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特許異議申立

2022-700137

栽培設備

審判番号
2022-700137
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-528881
登録番号
6923524
請求日
2022年02月17日
審決日
2022年09月16日
公報発行日
2022年12月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社スプレッド
  • 【権利者代理人】上羽 秀敏
  • 【異議申立人】藤田 幸三郎
審判長/審判官
  • 審判長 住田 秀弘
  • 審判官 土屋 真理子
  • 審判官 奈良田 新一
分類
P1651.113-YAA(A01G) / P1651.121-YAA(A01G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第6923524号発明「栽培設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6923524号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第6923524号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6923524号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)7月20日(優先権主張 平成28年7月20日)を国際出願日とする特許出願であって、令和3年8月2日にその特許権の設定登録がされ、同年同月18日に特許掲載公報が発行された。 その後の本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年2月17日 :特許異議申立人藤田 幸三郎(以下「申立人」 という。)による請求項1ないし6に係る特許 に対する特許異議の申立て 同年5月 9日付け:取消理由通知 同年6月28日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 同年7月21日付け:訂正請求があった旨の通知 同年8月24日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の請求について 1 訂正の内容 令和4年6月28日付け訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は当審において付与した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出して前記搬出コンベア上に載せる第1取出装置と、 を備える、栽培設備。」と記載されているのを、 「前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出して前記搬出コンベア上に載せる第1取出装置と、 を備え、 前記生育棚は、その上面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する、栽培設備。」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に、 「請求項1又は2に記載の栽培設備であって、 前記生育棚は、その上面、下面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する、栽培設備。」と記載されているのを、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「 植物の育苗を行うための育苗領域と、 植物の収穫を行うための収穫領域と、 長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚と、 内部に前記生育棚が配置され、天井板及び周壁で囲まれた生育室と、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記育苗領域から前記生育室に搬入する搬入コンベアと、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記生育室から前記収穫領域に搬出する搬出コンベアと、 前記生育棚の投入口側に配置され、前記搬入コンベア上の栽培パネルを前記投入口から前記生育棚に投入する第1投入装置と、 前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出して前記搬出コンベア上に載せる第1取出装置と、 を備え、 前記生育棚は、その上面、下面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する、栽培設備。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に、 「請求項1~3のいずれか1項に記載の栽培設備であって、 前記2以上の生育室のうち互いに隣接する2つの生育室は、一方の生育室内の前記生育棚の前記取出口と他方の生育室内の前記生育棚の前記取出口とが互いに対向するように、配置されている、栽培設備。」と記載されているのを、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「 植物の育苗を行うための育苗領域と、 植物の収穫を行うための収穫領域と、 長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚と、 内部に前記生育棚が配置され、天井板及び周壁で囲まれた生育室と、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記育苗領域から前記生育室に搬入する搬入コンベアと、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記生育室から前記収穫領域に搬出する搬出コンベアと、 前記生育棚の投入口側に配置され、前記搬入コンベア上の栽培パネルを前記投入口から前記生育棚に投入する第1投入装置と、 前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出して前記搬出コンベア上に載せる第1取出装置と、 を備え、 前記2以上の生育室のうち互いに隣接する2つの生育室は、一方の生育室内の前記生育棚の前記取出口と他方の生育室内の前記生育棚の前記取出口とが互いに対向するように、配置されている、栽培設備。」に訂正する。 (4)別の訂正単位とする求め 特許権者は、訂正後の請求項3及び4については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 2 訂正の適否の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の生育棚について、「その上面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ものと特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。)の段落【0058】には、「生育棚321の両側面のうち、少なくとも植物Vが配置される各段3213の部分は生育棚321の長手方向に渡って閉鎖されることが好ましい。生育棚321の両側面は、仕切板3216,3217によって閉鎖することができる。」と記載され、同段落【0059】には、「生育棚321の上面及び下面も、閉鎖されることが好ましい。生育棚321の上面及び下面は、側面と同様に、反射板等の仕切板3216及び3215を用いて閉鎖することができる。生育棚321の下面は、最下段に配置された養液槽によって閉鎖することもできる。」と記載されている。 よって、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について 上記アのとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項3が請求項1または2を引用するものであったものを、請求項1を引用するものについて独立形式に改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするとともに特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項2に係る訂正の目的は、上記アのとおりであるから、訂正事項2は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか1項を引用するものであったものを、請求項1を引用するものについて独立形式に改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするとともに特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項3に係る訂正の目的は、上記アのとおりであるから、訂正事項3は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (4)一群の請求項について 訂正事項1ないし3に係る訂正前の請求項1ないし6は、請求項2ないし6はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、一群の請求項である。 そうすると、本件訂正は、一群の請求項ごとに訂正の請求がされたものである。 (5)別の訂正単位とすることの求めについて 特許権者は、訂正後の請求項3及び4については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 しかし、訂正後に請求項3及び4は独立請求項とされたところ、訂正後の請求項5及び6は、訂正後の請求項1を引用するとともに、訂正後の請求項3及び4をも引用しているから、訂正後の請求項1、2、5及び6、訂正後の請求項3、5及び6並びに訂正後の請求項4ないし6は、それぞれ一群の請求項であり、共通する請求項5及び6を有するこれらの一群の請求項は、組み合わされて、訂正後の請求項1ないし6が1つの一群の請求項となる。 よって、訂正後の請求項3及び4について別の訂正単位とする求めは認められない。 3 小括 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上記第2で示したとおり、本件訂正請求による訂正は認容されるので、本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を「本件訂正発明1」などといい、まとめて「本件訂正発明」という。)。 「【請求項1】 植物の育苗を行うための育苗領域と、 植物の収穫を行うための収穫領域と、 長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚と、 内部に前記生育棚が配置され、天井板及び周壁で囲まれた生育室と、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記育苗領域から前記生育室に搬入する搬入コンベアと、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記生育室から前記収穫領域に搬出する搬出コンベアと、 前記生育棚の投入口側に配置され、前記搬入コンベア上の栽培パネルを前記投入口から前記生育棚に投入する第1投入装置と、 前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出して前記搬出コンベア上に載せる第1取出装置と、 を備え、 前記生育棚は、その上面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する、栽培設備。 【請求項2】 請求項1に記載の栽培設備であって、さらに、 前記生育室は2以上あり、前記2以上の生育室を互いに遮断するために前記2以上の生育室の間に設置される垂直仕切壁を備える、栽培設備。 