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特許異議申立

2022-700231

直流給電システムおよび直流給電方法

審判番号
2022-700231
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-126595
登録番号
6936637
請求日
2022年03月18日
審決日
2023年03月06日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】清水建設株式会社
  • 【権利者代理人】松沼 泰史
  • 【権利者代理人】川渕 健一
  • 【権利者代理人】西澤 和純
  • 【異議申立人】谷川 英次郎
審判長/審判官
  • 審判長 角田 慎治
  • 審判官 赤穂 美香
  • 審判官 土居 仁士
分類
P1651.121-ZAA(H02J) / P1651.832-ZAA(H02J) / P1651.841-ZAA(H02J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6936637号発明「直流給電システムおよび直流給電方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6936637号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7について訂正することを認める。 特許第6936637号の請求項1~7に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6936637号の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成29年6月28日に出願され、令和3年8月31日にその特許権の設定登録がされ、令和3年9月22日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 3月18日 : 特許異議申立人 谷川 英次郎(以下「申立 人という。)による請求項1~7に係る特許 に対する特許異議の申立て 令和4年 6月 2日付け: 取消理由通知書 令和4年 8月 4日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和4年 9月20日 : 申立人による意見書の提出 令和4年10月27日付け: 取消理由通知書(決定の予告) 令和4年12月26日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和5年 2月14日 : 申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 令和4年12月26日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)及び(2)のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 なお、本件訂正により、令和4年8月4日に提出された訂正請求書は取り下げされたものとみなされる(特許法120条の5第7項)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、 「建築物に組み込まれる直流給電システムであって、 少なくとも日本国内の系統交流電源が供給する交流電力が入力される入力部と、 前記入力部に入力された交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、 前記電力変換部によって変換された直流電力の電圧値を変換する電圧変換部と、 前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷に出力する出力部と、 を備え、 前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ、 前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される、 ことを特徴とする直流給電システム。」に訂正する。 (請求項1を引用する請求項2~6も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7を、 「建築物に組み込まれる直流給電システムの直流給電方法であって、 少なくとも日本国内の系統交流電源が供給する交流電力が入力される工程と、 入力された交流電力を直流電力に変換する工程と、 交流電力から変換された直流電力の電圧値を変換する工程と、 電圧が283[V]以上340[V]以下の値に変換された直流電力を、少なくとも、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷に出力する工程と、 を備え、 前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ、 前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が供給される、 ことを特徴とする直流給電方法。」に訂正する。 (3)訂正の単位について 本件訂正前の請求項1~6について、訂正前の請求項2~6は請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~6は特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、一群の請求項〔1~6〕についてするものである。 2.訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び新規事項の有無 以下、上記訂正事項について、訂正の適否について検討する。なお、すべての請求項について特許異議申立ての対象とされているので、すべての訂正事項について特許法120条の5第9項で読み替えて準用する特許法126条7項の独立特許要件は課されない。 (1)訂正事項1について ア.訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「系統交流電源」について、「日本国内の」ものであることを特定し、訂正前の請求項1に記載の「交流用負荷」について、「複数の」ものであること及び「前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ」ることを特定し、さらに「前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される」ことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか 訂正事項1は、上記ア.のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ.新規事項の追加の有無 訂正事項1において「日本国内の」と特定した点について、願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件特許明細書等」という。)の段落【0034】に、「第1実施形態の直流給電システム1は、日本国内においてのみならず、海外においても、交流用負荷の改造を全くあるいは殆ど行う必要なく、交流用負荷を動作させることができる。」との記載がある。 また、訂正事項1において、「前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ」と特定した点について、「交流用負荷」としては、100Vの交流電力にのみ対応する負荷、200Vの交流電力にのみ対応する負荷、100Vと200Vを含む広範囲の電圧の交流電力に対応する負荷などが知られているところ、100Vと200Vを含む広範囲の電圧の交流電力に対応する負荷は、100Vの交流電力にも対応する負荷であるから「100V用交流負荷」ということもできる。 さらに、訂正事項1において「複数の」と特定し、さらに「前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される」ことを特定した点について、本件特許明細書の段落【0033】に「また、図1に示す例では、パッケージ型空気調和機40を動作させるために出力部16の端子16Aから出力される直流電圧の電圧値と、USB負荷41を動作させるために出力部16の端子16Bから出力される直流電圧の電圧値と、LED照明装置42を動作させるために出力部16の端子16Cから出力される直流電圧の電圧値とを共通化することができる。」との記載がある。 したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 エ.小括 以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2について ア.訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項7に記載の「系統交流電源」について、「日本国内の」ものであることを特定し、訂正前の請求項7に記載の「交流用負荷」について、「複数の」ものであること及び「前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ」ることを特定し、さらに「前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される」ことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか 訂正事項2は、上記ア.のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ.新規事項の追加の有無 訂正事項2において「日本国内の」と特定した点、「前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ」と特定した点、及び訂正事項2において「複数の」と特定し、さらに「前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される」ことを特定した点について、本件特許明細書等に記載されていることは、訂正事項1で検討したものと同様である。 したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 エ.小括 以上のとおりであるから、訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 3.まとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とし、同法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~7に係る発明(以下「本件発明1~7」といい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 建築物に組み込まれる直流給電システムであって、 少なくとも日本国内の系統交流電源が供給する交流電力が入力される入力部と、 前記入力部に入力された交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、 前記電力変換部によって変換された直流電力の電圧値を変換する電圧変換部と、 前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷に出力する出力部と、 を備え、 前記交流用負荷には、少なくとも100V交流負荷が含まれ、 前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される、 ことを特徴とする直流給電システム。 【請求項2】 前記出力部の直流電路の絶縁値を監視する絶縁監視装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の直流給電システム。 【請求項3】 前記出力部の直流電路からの漏電を遮断する漏電遮断器を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の直流給電システム。 【請求項4】 前記交流用負荷に対して並列に前記出力部の正極電路と負極電路とに接続されたサージ吸収素子を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の直流給電システム。 【請求項5】 前記入力部には、少なくとも前記系統交流電源が供給する交流電力と、前記系統交流電源の停電時に電力を供給可能な電源装置が供給する電力とが入力され、 前記出力部は、前記電源装置から入力され、前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の電力を、前記建築物内の防災センターに配置された前記交流用負荷に出力することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の直流給電システム。 【請求項6】 前記建築物は病棟であり、 前記入力部には、少なくとも前記系統交流電源が供給する交流電力と、前記系統交流電源の停電時に電力を供給可能な電源装置が供給する電力とが入力され、 前記出力部は、前記電源装置から入力され、前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の電力を、前記病棟内に配置された重要施設が有する前記交流用負荷に出力することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の直流給電システム。 【請求項7】 建築物に組み込まれる直流給電システムの直流給電方法であって、 少なくとも日本国内の系統交流電源が供給する交流電力が入力される工程と、 入力された交流電力を直流電力に変換する工程と、 交流電力から変換された直流電力の電圧値を変換する工程と、 電圧が283[V]以上340[V]以下の値に変換された直流電力を、少なくとも、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷に出力する工程と、 を備え、 前記交流用負荷には、少なくとも100V交流負荷が含まれ、 前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が供給される、 ことを特徴とする直流給電方法。」 第4 取消理由の概要 当審において令和4年10月27日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 請求項1~7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第7号証、甲第8号証、甲第9号証に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~7に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 甲第1号証:特開2011-015502号公報 甲第7号証:特開2013-148401号公報 甲第8号証:特開2016-185014号公報 甲第9号証:特開2004-266962号公報 第5 当審の判断 1.甲号証について (1)甲第1号証について 甲第1号証には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。以下、同様。)。 「【0024】 まず、図3を用いて本発明の配電システムを適用する配電系統の全体構成について説明する。ここでは、本発明を適用する建築物として戸建て住宅を想定して説明するが、本発明の技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。また、図示する配電システムは、交流給電路と直流給電路とを備え、交流給電路には商用電源ACのみから交流電力を供給する構成としているが、分散電源DPSが太陽光発電設備を備える場合は、太陽光発電設備からの発電電力を交流給電路への交流電力の供給に用いる構成も可能である。 【0025】 図示例では、商用電源ACから交流給電路における主電路Laを分電盤10に設けた主幹ブレーカに接続し、分電盤10内に設けた複数個の分岐ブレーカ12により複数の分岐電路Lbに分岐させている。分岐電路Lbからは、交流電力により駆動される照明器具、AV機器、IH調理器、洗濯機、掃除機、給湯器などの電気機器(以下、「交流機器」という)41に対して交流100Vまたは交流200Vの給電を行う。 【0026】 分電盤10には、主幹ブレーカ11および複数個の分岐ブレーカ12のほか、雷サージに対する保護を行うアレスタ(SPD)13を設けてある。分電盤10に設けた分岐ブレーカ12のいずれかはAC-DC変換器21に給電する。交流機器41には、単相で給電し、AC-DC変換器21には単相3線で給電する。」 「【0028】 AC-DC変換器21の直流出力端は、直流給電路の主電路Ldに接続される直流給電路の主電路Ldには、分散電源DPSによる発電電力を入力電源とするDC-DC変換器22の直流出力端が接続される。分散電源DPSには、たとえば、太陽光発電設備、燃料電池設備を用いる。分散電源DPSとDC-DC変換器22との間には分散電源DPSの出力電圧の低下時や動作の異常時に、分散電源DPSとDC-DC変換器22との電炉を遮断する開閉器23が挿入される。」 「【0032】 直流給電路の主電路Ldは、直流分電盤30に設けた直流主幹ブレーカ31に接続される。直流主幹ブレーカ31には、漏電検出器33が接続されるとともに、複数個の直流分岐ブレーカ32が接続される。各直流分岐ブレーカ32には、それぞれ分岐電路Lcが接続される。すなわち、直流分電盤30には、直流主幹ブレーカ31のほか、漏電検出器33、直流分岐ブレーカ32が収納される。 【0033】 本実施形態では、分岐電路Lcの線間電圧を、+150Vと-150Vと300Vとの3種類のうちのいずれかから選択できるようにしている。すなわち、後述するように、直流給電路の主電路Ldは、基準電位である中性線Nと、中性線Nに対して+150Vの電圧が印加された正電圧線L+と、中性線Nに対して-150Vの電圧が印加された負電圧線L-との3線式であり(図1参照)、直流分岐ブレーカ32を3線のうちのどの2線に接続するかに応じて、分岐電路Lcの線間電圧を選択できるようにしてある。 【0034】 具体的には、中性線Nと正電圧線L+とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は+150Vになる。また、中性線Nと負電圧線L-と選択することより分岐電路Lcの線間電圧は-150Vになる。さらに、正電圧線L+と負電圧線L-とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は300Vになる。