特許訂正審判
2022-390198
羊膜間葉系細胞組成物の製造方法及び凍結保存方法、並びに治療剤
- 審判番号
- 2022-390198
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-038143
- 登録番号
- 6754459
- 請求日
- 2022年11月04日
- 審決日
- 2023年01月05日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】国立研究開発法人 国立循環器病研究センター
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 【請求人】公益財団法人 神戸医療産業都市推進機構
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 【請求人】学校法人 兵庫医科大学
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 【請求人】国立大学法人 北海道大学
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 【請求人】株式会社 カネカ
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 上條 肇
- 審判官 宮岡 真衣
- 審判官 高堀 栄二
- 分類
- P141 .841-Y (C12N) / P141 .852-Y (C12N) / P141 .854-Y (C12N) / P141 .855-Y (C12N) / P141 .856-Y (C12N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第44条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6754459号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6754459号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第6754459号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成26年6月25日(優先権主張 平成25年8月19日)を出願日とする特願2014-130142号の一部を、特許法第44条第1項の規定により平成31年3月4日に新たな出願とした特願2019-38143号であって、その請求項1~10に係る発明について令和2年8月25日に特許権の設定登録がされ、その後、令和4年11月2日付けで本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の要旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第6754459号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5~10について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 訂正の内容
本件審判の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項5に「輸液製剤により2以上に希釈する工程を含む、」と記載されているのを「輸液製剤により2倍以上に希釈する工程を含む、」に訂正する。請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10も同様に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により得られる間葉系細胞」と記載されているのを「請求項1から4のいずれか一項に記載の方法により得られる間葉系細胞」に訂正する。請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7~10も同様に訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項7に「請求項6に記載の方法により得られる間葉系細胞投与用組成物」と記載されているのを「請求項5に記載の方法により得られる間葉系細胞投与用組成物」に訂正する。請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8~10も同様に訂正する。
第3 当審の判断
(1) 一群の請求項について
訂正前の請求項6~10は、訂正前の請求項5を直接的又は間接的に引用する関係にあり、訂正事項1により記載が訂正される訂正前の請求項5に連動して訂正されるから、訂正前の請求項5~10は一群の請求項に該当するものである。
訂正前の請求項7~10は、訂正前の請求項6を直接的又は間接的に引用する関係にあり、訂正事項2により記載が訂正される訂正前の請求項6に連動して訂正されるから、訂正前の請求項6~10は一群の請求項に該当するものである。
訂正前の請求項8~10は、訂正前の請求項7を直接的又は間接的に引用する関係にあり、訂正事項3により記載が訂正される訂正前の請求項7に連動して訂正されるから、訂正前の請求項7~10は一群の請求項に該当するものである。
そして、これらの「一群の請求項」は、請求項7~10で共通するため、訂正前の請求項5~10は、特許法第126条第3項に規定する1つの「一群の請求項」である。
(2) 訂正事項1~3についての判断
ア 訂正事項1についての判断
(ア) 訂正の目的について
訂正前の請求項5に記載されていた「輸液製剤により2以上に希釈する工程を含む、」という記載について、「2以上」という記載は、独立して数えられるものが2個以上であることを意味するところ、「希釈」なる用語は、ある物質の濃度を下げるために溶媒の量を増加する操作であって、その結果として得られるものは、そのままでは独立して数えることができない液体であるから、上記「2以上に希釈」なる記載が誤記であることは自明である。そして、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の段落【0016】及び【0044】には間葉系細胞を「輸液製剤により2倍以上に希釈する」ことが記載されているから、上記「2以上に希釈」なる記載が「2倍以上に希釈」の誤記であることは明らかである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項1は、本件明細書の記載に基づいて、訂正前の請求項5に関する明らかな誤記を正すものであるから、本件明細書の記載から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項1は、輸液製剤により希釈する工程に関する明らかな誤記を正すものであって、当該工程の発明特定事項を拡張ないしは変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。
(エ) 独立して特許を受けることができるものであること
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項1は、明らかな誤記を訂正するだけのものであって、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の請求項5~10に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
ア 訂正事項2についての判断
(ア) 訂正の目的について
訂正前の請求項6の「請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により得られる間葉系細胞」という記載について、訂正前の請求項1~4は「間葉系細胞組成物の製造方法」の発明であるのに対し、訂正前の請求項5は「間葉系細胞投与用組成物を製造する方法」であり、上記の間葉系細胞組成物を輸液製剤により希釈する工程を含むものであって、間葉系細胞組成物の製造方法ではない。よって、訂正前の請求項6における「請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により得られる間葉系細胞」という記載は「請求項1から4のいずれか一項に記載の方法により得られる間葉系細胞」の誤記であることが明らかである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項6に記載されていた引用請求項の番号についての明らかな誤記を正すものであるから、本件明細書の記載から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項2は、請求項6について、訂正前は「請求項1から5のいずれか一項」を引用すると記載されていたところ、その明らかな誤記を正して「請求項1から4のいずれか一項」を引用するとしたものであって、請求項6に係る発明を拡張ないしは変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。
(エ) 独立して特許を受けることができるものであること
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項6に記載された引用請求項の番号について明らかな誤記を訂正するだけのものであって、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の請求項6~10に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
ウ 訂正事項3についての判断
(ア) 訂正の目的について
訂正前の請求項7における「請求項6に記載の方法により得られる間葉系細胞投与用組成物」という記載について、訂正前の請求項6は「細胞治療剤」の発明であって「間葉系細胞投与物組成物の製造方法」の発明ではなく、「間葉系細胞投与物組成物の製造方法」の発明は訂正前の請求項5において記載されている。そうすると、訂正前の請求項7における「請求項6に記載の方法により得られる間葉系細胞投与用組成物」という記載は「請求項5に記載の方法により得られる間葉系細胞投与用組成物」の誤記であることは明らかである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項7に記載されていた引用請求項の番号についての明らかな誤記を正すものであるから、本件明細書の記載から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項3は、請求項7について、訂正前は「請求項6に記載の方法により得られる」と記載されていたところ、その明らかな誤記を正して「請求項5に記載の方法により得られる」としたものであって、請求項7に係る発明を拡張ないしは変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。
(エ) 独立して特許を受けることができるものであること
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項7に記載された引用請求項の番号について明らかな誤記を訂正するだけのものであって、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の請求項7~10に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判請求は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定される要件に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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