【請求項3】 植物の育苗を行うための育苗領域と、 植物の収穫を行うための収穫領域と、 長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚と、 内部に前記生育棚が配置され、天井板及び周壁で囲まれた生育室と、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記育苗領域から前記生育室に搬入する搬入コンベアと、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記生育室から前記収穫領域に搬出する搬出コンベアと、 前記生育棚の投入口側に配置され、前記搬入コンベア上の栽培パネルを前記投入口から前記生育棚に投入する第1投入装置と、 前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出して前記搬出コンベア上に載せる第1取出装置と、 を備え、 前記生育棚は、その上面、下面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する、栽培設備。 【請求項4】 植物の育苗を行うための育苗領域と、 植物の収穫を行うための収穫領域と、 長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚と、 内部に前記生育棚が配置され、天井板及び周壁で囲まれた生育室と、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記育苗領域から前記生育室に搬入する搬入コンベアと、 前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記生育室から前記収穫領域に搬出する搬出コンベアと、 前記生育棚の投入口側に配置され、前記搬入コンベア上の栽培パネルを前記投入口から前記生育棚に投入する第1投入装置と、 前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出して前記搬出コンベア上に載せる第1取出装置と、 を備え、 前記2以上の生育室のうち互いに隣接する2つの生育室は、一方の生育室内の前記生育棚の前記取出口と他方の生育室内の前記生育棚の前記取出口とが互いに対向するように、配置されている、栽培設備。 【請求項5】 請求項1~4のいずれか1項に記載の栽培設備であって、 前記育苗領域は、 多段の育苗棚と、 前記育苗棚で育苗された植物を栽培パネルに定植する定植機と、 を含み、 前記搬入コンベアは、前記栽培パネルを前記定植機から前記生育領域に搬送する、栽培設備。 【請求項6】 請求項5に記載の栽培設備であって、 前記育苗領域は、さらに、 前記育苗棚の長手方向の一端側に配置され、前記育苗棚に植物を投入する第2投入装置と、 前記育苗棚の長手方向の他端側に配置され、前記育苗棚から植物を取り出す第2取出装置と、 を含む、栽培設備。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由通知で通知した取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、本件訂正前の本件特許の請求項1ないし6に係る発明に対して、証拠として甲第1号証ないし甲第9号証を提出し、次の特許異議申立理由を申し立てている。 (1)請求項1に係る発明は、甲第1号証の1ないし甲第4号証の2により特定される、本件特許の出願前に公然実施をされた発明(以下、単に「公然実施発明」という。)と同一であるか、公然実施発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)請求項2ないし6に記載された発明は、公然実施発明、甲第5号証、甲6号証、甲8号証、甲9号証に記載された事項並びに甲第6号証及び甲第7号証に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 申立人は、また、本件訂正発明1ないし6に対して、令和4年8月24日付けの意見書に添付して証拠として甲第10号証ないし第13号証を提出し、訂正により新たに生じた相違点は周知技術であり、本件訂正発明1ないし6は、依然として進歩性を有さない旨主張している。 2 取消理由の概要 当審が令和4年5月9日付けで、訂正前の本件特許の請求項1、2、5及び6について、特許権者に通知した取消理由の概要及びその証拠は次のとおりである。 本件特許の請求項1、2、5及び6に係る発明は、甲第1号証の1、甲第1号証の2及び甲第2号証により特定される、本件特許の出願前に公然実施をされた発明、本件特許の出願前に頒布された甲第5号証及び甲第9号証に記載された発明並びに周知技術に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第5 証拠について 1 申立人が申立書に添付して提出した証拠 申立人が、申立書に添付して提出した証拠は、以下のとおり。 甲第1号証の1:大嶋泰平他、「完全人工光型植物工場の事業展開」の目 次(URL:https://www.nishimatsu.co.jp/solution/ report/2013.html)、概要(URL:https://www.nishi matsu.co.jp/solution/report/pdf/vol36/g036_g13.pdf )、本文(URL:https://www.nishimatsu.co.jp/sol ution/report/pdf/vol36/g036_g13.pdf)、図-4の拡 大図、図-5の拡大図 甲第1号証の2:国立国会図書館オンライン(NDLオンライン)の検索 結果(URL:https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detai l/R300000004-I8492922-00) 甲第2号証 :YouTube 「世界初の事業化目指す LEDで育て たレタス、販売スタート」(URL:https://www.yout ube.com/watch?v=oFkDq5NUOc8)の動画(2013年0 2月12日)から取得した静止画 甲第3号証 :YouTube 「サイテックファーム」(URL: https://www.youtube.com/watch?v=_A4vmRaUMvA)の 動画(2019年3月27日)から取得した静止画 甲第4号証の1:テレビ番組「探検バクモン「食べもの革命!最先端植物 工場」」の静止画 甲第4号証の2:NHKクロニクル 番組名「探検バクモン「食べもの革 命!最先端植物工場」」(URL:https://www.nhk. or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid= A201712132017001302100 甲第5号証 :特開2011-142902号公報 甲第6号証 :特開2009-34055号公報 甲第7号証 :特開平11-275993号公報 甲第8号証 :特開2014-124167号公報 甲第9号証 :特開2000-106776号公報 2 申立人が意見書に添付して提出した証拠 申立人が令和4年8月24日付け意見書に添付して提出した証拠は以下のとおり。 甲第10号証 :特開昭62-126919号公報 甲第11号証 :特開2014-176336号公報 甲第12号証 :実願昭58-90752(実開昭59-19606 1号)のマイクロフィルム 甲第13号証 :特開2001-57822号公報 3 各証拠の記載 各証拠の記載は以下のとおり。ただし、甲第3号証及び甲第4号証は、公然実施に関して傍証として提出された、本件特許の優先日より後に公開された証拠であって、採用していないため、以下に摘記していない。 以下、甲第1号証の1のうちの本文を単に「甲第1号証」という。また、甲第1号証等を「甲1」等ということがある。 (1)甲1 ア 甲1の記載 甲1の2によれば、甲1は、本件特許出願の優先権主張日前である2013年8月20日に出版された西松建設技報に掲載された論文の本文であると認められる。 そして、甲1には次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 (ア)「要約 当社は玉川大学と産学連携し,「植物工場」を用いた新たなビジネスモデルの構築を進めている.植物工場は,野菜を中心とした作物を施設内で光や温湿度,二酸化炭素濃度,培養液などの環境条件を人工的に制御して季節,場所に関係なく安定生産するシステムである.加えて栽培する光源にLED を用いることで味や食感および栄養成分をコントロールすることが可能となる. 当社の植物工場事業参入に至る経緯と完全人工光型植物工場の特徴,さらに今後の植物工場事業の方針について報告する.」(第1頁第1~7行) (イ)「2-2 人工光による植物栽培 植物の生育には以下に示す○1~○6(当審注:「○1」等、「○数字」の記載は丸数字を表す。以下同様。)の環境要素が重要であり,完全人工光型植物工場はこれらの要素を人工的に制御し,植物の安定栽培を行うことが可能となる. ○1 栽培光(照射波長,照射量,照射時間) ○2 温湿度 ○3 養分(窒素,燐酸,加里など) ○4 生菌数 ○5 CO2量 ○6 風速」(第2頁左欄第3~12行) (ウ)「2-4 次世代光源 LED の特徴 現在,日本国内で 127 箇所の完全人工光型植物工場が稼動しており,栽培光源として蛍光灯や,高圧ナトリウムランプが使用されている(2012 年 3 月三菱総研調べ). 栽培光源としての蛍光灯や高圧ナトリウムランプは,イニシャルコストは低く抑えられるというメリットがあるが,ランニングコストが高くなるというデメリットを持つ.そこで次世代の栽培光源として発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)光源が注目されている. LED と LED を使用した植物工場の特徴を示す. ○1 省エネルギー,長寿命 → LCC の低減が可能 ○2 蛍光灯と比較して雑多なスペクトルは無く,幅狭い光スペクトルを持つ(図―1) →植物の特徴付けが可能 ○3 ・サイズが小さく,軽量 ・熱線域の光スペクトルを含まないため,近接照射が可能(写真―4) →設備上スペースの有効利用が可能」(第3頁左欄第6~24行) (エ)「§3.当社の完全人工光型植物工場の特徴 2012 年,玉川学園内に建設した当社の植物工場第一号「サイテックファーム TN Produce」(写真―5)の特徴について説明する. (1) 栽培規模 2012 年現在,「サイテックファーム」は1 日に600 株のリーフレタスを生産する能力を持っている.栽培から収穫までの期間は,苗の植え付けから15 日間の栽培の後,収穫となる.現在は1 階の栽培スペースの半分しか使用していない(図―4)が,2015 年にはレタス以外の農作物も視野に入れた1 日3900 株を生産するシステムを稼動させる予定である.規模拡大にあたり,サイテックファーム1 階と2 階の将来栽培室スペースに栽培棚を増設する(図―4,5).」(第4頁左欄第1~14行) (オ)「(3) 多段式水耕栽培システムの採用 土を使わず養分を水に溶かした液で栽培する「水耕栽培」のシステムを導入した(写真―6).特徴として肥料分がリアルタイムで数値として表示されるため,安定した生産が可能となる.さらに薄膜水耕栽培方式を採用し,6 段の多段式の栽培が可能となった(写真―7).このことで,栽培面積は同じ床面積あたり6 倍の作物を栽培することが出来るようになっている.」(第4頁左欄第27~34行) (カ)「(5)環境制御 2-2で挙げた環境項目を全て制御できるシステムである.これらを厳密に制御することで一定の品質を達成することが出来る.栽培室のクリーン度は米国連邦空気清浄度基準でクラス100,000レベルを維持できるフィルターを実装している.そのため,空気中の微粒子および細菌は少ないため,栽培している野菜に付着する細菌数を抑えることが可能となる.」(第5頁左欄第1~8行) (キ)「(6) 全自動化システム この栽培室の全自動化システムは大きく以下の二つに分けられる. ○1 クレーンを用いた苗を植えたトレイの入庫および収穫時期の野菜の出庫システム(図―7) ○2 上記トレイを15 日間かけて栽培棚を移動する自動移動システム 以上の二つを組み込むことで,本植物工場は「人は動かず物(野菜)を動かす」といった工業的な野菜生産システムに構築することができた. この自動化システムを導入することで,労力の削減,人件費の節約となり,更には農業では難しいと考えられている自動化の一助となる.」(第5頁第14~26行) (ク)図-4、写真-5、写真-6、写真-7、図-7は以下のとおり。 