特許異議申立
2021-700245
ドア用ハンドルの取付け構造およびドア用ハンドルの取付け構造を有するドア
- 審判番号
- 2021-700245
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-151662
- 登録番号
- 6751805
- 請求日
- 2021年03月08日
- 審決日
- 2023年02月16日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社長沢製作所
- 【権利者代理人】千明 武
- 【権利者】大建工業株式会社
- 【権利者代理人】千明 武
- 【異議申立人】藤田 幸三郎
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 長井 真一
- 審判官 住田 秀弘
- 分類
- P1651.112-YAA(E05B) / P1651.121-YAA(E05B) / P1651.537-YAA(E05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第134条の2第3項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条、特許法第29条第1項第2号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6751805号発明「ドア用ハンドルの取付け構造およびドア用ハンドルの取付け構造を有するドア」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6751805号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~17〕について訂正することを認める。
特許第6751805号の請求項1~17に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6751805号の請求項1~17に係る特許についての出願は、令和1年8月22日に出願され、令和2年8月19日にその特許権の設定登録がされ、同年9月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和3年3月8日に特許異議申立人 藤田 幸三郎(以下「申立人」という。)により全請求項に対して特許異議の申立てがされたところ、その後の経緯は以下のとおりである。
令和3年 6月 4日付け:取消理由通知
同年 8月 5日 :意見書の提出及び訂正の請求(特許権者)
同年12月10日付け:訂正拒絶理由通知
令和4年 1月14日 :意見書の提出(特許権者)
同年 3月31日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年 5月30日 :意見書の提出及び訂正の請求(特許権者)
同年 6月 8日 :訂正請求があった旨の通知
同年 7月14日 :意見書の提出(申立人)
同年 8月25日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年10月26日 :意見書の提出及び訂正の請求(特許権者)
なお、令和4年10月26日に訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされたので、令和3年8月5日及び令和4年5月30日にされた先の訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
また、本件訂正請求は、申立人に意見を聴くまでもないことが明らかであるから(先の令和4年5月30日にされた訂正の請求による訂正後の請求項1、16、17に係る発明に対して申立人により同年7月14日付け意見書に添付して新たに提出された証拠に基づく同年8月25日付け取消理由通知(決定の予告)に対応して、上記意見書において申立ての対象とされておらず、上記証拠に記載のない請求項2に記載の発明特定事項を上記請求項に追加するものである。)、申立人に意見書を提出する機会は与えない。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、「ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置し、前記レバーハンドルの取付け基部を相対して配置し、該レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座を配置し、該レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し、該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設したドア用ハンドルの取付け構造において、前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置したことを特徴とするドア用ハンドルの取付け構造。」に訂正する。(請求項1を引用する請求項2~15、17も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を、「前記ハンドル取付座は、レバーハンドルの取付け基部の凹部内に配置可能な横長矩形の座盤と、該座盤の外周を区画する張出部と、座盤の後方の側面を区画する側壁部とを備え、該側壁部の
側方に前記張出部を突設し、該側壁部の両側に一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを後方に突設し、前記パイプシャフトに圧入シャフトまたはタッピングスクリュを挿入可能に設けた請求項1記載のドア用ハンドルの取付け構造。」に訂正する。(請求項2を引用する請求項3~15、17も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を、「一方のハンドル取付座の側壁部の両側に一対のパイプシャフトを突設し、該パイプシャフトにスリットを軸方向に沿って形成し、該パイプシャフトに他方のハンドル取付座からタッピングスクリュをねじ込み、一対のハンドル取付座を接続可能にした請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。」に訂正する。(請求項3を引用する請求項17も同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項15を、「前記ハンドル取付座の横長矩形の座盤の中央に筒状シリンダを形成し、一方の筒状シリンダに一方のレバーハンドルに突設した軸筒部を挿入可能に設け、該軸筒部の両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置し、他方の筒状シリンダに凹孔を有するシャフトホルダの軸筒部を挿入可能に設け、該シャフトホルダの両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置し、該シャフトホルダを他方のレバーハンドルのホルダ収容孔内に固定し、前記シャフトホルダの内部にテーパ面を形成した凹孔を形成し、該凹孔内に通孔を有するロックワッシャを揺動可能に収容し、該ロックワッシャとホルダ収容孔の奥部との間にコイルバネを介挿し、該コイルバネの弾性を介しロックワッシャをテーパ面側へ付勢する一方、軸筒部の軸孔と角孔とに亘って角芯棒を配置し、前記ロックワッシャの通孔の開口縁を角芯棒の周面に係合可能に配置した請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。」に訂正する。(請求項15を引用する請求項17も同様に訂正する。)
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項16を、「ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部を相対して配置し、該レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座を配置し、該レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し、該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設したドア用ハンドルの取付け構造を有するドアにおいて、前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置したことを特徴とするドア用ハンドルの取付け構造を有するドア。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項17を、「前記ドア用ハンドルの取付け構造は請求項1乃至15記載のドア用ハンドルの取付け構造のうち何れか1項記載のドア用ハンドルの取付け構造を有するドア。」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0010】を、「請求項1の発明は、ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置し、前記レバーハンドルの取付け基部を相対して配置し、該レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座を配置し、該レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し、該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設したドア用ハンドルの取付け構造において、前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置し、レバーハンドルの内側の凹部の視界の遮りを図るとともに、凹部と異形のハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部の内側に確実に隠蔽し、レバーハンドルの取付け部の体裁を簡潔にするようにしている。
請求項2の発明は、ハンドル取付座は、レバーハンドルの取付け基部の凹部内に配置可能な横長矩形の座盤と、該座盤の外周を区画する張出部と、座盤の後方の側面を区画する側壁部とを備え、該側壁部の側方に前記張出部を突設し、該側壁部の両側に一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを後方に突設し、前記パイプシャフトに圧入シャフトまたはタッピングスクリュを挿入可能に設け、一対のハンドル取付座を簡便に接続可能にしている。
