審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2022-700055

取付装置及び照明装置

審判番号
2022-700055
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-145566
登録番号
6906391
請求日
2022年01月21日
審決日
2023年12月14日
公報発行日
2024年03月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三菱電機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
  • 【権利者】三菱電機照明株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
  • 【異議申立人】宮▲崎▼ 章仁
審判長/審判官
  • 審判長 中村 則夫
  • 審判官 筑波 茂樹
  • 審判官 八木 誠
分類
P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S) / P1651.841-YAA(F21S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6906391号発明「取付装置及び照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6906391号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について、訂正することを認める。 特許第6906391号の請求項1~10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6906391号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成29年7月27日に出願され、令和3年7月1日にその特許権の設定登録がなされ、令和3年7月21日に特許掲載公報が発行された。その特許についての異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 1月21日 :特許異議申立人 宮崎 章仁(「崎」のつく りの上部は「立」。以下「申立人」という。 )による請求項1~10に係る特許に対する 特許異議の申立て 同年 6月 9日付け:取消理由通知 同年 7月29日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出 同年 9月15日 :申立人による意見書の提出 同年12月 1日付け:取消理由通知(決定の予告) 令和5年 2月 2日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出 同年 3月20日付け:申立人による意見書の提出 同年 6月30日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年 8月30日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出 同年10月16日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年8月30日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。なお、令和4年7月29日及び令和5年2月2日の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「光源ユニット取付部を有する器具本体と、プレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側に光源が配置され、前記プレート部の前記一方の面の裏側である他方の面の側が前記光源ユニット取付部と対向した状態で前記光源ユニット取付部に着脱自在に取り付けられる光源ユニットとを備えている照明装置の取付装置であって、 前記器具本体に固定される器具側取付部と、 前記器具側取付部と対をなすように前記光源ユニットに固定され、前記器具側取付部と連結されるユニット側取付部と を備え、 前記ユニット側取付部は、 一箇所に配置される一つの固定部によって、前記プレート部に固定されている」 と記載されているのを、 「光源ユニット取付部を有する器具本体と、長手形状のプレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側で前記一方の面に光源である長手形状の発光素子基板が前記プレート部の長手方向に沿って配置され、前記プレート部の前記一方の面の裏側である他方の面の側が前記光源ユニット取付部と対向した状態で前記光源ユニット取付部に着脱自在に取り付けられる光源ユニットとを備えている照明装置の取付装置であって、 前記器具本体に固定される器具側取付部と、 前記器具側取付部と対をなすように前記光源ユニットに固定され、前記器具側取付部と連結されるユニット側取付部と を備え、 前記ユニット側取付部は、 前記ユニット側取付部の一箇所に配置される一つの固定部であって、前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置され、前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部によって、前記プレート部に固定されている」 に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~10も同様に訂正する)。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「光源ユニット」について、訂正前は「プレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側に光源が配置され」と特定されていたのを、訂正後では「長手形状のプレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側で前記一方の面に光源である長手形状の発光素子基板が前記プレート部の長手方向に沿って配置され」と特定することにより、「光源ユニット」のプレート部の形状及び光源の構成・配置をより具体的に限定するものである。 また、訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「ユニット側取付部」について、訂正前では「一箇所に配置される一つの固定部によって、前記プレート部に固定されている」と特定されていたのを、訂正後では「前記ユニット側取付部の一箇所に配置される一つの固定部であって、前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置され、前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部によって、前記プレート部に固定されている」と特定することにより、「ユニット側取付部」の固定部の位置や状態をより具体的に限定するものである。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 ア 光源ユニットの「長手形状のプレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側で前記一方の面に光源である長手形状の発光素子基板が前記プレート部の長手方向に沿って配置され」ることについて 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0012】には「図1に示すように、照明装置10は、天井、壁などの図14に示す取付部300に取り付けられる長手形状の照明装置であり、長手方向Xに延びた長尺状の照明装置である。なお、光源ユニット100、器具本体200も同様に照明装置10の長手方向Xに沿った長手形状である。」(下線は当審で付加した。以下、同様。)と、段落【0014】には「プレート部110は、長手方向に延びた板状の平面部111を有する。平面部111の一面側は、発光素子120aが実装された発光素子基板120が取り付けられる基板取付面部111aである。」と記載されている。そして、これらの記載を踏まえると、本件明細書等の図4から、プレート部が長手形状であること、発光素子基板が長手形状であること、発光素子基板がプレート部の長手方向に沿って配置されていることが看取できる。 そうすると、「長手形状のプレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側で前記一方の面に光源である長手形状の発光素子基板が前記プレート部の長手方向に沿って配置され」ることは、新規事項を追加するものではない。 