「 [図:0001392049000001.jpg] [図:0001392049000002.jpg] [図:0001392049000003.jpg] [図:0001392049000004.jpg] [図:0001392049000005.jpg] (ケ)上記(エ)の記載を踏まえると、図―4からは、植物工場「サイテックファーム」は、2012年において、1階に、育苗室と、定植作業室と、収穫作業室と、略矩形の栽培室と、を備え、これらはクリーンエリアとなっており、1階にはさらに、クリーンエリアではない将来栽培室、演習室及び見学室を備え、栽培室は、外壁、将来栽培室との間、見学室との間並びに一列に並ぶ収穫作業室、育苗室及び定植作業室との間に壁を有し、全体を壁で囲われている様子が看取される。 また、写真-6及び図-7からは、植物はパネル状のトレイに配置される様子、トレイは、多段式栽培棚の端部からクレーンにより取り出される様子が看取される。 イ 甲1に記載された事項 上記アからみて、甲1には、次の事項が記載されていると認められる。 (甲1記載事項) 「玉川大学との産学連携による植物工場「サイテックファーム」は、リーフレタスを、苗の植え付けから15 日間の栽培の後、収穫する完全人工光型植物工場であって、 2012年において、1階に、育苗室と、定植作業室と、収穫作業室と、略矩形の栽培室と、を備え、栽培室は、外壁、将来栽培室との間、見学室との間並びに一列に並ぶ収穫作業室、育苗室及び定植作業室との間に壁を有し、全体を壁で囲われており、 栽培室の全自動化システムは、クレーンを用いた苗を植えたトレイの入庫および収穫時期の野菜の出庫システム、上記トレイを15 日間かけて栽培棚を移動する自動移動システムの二つを組み込むものであり、 植物はパネル状のトレイに配置され、 トレイは、多段式栽培棚の端部からクレーンにより取り出されること。」 (2)甲2 ア 甲2の記載 甲2には以下の画像が示されている。 (ア)「 [図:0001392049000006.jpg] [図:0001392049000007.jpg] [図:0001392049000008.jpg] [図:0001392049000009.jpg] 」 (イ)画像から認識できる事項 a 上記(ア)の画像2-1には、動画の画面の下に「868回視聴・2013/02/12」と記載されており、当該記載における「2013/02/12」が動画が投稿された日を示すことは明らかである。 同画像には、動画の画面の左上及び動画の画面の下に「TOKYO MX」との文字が看取され、また、同画像の動画の画面の左中段には、「MX NEWS」との文字が看取される。 b また、0:48/3:06の静止画である画像2-2からは、「LEDで育てたレタス販売スタート」、「玉川大学 町田市」、「植物工場「サイ・テック・ファーム」」の文字が看取される。 「TOKYO MX」は、放送事業者である東京メトロポリタンテレビジョン株式会社の呼称であるから、甲2の画像は、放送事業者である東京メトロポリタンテレビジョン株式会社が玉川大学の植物工場「サイ・テック・ファーム」を取材した動画を「MX NEWS」において配信するべく、YouTubeに投稿したものの一部であると理解できる。 c さらに、1:02/3:06の静止画である画像2-4からは、「LEDの光と液体肥料でレタス栽培 最短15日で収穫できる」との文字が看取される。この記載を踏まえると、画像2-4からは、栽培されたレタスが配置されたトレイを、壁に設けられた開口を通って、搬送装置で搬出する様子が看取される。 d 上記aないしcの記載を踏まえると、0:54/3:06の静止画である画像2-3からは、支柱様の支持体の間に板状体が配置された複数段の栽培棚が配置され、そのような栽培棚は横方向に複数配置され、 棚の各段は、それぞれ、上方にLEDライトが配置され、下方にレタスが配置されたトレイが配置されており、棚の長手方向の側面には、仕切が設けられていないことが看取される。 イ 甲2に記載された事項 上記アからみて、甲2には、次の2の事項が記載されていると認められる。 (甲2記載事項1) 「玉川大学の植物工場「サイ・テック・ファーム」でLEDの光と液体肥料で栽培されたレタスが配置されたトレイを、壁に設けられた開口を通って、搬送装置で搬出すること。」 (甲2記載事項2) 「玉川大学の植物工場「サイ・テック・ファーム」は、支柱様の支持体の間に板状体が配置された複数段の棚が配置され、そのような棚は横方向に複数配置され、 棚の各段は、それぞれ、上方にLEDライトが配置され、下方にレタスが配置されたトレイが配置されており、棚の長手方向の側面には、仕切が設けられていないこと。」 (3)甲1及び甲2から把握される発明 ア 甲1の植物工場「サイテックファーム」と甲2の植物工場「サイ・テック・ファーム」は、その名称が略同一であり、甲1の写真-5と甲2の画像2-2に同じ建物が示されている。 また、甲1の上記記載(上記(1)ア(ア)及び(エ))によれば、植物工場「サイテックファーム」は、本件特許出願の優先権主張日前である2012年に西松建設と玉川大学との産学連携により建設されたものであるところ、甲1が西松建設技報に掲載された論文であり、甲2が「玉川大学」の植物工場を取材しYouTubeに投稿された動画の静止画であって、植物工場「サイテックファーム」に関係する主体が一致する。 以上から、甲1の植物工場「サイテックファーム」と甲2の植物工場「サイ・テック・ファーム」は、同一のものと認められる。 そして、甲1の上記記載(上記(1)ア(ク))によれば、植物工場「サイテックファーム」が「見学室」を有すること、及び、甲2が2013年2月12日にYoutubeに投稿された「TOKYO MX」(東京メトロポリタンテレビジョン株式会社)の「MX NEWS」の動画の静止画であることからして、植物工場「サイテックファーム」は、公然実施されたものと認められる。 イ 甲1等発明 上記(1)ないし(3)アによれば、以下の発明(以下、「甲1等発明」という。)が本件特許出願の優先権主張日前に公然実施されたと認められる。 (甲1等発明) 「1階に、育苗室と、定植作業室と、収穫作業室と、栽培室と、を備え、栽培室は、外壁、将来栽培室との間、見学室との間並びに一列に並ぶ収穫作業室、育苗室、及び定植作業室との間に壁を有し、全体を壁で囲われており、 栽培室の全自動化システムは、クレーンを用いた苗を植えたトレイの入庫および収穫時期の野菜の出庫システム、上記トレイを15 日間かけて栽培棚を移動する自動移動システムの二つを組み込むものであり、 植物はパネル状のトレイに配置され、 トレイは、多段式栽培棚の端部からクレーンにより取り出され、 壁に設けられた開口を通って、搬送装置で搬出され、 栽培棚は、支柱様の支持体の間に板状体が配置された複数段の棚が配置され、そのような棚は横方向に複数配置され、 栽培棚の各段は、それぞれ、上方にLEDライトが配置され、下方にレタスが配置されたトレイが配置されており、棚の長手方向の側面には、仕切が設けられていない、 植物工場。」 (4)甲5 ア 甲5の記載 甲5には次の事項が記載されている。 (ア)「【0021】 図1及び図2に示す1は、野菜(主としてサラダ菜等の葉菜)を水耕栽培する水耕栽培施設としてのビニールハウス(フィルムハウス)である。ビニールハウス1内には地上施設部2と地下施設部3を設けている。 【0022】 [ビニールハウス1内の説明] 地上施設部2には、図2に示すように、養液室10と発芽室11と育苗室12と定植・育成室13と空調機室(機械室)14と収穫室15と梱包室16と保冷室17と倉庫18と搬出室19を設けている。 【0023】 養液室10は、作物の生育に必要とされる肥料分や溶存酸素を含む養液Y(図1参照)を、導電率値の高・低で肥料分の過剰による濃度障害や不足を判断することができるEC(導電率)測定器や、pH測定器などを使用して養液Yを適切に管理する部屋である。養液室10の直下方に位置する地下に後述する地下施設部3を配設している。発芽室11は後述する栽培工程Kの内の播種工程K1と発芽工程K2における各作業を行う部屋である。育苗室12は、後述する栽培工程Kの内の育苗工程K3における作業を行う部屋である。定植・育成室13は、後述する栽培工程Kの内の定植・育成工程K4における作業を行う部屋である。空調機室(機械室)14は、ビニールハウス1内の空調を自動制御するための空調機(不図示)を配設した部屋である。収穫室15は、後述する栽培工程Kの内の収穫工程K5における作業を行う部屋である。梱包室16は、後述する栽培工程Kの内の梱包工程K6における作業を行う部屋である。保冷室17は、梱包室16で梱包された収穫作物を所定温度で保冷して一時的に保存する部屋である。倉庫18は保冷室17に保存されていた梱包作物を保管する部屋である。搬出室19は搬出用車両20に積載して搬出する梱包作物を収容する部屋である。 【0024】 ここで、上記した各部屋のレイアウトは、図2に示すように、大部屋となる定植・育成室13を中心にして、その定植・育成室13の左・右側壁21,22と手前側側壁23とに沿わせて他の各部屋を配置している。 【0025】 すなわち、定植・育成室13の左側壁21に沿わせて、手前から奥に向かって、養液室10と発芽室11と育苗室12を直列接続状態に配置している。これら三室10,11,12の右側壁と定植・育成室13の左側壁21との間には、手前から奥に直状に伸延する左側連通路24を形成している。そして、定植・育成室13の右側壁22に沿わせて空調機室(機械室)14を配置している。空調機室(機械室)14の左側壁と定植・育成室13の右側壁22との間には、手前から奥に直状に伸延する右側連通路25を形成している。また、定植・育成室13の手前側側壁23に沿わせて、右側から左側に向けて、収穫室15と梱包室16と保冷室17と倉庫18と搬出室19を直列接続状態に配置している。 【0026】 このようにして、図2に示す平面説明図において、時計廻りに、発芽室11→育苗室12→左側連通路24→定植・育成室13→右側連通路25→収穫室15→梱包室16→保冷室17→倉庫18→搬出室19→搬出用車両20に、栽培工程に沿って種子から搬出作物まで各工程段階の作物を効率良く移動させることができるようにしている。」 (イ)「【0038】 定植・育成工程K4は、定植・育成室13において、図3に示すように、生育した育苗株N(例えば、15~30株)を定植用浮遊体51に移植して、その定植用浮遊体51を定植・育成用移動路52内に収容した養液Yの液面に浮遊させて(定植して)、定植用浮遊体51を介して定植した育苗株Nを定植・育成用移動路52内において約2週間で育成させて収穫可能な作物(育成作物)Mとなす工程である。 【0039】 定植用浮遊体51は、図3に示すように、四角形板状(本実施形態では正方形板状)に形成した浮遊体本片53に、厚さ方向に貫通する定植用孔54を整然と多数個(例えば、15~30個)形成している。定植用孔54は逆円錐台状に形成して、内周面をテーパー面となしている。定植用孔54に育苗株Nを移植する際には、育苗株Nの培地50の周囲に断面四角形で棒状に形成したスポンジ片55を培地保持用のスペーサとして巻回して、同状態にて定植用孔54に上方から嵌入させる。かかる嵌入状態では、育苗株Nの培地50が、内周面をテーパー面となした定植用孔54の中途部に保持されて、育苗株Nの根元側が空気中に保持されると共に、根先側が養液Yに浸かるようにしている。浮遊体本片53の裏面側には、浮遊体本片53を補強するためのリブ片56を格子状に形成している。なお、定植用浮遊体51は養液Yの液面に浮遊する素材、例えば、発泡スチロールで一体成形することができる。 【0040】 定植・育成用移動路52は、図3に示すように、上面が開口して左右方向に伸延(長手状)する箱型の水槽57に養液Yを収容して、養液Yが一定深さとなるように構成している。このように、定植・育成用移動路52を構造簡易に構成して、所要個数の定植用浮遊体51を堅実に移動させながら作物を育成して、計画的に収穫することができる。 【0041】 本実施形態では水槽57の左側端58を定植用浮遊体51の供給側である定植・育成用移動路52の始端となす一方、水槽57の右側端59を定植用浮遊体51の回収側である定植・育成用移動路52の終端となしている。つまり、定植・育成用移動路52では、図3において、所要個数の定植用浮遊体51を供給側である水槽57の左側端58から回収側である水槽57の右側端59に至るまで移動させながら、定植用浮遊体51を介して水槽57内の養液Yの液面に定植された育苗株Nを一定期間(例えば、2週間)内に育成させるようにしている。また、図1に示すように、水槽57の左側端58に前記養液戻り流路43の基端を接続する一方、水槽57の右側端59に前記養液送り流路42の始端を接続して、水槽57内に水槽57の右側端59から左側端58に向けて養液Yが流動する定植・育成用移動路52を形成している。」 (ウ)「【0064】 また、本実施形態では、図2に示すように、定植・育成室13を手前から奥に並列する3つ部屋に区画して、各部屋に定植・育成用移動路52を左右方向に伸延させて配設している。定植・育成用移動路52は、複数個である4個を手前から奥に横方向に並列させて配設すると共に、縦方向に4段重ねに一定間隔を保持して重合状態に配設している。」 (エ)図2は以下のとおり。 「 [図:0001392049000010.jpg] 」 上記【図2】からは、定植・育成室13を、定植・育成室13室の間に設置される仕切壁により区画することが看取される。 イ 甲5に記載された発明 上記アからみて、甲5には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲5発明) 「育苗室12と定植・育成室13と収穫室15とを設けている水耕栽培施設であって、 定植・育成室13を、定植・育成室13室の間に設置される仕切壁により手前から奥に並列する3つ部屋に区画して、各部屋に定植・育成用移動路52を左右方向に伸延させて配設している、 水耕栽培施設。」 (5)甲6 ア 甲6の記載 甲6には次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、育苗装置およびそれを備えた育苗システムに関し、詳しくは、簡易な装置構成で植物の幼苗を丈夫に育てる育苗装置およびそれを備えた育苗システムに関する。 【背景技術】 【0002】 野菜、花卉、樹木等の植物の生産では、苗の需要の季節的な変動によって必要な育苗面積や労働力が大きく変動する。そのため、育苗面積や労働力の季節的な変動を平準化し、効率的に苗の安定供給を図るために、弱光かつ低温の環境下で苗を一定期間貯蔵する技術がある。 このように弱光かつ低温の環境下で貯蔵される苗としては、根付きの苗の他に、根を切断した挿し木苗あるいは断根挿し接ぎ苗(接ぎ木苗)が用いられる。 【0003】 挿し木苗を生産する場合、一般に植物の腋芽や若枝を挿し木として採取して培地に植え込み、低温の環境下で発根するまで養生し、その後上述のように弱光かつ低温の貯蔵庫内で貯蔵する場合がある。この場合、培地へ埋め込んだ直後の挿し木苗(幼苗)は、下端である開放端に根を有していないため吸水能力が低く、水ストレスを受けやすいことから、主に葉からの蒸散による水の損失を抑えるために、一般的に養生環境を高湿度に保つようにしている。」 (イ)「【0029】 図1および図2に示すように、育苗装置1は、多段棚10と、多段棚10に上下複数段に設置された複数の灌水トレイ20と、各段の灌水トレイ20に温調水Wtを循環供給する温調水循環供給手段30と、各段の灌水トレイ20内に設置される養生水Waを収容した熱伝導性容器40と、熱伝導性容器40内の養生水Waに開放端を浸漬した状態で複数本の挿し木苗(幼苗)Scを略垂直に保持する苗保持プレート50と、灌水トレイ20の外周縁と灌水トレイ20上に設置された熱伝導性容器40との間を覆う断熱性蓋60とを備える。 【0030】 多段棚10は、左右の側板11、11と、左右の側板11、11を連結する天板12および上下複数段に配置された棚板13と、左右の側板11、11の後端に取り付けられた通気穴14aを有する背板14とを有する。実施形態1では、天板12および4枚の棚板13によって上下5段の収納室15が形成された多段棚10の場合を例示しており、各段の収納室15の大きさおよび棚数は、1つの養生装置にて養生処理すべき苗の本数や作業性等を考慮して決定すればよく、例えば、収納室15の上下幅は30~35cm程度、左右幅は125~135cm程度、後述のファン72までの奥行きは60~70cm程度、棚数は3~6枚程度が適当であるが、当然ながらこれらに限られるものではなく、設計変更は自由である。」 イ 甲6に記載された技術事項 上記アからみて、甲6には、次の技術事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲6技術事項) 「多段棚10と、多段棚10に上下複数段に設置された複数の灌水トレイ20と、各段の灌水トレイ20内に設置される養生水Waを収容した熱伝導性容器40と、熱伝導性容器40内の養生水Waに開放端を浸漬した状態で複数本の挿し木苗(幼苗)Scを略垂直に保持する苗保持プレート50と、を備える育苗装置1において、 多段棚10は、左右の側板11、11と、左右の側板11、11を連結する天板12および上下複数段に配置された棚板13と、左右の側板11、11の後端に取り付けられた通気穴14aを有する背板14とを有して設けること。」 (6)甲7 ア 甲7の記載 甲7には次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、野菜又は花等の植物を育成する植物育成設備に関する。 【0002】 【従来の技術】かかる植物育成設備は、いわゆる露地栽培と異なり、一般には室内において植物育成用の栽培床を利用して植物を育成する設備である。このような植物育成設備には、植物を育成するための付帯設備が備えられ、この付帯設備には例えば人工照明等の電気式作動装置がある。このような電気式作動装置を前記栽培床で育成される植物に作用させるについては、従来、前記栽培床をコンベア上に多数並べた状態で、コンベアの支持部材等の位置から作用させるのが一般的であった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従って、上記従来構成では、前記栽培床の形状等や育成される植物の形状等によっては、育成される植物に対する電気式作動装置の作用が必ずしも好適な状態とはできない場合もあった。又、コンベア等の配置によっては、電気式作動装置のメンテナンス作業を行いにくいものとなる場合もあった。本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、植物の育成のために利用される電気式作動装置を育成される植物に対して適切に作用できるようにすると共に、その電気式作動装置のメンテナンス作業を容易にする点にある。」 (イ)「【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の植物育成設備の実施の形態を図面に基づいて説明する。植物育成設備PUは、図1に示すように、収納部1を上下方向並びに横方向に並列する状態で複数備えた一対の収納棚SSと、その収納棚SSの搬出入部IOとの間で、後述する栽培床保持体Cを搬送する搬送装置であるスタッカクレーン3とが設けられている。尚、搬出入部IOには自走台車4が備えられている。この植物育成設備PUは、図示を省略するが、適当な濃度の炭酸ガスを含む空気が充満する室内に配置され、その室内と室外との間を自走台車4にて栽培床保持体Cを搬送する。一対の収納棚SSは、各収納部1に対する栽培床保持体Cの出し入れ側が向かい合うように配置され、スタッカクレーン3は、一対の収納棚SSの間に形成される走行通路において、天井側のガイドレール3a及び地上側の走行レール3bに案内されて走行する。 ・・・ 【0014】栽培床保持体Cは、図2及び図3に示すように、棚10が備えられて、植物育成用の栽培床9を上下3段に支持する。植物育成用の栽培床9は、図3に概略的に示すように、植物育成用の培養液を入れた水槽9aと、育成される植物を保持する植物育成体9bとから構成されている。栽培床保持体Cには、植物を育成するために利用される電気式作動装置EOが備えられており、具体的には、電気式作動装置EOとして、栽培床9に対して光を照射する光源としての蛍光灯11と、栽培床で育成される植物に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給装置12とが備えられている。 ・・・ 【0016】蛍光灯11は、図2及び図3に示すように、各棚10に支持される3段の栽培床9の夫々に適正に光が照射されるように、栽培床保持体Cの上端フレーム15の下側並びに棚10を構成する棚フレーム10aの下側に夫々複数本並べて取り付けられ、図示を省略するが、各蛍光灯11の夫々にはインバータ回路が備えられている。又、この蛍光灯11の光が効率良く栽培床9に照射されるように、栽培床保持体Cの上面16a、両側面16b並びに裏面16cは、図1及び図2に示すように、光反射体としてのアルミ蒸着フィルム17が貼り付けられている。尚、栽培床保持体Cの正面16dは、図示を省略するが、着脱自在のフィルム状のカバーが取り付けられ、この正面16dから栽培床9を出し入れできる。」 イ 甲7に記載された技術事項 上記アからみて、甲7には、次の技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲7技術事項) 「収納部1を上下方向並びに横方向に並列する状態で複数備えた一対の収納棚SSと、一対の収納棚SSの間に形成される走行通路において、天井側のガイドレール3a及び地上側の走行レール3bに案内されて走行し、その収納棚SSの搬出入部IOとの間で、栽培床保持体Cを搬送するスタッカクレーン3が設けられ、適当な濃度の炭酸ガスを含む空気が充満する室内に配置され、その室内と室外との間を自走台車4にて栽培床保持体Cを搬送する植物育成設備PUにおいて用いられる栽培床保持体Cであって、 栽培床保持体Cは、植物育成用の栽培床9を上下3段に支持する棚10と、植物を育成するために利用される電気式作動装置EOが備えられており、 電気式作動装置EOとして、栽培床9に対して光を照射する光源としての蛍光灯11と、栽培床で育成される植物に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給装置12とが備えられ、 植物育成用の栽培床9は、植物育成用の培養液を入れた水槽9aと、育成される植物を保持する植物育成体9bとから構成され、 この蛍光灯11の光が効率良く栽培床9に照射されるように、栽培床保持体Cの上面16a、両側面16b並びに裏面16cは、光反射体としてのアルミ蒸着フィルム17が貼り付けられ、栽培床保持体Cの正面16dは、着脱自在のフィルム状のカバーが取り付けられること。」 (6)甲8 ア 甲8の記載 甲8には次の事項が記載されている。 (ア)「【0012】 図1は栽培施設の一例を示すものであり、この栽培施設は、暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室1と、該栽培室1に隣接する出荷室2とを備えている。前記栽培室1内の中央には作業者又は作業移動車(作業台車)3あるいは防除作業車等が通過できるメイン通路4を設けており、このメイン通路4は、路面がコンクリートで構成されたコンクリート通路である。メイン通路4の両側の側方位置には、栽培ユニットとなる栽培ベッド5を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペース6を構成している。尚、前記栽培ベッド5はロックウールで形成され、出荷室2内の養液供給装置7から各栽培ベッド5へ養液が供給される構成となっている。また、メイン通路4の両端には開閉扉を備える栽培室1への出入り口8を設け、一方の出入り口8を介して隣接する出荷室2へ行き来できる構成となっている。尚、他方の出入り口8は、栽培施設の屋外から出入りできる構成となっている。そして、作業移動車をメイン通路4から各々の栽培ユニット(栽培ベッド5)の間のサブ通路9に移動させ、該サブ通路9で栽培ユニット(栽培ベッド5)に沿って作業移動車3を移動させながら栽培する植物に対する各種作業を行うことができる。サブ通路9は、各々の栽培ユニット(栽培ベッド5)の左右間で前後方向に形成される通路となる。尚、作業移動車3は、サブ通路9上に敷設された後述する左右の暖房用管37を走行用のレールとして走行する。」 (イ)【図1】は以下のとおり。 「 [図:0001392049000011.jpg] 」 イ 甲8に記載された技術事項 上記アからみて、甲8には、次の技術事項(以下「甲8技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲8技術事項) 「暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室1内の中央に作業者又は作業移動車3が通過できるメイン通路4を設け、メイン通路4の両側の側方位置には、栽培ユニットとなる栽培ベッド5を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペース6を構成しており、 前記栽培ベッド5はロックウールで形成され、出荷室2内の養液供給装置7から各栽培ベッド5へ養液が供給される構成となっており、 作業移動車をメイン通路4から各々の栽培ベッド5の間のサブ通路9に移動させ、該サブ通路9で栽培ベッド5に沿って作業移動車3を移動させながら栽培する植物に対する各種作業を行うこと。」 (7)甲9 ア 甲9の記載 甲9には次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は水耕栽培における自動栽培装置に関し、特に、作物の播種、成育、収穫、包装、梱包までの作業を自動的に行う水耕栽培における自動栽培装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、野菜等の作物の栽培において、自然の影響を受けずに安定的に栽培することができることから、水耕栽培が注目を集めている。 【0003】従来の水耕栽培においては、例えば培地に播種する播種処理、蒔かれた種を発芽させある程度の大きさまで育てる育苗処理、培地上に育った苗を栽培バーに移す定植処理、作物同士がぶつかって成長を妨げられることがないように、複数の栽培バーの間隔を作物の成長に合わせて広げるスペーシング処理、作物を栽培バーから取出しその根を切る等の収穫処理、作物を一個または複数個ずつ包装する包装処理、および包装された作物を梱包する梱包処理等が順次行われる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は、人手あるいは機械を用いて、前記した各処理を、他の処理とは関係なく独立的に行っていた。また、前記処理を行う機械は、人が操作する必要があった。このため、前記各処理を行う時、およびある処理から他の処理に移る時に、人の介在が必要になり、生産性が小さいという問題があった。また、大規模栽培を行う場合には、収穫する作物の株数が増加するため、働き手の労働時間が長時間になるという問題があった。 【0005】本発明の目的は、前記した従来装置の問題点を除去し、各処理に使用する機械と、該各処理を連結する機械を自動化し、播種から梱包までの作業を殆ど人手を介さずに行えるようにした水耕栽培における自動栽培装置を提供することにある。」 (イ)「【0012】図において、1は育苗箱循環部であり、該育苗箱循環部1は、空の育苗箱に培地を供給する培地供給部2、培地切断部3、培地の孔に種を蒔く播種部4、該播種された培地が入っている育苗箱を搬送するコンベア装置5、コンベア装置5に連結された左右方向のコンベア装置6、第1、第2、第3列の育苗箱列7a、7b、7c、および後述の定植により空になった育苗箱を培地供給部2に戻すコンベア装置8等から構成されている。なお、前記培地切断部3と播種部4の順番を入替えて、播種後培地を切断するようにしてもよい。 【0013】次に、10は所定の大きさまで育てられた苗を保持する培地ブロックを、コンベア装置上に載置された空の栽培バー11に定植する定植装置である。12はコンベア装置であり、前記定植された栽培バー11を図の手前の方に搬送する。」 (ウ)「【0022】前記定植装置10は育苗箱から培地ブロックを一個づつ把持し、栽培バー11の前記培地挿入孔11cに一個づつ移植する。図3は図2のA-A´線断面図を示し、該移植された培地ブロック15と栽培バー11の断面図を示している。図3の16は該培地ブロック15上にある大きさまで成育された作物の苗、例えば野菜の苗を示している。 【0023】次に、前記栽培バー循環搬送部の動作を説明する。定植された栽培バー11はコンベア装置12により図の一番手前の位置に搬送され、続いて右方向の第1のステージ21上に搬送される。該第1のステージ21は連結された例えば2基のコンベア装置から構成されており、前記一番手前の位置に搬送された栽培バー11は一つ目のコンベア装置(以下、第1のコンベア装置と呼ぶ)により二つ目のコンベア装置(以下、第2のコンベア装置と呼ぶ)に移される。前記第1、第2のコンベア装置は間欠的に動作しており、栽培バーは狭い間隔で該第2のコンベア装置上に載置される。 【0024】所定個数の栽培バーが該第2のコンベア装置に載置されると、該第2のコンベア装置は一定期間停止され、作物はこの第2のコンベア装置上で成育される。該作物がある大きさに成育し、作物間の間隔が狭くなると、第2のコンベア装置上の栽培バーは第3のコンベア装置25を介して順次第2のステージ22に移送される。この時、第2のステージ22の搬送速度を調節することにより、第2のステージ22に移された栽培バー11の間隔を所定の大きさに広げることができる。このようにして、第1ステージの栽培バー11の一部または全部が第2のステージ22に移されると、該第2のステージ22は停止され、その上で作物は成育される。」 イ 甲9に記載された発明 上記アから、甲9には、次の発明(以下「甲9発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲9発明) 「作物の播種、成育、収穫、包装、梱包までの作業を自動的に行う水耕栽培における自動栽培装置であって、 所定の大きさまで育てられた苗を保持する培地ブロックを、コンベア装置上に載置された空の栽培バー11に定植する定植装置10と、前記定植された栽培バー11を搬送するコンベア装置12を有する、 自動栽培装置。」 (8)甲10 ア 甲10の記載 甲10には次の事項が記載されている。 (ア)「内部空間が密閉されると共に、一端側に幼苗を植え付けられた植付板を送り込む入口を備え、他端側に成長した植物が植立されている植付板を取り出す出口を備え、所定量の酸素を注加した液肥槽と、適当な温度に保持され適当な照光が与えられかつ適量の炭酸ガスを含む空間部とを前記入口から出口に亘って設け、前記植付板がその一部を前記液肥槽内の液肥に浸漬するようにして前記入口から出口に向かって移動しうるようにしたトンネルを、複数段ハウス内に積み重ねて構成したことを特徴とする野菜等植物の育成装置。」(特許請求の範囲) (イ)「第1図は、本発明に係る野菜等植物の育成装置Aを示す断面図で、ハウスl内にトンネル2・・・を3段に積み上げ、更に、互いの列間に隙間が生じないように3列に配置したものを示している。 前記トンネル2の構成を、第2図(A)、(B)、第3図及び第4図を参照して詳細に説明すると、トンネル2は断面形状が例えば蒲鉾形で、適宜の支柱及び鋼材或いはプラスチック材等により構成され、密閉構造にしてある。」(公報第2頁左上欄第15行~右上欄第3行) (ウ)「前記液肥槽14の上部に形成される空間部15には、所定濃度の炭酸ガスを含む空気を送るための送気管29及び排気管30と、複数の照明灯31・・・が設けられる。前記送気管29及び排気管30には適宜数の開口32,33が設けられ、これら管29,30の端部には送風機34、排出ダクト35が設けてあり、トンネル2内の空間部15の雰囲気を所定の炭酸ガス濃度及び温度になるようにしてある。36は配線ダクトである。 而して、このように構成された野菜等植物の育成装置Aにおいて、予め育苗室(図外)において、植付板3上に例えば野菜の種子を蒔いて所定の大きさの幼苗Y・・・を形成しておき、この植付板3を入口4からトンネル2内に送り込み、液肥槽14上に載せる。この状態で、液肥槽14からは所定の養分と酸素が供給され、空間部15からは炭酸ガスと光が供給されしかもトンネル2内は発育に適当な温度になっているので、前記幼苗Y・・・は徐々に成育して大きくなっていく。 そこで、入口4から次々と幼苗Y・・・を備えた植付板3を送り込む都度プッシュ部材28によって該植付板3をプッシュすると、先に送り込まれた植付板3は出口7方向に徐々に送られる。そして、最初の植付板3が出口7に到達したとき、該植付板3上には幼苗Y・・・から十分成育した野菜Z・・・が形成されているので、出口7から植付板3を取り出し、前記野菜Z・・・を収穫することができる。」(公報第2頁右下欄第6行~第3頁左上欄第12行) (エ)「第5図は本発明の他の実施例を示し、40は複数のコロ41・・・より成る移動レールで、液肥槽42の両側に設けられている。43は液肥槽42を跨ぐようにして設けられた植付板受枠で、適宜の間隔をおいて互いに平行に張設された複数の線材44・・・より成る。45は植付板で、前記植付板受枠43に載置されてこれと共に前記移動レール40上をスライドするように構成してある。なお、46は液肥、47は照明灯、48は配線ダクト、49はトンネルである。」(公報第3頁左上欄第15行~右上欄第3行) (オ)第5図は以下のとおり。 「 [図:0001392049000012.jpg] 」 第5図からは、トンネル49は、移動レール40の短手方向の両横側と上側に長手方向に延びて設けられている様子が看取される。 イ 甲10に記載された技術事項 上記アから、甲10には、次の技術事項(以下「甲10技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲10技術事項) 「内部空間が密閉されると共に、一端側に幼苗を植え付けられた植付板を送り込む入口を備え、他端側に成長した植物が植立されている植付板を取り出す出口を備え、所定量の酸素を注加した液肥槽と、適当な温度に保持され適当な照光が与えられかつ適量の炭酸ガスを含む空間部とを前記入口から出口に亘って設け、前記植付板がその一部を前記液肥槽内の液肥に浸漬するようにして前記入口から出口に向かって移動しうるようにしたトンネルを、複数段ハウス内に積み重ねて構成した野菜等植物の育成装置において、 トンネルを、断面形状が例えば蒲鉾形で、適宜の支柱及び鋼材或いはプラスチック材等により構成され、密閉構造にして構成し、 または、両横側と上側に長手方向に延びて設けること。」 (9)甲11 ア 甲11の記載 甲11には次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば、植物のハウス栽培等において送風に用いられる送風管、その送風管を備えた送風システム、及び、その送風システムを備えた花芽分化促進システム、並びに、風量調整方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、ハウス栽培に用いられる送風システムとして、例えば、特許文献1に開示されたハウス栽培システムがある。 【0003】 図11に示すように、このハウス栽培システム(図中、符号801で示す)では、第1のダクト811がいちご苗850の根元(株元)の近傍を通るように畝に沿って配置されている。第1のダクト811は、第2のダクト812及び第3のダクト813を介して送風機810に接続されている。また、第1のダクト811には、図12に示すように、複数のいちご苗850の配置(一般的には等間隔に配置されている)に合わせて複数の孔811aが形成されている。ハウス栽培システム801は、送風機810による送風が、第2のダクト812及び第3のダクト813を通じて第1のダクト811に流れ込み、そして、第1のダクト811の複数の孔811aから排出されて、複数のいちご苗850に風が供給されるようになっている。」 (イ)「【0031】 花芽分化促進システム(図中、符号1で示す)は、図1(a)~(c)に示すように、栽培ベンチとしての育苗ベンチ10と、送風システム15と、カバー40と、を有している。 ・・・ 【0043】 カバー40は、例えば、遮光シート等であって、育苗ベンチ10の棚板部11の上面11aを覆うとともに当該上面11aとの間に配管30及び複数の育苗ポットP2を収容する閉じられた空間を形成するように配設されている。換言すると、カバー40は、配管30と間隔をあけて配置され、配管30を収容する閉じられた空間を形成する。カバー40は、被覆部材の一例に相当する。カバー40により、配管30及び当該配管30に近接して配置された複数の育苗ポットP2が、外部と区画された閉じられた空間内に配置されるので、外部からの熱などの影響を抑制することができる。」 イ 甲11に記載された技術事項 上記アから、甲11には、次の技術事項(以下「甲11技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲11技術事項) 「栽培ベンチとしての育苗ベンチ10と、送風システム15と、カバー40と、を有している花芽分化促進システムにおいて、 遮光シート等であるカバー40は、育苗ベンチ10の棚板部11の上面11aを覆うとともに当該上面11aとの間に配管30及び複数の育苗ポットP2を収容する閉じられた空間を形成するように配設され、 カバー40により、配管30及び当該配管30に近接して配置された複数の育苗ポットP2が、外部と区画された閉じられた空間内に配置されるので、外部からの熱などの影響を抑制すること。」 (10)甲12 ア 甲12の記載 甲12には次の事項が記載されている。 (ア)「育成箱を配列するための架台に動力を用いず列端部の育成箱の移動が列全体を移動させられるよう成し、この架台を複数段形成し、一棟としたものを複数棟配列し、架台の先端育成箱が棟より独立した移行装置により次上段へ配列する装置に、各段別に光線・温度等内部環境が調節可能な装置を有する立体的野菜等の栽培装置。」(明細書第1頁第5~11行) (イ)「近年野菜等の栽培は土壌を用いず、栽培管理がしやすい水耕栽培が盛んに行われている。この栽培には、ビニールハウス、ガラスハウス等の設備が必要なため、面積を有効に活用しなければ採算がとれなくなる。面積の有効利用のみ考えては、野菜等の葉に充分な光を当てることがむずかしい。例えばかいわれ大根の場合、従来発芽から4~5日は光を要しないため、育成箱を多段に積み重ねて育成させている。 このため施肥給水は育成箱を積み替えながら行わなければならない。その後生育し、双葉を新鮮な緑色にして製品化するのであるが、このためには光を充分に双葉に当てなければならないのである。そこで積み重ねて生育させていた場所より取出し、光が当たる場所へ平面上に並び替えるのであるが、この作業は多くの労力を要し、又機械化の場合も設備費等のコストアップを招くことは周知のとおりである。 そこで本考案は多段式栽培装置のコストダウンと省人化、省スペース化を目的とした装置である。 ・・・ 以下実施例に従がい説明すると、第一図の1は、栽培棟に2の育成箱が収納されている。9はローラーコンベアーであり、育成箱を動力源を用いず移動させるためのものである。」(明細書第1頁下から5行~第3頁第6行) (ウ)「この間、発芽段階時のように光を完全に遮断した方がよい場合と、発芽より4~5日後にはある程度光が必要な場合があり、気温、日照等の影響を利用するために各生育段階別に入光調整可能な遮光装置を第1図の10の側面に設ける。」(明細書第4頁第1~6行) (エ)「4.図面の簡単な説明 ・・・ 1・・・栽培棟 ・・・ 10・・・側板(遮光調整可能)」(明細書第5頁第4~17行) (オ)第1図は以下のとおり。 「 [図:0001392049000013.jpg] 」 上記(イ)の記載を踏まえると、栽培棟1には、ローラーコンベアー9が上下方向に複数設けられ、各ローラーコンベアー上に育成箱2が載置されて複数段とされている様子が看取される。 また、上記(エ)の記載を踏まえると、栽培棟1の側面に、長手方向に延びる、遮光調節可能な側板10を有することが看取される。 イ 甲12に記載された技術事項 上記アから、甲12には、次の技術事項(以下「甲12技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲12技術事項) 「ローラーコンベアーが上下方向に複数設けられ、各ローラーコンベアー上に育成箱が載置されて複数段とされた栽培棟を複数棟配列した、立体的野菜等の栽培装置において、 各段別に光線・温度等内部環境が調節可能な装置として、栽培棟の側面に、長手方向に延びる、遮光調節可能な側板を有すること。」 (11)甲13 ア 甲13の記載 甲13には次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 完全制御型光植物工場に適用される植物育成用水耕栽培設備において、 植物栽培パネルを複数枚並べて嵌合させるごとく、その周囲に低い周壁を有する基盤通水枠がほぼ水平に保持され、 該枠の内部平面上に支持部材を設置して栽培パネルを支持し、かつ該支持部材の高さにより該パネルと枠平面との間にギャップが所定値に設定され、またその設置形状方向により枠内流水方向が制御されるようになされ、 該流水枠の一端から培養液が供給され、 その他端において該周壁の一部に設けた切欠きが排水口となされ、該枠構造を防水シートで被覆して培養液を流通せしめるごとくし、これに該栽培パネルが嵌合される構造であり、 該栽培パネル上方には、植物育成空間を介して光散乱性の反射板が天井を形成し、 これにより、上下方向には温度差による通風がなされ、 該天井構造と該基盤枠間の空間を実質的に包囲して内部反射光を有効利用するごとく光散乱性の反射板による周壁が設けられ、周壁の少なくとも一部は開閉移動可能とされ、 これにより該基盤枠、栽培パネルと、光反射空間とが見掛上一体となされる内面反射構造が形成されることを特長とする栽培装置の構造。」 (イ)【0008】現在の技術では、植物育成用の人工光源として必要な波長成分の光質を備え、電気光変換効率が高く、ランプ寿命が長く、設備費用が比較的に安価な程度のものは高圧ナトリウムランプであり、広く使用されているので、以下ではこれを主要な実施例として説明する。 【0009】高圧ナトリウムランプの電気光変換効率は、それでさえ現実には30%程度であり、かなりの熱を発するので、従来は植物体から遠ざけて配置する例が多かった。近づけるといわゆるヤケの効果を起しやすい。 【0010】また、一方で、植物栽培面上で均一な照度を実現するために、適当な広角反射傘を用い、かつ栽培面からある程度の高さを保ちつつ複数ランプを配列することが常であった。 【0011】もし、これが高圧ナトリウムランプでなく、小形の蛍光ランプなどならば、植物に近接して配置できる例がある。しかし、このような蛍光ランプでは、その電気光変換効率は10%以下の程度に止まり、総コストにおいては、所詮高圧ナトリウムランプより優れることはない。 【0012】高圧ナトリウムランプが高効率なのは、その放電が集中化されたランプ構造にあり、これは放電ランプ一般の特性であるが故に、高圧ナトリウムランプにおいては、ある程度の電力単位のランプ(たとえば400W以上)で実現することとなり、ランプ自体の発熱が局所的に集中することは止むを得なかったのである。 【0013】本発明においては、栽培空間を小さくするために、上記よりも小型のランプを用い、それによってランプを栽培面に近づける手段をとる。そのためには、ランプ発熱を有効に除去する通風手段を併用すればよい。また、近づけることにより栽培面における照度不均一が起こりやすいが、これは後述する擬似積分球構造を用いて、これを補正できるのである。」 (ウ)「【0019】以下、図面に基づいて実施例の構成について説明する。図1は本発明装置の実施例の外観図である。この図において、1は植物を植栽する栽培パネル、2は植物が成長すべき空間を介して上部に設けられる光反射用天井部材、3は照射ランプを含む反射傘、4は擬似積分球構造の一部をなす光反射用周壁。通常可動ないし折畳み可能とされる。5は上記反射傘3の上部にある通風用開口、6は栽培パネル1を支持し、培養液を流通せしむべき基盤であって、流水枠7を持つ。この基盤6はこの図では栽培パネル1の下部に相当し明示されていないが、後記図2および図3では示されている。7は基盤6の周壁であって、これに防水シートSを被覆して1が嵌合される。このシートSは仮想線によって示されている。このほか、図示しないが培養液タンクと循環ポンプがあり、栽培台(基盤6,流水枠7)の他端から給水する。なお、ファンも図示しない。 ・・・ 【0024】以下では、図1に示す実施例の構成について説明する。 【0025】本願でいう、擬似的積分球の構成について述べる。構造は球状でなく直方体に近い形状が選ばれるので擬似と称することにする。前に述べたように、ランプの高さを低めるとしても、植物の草丈や作業効率などによって限界がある。栽培植物によって差があり、栽培パネル1から、該積分球の内部天井2までの空間の寸法、特に高さについては、植物の条件等によっても異なるので、実施例に限定されるものではないが、本発明実施例の葉菜の栽培例示では、好ましくは高さ60ないし70cm程度ないしそれ以下が好ましい。この天井に、ランプの反射傘3が開口するようになされる。積分球の内部照度はその大きさに逆比例するので、天井の高さが低いほど内部照度が増すが、作業性が悪くなるので適当な高さで妥協がなされる。 【0026】この内部反射空間の壁部分4は、光散乱性の反射板で構成され、作業時には上方または側方に転回、移動ないし開閉できるようになされる。これらの反射板材料には、簡便さと軽さのために白色ポリスチロール板などが使用される。 【0027】図示した実施例の場合、高圧ナトリウムランプは、1単位300W以下のものを使用した。これによって局部発熱を低減し、空間の高さを減らすことができる。もっと小型のランプでもよいが、発光効率が低下し、またランプの個数が増えることによる設備費の上昇があるので、現実的妥協点がある。逆に、もし従来のような大型のランプをここに適用すると、ヤケを起して、実用できないことも実験によって明らかになった。 【0028】上記反射傘の上端には、通常ランプ発生熱を逃がすための穴5があることが多いので、これを利用した換気がなされる。これらの穴の詳細は図示しない。図1に示すように、栽培空間は比較的に閉鎖された空間であり、処々に部材壁4の隙間を有する程度となるため、ランプ発生熱は熱対流により上下方向の通風を誘起するが、その通風は植物体附近を必然的に通過することとなり、冷風は上記壁部材の下部の隙間より流入し、ランプの傘の穴より上方に排出される。 【0029】このように、自然対流は植物体近傍における微風を誘起するために、植物成長に必要な最低限度の気流が自然に得られるのである。 【0030】さらに、通風を強化するために、必要により、上記内部反射体の一つの壁面にファンを取付けることもなされる。その他端には気流排出孔が設置され、積極的に水平方向の対流を行うようにもなされる。この端面は、図示されていない壁面に相当する。」 (エ)「【0051】以上詳細に説明した実施例における植物栽培装置の構造による利点をまとめると以下の如くである。 【0052】1.比較的狭い閉鎖的空間内において、照射光をすべて有効に利用し、照度を平均化し、光の無駄がないため、照射エネルギーコストが少なくて済む。 【0053】2.ランプの発熱を有効に排出し、その上昇気流が同時に栽培空間における気流循環に寄与する。このためランプを栽培植物に近接できることが前項の擬似積分球構造を可能とした。」 イ 甲13に記載された技術事項 上記アから、甲13には、次の技術事項(以下「甲13技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲13技術事項) 「完全制御型光植物工場に適用される植物育成用水耕栽培設備において、 基盤通水枠がほぼ水平に保持され、 該枠の内部平面上に支持部材を設置して栽培パネルを支持し、 該栽培パネル上方には、植物育成空間を介して光散乱性の反射板が天井を形成し、これにより、上下方向には温度差による通風がなされ、 該天井構造と該基盤枠間の空間を実質的に包囲して内部反射光を有効利用するごとく光散乱性の反射板による周壁が設けられ、 該基盤枠、栽培パネルと、光反射空間とが見掛上一体となされる内面反射構造が形成されるものであり、 栽培空間を小さくするために、小型のランプを用い、ランプを栽培面に近づけるが、そのためにランプ発熱を有効に除去する通風手段を併用し、また、近づけることにより栽培面における照度不均一が起こりやすいが、擬似積分球構造を用いて、これを補正できること。」 第6 取消理由通知において通知した取消理由についての当審の判断 1 本件訂正発明1について (1)対比 ア 甲1等発明の「育苗室」及び「定植作業室」は、その名称からして「育苗」等を行う領域と認められるから、本件訂正発明1の「育苗領域」に相当し、甲1等発明の「収穫作業室」は、同様に本件訂正発明1の「収穫領域」に相当する。 イ 甲1等発明の「植物」が「配置」された「パネル状のトレイ」は本件訂正発明1の「植物が配置された栽培パネル」に相当する。 ウ 甲1等発明における「クレーンを用いた苗を植えたトレイの入庫」が行われる部位は、本件訂正発明1の「投入口」に相当する。 エ 甲1等発明における「トレイ」が「15 日間かけて」「移動する」方向の棚の長さが「トレイ」の幅より長いことは明らかであるから、当該方向が「多段式栽培棚」の「長手方向」と理解される。また、「トレイ」が「クレーンにより取り出され」る「多段式栽培棚の端部」は、「「クレーンを用いた苗を植えたトレイの入庫」が行われる部位」(投入口)から「15 日間かけて」「移動」したところにあるから、「投入口」との関係で「他端」であるといえ、甲1等発明の「トレイ」が「クレーンにより取り出され」る「多段式栽培棚の端部」は、本件訂正発明1の「長手方向の他端に設けられた取出口」に相当する。 