したがって、分岐電路Lcの最高使用電流を30Aとすれば、最大9kWの電力を負荷に供給することが可能になる。 【0035】 すなわち、照明器具のような低負荷の電気機器だけではなく、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機のような高負荷の電気機器42を駆動可能な程度の電力を確保することができる。これらの電気機器42は、分岐電路Lcにほぼ定常的に接続されているから、抜き差し時にアークの発生しない専用の直流コンセント43を用いる。また、アイロン、掃除機のように必要時に分岐電路Lcに接続する電気機器42は、抜き差しの際に通電されないように工夫された直流コンセントを用いて接続する。なお、直流給電路の線間電圧を上述のように設定するには、AC-DC変換器21として、極性反転型のチョッパ回路を用いることが望ましい。」 「【0039】 以下に、本発明の主要部の構成を説明する。図1に示す構成例は、図3の構成のうちAC-DC変換器21の周辺回路について、交流側と直流側とを簡略化して記載したものである。図1の構成では、分電盤10、分散電源DPS、直流分電盤30などは省略してあり、交流機器41および高負荷の電気機器42(以下、「直流機器」という)を図示している。また、商用電源ACについては、柱上変圧器Trを電源として示している。 【0040】 商用電源AC(つまり、柱上トランスTr)からは交流給電路である単相3線式の主電路Laが住宅Hに引き込まれ、分電盤10(図3参照)を介して交流機器41に給電される。主電路Laは、1本の中性線Nと2本の電圧線L1,L2とを有し、中性線Nは柱上トランスTrにおいてB種接地E1が施される。 【0041】 宅内に引き込まれた主電路Laは、中性線Nと各一方の電圧線L1,L2の線間電圧(100V)と、両電圧線L1,L2の線間電圧(200V)とを交流機器41に印加し、100V用の交流機器41と200V用の交流機器41とに電源を供給することが可能になっている。」 「【0043】 図示例のAC-DC変換器21は、中性線Nと電圧線L1とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して正極性である直流電圧(+150V)への電力変換を行い、中性線Nと電圧線L2とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して負極性である直流電圧(-150V)への電力変換を行っている。AC-DC変換器21から出力される直流の電圧値は、交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧(交流電圧の最大値にほぼ等しい電圧)よりやや高い程度に設定される。」 「【0046】 昨今、インバータ回路を内蔵した交流機器41が増加しており、照明器具のほかエアコン、冷蔵庫、洗濯機などにもインバータ回路が内蔵されてきている。この種のインバータ回路では、交流を全波整流する整流回路と、力率改善を兼ねたDC-DC変換器(多くは、チョッパ回路)とをインバータ回路の前段に設ける構成が多く採用されている。また、インバータ回路とDC-DC変換器とのスイッチング素子を共用する回路構成も知られている。 【0047】 すなわち、この種の交流機器41の電源回路は、整流回路とスイッチング電源回路との組み合わせということができる。したがって、AC-DC変換器21の出力電圧を、整流回路の出力電圧である交流電圧の最大値程度の電圧とするのである。言い換えると、AC-DC変換器21の出力電圧を、スイッチング電源回路の入力電圧として用いることができる電圧範囲に設定していることになる。 【0048】 このことから、インバータ回路を内蔵した100V用の交流機器41であれば150V程度の直流電圧をDC-DC変換器の入力電圧とすることで動作可能であり、インバータ回路を内蔵した200V用の交流機器41であれば300V程度の直流電圧をDC-DC変換器の入力電圧とすることで動作可能である。すなわち、直流給電路における主電路Ldを、中性線Nと、+150Vの正電圧線L+と、-150Vの負電圧線L-との3線式としておき、インバータ回路を内蔵した交流機器41についてDC-DC変換器の入力端に主電路Ldを接続することで、交流機器41を動作させることが可能になる。」 「【0053】 ところで、図3に示すように、直流主幹ブレーカ31と直流分岐ブレーカ32との間には漏電検出器33を配置している。直流の漏電を検出する技術は種々知られており、抵抗ブリッジ回路を用いて電流の平衡を監視する技術、いわゆる直流変流器(環状のコアとホール素子とを用いた電流検出器)を用いる技術、電圧が周期的に変化する信号(交流信号やパルス信号)を経路中の適宜の箇所に注入する信号注入器と零相変流器とを用いて信号の漏れの有無を検出する技術などがある。」 「【0056】 図2に示す漏電検出器33は、直流給電路の主電路Ldにおける漏電の検出(漏電測定)のほか、正電圧線L+と中性線Nとを含む経路での漏電の検出(+側漏電検出)、負電圧線L-と中性線Nとを含む経路での漏電の検出(-側漏電検出)、中性線Nの欠相の検出(中性線欠相検出)との4種類の異常を検出することが可能になっている。また、直流主幹ブレーカ31は、外部からの引外し信号によって接点部rを強制的に開極させる外部引外し機構MFを備えており、漏電検出器33が異常を検出したときに直流主幹ブレーカ31に引外し信号を出力するように構成している。なお、図示例では、直流主幹ブレーカ31のみを制御しているが、主幹ブレーカ11の開閉を制御することも可能である。」 したがって、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「建築物に適用される配電システムであって(【0024】)、 商用電源ACから交流給電路における主電路Laを分電盤10に設けた主幹ブレーカに接続し、分電盤10内に設けた複数個の分岐ブレーカ12により複数の分岐電路Lbに分岐させ、 分岐電路Lbからは、交流電力により駆動される照明器具、AV機器、IH調理器、洗濯機、掃除機、給湯器などの電気機器(以下、「交流機器」という)41に対して交流100Vまたは交流200Vの給電を行い(【0025】)、 分電盤10に設けた分岐ブレーカ12のいずれかはAC-DC変換器21に給電し(【0026】)、 AC-DC変換器21の直流出力端は、直流給電路の主電路Ldに接続され(【0028】)、 直流給電路の主電路Ldは、直流分電盤30に設けた直流主幹ブレーカ31に接続され、 直流主幹ブレーカ31には、漏電検出器33が接続されるとともに、複数個の直流分岐ブレーカ32が接続され、 各直流分岐ブレーカ32には、それぞれ分岐電路Lcが接続され(【0032】)、 分岐電路Lcの線間電圧を、+150Vと-150Vと300Vとの3種類のうちのいずれかから選択できるようにしており(【0033】)、 中性線Nと正電圧線L+とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は+150Vになり、 中性線Nと負電圧線L-と選択することより分岐電路Lcの線間電圧は-150Vになり、 正電圧線L+と負電圧線L-とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は300Vになり(【0034】)、 照明器具のような低負荷の電気機器だけではなく、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機のような高負荷の電気機器42を駆動可能な程度の電力を確保することができ、 これらの電気機器42は、分岐電路Lcにほぼ定常的に接続されているから、 抜き差し時にアークの発生しない専用の直流コンセント43を用い(【0035】)、 商用電源AC(つまり、柱上トランスTr)からは交流給電路である単相3線式の主電路Laが住宅Hに引き込まれ、分電盤10を介して交流機器41に給電され(【0040】)、 宅内に引き込まれた主電路Laは、中性線Nと各一方の電圧線L1,L2の線間電圧(100V)と、両電圧線L1,L2の線間電圧(200V)とを交流機器41に印加し、100V用の交流機器41と200V用の交流機器41とに電源を供給することが可能になっており(【0041】)、 AC-DC変換器21は、中性線Nと電圧線L1とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して正極性である直流電圧(+150V)への電力変換を行い、中性線Nと電圧線L2とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して負極性である直流電圧(-150V)への電力変換を行い、 AC-DC変換器21から出力される直流の電圧値は、交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧(交流電圧の最大値にほぼ等しい電圧)よりやや高い程度に設定され(【0043】)、 インバータ回路を内蔵した交流機器41が増加しており、照明器具のほかエアコン、冷蔵庫、洗濯機などにもインバータ回路が内蔵されてきており、 この種のインバータ回路では、交流を全波整流する整流回路と、力率改善を兼ねたDC-DC変換器(多くは、チョッパ回路)とをインバータ回路の前段に設ける構成が多く採用されており(【0046】)、 インバータ回路を内蔵した200V用の交流機器41であれば300V程度の直流電圧をDC-DC変換器の入力電圧とすることで動作可能であり、 直流給電路における主電路Ldを、中性線Nと、+150Vの正電圧線L+と、-150Vの負電圧線L-との3線式としておき、インバータ回路を内蔵した交流機器41についてDC-DC変換器の入力端に主電路Ldを接続することで、交流機器41を動作させることが可能になり(【0048】)、 直流主幹ブレーカ31と直流分岐ブレーカ32との間には漏電検出器33を配置しており(【0053】)、 漏電検出器33は、直流給電路の主電路Ldにおける漏電の検出(漏電測定)のほか、正電圧線L+と中性線Nとを含む経路での漏電の検出(+側漏電検出)、負電圧線L-と中性線Nとを含む経路での漏電の検出(-側漏電検出)、中性線Nの欠相の検出(中性線欠相検出)との4種類の異常を検出することが可能になっており、 直流主幹ブレーカ31は、外部からの引外し信号によって接点部rを強制的に開極させる外部引外し機構MFを備えており、漏電検出器33が異常を検出したときに直流主幹ブレーカ31に引外し信号を出力するように構成している(【0056】)、 配電システム。」 