「【図4】 [図:0001407784000001.jpg] 」 イ ユニット側取付部の「前記ユニット側取付部の一箇所に配置される一つの固定部であって」について 本件明細書等の段落【0106】には「(1)連結具1-2は、一箇所に配置された固定手段で平面部111に固定可能である。つまり、図38等では、ねじ119と突出部114によって連結具1-2を平面部111に固定しているが、ねじ119のみ一箇所で、連結具1-2を平面部111に固定してもよい。」と、段落【0108】には「後述のように連結具1-2は取付装置600-3の構成要素であるが、連結具1-2はユニット側取付部620に相当する。」と記載されている。 そうすると、「前記ユニット側取付部の一箇所に配置される一つの固定部であって」とすることは、新規事項を追加するものではない。 ウ ユニット側取付部の「前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に」について 本件明細書等の段落【0103】には「ねじの貫通孔115Aが開けられたねじ用凸部115とが形成されている。」と記載されている。また、本件明細書等の図41からは、発光素子基板120の下面には図示左右方向に発光素子が多数配置されていることが看取できるとともに、貫通孔115Aが形成される位置は、発光素子基板120の範囲内であることが看取できる。そして、図4(上記ア参照)において発光素子120aが多数配置されている方向を踏まえると、図41の図示左右方向は、プレート部110及び発光素子基板120の長手方向である。 そうすると、「前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間」に孔が形成されることは、新規事項を追加するものではない。 また、本件明細書等の図42からは、プレート部の短手方向において、連結具1-2よりも発光素子基板120の方が長いことが看取できるから、ねじの貫通孔115Aの位置は、発光素子基板120の短手方向における範囲内であることは明らかである。 そうすると、「前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内」に孔が形成されることは、新規事項を追加するものではない。 また、図41から、貫通孔115Aが発光素子基板120から離れた位置に形成されることが看取できるから、「前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔」とすることは、新規事項を追加するものではない。 「【図41】 [図:0001407784000002.jpg] 」 「【図42】 [図:0001407784000003.jpg] 」 エ ユニット側取付部の「前記発光素子基板と接触しないように配置され、前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部」について 「一つの固定部」について、段落【0106】には「(一箇所で固定)(1)連結具1-2は、一箇所に配置された固定手段で平面部111に固定可能である。つまり、図38等では、ねじ119と突出部114によって連結具1-2を平面部111に固定しているが、ねじ119のみ一箇所で、連結具1-2を平面部111に固定してもよい。」と記載されており、ねじ119が一つの固定部として記載されている。 そして、本件明細書等の段落【0107】には、ねじ119に関することとして、「図41に示すように、連結具1-2が平面部111に固定されることに関して、電源取付面部111bよりも下方、つまり、基板取付面部111aよりも、発光素子基板120の側へ突き出るものがない。」及び「具体的には、ねじ119は、基板取付面部111aと電源取付面部111bとを貫通するように形成された貫通孔115Aを貫通し、先端119Aが基板取付面部111aの位置に配置された状態あるいは基板取付面部111aの位置よりも電源取付面部111bの側に配置された状態で、連結具1-2をプレート部110に固定する。よって、発光素子基板120の位置によらず、連結具1-2を自由に平面部111に配置できる効果がある。」と記載されており、これらの記載及び図41(上記ウ参照)から、ねじ119(固定部)は、発光素子基板120(光源)と接触しないように配置されるものである。 そうすると、一つの固定部について、「前記発光素子基板と接触しないように配置され」とすることは、新規事項を追加するものではない。 また、段落【0106】には「絞り形状のねじ用凸部115は、貫通孔115A以外は完全に閉塞している」と記載され、図41及び図42から、ねじ119のねじの取付け取外しの際にねじ回し等を係合する部分(いわゆる頭の部分)は、上記貫通孔115A以外は完全に閉塞しているねじ用凸部115の発光素子基板120の側に位置すること、プレート部の基板取付面部111aを発光素子基板120が覆っていることが看取できる。そして、このような配置関係によって、ねじ119が孔から外せない状態となっていることは、当業者にとって明らかである。 そうすると、一つの固定部について、「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている」ことは、新規事項を追加するものではない。 よって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、発明特定事項をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)申立人の訂正要件違反に関する主張について 申立人は、令和5年10月16日の意見書において、以下のように主張する。 本件明細書等には、「孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置」することが可能で、かつ、「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態」である、ねじ以外の一つの固定部は開示されていない。すなわち、一つの固定部がねじでない構成は、本件明細書等に明示的に記載された事項ではない。また、一つの固定部がねじでない構成において、「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態」が、本件明細書等の記載から自明であるとは言えない。すなわち、一つの固定部がねじでない構成は、本件明細書等の記載から自明な事項ではない。 申立人の上記主張について検討する。 上記(2)エで説示したように、本件明細書等には、連結具1-2と発光素子基板120とを固定する「一つの固定部」としてねじ119を用いることや、発光素子基板120が配置されることでねじ119が孔から外せない状態となることが開示されている。そして、本件明細書等の記載からねじ119は一つの固定部の一例であると認められ、機械分野の当業者であれば、連結具1-2と発光素子基板120とを固定する固定部は、ねじ119に限られないことが理解できる。また、プレート部の一方の面に発光素子基板120が配置されることで、発光素子基板120の裏側を物理的に隔離可能であることも明らかであるから、そうして採用した固定部を外せない状態とすることも何ら特別なことではない。そうすると、「一つの固定部」が、「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態」となることは、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、申立人の上記主張は採用できない。 3 一群の請求項 本件訂正前の請求項2~10は、本件訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用しているところ、本件訂正前の請求項1~10は、一群の請求項であり、訂正事項1の訂正は、当該一群の請求項〔1~10〕に対して請求されたものである。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条4項及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について、訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~10に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」~「本件訂正発明10」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 光源ユニット取付部を有する器具本体と、長手形状のプレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側で前記一方の面に光源である長手形状の発光素子基板が前記プレート部の長手方向に沿って配置され、前記プレート部の前記一方の面の裏側である他方の面の側が前記光源ユニット取付部と対向した状態で前記光源ユニット取付部に着脱自在に取り付けられる光源ユニットとを備えている照明装置の取付装置であって、 前記器具本体に固定される器具側取付部と、 前記器具側取付部と対をなすように前記光源ユニットに固定され、前記器具側取付部と連結されるユニット側取付部と を備え、 前記ユニット側取付部は、 前記ユニット側取付部の一箇所に配置される一つの固定部であって、前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置され、前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部によって、前記プレート部に固定されている取付装置。 