請求項3の発明は、一方のハンドル取付座の側壁部の両側に一対のパイプシャフトを突設し、該パイプシャフトにスリットを軸方向に沿って形成し、該パイプシャフトに他方のハンドル取付座からタッピングスクリュをねじ込み、一対のハンドル取付座を接続可能にして、圧入シャフトとパイプシャフトの経年劣化による修復作業の煩雑を回避し、他方のハンドル取付座からタッピングスクリュをパイプシャフトにねじ込んで接続し、一対のハンドル取付座の接続を長期に亘って維持可能にしている。
請求項4の発明は、レバーハンドルの取付け基部の内側に前記座盤を収容可能な凹部を形成し、該凹部内に前記座盤を密接して配置し、レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座の端部を確実に収容して隠蔽するようにしている。」に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0013】の請求項15の発明に係る記載を、「請求項15の発明は、前記ハンドル取付座の横長矩形の座盤の中央に筒状シリンダを形成し、一方の筒状シリンダに一方のレバーハンドルに突設した軸筒部を挿入可能に設け、該軸筒部の両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置し、他方の筒状シリンダに凹孔を有するシャフトホルダの軸筒部を挿入可能に設け、該シャフトホルダの両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置し、該シャフトホルダを他方のレバーハンドルのホルダ収容孔に固定し、前記シャフトホルダの内部にテーパ面を形成した凹孔を形成し、該凹孔内に通孔を有するロックワッシャを揺動可能に収容し、該ロックワッシャとホルダ収容孔の奥部との間にコイルバネを介挿し、該コイルバネの弾性を介してロックワッシャをテーパ面側へ付勢する一方、軸筒部の軸孔と角孔とに亘って角芯棒を配置し、前記ロックワッシャの通孔の開口縁を角芯棒の周面に係合可能に配置し、横長矩形の座盤に対応してハンドル取付座のパイプシャフトまたは圧入シャフトを合理的に配置するとともに、一対のレバーハンドル間に配置した角芯棒を他方のレバーハンドルに簡便に連結可能にしている。」に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0014】を、「請求項16の発明は、ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部を相対して配置し、該レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座を配置し、該レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し、該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設したドア用ハンドルの取付け構造を有するドアにおいて、前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置し、レバーハンドルの内側の凹部の視界の遮りを図るとともに、凹部と異形のハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部の内側に確実に隠蔽し、レバーハンドルの取付け部の体裁を簡潔にするドアを提供し得るようにしている。
請求項17の発明は、前記ドア用ハンドルの取付け構造は請求項1乃至15記載のドア用ハンドルの取付け構造のうち何れか1項記載のドア用ハンドルの取付け構造を有し、内外にハンドル取付座を容易かつコンパクトに取付けられるドアを提供し得るようにしている。」に訂正する。
(10)訂正事項10
明細書の段落【0015】を、「請求項1の発明は、凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置したから、レバーハンドルの内側の凹部の視界の遮りを図るとともに、凹部と異形のハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部の内側に確実に隠蔽し、レバーハンドルの取付け部の体裁を簡潔にすることができる。
請求項2の発明は、前記ハンドル取付座は、レバーハンドルの取付け基部の凹部内に配置可能な横長矩形の座盤と、該座盤の外周を区画する張出部と、座盤の後方の側面を区画する側壁部とを備え、該側壁部の側方に前記張出部を突設し、該側壁部の両側に一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを後方に突設し、前記パイプシャフトに圧入シャフトまたはタッピングスクリュを挿入可能に設けたから、一対のハンドル取付座を簡便に接続することができる。
請求項3の発明は、一方のハンドル取付座の側壁部の両側に一対のパイプシャフトを突設し、該パイプシャフトにスリットを軸方向に沿って形成し、該パイプシャフトに他方のハンドル取付座からタッピングスクリュをねじ込み、一対のハンドル取付座を接続可能にしたから、圧入シャフトとパイプシャフトの経年劣化による修復作業の煩雑を回避し、他方のハンドル取付座からタッピングスクリュをパイプシャフトにねじ込んで接続し、一対のハンドル取付座の接続を長期に亘って維持することができる。
請求項4の発明は、レバーハンドルの取付け基部の内側に前記座盤を収容可能な凹部を形成し、該凹部内に前記座盤を密接して配置したから、レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座の端部を確実に隠蔽することができる。」に訂正する。
(11)訂正事項11
明細書の段落【0018】の請求項15の発明に係る記載を、「請求項15の発明は、前記ハンドル取付座の横長矩形の座盤の中央に筒状シリンダを形成し、一方の筒状シリンダに一方のレバーハンドルに突設した軸筒部を挿入可能に設け、該軸筒部の両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置し、他方の筒状シリンダに凹孔を有するシャフトホルダの軸筒部を挿入可能に設け、該シャフトホルダの両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置し、該シャフトホルダを他方のレバーハンドルのホルダ収容孔内に固定し、前記シャフトホルダの内部にテーパ面を形成した凹孔を形成し、該凹孔内に通孔を有するロックワッシャを揺動可能に収容し、該ロックワッシャとホルダ収容孔の奥部との間にコイルバネを介挿し、該コイルバネの弾性を介してロックワッシャをテーパ面側へ付勢する一方、軸筒部の軸孔と角孔とに亘って角芯棒を配置し、前記ロックワッシャの通孔の開口縁を角芯棒の周面に係合可能に配置したから、横長矩形の座盤に対応してハンドル取付座のパイプシャフトまたは圧入シャフトを合理的に配置するとともに、一対のレバーハンドル間に配置した角芯棒を他方のレバーハンドルに簡便に連結することができる。」に訂正する。」に訂正する。
(12)訂正事項12
明細書の段落【0019】を、「請求項16の発明は、前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置したから、レバーハンドルの内側の凹部の視界の遮りを図るとともに、凹部と異形のハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部の内側に確実に隠蔽し、レバーハンドルの取付け部の体裁を簡潔にするドアを提供することができる。
請求項17の発明は、ドア用ハンドルの取付け構造は請求項1乃至15記載のドア用ハンドルの取付け構のうち何れか1項記載のドア用ハンドルの取付け構造を有するから、内外にハンドル取付座を容易かつコンパクトに取付けられ、その端部を隠蔽できるドアを提供することができる。」に訂正する。
(13)訂正事項13
明細書の段落【0011】の請求項5の発明に係る記載を、「請求項5の発明は、張出部の厚さを凹部の深さ以上に形成し、レバーハンドルの取付け時、レバーハンドルの取付け基部とドアの内外面との間に微小な隙間を形成可能にし、張出部の厚さ以下の微小な隙間を合理的に形成し、ハンドル取付座の端部の隠蔽を促し、レバーハンドルの取付け基部周辺の体裁を向上するようにしている。」に訂正する。
(14)訂正事項14
明細書の段落【0016】の請求項6の発明に係る記載を、「請求項6の発明は、張出部の厚さを、凹部の深さに前記隙間の寸法を相加した寸法に形成したから、張出部の厚さを凹部の深さに前記隙間の寸法を加味した具体的な寸法に設定し、レバーハンドルの取付け基部とドアの内外面との間の微小な隙間を合理的に形成することができる。」に訂正する。
(15)一群の請求項
訂正前の請求項2~15、17は、これらの請求項が直接又は間接的に引用する請求項1の記載を訂正する訂正事項1によって連動して訂正され、訂正前の請求項17は、同請求項が直接引用する請求項16の記載を訂正する訂正事項5によって連動して訂正されるから、請求項〔1~15、17〕及び請求項〔16、17〕は、それぞれ特許法134条の2第3項に規定する一群の請求項である。そして、これらの一群の請求項は、請求項17を共通して有しているから、組み合わされて一つの一群の請求項〔1~17〕となる。
したがって、本件訂正は、一群の請求項〔1~17〕についてするものである。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び新規事項の有無
以下、上記各訂正事項について、訂正の適否について検討する。なお、すべての請求項について特許異議申立ての対象とされているので、すべての訂正事項について特許法120条の5第9項において読み替えて準用する特許法126条7項の独立特許要件は課されない。
