】 排水用コック110からの排水後、駆動長軸106を、管切除装置1が配置部56,56に配置された状態で、該管切除装置1の伸縮継手部107から取外し、駆動長軸106と管切除装置1とを、個別に作業筒11から回収する回収工程を行う。 【0070】 次いで、蓋部12を作業筒11から取外し、管切除装置1を引上げることで管切除装置1とともに管片P1を外方に取出す。そして、作業筒11を取外し、開閉弁2aの上部に図示しない吸引具が嵌挿されたスイーパ蓋を取付けて、開閉弁2aを開状態とし、切除部Kの切除面付近に既設流体管Pの切除の際に発生した切粉を吸引具から吸引して外部に排出する。切粉の排出後、吸引具を引上げるとともに、開閉弁2aを閉状態として前記スイーパ蓋を開閉弁2aから取外し、開閉弁2aの上部に作業筒11を取付ける。 【0071】 この作業筒11の取付け後、制水弁42を切除部Kに配置する制水体設置工程を行う。ここで、制水弁42の構造について説明すると、図15、図16、及び図18に示されるように、制水弁42は、内部に弁体43を備えた弁筐体42a、及び該弁体43に接続され弁筐体42aの外方に突出した弁軸部43bを有しており、開閉弁2aを介して筐体2内に挿入され、切除部Kに配置される。」 「【0075】 次に、制水弁42を仮受台55,55に配置する工程について説明すると、図15及び図16において、先ず、仮受台55,55の移動操作部材58,58を操作することで配置部56を、配置位置に移動させる。 【0076】 そして、制水弁42を、案内部13,13により案内して下降させ、この配置部56,56の平坦面56d,56dに支持ユニット103,103の凹状部103a,103aの底面部を載置することにより、制水弁42を配置部56,56に配置する。つまり、凹状部103a,103aの底面部が、配置部56,56の平坦面56d,56dに係合することにより、制水弁42を仮受台55,55に仮置される。」 「【0080】 次いで、図18に示されるように、弁軸部43bの図示上部に、連結具42bを設け、この連結具42bにボルト・ナットVにて作業筒11外方まで延びた挿入ロッド109を取外し可能に連結する。 【0081】 そして、懸吊手段102にて制水弁42を懸吊した状態で、仮受台55,55の移動操作部材58,58を操作することで内方に移動した配置部56,56を回避位置に移動する。そして、図19に示されるように、開閉弁2aを開状態にし、制水弁42を下降して既設流体管Pの管軸と略同軸の位置に配置する。 【0082】 このように、配置部56,56を、制水弁42を配置するときに配置位置に移動でき、制水弁42を移動するときに回避位置に移動できるため、制水体42を、作業筒11外方まで延設された長尺の挿入ロッド109を接続した状態で、作業筒11内に挿入する煩雑さを解消できる。 【0083】 制水弁42を下降した後に、制水弁42の端部42c,42d及び既設流体管Pの切断部Z,Zに移動割継輪R,Rを架設する継輪架設工程を行う。作動油を供給する油圧ユニット63と油圧ジャッキ65のシリンダ65b間に油圧ホースHを連結し、油圧ユニット63を操作して、作動油をシリンダ65b内に供給することで、移動割継輪R,Rを、移動割継輪R,RのフランジRb,Rbが制水弁42の接続フランジ部41,41と当接するまで切除部Kに向かって(図示白抜矢印参照)移動させる。これにより、図20に示されるように、移動割継輪R,Rが制水弁42の端部42c,42d及び既設流体管Pの切断部Z,Zに架設される。 【0084】 継輪架設工程が終了した後に、筐体2内、すなわち上部ケース2d、下部ケース2e、及び開閉弁2a内の水を排水する。そして、ボルト・ナットVを取外すことで挿入ロッド109を、連結具42bとの連結を解除して筐体2の外部に懸吊手段102にて引抜き、蓋部12、作業筒11、及び開閉弁2aを取外す。そして、移動割継輪R,RのフランジRb,Rbと制水弁42の接続フランジ部41,41とを夫々図示しないボルトにより締結し、上部ケース2d、上部ケース2d側に設けられた取付座Rc、上部ケース2dに設けられた油圧移動手段を構成する部材等の各種部材を取外す。」 「図2 [図:0001413359000003.jpg] 」 「 [図:0001413359000004.jpg] 」 「 [図:0001413359000005.jpg] 」 「 [図:0001413359000006.jpg] 」 上記記載から、甲2には次の技術的事項が記載されていると認められる。 ア 段落【0006】の記載から、制水体設置装置は、筺体と、管切除手段と、制水体をと備えているといえる。また、甲2には、その“制水体設置装置の組立方法”が記載されているといえる。 イ 段落【0021】の記載及び図5から、筺体は、“既設流体管Pを水密に囲繞する上部ケース2d及び下部ケース2e”と“開閉弁2a”を有しているといえる。段落【0048】の記載から、“開閉弁2a”は、“上部ケース2dの上部に設けられる”といえ、上部ケース2dの上部は、管切除装置1や制水弁42が通れるようになっているのであるから“開口を有する上部”といえる。また、段落【0050】、【0063】及び【0068】の記載から、開閉弁2aは、“上部ケース2d及び下部ケース2eの内部を開閉可能”なものといえる。 ウ 管切除手段として“管切除装置1”がある(段落【0027】参照)。「筐体2内で既設流体管Pの切除部Kを切除する」(段落【0028】参照)との記載から、管切除装置1は、“上部ケース2d及び下部ケース2e内で既設流体管Pを切除する”ものといえる。段落【0034】、【0046】の記載及び図4から、管切除装置1は、“ガイド部4によって既設流体管Pに固定される”ものといえる。 そして、管切除装置1は、その駆動長軸106に対して取り付けられた“駆動モータ6”で駆動されるところ(段落【0036】参照)、“管切除装置1及びその管切除装置1の駆動長軸106に取り付けられる駆動モータ6”とで、“既設流体管Pを切除するための装置全体”(以下、「管切除装置全体」という。)を構成しているということができる。 エ 制水体である“制水弁42”は、“既設流体管Pにおいて水の流れを制御する”(段落【0015】参照)ものである。制水弁42は、“弁体43”、“弁筐体42a”、及び“弁軸部43b”から構成されている(段落【0042】参照)。 段落【0039】の記載、及び図18から看て取れる切断部Z,Zの形状から、切断部Z,Zは“既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Z”ということができる。そして、「移動割継輪R,Rが制水弁42の端部42c,42d及び既設流体管Pの切断部Z,Zに架設される」(段落【0083】参照)のであるから、制水弁42は、“既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Zに接続される”ものといえる。 オ 段落【0028】の記載、及び図2から、甲2記載の方法は、“管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4bを支持した状態で懸吊手段102にて下部ケース2eを既設流体管Pの下側外周面を囲繞するように配置する工程”を含んでいるといえる。また甲2記載の方法は、段落【0046】の記載及び図4から、“ガイド部4の上ガイド4aを下ガイド4bに取り付ける工程”を含んでいるといえる。そして、甲2記載の方法は、“懸吊手段102により懸吊された駆動モータ6をモータ台108に連結する工程”(段落【0049】参照)を含んでいるといえる。 さらに、甲2記載の方法は、“制水弁42を作業筒11内で降下させて仮受台55・55に仮置きする工程”(段落【0076】参照)を含んでおり、この工程は、“開閉弁2aを閉状態としてスイーパ蓋を開閉弁2aから取外し、開閉弁2aに作業筒11を取付けた後”(段落【0070】参照。)に行われるものといえる。 カ 段落【0028】の記載から、甲2記載の方法は“下部ケース2eを既設流体管Pの下側における外周面を囲繞するように配置し、複数のジャッキ75で下部ケース2e支持する”工程を含んでいる。また、甲2記載の方法は、“管切除装置1で上部ケース2d及び下部ケース2e内の既設流体管Pを切断する工程”(段落【0049】参照)も含んでいる。 キ 段落【0081】の記載と併せて図19を見れば、甲2記載の方法は、“制水弁42を上部ケース2d及び下部ケース2eの内部で既設流体管Pの管軸と略同軸の位置に配置する”ものといえる。また、段落【0015】の「本実施例は、不断水状態で配置した制水体に遮断装置を取付けるまでの一連の工程から成る制水体設置方法及び該制水体設置方法を行う制水体設置装置」との記載にかんがみれば、この制水弁42の上部ケース2d及び下部ケース2eの内部への配置は、“不断水状態”で行われるものとえる。