【請求項2】 前記器具本体は、 収容凹部が形成されており、 前記光源ユニットは、 一部が前記収容凹部に収容された状態で前記器具本体に取り付けられる、 請求項1に記載の取付装置。 【請求項3】 前記器具側取付部と前記ユニット側取付部とは、 着脱自在に連結される請求項1または請求項2に記載の取付装置。 【請求項4】 前記プレート部は、 前記一方の面から前記他方の面の方向へ凹む形状で前記他方の面へ凸形状に突き出ている凸形状部を有し、 前記ユニット側取付部は、 前記凸形状部を介して、前記一つの固定部によって前記プレート部に固定されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の取付装置。 【請求項5】 前記凸形状部は、 貫通孔が形成されており、 前記ユニット側取付部は、 前記貫通孔を貫通している前記一つの固定部によって前記プレート部に固定されている請求項4に記載の取付装置。 【請求項6】 前記一つの固定部は、 先端が前記一方の面よりも前記他方の面の側に配置された状態で、前記ユニット側取付部を前記プレート部の前記他方の面に固定する請求項5に記載の取付装置。 【請求項7】 前記取付装置は、 複数の前記ユニット側取付部を備えており、 前記プレート部は、長手形状であり、 複数の前記ユニット側取付部は、 前記プレート部の長手方向に沿って、離隔して配置されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の取付装置。 【請求項8】 前記器具側取付部と前記ユニット側取付部とのどちらかは、 弾性具であり、 前記器具側取付部が前記弾性具の場合、前記ユニット側取付部は、前記弾性具と連結する連結具であり、 前記ユニット側取付部が前記弾性具の場合、前記器具側取付部は、前記弾性具と連結する連結具であり、 前記連結具は、 前記光源ユニットと前記器具本体とが離隔している状態で、前記光源ユニットの前記プレート部の2つの側辺のうち一方の側辺が他方の側辺よりも前記収容凹部の底をなす底面部に対して近い位置に存在するように、前記光源ユニットの姿勢を維持する請求項2に記載の取付装置。 【請求項9】 前記器具側取付部は、 弾性具であり、 前記ユニット側取付部は、前記弾性具と連結する連結具である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の取付装置。 【請求項10】 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の取付装置を備える照明装置。」 第4 取消理由(決定の予告)の概要 令和5年2月2日の訂正請求書による訂正後の請求項1~10に係る発明(以下「本件訂正前発明1」~「本件訂正前発明10」という。)について、令和5年6月30日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 理由1:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものであり、取り消されるべきものである。 理由2:(進歩性)本件特許の下記の発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明、日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 <理由1> ・本件訂正前発明1~10 本件訂正前発明1~10の「前記プレート部の長手方向のうち一方の方向における前記発光素子基板の一方の端部と前記プレート部の前記長手方向のうち前記一方の方向の反対方向である他方の方向における前記発光素子基板の他方の端部との間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔」及び「前記一つの固定部が配置された前記孔と前記発光素子基板との間の前記プレート部の領域は、閉塞している」の構成の関係が明確でない。 <理由2> ・本件訂正前発明1~10について 甲第1、3、10号証 又は 甲第1、3、6、10号証 ・本件訂正前発明1、3~8、10について 甲第8号証の1~甲第9号証の4、甲第3、10号証 又は 甲第8号証の1~甲第9号証の4、甲第3、6、10号証 ・本件訂正前発明2、9について 甲第8号証の1~甲第9号証の4、甲第3、10、1号証 又は 甲第8号証の1~甲第9号証の4、甲第3、6、10、1号証 第5 刊行物等及び刊行物等の記載事項 1 刊行物等 申立人が提出した甲第1号証~甲第10号証は以下のとおりである。 [甲号証] 甲第1号証:特開2017-10626号公報 甲第2号証:特開2015-22881号公報 甲第3号証:特開2016-110933号公報 甲第4号証:特開2015-115243号公報 甲第5号証:特開2012-185981号公報 甲第6号証:特開2012-54004号公報 甲第7号証:特開2014-220034号公報 甲第8号証の1~甲第8号証の7:三菱電機照明株式会社製LED照明器具「EL-LU45000N AHTN」を撮影した写真 甲第9号証の1:三菱LED照明器具 LEDライトユニット形ベースライト Myシリーズ 40形 ライトユニット 形名EL-LU45000(D、N、W、WW)AHTN 取扱説明書 甲第9号証の2:三菱電機 暮らしと設備の業務支援サイト WIN2K LED照明器具 LEDライトユニット形ベースライト(Myシリーズ) ライトユニット 省電力タイプ EL-LU45000N AHTN(URL:https://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/wink/ssl/displayProduct.do?pid=249284) 甲第9号証の3:三菱LED照明器具 LEDライトユニット型ベースライト Myシリーズ 40形 埋込型 100幅 形名EL-LHB41000 据付工事説明書 甲第9号証の4:三菱電機 暮らしと設備の業務支援サイト WIN2K LED照明器具 LEDライトユニット形ベースライト(Myシリーズ) 埋込形 100幅 EL-LHB41000(URL:https://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/wink/ssl/displayProduct.do?spid=249039&pid=246987&ccd=204010221411) 甲第10号証:特開2014-165143号公報 以下では、「甲第1号証」~「甲第7号証」、「甲第10号証」を、それぞれ、「甲1」、「甲2」・・・「甲7」、「甲10」といい、甲第8号証の1~甲第8号証の7、甲第9号証の1~甲第9号証の4を、それぞれ「甲8の1」、「甲8の2」・・・「甲9の4」という。 2 刊行物等の記載事項及び刊行物に記載された発明、公然実施された発明 (1)甲1 ア 甲1の記載事項 甲1には、図面とともに以下の記載がある。 (ア)明細書 「【0014】 <照明装置10> 図1に示すように、照明装置10は、天井、壁などの図14に示す取付部300に取り付けられる長手形状の照明装置であり、長手方向Xに延びた長尺状の照明装置である。なお、光源ユニット100、器具本体200も同様に照明装置10の長手方向Xに沿った長手形状である。光源ユニット100、器具本体200の長手方向、短手方向は、照明装置10と同様に、長手方向X、短手方向Yと呼ぶ。図1~図3に示すように、照明装置10は、光源ユニット100と、光源ユニット100が着脱可能に取り付けられる器具本体200とを備える。・・・」 「【0016】 <光源ユニット100> 図4は、光源ユニット100の分解斜視図である。図5は、光源ユニット100の斜視図である。図6は、連結具150の斜視図である。図4、図5に示すように、光源ユニット100は、プレート部110、発光素子基板120、カバー130、電源装置140、2つの連結具150を有する。プレート部110は、長手方向に延びた板状の平面部111を有する。平面部111の一面側は、発光素子120aが実装された発光素子基板120が取り付けられる基板取付面部111aである。