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1において、「ドア用ハンドルの取付け構造において、」の後で「レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部」を配置することを特定していたのを、「ドア用ハンドルの取付け構造において、」の前で特定することとするとともに、訂正前に記載の「レバーハンドルの取付け基部」について、「レバーハンドルの端部周縁に突設し」たものであること、訂正前に記載の「凹部」について、その「正面形状」が「横長の略台形形状に形成」されたものであること、訂正前に記載の「ハンドル取付座」について、その「横長の座盤」が「凹部内に」配置されることをそれぞれ特定するものであるから、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正前の請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項1における「レバーハンドルの取付け基部」について、「レバーハンドルの端部周縁に突設」することは、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。)の段落【0035】に「取付け基部」が「26a,27a」、「凹部」が「31,32」の符号で示されることが記載されていることを踏まえて図8をみると、本件明細書等に記載されているといえる。
訂正事項1における「レバーハンドルの取付け基部の内側」に形成した「凹部」について、その「正面形状」が「横長の略台形形状に形成」されたものであることは、本件明細書の段落【0029】の「前記取付け基部26a,27aの正面形状は・・・横長の略等脚台形形状に形成され」及び段落【0035】の「前記凹部31,32は、取付け基部26a,27aの内側に略同形の横長の略台形形状に形成され」との記載に基づくものといえる。
訂正事項1における「ハンドル取付座」について、その「横長の座盤」が「凹部内に」配置されることについて、本件明細書の段落【0028】の「前記ハンドル取付座14,15は横長矩形の座盤16,17を備え」及び【0029】の「座盤16,17の端部は後述の凹部内に位置し」との記載に基づくものといえる。
したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえる。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載の「ハンドル取付座」が備える「座盤」について、「横長矩形」であることを特定するとともに、訂正前に記載の「座盤の後方の側面を区画する側壁部」について、その「側方に前記張出部を突設し、該側壁部の」両側に一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを突設するものであることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項2は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正前の請求項2に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項2における「ハンドル取付座」が備える「座盤」について、「横長矩形」であることは、本件明細書の段落【0028】の「前記ハンドル取付座14,15は横長矩形の座盤16,17を備え」との記載に基づくものといえる。
訂正事項2における「座盤の後方の側面を区画する側壁部」について、その「側方に前記張出部を突設し、該側壁部の」両側に一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを突設することは、本件明細書の段落【0033】の「前記張出部18,19に隣接する後部周面に、段部を介して側壁20,21が座盤16,17の正面形状と略相似形状に形成され、」、段落【0039】の「前記筒状シリンダ24の後方開口部の両側に合成樹脂製のパイプシャフト45が突出成形され、」、段落【0042】の「前記ハンドル取付座15の筒状シリンダ25の前方開口部の両側に、合成樹脂製の前記圧入シャフト50が突設され、該圧入シャフト50の長さはパイプシャフト45と同長に形成されている。」との記載、及び、図6、図7等から「前記筒状シリンダ24の後方開口部の両側」は「側壁20,21」の両側でもあることが看取できることに基づくものといえる。
したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえる。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項3に「一対のハンドル取付座を接続可能に可能にした」との記載を「一対のハンドル取付座を接続可能にした」とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項3は、上記アのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正前の請求項3に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項3に係る訂正が、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項3は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項15に記載の「ハンドル取付座」の「座盤」について、「横長矩形」であることを特定するとともに、訂正前に記載の「一方の筒状シリンダ」に挿入可能に設けた「一方のレバーハンドルに突設した軸筒部」について、その「両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置」すること、訂正前に記載の「他方の筒状シリンダ」に「軸筒部を挿入可能に設け」た「凹孔を有するシャフトホルダ」について、その「両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置」することをそれぞれ特定するものであるから、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項4は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正前の請求項15に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項4における「ハンドル取付座」の「座盤」が「横長矩形」であることは、本件明細書の段落【0028】の「前記ハンドル取付座14,15は横長矩形の座盤16,17を備え」との記載に基づくものといえる。
訂正事項4における「一方の筒状シリンダ」に挿入可能に設けた「一方のレバーハンドルに突設した軸筒部」について、その「両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置」すること、及び、「他方の筒状シリンダ」に「軸筒部を挿入可能に設け」た「凹孔を有するシャフトホルダ」について、その「両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置」することは、本件明細書の段落【0055】に「前記筒状シリンダ24(「一方の筒状シリンダ」に相当)の後方開口部の両側にパイプシャフト45を突出成形」し、段落【0058】に「前記ハンドル取付座15の筒状シリンダ25(「他方の筒状シリンダ」に相当)の前方開口部の両側に、前記圧入シャフト50を突設」することが記載されていること、「パイプシャフト45」、「圧入シャフト50」が、それぞれ「筒状シリンダ24」、「筒状シリンダ25」のいずれに設けられてもよいことがその機能からみて明らかであることを踏まえると、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項4は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項4は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項16に記載の「内外」について、「ドアの内外」であることを明確にし、訂正前に前記がされていないのに「前記レバーハンドルの取付け基部」と記載されていたことから「前記」との記載を削除し、訂正前に「ドア用ハンドルの取付け構造を有するドアにおいて、」の後で「レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置」することを特定していたのを、「ドア用ハンドルの取付け構造を有するドアにおいて、」の前で特定することとするとともに、訂正前に記載の「レバーハンドルの取付け基部」について、「端部周縁に突設し」たものであること、訂正前に記載の「凹部」について、その「正面形状」が「横長の略台形形状に形成」されたものであること、訂正前に記載の「ハンドル取付座」について、その「横長の座盤」が「凹部内に」配置されることをそれぞれ特定するものであるから、訂正事項5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするとともに特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項5は、上記アのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするとともに特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正前の請求項16に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項1について上記(1)ウで検討したのと同様の理由により、訂正事項5は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項5は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項17に記載の「前記ドア用ハンドルの取付け構造は請求項1乃至15記載のドア用ハンドルの取付け構造を有する請求項16記載のドア用ハンドルの取付け構造を有するドア」を、「前記ドア用ハンドルの取付け構造は請求項1乃至15記載のドア用ハンドルの取付け構造のうち何れか1項記載のドア用ハンドルの取付け構造を有するドア」とし、「を有する請求項16記載」なる記載を削除することで、訂正前の請求項17が同じ特定事項を有する請求項1と請求項16とを重複して引用していたのを解消するものであるから、訂正事項6は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項6は、上記アのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正前の請求項17に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項6は、上記アのとおり、同じ特定事項を有する請求項1と請求項16とを重複して引用していたのを解消するものであり、訂正前の請求項17に記載されていたものである。