また、前記甲第1号証に記載された事項からみて、甲第1号証の「配電システム」により「交流機器41」に対して給電する動作として記載されている内容は、当該「配電システム」により実行される「方法」を構成しているといえる。したがって、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1方法発明」という。)が記載されていると認められる。 「建築物に適用される配電システムによる給電方法であって(【0024】)、 商用電源ACから交流給電路における主電路Laを分電盤10に設けた主幹ブレーカに接続し、分電盤10内に設けた複数個の分岐ブレーカ12により複数の分岐電路Lbに分岐させ、 分岐電路Lbからは、交流電力により駆動される照明器具、AV機器、IH調理器、洗濯機、掃除機、給湯器などの電気機器(以下、「交流機器」という)41に対して交流100Vまたは交流200Vの給電を行い(【0025】)、 分電盤10に設けた分岐ブレーカ12のいずれかはAC-DC変換器21に給電し(【0026】)、 AC-DC変換器21の直流出力端は、直流給電路の主電路Ldに接続され(【0028】)、 直流給電路の主電路Ldは、直流分電盤30に設けた直流主幹ブレーカ31に接続され、 直流主幹ブレーカ31には、漏電検出器33が接続されるとともに、複数個の直流分岐ブレーカ32が接続され、 各直流分岐ブレーカ32には、それぞれ分岐電路Lcが接続され(【0032】)、 分岐電路Lcの線間電圧を、+150Vと-150Vと300Vとの3種類のうちのいずれかから選択できるようにしており(【0033】)、 中性線Nと正電圧線L+とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は+150Vになり、 中性線Nと負電圧線L-と選択することより分岐電路Lcの線間電圧は-150Vになり、 正電圧線L+と負電圧線L-とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は300Vになり(【0034】)、 照明器具のような低負荷の電気機器だけではなく、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機のような高負荷の電気機器42を駆動可能な程度の電力を確保することができ、 これらの電気機器42は、分岐電路Lcにほぼ定常的に接続されているから、抜き差し時にアークの発生しない専用の直流コンセント43を用い(【0035】)、 商用電源AC(つまり、柱上トランスTr)からは交流給電路である単相3線式の主電路Laが住宅Hに引き込まれ、分電盤10を介して交流機器41に給電され(【0040】)、 宅内に引き込まれた主電路Laは、中性線Nと各一方の電圧線L1,L2の線間電圧(100V)と、両電圧線L1,L2の線間電圧(200V)とを交流機器41に印加し、100V用の交流機器41と200V用の交流機器41とに電源を供給することが可能になっており(【0041】)、 AC-DC変換器21は、中性線Nと電圧線L1とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して正極性である直流電圧(+150V)への電力変換を行い、中性線Nと電圧線L2とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して負極性である直流電圧(-150V)への電力変換を行い、 AC-DC変換器21から出力される直流の電圧値は、交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧(交流電圧の最大値にほぼ等しい電圧)よりやや高い程度に設定され(【0043】)、 インバータ回路を内蔵した交流機器41が増加しており、照明器具のほかエアコン、冷蔵庫、洗濯機などにもインバータ回路が内蔵されてきており、 この種のインバータ回路では、交流を全波整流する整流回路と、力率改善を兼ねたDC-DC変換器(多くは、チョッパ回路)とをインバータ回路の前段に設ける構成が多く採用されており、(【0046】)、 インバータ回路を内蔵した200V用の交流機器41であれば300V程度の直流電圧をDC-DC変換器の入力電圧とすることで動作可能であり、 直流給電路における主電路Ldを、中性線Nと、+150Vの正電圧線L+と、-150Vの負電圧線L-との3線式としておき、インバータ回路を内蔵した交流機器41についてDC-DC変換器の入力端に主電路Ldを接続することで、交流機器41を動作させることが可能になり(【0048】)、 直流主幹ブレーカ31と直流分岐ブレーカ32との間には漏電検出器33を配置しており(【0053】)、 漏電検出器33は、直流給電路の主電路Ldにおける漏電の検出(漏電測定)のほか、正電圧線L+と中性線Nとを含む経路での漏電の検出(+側漏電検出)、負電圧線L-と中性線Nとを含む経路での漏電の検出(-側漏電検出)、中性線Nの欠相の検出(中性線欠相検出)との4種類の異常を検出することが可能になっており、 直流主幹ブレーカ31は、外部からの引外し信号によって接点部rを強制的に開極させる外部引外し機構MFを備えており、漏電検出器33が異常を検出したときに直流主幹ブレーカ31に引外し信号を出力するように構成している(【0056】)、 配電システムによる給電方法。」 (2)甲第7号証について 甲第7号証には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、直流非接地電路における電路と大地間の絶縁を監視する技術に関し、特に、地絡継電器が動作する以前の絶縁状態を監視する技術に関する。」 「【0023】 以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。図1は本発明を説明するための構成図で、1は直流電源、2,3は直流電源1に接続されている正極及び負極側の正極電路及び負極電路、4は絶縁監視装置を示す。該絶縁監視装置4は、電路電圧Vを取り込み電路電圧を検出する電路電圧検出手段41、この電路電圧を分圧する分圧用抵抗体R1、R3及びこの分圧用抵抗体R1とR3の分圧比を補助分圧抵抗体R6を切り替えて変更する分圧比の切替手段42を有する。 【0024】 43は検出抵抗体からなる電流検出手段で、分圧比の切替手段42と大地E間に接地線44を介して接続され、分圧用抵抗体から大地E間に流れる電流を検出する。45は電流検出手段43の検出信号を増幅する増幅回路、46はこの増幅回路45の出力信号と電路電圧検出手段41で検出した電路電圧信号を入力し、これら入力信号をA/D変換器46でデジタル信号に変換して演算手段47に入力する。」 「【0026】 R2は本発明が検出監視しようとする正極電路と大地間の正極側絶縁抵抗、R4は負極電路と大地間の負極側絶縁抵抗である。この正極側、負極側絶縁抵抗R2及びR4は電路正常の状態では無限大に近く、電路と大地間の絶縁が劣化することにより現れ変化する。 【0027】 今、正極電路2と大地間の絶縁が劣化し、正極側絶縁抵抗R2が発生すると、分圧比の切替手段42の接点がa側オン、b側オフの状態のときは、分圧用抵抗体R3に補助分圧抵抗体R6が加わり、分圧比はR1/(R3+R6)となり、分圧された電流は電流検出手段43から大地Eに流れる。b側オン、a側オフのときは、分圧比は(R1+R6)/R3となり、分圧された電流による電流検出手段43から大地Eに流れる。 【0028】 電流検出手段43は切替手段42で分圧比を切り替えたときに流れる電流を夫々検出した検出信号を、増幅回路45、A/D変換器46を介して演算手段47に入力する。演算手段47は夫々の入力信号と電路電圧検出手段41からの電圧信号を基に正極側、負極側絶縁抵抗R2、R4を算出する。48は分圧比の切替手段42の切替接点を制御する切替制御手段で、所定の時間間隔で接点を交互に切り替える。49は計測表示手段で、演算手段47で演算した結果を可視可能な状態で数字やグラフ等で表示する。50は警報手段で、絶縁抵抗値があらかじめ設定した値以下となったとき音又は光によって警報する。」 「【図1】 [図:0001399335000001.jpg] 」 したがって、甲第7号証には次の技術が記載されている。 