他面は電源装置140、連結具150が取り付けられる電源取付面部111bである。・・・ 【0017】 光源ユニット100は長手形状の器具本体200に取り付けられる。光源ユニット100は、器具本体200に配置された器具側取付部9200と連結することで弾性力によって器具本体200の方向に引っ張られると共に、器具本体200の短手方向Yに対する位置決めをする光源側取付部9100を備える。実施の形態1では、板ばね230を器具側取付部9200として、板ばね230と連結する連結具150を光源側取付部9100として説明するが、後述する実施の形態4の最後に記載しているように、板ばね230を光源ユニット100に配置し、連結具150を器具本体200に配置してもよい。その場合、板ばね230が光源側取付部9100であり、連結具150が器具側取付部9200である。・・・」 「【0019】 <プレート部110> 図4に示すように、プレート部110は、長尺状の平板である平面部111と、平面部111の短手方向の両端が折り曲げられて形成されるプレート側部112とを有し、短手方向に切る断面が略コ字形状である。基板取付面部111aには、発光素子基板120が取り付けられる。また、基板取付面部111aの裏面である電源取付面部111bには、発光素子基板120に電力を供給する電源装置140と、2つの連結具150とが取り付けられる。」 「【0027】 <連結具150> 図7は連結具150の6面図である。2つの連結具150は、平面部111の他面側である電源取付面部111bの長手方向Xの両端部側にそれぞれ取り付けられている。・・・ 【0028】 ・・・ 【0029】 2つの連結具150はいずれも略L形状をなしている。連結具150は、取付方向に立ち上がる板部1501と、板部1501の短手方向の両側に設けられた取付部材153と、板部1501の下辺部に設けられた連結具150をねじ止めするためのねじ止め部154とを備える。取付部材153は、プレート部110に形成された図示していない係合部と係合して、連結具150をプレート部110に係止する。図6に示すように、ねじ止め部154は、プレート部110の電源取付面部111bに取付け部110c(当審注:111cの誤記と認められる)にねじ止めされる。・・・」 「【0033】 <器具本体200> 図11は、器具本体200の斜視図である。器具本体200は、本体部210と、本体部210の両端部に取り付けられる端板部220とを備える。器具本体200は長手形状である。本体部210は、短手方向の断面形状がコの字状に折り曲げられて形成され、長手方向Xに延びた凹部211を備える。実施の形態1では、本体部210は、板金が折り曲げられて形成される。なお、器具本体200を形成する本体部210および端板部220は、金属以外の材料を用いて形成されてもよく、例えば、樹脂材料を用いて形成されていてもよい。図2に示すように、器具本体200にはa、b、c、dの矩形をなす開口が形成されており、この開口から光源ユニット100の一部が収納される。 【0034】 凹部211は、長手方向に延びた底面部211aと、底面部211aの短手方向の両端部を基端部として立ち上がる側面部211bとを備える。また、本体部210は、傾斜部211dを備える。 【0035】 凹部211の底面部211aには、端子台240と、2つの板ばね230が設置される。端子台240は、電源端子台である。あるいは、端子台240は信号端子台でも構わない。板ばね230は、上述した光源ユニット100が備える連結具150に対応する位置に配置される。」 (イ)図面 「【図2】 [図:0001407784000004.jpg] 」 「【図4】 [図:0001407784000005.jpg] 」 「【図5】 [図:0001407784000006.jpg] 」 「【図6】 [図:0001407784000007.jpg] 」 「【図14】 [図:0001407784000008.jpg] 」 イ 甲1からの認定事項 (ア)段落【0014】に記載の「照明装置10は、光源ユニット100と、光源ユニット100が着脱可能に取り付けられる器具本体200とを備える」から、照明装置10が器具本体200と光源ユニット100とを備える構成、光源ユニット100を器具本体200に取り付ける照明装置10の取付装置の構成が、それぞれ記載されていると認められる。 (イ)図2、図5、図14から、プレート部100と凹部210の位置関係に着目すると、光源ユニット100は、プレート部110の電源取付面部111bの側が凹部211に対向した状態で器具本体200に取り付けられる構成が看取できる。 (ウ)段落【0016】の記載及び図4から、光源ユニット100は、長手方向に延びた板状の平面部111を有するプレート部110を有し、プレート部110の一面側の基板取付面部111aに発光素子120aが実装された長手方向に延びた発光素子基板120がプレート部110の長手方向に沿って取り付けられる構成が認められる。 (エ)段落【0035】の記載から、板ばね230は、凹部211に設置される構成が認められる。 (オ)段落【0017】、【0029】、【0035】の記載から、連結具150は、板ばね230に対応する位置に配置されて、プレート部110にねじ止めされ、板ばね230と連結される構成が認められる。 (カ)段落【0029】の記載を踏まえると、図6から、連結具150をねじ止めするのは、連結具150の二箇所に配置された二つのねじであることが看取できる。 また、図6から、ねじは、プレート部110に形成される孔にねじ止めされているものと認められる。そして、図4から、発光素子基板120の長手方向の長さは、プレート部110の長手方向の長さとほぼ同じであることが看取でき、図5から、連結具150はプレート部110の長手方向の端部よりも所定距離内側に位置していることが看取できるから、孔が形成されるのは、プレート部110の長手方向のうち発光素子基板120の長手方向における両端部の間のプレート部110の範囲内であるといえる。さらに、図6及び図14(a)から、当該孔は、発光素子基板120から離れた位置に形成されたことが看取できる。 また、段落【0029】に記載された連結具150が備えるねじ止め部154とねじの関係について、図6から、ねじの頭が連結具150のねじ止め部154の上面に位置することが看取できる。さらに、図14(a)から、ねじの先端が基板取付面部111aよりも上方に位置することが看取できる。 すなわち、連結具150は、連結具150の二箇所に配置された二つのねじであって、プレート部110の長手方向のうち発光素子基板120の長手方向における両端部の間のプレート部110の範囲内の、発光素子基板120から離れた位置に形成された孔に、ねじの頭が連結具150のねじ止め部154の上面に位置し、ねじの先端が基板取付面部111aよりも上方に位置するように配置されるねじによって、プレート部110にねじ止めされている構成であるといえる。 ウ 甲1発明 上記ア及びイを踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「光源ユニット100が取り付けられる凹部211を備える器具本体200と、 長手方向に延びた板状の平面部111を有するプレート部110を有し、プレート部110の一面側の基板取付面部111aに発光素子120aが実装された長手方向に延びた発光素子基板120がプレート部110の長手方向に沿って取り付けられ、他面の電源取付面部111bの側が凹部211に対向した状態で器具本体200に着脱可能に取り付けられる光源ユニット100とを備えている照明装置10の取付装置であって、 凹部211に設置される板ばね230と、 板ばね230に対応する位置に配置されて、プレート部110にねじ止めされ、板ばね230と連結される連結具150と、 を備え、 連結具150は、連結具150の二箇所に配置された二つのねじであって、プレート部110の長手方向のうち発光素子基板120の長手方向における両端部の間のプレート部110の範囲内の、発光素子基板120から離れた位置に形成された孔に、ねじの頭が連結具150のねじ止め部154の上面に位置し、ねじの先端が、基板取付面部111aよりも上方に位置するように配置されるねじによって、プレート部110にねじ止めされている 取付装置。」 (2)甲8及び甲9 ア 甲8及び甲9の記載事項 (ア)甲8の1「 [図:0001407784000009.jpg] 」 (イ)甲8の2「 [図:0001407784000010.jpg] 」 (ウ)甲8の3「 [図:0001407784000011.jpg] 」 (エ)甲8の4「 [図:0001407784000012.jpg] 」 (オ)甲8の5「 [図:0001407784000013.jpg] 」 (カ)甲8の6「 [図:0001407784000014.jpg] 」 (キ)甲8の7「 [図:0001407784000015.jpg] 」 (ク)甲9の1の1枚目には、次の記載がある。 