したがって、訂正事項6は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項6は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(7)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正事項1~3により、請求項1~3の記載が訂正されたのに伴い、明細書の段落【0010】の記載をこれに整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものであることは明らかである。
そして、訂正事項7は、訂正事項1~3について上記(1)ウ~(3)ウで検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項7は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(8)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正事項4により、請求項15の記載が訂正されたのに伴い、明細書の段落【0013】の記載をこれに整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものであることは明らかである。
そして、訂正事項8は、訂正事項4について上記(4)ウで検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項8は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(9)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正事項5、6により、請求項16、17の記載が訂正されたのに伴い、明細書の段落【0014】の記載をこれに整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものであることは明らかである。
そして、訂正事項9は、訂正事項5、6について上記(5)ウ、(6)ウで検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項9は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(10)訂正事項10について
訂正事項10は、訂正事項1、2により、請求項1、2の記載が訂正されたのに伴い、明細書の段落【0015】の記載をこれに整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものであることは明らかである。
そして、訂正事項10は、訂正事項1、2について上記(1)ウ、(2)ウで検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項9は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(11)訂正事項11について
訂正事項11は、訂正事項4により、請求項15の記載が訂正されたのに伴い、明細書の段落【0018】の記載をこれに整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、訂正事項11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものであることは明らかである。
そして、訂正事項11は、訂正事項4について上記(4)ウで検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項11は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(12)訂正事項12について
訂正事項12は、訂正事項5、6により、請求項16、17の記載が訂正されたのに伴い、明細書の段落【0019】をこれに整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、訂正事項12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものであることは明らかである。
そして、訂正事項12は、訂正事項5、6について上記(5)ウ、(6)ウで検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項12は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(13)訂正事項13について
訂正事項13は、明細書の段落【0011】における請求項5についての記載を特許請求の範囲の請求項5の記載に整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、訂正事項13は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものであることは明らかである。
そして、訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項5に記載された事項であり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項13は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(14)訂正事項14について
訂正事項14は、明細書の段落【0016】における請求項6についての記載を特許請求の範囲の請求項6の記載に整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、訂正事項13は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものであることは明らかである。
そして、訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項5に記載された事項であり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項13は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
3 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同法120条の5第9項において準用する同法126条5項又は6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-17〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2で示したとおり、本件訂正請求による訂正後の請求項〔1~17〕について訂正が認められるから、本件特許の請求項1~17に係る発明(以下「本件発明1」などととい、まとめて「本件発明」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置し、前記レバーハンドルの取付け基部を相対して配置し、該レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し、該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設したドア用ハンドルの取付け構造において、前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置したことを特徴とするドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項2】
前記ハンドル取付座は、レバーハンドルの取付け基部の凹部内に配置可能な横長矩形の座盤と、該座盤の外周を区画する張出部と、座盤の後方の側面を区画する側壁部とを備え、該側壁部の側方に前記張出部を突設し、該側壁部の両側に一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを後方に突設し、前記パイプシャフトに圧入シャフトまたはタッピングスクリュを挿入可能に設けた請求項1記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項3】
一方のハンドル取付座の側壁部の両側に一対のパイプシャフトを突設し、該パイプシャフトにスリットを軸方向に沿って形成し、該パイプシャフトに他方のハンドル取付座からタッピングスクリュをねじ込み、一対のハンドル取付座を接続可能にした請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項4】
前記レバーハンドルの取付け基部の内側に前記座盤を収容可能な凹部を形成し、該凹部内に前記座盤を密接して配置した請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項5】
前記張出部の厚さを凹部の深さ以上に形成し、レバーハンドルの取付け時、レバーハンドルの取付け基部とドアの内外面との間に微小な隙間を形成可能にした請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項6】
前記張出部の厚さを、凹部の深さに前記隙間の寸法を相加した寸法に形成した請求項5記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項7】
前記側壁部に複数の突起を形成し、該突起をハンドル取付座を配置する取付孔の内壁に係合可能に配置した請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項8】
前記側壁部の内部に空隙部を形成し、前記側壁部に弾性を付与可能にした請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項9】
一方のハンドル取付座の座盤の後方に肉厚の偏肉部を形成した一対のパイプシャフトを突設し、他方のハンドル取付座の座盤の後方に、前記パイプシャフトに挿入可能な一対の圧入シャフトを突設し、前記パイプシャフトにスリットを軸方向に沿って形成した請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項10】
前記パイプシャフトの偏肉部と反対側の周面にスリットを形成した請求項9記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項11】