そして、この制水弁42の上部ケース2d及び下部ケース2eの内部への配置は、上記 カ の二つの工程(ジャッキ75で支持する工程、規制流体管を切断する工程)の後に行われるものである。 ク 段落【0046】及び図4、段落【0049】及び図5、並びに段落【0036】から、管切除装置全体は、“管切除装置1を既設流体管Pに固定した状態で、管切除装置1の駆動長軸106に対して駆動モータ6を取り付ける”という方法により組み立てられるといえる。 なお、申立人は、異議申立書第18行下から2~3行目において、甲2発明が「H 仮受台(55)に係止された弁筐体(42a)、弁軸部(43b)、連結具(42b)の結合物に、残りの第2分割体となる挿入ロッド(109)を組み立てる」ものであると主張している。しかし、「挿入ロッド(109)」は懸吊手段102にて制水弁42を懸吊するために取り外し可能に接続されるものに過ぎず(段落【0080】~【0084】参照)、「制水体42」を構成する部分であるとは認められないから、この主張は採用し得ない。 以上を総合すると、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲2発明] 既設流体管Pを水密に囲繞する上部ケース2d及び下部ケース2eと、上部ケース2dの開口を有する上部に設けられる開閉弁2aであって、上部ケース2d及び下部ケース2eの内部を開閉可能な開閉弁2aと、ガイド部4によって既設流体管Pに固定され、上部ケース2d及び下部ケース2e内で既設流体管Pを切除する管切除装置1及びその管切除装置1の駆動長軸106に取り付けられる駆動モータ6で構成される管切除装置全体を備え、既設流体管Pにおいて水の流れを制御する制水弁42であって、弁体43、弁筐体42a及び弁軸部43bから構成され、既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Zに接続される制水弁42を備えた、制水体設置装置の組立方法であって、 管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4bを支持した状態で懸吊手段102にて下部ケース2eを既設流体管Pの下側外周面を囲繞するように配置する工程、ガイド部4の上ガイド4aを下ガイド4bに取り付ける工程、懸吊手段102により懸吊された駆動モータ6をモータ台108に連結する工程、開閉弁2aを閉状態としてスイーパ蓋を開閉弁2aから取外し、開閉弁2aの作業筒11を取付けた後、制水弁42を作業筒11内で降下させて仮受台55,55に仮置きする工程を含み、 下部ケース2eを既設流体管Pの下側における外周面を囲繞するように配置し、複数のジャッキ75で下部ケース2eを支持する工程と、管切除装置1で上部ケース2d及び下部ケース2e内の既設流体管Pを切除する工程の後に、不断水状態で、制水弁42を上部ケース2d及び下部ケース2eの内部で既設流体管Pの管軸と略同軸の位置に配置するものであり、 管切除装置全体は、管切除装置1をガイド部4によって既設流体管Pに固定した状態で、管切除装置1の駆動長軸106に対して駆動モータ6を取り付ける、制水体設置装置の組立方法。 また、甲2には、「制水弁42」について、次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲2記載の技術的事項] 既設流体管Pにおいて水の流れを制御する制水弁42であって、弁体43、弁筐体42a、及び弁軸部43bから構成され、既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Zに接続される制水弁42。 3 甲3 甲3には、図面とともに次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、分割構造を有するとともに開閉可能な開口部を備え既設流体管を水密に囲繞する筐体内で、既設流体管の所定箇所を切断する管切断装置に関する。」 「【0014】 一般に、地中に埋設され内部を上水が流れる既設流体管において、水の流れを制御するために既設流体管の所定箇所を切断して該所定箇所に緊急用の制水体が不断水状態で配置される。このような制水体は、例えば地震等の緊急時に、自動で制水体の遮断状態に制御される遮断装置を備えている。本実施例は、不断水状態で配置した制水体に遮断装置を取付けるまでの一連の工程について説明する。」 「【0041】 また、一対の従動スプロケット9の外面には、切断ユニット3が等間隔に4箇所ずつ固着配設され、従動スプロケット9の回転とともに既設流体管Pの外周を回転可能となり、切断ユニット3に設けられた切削バイト19により既設流体管Pを外周回りに切断できるようになっている。つまり、切断ユニット3は、従動スプロケット9を介してガイド部4に取付けられるようになっている。」 「【0084】 この作業筒11の取付け後、制水弁42を切除部Kに配置する制水体設置工程を行う。ここ.で、制水弁42の構造について説明すると、図13に示されるように、制水弁42は、内部に弁体43を備えた弁筐体42a、及び該弁体43に接続され弁筐体42aの外方に突出した弁軸部43bを有しており、開閉弁2aを介して筐体2内に挿入され、切除部Kに配置される。」 「【0091】 制水弁42を下降した後に、制水弁42の端部42c,42d及び既設流体管Pの切断部Z,Zに移動割継輪R,Rを架設する継輪架設工程を行う。作動油を供給する油圧ユニット63と油圧ジャッキ65のシリンダ65b間に油圧ホースHを連結し、油圧ユニット63を操作して、作動油をシリンダ65b内に供給することで、移動割継輪R,Rを、移動割継輪R,RのフランジRb,Rbが制水弁42の接続フランジ部41,41と当接するまで切除部Kに向かって(図示白抜矢印参照)移動させる。これにより、図15に示されるように、移動割継輪R,Rが制水弁42の端部42c,42d及び既設流体管Pの切断部Z,Zに架設される。」 上記記載及び図面から、甲3には次の技術的事項が記載されていると認められる。 ・制水体である“制水弁42”は、“既設流体管Pにおいて水の流れを制御する”(段落【0014】参照)ものである。段落【0084】の記載から、制水弁42は、“弁体43”、“弁筐体42a”及び“弁軸部43b”から構成されているといえる。 ・段落【0041】の記載及び、図13において看て取れる切断部Z,Zの形状から、切断部Z,Zは“既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Z”ということができ、「移動割継輪R,Rが制水弁42の端部42c,42d及び既設流体管Pの切断部Z,Zに架設される」(段落【0091】参照)のであるから、この制水弁42は、“既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Zに接続される”ものといえる。 以上を総合すると、甲3には次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲3記載の技術的事項] 既設流体管Pにおいて水の流れを制御する制水弁42であって、弁体43、弁筐体42a、及び弁軸部43bから構成され、既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Zに接続される制水弁42。 4 甲4 甲4には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。 なお、本件発明1の「コンクリート基礎」に関連する箇所の摘記は省略する。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、水道管等の既設管に弁箱を装着し、この弁箱にて密封された既設管の一部を切断除去したのち、弁箱の弁体挿入口から両切断残置管部の切断端面間を通して、管内流路を遮断する弁体を挿設してある既設管の弁設置設備及びそれに用いられる弁体の改良に関する。」 「【0025】 前記弁箱Aは、図1~図5に示すように、既設水道管1の切断除去予定管部1A及びそれの両側に連続する弁箱装着用の切断残置予定管部1Bに対して密封状態で下方から覆う上向き開口の下部ケース6と、切断除去予定管部1A及び切断残置予定管部1Bに対して密封状態で上方から覆う下向き開口の上部ケース7とを主要構成として備えていて、両ケース6,7は、既設水道管1の管軸芯Xを通る仮想水平面上の分割合わせ面において既設水道管1への装着時に溶接で一体化されるように構成されているとともに、上部ケース7の上端側には、切断装置Eのホールソー4及び弁体2を上下方向から出し入れ可能な弁体挿入口8及び連結フランジ部7Aを備えた長円筒状の連結筒状部7Bが一体形成されている。」 