「 [図:0001407784000016.jpg] 」 (ケ)甲9の1の2枚目には、次の記載がある。 「 [図:0001407784000017.jpg] 」 (コ)甲9の2には、次の記載がある。 「 [図:0001407784000018.jpg] 」 (サ)甲9の3の1枚目の右側には、次の記載がある。 「 [図:0001407784000019.jpg] 」 (シ)甲9の3の2枚目の右側には、次の記載がある。 「 [図:0001407784000020.jpg] 」 (ス)甲9の4には、次の記載がある。 「 [図:0001407784000021.jpg] 」 イ 甲8及び甲9からの認定事項 (ア)甲9の1には、「LEDライトユニット型ベースライト Myシリーズ 40形 ライトユニット 形名 EL-LU45000(D、N、W、WW)AHTN 組合せ形名は下表のとおり、器具本体との組み合わせで変わります。」と記載され、甲9の1の表中に「組合せ形名」の「MY-B450000/(D、N、W、WW)AHTN」と、「本体形名」の「EL-LHB41000」が横並びで記載されているから、ライトユニット「EL-LU45000(D、N、W、WW)AHTN」は器具本体「EL-LHB41000」と組合せられるものと認められる。 (イ)甲8の2の型式シールには、「形名 EL-LU45000N AHTN」との記載があり、甲8に示されるものはライトユニット「EL-LU45000N AHTN」の実際の製品と認められ、上記(ア)を踏まえると、甲8に示されるライトユニット「EL-LU45000N AHTN」と、甲9の3に示される器具本体「EL-LHB41000」は組合せた製品になるものと認められる。 (ウ)「EL-LU45000N AHTN」と「EL-LHB41000」との組合せた製品は、甲9の1及び甲9の3の表題の「三菱LED照明器具」との記載及び甲9の3の「5 ライトユニットを取り付ける」との記載及び当該項目中の図から、LED照明器具の取付装置の発明を含むといえる。 (エ)甲9の3の「各部のなまえ」中の図から、器具本体はライトユニットが取り付けられる凹部を有することが看取できる。 (オ)甲8の4~6から、複数の素子が実装された基板が看取でき、甲8の1、3と甲8の4~6から、ライトユニットはプレート部を有し、プレート部の一面側の基板取付面に基板が取り付けられることが看取できる。また、甲8の2の形式シールの「LED照明器具(ライトユニット側)」との記載から、基板に実装された素子はLED素子であり、基板はLED素子基板であると認められる。また、甲9の3の「各部のなまえ」中の図から、ライトユニットが長手形状であることが看取でき、内部の部品も当然長手形状となるから、甲8の1、3と甲8の4~6に示されるプレート部が長手形状であること、LED素子基板が長手形状であり、プレート部の長手方向に沿って取り付けられることは明らかである。 (カ)甲9の3の「各部のなまえ」中の図から、ライトユニットは、裏側が凹部に対向した状態で器具本体に取り付けられることが看取でき、当該裏側は甲8の1、3に示されるプレート部の基板取付面の裏側の面であることは明らかであるから、ライトユニットはプレート部の基板取付面の裏面が凹部と対向した状態で、凹部に取り付けられるものといえる。また、甲9の1の「おしらせ」欄中の「○LED光源の交換はできません。交換の際はライトユニットごと交換してください。」との記載から、ライトユニットは器具本体に交換可能に取り付けられると認められる。 (キ)甲9の3の「各部のなまえ」中の図から、取付バネが凹部に設置されることが看取できる。 (ク)甲9の3の「5 ライトユニットを本体に取り付ける (1)器具本体側にライトユニットを仮付けする」項目中の図から、バネ受け金具は、ライトユニットに取付バネと対をなすように設けられることが看取できる。また、同図におけるバネ受け金具の形状から、当該バネ受け金具は、甲8の1、3に示される金具であることが理解でき、甲8の1、3から、バネ受け金具は、ライトユニットにねじ止めされることが看取できる。また、甲9の3の「5 ライトユニットを本体に取り付ける (1)器具本体側にライトユニットを仮付けする」項目中の「○取付バネをライトユニット両側のバネ受け金具の角穴に入れる」との記載から、バネ受け金具は、取付バネがその角穴に入れられるものと認められる。 (ケ)甲8の1、3から、バネ受け金具はプレート部にねじ止めされていることが看取できる。また、甲8の3から、ねじは二箇所に配置された二つのねじであることが看取でき、ねじが、プレート部に形成された孔にねじ止めされることは明らかである。 (コ)甲8の4~6から、ねじがねじ止めされるプレート部の孔はプレート部の長手方向のうちLED素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、プレート部の短手方向のうちLED素子基板の短手方向における両端部の間のプレート部の範囲内の、LED素子基板から離れた位置に形成されることが看取できる。 (サ)甲8の3から、バネ受け金具が、ねじでねじ止めされる折れ曲がった部分(この折れ曲がった部分を、以下「ねじ止め片」という。)を有し、ねじの頭がバネ受け金具のねじ止め片の上面に位置することが看取できる。また、甲8の4~7から、ねじの先端は、基板取付面よりも上方に位置することが看取できる。 ウ 甲8及び甲9から把握される発明の公然実施性について (ア)甲9の2には、「EL-LU45000N AHTN」について、発売日が2014年5月30日であったことが記載されている。 (イ)甲9の4には、「EL-LHB41000」について、発売日が2014年5月30日であったことが記載されている。 (ウ)甲9の1は、甲9の2の「取扱説明書(158KB)」のリンクから表示されるものであり、当該リンクの右側には「2014/12/17」と記載されているから、甲9の1は、2014年12年17日時点の情報であると推認される。 (エ)甲9の3は、甲9の4の「取扱説明書(2MB)」のリンクから表示されるものであり、当該リンクの右側には「2015/03/18」と記載されているから、甲9の3は、2015年3月18日時点の情報であると推認される。 (オ)甲8の2の型式シールには、「14年製」との記載があり、甲8の製品は、2014年に製造され、同年に販売されたか、少なくとも販売可能であったと推認される。 (カ)以上を総合すると、ライトユニット「EL-LU45000N AHTN」と、器具本体「EL-LHB41000」とは組合せられるものであって、両者は、2014年5月30日に発売された。また、上記イ(イ)で説示したように甲8に示されるものは、ライトユニットEL-LU45000Nの実際の製品であって、2014年に製造され、2014年に少なくとも販売可能であったものと推認される。甲9の3は、器具本体EL-LHB41000の据付工事説明書(取扱説明書)であって、甲9の3のリンク元の日付である2015年3月18日の時点の情報であると推認され、当時、甲9の3に記載されるような態様であった。そうすると、甲8に示されるライトユニット及び甲9の3に示されるEL-LHB41000の組合せた製品は、本件出願(平成29年(2017年)7月27日)前に、公然実施されていたと推認される。 エ 甲8及び甲9から把握される公然実施発明 上記ア~ウによれば、甲8及び甲9から、LED照明器具の取付装置に関する次の発明が、本件特許の出願前に公然実施されていた(以下「取付装置実施発明」という。)と認められる。 「ライトユニットが取り付けられる凹部を備える器具本体と、 長手形状のプレート部を有し、プレート部の一面側の基板取付面にLED素子が実装された長手形状のLED素子基板がプレート部の長手方向に沿って取り付けられ、基板取付面の裏面が凹部に対向した状態で器具本体に交換可能に取り付けられるライトユニットとを備えているLED照明器具の取付装置であって、 凹部に設置される取付バネと、 取付バネと対をなすようにライトユニットにねじ止めされ、取付バネがその角穴に入れられるバネ受け金具と、 を備え、 バネ受け金具は、バネ受け金具の二箇所に配置された二つのねじであって、プレート部の長手方向のうちLED素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、プレート部の短手方向のうちLED素子基板の短手方向における両端部の間のプレート部の範囲内の、LED素子基板から離れた位置に形成された孔に、ねじの頭がバネ受け金具のねじ止め片の上面に位置し、ねじの先端が基板取付面よりも上方に位置するねじによって、プレート部にねじ止めされている 取付装置。」 