前記一方のハンドル取付座の座盤にパイプシャフトに連通する連通孔を形成し、該連通孔に棒状の工具を挿入可能に設け、該工具を介しパイプシャフトに係合した圧入シャフトを押し出し可能にした請求項9記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項12】
前記他方のハンドル取付座の座盤に一対の凹部を形成し、該凹部の底部に圧入シャフトと同軸位置にビス孔を形成した請求項11記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項13】
前記圧入シャフトの基部を切断可能に設け、該切断後、前記ビス孔にタッピングスクリュを挿入し、該タッピングスクリュを対応するパイプシャフトにねじ込み可能にした請求項12記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項14】
一方のハンドル取付座の座盤に開口した連通孔の近接位置に矢視形状の指標を設け、連通孔の位置を表示可能にした請求項11記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項15】
前記ハンドル取付座の横長矩形の座盤の中央に筒状シリンダを形成し、一方の筒状シリンダに一方のレバーハンドルに突設した軸筒部を挿入可能に設け、該軸筒部の両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置し、他方の筒状シリンダに凹孔を有するシャフトホルダの軸筒部を挿入可能に設け、該シャフトホルダの両側に前記横長方向に沿って前記パイプシャフトまたは圧入シャフトを配置し、該シャフトホルダを他方のレバーハンドルのホルダ収容孔内に固定し、前記シャフトホルダの内部にテーパ面を形成した凹孔を形成し、該凹孔内に通孔を有するロックワッシャを揺動可能に収容し、該ロックワッシャとホルダ収容孔の奥部との間にコイルバネを介挿し、該コイルバネの弾性を介しロックワッシャをテーパ面側へ付勢する一方、軸筒部の軸孔と角孔とに亘って角芯棒を配置し、前記ロックワッシャの通孔の開口縁を角芯棒の周面に係合可能に配置した請求項2記載のドア用ハンドルの取付け構造。
【請求項16】
ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部を相対して配置し、該レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座を配置し、該レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し、該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置し、レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設したドア用ハンドルの取付け構造を有するドアにおいて、前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置したことを特徴とするドア用ハンドルの取付け構造を有するドア。
【請求項17】
前記ドア用ハンドルの取付け構造は請求項1乃至15記載のドア用ハンドルの取付け構造のうち何れか1項記載のドア用ハンドルの取付け構造を有するドア。」
第4 令和4年8月25日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審より令和4年8月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1に係る発明は、検甲第2号証により示される永大産業株式会社製レバーハンドル(TDB-CK12SM1)(以下「公然実施発明2」という。)と同一である。
請求項1、16、17に係る発明は、公然実施発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 公然実施発明2について
(1)甲第8号証の1~4、甲第9号証の記載
ア 甲第8号証の1(楽天市場「お家王国」からの電子メールのプリントアウト(写し)。以下「甲8の1」という。)によれば、2022年6月29日に、楽天市場「お家王国」より、受注番号「305164-20220629-0590407923」として同日に受け付けた注文について当該注文を受理した旨を注文者に通知したこと(1枚目)、注文した商品は「永大産業株式会社製レバーハンドル[12SM型・定鍵・シルバー色]丸座一体型デザインオプション部材(TDB-CK12SM1)」(1個)であること(2枚目)、同商品を同日出荷した旨の案内を同日中に通知したこと(4枚目)が理解できる。
イ 甲第8号証の2(注文した商品の外箱と内容物の写真(写し)。以下「甲8の2」という。)の写真22-1ないし3によれば、同商品(TDB-CK12SM1)が段ボールに梱包されて出荷されたこと、写真22-5によれば、同商品とともに施工説明書が梱包されていたことが理解できる。
「
[図:0001398208000001.jpg]
」
「
[図:0001398208000002.jpg]
」
ウ 甲第8号証の3(注文した商品に付属していた施工説明書、及びその拡大図(写し)。以下「甲8の3」という。)には、次の図示がある。
「
[図:0001398208000003.jpg]
」
エ 甲第8号証の4(注文した商品のドアへの取付構造の写真(写し)。以下「甲8の4」という。)には、次の写真がある。
「
[図:0001398208000004.jpg]
」
「
[図:0001398208000005.jpg]
」
オ 甲第9号証(カタログ「Skism Brand Catalogue」、永大産業株式会社、2018年8月、第1版。以下「甲9」という。)の第102頁には、以下の写真がある。
「
[図:0001398208000006.jpg]
」
カ 上記ア~エによれば、検甲2の永大産業株式会社製レバーハンドル(TDB-CK12SM1)(以下「公然実施発明2」という。)は、検甲2の各部品の写真(甲8の4)、同梱されていた施工説明書(甲8の3)の記載を踏まえると、以下の構成を備えるものと認められる。なお、公然実施発明2における部品の名称については施工取付説明書(甲8の3)にその名称の記載があることから、これに従った。
【公然実施発明2】
(ア)レバーハンドルA及びレバーハンドルBを有しており、
(ア-1)レバーハンドルAは、円形状の端部を有し、当該円形状の端部の内側には、軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部が形成され、当該凹部の中央には、軸方向に延びる四角柱状の角芯が設けられた円柱状の突起が形成されており、
(ア-2)レバーハンドルBは、円形状の端部を有し、当該円形状の端部の内側には、軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部が形成され、当該凹部の中央には、軸方向に断面四角形状の孔が延びるように設けられた円柱状の突起が形成されており、
(イ)レバーハンドルA及びレバーハンドルBは、それぞれの上記凹部に配置される化粧台座を有しており、
(イ-1)レバーハンドルA側の化粧台座は、軸方向に縮径する断面円形状を有する部材からなり、周辺にはネジ柱が貫通する2つの貫通孔が形成され、中央にはレバーハンドルAに設けられた上記四角柱状の角芯が貫通する貫通孔が形成されており、
(イ-2)レバーハンドルB側の化粧台座は、軸方向に縮径する断面円形状を有する部材からなり、周辺には座取付ネジが貫通する2つの貫通孔が形成され、中央にはレバーハンドルAに設けられた上記四角柱状の角芯が貫通する円形の貫通孔が形成されており、
(ウ)レバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれの端部の凹部にそれぞれの縮径方向が一致するように化粧台座を配置するとともに、化粧台座のそれぞれの周辺に形成された2つの貫通孔が対向するように配置することで、レバーハンドルB側の化粧台座の周辺に形成された2つの貫通孔を貫通するそれぞれの座取付ネジがレバーハンドルA側の化粧台座の周辺に形成された2つの貫通孔を貫通するネジ柱にそれぞれ挿入するこができ、レバーハンドルAの凹部の中央に設けられた上記四角柱状の角芯がそれぞれの化粧台座の中央に形成した貫通孔を貫通し、レバーハンドルBの凹部の中央に設けられた円柱状の突起に形成した断面四角形状の孔に挿入することができる、
レバーハンドル。
3 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と公然実施発明2と対比する。
(ア)公然実施発明2におけるレバーハンドルAの凹部の中央に設けられた四角柱状の角芯は、レバーハンドルBの凹部の中央に設けられた円柱状の突起に形成した断面四角形状の孔に挿入されることを踏まえると、公然実施発明2におけるレバーハンドルA及びレバーハンドルBは、本件発明1における『ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置』されることに相当する。
(イ)公然実施発明2におけるレバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれの円形状の端部の内側に軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部が形成されるところ、レバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれの円形状の端部は、本件発明1における『レバーハンドルの取付け基部』に相当するから、上記アでみたように、レバーハンドルAの凹部の中央に設けられた四角柱状の角芯が、レバーハンドルBの凹部の中央に設けられた円柱状の突起に形成した断面四角形状の孔に挿入されることを踏まえると、公然実施発明2におけるレバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれの円形状の端部は、本件発明1における『(前記レバーハンドルの取付け基部を)相対して配置』するものであることに相当する。
(ウ)公然実施発明2におけるレバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれの円形状の端部(取付け基部)の内側に形成された「軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部」は、それぞれの凹部に化粧台座(ハンドル取付座)が配置されるから、本件発明1における『該レバーハンドルの取付け基部の内側に』『形成』された『ハンドル取付座を収容可能な凹部』に相当する。