「【0028】 図13~図17に示すように、一体化された両ケース6,7の内壁面のうち、管軸芯Xに対して直行する横断方向で相対向する側壁内面6a,7aには、弁体2の弁体部2Bの両側辺面に設けられた第1弾性シール材2Dが密封状態に圧接される第1弁座19Aが内方側に隆起形成されているとともに、上部ケース7の連結筒状部7Bの弁挿入方向に沿う内周壁面7bには、弁体2の蓋部2Aの外周面に設けた第2弾性シール材2Eが密封状態に圧接される第2弁座19Bが、第1弁座19Aに連続する状態で内方側に隆起形成され、更に、下部ケース6の筒状底壁部6Cの弁挿入方向に沿う内周壁面6bには、弁体部2Bの弁挿入方向他端部である下端に対してT字状に一体形成された鍔部2Cの外周面に設けた第3弾性シール材2Fが密封状態に圧接される第3弁座19Cが、第1弁座19Aに連続する状態で形成され、前記第1弁座19Aと第2弁座19B及び第3弁座19Cとをもって、弁体2に対する弁座19が構成されている。」 「【0031】 前記弁体2は、図14に示すように、管軸芯方向視において正方形に近い縦長長方形状で、かつ、上辺長さが下辺長さよりも少し大となる逆ハの字状のテーパー状に形成された弁体部2Bと、この弁体部2Bの上辺長さを長径方向長さとする楕円形状の蓋部2Aと、弁体部2Bの下辺長さを長径方向長さとする楕円形状の鍔部2Cとを横断方向視において略Iの字状に一体形成するとともに、鍔部2Cの管軸芯X方向での突出代が、蓋部2Aの管軸芯X方向での突出代よりも小で、かつ、両切断残置管部1Bの切断端面1bに触れない状態で挿入可能な大きさ、つまり、両切断残置管部1Bの切断端面1b間での最小切断幅(最小対向間隔)W1よりも小に構成されている。」 「【0045】 また、図15、図16に示すように、前記昇降保持装置Gの昇降筒軸35の下端部には、弁体2の蓋部2Aに対して吊下げ可能な状態で固定連結される連結部46が設けられているとともに、前記弁体2に組み付けられている補助弁体3の表裏両面の各々は既設水道管1の管軸芯X側が最も突出する湾曲面に構成されている。」 「【0065】 次に、図15に示すように、下部作業ケース25の上側連結フランジ部25Bから切断装置Eを備えた穿孔作業蓋26を取り外したのち、昇降保持装置Gの昇降筒軸35を蓋カバー36に貫通させ、この昇降筒軸35の連結部46と弁体2とを固定連結するとともに、蓋カバー36の連結フランジ部36Aに、上部作業ケース33の上側連結フランジ部33Bを密封状態でボルト27・ナット28にて固定連結したのち、この組み物をクレーン等の吊り上げ手段で吊り上げ、上部作業ケース33の下部連結フランジ部33Aを下部作業ケース25の上側連結フランジ部25Bに密封状態でボルト27・ナット28にて固定連結する。 【0066】 作業用開閉弁Bを開き操作し、作業用ハウジングCの蓋カバー36に対して昇降保持装置Gの昇降筒軸35をクレーン等の吊り上げ手段で下降させ、弁体2を作業用開閉弁B及び弁箱Aの弁体挿入口8を通して両切断残置管部1Bの切断端面1bに触れない状態で所定の弁体装着位置にまで挿入したのち、蓋カバー36の上面と昇降筒軸35の上端部との間に、昇降筒軸35を下方に引き下げ移動させる油圧式加圧具53を設け、この油圧式加圧具53により昇降筒軸35を介して弁体2の第1~第3弾性シール材2D,2E,2Fを弁箱Aの弁座19を構成する第1~第3弁座19A,19B,19Cに圧接させ、既設水道管1の切断除去箇所において流路を遮断する。 【0067】 図16、図17に示すように、上部ケース7の連結筒状部7Bの周方向複数箇所に螺合装着されている押えボルト21を径方向内方側に締め付け操作すると、各押えボルト21の先端側に形成されているテーパー状押圧面21aが、弁体2の蓋部2Aの上側角部に形成されたテーパー面2aに対して水平方向から当接し、弁体2の第1~第3弾性シール材2D,2E,2Fが弁箱Aの第1~第3弁座19A,19B,19Cに圧接された密封状態で抜止め固定される。」 「 [図:0001413359000007.jpg] [図:0001413359000008.jpg] 」 上記記載から、甲4には次の技術的事項が記載されていると認められる。 ・段落【0025】の記載から、“弁箱A”は、“既設水道管1を密封状態で覆うように既設水道管1の装着された弁箱A”であるといえる。 ・段落【0031】の記載から、“弁体2”は、“弁体部2Bと蓋部2Aと楕円形状の鍔部2Cとにより横断方向視において略Iの字状に一体形成”されているといえる。また、段落【0045】から、弁体2には、“補助弁体3が組み付けられている”といえる。 ・段落【0028】の記載から、弁体2は、“弁体部2Bの両側辺面に設けられた第1弾性シール材2D、蓋部2Aの外周面に設けた第2弾性シール材2E、及び鍔部2Cの外周面に設けた第3弾性シール材2Fをそれぞれ有する”といえ、段落【0066】及び【0067】から、“第1~第3弾性シール材2D、2E、2Fを弁箱Aの第1~第3弁座19A、19B、19Cに圧接させることにより、既設水道管1の切断除去箇所において流路を遮断する”ものであるといえる。 以上を総合すると、甲4には次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲4記載の技術的事項] 既設水道管1を密封状態で覆うように既設水道管1の装着された弁箱Aに配置される弁体2であって、 弁体部2Bと蓋部2Aと鍔部2Cとにより、横断方向視において略Iの字状に一体形成され、補助弁体3が組み付けられており、弁体部2Bの両側辺面に設けられた第1弾性シール材2D2、蓋部2Aの外周面に設けた第2弾性シール材2E、及び鍔部2Cの外周面に設けた第3弾性シール材2Fをそれぞれ有し、 第1~第3弾性シール材2D、2E、2Fを弁箱Aの第1~第3弁座19A、19B、19Cに圧接させることにより、既設水道管1の切断除去箇所において流路を遮断する弁体2。 5 甲5 甲5には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。 なお、本件発明1の「コンクリート基礎」に関連する箇所の摘記は省略する。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、既設流体管の一部を筐体で囲繞して、この筐体内における既設流体管の切除箇所を不断水状態で切除し、少なくとも仕切壁から形成される制水体を切除箇所に設置して、この制水体により流路を遮断若しくは流路を形成する既設流体管の不断水制水体設置装置に関する。」 「【0017】 次に、図2に示されるように、既設流体管1の切断箇所Cを囲繞するように、内空構造であって上下分割構造を有する筐体10を既設流体管の周方向に沿って取付ける。筐体10の上部は、上端が開口した直方形状の筒状体であって、下部は、上端が筐体10の前記上部の下端と連続して接続されるとともに、下端は既設流体管1の外周より大径の円弧状の底面を有する。 【0018】 また、筐体10は、既設流体管1の外周に図示しないパッキンを介して水密的に接続されている。筐体10の上端は、上方に開口している。また、筐体10の下端部には脚部13、13が下方に延び、この脚部13、13により筐体10をコンクリート3に支持している。」 「【0029】 次に、図3に示されるように、既設流体管1の切除の後に、筐体10の上部に筒体14を接続する。筒体14は上下両方に開口しており、筒体14の内側面には、筐体10の内側面に形成された膨出段部10a及び膨出段部10aの両側部に突設されたガイド10e、10eに連続するように、膨出段部14a及びガイド14e、14eが上下方向に沿って突設されている。」 「【0032】 図7に示されるように、本実施例の制水体20は、上下方向に延びる仕切壁21と、仕切壁21の上端に連続して水平方向に延びる上蓋22と、から主として構成され、更に仕切壁21には開口21aが形成されており、この開口21aを開閉可能とする止水板24が、ブラケット23を介して、仕切壁21の流路上流側を向く面に取付けられている。仕切壁21は、筐体10の内部及び筐体10に接続した筒体14の内部を、流路上流側と流路下流側とに仕切り、上蓋22は、筒体14の上端を密封可能に形成されている。 【0033】 図7(a)~(c)に示されるように、仕切壁21について、より具体的には、仕切り壁21の側周面に沿って形成された凹部にシール部材30が設けられている。また、仕切壁21の上下方向中央より下部寄りに、既設流体管1と略同径の円形状の開口21aが形成されており、更に、仕切壁21の流路上流側の面に、開口21aを開閉可能に上下動する止水板24が取付けられている。止水板24は、上蓋22に形成された挿通孔22aに上下方向に挿通されたネジ杆26の下部に螺合されており、上蓋22の上方でネジ杆26の上部に螺合された操作ハンドル28(図5、図6参照)の回動操作により、止水板24はガイド25に沿って上下動して開口21aを開閉する。すなわち、止水板24を上方動作することで開口21aを開状態とし、下方動作することで開口21aを閉状態とする。 【0034】 図7(c)に示されるように、上蓋22は、側断面視下方に開口する略コ字形状に形成されるとともに、外側面に沿って形成された凹部にシール部材29が設けられている。