「直流電源1に接続されている正極及び負極側の正極電路2及び負極電路3と大地間の絶縁を監視する技術において 絶縁監視装置4は、電路電圧Vを取り込み電路電圧を検出する電路電圧検出手段41、この電路電圧を分圧する分圧用抵抗体R1、R3及びこの分圧用抵抗体R1とR3の分圧比を補助分圧抵抗体R6を切り替えて変更する分圧比の切替手段42を有し、 43は検出抵抗体からなる電流検出手段で、分圧比の切替手段42と大地E間に接地線44を介して接続され、分圧用抵抗体から大地E間に流れる電流を検出し、 R2は検出監視しようとする正極電路と大地間の正極側絶縁抵抗、R4は負極電路と大地間の負極側絶縁抵抗であり、 この正極側、負極側絶縁抵抗R2及びR4は電路正常の状態では無限大に近く、電路と大地間の絶縁が劣化することにより現れ変化し、 正極電路2と大地間の絶縁が劣化し、正極側絶縁抵抗R2が発生すると、分圧比の切替手段42の接点がa側オン、b側オフの状態のときは、分圧用抵抗体R3に補助分圧抵抗体R6が加わり、分圧比はR1/(R3+R6)となり、分圧された電流は電流検出手段43から大地Eに流れ、 b側オン、a側オフのときは、分圧比は(R1+R6)/R3となり、分圧された電流による電流検出手段43から大地Eに流れ、 電流検出手段43は切替手段42で分圧比を切り替えたときに流れる電流を夫々検出した検出信号を、増幅回路45、A/D変換器46を介して演算手段47に入力し、 演算手段47は夫々の入力信号と電路電圧検出手段41からの電圧信号を基に正極側、負極側絶縁抵抗R2、R4を算出し、 50は警報手段で、絶縁抵抗値があらかじめ設定した値以下となったとき音又は光によって警報すること。」 (3)甲第8号証について 甲第8号証には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、電子機器の保護回路およびこれを備えた電子機器システムに関する。」 「【0020】 図1は、本実施形態における保護回路1を示す概略の構成図である。図3の比較例と同一の要素には同一の符号を付与している。 本実施形態の保護回路1は、バリスタ5と、逆接続保護回路3と、突入電流防止回路2とを含んで構成される。保護回路1は、不図示の電源から正極端子6を介して電力の供給を受け、この電力を電子機器4に供給し、この電子機器4を電源の逆接続や電磁妨害波(electromagnetic interference:EMI)から保護する。 【0021】 バリスタ5は、比較例と同様に、この保護回路1を高電圧から保護する素子である。このバリスタ5により、電子機器4や保護回路1を静電気放電から保護することができる。」 「【図1】 [図:0001399335000002.jpg] 」 したがって、甲第8号証には次の技術が記載されている。 「電子機器システムにおいて、 保護回路1は、バリスタ5と、逆接続保護回路3と、突入電流防止回路2とを含んで構成され、 保護回路1は、電源から正極端子6を介して電力の供給を受け、この電力を電子機器4に供給し、この電子機器4を電源の逆接続や電磁妨害波(electromagneticinterference:EMI)から保護し、 バリスタ5は、この保護回路1を高電圧から保護する素子であり、 このバリスタ5により、電子機器4や保護回路1を静電気放電から保護することができること。」 (4)甲第9号証について 甲第9号証には、次の事項が記載されている。 「【0019】 図2は、本発明に係る電力供給システムのより具体的な実施形態の一例を示した構成図である。このシステムは、分散型電源として、小型発電システム20、22と、燃料電池システム24と、電力貯蔵システム26と、太陽光発電システム28と、風力発電システム30とを備えている。」 「【0022】 また、電力貯蔵システム26は、レドックスフロー電池(RF)やナトリウム-硫黄電池(NAS)、鉛蓄電池など、電力の貯蔵可能な手段を備えたシステムであり、電力消費量の少ない夜間等に商用電源10から商用電力供給系統37を介して安価な電力を取得して貯蔵して、電力消費量の大きい昼間等に、貯蔵した電力を放出する。電力は、直流電力として2つの系統26a、26bを通じて放出され、一方の系統26aでは、放出された直流電力がDC/ACコンバータ38により交流電力に変換されて交流電力供給系統46に供給される。他方の系統26bでは、放出された直流電力がDC/DCコンバータ40を介してそのまま直流電力として直流電力供給系統48に供給される。また、電力貯蔵システム26に電力を貯蔵するための商用電力供給系統37には、タイマー制御により開閉動作する開閉スイッチMC2が設けられ、昼間時等の電力放出時には開閉スイッチMC2が開かれて電力貯蔵システム26への電力供給を確実に遮断する。一方、夜間時等の電力貯蔵時には開閉スイッチMC2が閉じて電力貯蔵システム26へ電力供給が行われる。」 「【0024】 太陽光発電システム28は、太陽光のエネルギーにより電力を生成するシステムであり、本実施形態では、太陽光発電システム28により直流電力が生成され、生成された直流電力は、DC/DCコンバータ42を介して直流電力供給系統48に供給される。また、風力発電システム30は、風力により電力を生成するシステムであり、本実施形態では、風力発電システム30により直流電力が生成され、生成された直流電力はDC/DCコンバータ44を介して直流電力供給系統48に供給される。」 「【0026】 一方、本システムの負荷としては、一般負荷(3φ:三相)50、52と、余剰発電負荷(3φ)54と、防災負荷(3φ)56と、無停電負荷(3φ、1φ)58、60と、無停電照明62と、防災照明64と、余剰発電照明66と、その他負荷68とがある。一般負荷50、52、余剰発電負荷54、防災負荷56および無停電負荷58、60は交流負荷であり、無停電照明62、防災照明64、余剰発電照明66及びその他負荷68は直流負荷である。」 「【0032】 一方、無停電照明62は、例えば、防災センターの照明など、停電や災害時等の非常時においても電力供給が停止してはならない照明のことであり、分散型電源26、28、30の直流側から直流電力供給系統48を通じて電力供給を受けるようになっている。また、無停電照明62は、後に詳しく説明するように、交流側の分散型電源20、22、24や商用電源10から交流電力供給系統46、72及びバイパス経路74を通じて電力供給を受けることもできる。」 したがって、甲第9号証には次の技術が記載されている。 「電力供給システムにおいて、 分散型電源として、小型発電システム20、22と、燃料電池システム24と、電力貯蔵システム26と、太陽光発電システム28と、風力発電システム30とを備えており、 電力貯蔵システム26は、レドックスフロー電池(RF)やナトリウム-硫黄電池(NAS)、鉛蓄電池など、電力の貯蔵可能な手段を備えたシステムであり、電力消費量の少ない夜間等に商用電源10から商用電力供給系統37を介して安価な電力を取得して貯蔵して、電力消費量の大きい昼間等に、貯蔵した電力を放出し、 電力は、直流電力として2つの系統26a、26bを通じて放出され、一方の系統26aでは、放出された直流電力がDC/ACコンバータ38により交流電力に変換されて交流電力供給系統46に供給される。他方の系統26bでは、放出された直流電力がDC/DCコンバータ40を介してそのまま直流電力として直流電力供給系統48に供給され、 太陽光発電システム28は、太陽光のエネルギーにより電力を生成するシステムであり、太陽光発電システム28により直流電力が生成され、生成された直流電力は、DC/DCコンバータ42を介して直流電力供給系統48に供給され、 風力発電システム30は、風力により電力を生成するシステムであり、風力発電システム30により直流電力が生成され、生成された直流電力はDC/DCコンバータ44を介して直流電力供給系統48に供給され、 負荷としては、一般負荷(3φ:三相)50、52と、余剰発電負荷(3φ)54と、防災負荷(3φ)56と、無停電負荷(3φ、1φ)58、60と、無停電照明62と、防災照明64と、余剰発電照明66と、その他負荷68とがあり、 無停電照明62は、例えば、防災センターの照明など、停電や災害時等の非常時においても電力供給が停止してはならない照明のことであり、分散型電源26、28、30の直流側から直流電力供給系統48を通じて電力供給を受けるようになっていること。」 2.本件発明について (1)本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア.「建築物に組み込まれる直流給電システムであって、」について 甲1発明の「建築物に適用される配電システム」は、「直流給電路における主電路Ldを、中性線Nと、+150Vの正電圧線L+と、-150Vの負電圧線L-との3線式としておき、インバータ回路を内蔵した交流機器41についてDC-DC変換器の入力端に主電路Ldを接続することで、交流機器41を動作させることが可能になる」ものであって、交流機器41に直流電力を給電していることから、本件発明1の「建築物に組み込まれる直流給電システム」に相当する。 イ.「少なくとも日本国内の系統交流電源が供給する交流電力が入力される入力部と、」について 甲1発明の「商用電源AC」は、「交流100Vまたは交流200Vの給電を行う」ものであるから、本件発明1の「日本国内の系統交流電源」と「交流電源」である点で共通する。 また、甲1発明の「商用電源AC」は、「交流電力により駆動される」「交流機器41に対して交流100Vまたは交流200Vの給電を行」うことから、甲1発明の「交流電力」は、本件発明1の「交流電力」に相当する。 