そうすると、公然実施発明2におけるレバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれの円形状の端部(取付け基部)の内側に形成された「軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部」に、それぞれ化粧台座(ハンドル取付座)が配置されることは、本件発明1における『該凹部内にハンドル取付座の端部を配置』することに相当する。
また、公然実施発明2におけるレバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれの円形状の端部(取付け基部)の内側に形成された「軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部」に、それぞれ化粧台座(ハンドル取付座)が配置されることは、本件発明1における『該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置したドア用ハンドルの取付け構造』に相当することも明らかである。
(エ)公然実施発明2におけるレバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれ円形状の端部(取付け基部)の内側には、軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部が形成されているから、レバーハンドルA及びレバーハンドルBのそれぞれ円形状の端部(取付け基部)の周縁に部材が形成されることとなることは、本件発明1における『レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設した』ことに相当する。
以上によれば、本件発明1と公然実施発明2とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置し、前記レバーハンドルの取付け基部を相対して配置し、該レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し、該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置したドア用ハンドルの取付け構造において、レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設したことを特徴とするドア用ハンドルの取付け構造。
【相違点】
本件発明1では、「前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置した」のに対し、
公然実施発明2では、レバーハンドルA及びBの端部の内側に軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部が形成され、当該凹部に軸方向に縮径する断面円形状を有する部材からなる化粧台座が配置される点。
上記相違点について検討する。
公然実施発明2は、レバーハンドルA及びBの端部の内側に軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部を形成し、当該凹部に軸方向に縮径する断面円形状を有する部材からなる化粧台座を配置するようにしたものであるところ、公然実施発明2における「軸方向に縮径する断面円形状」有する凹部及び化粧台座について、それぞれ「正面形状を横長の略台形形状」、「横長」の形状とする動機付けはないし、かかる形状とすることが周知技術であるとか設計的事項であるとは、申立人が特許異議申立書に添付して提出したいずれの証拠を参酌しても認められない。
イ 小括
したがって、本件発明1は、公然実施発明2と同一ではない。
また、本件発明1は、公然実施発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明16、17について
本件発明16、17は、本件発明1の構成を含んでいるから、本件発明1について検討したのと同様の理由により、公然実施発明2と同一のものとはいえないし、公然実施発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
第5 令和4年8月25日付け取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立書において主張された申立理由
申立人が、特許異議申立書において主張した申立理由の概要及び同申立書に添付して提出した証拠は、以下のとおりである。
【理由1】請求項1、16、17に係る発明は、検甲第1号証の「オルガニコ」として本件特許に係る出願前に公然実施されていた(以下「公然実施発明1」という。)ものであって、特許法第29条第1項第2号の規定に該当するから、請求項1、16、17に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
【理由2】請求項1~6、15~17に係る発明は、公然実施発明1及び甲第4号証~甲第6号証に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6、15~17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
【理由3】請求項2~15、17の記載が不明確であり、特許を受けようとする発明が明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
<引用文献等一覧>
検甲第1号証 :株式会社サンワカンパニー製のドア用レバーハンドル
「オルガニコ」(品番DH07009)
甲第1号証の1:電子メール「Subject: ご入金確認完了のお知らせ」の
プリントアウト、送信者:株式会社サンワカンパニー
(送信日:2021年1月16日)
甲第1号証の2:検甲第1号証の「オルガニコ」の外箱と内容物の写真
(撮影日:令和3年2月26日、撮影者:藤田幸三郎)
甲第1号証の3:検甲第1号証の「オルガニコ」付属の取付説明書と取扱
説明書、並びに、分解斜視図の拡大図
甲第1号証の4:検甲第1号証の「オルガニコ」の各部品の写真
(撮影日、撮影者は、甲第1号証の2と同じ)
甲第1号証の5:検甲第1号証の「オルガニコ」のドアヘの取付構造の
写真(撮影日、撮影者は、甲第1号証の2と同じ)
甲第2号証 :カタログ「Best selection2015,
Vol.22,sanwacompany」
株式会社サンワカンパニー、2015年発行
甲第3号証 :株式会社サンワカンパニーの糴川康次郎の陳述書
甲第4号証 :特開2006-257705号公報
甲第5号証 :特開平7-310465号公報
甲第6号証 :特開2003-97103号公報
甲第8号証の1:楽天市場「お家王国」からの電子メールのプリントアウ
ト
甲第8号証の2:注文した商品の外箱と内容物の写真
甲第8号証の3:注文した商品に付属していた施工説明書及びその拡大図
甲第8号証の4:注文した商品のドアへの取付構造の写真
甲第9号証 :カタログ「Skism Brand Catalogu
e」、永大産業株式会社、2018年8月、第1版
2 各甲号証について
(1)甲第1号証の1~5、甲第2、3号証の記載
申立人は、株式会社サンワカンパニー製のドア用レバーハンドル「オルガニコ」(品番DH07009)の現物を検甲第1号証(以下「検甲1」という。)として提出しているところ、これに関連する証拠として提出した甲第1号証の1~5(以下「甲1の1」などという。)並びに甲第2号証及び甲第3号証(以下「甲2」、「甲3」という。)には、以下の記載、図又は写真がある。
ア 甲1の1(電子メール「Subject:ご入金確認完了のお知らせ」のプリントアウト、送信者:株式会社サンワカンパニー、送信日:2021年1月16日)(以下、黒塗りされた記載箇所を「(黒塗り)」、摘記を省略した記載箇所を「(略)」と記す。)
(ア)1枚目
・「Subject:ご入金確認完了のお知らせ」、「From:サンワカンパニー([email protected])」、「To:(黒塗り)」、「Date:2021/1/16,Sat.09:15」
・「このたびはご注文いただき、誠にありがとうございます。下記の注文について、審査が完了いたしましたのでご案内いたします。現在、出荷および生産の手配をしております。完了しましたら納品予定日をお知らせいたします。」
・「■ご注文内容」、「受付番号:(略)」、「ご注文受付日時:2021年01月16日08:45:48」、「会社名:」、「ご注文者:(黒塗り)様」
・「品番:DH07009」、「商品名:オルガニコ」、「販売価格:5,300円/セット 数量:1セット 合計:5,300円」
・「■お買上金額」、「商品代金小計:5,300円」、「運賃:890円」、「クーポンご利用額:0円」、「お支払い合計金額:6,190円」、「※すべて税込価格です。」
・「■お支払い方法」、「お支払方法:請求書後払い」
(イ)2~3枚目
・「■お届け先情報」、「会社名:」、「氏名:(黒塗り)様」、「〒(黒塗り)」、「電話番号:(黒塗り)」、「お届け方法:混載便」
・「建材・建築資材の通販ならサンワカンパニー」、「〒(略)」、「電話番号:(略)」、「MAIL:(略)」、「URL: https://www.sanwacompany.co.jp/shop/」、「担当者:お問合せ担当者」
・「不明な点はお気軽にお問合せください。」
イ 甲1の2(検甲1の「オルガニコ」の外箱と内容物の写真(撮影日:令和3年2月26日、撮影者:藤田幸三郎))
(ア)1枚目
「
[図:0001398208000007.jpg]
」
(イ)4枚目
「
[図:0001398208000008.jpg]
」
ウ 甲1の3(検甲1の「オルガニコ」付属の取付説明書と取扱説明書、並びに、分解斜視図の拡大図)
(ア)1枚目
「
[図:0001398208000009.jpg]
」
エ 甲1の4(検甲1の「オルガニコ」の各部品の写真(撮影日、撮影者は、甲1の2と同じ))
(ア)1枚目
「
[図:0001398208000010.jpg]
[図:0001398208000011.jpg]
」
(イ)3~4枚目
「
[図:0001398208000012.jpg]
[図:0001398208000013.jpg]
」
(ウ)5~7枚目
「
[図:0001398208000014.jpg]
[図:0001398208000015.jpg]
[図:0001398208000016.jpg]