第6 当審の判断 1 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 1-1 明確性要件について 本件訂正前発明1に記載された「前記プレート部の長手方向のうち一方の方向における前記発光素子基板の一方の端部と前記プレート部の前記長手方向のうち前記一方の方向の反対方向である他方の方向における前記発光素子基板の他方の端部との間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔」及び「前記一つの固定部が配置された前記孔と前記発光素子基板との間の前記プレート部の領域は、閉塞している」との構成は、本件訂正により削除されたから、明確性に関する取消理由は解消した。 1-2 進歩性について (1)甲1を主引例とした場合 ア 対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「光源ユニット100」は、その機能及び構造からみて、前者の「光源ユニット」に相当し、以下同様に、「器具本体200」は「器具本体」に、「プレート部110」は「プレート部」に、「発光素子基板120」は「発光素子基板」に、「一面側の基板取付面部111a」は「一方の面」に、「他面の電源取付面部111b」は「一方の面の裏側の他方の面」に、「照明装置10」は「照明装置」に、「取付装置」は「取付装置」に、「板ばね230」は「器具側取付部」に、「連結具150」は「ユニット側取付部」にそれぞれ相当する。 後者の「光源ユニット100が取り付けられる凹部211」は、前者の「光源ユニット取付部」に相当し、後者の「光源ユニット100が取り付けられる凹部211を備える器具本体200」は、前者の「光源ユニット取付部を有する器具本体」に相当する。 (イ)後者の「長手方向に延びた平面部111を有するプレート部110」は、前者の「長手形状のプレート部」に、後者の「発光素子120aが実装された長手方向に延びた発光素子基板120」は、前者の「光源である長手形状の発光素子基板」に、後者の「プレート部110の長手方向に沿って取り付けられ」る構成は、前者の「前記プレート部の長手方向に沿って配置され」る構成にそれぞれ相当する。そして、後者において、光源ユニット100は器具本体200の凹部211に取り付けられることから、光源ユニット100が器具本体200に着脱可能であることは、凹部211に着脱可能であるともいえる。そうすると、後者の「長手方向に延びた板状の平面部111を有するプレート部110を有し、プレート部110の一面側の基板取付面部111aに発光素子120aが実装された長手方向に延びた発光素子基板120がプレート部110の長手方向に沿って取り付けられ、他面の電源取付面部111bの側が凹部211に対向した状態で器具本体200に着脱可能に取り付けられる光源ユニット100」は、前者の「長手形状のプレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側で前記一方の面に光源である長手形状の発光素子基板が前記プレート部の長手方向に沿って配置され、前記プレート部の前記一方の面の裏側である他方の面の側が前記光源ユニット取付部と対向した状態で前記光源ユニット取付部に着脱自在に取り付けられる光源ユニット」に相当する。 (ウ)後者における「凹部211に設置される板ばね230」は、凹部211が器具本体200に備えられるものであること、後者における「設置」は前者における「固定」に相当することを考慮すると、前者の「器具本体に固定される器具側取付部」に相当する。 (エ)後者における「ねじ止め」は前者における「固定」に相当する。また、連結具150が、板ばね230に「対応する位置に配置」されることは、前者において、器具側取付部とユニット側取付部とが「対をなす」ことに相当する。そうすると、後者の「板ばね230に対応する位置に配置されて、プレート部110にねじ止めされ、板ばね230と連結する連結具150」は、前者の「前記器具側取付部と対をなすように前記光源ユニットに固定され、前記器具側取付部と連結されるユニット側取付部」に相当する。 (オ)後者の「プレート部110の長手方向のうち発光素子基板120の長手方向における両端部の間のプレート部110の範囲内」は、前者の「前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内」と「前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間である前記プレート部の範囲内」の点で共通する。 そうすると、後者の「プレート部110の長手方向のうち発光素子基板120の長手方向における両端部の間のプレート部110の範囲内の、発光素子基板120から離れた位置に形成された孔」は、前者の「前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔」と、「前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間である前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔」の点で共通する。 (カ)後者の「ねじ」は前者の「固定部」に相当し、後者の「ねじの先端が、基板取付面部111aよりも上方に位置するねじ」は、このような位置関係により、ねじが基板取付面部111aに取り付けられる発光素子基板120と接触しないことは明らかであるから、前者の「前記発光素子基板と接触しないように配置される前記固定部」に相当する。 (キ)上記(オ)及び(カ)を踏まえると、後者の「連結具150は、連結具の二箇所に配置される二つのねじであって、プレート部110の長手方向のうち発光素子基板120の長手方向における両端部の間のプレート部110の範囲内の、発光素子基板120から離れた位置に形成された孔に、ねじの頭が連結具150のねじ止め部154の上面に位置し、ねじの先端が基板取付面部111aよりも上方に位置するように配置されるねじによって、プレート部110にねじ止めされている」構成は、前者の「ユニット側取付部は、前記ユニット側取付部の一箇所に配置される一つの固定部であって、前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置され、前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部によって、前記プレート部に固定されている」との構成と、「ユニット側取付部は、ユニット側取付部に配置される固定部であって、前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間である前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置される前記固定部によって、前記プレート部に固定されている」構成で共通する。 (ク)以上を踏まえると、両者は、 「光源ユニット取付部を有する器具本体と、長手形状のプレート部を有し、前記プレート部の一方の面の側で前記一方の面に光源である長手形状の発光素子基板が前記プレート部の長手方向に沿って配置され、前記プレート部の前記一方の面の裏側である他方の面の側が前記光源ユニット取付部と対向した状態で前記光源ユニット取付部に着脱自在に取り付けられる光源ユニットとを備えている照明装置の取付装置であって、 前記器具本体に固定される器具側取付部と、 前記器具側取付部と対をなすように前記光源ユニットに固定され、前記器具側取付部と連結されるユニット側取付部と を備え、 前記ユニット側取付部は、 ユニット側取付部に配置される固定部であって、前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間である前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置される前記固定部によって、前記プレート部に固定されている取付装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-1:ユニット側取付部をプレート部に固定する固定部について、本件訂正発明1では「一箇所に配置される一つの」固定部であるのに対し、甲1発明では、「二箇所に配置される二つの」ねじである点。 相違点1-2:孔が形成されるプレート部の範囲について、本件訂正発明1では「前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間」との特定を有するのに対し、甲1発明では不明である点。 相違点1-3:固定部について、本件訂正発明1では「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている」のに対し、甲1発明では、そのような構成を有しない点。 イ 判断 事案に鑑み、まず、相違点1-3について、検討する。 甲1発明において、連結具150をプレート部110にねじ止めするねじは、ねじの頭が連結具150のねじ止め部154の上面に位置しているから、発光素子基板120がプレート部110の基板取付面部111aに配置されても、ねじを孔から外せない状態とはならない。