そして、甲1発明においては、「商用電源ACから交流給電路における主電路Laを分電盤10に設けた主幹ブレーカに接続し、分電盤10内に設けた複数個の分岐ブレーカ12により複数の分岐電路Lbに分岐させ、」「分岐電路Lbからは、交流電力により駆動される」「交流機器41に対して交流100Vまたは交流200Vの給電を行い、」「分電盤10に設けた分岐ブレーカ12のいずれかはAC-DC変換器21に給電」することから、甲1発明の商用電源ACがAC-DC変換器21に給電する部分は、本件発明1の「少なくとも日本国内の系統交流電源が供給する交流電力が入力される入力部」と、「少なくとも交流電源が供給する交流電力が入力される入力部」である点で共通する。 ウ.「前記入力部に入力された交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、」について 甲1発明の「AC-DC変換器21」は、交流電力を直流電力に変換するものであるから、交流電力を直流電力に変換する機能部を備えることは自明である。 よって、イ.を踏まえると、甲1発明の「AC-DC変換器21」の交流電力を直流電力に変換する機能部は、本件発明1の「前記入力部に入力された交流電力を直流電力に変換する電力変換部」に相当する。 エ.「前記電力変換部によって変換された直流電力の電圧値を変換する電圧変換部と、」について 甲1発明においては、「AC-DC変換器21は、中性線Nと電圧線L1とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して正極性である直流電圧(+150V)への電力変換を行い、中性線Nと電圧線L2とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して負極性である直流電圧(-150V)への電力変換を行い、AC-DC変換器21から出力される直流の電圧値は、交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧(交流電圧の最大値にほぼ等しい電圧)よりやや高い程度に設定され」ることから、甲1発明のAC-DC変換器21は、「交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧(交流電圧の最大値にほぼ等しい電圧)よりやや高い程度に設定」する機能を備える。 そして、「交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧」の値は、AC-DC変換器21の交流電力を直流電力に変換する機能部(ウ.より、本件発明1の「前記電力変換部」に相当)によって変換された直流電力の電圧値であり、それよりも「やや高い程度に設定」することは、本件発明1の「前記電力変換部によって変換された直流電力の電圧値を変換する」することに相当する。 したがって、AC-DC変換器21の、「交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧(交流電圧の最大値にほぼ等しい電圧)よりやや高い程度に設定」する機能部は、本件発明1の「前記電力変換部によって変換された直流電力の電圧値を変換する電圧変換部」に相当する。 オ.「前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷に出力する出力部と、」について 甲1発明における「交流機器41」は、「交流電力により駆動され」、「インバータ回路を内蔵」し、「インバータ回路では、交流を全波整流する整流回路と、力率改善を兼ねたDC-DC変換器(多くは、チョッパ回路)とをインバータ回路の前段に設け」ることから、本件発明1の「前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷」と、「前記交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える交流用負荷」である点で共通する。 また、甲1発明の「300V程度の直流電圧」は、電圧の数値として、本件発明1の「電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力」に含まれる。 そして、甲1発明においては、「AC-DC変換器21の直流出力端は、直流給電路の主電路Ldに接続され、」「直流給電路の主電路Ldは、直流分電盤30に設けた直流主幹ブレーカ31に接続され、直流主幹ブレーカ31には、」「複数個の直流分岐ブレーカ32が接続され、各直流分岐ブレーカ32には、それぞれ分岐電路Lcが接続され、分岐電路Lcの線間電圧を、+150Vと-150Vと300Vとの3種類のうちのいずれかから選択できるようにしており、」「正電圧線L+と負電圧線L-とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は300Vになり、」「インバータ回路を内蔵した200V用の交流機器41であれば300V程度の直流電圧をDC-DC変換器の入力電圧とすることで動作可能であり、」「直流給電路における主電路Ldを、中性線Nと、+150Vの正電圧線L+と、-150Vの負電圧線L-との3線式としておき、インバータ回路を内蔵した交流機器41についてDC-DC変換器の入力端に主電路Ldを接続することで、交流機器41を動作させることが可能にな」ることから、甲1発明の「AC-DC変換器21の直流出力端」は、本件発明1の「前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷に出力する出力部」と「前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を、前記交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える交流用負荷に出力する出力部」である点で共通する。 カ.「前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ、」について 甲1発明においては、「前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ」る点は特定されていない。 キ.「前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される、」について 前記オ.より、甲1発明は、本件発明1の「前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される、」ことと「前記交流用負荷には、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される、」点で共通する。 以上のことから、本件発明1と甲1発明とは、 「建築物に組み込まれる直流給電システムであって、 少なくとも交流電源が供給する交流電力が入力される入力部と、 前記入力部に入力された交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、 前記電力変換部によって変換された直流電力の電圧値を変換する電圧変換部と、 前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を、前記交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える交流用負荷に出力する出力部と、 を備え、 前記交流用負荷には、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が前記直流給電システムから供給される、 ことを特徴とする直流給電システム。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 交流電源について、本件発明1は「日本国内の系統交流電源」であるのに対し、甲1発明では「日本国内の系統電源」であることが特定されていない点。 (相違点2) 交流用負荷について、本件発明1は、「複数の」交流用負荷であり、「交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ、」「複数の」の交流用負荷に電圧が「共通化された」直流電力が供給されるのに対し、甲1発明では交流用負荷が「複数」であること、及び「交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ」ることは特定されておらず、また、「複数の」交流用負荷に供給される直流電力の電圧が「共通化される」ことが特定されていない点。 上記相違点について検討する。 (相違点1) 甲1発明では「商用電源AC(つまり、柱上トランスTr)からは交流給電路である単相3線式の主電路Laが住宅Hに引き込まれ、分電盤10を介して交流機器41に給電され、宅内に引き込まれた主電路Laは、中性線Nと各一方の電圧線L1,L2の線間電圧(100V)と、両電圧線L1,L2の線間電圧(200V)とを交流機器41に印加し、100V用の交流機器41と200V用の交流機器41とに電源を供給することが可能になっており」、「交流100Vまたは交流200Vの給電を行う」ものであるところ、日本国内の系統交流電源は、柱上変圧器により交流100Vまたは交流200Vに変圧されて需要家に給電を行うものであることは技術常識であるから、当該技術常識を踏まえると、甲1発明において、交流電源を日本国内の系統電源とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (相違点2) 甲1発明においては、「AC-DC変換器21の直流出力端は、直流給電路の主電路Ldに接続され、直流給電路の主電路Ldは、直流分電盤30に設けた直流主幹ブレーカ31に接続され、直流主幹ブレーカ31には、漏電検出器33が接続されるとともに、複数個の直流分岐ブレーカ32が接続され各直流分岐ブレーカ32には、それぞれ分岐電路Lcが接続され、分岐電路Lcの線間電圧を、+150Vと-150Vと300Vとの3種類のうちのいずれかから選択できるようにしており」、「正電圧線L+と負電圧線L-とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は300Vになり、照明器具のような低負荷の電気機器だけではなく、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機のような高負荷の電気機器42を駆動可能な程度の電力を確保することができ、これらの電気機器42は、分岐電路Lcにほぼ定常的に接続されているから、抜き差し時にアークの発生しない専用の直流コンセント43を用い」ることから、複数の電気機器42が、線間電圧が300Vの直流給電路の分岐電路Lcにほぼ定常的に接続されている。 そして、甲1発明においては、「インバータ回路を内蔵した交流機器41が増加しており、照明器具のほかエアコン、冷蔵庫、洗濯機などにもインバータ回路が内蔵されてきており、」「インバータ回路を内蔵した200V用の交流機器41であれば300V程度の直流電圧をDC-DC変換器の入力電圧とすることで動作可能」であることから、インバータ回路を内蔵した、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの複数の交流機器41を、線間電圧が300Vの直流給電路に定常的に接続させ、前記複数の交流機器41に、電圧が共通化された300Vの値の直流電力を供給することは、当業者が容易になし得たことである。 また、甲1発明においては、300Vの値の直流電力を供給する交流機器41について、「200V用の交流機器41」が例示されているが、100Vと200Vを含む広範囲の電圧の交流電力に対応する負荷は、例を挙げるまでもなく周知であるところ、甲1発明において、100Vと200Vを含む広範囲の電圧の交流電力に対応する「100V用交流負荷」を採用することは、当業者が適宜設計し得た事項に過ぎない。 以上から、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件発明2について 直流電源に接続されている正極及び負極側の正極電路及び負極電路と大地間の絶縁を監視する技術において絶縁監視装置を備えることは、例えば、甲第7号証に記載されるように周知技術である。 甲1発明において、上記周知技術に基づき、甲1発明の「正電圧線L+と負電圧線L-」に、直流電路の絶縁を監視する絶縁監視装置を備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、本件発明2は、甲1発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件発明3について 甲1発明は、「直流給電路の主電路Ldは、直流分電盤30に設けた直流主幹ブレーカ31に接続され、直流主幹ブレーカ31と直流分岐ブレーカ32との間には漏電検出器33を配置しており、漏電検出器33は、直流給電路の主電路Ldにおける漏電の検出(漏電測定)のほか、正電圧線L+と中性線Nとを含む経路での漏電の検出(+側漏電検出)、負電圧線L-と中性線Nとを含む経路での漏電の検出(-側漏電検出)、中性線Nの欠相の検出(中性線欠相検出)との4種類の異常を検出することが可能になっており、直流主幹ブレーカ31は、外部からの引外し信号によって接点部rを強制的に開極させる外部引外し機構MFを備えており、漏電検出器33が異常を検出したときに直流主幹ブレーカ31に引外し信号を出力するように構成している」ことから、甲1発明の「直流主幹ブレーカ31」は、本件発明3の「前記出力部の直流電路からの漏電を遮断する漏電遮断器」に相当する。 よって、本件発明3は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本件発明4について 電子機器システムにおいて、電子機器を静電気放電から保護するサージ吸収素子を備えることは、例えば、甲第8号証に記載されるように周知技術である。 甲1発明において、当該周知技術に基づき、甲1発明の「交流機器41」を静電気放電から保護するサージ吸収素子を備えることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、本件発明4は、甲1発明及び当該周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本件発明5について 停電時に直流電力供給系統を通じて防災センターの照明などに電力を供給することは、例えば、甲第9号証に記載されるように周知技術である。 したがって、本件発明5は、甲1発明及び当該周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)本件発明6について 配電システムをどのような建築物に適用するかは、当業者が適宜選択し得た事項であり、病棟に適用することは、当業者が容易に想到し得たものである。 また、その際、どのような負荷に適用するかは、当業者が適宜設計し得た事項である。 よって、本件発明6は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7)本件発明7について 本件発明7と甲1方法発明とを対比する。 ア.「建築物に組み込まれる直流給電システムの直流給電方法であって、」について 甲1方法発明の「建築物に適用される配電システム」は、「直流給電路における主電路Ldを、中性線Nと、+150Vの正電圧線L+と、-150Vの負電圧線L-との3線式としておき、インバータ回路を内蔵した交流機器41についてDC-DC変換器の入力端に主電路Ldを接続することで、交流機器41を動作させることが可能になる」ものであって、交流機器41に直流電力を給電していることから、甲1方法発明の「建築物に適用される配電システム」は、本件発明7の「建築物に組み込まれる直流給電システム」に相当し、甲1方法発明の「給電方法」は、本件発明7の「直流給電方法」に相当する。 よって、甲1方法発明の「建築物に適用される配電システムによる給電方法」は、本件発明7の「建築物に組み込まれる直流給電システムの直流給電方法」に相当する。 イ.「少なくとも日本国内の系統交流電源が供給する交流電力が入力される工程と、」について 甲1方法発明の「商用電源AC」は、「交流100Vまたは交流200Vの給電を行う」ものであるから、本件発明7の「日本国内の系統交流電源」と「交流電源」である点で共通する。 また、甲1方法発明の「商用電源AC」は、「交流電力により駆動される」「交流機器41に対して交流100Vまたは交流200Vの給電を行」うことから、甲1方法発明の「交流電力」は、本件発明7の「交流電力」に相当する。 そして、甲1方法発明においては、「商用電源ACから交流給電路における主電路Laを分電盤10に設けた主幹ブレーカに接続し、分電盤10内に設けた複数個の分岐ブレーカ12により複数の分岐電路Lbに分岐させ、」「分岐電路Lbからは、交流電力により駆動される」「交流機器41に対して交流100Vまたは交流200Vの給電を行い、」「分電盤10に設けた分岐ブレーカ12のいずれかはAC-DC変換器21に給電」することから、甲1方法発明において、商用電源ACからの交流電力がAC-DC変換器21に給電される工程は、本件発明7の「少なくとも日本国内の系統交流電源が供給する交流電力が入力される工程」と、「少なくとも交流電源が供給する交流電力が入力される工程」である点で共通する。 ウ.「入力された交流電力を直流電力に変換する工程と、」について 甲1方法発明の「AC-DC変換器21」は、交流電力を直流電力に変換するものであるから、交流電力を直流電力に変換する機能を備えることは自明である。 よって、イ.を踏まえると、甲1方法発明において、AC-DC変換器21が交流電力を直流電力に変換する工程は、本件発明7の「入力された交流電力を直流電力に変換する工程」に相当する。 エ.「交流電力から変換された直流電力の電圧値を変換する工程と、」について 甲1方法発明においては、「AC-DC変換器21は、中性線Nと電圧線L1とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して正極性である直流電圧(+150V)への電力変換を行い、中性線Nと電圧線L2とにより供給される100Vの交流電圧から中性線Nに対して負極性である直流電圧(-150V)への電力変換を行い、AC-DC変換器21から出力される直流の電圧値は、交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧(交流電圧の最大値にほぼ等しい電圧)よりやや高い程度に設定され」ることから、甲1方法発明のAC-DC変換器21は、「交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧(交流電圧の最大値にほぼ等しい電圧)よりやや高い程度に設定」する機能を備える。 そして、甲1方法発明において、「交流電圧を全波整流して平滑したときの電圧」の値は、交流電力から変換された直流電力の電圧値であり、それよりも「やや高い程度に設定」する工程は、本件発明7の「交流電力から変換された直流電力の電圧値を変換する工程」に相当する。 