[図:0001398208000017.jpg]
」
(エ)8~10枚目
「
[図:0001398208000018.jpg]
[図:0001398208000019.jpg]
[図:0001398208000020.jpg]
[図:0001398208000021.jpg]
」
オ 甲1の5(検甲1の「オルガニコ」のドアヘの取付構造の写真(撮影日、撮影者は、甲1の2と同じ))
(ア)1枚目
「
[図:0001398208000022.jpg]
」
(イ)7枚目
「
[図:0001398208000023.jpg]
」
(ウ)9枚目
「
[図:0001398208000024.jpg]
」
カ 甲2(カタログ「Best selection2015,Vol.22,sanwacompany」、株式会社サンワカンパニー、2015年発行、表紙、第3~5、341頁、裏表紙)
(ア)表紙
「
[図:0001398208000025.jpg]
」
(イ)341頁
「
[図:0001398208000026.jpg]
[図:0001398208000027.jpg]
」
キ 甲3(株式会社サンワカンパニーの糴川康次郎の陳述書)
(ア)1枚目
「陳述書」
「当社は、遅くとも2015年から現在に至るまで、「オルガニコ」(品番:DH07009)という商品名のレバーハンドルを販売しております。
当社のカタログ「Best selection 2015,Vol.22,sanwacompany」は2015年に発行されたものです。このカタログの第341頁に、当時販売していたオルガニコの写真、価格(¥5,200/セット)、及びサイズ(W153×H52.5×D68.5mm)が記載されております。
私が知る限り、2015年から現在に至るまで、オルガニコの仕様は変更されておりません。したがって、2015年に販売されていたオルガニコの構造は、現在市販されているオルガニコの構造と同じであると思います。」
「2021年1月27日
大阪府大阪市北区・・・
株式会社サンワカンパニー
マーケティング部企画デザイン課
マネージャー 糴川康次郎」
ク 公然実施発明1
(ア)上記甲1の1~5、甲2、3の記載によれば、現物として提出された検甲1の「オルガニコ」は、甲1の1の電子メールにより、2021年1月16日に株式会社サンワカンパニーに注文され、甲1の2(写真2-2参照)により、同月20日に納品されたものと認められる。そして、同注文の基とされたとされる甲2のカタログの341頁における「オルガニコ」「DH07009」、「¥5,200/セット」、「W153×H52.5×D68.5mm」との記載は、甲1の1の電子メールにおける「品番:DH07009」、「商品名:オルガニコ」、「販売価格:5,300円/セット」との記載と符合しており(価格の違いは消費税率の違いに起因すると解される。)、甲2のカタログが公知となったと認められる「2015年」から「オルガニコ」の譲渡の申出の用に供されていたと認められること、甲3の陳述書における「遅くとも2015年から・・・「オルガニコ」(品番:DH07009)という商品名のレバーハンドルを販売しております。」との陳述、及び、「2015年から現在に至るまで、オルガニコの仕様は変更されておりません」との陳述に照らすと、検甲1の「オルガニコ」と少なくとも同仕様のものが、遅くとも本件特許出願前に販売されていたと認められる。
(イ)検甲1の「オルガニコ」と同仕様のもの(以下「公然実施発明1」という。)は、検甲1の「オルガニコ」の各部品の写真(甲1の4)、同梱されていた取付説明書(甲1の3)の記載を踏まえると、以下の構成を備えるものと認められる。なお、公然実施発明1における「内部レバーハンドル」、「外部レバーハンドル」、「内部化粧座」、「外部化粧座」、「化粧座取付ネジ」との名称は、上記各部品の写真(甲1の4)における部品について取付説明書(甲1の3)にその名称の記載があることから、これに従った。
【公然実施発明1】
(ア)内部レバーハンドル及び外部レバーハンドルを有しており、
(ア-1)内部レバーハンドルは、断面四角形状を有する肉厚の部位を端部に有しており、当該部位の内側には、軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部が形成され、当該凹部の中央には、軸方向に孔が形成された円柱状の突起が形成されており、
(ア-2)外部レバーハンドルには、断面四角形状を有する肉厚の部位を端部に有しており、当該部位の内側には、軸方向に縮径する断面円形を有する凹部が形成され、当該凹部の中央には、軸方向に延びる四角柱状の部位が形成された円柱状の突起が形成されており、
(イ)内部化粧座及び外部化粧座を有しており、
(イ-1)内部化粧座は、軸方向に縮径する断面円形状を有する部材からなり、周辺には4つの貫通孔が等間隔に形成され、当該4つの貫通孔の内側には円形の貫通孔が形成されており、
(イ-2)外部化粧座は、軸方向に縮径する断面円形状を有する部材からなり、周辺には2つの貫通孔及び2つの円柱状の中空突起部が等間隔に交互に形成され、当該2つの貫通孔及び2つの円柱状の中空突起部の内側には円形の貫通孔が形成されており、
(イ-3)内部化粧座と外部化粧座とは、内部化粧座の周辺に等間隔に形成された上記4つの貫通孔と外部化粧座の周辺に等間隔に交互に形成された上記2つの貫通孔及び2つの円柱状の中空突起部とが対向するように配置され、2つの円柱状の中空突起部と対向して位置する内部化粧座の2つの貫通孔から外部化粧座の2つの円柱状の中空突起部の中空部に化粧座取付ネジを挿入するものであり、
(ウ-1)内部レバーハンドルの軸方向に縮径する断面円形状を有する上記凹部に、内部化粧座の軸方向に縮径する断面円形状を有する上記部材を、縮径方向が一致し、内部化粧座の上記円形の貫通孔を内部レバーハンドルの上記円柱状の突起が貫通するように配置し、
(ウ-2)外部レバーハンドルの軸方向に縮径する断面円形状を有する上記凹部に、外部化粧座の軸方向に縮径する断面円形状を有する上記部材を、縮径方向が一致し、外部化粧座の上記円形の貫通孔に外部レバーハンドルの上記軸方向に延びる四角柱状の部位が形成された円柱状の突起が貫通するように配置し、
(エ)内部レバーハンドルと外部レバーハンドルは、ドアを挟んで両側に、両レバーハンドルの延びる方向が一致し、かつ、両者の端部に形成された断面四角形状を有する肉厚の部位が対向するように配置され、内部レバーハンドルの凹部の中央に形成した円柱状の突起の軸方向に形成された孔に外部レバーハンドルの凹部の中央に形成された円柱状の突起から軸方向に延びる四角柱状の部位が挿入される、
レバーハンドル。
(2)甲第4号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第4号証(特開2006-257705号公報。以下「甲4」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0008】
・・・
このドアハンドルの取付構造は、図1に示すように、ドアDの内面及び外面に、内周円形状の筒部30と当該筒部30の外周側に張り出す薄板部31とから構成された座板3を固定し、前記筒部30にハンドルHのボス部2を樹脂製リング4を介して回動自在に挿入すると共に前記ハンドルHのボス部2,2相互を角芯8により相対回動不能に連結して構成されている。・・・
・・・
【0011】
上記薄板部31は、図3や図4に示すように、平面視長方形状に形成された厚みが3.5mm程度のものであり、筒部30を挟んで二個のビス挿通孔32を設けてある。なお、図1に示すハンドルHのドアDへの取付状態では、薄板部31の一部はドアD内に挿入されており、ドアD面から突出する薄板部31部分の寸法は1.5mm程度となっている。」
イ 図1、図3
「【図1】
[図:0001398208000028.jpg]
【図3】
[図:0001398208000029.jpg]
」
上記アの記載を踏まえると、上記イの【図1】、【図3】からは、ドアハンドルの取付に用いられる座板において、ドアの内面又は外面に載置される面からドアの内部にまで伸びる部分が看取できる。
(3)甲第5号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第5号証(特開平7-310465号公報。以下「甲5」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0010】ハンドル取付座30,32は実施例の場合、機械的および熱的性質に優れる合成樹脂、例えばABS樹脂で構成され、このうちハンドル取付座30は、図3,4のように円板形に形成され、その内側中央にパイプカラー34が突設されていて、該カラー34の内部に、ドアハンドル28の小径軸部28aが収容されている。
【0011】ハンドル取付座30の内側面には、パイプカラー34を中心に複数の補強リブ35が放射状に突設され、上記カラー34を挟む補強リブ35,35の対称位置に、パイプシャフト31,31が突設されている。パイプシャフト31,31は円筒形の略直管状に形成され、その基部は若干大径かつ肉厚に形成されていて、それらのピッチは芯出しガイド孔27,27のピッチと同ピッチに設定され、かつ上記取付座30の内側面からの長さLは、上記カラー34の長さの略2倍に形成され、その内部に内径Dの円形内空断面の嵌合孔36,36が形成されている。パイプシャフト31,31の互いに反対側周面には、その基部上端より先端に亙って、嵌合孔36,36に連通するスリット37,37が軸方向に形成され、インサートシャフト33,33の挿入時に拡開可能にされている。
・・・
【0013】一方、ハンドル取付座32は図5,6のように円板形に形成され、その内側中央にパイプカラー40が突設され、該カラー40の内部にドアハンドル41の小径軸部41aが収容されている。」
【0014】ハンドル取付座32の内側面には、パイプカラー40を中心に複数の補強リブ42が放射状に突設され、上記カラー40を挟む補強リブ42,42の対称位置に、インサートシャフト33,33が突設されている。・・・」
イ 図1
「
[図:0001398208000030.jpg]
」
上記アの記載を踏まえると、上記イの【図1】からは、ハンドル取付座において、ドアの内面又は外面に載置される面からドアの内部にまで伸びるカラーが看取できる。
(4)甲第6号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第6号証(特開2003-97103号公報。以下「甲6」という。)には、以下の記載がある。