オ 上記ウ及びエの対比を踏まえると、甲1等発明の「トレイ」が「栽培棚を移動する」ことは、本件訂正発明1の「投入口から前記取出口に向かって搬送される」ことに相当する。 カ 上記ウないしオの対比を踏まえると、甲1等発明の「クレーンを用いた苗を植えたトレイの入庫」が行われ、「トレイ」が「栽培棚を移動」し、「多段式栽培棚の端部」から「クレーンにより取り出され」る「多段式栽培棚」と、本件訂正発明1の「長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚」とは、「投入口と、長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが投入口から取出口に向かって搬送される多段の生育棚」で共通する。 キ 甲1等発明の「全自動化システム」を備える、「全体を壁で囲われ」た「栽培室」は、栽培室が天井板を備えることは明らかであるから、本件訂正発明1の「内部に前記生育棚が配置され、天井板及び周壁で囲まれた生育室」に相当する。 ク 甲1等発明における「搬出」が収穫時に行われ、搬出先が「収穫作業室」であることは明らかであるから、甲1等発明の「トレイ」を「壁に設けられた開口を通って」、「搬出」させる「搬送装置」と、本件訂正発明1の「前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記生育室から前記収穫領域に搬出する搬出コンベア」とは、「周壁に設けられた開口を通って、栽培パネルを生育室から収穫領域に搬出する搬出機」の点で共通する。 ケ 甲1等発明の「苗を植えたトレイの入庫」を行う「クレーン」と、本件訂正発明1の「前記生育棚の投入口側に配置され、前記搬入コンベア上の栽培パネルを前記投入口から前記生育棚に投入する第1投入装置」とは、「生育棚の投入口側に配置され、栽培パネルを投入口から生育棚に投入する第1投入装置」の点で共通する。 コ 甲1等発明の「多段式栽培棚の端部」から「トレイ」を「取り出」す「クレーン」と、本件訂正発明1の「前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出して前記搬出コンベア上に載せる第1取出装置」とは、「前記生育棚の取出口側に配置され、前記取出口から栽培パネルを取り出す第1取出装置」の点で共通する。 サ 甲1等発明の「栽培棚」は、「支柱様の支持体の間に板状体が配置され」るものであるところ、「栽培棚の各段は、それぞれ、上方にLEDライトが配置され」るものであるから、「栽培棚」の最上段にも、上方に板状体を有するものといえる。そして、甲1等発明において「栽培棚」が最上段の上方の「板状体」を有することは、本件訂正発明1の「前記生育棚」は、「その上面」に「設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ことに相当する。 シ 甲1等発明の「植物工場」は、本件訂正発明1の「栽培設備」に相当する。 ス 以上から、本件訂正発明1と甲1等発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 植物の育苗を行うための育苗領域と、 植物の収穫を行うための収穫領域と、 投入口と、長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚と、 内部に生育棚が配置され、天井板及び周壁で囲まれた生育室と、 周壁に設けられた開口を通って、栽培パネルを生育室から収穫領域に搬出する搬出機と、 生育棚の投入口側に配置され、栽培パネルを投入口から生育棚に投入する第1投入装置と、 生育棚の取出口側に配置され、取出口から栽培パネルを取り出す第1取出装置と、 を備える、栽培設備。 (相違点1) 投入口が、本件訂正発明1は、「長手方向の一端に設けられた」ものであるのに対し、甲1等発明は、位置が不明である点。 (相違点2) 本件訂正発明1は、「前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ、前記栽培パネルを前記育苗領域から前記生育室に搬入する搬入コンベア」を備え、「搬入コンベア上の」栽培パネルを第1投入装置により投入するものであるのに対し、甲1等発明は、生育室からの搬入について特定されない点。 (相違点3) 搬出機が、本件訂正発明1は、「前記周壁に設けられた開口を貫通するように設けられ」た「搬出コンベア」であり、第1取出装置が取り出した栽培パネルを「搬出コンベア上に載せる」ものであるのに対し、甲1等発明は、「開口を貫通するように設けられ」る「搬出コンベア」と特定されておらず、第1取出装置も「搬出コンベア上に載せる」と特定されていない点。 (相違点4) 前記生育棚が、本件訂正発明1は、「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」のに対し、甲1等発明は、両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有しない点。 (2)判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点4について 事案に鑑み、まず、相違点4について検討すると、相違点4に係る構成は、申立人が提出した各証拠に記載も示唆もされてない。また、その他、相違点4に係る構成を当業者が容易に想到し得るとする理由も見当たらない。申立人は、相違点4について、甲6、甲7、甲10ないし13を提示しているので、これらの文献について、以下、検討する。 (ア)甲6技術事項について a 本件訂正発明1の「長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚」と甲6技術事項の「多段棚10」とは、「多段の生育棚」の点で共通するといえるが、甲6技術事項の「多段棚10」は、本件訂正発明1の「長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される」ものではない。 b 本件訂正発明1の「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板」と甲6技術事項の「多段棚10」の「左右の側板11、11」とは、(多段の生育棚の)「両側面に設けられる仕切板」の点で共通するといえるが、上記aの「多段の生育棚」の構成の相違にともない、仕切板は「長手方向に延びる」ものではない。 c また、甲6技術事項の「多段棚10」の「左右の側板11、11」は、「多段棚10」の「天板12および上下複数段に配置された棚板13」を支持する部材であるところ、甲1等発明は、板状体が「支柱様の支持体」の間に配置されて支持されるものであるから、甲1等発明において、「多段の生育棚」の「両側面」の「長手方向」に、甲6技術事項の「左右の側板」を配置する動機付けはない。 d よって、甲1等発明において、甲6技術事項を採用して相違点4に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (イ)甲7技術事項について a 本件訂正発明1の「長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚」と、甲7技術事項の「栽培床保持体C」は、「多段の生育棚」の点で共通するといえる。 しかし、甲7技術事項は、「栽培床保持体C」自体が「スタッカクレーン3」により「収納棚SS」に、「搬送」されるものであって、本件訂正発明1の「長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される」との構成を備えるものではない。 b 本件訂正発明1の「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板」と甲7技術事項の「栽培床保持体C」の「両側面16b」に「貼り付けられ」る「光反射体としてのアルミ蒸着フィルム17」とは、(多段の生育棚の)「両側面に設けられる部材」の点で共通するといえるが、部材は「光反射体としてのアルミ蒸着フィルム17」であって「仕切板」ではなく、上記aの「多段の生育棚」の構成の相違にともない、「長手方向に延びる」ものでもない。 c 「裏面16c」に貼り付けられる「光反射体としてのアルミ蒸着フィルム17」及び「正面16d」に「取り付けられる」「フィルム状のカバー」についても、部材は「フィルム」であって「仕切板」ではなく、上記aで検討したように、「栽培床保持体C」は「多段の生育棚」としての構成自体が異なるものであるから、甲7技術事項のこれらの事項を参酌して甲1等発明の多段の生育棚の「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 d よって、甲1等発明において、甲7技術事項を採用して相違点4に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (ウ)甲10技術事項について a 甲10技術事項は、「トンネル」が「複数段」「積み重ねて」「構成」され、「植付板」が「トンネル」の「入口から出口に向かって移動しうるようにした」ものである。そうすると、甲10技術事項は、本件訂正発明1の「長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚」と、「長手方向の一端に設けられた投入口と、前記長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の支持体」において共通する構成を備えるとはいえるが、「支持体」が、「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」「生育棚」であるとまではいえない。 b また、甲10技術事項は、「トンネル」を、その内部を「適当な温度に保持され適当な照光が与えられかつ適量の炭酸ガスを含む空間部」とするために設けているものであるが、甲1等発明は、レタスの栽培のための温湿度やCO2量の管理等の環境調整を、「栽培室」において行っているものと認められ(上記第5の3(1)ア(イ)(オ)(キ)等参照)、甲1等発明において「栽培棚」を、甲10技術事項の、内部を「適当な温度に保持され適当な照光が与えられかつ適量の炭酸ガスを含む空間部」とするべく「トンネル」とする動機付けはない。 c よって、甲1等発明において、甲10技術事項を採用して相違点4に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (エ)甲11技術事項について 甲11技術事項は、「育苗ベンチ10と、送風システム15と、カバー40と、を有している花芽分化促進システム」における「カバー」に関するものであり、本件訂正発明1の「生育棚」に関するものではない。 そうすると、甲1等発明において、甲11技術事項を採用して相違点4に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (オ)甲12技術事項について a 甲12技術事項の「栽培棟」が、「側面に、長手方向に延びる」、「側板を有する」ことは、側板が両側面に設けられるのは明らかであるから、本件訂正発明1の「生育棚」が、「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ことに相当する。 b しかし、甲12技術事項の「側板」は、「発芽段階時のように光を完全に遮断した方がよい場合と、発芽より4~5日後にはある程度光が必要な場合があ」る等の事情により、「気温、日照等の影響を利用するために各生育段階別に入光調整」する必要がある場合に、それを可能にするために(第5の3(10)ア(ウ))、「各段別に光線・温度等内部環境が調節可能な装置」として、「栽培棟」の側面に「遮光調節可能」に備えたものである。 c 一方、甲1等発明は、完全人工光型植物工場であって、日照等を利用するものではなく、「各生育段階別に入光調整をする」必要が無いものである。そうすると、甲1等発明において、甲12技術事項の「側板」を採用する動機付けは無い。 d よって、甲1等発明において、甲12技術事項を採用して相違点4に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (カ)甲13技術事項について a 甲13技術事項の「光散乱性の反射板による周壁」は、本件訂正発明1の「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板」に相当する。 