また、ネジ杆26の周囲を水密に被覆する被覆部27が、上蓋22の上面から立設されている(図5参照)。 【0035】 図4及び図5に示されるように、上記した構成の制水体20は、吊上げ機(図示略)により、筒体14の上方に開口した開口部14bから下降して、筒体14内部、そして筐体10内部を吊り降ろされる。制水体20は、ガイド14e、10eに沿って下方に降ろされ、上蓋22の下面が筒体14の内周面に沿って設けられた膨出部14cと当接するとともに、シール部材30が設けられた側周面が膨出段部10a、10bと当接して筐体10内に載置される。シール部材30により、仕切壁21の側周面と筐体10内面とは水密に当接し、同様に、シール部材29により、上蓋20の外側面と筒体14内面とは水密に当接している。制水体20の設置後、筒体14の上面に蓋部19を固定に設置する。 【0036】 仕切壁21が筐体10内に載置された状態において、開口21aは、上述のように既設流体管1と略同径であって、開口中心が略管軸上に位置するように形成されている。このようにすることで、既設流体管1と開口21aとで菅路断面を略一致させているため、既設流体管1内の流体を、開口21aの通過の際に渦若しくは乱流の発生を抑止し、また流体抵抗を押さえて通過させることが出来る。 【0037】 また、上述のように、仕切壁21に流体を流通可能な開口21aが形成されるとともに、この開口21aを開閉可能な止水板24が仕切壁21の流路上流側に設けられており、仕切壁21は、筐体10内部の管軸方向中央よりも流路下流側に設置されている。このようにすることで、流路上流側から流路下流側に向かって働く既設流体管1内の流体の圧力を利用して、流路上流側に設けた止水板24を流路下流側の仕切壁21に向けて押圧することで、開口21aを水密に閉塞できる。また、仕切壁21を筐体10内部の管軸方向中央よりも流路下流側に設置することで、仕切壁21の流路上流側に設けた止水板24を管軸方向中央側に配置できるため、止水板24を筐体10の内側面と当接若しくは摺接させることなく開閉動作出来る。」 「 [図:0001413359000009.jpg] [図:0001413359000010.jpg] 」 上記記載から、甲5には次の技術的事項が記載されていると認められる。 ・段落【0017】及び【0018】の記載から、“筐体10”は“既設流体管1の切断箇所Cを囲繞するように該既設流体管1の外周に水密的に接続されている”といえる。 ・段落【0032】の記載から、“制水体20”は、“仕切壁21と上蓋22とから主として構成され、仕切壁21の開口21aを開閉可能とする止水板24が取付けられ”ているといえる。 ・段落【0033】及び【0034】の記載から、制水体20は、“切り壁21の側周面に沿って形成された凹部にシール部材30が設けられ”、“上蓋22の外側面に沿って形成された凹部にシール部材29が設けられ”ているといえる。 ・段落【0035】の記載から、“シール部材30により、仕切壁21の側周面と筐体10内面とが水密に当接し、シール部材29により、上蓋20の外側面と筒体14内面とが水密に当接する”といえる。 以上を総合すると、甲5には次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲5記載の技術的事項] 既設流体管1の切断箇所Cを囲繞するように該既設流体管1の外周に水密的に接続されている筐体10の内部に配置される制水体20であって、 仕切壁21と上蓋22とから主として構成され、仕切壁21の開口21aを開閉可能とする止水板24が取付けられており、切り壁21の側周面に沿って形成された凹部にシール部材30が設けられ、上蓋22の外側面に沿って形成された凹部にシール部材29が設けられ、 シール部材30により、仕切壁21の側周面と筐体10内面とが水密に当接し、シール部材29により、上蓋20の外側面と筒体14内面とが水密に当接する制水体20。 6 甲6 甲6は、本件発明1の「コンクリート基礎」に関するものとして提示されたものであり、その摘記は省略する。 第5 当審の判断 1 申立理由1(進歩性)について 1-1 甲1発明に基いて (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア) 甲1発明の「水道管K」は本件発明1の「流体管」に相当する。甲1発明の「外箱1」は本件発明1の「筐体」に相当し、甲1発明の「外箱1」が「水道管Kに対して装着され、密閉空間を形成する」ことは、本件発明1の「筐体」が「流体管に対し密封状に取付けられる」ことに相当する。 甲1発明の外箱1の「上部開口」は、本件発明1の筐体の「開口部」に相当し、甲1発明の「外箱1の内部を開閉可能な仕切弁2」ないし「仕切弁2」は本件発明1の「筐体の内部を開閉可能な作業弁」ないし「作業弁」に相当する。 (イ)甲1発明において、「水道管Kの下側の周壁を切削し、穿孔H2を形成」するとき、水道管Kの周壁はその一部が“切断”されることは明らかである。そうすると、甲1発明の「外箱1の内部で」、「水道管Kの下側の周壁を切削し、穿孔H2を形成する」ことは、本件発明1の「前記筐体の内部で流体管を切断する」ことに相当し、甲1発明の「カッター4」は本件発明1の「カッタ」に相当する。また、甲1発明の「駆動手段を備える穿孔機7」ないし「穿孔機7」は、本件発明1の「カッタを駆動する駆動部」に相当する。そして、甲1発明の「穿孔装置全体」が、本件発明1のカッタ及び駆動部を有する「切断機」に相当する。 甲1発明において、カッター4は「仕切弁2に接続された収容箱3に収容され」ているから、カッター4は“収容箱3を介して仕切弁2に対して取り付けられている”といえ、穿孔機7は、仕切弁2に接続された「収納箱3に装着され」ているから、穿孔機7も“収容箱3を介して仕切弁2に対して取り付けられているといえる。そうすると、甲1発明の「カッター4」が「仕切弁2に接続された収容箱3に収容され」かつ「穿孔機7」が「収納箱3に装着され」ていることは、本件発明1のカッタ及び駆動部を有する「切断機」が「該作業弁に取付けられ」ることに相当する。 (ウ)甲1発明の「作業機導入装置」は、本件発明1の「制流体の設置装置」との対比において、「流体管に対する作業装置」である限りにおいて一致する。 (エ)甲1発明の「水道管Kに対して密閉空間を形成するように外箱1を装着した後」は、本件発明1の「前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後」に相当する。また、甲1発明の「カッター4を穿孔機7が備える駆動手段により回転しながら下降させ、水道管Kの左右両側の周壁を残して水道管Kの下側の周壁を切削し、穿孔H2を形成する」ことは、穿孔H2を形成する水道管Kの周壁は外箱1内にあるから、本件発明1の「前記切断機により前記筐体内の前記流体管を切断」すること相当する。 (オ)甲1発明の「カッター4、及び穿孔機7で構成される穿孔装置全体」に関し、甲1発明の「カッター4」及び「穿孔機7」のそれぞれが、本件発明1の「切断機」を構成する「分割体」に相当する。 (カ)甲1発明において、「外箱1」はどのように支持されるかは不明ではあるが、何らかの支持手段で支持されていることは明らかである。そうすると、甲1発明の「収容箱3が外箱1に対して仕切弁2を介して接続され、スライドパイプ6を収容箱3に固定した状態で、スライドパイプ6のフランジ63と係合した」規制部材8について、その規制部材8が受ける荷重は、スライドパイプ6のフランジ63から収容箱3へ伝わり、その荷重が仕切弁2と外箱1を介して、外箱1を支持する何らかの支持手段に伝わるのであるから、甲1発明の「規制部材8」は“仕切弁2と外箱1を介して”支持手段に支持されたものといえる。また、甲1発明の「規制部材8」は、スライドパイプ6に対するカッター4の継足し軸5の軸方向の移動を規制するものであるから、カッター4の継足し軸5を“係止するもの”といえる。 したがって、甲1発明の「規制部材8」が本件発明1の「係止部」に相当し、甲1発明の「スライドパイプ6が収容箱3に固定された状態で、スライドパイプ6のフランジ63と係合した規制部材8」は、本件発明1の「前記筐体及び前記作業弁を介して前記コンクリート基礎で支持された係止部」との対比において、「前記筐体及び前記作業弁を介して支持手段で支持された係止部」である限りにおいて一致する。 そして、甲1発明の「カッター4」が本件発明1の「第1の分割体」に相当し、甲1発明の「規制部材8によってスライドパイプ6に対するカッター4の継足し軸5の軸方向の移動を規制」することが、本件発明1の「係止部に、前記複数の分割体のうち第1の分割体を係止」することに相当する。 また、甲1発明の「穿孔機7」が本件発明1の「第2の分割体」に相当し、甲1発明の「この規制部材8によって軸方向の移動が規制されたカッター4の継足し軸5に対して穿孔機7の軸70を接続する」ことが、本件発明1の「前記係止部に係止された前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てること」ことに相当する。 