ア 「【0032】一対のレバーハンドル4は、芯部材13を有する一方のレバーハンドル10、凹孔18を有する他方のレバーハンドル12、係止板55、筒体42及びばね40から成る。一方のレバーハンドル10は、第1の実施の形態と同じである。他方のレバーハンドル12は、第1の実施の形態と比べて、凹孔41の形状が異なる。すなわち、凹孔41は、軸方向に2段階に形状が異なっており、入り口側は円形の孔18aであり、奥側は角孔6aとほぼ同じ形状の角孔18bである。また、円形の孔18aに側部からの貫通する孔である開口窓18fが設けられている。
【0033】前記凹孔18には、係止板55、筒体42及びばね40が挿入される。係止板55は、図4(a)のように中央に正方形の孔21が有するほぼ円盤状であり、周外部には凸状の外側凸部23を有している。・・・
・・・
【0035】・・・そして、この状態で、係止板55は再びばね40によって角孔部42bと丸孔部42cの境界面に押しつけられ、斜状となり、芯部材13の角部と係止板55が接触して固定される。このとき、接触している部分は芯部材13の角であり引き抜き強度が大きい。・・・」
イ 図8
「
[図:0001398208000031.jpg]
」
上記アの記載及び上記イの【図8】の記載を踏まえると、甲6には、以下の技術的事項が記載されている。
【甲6記載技術的事項】
「筒体42をレバーハンドル12の円形の孔18a内に固定し、筒体42の内部にテーパ面Cを形成した凹孔を形成し、該凹孔内に通孔を有する係止板55を収容し、係止板55と円形の孔18aの奥部との間にばね40を挿入し、ばね40によって係止板55がテーパ面Cに押しつけられて斜状となる一方、筒体42の入り口側の円形の孔18aと奥側の角孔18bとに亘って芯部材13を配置し、係止板55の正方形の孔21の開口縁を芯部材13の周面に接触させて固定することにより、芯部材13を有する一方のレバーハンドル10と凹孔18を有する他方のレバーハンドル12とを一体化する技術。」
3 当審の判断
(1)理由1及び理由2について
ア 本件発明1について
(ア)対比・判断
本件発明1と公然実施発明1とを対比する。
a 公然実施発明1において、「ドアを挟んで両側に」「内部レバーハンドルと外部レバーハンドル」が「配置され」ること(構成(エ))は、本件発明1において、『ドアの内外に』『レバーハンドル』が『配置』されることに相当する。
公然実施発明1の「内部レバーハンドルと外部レバーハンドル」が『回動』可能であることは、レバーハンドルの機能からみて明らかである。
公然実施発明1の「内部レバーハンドルと外部レバーハンドル」は、「内部レバーハンドルの凹部の中央に形成した円柱状の突起の軸方向に形成された孔」に「外部レバーハンドルの凹部の中央に形成された円柱状の突起から軸方向に延びる四角柱状の部位」が「挿入される」(構成(エ))ものであり、ドアを挟んだレバーハンドル相互を角芯により相対回動しないように連結することが技術常識であることを踏まえると、『同動可能』であることも当然である。
したがって、公然実施発明1は、本件発明1の『ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置』するに相当する構成を有している。
b 公然実施発明1の「内部レバーハンドルと外部レバーハンドル」が「両者の端部に形成された断面四角形状を有する肉厚の部位が対向するように配置され」ること(構成(エ))は、当該「両者の端部に形成された断面四角形状を有する肉厚の部位」が本件発明1の『レバーハンドルの取付け基部』に相当することから、本件発明1において、『前記レバーハンドルの取付け基部』が『相対して配置』されることに相当する。
したがって、公然実施発明1は、本件発明1の『前記レバーハンドルの取付け基部を相対して配置』するに相当する構成を有している。
c 公然実施発明1における「内部(及び外部)レバーハンドル」の「軸方向に縮径する断面円形状を有する上記凹部」に、「内部(及び外部)化粧座」を構成する「軸方向に縮径する断面円形状を有する上記部材」を「配置」すること(構成(ウ-1)、(ウ-2))は、「上記凹部」が「内部(及び外部)レバーハンドル」の「端部に形成された断面四角形状を有する肉厚の部位(『取付け基部』)」に形成されていること(構成(ア-1、ア-2))、「内部(及び外部)化粧座」が本件発明1の『ハンドル取付座』に相当することから、本件発明1において、『該レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座を配置』することに相当する。
したがって、公然実施発明1は、本件発明1の『該レバーハンドルの取付け基部にハンドル取付座を配置』するに相当する構成を有している。
d 公然実施発明1において、「内部(及び外部)レバーハンドル」の「軸方向に縮径する断面円形状を有する上記凹部」に、「内部(及び外部)化粧座」を構成する「軸方向に縮径する断面円形状を有する上記部材」を、「縮径方向が一致」するように「配置」すること(構成(ウ-1)、(ウ-2))は、上記ウで述べたとおり、「上記凹部」が「内部(及び外部)レバーハンドル」の『取付け基部』に形成されており、本件発明1の『レバーハンドルの取付け基部の内側に』『形成し』た『凹部』に相当すること、そして、「内部(外部)化粧座」が本件発明1の『ハンドル取付座』に相当することから、本件発明1において、『ハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し』たことに相当する。
したがって、公然実施発明1は、本件発明1における『レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置した』に相当する構成を有しており、そのような構成を有している以上、本件発明1の『該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置した』に相当する構成を有している。
e 上記a~dによれば、公然実施発明1の「レバーハンドル」の発明からは、『ドア用ハンドル』の『取付け構造』も把握できる。
以上によれば、本件発明1と公然実施発明1とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
ドアの内外にレバーハンドルを回動かつ同動可能に配置し、前記レバーハンドルの取付け基部を相対して配置し、該レバーハンドルの取付け基部の内側にハンドル取付座を収容可能な凹部を形成し、該凹部内にハンドル取付座の端部を配置し、該ハンドル取付座の端部をレバーハンドルの取付け基部に隠蔽可能に配置したドア用ハンドルの取付け構造。
【相違点1】
本件発明1では、「レバーハンドルの取付け基部をレバーハンドルの端部周縁に突設した」のに対し、
公然実施発明1では、内部及び外部レバーハンドルの端部は、断面四角形状を有する肉厚の部位であり、当該部位の内側には、軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部が形成されている点。
【相違点2】
本件発明1では、「前記凹部の正面形状を横長の略台形形状に形成し、該凹部内にハンドル取付座の横長の座盤を配置した」のに対し、
公然実施発明1では、内部及び外部レバーハンドルの軸方向に縮径する断面円形状を有する凹部に、内部及び外部化粧座の軸方向に縮径する断面円形状を有する部材を配置する点。
上記相違点1について検討する。
公然実施発明1において、内部レバーハンドル及び外部レバーハンドルの断面四角形状を有する端部において肉厚の部位が生じているのは、当該端部に、軸方向に縮径する断面円形状を有するように凹部を形成し、当該凹部の形状に対応する軸方向に縮径する断面円形状を有する内部化粧座及び外部化粧座を配置するためであるから、公然実施発明1において内部レバーハンドル及び外部レバーハンドルの断面四角形状を有する端部において肉厚の部位が生じないように構成する動機付けはない。
この判断は、甲4~甲6、その他申立人が提出したいずれの証拠を勘案しても左右されるものではない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、公然実施発明1と同一にものとはいえないし、公然実施発明1及び甲4~甲6に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~6、15~17について
本件発明2~6、15~17は、本件発明1の構成を含んでいるから、本件発明1について検討したのと同様の理由により、公然実施発明1と同一のものとはいえないし、公然実施発明1及び甲4~甲6に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)理由3について
ア 理由3についての具体的主張(特許異議申立書41頁5行~42頁3行)は、請求項2の「該側壁部の両側に一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを後方に突設し、前記パイプシャフトに圧入シャフトまたはタッピングスクリュを挿入可能に設けた」との記載における「圧入シャフトまたはタッピングスクリュを挿入可能に」の圧入シャフトが、「一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを後方に突設し」の圧入シャフトが同じものが別のものかが明確でないというものであるが、後者の圧入シャフトは、前者の圧入シャフトに挿入可能なものであるから、両者が別のものであることは明らかである。
また、請求項2には「該側壁部の両側に一対の圧入シャフトまたはパイプシャフトを後方に突設し、」との記載に続いて「前記パイプシャフトに圧入シャフトまたはタッピングスクリュを挿入可能に設けた」との記載があるところ、前者で「圧入シャフト」を選択した場合、後者の「前記パイプシャフト」が存在しないこととなるとも主張するが、後者の記載は前者の記載において「パイプシャフト」を選択した場合について特に特定するものであるから、その記載が不明確であるとはいえない。
請求項3に「一対のハンドル取付座を接続可能に可能にした」との記載が不明確であるとも主張するが、本件訂正により「一対のハンドル取付座を接続可能にした」と記載が訂正された。
イ したがって、理由3に係るいずれの主張にも理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1~17に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した理由及び証拠によっては取り消すことができない。
また、他に請求項1~17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700245