そして、連結具150をプレート部110にねじ止めするねじについて、相違点1-3に係る本件訂正発明1の発明特定事項のように、発光素子基板120が基板取付面部111aに配置されることで孔から外せない状態となるようにするものは、提出されたいずれの証拠(甲2~甲10)にも記載されておらず、また、自明のものともいえない。 したがって、甲1発明において、相違点1-3に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 ウ 小括 よって、本件訂正発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件訂正発明2~10は、本件発明1の構成をすべて含みさらに構成を付加したものであるから、本件訂正発明2~10についても同様に、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)取付装置実施発明を主引例とした場合 ア 対比・判断 本件訂正発明1と取付装置実施発明とを対比すると、取付装置実施発明における「LED素子基板から離れた位置に形成された孔に、ねじの頭がバネ受け金具のねじ止め片の上面に位置し、ねじの先端が基板取付面よりも上方に位置するねじによって、プレート部にねじ止めされている」との構成を踏まえれば、両者は、少なくとも上記相違点1-3と同じ点で相違する。 そして、上記(1)イで説示したように、相違点1-3に係る本件訂正発明1の発明特定事項は、提出されたいずれの証拠にも記載されておらず、また、自明のものでもないから、取付装置実施発明において、相違点1-3に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 イ 小括 よって、本件訂正発明1は、その余の点について検討するまでもなく、取付装置実施発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件訂正発明2~10は、本件訂正発明1の構成をすべて含みさらに構成を付加したものであるから、本件訂正発明2~10についても同様に、取付装置実施発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について 2-1 新規性・進歩性について (1)異議申立理由の概要 申立人は、異議申立書において、請求項1~5、7~10に係る発明について、甲1~甲6に記載された発明に基づく新規性欠如を主張する。また、申立人は、請求項1~10に係る発明について、甲2~甲7を主引例とした進歩性欠如を主張する(甲1を主引例とした進歩性欠如については、上記「1-2(1)」で検討済み)。 (2)甲1~甲6に記載された発明に基づく新規性についての検討 上記「1-2(1)ア」で説示したように、本件訂正発明1と甲1発明とは、相違点1-1~相違点1-3の点で相違する。 また、上記「1-2(1)イ」で説示したように、相違点1-3に係る本件訂正発明1の発明特定事項はいずれの証拠にも記載されていない。すなわち、甲2~甲6にも開示されていないから、本件訂正発明1と甲2~甲6に記載された発明とは、少なくとも相違点1-3の点で相違する。 よって、本件訂正発明1と甲1~甲6に記載された発明とは相違するから、本件訂正発明1は、甲1~甲6に記載された発明ではない。 本件訂正発明2~5、7~10は、本件訂正発明1の構成をすべて含み、さらに構成を限定したものであるから、本件訂正発明2~5、7~10についても同様に、甲1~甲6に記載された発明ではない。 (3)甲2~甲7に記載された発明に基づく進歩性についての検討 上記「1-2(1)イ」で説示したように、相違点1-3に係る本件訂正発明1の発明特定事項はいずれの証拠にも記載されていない。すなわち、甲2~甲7にも開示されていないから、本件訂正発明1と甲2~甲7に記載された発明とは、少なくとも相違点1-3と同じ点で相違する。 そして、相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項は、いずれの証拠にも記載されておらず、また、自明のものでもないから、甲2~甲7に記載された発明において、相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、その余の点ついて、検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2~甲7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件発明2~10は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに構成を限定したものであるから、本件発明2~10についても同様に、甲2~甲7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2-2 明確性要件について (1)異議申立理由の概要 申立人は、異議申立書において、以下の点を主張する。 請求項6の「前記一つの固定部は、先端が前記一方の面よりも前記他方の面の側に配置された状態で、前記ユニット側取付部を前記プレート部の前記他方の面に固定する」の記載において、「先端」が固定部のどの部分を示すか明確でない。請求項6及び請求項6が引用する請求項5、請求項4、請求項1~3において「固定部」の形状が具体的に特定されておらず、固定部の形状が「先端」を有するか否かが明確でない。また、「固定部」の先端が、単に固定部の形状に基づき突端部を指しているのか、固定部がユニット側取付部をプレートに固定する組立工程における固定部の移動方向に基づくものであるのかが、明確でない。 よって、請求項6及び請求項6を引用する請求項7、9、10に係る発明は、明確でない。 (2)明確性要件違反についての検討 請求項6の「前記一つの固定部は、先端が前記一方の面よりも前記他方の面の側に配置された状態で、前記ユニット側取付部を前記プレート部の前記他方の面に固定する」との記載は、固定部がユニット側取付部を固定する際には、固定部の先端、すなわち、固定部の一つの端部は、一方の面よりも他方の面の側にある、ということを特定していると理解できる。 申立人は、固定部の形状が具体的に特定されていないことから、「先端」を有するか否か明確でない旨主張するが、固定部の端部のうち、一方の面よりも他方の面の側にある端部を「先端」と特定していることは、上述のとおり明らかである。 よって、申立人の上記主張は採用できない。 2-3 申立人の本件訂正発明の記載不備に関する主張について 申立人は、令和5年10月16日の意見書において、本件訂正発明1について、以下の点で、サポート要件違反、明確性要件違反を主張するので、検討する。 (1)サポート要件について ア 申立人の主張 本件訂正発明1の 「前記ユニット側取付部は、 前記ユニット側取付部の一箇所に配置される一つの固定部であって、前記プレート部の長手方向のうち前記発光素子基板の長手方向における両端部の間であり、かつ、前記プレート部の短手方向のうち前記発光素子基板の短手方向における両端部の間の前記プレート部の範囲内の、前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置され、前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部によって、前記プレート部に固定されている」 の記載で特定される構成について、 発明の詳細な説明には「一つの固定部」がねじでない場合について「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態」がどのような状態かの開示がなく、技術常識に照らしても「一つの固定部」がねじ以外である構成にまで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとは言えない。 また、本件訂正発明1の上記構成は、「一つの固定部が光源ユニット取付部側に頭を有するボルトと、発光素子基板側に配置されプレート部には固定されていないナットとの組み合わせであり、ナットを固定する際の工具の位置に発光素子基板が配置されている」構成を含むと解されるが、この構成では、ボルトとナットの締結を緩めることが可能であり、特許権者が本件訂正発明1の効果として主張する「一般ユーザがユニット側取付部を外そうとする行為を抑止する効果が生じる」(令和5年8月30日の意見書第4頁第23行~同頁第24行)を奏するとは言えない。すなわち、この構成は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えている。 