オ.「電圧が283[V]以上340[V]以下の値に変換された直流電力を、少なくとも、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷に出力する工程と、」について 甲1方法発明における「交流機器41」は、「交流電力により駆動され」、「インバータ回路を内蔵」し、「インバータ回路では、交流を全波整流する整流回路と、力率改善を兼ねたDC-DC変換器(多くは、チョッパ回路)とをインバータ回路の前段に設け」ることから、本件発明7の「前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷」と、「前記交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える交流用負荷」である点で共通する。 また、甲1方法発明の「300V程度の直流電圧」は、電圧の数値として、本件発明7の「電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力」に含まれる。 そして、甲1方法発明においては、「AC-DC変換器21の直流出力端は、直流給電路の主電路Ldに接続され、」「直流給電路の主電路Ldは、直流分電盤30に設けた直流主幹ブレーカ31に接続され、直流主幹ブレーカ31には、」「複数個の直流分岐ブレーカ32が接続され、各直流分岐ブレーカ32には、それぞれ分岐電路Lcが接続され、分岐電路Lcの線間電圧を、+150Vと-150Vと300Vとの3種類のうちのいずれかから選択できるようにしており、」「正電圧線L+と負電圧線L-とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は300Vになり、」「インバータ回路を内蔵した200V用の交流機器41であれば300V程度の直流電圧をDC-DC変換器の入力電圧とすることで動作可能であり、」「直流給電路における主電路Ldを、中性線Nと、+150Vの正電圧線L+と、-150Vの負電圧線L-との3線式としておき、インバータ回路を内蔵した交流機器41についてDC-DC変換器の入力端に主電路Ldを接続することで、交流機器41を動作させることが可能にな」ることから、甲1方法発明において、「インバータ回路を内蔵した交流機器41についてDC-DC変換器の入力端に主電路Ldを接続」し、300V程度の直流電圧を交流機器41に出力する工程は、本件発明7の「電圧が283[V]以上340[V]以下の値に変換された直流電力を、少なくとも、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える複数の交流用負荷に出力する工程」と「電圧が283[V]以上340[V]以下の値に変換された直流電力を、少なくとも、前記交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える交流用負荷に出力する工程」である点で共通する。 カ.「前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ、」について 甲1方法発明においては、「前記交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ」る点は特定されていない。 キ.「前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が供給される、」について 前記オ.より、甲1方法発明は、本件発明7の「前記複数の交流用負荷には、電圧が共通化された283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が供給される、」ことと「前記交流用負荷には、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が供給される、」点で共通する。 以上のことから、本件発明7と甲1方法発明とは、 「建築物に組み込まれる直流給電システムの直流給電方法であって、 少なくとも交流電源が供給する交流電力が入力される工程と、 入力された交流電力を直流電力に変換する工程と、 交流電力から変換された直流電力の電圧値を変換する工程と、 電圧が283[V]以上340[V]以下の値に変換された直流電力を、少なくとも、前記交流電源が供給する交流電力によって動作可能な整流回路を備える交流用負荷に出力する工程と、 を備え、 前記交流用負荷には、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が供給される、 ことを特徴とする直流給電方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点3) 交流電源について、本件発明7は「日本国内の系統交流電源」であるのに対し、甲1方法発明では「日本国内の系統電源」であることが特定されていない点。 (相違点4) 交流用負荷について、本件発明7は、「複数の」交流用負荷であり、「交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ、」「複数の」の交流用負荷に電圧が「共通化された」直流電力が供給されるに対し、甲1方法発明では交流用負荷が「複数」であること及び「交流用負荷には、少なくとも100V用交流負荷が含まれ」ることは特定されておらず、また、「複数の」交流用負荷に供給される直流電力の電圧が「共通化される」ことが特定されていない点。 上記相違点について検討する。 (相違点3) 甲1方法発明では「商用電源AC(つまり、柱上トランスTr)からは交流給電路である単相3線式の主電路Laが住宅Hに引き込まれ、分電盤10を介して交流機器41に給電され、宅内に引き込まれた主電路Laは、中性線Nと各一方の電圧線L1,L2の線間電圧(100V)と、両電圧線L1,L2の線間電圧(200V)とを交流機器41に印加し、100V用の交流機器41と200V用の交流機器41とに電源を供給することが可能になっており」、「交流100Vまたは交流200Vの給電を行う」ものであるところ、日本国内の系統交流電源は、柱上変圧器により交流100Vまたは交流200Vに変圧されて需要家に給電を行うものであることは技術常識であるから、当該技術常識を踏まえると、甲1方法発明において、交流電源を日本国内の系統電源とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (相違点4) 甲1方法発明においては、「AC-DC変換器21の直流出力端は、直流給電路の主電路Ldに接続され、直流給電路の主電路Ldは、直流分電盤30に設けた直流主幹ブレーカ31に接続され、直流主幹ブレーカ31には、漏電検出器33が接続されるとともに、複数個の直流分岐ブレーカ32が接続され各直流分岐ブレーカ32には、それぞれ分岐電路Lcが接続され、分岐電路Lcの線間電圧を、+150Vと-150Vと300Vとの3種類のうちのいずれかから選択できるようにしており」、「正電圧線L+と負電圧線L-とを選択することにより分岐電路Lcの線間電圧は300Vになり、照明器具のような低負荷の電気機器だけではなく、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機のような高負荷の電気機器42を駆動可能な程度の電力を確保することができ、これらの電気機器42は、分岐電路Lcにほぼ定常的に接続されているから、抜き差し時にアークの発生しない専用の直流コンセント43を用い」ることから、複数の電気機器42が、線間電圧が300Vの直流給電路の分岐電路Lcにほぼ定常的に接続されている。 そして、甲1方法発明においては、「インバータ回路を内蔵した交流機器41が増加しており、照明器具のほかエアコン、冷蔵庫、洗濯機などにもインバータ回路が内蔵されてきており、」「インバータ回路を内蔵した200V用の交流機器41であれば300V程度の直流電圧をDC-DC変換器の入力電圧とすることで動作可能」であることから、インバータ回路を内蔵した、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの複数の交流機器41を、線間電圧が300Vの直流給電路に定常的に接続させ、前記複数の交流機器41に、電圧が共通化された300Vの値の直流電力を供給することは、当業者が容易になし得たことである。 また、甲1方法発明においては、300Vの値の直流電力を供給する交流機器41について、「200V用の交流機器41」が例示されているが、100Vと200Vを含む広範囲の電圧の交流電力に対応する負荷は、例を挙げるまでもなく周知であるところ、甲1方法発明において、100Vと200Vを含む広範囲の電圧の交流電力に対応する「100V用交流負荷」を採用することは、当業者が適宜設計し得た事項に過ぎない。 以上から、本件発明7は、甲1方法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本件請求項1~7に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件請求項1~7に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700231

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