b 甲13技術事項は、「栽培空間を小さくする」ために、「小型のランプを用い」、その際の「ランプを栽培面に近づける」際に生ずる課題である、「ランプ発熱」を「通風手段」により是正するとともに、「栽培面における照度不均一」を「光散乱性の反射板による周壁」を設けることにより是正したものと認められる。 c 一方、甲1等発明は、光源として「LEDライト」を用いるものであり、LEDは、甲1においても言及されるように(上記第5の3(1)ア(ウ))、「熱線域の光スペクトルを含まないため,近接照射が可能」なものである。また、甲1等発明は、多数のLEDライトを面状に配置しているものである(上記第5の3(1)ア(ク)の写真-7、図-7等)。 d そして、甲1等発明の「LEDライト」は、甲13技術事項が人工光源として例示する「高圧ナトリウムランプ」のように発熱の大きい光源ではなく、近接照射が可能なものであること、甲1等発明は、LEDライトが面状に配置されており「高圧ナトリウムランプ」のような光源に比して照度の均一化がはかられていることに鑑みると、甲1等発明において、甲13技術事項の「光散乱性の反射板による周壁」を採用する動機付けはなく、甲1等発明において、甲13技術事項を採用して「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ものとすることが、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 (キ)甲6、甲7、甲10ないし甲13から把握される周知技術について a 上記(ア)ないし(カ)における検討から把握されるように、「前記生育棚は、その上面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ことは、甲6、甲7、甲10ないし甲13に示された周知技術であるとはいえない。 b 仮に、甲6技術事項で示されたように「棚」において「上面」及び「両側面」に「仕切板」を設けることが周知技術であるといえるとしても、上記(ア)で説示したように、生育棚の形状、構造及び使用形態の異なる甲1等発明の生育棚に当該周知技術を適用する動機付けはない。 c また、上記(オ)及び(カ)において甲12技術事項、甲13技術事項について検討したように、「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板」を設けることが公知技術であり、また、仮にこれが周知技術であるといえるとしても、上記(オ)及び(カ)で説示したように、仕切板の設けられる理由は各技術によって異なるものであり、甲1等発明には、これら公知技術ないし周知技術を採用して栽培棚の両側面に長手方向に延びる仕切板を設けることが必要とされる理由がない。そうすると、甲1等発明に当該公知技術ないし周知技術を採用して、「両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ものとすることが、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 (ク)よって、甲1等発明並びに甲6、甲7及び甲10ないし甲13に記載された技術事項及び周知技術から、本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (3)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1等発明並びに甲6、甲7及び甲10ないし甲13に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本件訂正発明2、5及び6について 本件訂正発明2、5及び6は、本件訂正発明1に係る請求項1を引用し、さらに限定したものである。 そうすると、本件訂正発明2、5及び6は、上記1と同様の理由により、甲1等発明並びに甲6、甲7及び甲10ないし甲13に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 新規性についての判断 (1)本件訂正発明1 本件訂正発明1と甲1等発明とを対比すると、本件訂正発明1と甲1等発明とは、上記第6の1(1)スの相違点1ないし4において相違する。 よって、本件訂正発明1は甲1等発明と同一ではない。 2 進歩性についての判断 (1)本件訂正発明3、5及び6 本件訂正発明3及びこれを引用する本件訂正発明5及び6は、本件訂正発明1に、さらに限定を加えた発明である。 そうすると、上記第6の1(2)において、本件訂正発明1について判断したのと同様の理由により、本件訂正発明3、5及び6は、甲1等発明並びに甲6、甲7及び甲10ないし甲13に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件訂正発明4 ア 対比 本件訂正発明4と甲1等発明とを対比する。 (ア)上記第6の1(1)アないしコ及びシにおける本件訂正発明1と甲1等発明との対比は、本件訂正発明4と甲1等発明との対比においても同様である。 (イ)そうすると、本件訂正発明4と甲1等発明とは、以下の一致点を有し、少なくとも、以下の相違点5で相違する。 (一致点) 植物の育苗を行うための育苗領域と、 植物の収穫を行うための収穫領域と、 投入口と、長手方向の他端に設けられた取出口とを有し、植物が配置された栽培パネルが前記投入口から前記取出口に向かって搬送される多段の生育棚と、 内部に生育棚が配置され、天井板及び周壁で囲まれた生育室と、 周壁に設けられた開口を通って、栽培パネルを生育室から収穫領域に搬出する搬出機と、 生育棚の投入口側に配置され、栽培パネルを投入口から生育棚に投入する第1投入装置と、 生育棚の取出口側に配置され、取出口から栽培パネルを取り出す第1取出装置と、 を備える、栽培設備。 (相違点5) 本件訂正発明4は、「前記2以上の生育室のうち互いに隣接する2つの生育室は、一方の生育室内の前記生育棚の前記取出口と他方の生育室内の前記生育棚の前記取出口とが互いに対向するように、配置されている」のに対し、甲1等発明は、そのように特定されていない点。 イ 判断 上記相違点5について検討する。 ここで甲8をみると、甲8技術事項は、「栽培ユニットとなる栽培ベッド5」が「メイン通路4」の両側の側方位置に配置されているが、甲8技術事項の「栽培ベッド5」は、「ロックウールで形成され」、「各々の栽培ベッド5の間のサブ通路9」において「栽培する植物に対する各種作業を行う」ものであって、本件訂正発明4の「取出口」を備える「育成棚」に相当するものではない。 そうすると、甲8技術事項は、本件訂正発明4の「一方の生育室内の前記生育棚の前記取出口と他方の生育室内の前記生育棚の前記取出口とが互いに対向するように、配置されている」構成を備えていない。また、この点は、申立人が提出した証拠のいずれにも、記載も示唆もない。 よって、本件訂正発明4は、甲1等発明、甲8技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 小括 本件訂正発明4は、少なくとも、甲1等発明、甲8に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が上記相違点5に係る本件訂正発明4の構成とすることができたものではないから、甲1等発明、甲8に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件訂正発明4を引用する本件訂正発明5及び6 本件訂正発明5及び6は、本件訂正発明4を引用し、さらに限定したものであるから、上記(2)イと同様の理由により、甲1等発明並びに甲8技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第8 申立人の主張について 1 申立人の主張の概要 申立人は、令和4年8月24日付けの意見書において、概略以下の主張をしている。 (1)本件訂正発明1について 本件訂正発明1に付加された新たな構成である「前記生育棚は、その上面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ものであることは、甲6、甲7、甲10ないし甲13に例示される複数の文献に記載された、当該技術分野における周知技術であるから、本件訂正発明1は、依然として、甲1等発明及び該周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、進歩性を有さない。 (2)本件訂正発明2、5及び6について 本件訂正発明2、5及び6は、本件訂正発明1で検討したのと同様の理由により、依然として、当業者が容易に発明をすることができたものであり、進歩性を有さない。 (3)本件訂正発明3について 本件訂正発明3は、本件訂正発明1において、生育棚がその下面にも仕切棚を有しているものに限定するものであるが、生育棚がさらに下面に仕切板を有する構成を採用することに格別の困難性はなく、特段の効果もない。 したがって、本件訂正発明3は、甲1等発明及び上記(1)の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、進歩性を有さない。 (4)本件訂正発明4について 甲第8号証には、2つの栽培スペース6(2つの生育室に相当)がメイン通路4を介して互いに対向するように配置された構成が記載されている。メイン通路は作業者が移動するための通路であるが、これを無人化する場合、2つの生育室における取出口同士を対向させるように配置することは、必然的な配置を採用したに過ぎず、それ以外の配置をあえて使用する理由がない。 2 申立人の主張の検討 (1)上記1(1)ないし(3)について 上記第6の1(2)ア(キ)において検討したように、「前記生育棚は、その上面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ものであることは、当該技術分野における周知技術であるとはいえない。 また、仮に「棚は、上面及び両側面に設けられ、長手方向に延びる仕切板を有する」ことが周知技術であるとしても、該周知技術を甲1等発明に適用する動機付けは存在しない。 (2)上記1(4)について 上記第7の2(2)イ(ア)において検討したように、甲8技術事項は、「取出口」を有する「生育棚」を開示するものではない。 また、申立人の主張は、甲8を無人化する場合、2つの生育室における取出口同士を対向させるように配置することは、必然的な配置を採用したに過ぎない旨主張するものであって、甲1等発明において、「互いに隣接する2つの生育室は、一方の生育室内の前記生育棚の前記取出口と他方の生育室内の前記生育棚の前記取出口とが互いに対向するように、配置されている」ものとすることが、当業者が容易になし得たことであることについて、主張するものではない。 (3)小括 以上のとおりであるから、申立人の主張は、上記第6及び第7の結論を左右しない。 第9 むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人が申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件訂正発明1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件訂正発明1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700137

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    共通の審決分類: 113・A01G、121・A01G
  • 2022-701005異議申立 / 2023-08-28 / 訂正認容木材チップ及びその用途
    共通の審決分類: 113・A01G、121・A01G
  • 2022-700911異議申立 / 2023-08-25 / 請求成立(取消)植物苗、育苗方法、培土、および植物育成方法
    共通の審決分類: 113・A01G、121・A01G
  • 2023-700195異議申立 / 2023-08-18 / 請求成立(取消)イチゴ苗の生育方法
    共通の審決分類: 113・A01G、121・A01G
  • 2021-700801異議申立 / 2023-05-24 / 訂正認容農業用フィルム、及び、農業用ハウス、農業用カーテン又は農業用トンネル
    共通の審決分類: 113・A01G、121・A01G

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