したがって、本件訂正発明1、並びに本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~10は、サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)により、取り消されるべきである。 イ 本件訂正発明1のサポート要件についての検討 申立人は、「一つの固定部」がねじでない場合について「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態」がどのような状態かの開示がなく、技術常識に照らしても「一つの固定部」がねじ以外である構成にまで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとは言えないと主張する。しかしながら、発明の詳細な説明は、特許請求の範囲に記載された発明に含み得る全ての事項について記載することを要するものとはいえず、また、機械分野の当業者であれば、部材を固定する「固定部」は、ねじに限られないことが理解でき、さらに「前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置され、前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態」とはどのような状態であるかも理解できるから、拡張ないし一般化できないとする申立人の上記主張は採用できない。 また、申立人は、特許権者が令和5年8月30日の意見書で主張する「一般ユーザがユニット側取付部を外そうとする行為を抑止する効果が生じる」との効果を奏するとは言えないと主張する。しかしながら、本件訂正発明1の「前記発光素子基板から離れた位置へ形成された孔に、前記発光素子基板と接触しないように配置され、前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部」との構成により、固定部が孔から外せないのであるから、ユニット側取付部を外そうとする行為を抑止できるものと認められ、申立人の主張は採用できない。 (2)明確性要件について ア 申立人の主張 本件訂正発明1の「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部」の記載において、「発光素子基板」と「孔から外せない状態」との関係が明確でない。 例えば、ねじ119がユニット側取付部1-2を貫通してねじ119のねじ部及び先端部がユニット側取付部1-2から露出している場合には、ペンチ等でねじ119のねじ部及び先端部を掴んで回すことが可能であり、ねじ119を外すことが可能である。また、例えば、発光素子基板120の中央部に貫通孔を有し、発光素子基板120の貫通孔にねじ回しを通してねじ119の頭119Aを回すことが可能な場合には、ねじ119を外すことが可能である。すなわち、本件訂正発明1においては、一つの固定部とプレート部の孔及びユニット側取付部との構造的関係は規定されておらず、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても、発光素子基板の技術的意味を理解することができない。そして、一つの固定部を取り外すために工具が必要であるという技術的常識を考慮すると、一つの固定部及び孔と、発光素子基板との構造的関係を理解するための事項が不足していることは明らかである。 また、本件訂正発明1においては、一つの固定部の構造が規定されておらず、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても、発光素子基板の技術的意味を理解することができない。そして、一つの固定部の構造に依存して、一つの固定部を孔から取り出す方法が異なるという技術的常識を考慮すると、一つの固定部の構造と、一つの構造部と発光素子基板との構造的関係を理解するための事項が不足していることは明らかである。 したがって、本件訂正発明1、並びに本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~10は、明確性欠如(特許法第36条第6項第2号)により、取り消されるべきである。 イ 本件訂正発明1の明確性要件についての検討 本件訂正発明1における「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部」の記載は、それ自体が不明確なところはなく、一つの固定部が、発光素子基板がプレート部の一方の面に配置されることで孔から外せない状態になっているものとして明確であるから、本件訂正発明1は明確である。 申立人の上記アの主張は定かでないものの、発光素子基板がプレート部の一方の面に配置されても、(ア)ペンチ等でねじ119のねじ部及び先端部を掴んで回すことでねじ119を外すことが可能であるから、あるいは、(イ)発光素子基板120にねじ回しを通してねじ119の頭119Aを回すことが可能な貫通孔があれば、ねじ119を外すことが可能であるから、「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置される」にも関わらず、固定部が前記孔から外せるので、本件訂正発明1の「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部」では特定が不足していると主張するものと解される。 しかしながら、上記(ア)について、通常、ねじは、ねじの頭にねじ回しを係合して外すものであって、ねじ部及び先端部を掴んで回して外すことは技術常識でも当業者にとって自明のものでもない。そうすると、本件訂正発明1の記載は、通常のねじの外し方を理解している当業者にとって何ら特定が不足しているものではなく、逆に、申立人の主張するような特異なねじの外し方をも考慮した特定を要するものともいえない。また、上記(イ)について、仮に、発光素子基板120の貫通孔を介してねじ回しを通してねじ119を外すことが可能なのであれば、それは本件訂正発明1の「前記発光素子基板が前記プレート部の前記一方の面に配置されることで前記孔から外せない状態となっている前記一つの固定部」の特定に合致しないというだけであって、本件訂正発明1が不明確であるということにはならない。 よって、申立人の上記主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-700055

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決940件(三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社、宮▲崎▼ 章仁)
  • 2024-700122異議申立 / 2024-11-07 / 訂正認容光源ユニット、照明具および照明装置
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社、宮▲崎▼ 章仁
  • 2026-700042異議申立 / 2026-07-06 / 維持照明制御システムおよび照明制御プログラム
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
  • 2024-701025異議申立 / 2026-04-28 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
  • 2025-700140異議申立 / 2026-04-16 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
  • 2024-700450異議申立 / 2026-04-14 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)269件(113・F21S、121・F21S、537・F21S ほか)
  • 2018-700293異議申立 / 2020-03-12 / 請求成立(取消)自動車用機能部品
    共通の審決分類: 113・F21S、121・F21S、537・F21S、841・F21S
  • 2024-701036異議申立 / 2026-01-27 / 訂正認容照明装置
    共通の審決分類: 113・F21S、121・F21S、537・F21S
  • 2024-700268異議申立 / 2025-11-27 / 訂正認容照明装置
    共通の審決分類: 113・F21S、121・F21S、537・F21S
  • 2024-700124異議申立 / 2025-09-22 / 訂正認容非常用の照明器具
    共通の審決分類: 113・F21S、121・F21S、537・F21S
  • 2024-700690異議申立 / 2025-08-28 / 訂正認容光源ユニット及び照明器具
    共通の審決分類: 113・F21S、121・F21S、537・F21S

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存