以上を総合すると、甲1発明と本件発明1とは以下の一致点で一致し、また以下の相違点で相違する。 [一致点] 流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、該作業弁に取付けられ、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備える流体管に対する作業装置の組立方法であって、 前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記切断機により前記筐体内の前記流体管を切断するものであり、 前記切断機、若しくは制流体の少なくともいずれかは、複数の分割体から構成されており、前記筐体及び前記作業弁を介して支持手段で支持された係止部に、前記複数の分割体のうち第1の分割体を係止し、前記係止部に係止された前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てる流体管に対する作業装置の組立方法。 [相違点1] 「流体管に対する作業装置」の組立方法に関し、本件発明1は、「前記流体管の流路を制御する、弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する制流体の設置装置」の組立方法であるのに対し、甲1発明は、「作業機導入装置の組立方法」であって、水道管Kの流路を制御する制流体を設置するものか否か明らかでなく、カッター4と駆動手段を備える穿孔機7をどのようにして設置するのかも明らかでない点。 [相違点2] 「前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後」に関し、本件発明1は、その後に、「前記筐体周辺の重量を支持する支持手段として、前記筐体の管軸方向の両側それぞれの下方位置にコンクリート基礎を設け、前記コンクリート基礎によって、前記筐体の両側部それぞれの外面から該筐体の両側部それぞれの開口及び管軸方向に延びる前記流体管の周面にわたって支持し」、前記切断機により前記筐体内の前記流体管を切断した後、「前記筐体内に前記制流体を設置する」ものであるのに対し、甲1発明は、「カッター4を穿孔機7が備える駆動手段により回転しながら下降させ、水道管Kの左右両側の周壁を残して水道管Kの下側の周壁を切削し、穿孔H2を形成する」点。 [相違点3] 係止部を筐体及び前記作業弁を介して支持する「支持手段」に関して、本件発明1では、それが「コンクリート基礎」であるのに対して、甲1発明は、支持手段の具体的構成が明らかではない点。 イ 判断 まず、相違点1について、特に、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項のうち「前記流体管の流路を制御する、弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置する」ことについて、検討する。 甲1発明は、水道管Kに形成した穿孔H2に、水道管Kの流路を制御する「制流体」を設ける点を開示していない。 甲1の段落【0037】には、「作業具としての切換弁を外箱内に導入して流路内に設置したり、作業具としての蓋体を外箱内に導入して仮止水したりしてもよい」との記載があるが、この記載は、「水道管Kに装着された外箱1の内部にカッター4を導入するため」の甲1発明を、切換弁を外箱内に導入するめの装置としても用いるができるということを述べているにすぎず、カッター4により水道管Kに穿孔H2を形成した後に、その水道管Kに対して切換弁が設置することを示唆するものでない。よって、甲1発明において水道管Kに穿孔H2を形成した後で水道管Kの流路を制御する「制流体」を設けるようにする動機付けはない。 さらに、甲1発明によって得られる「左右両側の周壁を残して」穿孔H2を形成した水道管Kに対して制流体を配置することが、周知技術であるともいえない。 甲2には、「既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Zに接続される制水弁42」が記載されている。甲3にも同様の「制水弁42」が記載されている。しかし、これら甲2及び甲3の「制水弁」は、その設置態様、すなわち既設流体管Pを輪切り状に切断して形成した切断部Z,Zに接続するという設置態様にかんがみれば、甲1発明により得られる「左右両側の周壁を残して」穿孔H2を形成した「水道管K」(左右両側に残る周壁によって水道管Kは切断されずに繋がったままとなるため、水道管Kは「輪切り状に切断して形成した切断部」を有するものとはならない。)に配置できるものではない。 甲4記載の「弁体2」は、「(弁体2に設けた)第1~第3弾性シール材2D、2E、2Fを弁箱Aの第1~第3弁座19A、19B、19Cに圧接させることにより、既設水道管1の切断除去箇所において流路を遮断する」ものである。甲5記載の「制流体20」も、「シール部材30により、仕切壁21の側周面と筐体10内面とが水密に当接し、シール部材29により、上蓋20の外側面と筒体14内面とが水密に当接する」ものである。すなわち、甲4及び甲5記載のものは、制流体と筐体との間をシールするものである。甲4記載の「弁体2」及び甲5記載の「制水体20」を、甲1発明によって得られる「左右両側の周壁を残して」穿孔H2を形成した水道管Kに適用しようとしても、穿孔H2の形成後に残る「左右両側の周壁」が邪魔となり、外箱1との間のシールをすることがでない。したがって、甲4記載の「弁体2」及び甲5記載の「制水体20」は、甲1発明により穿孔H2を形成した後の水道管Kに対して設置できるものではない。 甲6には、水道管1の切断後に、本件発明1の「流体管の流路を制御する」「制流体」のようなものを設置することについて、記載も示唆もされていない。 すなわち、甲2~6には、甲1発明によって得られる穿孔H2を形成した水道管Kに対して設置できる「制流体」は記載されていない。 したがって、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項のうち、「前記流体管の流路を制御する、弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置する」という発明特定事項は、甲1発明及び甲2~6記載の技術的事項から、当業者が容易に想到し得たものではない。 そうすると、上記相違点1に係る本件発明1のその余の発明特定事項について検討するまでもなく、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1発明及び甲2~6記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、他の相違点2及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~6記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2及び3について 本件発明2及び3は、本件発明1にさらに限定を付加したものであるから、上記(1)で検討したとおり、甲1発明及び甲2~6記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 1-2 甲2発明に基いて (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明の「既設流体管P」は本件発明1の「流体管」に相当する。甲2発明の「上部ケース2d及び下部ケース2e」は本件発明1の「筐体」に相当し、甲2発明の「上部ケース2d及び下部ケース2e」が「既設流体管Pを水密に囲繞する」ことは、本件発明1の「筐体」が「流体管に対し密封状に取付けられる」ことに相当する。 甲2発明の外箱1の上部ケース2dの「開口を有する上部」は、本件発明1の筐体の「開口部」に相当し、甲2発明の「上部ケース2d及び下部ケース2eの内部を開閉可能な開閉弁2a」ないし「開閉弁2a」が、本件発明1の「該筐体の内部を開閉可能な作業弁」ないし「作業弁」に相当する。 (イ)甲2発明において、「上部ケース2d及び下部ケース2e内で既設流体管Pを切除する」ことは、本件発明1の「前記筐体の内部で流体管を切断する」ことに相当し、甲2発明の「管切除装置1」は、本件発明1の「カッタ」に相当する。甲2発明の「管切除装置1の駆動長軸106に取り付けられる駆動モータ6」ないし「駆動モータ6」は、本件発明1の「カッタを駆動する駆動部」ないし「駆動部」に相当する。そして、甲2発明の「管切除装置全体」が本件発明1の「切断機」に相当する。 (ウ)甲2発明の「制水弁42」は、本件発明1の「制流体」に相当し、甲2発明の「制水弁42」が「既設流体管Pにおいて水の流れを制御する」ことは、本件発明1の「制流体」が「前記流体管の流路を制御する」ことに相当する。甲2発明の「弁筐体42a」が本件発明1の「本体部」に相当する。そして、甲2発明の「弁筐体42a」について、その弁筐体42aの上側部分は、上側から弁の内部を閉塞しているといえるから、「弁筐体42a」の上側部分が本件発明1の「上蓋部」に相当する。 (エ)甲2発明は、複数のジャッキ75で下部ケース2eを支持する工程と、既設流体管Pを切除する工程の後に、「不断水状態で、上部ケース2d及び下部ケース2eの内部で既設流体管Pの管軸と略同軸の位置に配置する」ものであるが、これが本件発明1において「制流体を不断流状態で前記筐体内に設置する」ことに相当する。 (オ)甲2発明の「管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4bを支持した状態で懸吊手段102にて下部ケース2eを既設流体管Pの下側外周面を囲繞するように配置する工程、ガイド部4の上ガイド4aを下ガイド4bに取り付ける工程、懸吊手段102により懸吊された駆動モータ6をモータ台108に連結する工程」に関し、「管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4b」、「ガイド部4の上ガイド4a」及び「駆動モータ6」が配置等される場所は、切除部を切除する前の既設流体管Pの外側であり、そこに水はない。そして、「管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4b」、「ガイド部4の上ガイド4a」及び「駆動モータ6」は、「管切除装置全体」の構成要素ないしその一部である。そうすると、甲2発明の「管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4bを支持した状態で懸吊手段102にて下部ケース2eを既設流体管Pの下側外周面を囲繞するように配置する工程、ガイド部4の上ガイド4aを下ガイド4bに取り付ける工程、懸吊手段102により懸吊された駆動モータ6をモータ台108に連結する工程」は、本件発明1の「切断機」「を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」こととの対比において、「切断機」「を管内流体の存在しない状態の空間において設置する」という限りにおいて一致する。 また、甲2発明の「開閉弁2aを閉状態としてスイーパ蓋を開閉弁2aから取外し、開閉弁2aの作業筒11を取付けた後、制水弁42を作業筒11内で降下させて仮受台55,55に仮置きする工程」に関し、「開閉弁2aを閉状態としてスイーパ蓋を開閉弁2aから取外し、開閉弁2aの上部に作業筒11を取付け」ているから、その作業筒11の内部に水はない。そうすると、甲2発明の「開閉弁2aを閉状態としてスイーパ蓋を開閉弁2aから取外し、開閉弁2aの作業筒11を取付けた後、制水弁42を作業筒11内で降下させて仮受台55,55に仮置きする工程」は本件発明1の「前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」こととの対比において、「前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において設置する」限りにおいて一致する。 (カ)そして、上記(オ)で甲1発明と対比した甲2発明の各工程は、必然的に甲2発明の「不断水状態で、制水弁24を上部ケース2d及び下部ケース2eの内部で既設流体管Pの管軸と略同軸の位置に配置する」の“前”に行われる工程であるところ、「不断水状態で、制水弁24を上部ケース2d及び下部ケース2eの内部で既設流体管Pの管軸と略同軸の位置に配置する」ことの“ために”、上記(オ)で甲1発明と対比した対比した甲2発明の各工程があるということができる。 (キ)甲2発明の「制水体設置装置」が本件発明1の「制流体の設置装置」に相当する。 (ク)甲2発明の「複数のジャッキ75」は下部ケース2eのみならず、下部ケース2e及び上部ケース2の双方、さらにはその周辺の荷重を支えるものであることは明らかであるから、本件発明1の「前記筐体周辺の重量を支持する支持手段」ないし「支持手段」に相当する。そうすると、甲2発明の「部ケース2eを既設流体管Pの下側における外周面を囲繞するように配置し、複数のジャッキ75で下部ケース2eを支持する工程」は、本件発明1の「前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後、前記筐体周辺の重量を支持する支持手段として、前記筐体の管軸方向の両側それぞれの下方位置にコンクリート基礎を設け、前記コンクリート基礎によって、前記筐体の両側部それぞれの外面から該筐体の両側部それぞれの開口及び管軸方向に延びる前記流体管の周面にわたって支持」することとの対比において、「前記筐体周辺の重量を支持する支持手段を設け」るという限りで一致する。 甲2発明の「管切除装置1で上部ケース2d及び下部ケース2e内の既設流体管Pを切除する工程」は、本件発明1の「前記切断機により前記筐体内の前記流体管を切断」することに相当する。 そして、甲2発明の「上部ケース2d及び下部ケース2eの内部で既設流体管Pの管軸と略同軸の位置に配置する」ことは、本件発明1の「前記筐体内に前記制流体を設置する」ことに相当する。 (ケ)甲2発明の「管切除装置1及び」「駆動モータ6で構成される管切除機」に関し、「管切除装置1」の駆動長軸106に「駆動モータ6」が取り付けられるようになっているのだから、甲2発明の「管切除装置1」及び「駆動モータ6」のそれぞれが、本件発明1の「切断機」を構成する「分割体」に相当する。 また、甲2発明の「弁体43、弁筐体42a及び弁軸部43bから構成され」た「弁体42」に関し、常識的に考えて、これらは最初から一つのもとして一体形成されたものでなく、別体としてそれぞれ作られ、それを組み合わせて「弁体42」が構成されているといえるから、甲2発明の「弁体43」、「弁筐体42a」及び「弁軸部43b」のそれぞれが、本件発明1の「制水体」を構成する「分割体」に相当する。 (コ)甲2発明の「管切除装置全体は、管切除装置1をガイド部4によって既設流体管Pに固定した状態で、管切除装置1の駆動長軸106に対して駆動モータ6を取り付ける」ことは、本件発明1の「切削機」について、「前記筐体及び前記作業弁を介して前記コンクリート基礎で支持された係止部に、前記複数の分割体のうち第1の分割体を係止し、前記係止部に係止された前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てる」こととの対比において、「前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てる」という限りにおいて、一致する。 以上を総合すると、甲2発明と本件発明1とは以下の一致点で一致し、また以下の相違点で相違する。 [一致点] 流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、前記筐体の内部で流体管を切断するカッタ、及び該カッタを駆動する駆動部を有する切断機とを備え、前記流体管の流路を制御する、弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において設置する制流体の設置装置の組立方法であって、 前記筐体周辺の重量を支持する支持手段を設け、前記切断機により前記筐体内の前記流体管を切断した後、前記筐体内に前記制流体を設置するものであり、 前記切断機、若しくは前記制流体の少なくともいずれかは、複数の分割体から構成されており、前記切断機について、前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てる制流体の設置装置の組立方法。 [相違点4] 「カッタ」の取付けに関し、本件発明1は、「カッタ」は「該作業弁に取付けられ」るのに対し、甲2発明は、「管切除装置1」は「ガイド部4によって既設流体管Pに固定され」る点。 [相違点5] 「前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において設置する」ことに関し、本件発明1は、「前記切断機及び前記制流体」を「吊持して」設置するのに対し、甲2発明は、「管切除装置1におけるガイド部4の下ガイド4b」が下部ケース2eに支持された状態で「懸吊手段102によって」配置され、「駆動モータ6」が「懸吊手段102により懸吊され」てモータ台108に連結されるが、「ガイド部4の上ガイド4a」が「吊持」されて取り付けられるのか否か、「制水弁42」が「吊持」されて仮置きされるのか否かが、明らかでない点。 [相違点6] 「前記筐体周辺の重量を支持する支持手段を設け」ることに関し、本件発明1は、「前記流体管に前記筐体を密封状に取付けた後」に、支持手段として「コンクリート基礎」を設け、「前記コンクリート基礎によって、前記筐体の両側部それぞれの外面から該筐体の両側部それぞれの開口及び管軸方向に延びる前記流体管の周面にわたって支持」するのに対し、甲2発明は、「下部ケース2eを既設流体管Pの下側における外周面を囲繞するように配置し」、支持手段として「複数のジャッキ75」を設け、「複数のジャッキ75で下部ケース2eを支持する」点。 [相違点7] 「前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てること」に関し、本件発明1では、「前記切断機、若しくは前記制流体の少なくともいずれか」が、「前記筐体及び前記作業弁を介して前記コンクリート基礎で支持された係止部に、前記複数の分割体のうち第1の分割体を係止し、前記係止部に係止された前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てる」ものであるのに対し、甲2発明では、「管切除装置全体」については、「管切除装置1をガイド部4によって既設流体管Pに固定した状態で、管切除装置1の駆動長軸106に対して駆動モータ6を取り付ける」ものであり、「制水体42」については、「弁体43」、「弁筐体42a」及び「弁軸部43b」の組み立て方法が明らかでない点。 イ 判断 事案にかんがみ、相違点4と相違点7を先に検討する。 (ア)まず、相違点4について、検討する。 甲2発明においては、「管切除装置1」は「ガイド部4によって既設流体管Pに固定され」るものであるが、これを「上部ケース2dの開口を有する上部に設けられる開閉弁2a」に取り付けるように、その取付け方を変更する動機付けはない。 また、甲4~6にも、甲2発明の「ガイド部4によって既設流体管Pに固定され」る「管切除装置1」を「上部ケース2dの開口を有する上部に設けられる開閉弁2a」に取り付けるよう、その取付け方を変更する動機付けとなる記載も示唆もない。 したがって、上記相違点4に係る本件発明1の発明特定事項は、甲2発明及び甲4~6記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 (イ)次に、相違点7について検討する。 甲2発明において、「管切除装置1」は「ガイド部4によって既設流体管Pに固定」されるものであり、この「ガイド部4」ないし「既設流体管P」の重量は「開閉弁2a」を介して支持されるとはいえないので、この「ガイド部4」ないし「既設流体管P」が、本件発明1の「前記筐体及び前記作業弁を介して」「支持された係止部」(下線は、当審が付したもの。)に相当するものにはなり得ない。 仮に、甲2発明の「管切除装置1」を「開閉弁2a」に取り付けるよう、その取付け方を変更すれば、本件発明1の「複数の分割体のうち第1分割体」を係止するための「前記筐体及び前記作業弁を介して」「支持された係止部」に相当する構成にもなり得るが、上記(ア)でも論じたとおり、甲2発明の「管切除装置1」を「上部ケース2dの開口を有する上部に設けられる開閉弁2a」に取り付けるよう、その取付け方を変更することは、甲2発明及び甲4~6記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得ない。 また、甲2発明の「弁体43、弁筐体42a及び弁軸部43bから構成」される「制水弁42」について、いつの時点でどのように組み立てられるものか、甲2発明は開示していない。 甲4には、「弁体部2Bと蓋部2Aと鍔部2Cとにより横断方向視において略Iの字状に一体形成され、補助弁体3が組み付けられており、弁体部2Bの両側辺面に設けられた第1弾性シール材2D2、蓋部2Aの外周面に設けた第2弾性シール材2E、及び鍔部2Cの外周面に設けた第3弾性シール材2Fをそれぞれ有」する「弁体2」が、記載されているが、この弁体2をいつの時点でどのように組み立てるのかについて、甲4には記載がない。 同様に、甲5には、「仕切壁21と上蓋22とから主として構成され、仕切壁21の開口21aを開閉可能とする止水板24が取付けられており、切り壁21の側周面に沿って形成された凹部にシール部材30が設けられ、上蓋22の外側面に沿って形成された凹部にシール部材29が設けられ」た「制水体20」が記載されているが、この制水体20をいつの時点でどのように組み立てるのかについて、甲5には記載がない。 そして、甲6には、本件発明1の「流体管の流路を制御する」「制流体」のようなものを、水道管1の切断後に設置することについて、記載がない。 そうすると、甲2発明の「制水弁42」を組み立てる際に、本件発明1における「前記筐体及び前記作業弁を介して」「支持された係止部に、前記複数の分割体のうち第1の分割体を係止し、前記係止部に係止された前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立てる」という方法を採用することは、甲2発明及び甲4~6記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得えたものとはいえない。 以上のとおり、上記相違点7に係る本件発明1の発明特定事項は、甲2発明及び甲4~6記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 (ウ)本件発明1のまとめ 上記(ア)及び(イ)のとおり、相違点5及び6について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲4~6記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2及び3について 本件発明2及び3は、本件発明1にさらに限定を付加したものであるから、上記(1)で検討したとおり、甲2発明及び甲4~6記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 1-3 取消理由1のまとめ 上記1-1、1-2のとおりであるから、申立理由1により、本件発明1~3についての特許を取り消すことはできない。 2 申立理由2(明確性)について (1)明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (2)申立人の主張について ア 申立人は、明細書に「前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間」について開示も示唆もされておらず、「弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」について、管内流体の存在しない空間とは、どの箇所を指しているのか明確でないと主張する。 しかし、「管内流体の存在しない空間」とは、文字どおり、管内流体の存在しない空間のことと解されるから、この記載自体に不明確な点はない。 申立人は、明細書に開示も示唆もされていないというが、例えば、流体管を切断する前であれば筐体の内部及び外部において管内流体は存在しないこと、流体管を切断した後であっても筐体の開口を作業弁を閉塞すれば、筐体の外部において管内流体は存在しないことなど、いつの時点でどの空間に管内流体が存在しないかは、明細書の記載を考慮すれば、当業者であれば十分に理解することができ、「管内流体の存在しない空間」がどの箇所を指すのかが、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 イ 申立人は、請求項1に記載の「前記筐体及び前記作業弁を介して前記コンクリート基礎で支持された係止部」は、係止部の具体的構造及び設置位置が明確でないと主張する。また、単に係止部との文言だけでは、甲1発明のようにフランジ(63)を規制部(8)とを係止させる構造や甲2発明のように仮受台(55)に係止させる構造などあらゆる形態が含まれるため、特許公報を見て権利解釈を行う第三者にとって極めて不利益となると主張する。 さらに、段落【0097】には、「また、複数の分割体のうち第1の分割体を筐体2に設けられた係止部に係止させ、前記係止部に係止された前記第1の分割体に、残りの第2の分割体を組み立てるようになっている。具体的には、作業弁4の場合、第1の分割体である弁箱41を筐体2の分岐部2a(係止部)に載置(係止)させ、その弁箱41に第2の分割体である弁体42及び弁蓋43を組み立てるようになっている。」と記載されていることから、係止部とは「作業弁を介してコンクイリート基礎で支持された筐体に接続される取付フランジ筒の蓋体に設けられる係止部」というように実施形態に即して記載すべきであると主張する。 請求項1には、係止部について、その具体的構造及び設置位置を特定する記載はない。