特許訂正審判
2022-390128
抗第IX因子Padua抗体
- 審判番号
- 2022-390128
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2018-560082
- 登録番号
- 7084878
- 請求日
- 2022年07月08日
- 審決日
- 2022年09月13日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】武田薬品工業 株式会社
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】飯田 貴敏
- 【請求人代理人】石川 大輔
- 【請求人代理人】山本 健策
- 審判長/審判官
- 審判長 上條 肇
- 審判官 宮岡 真衣
- 審判官 高堀 栄二
- 分類
- P141 .852-Y (C12N) / P141 .854-Y (C12N) / P141 .855-Y (C12N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7084878号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7084878号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第7084878号は、平成29年5月16日(パリ条約による優先権主張 2016年5月16日 アメリカ合衆国(US)、2016年5月24日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、その請求項1~30に係る発明について、令和4年6月7日に特許権の設定登録がされ、その後、令和4年7月8日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の要旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第7084878号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 訂正の内容
本件審判の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
「配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を配列番号2に示されるアミノ酸配列に置き換え、同配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列を配列番号1で示されるアミノ酸配列に置き換える。」(以下、「訂正事項1」という。)
第3 当審の判断
1 願書に添付した特許請求の範囲及び明細書の記載事項
願書に添付した特許請求の範囲及び明細書には、次の事項が記載されている。下線は当審による。
(1)特許請求の範囲
ア 「配列番号1のアミノ酸配列を含む第IX因子Paduaに結合し、野生型(WT)第IX因子に結合しない、抗体またはその抗原結合性断片であって、・・・を含む、抗体またはその抗原結合性断片。」(請求項1)
イ 「アミノ酸配列(配列番号2)を含むWT第IX因子に結合しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。」(請求項5)
ウ 「配列番号1のアミノ酸配列を含む第IX因子Paduaに結合し、野生型(WT)第IX因子に結合しない抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含むアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、・・・を含み、かつ前記ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含む第IX因子Paduaに結合し、野生型(WT)第IX因子に結合しない、ポリペプチド。」(請求項17)
(2)明細書
ア 「・・・ある臨床試験では、重度の血友病Bを有する被験体は、成熟ペプチド配列の338位(またはプレプロタンパク質配列の384位)におけるArgからLeuの単一のアミノ酸置換を有するFIXの機能亢進性のバリアントである第IX因子(FIX)Paduaをコードするアデノ関連ウイルス(AAV)ベクターで処置される。・・・」(【0003】)
イ 「・・・例示的な実施形態において、結合性構築物は、配列番号1のアミノ酸配列を含むFIX Paduaに結合し、アミノ酸配列、配列番号2を含むWT第IX因子に結合しない、抗体またはその抗原結合性断片である。・・・」(【0004】)
ウ 「【図1】図1は、WT第IX因子およびFIX Paduaのアミノ酸配列の略図を表す。」(【0009】)
エ「
[図:0001391966000001.jpg]
」(図1)
オ 「例示的な実施形態において、結合性構築物は、配列番号1のアミノ酸配列を含むFIX Paduaのエピトープに結合し、このエピトープは、配列番号1のアミノ酸配列内の線状エピトープである。・・・」(【0044】)
カ 「例示的な実施形態において、FIX Paduaは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。」(【0145】)
キ 「・・・例示的な態様において、被験体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むFIX Paduaをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターが投与されている。・・・」(【0149】)
ク 「
<210> 1
<211> 461
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 1
・・・
Leu Gln Tyr Leu Arg Val Pro Leu Val Asp Arg Ala Thr Cys Leu Arg
370 375 380
・・・」(配列表の配列番号1)
ケ 「
<210> 2
<211> 461
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
・・・
Leu Gln Tyr Leu Arg Val Pro Leu Val Asp Arg Ala Thr Cys Leu Leu
370 375 380
・・・」(配列表の配列番号2)
2 訂正事項1についての判断
(1)訂正の目的について
審判請求人は、訂正事項1は特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである旨説明しているので、以下に検討する。
本件訂正前特許の明細書(以下、「本件訂正前明細書」という。)の段落【0003】及び図1には、第IX因子Paduaが、野生型(WT)第IX因子プレプロタンパク質配列の384位にArgからLeuの単一のアミノ酸置換を有するFIXの機能亢進性のバリアントであることが記載されているから(摘記事項(2)ア、ウ、エ)、本件訂正前明細書の記載及び本件出願時の技術常識から、野生型第IX因子はプレプロタンパク質配列の384位にArgを有するのに対し、機能亢進性のバリアントである第IX因子Paduaは、当該384位のアミノ酸残基がLeuに置換されていることは、当業者に明らかである。
一方、本件特許の特許請求の範囲及び本件訂正前明細書には、FIX Paduaが配列番号1のアミノ酸配列を含むことが記載され、WT第IX因子が配列番号2のアミノ酸配列を含むことが記載されている(摘記事項(1)ア~ウ、(2)イ、オ~キ)。そうすると、本件特許請求の範囲及び本件訂正前明細書において、配列番号1のアミノ酸配列は384位にLeuを有する第IX因子Paduaのアミノ酸配列を意味し、配列番号2のアミノ酸配列は384位にArgを有するWT第IX因子のアミノ酸配列を意味することも明らかである。
しかしながら、本件訂正前明細書の配列表における配列番号1には、384位にArgを有するWT第IX因子のアミノ酸配列が記載され、同配列表における配列番号2には、384位にLeuを有する第IX因子Paduaのアミノ酸配列が記載されているから(摘記事項(2)ク、ケ)、当該配列表における配列番号1、2のアミノ酸配列は、本件特許請求の範囲及び本件訂正前明細書の記載内容(配列番号1が第IX因子Paduaのアミノ酸配列であり、配列番号2がWT第IX因子のアミノ酸配列である。)と整合しておらず、配列表の配列番号1のアミノ酸配列を配列番号2のアミノ酸配列に置き換え、配列番号2のアミノ酸配列を配列番号1のアミノ酸配列に置き換えるのが正しい記載であることは、当業者に明らかである。
よって、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列(384位がArgである。)を配列番号2に示されるアミノ酸配列(384位がLeuである。)に置き換え、同配列表の配列番号2(384位がLeuである。)に示されるアミノ酸配列を配列番号1(384位がArgである。)で示されるアミノ酸配列に置き換える訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定される誤記の訂正を目的とするものである。
(2)国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1は、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を配列番号2に示されるアミノ酸配列で置き換え、同配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列を配列番号1で示されるアミノ酸配列で置き換えることにより、その誤りを正しい記載とする訂正であるから、本件明細書の記載から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、国際出願日における国際出願の明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(2)で述べたとおり、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を配列番号2に示されるアミノ酸配列で置き換え、同配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列を配列番号1で示されるアミノ酸配列で置き換えるのが正しいものであることは当業者に明らかであり、訂正事項1は、その誤りを正しいものにするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項1は明らかな誤記を訂正するだけのものであって、訂正後の請求項1~30に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判請求は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定される要件に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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