すなわち、請求項1の記載で特定される「係止部」は、「前記筐体及び前記作業弁を介して前記コンクリート基礎で支持され」かつ「前記複数の分割体のうち第1の分割体を係止」するものであり、その「係止部に係止された前記第1の分割体に対して、前記複数の分割体のうち残りの第2の分割体を組み立て」られるようになっている限りにおいて、あらゆる構造もの、あらゆる設置位置にあるものを含むと解釈でき、そのようなあらゆる構造や設置位置の係止部が含まれるという意味において、請求項1の記載は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないし、実施形態に即して記載する必要もない。 したがって、申立人の当該主張は採用できない。 (3)申立理由2についてのまとめ 上記のとおりであるから、申立理由2により、本件発明1~3についての特許を取り消すことはできない。 3 申立理由3(新規事項の追加)について (1)申立人の主張 申立人は、本件補正により補正された請求項1の特徴部分「弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」について、意見書において記載された補正の根拠を参酌しても、開示も示唆もされてないと主張し、以下の具体的な理由を述べている。 ア 令和5年3月30日に提出した意見書では、「すなわち今回補正された本発明は、流体管の切断前若しくは切断後に作業弁で閉塞された管内流体の外側の作業空間、言い換えれば管内流体の存在しない状態の大気空間において、重量物である切断機及び制流体を吊持して設置するものです。」と記載されているが、大気空間でクレーン用いるのは当然である。 イ また、同意見書では、「これに対し、引用文献1(特開2016-125525)は、・・・、そもそも、外箱1の内部及びカッター4を収容する収容箱3の内部は、水道管Kから流出した水で充満されており、今回補正された本願発明のように管内流体の存在しない状態の空間ではありません。」と記載されていることから、管内流体の存在しない空間とは、本件発明1の筐体の内部であると解されるところ、筐体の内部が管内流体が存在しない空間である点について、明細書等に開示も示唆もされていない。 ウ さらに、本件発明1の構成要件「流体管に対し密封状に取付けられる筐体と、該筐体の開口部に取付けられ該筐体の内部を開閉可能な作業弁と、」によると、筐体とは作業弁の下側に設けられる流体管を切断後において筐体の内部は管内流体で充満されるはずであることから、特許請求の範囲の補正された特徴部分「前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」について、新規事項の追加である。また、仮に、取付フランジ筒51の内部に水が存在しない状態であるとしても、明細書に開示も示唆もないことから新規事項の追加である。 (2)新規事項の追加に関する判断 まず、「切断機」について検討する。 「切断機」の「カッタ」について、当初明細書等には、「次に、図4に示されるように、取付フランジ筒51に対してカッタ52を仮設置する。詳しくは、カッタ52の上方に取付フランジ筒51の蓋体53を接続した状態で吊り具C及びワイヤWにより吊持して取付フランジ筒51の上方まで下降させる。」(段落【0032】参照)との記載がある。(下線は、当審が付したもの。以下同様。) この「カッタ52」を仮設置する工程において、カッタが、取付フランジ筒51の上方から、取付フランジ筒51の内部(図4参照)まで、吊持されて下降されることが理解できるが、このとき流体管1は切断されていないため、取付フランジ筒51の上方及び内部は流体管1を流れる流体が存在しないことは、明らかである。つまり、「カッタ」を「管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」点は、当初明細書等の記載から自明な事項であると認められる。 「切断機」の「駆動機構」について、当初明細書等には、「図7に示されるように、駆動機構8をカッタ52と接続する際には、蓋体53の上部フランジ53cの周方向にジャッキ7(スペーサ)を複数配置しておき、軸部材81を予め所定長さ下方に進行させ、軸部材81の下端部がケース部86よりも下方に突出した状態とし、吊り具C及びワイヤWにより駆動機構8を吊り下げ、ケース部86をジャッキ7上に載置する。」(段落【0043】参照)との記載がある。 この「駆動機構8」をジャッキ7上に載置する工程において、駆動機構8が取付フランジ筒51の上方(図7参照)において吊持されることが理解できるが、このとき流体管1は切断されていないため、取付フランジ筒51の上方は流体管1を流れる流体が存在しないことは、明らかである。つまりの「駆動機構」を「管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」点は、当初明細書等の記載から自明な事項であると認められる。 つぎに、「制流体」について検討する。 「制流体」の「弁本体部」について、当初明細書等には、「図13に示されるように、バタフライ弁10を円筒部材61に仮設置する際には、先ず、仕切壁11、開閉軸12及び弁体13(本体部)を一体化した状態で吊り具C及びワイヤWにより吊持して円筒部材61内に収容される位置まで下降させる。このとき、弁体13は、管軸方向と略平行(仕切壁11の開口を開放した状態)となるように配置する。」(段落【0064】参照)との記載がある。 この「弁本体部」を円筒部材61内に配置する工程において、弁本体部が、円筒部材61の上方から、円筒部材61の内部まで、吊持されて下降されることが理解できるが(図13参照)、このとき既に流体管1は切断されているが、「作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞した状態」(段落【0060】参照)であるため、円筒部材61の上方及び内部には流体管1を流れる流体が存在しないことは、明らかである。つまり「弁本体部」を「管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」点は、当初明細書等の記載から自明な事項であると認められる。 「制流体」の「上蓋部」について、当初明細書等には、「次いで、図14に示されるように、上蓋部14を吊り具C及びワイヤWにより吊持して開閉軸12を挿通させた状態で仕切壁11の上部に載置する。そして、図示しない固定手段により上蓋部14と仕切壁11とを密封状に接続してバタフライ弁10を構成する。」(段落【0043】参照)との記載がある。 この「上蓋部」を弁本体の仕切壁11に載置する工程において、上蓋部が、円筒部材61の上方において吊持されることが理解できるが(図14参照)、このとき既に流体管1は切断されているが、「作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞した状態」(段落【0060】参照)であるため、円筒部材61上方には流体管1を流れる流体が存在しないことは、明らかである。つまり、「制流体」の「上蓋部」を「管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」点は、当初明細書等の記載から自明な事項であると認められる。 したがって、本件補正により補正された請求項1の特徴部分である「弁本体部及び上蓋部を有する制流体を不断流状態で前記筐体内に設置するために、前記切断機及び前記制流体を管内流体の存在しない状態の空間において吊持して設置する」という事項は、当初明細書等の記載から自明な事項であると認められる。 申立人の主張アについて、申立人自身で「大気空間でクレーンを用いるのは至極当然である」と認めているところ、大気空間(すなわち、取付フランジ筒51や円筒部材61の上方)には流体管1を流れる流体が存在しないことは明らかである。 申立人の主張イ及びウについて、請求項1には、「前記切断機及び前記制流体」を「吊持して設置する」空間が存在する具体的な場所を特定する事項は記載ないところ、「前記切断機及び前記制流体」「吊持して設置する」空間を申立人の主張のように“筐体の内部”と限定的に解釈しなければならない理由はない。 申立人の主張ウ(「また、仮に、取付フランジ筒51の内部に水が存在しない状態であるとしても」の一文。)について、流体管1が切断される前であれば、取付フランジ筒51の内部に流体が存在しないことは、当初明細書等の記載から自明な事項であると認められる。 以上のとおり、申立人の主張はいずれも採用することはできない。 上記のとおりであるから、本件補正は、当初明細書等に記載されていた範囲内でしたものであり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 よって、申立理由3により、本件発明1~3についての特許を取り消すことはできない。 第6 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700218

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